
6年ぶり3回目となるライブツアー「堀江由衣をめぐる冒険3~Secret Mission Tour~」に臨んだ声優アーティストの堀江由衣。3月に東京、名古屋、福岡、神戸で5公演を行い、演劇仕立ての構成もあって話題を博したが、このほど4月27日に東京国際フォーラムホールAでツアーファイナルとなる追加公演を迎え、ストーリーを完結させた。
3DファンタジーRPG風の森を駆けるCGがスクリーンに映し出され、ライブは始まった。「追加公演なのに、遅刻したぁ~!」「毎回ライブの度に遅刻したり道に迷っている気がする」と、バックステージにいるとおぼしきほっちゃん本人の口からのメタ発言(この後も、こまめにメタ発言で笑いをとっていた)。森を抜けた先、山の頂上で「やっほー」と叫ぶと観客席のレスポンスがやまびことなり、1曲目「YAHHO!!」でいきなり会場の温度を上げる。フロアはこの時点で揺れている!
立て続けに2ビートでノリのいい「Love Countdown」を歌うと、ここでMC──ではなく芝居が入るのが「Secret Mission Tour」の特徴。この後、MCが入るべきタイミングはすべて幕間の芝居となり、すべての楽曲をシームレスにつなげる凝った構成のセットリストになっている。

やまびこの妖精・エコーちゃんが登場、今いる森がミスモノクロームの侵攻を受けていることが分かり、彼女と戦わなくてはならないと、ライブの目的がはっきりする。ここまでの展開を含め、ストーリーの大部分は3月のツアー時と同様だ。
続く2曲は「ラブリ(ハートマーク)エブリデイ」と「CHILDISH(ハートマーク)LOVE(ハートマーク)WORLD」。芝居に挟まれた恰好の楽曲は、すべて曲の傾向ごとに分類され、美しく整えられている。
エコーちゃんがさらわれた後は「秘密~君を見てた~」。次に「Endless Star」を歌うと、ほっちゃんが大ピンチ。なんと敵につかまり、改造されてしまうハメに……といったところで、ラジオ番組『堀江由衣の天使のたまご』で募集したはがきを使って「ほっちゃん大喜利」が始まった!
おなじみのキャラクター、クマスターが登場して「ほっちゃんをロボットに改造、さてどんな機能が追加された?」というお題で、こんな珍機能があったらいいな……というネタが次々に披露されていく。
「外貨のレートがリアルタイムで分かる」「Wi-Fiのスポットになっている」と、ひとしきりトークを繰り広げると、いよいよ改造されたメカほっちゃんの出番。先ほどまでチェックのドレスにレザーブーツだった衣裳は銀色の光沢があるものとなり、「バニラソルト」「Coloring」「見つめられたら~when I fallin’love with you」「きれいな風が吹いている」の、テクノコンセプト4曲をクールに熱唱。ライブの折り返し地点を締める、とくに聴き応えのあるパートとなった。

ロボット化したほっちゃんを助けるために、森の動物がやまびこの妖精(観客)の力を借りるという筋書きになり、エコーちゃんの指導に従い、観客全員が振り付けを練習。オーディエンスの“やまびこ”が不可欠な「スクランブル」に始まり、「PRESENTER」「True truly love」、アップ度合いが著しい3曲でメカからの復活を印象づける。フロアのタテノリ具合が半端ではない。

次は、いよいよミスモノクロームが登場。銀髪ツインテールの3DCGキャラクターが舞台前方の小型スクリーンに投影されるバーチャルアイドル方式で歌い(声はもちろん堀江由衣)、踊る。この世界をモノクロにしてやる、というミスモノクロームが歌うのは「モノクローム」。

その白黒に抗うように、赤ラメの衣裳に身を包んだほっちゃんがカラフルな仲間を連れ、レーザービームが空間を切り裂く中「MISSION」を歌う。観客も赤いサイリウムで応戦だ。

そして難解かつ劇的なプログレッシブ大曲「インモラリスト」を歌うと、ミスモノクロームの弱点を見抜いたほっちゃんは単三電池を抜いて敵の動きを止めてしまう。
めでたしめでたし……かと思ったが、森は元に戻らない。まだメカクマスターが残っていた! ラストバトルは17曲目「ヒカリ」に盛り込まれ、クライマックスを演出する。
ここで追加公演だけのサービス! メカクマスターが「仕方がない。ここは最終形態で戦うしかないようだな」と言うやいなや、舞台の天井から超巨大なメカクマスターの両腕が降り、舞台奥の大型スクリーンに表示した顔と合わせて巨大ロボット形態のメカクマスターを出現させると、詰めかけたファンもびっくりである。

これを「伝説のヒカリの剣」で倒すと、メカクマスターは「まだだ! まだ終わらんクマよ!!」と抵抗のそぶりを見せるが、単一電池を抜かれて万事休す(ミスモノクロームよりも大きいので、稼働に必要な電池も大きかったようだ)。
解放された森の動物たちがひとしきり、その喜びを表現するドラマ部分は藤原啓治(ライオン)、林原めぐみ(ウサギ)、森久保祥太郎(ヒョウ)、神田朱未(リス)、たかはし智秋(メヒョウ)といった超豪華声優陣によって演じられ、きちんと物語が閉じていく。メヒョウのたかはしはこの追加公演のみのキャスティングで、ヒョウカップルの再会、ジューシーなラブラブぶりが際立つ展開となっていた。

平和を取り戻した世界で「CHILDISH(ハートマーク)LOVE(ハートマーク)WORLD」「daisy」「Lady Go!」「秘密~待ち合わせ~」を歌い上げると、最後は「おまけコーナー」としてのアンコール。「kiss to you」の後、あみだくじで決めた「I wish」「Love Destiny」の2曲を歌い、ラストは「Happy happy*rice shower」で、文字通り多幸感に会場を包んでエンディングにたどり着いた。
アンコール前のエンドロールではエコーちゃんが単三電池を拾い、ミスモノクロームにセット、彼女がピンク色の頭髪となりカラーを獲得する様子が描かれており、今後に何かがありそうな(orあるといいな?)気配だ。

また、まとめのMCではアニメ『DOG DAYS』の2期『DOG DAYS'』のエンディングテーマ(タイトル、未定。発売日、未定。どんな曲か、未定。と、しみじみ告知)を歌うことが決まったと発表された。
堀江由衣本人が「変えるところがないくらい気に入っている」と言ったように、非常によくまとまったセットリストで充実の公演となったが、これもコンスタントに良曲をリリースしてきた結果。CVの導入も成功し、今後のライブがいっそう楽しみになってきた。
(取材・文=後藤勝)