究極のRPG? 極限状態に置かれた人間の本当の姿『エクスペリメント』

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12/4(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
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 RPGは冒険ファンタジーの専売特許というわけではない。1970年代初頭に米スタンフォード大学で実際に行われた、看守役と囚人役のロール・プレイング(役割演技)こそ、究極のRPGなのかも?  12月4日に公開される『エクスペリメント』(日活配給)は、ドイツ映画『es [エス]』(01)でも題材となった有名な"スタンフォード監獄実験"を、『戦場のピアニスト』(01)のエイドリアン・ブロディと『ラストキング・オブ・スコットランド』(06)のフォレスト・ウィテカーというオスカー俳優共演で映画化した心理スリラーだ。監督・脚本は、人気テレビドラマ『プリズン・ブレイク』の企画・脚本・製作総指揮を手がけたポール・シェアリング。  失業したばかりのトラヴィス(ブロディ)は、反戦デモで出会ったベイ(マギー・グレイス)と恋仲に。彼女とインド旅行をするため、14日間の実験参加で日給1,000ドルという高額報酬の被験者募集広告に応募。温厚で気さくなバリス(ウィテカー)らと共に24人の被験者に選ばれる。  実験の内容は、模擬刑務所の中で看守役と囚人役に分けられ、それぞれの役割で振る舞い、ルールに従って過ごすというもの。両グループの間で次第に高まる緊張。それぞれリーダー格となった囚人役のトラヴィスと看守役のバリスは対立を深める。人が変わったかのように攻撃性を増したバリスは、看守側の横暴に服従しないトラヴィスに対し、体罰や精神的屈辱を加えていく。対立と緊張が極限に達したとき、予想外の事件が起きる。  極限状態に置かれた人間が、社会生活の中で培ってきた理性や人格を保てるのか、あるいは闘争本能をむき出しにして、弱肉強食の世界に生きる動物のように他者を攻撃するのか? 自分がもし、どちらかの"役"を割り当てられたらどうなるだろう? 鑑賞後はきっとそう考えてしまうはずだ。  本作の隠れた注目ポイントとして、登場人物の髪型やヒゲの変化を挙げておきたい。心理状態の変化の象徴として、あるいは精神に変化をもたらす外因として、髪やヒゲを切る、剃るといった行為が描かれている。これらをファッションの観点から応用して、髪型などを変えて「自分をもっとマッチョに見せたい」あるいは「ナイーブさを演出したい」といった具合に活用するのもアリだろう。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「エクスペリメント」作品情報 <http://eiga.com/movie/53812/>
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実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』

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1971年にスタンフォード大学で行なわれた心理実験を映画化した『エクスペリメント』。
エイドリアン・ブロディとフォレスト・ウィテカー、2大演技派男優が競演。
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 与えられた役割や肩書きは、人間を変えてしまうのか。その答えを日本人は知っている。片岡義男原作『彼のオートバイ、彼女の島』(86)でのデビュー時は爽やかな二枚目俳優だった竹内力だが、Vシネ界の2大ロングセラー『難波金融伝・ミナミの帝王』(92~07)、『JINGI 仁義』(94~)シリーズへの主演を重ね、裏社会の似合う貫禄たっぷりの怪優へと変貌を遂げた。与えられた役と彼自身の資質が融合し、それまでの体型や身にまとう雰囲気まで変えていった。"Vシネの帝王"の称号を冠する竹内力は、もはやノーマルな役を演じることはない。与えられた役が役を演じる人間を変えてしまった顕著なケースだろう。  1971年の米国では、実際にこの種のテーマを扱った臨床実験が行なわれた。心理学者フィリップ・ジンバルドー博士は"特殊な肩書きや地位を与えらえた人間は、本来の人格に関わりなく役割に合わせて変わっていく"ことを証明しようとした。心理学史上に悪名を残す「スタンフォード監獄実験」である。新聞広告などで集めた健常者21人を看守役、囚人役に分け、模擬刑務所で14日間を過ごすというもの。看守役が囚人役に暴力を振るうことは禁止されていたが、看守役は誰から指示を受けるでもなく自分たちで考えた罰則を囚人役に与え始めるなど、役割による人格変容が急激に進行。精神錯乱に陥る脱落者も現われ、実験はわずか6日間で中止。被験者の中には後遺症を残す者もおり、ジンバルドー博士はバッシングを浴びた。実際に行なわれたこの心理実験を映画化したのがドイツ映画『es[エス]』(01)であり、『エクスペリメント』はそのハリウッドリメイクとなる。
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1日1000ドルが支給されることから被験者
たちは囚人役と看守役を演じることに素直に従う。
囚人役は名前ではなく番号で呼ばれる。
 介護施設で働いているトラヴィス(エイドリアン・ブロディ)は、暴力を嫌う平和主義者。反戦デモで知り合った恋人ベイ(マギー・グレイス)からインド旅行に誘われるが、介護施設をクビになったばかりのトラヴィスはお金がない。そんなとき、目に入ったのが一件の求人広告。14日間の心理実験に参加すれば、日給1,000ドルがもらえるという高額バイトだ。「極めて安全な場所で行なわれ、危険はなし。ただし人権を侵害する可能性がある」という説明を受けて安心したトラヴィスの他、スーツ姿で参加した知的で温厚そうな紳士・バリス(フォレスト・ウティカー)ら24人の男性が選ばれる。実験とは24人を看守側と囚人側に分け、模擬刑務所で24時間をそれぞれの役割で過ごすというもの。監視カメラが実験の様子をチェックしており、暴力行為が行なわれれば赤いランプが点滅し、実験は即刻中止となる。  初日こそは被験者同士でふざけ合っていたが、14日間の高額バイトを勤め終えるため、看守側と囚人側に見えない境界線がたちまちでき上がっていく。2日目にトラヴィスが「食事がまずい」と文句を付けたところ、看守側はトラヴィスを実験を妨げる危険分子と見なすように。トラヴィス迫害の先頭に立ったのは、看守側のリーダー格となったバリス。囚人側を服従させるため、中心人物であるトラヴィスのプライドをずたずたにすることを発案する。そして実験中止の赤いランプが点滅しないことから、バリスたちの行動はますますエスカレート。実験を続行させる、という大義名分のため、看守側はついに一線を越えてしまう。  オリジナル版『es』は日本人になじみの少ないドイツ人キャストだったため、セミドキュメンタリーを見ているような緊迫感があった。ハリウッドリメイクである本作は、大ヒットドラマ『プリズン・ブレイク』で監獄ものをお手のものとしているポール・シェアリングが脚本・監督。主演はエイドリアン・ブロディとフォレスト・ウティカー。『戦場のピアニスト』(02)でナチスに迫害されるユダヤ系ポーランド人を熱演したブロディが長髪の平和主義者、『ラストキング・オブ・スコットランド』(06)でウガンダの"食人大統領"アミンを怪演したフォレスト・ウティカーが自分の内なる暴力性に目覚めていく看守役、という分かりやすい配役となっている。模擬刑務所内でふたりが衝突する場面はアドリブが多用され、2大オスカー男優の演技力に負うところが大きかったようだ。日常生活で溜め込んだ不満が実験がきっかけで爆発してしまうバリス、自分の中の暴力性を理性で必死に押し止めようとするトラヴィス。人間の心の中の理性と狂気のせめぎ合いをふたりが対照的に演じているところが本作の見どころ。
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囚人役側の中心人物であるトラヴィス(エリドリアン・
ブロディ)は、実験を妨げる妨害要因として看守側から
敵視されていく。
 もうひとつ、『es』と大きく違っているのが、模擬刑務所に配された赤いランプの存在。『es』では研究者が監視カメラで常に被験者たちの行動をチェックしている姿が映し出されていたが、本作の研究者は実験を始める前の説明時に現われただけ。その後は姿を見せず、後はただ赤いランプが冷たく光っているのみ。バリスたちは赤いランプが点滅しないことから、自分たちの威圧行為は許容範囲内と正当化し、本当に自分たちが権力を持ったかのように振る舞い始める。一方のトラヴィスたちは看守側の異常さを監視カメラに向かって訴えるが、赤いランプは黙ったまま。いわば、この赤いランプは人間社会に審判を下す"神さま"の代用品だ。自分たちの行動に過ちがあれば"神さま"が止めてくれるはずと看守側は解釈し、囚人側はなぜ"神さま"は無力な自分たちを救済しようとしないのかと"神さま"の無慈悲をなじる。本当に赤いランプは機能しているのか、赤いランプが点滅することはあるのか? 赤いランプが静かに見つめる模擬刑務所の中で、被験者たちのそれぞれの混乱は深まっていく。  同じく実在した心理実験を題材にしたのが、ドイツ映画『THE WAVE ウェイヴ』(08)。こちらは1969年に米国カリフォルニア州の高校で行なわれた実習内容がベースとなっている。"ファシズム"についての授業中に、生徒から「どうして当時のドイツ人はファシズムを受け入れたのか」「反対する人はいなかったのか」という疑問が投げ掛けられた。なら、1週間限定でファシズムがどういうものかクラス内で体験授業をやってみようということになる。まず教師を指導者として敬称で呼び、発言する際は背筋を延ばした姿勢で起立し、短い言葉で明確に話すなどの規律が設けられる。効果はてきめんで、それまでのダラリとした教室のムードが改まり、生徒たちはクラスにやる気と団結力が生まれていく過程に恍惚感を覚えていく。やがて生徒たちは制服や旗印の導入など新しい規律を自発的に考え出し、制服に反対する少数派の生徒を弾圧するようになっていく。『es』『エクスペリメント』と同様に、社会で暮らす人間がいかに環境やルールによって内面まで左右されてしまうかに言及した注目作なのだ。  古典的ホラー映画『フランケンシュタイン』(1910)の時代から、映画と実験は結びつきの深い関係にある。それは映画製作そのものが、俳優たちにそれぞれ役名という名の仮面を与えた上で、協調、調和、競争、対立、嫉妬、疑似恋愛......といった化学反応を人為的に引き起こしている実験ショーだからだろう。『インシテミル』のように化学反応が起きないまま終わってしまう作品や『恐怖』のように実験の成果が観客にうまく伝わらない作品のほうが多いわけだが、共演がきっかけで恋愛、結婚にまで発展したケースなどは実験の副産物のひとつではないだろうか。今年の日本映画を振り返ってみると、実験に果敢に挑んで見事に成果を収めた作品は、中島哲也監督の『告白』、若松孝二監督の『キャタピラー』、石井裕也監督の『川の底からこんにちは』、小野さやか監督のドキュメンタリー映画『アヒルの子』、年明けの公開となるが園子温監督の『冷たい熱帯魚』など、かなり数が限られるはずだ。  俳優たちが高額の報酬を手にしているのは、本来は彼らがリスクを負う実験の被験者だからなのかもしれない。 (文=長野辰次) experiment04.jpg 『エクスペリメント』 監督・脚本/ポール・シュアリング 出演/エイドリアン・ブロディ、フォレスト・ウティカー、キャム・ギガンデット、クリフトン・コリンズ・Jr.、マギー・グレイス 配給/日活 +R15 12月4日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー <http://www.experimentmovie.com>
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●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 [第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走 [第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』 [第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 [第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』 [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

幻の3Dシーンを見破れるか? シリーズ完結編『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』

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 史上最強ファンタジーの最終章がいよいよ幕を開ける。J・K・ローリングのベストセラー・ファンタジー小説『ハリー・ポッター』シリーズの完結編となる第7巻は、2部構成で映画化されるが、その前編『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(ワーナー・ブラザース映画配給)が11月19日に公開を迎える。  邪悪なヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)の復活により、かつてなく危険な場所となった魔法界。ヴォルデモートと死喰い人たちは勢力を拡大し、魔法省やホグワーツ魔法学校を支配下に収める。一方、ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)、ロン・ウィーズリー(ルパート・グリント)、ハーマイオニー・グレンジャー(エマ・ワトソン)の3人は、ヴォルデモートを倒すのに不可欠な「分霊箱」を探す旅に出る。困難な旅の途中で、3人は仲間割れの危機に。試練の中で知ることになった「死の秘宝」の伝説によれば、3つの秘宝すべてを手に入れた者は不死身になるという。果たしてハリーたちは、残る分霊箱を破壊し、ヴォルデモートが死の秘宝を手にするのを阻止できるのか。  映画化第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』が2001年に公開されて以来、10年間にわたって圧倒的な成功を収めてきた同シリーズ。世界で累計4億冊売れたという全7巻の原作の熱狂的なファンの存在が大きいとはいえ、若い魔法使いたちの成長と冒険を描く原作の世界観を、俳優陣の説得力ある演技とCGを駆使した斬新な映像によって見事に再現してきた点が、一般の観客にも受け入れられてきた要因だろう。  注目が集まるメインキャラの3人の成長ぶりも、長年のファンには見逃せないポイント。11歳のときにハリー役に抜擢されたダニエル・ラドクリフも今や21歳。ハーマイオニー役のエマ・ワトソンも含め、子役時代には考えられなかった大胆なラブシーンにも挑戦している。  ファミリー向けのファンタジー映画とはいえ、レイフ・ファインズをはじめ、ベラトリックス役のヘレナ・ボナム=カーター、スネイプ役のアラン・リックマン、スクリムジョール役のビル・ナイなど、舞台でも活躍する演技派の英国俳優陣が脇を固めている点も見どころだ。  デビッド・イェーツ監督は、第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』、第6作『ハリー・ポッターと謎のプリンス』からの続投。2011年7月15日公開予定の『PART2』でもメガホンを取り、すでに撮影を終えている。当初は2部作の両方とも3D上映されると発表されていたが、PART1がスケジュール上の事情により2D上映のみになったのは残念。PART2では予定通り3Dでの上映に向けて製作が進んでいるようなので、完結編がさらに迫力ある映像体験になるのは間違いない。PART1の中にも明らかに3Dを意識したアクションの演出が随所に見られるので、そうしたシーンをもとにPART2の3D表現を夢想するというマニアックな楽しみ方もできるだろう。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」作品情報 <http://eiga.com/movie/53520/>
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A・ロメロの幻の傑作が蘇る! 緊張と迫力のホラー映画『クレイジーズ』

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11月13日(土)より、シネマサンシャイン池袋、
TOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー!
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 ジャンルも別々でオリジナルの知名度も異なるが、ともに注目度の高いリメイク作品が2本、偶然にも11月13日にそろって公開される。  最初に紹介する『ゴースト もういちど抱きしめたい』(パラマウント+松竹配給)は、死者の霊と残された恋人のラブストーリーという斬新な筋立てが大当たりし、世界中で大ヒットを記録した『ゴースト ニューヨークの幻』(90)を基に、舞台を日本に移して再構成したアジア版リメイク。オリジナル版ではビジネスマンの男性が命を落としてゴーストになり、残された陶芸家のヒロインを守るという設定だったが、本作では会社経営者の七海(松嶋菜々子)が不運の死を遂げ、陶芸を志す青年ジュノ(ソン・スンホン)が後に残されるという、男女の立場の逆転も重要な変更点だ。  七海はある日、日本に留学して陶芸を学んでいるジュノと出会い、恋に落ちる。だが、2人で幸せな生活を始めた矢先、事件に遭遇し命を落としてしまう。七海の魂は天国に行くことを拒否し、ゴーストとなってジュノのそばに留まることを選ぶ。ジュノの身にも危険が迫っていた。七海は果たして、ジュノを敵から守ることができるのか。そして、大切な想いをジュノに伝えることができるのか。  日韓を代表するスターの豪華な共演に加え、物語のカギを握る霊媒師役には樹木希林が配され、独特の存在感で好演。オリジナルの名場面もしっかり再現されている。旧作を観た人なら懐かしさを覚えながら、また未見の人なら新鮮な驚きとともに、不朽のラブストーリーに心から感動することだろう。  2本目の『クレイジーズ』(ショウゲート配給)は、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)でデビューし『ゾンビ』(78)で世界的大ヒットを放ったホラーの巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督が73年に手がけた同名の"幻の傑作"がオリジナル。今回のリメイクでメガホンを取ったのは『サハラ/死の砂漠を脱出せよ』のブレック・アイズナーで、製作総指揮にはロメロ監督も名を連ねる。  アメリカ中西部に位置する人口1,000人余りの小さな田舎町。顔見知り同士のどかに暮らしていた住民たちが、ある日を境に突然発狂し、他の人々を襲い始める。異常な事件が相次ぐ中、保安官のデビッド(ティモシー・オリファント)らは、川に墜落した軍用機から流れ出た何かが、飲み水を通じて体内に入り、住民を凶暴化させていると推測。給水を遮断するも、暴徒化した"クレイジーズ"の殺戮と破壊は広がり続ける。その頃、軍隊が出動し町全体を封鎖。細菌兵器流出の証拠隠滅のため、クレイジーズだけでなく正常者も抹殺し町ごと焼却しようと目論む。デビッドと身重の妻ジュディ(ラダ・ミッチェル)は生き残りをかけ、町からの脱出を図るが......。  『バイオハザード』や『28日後...』といった感染サバイバル映画の原点とも言える傑作に、現代的な感覚が加味され、緊張と迫力に満ちた最新ホラーとして蘇った本作。ロメロ監督がかつて作品に込めた社会批評が、現代のリメイク作の中でどう再解釈されているかを読み解くのもまた一興だ。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「ゴースト もういちど抱きしめたい」作品情報 <http://eiga.com/movie/54873/> 「クレイジーズ」作品情報 <http://eiga.com/movie/55359/>
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 秋深まる11月。ファンタジー映画好きなら、世界的人気を誇る2大シリーズ、『トワイライト』と『ハリー・ポッター』の最新作がそれぞれ日本で封切られるこの月を待ちこがれたことだろう。今回は前者、バンパイアと人間の禁断の恋を描くラブ・ファンタジーの第3作『エクリプス トワイライト・サーガ』(角川映画配給、11月6日公開)を紹介しよう。  第1作『トワイライト 初恋』で、周囲に馴染めないでいた女子高生のベラ(クリステン・スチュワート)とバンパイアのエドワード(ロバート・パティンソン)は、許されぬ関係と知りながら、互いに惹かれ激しい恋に落ちてゆく。第2作『ニュームーン トワイライト・サーガ』では、ベラの幸福を願うがゆえに一度姿を消したエドワードと、ベラに恋心を抱くオオカミ族のジェイコブ(テイラー・ロートナー)の間で、種族を超えた三角関係に。  そして今作『エクリプス』では、ジェイコブの片想いに終わるかと思われたベラとの関係が急接近し、エドワードとの恋のバトルが一層激化。その一方で、凶暴なバンパイア集団"ニューボーン"の魔手がエドワードたちに穏健なバンパイア一家に迫る。ベラを守るためジェイコブらオオカミ族と手を組んだエドワードら一家と、邪悪なニューボーンたちとの死闘が、ついに幕を開ける。  全世界で1億冊を突破したステファニー・メイヤーの原作小説を映画化した本シリーズ。今回メガホンを取ったのは、『ハードキャンディ』『30デイズ・ナイト』のデビッド・スレイド監督。無駄のない演出と前作から飛躍的に向上した視覚効果のおかげで、シリーズのファンでなくとも楽しめる上質のアクション映画に仕上がった。  主役2人とテイラー・ロートナーを一躍ハリウッドのトップスターに押し上げたこの連作では、回を追うごとに出演陣も一層豪華に。特に第2作から続投のダコタ・ファニング、そして今作のブライス・ダラス・ハワード(『ヴィレッジ』)とジョデル・フェルランド(『ローズ・イン・タイドランド』)といった具合に、日本でも人気の高い若手美人女優が続々と参戦しているのは喜ばしい。  本作は製作費6,800万ドルに対し、興行収入は全米で3億ドル突破、全世界で7億ドルに迫る大ヒットを記録。日本でも大きな話題を呼ぶのは間違いない。切なさ一杯の禁断の恋と激しさ満点のアクションを合わせて楽しめるファンタジー娯楽大作を、どうぞお見逃しなく。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「エクリプス トワイライト・サーガ」作品情報 <http://eiga.com/movie/55256/>
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警察官、正義と悪、麻薬取引…… 好対照映画から見る現代アメリカ社会

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『クロッシング』10月30日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他全国ロードショー
(C)2008 BROOKLYN'S FINEST PRODUCTIONS, INC.
 警察官、正義と悪、麻薬取引、社会の底辺で苦闘する人々――。同じような題材を扱いながら、印象は180度異なる映画が2本、この秋相次いで公開される。現代アメリカ社会の苦悩を映す重厚な警察群像劇『クロッシング』と、メキシコから来た超ワイルドな元
警官が悪の一味を相手に暴れまくるB級活劇『マチェーテ』の2作品だ。  10月30日公開の『クロッシング』(プレシディオ配給)は、リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードル、ウェズリー・スナイプスという演技派の豪華俳優陣が紡ぐシリアスな刑事ドラマ。犯罪が多発するニューヨークのブルックリンで、ベテラン警官のエディ(ギア)は引退を1週間後に控え、人生に虚しさを覚えている。家族思いで信心深い麻薬捜査官サル(ホーク)は、身重の妻と5人の子どものために購入したい新居の資金作りに苦労していた。潜入捜査官のタンゴ(チードル)は、上層部から昇進と引き換えに、命の恩人であるギャングのボス(スナイプス)をおとり捜査で逮捕するよう命じられ苦悩する。正義感と現実の間で揺れ動く3人の警官の運命は、ある事件を機に交錯していく。  メガホンを取ったアントワン・フークアは、アカデミー賞受賞作『トレーニング・デイ』をはじめ、『リプレイスメント・キラー』『ティアーズ・オブ・ザ・サン』『ザ・シューター/極大射程』など、警官や軍人を主人公に据えた骨太なドラマやアクション作品で定評ある監督。逃げ場のない状況に追い込まれていく登場人物らの葛藤をサスペンスフルに描く確かな演出に、「自分がこの立場ならどうしよう......」と思わず引き込まれてしまうはず。  続いて11月6日に公開される『マチェーテ』(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給)は、予告編などを目にして既視感を覚えた映画ファンも多いのでは。それもそのはず、ロバート・ロドリゲス監督が盟友クエンティン・タランティーノと競作した『グラインドハウス』(07)の冒頭で、偽の予告編(実在しない映画の予告編)として自ら制作した『マチェーテ』が流れていたからだ。実は『デスペラード』(95)の制作時から温めていたアイデアだったというが、3年前の偽予告編が世界中で大きな反響を呼び、長編映画の実現を後押しする格好になった。  "マチェーテ"(山刀)と呼ばれるメキシコ連邦捜査官(ダニー・トレホ)。麻薬王トーレス(スティーブン・セガール)の逮捕を目指したが、逆に妻と娘を惨殺され、自らも重傷を負う。3年後、米国テキサス州で日雇いの仕事を探す不法移民になっていたマチェーテは、移民嫌いの上院議員(ロバート・デ・ニーロ)の暗殺をしぶしぶ引き受ける。これがきっかけで、議員と結託するトーレスと麻薬密売組織、国境付近で「移民狩り」を行う自警団を相手に、マチェーテの壮絶な戦いが始まる。  ロドリゲス監督の持ち味である、バカバカしいほどにド派手で過激なバイオレンスシーンとスピーディなストーリー展開は本作でも健在。監督曰く「映画史上最高にすごい顔」のトレホが、悪人どもを山刀でバッサバッサとぶった切り、敵アジトの大爆発を背景にバイクでジャンプして高所から機銃掃射するなど、型破りなヒーローの刺激に満ちた活躍ぶりに、そこまでやるかと呆れながらもつい声援を送りたくなることだろう。女優陣もジェシカ・アルバ、ミシェル・ロドリゲス、リンジー・ローハンと豪華で、ナース服やシスター服でマシンガンをぶっ放す美女など、B級テイストあふれるセクシー要素も盛り沢山だ。  重苦しくも深い余韻が残る『クロッシング』と、痛快で元気が出る『マチェーテ』。好対照の2作品から好みの映画を選ぶのもいいし、見比べて現代のアメリカに思いを馳せるのもまた一興だ。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「クロッシング」作品情報 <http://eiga.com/movie/55371/> 「マチェーテ」作品情報 <http://eiga.com/movie/55720/>
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"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』

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"世界のナベアツ"が大阪府知事に就任!? 
かつて空前の235万票を獲得した横山ノック知事を生み出した土地柄だけに、
ありえない話ではない。(c)2010「さらば愛しの大統領」製作委員会
 もしも、"世界のナベアツ"が大阪府知事選に立候補して、ひょっこり当選したら? 『さらば愛しの大統領』は、そんなパラレルワールド的な近未来の大阪を舞台にしたポリティカル・コメディだ。ノリで立候補したら、まさか当選してしまい、大阪府民も"世界のナベアツ"本人もびっくり。しかし、「3の倍数のときだけ、アホになります」という奇抜なギャグを生み出し、素顔の渡辺鐘として『アメトーーク!』(テレビ朝日系)、『めちゃイケ』(フジテレビ系)などの人気番組を手掛ける売れっ子構成作家でもある"世界のナベアツ"は次々とオモローな政策を打ち出す。まず、巨大テーマパーク「アホと魔法の国 オモローランド」を造り、外貨を獲得する。続いて中東の石油事情に左右されない次世代エネルギー・笑力(ギャグによって生じた笑いを動力に換えるシステム)の開発を進め、軍隊は持たずに生命力に溢れた"大阪のおばちゃん"を軍事利用する。"世界"と芸名に謳うだけあって、ワールドワイドな感覚の持ち主なのだ。そして、最終的には"世界のナベアツ"が初代大統領に就任し、大阪を「大阪合衆国」として日本から独立することを宣言する。お笑いを愛する人なら、誰でも幸せに暮らすことができるまさに"夢の国"の誕生である。  『さらば愛しの大統領』は、従来の映画の概念から大きく逸脱した作品だ。大阪府知事に当選しちゃった"世界のナベアツ"が次々とオモローな政策を実施する政治コント、"世界のナベアツ"の大統領就任を阻止せんと企むヒットマンたちの殺し屋コント、そして"世界のナベアツ"を護衛することになった刑事コンビ(宮川大輔、ケンドーコバヤシ)による刑事コント。この3つのコントがぐるぐると循環していくことで、物語が進んでいく。本作は"世界のナベアツ"が監督として長編映画に初めて挑んだデビュー作であり、「NOVAうさぎ」「ジョージア」のCMを撮った柴田大輔監督が共同監督として名前を連ねている。ストーリーは"世界のナベアツ"と柴田監督、コピーライター出身の脚本家・山田慶太、脚本協力として大阪NSC10期生で"世界のナベアツ"と同期だった遠藤敬(元『誉』)の4人が2カ月にわたって顔を突き合わせて練り上げたもの。劇映画というよりも、伝説のギャグ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』を思わせる。"世界のナベアツ"とブレーンが大量のギャグを用意し、笑いのダムが決壊する様子を楽しむ感がある。  "世界のナベアツ"の府知事当選直後のオモローすぎる公約ギャグ(超下ネタ)を皮切りに、溢れ出す下らないギャグの数々。中でも映画ならではの味わいがあるのは、一連の殺し屋コントだろう。"世界のナベアツ"を抹殺するために謎の組織から、凄腕のスナイパーであるヒットマンジョー(仲村トオル)、爆弾魔のボム緒方(大杉蓮)らが送り込まれる。簡単な仕事だとタカをくくっていた殺し屋たちだが、街全体がオモローワールドと化した大阪は、劇画調もしくはハードボイルドタッチの彼らにはどうも居心地が悪い。仲村トオルはフットボールアワーの岩尾望、大杉蓮はB級マニアック芸人役の宮迫博之と遭遇するのだが、俳優然とした彼らとお笑い芸人では演技的アプローチや間合いが異なり、なかなか芝居が噛み合ない。よって殺し屋たちは次々と自滅してしまうハメに。ここらへんの演出は、本職の映画監督にはまずできないものだろう。
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巨大テーマパーク「オモローランド」の人気
キャラクター、たこ焼きさん、串かっちゃん、
通天閣ん、ミスター御堂筋。郷土愛に満ちた
着ぐるみたちだ。
(c)2010「さらば愛しの大統領」製作委員会
 "世界のナベアツ"の美人秘書(釈由美子)とオモローキャラクターのひとつ・串かっちゃんとの人知れぬラブロマンスも、映画ならではのコント。通天閣ん、たこ焼きさん、ミスター御堂筋に比べ、ダンスがうまく踊れない着ぐるみの串かっちゃん。そんな串かっちゃんを温かく励ます美人秘書。串かっちゃんは優しい美人秘書へ密かに恋心を抱くようになる。「オレ、ただの着ぐるみですけど、見ててください。オレ、あなたのためなら命張れますよ!」。着ぐるみの奥から言葉にならない熱い想いが漏れてくる。串かっちゃんは美人秘書のために懸命にダンス特訓を続ける。串かっちゃんのキャラクター造形がかなりマヌケなだけに、逆にしみじみと悲哀の漂うコントとなっている。果たして串かっちゃんの着ぐるみ越しの熱い想いは美人秘書のハートに届くのか?  それにしても"世界のナベアツ"は不思議な人間だ。素顔の渡辺鐘になると極端に口数が少なくなる、ものすごい照れ屋さんだが、その一方、街で絡んできたチンピラを一本背負いで投げ飛ばしたという武勇伝を持つ(その直後、チンピラ8人からボコボコにされているが......)。内に秘めたエネルギーが何かのきっかけで爆発するとスゴいことが起きる。第1期ジャリズム(91~98年)の頃から、独創的かつ小中学生も笑い転げるポピュラリティーのある笑いを生み出してきたのも彼の特長だろう。第1期ジャリズム解散後は、構成作家として笑いのメカニズムを地道に研究。そして『アイアンマン』(08)のトニー・スターク社長のごとく、"世界のナベアツ"というピン芸人用キャラクターを開発し、体内に蓄積していた自己のお笑いパワーを自在に操る術をようやく手に入れた。お笑いに自分の持てる情熱のすべてを注いでいる男であることに間違いない。
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大阪府警きってのアホ刑事コンビ、ちょびヒゲ
の早川刑事(宮川大輔)と女好き、風俗好きな
番場刑事(ケンドーコバヤシ)。一応、この
2人が主演です。
(c)2010「さらば愛しの大統領」製作委員会
 会見中に起きた殺人事件を「オモロ~サプライズッ!」のひと言で済ませる"世界のナベアツ"のブラックギャグ、串かっちゃんの号泣エピソード、さらに刑事コンビのまったく無駄な捜査が延々と繰り広げられ、いよいよ"世界のナベアツ"の大統領就任式を迎える。大阪合衆国(=オモローワールド)大統領就任演説は、"世界のナベアツ"の普段聞くことのできない本音が混ざったものなので、この演説文を最後に紹介しよう。 「今、大阪は大変です。みんな下を向いて、暗くて......。でも、心配いりません! よく考えてください。僕たちには笑いがあります! 笑いがあれば、笑顔になれます。辛いときこそ、笑いましょう。悲しいときこそ、ふざけましょう。人間、アホなくらいが丁度いいんです。子どもの頃は、毎日笑ってました。あの頃は、アホやったから。日本人はみんな賢くなったけど、それで幸せになりましたか? 思い出してください、楽しかった思い出って、アホなことやって、みんなで笑っていたときのことだったりしませんか? ボクは"アホやな~"って笑ってもらうのが大好きです。"アホでええ"と言うてくれる大阪が大好きです。だから、ずっとそんな大阪でいてほしいから。大好きな大阪でいてほしいから......」  しらふでは気恥ずかしくて口にできない台詞だが、根がロマンチストであろう渡辺鐘は"世界のナベアツ"というキャラクターの力を借りて、堂々と名演説を読み上げる。"世界のナベアツ"のオモローワールド大統領就任を大いに祝福したい。 (文=長野辰次) omoro04.jpg 『さらば愛しの大統領』 監督/柴田大輔、世界のナベアツ 脚本/山田慶太 脚本協力/遠藤敬 出演/宮川大輔、ケンドーコバヤシ、世界のナベアツ、吹石一恵、大杉蓮、志賀廣太郎、前田吟、宮迫博之、仲村トオル、釈由美子、水野透(リットン調査団)、剛(中川家)、礼二(中川家)、高橋茂雄(サバンナ)、河本準一(次長課長)、小杉竜一(ブラックマヨネーズ)、岩尾望(フットボールアワー)、RG(レイザーラモン) 配給/アスミック・エース 10月30日(土)より関西限定先行公開、11月6日(土)より新宿バルト9ほか全国公開 <http://saraba-d.asmik-ace.co.jp>
オモローのナベアツ もはや死語ですが。 amazon_associate_logo.jpg
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

豊作ズラリの3D映画 この秋おススメの厳選3本はこれだ!

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(c)2009 TWENTIETH CENTURY FOX
 新世代のデジタル方式による3D映画の上映が徐々に増え始め「3D映画元年」と呼ばれた昨年、そして家電業界では主要メーカーが相次いで3D対応テレビを売り出し「3Dテレビ元年」とも称される今年。さらにゲームやモバイル分野にも3Dコンテンツの波は広がり続け、見る側の目も肥えてきた。そうした観客の期待に応えるべく、制作段階から3Dの演出をしっかり念頭に入れて撮影し、適切な編集や視覚効果を加える作品が増えてきたことで、3D映画全体の質も着実に向上している。   この秋、3D映画を語るならまず、新世代3D映画ブームの立役者であり映画史上最高のヒットメーカーであるジェームズ・キャメロン監督の『アバター 特別編』(20世紀フォックス映画配給、公開中)は外せない。これは昨年末に公開されるや世界各国で特大ヒットを記録し(世界興収約2390億円)、前作『タイタニック』(97年)で10年以上破られなかった世界興収歴代1位の記録を自ら更新したSFアクション超大作『アバター』に、約9分の未公開映像を追加して新たに公開されるもの。衛星パンドラの瑞々しいジャングルに息づくバラエティー豊かな動植物、主人公が「アバター」となって先住民ナヴィに導かれ体験する冒険とロマンス、そして人間対ナヴィの壮絶な戦い。新たに加えられたシーンにより物語の深みが増したおかげで、壮大な世界観と一体化した3D映像に没入する感覚を一層楽しめるようになっている。  3Dアニメ映画の新作では、米興収で3D映画史上歴代5位に躍り出た大ヒット作『怪盗グルーの月泥棒 3D』(東宝東和配給、10月29日公開)がオススメ。バナナから作った小さな手下「ミニオン」たちと共に月を盗もうと企む意地悪な怪盗グルーが、孤児院育ちの幼い三姉妹に出会ったことで、人生の大きな転機を迎えるというストーリー。ファミリー向けの作りではあるが、ジェットコースターのシーンに代表されるように、アトラクション感覚一杯の躍動的な3D映像は大人の鑑賞にも十分堪えるクオリティーだ。  邦画で健闘が期待されるのは、雨宮慶太監督による特撮テレビシリーズの3D劇場版『牙狼<GARO> RED REQUIEM』(東北新社+ゴー・シネマ配給、10月30日公開)。人間の邪心にとりつく魔獣「ホラー」と戦う魔戒騎士(小西遼生)の活躍を描く。予算や日程の都合により通常のカメラで撮影した映像をポストプロダクションで3D変換する作品も多い中、本作は撮影からステレオカメラを用いた「リアル3D」が売り。テレビドラマ時代から話題を呼んだスタイリッシュなVFXと相まって、オリジナリティあふれる3Dアクション娯楽作に仕上がっている。  さらに、この週末から始まる東京国際映画祭の特別招待作品として24分のスペシャル・プレゼンテーション映像が上映される『トロン:レガシー』(ディズニー配給)も、12月17日の公開が待ち遠しい注目作。クールに構築された仮想空間のデザインとスタイリッシュなアクションを垣間見せるフッテージを試写やイベントなどで鑑賞した業界人やファンたちから、「『アバター』を超える3D映像」との呼び声も高い。  質の高い3D映画が豊作のこの秋。ぜひ映画館でお気に入りの作品に出会い、じっくりと味わっていただきたい。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 『アバター 特別編』作品情報 <http://eiga.com/movie/55658/> 『怪盗グルーの月泥棒 3D』作品情報 <http://eiga.com/movie/55464/> 『牙狼<GARO> RED REQUIEM』作品情報 <http://eiga.com/movie/55382/> 『トロン:レガシー』作品情報 <http://eiga.com/movie/55210/>
アバター ブルーレイ版エクステンデッド・エディション まだ見てないけど、もはやもういい。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 "3D映画元年" 巨匠キャメロンが満を持して挑むSF大作『アバター』 ドリームワークス歴代トップ評価を獲得! 3Dファンタジー『ヒックとドラゴン』 3Dで臨場感が倍増! 手に汗握る格闘シーン満載『バイオハザードIV』

自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』

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交際中のドリュー・バリモアとジャスティン・ロングが
そのまんま恋人役を演じた『遠距離恋愛 彼女の決断』。下ネタギャグ満載だよ。
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 若い頃はバカやったし、今でもちょっとイイ男を見つけるとすぐ夢中になっちゃう。お気に入りのスイーツと同じで飽きるのも早くてバツ2になったけど、全然ヘコたれていないわ。だって、それが私だもん! あけっぴろげな性格で人気のセレブ女優ドリュー・バリモア、35歳。決して美人じゃないし、セクシーなくびれボディの持ち主でもないけど、明るく元気なアメリカ娘役がよく似合う。7歳のときに『E.T.』(82)に出演して以来、米国民はみんなドリューのことなら公私にわたって何でも知っている。10歳でマリファナを覚え、12歳でコカイン中毒、14歳からリハビリ施設のお世話に。2度結婚するも、いずれも数カ月で離婚。子役出身のドリューは、猛烈な早送り人生を歩んできた。でも、何度つまずいても、自分の力で立ち上がるところが彼女のチャームポイント。女優業だけでは飽き足らず、『25年目のキス』(99)からはプロデュース業に進出し、『チャーリーズ・エンジェル』(00)を大ヒットに導いた。製作も兼ねた最新主演作『遠距離恋愛 彼女の決断』では元カレであるジャスティン・ロング(『ダイ・ハード4.0』のハッカー青年)を恋人役に起用し、元サヤに収まるという荒業を披露している。  ドリュー・バリモアが製作・出演した『そんな彼なら捨てちゃえば?』(08)にジャスティン・ロングが参加したのがきっかけで、交際をスタートさせた2人。全米公認のいちゃいちゃカップルに認定されるも、お互いに仕事多忙&恋多き性格ゆえに1年ほどの付き合いで破局。ところが『遠距離恋愛』の製作と前後して、2人の仲が復活することに。ラブコメ『遠距離恋愛 彼女の決断』(原題『GOING THE DISTANCE』)の舞台裏は、ハリウッド式恋愛修復メソッドを実践するリアリティー・ドラマだったようだ。3歳年下のジャスティンのことが忘れられなかったドリューがプロデューサーとして"強権発動"したのか、復縁してから「もう、あなたとは片時も離れたくないわ」と映画も共演することにしたのか。どちらにしろ、ドリューの決断はすごいよ。  『遠距離恋愛』はNYとサンフランシスコが舞台。NYの大手新聞社で研修生として働くエリン(ドリュー・バリモア)は研修生と呼ぶにはツラいお年頃。20代のときに恋愛に突っ走ってしまい、キャリアを棒にした痛い過去がある。もう30歳、斜陽産業と言われようが何とか新聞社に正社員入社したい。一方、NYのレコード会社に務めるギャレット(ジャスティン・ロング)は何となく付き合っていた恋人と別れたばかり。レコード業界も不景気だし、ぱっとしない日々。そんなとき、酒場にあった旧式のテレビゲームがきっかけで、エリンとギャレットは意気投合。その晩、さっそくギャレットのアパートでメイクラブ。エリンは夏期研修が終われば実家のあるサンスランシスコに帰ることになっており、2人のひと夏だけの割り切り恋愛が始まる。  軽い気持ちでエリンと付き合い始めたギャレットだが、エリンは下ネタ、エロトークも全然OKの"出来た女"。ギャレットのオタク系男友達とうまく付き合い、近場の安レストランでの食事も、イヤな顔をせずに盛り上げてくれる。男は下ネタNGな美人よりも、ルックス的にはいまいちでも下ネタOKな女に高得点を与えるもの。過度に気を遣わず、普段着の付き合いができるエリンはギャレットにとってリラックスできる相手。それはエリンも同じ。新聞記者として一人前になることが優先される時期だけに、自分を拘束しないギャレットのゆるさは好都合なのだ。SEXの相性も確認済み。ん? もしかして、自分たちはお互いにウマの合う、ベストカップルなのでは? エリンがサンフランスシコに戻る日が訪れ、2人はアメリカ大陸を挟んだ遠距離恋愛に挑戦することに。
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サンフランシスコ在住のエリン(ドリュー・
バリモア)は地元新聞社の採用試験を受ける
ことに。恋人のギャレットはNYのレコード
会社勤務。エリンは仕事と恋愛のどちらを
選ぶ?
 ウディ・アレンに自分から売り込んで『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(96)に強引に出演したドリュー・バリモア。『25年目のキス』以降もラブコメのプロデュースに力を注ぎ、『2番目のキス』(05)では『メリーに首ったけ』(98)のファレリー兄弟を監督に起用、『そんな彼なら捨てちゃえば?』はテレビシリーズ版『SEX and the CITY』の脚本家チームによる同名原作本の映像化。流行ものには手を付けずにはいられない、分かりやすい性格だ。本作でも『40歳の童貞男』(05)で人気を博したジャド・アパトー作品ばりのお下劣ギャグを取り入れている。遠距離恋愛中のエリンとギャレットがテレフォンセックスに励んだり、久々の再会に我慢できずにエリンの実家のダイニングテーブルの上でドッキングを始めるなどSEXネタがふんだんに盛り込まれている。  本作の監督は、ドキュメンタリー映画『くたばれ!ハリウッド』(02)が好評だったナネット・バースタイン女史。『くたばれ!ハリウッド』は、『ある愛の詩』(70)、『ゴッドファーザー』(72)などハリウッド史に残る大ヒット作を飛ばした大物プロデューサー、ロバート・エヴァンズの武勇伝を掘り起こしたもの。二枚目俳優でありながら、さっさと俳優業に見切りをつけてプロデューサーに転職して成功を収め、人気女優たちとの数多くのラブロマンスを残したエヴァンズは、ドリューにとって親近感が湧き、尊敬できる人物だろう。そんなドリューのおメガネにかなったナネット女史は、デジカメによる最少人数での撮影クルーを組むなど、ドキュメンタリー出身者らしい演出を見せている。ドリューとジャスティン、いやエリンとギャレットか、2人がセントラルパークでデート中にいちゃつくシーンなどはゲリラ撮影。野次馬が集まる前に、ちゃちゃっと撮影したとのこと。  劇中でも現実でもラブラブのお2人だが、長いこれからの人生を生きていく上で、恋愛と仕事のどちらを優先するのか、という普遍的テーマで最後まで引っ張る本作。ラブコメとして充分に楽しめる作品だが、どうも気になるのがドリューのノーメイクに近いすっぴん顔。『チャーリーズ・エンジェル』のときはかなりCGで修正されたなんて噂になったけど、本作はナネット監督が「ドキュメンタリータッチのリアルな映像で行きましょう」と主張したのか、ドリュー本人が「ファンのみんなも、ジェスティンも飾らない私のことが大好きなはず」と考えたのか、これまでの早送り人生で酷使してきた年齢肌をさらしている。  ドリューとしては、『ローラーガールズ・ダイアリーズ』(09)で監督デビューもできたし、監督やプロデューサーとしての裏方業務に比重を置くことを考えているようだ。本命のジャスティンと無事に寄りを戻せたし、プロデューサーなら自分で作品を選び、時間も調整できるしね。それこそ『くたばれ!ハリウッド』のロバート・エヴァンズが元俳優としてのキャリアを生かして、パラマウント社の重役たちを相手に見事なプレゼン能力を発揮したように、ドリューも持ち前のバイタリティーと押しの強さで辣腕プロデューサーとしてハリウッドに君臨する日も近いに違いない。でも、ドリューのことだから、また気になる若い男優が現れたら、ちゃっかり共演するんだろうなぁ。 (文=長野辰次) enren03.jpg『遠距離恋愛 彼女の決断』 監督/ナネット・バースタイン 出演/ドリュー・バリモア、ジャスティン・ロング、ジェイソン・サダイキス、ジム・ガフィガン、クリスティナ・アップルゲイト 配給/ワーナー・ブラザーズ映画 10月23日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー <http://www.enren.jp>
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●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第87回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

ここまでやるか!! 娯楽アクション映画の金字塔『エクスペンダブルズ』

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 当代最高のアクションスターたちが結集した「消耗品軍団」が、ついに日本への上陸作戦を決行する! アクション超大作『エクスペンダブルズ』(松竹配給、10月16日公開)は、監督・脚本・主演のシルベスター・スタローンが、友人のアクション俳優やプロの総合格闘家らに自ら出演を呼びかけ、宿年のライバル同士だったアーノルド・シュワルツェネッガーとの初共演を含め、ブルース・ウィリス、ジェット・リー、ジェイソン・ステイサム、ミッキー・ローク、ドルフ・ラングレンといった錚々たる顔ぶれの競演が実現した奇跡のオールスターキャスト映画だ。  「エクスペンダブルズ」(消耗品軍団)とは、バーニー(スタローン)が率いる凄腕ぞろいの傭兵部隊。ソマリアの武装海賊を討伐し、人質救出作戦を鮮やかに完遂した彼らのもとに、チャーチと名乗る謎の男(ウィリス)から仕事の依頼が入る。それは、南米の軍事独裁国家ヴィレーナで非人道的な圧政を敷く将軍の殺害という困難な仕事。現地に赴いたエクスペンダブルズを待ち受けていたのは、屈強な軍隊とのかつてなく危険で過酷な死闘だった......。  『ロッキー』『ランボー』という2大人気シリーズでアメリカを代表するアクションスターとなったスタローン。CGやワイヤーを多用する今どきのアクション映画に喝を入れるかのように、本作ではリアルな肉弾戦に徹底してこだわった。自身も元プロレスラーのスティーブ・オースティンとの格闘シーンで首の骨を折ったほか、カンフーの達人ジェット・リーと極真空手の黒帯保持者であるドルフ・ラングレンとの"お宝"対決シーンも用意。さらに後半、日本ではPRIDEでの活躍で知られるノゲイラ兄弟をはじめ、プロの総合格闘家を敵軍のレッドベレー役に揃えてエクスペンダブルズの面々と対峙させ、痛みが伝わってくるほど壮絶なガチンコ勝負と、銃弾撃ちまくり爆破しまくりのド派手なドンパチの連続に、「ここまでやるか」と爆笑しつつ声援と喝采を送りたくなるだろう。  ブルース・ウィリスとシュワルツェネッガーがカメオ出演したシーンでは、シュワちゃんの政界転身をネタにしたジョークなど、軽妙なやりとりが笑いを誘う。正直物足りなさもあるが、続編ではウィリスがラスボス的な敵役として出番が増える可能性もあるというから楽しみだ(続編の出演候補にはほかに、ジャン=クロード・バン・ダムやジャッキー・チェンの名も挙がっている)。  一足早く8月に公開されたアメリカでは、2週連続で興行収入ランキング首位を記録し、スタローンのこれまでの監督作、主演作のオープニング記録を塗り替える歴代最高のヒット作となった。娯楽アクション映画の金字塔とも言える本作は、日本でもこの秋一番、いや今年一番の話題作となるかも。ハリウッドパワー全開の本作を映画館で体感すれば、大スクリーンからあふれ出すスターたちのオーラとファイティングスピリットを浴びてきっと元気になれるはず。アクション映画ファンにとってはマストの1本であり、難しいことは考えずに楽しい映画でスカッとしたいという向きにもオススメの快作だ。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 『エクスペンダブルズ』作品情報 <http://eiga.com/movie/55323/>
すべての男は消耗品である まさに。 amazon_associate_logo.jpg
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