
台湾チャリティー番組『相信希望 Fight & Smile』
(YouTubeより)
東日本大震災の発生から早1カ月、日本国内はもとより、世界各国から救援物資や義援金が続々と届いている。そんななかでも、「台湾から義援金100億」というニュースには誰もが驚かされたことだろう。時事通信によると震災発生当日、日本の外務省にあたる台湾外交部が約2億8,500万円の義援金を日本に送ると表明。その後、テレビ局などがチャリティーイベントを開催して寄付を呼び掛けるなどし、4月1日までの時点で、官民合わせ100億円を突破しているという。
さらに被災した子どもとその家族を対象に、渡航費・滞在費を全額負担し、2週間から1カ月ホームステイできるよう、約100世帯を一時避難所として確保するなど、義援金以外の支援の輪も広がっている。
九州ほどの面積しかない台湾の人口は約2,300万人で、サラリーマンの平均月収は13万円前後。その台湾からの義援金100億はまさに桁外れの額で、台湾人の親日ぶりがうかがえる。
なぜ、ここまで台湾人は親日なのか。両国は隣接し、古くから相互往来は密接だったが、それに加え、1999年9月に発生した台湾中部大地震、さらに09年の8月に台湾南部を襲った台風災害の際、日本は早期に台湾への支援を表明し、救援隊の派遣や多額の義援金を送るなどしたが、その献身的な対応に台湾側は深い恩を感じているという。さらに歴史をさかのぼれば、日本の統治時代、後藤新平らの尽力によって台湾のインフラが急速に整備されたり、教育制度などが整えられた背景があり、それが現在の台湾経済発展の基盤になっていると考える人が多く、そのため日本に友好的な感情を抱いているという。
しかし、それだけではない。台湾ではわれわれが思っている以上に日本のカルチャーが浸透しているのだ。台北市内には、日本でおなじみのコンビニや飲食チェーン店が建ち並び、薬局などでも日本の商品が数多く売られている。日本の芸能人を起用した広告ポスターが街のあちらこちらで見受けられ、若者のファッションも日本とそう変わりはない。日本語が話せる人も多く、道を尋ねれば親切丁寧に対応してくれる。さらに日本に留学経験がある若者も少なくない。
こうした台湾と日本の関係について、日台交流センターに詳しく話を聞いた。
「台湾から日本に来ている留学生は現在5,000人ほどで、日本語学校や専門学校に通ったり、大学や大学院で高等教育を学んでいる人もいます。日本の統治時代、日本語を学んだ世代が今は80歳くらいの高齢者。若い人からすると自分のおじいちゃん、おばあちゃんが日本語を話せるので、日本語がとても身近なものなんですね。それに近年は、日本のポップカルチャーが急速に台湾に浸透しています。ドラマやバラエティー、グルメ番組などさまざまなジャンルのテレビ番組が中国語(北京語)の字幕付きで頻繁に放送され、アニメやゲーム、音楽などもすぐに入ってきます。そういったところから日本のカルチャーに接する機会が多く、高校や大学で第二外国語として日本語を履修する学生が増えています。現在、第二外国語としては日本語が一番人気があると聞いています」
カルチャー面においてはとても身近なようだが、台湾にとって、かつて日本は宗主国でもあった。現在の台湾人にとって、日本人とはどういう存在なのだろうか。
「世代や政治的なスタンスによって違うとは思いますが、一般的によく言われるのは、戦後、日本の敗戦にともない台湾が中華民国(中国国民党政府)に返還(不法占拠説もあり)されましたが、蒋介石時代には市民がひどく弾圧されたという歴史的背景があります。その時代と比較すると、日本の統治時代はインフラを含め、日本の政府は献身的な対応をしてくれた。そのため、反日感情ももちろんありますが、現在では友好的な感情を持っている人が多いようです」
われわれ日本人が思っている以上に深い台湾との関係を認識することとなった今回の震災。テレビのチャリティー番組は単発的なものだったが、台湾外交部や台湾赤十字では専用口座を開設し、現在も義援金を募っている。また、日台交流センターの台北事務所と高雄事務所にも多くの義援金が届いているという。
台湾の経済建設委員会は、主要貿易相手国である日本の被災の影響による台湾経済の損失は約540億円を超えるとの予測をしている。にもかかわらず、国が一丸となり援助の手を差し伸べてくれる台湾には頭が下がる思いでいっぱいだ。近い将来、なんとかこの国難を乗り越え、両国親交がさらに深くなることを期待したい。
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「試合がないなら広告料を返金すべき」震災余波で東京ドームに存続危機
東京ドームが大ピンチだ。節電のため4月中は使用自粛となっているが、球場内に広告を出している企業が激怒しているという。 ある企業は、既に3月末で広告から撤退するという。10年以上、広告を出し続けてきた松本歯科大学も7月までに撤退することを検討し始めた。同大学の関係者によると「4月以降に使用が再開できればいいんですが、これから夏に向けて家庭の消費電力も増えるので、この先も使用自粛の可能性が高い。早めに手を打つしかない」と話す。 ドームの野球使用は約5,000世帯の1日分の消費電力を必要とする。1988年の設立時は「日本初の屋根付き球場」として雨天中止がないと持てはやされたが、デーゲームでもナイターと同じ電力消費量があるという弱点をさらけ出した形だ。 当初は本拠地とする巨人が節電使用を訴えていたが、ドームの整備担当者に聞いたところ「外の装飾照明は落とせても、使用するなら通路を暗くすることはできない。空気圧で膨らませている屋根を支える送風ファンにも電力を使います。大幅な節電は難しい」というから、夏の使用も非常に厳しい様子だ。 ドームには自家発電装置もあるが、これは災害時の緊急用で「試合に使うほどの電力を想定したものではない」(同)という。 東京ドームにとって痛いのは、企業から広告費用返還の相談がきていることだ。ある企業の広報は「試合が全て行なわれる前提で支払った広告料なのだから、試合がないならその分は返金すべき」と交渉する構え。 株式会社東京ドームは1月、遊園地内で死亡事故があり、さらには所有する後楽園ホールが地震の影響で損傷、3月の予定が軒並み吹っ飛んだ。さらに東京ドームホテルの業績も減少傾向で売却観測も浮上しつつある。 昨年12月と今年1月、ドームは続けて業績の大幅下方修正していた中だ。今年1月期の予想では純損益9億円の赤字(従来9億円の黒字予想)としていたが、このままではさらに大きな赤字を抱えることも見通される。 小規模の広告でも年間1,000万円は下らないと言われるドーム広告だが、近年はプロ野球の試合中継も減少し広告効果も下落していた。今回の使用自粛で企業広告が撤退してしまえば、それこそ存続の危機に関わる大ピンチに陥る。 関係者のなかには「さいたまスーパーアリーナのように避難所として開放してはどうか」という声もあるが、とてもそんな余裕はなさそうだ。 (文=鈴木雅久)できた当時は"夢の球場"でしたが......。
「誰のための自粛なの?」乙武洋匡の"不謹慎厨"に対する思いとは!?
東日本大震災の発生後、世間では娯楽や経済活動を控えるといった"自粛"ムードが蔓延し、普段通りの生活をしているだけで「不謹慎だ」と言われるような風潮が目立ち、論争の対象になっている。乙武洋匡が、自身のTwitterで、「飲みにいってもいいんじゃないか」というツイートを「不謹慎だ!」と批判したユーザーに対して「でた、不謹慎厨!」と返答するなど大胆な発言をしていることも、注目を集めたトピックのひとつだ。これまでも、自らの障害をネタにするなど、突飛とも思える発言を繰り返してきた乙武氏は、このような世の中の反応をどうとらえているのだろうか。
――今回の事態に、一部で過剰とも思えるほどに"不謹慎だ!"という声が上っている風潮について、どう思いましたか?
乙武洋匡(以下乙武) 震災後、テレビなどで流れる被災地の悲惨な光景を目にすることで、皆さんの中で「自分は平和な日常を送っていていいんだろうか?」という戸惑いや罪悪感が湧き、それが過剰な反応を生むきっかけになってしまったのだと思います。僕は、そんな"自粛ムード"が蔓延している中あえて開催を決行した、「キャラメルボックス」さんの演劇公演(「夏への扉」3月5日~27日)を見に行った時、すごく力をもらったんです。みんながピリピリしている中で締め付けられていた自分の心が、解放されたように感じました。
すごく印象的だったのは、その公演では、いつもは3~4回やっているカーテンコールを節電の影響で1回しかできなかった代わりに、役者さんたちが客席の通路を通って退場するというパフォーマンスがあったこと。できることの限られた中で、どんな工夫を加えたら見に来てくれた人に力を与えてあげられるのか考えた末の、素晴らしいアイデアだったと思います。
■批判を恐れた"自粛"は他人に強要された"他粛"
――一方で、"自粛ムード"の影響で予定していたイベントが中止や延期になり、倒産した会社もあったようです。
乙武 集客や停電の影響があっての中止なら分かるけど、例えばまったく関係のない西日本でも自粛するというところには疑問を感じますね。本当に被災者の方々、被災地のためを思っての"自粛"なのか、この時期に開催をして批判を浴びることを恐れた自分たちのための"自粛"なのか。後者であれば、それは"自粛"ではなく"他粛"ではないのか、と。それをTwitterに書いたところ、フォロワーさんが「それは"自粛"ではなくて"萎縮"ではないか」と言っていたんです。すごくうまいこと言うな~と思いましたね(笑)。
――震災後は震災前に比べて"不謹慎"のラインが変わったように感じるのですが......。
乙武 まったくそのラインは違ってきていると思いますね。僕の場合ツイートで「飲みに行ってもいいんじゃないか」と言ったことに対して"不謹慎"だと言われてしまった。でも、普通の生活で「飲みに行こう」ということに対して"不謹慎"だなんて、誰も言わないですよね?
――被災地の方からもTwitterで、「不謹慎だ!」と言われる事はあるんですか?
乙武 実はあまりないんです。むしろ逆に、「私たちが復興に向けて歩み始めた時には、それを支えられるように、活発に飲んで遊んで働いて経済を活性化させてください」と言ってくれる方もいます。"不謹慎だ"と過敏な反応をしてしまっているのは、むしろ被災地以外の方であることが多いんですよね。
――"不謹慎"発言で話題になっている有名人もいますが、気になったケースはありますか?
乙武 陸上の為末大選手が「今だからこそスポーツをするべきではないか」と発言をしたことに対し、賛否両論が巻き起こっているみたいだけど、スポーツ界にかかわらず、エンタテインメント業界についても、飲食・娯楽についても、積極的にやっていくべきだと感じています。それを不謹慎と思うのは自由だけど、相手にまで「不謹慎だからそれはやめるべきだ」と同じ行動を求めるのはおかしい。今、"不謹慎"かそうじゃないのかという議論をする時に、スタンスとして「相手に自分の思いを強要しない」ということが大事だと思っています。
――今回の"不謹慎"騒動とうまく付き合ってるな、と思う人はいますか?
乙武 僕は最近デーブ・スペクターさんのTwitterにハマっていますね(笑)。
【こんな時にささやかなギャグですが・・・ミネラルウォーターの緊急輸出を検討しているアメリカの州→水売り州】
くだらないんですけど、ちょっと面白くないですか?(笑)あえて、"不謹慎"スレスレのダジャレを持ってくることで、クスッと笑ってしまった人はいっぱいいると思うんですよね。そういったことで救われた人もいると思うんです。
――乙武さんはよく、Twitterで個人に対してリプライをしていますが、意識していることはありますか?
乙武 僕の発言には毎日、何百何千とリプライを頂くのですが、中でも多くの方に考えていただきたい内容に関しては、リツイート(※Twitterにおいて、ほかのユーザーのツイートを引用形式で発信すること)して広く意見を募るなどといったことはしています。
■「僕に対して"かたわ"とからかうくらいの人の方が接しやすい」
――東京都金町浄水場(葛飾区)の水道水から、乳児の飲み水についての国の基準の2倍を超える数値の放射性ヨウ素の検出したと発表をし、同浄水場から給水している東京23区と多摩地域の5市を対象に、乳児に水道水を与えるのを控えてほしいという報道があった際に、乙武さんがTwitterで「被曝する前から奇形だしな!とか言うと怒られるの?」と言われたことに「飲んだら、むしろ生えてくるかなo(^o^)o ワクワク」と返してらっしゃいました。どういうお気持ちであのような回答をしたんですか?
乙武 僕にとっては、そういうネタを振ってくれる人の方が接しやすいんです。逆に「そういうのはけしからん!」と思う人たちの方が接しづらい。2ちゃんねるでも、僕の手のことを"手羽先"という人がいて、面白いな~と思いました(笑)。本質は、言葉ではなく、その人が僕に対してどういう思いを抱いて発言をしているのかということだと思うんです。
例えば、僕に対して「かたわ!」と言う人がいたとすると、それは「不謹慎だ!」と言われたりするかもしれない。でも、僕のことを大事に思ってくれている友人が、「こいつ"かたわ"だからさ~(笑)」と言ってもそれは失礼ではないと思うし、僕も傷つかない。それが「乙武さんは、そんな体なのに頑張っていらっしゃって......」と、きれいな言葉で言っていても、実は障害者である僕のことを見下して言っていたとしたら、そっちの方が失礼だと思うんですよね。
だからといって、ほかの障害者の方に対しても同じようにからかっていいのかというと、それは、その人によって受け取り方が違うので、そのあたりはすごく慎重にならないといけないと思うし、障害者と接する場合だけではなく、普段の人間付き合いでも大事なことだと思うんですよね。
"不謹慎"も同じで、どんな言葉でも受け取る人次第だから、発信する方も聞く方も、常にそこは意識するべきだと思いますね。
――最後に、乙武さんの近況について教えてください。
乙武 4月1日に東京都練馬区で「まちの保育園」をオープン。役員として経営に携わっていきます。ここまでの話ともつながりますが、現場の先生方には、子どもたちのためだと思うことは積極的に取り組んでもらい、その意図に対して保護者から寄せられてくるであろうさまざまな意見もあるかとは思いますが、すぐに謝るとか、やめるのではなく「意図に対して理解を求める毅然とした対応を心掛けてください」とお話をしました。賛否両論あることを覚悟の上で、しっかりと自分の思いを伝え形にしていくことが大事だと思います。

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――"不謹慎"発言で話題になっている有名人もいますが、気になったケースはありますか?
乙武 陸上の為末大選手が「今だからこそスポーツをするべきではないか」と発言をしたことに対し、賛否両論が巻き起こっているみたいだけど、スポーツ界にかかわらず、エンタテインメント業界についても、飲食・娯楽についても、積極的にやっていくべきだと感じています。それを不謹慎と思うのは自由だけど、相手にまで「不謹慎だからそれはやめるべきだ」と同じ行動を求めるのはおかしい。今、"不謹慎"かそうじゃないのかという議論をする時に、スタンスとして「相手に自分の思いを強要しない」ということが大事だと思っています。
――今回の"不謹慎"騒動とうまく付き合ってるな、と思う人はいますか?
乙武 僕は最近デーブ・スペクターさんのTwitterにハマっていますね(笑)。
【こんな時にささやかなギャグですが・・・ミネラルウォーターの緊急輸出を検討しているアメリカの州→水売り州】
くだらないんですけど、ちょっと面白くないですか?(笑)あえて、"不謹慎"スレスレのダジャレを持ってくることで、クスッと笑ってしまった人はいっぱいいると思うんですよね。そういったことで救われた人もいると思うんです。
――乙武さんはよく、Twitterで個人に対してリプライをしていますが、意識していることはありますか?
乙武 僕の発言には毎日、何百何千とリプライを頂くのですが、中でも多くの方に考えていただきたい内容に関しては、リツイート(※Twitterにおいて、ほかのユーザーのツイートを引用形式で発信すること)して広く意見を募るなどといったことはしています。
■「僕に対して"かたわ"とからかうくらいの人の方が接しやすい」
――東京都金町浄水場(葛飾区)の水道水から、乳児の飲み水についての国の基準の2倍を超える数値の放射性ヨウ素の検出したと発表をし、同浄水場から給水している東京23区と多摩地域の5市を対象に、乳児に水道水を与えるのを控えてほしいという報道があった際に、乙武さんがTwitterで「被曝する前から奇形だしな!とか言うと怒られるの?」と言われたことに「飲んだら、むしろ生えてくるかなo(^o^)o ワクワク」と返してらっしゃいました。どういうお気持ちであのような回答をしたんですか?
乙武 僕にとっては、そういうネタを振ってくれる人の方が接しやすいんです。逆に「そういうのはけしからん!」と思う人たちの方が接しづらい。2ちゃんねるでも、僕の手のことを"手羽先"という人がいて、面白いな~と思いました(笑)。本質は、言葉ではなく、その人が僕に対してどういう思いを抱いて発言をしているのかということだと思うんです。
例えば、僕に対して「かたわ!」と言う人がいたとすると、それは「不謹慎だ!」と言われたりするかもしれない。でも、僕のことを大事に思ってくれている友人が、「こいつ"かたわ"だからさ~(笑)」と言ってもそれは失礼ではないと思うし、僕も傷つかない。それが「乙武さんは、そんな体なのに頑張っていらっしゃって......」と、きれいな言葉で言っていても、実は障害者である僕のことを見下して言っていたとしたら、そっちの方が失礼だと思うんですよね。
だからといって、ほかの障害者の方に対しても同じようにからかっていいのかというと、それは、その人によって受け取り方が違うので、そのあたりはすごく慎重にならないといけないと思うし、障害者と接する場合だけではなく、普段の人間付き合いでも大事なことだと思うんですよね。
"不謹慎"も同じで、どんな言葉でも受け取る人次第だから、発信する方も聞く方も、常にそこは意識するべきだと思いますね。
――最後に、乙武さんの近況について教えてください。
乙武 4月1日に東京都練馬区で「まちの保育園」をオープン。役員として経営に携わっていきます。ここまでの話ともつながりますが、現場の先生方には、子どもたちのためだと思うことは積極的に取り組んでもらい、その意図に対して保護者から寄せられてくるであろうさまざまな意見もあるかとは思いますが、すぐに謝るとか、やめるのではなく「意図に対して理解を求める毅然とした対応を心掛けてください」とお話をしました。賛否両論あることを覚悟の上で、しっかりと自分の思いを伝え形にしていくことが大事だと思います。
五体不満足 [単行本] 乙武さん、ありがとうございました!
「自家用車に"ひばく"とスプレー書きも」嫌がらせを受ける東電若手社員の本音
東日本大震災で発生した福島第一原発事故の被害の広がりを受けて、東京電力への批判は強まるばかりだ。命の危険も顧みず必死に事態悪化の阻止を試みる現場作業員たちが英雄視される一方で、東電本体は事故への対応の悪さが指摘され、下請け作業員の被ばくには監督責任を問う声が上がっている。
東電は傘下に原発運営会社があり、さらに現地のメンテナンス請負会社、メーカー系列の派遣技術者などが複雑に絡んでおり、同じ東電関係者でも立ち位置には開きがある。
かたや英雄、かたや悪者......都内に勤務の東電社員は被災地から遠く離れていることから後者と見られやすく、在京の東電社員には嫌がらせが相次いでいるという。
「近隣の住民の方々から"早く解決しろ"とおしかりを受けた」というのは、都内勤務の東電社員Aさん(29)。現在、社員寮に住んでいるが、日増しに風当たりが強くなり、ついには駐車場の愛車にスプレーで「ひばく」と書かれる目にも遭ったという。
「寮に出入りするだけで鋭い視線が通行人の方から飛んできます。真夜中に"おい、さっさと福島に行け"という怒鳴り声も聞こえました」(Aさん)
先日、この寮は「東京電力」と書かれた社員寮の表札をビニールテープで覆い隠し、社名のないプレートと差し替える事態となった。
「石を投げられたとか、寮を出るところを記者に待ち伏せされたとか、そんな話も聞いたので、現在は埼玉県にいる親せきの家から通っています」とAさん。
渋谷にある社宅に住む東電社員Bさんは、実際に記者の直撃を受けたというが、その内容は福島の原発ではなかったという。
「社宅の建設を施工したのが西松建設だと知っているか、と聞かれました」
西松といえば裏金問題で騒がれた渦中の業者。東電の原発事業にも深く食い込んでいたと見られており、すでに一部マスコミは原発事故に端を発して見えてきた"電力の闇"にも探りを入れ始めているようだ。仮に利権がらみの問題の一つでも浮かび上がってくれば、東電に対する世間の目は一層厳しくなるだろう。
「正直、ノイローゼ気味です。会社を辞めたいけど、いま辞めたら"あのとき逃げたやつ"と一生、十字架を背負うことになってしまう。病院へ通うにも批判がありそうで、しばらくは耐えるしかないです」(Aさん)
また、東電の社員を名乗る人物がブログに「これまで電力を使っていた国民が被害者面するのはおかしい」という内容の日記を書いたことで批判を浴び、ブログを閉鎖するなど東電内部と国民の間の温度差は日増しに広がっていくように見える。
未曾有の大事故と東電上層部の不手際によって、末端の技術者や若手社員に対しても三次被害、四次被害ともいうべき状況が発生し始めているようだ。放射線という見えない恐怖への不安が消えないうちは、東電に対する風当たりが弱まる気配はない。怒りと憎しみの連鎖を少しでも早く止め、復興への足がかりを整えるためにも、官邸と東電には一日も早い事態の収拾を望みたい。
原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告
教訓は、生かされない。

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「紙がない!」製紙工場被災と広告激減で出版界大倒産時代が来る!?
伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ギョーカイの内部情報を拾い上げ、磨きをかけた秘話&提言。 東北・関東大震災は出版界にも大きな爪あとを残した。 まずは相次ぐイベントの中止だ。マガジンハウスは「ターザン」の創刊25周年パーティを、光文社での「日本ミステリー文学大賞」贈呈式をそれぞれ中止し、「ダ・ヴィンチ電子書籍アワード」受賞式も延期されるなど、自粛ムード一色だ。 だが、それ以上に出版業界の実情は深刻だ。最初に問題となったのが流通だった。震災直後の輸送燃料の不足や道路状況の悪化などのため、3月16日発売の「週刊文春」(文藝春秋)、「週刊新潮」(新潮社)などが17日発売にずれ込んだ。雑誌はすでに刷られていたという。その後の19日まで、取次は1日1回行ってきた配送を隔日にした。またアマゾンジャパンでは、東北地方からの注文受け付けを中止し、他地域での配送も大幅に遅れている模様だ。 さらに深刻なのが紙不足だ。出版業界の印刷用紙の約4割を供給していた宮城県の日本製紙石巻工場と青森県の三菱製紙八戸工場が被災してしまったからだ。 「このため震災後、各社紙の確保には必死のようです。『週刊朝日』(朝日新聞出版)はしばらく変則発売日になり、また震災に関係のない書籍の発売を半年以上も遅らせたり、別冊企画は延期するなどの処置を取る出版社も出ています」(前出関係者) 日本雑誌協会によれば計191誌もの雑誌が発行休止、または発行を延期するという。 「今回の震災の影響で最も不足しているのは女性誌などに使われている、光沢のあるコート紙です。女性誌の中には紙の質を変えるといった対策をとっていますが、海外高級ブランドは自社宣伝にこのコート紙を使用することに拘る所も多い。そのため発売を順延するなどの対策に必死です」(出版事情に詳しい関係者) 震災がなくとも出版業界には不況の嵐が吹き荒れていたが、今回の震災はさらに深刻な事態を招くのではと囁かれているのだ。 「問題は半年後でしょう。現在は印刷所や他製紙会社からのストックをかき集めていますが、それが確保できるのも今後半年と見られています。そうなれば中小を中心に出版社の倒産が相次ぐのではないか」(中堅出版関係者) それだけではない。今回の震災で経済全体の打撃から、企業広告の激減さえ容易に予測される。何重にも折り重なる苦難が待ち受けているといえるのだ。 こうした状況は、原発事故でさらに拍車をかけている。それが相次ぐ作家や漫画家の東京脱出だ。 「彼らは東京にいなくてもしばらくは仕事ができますからね。現在のところ一時的避難でしょうが、これが長期化すると出版社も文芸や漫画部門などの機能を地方に移すことも検討しなくてはならない。小学館などは『松本零士先生と高橋留美子先生が移住すれば、その場所に本社を移す(苦笑)』なんて笑い話まで出ている」(小学館関係者) 今回の震災を機に、電子書籍化の波が早まるのでは、との声も聞かれる。だが、こんな時だからこそ、テレビでは映さない紙媒体での秘話や写真を渇望する読者も多いのだ。 出版界でも週刊誌を中心に記者たちの必死の取材は続いている。彼らの活躍の場を死守すべく、出版界も正念場を迎えている。 (文=神林広恵)「東洋経済」3月26日号
【東日本大震災】原発職員がこぼした本音、略奪を踏みとどまらせた被災者の心
原発施設から30キロ以上離れているために「避難勧告」も「屋内待機指示」も出されず、情報も移動手段もない中で、過酷な自己決断を迫られている住民の苦悩については既報の通り(記事参照)。
80歳の女性が被災後も営業を続ける乾物屋さんを後にし、県道352号線(豊間―四倉線)をさらに北上する。ほどなく国道6号線「越前浜街道」と合流し、道の駅やホームセンターなどが「あった」同町3~5丁目のエリアへ。地震が起こるまで観光客や地域住民のくつろぎの場だった「道の駅 よつくら港」は爆撃を受けたかのように破壊され、大型ホームセンターも見るも無残な姿を晒している。
国道を挟んだ民家の前には乗用車が不可思議に重なりあい、壁に突き刺ささるように車体を横たえている。ニュース映像で惨状は散々見せつけられてきたはずだが、皮膚感覚で見る現場の空気に言葉を失う。

民家の片付け作業していた一人の男性と立ち話になる。聞けば、偶然にも(?)福島原発の関係者だという。同原発を管理しているのは言うまでもなく東京電力。だが、実際に現場に携わっているのは東芝、日立、IHIといったいわゆる「協力会社」と、その下請け、孫請け業者である。男性はそのうちの一社に約20年以上の期間を勤務(本人の希望で社名は伏せる)。地震発生時は広野火力発電所で作業の真っ最中だったが、敷地内の高台に避難して職員全員が命をとりとめた。男性の住居は四倉町ではないものの、この日は知人の家の片づけを手伝いにきたのだという。
「俺自身、20年以上原発で働いてきたから、安全管理がしっかりしていれば放射線なんて全然怖くないという気持ちがあった。けど、今回のことでその根本が崩れたわけで......。いや、崩れたと言っちゃダメなんだろうけど......。とにかく、原発にはこれから猛烈な逆風が吹くと思う。なにより、第一(福島第一原子力発電所)のプラント復旧を急がないとならない。現場で命がけで戦っている仲間たちの無事を祈るしかないよ」
津波の勢いで破壊されたホームセンターを覗いていると、一人の男性が早足で近づいてくる。すわ、"火事場泥棒"と間違われたか? が、男性は笑顔でこう言った。
「○○○(ホームセンターの名)の方ですか?」
近所に住んでいて家が流されたというその男性は、まだ使える物資が店内にありそうなので、ホームセンター側に許可を得たうえで一部を譲ってもらえないかと考えていたという。本社に電話で聞こうとしたが通じず、そのうち携帯のバッテリーも切れてしまった。こうした極限状態でも、この男性は「お店の許しを得て」と考えているのだ。自分が男性の立場だったらどうするだろうかと、自問してみるが答えが浮かばない。
「避難所でニュース見てると、『日本人は略奪もしないで冷静だ』と海外に報道されているらしいじゃないですか。だから、自分がそれ(黙って持ち去る)やっちゃダメなのかなと思って......(笑)。でも、これ、このまま放置しておくのももったいないし......」
県内でも被害の多かった同地区では、福島県警広域緊急援助隊や地元消防団らが、地震の三日後から海岸近くで行方不明者の捜索を行った。男性の家族は幸いにも全員が生き延びたが、近所の知り合いの遺体がこの近くで見つかったという。疲れきった口調で男性がつぶやく。
「命だけでも助かってよかったと思う気持ちが半分、何もかもなくなってこれからどうやって生きていけばいいかとも思うのが半分。そもそも、ここは国が逃げろと言わないから安全ってことなんですかね? 30キロより離れていれば、放射能は大丈夫なんでしょうか。何もかもわからないですよ」
(文=浮島さとし)
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道の駅「よつくら港」付近にて。乗用車が折り重な
り、住宅に突き刺さる。非日常的な光景が一面に広が
り、現実感が薄れてくる。

横転する車に道をふさがれて呆然とたたずむ男性。
いわき市四倉町にて。

片づけをしていた主婦は「4台の車が全部流さ
れた」と肩を落とす。自宅前に山のように積まれた廃
材やがれきを見ながら「明日、燃えないゴミの日だ
な」と独り言を言った。

津波に襲われたホームセンターの惨状。

国道6号線は明不作(みょうふさく)地区から福島
第二原発20キロ圏内に入るため立入り禁止区域に
なっている。防護服に身を固めた警官が常駐している。
食料も燃料も絶たれた"グレーゾーン"で苦悩する被災者たち
東日本大震災の発生から早くも2週間が経過した。東京電力福島第一原発は、いまだ予断を許さない状態が続いている。原発施設から半径20キロ圏の地域に「避難勧告」、20キロから30キロ圏に「屋内退避指示」が出されていることは周知の通りだ。
一方、原発施設からおよそ35キロ前後に位置する福島県いわき市四倉(よつくら)町は、今回の大地震とそれに伴う津波で甚大な被害を受けた地区のひとつ。国から避難勧告や屋内退避指示は出ていないものの、一部の住民は放射能汚染を恐れて"自主的に"県外へ脱出。残された多くの住民は、自宅や避難所で"自主的な"屋内退避に務めているのが実情だ。町の多くのエリアはひっそりと静まり返り、商店や住宅があったはずの県道382号線を車で走ると、人の気配はほとんど感じられないという状態である。
そんな状況下にありながら、乾物屋を営む鈴木式子(すねこ)さん(80歳)は、今日も「営業中」の紙を店頭に貼りだし、野菜や干物などを細々と売り続けている。11日の地震発生時は、いつものようにこの店で営業をしている最中だったという。
「揺れたねぇ、びっくりしたよ。ただ、ここらは津波がそれほどじゃなかったのでよかったんだ。腰くらいまで水が襲ってきたけど、そこの金網(店の前にある幅5mほどの金属製フェンス)につかまって助かったんだ。これがなかったら終わりだったな(笑)」
かろうじて流されずに残った商品を売り始めたのは、地震発生から3日ほどたってからだという。
「逃げる場所なんてないし、これからも四倉に住み続けるよ。今ある商品だけでも売っていれば、少しは日銭も入るしね」
そう明るく語る式子さんだが、地震直後はカップラーメンや菓子パンを求めて客が押しかけたものの、保存の効く「非常食類」が売切れた後は客足はほぼ途絶えた。福島県産の一部の野菜から暫定規制値を超える放射性物質が検出された事実も逆風になった。訪れる観光客が間違いなくゼロという現状で、地元民が買いに来なければ商売にはならない。この日、トマトとじゃがいも、干物を購入した我々に対し、「今日の客はあんた(筆者)とあんた(カメラマン)で3人目だ」と式子さんは笑った。
また、運送業者らが「汚染地区」のレッテルを貼られたいわき市に来たがらないとの情報もあり、物資が市下全域に十分に入ってこない状況が続いている。必然的に式子さんの店でも仕入れが全くできていない状態だという。商品が売れても売れなくても、商売をいつまで続けられるかは不透明だ。
「津波はもう来ないよ、大丈夫だ」と話していた式子さんだが、「放射能は心配じゃないのですか」との問いには、数秒の沈黙の後に「私らは最後までここにいるよ」と静かに答えた。
一方、息子の久幸さん(53歳)も、津波の発生時は式子さんと共にフェンスにしがみついて難を逃れた一人。30キロ圏から外れる四倉地区を「グレーゾーンだ」と表現し、おっとりした口調ながら、見通しの立たない今後への不安と苛立ちを隠そうとしない。
「20キロは逃げろ、30キロは自宅にいろって、じゃ、31キロの人間はどうすればいいのかという話ですよね。逃げるも居続けるも自分で勝手に決めろと言われてるわけでしょう。そんなこといっても、情報もないしどうしていいかわからない。政府が責任をもって、『こういう理由でこれだけ危険、だから逃げなさい、その負担は国や県が持つ』とはっきり言ってくれないと、住民は財産もなくして逃げる力もない。そもそもガソリンが全然ないんですから」
そう不安げに語る久幸さんの本業は漆職人だ。実は、福島第一原発から10キロ圏内にある神社から昨年メンテナンスを依頼され、漆や金箔の張替え工事を終えたばかり。リフォームを終えた神社の鳥居や建物が、地震の被害でどんな状態になってしまっているか、「気がかりでしょうがない」と顔を曇らせた。
おりしも枝野幸男官房長官は25日の会見で、「屋内退避」が出ている30キロ圏の住民について、「物流などで停滞が生じ、社会生活の維持継続が困難になりつつある」との認識を示しながら、「自主的に退避をしてもらうことが望ましい」とコメント。ことここに至っても、国は被災者に<自己責任で努力せよ>との方針を貫くようだ。30キロ圏外については推して知るべしである。
通りかかった四倉地区に住む別の男性が、吐き捨てるように言う。
「国に何でもしてくれなんてお願いするつもりはないんですよ。せめて、移動用のバスだけでも用意してもらえないんですかね。なぜ無理なんでしょうか。そんな難しいことですか? 自分で逃げろといったって、ガソリンがなければできるはずがない。被災地に燃料がないなんて、日本人全員がわかってることじゃないですか」
そもそもが根拠のあいまいな「30キロ」という国指定のあいまいなゾーン。そして、そこからも漏れた"グレーゾーン"で、不安におののきながら選択を迫られている住民たち。彼らの肉体的、精神的ストレスは限界にきている。追い詰められた住民の声に、国はいつ真剣に耳を傾けてくれるのだろうか。
(文=浮島さとし)
北茨城・磐城と相馬街道
文化の宝庫。

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今年80歳になる式子さん。被災したとは思えないほどの明るい笑顔が
印象的。お話を伺っている最中も震度5の余震があった。

手書きの「営業中」の紙を貼り出し、わずかに残された野菜や乾物を
今日も売る。取材に対して一気に思いのたけを吐き出した。
「もっと避難所を映せ!」サンドウィッチマン伊達の"提言"は震災報道を変えたか

サンドウィッチマン伊達みきお
オフィシャルブログより
宮城県・気仙沼でのロケ中に被災したお笑いコンビ「サンドウィッチマン」の2人が、生放送中の番組でテレビ批判をして話題を呼んでいる。15日、日本テレビ系の情報番組に出演したサンドウィッチマンの伊達みきおは、「津波の凄い映像とかもういいから! 避難所を映してほしいんです。全局で同じことやってる事態じゃないですよ今」と提案。
2人とも仙台市出身とあって故郷を思う気持ちは強く、「救援物資が1個も届かないというのが、僕のブログのコメントにも入ってて、僕らに伝えてくれって頼まれた」(伊達)と必死の感情が伝わってきた。
これに芸人・なだぎ武がブログで、「それから日テレでの映像が変わった......メディアの流れを変えた」と賛美。実際、この時期からテレビで被災者の声を伝える趣向が強くなったことが伺えた。これが事実なら革命的な提案だったことになるが、当の局側からは"やむにやまれぬ事情があった"という声も聞かれる。
「提案は素晴らしいことだと思いますし、至らない部分は申し訳ないと思います」と、ある日本テレビディレクターは前置きした上で、「もともと被災者の声を届ける予定だったが、現場には現場の事情があった」と明かす。
「まず、震災直後はまだ取材スタッフが現地入りできていない状況で、ほとんど現地の支局から入る映像頼み。支局がない茨城県の映像が少なかったのも、そのせいです。支局のスタッフも家や家族を失った人がいて混乱する中、地域ごとの被害状況もハッキリ分からず、交通手段もない手探りの状況でした。取材材料に乏しい中では同じ映像を何度も流すしかなかった部分はあります」(同)
ようやく撮影機材を持ち込めても、そこはとても取材どころではない状況だったという。
「当初は負傷して血だらけの人や、家族を失い錯乱する人がいて、そこですぐに撮影を、というわけにもいかず、仕事を中断して現場の手伝いをしたスタッフも少なくなかったんです。避難所は一時的にも生活空間になっていて、無断で撮影はできないので、行政側の責任者と調整も必要でした。これは阪神大震災のときも同じで、当時も被災者情報は流しましたが、今回は場所が都市部でなかったので時間がかかったのです」(同)
また、伊達が「この局は安否確認、この局は原発、と役割を」と局ごとに分担して放送すべきといった意見には、「それができればこっちもスタッフを減らすことができますが、それは全系列の局が見られる中央にいる人の意見。チャンネルの少ない地方では、局ごとに分担すれば一部の情報しか入らない地域が出てきます。悩ましいところなんです」と前出ディレクター。「ただ、伊達さんのあの発言が私たち現場のテレビマンの背中を押してくれたことは間違いないですよ」と付け加えた。
未曾有の大災害を受けて、改めてテレビ局という大メディアの存在意義が見直される昨今、現場には志の高いテレビマンも決して少なくないようだ。
募金詐欺にご注意を!? 震災後マスコミに届いた怪しすぎる"寄付"メールの正体
大震災から3日後の3月14日、慌ただしく動く報道関係者に届いたメールがあった。
「Japan Earthquake Emergency Team」と名乗る団体からなのだが、内容は日本語の文章がおかしなもので、外国人が翻訳サイトを通して訳したようなものだった。
「日本の地震で何らかの方法でどこからでも助けなければならないなら、地元のボランティアは日本中で助けに現場です。外の救援の努力に滞在する場所か他の支援を提供するのを手伝うことができるなら、協力してください。短期間支援にさえ大いに感謝します」(原文ママ)
おそらくは被災地への支援を募っているのではないかと思われるが、不思議なのは、なぜか報道関係者ばかりに送られたことだ。「天罰」発言が話題になった石原慎太郎都知事の会見場で、携帯電話やノートパソコンで同じメールを同時に受け取った記者が複数いた。その後に分かったのは、テレビ局ディレクターや雑誌編集者まで幅広く受け取っていたことだ。
さらにメールは続く。
「水、食物、缶詰、インスタント食品、寝袋、毛布、テント、および発電機や、仙台や、福島などの救援物資の補給における救助活動におけるサイトをしています。そのうえ、貯蓄のための20リットルのガソリンのためのドラムもすぐに十番目に、ガソリン不足のためあった状態で少なくとも必要です」(原文ママ)
物資を送れということなのだろう。仙台市内の住所と携帯電話番号が記載してあり、その住所を調べると今回の被災で閉館されているホールのものだった。そして、文末のURLをクリックすると、いきなりクレジットカードの決済画面で寄付を募る画面が表示された。
団体の所在住所などもなく、記載の電話番号に電話すると、カタコトの日本語を話す外国人と思わしき男性が出た。
「ジャパン、タイヘン。キフ、オカネ、クダサイ。イマ、オクル。センダイ、ダイジョウブ」
男はジョセフと名乗ったが、こちらの質問には答えず、金を送れと繰り返すのみ。
この団体のメールはその後も同じものが何度も届いており「8通も届いた」と話す記者もいる。
「名刺に書いてあるアドレスだけに来ているので、何らかの会見などで報道関係の名刺を大量に持っているのでしょう」と同記者。
実際に被災地を支援をしている団体なのかもしれないが、きっかけが心当たりのないメールで、応答にも話が通じないのでは寄付する側としては不安だ。
海外では募金をするのは当局への届け出が必要な国もあるが、日本では規律はない。各地で募金詐欺が起こっているいま、国民が正しい判断をするためにも、法整備が必要になってきているのではないか。
(文=鈴木雅久)
こんな募金箱に寄付してはいけない
よく考えて。

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猛烈な津波が押し寄せ、死亡・行方不明者が2万人を超えるなど最悪の惨事となった東日本大震災。被災地帯の真ん中に当たる福島原発は次々と破壊され、空中に飛び散った多量の放射性物質が関東地方を襲うのではないか――大手マスコミはそんな懸念を伝え、都会に住む人々の不安を煽っている。 だが、震災の「揺れ」そのものが、首都圏にもたらした被災状況は意外と伝わっていない。たとえば、東京と千葉の都県境にある巨大な埋め立て地を抱える浦安も深刻な事態に見舞われ、あの東京ディズニーリゾートの営業再開の見通しが全く立っていないという。 「震災発生当初、津波をかぶったわけでもないのに、ディズニーリゾートの駐車場が水浸しになっている映像が一時テレビで流れました。埋め立て地特有の『液状化』を起こしたんです」(地元記者) このニュースは、その後、震災報道が東北地方に集中したせいでほとんど伝わっていないが、ディズニーリゾートがある千葉県浦安市では20日午前8時現在、1万9,000戸が断水し、減水も1万4,000戸で発生。修復作業をしていたら、新たな漏水も発生するといういたちごっこの状態が続き、復旧の具体的なメドはたっていないという。 「液状化の影響で、地下に埋まっている配水管が破損したんです。ガス管も壊れて都市ガスの供給もストップ。液状化で地面から土砂が噴き出してあちらこちらにあふれ、ライフラインは壊滅状態です」(前出・地元記者) 当のディズニーリゾート側は「施設内は断水していない。建物や施設に大きな損傷はなく、駐車場の一部を除いて液状化現象はない」と説明しているが、浦安市のホームページを見ると、ディズニーリゾートを取り囲む形で断水やガスの供給ストップが広範囲にわたっており、アジアナンバーワンのテーマパークも、今や「陸の孤島」と化している。もちろん、液状化の被害は浦安市内各所に及び、事態は深刻だ。 今回の震災を受け、統一地方選を延期する特例法が18日に成立しているが、対象となるのは東北各県や茨城などの被災地に限られる見通し。だが、現実には浦安の例にもわかる通り、首都圏でも被災地と呼べるところはある。通常の市民生活を送れない中で、有権者が冷静に選挙などに望めるだろうか。浦安市選管も選挙の延期を訴えている。さらに、計画停電の対象地域にも入っている。人知れず起きている震災の惨禍。大手マスコミが伝えない事実を今後も紹介していきたい。東京ディズニーランドHP














