
UFC WORLD/WOWOWオンラインより
日本の格闘技界が虫の息だ。
例年なら3月にはFEGが大会を開催してきたK-1やDREAMが、今年はいまだ日程も出ないまま。それどころか、K-1王者だったアンディ・サワーやDREAM王者の青木真也からファイトマネーが未払いであることを明かされ、いまや身売りや破産といった説が囁かれている。
さらに、ライバル団体の総合格闘技SRC(戦極)は、主要スポンサーだったドン・キホーテが撤退。11日には公式ホームページで「親会社とスポンサー企業の全面支援に頼って事業を行ってきた弊社としては、それを打ち切られれば自力で独自興業ができるわけもなく」と、新たなスポンサー企業が見つからない場合は解散することを表明した。
日本の格闘技界に君臨した2大トップ団体が崩壊の道を辿っているのとは対照的に強大化しているのが、アメリカUFCだ。過去にPRIDEを買収したことで知られるUFCだが、エメリヤーエンコ・ヒョードルを出場させた第2団体ストライクフォースを買収することが先日伝えられ、まさに独走、一人勝ちの様相だ。
これに危機感を募らせているのは日本の選手たち。DREAM、戦極の両団体に出場経験がある日本人選手Aは困り顔で語る。
「国内がダメなら海外へと思っていたんですが、先に海外に出た選手たちに話を聞くと、これからはかなりギャラを下げられるというんです」
これまでは国内外で複数の団体が並立していたことで選手の引き抜き合戦が乱発され、結果的にファイトマネーが高騰してきたが、UFCに一本化されることで、その相場も売り手市場から買い手市場になるというわけだ。
別の選手Bは以前、アメリカで1試合400万円ほどで試合をしたことがあったというが、海外マネジャーに再度アメリカ行きを相談したところ「50万円ぐらいなら」と言われた話を明かしている。
ただ、海外出場にはルールに合わせた現地での練習が不可欠で、その分の滞在費がかかるため、50万円では赤字になってしまうのだという。
「だからといって日本の小さな団体で試合をすれば、その半分以下。これまで選手を専業でやってきましたが、他に仕事をしないともう無理でしょう。夢も希望もない世界になってきましたね」(前出選手A)
K-1がポスト魔裟斗として売り出したHIROYAも、K-1興行がないため他団体の小規模興行に出場を予定しているが、先日は総合格闘技にも挑戦すると表明。もはやK-1を捨て去ったかのような態度をとっている。
TBSに問い合わせたところ、毎年恒例だった大晦日の『DYNAMITE!!』も今年は予定がないとの回答で、格闘技ファンが人気選手の試合を見るには、海の向こうで開催されるUFCを衛星放送でテレビ観戦するしかないという状況だ。
ある関係者からは「経営が苦しいジムもあって、有名選手がやっている某ジムは早ければ夏までに閉鎖する」という話もあった。
かつてのPRIDE人気が嘘であったかのように、日本の格闘技が世間から消えつつある。海外では隆盛でも、日本ではドマイナーなジャンルと化してしまうのか。
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格闘技団体SRC「雑誌のせいで」大会中止に見る格闘技興行の窮状と疲弊する現場
前代未聞の大会中止だ。以前は「戦極」の名称で大会を開催していた総合格闘技団体SRCが、専門誌の記事に抗議、4月23日に予定されていた有明コロシアム大会を"白紙撤回"と発表したのだ。
問題となったのは専門誌「ゴング格闘技」(イースト・プレス)が掲載した、昨年12月大会への批判記事だ。
『SRCのあの日のイベントは、プロモーションとして問題点がありすぎました。実際、試合当日になって契約を結ぶような試合があったようですし、勝負論の掛かった試合と、勝負論からかけ離れた顔見せマッチが入り混じっていました』(一部抜粋)
SRCを主催するワールドビクトリーロード社は、公式ホームページで、この記事により「設立以来最大の窮地に立たされております」とコメント。試合当日に契約を結んだということを事実無根とし「訂正、謝罪を強く求める」としている。
通常なら記事に対する抗議は、編集部との直接対話で解決されるだけのことだが、SRC側はスポンサー企業のドン・キホーテから「こうした偏った論調が堂々と大手をふるうようなら、すべての支援活動からの撤退も辞さない」(原文ママ)と通達されたことを明かし、この件で大会中止となったとしている。
過去、週刊誌の告発記事が発端で、人気団体PRIDEが、暴力団との癒着が疑われた末にテレビ契約を失い消滅した事態はあったが、今回の記事は批判の内容に具体性もなく、大きな社会的ダメージがあるとも考えにくい。別の格闘技雑誌のフリーライターも「大会を中止するほどの内容だろうか」と首を傾げている。
「ただ、記事を書いたライターの高島学氏はやたら大手団体に厳しい論調が目立つ人で、関係者でも嫌っている人は少なくありません。少し前に高島氏を嫌う格闘技関係者がSRCの協力者となったので、その影響とも考えられます」(同ライター)
しかし、個人的な感情でのものならば、当の高島氏を取材拒否にすればいいだけの話という感じもする。当のSRCに関わってきた選手関係者に聞いてみたところ「スタッフが業界の冷たい空気に疲れきっていることも理解してあげてほしい」と内情を明かす。
「興行の収支は赤字覚悟。そうなると収益よりも将来につながるクオリティの格闘技イベントにしているかどうかが焦点なんです。そうなると雑誌記事を判断材料にされることもあります。もちろん、SRCはまだ若い団体で、スタッフが手慣れていない部分はありますが、何か決定的な落ち度があるなら直接指摘してくればいいこと。それを現場では何も取材してこないまま、後で鬼の首を取ったように"問題点がありすぎた"などと一方的に書かれれば、スポンサーからも"ちゃんとやっていないのか"と言われる。板挟みとなるスタッフは疲弊する一方で、大会の準備どころじゃなくなります。こんな厄介な世界だと格闘技界にお金を落とす企業もいずれなくなりますよ」(同関係者)
こうした小競り合いにはの根源は「格闘技興行自体が苦しいこと」と前出ライター。
「スポンサー頼みの苦しい状況ということが一番の問題で、このままでは、来年までに大手団体がサッパリ消えてなくなるということもあるでしょう。大晦日の『DYNAMITE!!』も今年は開催されない方向で動いていると聞きましたし」(同)
それこそ主催者と記者がケンカしている場合ではないのではないか。
GONG (ゴング) 格闘技 2011年 03月号
格闘技界も出版界もたいへんです。

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