消費税増税に突撃する野田首相と相棒の"議員殺し"という過去

【サイゾーpremiumより】 ──「政治生命を懸ける」とぶち上げ、消費税増税実現に向けて邁進する野田首相。野党にすり寄るために内閣改造をし、反対勢力である小沢グループを切り捨てることも厭わない姿勢だ。だが、この姿勢が党内でイマイチ支持を得られていないのは、冷静さを欠いて猛進したために犯した大失態が、過去にあるからではないかといわれている──。(当記事は6月18日発売の「月刊サイゾー」7月号に掲載されたものです)
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「ドラマ『おれは男だ!』(1971~72
年)の主演だったイケイケどんどんの
森田健作・千葉県知事みたいなノリ」
(民主党議員)だという。
「乾坤一擲。一期一会のつもりで説明したいと思います」  野田佳彦首相は、5月30日の小沢一郎・民主党元代表との会談を前に、こんな四文字熟語を並べて自らの心境を明かした。「乾坤一擲」。辞書をひもとけば、「天下を賭けて博打(ばくち)のサイコロを投げる」の意味。悲願の消費税増税を成し遂げるため、猛反発する小沢氏との決戦の火蓋を切ろうという心意気を表したものだが、その舞台を博打に例えてしまうあたりが、この人らしい。しかも「一期一会」。もう二度と会うことはないと宣言したものと受け止められたが、当の会談が決裂すると、輿石東幹事長に諭され、2度目の小沢会談も行われた。もちろん、結果は決裂。「なんでこうも、ひと言ひと言、わざとらしいんだ」。こんなぼやきが、首相の番記者たちから多くなってきた。大手紙の政治部デスクが首相の心境を明かす。 「6月下旬の国会会期末を控え、野田さんは消費税増税法案の成立に向けて文字通りの”命懸け”モードに入っています。側近議員に『消費増税しなけりゃ、首相になった意味がない。成立のためなら、首相のイスだってこだわらない』と漏らしているようで、自民党の谷垣禎一総裁が賛成してくれるなら、首相の座を渡してもいいとまで思い詰めています。消費税増税の立役者として歴史に名を残せば、あとは討ち死にしたっていい、という幕末の志士みたいな気分なんです」  実際、野田氏は周囲に悲壮感すら漂わせており、しかもそのノリは超「体育会」系。ある民主党議員によると、増税に猛反対する小沢グループを向こうに回し、野田氏は風貌の似通った盟友の手塚仁雄首相補佐官【1】と一緒に「男はやるときはやるぞ! 待ってろ!」と、まるでプッチンと切れた勢いなのだという。 「下手に小沢さんたちが追い込めば、解散すらやりかねない。もう恐いものなしだよ」(同)  このノリは「常軌を逸している」(同)とまでいわれている。その証拠に、去る5月、増税法案の行方を握る衆院社会保障・税一体改革特別委員会の筆頭理事を務めている自民党の伊吹文明氏をはじめ、逢沢一郎理事(自民)や西博義理事(公明)の地元である京都、岡山、和歌山のそれぞれの自宅に、野田氏の命を受けた武正公一、古本伸一郎ら各議員がアポイントなしで電撃訪問。夜回り取材の記者よろしく、「伊吹先生、ここはひとつ、野田を男にしてやってください」といわんばかりの勢いで増税法案への協力を頼み込んだという。 「ライバル政党の議員の自宅にいきなり押しかけるなんて、政治の世界ではあり得ないこと。本来なら、こうした秘密会談は大物仲介者を立ててセッティングすべきものですからね。伊吹さんたちは勢いに気押されして訪問を受けちゃったけれど、自民・公明サイドは破れかぶれの野田流に半ばあきれています」(前出・政治部デスク)  さらに、こうした野田氏のやり方に、民主党議員たちの多くも、あきらめ顔だという。「このまま解散になれば、あの時のような悲劇が民主党を襲うだろう」と。  野田氏と側近の手塚氏には、知る人ぞ知る忌まわしい過去がある。野党時代、政府・自民党を追い込むスキャンダルと盛んに宣伝された「偽メール事件」【2】を仕組んだのがこの2人だった。  2006年の衆院予算委員会で、民主党の永田寿康議員(後に自殺)がこんな爆弾質問をした。 「起訴されたライブドア元社長の堀江貴文被告が、自らの衆院選出馬のコンサルタント費用として自民党幹事長の次男に3000万円を振り込むよう指示した社内メールを出した」  ところが直後に、捜査中の東京地検が「当該のメールや事実関係は把握していない」と異例のコメントを発表し、当時の小泉純一郎首相は「ガセネタ」と酷評した。民主党はメールのコピーも公表してさらに迫ったが、逆にこの”証拠品”の信ぴょう性も疑問視されてしまい、結局、追及を取り下げるという最悪の結末をたどった。  民主党が後に「偽メール事件」を検証したところ、永田氏以上にこのメールを国会で取り上げようと調査していたのが手塚氏だったことがわかっている。つまり、追及役を永田氏ひとりに押しつけた格好になったわけだ。しかも、メールの信ぴょう性が揺らごうとも頑として譲らなかったのが、当時の国対委員長・野田氏だった。  また、このメールの信ぴょう性を信じて疑わなかった当時の前原誠司・民主党代表は、党首討論で小泉氏に「期待しておいてください」と新たな証拠を示すそぶりまでみせ、問題を拡大させてしまったが、「野田さんと手塚さんのイケイケぶりに、まんまとはまってしまったんです」(前出・民主党議員)  偽メールの疑いが濃厚になると、永田議員は公の場に一切姿を見せず、雲隠れしたと大騒ぎになっている。実際は、永田氏が「議員を辞職したい」と言いだしたため、心神喪失を理由に手塚氏が身内の経営する病院に入院させてしまったのが真相だった。このいきさつもやがて明らかになり、「永田を隠した」と世論の非難を浴び、ますます情勢は不利になる。結局、追及を取り下げた後、民主党は懲罰委員会で永田氏を半年間の党員資格停止処分とし、本人は議員辞職した。そしてメール追及の事実上の指揮官だった野田氏が国対委員長を辞任して幕引きを図っている。さらに、前原氏は民主党代表を辞任。同党の支持率は急落した。 「その後の永田さんは不幸の連続でした。次の衆院選挙に地元千葉から出馬しようとしましたが、同じ千葉選出の野田氏の支援は得られず、政界復帰は断念。離婚問題もこじれたようで、精神的に追い込まれていきます。自殺したのは09年1月のこと。入院していた北九州市の精神病院そばのマンションから飛び降りました。眠れない日々が続いていた永田さんは、寝酒を常用していて、自殺現場には空の焼酎パックが落ちていたといいます。寝酒を勧めた人間も、野田氏周辺の人物といわれています。偽メール問題は永田氏自身の責任とはいえ、イケイケの野田さんと手塚さんの2人に翻弄されたと党内では受け止められました」(同)  こんな痛恨事があったにもかかわらず、野田氏と手塚氏の二人三脚ぶりは少しも揺らぐことなく、今日の政局を迎えている。かつて小泉内閣に突きつけた矛先は、今度は抵抗勢力のドン、小沢氏へと向けられた。前出の政治部デスクが憂う。 「強敵と戦うことこそ美学だという、誤った悲壮感に駆られている……これが今の野田氏と取り巻きたちの実態です。とにかく増税ありき。それしか頭にないから、では、その増税分をどう社会保障に使うのかなんていう本質論は一切語れないんです」  一政党内のくだらないいがみ合いにすぎない、今日の政局。それを何か大ごとが起きているかのように報道され、付き合わされている国民こそ不幸ではないか。 (編集部) 【1】手塚仁雄首相補佐官 1966年生まれ。00年に衆議院選挙に初当選。現在、三期目。02年の民主党代表選から、野田氏を首相候補として推すなど、同氏の側近中の側近といわれる。最近は、野田内閣のスポークスマンとして、メディア出演もするが、無難な発言が多く、視聴者受けはあまりよくない模様だ。
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【2】偽メール事件 「永田メール事件」「堀江メール問題」とも。06年2月16日に、民主党の永田寿康議員が問題を取り上げるものの、Nという雑誌発行者から入手したメールが偽物であったことが発覚し、同28日には永田議員は謝罪会見を行なっている。その後、3月2日には、野田氏が国対委員長を辞任、3月末には前原氏が民主党代表を辞任し、民主党の支持率は急落。本来は、BSE問題や耐震偽装事件、防衛施設庁談合事件などについて、自民党が激しい追及を受けるはずだった国会の場は、民主党糾弾の場と化してしまった。
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月額525円読み放題! (バックナンバー含む) 【「サイゾーpremium」にはこんな記事も!】"平成の松下村塾の実力やいかに!? "迷"相・野田佳彦を生んだ素晴らしき松下政経塾の全貌【連載】「マル激TALK ON DEMAND」野田政権が掲げるべき増税の対価と日本の未来像増税で日本の"格"もダウン!? 企業の"借金返済能力"を計る格付け会社は世界を滅ぼすか?

消費税増税に突撃する野田首相と相棒の"議員殺し"という過去

【サイゾーpremiumより】 ──「政治生命を懸ける」とぶち上げ、消費税増税実現に向けて邁進する野田首相。野党にすり寄るために内閣改造をし、反対勢力である小沢グループを切り捨てることも厭わない姿勢だ。だが、この姿勢が党内でイマイチ支持を得られていないのは、冷静さを欠いて猛進したために犯した大失態が、過去にあるからではないかといわれている──。(当記事は6月18日発売の「月刊サイゾー」7月号に掲載されたものです)
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「ドラマ『おれは男だ!』(1971~72
年)の主演だったイケイケどんどんの
森田健作・千葉県知事みたいなノリ」
(民主党議員)だという。
「乾坤一擲。一期一会のつもりで説明したいと思います」  野田佳彦首相は、5月30日の小沢一郎・民主党元代表との会談を前に、こんな四文字熟語を並べて自らの心境を明かした。「乾坤一擲」。辞書をひもとけば、「天下を賭けて博打(ばくち)のサイコロを投げる」の意味。悲願の消費税増税を成し遂げるため、猛反発する小沢氏との決戦の火蓋を切ろうという心意気を表したものだが、その舞台を博打に例えてしまうあたりが、この人らしい。しかも「一期一会」。もう二度と会うことはないと宣言したものと受け止められたが、当の会談が決裂すると、輿石東幹事長に諭され、2度目の小沢会談も行われた。もちろん、結果は決裂。「なんでこうも、ひと言ひと言、わざとらしいんだ」。こんなぼやきが、首相の番記者たちから多くなってきた。大手紙の政治部デスクが首相の心境を明かす。 「6月下旬の国会会期末を控え、野田さんは消費税増税法案の成立に向けて文字通りの”命懸け”モードに入っています。側近議員に『消費増税しなけりゃ、首相になった意味がない。成立のためなら、首相のイスだってこだわらない』と漏らしているようで、自民党の谷垣禎一総裁が賛成してくれるなら、首相の座を渡してもいいとまで思い詰めています。消費税増税の立役者として歴史に名を残せば、あとは討ち死にしたっていい、という幕末の志士みたいな気分なんです」  実際、野田氏は周囲に悲壮感すら漂わせており、しかもそのノリは超「体育会」系。ある民主党議員によると、増税に猛反対する小沢グループを向こうに回し、野田氏は風貌の似通った盟友の手塚仁雄首相補佐官【1】と一緒に「男はやるときはやるぞ! 待ってろ!」と、まるでプッチンと切れた勢いなのだという。 「下手に小沢さんたちが追い込めば、解散すらやりかねない。もう恐いものなしだよ」(同)  このノリは「常軌を逸している」(同)とまでいわれている。その証拠に、去る5月、増税法案の行方を握る衆院社会保障・税一体改革特別委員会の筆頭理事を務めている自民党の伊吹文明氏をはじめ、逢沢一郎理事(自民)や西博義理事(公明)の地元である京都、岡山、和歌山のそれぞれの自宅に、野田氏の命を受けた武正公一、古本伸一郎ら各議員がアポイントなしで電撃訪問。夜回り取材の記者よろしく、「伊吹先生、ここはひとつ、野田を男にしてやってください」といわんばかりの勢いで増税法案への協力を頼み込んだという。 「ライバル政党の議員の自宅にいきなり押しかけるなんて、政治の世界ではあり得ないこと。本来なら、こうした秘密会談は大物仲介者を立ててセッティングすべきものですからね。伊吹さんたちは勢いに気押されして訪問を受けちゃったけれど、自民・公明サイドは破れかぶれの野田流に半ばあきれています」(前出・政治部デスク)  さらに、こうした野田氏のやり方に、民主党議員たちの多くも、あきらめ顔だという。「このまま解散になれば、あの時のような悲劇が民主党を襲うだろう」と。  野田氏と側近の手塚氏には、知る人ぞ知る忌まわしい過去がある。野党時代、政府・自民党を追い込むスキャンダルと盛んに宣伝された「偽メール事件」【2】を仕組んだのがこの2人だった。  2006年の衆院予算委員会で、民主党の永田寿康議員(後に自殺)がこんな爆弾質問をした。 「起訴されたライブドア元社長の堀江貴文被告が、自らの衆院選出馬のコンサルタント費用として自民党幹事長の次男に3000万円を振り込むよう指示した社内メールを出した」  ところが直後に、捜査中の東京地検が「当該のメールや事実関係は把握していない」と異例のコメントを発表し、当時の小泉純一郎首相は「ガセネタ」と酷評した。民主党はメールのコピーも公表してさらに迫ったが、逆にこの”証拠品”の信ぴょう性も疑問視されてしまい、結局、追及を取り下げるという最悪の結末をたどった。  民主党が後に「偽メール事件」を検証したところ、永田氏以上にこのメールを国会で取り上げようと調査していたのが手塚氏だったことがわかっている。つまり、追及役を永田氏ひとりに押しつけた格好になったわけだ。しかも、メールの信ぴょう性が揺らごうとも頑として譲らなかったのが、当時の国対委員長・野田氏だった。  また、このメールの信ぴょう性を信じて疑わなかった当時の前原誠司・民主党代表は、党首討論で小泉氏に「期待しておいてください」と新たな証拠を示すそぶりまでみせ、問題を拡大させてしまったが、「野田さんと手塚さんのイケイケぶりに、まんまとはまってしまったんです」(前出・民主党議員)  偽メールの疑いが濃厚になると、永田議員は公の場に一切姿を見せず、雲隠れしたと大騒ぎになっている。実際は、永田氏が「議員を辞職したい」と言いだしたため、心神喪失を理由に手塚氏が身内の経営する病院に入院させてしまったのが真相だった。このいきさつもやがて明らかになり、「永田を隠した」と世論の非難を浴び、ますます情勢は不利になる。結局、追及を取り下げた後、民主党は懲罰委員会で永田氏を半年間の党員資格停止処分とし、本人は議員辞職した。そしてメール追及の事実上の指揮官だった野田氏が国対委員長を辞任して幕引きを図っている。さらに、前原氏は民主党代表を辞任。同党の支持率は急落した。 「その後の永田さんは不幸の連続でした。次の衆院選挙に地元千葉から出馬しようとしましたが、同じ千葉選出の野田氏の支援は得られず、政界復帰は断念。離婚問題もこじれたようで、精神的に追い込まれていきます。自殺したのは09年1月のこと。入院していた北九州市の精神病院そばのマンションから飛び降りました。眠れない日々が続いていた永田さんは、寝酒を常用していて、自殺現場には空の焼酎パックが落ちていたといいます。寝酒を勧めた人間も、野田氏周辺の人物といわれています。偽メール問題は永田氏自身の責任とはいえ、イケイケの野田さんと手塚さんの2人に翻弄されたと党内では受け止められました」(同)  こんな痛恨事があったにもかかわらず、野田氏と手塚氏の二人三脚ぶりは少しも揺らぐことなく、今日の政局を迎えている。かつて小泉内閣に突きつけた矛先は、今度は抵抗勢力のドン、小沢氏へと向けられた。前出の政治部デスクが憂う。 「強敵と戦うことこそ美学だという、誤った悲壮感に駆られている……これが今の野田氏と取り巻きたちの実態です。とにかく増税ありき。それしか頭にないから、では、その増税分をどう社会保障に使うのかなんていう本質論は一切語れないんです」  一政党内のくだらないいがみ合いにすぎない、今日の政局。それを何か大ごとが起きているかのように報道され、付き合わされている国民こそ不幸ではないか。 (編集部) 【1】手塚仁雄首相補佐官 1966年生まれ。00年に衆議院選挙に初当選。現在、三期目。02年の民主党代表選から、野田氏を首相候補として推すなど、同氏の側近中の側近といわれる。最近は、野田内閣のスポークスマンとして、メディア出演もするが、無難な発言が多く、視聴者受けはあまりよくない模様だ。
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【2】偽メール事件 「永田メール事件」「堀江メール問題」とも。06年2月16日に、民主党の永田寿康議員が問題を取り上げるものの、Nという雑誌発行者から入手したメールが偽物であったことが発覚し、同28日には永田議員は謝罪会見を行なっている。その後、3月2日には、野田氏が国対委員長を辞任、3月末には前原氏が民主党代表を辞任し、民主党の支持率は急落。本来は、BSE問題や耐震偽装事件、防衛施設庁談合事件などについて、自民党が激しい追及を受けるはずだった国会の場は、民主党糾弾の場と化してしまった。
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■「サイゾーpremium」とは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む) 【「サイゾーpremium」にはこんな記事も!】"平成の松下村塾の実力やいかに!? "迷"相・野田佳彦を生んだ素晴らしき松下政経塾の全貌【連載】「マル激TALK ON DEMAND」野田政権が掲げるべき増税の対価と日本の未来像増税で日本の"格"もダウン!? 企業の"借金返済能力"を計る格付け会社は世界を滅ぼすか?

野田政権発足から1カ月 事情通から聞く中国の「野田評」とは?

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"増税ボーイ"こと野田佳彦首相。
 野田佳彦首相率いる政権が発足してから約1カ月が経過した。短期間でコロコロと変わる日本の首相を、海外は「回転木馬」(米ワシントンポスト紙)と揶揄するなど、お世辞にもリスペクトされているとは言い難いのが現状だ。  そんな中、何かと日本にちょっかいを出してくる隣国中国は、この新総理をどう見ているのだろうか。中国の軍幹部や政府要人ともつながりを持ち、北京に拠点を置く日本人実業家の山岡昇一氏(仮名・53歳)は、匿名を条件に次のように証言してくれた。 「共産党の幹部から聞く感触では、当初は保守的な人物として一定の警戒心を持っていたものの、早くも集団自衛権や靖国参拝に否定的な発言をしている。実はさほどのイデオロギーも持たず、結局は歴代の総理のように何もできないと感じているようです」  事実、中国の「野田評」については、「新華社」が8月30日付け記事で、「レッテルを貼るのは時期尚早」との論評を配信し、過度に警戒するのではなく当面は静観すべきとの見解を示している。 「一時は前原誠司氏より強硬との声も一部にはありましたが、今では沈着冷静なタイプとの見方が支配的。先の臨時国会での所信表明で、日米同盟を深化・発展させる覚悟を示したことからも分かる通り、対米重視という現実路線を選んでいるだけで、中国に対して特に敵対心を持っているとは見られていません」  一方、野田氏が「松下政経塾」出身であることに警戒する声も一部にはある。「解放日報」は上海国際問題研究所副所長のコメントとして、「松下政経塾の出身者は常に強硬な言動をとっており、その一人である野田氏の就任は同盟国に懸念をもたらしている」とし、「一部の日本人の歴史を反省しない傲慢な態度は、中国人の反感を引き起こしている」とまで決めつけている。  また、「環球時報」は中国社会科学院委員の言葉として、「野田氏は"民主党の中の自民党"であり、あきらかな右派である。今後は日本が一層右傾化する可能性がある」との懸念を示した。  もっとも、山岡氏によれば、こうした声はあくまで一部で、「多くは野田氏にそれほどの際立ったイデオロギーはなく、当面は日中関係に大きな問題は起こらないだろうと考えている」ようだ。  中国では、習近平体制への移行となる来年の共産党18回全国代表大会(18回党大会)を控え、日本を含む対外関係で大きな波風は避けたい時期。その一方で、尖閣諸島付近では相変わらずの挑発行為を続けている。一連のこうした"軍事行動"は、18回党大会へ向けて習体制が軍の信頼を強固にするための、重要な戦略の一つとも見られている。  山岡氏は言う。 「海軍の人間と話していても感じますが、ようするに『日本くみやすし』となめているわけです。その意味でも、昨年の尖閣事件で、管直人内閣が事実上の拒否権発動で船長を無罪放免したのは大失敗でした。あれで『日本はびびって何もできない』というメッセージを発してしまった。私もバカにされますよ(笑)。『領土』や『主権』といったテーマでは鳩山由紀夫・管は史上最悪でした。野田さんの外交手腕に注目したいところですが、どうも様子を見る限り、大きな期待はできなさそうですね。そこらは中国共産党もしっかり見ていますよ」  日本国際フォーラム副理事長で、過去に駐仏大使などを歴任した平林博氏は、9月18日付け産経新聞への寄稿で次のように記している。 「日本国民は外国から軽視されるのではなく、畏敬される首相を渇望している」  この至極当たり前な願いが野田首相の耳に届くことはあるのだろうか。 (文=浮島さとし)
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