元サッカー日本代表の奥大介さんが、軽乗用車を運転中に対向車線にはみ出して電柱に衝突、病院に搬送されたが骨盤骨折で死亡した。同乗者はいなかった。 ほとんどの人は、奥さんが宮古島に移住していたことを知らなかっただろう。昨年、2女をもうけた妻で女優の佐伯日菜子からDV被害を訴えられて逮捕(佐伯との示談により被害届の取り下げで起訴猶予処分)、ファンを驚かせた中で離婚した後、勤務先だった兵庫県尼崎市のお好み焼き店を辞め、今年になって知人のいる宮古島に転居していたのだ。 その知人のひとりである女性によると「知り合いを通じてホテルに勤務する話があったのがきっかけでした。もう一度人生をやり直すと言って、体を鍛え直していました。事件の影響でサッカーのような団体競技はやれないけどマラソンならやれると話して、ホテルを通じた観光協会の関係者から勧められ、大会にエントリーしたばかりだったんです」 奥さんが出場を予定していたのは、19日に開催される『第5回エコアイランド宮古島マラソン』だった。現地の大自然を楽しめる島を縦断するコースを、県外からも参加する1,000人近くが走るもの。奥さんがこのマラソンに情熱を傾けたのは「サッカーへの未練が大きかったように見えた」と知人女性。 奥さんはジュビロ磐田や横浜・Fマリノスなどで活躍後、2007年に引退して指導者の道を歩んでいたが、実際に周囲には「まだ試合に出たい」と漏らすこともあり、11年から務めた古巣・横浜FCのテクニカルアドバイザーも力が入らず辞めてしまっていた。このとき横浜FCの関係者からも「普段は温厚なのに、何かの拍子に周囲が止められないほど激しく怒りだすことがあって、イライラしている様子だった」という話も聞かれていたが、その不満が最悪の方向に出てしまったのが、先のDV事件だ。 「このままなら殺される……」と婚姻中の佐伯は、以前から夫の家庭内暴力に耐えてきたことを知人に吐露。腕などにアザが見られたという目撃談もあった。兵庫のお好み焼き店の店員となっていたのは離婚前からの話で「現役への未練が、いら立ちとなっていた様子を察していたのが日菜子さんで、サッカーに触れる環境にあるとイライラするだろうから」という妻のアドバイスによる転職だったという。 宮古島での様子は「昔よりおとなしくなってはいましたが、イライラしているようなところは見なかったし、都会の喧騒から離れて健全にやっている印象だった。元気があるときは、カラオケで朝まで歌うこともありましたから」と知人。 そんな中で起きた事故現場は、緑の多い、見通しのよい片側1車線の直線道路だった。宮古島署によると「普通は、あまり事故になりにくい場所」だというが、軽乗用車は電柱をなぎ倒して森林に突っ込み、前方部分が大破。発見時に奥さんの意識はなかったという。再起をかけたマラソンまで数日というタイミングでの悲劇だった。 (文=ジャーナリスト・片岡亮)横浜Fマリノスなどで活躍した奥大介さん
「5219」タグアーカイブ
トンネルより深刻…急増する老朽インフラの実態と巨額コスト
サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!
■「Business Journal」人気記事(一部抜粋)
ソフトバンクの大型買収をめぐり囁かれるインサイダー疑惑
衆議院総選挙で選挙違反者が続出!?「スタッフが足りない…」
大阪市職員「橋下市長は認めるが、維新の会議員には敵対心のみ」
■特にオススメ記事はこちら!
トンネルより深刻…急増する老朽インフラの実態と巨額コスト - Business Journal(12月4日)
中央自動車道上り線・笹子トンネルの天井崩落事故は、9人の死亡者を出す大惨事となった。「天井板を支えるつり金具を固定していたボルトが、地下水により腐食した。古くなり振動で緩んだ等の原因で抜け落ちた可能性が高い」(トンネル設計の専門家)とみられており、国土交通省は高速道路6社に対し、つり天井式トンネルの緊急点検を指示した。しかし、同じような天井式のトンネルは全国の高速道路で40本、国道で9本もあり、一斉点検は容易なことではない。 特に笹子トンネルは、今年9月の詳細点検で異常がないとされていたが、事故の原因とみられるトンネル最頂部は、目視のみで打音点検は行われていなかった。その一方、「4年前の関門トンネルの天井取り換え工事では、つり金具の変形や破損がいくつも発見されていた」ことも明らかになっており、点検に瑕疵がなかったかも問われる。いずれにしても、過去に例を見ない今回の事故は、「高度成長期に急ごしらえで建設された社会インフラの老朽化」をはからずも浮き彫りにした格好だ。 笹子トンネルが開通したのは1977年、高度成長期の末期にあたる。問題となったつり天井も、「当時の自動車は排ガスがすごく、その換気のために必要な構造」(トンネル設計の専門家)であった。いわば高度成長期の遺産といっていい。日本では、社会財がことごとく廃塵ときした敗戦から、1960年代の高度成長期にかけて、高速道路やトンネル、橋などのインフラ、公共施設といった社会資本が一斉に整備された。その後もバブル期、バブル崩壊後の景気対策を通じて公共投資は膨らみ続けた。 そして現在、それらが徐々に耐用年数を超えて老朽化し、更新時期を迎えようとしている。総務省の調査によると、老朽化の目安とされる建築後50年が経過した橋は、現在の8%から20年後には約53%に、同じくトンネルは18%から46%に達すると試算されている。さらに、法定耐用年数の40年を超える上下水道施設は、現在の13%から20年後には約60%に増えるという。これら老朽化した社会資本の維持・更新にかかる費用は膨大で、急カーブを描いて上昇する。その規模は2030年代初頭に10兆円を超え、50年代には20兆円に達すると予想される。 笹子トンネルの崩落事故は、こうした老朽化インフラへの懸念が高まろうとしていた矢先に起こった象徴的な事故といえるが、実は、全国的に老朽化が進む社会インフラの中で、「最も危険性が高く、補修コストが嵩むのは橋梁」(建設アナリスト)といわれる。危機はトンネルにとどまらないのだ。 そこで国土交通省では、07年度に「長寿命化修繕計画策定事業」を策定し、自治体による橋梁の点検・修繕作業を後押ししている。同事業は橋梁が壊れてから修繕するのではなく、予防的に保全することで長持ちさせるというもので、同省に対し、点検・修繕計画を提出すれば、修繕や架け替え費用が補助される。すでに多くの自治体が同事業による補助を受け、点検・修繕に乗り出している。 だが、橋梁の点検は、橋の上を自動車が通行している状態で行わなければならないという難しさがある。一部では赤外線カメラで橋を側面から撮影し温度差から異常を検知するシステムや、光ファイバーを橋に這わせてその共振などのデータでひずみを検知するシステムなど先端技術も導入され始めているが、通常は双眼鏡による目視点検がほとんど。橋の劣化を完全に把握することは至難の業だ。 東日本大震災では、津波の被害がなく、現在の耐震基準である震度7に満たなかった地域でも、数多くの公共財が被害を受けた。背景にあるのはいずれも老朽化にともなう施設の劣化に他ならない。建設後数十年を経過し、劣化したこれらの公共施設をどう修理し、維持管理していくかは国民の安全と直結する。 だが、公共事業は過去10年間で4兆円削減され、10、11年度も前年度比で2ケタの減少となっている。 笹子トンネルの崩落事故は、経済効率ばかりが優先される公共事業の危うさに警鐘を鳴らしている。 (文=森岡英樹/金融ジャーナリスト) ■おすすめ記事 ソフトバンクの大型買収をめぐり囁かれるインサイダー疑惑 衆議院総選挙で選挙違反者が続出!?「スタッフが足りない…」 大阪市職員「橋下市長は認めるが、維新の会議員には敵対心のみ」 日本IBMの大量リストラ「退職強要は裁判所のお墨付き」 みずほFGの次期システム発注の裏側…富士通の独占が崩壊!笹子トンネル
(「Wikipedia」より)
中央道・笹子トンネル崩落事故 「崩壊の予兆あった」とトラック運転手が証言

イメージ画像(from flickr)
12月2日午前に起きた、山梨県の中央自動車道上り線・笹子トンネルの天井板崩落事故は、天井版の下敷きや、発生した車両火災により9人が死亡する大惨事となった。
中日本高速道路によると、笹子トンネルは筒状のトンネル本体の上部から、平らな天井板を金具でつり下げる構造だったといい、トンネルと金具とをつなぐボルト部分が抜け落ちた可能性があるという。
高速道路側は「過去には同様の事故は起きていない」と、安全管理に問題がなかったことを強調している。ところが、同トンネルを月に数回、営業車で通行していたという食品メーカー社員の男性は、事故の予兆とも思える現象を目撃していたと証言する。
「あのトンネルは、とにかく漏水がひどかった印象があります。1年ほど前までは、トンネルの壁面を伝って水が流れている程度だったのですが、最近では、車のフロントガラスや屋根に直接滝のように落ちてくることもあった。トンネル自体も見た目からしてかなり老朽化していることもあって、営業仲間の間でも『あそこはそろそろヤバい』と冗談交じりに言っていたのですが、まさかこんなことになるとは……」
ただ、山を貫いて建設されるトンネルから湧き水が染み出るのは珍しいことではなく、今回の事故と直接の因果関係があるとは限らない。しかし、漏水の増加をきっかけに、より詳細な点検作業が行われていれば、今回の事故は未然に防げた可能性もある。
天井板を持つ同様の構造のトンネルは全国に20以上存在し、その多くは老朽化が進んでいるという。高速道路各社は、同構造のトンネルを一斉点検する方針だ。事故原因の徹底解明と再発防止策が急がれる。
(文=牧野源)
温州高速鉄道事故の一因!? 鉄道部への贈賄企業に川崎重工の名も……
浙江省温州市で起きた高速鉄道衝突脱線事故から1年がたとうとする中、当時の鉄道部部長、劉志軍が事故への責任と収賄、職権乱用などの容疑で、司法機関に送致されることとなった。劉元部長は今後、党籍が剥奪され、不正に蓄財した財産は没収される見込みだ。
温州市の高速鉄道事故の原因としては、企業からの賄賂やキックバックにより私腹を肥やすために、運用能力にそぐわない高度な技術を次々採用したことも挙げられてきたが、今回のトップの処分により幕引きが図られた格好だ。
しかし一方で、贈賄側の責任は、依然、放置されたままである。その贈賄企業について、昨年からネット上で回っている告発文がある。そこには、劉元部長の片腕である張曙光鉄道部運輸局局長が、鉄道建設の発注に絡み受け取ったとされる総額2,000億円の出どころが書かれてあり、その中には技術提供を行った川崎重工の名前も出てくるのだ。
「シーメンス、ボンバルディア、アルストム、GE、GM、そして川崎重工などの名だたる外国企業は張曙光の下に官製談合を行っており、張に巨額の海外預金を蓄えさせるのに貢献した」
つまり、川崎重工も張元局長に賄賂を贈っていたと、ここには書かれているのだ。この告発文の出どころや信ぴょう性については定かではないが、大手商社の北京駐在員はこう話す。
「賄賂やキックバックが中国固有の商習慣であることは、中国でビジネスの経験のある人にとって常識。受注先からの賄賂を2,000億円も受け取っていた人間を相手に、川崎重工だけ完全にクリーンなビジネスを行うというのは無理がある話でしょう」
もし、この告発文の内容が真実であるとすれば、40人の死者と200人 近くの負傷者を出した未曾有の大事故について、川崎重工もまったく責任がないとはいえなくなるだろう。
温州高速鉄道事故の一因!? 鉄道部への贈賄企業に川崎重工の名も……
浙江省温州市で起きた高速鉄道衝突脱線事故から1年がたとうとする中、当時の鉄道部部長、劉志軍が事故への責任と収賄、職権乱用などの容疑で、司法機関に送致されることとなった。劉元部長は今後、党籍が剥奪され、不正に蓄財した財産は没収される見込みだ。
温州市の高速鉄道事故の原因としては、企業からの賄賂やキックバックにより私腹を肥やすために、運用能力にそぐわない高度な技術を次々採用したことも挙げられてきたが、今回のトップの処分により幕引きが図られた格好だ。
しかし一方で、贈賄側の責任は、依然、放置されたままである。その贈賄企業について、昨年からネット上で回っている告発文がある。そこには、劉元部長の片腕である張曙光鉄道部運輸局局長が、鉄道建設の発注に絡み受け取ったとされる総額2,000億円の出どころが書かれてあり、その中には技術提供を行った川崎重工の名前も出てくるのだ。
「シーメンス、ボンバルディア、アルストム、GE、GM、そして川崎重工などの名だたる外国企業は張曙光の下に官製談合を行っており、張に巨額の海外預金を蓄えさせるのに貢献した」
つまり、川崎重工も張元局長に賄賂を贈っていたと、ここには書かれているのだ。この告発文の出どころや信ぴょう性については定かではないが、大手商社の北京駐在員はこう話す。
「賄賂やキックバックが中国固有の商習慣であることは、中国でビジネスの経験のある人にとって常識。受注先からの賄賂を2,000億円も受け取っていた人間を相手に、川崎重工だけ完全にクリーンなビジネスを行うというのは無理がある話でしょう」
もし、この告発文の内容が真実であるとすれば、40人の死者と200人 近くの負傷者を出した未曾有の大事故について、川崎重工もまったく責任がないとはいえなくなるだろう。
中国のネット文化が2ちゃん化!? 5億人のネットユーザーは共産大国を変えられるか

中国版Twitter上に開設された「上海地下鉄10号線追突事故特設サイト」。
書き込みは早くも300万件を超えた。
中国・上海で起きた地下鉄10号線の追突事故で、5億人といわれる中国ネットユーザーが不満を爆発させている。
事故の主な原因については、昨年の上海万博までの開業を当局が急ぐあまり、信号システムの竣工検査を十分に行わないままに運行を開始したためだと判明。現地報道によれば、10号線の工期は予定より8カ月も遅れていたという。ずさんな施工管理の全貌が明らかになるにつれ、ネット上では「この国は腐り切っている!」「政府の人間を全員クビにしろ!」など、辛らつな書き込みが殺到している。
中国では7月に浙江省温州市で高速鉄道の大事故が発生し、事故原因や死者数の真相究明を求めるネットユーザーにより、中国版Twitter「新浪微博」は政府批判で炎上した。今回もその「新浪微博」内に「地下鉄10号線追突事故特設サイト」が立ち上がるなどの盛り上がりを見せており、書き込み数は日本時間の29日正午現在で307万3,567件に達した。中には事故車両に乗り合わせていた乗客が、車内から事故直後の様子をリアルタイムで実況し、血まみれのケガ人を撮影した生々しい写メ画像をアップするなど、ネット上での波紋は広がるばかりだ。

事故直後の様子は、多くのユーザーによりリアルタイムで中継された。
一方、ストレートに怒りを爆発させるばかりでない。ネット特有のユーモアを交えて、政府批判や世相を風刺するユーザーも現れている。発端は、中国国営テレビのCCTVが、同事故を「上海地下鉄10号線で"軽度の"追突事故がありました」と報道してしまった一件。これがネット上での燃料投下となってさらに炎上を拡大させ、「そういえばわが国の高官は"軽度"に腐敗してるね」「物価が"軽度に"上がってる」など、ユーザーらの間では「軽度」という表現をパロディー化する遊びがブーム化しているという。
そこで、中国のネットユーザーがどんなセンスで政府批判をしているのか、現地コーディネーターに依頼してネット上から「軽度パロディー」を以下に拾い出してもらった。
・国民は軽度に税金負担をする
・家の価格が軽度に高騰中
・消費者物価指数が相変わらず軽度に上昇
・都市建設では軽度に金の無駄遣いがされている
・司法官は軽度に賄賂を受けているらしい
・中国の統計は軽度に水増しされている
・国内ニュースは軽度に捏造
・政府高官は軽度に腐敗
・就職活動で軽度に父親につなぐつもり
以上はすべて中国版Twitter「新浪微博」から抽出したものだが、今回コーディネーターとして拾い出しをしてくれた中国人A氏(32歳)は、ネット上に今の中国社会の矛盾のすべてが反映されていると指摘する。さらに「日本の2ちゃんねるのような」(A氏)ユーモラスな風刺コメントが増えたことに、中国におけるネット文化の成熟さが見てとれて興味深いと言う。

「追突事故後、ガラガラに空いた地下鉄に完全防備で挑む乗客」に扮した画像が
Twitterにアップされた。こうしたユーモアを交えた世相批判も
増えているという。
「中国は深刻なインフレに悩まされながらも、マンションの空室が一部で目立ち始めるなど、不動産バブルの崩壊もささやかれています。また、共産党幹部の腐敗や、メディア統制にも、国民は心底うんざりしています。それらの不満のすべてがネット上に拡散してますね。サンプルの最後にあげた『就職活動で軽度に父親につなぐつもり』は、日本人には少し理解しづらいかもしれませんが、中国では共産党幹部や富裕層など権力者の子息たちが、ことあるごとに父親の名前を使って世渡りする場面が見受けられます。本来、共産主義社会にはないはずの不公平に対するイラつきに、冗談を交えつつ怒りを表現しているわけです」
今や中国の国民は、テレビや新聞をまったく信用していないというのが一般的な見方。代わりに台頭したのがネット情報だ。「国家インターネット情報弁公室」の発表によれば、中国国内のインターネット普及率は40%に近づき、ユーザー数は5億人を突破した。中国のネットユーザーはTwitterなどのプラットホーム上に「真実」を求め、そこで行われるユーザー同士の情報交換を通して思考を形成しているのが特徴的だ。それに伴い、当局は高速鉄道の事故以降、ネットショッピングサイト「淘宝網(Taobao)」での仮想プライベートネットワーク(VPN)製品の販売停止命令を通知するなど、ネット規制を強固に推し進めている。「仮に第2の天安門事件が起こるとすればネットが起爆剤となることは間違いない」(A氏)と多くの関係者が指摘する通り、中国の未来を知るにはネット上の声をつぶさに観察し続ける必要がありそうだ。
(文=浮島さとし)
対価は犠牲者40名の人命!? 安全を犠牲に2,000億円を不正蓄財した鉄道部高官

ネット上にアップされた張前運輸局長が
ロサンゼルスに所有するとされる豪邸。
中国浙江省温州市で発生した高速鉄道事故の賠償交渉で、当局は、40人とされる犠牲者ひとりあたりに約1,100万円の賠償金を提示した。
これは当初提示された賠償額より大幅に増額されたもので、中国では死亡事故の賠償金としては異例の高額だ。事実、多くの遺族がこの金額で合意しつつある。1,100万円といえば、中国の平均年収のおよそ23倍。これがこの国の命の値段というわけなのだろう。
ところが、鉄道部高官が乗客の安全を引き換えに肥やした私腹と比べれば、この金額はあまりにも安い。
香港紙「東方日報」は、汚職などの容疑で今年3月に停職処分を受けている前鉄道部運輸局長の張曙光が、米国やスイスに2,000億円の不正蓄財を行っていたこと伝えた。
「中国高速鉄道の礎を築いた人物」とも評された張前運輸局長は、前鉄道部部長、劉志軍の右腕として、1999年以降、国内外のメーカーから多額の賄賂を受け取っていという。
劉前部長は、新幹線の技術を提供した川崎重工の「高速化を急ぎすぎてはいけない」との忠告を無視し「最高時速の大幅な引き上げが必要」と強引に開発を進めた人物だ。ちなみに劉前部長も、入札に際して業者から約260億円の賄賂を受け取った容疑で、今年2月に逮捕されている。
つまり、彼らが鉄道部の運営能力に見合わない技術や運行スピードを次々と導入すればするほど、彼らは肥える仕組みになっていたのだ。そして彼らが残した負の遺産は、40名の人命によって清算されることとなったのだ。
乗客の安全を犠牲に2,000億円蓄財した鉄道部高官がいる一方、そのことによって起きたとも言える事故の犠牲者40人分の賠償額を合わせても4億4,000万円という矛盾。この国が抱えるひずみを如実に表す数字である。
(文=高田信人)
【現地中国人記者の激白 第二弾】鉄道事故は第二の天安門事件に発展する!?

中国のすべてのメディアは今、6月から内陸部
で続いている大雨の記事をトップに報じてい
る。列車事故はなかったかのようである
(写真のサイトと記事中の記者とは直接関連
ありません)。
中国高速鉄道事故の政府対応に不満を抱く民衆とメディアの怒りが飽和状態に達している中国で、いよいよ本格的な言論統制が開始されている。7月30日を境に大手全国紙は新華社通信の記事一色に塗り替わり、高速鉄道事故の情報は中国の紙面上からは完全に抹殺された状態だ。
筆者は前回、ある共産党系メディアの担当者に電話インタビューを行い、「ここ数年の共産党指導部は以前のように露骨な言論統制はしにくくなっている。これは中国の変化だ」とのコメントを取っていた(記事参照)。今回の動きはその直後に起きた、いわば「変化の中の変化」と言えそうだ。今回は、政府に批判的な独自報道が多いある中国タブロイド紙の記者と接触し、報道規制がなされている社内の様子や現場の記者たちの声を聞いた。(聞き手=浮島さとし/フリーライター)
――強行な報道規制が始まったと日本では報じられています。
「もともと北京の宣伝部から鉄道事故についてはあまり報じないようにという『要請』は来てはいましたが、29日の終わりごろに急激に強化され、30日に紙面から完全に消えた状態です」
――「要請」は具体的にどういう形で現場に届くのですか。
「『要請』というのは事実上の『命令』なんですが、通常は政府の宣伝部の人間から社の上層部に文書や電話がきて、そこからデスクを通して現場の取材陣に降りてきます。また、記者が事故車両や遺体などの悲惨な写真を撮影して帰ってきても、政府から『この写真を使うように』と送られてくれば、それは『これ以外の写真は使うな』という規制を意味することになります」
――上層部やデスクからはどんな言い方をされるのですか。
「たとえば、紙面を組んでいる最中にデスクがやってきて、『今回はこの記事に差し替えよう』と、全然関係ない事件を持ってきたりします。そうなると、『あ、圧力がきたな』と察するわけです。先日、日本の地下鉄でエレベーターの事故(注:7月26日に東京メトロ平和台駅で起きた落下事故)がありましたよね? この間はその記事に差し替えられましたよ。日本のエレベーターの事故なんて今の中国になんの関係もないんですけどね」
――そのような諸々の規制を受けて、現場の記者たちはどういう反応なのでしょう。
「そりゃあ、冗談じゃないとみんな思っていますよ。なにしろ今回の事故の諸悪の根源は汚職にまみれた鉄道部とそれに起因する欠陥工事であることは明らかです。民衆の命もないがしろにされている。私は今回、鉄道部のAさん(仮名)という技術者から現地で話を聞くことができましたが、『安全面がおざなりのままに作られてしまい、非常に懸念していた』と、開発当事者がそう証言しているんですからね。それを現場で記者は聞いているわけですから」
――現場の記者たちの間には不満が鬱積している状況であると。
「記者だけでなく、デスクも含めて現場は怒りが充満しています。取材しても載せられないし、遺族の悲しみも現場で目の当たりにしている。その怒りの一部が、ネットの掲示板や微博(中国のTwitter)などへぶつけられるわけです」
――ネットへは一般民衆だけでなく、プロの記者たちも書き込んでいるのですか。
「そうです。現場の記者は詳しい情報を持っているのにどこにも出せず、怒りもたまっているわけですから。書き込まれている内容を見れば『これは記者だな』と分かります。それを読んだ民衆の怒りがさらに増幅しているという状況です」
――政府に対しての怒りはもちろんですが、社の上層部に対して不満はありますか。
「まぁ、彼ら自身も忸怩たる思いなんでしょうが、年齢が高くなって上層部になるほど保身に走るのは仕方ない。今クビになったら生活できませんから。それをするなら、フリーでやっていく覚悟を持つしかない」
――中国のフリー記者はどういう活動をしているのですか。
「ネットに書き込みを続けている人間もいますが、それだと経済的な担保がありませんので、香港へ移って向こうのメディアに書き続けるという人間もいます。それだともう、記者というよりは運動家に近いですね」
――事態の今度の見通しをどう捉えていますか?
「中国は今までも『飴とムチ』で国を運営してきましたが、今回も賠償金という飴で幕引きを図ることになるかもしれません。ただ、実際のところは誰もわかりません。民衆の怒りが収まるのか、爆発するのか、他の民族運動にまで波及するのか。政府も我々メディアも読めていません」
――民衆の怒りが収まらず、第二の天安門事件に進展する可能性も?
「それはありえるでしょう。というのも、高速鉄道は鉄道部の管轄ですが、交通網というのは軍事に密接に関連するため、実は鉄道部も軍部の影響下にある組織なのです。軍には強硬派と言われる人間も多いですし、実際に天安門事件のときに弾圧に携わった人間が今も役職についています。そういう勢力が無理やり抑えつければ同じことが起こる可能性は十分ある。ただ、共産党中枢の人間たちは懐柔策を使いながら乗り切ろうと考えている。中国政府も意見は一つではないですから、政府の中でも対応策は分かれています。それにより結果は変わってくるでしょう」
――先行きは本当に不透明ということでしょうか。
「正直、どうなるか本当に分かりません。ただ、取材現場で記者たちがよく話しているのは、仮に今回うまく幕引きを図ったとしても、近い将来に同じことが起こるだろうと。当然でしょう、事故原因が究明されていないのだから、安全面の問題は何も解決していない。中国の高速鉄道は大きな火種を抱えたまま、これからも走り続ける。問題が先送りにされるだけだということです」
中国政府系メディアが暴露! 「共産党指導部はもはや民衆を抑えることはできない」

事故を伝える現地メディアにも厳しい目が
向けられている。
中国の高速鉄道事故における国民の爆発的な怒りを、中央政府が抑えきれない事態に陥っているようだ。事故翌日に処理部隊が車両の一部を埋めてしまったことに、ネット上では「真相の隠蔽だ!」と非難轟々。さらに、同日深夜に会見した鉄道省の報道官による「現場がぬかるみで、放置すると危険だと判断した」との説明に、納得できない記者たちが殺気立つ場面も。空気を読んだ報道官が、「隠蔽ではありません! 皆さんは信じないかもしれませんが、私は信じています......」と苦しいコメントで頭を下げる珍場面も見られた。
一方で、政府は25日までに、国内のメディアに対して独自取材をしないよう求める通知を発令。お得意の情報統制に打って出たものの、27日には犠牲者遺族約100人が横断幕を広げて抗議行動を敢行。共産党指導部の思惑に反し、ネットとリアルの両面で政府批判は強まるばかりだ。
「一党独裁」「言論統制」がキャッチフレーズ(?)の中国で今何が起こっているのか。中国の大手政府系メディアの担当者が、「絶対匿名で」を条件にインタビューに応じてくれた(聞き手=浮島さとし/フリーライター)
――インターネットの普及により、政府が民衆の不満を抑えきれなくなっているとの見方が、日本人の間で広がっています。
「確かにネット上で湧き上がる不満の声を、共産党指導部も止めることができなくなってきてます。その対応に躍起になっているという印象は、現場にいても感じます」
――実際にどういう形で情報統制がなされているのでしょうか。
「中国では電波や新聞、雑誌、フリーペーパー、ネットニュースにいたるまですべて共産党の宣伝部の検閲を受けていますので、そこに露骨な政府批判の記事を見ることはありません。ただ、今の民衆は、こうした報道をほとんど信用していませんので、ニュースサイトの書き込み欄に怒りのコメントが大量に書き込まれるのがパターンです」
――政府批判のコメントが大量に書き込まれると、やはり削除されるわけですよね。
「そうです。ただ、消しても次々と書き込まれるので対応しきれません。最近では微博(中国のTwitter)でリツイートされまくると、もう止めることは不可能ですね。それがさらに民衆の怒りを増幅する。そうなると政府も民衆に擦り寄るしかありません。今回、いったん埋めた列車を掘り起こしたのも、その流れだと見ていいでしょう」
――BBSやサイトそのものが消されたりはしないのですか。
「そこが昔と今の中国の違いなのですが、かつてのように露骨な規制は、かえって民衆の怒りに火をつけるのでやりづらくなっています。そこは、ある意味で大きな変化でしょうね」
――閉鎖が難しいといっても、中国では海外サイトがブロックされていて、見られるサイトが最初から制限されていますよね。
「確かに、政府はグレートファイヤーウォールで海外サイトをブロックしていますが、最近ではそれも、『vpn』というサービスを介すれば、Facebookなどの海外サイトも見られるようになっていて、そこで中国民衆が本音を共有できるようになってきました。その影響は大きいと思います」
――ということは、やはり変化というものを実感されているのですね。
「そうです。まず、民衆が報道をまったく信じなくなった。『どうせ都合のいいことしか知らせない』というスタンスで見ている。また、政府も露骨な抑圧はしにくくなっている。今回の鉄道事故への対応でも、いったん埋めた車両を掘り起こしたり、被害者に前例のない多額の補償金を支払うとしている。そういう懐柔策をとるようになりました。これも大きな変化です」
――先般、事故の関連で鉄道省の役人の会見があり、説明に納得しない記者が怒号を浴びせる場面がありました。ああいうこともかつてはなかったのではないでしょうか。
「その通りです。5年くらい前までは会見なんてものがほとんどなく、報道指示があるだけでした。あの鉄道省の説明は到底納得できる内容ではありませんでしたが、それでも開いた。そして、怒る記者に頭を下げるような形になった。こういうことは、かつてはなかったことです」
――政府が国内の不満を抑えきれなくなりつつあることは理解できましたが、それと関連して、政府は不満が起こると、とにかく日本を敵に仕立てて問題をすり替えますよね。
「おっしゃる通りです。毒餃子事件のときもそうでした。悪いのは日本だと矛先を変える。今回の事故でも、人民日報が7月25日付けで『日本では中国の事故をあざ笑う報道をしている』などと報じています。『事故に特に敏感に反応しているのは日本』『事故が日本メディアを喜ばせている』『揶揄している』『嘲笑している』など、意図的な表現が見られますね」
――報道する立場からご覧になり、民衆の不満は年々拡大しているとお感じになりますか。
「ひとことで民衆といっても、どの層を語るかにより違ってきます。都市部の富裕層にはそれほど不満はないでしょうが、地方の貧困層はインフレの進行でどん底の生活を強いられていますから、その不満はもはやピークでしょう。また、民主化の思想を持つインテリ層にも不満は蓄積しているようです」
――日本に帰化した評論家の石平(せき・へい=シー・ピン)さんに先日お話を伺ったのですが、「民衆の不満が爆発するのは経済が停滞したときだ」とのご意見でした。経済の成長が止まるとすべての矛盾が噴出すると。
「はい、その傾向は既にいろいろなところに表れていると思います」
――石平さんによれば、78年から09年までの30年間で中国の経済規模は92倍に拡大したが、それに対するマネーサプライは702倍にも膨らんでいると。常にお金を発行することで経済を支えてきたが、そんなやり方には限界があると。
「その指摘は正しいと思います。ただ、よく耳にする『不満が爆発する』というのが、具体的にどういう規模で、どんな形で起こるのか、それにより国そのものがどうなるかについては、正直誰もわからないと思います。いずれにしても、これからの中国は今までのような独裁政権での体制維持はだんだん難しくなるでしょう」
――それはネットの普及で情報統制が維持できなくなってきたからですか。
「その通りです。独裁政権が体制を維持するには、なんといっても情報統制ですから。それがインターネットの普及でできなくなれば、政権の維持が困難になるのは必然でしょう。今回の列車事故の報道に対する民衆の怒りを見ていると、その動きは確実に始まっていると感じます」
(インタビュー方法は通訳を介した電話によるもの)
奇跡の女児救出劇は真っ赤なウソ!? 当局に愛想を尽かした人民がネットでリーク

"奇跡的"に救出された2歳児。
7月23日、中国浙江省温州市で、追突・脱線事故を起こした高速鉄道では、人命救助や安全確認もおざなりのまま、わずか1日半で運転を再開した。さらに翌24日朝、高架から落下した車両を地中に埋めるという当局の証拠隠滅行為は、世界からの失笑を買うこととなった。
しかし、救出活動が打ち切られた後の同日の夕方、撤去作業が開始された車両の中から 2歳の女児が発見され、当局が十分な生存確認を行っていなかったことが露見した。運良く発見されていなければ、女児はまさに生き埋めとなるところであったわけだ。
これには、言論統制の中、普段は表立った政府批判をすることがない国内マスコミや人民からも、怒りや失望の声が上がっている。
「実際に生き埋めになった人もいるはず」という指摘も出る中、当局は女児の生還を「勇敢な特殊警察分隊長と消防隊委員による奇跡の救出劇」として美談化。世論の批判をかわす作戦に打って出たあたりは、"お約束"と言ったところではある。
ところが人民たちはもはや、当局のそんな言い逃れに耳を貸すつもりはないようだ。中国版Twitterと言われる「微博」や複数のネット掲示板に、こんな情報が流れているのだ。
「女児を助けたのは特殊警察でも消防隊でもない。駆け付けた女児の親族が車両に這い上がって彼女を発見し、救出した」「親族は当局に口封じされている」「女児の左足のケガは、撤去作業の重機によるもの」
現時点ではこれらの情報は未確認であり、ウワサの域を出るものではない。しかし、ネット上の書き込みも検閲される中国で、こうしたウワサが広まること自体、異例のこと。当局の信頼が完全に失墜したことを物語っていることは確かであろう。
(文=高田信人)





