ネオヒルズ族 与沢翼インタビュー「情報ビジネスなんてカッコ悪いと思ってた」

【サイゾーpremium】より 無料購読キャンペーン実施中! チャンスは明日まで! (2013年3月15日まで) 「ネオヒルズ族」──そう呼ばれる若き経営者の一群が、最近話題になっている。情報商材などを扱ったネットビジネスで何億という金を稼ぎ、六本木・麻布界隈を闊歩するニュー・リッチたちのことだ。テレビや雑誌などへの露出も多く、この呼称を目にする機会も増えてきたが、果たして彼らは本当はどんな実態を持ち、どんな稼ぎ方をしているのか? 華やかなライフスタイルばかりが報じられる彼らの真の顔と、そのビジネスが孕む危険性を今のうちに推し量ってみたい──。
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(写真/石黒淳二 go relax E more)
 東京都内で電車に乗る人であれば、今年初頭から、車内でこの写真の人物の広告を見たことがあるだろう。彼の名は、与沢翼。最近各種メディアを騒がせている「ネオヒルズ族」の中心人物だ。  2000年代中盤のヒルズ族ブームは、06年のライブドア事件を引き金に幕を閉じた。それから約7年後の今、勃興してきたのが「ネオヒルズ族」である。  彼らのビジネスの中心は、アフィリエイトや情報商材だ。彼らが勧める商品を消費者に購入してもらうことで宣伝手数料を得たり、出演DVDやセミナーの参加権を販売して利益を得ている。そこで稼ぎ出す額は「年収●億円」「月収●千万円」と謳われており、その金で六本木界隈の高級マンションに住み、外車に乗って豪奢に遊ぶ。  本特集では、派手な生活の裏に隠された本音から、彼らを支える儲けのからくりとその危険性、そして元祖ヒルズ族との違いまで幅広く読み解き、ネオヒルズ族と、その新しいビジネスを検証してみたい。まずは手始めに、1億円の札束を前に不敵に微笑むこの男、ネオヒルズ族の首領 与沢翼氏へのインタビューからお読みいただこう。 ――与沢さんといえばテレビなどで見せる派手なお金の遣い方が印象的ですが、まずは現在の主な収入源を教えてください。 与沢 最も稼ぎが多いのは、プロダクトローンチ【註1】という手法を使った情報商品の企画と販売です。あとはアフィリエイト【註2】や、メールマガジンの広告枠販売。ほかにも女性向けのバストアップ教室への集客、最近ではホストクラブと提携して新人発掘プロジェクトの話も進んでいますし、一方では太陽光で発電した電気を売るビジネスも進行中です。 ――ずいぶん事業が幅広いですね。 与沢 ただ、今の会社Free Agent Styleの創業は2012年の5月なので、まだ本当に始まったばかりなんですよ。今の状態は決して完成形ではなく、あくまで軍資金と会社基盤を整えている段階。正直、このスピードでここまでの収益が出るとは思っていませんでしたから。 ――あ、思ってなかったんですか。 与沢 個人でアフィリエイトを始めて、たった3カ月で日本一になりましたからね。それまでのアフィリエイト業界では、月収数百万円でスーパーアフィリエイターと呼ばれていましたが、僕は月収で3000万円。僕の参入によって、ケタが1つ変わってしまったんです。さらに今では月間数億円という金額を稼いでいますので、結局は2ケタ変えてしまいました。 ――それは、今までのアフィリエイターとは、何か決定的に違うやり方だということですか? 与沢 そもそもアフィリエイトは、個人が副業でやるようなビジネスでした。でも僕は事業レベルで取り組んだ。あと最近の例でいうと、首都圏全域に著書『秒速で1億円稼ぐ条件』(フォレスト出版)の電車広告を自費で出したり、先行予約で買ってくれた人全員を本社に招いて会食をしたり。当たり前ですが、これってハンパないコストがかかるんですよ。でも結果としてamazonで総合1位、大手書店でも軒並み1位を取ったことで店頭での扱いも変わり、出版業界全体から注目を集めました。ここまでくればあとは勝手に売れていくので、最終的には回収できます。そういった投資の額やモチベーション自体も、かつてのアフィリエイターとは段違いですね。 ――段違いといえば、与沢さんの提供する情報商材は、ときに100万円を超えるほど高額ですよね。正直、いくらなんでも高すぎるのではないかと思うのですが。 与沢 「情報にそこまで価値があるのか」という疑問は当然あると思います。ただ、これは需要と供給の問題なので、高額でも買う人がいればビジネスとして成立するわけです。高級車に7000万円をポンと出す僕のような人もいれば、たかが車にそんなお金を出すなんておかしいと思う人もいる、それと同じですよ。自由経済と個人の価値観に準じている以上、本質的に値段の高さは批判の対象になり得ないんですが、そこはまだまだ情報を売るという行為自体の認知が低い。でも実際に効果もあり、それだけの価値があることは間違いありません。また100万を超える時は情報だけでなく、システムやツール、ウェブデザインの制作請負などがパッケージ化されているので、情報単体では数十万を超えて売ったことはありません。 ――まだまだ続く与沢翼のアツいインタビュー! 続きは「サイゾーpremium」で! 無料購読キャンペーン実施中! 明日までのチャンス! (2013年3月15日まで) 【註1】ひとつの商品の発売に合わせてランディングページを作って集客をし、数回に分けて宣伝を行うことでセールスを伸ばす手法のこと。 【註2】成功報酬型広告のこと。いくつか形態があるが、与沢氏らネオヒルズ族が手がけるのは主に、企業から依頼を受けたり売りたいと思う商品を、ブログやメルマガなどで顧客に宣伝し、購入されたら紹介手数料を企業から受け取るというもの。 (文/おぐらりゅうじ) 【サイゾーpremium】より

元恋人からわいせつ画像で脅迫、10人に1人が経験?危険な専用表示サイトも

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 西武HDへ敵対的TOBか サーベラス、上場阻止狙い今週にも…株価つり上げ画策か 心が折れない人になるための3つの方法 冷たい(?)楽天ECコンサルをフル活用して売上を増やす術 ■特にオススメ記事はこちら! 元恋人からわいせつ画像で脅迫、10人に1人が経験?危険な専用投稿サイトも - Business Journal(3月11日)
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(「Thinkstock」より)
 別れた夫(妻)や恋人に復讐するための、わいせつ写真投稿サイトまで存在するこのご時世。元恋人から、わいせつ写真をネタに脅された経験がある人は結構いるようだ。  セキュリティ企業・マカフィーのレポート「2013年度版 恋愛、人間関係、テクノロジーに関する調査」によれば、10人に1人が元恋人から「わいせつな写真をインターネット上に公開する」と脅された経験があるという(調査対象はアメリカ人)。さらにそうした脅迫の内、実に60%が実際に情報公開・情報漏洩につながっている。  元恋人がそのような行為に走るきっかけは、次のようなものだ。まず約半数を占めるのが「嘘をつかれた」(45%)という理由。以下、「浮気された」(41%)、「別れた」(27%)、「結婚をキャンセルされた」(14%)、「他の人と一緒に写っている写真が(SNS等に)掲載されていた」(13%)となっている。最後の理由は軽い浮気をされた感覚なのだろう。  嘘にしろ浮気にしろ、何らかの恨みを持ったまま別れた元恋人は、仕返しをしてやろうと考える。その時、思いつくのが、現代では別れた相手の恥ずかしい写真や個人情報といったものになる。 「どうしてそんな恥ずかしい写真があるのか?!」と思う人もいるかもしれない。しかし、36%の人がバレンタインデーに「性的またはロマンチックな写真」をネットを介して送ることを考えていたというから、想像している以上に恥ずかしい写真のやり取りをしている親しい男女というのは多いようだ。  付き合っている時は、当人たちも盛り上がっているので恥ずかしい写真を送り合ったりするわけだが、いざ別れると冷静になり、写真の存在に後悔する。元恋人に送った写真などをすべて削除するように依頼したことがある人は、32%にのぼる。  意外なのは、元恋人から「わいせつな写真をインターネット上に公開する」と脅された(あるいは実際に公開された)経験を持つのは、女性よりも男性の方が多いということだ。一般的に、流出したわいせつ写真がネット上の“クチコミ”で広まるのは、女性の写真である場合が多い。ネット上でわいせつ写真を好むのは男性だからだ。しかし、実際に流出被害に遭っているのは、女性よりも男性だったのである。  別の海外ニュースソースによれば、アメリカでは、別れた夫(妻)や恋人に復讐するための、わいせつ写真投稿サイトまで存在している。元恋人の裸の写真やセックスの模様を撮影した動画を投稿することのできるこのサイトは、道義的にも問題があるということで12年春に閉鎖された。しかし、その後、復活し、今度は元恋人の住所まで投稿できるようになった。さらに、その住所を地図上に表示させる機能まで搭載しようとしているというから恐ろしい。  もちろん、こうしたサイトについては法的な問題も指摘されている。いずれにしろ、破綻直前の恋人間や夫婦間でのデジタルデータの取り扱いには、十分に気をつけておきたいものである。 (文=宮島理/フリーライター) ■おすすめ記事 西武HDへ敵対的TOBか サーベラス、上場阻止狙い今週にも…株価つり上げ画策か 心が折れない人になるための3つの方法 冷たい(?)楽天ECコンサルをフル活用して売上を増やす術 モデル・西山茉希、早乙女と復縁との一部報道について「ない」と所属事務所へ報告 “違法な”同人誌はなぜ放置されている? 600億円市場に突然警察介入の可能性も…

10年後、税理士や事務、営業などはなくなる? デジタル失業の時代が到来

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 最近の生命保険は、顧客無視で商品ゴリ押し? 急増する乗り合い代理店に気をつけろ! 死と隣り合わせ!補修必要な高速道路10万件…国土強靭化計画でも間に合わない? 女子高生が鶏を育てて解体して食べる 「命の授業」は残酷か? ■特にオススメ記事はこちら! 10年後税理士や事務、営業などはなくなる デジタル失業の時代が到来 - Business Journal(3月4日)
「Thinkstock」より
 毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「週刊東洋経済」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。 「週刊東洋経済 2013/3/2号」の特集は『2030年 あなたの仕事がなくなる』。コンピュータ技術の加速度的な向上が人間にしか出来ない仕事を大きく侵食し始めたーー。米国の経済学者らが書いた『機械との競争』(エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー共著/日経BP)が、米国で論争の的になっている。  リーマン・ショック後、世界的な経済危機は脱しても一向に失われた雇用が回復しない状況は、経済学者の頭を悩ませてきた。その答えは、技術の進歩が速すぎるためにコンピュータとの競争に人間が負け始めていることこそ、雇用が回復しない真の原因ではないかという、雇用喪失説の立場をとる。  コンピュータ技術やロボットの飛躍的な発展は、雇用の二極化をもたらすようになる。今までにない新しいビジネスを創ったり、感動的な音楽や文学を生み出すような直感的で創造的な仕事の領域と、高度な問題解決能力をも必要とする看護師や美容師、配管工といった反復作業ではない肉体労働はコンピュータやロボットには苦手な領域だ。  雇用はこれらの高所得を得られる創造的な職場と低賃金の肉体労働に二極化され、それ以外の中間層の仕事は急速にコンピュータに置きかえられる。それが、現在の総雇用減少の一因になっているというのだ。つまりデジタル失業の時代だ。  日本でも2005年の国勢調査「日本の人口」をもとにした『2000→2005年の職業別就業者数の増減ランキング』によれば、ソフトウエアやネットの普及の影響により、会計事務員はその1割(実数ベースで31万人)と高い就業者減少比率が見られた。商品販売外交員、事務用機器操作員なども高い就業者減少比率だ。 『機械との競争』の共著者の1人、アンドリュー・マカフィー(MITスローンスクール リサーチサイエンティスト)がインタビューに答えている。  IT革命の影響で恩恵を受けているのは高度スキルの人材だ。コンピュータ科学者やデータ科学者、プログラマーなどのハイテク分野の仕事で、アマゾンやアップル、フェイスブック、グーグルの社員は学歴もスキルも非常に高い。  一方で、コンピュータのおかげで文書事務が減ったことが一因で、事務や秘書、営業といったホワイトカラーの仕事が減っている。また、計算ソフトのおかげで、ソフト開発会社は儲かるが、会計士、税理士の需要はこの数年で8万人も減っている。  これまでは「テクノロジーは起業と雇用を生む」と考えられてきたが、テクノロジーは起業を生み出すものの、雇用は生み出さないどころか、奪おうとしてしまうのだ。  労働者が機械との競争に勝つためには、「コンピュータが得意としない学問を勉強することだ。コンピュータは創造性やイノベーションには長けていない。少ない人手で済む生産的な経済の到来に備え、社会や政府も、教育や政策を今から検討すべきだ。未来は刻々と近づいている。しかも非常に速いペースで」とアドバイスする。  一方で、新しい「仕事」はどういったものがあるか? 『part2 新しい「仕事」はどこにある?』で業界別に20年後に輝く職種を紹介している。転職支援サイト運営者によればキーワードは3つ。『IT、グローバル、環境などの社会問題』だ。  まずは、IT。インターネットにより個人の行動履歴が把握しやすくなったことで、統計学的な手法を用いて高度なデータ解析でヒット作品を予測する「データサイエンティスト」、SNSを通じて人材に直接接触する「ダイレクト・リクルーター」などだ。  次にグローバル化。2012年はサービス業の海外進出が本格化し始める転換点となった時代なのだ。  そして、環境などの社会問題。金儲けより人助け、従来とは一線を画した発想で会社を起こす「社会起業家」が増えているという。またペット向けのアロマセラピーを行なう「ペットセラビスト」や「シニア起業支援」といった日本の社会を反映したビジネスはまだまだ伸びていきそうだ。 ●デジタル失業の時代におけるビジネスのスタンダードとは?  今回の特集のなかで、今後の議論で押さえておきたい二つの考え方が出ていたので紹介したい。対談『「ワークシフト」をめぐり大激論 日本でも中間層の仕事は消え去るのか』では、グローバル化を前提に未来の働き方を説いた『ワークシフト』(プレジデント社刊)の著者リンダ・グラットン(ロンドンビジネススクール教授)と、日本人はローカルな特殊性を武器にすべきと説いた『10年後に食える仕事、食えない仕事』(東洋経済新報社刊)の著者・渡邉正裕氏という話題になったビジネス書の著者2人が日本の現状と将来をどう考えるかの激論を交わしている。  グラットン教授は「日本は先進国の中で最も同質化した国で、ユニークで興味深いが世界の人材市場は完全にグローバル化している。そういう状況は日本にも必ず影響する」として、その国にポジティブな影響をもたらす多国籍企業が、このままの日本では育たないリスクがあると指摘する。グローバル化の競争に備えた人材を、という立場だ。  一方の渡邉氏は「日本は同質化のなかでこれまで成長してきたので、この先20年もおそらく変わりにくい。一部の優秀な人以外の普通の中間層は、負けるためにわざわざ外に出て行かなくていい。閉鎖的で巨大な国内市場で戦えばいい。グローバル化すればするほど逆にグローバル化していない部分の価値も高まるはずだ」という反グローバル化のスタンスだ。  さらに渡邉氏は「たとえば、日本は失業率も欧米より低いし、犯罪も少なく安全です。そういう意味で、移民を受け入れないという方針を私は評価しています」とグローバル化と移民政策をめぐって対立の構図となっている。  途中、グラットン教授からは「何かすでに敗北をしてしまったような言い方ですね」と指摘されるほど渡邉氏の主張は、内にこもりがちな現代の若者の主張そのものだ。ただし、内にこもっていても、テクノロジーは職を奪い、さらに人口減少社会の日本は市場が縮小するために、若者たちの競争が激化するのは目に見えているのではないか? という疑問が出てくる。つまり、反グローバル化を選んでも激しい競争が待っている、また、現に起きているのではないか? という疑問だ。  渡邉氏もその直後の記事「ガラパゴス的雇用が、生きる道」で「国内市場が縮小し国内で職を得られなくなる」おそれを指摘している。その対策としては、「国内で資金が回るよう経済を盛り上げなければいけない」「必要なのは、一にも二にも競争政策だ」「政府は規制産業の既得権者たちとの戦いに勝てるかにかかっている」という論を展開する。政策となると規制改革論者の主張となるのだが、それをいうのならば、より強い同質性を構築されているのが政府と規制産業の既得権者との関係で、この部分の改革が同質性の強い日本ではできないから、この20年、不景気で国内がどうしようもなくなっているのではないか(規制改革は常に米国からの外圧・グローバル化でしか動かないのでないか)? という大きな疑問が出てくる。  大きな政策の話になるとどうも頼りなくなるのが渡邉氏のなどの内向き世代の議論なのだろうか? (文=松井克明/CFP) ■おすすめ記事 最近の生命保険は、顧客無視で商品ゴリ押し? 急増する乗り合い代理店に気をつけろ! 死と隣り合わせ!補修必要な高速道路10万件…国土強靭化計画でも間に合わない? 女子高生が鶏を育てて解体して食べる 「命の授業」は残酷か? 4つの性格別「悩みの解決法」 この言葉が出ると注意 仕事の進捗が遅れる“NGワード”

最後に勝つのは、実はアマゾンか?ハードベンダーの限界を見据える

【サイゾーpremium】より 進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!
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『アップル、アマゾン、グーグルの
競争戦略』
(エヌティティ出版)
「アップル神話」に陰りが見え始めたと、囁きあう声が聞こえてくる──。最近、アップルの株価が急落した。一時は時価総額世界1の座にまで就いたものが、どうしたのだろうか? これには、同社だけに限った話ではない「ハードベンダーの限界」という問題が密接に関わっているのだ。アップルの株価が急落している。2012年9月の最高額から4割近くも下落したというから尋常ではない。  アップルのティム・クックCEOはこの原因について、市場の不振に加え、MacとiPadの「共食い(カニバル)」があったと説明している。つまりパソコン市場が縮小して、タブレットに食われている。それがアップルの中でもMacからiPa dへの移行として表れているのだという説明だ。  クックはこうも発言している。 「カニバルは数字はマイナスだが、大きなチャンスでもある。われわれの基本方針はカニバルを恐れないということだ。もしカニバルを恐れれば、ほかの企業がその部分に食らいついてくる」  これは正しい認識だ。これまでもさまざまな企業が、自社内でのカニバルを避けるために新しい市場創出を尻込みし、結果としてその先の市場を他社に奪われてしまうというようなことを引き起こしてきた。それに対して、自社の製品が売れなくなる可能性も承知で、タブレットやスマホの市場創出に向かっていったアップルはあっぱれというしかないし、Macの売り上げが落ちていることを悲観材料にする必要はない。  しかし一方で、この先のアップルがどうなるのか? を考えると、かなり厳しいともいえる。なぜならハードベンダーであるアップルは、常に新製品によってイノベーションを繰り返していく必要があるからだ。  アップルはiPhoneとiPadによって、スマホとタブレットという、これまで存在しなかった新しい市場を創出した。これは素晴らしいイノベーションだ。しかし一方で、いったん作られた市場はどんどん進化し、拡大し、それまでの製品をコモディティ(日用品)化していく。サムスンやHTCなどの追い上げでAndroidをベースにした安価な機器が大量に投入されていくと、アップルの製品は高級さやデザインの良さでは相変わらず他社の上を行っているとはいえ、市場全体でのシェアは当然ながら低下していく。  すでに先進国のスマホ市場は飽和してきていて、今後期待される市場は中国やインド、東南アジアなどの新興国に移ってきている。ところがこういう市場では、iPhoneやiPadのような高価な製品はなかなか売れない。Androidベースの安価な韓国製、台湾製のスマホのほうが、圧倒的に競争力が高いのだ。そしてこういう新興国市場に今一番食い込んでいるのが韓国のサムスンで、世界市場全体では同社の市場支配力がどんどん高まっている。  実際、12年の第4四半期の数字を見ると、サムスンのスマホ販売台数は6300万台とトップで、アップルより1500万台あまりも多かった。市場シェアではサムスンが29%でアップルが22%。この差は、徐々に広がってきている。これは明らかに新興国マーケットに主軸が移ってきていることの表れだ。  アップルはサムスンなどに対抗するため、廉価版のiPhoneを出すのではないかという噂もある。真偽は定かでないが、高級イメージのブランド戦略で戦ってきたアップルが、サムスンと同じような安価なブランドイメージに対抗して果たして大丈夫なのか? という懸念もある。  これはハードベンダーが成長して巨大化していくと必ず抱えてしまうジレンマで、アップルとしては難しい選択になるだろう。iPhoneやiPadの先にさらに先進的な製品を出し、ユーザーを惹きつければいいのだが、そんなことはジョブズが生きていたってそう簡単ではない。 ■革新性がなくてもいいグーグル、アマゾンの強み  そもそも、イノベイティブなハードウェアを出し続けなければならない、というところに無理がある。  例えばグーグルやアマゾンに、革新的な新製品を期待している人はいない。それぞれNexus 7とKindle FireというAndroidベースのタブレットを出していて、よく作り込まれていて速度も速く、使いやすい製品だが、ものすごく先進的というほどではない。しかしだからといって、この2社がタブレットの革新性のなさを批判されることはあまりない。  なぜなら、2社がハードベンダーではないからだ。アマゾンはオンラインショッピングと電子書籍、それにクラウドサービスが本業。タブレットを売っているのは、その販売で儲けるためではなく、そのタブレットを使って電子書籍を読んだり、オンラインショッピングしてもらうことを狙っているからである。広告が本業であるグーグルは、Androidのモバイルデバイスが普及し、それで人々がブログを読んだり音楽や書籍や動画を楽しみ、SNSのGoogle+を使うようになれば、そこにさまざまな広告を付与できる可能性が高まるという未来像を描いているとされる。Nexusシリーズのタブレットやスマホを販売しているのは、それらの安価なハードウェアによってユーザーのデバイス体験をより増やしていきたいという狙いがあるからだ。  だからグーグルにしろアマゾンにしろ、販売すべきタブレットやスマホは高級品ではなく、安価で使い勝手の十分に良いもの、という結論になる。実際、両社の製品は非常に戦略的に安い価格で販売されている。そして確かに、売れている。アマゾンやグーグルの優位性は、ユーザーを囲い込むことによって持続可能なシステムを作り出しているところにある。両社がやっているのは、ユーザーが「アマゾン”の”モノを買う」「グーグル”の”コンテンツを観る」ということではなく、ユーザーが「アマゾン”で”モノを買う」「グーグル”で”コンテンツを観る」行動を取らせているということ。つまりは、ユーザー体験の基盤であるプラットフォームを作っているのだ。  もちろん、アップルもプラットフォーマーだ。iPhoneやiPa d上に垂直統合されたiTunes Storeを通じて、人々は音楽を買い、映画を観、アプリを利用する。しかし問題は、アップルの今の収益構造では、プラットフォームビジネスはあまり大きな割合を占めていないということだ。アップルのiTu nesからの売上高は10%程度でしかない。大半をiPhoneとiP ad、それにMacというハードの売り上げが占めている。特にこの4年ほどの間にiPhoneとiPa dが急成長したため、売上高の6割ぐらいをこの2つが占めるようになり、依存度は急速に高まっている。  これは素晴らしい結果だが、同時に将来への大きな不安材料である。常に革新的な製品を出し続けなければ、ハードの売り上げはいつかは縮小していく。プラットフォームが囲い込むビジネスのような持続性はハードの世界には乏しい。  そう考えれば、オンラインショッピングの入口出口をがっちりと握って収益力も高く、同時に「囲い込み」力もきわめて高いアマゾンが、最終的な覇権を奪う可能性が高いのではないか。私は最近、そう考えている。 【佐々木が注目する今月のニュースワード】 ■BEACON LOUNGE 赤坂にできた「ビジネスコンビニエンスラウンジ」というコンセプトのカフェ。理容室を併設し、ズボンプレスやスチームアイロン、電源なども無料。ビジネスマンのノマドワーキング向けに、こういう店が今後増えそう。 ■鯖江市 行政データをXML形式で提供することを決めた福井県鯖江市。北陸の小さな街だが、メガネの製造では世界的に有名で、IT政策にも非常に力を入れている。オープンガバメント的な方向に日本の自治体がここまで踏み込むのは初めてで、今後注目。 ■アーロン・シュワルツ プログラマーであり、インターネットの活動家としても常にその言動が注目されていた26歳のアメリカ人。検察庁などの不当な訴追を苦に、1月に自殺した。ネット犯罪の捜査や訴追のありかたについて、アメリカで大きな議論に。 佐々木俊尚(ささき・としなお) 1961年生まれ。毎日新聞、アスキーを経て、フリージャーナリストに。ネット技術やベンチャービジネスに精通。主な著書に『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『キュレーションの時代』(ちくま新書)、『「当事者」の時代』ほか。 「サイゾーpremium」では他にもITの裏側に迫った記事が満載です!】ソニーのセキュリティ意識はユルユル!?お粗末IT事情を関係者が徹底暴露!!「楽天は意外とオススメ」「ヤフーはまるで公務員」 IT賢者が有名企業を採点!セカンドライフは黒歴史になるか? AKB48を起用するIT企業のブラック度を徹底検証!
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「1億円あげるのでもらってください」巧妙な誘導で現金を巻き上げる、ネットの罠に注意!

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 昔から詐欺メールはあるものの、最近のニュースを見ると、なんで引っかかったのか不思議な事件が目に付く。自分だけは詐欺に遭わないと思っている人でも意外と引っかかってしまう、巧妙な手口を紹介しよう。  2010年に「1億円あげます」とYouTubeに動画をアップした人が現れた。余命が短く、身内もいないのでもらってくれという内容だ。連絡を取るべく書き込まれたURLを開くと、有料のSNSに誘導される。1億円の受け渡しなどについてメッセージをやりとりすることで、課金が発生するという仕組みだ。この罠のポイントは、「1億円あげます」と言っている人がお金を要求していないという点。もし、「手付け金をください」とか「抵当を外すので一度入金お願いします」とか言われれば、多くの人が手を引いたはず。しかし、第三者に見えるSNSが仕掛けたためカラクリに気がつかず、課金してしまったのだ。その被害者は、2年間で約2000人。被害総額は1億9000万円で、最大1000万円支払った人もいた。ある程度課金した人が、ココまで来たら1億円をゲットしないと損をしてしまうという状況にハメ込まれたというのも、被害総額が膨らんだ理由だ。ちなみにこのパターン、「遺産をもらってほしい」とか「若い男性に投資したい」など、さまざまなバリエーションが存在する。  「ロト6の攻略法を教えます」という手口も目にすることが増えた。まずは、第1段階で入会金をせしめる。これは1万円前後と小さい金額なので、もしやと思い支払ってしまう人もいる。その後、メールや電話でコンタクトを取り、ロト6の攻略情報を伝えるのだ。そのキモは、ロト6の当せん番号は作為的に選ばれており、確実に当てられる仕組みがあるというもの。その言い分を信じさせるためのテクニックが2つある。1つは、1等は当てられないが、2等は当てられるというもの。あえてできないことを言い、もっともらしく見せている。さらに、当たった金額の半額を戻してもらうように約束させること。すると、当たることは当たるのかな? と思ってしまう人が出てくるのだ。もう1つが、過去の八百長抽選の証拠を見せる手法。もちろん、八百長などは行われていないのだが、ロト6は数百回も行われているので、こじつけられる数字を見つけられることもある。例えば、「第○回の数字を全部2倍してください。それで10回後の第○回の数字を見てください。全部同じですね?」といった具合だ。ロト6の過去の当せん番号を公開しているページを見て、すわ! と思ってしまうのだ。  心理的な誘導方法は日々進化して、多様化している。そもそも、そんなオイシイ話が転がっているわけがない、と自分を強く持っていないと、誰もがネットの罠にはまってしまう可能性がある。自分だけは平気とタカをくくらず、詐欺かも? と疑うようにしたほうが被害に遭う可能性を減らせるので、日頃から注意を怠らないようにしていただきたい。 (文=柳谷智宣)

マイクロソフト製セキュリティソフトに問題あり? 「Microsoft Security Essentials」がウィルステストに不合格

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日本マイクロソフト
 ドイツのセキュリティ研究所「AV-Test」は毎年、セキュリティソフトのテストを行っている。このテストでマイクロソフトのセキュリティソフト「Security Essentials」が認定を取得できなかったのだ。  「Security Essentials」はWindows XP/Vista/7向けに無料で公開されているセキュリティソフトで、ウィルスやマルウェアを検出・除去するためのツール。Windows 8には標準機能としてWindows Defenderに組み込まれている。それまでは、有料のセキュリティソフトを購入するのが当たり前だったのだが、Windowsを開発しているメーカーが無料で公開したため、人気を集めていた。  「AV-Test」は一般的なマルウェアの検出に加え、ここ2~3カ月で見つかったマルウェアの検出率やゼロデイアタックの防御率などもテストしている。ゼロデイアタックとはOSやアプリケーションの脆弱性を突き、対策がなされる前に攻撃する手法のこと。「Security Essentials」はゼロデイアタックの防御率が64%、最近のマルウェアの検出率は90%にとどまった。ライバルの平均値はそれぞれ89%、97%となっている。  この結果に対し、マイクロソフトマルウェアプロテクションセンターのプログラムマネージャであるジョー・ブラックバードはネットで反論。検出できなかったマルウェアのサンプルのうち、94%は顧客のPCに影響を与えなかったという。マイクロソフトは、それまでのプロダクツを使っていた20万のユーザーのフィードバックを分析し、優先してブロックする機能を与えている。要は、ほとんどの場合、大丈夫ですと言っているのだ。しかし、0.0033%は被害を受けることも明らかにしている。100万人につき33人とはいえ、膨大な人たちが使っているセキュリティソフトなので不安であることは確かだ。マイクロソフトは、反論はしたものの、改良することも明言している。次のテストは「AV-Test」の認定を取得できることだろう。  万全を期すなら、それまでは他のセキュリティソリューションを導入した方が安心できる。シマンテックやトレンドマイクロなどの製品は認定を取得している。どうしても無料で使いたいなら、「Avast: Free AntiVirus 7.0」や「AVG: Anti-Virus Free Edition 2012 & 2013」を利用しよう。 (文=柳谷智宣)

「ネトウヨ」なんて存在しない!? マスコミの“勘違いスパイラル”に惑わされるな!

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 「ネトウヨ」という言葉の認知度が上がっている。「ネット右翼」のことで、匿名掲示板の「2ちゃんねる」などで、エセ右翼的な投稿を連発している人たちを指す。有名人やマスコミは、“ネトウヨがネット上で暴れており、手が付けられない”といった論調の発言をすることが多い。  ネトウヨのイメージは、2ちゃんねるが大好きで、オタクで、現実社会とのコミュニケーションが取れない人たち、といったところだろうか。「年収200万円以下の下層」とさえ言う人もいる。実際、これらのイメージは大きく間違っている。ネットの流れは、世間一般の流れと、それほど乖離しているわけではないのだ。  SNSの普及を皮切りに、一般の人がネットに書き込むことは当たり前になっている。ユーザーは、学生から社会人、社長から自営業者まで、まちまちなのだ。悪名高い2ちゃんねるも、盛り上がったスレッドを編集した「まとめサイト」のおかげで広く使われるようになった。Facebookと同レベルのユーザー数がいるというウワサもある上、女性のユーザーも増えている。ごく一部がネトウヨとしてくくっているような勢力は、実は普通の人たちなのだ。  先日の衆議院総選挙の前、ネットで安倍晋三氏を援護する声が高まった。そのため、ネトウヨを味方に付けた自民党は負ける、という意見がマスコミ側から出た。結果はご存じの通り、自民党の圧勝。ネットの流れと同じ結果が出ている。  もちろん、ネトウヨの定義にぴったりの手が付けられない輩もいる。思考停止状態で、聞くに堪えない幼稚な持論を連発。仕事をせずに、掲示板に張り付いている。とはいえ、それはごく一部で、こういう人たちが存在するのは現実社会でも一緒だ。関わりを持たなければいいだけ。掲示板なら、NG設定にして表示しなければいい。  ネットの流れが正解とか、ネットユーザーのほうが賢いというつもりもない。現実社会の世間とまったく同じなのだ。わかりやすいネタがあれば飛びつくし、自分の意見をゴリ押ししようとする人もいる。これは、テレビの内容を鵜呑みにする人やマスメディア側が世論を誘導しようとするのとまったく一緒。ただし、従来はマスメディアで簡単に誘導できた世論が、なかなか思い通りに動かないということはあるだろう。ネットでも眉をひそめるような投稿を見かけるが、そんな意見はスルーされ、消えることが多い。もちろん、ねつ造やデマも多いが、テレビや新聞も同レベルだ。  つまり、ネトウヨは存在するが、それは現実社会でエセ右翼がいるのと同じ。ネットの流れにレッテルを貼っても、それは問題から目を背けていることにしかならない。自分を攻撃する相手を貶めたいというのは理解できるが、意見を提示したいならもっとうまいやり方がいくらでもある。ネトウヨ叩き発言をして反発を呼び、勉強不足と見下してさらに反発を煽るのは賢くない。マスコミの世論誘導技術は芸術の域にあるが、すでに20代ではテレビよりネットを使っている時間のほうが多い。自分の意見を世間に提示したいなら、ネトウヨを民意と読み替えるほうが、失敗する確率を抑えることができるというわけだ。 (文=柳谷智宣) 「賢いネットの歩き方」過去記事はこちらから

ITジャーナリスト・佐々木俊尚が選ぶ、記憶に残るサイゾーでの執筆記事3選

サイゾーpremium」12月無料購読キャンペーン開催!
【サイゾーpremium】より
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ジャーナリスト・佐々木俊尚氏
――1999年の創刊以来、芸能界から政財界、ヤクザにIT業界まで、各業界のウラ側を見てきた「サイゾー」。巷間騒がれる小誌の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい! そんな思いから、「サイゾー」を愛読している物好きな(失敬!)有名人からおなじみの識者の方々に、「サイゾー」でしか読めないオススメ記事を選んでもらいました!! 今回の選者は、小誌にてIT業界の"真の状況"を深読み・裏読みするITインサイド・レポートを連載中の佐々木俊尚氏です。佐々木氏が印象に残っている執筆記事とは?

「サイゾー」で僕が記事を書くようになったのは、フリーランスになってすぐの02年頃からです。「サイゾー」はまだ創刊3年くらいでしたね。今回は、その頃に自分が書いた記事の中から、印象深く覚えているものを3つ選びました。 「新旧天才起業家合体パンチ! 西和彦×堀江貴文『今こそヤフーBBを売っ払え』」 (2004年05月号より)  アスキーの創業者として有名だった西和彦さんと、ご存知ホリエモンの対談です。今のように西さんがすっかり表舞台から身を引く前で、まだまだ業界では名前が通っていた頃。逆に堀江さんは近鉄バファローズ買収などに乗り出す前でした。つまり新旧起業家だったんですが、2人とも何しろアクが強いキャラクター。西さんのほうは「この若造が」と思ってるだろうし、堀江さんのほうも「失敗した起業家が出てきやがって」と思ってるだろうし、現場は緊張しましたよ。内容としては、当時話題だったデジタル家電は今後どうなるか? など、ITを中心に世相を語る企画だったのですが、話の端々にピリっとした火花が散るような、スリリングな対談でした。 「ホリエモンだって「チェンジ」する! メディアへの大量露出と「徹底抗戦」の勝算」 (2009年6月号特集「ホリエモンだって「チェンジ」する!」より)  堀江さんとは、球界参入騒動(04年)の直前くらいまでけっこう頻繁に連絡を取って、会ったりしていました。でもその後、彼がマスコミの寵児になってからは疎遠になっていたのが、数年ぶりに会ったのがこの記事です。まだ裁判が終わる前の頃でしたね。堀江さんはカメラマンの要望に応じてハンバーガーにかぶりついたりしてました(笑)。  西さんとの対談の頃からこの頃まで、やはりこの時期はインターネットの歴史がどんどん変わっていく時だった。だからすごくおもしろかったですね。  それから、ITとは違うけれど、北朝鮮に関するルポ記事も記憶に残っています。 「マスコミに不信感を抱き続ける、北朝鮮拉致被害者家族たちの『恨15年』」 (2003年04月号より)  ちょうど僕が「サイゾー」で仕事をし始めた頃というのは、北朝鮮から拉致被害者が帰国する動きがあった時期でした。それまで北朝鮮というのはタブーだったわけです。特にメディアは朝鮮総連に対してすごく恐れを抱いていて、とにかく北朝鮮の悪口は言わない、という時代だった。だから、横田めぐみさんのご両親ら拉致被害者の家族の声を一切取り上げてきませんでした。北朝鮮は拉致を認めていませんでしたから。それが02年の首脳会談で一転して認めたどころか、5人が帰国してきたのでみんなびっくりした。そこで、これまで黙殺されてきた「北朝鮮による拉致被害者の家族連絡会」(家族会)とメディアの力関係が一気に逆転して、メディアは家族会に対して全く反論できない構図ができた。それはそれで180度反対に振り切れ過ぎなのではないか? というのを、古巣の新聞社などに取材して執筆した記事です。  この頃の男性誌は、総合誌や論壇誌でなくても硬派な社会派ルポルタージュを載せる文化がありました。「サイゾー」はその中でも、新進の書き手の登竜門、というような感じでしたね。僕もこうした記事を「サイゾー」で書いているうちに、他の論壇誌や総合誌に声をかけられるようになっていきました。今はそうした月刊誌自体もかなりバタバタと休刊してしまっていますが……。  僕にとっては、「サイゾー」というと、編集部の人数が少ない【編注:創刊以来、だいたい常に平均5人程度】ということと、その人たちが雑誌のイメージを裏切っていわゆる“海千山千の強面”という感じでは全然ないのが印象的(笑)。創刊した頃から「いつまで続くのか?」と言われ続けて10年以上経っているから驚異的ですよね。IT系の企業に関する裏話の記事も、業界のことを知って書いているというのがわかっておもしろいです。そういうメディアは今はほかにないですから、これからもニッチにディープに探っていくとおもしろいと思います。 (構成/編集部) 佐々木俊尚(ささき・としなお) 1961年生まれ。毎日新聞、アスキーを経て、フリージャーナリストに。ネット技術やベンチャービジネスに精通。主な近著に『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『キュレーションの時代』(ちくま新書)、『「当事者」の時代』(光文社新書)ほか。「サイゾー」にて、佐々木俊尚の『ITインサイド・レポート』を連載中。 twitter:@sasakitoshinao 今なら無料で読める! 無料キャンペーンの詳細はここをクリック!!

依存症にご用心! 電話やメールの着信をうっとうしく感じたら“デジタルデトックス”

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 いまや多くの人がスマホを持ち、電話やメールだけでなく、TwitterやFacebookといったSNSから無料コミュニケーションアプリのLINEなど、さまざまなツールを使いこなしている。ビジネスもプライベートも関係なく、四六時中オンラインになっているのが当たり前の状況だ。地下鉄内で数分圏外になるだけでもイライラし、中には電波の届かない地下のお店などには入らないようにしている人もいるだろう。ここまでは利便性ととらえることもできるが、電話やメールの着信をうっとうしく感じてきたら要注意。完全にデジタル中毒の症状だ。受信するのが気が重く、友人からだとほっとするようだとちょっと危険。心が弱り始めている兆候なので、早めの対処が必要だ。  そこで、お勧めするのが「デジタルデトックス」。これは“デジタル中毒を解毒する”というアメリカから広まり始めたムーブメントで、デジタル機器を家に置いて出かける数泊の旅行プランが人気を集めている。ホテルによっては、チェックインの時にスマホを預けると割引サービスを受けられるところも。デジタル疲れは日本でも同じ、いや、もっとひどいかもしれない。  とはいえ、いきなり旅行というのもハードルが高い。そこで、プチデジタルデトックスから始めてみよう。まずは、休日に電子機器を一切触らないようにする。テレビやビデオもやめて、読書なり散歩なりをしてみよう。食事中に手持ちぶさたになるなら、それは禁断症状。周囲に目を移し、最近見ていないものに注意を向けよう。家族や友人、恋人との会話にも集中できるし、邪魔するものもない。半日だけでも、ずいぶんと心が軽くなるのがわかるはず。できれば、オフの時はずっとデジタルから離れるのも悪くない。  ビジネスに関する緊急の用事が飛び込んでくる可能性があるなら、完全に離れるのは難しいかもしれない。しかし、オフの間は連絡が取りにくくなると事前に連絡しておけば、ほとんど大丈夫。それでも不安なら、上司だけに自宅やホテルの連絡先を教えておけばいい。本当の緊急時にコンタクトが取れるなら問題ないはずだ。チャレンジすればわかるが、ほとんど杞憂。デジタルデトックスから復帰し、メールを見ても特に何も起きていないのが普通だ。  いきなり断ち切るのが難しいなら、デジタルダイエットから始めてもいい。メールはリアルタイムにチェックし、数分おきにTwitterに投稿。移動すれば、foursquareにチェックインする。食事はInstagramで撮影して、複数のSNSに投稿。読書や映画はFacebookに感想を載せるために鑑賞する……というのはやりすぎ。利用するウェブサービスを集約し、不要なサービスは解約してしまおう。今まで複数のアプリを切り替えていたのが、バカらしくなるほど平穏な気持ちになること請け合い。スマホをいじっている時間を減らせるはずだ。  いまやデジタルは意識して利用を制限しないと、体や心を蝕むレベルまで生活に浸透している。デジタルデトックスを活用して、リフレッシュすることをお勧めする。 (文=柳谷智宣)

格付け大幅ダウンのシャープに、大手IT企業が救いの手をさしのべる?

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シャープ株式会社
 2012年9月15日、シャープは創業100周年を迎えた。しかし、同社はそれどころではない状態に追い込まれている。今年に入って、日本の電機関連企業が軒並み業績をダウンさせている。中でもシャープは、2012年3月の決算で3760億円の最終赤字を出し、今年の第1四半期の連結決算でも1300億円レベルの赤字を出した。工場の稼働率は大幅ダウンし、追加のリストラを遂行中だ。  なぜこのような事態に陥ったのか。それは、液晶ディスプレイの特需に依存しきったためだ。アナログ停波から地デジへの移行と、エコポイントにより、2008年までは絶好調の売り上げを誇った。売上高は3兆円を超え、純利益も1000億円以上。だが、買い換えが一段落したら、テレビがまったく売れなくなるのは当たり前。3Dやら高解像度は一般需要ではない。しかし、液晶工場への投資を続け、一気に破綻。リーマンショックを機に、転落が始まる。  100周年を迎える少し前、シャープが取引をしている主要銀行は、シャープの全事業所の土地と建物に対して担保を設定した。これは異例のことで、続けて、今冬と来夏のボーナスを50%カットし、給与のカットも発表。必死の努力が続いている。  どちらにしてもお金が足りない。そこで、シャープは台湾の鴻海精密工業との提携を発表した。同社は世界最大の電子機器受諾生産会社で、シャープの新株を引き受ける内容だった。しかし、業績悪化に加えて、世界中のヘッジファンドの空売りを受けて、株価は暴落。鴻海も、合意した内容で手を出しにくくなり、交渉は難航。シャープの奥田隆司社長が言うように、「一刻の猶予も許されない」状況になった。  そんな中、9月ごろ半導体大手のインテルが出資するというウワサが立ったが、シャープは「そうした事実はありません」と回答。しかし、11月にもインテルや通信技術大手のクアルコムが出資すると新聞で報じられると、「決定した事実はありません」と交渉はしている回答に変わった。さらに、アップルやグーグル、マイクロソフトといったIT界の巨人たちとも業務提携の交渉をスタート。PC大手のデルも出資したい意向を示している。  当たり前だが、人情話ではない。これはシャープの技術力を高く評価しているため。シャープは4月にIGZO液晶パネルの実用化を発表し、スマホやディスプレイを続々と市場に投入している。IGZO液晶は従来の液晶に比べて、明るく低消費電力で、高解像度化が可能。この技術力を欲しがっているのだ。世界最高変換効率を誇る太陽電池技術もポイントが高い。筆者としては、国内で技術を守ってほしいところだが、存亡がかかっていればそうもいかないのかもしれない。  どちらにせよ、とことん地に落ちたシャープだが、すぐにつぶれるということはなさそうだ。スマホやテレビを購入しても、サポートに問題はない。逆に、シャープファンなら買い支えてあげたいところだ。