
後列には“悪人”12人がズラリ。

主演女優賞に松たか子

キンタロー。の前田敦子モノマネ。たけしも絶賛。








『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』
しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。
映画監督としての世界的知名度を得て以降も、いまだなおテレビの世界に君臨し続けるビートたけし。だがその笑いの実力が、いま現在も常時発揮し尽くされているとは正直言い難い。しかし、そんなたけしの全盛期さながらのマシンガントークが、ラジオの世界で久々に炸裂した。そしてそれは、今のお笑い界に何が足りないのかを浮き彫りにした瞬間でもあった。12月14日、かつてともに『ビートたけしのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)や『北野ファンクラブ』(フジテレビ系)を作り上げてきた「もうひとりの相方」の冠番組『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)生放送へのゲスト出演。これはまさに、すべてのお笑いファンにとって「神回」というべき放送だったと言い切れる。
この番組の主である高田文夫は、今年4月から心肺機能疾患で入院し、約半年間の療養期間を経て、11月に番組へと復帰した。そして復帰から初めて迎えたスペシャルウィークに、快気祝いのような形でたけしが駆けつけたという形である。すでにその男気あふれる経緯を聴くだけでも、往年のファンは涙ものには違いないが、そういった感傷や感動といったレベルを遙かに越えたところで、この日のたけしは笑いの権化と化していた。
たけしは冒頭から高田の復帰を、「香典でひとり2万ずつ飲もうと思ってた」と皮肉で祝福。そして「心臓が4回止まった」「ペースメーカーつけてんのよ。林家ペースメーカー」「(北朝鮮が)ミサイル撃ってきたら鳴るんだよ。ピピピって」という高田の自虐ボケに対しては、「自衛隊入ったほうがいい」「炭鉱のカナリアとか」と、別の職種をすぐさま提案。さらには、入院以降禁煙しているという高田に、「肺をニコチンで固めちゃえば病気の入りようがない」と、独自の理論で命がけの喫煙を推奨するなど、徹頭徹尾異様な高密度のトークを繰り広げた。
これはもちろんいつもの「たけし節」なのだが、驚くべきはこの日のたけしのしゃべりが生み出す圧倒的なスピード感で、近年滑舌が悪くなってきているせいもあって、ほとんど聴き取れるか聴き取れないかギリギリのレベルで矢継ぎ早に強い言葉が繰り出されていく。高田の絶妙な相槌がたけしの舌を加速するのは想定内だし、高田の復帰でテンションが上がっているせいもあるだろう。しかしここにはそれ以前に、今の世代の笑いと、たけし世代の笑いの、決定的な違いがある。受け手に対する親切さの問題である。
本気モードに入ったときのたけしのしゃべりは、今の芸人のしゃべりに比べて、圧倒的に不親切なのである。逆にいえば、受け手である我々が、適度なテンポで、滑舌良く、相手の顔色を読みながら、順序立てて懇切丁寧に語られる、そんな今どきの笑い話にすっかり飼い慣らされているともいえる。たけしが反射的に繰り出す速射砲のような言葉の数々は、いつだって説明不足のまま、聴き手を振り切って前のめりに突っ走る。そして聴き手がそれを消化吸収するのを待つことなく、気づけばすっかり別の話題へと展開している。これは一言でいえば、やはり「不親切」ということになるだろう。
そんなことをすれば、結果として聴衆は取り残されるというのが、今のお笑い界の常識になっている。いやお笑い界以前に、話をする際の一般常識である。だが重要なのは、笑いというものが本来、一般常識を十分に把握した上で、それを破壊することによって生み出されるものだということだ。「破壊」という言葉が強すぎるならば、「枠組みを広げる」とか、「常識を更新する」と言い換えてもいい。それらの革新はいずれも、受け手に合わせた親切な方法では不可能なのである。つまり、聴衆のニーズをマーケティング的に把握した上で生まれた親切かつ常識的な話法では、聴き手を圧倒するレベルの面白い話をするのは難しい。
たけしのしゃべりは聴き手にとって不親切だが、それゆえに圧倒的多数の心をつかんできたのも間違いない。平板な説明を極力排除することで、強力な言葉が連続することになり、話の密度が高まる。実際のスピード以上にストーリーの進行速度が上がり、先へ先へと進む推進力の強さが、聴き手に対する牽引力になる。それにより、聴き手の空気を読んでそのペースに合わせずとも、聴き手に「ついていきたい」と思わせるのが、たけし話法の神髄である。
しかしまた一方では、かつてそういう不親切さを放送局が許し、またそういう放送局をスポンサーが許したという環境的要因がある。そんな時代に実績を積み上げたからこそ、今たけしはこの不自由な時代にただひとり、圧倒的に自由なトークを展開することができる立場にいるというのも、また疑いようのない事実だろう。今の若手芸人には、もちろん彼らならではの面白さがあるが、彼らを取り囲む現状が不親切さを許さないものであることも、また問題視していかなければならない。それは、放送局とスポンサーに対して視聴率という強力な数字を握っている、我々受け手側の狭量でもある。
受け手に対して親切なものが、受け手の求めているものであるとは限らない。それは単に、想定内で出来のいいだけの、つまらないものかもしれない。破壊力ある不親切が、ユーザー目線の親切より素晴らしい場合だってある。いつだってこうして受け手の価値観を揺さぶってくれるのが、ビートたけしの真骨頂なのである。
(文=井上智公<http://arsenal4.blog65.fc2.com/>)
◆「逆にラジオ」過去記事はこちらから

芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
10月21日、定例となっている東京スポーツ客員編集長インタビュー取材で、約1カ月ぶりにビートたけしに会ったが、かなり疲れた様子だった。
その1カ月ほど前は、映画『アウトレイジ ビヨンド』の宣伝のために、監督・北野武として、あちこちのテレビ番組や雑誌などにゲスト出演。多忙を極めている頃に、筆者は西葛西の行きつけの京風お好み焼き屋「きん屋」という店で、「週刊実話」(日本ジャーナル出版)のH編集長と、若手記者2人と仕事の打ち合わせを兼ねて飲んでいた。スッカリできあがった頃にたけしから「本多さん、どこにいるの? 行っていい?」と電話があった。
しばらくして一人でやって来たたけしはハイテンションで、店の客や従業員にも気を使って、酔っぱらいながら『アウトレイジ ビヨンド』の見どころを盛んにアピール。ご機嫌で帰っていった。後に本人に聞いたところ「記憶がない」と言う。
毎度のことだが、監督自ら絶賛する『アウトレイジ ビヨンド』を見て納得した。西田敏行をはじめ、出演者全員の演技をベタ褒めしていただけのことはあった。筆者は映画評論家ではないので、映画については、ただ「面白かった」としか言いようがない。映画は「全員悪人 完結。」とのキャッチコピーが付けられていたが、3作目を見たいという思いに駆られたのは筆者だけだろうか。たけしは審査員長を務める「東京スポーツ映画大賞」で「来年の映画祭は、(『アウトレイジ ビヨンド』に出てくれた俳優)全員が主演男優賞だな」と言っていただけに、本人も『アウトレイジ』に対する思い入れは相当強いのだろう。今後、続編製作を発表するか否か、今から楽しみだ。
しかし、公開後の21日に会ったたけしは、なぜか疲れ切っていた。映画のプロモーションの疲れか? それとも、映画公開後、ハイテンションで連日飲み過ぎたせいなのか? ところが、どちらでもなかった。
その日、TBSでたけしととんねるずの石橋貴明の新番組『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』がスタートした。たけしのレギュラー番組はこれで9本目。単発・不定期番組を入れると、月30本前後の番組収録を消化することになる。これでは疲れるのは無理もない。
しかし、たけしはTBSのプロデューサーに「日曜の夜8時台は、何やっても視聴率が取れない。なんとかしてください」と言われて、今回の番組も断れなかったようだ。視聴率競争において苦戦続きのTBSの中で、たけしの『情報7days ニュースキャスター』は土曜夜の激戦区で好成績を残している。TBSが“たけし頼み”に走るのも理解できる。
たけしは昔、売れない時代を経験。「フライデー襲撃事件」後には、ニ度と芸能界の土を踏めないと覚悟したこともあったが、いまやお笑い界の頂点に立ち、映画界では“世界のキタノ”と呼ばれている。とはいっても、仕事が来るうちが華。来なくなったら、本人の意思とは関係なく、自然と引退状態に追い込まれるわけだ。
だから、来た仕事は受ける。
たけしとは比べものにならないが、フリーライターの筆者も同じだ。いや、多くの生真面目に働く日本人たちと、たけしの姿勢はなんら変わらないし、そこがたけしの絶大な支持を支えている源だろう。
年末にかけて、特番が増える。記憶がなくなるような酒の飲み方はほどほどにして、体を大切にしてほしいものだ。
(文=本多圭)

『襲撃 中田カウスの1000日戦争』
(朝日新聞出版
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
漫才師の中田カウスが「週刊朝日」(2月17日号)で、「ビートたけしと暴力団 本当の仲」と題する告白インタビューに応じているが、この記事にある大手芸能プロのオーナーは「カウスは、たけしを潰す気か?」と激怒している。
事の発端は、東京都で暴力団排除条例が施行される直前に発売された「週刊文春」(2011年9月29日号)に掲載されたビートたけしの告白記事だった。「ビートたけし『暴力団との交際』すべて語った」との見出しがついたこの記事の中で、たけしは「山口組5代目には、ある芸人にウソをつかれて、無理やり会わされたんだ」と語っている。文春は「ある芸人」をカウスと断定して、名前を公表した。これが気に食わなかったのが当のカウスだ。
記事を見たカウスは、たけしに「会いたい」と連絡を入れたが、たけしはこれを拒否。自分がカウスの名前を出したわけでないし、07年の吉本のお家騒動以降、カウスと距離を置いていたことや多忙なこともあったためだ。すると、カウス周辺から「九州の暴力団がたけしに怒っている。暴力団とのツーショット写真が出るかもしれない。早くカウスと会わないと、写真を止められないかもしれない」という話が伝わってきた。
しかし、たけしは一切耳を貸さなかった。その後、写真誌「フラッシュ」(光文社)に、同様の話と暴力団関係者とたけしのツーショット写真が掲載された。しかも、「フラッシュ」によるとそのツーショット写真は、6年くらい前の写真だという。だが、たけしファンなら、着ているセーターを見れば一目瞭然。それは、15年前くらいに着ていたセーターだった。髪型だって6年前のものとは違う。"6年前"とすることで、比較的最近まで暴力団との交際があったような印象を与えているが、要するに「フラッシュ」の記事は"たけし潰し"のために、"何者か"によって仕組まれたものだった。
それでも、たけしは挑発に乗らず、無視した。すると、カウスは「『週刊ポスト』で、たけしと俺が対談すれば、笑って済む話なんだけどな」と言い出したそうだ。だが、たけしサイドはこれも無視。今回の「週刊朝日」でも、カウスとの対談をたけしサイドに要請したようだが、事務所に断られたという。
その結果、カウスの告発記事が掲載された。ここでカウスは、たけしが語った、"山口組5代目に無理やり会わされた"という事実を否定。たけし自身が積極的に暴力団に近づいていたという印象を与えている。たけしの事務所はこうした指摘を改めて否定しているが、この記事に前出の大手芸能プロオーナーは「事実ならまだしも、保身のためにウソをついて"世界のキタノ"を潰すようなことをするとは、日本の芸能界の損失だ。カウスは一体、何を考えているのか? カウスを抑えられない吉本も問題だ」と激怒。筆者が親しくしてもらっている芸能プロのオーナーたちも、一様にカウスの激白についてあきれている。
筆者も正直、カウスの執拗な行動にはあきれている。告白の内容についても、自分に都合がいいことばかり言っているが、カウスと同じ土俵に乗る必要はないので反論はしない。カウスの抱える問題については、過去に当コラムで幾度も指摘してきた通りだ。ただ、ひとつ言っておきたいのが、吉本は島田紳助を復帰させるべく躍起になっているが、それ以前に業界関係者の間からは「"たけし潰し"を画策するカウスを何とかしろ」という声が複数上がっているということ。そもそも、今回のカウスの発言は世間的にも業界的にも黙殺されているような状態で、さほどインパクトを持っていない。「たけしを潰す気か?」という芸能プロオーナーの言葉は杞憂になった。あまりにも影響力がないカウスの空虚な告白。そのことがカウスの現在の危ういポジションを示しているともいえるだろう。
(文=本多圭)

芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
ビートたけしが審査委員長を務める第21回「東京スポーツ映画大賞」(東スポ映画祭)の受賞作が決まった。たけしこと北野武監督は昨年、『アウトレイジ2』を3月末にクランクインする予定だったが、3月11日に起こった東日本大震災と、それによる福島第一原子力発電所の事故の影響で、「とても映画を撮る心境になれない」と撮影無期延期を発表した。
さらに年末になって、東スポ映画祭の選考が迫ったころ、たけしは「震災のときにいい映画が撮れるわけがねえ」と語っていただけに、21回の東スポ映画祭は「今年は該当者なし」ということになるのではと予想された。そんな中、1月下旬に全国14の映画祭のディレクターがノミネート選考した作品をもとに審査が行われたが、開口一番、たけし審査委員長は「本当のことを言っちゃうと、昨年の映画は全部ダメ」と一言。案の定「震災時に、いい映画は撮れない」と繰り返した。
しかし、「すべての賞で該当作品・該当者なし」というのは、予定調和を嫌うたけしのネタとして面白いが、年に一度の社を挙げた一大イベントを仕切る映画祭スタッフとしては戦慄ものだ。
しかし、たけしは続けて「『冷たい熱帯魚』は、これほどくだらない映画はないという感じはある一方で、園子温監督というのは、一歩間違えばすごいことになるんじゃないかと思わせるものがある。撮り方はガサツだけど、化ける可能性がある。期待を込めて『冷たい熱帯魚』と園子温に、作品賞と監督賞をあげよう。それに、元ピン芸人がここまでやったということで、『冷たい熱帯魚』に出演したでんでんに助演男優賞をあげる」と語り、全賞該当なしという最悪(?)の事態は逃れた。
だが、やはり主演男優・女優賞や助演女優賞、新人賞や外国作品賞などは該当なし。すると、「受賞する俳優がでんでんしかいないのはさみしいから」と、なぜか時代劇で5万回切られたという俳優の福本清三さんに「"日本一の切られ役"として特別賞をあげちゃおう」(たけし)ということになった。さらに、たけしは「映画は裏方の人がいてこそ、できる。この際だから、技術スタッフを表彰しよう。それこそ、東スポ映画祭にしかできないから、東スポはエライってことになる」ということで、急遽技術スタッフ賞が新設されて、ガンアクションや音響のプロ、殺陣師など4名が選ばれた。
次に、同時開催される「第12回ビートたけしのエンターテンイメント賞」の受賞者も決定した。これは、この1年で業界を賑わせた芸能人を表彰するものだが、日本芸能大賞にはフジテレビの『THE MANNZAI』で優勝を逃した博多華丸・大吉が選ばれた。同番組の最高顧問を務めたたけしは「優勝したパンクブーブーより、華丸・大吉のほうが面白いと思ったけどね」と語っていただけに、受賞はすんなり決まった。後は地味な芸だがしっかりしているとして選ばれたダイノジ、さらに、女性ピン芸人の座を確立した友近が選ばれた。
今年は新たに、ひな壇芸人賞を新設。土田晃之、アンタッチャブルの山崎弘也が選ばれた。話題賞には高齢者に夢を与えたとして、20代の女性と再婚した加藤茶。故・立川談志さんと、北野映画の衣装を担当し、昨年、フランスでコマンドール(芸術文化勲章)を受賞した山本耀司さんが、また、特別賞に選ばれた。
カムバック賞には、芸能とは関係ないはずなのに、昨年末に仮出所した政治家の鈴木宗男が選ばれた。すると、ここまで来て、全賞の中で、女性の受賞者は友近一人しかいないということが発覚。あまりにも華がなさすぎるというので、ストリッパ―からAV女優に転向した小向美奈子。さらにもう一人、岡本夏生をカムバック賞に入れた。日本アカデミー賞などに顔を出すようなお高い女優たちは見当たらないが、ここでしか見られないハチャメチャな受賞式が期待できそうだ。授賞式は2月26日に都内ホテルで行われる。
(文=本多圭)

芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
12月30日に放送される、年末恒例になった、ビートたけしと笑福亭鶴瓶の特別番組『たけしが鶴瓶に今年中に話しておきたい5~6個のこと 其の参』(TBS系)で、たけしがテレビで落語を初披露するという。たけしは昨年の同番組で「来年は落語をやる」と語っていたが、実際にそれを後押ししたのは、たけしが尊敬していた立川談志の死だったのかもしれない。
談志師匠の死後、筆者はたけしと食事をする機会があった。たけしは「談志さんは、すごい小心者なんだ。落語が大好きで実に細かい人なんだ。そういう人が開き直ると、切れちゃったりする。破天荒を演じることをやめられたら、"粋だね"ってなるけど、それができないから言い過ぎちゃったりする。それは神経が細かい証拠だよ」と、しみじみ語っていた。落語が大好きな談志師匠は、最後まで「(故・古今亭志ん生には)勝てなかった」とも言っていたそうだ。そんな談志師匠を敬愛していたたけしが、テレビでは初の落語を披露するというので期待したい。
さて、たけしは今年の初めに「お笑いブームは終わった」と断言していたが、そんな彼が17日に放送されたフジテレビの『THE MANZAI 2011』の大会最高顧問を務めたのは、新たな"お笑いブーム"を牽引する漫才師の出現に一縷の望みを託したにほかならない。自分が出演することで話題性を高め、新たな才能にも注目が集まればいいと思ったのだろう。
そんな中、優勝したのは吉本興業のパンクブーブーだった。食事の席で、審査には参加しなかったたけしが「パンクブーブーをはじめ、若手のネタはデジタル化している」と指摘したのが印象深かった。抽象的な表現だが、言い得て妙ではないか。言葉遊びやナンセンスなボケばかりを詰め込んで笑いを誘う、今の漫才師のネタには"味"がない。談志師匠の落語同様、そこに人間の業などから生まれる、そこはかとない笑いがないと、「0」か「1」のデジタルなネタになってしまう。たけしが高く評価していたのは、20年のキャリアを持ち、ネタや話術が練りこまれていた博多華丸・大吉の、人間が抱える日常の可笑しみを生かした"乾杯ネタ"だが、そんな彼らは最終決戦にも進めなかった。
「フジテレビの悪口を言っちゃまずいし、誰とは言わないけど、審査員が悪すぎる。思わず"お前らがここにきて、(漫才を)やってみろ"と言いたくなるよ」とも言ったが、同感である。
確かに、「さまぁ~ず」の大竹一樹や「キャイ~ン」の天野ひろゆき、それにAKB48のプロデューサー・秋元康が審査している姿を見て、「お前らに言われたくない」と思ったのは筆者だけではないだろう。もしこの番組を来年も続けるなら、フジは審査員を慎重にセレクトするべきで、笑いの量だけを評価軸にする人々(視聴者も含め)に対して、漫才の奥深さを啓蒙できるような人物を入れるべきだろう。
さて、今年は東日本大震災と福島第一原発事故が起こった直後に「映画なんか撮っている場合じゃない」と北野武監督は『アウトレイジ2』の撮影の無期延期を決めたが、同作の出演者の「いつまでもスケジュールを空けて待ってます」という言葉に北野監督は感動。当初と変わらぬキャスティングで、来年の春にはクランクインできるという情報も流れている。もし、実現すれば秋にも公開されるだろう。俳優ビートたけしとしては、高倉健さんが6年ぶりに主演する映画『あなたへ』(降旗康男監督、2012年8月公開)に出演したが、『あなたへ』が『アウトレイジ2』より前に公開されるのがたけしの出演条件だったという。今年、公開された映画が駄作ばかりだっただけに、来年の夏から秋にかけて公開される『あなたへ』と『アウトレイジ2』に期待したい。
(文=本多圭)

『アウトレイジ』公式HPより
「ついに撮影の日程が決まりました! 来年の4月にクランクインして、来年末か再来年の公開予定です。今回も大物俳優のゲストがいて、西田敏行さんや中尾彬さんの出演が決まっています。他にも大物が何名か出演すると聞いています」(芸能事務所関係者)
昨年公開された、北野武監督の映画『アウトレイジ』。その続編である『アウトレイジ2』がようやく動き出した。本来なら今年4月から撮影の予定だったのだが、震災の影響で延期されていたという。
「さすがのたけしさんも、『こんな状況じゃ、撮れないだろ』と言っていて、夏くらいから撮影の予定だったんです。そうしたら今度は"紳助騒動"で、配給会社の意向もあり、全員を"身体検査"することになったんです。さすがに、本物のヤクザがヤクザを演じたらシャレになりませんからね」(映画関係者)
そうして、まず引っかかったのが、前作のラストシーンにも登場していた中野英雄だという。
「実際、中野さん以外はすんなり問題なしということで片付いたのですが、中野さんの場合、ヤクザの方の誕生会などでスピーチしてる映像もありますし、暴走族だった過去もありますから、関係者数名で中野さんの事務所に行って、聞き取り調査を行ったそうです。中野さんは『今は何もない』と言っていたそうで、誓約書を書いたとも聞いています。とにかく、それを信じて撮影をするしかないんです。前作の生き残った"悪人"のキーマンですから、いないと変ですしね」(前同)
すでに『アウトレイジ3』の構想もあり、あの高倉健の出演もウワサされている。何事もなく撮影が終われば良いのだが......。

芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
ビートたけしが9月21日に発売された「週刊文春」(文藝春秋)において、暴力団との交際歴を告白し、話題になっている。そのことについては賛否両論飛んでいるが、筆者はその内容よりも、このタイミングでたけしが告白するよう仕向けた権力側の意向が気になる。
同記事の取材で、「文春」の記者はたけしに警察しか知っていないような情報をぶつけており、当局が直接リークしたかは不明だが、情報源をたどれば警察に行き着くことは明らかだ。その裏には、10月1日から東京都でも施行される「暴力団排除条例」を浸透させたい警視庁の思惑が見え隠れしており、たけしはそのスケープゴートに利用されたように思えてならない。
というのは、「文春」の記事には具体的な交際時期が書かれておらず、読者は、たけしと暴力団との交際が今も続いていると錯覚してしまう危険があるからだ。むしろ、それが情報をリークした警視庁の狙いかもしれない。
筆者は、島田紳助の引退騒動を踏まえて、当コラムでたけしについても触れた(記事参照)。「文春」の記事でもたけし自身が触れているが、彼はフライデー事件後、「復帰が早過ぎる」と右翼団体の抗議行動にあった際、単身で右翼団体が関係する暴力団の親分の家に行き、「弱い芸人をいじめないでください」と直談判して事態を収拾している。ここが暴力団に解決を頼った紳助と違う点であるとたけしは語っているが、いずれにせよ、この一件は20数年も前の話だ。
しかも、本来このトラブルは、当時の所属事務所であり、たけしの復帰時期に決定権を持っていた「太田プロダクション」が解決すべき問題だった。たけしはタレントとして、復帰についても事務所の決定に従ったのだから。
ところが、太田プロは社長以下幹部が逃げ回って右翼の行動に対処できなかったことから、止むに止まれず、たけしは自身で話をつけにいったというのが事の真相だ。結果、事務所への不信感を持ったたけしは、太田プロから独立。「オフィス北野」を設立した。さらに、大阪の芸人が仲介者となり、5代目山口組組長に大阪のクラブでの面会を仕組まれたとも告白している。「文春」では、この芸人を吉本興業の中田カウスと断定しているが、それも10数年前の話。「稲川会」の稲川聖城総裁との「新潮45」(新潮社)の頂上対談も10年前の話だ。過去のことだからといって無視はできない、という報道姿勢も分からないことはないが、問題の本質はそこにはない。
芸能人の中には、演歌の大御所の北島三郎や弟子の山本譲二、それに細川たかし、ミュージシャンの松山千春のように、暴力団が好きで自ら交際している芸能人もいる。だが、大半のタレントが暴力団と接点を持ってしまうきっかけは、事務所が決めた仕事に暴力団関係者が関与していたというケースだ。興行などに暴力団が入り込んでいるのを分かっていながら、事務所は黙認。興行主となれば、タレントだって無視するわけにはいけない。ステージ外で何らかの関係を持たざるを得なくなることも少なくないのだ。
たけしも「仕事と言われれば、タレントは断れない」と言っているが、そのタレントを守るのが本来は芸能プロの義務でもある。ところが、反社会的勢力と対峙するどころか、結託している芸能プロも少なくない。紳助やたけしの時のように、右翼団体から抗議を受けても、タレントの盾になることを放棄する芸能プロもある。
警察はそうした背後関係も調べず、もしくは知っていても無視して、暴力団と交際歴がある大物芸能人の名前をメディアにリークして、スケープゴートにしようとしている。本来、取り締まるべきは暴力団の関係を断ち切れない芸能プロ。そうした本丸にメスを入れないのは、反社会的勢力排除を名目に、大企業へ警察関係者を天下りさせてきた時と同様、芸能プロに新たな利権を見出そうとしているのではないかと訝しく思ってしまう。
繰り返し言うが、芸能界を本気で浄化したいのであれば、取り締まるべきは暴力団との関係を断ち切れない芸能プロだ。一タレントの過去の話をほじくり出しても問題は解決しない。メディア側も、そうした権力側の目論見に与するようなリークには踊らされるべきではない。人権侵害と批判の声もある「暴排条例」の、当局による一大キャンペーンのお先棒を担ぐことになりかねないのだ。
(文=本多圭)

"ヤクザ映画"は十八番のたけし監督
ですが......。
「紳助は逃げる芸がなかったな」――。お笑い界の"巨匠"ビートたけしが21日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で自身と暴力団との付き合い方を赤裸々に告白している。
記事は、暴力団との親密な交際が発覚し、芸能界を"追放"された島田紳助への皮肉めいた言葉で彩られている。詳細は割愛するが、要は「俺は暴力団と付き合っていない」「接点を持たされそうになったけど、俺は俺のやり方で解決してきた」と得意げに話しているのだ。
たけしといえば、紳助とは80年代に『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)で接点があるものの、以降は滅多に共演していない。紳助の引退についても、たけしは自身のレギュラー番組で「紳助のことはよく知らない」とそっけなく答えていた。
2人の確執について、芸能プロ関係者は「表向きは『毒舌芸が紳助とモロかぶりしていた。芸人として距離を置いていた』と語っていましたが、本音は違う。共演者や番組スタッフなどに対する恫喝など、やりたい放題だった紳助の悪評を聞いていて『何を勘違いしてんだ』と不快感を示していましたよ」と明かす。
とりわけ、親友の所ジョージが紳助の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)に出演した際、散々バカにされたと聞き、たけしの"紳助嫌い"は揺るぎないものになったとか。
「たけしさんは仲の良いタレントがむげに扱われることを許さないんです。紳助さんが"心の友"とアピールした明石家さんまさんとは、たけしさんも仲が良く、かわいがっている。そのさんまさんが親友とはいえ、紳助さんからテレビでバカにされている姿を見て『さんまもよくあんな奴と付き合ってるな』と怒りを押し殺して話していたそうです」(テレビ関係者)
それだけに、紳助の業界追放はたけしにとって吉報以外の何物でもなく「心の中では『ざまあみろ』と叫んでいるはずですよ。露骨に紳助を批判するのは芸がないから、文春で自分の暴力団とのエピソードを語り、遠回しに『おまえとは違う』ということをアピールしているのでしょう」(お笑い関係者)。
一方で、このタイミングで取材に応じたのはたけし自身にウワサされる"黒い交際疑惑"について、当局への牽制と見る向きもある。
「来月1日から東京都でも暴力団排除条例が施行され、芸能人への目も相当厳しくなる。たけしさん本人は否定していますが、"黒い交際"のウワサは絶えず聞きますよ。一部では当局が関心を示しているという情報もある。その前に週刊誌で潔白を証言することで、先手を打ったのかもしれません」(芸能プロ幹部)
紳助に続いてたけしも......ということにならないことを祈るばかりだ。

『AKIKO WADA POWER & SOUL
和田アキ子 40周年記念コンサート
at the APPOLO THEATER』
(テイチクエンタテインメント)
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
5月14日に放送されたニッポン放送の『ゴッドアフターヌーン アッコのいいかげんに1000回』で、和田アキ子がこんなことを話していた。いわく、「前宮崎県知事の東国原英夫が、『4年後の都知事選を目指して、頑張ります』と言っていた」。
アッコの口から出てきた、このエピソードを聞いて、ウオーキング中だった筆者は思わず足を止めてしまった。事実であれば、東国原はお笑いの師匠であるビートたけしの助言を受け入れたことになる。たけしは再三、東国原に対して「意地でも、次の都知事選に出るべきだ」と語っていたからだ。
当コラムでも何度か指摘したが、東国原は、石原慎太郎都知事による"天罰"発言を受けて、勝ち目があると思い、急きょ都知事選に出馬。しかし、結果は下馬評通り、石原都知事に約100万票の差を付けられて落選した。
最後まで都知事選か国政かと迷っていただけに、東国原は次は国政にチャレンジするとウワサされていた。しかし落選後、師匠のたけしは筆者に「東がこのまま国政に行ったら、それで終わり。4年間浪人をしても、都知事を目指す活動をすべき。意地でも、次の都知事選に出るべきだ」と語った。
2年前も、当時宮崎県知事だった東国原は、自民党から衆院選出馬を打診され、「総裁候補にしてくれるなら」と条件を出して、世間から大ひんしゅくを買った。この時も、相談に乗ったのはたけしだった。たけしは、「逆風で全部の毛が抜けるぞ。とっとと宮崎に帰りやがれ」と一喝。東国原もさまざまな思いがあっただろうが、結果的にはこの助言を聞き入れる形になった。今回も同様のようだが、これまでもコロコロとその政治姿勢を変えてきた東国原だけに、アッコが言っていた通りになるとは限らないだろう。
それにしても、東国原も、そんな重要な話をアッコに話すとは「空気が読めていないな」と感じた。いまや政治家ならば、そうした情報を出す場も考えるべきだろう。アッコに話しても、芸能ゴシップのごとく、ラジオのネタにされるだけだ。
アッコはたけしのことを"親友"と公言しているから、東国原も身内的な感覚があるのだろうが、筆者は二人が本当にそんな関係であるとは思えない。
以前、筆者は元B&Bの島田洋七とたけしの3人で、六本木の老舗オカマバーに飲みに行ったことがある。偶然、その場にアッコがいた。酔ったアッコは「おい、洋七」と呼びつけて、たけしが見えないところで「洋七はおもろいんやで。頭をたたくと舌をペロッと出すんや」と、洋七の頭をたたき続けた。それを目撃した筆者は、あまりの横暴を見かねて、「男の頭をたたくんじゃない」と注意。アッコは一瞬にして、黙ってしまった。
たけしの"戦友"とも言える洋七をおもちゃのように扱うアッコ。たけしと"親友関係"にあると思っているのは、アッコだけのような気がする。年上のたけしをいまだに人前で呼び捨てにするのも、筆者は解せない。呼び捨てにすることで、自らの業界での力を誇示しようという魂胆が見え見えだ。『いいかげんに1000回』でも、アッコは時々芸能界の実力者の名前を出す。これも鼻持ちならない。
まぁ、筆者の個人的な感情は置くとして、東国原がたけしの助言通りに、4年後の都知事選にチャレンジすると決意したことは悪い話ではない。二人の師弟愛の重さを感じた。東国原については金銭的な問題や女性問題についていろいろな情報が筆者にも寄せられるが、たけしの期待だけは裏切らないでほしい。
(文=本多圭)
Ad Plugin made by Free Wordpress Themes