
モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第26回のゲストは、自伝的小説『新宿スペースインベーダー』(武田ランダムハウスジャパン)を上梓された浅草キッド・玉袋筋太郎さんです!
[今回のお悩み]
「コミュニケーション能力が低いです......」
──うおー! この連載は26回目なんですが、やっとたけし軍団の方にたどり着きました! やりました!
玉袋筋太郎(以下、玉袋) おめでとう! ......ぜんぜんめでたくねぇだろう、それ!
――昔、草野仁さんとキッドさんの『草野キッド』(テレビ朝日系)って番組に出そびれたんですよ。アイドルがファンに乗っかって騎馬戦する企画だったんですけど、騎馬になるファンが集まらなくて......。
玉袋 さみしい! さみしいねー! 3人だよ、騎馬戦って。3人集まらないって、なかなかいい経験だよ!
――戦場にすら上がれなかった悲しい思い出で......。あと、初めて握手してもらった芸能人がつまみ枝豆さんで、初めてVシネマお世話になったのが「〆さば」の〆さばヒカルさんでした!
玉袋 ヒカルは......死んじゃった方か。
――亡くなっちゃいましたね......。めちゃくちゃ良い人で、売れて欲しいなぁと思いつつ、あの人がテレビに出てるのを見たのは、深夜におちんちんにスッポンが食い付いて、すごいもがき方をしているところだけでした......浮かばれない!
玉袋 『朝までたけし軍団』(テレビ朝日系)だな。もうできねぇな、あれは。井手さんが土佐犬に犯されて......最高だったよな!
──もう伝説の番組ですよね! 〆サバさんの後は、レギュラーは脱落したんですけど、北京ゲンジさん司会のミニスカポリスにちょっとだけ出て、それから深夜番組『ド・ナイト』(テレビ朝日系)で、やっと浅草キッドさんとご一緒できて!
玉袋 おお、取材行ったの? 俺と行ってないでしょ?
──行ってますよ!! 博士も玉袋さんも一度ずつご一緒させていただいて、玉袋さんはなぜか楽屋で「江頭と一緒にいろんな風俗で出禁になってる」っていう話をしてくれました。
玉袋 あ、そうそう、本番強要して池袋あたりで出禁。ヒドイ話だね、わざと女性に好かれないようにしてるね。そこらへんの話をポーンとして、乗っかってくるか嫌な顔するか、リトマス試験紙として人を見てるんだよ、俺たち。それは結構あるんだよ。
──そんな話題に乗るの、十代そこらの女子には無理ですよ!
玉袋 ハッハッハッ、それは失礼したね(笑)。
──あの番組は玉袋さんや博士さんがいろんなジャンルの成功者にお話を聞きにいく番組だったじゃないですか? 私も今、たまたまこうして対談をさせていただく機会が増えて、いろんなジャンルの方とお話しさせていただくんですけど、もう、ひどいんですよ、コミュニケーション能力の低さが。
玉袋 そう? もう十分つかんでるじゃん。
──全然! 前回は前田健さんだったんですけど、実は結構な惨敗で......。私の中の前田さんの知識っていうのが、あややのモノマネとゲイってこと、あとはキッドさんのDVDで、前田さん含む各業界のホモであろう人たちを集めてサイコロトークをさせるんですけど、そのサイコロに「ウンコが漏れそうだった話」しかないっていう......。あれはすごい緊張感で......!
玉袋 それ、単にホモ疑惑のある人にホモの話を追求してくっていう話だよね。
──はい! 一人が「ウン漏れ話」をしちゃうと、もう王様ゲームのような空気で全員がしなきゃ寒くなるから、もちろん前田さんも苦笑いでとびっきりの「ウン漏れ話」をしてくれてたんですけど、いざ対談になって、前田さんを目の前にしたら、「無理! 私、そんなこと聞けない!」と怯んで、ずいぶんと小ギレイなインタビューをしてしまって......。
玉袋 なんだよ、そこで肛門の話しなきゃ! それがいかに気持いいか、そういう話しないとさぁ。
──そういうふうに、一歩踏み込むタイミングを逃して怯んで退散っていうのをずっと繰り返してしまって......。せっかくの対談だというのに、ウィキペディアに載ってるようなことを聞いても意味がないじゃないですか! それがもうずっと悩みで......。
玉袋 『潮騒』じゃないけど、「その火を飛び越えてこい」ってことだよ。うちの相棒なんかひどいよ。野球のカネヤン(金田正一氏)いるだろ? 400勝の、日本一の大投手だよ? だけど、会って第一声「400勝、ウソでしょ」って。カネヤンが「んんっ!? 何を言う、この小童!!」って。小童って久しぶりに聞いたよ! いきなり博士の先制パンチだよね。ズッコケたよ、俺も。
──入り口から失礼って、相当勇気がいる行為ですよね! 私はその勇気がない上に緊張しいなので、後で原稿にしながら「この人はこんなに良いことを言ってくれてるのに、私なんで違う話してるんだろう」ってことがすっごく多くて。キッドさんの著書に『みんな悩んで大きくなった!』(ぶんか社/99年刊)があるじゃないですか。
玉袋 あのオナニーの話の本ね。
──まさかオナニーの話とは思わず読みましたけど、すごく面白かったです。対談やインタビューって、特に何も用意しなくてもその場の雰囲気やアドリブでうまく転がしたり、吉田豪さんみたいに完璧な下調べで味方ですよって顔で相手の懐に入り込んでしゃべらせたり、いろいろな手法があるじゃないですか。
玉袋 ハッハッハッ、吉田豪ちゃんに書かれたら最終的には敵になるのにね!
──アハハ! ある漫画家さんがしゃべりすぎて原稿になるのを恐れて「吉田豪さん死なないかなぁ」ってTwitterでつぶやいてました! キッドさんの対談は、また全然違う切り口でやられてるので、是非参考にさせていただきたいと思いまして!
玉袋 どうなんだろうね。懐に入るってのは大事だよな。アウトボクシングもいいけれど。ライターの本橋(信宏)さんが「どんな偉い人と会っても緊張しないインタビュー術がある」って言ってて、それは、ヤクザの親分とか、そういうすごい人をインタビューする時に、その人がクンニをしてる顔を想像するんだって。この人もクンニしてるんだからと思うと全然緊張しなくなるんだって。で、俺も100人近くインタビューしたけど、「なんだよ、お前クンニしてんじゃねえか」って思うと全然平気。そこらの飲み屋のおやじと変わんねぇから。
──ギャハ! ひどい! でも、ホリエモンの対談の時にそれを聞きたかったです。あの時は完全に萎縮してしまって......いやー怖かったです。偉い人だったし。
玉袋 偉くも何ともねえよ、あんな野郎。
──でも、六本木ヒルズのすっごい上の方で対談したんですよ!
玉袋 それが偉いと思っちゃうのがだめなんだよ。豆腐一丁作れない野郎が社長だとか言ってんだから、たいしたことねえよ。もちろん緊張する人はいるよ。いるけど、やっぱりそのクンニ作戦はいいよなぁ。今後使ってください、本当に。
――分かりました! さっそく今日からクンニ作戦! 玉袋とかクンニとか、なんか完全に痴女みたい! えっと、キッドさんのお仕事では、生前の水野晴郎先生に堂々とホモ疑惑をかけていったのも、すごすぎました。本人を良い気持ちにさせたまま外堀がどんどん埋められていくんですよ。
玉袋 まぁね。褒め殺しでいくんだよね。「最高ですね!」って話から入って、潜入捜査的に「もしかしたらこいつらもその気あるんじゃねぇか?」って思わせるのも大事だよな。まぁ下調べはしてたけど、知ってても仮面かぶって、知らんぷりしてやるから、それがまた良いんだよな。きたねぇテクニックだよな。知らねえふりして、わざとそっちの話させるように持ってって、「え! そうなんですか!?」って大げさなリアクション。
──なるほど! 確かに『ド・ナイト』でも「そうなんですか!?」ってやってました! 本当は誘導してたんだ!
玉袋 こっちは全部知ってるんだから。『アサ秘ジャーナル』(TBS系)の時も、"ヨイショ付きの政見放送"って呼んでたんだよね。俺も博士も全部読んでるわけよ、その政治家のスキャンダルから何から。全部大宅文庫で分厚いのが来て、もう憂鬱だったんだけど、それを知らんぷりして、うま~く分かるやつに向けてボールを投げる。「おっ、わざと踏まないでその話聞いてるな?」みたいな。ある政治家がAV男優騒動とかあったじゃない? そんな時、わざと駅弁の話したりさ。「昔、私は駅弁を売ってたんです」って。「駅弁ですかぁ、こうやってですか?」(腕を腰の前でハッスルさせながら)「そう、こうやって」って、その人にポーズさせて「勝ち!」みたいな。分からない落とし穴をいっぱい掘っといて、相手がそれにズボッと落ちた時、心の中でガッツポーズする。
──意地悪!! 完全に落とし穴を掘ってから始まってるんですね!!
玉袋 落とす落とす。それがテクニックだな! ハッハッハッ!
──鬼畜ー! そんな玉袋さんの自伝的な童貞小説『新宿スペースインベーダー』を読ませてもらったんですけど、昭和の悪ガキたちが不良やホームレスと交流しながら成長していく、みたいな良い話も多くて、NHKの連ドラに出来そうじゃないですか?
玉袋 ハッハッハッ! ダメだろ、それ! だって××××にセックス教わった話とかあるんだよ、無理に決まってんだろ!
──ものすごく大雑把にジャンル分けすると『三丁目の夕日』とか『東京タワー』的な雰囲気は醸してるんですけどね......。
玉袋 あれらは違うんだよね、俺。あっちの『三丁目』だとか『東京タワー』だとか、俺は読んでねぇんだよ。ずっと鎖国してたんだよ、この何年間。文化とか映画とか、見ないようにしたの。影響とか受けたら悔しいじゃん。
──良い話の中に「完全にダメだろ......その話題......」みたいなショッキングなエピソードをがんがん入れ込まれてましたね! 知的障害の子の性描写とか、びっこのお婆ちゃんとか、子ども心に「踏み行っちゃいけない一歩」みたいなのをいつの間にか越えちゃって、後で暗くなるような、そういうデリケートな部分の気まずさを思い出しました。
玉袋 あえてだよね。あえて「ウンコチンチン!」してるって感じがねぇと、やなんだよね、そんなの。
──でも、ちょっとそっちに寄れば、莫大なお金が儲かったりしますよ。映画化とかドラマ化とかで。
玉袋 あ、そうなの? ......バカだったな、俺。
(中編に続く/取材・文=小明)
●たまぶくろ・すじたろう
1967年、東京都生まれ。86年にビートたけしに弟子入りし、87年、水道橋博士と漫才コンビ「浅草キッド」を結成。初の自伝的小説『新宿スペースインベーダー 昭和少年凸凹伝』(武田ランダムハウスジャパン)発売中。
●あかり
1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/>
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
「511」タグアーカイブ
合体のロマンに全国の男子がハマりまくった! 「合体シリーズ」「ミニ合体シリーズ」今昔物語

今も再販されている人気ロボット・アトランジャー。
「合体シリーズ」の顔のような存在だ。
アナログとデジタルの過渡期であった1980年代。WiiもPS3もなかったけれど、ジャンクでチープなおもちゃがあふれていた。足りない技術を想像力で補い、夢中になって集めた「キン消し」「ミニ四駆」「ビックリマンシール」......。なつかしいおもちゃたちの現在の姿を探る!
「合体」。それは男のロマンである。もちろん性的な意味ではなく、メカニック的な意味で、だ。
何種類かの飛行機や自動車がグリグリっと形を変え、グワシッ! と組み合わさり、1体のマシンにパワーアップするギミックに心をたぎらせた少年は今も昔も数知れず。どんなに時代が移り変わろうとも、戦隊ヒーローやアニメに登場するロボットの合体シーンは、作品のハイライトとして多くの少年に夢と希望を与えている。
そんな、もはやDNAレベルで「合体萌え」を刻まれたとしか思えない全国の男子を熱狂させたプラモデルシリーズが、1970年代から80年代にかけて存在していた。その名は「合体シリーズ」と「ミニ合体シリーズ」。

アオシマが誇るオリジナルロボット・アトランジャー!
今回は青島文化教材社のご厚意で、社内に残るキットを貸していただきました。
発売していたのは「創造のプラモデル」というキャッチコピーを掲げ、近年も「痛車」や「小惑星探査機はやぶさ」などかゆいところに手の届くキットをリリースする模型メーカー・青島文化教材社だ。
ばら売りされているプラモデルを4体集めて合体させると、「アクロバンチ」や「トライダーG7」などのかっこいいロボットになってしまう! そのコレクション性と合体のダイナミズムに子どもたちは酔いしれた。
よりリアルな合体を追求した高価格な「合体シリーズ」と、1個100円というリーズナブルな価格設定が子どもたちの懐に優しかった「ミニ合体シリーズ」の両輪で、青島文化教材社は子どもたちに新たな「創造」を提供し続けたのだ。今回はそんな「合体シリーズ」「ミニ合体シリーズ」を振り返ってみよう。
■逆転の発想と子ども目線から生まれた「合体シリーズ」と「ミニ合体シリーズ」

筆者の持っているガンプラ(約15センチ)と大きさを比較。
この力強さ、この巨大さこそアオシマよ!
「そもそも『合体シリーズ』は、『マッハバロン』のプラモデルを売る時に、主役のロボットしか版権が取れなかったことからスタートしたんです」
このように語るのは、74年の「合体シリーズ」スタート時から企画開発に携わっていた青島文化教材社の堀井康吉氏だ。
「『マッハバロン』シリーズを始めるに当たり3~4社で競合となったのですが、うちは何種類かあるメカのうち、主役ロボットの『マッハバロン』しか版権が取れなかったんです。そこでなんとか商品点数を増やすために『合体』というアイデアが生まれたんです」
ゼンマイ仕掛けやモーターを搭載した動くプラモデル全盛の当時、動力のない合体プラモデルを発売した同社には、「売れるのか」と疑問視する声が業界内から上がったそうだが、予想に反して「マッハバロン」は大ヒットを記録した。
「当時、お母さんたちから頂いていた『無駄なパーツが多くてもったいない』『シンナーを使わせないで』という意見を参考にして、余ったパーツを合体させて新しいメカを作れるようにしたり、接着剤を使わずにパーツをはめ込むために穴の規格を統一したりと、プラモデルのマイナス面をすべてプラスに逆転させるように心掛けました」
発想の転換が功を奏したのだ。
子どもたちには、「合体」という斬新なプラモデルの遊び方を提示し、保護者には安全で無駄のないプラモデルというアピールを行った「合体シリーズ」は、瞬く間に全国のおもちゃ屋や駄菓子屋の棚を埋め尽くした。

なぜか4体のメカが合体する「ミニ合体」版ザンボット3。
残念ながら社内にも3体しか残っていなかった。
ちなみに「合体シリーズ」の特徴は、「原作では合体しないロボットも、強引に分割し合体メカにアレンジする」というとんでもないもの。そのパターンはだいたい、頭部・腕部・胴体・脚部の四分割。その中でも、頭部がメカの上にちょこんと乗っかる「生首マシン」のインパクトは大きかった。
「版元さんも『合体は面白そうですね』と、(合体のアレンジについて)OKをしてくれました。今では考えられないですね。そのころはスタッフで担当を割り振ってデザインをしていました。私は『頭部』担当だったんですが、頭だけでどうやってメカを作ろうかと本当に苦労しました(笑)。ちなみに『合体シリーズ』の外箱は、内箱に比べて少し寸足らずに作っているんです。そのおかげで、小さなお子さんでも箱を外しやすくなっています」
そんな苦労や工夫もあって、「合体シリーズ」はヒットシリーズに成長し、新作が続々登場。自社で開発したオリジナルロボット「アトランジャー」も「マッハバロン」に続くヒット商品となり、「合体シリーズ」は人気シリーズとしての地位を確かなものとした。
だが、1個500円。4つそろえると2,000円という子どもの懐には少々厳しい金額設定のため、正月、クリスマスなどの大きなイベント時期以外には売れづらいことが分かってきた。
そこで、1個100円にプライスダウンし、設計もよりシンプルにした「ミニ合体シリーズ」を考案。そのおかげで子どもたちは、日々のわずかなお小遣いでも合体プラモデルを手にすることが可能となった。
「お小遣いを100円しかもらえないお子さんは、1個500円だと買うのに5日もかかってしまう。まして他のパーツも全部そろえるとなると、とんでもない時間がかかってしまいます。でも1個100円なら、毎日一個ずつ買って4日で全部そろえられるんじゃないかと考えました。現実に3号までそろえたのに、4号がお店からなくなっていたので完成できなかった、というようなご意見がよく届いていたんです」
徹底的に子どもの目線で作られた「ミニ合体シリーズ」は、「合体シリーズ」に続き、またも大ヒット。「合体シリーズ」と同じく「マッハバロン」からスタートし、「トライダーG7」「ザンボット3」「イデオン」「アクロバンチ」と70年代後半から80年代半ばにかけて、ブラウン管の中で大活躍したロボットが続々登場した。
■『ヤマト』『ガンダム』『エヴァ』も合体していたかも?

ズラリ並んだ生首マシーン。
微妙にアニメの設定を生かしている点がポイント。
「もしかしたら『機動戦士ガンダム』のプラモデルも、弊社で出すかもしれなかったんです」
取材も半ばに差し掛かった時、堀井氏の口から聞き捨てならない言葉が飛び出した。日本のSFアニメ史に残る作品のプラモデルが青島文化教材社から出るかもしれなかった、とはどういうことなのだろうか。
「弊社は『合体』を登録商標にしているということで、当時、『ガンダム』の合体おもちゃを出されていたクローバーさんが『"合体"という言葉をおもちゃに使わせてもらえないか』と相談に来られたのがきっかけで、『プラモデルを出しませんか?』という話になったんです。ただ、ちょうどそのころは『ガンダム』のテレビ放送があと3回で終わっちゃうというタイミングだったので、『じゃあ、その次の番組(『トライダーG7』)からお願いします』と返事をしてしまったんですよ」
放送打ち切り後、バンダイはガンダムブーム到来を察知し『ガンダム』のプラモデル、通称「ガンプラ」を発売。その後、今もなお続く大ヒットシリーズへと成長していくことは、ご存じの通りだ。
「『宇宙戦艦ヤマト』も『新世紀エヴァンゲリオン』も、最初はうちにお話が来たんです。いずれも立ち消えになってしまいましたが......。歴史のIFを言っても仕方がないのですが、私たちがやっていたらどうなっていたのだろうと考えてしまいますよね。いつも通りの合体シリーズを発売して、そこで作品が終わっていたかもしれませんが......」
と、堀井氏は苦笑いだ。
もし「合体シリーズ」の『ガンダム』や『ヤマト』『エヴァンゲリオン』が実現していたら、生首ガンダムやエヴァの腕だけの戦車、はたまた輪切りになったヤマトがおもちゃ屋さんに並んでいたのだろうか(ちなみに青島文化教材社は、当時「合体レッドホークヤマト」という合体する戦艦のキットや、ガンダムを意識したと思われる「ザクレス」シリーズなどのオリジナル商品を販売していた)。興味は尽きないが、それも今は歴史の闇の中である。
■今も変わらぬ「創造」のアオシマイズム

シリーズ後期のキット。偉い人にはわからないかも知れませんが、
足は飾り的なデザインです。
合体シリーズで一世を風靡した青島文化教材社だが、21世紀に入って以降も、萌えキャラをペイントした乗用車「痛車」をスケールモデル化した「痛車シリーズ」や、2010年6月に地球へと帰還した探査機「はやぶさ」のキットなど、独自のセンスがキラリと光るヒット商品を多数発売。7月にはゴキブリを擬人化した禁断のキット「!!ごきチャ」「!!!ちゃば」という挑戦的すぎるラインナップが控えている。
「(『!!ごきチャ』『!!!ちゃば』は)正直私の理解を超えているのですが(笑)、こういう商品はうちじゃないと出せないと思います。社風的に、常に新しい物を追求していこうという気持ちがあるんでしょうね。私みたいな年寄りが若い人たちにあまり口出ししすぎると、結局、既成概念にとらわれたままになってしまいますので、『とりあえずおやりなさい』と言っています。そういう空気は『合体シリーズ』の時からあります」
もちろん数多くの失敗作や、成功したとは言えない企画もあるのだろう。だが、それでも確実にコンスタントにユーザーの心に刺さるアイテムを開発し続けられる、その理由は青島文化教材社の根底に「創造」の文字が流れているからではないだろうか。
「普通はちゃんと市場調査や分析をして、これはやめておくべきという判断も当然生まれるのでしょうが、それだけでは物事は前に進まないと思います。だからうちは、おおざっぱに『こんなお客さんがいるだろう』ってノリでやっている部分も多いです。ですから、他社さんからしたら、一見不マジメな会社に思えるかもしれませんね(笑)」
そうおおらかに笑う堀井氏は、模型メーカーに携わる人間として大切なものは何か、という問いに「遊び心」と答えた。
「模型を作ることそのものが遊びですから、自分が作って楽しくないものは、誰が作っても楽しくないと思います。そこに青島文化教材社ならではの独特な味付けを加えるんです。一つの素材を生で食べるのか、煮るのか、焼くのか、あるいは蒸すのか。いろいろな食べ方を比較検討していく中で、私たちのやっている仕事は答えが出てくるのかなと思います」
これこそ独自のプラモデルを「創造」し続ける青島文化教材社を表現する言葉だろう。その魂は独創的な現行ラインアップの中にも、確実に息づいている。
なお、「合体シリーズ」のヒット商品「アトランジャー」は今も生産されており、お手軽に入手することが可能だ。合体がまだ珍しかったあのころの気持ちを思い返しつつ、もう一度組んでみてはいかがだろうか。
(取材・文・写真=有田シュン)
なんとも言えない高揚感に体が火照る!? 話題のアニソンバーで熱唱!

「もってけ!セーラーふく」のイントロが始まった。き、緊張する!
左から、そらさん、桃月かすみさん、朝井(=筆者)、
盛り上げ役のちーさん。図らずも、全員黒ニーハイの
絶対領域をちらーり。
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。
"散歩師"などとおそれ多い冠を付けていただいている当連載だが、職業柄、どうしてもインドアに偏りがちなきらいがある。ライターなんてそんなものだ。いつものようにネットサーフィンにいそしんでいたある日、気になるスポット「アニソンバー」を発見。世界初のアニメソング専用カラオケバー、ここではアニソンしか歌ってはいけないのだそう。今こそ、日々、パソコンの前に張り付いている成果を出す時! 意気揚々と、上野の「ANI-SON BAR あにすた!」へ足を運んだ。
扉を開けると、迎え入れてくれたのはツインテール美少女。もちろん、フリフリのアニメコスプレ衣装を身にまとっている。奥の方では、男性サラリーマン客がロボットアニソンをステージ上で歌うのに合わせて、スレンダーな茶髪美女と、メガネっ娘がタンバリンをたたいていた。あまり深く考えずにここまで来てしまったが、こ、この店って、つまり見ず知らずの人たちの前でアニソンを熱唱しなければならないのね......。は、恥ずかしくて、私、とてもじゃないけどそんなこと......!

タンバリンとマラカスでノリノリの店員さん。
私が隅の方でモジモジしているのをよそに、ひっきりなしに曲が入り、お客さんが入れ代わり立ち代わりで歌う。この日のお客さんは全員一人で来ていたようで、友達同士で一緒に歌ってやり過ごす人など皆無。どうしよう、早く私も歌わないと、このままでは何しに来たのか分からない。
ひとしきりモジモジして心の準備ができたところで、『らき☆すた』の「もってけ!セーラーふく」を3人の店員さんと一緒に歌ってお茶を濁すことにした。この店では、一人で歌うだけでなく、店員さんと歌うこともできるのだ。

歌ってみると意外に楽しい。
歌い終わってみると、いわく言い難い高揚感に包まれ、いい具合に体が火照ってきた。歌い始める前はあれだけグズグズともたついていたのに、人前で歌うのも案外悪くない。何だろう、この気持ち。
そして何より、店員さんたちの完璧な歌いっぷりには舌を巻いた。店員さんを選ぶ際には、歌唱力テストなどがあったのだろうか。メガネっ娘店員の桃月かすみさんと、店長のおやぶんふくださんに聞いてみた。

店長のおやぶんさん。お客さんが歌ってるときは、
店長も盛り上げ隊をやってくれるんだゾ☆
――皆さん、アニメ声だし、お上手ですね。
おやぶんふくださん(以下、おやぶん)「うちの店員は、応募者130人中、10人の精鋭ですからね」
――面接でアニソンを歌わせて上手な子を選んだのですか?
桃月かすみさん(以下、かすみ)「いや、店長が嫁にしたい子を選んだんですよね?(笑)」
おやぶん「そうそう(笑)。いえ、マジメに答えると、歌唱力テストは特にしていないのですが、僕がアイドルとしてプロデュースして人気が出そうだな、と思った子を選びました。実際、ほとんどの子が現役の地下アイドルや声優をやっています。店員の女の子それぞれ全員のCDを出す企画も進行中なんです」

(写真上)入口もカラオケのような
様相を呈している。
(写真下)店内にはフィギュアが
敷き詰められている。ファンには
たまらない。
かすみ「店長は、もともと『Little Non』という、アニソン系のバンドメンバーとして活動していたんですよ。カラオケにもバンドの曲が入ってるので、おやぶんのファンの人もお店によくいらっしゃいます」
――そんな人気バンドメンバーのおやぶんさんが、なぜアニソンバーの店長に転身?
おやぶん「2月にバンドが解散になって路頭に迷っていたときに、アニソンカラオケバーのお店を開くっていうアイデアがわいてきたんです(笑)」
――なるほど。でも、なぜ秋葉原ではなく、上野なのでしょう?
おやぶん「うちの店では、お客さんと女の子がデュエットをするから、法律的に"風俗店"の扱いになってしまうんですよ。もちろん、当店ではいかがわしいことは一切ありませんよ!(笑) アキバよりも上野の方が、"風俗店"の許可を取りやすい、という理由でここに店を構えています」
――女の子とデュエットできるとはいえ、さっきから見てると、皆さんお一人で歌われる方が多いですよね? 一人で歌うの、恥ずかしくないんですかね......?
かすみ「恥ずかしがる人はいないですねぇ。もともと、人前で歌うことを前提でお店にいらっしゃってるわけですし......」
――うっ......、そうですよね。ぐうの音も出ません。
筆者のような恥ずかしがり屋には肩身が狭いお店なのかと思いきや、単純に人が歌うアニソンを聞きたいから来る人や、店長や店員さんと話すのを楽しみに来てる人も少なくないのだとか。アニソンを愛する気持ちさえあれば、問題なさそうだ。ステージ上で我先にと歌うもよし、店員さんとキャッキャウフフと戯れるもよし、隅でモジモジしてるもよし。アニソンの聖地「ANI-SON BAR あにすた!」は、実に懐の深い店であった。
●体中が火照っちゃう度
★★★★★
人前で歌えば、火照る。かわいい店員の女の子と談笑すれば、火照る。ドキマギする要素満載の空間だった。
●「ANI-SON BAR あにすた!」
<http://anista.net/index.html>
お客さんの年齢層も20代から50代までと幅広い。ガンダム等の定番ロボットモノから、最近の萌えアニメまで歌われる曲も日によってさまざま。料金は、最初の1時間は飲み放題2,000円~。「おんなのこ料金」もあり。システム詳細はサイトまで。
(取材・文・写真=朝井麻由美)
前田健さんの至言「自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる」(後編)

■前編はこちらから
前田 えっ、そうなの? でも、日本なんて特に美醜で判断されすぎだよ。美しくて得してる人がすごくいる。
──前田さんはお芝居をずっと勉強されているから、余計に気になりそうですよね。
前田 そう。ずるいと思ってるの、女の子。世の中の男性がみんな女の方を向いてるから、やっぱりヤキモチっていうか、ありますよね。
──アハハ! 正直! あの、ちょっと話が変わるんですが、昔から海外で勉強するほどの演劇少年で、今は小説を書いたり映画監督をしたり振付師をされたりしてますけど、その中で、"モノマネ芸人"って部分だけちょっと異質ですよね。どういう流れで芸人さんを志されたんですか?
前田 やっぱりねぇ、役者になりたくてずっと勉強してたんですけど、有名な人の息子でも、美しいわけでもないので、世の中の流れにつかまるフックがなかったんです。だからそのフックは何だろう? と思って鏡を見たら、「僕は面白い顔をしてるし、ふざけたことをやって人を笑わせたらいいんだろうな」と思った。それでイッセー尾形さんの一人芝居みたいに一人コントを長年やってたんですけど、全然売れなくて......。その時、うちの事務所の原口(あきまさ)さんがさんまさんのモノマネで、タモリさんをやってるコージー(冨田)さんと組んですごく売れたんです。それで「モノマネが出来る人はオーディションに行ってください」ってなって、僕は高い声が出たり、メイクがうまかったり、あと踊りが踊れたので、松浦亜弥ちゃんのモノマネをやらせてもらったんです。無名の人間が人に見てもらうためには有名な人のモノマネをするのが一番てっとり早い。逆算なんです。「世の中に出たい→人から見てもらうにはどうしたらいいか?→有名な人のマネをしよう」っていう、それだけです。毎週毎週いろんな地方で営業やってるうちに、歌いながら「俺、松浦亜弥ちゃんよりも『Yeah! めっちゃホリディ』歌ってるかもしれないな」って思ってたよ(笑)。
──その後、はるな愛さんの"エアあやや"が出てきて......。
前田 ごっちゃになって、いまだに「エアあややの前田健さん!」って言われることありますよ。「こっちはエアじゃねえよ!」って思うんだけど。......そうだね、確かにそこだけ経歴で異色だよね。
──そうなんですよ。だから私も、初めは前田さんって完全にモノマネ芸人さんだと思ってましたもん。
前田 それだけ、世の中との接点を作るため頑張っていたのかもね。今はその活動をきっかけにいろんなお仕事をさせてもらえるようになって、小説も映画も自分で100%やらせていただけた、ということです。
──こんなに珍しい道のりで監督デビューした人は初ですよ! ところで、ご自分の映画に出演しようとは思わなかったんですか? 何でも好きな役ができるのに、もったいない!
前田 ダメダメ! 自分にOK出せないもん! 意識だけ生意気に高いの! 自分が演じてしまうと、「あー下手だなー」ってモニター見て思うんだけど、僕が「うまいなー」って思う人をキャスティングすると、自分の作品なのに自分の演技力より素晴らしい作品が残せるわけですよ。それって悦ですよ。自分が演じても表現できない美も、麻生祐未さんにやっていただければ表現できるわけですからね。
──なぜそこでご自分に麻生祐未さんの役をチョイスしたのかは置いといて、やっぱり自己評価の低い人間特有の自重癖みたいなのもあるんでしょうか? 気にせず出てしまえばいいのに!! でも、単身でアメリカに行って4年もダンスや演劇を学んだり、俳優からモノマネを始めたり、自重しながらもすごい行動力だと思います。その貪欲さはどこから?
前田 そうですね、アメリカではダンスを中心に、歌とお芝居のワークショップにも行ってました。ウエイターのアルバイトで生きていくためのヒアリングも勉強したし......やっぱり欲張りだし、目的達成意欲がすごく強くて。自分が嫌いだから、余計に「今は自分はこうだけど、こうなりたい→じゃあとりあえずこれを埋めていこう」っていう、やっぱり逆算の考え方が強く根付いてるんですね。だから、いつも何か企んでるんです。
──行動にちゃんと計画性が備わってるってうらやましいなぁ。私は以前、アメリカじゃなく台湾に武者修行に行ったんですけど、計画性がなさ過ぎて引きこもって終わったし......。前田さんはいつからそういう逆算の考え方になったんですか?
前田 いつぐらいかな? 僕には兄と弟がいて、真ん中の子だったんですけど、上と下って仲良くなりがちでしょ? 自分は孤立してたんで、何でも自分で決めて、事後報告して、たくましい性格だったと思います。
──そうやって兄弟間で孤立してると、上や下が親に構ってもらってたり、甘えてたりするのがうらやましくなりますよね。その名残なのか分からないけど、どこかしらでいつも「誰かー! もっと愛してー!」って思ってる気がする。
前田 そうだね、渇いていますね。
──そういう渇きはどうやって補充されてますか?
前田 補充はできてません! 今でも渇いたままです! 渇きをガソリンに動いてます! その分、愛されたいという行動として作品を作って、人にうんとかすんとか言ってもらいたいなと思っている最中です。だから埋まったら書かなくなるかもしれないですし......。「悲しい歌手の方がラブソングをうまく歌える」って、よく言うんですけど、そういう感じかもしれないですね。
──今まで書けなくなったことはありますか?
前田 ないない! 満たされたことがないから!
──えー! じゃあ、今までの人生の中で両想いだったことは?
前田 うーん、うーんとね、あんまりない......かな。かすかに、ぐらいしかない。その時も「足りてないな」って思ってたから。ぬくぬくしたことはないです。
──うへえ! 貪欲ですねぇ!
前田 貪欲。過剰に貪欲。「結局どうなれば気が済むの?」って思うぐらい、他者を好き過ぎてしょうがないです。
──前田さんの小説にセックス依存症の女性の話がありますけど、そういう、どうしても何かに依存してしまう方も、根本にすごい渇きや寂しさがあるんでしょうね。
前田 そうそう、抱かれてる間はね、寂しいってこと忘れられるから。だから過剰なんですよ、僕は。求める愛情も与える愛情も、あふれ出て止められないくらい過剰だってことが分かっているの。小説の女の人は子どもができてその渇きから抜け出すけど、僕なんか相手も男で、子ども作らないからさ......セックスって快楽100%なんだよね!
──それは......ゴールが見えない!! セックス依存症とは対極ですけれど、小説にある、「私とつきあっても、行き止まりなの」っていうアセクシャルの女の人の話が興味深かったです。私も異性と楽しく話すのは好きだけど、性的な目で見られると一気に引いてしまって、「デートはいいけど泊まるのはちょっと......」みたいなのを続けていたら自然とフラれますよね。でも、ひとりは寂しいという矛盾!
前田 あ、それアセクシャルかもよ? 僕は専門に研究してるわけじゃないから、そういうサイトとかに行って、同じような悩み持ってる人の話とか読んでみるといいかも!
──検索して認めるのもなんだかつらいような! だって、前田さんの書くセクシャル・マイノリティーの人たちって、結末が幸せなものが少ないじゃないですか?
前田 そうそう。女性の話の中でいくつか幸せなラストはあるけど、結構救いのない話が多いというか。
──マイノリティだと、それだけ恋愛で幸せになりづらいってことですよね。
前田 なりづらいよ~。生きづらいよ~。僕は結構エッチが好きなので、アセクシャルは一番わかりえないキャラクターだったんだけど、自分の友達に何人かいて、小説や映画でもそういうものを打ち出してる人がいなかったから、友達とよく話して、勘違いのないようにデリケートに書きました。
──あ、確かに小説も映画も、全体的に文句のつけようがないデリケートさでした。
前田 僕はね、デリケートなんです。うふふ。
──デリケートだと、自分の発言に気をつけてる分、他人のちょっとした言葉で傷つくことも多くないですか?
前田 ありますよ。なんだかんだ人に言われる仕事を選んでしまったので、メンタルを強く持つしかないんですけど......。でも、2ちゃんとかそういうところを見てさ、自分の悪口とか読んじゃうんだよね~!
──精神衛生上よくないですよ! 私も昔は2ちゃんで自分の外見も内面もコテンパンにたたかれて、「早くAVいけ」って書かれてるのを見て鬱に拍車を掛けてましたけど、最近はたまに知人に見てもらって「どう? どう? 荒れてない?」って(笑)。「荒れてるどころか過疎ってるけど、あんた大丈夫?」って言われて、それはそれでピンチなんですが。
前田 ふーん......。でも、もしそのままグラビアアイドルでいて、良い線いってたとしても、満たされてはなかったでしょう?
──いやー、それはわからないですよ。どんなにやめたくても「ひと花咲かすまではやめられん! やめるなら売れて惜しまれながら......」みたいな感じで、とにかく誰かの記憶にとどまりたくて続けてたら辞め時を逃して、いまだにそのまま迷走してる状態で......。ひと花咲かすどころか、私はなんかの草だったようです。
前田 なるほどね。大丈夫です。枯れたり腐ったりしなければいつか咲くから。
──若干根腐れ起こしてるけど、がんばります! 咲くって、つまり、いかに充実感を得られるかですよね。待ってるだけじゃ咲かないんだな、動かないと。ちなみに前田さんの咲いてる瞬間っていつですか?
前田 うん、やっぱり僕は子どもを産まないから、子どもの代わりに作品を産んでるんです。僕は自分の作品を作る時、自分の身を切り取って、鶴が機を織るみたいにしてやっているので、そういった作品で人が心を動かしてくれた時は「生まれて良かったな」って思えて......。だから、そういう時、「ちょっと咲いてるかな?」って思えるような気がします。
──素晴らしく謙虚な締め! 前田さんの切り身(?)、しかと頂きました! 今日はたくさん勉強になりました、本当にありがとうござ......
前田 (遮って)だけど、本当は何もしてない僕を抱きしめてくれたり、チュウしてくれたりするような、パーソナルな受け入れも欲しいな(笑)。本当は一人にガッツリ愛されたいけど、それがないから、こうやってみんなからちょっとずつ愛されたい!!
──ひー! 今後も適度に渇きながら走ってください! 応援してます!
(取材・文=小明)
●前田健(まえだ・けん)
1971年、東京都生まれ。高校卒業後にダンスと歌の修行のために渡米。94年にデビューし、松浦亜弥の完コピモノマネなどでブレイク。2005年にゲイであることをカミングアウトしている。初の原作・脚本・監督映画『それでも花は咲いていく』公開中。
●あかり
1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/>
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

●『それでも花は咲いていく』
テアトル新宿、キネカ大森にて公開中、ほか全国順次ロードショー!
公式サイト:<http://www.soredemohanawasaiteiku.com>
芸人・前田健が贈る、心に響く渾身のヒューマンドラマ誕生!
ものまね芸人として、また最近では俳優として活躍する前田健。彼が2009年に初めて書き下ろした処女小説『それでも花は咲いていく』(幻冬舎)は、従来のタレント本とは違い、セクシャル・マイノリティーの人々をテーマに、本格的な小説として大きな話題を呼んだ。そして今度は、彼自身が初の脚本・監督として、自身の小説で描いた9つの短編の中から、人には言えない心の悩みを持つ3人の男たちの姿を描いた3編、「エーデルワイス」「ヒヤシンス」「パンジー」を映画化。原作者である前田健自らが監督したことで、原作が持つ世界観を壊すことなく、見事に映像化し、見る者の心に響き共感する、渾身のヒューマンドラマが誕生した。
過去に小学生の教え子にしてはいけないことを起こした罪を背負いながら、自分の許されない恋愛に悩む元有名進学塾の講師だった男(仁科貴)。容姿の醜さから人に拒絶されて以来、人を避けながら他人の部屋に侵入することに生きがいを感じる男(滝藤賢一)。そして最愛の母親を突然失い、呆然とした時間を過ごしながら過去の母親に思いをはせる男(平山浩行)。一見否定されそうな癖を持つ3人の男たちの、ナイーブでデリケートな問題を描きながらも、それが異常ではなく、誰にでもある心の中に隠されている悩みや問題として投影され、やがてそれが切ない気持ちにさせていく。まさに今を生きるあなたに問いかける、心の物語である。
主演の3人の男たちには、『アキレスと亀』の仁科貴、『クライマーズ・ハイ』の滝藤賢一、『ROOKIES -卒業-』の平山浩行といった映画・テレビドラマで活躍するバイプレーヤーの面々が初主演を果たし、心の中に悩みを持ち葛藤する男たちを見事に演じている。また彼らを支える助演陣には、南野陽子、麻生祐未、小木茂光、酒井敏也、佐藤二朗、カンニング竹山、ダンカンといった、演技に定評のある面々が顔をそろえている。
<監督コメント>
この映画は2009年に私、前田健が発表した同名の小説『それでも花は咲いていく』を私自らが脚本、監督をした作品です。私は「ゲイであること」をカミングアウトしたタレントでもあります。その「セクシャルマイノリティー」が今作のテーマになっています。人と変わった愛の形を抱えたまま、誰に打ち明けることも叶わず、生きづらいこの世界を健気に、必死に生きていこうとする人たちの姿を3編のオムニバスで描いている。監督・前田健の視点と、そこから見える今のこの世界。そして「それでも生きていかなくてはいけない」という、人の弱さと強さ、幸せと不幸せ、といった相反するものを同時に感じることができる、他に類を見ない作品と言えるものができたと思います。3編の物語の細やかな心情を見事に演じ切った俳優陣(仁科貴、滝藤賢一、平山浩之、他)にもぜひ注目していただきたいです。日陰であろうと、崖であろうと、一生懸命に咲こうとする花のような、みっともなくも美しい人間の姿を、あなたもぜひ、映画館で体感していただきたいと思います。
前田健
原作・脚本・監督:前田健『それでも花は咲いていく』(幻冬舎刊)
出演:仁科貴、滝藤賢一、平山浩行
南野陽子、冨家規政、カンニング竹山、佐藤二朗、ダンカン、酒井敏也、小木茂光、麻生祐未
配給:ケイダッシュ ステージ、リンクライツ
(c)2011「それでも花は咲いていく」フィルムパートナーズ
前田健さんの至言「自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる」(前編)

モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第25回のゲストは、上映中の映画『それでも花は咲いていく』原作・脚本・監督の前田健さんです!
[今回のお悩み]
「青春っぽいデートがしたいです......」
──映画監督デビュー、おめでとうございます! 小説を先に読んでいたんですが、キャスティングがぴったりで、思わず「似てる!」って言っちゃいましたよ。ほんとそっくり!
前田 そっくり(笑)。じゃあ、みんなだいたい想像するのは同じだったんだな。僕が書いて僕が映像を撮ってるので、ほぼ世界観がブレることなく、「どっちを先に見てもいいぐらいだね」って言われます。
──小説も文庫になりましたし、絶好調ですね! 私も小説を書こうとチャレンジしてるんですけれど、難しくて......。前田さんはいつから、どうやって小説を書かれてるんですか?
前田 僕は演劇少年で、映画やドラマを見るのも好きだったので、言いたいことを物語を通して伝えるのが好きでした。だから、ストーリーを生み出すのに苦労したということがあんまりないです。「こんなふうになったらドラマチックだなぁ」って、すぐ浮かんじゃう。自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる。
──......えっと、前田さんの小説はロリコン・老け専・アセクシャル・セックス依存症などの9つのセクシャルマイノリティーの恋愛を書かれたものでしたけど、やっぱりご自分の経験やエピソードを織り込まれたりしたんでしょうか?
前田 はい。僕自身のことをフィクションになぞらえて織り込んでいることもあります。特に同性愛者のボクサーの話と......。
――あ、あのボクサーの話はすごく好きです! 彼の「試合に勝って、人から注目されて拍手されて、やっとその人と同じ立場に上がれる」っていう自己評価の低さ、大変よく分かります!
前田 それはもう僕が本を書いたり、映画を作ったりするスタンスとまったく同じなんです。僕も自分自身が嫌いで、止まってる自分が嫌いで、動いて何かやっていればどうにかこうにか、「まぁ、頑張ってるね、かわいいやっちゃな」って自分のことを思える。だから、すごく下から、皆さんにプレゼントを献上するような気持ちで、物を作っています。あとは、気の強い女社長がセックスではMの話とか......これは、僕がテレビに出て顔バレするようになると意外とモテない! っていう経験談から来てるかも(笑)。
──えっ、意外と生々しい話を! いや、男性ってテレビに出ればモテるもんなんじゃないんですか?
前田 女の人って有名な人と仲良くなりたがるんだけど、男の人って、自分より稼ぐ人とか有名な人だと行きづらいんですよ。だから、テレビに出れば出るほどモテなくなっちゃったの......。愛されたくてテレビに出たのに、逆行しちゃったなって......。
──確かに、男の人はちょっと若くてバカな子の方が口説きやすいって聞きますね。
前田 あるある。「しょうがねぇな、オレが付いてなくちゃ」って人の方がモテる。
――あれ腹立ちますよね。そいつは絶対お前がいなくてもなんとかなるぞ! 甘やかすから甘えるんだろうが!
前田 本当にねぇ? 自分は自分の人生をまっとうしようと思って頑張ってるだけなのに、それが愛されない方向にいっちゃうって、本当に理不尽だなと思います!
――頑張れば頑張るだけ、「お前は大丈夫」的なポジションになっていくんですよね。
前田 そう! 「もう一人でやっていけるよ、マエケンは」ってよく言われる......。
――悲しいですね......。でもそういうところが創作につながるんですよ、多分! ちなみに、映画の中で、ロリコン中年が大好きな少女と観覧車デートをする、まさに至福の瞬間がありましたよね。前田さんにもそういう「時間よ、止まれ!」みたいな瞬間ってありましたか?
前田 僕はね、観覧車じゃなかったんですけどね、公園の池のボートでした。片思いですごい好きだった男の子と乗ったんですけど、向かい合ってるじゃないですか、ボートって。必然的に彼だけをまっすぐ見られる状態で座っていられるんだけど、水面がキラキラしてて、ちょっといい風とか吹いてるんだけど......「このまま止まれー!」って思ったね(照)。
──ロマンチストですね~! 私は十代のときに初めて好きな人の部屋に遊びにいって、幸せすぎてガスの元栓を緩めようとした時くらいです! ちなみに、そのボートの方には学生時代ずっと片思いしてたんですよね。
前田 そう! その人が結婚するまで、12年片思い。あは!
──12年も!?
前田 あ、でも、好きだったのがずっと続いてただけで、その途中途中でいいなって思って告白したりする人は別にいたんだよ。でも、ベースには彼がいるから、その人からフラれると、また彼に戻るって感じ。だから、これから誰かと結ばれて、同棲して結婚的な生活をしたとしても、その人がドーンって現れて、「お前が必要だからオレのとこ来てくれ」って言われたら、全部かなぐり捨ててそっちに行っちゃう! それくらい好きな人だから......。
──ロマンチストな上に情熱的! その彼を超える人を探すとなると、これからの恋愛のハードルも高いですね~。
前田 高い! そのせいで新しく恋ができないのかなって思っちゃいますね......。あと、映画が人からなんて言われるかで頭がいっぱいになってる部分もあるけど、やっぱり、フラれ続けて、負けデータが多すぎて、「勘違いでもいいから、次行こう!」って思えなくなってきてるっていうか......恋に臆病な大人になってしまってるのかもしれない......。
──また乙女なことを......! でも、私、前田さんのブログによく出てくる「やり残し症候群」にめちゃくちゃ共感してるんです。青春時代に青春をしそびれたまま大人になったので、あのころやり残したことにすごく固執してしまう!
前田 うんうん。中高生のころに、バカップルとか、デートらしいデートとかを経験してないから、今そういうことがしたい。普通に夕飯の買い物をスーパーで二人でするのが夢。
──ああ、やってみたいですね! 「夕飯どうする?」とか言いながら二人で食材をカゴに放り込みたい。
前田 彼が余計なものを入れて「ハイ、これは入れない」って言って戻したりするのをやりたい。
──やりたすぎる! 結婚とかって、そういう、なんでもないけど幸せな毎日がずっと続くってことですよね。最高ですよね。
前田 最高よ。
──そんな日がいつ来るのかと思うと途方に暮れます。
前田 気が遠くなるよね......。
――......えっと、ちなみに、小説から映画化された3作品はどのように選ばれたんですか? 男性が主役の話ばかりなのも、前田さんのこだわりですか?
前田 あ、はい。それは単に、小説から裸が出てこない話をピックアップしたら、自然と男性が主人公の話が多くて。
──なるほど、裸で規制がかかるのはもったいないですもんね。キャスティングも前田さんが?
前田 はい、キャスティングだけは僕が一番こだわらせていただいて。今までご一緒した中で、僕が「すてきだなぁ」と思う演技をする人で、役柄のイメージにぴったりな人を選ばせていただきました。やっぱり、自分が本当にリスペクトしている俳優さんじゃないと撮れないですよね。「この人の素晴らしい演技を際立たせるために全部用意しましょう!」って気持ちになれる人たちを選びました。
――確かに映画でもなんでも「彼女を入れないとスポンサーが......」みたいな話はよく聞きますね......。屈さなかったのは素晴らしい! 前田さんもブログに、ちょいちょいコネだったり外見が良いだけでうまくいった人たちに対する複雑な感情が見られますね。
前田 そうだよ。醜かったから。
──キュートだと思いますよ! 目つきとか、異様に色っぽいですし。なんなんでしょう、そのじっとりとした視線は。
前田 それは、エッチがすごく好きだから。
――えっ。
前田 でも、こうやってグラビアアイドルやれるぐらいかわいいあなたもなんか不幸そうだから、醜いってことで勝手にうらやましがる側に回ってるけど、美しくても幸せとは限らないってことよね......。
──いえ、グラビアアイドルは結局全然やれなかったですし、私のすっぴんはもたいまさこさんからオーラと演技力を取ったようなかんじだし、さらにずっと美人で頭も良かった姉と比べられてきたので、コンプレックスはけっこうなものですよ。
(後編につづく/取材・文=小明)
●前田健(まえだ・けん)
1971年、東京都生まれ。高校卒業後にダンスと歌の修行のために渡米。94年にデビューし、松浦亜弥の完コピモノマネなどでブレイク。2005年にゲイであることをカミングアウトしている。初の原作・脚本・監督映画『それでも花は咲いていく』公開中。
●あかり
1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/>
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

●『それでも花は咲いていく』
テアトル新宿、キネカ大森にて公開中、ほか全国順次ロードショー!
公式サイト:<http://www.soredemohanawasaiteiku.com>
芸人・前田健が贈る、心に響く渾身のヒューマンドラマ誕生!
ものまね芸人として、また最近では俳優として活躍する前田健。彼が2009年に初めて書き下ろした処女小説『それでも花は咲いていく』(幻冬舎)は、従来のタレント本とは違い、セクシャル・マイノリティーの人々をテーマに、本格的な小説として大きな話題を呼んだ。そして今度は、彼自身が初の脚本・監督として、自身の小説で描いた9つの短編の中から、人には言えない心の悩みを持つ3人の男たちの姿を描いた3編、「エーデルワイス」「ヒヤシンス」「パンジー」を映画化。原作者である前田健自らが監督したことで、原作が持つ世界観を壊すことなく、見事に映像化し、見る者の心に響き共感する、渾身のヒューマンドラマが誕生した。
過去に小学生の教え子にしてはいけないことを起こした罪を背負いながら、自分の許されない恋愛に悩む元有名進学塾の講師だった男(仁科貴)。容姿の醜さから人に拒絶されて以来、人を避けながら他人の部屋に侵入することに生きがいを感じる男(滝藤賢一)。そして最愛の母親を突然失い、呆然とした時間を過ごしながら過去の母親に思いをはせる男(平山浩行)。一見否定されそうな癖を持つ3人の男たちの、ナイーブでデリケートな問題を描きながらも、それが異常ではなく、誰にでもある心の中に隠されている悩みや問題として投影され、やがてそれが切ない気持ちにさせていく。まさに今を生きるあなたに問いかける、心の物語である。
主演の3人の男たちには、『アキレスと亀』の仁科貴、『クライマーズ・ハイ』の滝藤賢一、『ROOKIES -卒業-』の平山浩行といった映画・テレビドラマで活躍するバイプレーヤーの面々が初主演を果たし、心の中に悩みを持ち葛藤する男たちを見事に演じている。また彼らを支える助演陣には、南野陽子、麻生祐未、小木茂光、酒井敏也、佐藤二朗、カンニング竹山、ダンカンといった、演技に定評のある面々が顔をそろえている。
<監督コメント>
この映画は2009年に私、前田健が発表した同名の小説『それでも花は咲いていく』を私自らが脚本、監督をした作品です。私は「ゲイであること」をカミングアウトしたタレントでもあります。その「セクシャルマイノリティー」が今作のテーマになっています。人と変わった愛の形を抱えたまま、誰に打ち明けることも叶わず、生きづらいこの世界を健気に、必死に生きていこうとする人たちの姿を3編のオムニバスで描いている。監督・前田健の視点と、そこから見える今のこの世界。そして「それでも生きていかなくてはいけない」という、人の弱さと強さ、幸せと不幸せ、といった相反するものを同時に感じることができる、他に類を見ない作品と言えるものができたと思います。3編の物語の細やかな心情を見事に演じ切った俳優陣(仁科貴、滝藤賢一、平山浩之、他)にもぜひ注目していただきたいです。日陰であろうと、崖であろうと、一生懸命に咲こうとする花のような、みっともなくも美しい人間の姿を、あなたもぜひ、映画館で体感していただきたいと思います。
前田健
原作・脚本・監督:前田健『それでも花は咲いていく』(幻冬舎刊)
出演:仁科貴、滝藤賢一、平山浩行
南野陽子、冨家規政、カンニング竹山、佐藤二朗、ダンカン、酒井敏也、小木茂光、麻生祐未
配給:ケイダッシュ ステージ、リンクライツ
(c)2011「それでも花は咲いていく」フィルムパートナーズ
大のオトナのマジ工作。ゴム銃作家たちが作った名品の数々『ゴム銃大図鑑』
なぜ人はゴムを見ると飛ばしたくなるのか。それはゴムがよくしなるからだろう。最初は指で弾いているだけだったが、やがて人はそれを銃の形態にまで進化させた。それがゴム銃である。指で弾くより正確に標的をとらえ、射程もはるかに上回る。割りばしなどを用いて作ったことがある人も多いのではないだろうか。 誰でも簡単に作れるゴム銃だが、なかなか奥深い世界であるようだ。市井には多くのゴム銃愛好家がおり、日本ゴム銃射撃協会には2,348人(2011年5月現在)ものメンバーが所属している。『ゴム銃大図鑑』(社会評論社)は、日本ゴム銃射撃協会のメンバーが作った246挺の名作ゴム銃を掲載した本だ。掲載された銃はすべてオリジナル・ハンドメイドで、製作者の名前や製作年なども記載されている。日本ゴム銃射撃協会理事長の中村光児氏が監修を務める、なんともゴム銃愛にあふれた一冊だ。 ゴム銃といっても、大人が本気で作るそれはチャチなものではない。秀逸なフォルムに多彩なギミック、ユーモアたっぷりの逸品ぞろいだ。割りばしで作ったオーソドックスなもの、アルミやヒノキを使った重厚なもの、ワルサーやモーゼルなど名銃を模したものなど種類はさまざま。装弾も単発式、連発式、散弾銃に、なんと200発を連射できる機関銃まで存在する。孫の手を銃身に用いた「アルサー ゴトハンド」や、ヒノキをカメレオンの形状に掘り出した「カメレオニック2002」なんて珍品も。仕事から帰ってきたオトウサンが、日々熱心にゴム銃を作っている姿を想像すると、なんだかかわいらしく思える。 週に一度の休みも、ただゴロゴロ過ごしているだけじゃ味気ない。日曜日を持て余している方は、この『ゴム銃大図鑑』片手に、ゴム銃作りにチャレンジしてみてはいかがだろうか。きっと、子どものころに抱いたモノヅクリの喜びを思い出させてくれることだろう。 (文=平野遼) ・なかむら・こうじ 1959(昭和34)年、東京生まれ。東京都狛江市在住。大阪芸術大学映像計画学科卒業。会社員。2000年日本ゴム銃射撃協会設立。理事長兼東京都支部長。日本ゴム銃射撃協会公式ホームページを含むインターネットサイト、ゴム銃のページを運営。ゴム銃でテレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌掲載多数。講演、ゴム銃製作教室、イベント参加も豊富。趣味、ゴム銃・釣り・狩猟・キャンプ。『ゴム銃大図鑑』(社会評論社)
SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館

すりガラスによって中は何も見えず......入りづらい!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第8回は、SM雑誌だらけの図書館に行ってきました。
■風俗資料館ってなんぞや......!?
「風俗資料館へ取材に行きませんか?」サイゾー編集部に行った際に、編集Kさんからこんなお誘いを受けた。
高校三年間、カピカピの男子校生活を送ってしまった後遺症で、いまだに女子から声を掛けられると必要以上に緊張してしまうボクは「は、はい......」とテキトーに返事をしてしまったのだが、「風俗資料館」って一体なんなの!?
まあ、女性の編集さんが提案してきたネタなので、ピンサロやソープランドの資料が満載の"性風俗"資料館とかじゃなくて、民俗学的な意味での"風俗"なんだろうな......とは思っていたものの、実際に訪れた「風俗資料館」はその予想のはるか斜め上をゆくすごい場所だった。
飯田橋駅から徒歩4分の雑居ビル内にある「風俗資料館」。すりガラスの扉を開けて中に入ると大量の本が収められた本棚と閲覧机という、いわゆる図書館風の内装。しかし置かれている本が、普通の図書館では絶対に取り扱わないであろうものばかり。「S&Mスナイパー」「マニア倶楽部」「SM秘小説」等々......。そう、ココはサディズム・マゾヒズム・フェティシズムなど、いわゆる"そっち系"の雑誌・資料を大量に保管している有料会員制の図書館なのだ。
SMの資料館と聞くと、すさまじくアヤシイ場所でみんなニヤニヤしながら本を読んでる......的なイメージをどうしても抱いてしまうが、取材中のシャッター音すら気になるくらい静かで明るい館内で来館者が黙々と読書をしている光景は、ヘタしたらホームレスのオヤジがソファに寝っ転がってたりする最近の公立図書館以上に図書館らしい。それでいながら置いてあるのはハードコアなSM雑誌ばかりで、異空間に迷い込んでしまったかのような不思議な気分にさせられてしまう。

一見、こじんまりとした図書館風ですが......。
蔵書はSM関係のものばかり!
■懐かしのあのエロ本と再び会いたい
しかしこんな珍しい図書館、どういう経緯があって作られたのだろうか。学生時代にこの資料館を訪れて衝撃を受け、自ら志願してスタッフになったという三代目にして初の女性館長・中原るつさんに話を聞いた。
「当館は、戦後三大アブノーマル誌と呼ばれている雑誌のひとつ『風俗奇譚』編集長だった高倉一さんと、スパンキング小説で有名な平牙人さんによって1984年に設立されました。当初は平さんが大量に所有していたコレクションを閲覧できる場所という側面が強かったようですが、その後、各SM系出版社からの献本や、個人からの寄贈などのおかげで現在では2万冊を超える雑誌・資料、SM関連の映像作品も2,000本以上所蔵されているんですよ」

戦後三大アブノーマル誌「風俗奇譚」「奇譚クラブ」「裏窓」。
どれもイラストがいい味出し過ぎてます。
ここは有料会員制の図書館ということで、正会員入会金が1万円、月会費3,500円(ビジターの一日入館料は5500円)という、なかなか冷やかし半分では利用しづらい料金が掛かるのだが、一体どんな人たちが利用しているのだろう。
「ここにしかないような資料も多いので、本当に1枚のコピーをとるためだけに会員になられる方もいますし、毎日のように通って、のんびりと自分の書斎のような感覚で利用してくれている方もいます。こういう雑誌って、どんなに思い入れがあっても個人で長期間保管しておくのは難しいものがありますよね。なので、若いころに熱心に読んでいたあの雑誌が読みたい......というような目的でやって来る方も多いようです。あの雑誌の何月号、のようにピンポイントで記憶しているわけじゃないんですが、表紙がこういう色合いで、裏表紙にはこういう映画広告が載っていて......という覚え方をしているんですよ。若いころに一カ月間大切に読み込んでいた雑誌のことって、本当に強く記憶に残っているんでしょうね」

ボク自身はSMにあまり興味がないので、ここに置かれている雑誌たちを読んだ記憶はほとんどないのだけれど、確かに若いころ、少ない小遣いをやりくりし、本屋の店員さんの視線を気にしつつ購入して読んでいたエロ本って今でも強烈に記憶に残っているし、それをもう一度読むことができたらすごくうれしくて、いやらしい気持ち......というよりは感動して泣いちゃいそうな気がする。
ちなみにこちらでは、この手の本に興味があるけど男性がいるところではちょっと......という女性のために、毎週水曜日の19~21時に女性限定で「夜の図書館」という企画が開催されているそうだ。
「女性の方からの要望もあり、たまたま私が女性で館長をやっているということもあるので、そういう企画を立ち上げました。ただ、本当は男性も恥ずかしいと思いながら来ているのにな......とも思うんですけどね。別に女性が来たからといって『うへへへ』みたいな雰囲気にはなりませんし、それぞれが触れてほしくないと思いながら思い思いの本を読んでいるわけですから。週に1回、しかも時間まで指定されているとなると使い勝手は良くないと思いますし、できれば普通の時間にも来てもらいたいんですけどね」
■情念あふれかえりまくりのスクラップブック!
ところで、今回は取材ということで、いろいろな資料を説明してもらいながら見せてもらったのだが、ボク的にグッと心をつかまれたのは一般に売られていた雑誌よりも、個人の方から寄贈された自作のスクラップブックやファイルの数々だった。
もちろん、雑誌などからの切り抜きがメインとなるのだが、個人の独断と偏見丸出しで選定し、切り抜き、スクラップブックに貼られることによってまったく新しいオリジナルの一冊と生まれ変わっている。そのどれもが、作った人の情念(性欲)あふれまくりで、タマラナイのだ。
たとえば「下着の資料」と書かれたファイルには、セクシーランジェリーを着用してウッフンポーズを決めた、分かりやすくエロいお姉さんの写真が主に張られているのだが、その中に交じっていきなりグンゼの下着広告が張られていたりする。ボクからすると、ホントにただの広告にしか見えないページ。しかし、コレも下着マニアの目にかかればエロスの対象となるのだろう。

エロ要素皆無な下着広告も、見る人が見ればエロ!
また、熟女マニアによって作られたというファイルには、三田佳子や大竹しのぶ、中村玉緒(!)などの熟女有名人の切り抜きがズラリ。正直、ボク的にはチンポがピクリともこないセレクションではあるが、作った人のあふれかえる情熱に気おされて、見ているとちょっとエロチックな気分になってくるから不思議だ。......しかし、熟女好きなわりにはファイルに付けられた名前が「年増の資料」ってのはヒドイ!

まあ......確かに熟女だけどね......。
悪意はないと思います。
さらに圧巻だったのが、"美少年が体制などにがんじがらめにされて虐げられているのが大好きなマニア"の方(そういうマニアがいるんだね)が作ったというファイル。タイトルは「ジャニーズJr.ホモセクハラ関連記事」......。そうかー、そういう性癖を持っている人にとっては、ジャニーズのセクハラ裁判ってどんなエロ小説よりもリアルで股間(もしくは肛門)にグイグイ迫ってくるドキュメンタリーなのだろう。

他にも気になるタイトルがいっぱい。
もちろん、これらのオリジナル資料たちは会員の方から寄贈されているもの。自分の作ったエロ・スクラップを図書館に置くというのはどういう思いからなのだろうか。
「自分のコレクションをみんなに見せたいというよりも、ここに置いておけばいつまでも残るだろうっていう安心感があるんじゃないですかね。コツコツ作ってきた大切なコレクションをさまざまな理由で手放さなければいけないという事情がありますよね。でも捨てるくらいなら、せっかくだから風俗資料館に置きたいとか、元気なうちにきちんとまとめた資料を寄贈しておこう、ということなんじゃないでしょうか」
......なるほどー。ここまで思い入れたっぷりに作ったスクラップブックたちをただ捨ててしまうのは忍びない、という気持ちはよく分かる!
しかも、本来なら絶対に人目に触れることがなかったであろうこれらのコレクションたちを、ボクらが自由に見ることができるようになっているというのも、またうれしい。いろいろな意味で本当に貴重な資料の数々だ。
ただ今回、残念だったのは、編集Kさんが取材に同行していたので、「うひょー! むひょー!」といろんな資料を血眼になって隅々まで読むことができなかったこと(気持ち悪いと思われたくないんで......)。
あのファイルたちをじっくり鑑賞するために、個人的にここの会員になっちゃいそうだ。

●風俗資料館
<http://pl-fs.kir.jp/>
(取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
「奇譚クラブ」とその周辺 "その周辺"がわんさか。
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』
心の叫びを聞いてくれ!? きゅうりや歯ブラシがブツブツつぶやく『つぶやき隊』

真っ赤な唇や、鼻筋の影までリアルに描かれたキモカワな絵も魅力の一つ。
一目見たら最後、脳裏に焼き付いて忘れられない
。(『つぶやき隊』より/以下同)
なんてドラマチックじゃないアニメなんだろう。アニメーションDVD『つぶやき隊』が、もうドラマチックじゃないのなんの。"クスッと笑えるツイッター的アニメーションなう!!"がうたい文句の『つぶやき隊』は、約5分間の1話あたり、1つのキャラクターが微動だにせず、心の内に秘めている思いの丈を、ただひたすら淡々と語るといった内容。至極個人的な事情をブツブツつぶやくあたりが"ツイッター的"なのだそう。キャラクターは、着ぐるみの中の人や、ハト、テレビのリモコン、きゅうり等、有機物・無機物問わず。動き回るシーンは一つもなく、最初から最後まで、動く個所といえば、しゃべりに合わせてパクパクする唇のみ。とにもかくにも、ドラマチックじゃない。
「あ、どうもこんにちはー。○○(テレビのリモコン等)です。△△県出身、血液型はホニャララ型です」とお決まりの自己紹介に始まり、仕事のやりがいや、やっていて辛いことなどを、とうとうと語る。しつこいようだが、そこにドラマはない。だが、「あのー」だの「うーん」だの、日常で無意識に発してしまうつなぎの言葉までしっかり入れてしゃべる『つぶやき隊』のキャラクターたち。彼らの"自分語り"を粛々と聞いていると、夜中、まどろみながら深夜ラジオを聴いているような気分にさせられる。
そんな具合に、グダグダと低テンションで続く"自分語り"の中から、筆者独断で秀逸なつぶやきを選んでみた。
■収録キャラクター「つぶやき」傑作選(※ほぼ一字一句そのままで抜粋)

【『ハッピーマウス』の着ぐるみを着る横山さん】(第1話)埼玉県川口市出身、血液型A型
「ツラいことねー、うーん、この、着ぐるみが臭い。うーん、なんか、前の人、なに、どんな体臭してたんでしょうね。このなんか、変な、納豆みたいな変なね、なんていうんだろ、すんごいにおいするんですよね。嗅ぎます? これ嗅ぎます? 嗅ぎます? あ、いいスか? いいスかいいスか?」

【携帯クリーナーさん】(第9話)愛知県出身、血液型AB型
「ツラいこと......あのー僕ら、立ち位置が中途半端、なんですよね。(中略)あのー実際、汚れたら、携帯の画面とかが汚れたら、あのー洋服のすそとかでブェッブェッブェッてね、簡単にふいちゃうこと、ふいてることが多いみたいですよね。ま、だから、まーちょっとそのへんが、中途半端っていうのが、一番不安に思うことですよ」

【きゅうりさん】(第10話)長野県出身、血液型B型
「恥ずかしながらね、栄養価はわりと低い方なんですよねヘヘッ。あの、成分のほとんどが水、なんですよね、はい、すみませんヘヘヘヘッ」 「あ、ハイ、品種名ですね、あの、私は、『南極一号』と申します」 「ツラいことですかーなんだろうなーいろいろあるんですけどねー。まあ、僕の体っていうのがね、もともとイボイボが、いっぱい付いてるのでね、このイボイボをどうやって使えばいいのかっていうのが、ちょっと悩むところが、ちょっとありますね」 このような調子で、1キャラクターあたり約5分、全10キャラクターがダラダラと喋り倒すこと50分。ほかには、『歯ブラシさん』、『ハトさん』、『ニュースキャスターの知ったかブリ男さん』、『足指さん』、『電柱さん』、『パグさん』、『テレビのリモコンさん』が出演している。鳩さんやパグさんがおしゃべりするだけの、シュールながらもファンシーなキャラクターDVDかと思いきや、特典映像ではなんと、『アナルさん』と『コンドームさん』が登場する。 あらゆる身近な存在たちの思いがギュッと詰まったDVD『つぶやき隊』、いくばくかの母性と穏やかな気持ちで、彼らの小さな叫びを聞いてやってほしい。よそではめったに聞けないから。 (文=朝井麻由美)
叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」(後編)
■前編、中編はこちらから
叶井 いや、そんなのは全然気にせず、俺にとっては「付き合う=セックス」だったから、「まずやってみようよ」と。で、やってみて終わり。だからデート的なことをしてない。
――ひどい! 男女交際の認識がおかしいですよ! ......ってことは、本にも書かれてた、中学の同窓会で久しぶりに昔の彼女に会ったときに、「どうやって別れたんだっけ?」って聞いたら、「信じられない! あんたが私を呼び出して、『頭のてっぺんから足のつま先まで嫌いだ』と言って唾を吐いた上に、膝にケリ入れて帰って行ったんだよ!」って言われたっていうエピソードも、あながちウソではなさそう!
叶井 それ、ひどいよね~。俺も全然覚えてなくて、その場にいた人に、「俺そんなことした?」って聞いたら、「した!」ってみんな言うの。そのことはぜんぜん覚えてないんだけど、その翌日に学校行ったら、俺の机と椅子がなくて......。その女の子の友達が怒って全部隠したんだって。「先生、机と椅子がない!」って言って、すごい探したのは覚えてるの。だから、やったんだよな、たぶん。......これ、後味悪いね! だから、この時はまだピュアで純情な俺がまだ女性をどう攻略していいか分からないっていう、修羅場の「エピソード・ゼロ」的な話ですよ!
――女の敵すぎる!! じゃあ、女性の攻略方法を覚えてからは、一度きりの方とも後味良く別れられてるんですよね、どうすれば後腐れなく出来るんですか?
叶井 やる時はやって、帰るときに「またいつか電話するね」で終わっちゃうよね。向こうから「不安なんです」とかいろいろメール来たりするんだけど、もう返さない。
――うわぁ、なんかもう「斬り捨て御免!」みたいな......! よく今まで後ろから刺されることなく暮らせましたね!
叶井 しょうがないもん(キッパリ)。そういう人からメールが来て、もし会っても顔も覚えてないわけだから、「あれ? アイツだと思ったら、コイツだったのか!」っていうこともあったし、俺の想像通りに来た人ひとりもいないもん。あれはなんだろうなー、無駄な時間過ごしてるよね。だってその気分じゃないんだもん。違う人来てるんだもん。で、帰るのもちょっと悪いと思うから、一回とりあえずやるけど、なんかこう、物足りない? コイツじゃないんだよ......って。
――ぜんぜん共感できないですけど、カレー食べようと思って家を出たらカレー屋がそば屋になってて、もうお腹はカレーの準備してたのにがっかり......みたいなことですかね。
叶井 なんでこうなっちゃうんだろう? でも、"やらなきゃいけない"っていう義務感? そういうのしょっちゅう。だから、そういう子たちはもう携帯に登録してないね。結婚してネットにいっぱい出たときは、知らないアドレスからメールがワーッときて、いちいち返したもん。「ご無沙汰ですね」とか。全然知らないのに。
――それは、やっぱりおめでとうメールとかではなく......?
叶井 うん、600人斬りって書かれてるから、「私は何人目ですか?」って聞かれたりして、「222」とか、もう適当に若いナンバーで。500何番とか遅めの番号にすると、女性に失礼かなとか思って。
――気を遣う部分がなんかおかしいです! しかしながら、今ではいいパパですもんね。そういう遊んでた人とかヤリチンに辻斬りされず、本命になるためにはどうすればいいんでしょう?
叶井 だから、まずは達観しなきゃダメじゃん。何度も言うけど、高2で100人いってないとダメだっていうのが俺の持論だから、まず「高2で何人くらい?」って聞けばいいんじゃん?
――それで、1~2人、もしくはいまだにゼロと言われたら?
叶井 「ちょっと足りないな~」って言えばいい。あなたの高校時代にいた? そのくらいの人。
――いないですよ! 女子高にとって先生以外の男子は異星人ですから、たまに自販機の補充に作業服の男の人がやってくると、「男がいるぞ!」ってみんなで見に行ったりしてましたよ。
叶井 出会いがなかったんだ。
――やっぱり共学と比べてかなり少ないと思うし、未だにうまい付き合い方も分からないですね。私、売れない着エロ系のグラドルだったので、なんかこう、「軽く見られてるんじゃないか?」とか、気にしすぎて身構えちゃうんですよ。
叶井 あー、着エロだから簡単だろうと思って近づいてくるとか? 難しいねー、そういうの。仕事とか気にしない人がいいよね。40代ぐらいになってるとそういう人いるかもよ? 俺全然気にしないもん。AVの人とやったこともあるけど、全然知らずに後から聞いて、「下手だね! 潮とか吹かないじゃん!」とか言って(笑)。
――一回きりなのにダメ出しまでされるのか! なんていうか、現在の奥さんのくらたまさんがすごすぎる。他の人と、何がそんなに違ったんですか?
叶井 やっぱり、24時間一緒に過ごした時の、いろんなタイミングあるじゃん? ご飯食べるとか寝るとか、そういうの全部合うんだよ。今までそういうのはあんまりなかったから、一人暮らししてるようなもんだよ。過去の人たちのときは、「一緒に住みたい」とかなかったもん。その時の女性に対する気持ちと、40代になってからの気持ちは違うじゃない? ちょうど俺が「常にキープするのも、もういいや」と思ってたころに出会ってたから、くらたまと。
――なるほど、こんなに「結婚はタイミング」って言葉が当てはまることもないですね、本当に達観してからだったから。
叶井 そうそう、あと趣味とかも含めてさ、すごい合うからね、そこは楽だね。
――羨ましいなぁ。ちなみに、やっぱり息子のまーくんにも高2で100人いってほしいですか?
叶井 いってほしいね~! ただもう小学校4年だから、その時点でオナニーしてないわけじゃん? その時点でちょっと、ねぇ? 本には書いてないけど、本当は俺と暮らしてる間にオナニー教えたかったの。
――早すぎるでしょ! 9歳って、ちびまる子ちゃんとかの年齢ですよ!
叶井 いや、俺の歳で結構みんなやってたから。中目黒小学校ではオナニーがブームでした。
――まさか! 私の小学校では酒瓶の蓋を回したり、バトル鉛筆がブームでしたよ?
叶井 オナニーだったよ! 「透明なの出たよ!」「ダサい、こっちは白いぜ!」とか。中目黒小学校の女子は4年くらいからブラジャーしてたから。
――早い! 私は中学生までしてなかったですよ。今でもしなくて平気なくらい。
叶井 遅すぎますよ!!
――あんま大きくなかったんですよ!
叶井 (一瞥して)......そっかそっか。でもみんなそうだったんだよ! 男子はオナニーブーム!
――......じゃあちょっと話を戻しますけど、娘さんのココちゃんが高2で100人いってたらどうですか?
叶井 尊敬するね。俺はバンバンやればいいやと思ってるから。モテる女になれ、と。俺は男も女も10代の時にヤリまくれ! っていう考え方だから。
――でも性病とか怖いじゃないですか。気にならないんですか?
叶井 それはもう、危機管理能力が抜けてるよね。そこを相手を見て病気かどうか判断できる人になってほしいね。そこにいくためには高2で100人。
――よーし、じゃあまずは100人目指すぞ~って言って、一人目ですごいやばい病気に当ったら怖いじゃないですか!
叶井 そこはちゃんと見極めろって教えなくちゃな。俺が遠くから見て教えるわ。俺が見て、「あいつは大丈夫だ、やってこい」と。
――叶井レーダー......。私、絶対分かんないですね。「持ってない、大丈夫」って言われても信用できないです。
叶井 そんなの当たって砕けろだよ! 男もそういうふうに見られたらめんどくさいって思っちゃうんじゃない? ダメだよ! マイナスです! マイナスイメージ!!
――ちょっと仲良くなった男子とかでも、そういう雰囲気になると脱兎のごとく逃げますね。この前の大地震の直後、また大きな余震が来るとか、放射能とか、ニュースやネットで散々あおられて、「いざという時、猫を連れてどこに逃げたらいいんだ......」って不安でいっぱいのときに、近所に住んでる男性の知人に「何にもしないから、猫も連れて家に来なよ。こういう時は助け合いだよ!」って言われて、うちは古い木造で震度3でも震度5くらい揺れるので、お言葉に甘えて猫と避難させてもらったんです。
叶井 へー、そういう手口もあったのかー(感心しながら)。
――でも、案の定そういうエッチな雰囲気を醸してきて、「いや、すみません、何にもしないって言いましたよね?」って流し続けてたら、翌日に追い出されましたね。余震がんがん来て、原発から煙がモクモク出てるのに、ひどい!
叶井 ひどいのはそっちだよ!! 何言ってるんだ、君は!! もう、「病気持ってるかも」とか、「セックスだけで終わっちゃう」とか、そんなのはとっぱらっちゃえばいいんだよ!! 会う=セックス!! 本能のまま行けばいいんだよ......!!
――そんなに性欲旺盛じゃないですもん、私。
叶井 ......ま、一回やってみよ? やってみないと分かんないからさ。あまりセックスに対して比重を置きすぎてると、良くないんじゃないの?
――いやー、どうせなら結婚してからの方がいいんじゃない? くらいに思ってますよ。
叶井 うん、ダメだよね。とりあえずやっとかないと分かんないもん。とりあえずそういう無駄なものをとっぱらって。もう26歳でしょう? ......遅いよね。スタートが遅すぎる。
――確かに、若いうちに遊んでおけばもっと違った今があったのかも、とは思いますが、引きこもりのオタクだったしなぁ......。
叶井 まぁ、今だったらまだ間に合うかもしれない! ちょっと周りに追いつかないといけないから、ペースあげないと!!
――えー......。
叶井 その地震の時の人に「もう一回家に来なよ」って言われたら行くね?
――そういう、災害をだしにして女性をどうこうしようって感じの人は嫌です......。
叶井 「放射能だから来なよ、うち核シェルターになってるよ」とかだったら?
――ドクター中松じゃないですか! 無理なものは無理ですよ!
叶井 もう、君はダメだ、意味が分からない。とりあえず、くらたまに投げるから、『だめんずうぉ~か~』に出て。いまネタが切れてるらしいし。
――マンガのネタになるほどメンズの引き出しがないっす!
叶井 ああ、「男を好きになったことがない女」とかでいいんじゃないの。(投げやりに)
――好きになったことくらいあるもの!!
叶井 フーン、すごいねー(鼻で笑って)。そう言っていればいいじゃないの。じゃあ次のお仕事決まりです! よかったー!
――なんか主旨からは外れましたけど、良かったー! 今日はありがとうございました!(投げやりに)
(取材・文=小明)
●かない・しゅんたろう
1967年、東京都生まれ。フランス映画『アメリ』(01)の買い付けなどで知られる映画バイヤー・プロデューサー。「600人斬り」を自称する「だめんず」にしてマンガ家・倉田真由美の夫。11年3月『突然、9歳の息子ができました。』上梓。
●あかり
1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/>
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」(中編)
■前編はこちらから
――酢をかけられたら具体的にどうなるのか分からないけど、異様に怖くて、ごめんなさい、ごめんなさいって必死に逃げたような......あれはいまだに意味が分からないですね。普通に殴られるより、得体の知れない恐怖がありました。
叶井 あるある! しかしそれはなかなか効果的だね! 俺も娘に使ってみようかな。
――くらたまさんに殺されると思います......。あと、結婚についてもお聞きしたいんですけど、くらたまさん以前の3回の結婚は、どちらからプロポーズしたんですか?
叶井 うーん、向こうからで、「そろそろどうなの?」「じゃ、しよっか」って......? いや、でも、全然覚えてないんだよね。今サラッと言ったけど、ごめん、全然覚えてないわ! 自信がない!
――もう清々しいですね! 私、今26歳で、ちょっと結婚とかがリアルになってきて。
叶井 結婚したいの? もう?
――結婚したいというか、結婚できるのかとか、もしうっかりできたとしても、自分に結婚生活が送れるのかとかが不安なんです。どんな人がいいのかも全然分からないし。叶井さん、本に「セックスに対して達観するから、数をこなした男のほうが信用できる」って書いてたじゃないですか? 確かに、昔モテなかった人がある程度の年齢になってお金を持ったりすると、「あのころ送れなかった青春を取り返す」みたいな感じで遊び続けるじゃないですか。だから、「なるほど、一理ある!」と思ったんですけど、その人が既に達観してるか、まだ数をこなしている最中かなんて、どう判別するんですか?
叶井 うーん、なるほど。それは年齢によるよね。俺の場合、もう高2で150とか200人近くいってるから。
――......何が起きてそんなことになったんですか?
叶井 新島行ってたの。
――ナンパ島だ!
叶井 新島に1カ月間バイトで行ってたから、30日いたら50~60人いけるよ! 女の子専用の民宿でバイトすると、泊まってるのは女の子の3~4人のグループだから、全員やんなきゃいけないわけ。
――そんな出会い系サイトの広告みたいな世界が実在するんですか!?
叶井 そういう時期だったの。だから、高校の3年間行ってたから、3年間で200人以上でしょ。その後、ハワイも3年間半いたから、もう200~300人とかは普通に超えるんだよ。
――すごすぎる......! 新島やハワイから帰ってからも、その女性たちとは関係あるんですか?
叶井 島で起こったことだから。島でっていうのがいいんだよ。......だから、君も島に行ってる男を探せ!!
――え? ちょっと待って! 嫌です!
叶井 島にいると、そういうことがあるからね。俺の経験からすると、新島に行ったときもハワイに行ったときも、周りのやつはみんなやってたから。やっぱりさ、環境に流されるわけ、人間って。周りがバンバンやってたら、「俺も俺も!」ってなるよ。しかも「俺も!」って言わなくても、普通に来ちゃうから。島でのナンパって、大人数対大人数でしょ? そうすると、俺がナンパしたくなくても、友達がナンパしてメンバーに組み込まれちゃうわけよ。そうすると「じゃあ俺んち来ちゃうか?」みたいな。新島は特にみんなセックスするために来てるから、どこの民宿もハプニングバー的な存在だよね。だから、"そういうところに行ってる人"というのが目安になるよ! それで達観してるかどうか分かるんじゃないかと!
――いやいや、分かんないですよ! もしナンパしに島に行って、ナンパが成功したとしても普通は1~2人とかでしょ! 成功するかも危ういですよ!
叶井 今はないでしょうね......。だから、40代の人がいいんじゃない? やっぱり新島ブームだったから。新島、神津島経験者か、20代でハワイに長期滞在した、ちょっと年上の人がいいかもしれないね!
――それ、まんま叶井さんじゃないですか......。本当、よくそこまで数を増やせましたね~。
叶井 俺はね、高2の段階でそれだけ経験してたら、女性を見る目がやっぱり違うの。ずっと同じことやってると、コイツは出来るか出来ないか、パッと分かっちゃう。俺が高2で100~200だから......高2が重要、高2が。少なくとも、高2で100超えの男がいいね。
――完全に無理ですよ!! それ、病気とか大丈夫なんですか?
叶井 それも見分けられるの。『デスノート』みたいに、頭上にビョーンって病名が出るから、もう察知できる。ここ重要、「高2で100超え」。すべてそう(キッパり)。
――そんな叶井さんが今は落ち着かれてるっていうのが、謎で謎で仕方ないです。
叶井 だから、それは高2で100超えしてるからだよ~。
――でも、叶井さんは600人斬りだから、100超えの段階から、さらにもう500人いるわけじゃないですか。その間は全く落ち着いてないじゃないですか。
叶井 だから、まず高2で100超して、さらに20代のうちに何百もの数を稼いでいるわけよ。そうするともうね、34~5歳くらいから、自分から見て、「アイツいい女だな......でも、なんか似たような人と、もうヤっちゃってるかも」と、そういうふうに達観するの。電車の中とかでかわいい子がいても、「アイツはもうヤったから......」って思ってスルーすることができる。だからそこに到達するには、まず高2で100超えです。
――あーそれは確かにそうですね......わ、なんか今洗脳されてた、危ない! いやー、でもすさまじいですね、そこまでの性欲というか。本にも「小4からオナニーを始めた」と書かれてましたし、早熟なまま走り続けたんですね。
叶井 そう。小学校4年からオナニー始めたってことは、初恋を飛び越してオナニーだから、オナニーの後に初恋。小学校の時に毎日のように意味も分からず抜きまくって、「なんか出た、やばい」と思って保健室に行こうかなと思ったけど、「なんか気持ちいいからいいや」って毎日やってたの、座布団で。座布団にカビが生えたね。
――き、汚い!! じゃあ、初めて彼女が出来たときなんか、もうスパークして大変なことになってそうですね。
叶井 初恋が小学校6年で、高校の時もなんとなく気になってる子がいたけど、何にもできなかったんだよね~。本来だったら口説いたり告白するのが普通だと思うけど、そういうところまでいかなかったから。
――あ、そういうピュアなところもあるんですね、なんか安心しました! ちなみに、本には「今までは常にエッチできる女性が2~3人いないと不安だった」って書いてありましたけど、なんでそんなに腹ペコだったんですか?
叶井 別に何もしなくてもいいんだけど、いつでも電話したらOKな人がいないと安心できないっていう流れが高校の時からあって、それを引きずったんじゃない? 「しようと思えばいつでも出来るんだぜ!」みたいな、根拠がなくてもいいから、自信が欲しかったんだろうね。
――あ、その気持ちは分かりますね。私も、「結婚ができないんじゃなくて、いつでもできるからしないんだぜ!」みたいな、余裕と自信を持ちたい。
叶井 なるほどな。それと同じだね。
――やっと分かりあえましたね! ちなみにその過去の600人は、全員じゃなくても多少は愛もあって......。
叶井 ないよ(即答)。
――ないか! アハハ! でも、600人こなせるっていうことは、それなりに後味がいいから次が来るわけじゃないですか。それもすごいことだと思います。
(後編につづく/取材・文=小明)
●かない・しゅんたろう
1967年、東京都生まれ。フランス映画『アメリ』(01)の買い付けなどで知られる映画バイヤー・プロデューサー。「600人斬り」を自称する「だめんず」にしてマンガ家・倉田真由美の夫。11年3月『突然、9歳の息子ができました。』上梓。
●あかり
1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/>
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中








