リアルに飛び出す物体に大興奮! 赤青メガネで見た、懐かし3D映像スペクタル

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『3D世紀 ―驚異! 立体映画の100年
と映像新世紀』(ボーンデジタル刊)
アナログとデジタルの過渡期であった1980年代。WiiもPS3もなかったけれど、ジャンクでチープなおもちゃがあふれていた。足りない技術を想像力で補い、夢中になって集めた「キン消し」「ミニ四駆」「ビックリマンシール」......。懐かしいおもちゃたちの現在の姿を探る!   80年代、藤子アニメ、ディズニーランド、博覧会……。これらのワードに共通する要素をあえて一つ挙げるとするならば、「3D」だ。特製メガネをかけて映像を見れば、アラ不思議! 画面上の物体がリアルに飛び出す3D映像のスペクタクルに、みんな大興奮! そんな80年代は3D一色だった(ほとんどが赤青の2色の世界だったけど)。子ども向け雑誌には毎月のように赤青メガネで3D映像を楽しむ「飛び出す付録」がついてきたものだ。今回は、そんな夢いっぱいな3D映画のお話をしよう。  最初に断っておきたいのは、3D映画に赤青メガネが使用されていたのは日本国内のみだということである。アナグリフ式と呼ばれるこの方式に対して、世界的には偏光メガネを使った偏光式と呼ばれる方式が主流だったそうだ。現在の3D映画もほぼ偏光式で上映されているが、今回取り上げる3D映像、映画は、アナグリフ式がまだまだたくさん作られていた時代の作品だ。  さて、3Dの歴史をひもとくと、その始まりは意外と古く、古代ギリシアにその起源はあったそうだが、実際に「立体視」──飛び出して物が見えるツールの元祖が生まれたのは1832年。イギリスの物理学者チャールズ・ホイートストンが発明した「ステレオスコープ」にある。ステレオスコープはモノクロの静止画が飛び出すといった原始的なツールだったが、ほどなくしてカラー化、そして3D映像の技術が誕生したというから驚きだ。そしてついに1850年にはフランスにて「ビオスコープ」という立体動画を生み出す技術が考案された。  映画の歴史といえば、19世紀後半に発明王エジソンやリュミエール兄弟らの発明に端を発するという説が主流だが、実はそれよりはるか以前に3D映像の歴史は始まっていたのだ。昨年末に発売された世界初の3D映画書籍『3D世紀 ―驚異! 立体映画の100年と映像新世紀』(ボーンデジタル刊)にて、堂々400ページにわたり3D映画の歴史をまとめ上げた3D映画ジャーナリスト・大口孝之氏はこう語る。 「3D映像は映画の創成記よりも前から存在しました。一番初めの3Dムービーカメラがだんだん省略されて、2Dカメラになっていったんです。人間が映像を撮影しようとすると、人間の目をトレースすることから始めるので、なんでも3Dが先行します。2D映画が進化して3Dになると思われがちですけど、実は反対なんです」  つまり、映像の歴史は「3D映画の歴史」そのものでもあったのだ。大口氏は同書において、長い映画史の中で1950年代、1980年代、2005年以降の3次にわたる3D映画の大きなムーブメントが存在していたと語る。
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大口孝之氏
 テレビという新たなメディアの普及で人気を押され始めた映画界の起死回生策として、3D映画が大量生産された50年代。ホームシアターやBlu-rayの普及により映画館に行く必要性を感じなくなった観客を、再び映画館に呼び戻すために3D映画が脚光を浴びるようになった00年代といったように、3D映画のムーブメントの裏には映画界の危機的状況があったそうだが、80年代の3D映画ブームはどういう経緯で発生したのだろうか? 「80年代は、ほかのブームとは少しニュアンスが異なります。ビデオデッキが普及し始めた80年代初頭、アメリカにおいてパッケージソフトとして発売された『IT CAME FROM OUTER SPACE』と『大アマゾンの半魚人』という作品が発売されたのがきっかけです。アナグリフで見る仕組みだったんですが、当時のテレビでは色がにじんだり家によって色がまちまちだったので、ほとんど立体感があるのかないのかわからず、結局商売にならなくて回収されました。ところが、ケーブルテレビで放送されると、わりと好評でした。その結果、“3D映画は商売になるのでは”と判断されて、劇場作品が作られるようになったと考えています」  ビデオデッキの普及とケーブルテレビ放送における成功が、80年代の3D映画ブームのきっかけだった。そう大口氏は推測する。一方、日本での流行は一線を画している。 「日本における3D映像ブームの火付け役は『国際科学技術博覧会』(通称、科学万博-つくば’85)です。富士通パビリオン、住友館、鉄鋼館、日立グループ館、松下館の5つのパビリオンで3D映像が展示され、爆発的な人気を得ました。その原型が1983年に新潟市で開催された『上越新幹線開通記念 新潟博覧会(略称:’83新潟博)』の『あすの新潟館』で上映された、新潟の文化や自然を3D映像で撮影した『はばたきの時 ニイガタ』です」  ちなみに、海外で3D映像作品をビデオでリリースしようという企画を立ち上げた人物も、『はばたきの時 ニイガタ』で使用されたレンズを作った人物も、スチュワーデスのセックス・ライフを描いたアメリカ製3Dポルノ映画『淫魔』(1969年)のスタッフだったそうだ。つまり、80年代の3D映画ブームの陰にエロの力があったということだ。エロ・イズ・ワンダー! エロが3D映画史の1ページを作ったのである。  その後、3D映画は一般劇場用作品としても上映されるようになり、百花繚乱の80年代中盤に突入する。『13日の金曜日Part3』『ジョーズ3』といった人気シリーズの第3弾(映画業界には、なぜかシリーズ第3弾が3D映画になりがち、という法則があるそうだ)をはじめ、数え切れないほどの3D映画が制作された。
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大口氏が選ぶ、80年代を代表する3D映画。
 日本国内では『新立体アニメ オバケのQ太郎 とびだせ!バケバケ大作戦』をはじめとする藤子不二雄アニメが赤青メガネを使った3D映画で多数制作されたほか、新東宝映画が3Dポルノ映画を制作。濡れ場になると、そこでのみメガネをかけるという仕組みだったそうだ。  もう一つ忘れてはならないのが、80年代後半に世界中のディズニーランドを席巻したアトラクション「キャプテンEO」だろう。世界的スターのマイケル・ジャクソンが、歌とダンスで暗黒の女王に立ち向かうという、非常にマイケルらしいドリーミーな内容のミュージックビデオ風映像作品である。ジョージ・ルーカス製作総指揮、フランシス・コッポラ監督という超豪華スタッフによって制作された本作は、90年代後半に一旦クローズされたものの、マイケルの死後である2010年に期間限定で復活。現在はレギュラーアトラクションとなっている。 そんな80年代のバブルムードにシンクロするように、ズズイと画面から勢いよく飛び出し続けていた3D映画たちだが、80年代の3D映画を一言で語るなら……? そう尋ねると、 「劇映画に関しては全部クズ、ですね。一作品たりとて傑作が存在していません。その中で比較的いい作品に恵まれたのが博覧会向け映像や、『キャプテンEO』などのテーマパーク向け映像などです。クズな作品は特にSF作品に多かったのですが、『スター・ウォーズ』がその元凶なのかなと思っています。『スター・ウォーズ』自体はシンプルなお話だけど、ものすごいお金と技術をかけてヒットしたわけですが、“安っぽい映画でもヒットする”と勘違いした制作者たちが、お金も技術もかけないどうしようもないSF映画を大量生産したのが80年代だったんです」 と、大口氏はバッサリ。しかし、その「クズ」という評価は、ジャンクでチープなホビーに胸を熱くさせていた80年代を回顧するこの連載にぴったりではないか! ただ間違いなく言えるのは、ここ最近のゴージャスな3D映画とは比べるべくもないが、お手軽な赤青フィルムの向こうに、かつての僕たちは無限の世界を確かに見出していた、ということだろう。  ちなみに大口氏が3D映像に関心を持つようになったのは、つくば万博で富士通パビリオンの3D映像『ザ・ユニバース』を見たことがきっかけらしい。彼もまた80年代、夢と希望に満ち溢れた3D映像に魅了された一人なのだ(ちなみに『ザ・ユニバース』は1分間あたり1億円という巨費を投じ制作されたそうだ。今で例えるなら、スーパーコンピュータの「京」を1年間専用で回すクラスの超大作だったというから驚きだ)。彼の辛口な80年代3D映画評は、リアルタイムで当時を体験したからこそ言える愛情の裏返し……なのかもしれない。 (取材・文=有田シュン) ◆「バック・トゥ・ザ・80'S」過去記事はこちらから

ニクいぜ、グリコ! 話題の「グリコピア・イースト」でわくわく工場見学

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“ゴールインマーク”と一緒に記念撮影!
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。  「工場見学」という仕組みを考えた人を胴上げしたい、と常々思っている。それくらい、工場見学の面白さに絶対の信頼を寄せているのだ。工場見学がなぜ楽しいって、企業側が全力で来場客を楽しませようと、渾身のホスピタリティを発揮してくるからである。商品ができるまでのまあまあカッコいいマシンを見せて、食品系の場合はいいにおいを嗅がせ、開発における泣かせるヒストリーを聴かせ、見学が終わる頃には購買意欲ゲージが満タンになる。いい気分になった見学客は、帰りにショップでしこたま買い込んで機嫌よく帰る。お互いが幸せな気持ちになる素敵なサイクルではないか。いいようにノセられているとしても、それでいい。好きだ、工場見学。  そんな筆者の工場見学への異常な愛情を満たしてくれそうな施設を発見した。グリコが10月、埼玉県にオープンした『“わくわくファクトリー”グリコピア・イースト』だ。なんと、オープン以来予約が途切れることなく、来年1月までほぼ埋まっている状況だという。“わくわくファクトリー”だなんて、名前からして楽しくないわけがない。文字通り、わくわくしながら取材の日を迎えた。
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入り口には、いきなりチョコレートの川が流れていました。わくわく。
■「ポッキーストリート&プリッツストリート」  工場見学といえば、創業者のドキュメンタリーが流れて、たいてい機械の説明があって、というのがお決まりのパターン。「グリコピア・イースト」でもその流れにのっとり、創業者・江崎利一氏の苦労話ドキュメンタリーから始まった。続いて、チョコレート菓子の工場といえば欠かせない、カカオ豆からチョコレートを練るまでの過程の紹介映像。これらを15分近く見た後、プリッツ、ポッキーのそれぞれの工場(「ポッキーストリート&プリッツストリート」)へ。
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「グリコピア・イースト」のアテンダントは軒並み美人。
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こねられた生地がパスタのように流れてきた。
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45mのオーブンで約4分間焼かれたプリッツがこんがりお目見え。
ホースの先にあるノズルから調味料をかけて味付け。
■レトロ体験&展示「グリコタウン」  『グリコピア・イースト』では、20人程度のグループで見学するのだが、ポッキー・プリッツ工場では、機械の一挙一動に子どもが大はしゃぎする一方、大人は「社会科見学を思い出すわ」とでも言いたげにクールな顔でさらりと見て回っているのが印象的だった。それが、この『グリコタウン』では攻守交代である。グリコ名物「映画付きグリコ自動販売機」(昭和6年のものを復元)が置いてあるのに思わず頬が緩む中年以上。しかも、実際に当時の硬貨である10銭を入れれば、約20秒間映画が流れた後にちゃんとグリコが出てくる。
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「グリコを続けて5~6個買うと、映画を最後まで見ることができました」
とアテンダントさん。商売上手な仕組みである。
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グリコと2銭のお釣りが出てきた。自販機で買うと、
通常10銭のところが割引で買えるのだ。
 さらに、追い打ちをかけるように、大正10年から現在に至るまでのグリコのおもちゃを、年代順に1500点展示。よくよく観察していると、それぞれ自分が遊んだことのある年代の場所で足を止めているようだった。 ■クイズ番組を体感! 『スタジアムホール』  ニクい演出ですっかり全員が童心に帰ったところで、ファンシーな映像を見ながらのクイズにチャレンジ。2人1組で席に着き、おとぎの国へ出発するとクイズスタート。クイズ内容は、「今までの見学をしっかり聞いていたかナ?」と言わんばかりのグリコ知識問題の連発だった。全然ファンシーじゃない……。「ファンタジープラネットに着きましたよ! さあ、最初のクイズを探しましょう!」とメルヘンなアナウンスに油断していると、筆者のようにポカミス連発で参加者ランキングで最下位になるので注意が必要である。
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クイズは3択で、目の前にあるボタンを押す。
クイズ番組にありそうなグラフィックで乗り物を操作するようなシーンもある。
 最後に、「フォトスタジオゾーン」にそびえ立っていた“ゴールインマーク”と一緒に記念撮影をしてシメ! と、思ったのだが……  なんと、芸が細かいことに、帰り際に寄ったお手洗いまで“ゴールイン”していたのだった。 guri_9.JPG
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赤ん坊も“ゴールイン”。
●わくわく度 ★★★★★ 工場の様子もさることながら、昔を再現した「グリコタウン」に、本格的なCGクイズが体験できる『スタジアムホール』とわくわく続き。やはり、工場見学というレジャーにハズレはないのだ。ちなみに、下の写真は、唯一の有料コーナー「ミニファクトリー」でポッキーをデコレーション中の様子。チョコペンやデコレーションシュガーを駆使して張り切ってデザインしたものの、結果はこの通り。我ながらコメントのしようがない微妙すぎる出来に心底困惑……。「ワクワクさーん……その変なポッキーなぁに~?」
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自分だけのオリジナルポッキーを作れます。
guri_11.JPG (取材・文=朝井麻由美) ●“わくわくファクトリー” グリコピア・イースト < http://www.glico.co.jp/glicopia/east/ > 埼玉県北本市中丸9-55。JR北本駅よりバスで10分。受付時間は9:30~16:30、毎週金曜日・お盆休み・年末年始は休館。案内時間は9:30・11:00・12:30・14:00の4回。所要時間約70分。入館料は無料(一部有料コーナーあり)。完全予約制のため、まずは電話(048-593-8811)かネットで。 ※本記事での見学コースは一例です。内容は同じですが、回る順番はグループによって変わります。(1回の定員は80人までで、基本4グループに分かれて見学) ※「ミニファクトリー」でのポッキー作りのみ有料(500円・所要時間30分)。中学生までのお子様が優先で、定員26人に満たない場合は大人も参加可能。定員を超えた場合は抽選。 「散歩師・朝井がゆく」過去記事はこちらから

単なるすごろくを超えた、プレイヤー同士の白熱バトル「パーティジョイ」今昔物語

アナログとデジタルの過渡期であった1980年代。WiiもPS3もなかったけれど、ジャンクでチープなおもちゃがあふれていた。足りない技術を想像力で補い、夢中になって集めた「キン消し」「ミニ四駆」「ビックリマンシール」......。懐かしいおもちゃたちの現在の姿を探る!   ガンダム、キン肉マン、スーパーマリオといった人気キャラクターや、探偵、怪談、冒険など子ども心をくすぐるテーマで作られたボードゲームを、わずかB5サイズのボックスに凝縮した「パーティジョイ」シリーズを覚えている者は幸せである。心豊かであろうから……。  というわけで、今回振り返るのは、株式会社バンダイが80年代初頭から90年代初頭にかけて発売していたボードゲーム「パーティジョイ」シリーズだ。1000円というお手ごろな価格や、さまざまなテーマや題材をありとあらゆるアイデアでゲーム化した「パーティジョイ」シリーズは、およそ10年の歴史の中でなんと130タイトル以上も発売。ボードゲームのブランドとしては驚異的なロングランシリーズとして、僕たちを大いに楽しませてくれた。  今回はそんな「パーティジョイ」シリーズ初期から終焉まで、数多くのタイトルを制作していたひとりである野村紹夫氏に「パーティジョイ」の裏話を聞いてみた。 ■白熱のゲームを生み出した、「本気」の制作現場
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 野村氏がまず見せてくれた代表作は「キン肉マン」シリーズ。厚紙で実際にリングを組み立てて、その上でプレイヤーたちが火花を散らす……という「キン肉マン・ザ・ファイナル・ウォーズ」や、縦に伸びる立体的な盤面が特徴的な「キン肉マン・地獄のタイトルマッチ」など、単なるすごろくゲームと言い切ることのできない、原作のテイストを多分に盛り込みつつ、ビジュアル的に楽しく、何よりプレイヤー同士の熱い駆け引きを実現したタイトルばかりだ。  「パーティジョイ」シリーズの魅力といえばコレである。「パーティジョイ」シリーズには、原作のテイストを盤上に再現するべく、ただのすごろくに終わらない制作者の創意工夫と熱意がこれでもかとばかりに凝縮されていたのだ。そんな懐かしさと色あせないゲームの魅力に満ちた「パーティジョイ」シリーズに野村氏が関わるようになったのは、20番の頃からだそうだ。 「最初は参加していなかったので分からないのですが、シリーズ20番くらいから100番あたりまでは非常に盛り上がってましたね。売り上げも比較的良かったですし、バンダイの担当者の方も本気でしたから、中途半端なものを持っていったら『ふ~ん、こんなもんか』って鼻で笑われてしまうんです。その顔が見たくないからこっちも本気でやるという感じで、必死で作りましたね」
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 野村氏は、当時を懐かしむようにそう語る。そんなゲーム好きなスタッフ同士のガチンコのぶつかり合いから「パーティジョイ」は生まれていたそうだ。 「『パーティジョイ』を指揮していたのはバンダイ栃木工場で、実際に制作を受け持っていたのは自分が当時働いていたM社(今はもう存在していない)とS社の2社でした。聞いた話では、S社は1つのゲームをチームで担当するスタイルで、主に正統派なすごろくゲームの発展型を作っていたのですが、うちは基本的にひとり1タイトルずつ担当していました。だからなのか、わりと作家性の強い、実験作みたいなものが多かったと思います」  そんな「パーティジョイ」のリリースペースは、ほぼ月1~2本というハイペース。必然的にゲームの制作ペースも早くなる。 「同時にいくつも並行していたので正確なところは分かりませんが、概ね3カ月かからないくらいで1本作っていました。ゲームを出そうという企画が立ち上がって最初の1カ月以内にゲームルールと説明書原稿を作って、次の1カ月でデザインから版下までを作って、最後の1カ月で生産という流れでした。何かウケそうな話題があれば、とりあえずそれで『パーティジョイ』を出すという雰囲気はありましたね。『パーティジョイ』って、そのキャラや題材が売れるかどうか、様子を探る斥候みたいなもんだったんですかね」  「パーティジョイ」に携わっている期間、野村さんは年がら年中ゲームばかり作っていたという。 ■最大のライバル「ファミコン」の出現
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 野村さんの思い出の作品は、1984年に発売された、初めてひとりで制作したというオリジナルタイトル「日本全国ミケ猫トマトの配達屋さんゲーム」だそうだ。宅配ドライバーになったプレイヤー同士で荷物を奪い合い、目的地に届けるというシンプルながらエキサイティングな内容は、社内でも非常に高い評価を得たらしい。本作のキモは、なんといっても「ギリギリの駆け引き」だそうだが、その精神はほかのタイトルにも息づいている。  当時、急激に勢いを増しつつあったファミコンを題材にしたゲームも多数制作されたそうだが、その中でも特に自信作なのが、同名のファミコンゲームを題材とした「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境」。妖怪が左右から襲ってくるというスピーディな横スクロールアクションゲームをボードゲーム化する際、野村氏はほかのプレイヤーが振った目で妖怪も動く、というアイデアを盛り込んだ冒険ゲームに仕上げた。  その結果、自分以外のプレイヤーの番でも目を離すことができないという、原作のゲームとはひと味違う非常にスリリングな展開が可能となった。
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「ファミコンはファミコンだから面白いんです。ただマップを進んで敵がいたから倒しました、というボードゲームにしても面白くならない。だから、絶対に目を離せない恐怖に駆られるゲームを作りたかったんです。一晩中ファミコンをプレーして、鬼太郎の“怖い”ってなんだろうというのを考え抜いて、ゲームで出せる怖さを追求しました。そんなふうにボードゲームならではの面白さを出すために、題材とするファミコンゲームとは異なるテイストに変えさせてもらうこともありましたね」  ボードゲームを作る上でのこだわりとプライドが感じられる一方で、こんな言葉も飛び出した。 「ボードゲーム屋としては、そもそもファミコンに負けるっていうのは分かっていました。80年代半ば頃には、すでにボードゲームは時代遅れだったんです。そんな中でコンスタントにシリーズとして発売していたのはバンダイくらいで、ほかのメーカーはそんなに力を入れているわけではない。やっぱり紙ものってそんなに高級感もないし、いざとなったら自分でも作れるだろう、みたいな意識があったのか、バンダイ社内でもそんなに評価はされてなかったですね。むしろ、ファミコンにいつまで対抗できるかという勝負なところはありました。ただ、バンダイの歴代担当者にどれだけ情熱があったかはわかりませんが、我々は1本1本に誇りを持って作っていました」  そんな敗色濃厚な戦いに挑んだ野村氏をはじめとする「パーティジョイ」スタッフだが、シリーズはファミコン全盛期の80年代を生き抜き、スーパーファミコンの時代となった90年代初頭まで存続。結果的に次世代ゲームの時代まで孤軍奮闘し、ひっそりと終焉を迎えた。 「たぶん対抗できていたのは85~86年くらいまでではないですかね。ただ、ファミコンはひとり1台買えば楽しめましたけど、『パーティジョイ』は1個あれば最大4人遊べますから。そういう意味では、売れた個数「×4」でカウントすれば、いい勝負をしていたと思います(笑)」  そう野村氏は、激戦を戦い抜いた戦士のような穏やかな口調で語った。 ■「パーティジョイ」の終焉と、その後  ドンジャラやルーレットゲームなど、その他大勢のパーティゲームとは一線を画すブランドとして存続していた「パーティジョイ」だが、次第にこだわりを持つ関係者が減っていったことや市場の縮小、バンダイ側も含めた体制の変化もあり、シリーズは「すーっと終わっていった」そうだ。
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「ファミコンなんかのデジタルなゲームに押されるボードゲームの火を絶やさない、なんて意識もありましたけど、独りよがりですよね。実際、世の中にボードゲーム待望の空気はありませんでした。作っている僕らはボードゲームが好きだし、子どもたちからも『パーティジョイクラブを作りました』というお便りをもらったこともあるくらい手ごたえはあったのですが、だんだんそういう子たちも卒業していって、ファミコンで育った子達と世代交代して『パーティジョイ』なんか知らない子たちが増えて、やがて消えていくんだろうなと、そういう意識の中であがいてました」  そんなボードゲーム愛と確実に存在するユーザーへの思いを糧に、「パーティジョイ」を作り続けた野村氏だが、現在もボードゲームを追いかけているゲームファンから「当時遊んでいた」という声をもらうことがあるそうだ。
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野村紹夫氏
「当時僕たちがつけちゃった火が、まだくすぶっている人たちが多くいるんですよね。当時、他社は簡単なすごろくばっかりだったんです。でも、マスに止まったらそれっぽいことが書いてあるだけっていうのが、すごく嫌だったんです。『キン肉マン』のゲームならキン肉マンになりたいんであって、お話をマスでなぞりたいんじゃない。だから安易なすごろくは作らないと心に決めていました。ただ、周囲の一部から、子どもには難しいんじゃないかとか、もっと単純にしないと面白くないんじゃないかとは言われていましたね。そういう言葉に必死に抵抗していたのですが、今になって『やっぱりこだわってよかった』って思います。あれがただのすごろくだったら、今まで引っ張ってもらえなかったと思います。大人げないですけど(笑)」  野村氏を含むゲームデザイナーたちが、さまざまな相手と戦い生み出した数々の「パーティジョイ」の魂は、今も多くのゲームファンの心に焼き付いているのだ。  現在、大手玩具メーカー以外にもインディーズ系のメーカーや同人サークルからさまざまなタイトルが発表され、密かに盛り上がりつつある日本国内のボードゲームシーンだが、その源流はもしかしたら「パーティジョイ」にあるのかもしれない。  取材の終盤、今はボードゲーム制作からは遠ざかっている野村氏に、今後再びボードゲーム制作に挑戦する予定はないのかと尋ねてみた。 「自分も、またゲームを作ろうかなと思っています。去年から考えてはいるんですけど、仕事が忙しくて……。ただ頭の中ではアイデアを温めています」  この盛り上がりを知る野村氏も、ボードゲーム熱が再燃しつつあるようだ。その日を待ちながら、久しぶりに友達と顔を突き合わせて「パーティジョイ」でガチンコ勝負するのも一興かもしれない。 (文=有田シュン) 「バック・トゥ・ザ・80'S」過去記事はこちらから

単なるすごろくを超えた、プレイヤー同士の白熱バトル「パーティジョイ」今昔物語

アナログとデジタルの過渡期であった1980年代。WiiもPS3もなかったけれど、ジャンクでチープなおもちゃがあふれていた。足りない技術を想像力で補い、夢中になって集めた「キン消し」「ミニ四駆」「ビックリマンシール」......。懐かしいおもちゃたちの現在の姿を探る!   ガンダム、キン肉マン、スーパーマリオといった人気キャラクターや、探偵、怪談、冒険など子ども心をくすぐるテーマで作られたボードゲームを、わずかB5サイズのボックスに凝縮した「パーティジョイ」シリーズを覚えている者は幸せである。心豊かであろうから……。  というわけで、今回振り返るのは、株式会社バンダイが80年代初頭から90年代初頭にかけて発売していたボードゲーム「パーティジョイ」シリーズだ。1000円というお手ごろな価格や、さまざまなテーマや題材をありとあらゆるアイデアでゲーム化した「パーティジョイ」シリーズは、およそ10年の歴史の中でなんと130タイトル以上も発売。ボードゲームのブランドとしては驚異的なロングランシリーズとして、僕たちを大いに楽しませてくれた。  今回はそんな「パーティジョイ」シリーズ初期から終焉まで、数多くのタイトルを制作していたひとりである野村紹夫氏に「パーティジョイ」の裏話を聞いてみた。 ■白熱のゲームを生み出した、「本気」の制作現場
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 野村氏がまず見せてくれた代表作は「キン肉マン」シリーズ。厚紙で実際にリングを組み立てて、その上でプレイヤーたちが火花を散らす……という「キン肉マン・ザ・ファイナル・ウォーズ」や、縦に伸びる立体的な盤面が特徴的な「キン肉マン・地獄のタイトルマッチ」など、単なるすごろくゲームと言い切ることのできない、原作のテイストを多分に盛り込みつつ、ビジュアル的に楽しく、何よりプレイヤー同士の熱い駆け引きを実現したタイトルばかりだ。  「パーティジョイ」シリーズの魅力といえばコレである。「パーティジョイ」シリーズには、原作のテイストを盤上に再現するべく、ただのすごろくに終わらない制作者の創意工夫と熱意がこれでもかとばかりに凝縮されていたのだ。そんな懐かしさと色あせないゲームの魅力に満ちた「パーティジョイ」シリーズに野村氏が関わるようになったのは、20番の頃からだそうだ。 「最初は参加していなかったので分からないのですが、シリーズ20番くらいから100番あたりまでは非常に盛り上がってましたね。売り上げも比較的良かったですし、バンダイの担当者の方も本気でしたから、中途半端なものを持っていったら『ふ~ん、こんなもんか』って鼻で笑われてしまうんです。その顔が見たくないからこっちも本気でやるという感じで、必死で作りましたね」
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 野村氏は、当時を懐かしむようにそう語る。そんなゲーム好きなスタッフ同士のガチンコのぶつかり合いから「パーティジョイ」は生まれていたそうだ。 「『パーティジョイ』を指揮していたのはバンダイ栃木工場で、実際に制作を受け持っていたのは自分が当時働いていたM社(今はもう存在していない)とS社の2社でした。聞いた話では、S社は1つのゲームをチームで担当するスタイルで、主に正統派なすごろくゲームの発展型を作っていたのですが、うちは基本的にひとり1タイトルずつ担当していました。だからなのか、わりと作家性の強い、実験作みたいなものが多かったと思います」  そんな「パーティジョイ」のリリースペースは、ほぼ月1~2本というハイペース。必然的にゲームの制作ペースも早くなる。 「同時にいくつも並行していたので正確なところは分かりませんが、概ね3カ月かからないくらいで1本作っていました。ゲームを出そうという企画が立ち上がって最初の1カ月以内にゲームルールと説明書原稿を作って、次の1カ月でデザインから版下までを作って、最後の1カ月で生産という流れでした。何かウケそうな話題があれば、とりあえずそれで『パーティジョイ』を出すという雰囲気はありましたね。『パーティジョイ』って、そのキャラや題材が売れるかどうか、様子を探る斥候みたいなもんだったんですかね」  「パーティジョイ」に携わっている期間、野村さんは年がら年中ゲームばかり作っていたという。 ■最大のライバル「ファミコン」の出現
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 野村さんの思い出の作品は、1984年に発売された、初めてひとりで制作したというオリジナルタイトル「日本全国ミケ猫トマトの配達屋さんゲーム」だそうだ。宅配ドライバーになったプレイヤー同士で荷物を奪い合い、目的地に届けるというシンプルながらエキサイティングな内容は、社内でも非常に高い評価を得たらしい。本作のキモは、なんといっても「ギリギリの駆け引き」だそうだが、その精神はほかのタイトルにも息づいている。  当時、急激に勢いを増しつつあったファミコンを題材にしたゲームも多数制作されたそうだが、その中でも特に自信作なのが、同名のファミコンゲームを題材とした「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境」。妖怪が左右から襲ってくるというスピーディな横スクロールアクションゲームをボードゲーム化する際、野村氏はほかのプレイヤーが振った目で妖怪も動く、というアイデアを盛り込んだ冒険ゲームに仕上げた。  その結果、自分以外のプレイヤーの番でも目を離すことができないという、原作のゲームとはひと味違う非常にスリリングな展開が可能となった。
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「ファミコンはファミコンだから面白いんです。ただマップを進んで敵がいたから倒しました、というボードゲームにしても面白くならない。だから、絶対に目を離せない恐怖に駆られるゲームを作りたかったんです。一晩中ファミコンをプレーして、鬼太郎の“怖い”ってなんだろうというのを考え抜いて、ゲームで出せる怖さを追求しました。そんなふうにボードゲームならではの面白さを出すために、題材とするファミコンゲームとは異なるテイストに変えさせてもらうこともありましたね」  ボードゲームを作る上でのこだわりとプライドが感じられる一方で、こんな言葉も飛び出した。 「ボードゲーム屋としては、そもそもファミコンに負けるっていうのは分かっていました。80年代半ば頃には、すでにボードゲームは時代遅れだったんです。そんな中でコンスタントにシリーズとして発売していたのはバンダイくらいで、ほかのメーカーはそんなに力を入れているわけではない。やっぱり紙ものってそんなに高級感もないし、いざとなったら自分でも作れるだろう、みたいな意識があったのか、バンダイ社内でもそんなに評価はされてなかったですね。むしろ、ファミコンにいつまで対抗できるかという勝負なところはありました。ただ、バンダイの歴代担当者にどれだけ情熱があったかはわかりませんが、我々は1本1本に誇りを持って作っていました」  そんな敗色濃厚な戦いに挑んだ野村氏をはじめとする「パーティジョイ」スタッフだが、シリーズはファミコン全盛期の80年代を生き抜き、スーパーファミコンの時代となった90年代初頭まで存続。結果的に次世代ゲームの時代まで孤軍奮闘し、ひっそりと終焉を迎えた。 「たぶん対抗できていたのは85~86年くらいまでではないですかね。ただ、ファミコンはひとり1台買えば楽しめましたけど、『パーティジョイ』は1個あれば最大4人遊べますから。そういう意味では、売れた個数「×4」でカウントすれば、いい勝負をしていたと思います(笑)」  そう野村氏は、激戦を戦い抜いた戦士のような穏やかな口調で語った。 ■「パーティジョイ」の終焉と、その後  ドンジャラやルーレットゲームなど、その他大勢のパーティゲームとは一線を画すブランドとして存続していた「パーティジョイ」だが、次第にこだわりを持つ関係者が減っていったことや市場の縮小、バンダイ側も含めた体制の変化もあり、シリーズは「すーっと終わっていった」そうだ。
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「ファミコンなんかのデジタルなゲームに押されるボードゲームの火を絶やさない、なんて意識もありましたけど、独りよがりですよね。実際、世の中にボードゲーム待望の空気はありませんでした。作っている僕らはボードゲームが好きだし、子どもたちからも『パーティジョイクラブを作りました』というお便りをもらったこともあるくらい手ごたえはあったのですが、だんだんそういう子たちも卒業していって、ファミコンで育った子達と世代交代して『パーティジョイ』なんか知らない子たちが増えて、やがて消えていくんだろうなと、そういう意識の中であがいてました」  そんなボードゲーム愛と確実に存在するユーザーへの思いを糧に、「パーティジョイ」を作り続けた野村氏だが、現在もボードゲームを追いかけているゲームファンから「当時遊んでいた」という声をもらうことがあるそうだ。
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野村紹夫氏
「当時僕たちがつけちゃった火が、まだくすぶっている人たちが多くいるんですよね。当時、他社は簡単なすごろくばっかりだったんです。でも、マスに止まったらそれっぽいことが書いてあるだけっていうのが、すごく嫌だったんです。『キン肉マン』のゲームならキン肉マンになりたいんであって、お話をマスでなぞりたいんじゃない。だから安易なすごろくは作らないと心に決めていました。ただ、周囲の一部から、子どもには難しいんじゃないかとか、もっと単純にしないと面白くないんじゃないかとは言われていましたね。そういう言葉に必死に抵抗していたのですが、今になって『やっぱりこだわってよかった』って思います。あれがただのすごろくだったら、今まで引っ張ってもらえなかったと思います。大人げないですけど(笑)」  野村氏を含むゲームデザイナーたちが、さまざまな相手と戦い生み出した数々の「パーティジョイ」の魂は、今も多くのゲームファンの心に焼き付いているのだ。  現在、大手玩具メーカー以外にもインディーズ系のメーカーや同人サークルからさまざまなタイトルが発表され、密かに盛り上がりつつある日本国内のボードゲームシーンだが、その源流はもしかしたら「パーティジョイ」にあるのかもしれない。  取材の終盤、今はボードゲーム制作からは遠ざかっている野村氏に、今後再びボードゲーム制作に挑戦する予定はないのかと尋ねてみた。 「自分も、またゲームを作ろうかなと思っています。去年から考えてはいるんですけど、仕事が忙しくて……。ただ頭の中ではアイデアを温めています」  この盛り上がりを知る野村氏も、ボードゲーム熱が再燃しつつあるようだ。その日を待ちながら、久しぶりに友達と顔を突き合わせて「パーティジョイ」でガチンコ勝負するのも一興かもしれない。 (文=有田シュン) 「バック・トゥ・ザ・80'S」過去記事はこちらから

新しくなった東京拘置所でムショ飯を食う

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やって来たぜ、東京拘置所!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第19回は、「東京拘置所」に行ってきました。 ■拘置所の敷地内に入れるイベントが!  拘置所や刑務所に対して、どんなイメージを持っているだろうか?  拘置所、刑務所なんて、安部譲二の小説『塀の中の懲りない面々』や花輪和一の漫画『刑務所の中』、はたまた映画『ショーシャンクの空に』など、小説や漫画、映画の世界では結構なじみがあるものの、普通に生活している一般人にとってはまず縁のない世界だろう。とはいえ、ちょっと魔が差したりしたらイヤでも入れられてしまうんだけど。まさに日常と壁一枚へだてたワンダーランドだ。  そんな拘置所や刑務所の中に入ることのできる機会があったとしたら……イヤイヤ、ガチで収監されるのはイヤだけど、ちょろっと中をのぞける機会があったら、のぞいてみたいでしょ?  つーわけで、今年の3月に新庁舎が完成したばかりの東京拘置所の敷地内に一般人が入ることができる初のイベント「東京拘置所矯正展」が開催されると聞きつけ、早速突撃してきた。 ■チー様に拘置所が熱狂  大幅な改修工事後「周囲に威圧感を与えないように」ということで外塀が取り払われており、かなり開放的な印象……だが、肝心の庁舎自体は脱走等をガッチリ防げそうな、ズドーンとそびえ立つ「要塞」といった感じの建物。うーん、カッコイイ! 普通に観光スポットとしても成り立ちそうなほどナイスな建造物だ。
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まさに要塞……カッコイイ。
 さて、この「矯正展」だが、全国の刑務所で受刑者が制作した「刑務所作業製品」の展示・即売などを行うことによって、拘置所や刑務所といった矯正施設への理解を深めてもらうためのイベント……という情報を聞いていたので、わりと真面目でおごそかなイベントなのかなと予想しながらやって来たのだが、到着した会場は妙な熱気でムンムンだった!
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拘置所でのイベントなのに大熱狂。
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イベントの趣旨が……。
 集まった来場者たちからは「千春ーッ!」「チー様!」といった声援が上がっているし……。そう、今回の矯正展ではオープニング・テープカットのゲストとして歌手の松山千春さんが招かれていたのだ(しっかし松山千春のこと、ファンは「チー様」って呼ぶんだねぇ)。
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松山千春が登場! 連行されてるわけじゃないよ。
「いやー暑いですね、お前らは髪の毛があるからいいけど、オレは直接日光が当たるから暑くて暑くて……」  お上の施設でやってるイベントとは思えない、いきなりのツルッパゲ・ジョークで会場は、はやくもつかみはオッケーのドッカンドッカン状態。たたみかけるようにチー様は、 「今日は別に、オレが収容されるってわけじゃないですからね」 「この新しくなった東京拘置所も、塀もなくなって気軽に立ち寄れるようになってね……気軽に立ち寄っちゃマズイか」  などと、職員たちがビミョーに苦い表情を浮かべる中、拘置所ギャグを飛ばしまくり。ご機嫌になったチー様は、唐突に名曲「大空と大地の中で」をアカペラで歌い上げる。
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チー様熱唱!
「いつの日か幸せを自分の腕をつかむよう〜♪」  予定していなかった歌の披露にちょっといい雰囲気にはなったものの、そこまでのトークをフォローしきれてはいなかった気が……。  その後、チー様が各ブースを回って刑務所作業製品を視察するという予定になっていたのだが、ウワーッと殺到した熱狂的なファンたちで大混乱状態に。途中で中止となり、早々に帰っていった。普段、受刑者たちをビシビシ仕切っている職員さんたちも、熱狂的なファンには勝てなかったようで。
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ザ・パニック
■受刑者のアイドル・オン・ステージ  もちろん、チー様が帰ってからもみどころは満載。まず向かったのが、メインステージで行われていたPaix2(ぺぺ)という女性デュオのライブ。なんでも、刑務所などへの慰問活動(プリズンコンサート)をメインに活動しており「受刑者のアイドル」なんて呼ばれているんだとか。シャバでライブを観る機会はあまりなさそうだし、これは観るしかッ!
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「Live in Tokyo」の間違いじゃないの? と思いきや、
「Live in 東拘(東京拘置所)」ってことか。
 ……と、思ったもののPaix2のライブ時間になった途端、急に大雨が降り出したのだ。野外ステージ前で待機していた観客たちも屋根のある場所に避難してしまい、ステージ前はガラガラに。タイムテーブルは決まっちゃってるので、そんな状況でもライブをはじめるしかないのだけれど、さすがにコレはやりづらい。
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突然のどしゃ降りだが……。
 しかしそこは、さらにライブをやりづらい刑務所での慰問で鍛えられているふたり(刑務所では座席を立つことも、声を出すことも禁止されてるらしいから……)。大雨などモノともせず、満面の笑みで元気いっぱいライブを開始。「テントの中からでもいいから手拍子して下さ〜い!」などと盛り上げていく。  やがて雨も収まっていき、ステージ前にお客さんが少しずつ戻ってきた。そこで最後の曲。刑務所でもいつも歌っているというキラーチューン「元気だせよ」。……刑務所で元気だせるかなぁ?
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げーんーきーだーせーよー!
 ところでライブ中、すごく気になったのはステージ前に陣取って振り付けを完全コピーしているおじいちゃんがいたこと。ま……まさか塀の中でライブを観てファンになった方なのではッ!? ■オレんちの食事よりもウマいぞ「プリズン弁当」  続いてのお目当ては、この手のイベントでの定番「B級グルメ」。最近のブームのせいで、どこのお祭りに行ってもいろんな地方のB級グルメの屋台が出ているが、さすが東京拘置所でのイベント、ほかでは絶対にお目にかかれないB級グルメ(?)が販売されていた。その名も「プリズン弁当」!
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 おそらく、刑務所内で受刑者たちが食べているメニューを模した弁当ということなのだろう。麦まじりのご飯に豚の味噌焼き、切り干し大根、漬け物と、町のお弁当屋さんでもかなりオカズが豪華になっている昨今において、相当ショボイ。350円と安めな値段であることを考えても、町中で売られていたらおそらく買わないであろう内容。  ところが、完全にネーミングの勝利! ほかの有名B級グルメを差し置いて、信じられないような大行列ができていた。えーっ、みんなあのショボイ弁当(失礼)そんなに食いたいの!? まあ、ボクも「プリズン弁当」という名前のみに惹かれて30分並んで買ったけどね。(「何かくれるの? 何かくれるの?」と、タダで何かもらえると勘違いして並んでたオバハンも結構いたけど)
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すさまじい行列が……ショボイ弁当なのに。
 さて、肝心の味はというと……見た目のショボさに反してすごく美味しいの。本当にこの通りのメニューが刑務所内で出されているのかどうか定かではないけど、このレベルのメシがコンスタントに出てくるなら「とりあえず屋根があってメシが出てくるから……」と何度も犯罪を繰り返して刑務所に戻ってきてしまう人がいるっていうのもちょっと納得してしまう。  ……だって、ビンボー男子のひとり暮らしの食生活なんて、コレよりはるかに悲惨よ。
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これが「プリズン弁当」だ!
■ボクの犯罪的な性格が白日の下に……!?
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各刑務所で製作された「刑務所作業製品」が販売されている。
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こんな芸術的な製品も。サイズ等、オーダーメイドできるらしいですよ。
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どさくさに紛れて自動車も売られていたけど……
コレは刑務所関係ないよね?
 ブランニュー・東京拘置所の初イベントということで、かなり気合いを入れて開催された「矯正展」だけに、ほかにもいろんな催し物が盛りだくさんだったのだが、中でも特に心をわしづかみにされたのが「性格検査体験コーナー」。  要は、受刑者の性格診断で使用されているのと同じ検査方法によって自分の性格を知ることができるということなんだけど、コレ、心の中のものすごーくヤバイ部分が白日の下にさらされちゃったりするんじゃないの!? こ……怖いわー!
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せ……性格検査……。
 知りたいような、知りたくないような自分の心の中。でもまあ、取材だからと覚悟を決めて検査を受けてみることに。  検査の方法は、「どんなひどいことをされても相手をうらまない」「どんなに腹が立ってもいつもニコニコしている」といった質問に対し、マークシートで「はい」「いいえ」「?」を選んでいくというもの。コレ、「いいえ」にマークしたら明らかに結果が性格悪い方向に行くと思うんだけど……でも「どんなひどいことをされても相手をうらまない」「どんなに腹が立ってもいつもニコニコしている」ヤツなんているか!?  そんな感じで「こっちにマークしたら性格悪いことにされるだろうなぁ……」と思いつつも、正直にマークしていく。さて、その結果は……コレがなかなか出てこなかったんだ。マークシートを読み込む係の人が機械に慣れてないんだか、機械が調子悪いんだかで全然結果をもらえやしない! イライライライラ! 会場を再び一回りして戻ってきてもまだ結果が出ていない。結局、1時間近く待たされてやっと結果の紙をもらうことができた。……ったく! ……ったく!  そんで、その結果は……。
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「怒りっぽさ」「良く見せたい気持ち」が最高レベル……当たってるやんけ!
 とまあ、いろいろな催し物があって予想外に楽しめた「東京拘置矯所正展」。ただひとつ残念だったのは、拘置所の敷地内や周辺施設には入ることができたものの、肝心の庁舎や受刑者が収容されている部屋に入ることができなかったということ。まあ、セキュリティーとかいろいろ問題があんでしょうけど、それでもせっかく東京拘置所でやってるイベントなんだから、そこまで見たいよ!  うーん、やっぱりさらに詳しく中までウォッチするためには実際に収容されるしか……それはイヤだーっ。
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こんな模型は展示してありましたけど、やっぱり実物が見たいよ!
i01kouchisyo.jpg (取材・文・写真・イラスト=北村ヂン) ●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第18回】想像を超えるミラクル・ショー! ロボットレストランに潜入 【第17回】東京に宇宙人がいた!? 宇宙村レポート 【第16回】東京スカイツリー開業! その時、東京タワーは…… 【第15回】着ぐるみってどうやって作ってるの? 着ぐるみ制作会社に潜入! 【第14回】プロマイドの殿堂・マルベル堂で俺プロマイドを作る 【第13回】名古屋駅より徒歩5分。1泊1,500円〜のバカ安ホテルに泊まる 【第12回】大阪にそびえ立つ変な形の謎タワーに登ろうとしてきた! 【第11回】藤子不二雄Aだらけの町・富山県氷見市! 【第10回】ファン狂喜乱舞モノ!?  藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきた 【第9回】男だけど女声を使いこなす"両声類"になりたい! 【第8回】SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

「赤いきつね」がロボットに変形!? カップ麺が僕らのご馳走だった時代のヒーロー「テレコマ戦士」!

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アナログとデジタルの過渡期であった1980年代。WiiもPS3もなかったけれど、ジャンクでチープなおもちゃがあふれていた。足りない技術を想像力で補い、夢中になって集めた「キン消し」「ミニ四駆」「ビックリマンシール」......。懐かしいおもちゃたちの現在の姿を探る!   貧乏学生や独身社会人の主食の一つとしてすっかり定着しているカップ麺だが、自転車さえあればどこまでも遠出できた、やたらとカロリー消費の多かった幼き日の僕らにとってもカップ麺は「主食」であり「ご馳走」だった。  やたら甘いゼリーや、あまり味のしないのしいかなど、リーズナブルだけれど味もそれなりだった駄菓子に対して、カップ麺のお値段は100円くらい。そのちょっぴり割高な価格設定もさることながら、麺とスープを割り箸(もしくはフォーク)ですするというシークエンスが、食に対する満足感とロープライスな駄菓子をほおばるほかの子どもたちに対する優越感を僕たちにもたらしていた。放課後、友達と詰め掛けた駄菓子屋さんの店頭で、ガシャポンを回しながらカップ麺をすすった記憶のある読者も少なくはないだろう。  そんな子どもたちにとって身近な存在だったカップ麺が、ロボットに変形してしまう! というオドロキのおもちゃが1985年にタカラ(現・タカラトミー)から発売された「テレコマ戦士」シリーズである。  どんぶり型カップ麺から腕がニョキっと生えてロボットになるという、至極シンプルな変形ギミックながら、丸いカップから短い手足が伸びるというかわいらしさと凛々しいフェイスのギャップ。そしてリアルにプリントされたフタや手のひらサイズなど、コレクション性あふれる要素に心をくすぐられた子どもたちの間で「テレコマ戦士」は大ヒット。中でも「赤いきつね」「緑のたぬき」の2体は、シリーズ後半にパワーアップ版と称して再販されるほどの人気を誇った。
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カップ麺やお菓子の箱が……。
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なぜかロボットに変形! おもしろカッコいいぜ!
 シリーズ当初のどんぶり型カップ麺が変形する「どんぶりマン」以降も、カップヌードルのような縦長カップ麺が変形する「カップマン」、スナック菓子のパッケージが変形する「スナックマン」、ペプシコーラなどのジュース缶が変形する「ドリンクマン」、コロコロコミックなど子どもたちが大好きな雑誌が変形する「ブックマン」など続々と新シリーズを展開。最終的に55弾まで発売されるロングシリーズへと成長したのである。  余談だが、シリーズ当初はテレコマ戦士のボディにどんぶりマークの真っ黒なシールが貼られており、およそ24℃で「一味」「七味」「とうがらし」「ラー油」といったスパイスの絵柄が浮き出る仕組みになっていた。そのスパイスはじゃんけんのような四すくみの関係となっており、友達と「どんぶりマン」を使った簡単な勝負ができるようになっていたが、極意書(説明書)によると「君のアイディアでルール等を決め、君達の対決法(遊び方)を考えて遊ぼう」という、実にアナログな時代らしいゆるい記述が。  また、「スナックマン」「ブックマン」にはチョロQのようにプルバックで走行するギミックが搭載されていた。お菓子の箱や漫画雑誌が疾走する意味はよくわからないが、「とにかくロボットに何かギミックを盛り込むべし」の精神は実にタカラらしい。  このマインドがかつて「ダイアクロン」「ミクロマン」「トランスフォーマー」といった変形ロボ玩具群を生み出し、80年代後半にはアニメ『魔神英雄伝ワタル』の『プラクションシリーズ』や、90年代から現在もシリーズが続いている『ビーダマンシリーズ』などにつながっていったのではないだろうか。  ちなみに、テレコマ戦士誕生以前の1983年、カップ麺型のミニチュアを使った神経衰弱ゲーム「ぴったしめんめん」が、今はなき野村トーイより発売され大ヒットを記録していたほか、1988年には伝説の駄菓子「ケンちゃんラーメン新発売」(これが正式名称である)がサンヨー食品より新発売されていたことを考えると、やはり80年代は今以上にカップ麺が身近なおやつとして子どもたちに認識されていたように思える。
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おもちゃには極意書が付属。遊び方やほかのテレコマ戦士が紹介されている。
 片や、現在カップ麺は大人の主食として堪えられるように大型化したり、より本確的な味を求めてラーメン専門店とタイアップすることで高額商品となる一方。お手軽に子どもがおやつとして食べられる商品ではなくなりつつある。「テレコマ戦士」は、まだカップ麺がジャンクな駄菓子だった時代だからこそ生まれたキャラクターなのだろう。  昨今のリバイバルブームに乗っかって、ぜひとも復刻してほしいものだが、タカラトミーの広報担当者によると、 「『テレコマ戦士』は他社のデザインやライセンスも関わってくる商品なので、復刻は難しいんです」 とのこと。80年代こども文化をそのままパッケージングした「テレコマ戦士」をこのまま埋もれさせておくのは非常にもったいない気がするのだが、シリーズ復刻のために超えるべきハードルもまた非常に高そうである。  ところで「テレコマ戦士」という名称だが、おそらくは「テレビコマーシャル戦士」の略称なのだろう。そういえばあの頃は、テレビで新しいお菓子やカップ麺のコマーシャルが流れると、無性にワクワクしていたなあ……。  静かにたたずむ不格好なロボットたちを眺めながら、ふとそんなことを思ったりもした。 (取材・文=有田シュン) ●【バック・トゥ・ザ・80'S】バックナンバー 【Vol10】「なんでもあり」な80年代を象徴するツッパリキャッツ! なめ猫今昔物語 【Vol9】貼って貼られて貼り返されて!? 「ビックリマンチョコ 悪魔VS天使シール」今昔物語 【Vol8】 "懐かしのおもちゃ"から"スポーツ"へ 「ルービックキューブ」今昔物語 【Vol7】練り続けて25年! 家族の絆を繋ぐ遊べるお菓子「ねるねるねるね」秘話! 【Vol.6】合体のロマンに全国の男子がハマりまくった! 「合体シリーズ」「ミニ合体シリーズ」今昔物語 【Vol.5】男子だって着せ替えしたいんです、プロテクターを! 「聖闘士聖衣大系」今昔物語 【Vol.4】学校で唯一読めたコミック! 『エスパークス』今昔物語 【Vol.3】ゲームの可能性を広げた80年代のミッキーマウス 「パックマン」今昔物語 【Vol.2】世代を超えて愛される地上最速ホビー「ミニ四駆」今昔物語 【Vol.1】手のひらに広がる大冒険!「ゲームブック」今昔物語

豚のおっぱい、山羊のキンタマ……“食べ物界の一発屋”獣肉を食らう!!

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ワニ、トド、マンボウ……。メニューには妙な肉ばかりが並ぶ。
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。  東京・高田馬場に、「豚のおっぱい」や「山羊のキンタマ」を食べられる店がある。分かってる、こんなもの食べずとも、普通の食べ物のほうがおいしいに決まってる。ゲテモノは悲しいかな、試しに“ネタとして食べる”、食べ物界の一発屋である。でも、一度は食べたい。一度経験して、「私、山羊のキンタマ、食べたことあるもんね!」と声高らかに自慢したい。ただそれだけのために獣肉酒家「米とサーカス」へ行くことにした。待ってろ、おっぱい、キンタマ。  高田馬場駅前の路地を数秒歩くと、突然妙な建物が現れた。 niku_1.jpg  妙なのは建物だけじゃない。店員さんも何かがおかしい。 niku_2.jpg  店の中も徹底的に怪しく、
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すぐ裏に山手線が走っているとは思えない異空間ぶり。
 メニューはなぜか絵本を改造して作られている。
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表紙は絵本そのまま。中身がメニューになっている。
 雑多なサーカス小屋をイメージしたというが、それにしてもあまりに前衛的な店構えにメニューの珍しさがいささか霞む。しかし、私はおっぱいやキンタマを食べに来たのだ。こんなところで負けるわけにはいかない。気を引き締めて、お目当ての珍味をオーダーした。挑戦したのは、豚のおっぱい・鹿のタン・熊の味噌焼き・山羊のキンタマ、の4品。 ■『いや~ん 豚オッパイ炒め』(480円) niku_5.jpg  オーナーの宮下慧さん曰く「リピーターがかなり多い」とのこと。一口かじってみると、やや豚の臭みはあるものの、歯ごたえコリコリでタンのような食感。噛むと、口いっぱいに脂の旨みがとろけて、うまい。うおォン!  ちなみに、こんなに安いのは、豚には一頭あたり12~14個もおっぱいがついていて、入手しやすいからだという。 ■『エゾ鹿の舌 塩焼き』(720円) niku_6.jpg  豚のおっぱいよりもやや硬く、少し獣臭さがあり、好き嫌いが分かれる味。鹿は部位によって味が大きく異なり、「鹿のレバーは、ペーストにしてみたり、味噌で焼いてみたりと工夫したけど、どうしても臭みが抜けず、定番メニューにするのはあきらめました」(宮下さん)と、調理に苦労しているそうだ。 ■『野趣あふれる熊の味噌焼き』(980円) niku_7.jpg  「熊はものすごくクセのあるお肉です」(宮下さん)と聞いておそるおそる口にしたのだが、味噌の染み込んだ肉の味がじゅわっと広がり、これまたうまい! うおォンうおォン! 肉を柔らかくするため、味噌とみりんに漬け込んで柔らかく調理されている。ラム肉に近いが、ラムよりも万人受けする味かもしれない。  だが、冬眠前が一番おいしく、冬眠明けは脂がのってなくて淡泊と個体差があるようだ。 ■『まさに珍味な山羊の金玉』(950円) niku_8.jpg  4品の中で、最も口にするのに勇気を要する一品である。なにしろキンタマ。しかも、なんの調理もなされていないお刺身として出てきてしまった。味噌や塩で味付けされているわけでもない、まっさらなキンタマ……。これはキンタマだと思うから食べづらいのだ。目をつぶって、キンタマであることは忘れて――と心の中でぶつくさ言いつつ、一枚口に含んでみると……とろとろっと舌の上で溶けたミルキーなその味は白子そのもの。すごいぞ、キンタマ。もちろん精力増進の効果があるとのこと。  今回食べた4品は、当初想像していた以上にどれも食べやすかった。特に、豚のおっぱいに至ってはゲテモノ感ゼロ。おっぱいのくせに。ゲテモノとしてのプライドを問いただしたいくらいである。  ところで、おっぱい、鹿、熊、キンタマ、と立て続けに食べると、最後のほうは胸焼けと同時に、なんだかやけに体全体が熱を帯びて発汗したのをここに記しておく。これはつまり、アレがアレでアレしたということで、皆さまにおかれましては、“そういう用途”で使うのも頭に入れておかれますよう。 ●ドキドキ度 ★★★★★ いろいろな意味でドキドキする店である。食べ過ぎるとドキドキと発汗し、お店のチャレンジ精神にもドキドキさせられる。まず、食材を仕入れるルートは、「“ゲテモノ”でGoogle検索をして調べています」(宮下さん)。そんなんでいいのか。さらには、「以前、虫料理も出そうとしたのですが、調理場がものすごく臭くなっちゃって……虫なんて食べるもんじゃないですね(苦笑)」と言い出す始末。虫料理は、こういったイベント(※記事参照)で十分である。 (取材・文・撮影=朝井麻由美) ●『米とサーカス』 <http://kometocircus.com/> 新宿区高田馬場2-19-8。JR山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線 高田馬場駅より徒歩1分。営業時間は月~土17:00~7:00、日17:00~24:00。ちなみに、常に期間限定の新作メニューの研究を重ねていて、現在はウーパールーパー料理を開発中だそう。 【散歩師・朝井がゆく!】バックナンバー 【vol.15】ご当地検定だと思ったら大間違い!? 意外とガチな「甲賀流忍者検定」 【vol.14】まるでUFOキャッチャー!? ゲーム感覚で楽しめる‟釣り居酒屋” 【vol.13】工場長のテンションにも注目!? おもしろ消しゴム工場見学! 【vol.12】“新秋葉電気鉄道”出発進行! 鉄ヲタ大満足の鉄道居酒屋 【vol.11】ドレスコードはバンドT! ROCKにキメる『ジャケ弁講座』に潜入 【vol.10】かわいいメイドさんの正体はガンマニア!? シューティングメイドカフェ 【vol.9】ドヤ顔からてへぺろまで!? 自分にそっくりな石像が見つかる「五百羅漢」 【vol.8】ドラクエ好き女子ライターが教える、ドラゴンクエスト展のマニアな楽しみ方 【vol.7】麺の気持ちになれるアトラクションまで!? 「カップヌードルミュージアム」が楽し過ぎる! 【vol.6】「舌の上でプチプチと......」知られざる珍味"蝉フルコース"にチャレンジ 【vol.5】お坊さんは隠れた名カウンセラー? お寺で人生相談 【vol.4】"ライター"のプライドを懸けて「売り込みナイト」にガチで挑戦! 【vol.3】なんとも言えない高揚感に体が火照る!? 話題のアニソンバーで熱唱! 【vol.2】ベタなトルコをお気軽エンジョイ! 「東京ジャーミイ&トルコ文化センター」 【vol.1】サブカルイベントゆえのゆるさ!? 『ART MAP in 阿佐ヶ谷』を歩いてみた

【鳥居みゆき×小明】小説とDVDとゾンビ映画と白ブタと永遠の女子高生についてのパラグラム

torii_akari0001.jpg  小説『余った傘はありません』(幻冬舎)、巨匠・山岸伸によるファースト写真集撮影ドキュメントDVD『世界鳥居紀(奇)行 IN サイパン』(コンテンツリーグ)、続いて私もゾンビ役で出演させてもらった映画『ゾンビデオ』の公開も控えて絶好調の鳥居みゆきさん。鳥居さんには何回もインタビューさせていただいているし、今日も楽しみだなぁとのんきに扉を開けて元気に挨拶をすると、鳥居さんが「えっ……そんなにフランクにくる感じ?」「なんか、どんどんお金かけない服になってきてるね。一応アイドルなのに」と苦笑いで迎えてくれました。出鼻をくじかれ、とめどなく流れる冷や汗の中で取材スタートです。 小明 このたびは、小説やDVDが立て続けにリリース、そして映画『ゾンビデオ』の公開ももうすぐのようで……。 鳥居 『ゾンビデオ』っていつ公開なの? ℃-uteと一緒に完成披露試写会をやったけど、それもけっこう前なのよ。 小明 それ観に行きましたけど、確か去年の夏でしたよね。公開は今年の春か夏って言ってた気がするんですけど……。 鳥居 夏きちゃったよ! 小明 完成から一年たちますね。鳥居さん、ほぼ主演だったのに。 鳥居 違うよ、主演は℃-uteだよ。みゆきは小明ちゃんと一緒だよ。 小明 私、素顔が一瞬しか映らないゾンビですよ(笑)。ずっと白目のコンタクトレンズで角膜が剥がれるかと思いました。 鳥居 それはそれでいいと思う(興味なさそうに)。 小明 DVD『世界鳥居紀(奇)行 in サイパン』では、海に沈んだり溺れたりとひどい目に遭いすぎて、ゾンビのようになってましたね。あんなに素顔でゾンビっぽくなれる人、他にいないですよ。 鳥居 そんなシーンないよ(きっぱり)。でも本当クソッタレだよ。だって、あんなの、やる予定じゃなかったんだよ。なのにコンテンツリーグさんが宣伝を勝手に進めちゃってさ、そこに「アクティビティに挑戦!」って書いてあってさ。 torii_akari0002.jpg 小明 「アクティビティ」って、また大ざっぱですよね(笑)。具体的に何をやるのか、ちょっとピンとこないですし。 鳥居 どうせ、アクティブな人間がラウンドワンとかでやるようなことでしょ? 宣伝に載っちゃったんなら、やるしかないでしょ。恐ろしいよ、コンテンツリーグ。 小明 前作の『世界鳥居紀(奇)行 in タイ』は、まだ鳥居さんも楽しんでいる感じがしましたけども、今回のは逃げ場なしといった感じで。 鳥居 タイは一応、楽しかった。今回は、楽しめないってことが最初からわかってたから。なんか、カメラが好きなカメラ小僧のおじさんがついてくるっていうし。 小明 山岸伸さんは巨匠ですよ! 山岸さんの撮影はどうでした? 鳥居 汗すげぇかくなぁって思った(笑)。汗かくのに痩せない人っているよね(笑)。 小明 写真の方はさすがにきれいに写ってましたね。 鳥居 ね。あの人、カメラ小僧のわりに意外とうまいよね? 小明 だから巨匠なんですよ! グラビア撮影はどうでしたか? 鳥居 私、毛がないんで、どこが出てもかまわないんですけど、肌が嫌なの。 小明 あの、ほとんど外に出てない感じの肌の質感に親近感が湧きました。 鳥居 バレた? 引きこもってる感あった? 外嫌い(笑)。 小明 でも、今の時代にグラビアでサイパンなんてすごいんですよ。篠崎愛さんとか吉木りささんじゃないと、連れて行ってもらえないんじゃないですかね。 鳥居 ……吉木りさちゃんに似てるよね。言われない? 小明 すごく疲れているときの吉木さんと、すごく調子がいいときの私がたまに似てるって言われます。 鳥居 そういうことだよね。イルカとクジラの境界線みたいなもんでさ。デカさで分けてんじゃん、あれ。それと同じで、めっちゃ疲れさせたら、吉木さんのグレードが下がるから、そのときに小明ちゃんがめっちゃ頑張れば、ギリ。境はあるんだけどね、確実に。 小明 そうなんですよね。境は確実にあるので、並べられたくはないなって思います。吉木さんは自分が勝っているのが本能でわかってるから、似てるって言われてるのを耳にしても「小明さんと絡みたい(笑)」とか言ってくれてるんですよ。でもこっちとしては、それってそうとうキツイんですよ。 鳥居 それは余裕がある人の発言だよね。ドジョウとウナギの差だもんね。ドブだもんね、小明ちゃん。 小明 ドブ……? えっと、DVDの話に戻りますが、海では奇声を上げたり地べたを這い回ったり、けっこうなはしゃぎっぷりで、さぞかし体を傷めたことだと思います。 鳥居 大丈夫、血がちょっと出るぐらいしか。 小明 あ、ちょっと跡が残ってる! っていうか、なんか傷だらけ! 鳥居 そう。毎日、毎日、傷ができるよ。ここも城咲仁のせいでパックリいっちゃうしさ。本の宣伝しようとしたら城咲仁が「おい、今、宣伝するなよ」っておどけてきて、その時に紙で皮膚がやられて城咲仁に「ジーンってやっちゃった」ってナチュラルダジャレ言っちゃって「ああああああ」ってなって……(赤面)! 本当にナチュラルダジャレほど恥ずかしいものはないよ。血も出たし、ちょう痛かった。映像も全然繋がらないし、ぜんぶ仁のせいです。(「実際は血なんて全然出てませんよ」担当マネージャー談) torii_akari0003.jpg 小明 流血といえば、小説で、そっくりな双子が似ていないところを作ろうとリストカットする場面はジーンときました。 鳥居 本当に? 私、全然きてないよジーンと。『余った傘はありません』ってタイトルは、どう取る? 小明 読みはじめは双子が憎み合って「お前にやる傘なんてねぇよ」みたいな意味かと思ってましたけど、ラストまで読んだら違いました。意外とあたたかかったです。 鳥居 よかった、わかってくれて。私が思う『余った傘はありません』っていうのは、例えば、好きな人がいて、私だけが傘を持っている時に「一緒に入ろう」って言えない、ちょっとした心の歪みというか……私が人に対して素直になれない部分が込められています。 小明 やっぱり、ご自分がモデルになった話も多いんですか? 鳥居 なんかね、エッセイって自分を良いように書いちゃうけど、実は小説の方が自分が出ちゃうんだって。 小明 自分が考えていることを整理できて、セラピーにもなるって聞きますよね。小説の中で双子が互いに比べ合って、劣等感から「いい子でいなくちゃ」って追い詰められていく感じはよくわかります。鳥居さんも、お姉さんがいらっしゃいますよね。 鳥居 私、超デブだったの。おねぇは、変わらずキレイなままなの。読者モデルとかいろいろやってて。 小明 読者モデル! それって一番いいやつですよね。あえて女子アナを狙わない、欲のない美しさ。 鳥居 そう! そうなの! 一番モテるもん。そこと比較されて、白ブタって呼ばれてたから、私。 小明 白ブタ(笑)! 奇遇ですね、私もギャルの姉にガンハクトン(意味:顔が白い豚)って呼ばれてました! いつ、お痩せになったんですか? 鳥居 中2になって、背がいきなり伸びて、ちょうどいい感じになりました。よかったー。 小明 いい感じになっても、内面には比べてられていた時期の自分が根付いているから……。 鳥居 そう、暗いんですよね、結局は。すごい暗かったし、髪もどっちが前かわからないビッグフットみたいな感じで、人と目を合わせなくてもいいようにしてました。 小明 未確認動物状態だと、卒業アルバムもつらい感じになりそう。 鳥居 卒アルの集合写真って、目立っている人を重点的に良くしようとしてない? ずるいよね! 私、ひとりだけすげぇブレてるんだもん。あれ、ヒドイよ。でも、写真の上にひとりで載るやつも憧れる。 小明 私、昔それを狙って集合写真の日に学校休んだんですけど、上に別個で掲載もなくて、普通にクラスに存在しない人になってて悲しかったです。 鳥居 それはそれでいいね! ……ねぇ、あれって死んだら白黒? 小明 ひとりだけ白黒の黒縁にされても暗い気持ちになりますし、普通じゃないですか? っていうか、その枠には憧れちゃダメですよ! もう大人なんですから! 鳥居 でもね、私、高校生のとき、何があっても毎日学校行ってたの。で、卒業式だけ行かなかったの。だからね、私、永遠の女子高生なの。まだ、卒業証書もらってないの。すごくない? 「取りに来て」って言われたんだけど、まだ行ってないから、まだ女子高生のままなの。すごくない? 永遠のJK。 torii_akari0004.jpg 小明 ……。小説は、どれぐらいの期間で書かれたんですか? 鳥居 1年くらい幻冬舎で連載してたの。毎月書いてるから、全然繋がってなくて(笑)。いろいろ直して、量も増やして、タイトルも変えたって感じ。前は『4月1日』ってタイトルだったんだけど、「なんか違うな」って思って。「なんだそれ」って。「バカじゃねぇの?」「クソだな」って。 小明 そこまで思わなくても。最後はそれぞれの人生が交差して、ちゃんと繋がってましたよ。泣ける話もあって……。 鳥居 泣ける話あった? ひとつも泣いてないよ。『乾杯』が評判いいんですけど、女の子がすごい「感動した」とか言って、ホロッときてる感を出して、純粋な女の子と思われようとしてるんですよ(笑)。バカだな(笑)。 小明 自分で書いておいて見下すって、もう意味わかんないですよ! 鳥居 ひねくれてるの! あと、わかりづらいよね。『←ラブレター』には、ちょっとした仕掛けがあるのよ。親切心のやじるしがついてるでしょ。 《一部抜粋》 すみません、初めてお手紙を書きます。 きのう駅であなたに財布を拾ってもらった者です。 できたらお礼がしたいのです。 すごく嬉しかったものですから、連絡ください。 小明 わ! 気づかなかった! この章ぜんぶ縦読みじゃないですか! 意味も本文と交差してるんだ、わー!! 鳥居 気づいても気づかなくても楽しめる作品。 小明 テクニカル! お互いに劣等感を持った双子の姉妹を軸に、登場人物のねじれた恋愛模様や心の闇がいくつも交差して、最後はあたたかい気持ちになる、これかなり良い小説ですよね。 鳥居 大人になったからこそわかる余裕みたいな、そういう感じのお話にしました。ふふふ。 小明 たくさん重版がかかりますように! この本は、どんな人に読んでもらいたいですか? 鳥居 子どもから大人まで幅広く読んで欲しいですね(棒読み)。 小明 子ども、歪むなぁー! 鳥居 じゃあ、(村上)春樹に飽きた人とか東野圭吾に飽きた人が読めばいいよ。 torii_akari0006.jpg 小明 投げやり! 個人的には、愛情表現が下手でこじれちゃった人には、きっとハマると思いますよ! 最近は舞台もやられていますし、次の単独もありますし、ずいぶんお忙しそうですね。単独のネタはもう固まりましたか? 鳥居 固まってはきてて、どういう組み立てにしたらいいか考えている。無意義と有意義をプラマイゼロにしたい感じ。メッセージ性ってさ、強く長く出すとダサいじゃん。 小明 努力、希望、仲間、絆、生きていく意味、みたいな? ひねくれた性格だと、メッセージ性が強いと引いちゃいますしね。 鳥居 そうそう。今、舞台の稽古をやってるんですよ。人が書いた本ってものにもまだ馴染めないし、今、けっこうストレス抱えてる。 小明 稽古って時間もかかるし、ギャラも出ないし、知らない人との団結を求められて……よほど好きじゃないと胃にきますよね。 鳥居 そう、「このカンパニーで~」とか言いだすのよ? 最近の劇団は。寒気するわーって思って。 小明 カンパニー? ベビースター? 鳥居 おやつカンパニー以外で聞かないよね? だから、「私、劇団員じゃなくてビジネスなんで。そういうノリじゃないんで」ってハッキリ言いました。そしたら、若い、初めて舞台に出る女の子とかが、「劇団員じゃないけど、みんなでカンパニーとして、仲良くなっていきたくて、前向きにぃ……」とか言いだして、さっきのは全否定かいと思って。(※ちなみに舞台は大好評で幕を閉じたそうです) 小明 うわー、DVDのアクティビティもそうですけど、ストレスになるのが分かってる仕事の前の晩はつらいですよねぇ。 鳥居 あぁ、それは昨日のことだな。 小明 ……もしかして、ちょっと飽きてきてますか? 鳥居 気づいていると思うけど、ちょっとじゃないよ。 小明 わー、どうもありがとうございました!  好きな人に「一緒に入ろう」が言えなくて「余った傘はありません」と突き放す鳥居さんですから、この私とのやりとりの中にも、きっとどこかに不器用な愛が隠れているはず……と一生懸命さがしてみましたが、特には見付からなかったので、本当に早く帰りたかったんだと思います。単独ライブも、昨年秋から一切情報が更新されない『ゾンビデオ』も楽しみですね! (取材・構成=小明) ●とりい・みゆき 1981年、秋田県生まれ。07年頃から、白いパジャマでテディベアを抱えた「マサコ」キャラでブレイク。以降、テレビ、映画、ラジオ、出版など幅広い活動を続けている。近著『余った傘はありません』(幻冬舎)発売中。DVD『世界鳥居紀(奇)行 IN サイパン』(コンテンツリーグ)は8月22日発売。映画『ゾンビデオ』(http://www.zomvideo.com/)年内公開予定。 鳥居みゆき 単独ライブ 狂宴封鎖的世界「方舟」 9月27日(木)~9月30日(日) 全6回公演 【場所】草月ホール(住所:東京都港区赤坂7-2-21) 【チケット発売情報】8月18日(土) CNプレイガイドにて午前10:00発売!

「結局、コミケはニコ動に喰われていくのか?」他誌じゃ書けない本音満載『マンガ論争』Vol.07

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『マンガ論争』vol.7 2012年夏号発行
「コミケはニコニコ動画に喰われているのか?」  マンガやアニメの周辺情報を掲載する専門誌『マンガ論争』が、一足お先に編集部に届いた。最新号となる「Vol.07」で同人誌即売会とニコ動やpixivとの関係を探る特集「広がる同人、廃れる同人」が掲載される。  『マンガ論争』は、本サイトでも、情報誌などでは絶対に書けないマンガやアニメの際どい情報を取材・執筆している、昼間たかし氏が、マンガ評論家の永山薫氏と共同編集人を務める年2回刊の専門誌だ。協力として、コミックマーケット準備会及びコミティア事務局が名を連ねることからも、掲載される情報の精度は極めて高いと評価されている。誰ともなく「ジャーナリズムが存在しない」と評価される、マンガ・アニメ情報誌とは一線を画した存在だ。 「日刊サイゾーの記事と同じく、“こんなことを書きやがって……”というクレームも皆無ではありません。ですが、マンガやアニメの世界を、よりよくしたいという気持ちは同じですから、大抵は話し合えば、わかってくれますよ」(昼間氏)  最近は、本サイトに掲載されたスウェーデンのマンガ「児童ポルノ」裁判で活躍した昼間氏だが、本誌ではなぜか先月スウェーデン大使公邸で催されたパーティーに招待されたことも明らかに。 「なんの懐柔策かと思いましたが、和気藹々とスウェーデン料理に舌鼓を打ってきましたよ。大使をはじめ大使館の方々とも話をしましたが、あのニュースは大きな話題になっているようです。なにより、“児童ポルノ”の所持禁止を唱える人ですら(強硬に規制強化を主張する国際NGO)エクパットのやり方に疑問を持っている言質を引き出すことができました」(昼間氏) ■別に炎上してもかまわない、もうちょっと勉強してこい  さて、今号での特集のトップ「広がる同人、廃れる同人」は、同人誌即売会に取って代わる存在として、ニコニコ動画やpixiv、そしてソーシャルゲームに焦点を充てたもの。今年春に「今後の開催の危機」に陥り注目を集めた新潟の老舗同人誌即売会「ガタケット」の代表・坂田文彦氏や、コミックマーケット共同代表・市川孝一氏らのインタビューなどを交えながら、本音の分析を展開している。さらに、この特集ではコンプガチャ問題の後も発展を続けるソーシャルゲームについて「既に勝ち組は決まっている」と、業界関係者の声を交えながら記している。 「同人誌即売会の大きな要素であったコミュニケーションの機能は、急速にネットに取って代わられつつあります。取材の中で、幼い頃からネットでのコミュニケーションに親しんできた人たちを、即売会の“リアル”の空気感を楽しめるように導いていく方法を、今のうちに模索していなければならないのではないかと思いました」(昼間氏)  また、特集「激変する著作権の世界」では、改めてトレパク問題について解説。トレパクを検証する人々こそが、時として著作権侵害を犯してしまっていることまで記し、著作権の正しい知識を持つことを求めている。この特集は、TPPやダウンロード違法化など、著作権をめぐる様々な問題を、改めて基礎知識のレベルからまとめたもの。著作権をめぐる問題は、あまりにややこしく、今さら聞けない事柄も多くなっているのが事実、ぜひ押さえておきたい内容だ。 「トレパク検証自体が著作権法に触れる恐れがあります。検証している人たちは、もう少し勉強をしたほうがよいでしょう」  と、このページを担当した、永山薫氏は語る。  どの特集にも、どこか炎上しそうな危険を感じる文字が並ぶのだが、本人たちはあまり気にしていない様子だ。 「炎上を楽しむような人たちとは実のある議論にはならないので、相手にするのは時間の無駄です。もちろん、リアルで姿を現せば相手をしますけれども、そんな人は数えるほどしかいないと思います。どっちにしても“楽しむ”のではない主義主張があるんだったら、自分の信念に殉じて華々しく散って欲しいものです」(昼間氏) ■特典も準備して「おもしろく、ためになる本」を目指す  今回で「Vol.07」を迎えた『マンガ論争』だが、今号から次号にかけて「より、多くの人々に手にとってもらいやすくするために」と、内容や装丁共に大幅にリニューアル。表紙を今年発売されたゲーム『シャイニーデイズ』のヒロインたちが飾る。 「すべてを見ることができないほど、多くのマンガ・アニメ・ゲームがある現在は、大変楽しい。だからこそ、この世界を維持し発展させていくために、本誌を通して今置かれている状況を知って置いて貰いたいと思います。そのためには、まだまだ本誌の内容は、固いかも知れません。ですので、さらに“おもしろくて、ためになる”方法を模索していきたいと考えています」(昼間氏)  普段から、どんな小さい記事でも、編集方針をめぐって常に乱闘寸前だという『マンガ論争』。そこには、あまねく作品に対する愛がある。  本誌は、8月10日から開催されるコミックマーケットの特設販売ブースで先行発売される。会場購入特典として『School days』をはじめとする『デイズシリーズ』のイラストレーター・ごとうじゅんじ氏による、桂言葉の特典ペーパーが準備されているとのこと。 ●『マンガ論争』vol.7 2012年夏号発行 特集1:「広がる同人、廃れる同人」 特集2:「激変する著作権の世界」 特集3:「表現の自由の最前線に突撃レポ!」 特集4:「2012年上半期マンガとアニメのキーポイント」 インタビュー: 市川孝一(コミックマーケット共同代表)/坂田文彦(ガタケット代表)/ メイザーズぬまきち(ゲームクリエイター)ほか 編集:永山薫・昼間たかし 協力:コミックマーケット準備会・コミティア事務局 発売:株式会社エヌスリーオー 定価:1,000円(税込) ※コミックマーケットでの先行販売※ 日時:8/10(金)~8/12(日) 販売場所: コミックマーケット会場内東4ホールガレリア側(救護室横) コミックマーケット購入特典として、イラストレーター・ごとうじゅんじ氏の桂言葉描き下ろしペーパーを配布予定。 Facebookページにてカウントダウン実施中!!! http://facebook.gwbg.ws/manga0810

「結局、コミケはニコ動に喰われていくのか?」他誌じゃ書けない本音満載『マンガ論争』Vol.07

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『マンガ論争』vol.7 2012年夏号発行
「コミケはニコニコ動画に喰われているのか?」  マンガやアニメの周辺情報を掲載する専門誌『マンガ論争』が、一足お先に編集部に届いた。最新号となる「Vol.07」で同人誌即売会とニコ動やpixivとの関係を探る特集「広がる同人、廃れる同人」が掲載される。  『マンガ論争』は、本サイトでも、情報誌などでは絶対に書けないマンガやアニメの際どい情報を取材・執筆している、昼間たかし氏が、マンガ評論家の永山薫氏と共同編集人を務める年2回刊の専門誌だ。協力として、コミックマーケット準備会及びコミティア事務局が名を連ねることからも、掲載される情報の精度は極めて高いと評価されている。誰ともなく「ジャーナリズムが存在しない」と評価される、マンガ・アニメ情報誌とは一線を画した存在だ。 「日刊サイゾーの記事と同じく、“こんなことを書きやがって……”というクレームも皆無ではありません。ですが、マンガやアニメの世界を、よりよくしたいという気持ちは同じですから、大抵は話し合えば、わかってくれますよ」(昼間氏)  最近は、本サイトに掲載されたスウェーデンのマンガ「児童ポルノ」裁判で活躍した昼間氏だが、本誌ではなぜか先月スウェーデン大使公邸で催されたパーティーに招待されたことも明らかに。 「なんの懐柔策かと思いましたが、和気藹々とスウェーデン料理に舌鼓を打ってきましたよ。大使をはじめ大使館の方々とも話をしましたが、あのニュースは大きな話題になっているようです。なにより、“児童ポルノ”の所持禁止を唱える人ですら(強硬に規制強化を主張する国際NGO)エクパットのやり方に疑問を持っている言質を引き出すことができました」(昼間氏) ■別に炎上してもかまわない、もうちょっと勉強してこい  さて、今号での特集のトップ「広がる同人、廃れる同人」は、同人誌即売会に取って代わる存在として、ニコニコ動画やpixiv、そしてソーシャルゲームに焦点を充てたもの。今年春に「今後の開催の危機」に陥り注目を集めた新潟の老舗同人誌即売会「ガタケット」の代表・坂田文彦氏や、コミックマーケット共同代表・市川孝一氏らのインタビューなどを交えながら、本音の分析を展開している。さらに、この特集ではコンプガチャ問題の後も発展を続けるソーシャルゲームについて「既に勝ち組は決まっている」と、業界関係者の声を交えながら記している。 「同人誌即売会の大きな要素であったコミュニケーションの機能は、急速にネットに取って代わられつつあります。取材の中で、幼い頃からネットでのコミュニケーションに親しんできた人たちを、即売会の“リアル”の空気感を楽しめるように導いていく方法を、今のうちに模索していなければならないのではないかと思いました」(昼間氏)  また、特集「激変する著作権の世界」では、改めてトレパク問題について解説。トレパクを検証する人々こそが、時として著作権侵害を犯してしまっていることまで記し、著作権の正しい知識を持つことを求めている。この特集は、TPPやダウンロード違法化など、著作権をめぐる様々な問題を、改めて基礎知識のレベルからまとめたもの。著作権をめぐる問題は、あまりにややこしく、今さら聞けない事柄も多くなっているのが事実、ぜひ押さえておきたい内容だ。 「トレパク検証自体が著作権法に触れる恐れがあります。検証している人たちは、もう少し勉強をしたほうがよいでしょう」  と、このページを担当した、永山薫氏は語る。  どの特集にも、どこか炎上しそうな危険を感じる文字が並ぶのだが、本人たちはあまり気にしていない様子だ。 「炎上を楽しむような人たちとは実のある議論にはならないので、相手にするのは時間の無駄です。もちろん、リアルで姿を現せば相手をしますけれども、そんな人は数えるほどしかいないと思います。どっちにしても“楽しむ”のではない主義主張があるんだったら、自分の信念に殉じて華々しく散って欲しいものです」(昼間氏) ■特典も準備して「おもしろく、ためになる本」を目指す  今回で「Vol.07」を迎えた『マンガ論争』だが、今号から次号にかけて「より、多くの人々に手にとってもらいやすくするために」と、内容や装丁共に大幅にリニューアル。表紙を今年発売されたゲーム『シャイニーデイズ』のヒロインたちが飾る。 「すべてを見ることができないほど、多くのマンガ・アニメ・ゲームがある現在は、大変楽しい。だからこそ、この世界を維持し発展させていくために、本誌を通して今置かれている状況を知って置いて貰いたいと思います。そのためには、まだまだ本誌の内容は、固いかも知れません。ですので、さらに“おもしろくて、ためになる”方法を模索していきたいと考えています」(昼間氏)  普段から、どんな小さい記事でも、編集方針をめぐって常に乱闘寸前だという『マンガ論争』。そこには、あまねく作品に対する愛がある。  本誌は、8月10日から開催されるコミックマーケットの特設販売ブースで先行発売される。会場購入特典として『School days』をはじめとする『デイズシリーズ』のイラストレーター・ごとうじゅんじ氏による、桂言葉の特典ペーパーが準備されているとのこと。 ●『マンガ論争』vol.7 2012年夏号発行 特集1:「広がる同人、廃れる同人」 特集2:「激変する著作権の世界」 特集3:「表現の自由の最前線に突撃レポ!」 特集4:「2012年上半期マンガとアニメのキーポイント」 インタビュー: 市川孝一(コミックマーケット共同代表)/坂田文彦(ガタケット代表)/ メイザーズぬまきち(ゲームクリエイター)ほか 編集:永山薫・昼間たかし 協力:コミックマーケット準備会・コミティア事務局 発売:株式会社エヌスリーオー 定価:1,000円(税込) ※コミックマーケットでの先行販売※ 日時:8/10(金)~8/12(日) 販売場所: コミックマーケット会場内東4ホールガレリア側(救護室横) コミックマーケット購入特典として、イラストレーター・ごとうじゅんじ氏の桂言葉描き下ろしペーパーを配布予定。 Facebookページにてカウントダウン実施中!!! http://facebook.gwbg.ws/manga0810