「補償については、相応の対処を検討したい」福島・原町火力発電所原油流出事故

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発電所近辺にあがった、油にまみれた鳥の死骸。
前編はこちらから  福島県の東北電力原町火力発電所で容量9,800キロリットルの重油タンク2基から大量の重油が流出した――。この情報の真偽を確かめるべく取材を開始したタイミングで、「30キロ圏外は漁OKに 漁業者の被曝安全基準を初設定」(5月8日朝日新聞)というニュースが報じられた。  震災発生後の東京電力福島第一原発の事故で放射線量が増加したことで、原発から半径20~30キロ圏内では屋内退避勧告が出されていた。原町火力発電所の位置はおよそ25キロ地点に当たる。  5月に入ってから避難していた住民たちも自宅に戻り通常の生活を始めようとしていたが、漁業に従事していない住民たちは一様に原油流出事故を「知らない」と答えた。そこで、被害の当事者となる漁業関係者に重点を置いて取材をしていくことにした。  最初に問い合わせたのは、県漁連(福島県漁業協同組合連合会)に設置された福島県漁業関係東日本大震災対策本部だった。漁業の専従組織にとって原油流出は大きな問題であるはずだ。当然、怒りの声を聞くことができると思っていた。  ところが、返答は私の予想とは異なるものだった。電話で対応してくれた担当者は「原油流出の報告は受けていません」「大変な問題かもしれませんが、現在は非常時であり報告がない以上、そこに注力することはできません」と事務的な口調で語るのみだった。  確かに漁業が本格再開していない状況では、沖合に出る船もなく、漁協として被害状況をつかむのは難しいだろう。被害報告がなければ、対応のしようもないことも事実。そこで、すでに通常通りの操業に戻り福島よりは落ち着きを見せている茨城県の漁業関係者をあたることにした。  連絡を入れたのは、茨城県農林水産部漁政課の庶務だった。対応してくれた担当者は「報告は受けていません。通常、原油流出のような問題は海保から報告があった後に対策協議会が立ち上がりますが、連絡がない以上は動きようがありません」とした上で、「現状では油が海上に浮いているとの報告は漁業関係者はもちろん海上保安庁からも受けていません。ただし、これが事実だとしたらきちんとした対応(流出原油の対策)をしなければなりません」と厳しい姿勢で臨むことを表明した。福島、茨城と空振りしたことで、この事故について漁業関係者には通達がいっていないことが判明した。  そこで、海上保安庁に「重油の流出を洋上で確認したか。または通報があったか」を問い合わせることにした。海保が情報をつかんでいれば取材の裏付けにもなると期待していたが、担当者は「そのような報告は受けていません」と短く言い切ると、すぐさま電話を切ってしまった。  対応の善しあしはともかく、海保が確認していないとなると、海上での原油流出を確認することは難しいだろう。そこで別の視点から取材を重ねていくことにした。  まず、発電所を管轄している行政、南相馬市は事実関係をどこまでつかんでいるのか。南相馬市役所内にある災害対策本部に行き窓口にいた職員に用件を伝えると、丁寧に応対してくれた。「少々お待ちください」と責任者らしき男性を呼び、こちらの質問を伝えてくれたのだが、「東北電力から報告は受けていません。詳しい話は東北電力に聞いてほしい」と申し訳なさそうに言われてしまった。明言を避けるためにたらい回しにしているわけではなく、本当に知らない様子だった。  そこでもう一度取材の原点に立ち返ることにした。爆発火災事故があったとされる当日、原町火力発電所では本当のところ何が起きていたのか。私は相馬地方広域消防本部に連絡を取った。  消防本部の担当者によると「震災発生後に火災はありました。これは、すでに県からも発表があったように重機(クレーン車)が燃えただけに過ぎません。火災の原因は我々(消防)が調査していますので間違いはありません」とのことだった。特に取材に対して警戒している様子もないので、もう少し突っ込んで質問を重ねた。 「調査をされたということですが、火災現場となった発電所の敷地内のタンクにはかなりの量の原油が入っていたはずですよね。そちらには被害はなかったのですか?」  火災関連の質問の一環としては不自然ではないだろう。担当者も警戒することなく「(原油)流出はありましたが、引火はしていません」と答えてくれた。  そこでさらに核心を突くべく「流出した原油は敷地内にとどまったのでしょうか」と聞き返すと、「海に流出した可能性はあります」とのこと。流出を把握しているところはあるかと尋ねると、「福島県ではないか」とのことだった。ようやく光明が見えた瞬間だった。  福島県には環境問題を取り扱う水・大気環境課がある。原油流出の可能性と、それを管轄する役所が分かった。  海に原油が流出した可能性がある以上、ここには消防本部の情報のみならず発電所を管轄する東北電力からも何らかの情報伝達があったはずだ。すぐさま水・大気環境課に連絡を入れ、単刀直入に「東北電力から通達はあったのか」と聞いてみることにした。 「火災のときに、県の相双地方振興局環境課の担当者には東北電力から口頭で報告があったそうです。ただこれは例外でして、原油の流出ということになりますと東北電力さんには電気事業法が適用されるため、『水質汚濁防止法』に基づく事故報告は適用が除外されるんですよ」  やはり県には東北電力から報告があった。しかし、適用される法律が予想していた水質汚濁防止法とは異なる。これで、想定外の方向に取材の舵を切らねばならなくなった。というのも、水質汚濁防止法では、仮に適用される事故が起きた場合には「事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならない」とされている。つまり、窓口の担当者レベルに報告ではなく、あくまで県知事に対しての報告義務があるのだ。  ところが、今回の震災に原因がある事故で適用される電気事業法に基づく報告義務は、経済産業省が管轄になっているため県に対する報告は除外されている。  東北電力を義務違反と単純に追及することはできない。  さらに担当者からは「当該地域が屋内退避区域ということもあり、詳細は把握できていません。流出量についても同様で、把握できていません。ですから、今後の対策についてお答えするのは少しお時間をいただけますか」とのことだった。  ここまで取材を進めて、情報の伝達経路が通常の事件や事故とは異なるために今回の重油流出事故が報道されていないことが明らかになってきた。  しかし、原則はどうであれ電気事業法に基づく報告義務だからと県知事に伝えていないことは問題ではないだろうか。あくまで私個人の考えだが、震災に端を発する被害は広く知らしめて情報を共有する必要がある。
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一帯は漏れ出したとみられる重油で、黒い海と化していた
 いずれにせよ、原油の流出が事実であるとの情報を得、外堀を埋めることはできた。いよいよ本丸の原町火力発電所を管轄する東北電力に取材をかけることにした。  ここまで回りくどく周辺取材を重ねたのは、念入りに裏を取りたかったからだ。「原油流出の事実がある」ことと「関係機関にどのような通達がされているのか」。東北電力のような大きな会社が相手となるからには、この2点をしっかり固めておかないと私のようなフリーランスのジャーナリストは門前払いされてしまう可能性が高い。  準備が整ったところで正面から東北電力福島営業所に連絡を入れた。フリージャーナリストと身分を明かした上で火力発電所の取材をしていると伝えた。 「原町火力のことならば、私どもの管轄ですので可能な限りお答えします」  私の警戒心に反して、担当者は想像以上の低姿勢で対応してくれた。そこで、こちらも妙な含みを持たせないように、先の2点のほかに「漁業従事者などへの補償はあるのか」といった今後の対策まで含めて知りたいと最初に明かした。すると、担当者はやや困ったような様子になった。 「発電所のことはですね、確かにそのようなこと(重油の流出)があるかもしれません。ですが、補償などの話はこちらでは判断できないのです。」  確かに営業所で判断のつく話ではないだろう。そのことは想定の範囲内だ。 「では、対応できる窓口を教えていただけませんか」  本社広報の連絡先と担当者名を教えてくれた上に、「こちらからも広報に連絡を入れますので」とのことだった。私は自分の電話番号を伝えて電話を切った。このまま広報から連絡を待ってもよかったが、広報対応の早い大企業などないことはこれまでの経験でも明らかだ。  こちらから東北電力の広報・地域交流部(報道グループ)に電話をかけた。そこでの担当者の対応は至って丁寧で、大企業にありがちな上からの物言いもなかった。だが、明らかに困惑している様子が伝わってきた。 「現地に確認を取るのでしばらく時間をください」  現地の営業所から紹介されたので確認はどうかとも思うが、「時間をください」が本音なのだろう。私は了承の旨を伝えて電話を切った。  次に福島県の水・大気環境課に連絡を入れた。保留になっていた行政としての対策を確認しておくためだ。  水・大気環境課の担当者は、「汚染の被害実態を探る環境モニタリング調査で、原発近海に加えて火力発電所周辺も対象とするよう環境省に申請しました」と、あくまでこれからの問題として対応するとの回答だった。  本丸の東北電力から回答があったのは、それから2日後のことだった。前日にこちらから電話していたものの「まだ確認中なので、もう少し時間をください」と言われてしまっていた。再び私が電話を入れると、初日に対応した人とは別の広報担当者に代わり、落ち着いたトーンでこちらの質問に次々と答えていった。  まず、前提となる事実確認として、破損したのは2つのタンクであり、震災発生直後に1万3,500キロリットルの原油が貯蔵されていた。すべての原油が海中に流れ出たとは考えられないが、一部の原油が海に流れた「可能性は否定できない」とのことだった。  私は今後の対応策について県が環境モニタリング調査をしようとしていることを申し添えた上で、「可能性の話かもしれませんが、もし環境に影響があった場合にはどうされるのか、その対応策をお聞かせください」と問いただした。 「現在、県が行っている環境モニタリング調査の結果を待って、仮に周辺環境や漁業への悪影響があった場合には相応の対処を検討したいと思います」  電力会社としての補償の可能性を示唆する回答だった。淡々とした口調ではあったが、最終的に聞きたいことを引き出すことができた。これが、私が一連の調査を通じて得た結末だ。それがどれだけの意味を持つのか、現時点では不確定だ。だが、その被害は無視できるものではない。  海洋研究をしている独立行政法人・水産総合研究センターによると、原油が海中に流れ込むと最悪の場合、動きのない海藻類や貝類、移動速度の遅いウニやプランクトン・魚の稚魚などが死滅するなどの被害が想定されるという。  原油は色やにおいがあるため、それがなくなれば被害を受けた意識が人々から薄れていく可能性もある。一方で放射能同様に、原油はそう簡単に消滅するものではない。  今回の原油流出を福島第一原発事故が周辺地域にもたらした被害と単純に比較することはできない。しかし、どちらも「今」ではなく「これから」の問題という点では共通している。震災被害は目に見えているものだけがすべてではない。そのことを、震災の記憶ともども忘れてはならない。 (取材・文=丸山ゴンザレス/http://ameblo.jp/maruyamagonzaresu/
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「原油の流出なんて気にしている場合じゃない!?」福島・原町火力発電所原油流出事故

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破壊された原町火発の施設と、油をかぶって真っ黒になった消波ブロック。
 写真週刊誌「FLASH」(光文社)6月7日号に「福島県で第二の海水汚染......火力発電所から重油が海に漏れている!」と題された記事が掲載された。この記事は東北電力原町火力発電所で起きた原油流出事故を取材した筆者によるものだが、「FLASH」に掲載しきれなかった裏側をリポートしたい。  発端は、当サイトに掲載された私の記事を読んだ方からのメールだった。 「南相馬市にある原町火力発電所の重油が大量に流出しています」  宮城や福島の沿岸部を何度か訪れて被害の大きさを目撃してきた経験から、無視できない情報だと思った。これまでにデマや飛ばしとしか思えないメールを受け取ることもあったが、今回はあながちウソではないと思ったのだ。海沿いの施設は規模の大小にかかわらず軒並み津波で破壊されており、引き波で海中に持っていかれてしまったケースも無数にある。その中には、ガソリンを満載したタンクローリーや排泄物ごと流された浄水施設もある。それらは、有害物質を多分に含んだ状態で海中に沈んでいることになるだろう。その中に火力発電所の燃料として使われていた重油が含まれていても何の不思議もない。むしろ、それぐらいの被害は起こり得るだろうと容易に推測できた。詳しい話を聞くため、メールを送ってくれたフリーカメラマンの工藤大介氏とコンタクトを取ることにした。  工藤氏の話によると、3月20日ごろ、福島県南相馬市にボランティアとして訪れたときに異臭がしたことがきっかけだったそうだ。 「海岸沿いに重油のにおいが立ち込めていたんです。それで気になって地図を見たら、その海岸の数キロ先に発電所があったんです」  この発電所こそ、東北電力原町火力発電所だったのだ。工藤氏は火力発電所を目指して車を走らせたが、県道74号、260号線がそれぞれ地震の影響で陥没していたため、たどり着けなかったそうだ。それから約1カ月後の4月末にも再び現地入りしたが、そのときもまだ油臭さが漂っていたという。  工藤氏からは、そのとき撮影した発電所の写真も送られてきた。写真には大破した2基のタンクが写っており、これほどの被害を出した原町火力発電所に関する報道が皆無だったことに、私は違和感をぬぐえなかった。  厳密に言えば、原町火力発電所についての報道はあった。震災発生直後の3月14日に「重油タンクが爆発炎上し火災が発生」とのニュースがあったが、その直後に福島県が「原町火力発電所の火災はクレーン車が燃えただけ」と訂正を発表しただけにとどまった。  このことを「FLASH」編集部の担当者に伝えると、「取材してきてほしい」と返事があった。同時に「事実かどうかの裏を取ってきてください。それができなければ記事にはできません」とも伝えられたため、私は急いで準備を整え、福島県南相馬市へと車を走らせることとなった。  原町火力発電所は福島県南相馬市の中部にあり、東京電力の福島第一原発からおよそ25キロ北の距離に位置している。福島市から国道115号線を抜けて海方面に向かい、発電所の南側、原町区北泉の海浜総合公園に車を止めて、夏には海水浴場として使われる砂浜を歩いていく。震災からおよそ2カ月が経過しようとしているのにもかかわらず、海辺一帯はいまだに「油」のにおいが消えていなかった。
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総出力200万kWを誇った原町火発。周囲には油臭がたちこめていた。
 1キロほど手前から発電所に向かって歩いていくと、容量9,800キロリットルの重油タンク2基から流出したと思われる大量の重油が黒い液体となって広がっているのが確認できた。
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被害に遭ったタンク。奥に見える1基は原形をとどめていない。
 火力発電所周辺にめぐらされた防波堤の岸壁からは、石炭を搭載した大型のタンカーが座礁している様子が見えた。そのタンカーを横目に進んでいくと海中に防油フェンスが申し訳程度に張られているのが見えたが、その内側に油膜はとどまっていなかった。  防波堤の海側壁面やテトラポッドには黒い液体がべったりとこびりついており、外洋に面した岸壁に向けて流れ出していったと思われる重油の黒い痕跡も見て取れた。  火力発電所の敷地周辺は、さらにひどく油臭さが立ち込めていた。施設内には砂にオガクズを混ぜたような物が道沿いに積まれている。おそらく、流出した重油を吸わせて処理しているのだろう。その砂を詰め込んでいると思われるドラム缶も数多く並べられている。  5月に入ってまでこのような撤去作業が行われていた理由としては、福島第一原発から半径20~30キロ圏内で屋内退避勧告がなされていたことが考えられる。この勧告が緩和されたことで、ようやく発電所の職員たちが施設内に立ち入れるようになったのだ。私が取材に訪れたときも、すでに火力発電所周辺の家屋に一部の住民たちが戻ってきていた。そこで、原油流出について知っているかどうかを中心に話を聞いてみることにした。  発電所周辺に人がいるのか心配だったが、車を走らせてみると、時折歩いている人を見掛ける。避難指示区域の近くとはいえ、人は住んでいるようだ。なるべく警戒されないように、努めて明るくあいさつをしてから「東京から取材にきたんですが、お話しを聞かせてもらえませんか」と切り出すと、どの人も気さくに取材に応じてくれた。 「この辺りの港は船も全部流されたからな。(発電所の)北も南もやられちまった。海沿いに住んでいた漁師たちもみんな避難しちまったし、いま別に問題にするような人もいないんじゃないかな」(原町区60代男性) 「自宅で暮らしている人たちはスーパーも開いていないような状況の中で生きるのに必死。原油の流出があったとしても、それを気にしている場合じゃない」(南相馬市20代男性) 「今は何があっても南相馬で暮らそうと思っている。とにかく放射能が気になるから、どうしてもそっちにばかり目がいってしまうよ。原油流出なんて聞いたこともないしね。それよりも目に見えない放射能の方が怖い」(60代女性)  結局、どの人も「知らない」とのことで大きな進展はなかった。だが、地元の人ですら原油流出を知らないということは、この件がまったく報道されていないことの裏付けでもある。原町火力発電所の原油流出の現状の一端を確認できた私は、事実関係の確認のため関係者への直接取材を開始することにした。 (後編へつづく/取材・文=丸山ゴンザレス/http://ameblo.jp/maruyamagonzaresu/
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「ついに死亡者も……」事故続発の東京ドームシティ 営業再開は困難か

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東京ドームシティ公式サイトより
 またか、と思わざるを得ない。1月30日、東京ドームシティアトラクションズ(以下TDCA)にある4人乗りの小型ジェットコースター「スピニングコースター舞姫」に乗車した34歳の男性が、走行中に投げ出され転落、死亡した。  現在、業務上過失致死の疑いで捜査を進めている警視庁による現場検証が行われているが、命綱となる安全バーの確認について、TDCA側が「開きがある場合は、押しながら確認します」としたものを、実際には係員女性が、目視のみで手で押しての確認していなかったことが判明している。  「舞姫」は地上約10mの高さに上昇し、座席を360度回転させながら約300mのコースを最高時速40kmで進むという。事故は出発から4分の1程度の約30秒後に起こった。  売りは遠心力だった。急カーブで乗客の体が大きく傾くことで恐怖を感じる、いわゆる絶叫マシーン。  TDCA側の宣伝では「乗る人数(=総体重)で、その都度、マシンの挙動が変化!」とされており、公式ホームページでも係員が顔写真付きで過激な紹介文を掲載(現在は削除)。そこにも「総体重で挙動が変わるため、わざと体重バランスを悪くして乗ると回転しまくるのがミソ」とあった。  何度も乗車経験のある常連客によると「予測できない動きで急発進、急旋回、急落下するので、見た目以上の迫力。乗った後に体が痛くなるほど負荷がかかる」という。  こうしたことから見れば体重や乗り方で負荷が強まることが分かるのだが、今回の被害者は身長185センチ、体重130キロ以上の大柄。TDCA側も「特に大柄のお客様については、手で確認するようにと指導していた」というが、それは実践されなかった。乗車条件を見ても「身長制限120センチ以上」とあるものの、体格の上限規定はなかった。  絶叫どころか命を奪われる悲惨な結末となったが、思い出すのは2007年5月に大阪の遊園地「エキスポランド」にあるジェットコースター「風神雷神2」での死亡事故だ。  これを受けて一昨年に設置されたのが、エレベーターも含めた乗車機器の事故防止を対策する初の調査機関「昇降機等事故調査部会」だった。TDCAでは近年、指を切断するなどの事故が多発していたが、それが生かされなかったのはなぜか。専門家はこう指摘する。 「その部会は、国交省の審議会の下部機関にすぎず、立ち入り調査などができる法的権限を持っていなかったんです。事故を調査して強い立場で対策を指導する組織体系がないままで以前と何も変わっていませんでした。ただ、その指導があるないに関わらず、命を預かる遊園地側の安全管理が足りなかったことも問題です」(遊具評論家)  現在、TDCAは緊急閉園しているが、地元・文京区では自治体から「事件が落着しても開園には反対」という声も上がっているが、これは当のTDCA関係者も「再開は困難」と漏らす。  というのも運営する株式会社東京ドームは、業績の大幅下方修正を行なったばかりで、今後の利益計画が見直されている最中。今回の事故で株価は急落しており「東京ドームホテルの売却案も浮上しているほど苦しい中で、社内でも遊園地の継続はプラスにならないという意見が多い」(関係者)という。  尊い人命が失われた悲惨な事故。会社側を"命拾い"させるわけにはいかない。
安全。でも、安心できない... もはや信用できない。 amazon_associate_logo.jpg
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