堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」(前編)

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 モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第15回のゲストは、『まな板の上の鯉、正論を吐く』(洋泉社)など多数の著書を持つ、ホリエモンこと堀江貴文さんです! [今回のお悩み] 「ビジネスで人生を立て直せれば......」 ──初めまして! 私こういう本(『アイドル墜落日記』をそっと出し)を出しているものでして......。 堀江貴文(以下、堀江) どうも。あ、洋泉社じゃないですか。僕の本(『まな板の上の鯉、正論を吐く』)と同じですね。 ──そうなんです! あの、堀江さんのブログに載った本は話題になるって聞いたんですけど、別にこの本を宣伝してくれ、とかの圧力ではないんで! 本当に! でも、意外といい本みたいで、けっこう売れたんですぅー! 堀江 はぁ......(興味なさそうに)。 ──......堀江さんも小説を書かれて、もうじき発売だと聞いたんですが、どうして小説を書こうと思われたんですか? 堀江 いや、なんか単純にノンフィクションで普通に書籍出して、1番売れても30万、40万部くらいしかいかないけど、小説は100万部いっちゃったりするから。100万部行くためには小説しかないかなぁ、と思って。 ──ぐは! ......私の本と桁が違いすぎました。話盛ってすみませんでした。そんなには売れてないです。 堀江 こういうのは、いくら頑張って書いてもそんなもんですよね。 ──はい......。あ、本と言えば、漫画なんですけど、鈴木みそさんの『限界集落温泉』(エンターブレイン)の帯を書かれていましたね。私も鈴木先生の漫画は前作の『銭』(同)から好きなんです! 面白いですよね! 堀江 僕は昔から好きだったわけじゃないよ。友達からたまたま『銭』っていうマンガを紹介されて、たまたまそれをブログに書いたら大ヒットしたっていうだけの話であって、『銭』は、正直そこまで面白いとは思わなかったんすよ。『限界集落温泉』は面白かったですけど。 ──あ、そうなんですか......。私は『限界集落温泉』に出てくる、集落に自殺しに来た、ちょっと頭がイタタなネットアイドルが好きで......。ああいう病んだ人が回復していく話は、「なるほど、自分も持ち直さねば」と感情移入しちゃいます。 堀江 感情移入ね(笑)。 ──なので、今日はダメなアイドルでもなんとか立て直せるビジネス的なものを伝授いただけないかと......。 堀江 えっ......1番ありがちなパターンなんですよ、その質問。そういう人が多すぎて。 ──面倒くさいのは承知の上ですが、なんとか! 堀江 昔、よく、株とかFXとかそういう系統のギャラが良さそうな対談の仕事とか、そういうのがあれば行けば? ってアイドルの人には言ってたんですけど、僕の周りの人はあまりそういう方向性には行かなかったんです。まあ、僕がアドバイスした人たちじゃない人が既にそこに活路を見出して、あらかた狩り尽くされて、定番の人が一杯いますよね。みんながそこそこ興味を持つ、例えばゴルフが好きなアイドルとか、そういう一定のポジションをキープしながら、上手く食いつないでいくとか。あと、良くありがちなのは、化粧品を出す。でも、化粧品も相当狩り尽くされているかな。 ──狩り場はどこも焼け野原ですね......。 堀江 僕の周りに来るちょっと可愛い女の子って、みんなビジネスに興味がある。「昔、ちょっと売れてて、今はビジネスやりたいんです」っていう人がたくさんいるんで。そういう人いるじゃないですか、いっぱい。 ──います、というか今の私がまさにソレですかね。売れてはいないけど。堀江さんが見た中で、ビジネスに失敗してダメになる人って、どういうタイプですか? 堀江 金持ちに囲われているか、実家が金持ちの人じゃないですか? ──すでに生活に余裕があるからですかね。 堀江 余裕があるところでは努力をしないというか。親が金持ちだと努力する必要ないんで、何もやんないですよね。好きな仕事だけして、仕事がだんだん無くなっていって、ついには事務所を干されて、誰かと結婚しちゃったり、ずっとだらだらフリーターで親のスネ噛って生きてまーす、みたいな子。だけど、贅沢はずっとしてまーすって子はゴロゴロいますよ。 ──なんですか、その羨ましい人生は! 堀江 ああ、そうですか? ──私みたいに貧乏でイジメられたり生活に困ったりを経験しないと、性格も大らかで人を妬んだりせずに生きて行けそうじゃないですか。羨ましいですよ! 堀江 家がお金持ちの子、僕いっぱい知り合いがいるけど、みんな、ブチブチ文句を言いながら、毎日高級レストランで食事をしたり、夜遅くまで飲んでいたりしていますよ。 ──親にも愛されてたり、モテてたりもするんで不自由してなさそうですよね。 堀江 確かに親に愛されて、不自由してないですね。それか、彼氏がお金持ちとかそういう子もいっぱいいますよね。 ──おお......。今のところ、お金持ちの彼氏も、金持ちの実家も、金持ちな愛人もいないんですけども......。 堀江 そういう人はもう、努力しかないですよ(キッパリ)。 ──ですよねー......。現状、アイドル仕事もそんなにっていうか、ほとんどないので、ライターの仕事を頑張っているんですけれども......。 堀江 そもそも、ライターっていうのが伝統的に儲かる職業じゃないから。どちらかというと社会の最底辺(きっぱり)。 ──私は社会の最底辺に夢を見ているの......?  堀江 中には派手にのし上がっている人がいるからじゃないですか? ──そうなのかな......こう......アイドルを始めた頃は、将来的なプランも全くなくて、こう、ほわわんほわわんって頭の上に雲が湧くようにイメージしてたのが、グラビアアイドルになって、いつかフォトエッセイとか出せたらいいなぁー、とか思ってて......あれ? 涙が。 堀江 それ、相当ほわほわですね。 ──16~17歳の女子の頭の中なんてそんなもんですよ! そして気づいたらライターの修行を始めていました。私の人生これで良かったと思っていたけれど、おかしいな、堀江さんと話していたらなんだか悲しくなってきました! (中編につづく/取材・文=小明) ●堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年、福岡県生まれ。実業家。株式会社ライブドア代表取締役社長CEO時代にプロ野球球団、ラジオ局の買収を表明するなどして脚光を浴びる。06年、証取法違反で逮捕・起訴され現在上告中。『まな板の上の鯉、正論を吐く』(洋泉社)ほか著書多数。 ●小明(あかり) 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
まな板の上の鯉、正論を吐く 「拝金」も絶好調。 amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」(後編)

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前編はこちらから 稲川 私、ふっと思ったのよ。私はあれこれ物を集めるのが好きなんだけれども、考えたらもう使う時間がないじゃない? あと何回ご飯を食べるのかなって思ったの。私そんなに沢山ご飯食べないからさ、酒は飲むけど。だから、最近、そういった意味での恐怖はなくなったな。あちらと仲良くなったっていうのではなく、認めているからでしょうね。 ──霊と共存!? でも、そんなに霊的なものと日常的に接していたら、向こうに連れて行かれてしまうかも! という恐怖はなかったんですか? 稲川 それはないけれども、その瞬間の恐怖で逝っちゃうかもしれないね。私、実際に見ているから、若い頃に切れちゃった人。怖いよ、これはもう。その女性は未だに病院から出てきていないし。治らないんだもの。 ──うわぁ、体だけ残して頭が向こうに!? それも怖いですねぇ。それが一番怖いパターンかもしれませんね......。 稲川 私もそうとう怖い目に遭って、私生活でも何でもしょっちゃってるからねぇ。それがあるんだろうな、きっと。居直ってるわけじゃないけど、1番怖いものがあって、それだけは辛いものがありますよ。自分の中で。 ──稲川さんの1番怖いものですか?  稲川 自分の身内関係だけれども、私は「自分の子どもを殺そうか」と思った時の自分が、一番怖かったもの。 ──稲川さんは息子さんに障害があって、バリアフリーの講演も行ってらっしゃるんですよね。人間が精神的に追い詰められた時の頭の中って、霊的な怖さとは比較出来ないものですよね。 稲川 そう。うちの親父は長野の田舎の生まれで、真っ暗な山の中で暮らしてたんだけど、たまたま親父一人しかいないときに自分の母親、私のおばあちゃんの具合が悪くなって、「病院に行かなくちゃ!」って時は、普段は怖いお墓もぜんぜん怖くなかったって言ってたもの。「お母さんが死んじゃう!」と思って走っていくから、そんなもの怖くないって。人間そんなもんなんですよ。怖いものを怖いと思ううちは、まだゆとりがあるんですよ。怖いと思うことが教育だったりするわけだ。 ──なるほど、怖さを教えることも教育の一部だから、怪談がこんなに根付いてるのかな。 稲川 普段は言わないけど、怪談話の根底にあるものは日本の文化で、そこから教えられることも沢山あるわけだ。例えば、夕方になって子どもたちを帰す時に、「カラスが鳴くから帰ろう」って、あるでしょ。それで、「帰らなかったら河童の子どもに水に引きずり込まれちゃうよ」って話があるんですよ。どこかに行くと爺さんが話してくれたもんだ。で、「俺は子どものときカラスが鳴いても帰らなかったら、河童の子どもと遊んだ」って言う爺さんがいるんですよ。要するに、カラスが鳴いて帰っても、まだ日は出ていて遊べるわけだ。「カラスが鳴くから帰ろう」って言って子どもが帰った後、障害のある子が遊ぶんですよ。影になって、あんまり人から見られないからね。障害がある子どもに時間をあげてるんです。優しさですよ。日本の話の根底ってそういう優しいものが沢山あって、怪談も成り立つんです。 ──あの歌にそんな意味があったなんて......! そうですよね、怖いだけじゃなくて、どこかに温かみがあるのが怪談っていうイメージです。 稲川 そう、怪談には温かみがあるからね。日本が持っている『ホラー』ではない『恐怖』っていうのは、見ようによっては幸せなこと、優しいことが、ちょっと角度を変えるだけで急に怖くなったりするわけですよ。だって、ただ怖いだけだったら、現実の方がもっと怖いって言う人もいるね。そりゃ現実は怖いよ。でも、一緒にしちゃいけないんだよ。怪談は怖いだけではつまらない。怖楽しい、怖面白いから人気があるんだ。ところが、現実の事件は楽しめないじゃないですか。 ──びっくりする猟奇殺人とかありますもんね......。 稲川 ただ怖いだけじゃ、恐怖とは言わないんですよ。私は、昔、事件があった場所の写真とかを警察に見せてもらったりしてたわけ。あ、もちろん今はダメですよ? それで、よく身体がバラバラになっている奴とかあるけれど、アレ、みんな写真は見たことないじゃない? すごいんだから、新聞は抑えているけどね。首切ったのが写ってる写真と......本当は言えないんだけれど、切り刻んであったり、女性の下腹部をズタズタに切ってあったり、えぐってあったりして。目をえぐっているのもあったしね。 ──うわぁ......。 稲川 現実の事件は怪談と違って救いようがないの。例えば怪談話を聞いた後、幽霊を見たとするじゃない? 「わああああああああ!」ってなっても、15分くらい経って「寿司くいに行く?」って聞くと結構ついてくる。酒飲んで、「さっき怖かったねぇ!」なんて言って。 ──幽霊を肴に酒盛りできる! 稲川 ね。でもさ、その事件の写真とか見ちゃうとさ、寿司とか行ったって......。 ──無理無理無理! 稲川 イタ飯とかでも、「今ケチャップ無理だよ......」とか思わない? ──無理です! ケチャップ無理です! 稲川 そういうことなのよ、だから私が違うんだって言うところは、そこなのよ。 ──稲川さんの新しいDVD『稲川淳二のねむれない怪談 オールスターズ』でも、小説家の岩井志麻子さんの「私の友達は人殺しかもしれない」っていうお話はそっち寄りでしたよね。霊じゃなくて、人間の怖さ。 稲川 岩井さんが言っている現実の怖さは、もっと人間のどろどろしたところだよね。人間の執念っておかしいんですよ。大体そういうことやる奴は普通じゃないんだもの。人間って絶対に自分をセーブするから。昔、催眠術っていうのを少し覚えて、小さい子どもにかけたらかかったの。「これイケるかなぁ?」と思って、大きな声じゃ言えないんだけど、知り合いを呼んで催眠術かけて「金あげるから女房殺してくれ」ってかけたのよ。 ──えええええ!! 稲川 うん、殺せなかったわ、やっぱり。 ──当たり前です! 恐ろしいことサラッと言いましたね。 稲川 死ななかったねぇ、見に帰ってやろうと思ってたのにねぇ。 ──別居、長いですからね......。えっと、稲川さんが怪談を話すミステリーツアーも、もうすぐ始まりますね! もう何年目ですか?  稲川 全国ツアーは今年で18年。その前にもぽつんぽつんとやってはいたんですよ。それでやったお寺には凄い人が来てくれてね。で、自分の親父の葬式のとき、もう20年くらい前なんだけれど、葬儀屋さんが来たらその時のこと覚えているんだよね。「稲川さん? ダメ! あの人、たくさん人が来すぎて騒ぎになるから!」って。違うだろ! それは怪談の際だろ! って(笑)。 ──あはは! 稲川 ツアーでも何でもそうなんだけど、一番根本の大事なものっていうのは、大勢の方が待っててくれていて今年18年目になるけれども、いっつも来てくれる人がいて、お子さんが大きくなったりしているんだもの。それって今の殺伐としている時代に、優しいな、と思うんですよ。怪談は面白いですよ。こうやって皆で集まる形ってないじゃないですか。コレが楽しいからやってるんですよ。怪談を人に無理強いもしたくないし、居るとか居ないって話も嫌だし、「あんたこれ聞きなさいよ」っていうのも嫌だし、好きな人が楽しめば、それでいいと思うんですよ。うん、それがずーっといってくれて、今、私が話す話なんかを、誰かが覚えてくれていたりすれば、また、私が逝っちゃった後、誰かが話してくれたらうれしいなぁと思いますよ。 ──よーし、私もしゃべり下手を直して次世代に怪談を口承すべく、早速ものまねに励みます! ありがとうございました! 怖いな怖いな~! (取材・文=小明) ●稲川淳二(いながわ・じゅんじ) 1947年、東京都生まれ。工業デザイナーを経て、76年に芸能界デビュー。特異なキャラクターと卓越した話術で、舞台、テレビなどで活躍中。7月7日にDVD『稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ1&2』(キングレコード)が発売。 ●小明(あかり) 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ1 夏といえば、海かナンパか淳二です。 amazon_associate_logo.jpg
稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ2 もしくは、花火かスイカか淳二です。 amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」(前編)

akariinagawa001.jpg  モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第14回のゲストは、7月7日に発売されたDVD『稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ』にご出演の稲川淳二さんです! [今回のお悩み] 「うまくしゃべれません......」 ──初めまして! 『稲川淳二のねむれない怪談 オールスターズ』、面白かったです! さっそく相談なんですけど、私は稲川さんと違ってしゃべるのが不得意で......。 稲川淳二(以下、稲川) あ~大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫、お話しできてますよ。大丈夫です。 ──えっ......まだ会って2分も経ってないですよ! 稲川 何をおっしゃってるんですか、うまいじゃないですか。ちゃんとあなたが言っていることが分かるし......(にこやかに)。 ──本当ですか? っていうか、それ、ハードル低すぎますよ! 私、しゃべっている途中で相手の人が「あっ、飽きてきてる」とか「マズイ、退屈している」とか「今のがオチだったんだけど流された......」とか、そう感じることがすごく多くって。怪談マエストロの稲川さんに、聞き手に飽きさせずに面白く話し切るコツを教えていただきたくて......。 稲川 大丈夫ですよ、ちゃんとしゃべれてますから。結構プロなんだよ、それ。『オチ』を意識するって言うのは素人さんはできないから、偉いですよ。私も、たまーに文化的な番組に呼んでもらって、出演者の人が怪談の話をしたりするでしょ。そこで困っちゃうのが、「そんなの誰でも知ってる話じゃない?」って話。分かるでしょ? 例えば病院の前でタクシーが通る、そこには女が立っていて......って、よくある話じゃないですか。オチも分かれば、振り方まで分かっちゃう。それが出ちゃうと、「弱ったな~」と思うわけですよ。そんなので「うまいですね~」とか言おうものなら、「稲川はそんなもんで感動してんのか」ですよ。辛いものがあるじゃない......。だから「どんな顔で受けようかな~」と思うんですよ。考えたふりして黙っちゃうけどね(笑)。 ──なるほど、自分は面白い話をしているつもりでも聞き手にプレッシャーを与えている恐れもありますね......! 既出ネタには気をつけなければ! あと、あの、申し訳ないことに、私、小さい時からずっと稲川さん原作の漫画を読んだり、夏休みには姉と稲川さんのビデオを借りに行ったりしてたのに、稲川さんがデザイナーさんだと、大人になるまで全く知らなくて......。夏になると怖い話を持ってきてくれる、サンタクロース的な存在だと思ってたんです。 稲川 良いこと言ってくれますねぇ。妖怪って言われなくてよかったなぁ(笑)。 ──あはは! そこでまた相談なんですけども、実家に霊が出るんです。姉も私も金縛りや霊体験に遭って、良くベッドで足を掴まれたり振り回されたりしました。 稲川 いくつくらいの時? ──二人とも、小学生の時ですね。 稲川 大体そういう人ってさ、芸術の才があるとか、頭が良いとかあるでしょ。 ──あ、私は残念な感じですけど、姉は成績はいつも上位で絵描きになりました。 稲川 ああ、やっぱりね。不思議なんだけど、子どもの時に「踏んだ」とか「飛んだ」とか「足引っ張られた」とか言う人は、大概、芸術家が多いんだよね。音楽とか。 ──そう考えると、子どもの頃の霊体験もなんだか縁起がいいや! でも、何故? 稲川 だってさ、違うんだ、世界が全然。じゃあ、あんたなんでそんなに絵が上手いの?  なんでそんなに体操が出来るの? 曲作れるの? って言われたら困るでしょ。だって、出来るんだから。一緒なんですよ、霊が見えるのと。才能が近いの。 ──なるほど! でも、それだけじゃなくって、ある日、金縛りから自分がスーっと浮いて、壁や屋根を抜けて、飛べるようになったんです。幽体離脱だと思うんですけど、違法な薬なんかに頼らなくても、こんなに楽しいことができるんだ! と感動して。でもある日、幽体離脱中に黒いクネクネした人に捕まって振り回されて「死ぬ!」と思って戻って以来、怖くて肉体から抜けづらいんです。どうすればまた出来るのかな、と......。 稲川 自分で出来るってすごいよ。不思議だねぇ。そういう世界に入ってしまうと、最後は自分の命を縮めてしまうものねぇ。  ──えっ、死んじゃうんですか? 稲川 うん、そうなっちゃうよね(あっさりと)。あれ、波があるものね。大人になっちゃうと出来なくなる。続けていたら早死にするよ。人間の身体っていうのは、いつも100パーセント元気ではないんだよね。100パーセント元気っていうのは本当に危なくてね。人が亡くなる前に妙に勘が冴えたりするし、凄い人間の力が上がったりするでしょ? あれと同じですよ。冴えてきて、回転が上がってきたら、そういう人、危ないですよ。 ──なんてこった、もう止めます! お祓いとかに行こうかな......。 稲川 きっと相当強い感性、感覚をもってるんだよ。でも、霊を見るって悪くないことだよ。昔、歌舞伎の世界で「幽霊を見ると出世する」っていう言葉があったの。これは「幽霊が見えるほどの感性がなかったら芸能人になれませんよ」って意味なんだろうね。 ──なるほど、そう思うと霊を見るのも悪くないかも! でも、私、目を開けて、ものすごく怖いものがあったら嫌だから、金縛りにあったり気配を感じたりしても、絶対に目を開けたり、意識して見たりしないんですよ。トラウマになりそうだし......。 稲川 そこが日本人の頭の良いところ。アメリカ人に言わせたら、そんなことは絶対にないよ。向こうは襲ってくるのが怖いんだから。我々は「誰もいないはずの2階から、トントン降りてくる音がするなぁ......」って怖さじゃない。これがアメリカ人ならトントンと音がした時点で「誰?」って探すわけ。音がしたら「何で音がするんだろー?」になっちゃう。だから襲わなくちゃダメなんですよ。その辺が『ホラー』と『怪談』の違いかな。『怪談』は感性があるんですよ。  ──チキンなんで、わざわざ襲われに確認しに行きたくないです......。今も実家に帰ると私の寝ていた部屋から足音がするんですよ。誰もいないのに。 稲川 大丈夫ですよ、心配ない。私のところもいつもそうだもの。スリッパの時もあるもの。ぺったんぺったんと。だからコレを知らない人間が来ていたら、そいつは「えっ」って止まるよ。2人しかいないのに音がするんだもの。誰か来たとか思うんだけれども誰もいないんだ。でも、ギッギッギッギ......とかカタン......って音がするよ。 ──怖くないんですか? 稲川 不思議なものなんだけど、50代半ばまでは怖かった。怖いのが分からないと怖いものが書けないから、怖くなくちゃつまんない。でも、60代になってからは怖さがなくなったんだよね。もちろん怖いところにも行くけど、対処できる。 ──けっこう最近まで怖かったんですね! それは、慣れみたいなものですか? 稲川 いや、それもあるでしょうけど......自分がだんだんと近づいているからじゃない? あちらの方にさ。 ──ひー! やめて下さい! (後編につづく/取材・文=小明) ●稲川淳二(いながわ・じゅんじ) 1947年、東京都生まれ。工業デザイナーを経て、76年に芸能界デビュー。特異なキャラクターと卓越した話術で、舞台、テレビなどで活躍中。7月7日にDVD『稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ1&2』(キングレコード)が発売。 ●小明(あかり) 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ1 夏といえば、海かナンパか淳二です。 amazon_associate_logo.jpg
稲川淳二のねむれない怪談オールスターズ2 もしくは、花火かスイカか淳二です。 amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

世代を超えて愛される地上最速ホビー「ミニ四駆」今昔物語

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改造という言葉をミニ四駆で知りました。
 アナログとデジタルの過渡期であった1980年代。WiiもPS3もなかったけれど、ジャンクでチープなおもちゃがあふれていた。足りない技術を想像力で補い、夢中になって集めた「キン消し」「ミニ四駆」「ビックリマンシール」......。なつかしいおもちゃたちの現在の姿を探る!  「行け!」と言えばグワシ! と前進し、「曲がれ!」と言えばギューン! と曲がる。ホッケースティックみたいな「アレ」でマシンの動きを制御して、僕たちは地平線の彼方を目指して走り続けていた......。  これだけで「ピン!」と来た御仁も多いだろう。そう、これぞ80年代が生んだ地上最速のホビー。タミヤ(当時・田宮模型)のミニ四駆だ! 単三電池2本、スナップフィット(はめ込み式)のお手軽キット、創意工夫次第でいくらでもパワーアップさせることのできる自由度。そしてただ速いだけでは勝ち残れないレースの奥深さ! 今回はそんな手のひらサイズのレーシングマシン、ミニ四駆の今昔物語をお送りしよう。 ■レーサーミニ四駆誕生前夜  ミニ四駆が産声を上げたのは1980年代初頭のこと。当時、プラモデルの精密度は年々高まり、子どものおもちゃから大人向けのホビーに成長しつつあった。そんななかでスタートしたミニ四駆開発の発端は、「リアルな模型の追求も大事だが、もっと気楽に作れる模型も欲しい!」というタミヤ社長(現会長)・田宮俊作氏の思いだった。かくして82年「『もっと気楽に』『子どもでも作れる』四輪駆動の模型」というコンセプトの元、当時人気の実車フォード・レインジャー4×4、シボレー・シビック4×4をモデルとした四輪駆動スケールモデル「ミニ四駆」が世に誕生した。 「出発点は当時RCカーを買えなかった子どもたちのためのプラモデルというイメージでした」  このように語るのは、現在もミニ四駆イベントに携わるタミヤスタッフ・A氏(以下・A氏)。アニメ作家・大塚康生監修による当時の人気RCカー「ワイルド・ウイリス」を手のひらサイズにダウンサイジングした「ワイルド・ウイリスJr.」は、RCカーに手が届かなかった子どもたちの間に広く受け入れられた。やがて子どもたちから「もっと速く走らせたい」という声が上がり始め、それに応える形で86年、新しいミニ四駆「レーサーミニ四駆」が誕生する。シャーシ(モーターやシャフトなどを搭載する車体部分)を再設計し、スピードレース仕様となったレーサーミニ四駆。そのモチーフとなったのは、ホットショットやホーネットといった当時の人気オフロードRCカーだ。 「実際にレース志向のものを出したところ、子どもたちの食い付きがすごかったですね。やっぱり男子って誰しもそうですけど、速いものが好きなんですよね(笑)」(A氏)  男子のハートをがっちり掴んだレーサーミニ四駆は、発売の翌年には累計1000万キットの売上を記録。瞬く間にスーパーヒット商品となった。
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全盛期の公式大会画像。子どもたちの目も真剣そのもの。
 また、タミヤは小学館との共催で「コロコログランプリ」というRCカーのイベントを定期的に開催していたが、ここでミニ四駆用のサーキットも設置。ここで、子どもたちは創意工夫を凝らした改造を施したミニ四駆を持ち寄ってレースに勤しんでいた。これを見てタミヤは性能を上げるための「グレードアップ・パーツ」の発売を開始。ミニ四駆に「作る楽しさ」「走らせる楽しさ」、さらに「改造する楽しさ」が加わったのだ。 ■ミニ四駆フィーバーに沸いた80年代末   ここから破竹の快進撃が始まる。  87年末に、小学生向け漫画雑誌「コロコロコミック」(小学館)で、ミニ四駆漫画『ダッシュ!四駆郎』の連載がスタート。88年夏にはミニ四駆全国選手権大会「ジャパンカップ」が日本全国各地で開催。タミヤ社員が扮する「前ちゃん」、「ミニ四ファイター」といったキャラクターの人気もあって、累計5万3000人もの動員を記録。この現象に日本のメディアのみならず、アメリカのCNNからも取材陣がかけつけるほどの話題を振りまいた。 「当時はデパートの屋上とかで大会をやったのですが、ある場所では行列がデパートの周りで収まらず、地下鉄の駅まで伸びて、それがそのまま隣の駅まで伸びていたそうです。それだけでなく、デパートの飲食店街から軒並み食べ物が消えたっていう話もあるんですよ」(A氏)  かくしてレーサーミニ四駆は、90年には累計5000万キットを売り上げる。80年代末期はミニ四駆黄金期と言っても過言ではなかった。この時期が世に言う「第一次ミニ四駆ブーム」である。 ■ミニ四駆PROで甦る懐かしのマシン
みんなのヒーロー・ミニ四ファイター。実は
途中で2代目に交代していたのを知ってる!?
 90年代に入り、ブームの中核を担っていた小中学生が成長したことで、一旦ブームは沈静化するも、レーサーミニ四駆に続く新シリーズ「フルカウルミニ四駆」が第一次ブームを知らない小学生にヒット。それを受けて始まった漫画『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』は、メインターゲットの小中学生の間で大人気となるが、その登場キャラクターはいわゆる「腐女子」層にもがっつりブレイク。キャラクターグッズとしてもミニ四駆が受け入れられ、第二次ミニ四駆ブームが到来した。  その後、90年代末には再びブームは沈静化。新商品のリリースペースは落ちたものの、タミヤは2000年以降も公式イベントは地道に開催し続けていた。A氏は「この時期に一過性のホビーから、国民的ホビーとして定着し始めた」と回顧する。 「05年に新たなミニ四駆としてミニ四駆PROを発売したのですが、これまでは参加資格が中学生までに限られていた公式大会に大人でも参加出来るクラスを用意しました。すると、80年代当時にミニ四駆を楽しんでいた大学生や社会人の方が「洒落でやってみようぜ」と、同世代の仲間を連れて参加してくれるようになったんです。」(A氏)  ちなみに現在、ミニ四駆レースで主流となっているミニ四駆PROでは新しいデザインのマシンもリリースされているが、冒頭で紹介したホットショットJr.やエンペラーといったかつての人気マシンをリメイクしたモデルの人気も高いのだそうだ。 ■ミニ四駆が誘う、奥深い「技術」の世界 現在のブームはかつてミニ四駆で遊んでいた第一次ブーム世代の親とその子どもたち、そして現在社会人となった第二次ブーム世代が支えていると言える。小中学生が中核を担っていたかつてとは違い、非常に幅広い世代から愛されているのが「第三次ブーム」の特徴だ。  今やミニ四駆は世代を超えた、一つのホビーとして確立し始めている。
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大会に参加する親子三代チーム。もちろんおじ
いちゃんもミニ四レーサーだ!
 08年に新橋にオープンした「タミヤプラモデルファクトリー新橋店」の大型サーキットには、仕事を終えたスーツ姿のサラリーマンたちが集い、仕事帰りの麻雀ならぬレースに興じている。定期的に行われている公式レース大会では、年端もいかない少年少女から還暦を迎えるおじいちゃんまでが「ミニ四駆」というマシンを通じてコミュニケーションを重ねている。彼らは愛車に創意工夫をこらした改造を施し、レースの勝敗に一喜一憂している。筆者はそこに、日本人が古来より持っている「技術信仰」の表れを見たような気がした。 「先日、小惑星探査機「はやぶさ」が戻ってきて、日本全体がものすごく盛り上がりましたよね? ミニ四駆は、そういう最先端技術には追いついていないかもしれないけど、「技術」に触れている時の高揚感を体験できる最小のホビーだと考えています。そして『俺のマシンは最速かもしれない。これならいけるかもしれない』っていう気持ちを持って、コースの前に立ってガクガク足を震わせている子どもたち。少年時代にこの気持ちを体験できるのは素晴らしいと思うんです」(A氏)  05年には販売累計台数が1億7000万台を突破したミニ四駆は現在、「レーサーミニ四駆」、「スーパーミニ四駆」、「フルカウルミニ四駆」、「ミニ四駆PRO」、「エアロミニ四駆」、「マイティミニ四駆」など様々なシリーズが展開。07年にはタイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ロシア、日本の代表がワールドチャンピオンの座を争う世界大会「ミニ四駆マグナムGP ワールドチャンピオン戦」が91年以来16年ぶりに開催されるなど、いまやミニ四駆熱はワールドクラス。技術立国「日本」の生み出した地上最速のホビーは、すさまじいスピードで世界中を駆け抜けている。  ミニ四駆を通じて、言語も人種も異なる世界中のミニ四レーサーが繋がることができたら......、ちょっとだけ素敵なことじゃないだろうか。  miniyonku07.jpg ■特別企画! 「ミニ四駆GP2010」レポート in 浅草ROX  6月12日、13日に浅草ROXにてミニ四駆の公式大会が開催される! ということで、13日の取材に行ってみた。オープンクラス(年齢、ホイールサイズなどの制限なし)、大径タイヤ限定クラスという2つのクラスが同時に開催されるということもあり、老若男女問わず幅広いミニ四レーサーが集い、丁々発止の白熱レースを繰り広げた。  会場には、熱気ムンムンのホビー少年&少女やベテランレーサーのみならず、お弁当片手に来場した父子や親子三代で参加するホビー一家、10年来の美人過ぎる女性ミニ四駆ファン、地方から駆け付けた夫婦など、バラエティに富んだ参加者がズラリ。実に500人以上もの来場者を記録した。写真から会場の盛り上がりを少しでも感じていていただければ幸いである。 (取材/文=有田シュン[n3o])
ミニ四駆限定 レーサーミニ四駆 メモリアルBOX1 『ダッシュ!四駆郎』ファン、垂涎必至。 amazon_associate_logo.jpg
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ギャグと言うより、下ネタ合戦!?『ギャグ漫画家大喜利バトル!!』予選大会に潜入!

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本選では万年初戦敗退のピョコタン氏(右)。
 ギャグ漫画家と言えば、あまり人前には出ず、家でシコシコとペンを動かして作品作り。同じ"ギャグ"でも、芸人と違って人前慣れはしていなさそう。そんなギャグ漫画家のイメージをくつがえすようなイベント『ギャグ漫画家大喜利バトル!!』が、2008年より毎年開催されている。  今年で三回目を迎える『ギャグ漫画家大喜利バトル!!』は、初回からギャグ漫画家のおおひなたごうさんが主催。日々、ギャグの腕を漫画に込めている漫画家たちが一堂に会し、1対1のトーナメント方式で大喜利バトルを繰り広げる大会だ。観客の前で、時間制限付きで秀逸なネタを思いつかなければならないため、出場者たちにかかるプレッシャーは最高潮。7月22日に行われる本選に先駆けて、6月末に執り行われた予選大会に潜入してきた。この大会で優勝すれば、大阪にて開催される『第三回ギャグ漫画家大喜利バトル!!』への出場権を獲得できるそうだ。  予選出場者は、主催のピョコタンの他に、ニシムラマコジ、町田とし子、宮下拓也、堀道広、曽山一寿、見ル野栄司、大ハシ正ヤの8名。  そして、実況・解説は、本選主催のおおひなたごう氏、漫画家の西原理恵子氏、高須クリニック院長の高須克弥氏。
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なぜか高須先生まで解説に加わった。
 出場者が入場し、それぞれ心境を問われると「もう早く終わらせて帰りたいです」、「僕が出場していいんでしょうか」などと皆一様に後ろ向き。ギャグ漫画家としてのプライドを疑いたくなる発言も、極度の緊張ゆえか。  ルールは、出されたお題に対し、いかに面白い回答ができるかを1対1で競う、というもの。回答は、用意されているスケッチブックにマジックペンで絵、または字を書いて発表。その回答を、審判員が0点~4点までで採点し、10分の制限時間内に10点先取した方が勝利(時間切れの場合は得点の多い方が勝利/決勝戦は15点先取)。高得点を狙って、時間をかけてヒネった回答を出すか、数打ちゃ当たる、と駄作覚悟でどんどん回答してコツコツ点を取るかが悩みどころだろう。  そしていよいよバトル開始。初戦はニシムラマコジvs.町田とし子。どちらも緊張しているのか、パンチの効いた回答がなかなか出ない。両者、地道に点数を重ね、制限時間も折り返し地点にやってきたところで、町田とし子が『秋ナスは嫁に食わすな、と言いますが、では、夏ミカンは?』というお題に対し、「夏ミカンはケツに挟むな」と回答。プリッとしたお尻に夏ミカンが埋まった絵で一気に会場を沸かす。実況の西原氏は、「やっぱり下ネタよね!」と俄然テンションが上がったようだ。とは言え、下ネタを言っておけばいい、という話でもないようで、ニシムラマコジの「夏ミカンは股間に入れてもすぐばれる」といういささか行き過ぎた回答に、会場はややシラけてしまう。このまま町田とし子が逃げ切り、一次予選を突破した。
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 その他の予選も、緊張なのか戦略なのか、少々パンチの足りない回答で細かく点を稼ぐ姿勢が目立つ。そして、決勝に残ったのは、下ネタの連発で這い上がってきたピョコタン、安定したネタで着実に上りつめた見ル野栄司の戦いだ。ピョコタンは本選で万年初戦敗退とは先述の通りだが、実は見ル野栄司もそのひとり。因縁の対決である。  「下ネタ期待してるよ~」と煽る西原氏に触発されてか、ピョコタンは『漫画が生まれた頃にはあったけど、結局使いづらいから使われなくなった効果線、それはどんな線?』というお題に対し、「チ○コを地面から引っこ抜くときに使う線」、「春になって、野生のチ○コが芽を出すときの線」などと決勝でも次々に下ネタを連発。しかし、相次ぐチ○コネタに審査員もウンザリしてきたのか、なかなか点数は伸びない。
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見事、本大会への切符を掴んだ見ル野栄司氏
(写真中央)。
 一方、見ル野栄司は『ジョージ・ワシントンが桜の木の枝を折る以外に働いていた悪事とは?』のお題に、「父の鼻をもぐ」、「授業中にフリスクを食べていた」など、淡々と点を稼いでいく。  ヒジをマジックの跡だらけにして描きまくり、焦るピョコタンだが、ついには見ル野に6対12とダブルスコアの差をつけられてしまった。その後も、目を回しながら矢継ぎ早に回答するも、『矢沢永吉のライブではタオルが定番ですが、矢沢B吉のライブでは何が定番?』のお題に、「タンポン」と答えるピョコタン。これにはさすがの西原氏も、「お前帰れよ(笑)」と辛辣なツッコミを入れていた。西原さん、あなたあれだけ下ネタにキャッキャしていたのに......。  そして、このままの流れで、バトルを制したのは見ル野栄司。個人的には、パニックになりながら小学生のごとく下ネタをかますピョコタンに、母性本能がくすぐられてしまったのだが、負けは負け。予選をしのぐ壮絶なバトルが期待できる本選『第三回 ギャグ漫画家大喜利バトル!!』は7月22日、大阪のワッハホールにて。チケット購入の詳細は公式HPをチェックされたし。 (取材・文=朝井麻由美) 「ギャグ漫画家大喜利バトル」公式HP<http://project-max.com/ogiri/>
ギャグ漫画家大喜利バトル!! 今年の"大喜利キング"の称号は誰の手に? amazon_associate_logo.jpg
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プロインタビュアー吉田豪×元AVクイーン穂花

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 そのインタビューの巧みさを、松尾スズキが「言葉の風俗嬢」と喩えたことがある。日本で恐らく唯一、プロインタビュアーにしてプロ書評家という肩書を持ち、「現在のサブカル界最重要人物」と目される男、吉田豪。彼の地上波初の冠番組が7月6日にスタートする。タイトルは『プロインタビュアー吉田豪の元○○な人々』(関西テレビ)。  ゲストの一人、元AVクイーン穂花(ほのか)は、今年1月に自叙伝『籠』(主婦の友社)を上梓。幼少時の誘拐や性的虐待を赤裸々に告白した同書を、吉田は書評などで絶賛している。控室で、収録を終えたばかりの2人を直撃した。 ──元モーニング娘。の加護亜依さんや元X JAPANのベーシストTAIJIさんなど、ゲストは全部で6人いらっしゃいますね。 吉田豪(以下、吉田) 人選会議を何度かしましたが、ダメだった人も何人かいて(笑)。田代まさしさんとか、久々に地上波解禁行きましょうよって言ったんですがダメでしたね。実現性のある面白い人を探しましょうという流れになりました。 穂花 (笑)。 ──穂花さんをゲストに招かれた理由は、今年発売された自叙伝『籠』の印象が強かったからでしょうか。 吉田 それに尽きますね。雑誌に書評を書いて、ラジオでも喋りました。ただ一つ誤解があって、僕が『何度も叫びました』って言ったのをアナウンサーの人が『何度も泣いたそうです』って。泣いてはいないんだけどなぁ。 穂花 そう、それを聞いて泣いたんだなぁと思って(笑)。 吉田 泣いてはないです。シャウトです。「なんでーーー!」って。 ──吉田さんの書評を読んで興味を持った方も多かったようですね。 yoshidagou02.jpg 吉田 最初にツイッターでつぶやいたんですけど、ツイッターで僕があんなに商売に影響を与えた瞬間は初めてでしたね。買った本の話とかよくするんですけど、みんなそんなに動かないんですよ。でも、彼女の本のことをつぶやいたら「僕も買った」っていう人が結構出てきて。口コミ力がすごく効く本だった。 ──衝撃が伝わりやすい本だったと......。 吉田 帯裏に書いてあることだけで、衝撃的じゃないですか。 ──番組内のインタビューで、穂花さんに一番聞いてみたかったのはどういうことでしょうか? 吉田 本の内容を知らない方に興味を持ってもらうことを前提に聞きました。彼女の場合は本でほぼ出し尽くしているし、本に書いていないことは当然書きたくない事情があるのだろうし、言いたくないなら踏み込まないようにしようと。踏み込まなかったんですけど、ギリギリのところでやっぱりホワイトボードに「性的虐待をしたのは誰だか聞いて!」という指示が出ましたね。 穂花 そうそうそう(笑)。 吉田 でるなぁ、大人の世界はと思いながら(笑)。 穂花 「話せないです」って(笑)。 吉田 「話せないです」の一言が、テレビ的には欲しいんですよ。話せないっていうのを端から分かった上で聞かないのではなくて......。 穂花 聞いた上で「話せない」って話す。 吉田 そこが面白いですよね。ボクの本業とは違う。ひと手順加わるというか。 ──テレビはやり取りを見せないといけないと。 吉田 本業のインタビューだと、こちらからある程度エピソードをふって答えてもらうんですけど、テレビはほんのきっかけだけでいいんですよ。エピソードは全部、本人の口から喋ってる風じゃないと。前にインタビュー番組をやっていた時も、「吉田さんは何も知らない風でやってください」って言われて。 穂花 何も知らないって。 吉田 悲しい立場だなあって。 ──綿密な下調べで有名な吉田さんが......。 吉田 聞いて「ええ、そうなんですかー!」って驚かなきゃいけない。今回の番組にしても、ラジオになるかもしれないって話もあるので、服装を具体的にディテールまで話してくださいっていうのもあって。なかなかそんな(笑)。 穂花 そうですよね。今日初めましてですもんね。いつもどんなファッションだか分からないのに。 吉田 「とってもセクシーで」って言えばいいのか、「そんなにセクシー過ぎるわけでもなく」って言えばいいのか。表現しづらいじゃないですか。大変なんですよ(笑)。 ──お互いに、初対面の印象はいかがですか? 穂花 吉田さんの椅子を持って構えているプロフィール写真の印象が強かったんですけど(笑)、会ってみるとソフトな男の人だなって。もっとガツガツくるタイプなのかと思ったら、全然逆でした。 吉田 「どうですか! ここだけの話!」みたいな感じだと(笑)。 穂花 はい(笑)。リアクションにしても「ええ! まじっすかー!!」って感じだと思ったら、「ああ、そうですかー」って(笑)。 吉田 あの本読んだ後でそれできる人はいないですよ。これは傷つけちゃいけない人だって。真綿で包むようにやらなくちゃいけない。新たなトラウマを与えちゃいけないって思いますから。 穂花 あと、色が白い! honoka03.jpg 吉田 それよく言われますね。プロフィールのモノクロの写真だと陰影がくっきりついているから(笑)。 ──吉田さんは、穂花さんの印象は? 吉田 本を読んだ印象そのまんまに近いですけど、ものすごくしんどい経験をさらっと話されることが衝撃でした。何事もなかったかのように。 ──外見の印象は? 吉田 女優顔ですよね。こういう言い方って誤解を与えるかもですけど、AV感がない。 穂花 ありがとうございます。......なんて答えていいか分からないですけど(笑)。ありがとうなのかな(笑)。 吉田 ありがとうでいいのかどうか(笑)。 ──穂花さんは、自叙伝の発売からそろそろ半年が経ちますが、その後の反響はいかがですか? 穂花 ラジオ(TBSラジオ『穂花のホントだよ』)で聞いてくれたリスナーの方が買ってくれたりとか。あと、同じ境遇の女性が、「力になりました」って意見をくださって、うれしかったですね。 ──手紙やメールでですか? 穂花 ブログのコメントでも。あ、でも最近公式ブログ(穂花流ガールズトーク)が消えてしまって。アメブロに確認したら「誰かが消した」って。 吉田 ハッカー的な? 穂花 どうやってIDとパスワードを知られてしまったのか......。だからもう一回立ち上げなきゃって。 吉田 まだまだ波乱は続く感じですよね。 穂花 ちょいちょいある。またかって(笑)。 吉田 これは小さな波ですよね(笑)。 穂花 なんかちょっとかわいいじゃない、ってくらいですね(笑)。 ──『元○○な人々』の放送が始まる頃には、ブログが復活していることを願います! ありがとうございました。 (取材・文=小川たまか[プレスラボ]) ●『元○○な人々』 現在のサブカル界最重要人物! 最強のインタビュアーといわれる吉田豪の地上波初! 冠番組が実現! 数々の「元○○」な著名人をターゲットに吉田豪がディープなインタビューで迫る! "元○○"な人達の波乱万丈な人生の赤裸々告白を目撃せよ! 業界初! 関西テレビ深夜、クロージング枠を特設! 【放送】 2010年7月6日(火)START 関西テレビ 毎週火曜日~日曜日(週6日) 深夜・クロージング前枠・毎約5分 ■放送内容:1人のゲストインタビューをおよそ2週間、1回約5分×12日間に分けて放送。 全6人のゲストで、3カ月(12週間)に渡り、全72回放送予定。 ●吉田豪(よしだ・ごう) 1970年生まれ。徹底的な事前調査で知られるサブカル界随一のプロ書評家&インタビュアー。時に本人すら忘れているエピソードを持参することも。滅多にインタビューを受けることのない大物の取材を獲得することもあり、各方面から「吉田豪にならインタビューを受ける」と指名されることも多い。現在も雑誌『AERA』『B.L.T.』『BUBKA』『クイック・ジャパン』など多数の連載を抱え、20代~30代の男性を中心に人気を集めている。主な著書は『バンドライフ』『hon-nin列伝セキララなオンナたち』『人間コク宝』『吉田豪のセメント!! スーパースター列伝』『元アイドル1&2』『男気万字固め』ほか。テレビ・ラジオ出演も多数。
人間コク宝 すんげぇよ。 amazon_associate_logo.jpg
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日本唯一の"霊柩車研究家"が語る、 霊柩車の変化にみる日本人の死生観

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都内を走る東礼自動車の霊柩車。
 誰もが一度は乗るであろう、けれども、ほとんど気にかけることのない存在「霊柩車」。子どもの頃は、霊柩車が通ったら親指を隠せ! なんていう迷信をにわかに信じていたりしたが、最近では見かけることすらもほとんどなくなってしまったような気がする。そんな霊柩車を研究し続け、過去には数少ない霊柩車の専門書『The 霊柩車』(祥伝社)なる本まで上梓した経験もある庶民文化研究所所長の町田忍さんにお話をうかがった。 ――そもそも町田さんが霊柩車に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか? 「庶民文化研究所としてさまざまな文化を調べているんですが、まず銭湯について研究していたのが先でした。20年以上前になるんですが、たまたま銭湯を撮影していたらその横を霊柩車が通ったんです。銭湯の入り口のデザインと霊柩車のデザインが同じ『唐破風(からはふ)』という様式だったんです。その共通点を発見したのがきっかけで、霊柩車についても調べ始めました」 ――霊柩車の歴史について教えてください。
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現在の霊柩車の原型である『輿』。
(資料提供:東礼自動車)
「大正時代の始めに、大阪でアメリカから輸入した霊柩車を使用したことから始まります。そこに日本伝統の『輿(こし)』を合体し、車に乗せたのが始まりです。和洋折衷文化ですよね」 ――一口に霊柩車と言っても、地域によっていろいろな形があるのが驚きです。全国各地の霊柩車を取材されたのでしょうか? 「大きく分けて、北陸、中部、関東、関西の四つに特徴的な霊柩車があります。その地域の霊柩車は見て回りましたね」 ――さまざまな霊柩車を見た中でも、町田さんの印象に残っている霊柩車はどの地域のものですか?
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全国でも珍しい朱色の富山の霊柩車。
翼のある麒麟が四方を守る。
「北陸にある朱色の霊柩車ですね。もともとは黒い霊柩車だったんですが、昭和57年に葬儀屋さんが考え出したんです。あとは、金沢で見たすごく豪華なクライスラーの霊柩車ですね。豪華さでいうと北陸が最も進んでいます」 ――東京の霊柩車はどうでしょうか? 「東京の霊柩車は地味ですね。東京もかつては豪華絢爛な霊柩車があったんですけど派手すぎて人気が出ないんです。どうしても白木造りのタイプの方が人気になります」  かつては霊柩車の代名詞だった「宮型」と呼ばれる日本伝統の霊柩車。しかし、近年では都市部を中心に「洋型霊柩車」と呼ばれるシックなデザインの霊柩車が主流になりつつある。その主役交代の逆転劇には、日本人が持つ死生観の変化が大きく影響しているという。
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洋型の霊柩車。
――どうして宮型は衰退してしまっているんでしょうか? 「火葬場の近くに人家が立ち始めたのが原因でしょうね。田んぼの真ん中に火葬場を建てていたのに、その周りに人家が建ち始める。そうすると住民から苦情が来るんですよ。霊柩車を毎日見るのは嫌だって。それで、一見して霊柩車と分かる宮型よりも、分かりにくい洋型霊柩車の方が主流になっていったんです」 ――確かに芸能人の出棺風景などでも最近は洋型霊柩車が多いですね。 「昭和天皇が洋型を使ったのも影響があるでしょうね。それまでは洋型はキリスト教の人しかほとんど使用しなかったんです。美空ひばりや松田優作は宮型でした。X JAPANのhideの時は洋型を使用していましたね」 ――今後、宮型が復活していくということはないんでしょうか? 「ますます洋型が主流になっていくと思います。宮型はメンテナンスが非常に大変だし、職人さんの技術も必要になるんです。今では宮型でも白木ではなくフィギュアなどに使用するFRPを素材にして装飾を施した霊柩車もあります」 ――宮型の派手な装飾を見ていると、単純に悲しいという感情だけではない日本人の死生観を見ることができるような気がします。
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(上)京都・大阪地方を走る白木造りの霊柩車。
(下)彦根で使用されている珍しいトラック
ベースのもの。全金属製。
「例えば北陸地方で根強い浄土真宗は、死ぬ=生まれ変わるという極楽浄土の死生観です。塩をまくこともないし、間引きもしない文化だったんです。だから『富山の薬売り』をしたりして口減らしのために仕事を外に求めていたんですね。東京の銭湯も北陸の人がやっていることが多いんです。生まれ変わることはおめでたいという感覚が強いので、朱色の霊柩車が受け入れられる土壌があるんでしょうね」 ――そういった仏教特有の死生観が失われつつあるんでしょうか? 「死を見ないようにするという傾向も一因でしょうね。昔は土葬をしたり、死体を洗ったりして、死者を身近に見ていました。けれども今はなるべくそういう部分を見せないようにしていますよね」 ――そう考えると、洋型の普及はちょっと寂しい部分もあります 「宮型は残してほしいですね。宮型霊柩車はただの葬式の道具ではないんです。源流をたどれば日本人の美意識、宗教観、死生観のシンボルでもあり、大衆文化の象徴なんです。霊柩車の、車に輿を合体させるという和洋折衷の方法は、大陸文化を受け入れてきた日本の歴史と通じるところもあります」 ――最後に、芸人の鳥肌実さんも霊柩車を所有していますが、霊柩車研究家として町田さんも霊柩車を持ちたいとは思われますか? 「余裕があれば新車を買ってみたいですね。中古は......ちょっと怖いよね」 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]) machidasinobu.jpg ●まちだ・しのぶ 1950年東京生まれ。学生時代はヒッピーとしてヨーロッパ各地を放浪。卒業後、警視庁警察官勤務を経て、庶民文化における見落とされがちな風俗意匠を研究。その研究対象は多岐にわたり、銭湯、正露丸、チョコレート、ペコちゃん、コアラのマーチ、蚊取り線香、ハエ取り紙など150以上にのぼる。す。主な著書に『銭湯遺産』(戎光祥出版)、『昭和なつかし図鑑』(講談社)、『東京ディープ散歩』(アスペクト)などがある。現在、文化放送「団塊世代倶楽部」(毎週土曜・午前11:00~)とライブストリーミングサイト「DOMMUNE」に不定期出演中。
The霊柩車―日本人の創造力が生んだ傑作 霊柩車と銭湯とフーゾクは、極楽への入り口なんだそうです。 amazon_associate_logo.jpg
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『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編)

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前編はこちらから ■ホームレス公園の近くには微妙な風俗街が......  『下北GLORY DAYS』『阿佐ヶ谷Zippy』『新宿スワン』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』......などタイトルに地名のついた漫画はたくさんあるが、ほんとんどは実在の土地を舞台にしただけのフィクションだ。  そんな中『東京都北区赤羽』は、ガチで赤羽に実在する珍奇おじさんや珍妙おばさん、けったいなお店などを克明かつスリリングに描いたルポルタージュ的な漫画として、最近注目を集めている。  その作者、清野とおるさんと一緒に赤羽のディープスポットをめぐってしまおうという企画の後編。ますます微妙なスポットが登場しますよ。  前編では団地や児童館、幼稚園がすぐ近くにあるのにホームレスが大量に住みついてしまっている公園(ある意味、こっちも団地)などを見てきた。  仲良しファミリーや子どもたちが集う公園に段ボールハウスが乱立している光景はだいぶ衝撃的だったが、その公園からちょっこし歩くと、今度は風俗街が広がっているのだ。もちろん団地からもほど近い場所、なにもこんなところに風俗作らなくても......。赤羽のお役所はちゃんと都市計画してるのだろうか!?
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 近隣の住人がこんなところに入った日にゃあ、「山田さんところの旦那さん、真っ昼間からピンサロに行ってたらしいわよ!」......なんて団地中のホット・トピックスになって、回覧板が回ってこなくなってしまうこと必至だ。
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 お店自体もまた、妙に味わい深い。たとえば「忍者パブ」。"赤羽で伊賀だ、甲賀だ、くノ一だ"って、一体どんなサービスが受けられるの?  敵国の密書を盗み出し、雇い主の元へ急ぐ忍者。そこに追っ手のくノ一が! くノ一の八方手裏剣がバババーッ! すんでのところで避けて、返す刀でズバーッ! くノ一の忍者服が破け、素肌に鎖かたびら一丁に。「フハハハ、くノ一といえどもそんな姿になってしまえばただのメス。拙者の股間の太巻物を受けてみよ。ニンニン!」「イヤーン! アハーン! ウッフーン」......みたいなことか? うーん、気になる。
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コレはまだ営業してるのかな?「ロマンスサロン○○」
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そのビルに掲げられた謎のキャラクターもいい味出してます。
■お寿司屋さんにウルトラマンのフィギュアが!?  さて、そんな風俗街を抜けると突然「ここが『うるとらまん』ですよ!」と、清野さんがテンション高くある店を指さした。モロ和風な店構えなのに、ショーケースにウルトラ兄弟のフィギュアがズラリと飾られている謎のお寿司屋さん。なんじゃこりゃ!? 「ここはもともと、寿司屋さんなのに『うるとらまん』っていう店名だったんですよ。子ども受けを狙ったらしいんですが、さすがに『うるとらまん』じゃお客さんに不審がられてしまうということで、今は『寿司清』という名前に変わっているんですけどね」
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店名が変わってもウルトラマンのフィギュアはそのまま。
 寿司屋に「うるとらまん」なんて名前をつけてしまったことを反省して「寿司清」に改名したのは非常に正しい判断だとは思うが、どうしてそのタイミングでウルトラマンのフィギュアも撤去しなかったのか!? 「うるとらまん」にウルトラマンが飾ってあることよりも、普通の店名でウルトラマンが飾ってあるということの方が遙かにクレイジー感を放っているような気がする。
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多分「寿司清」と「清野とおる」というコラボギャグ。
 ちなみにこの寿司屋さんは、清野さんの漫画『東京都北区赤羽』の4巻で面白おかしく取り上げられているのだが、それがうれしかったらしく「寿司清野とおる券」なるクーポン券を発行しているようだ。「寿司清野とおる券」!? ----この「寿司清野とおる券」って、持ってるとどんな特典があるんですかね? 「いや、分からないです......」  清野さんによると、怪しげなお店ながら肝心の寿司は安くてすごく美味いとのこと。だったら余計な工夫なんかしないで普通に営業していれば......と思わずにはいられない。  前編で紹介した、天然素材にこだわりすぎてちょっとおかしなことになっている豆腐屋さんしかり、仕事自体は真っ当なのに余計なプラスアルファのせいで異様な雰囲気になっちゃってる"ザ・蛇足"なお店が赤羽には多いような気がする。......がんばり屋さんが多いってことかな? ■赤羽の迷路で戦争を考えた 「今度は西口の方に行ってみましょう。赤羽西の坂の上の迷路に......」  迷路!? ......言われるがままについていくと、確かに迷路と言えるくらいすごく道が入り組んだ住宅街が。
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すんごい急斜面。自転車じゃ上れそうもない、上りたくもない。
 しかもこの迷路、やたらと高低差があるのだ。急な坂道を上ったり下ったり、いきなり変な場所に階段があったり......ひとりで来たら迷子になること間違いナシ! 小学生が「シムシティ」で街を作っても、もう少し計画性のある都市になるんじゃないかというくらい超雑然としている。なんでこんなことに......。  その原因はなんと戦争にあるらしい。戦時中、この辺りには旧日本軍の施設が沢山あったのだが、終戦にともない軍施設は撤退。その跡地を計画的に開発すればよかったのに、戦後のどさくさで、寿司「うるとらまん」や風俗街がある東口の方には闇市が、そして台地のあるこの西口側にはメチャクチャに入り組んだ住宅街が無計画に作られてしまったらしい。  ホーッ、意外なところに戦争の影響が残っているもんだ。赤羽の妙なディープさっていうのは、闇市を経て復興した街だからかもしれないな......などと思いを馳せた。  思いっきり余談ながら、普段全然運動しないボクにはこの迷路の急斜面はホントにつらくって、歩いているうちに疲労と苦痛で完全に心が折れそうになっていた。しかし、同行した日刊サイゾー女子編集Kさん(美人)のシャツが腋汗でしっとりと湿っていて、くじけそうになった時にはその腋汗をチラチラ見ながら「なんか......がんばろう!」と自分を鼓舞していたことをここに記しておきたい。 ■情報過多でフレンドリーなレストラン
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 さて、そんなゴチャゴチャの迷路住宅街を抜けて連れてこられた目的地は「ナイトレストラン・マカロニ」。このお店、外観からしてとにかく情報量が多い! そもそも「レストラン」で「マカロニ」なのに、のれんには堂々と「とんかつ」の文字が。他にも「洋食・割烹」「安くて家庭的な雰囲気の店」「オリジナル健康薬酒」「テレビ放映」さらに「MT会事務局」「東京教育研究協会」「新潟県人会」......等々、やたらといろんな文字が書かれている。とにかく説明過多なのだ。
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 もちろん店内にも文字情報がてんこ盛りで、壁一面に膨大な量のメニューが貼り出されている。しかし「ナイトレストラン・マカロニ」という店名のわりには「らーめん」にはじまり「焼うどん」「なめこおろし」......と、マカロニを使ってそうなメニューどころか、洋食ですらないメニューばかり。
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 飾り付けも非常に濃厚だ。熊手、天狗、おたふく、ダルマ......。確かになんでも収集しちゃうおばあちゃんの家に遊びに来たかのような"家庭的な雰囲気の店"ではあるが......。  この「マカロニ」も漫画に登場しているので、店のおじちゃん&おばちゃんも清野さんとは顔なじみのようだ。「これ食べな、あれ出してやりな」と、頼んでもないメニューがバンバン出てくるし、「清野さんの本、10冊買ったよ!」「知り合いの娘がファンだっていうから、今度会ってあげて」「一緒にさくらんぼ狩りに行こう」と、とことんフレンドリー。都内でもまだこんな人とのふれあいができるんだねぇ。  そして、店員でもなんでもない、近所に住んでいるらしいバアちゃんが10分おきくらいにやって来ては「ワタシ、さっきここに忘れ物しなかった?」「お金借りてなかったっけ?」「亡き旦那をすごく愛してたんだけどね」......と、唐突な発言をして帰って行く、というサプライズも。 ----あの人、さっきも来てましたよね。 「人は、寂しいのです」 ----ああ......。 「寂しいのです」  結局、ボクらがいた2時間で10回くらいは来ていました。それをいちいち相手にしてあげてる店のおばちゃん、ホントにフレンドリーだな。  整然とした都市計画に乗っからず、チェーン店では決して作り出せない雰囲気をかもし出した個人商店が、気合いと人情と(若干余計な)ナイスアイデアで21 世紀の今もバリバリがんばっている赤羽。かなりクセは強いものの、非常に味わい深い、そんな赤羽がボクもちょっと好きになってきたような、きてないような気が......。 ----清野さんも『東京都北区赤羽』の単行本がドーンと売れて印税がガッポリ入ったら赤羽に豪邸を建てなきゃですね! 「いや、ホントに大金持ちになったら世田谷に家建てますよ」 akabane2_i01.jpg ----......まー、そうですよね。  清野さん的には「赤羽に限らず、一年くらい住み着いたらどんな街でも漫画にできるくらいのネタは見つけられると思いますよ」とのこと。これからさらにディープに赤羽を掘り返していくのか、それとも他の街に手を広げていくのか......。今後の清野さんの活動にも注目していきたい。 (文・写真・イラスト=北村ヂン) ■せいの・とおる 1980年東京都板橋区生まれ。98年「週刊ヤングマガジン」に掲載された「アニキの季節」でマンガ家デビュー。主な著書に、『東京都北区赤羽』1~4巻(Bbmfマガジン )、『清野とおる漫画短変集 ガードレールと少女』(彩図社)『バカ男子』(イースト・プレス)がある。 「清野ブログ」<http://usurabaka.exblog.jp/>
東京都北区赤羽 4 Bbmfマガジン刊/900円 東京都民にも埼玉県民にも見放された空間ポケット・赤羽。この赤羽に住む漫画家・清野とおるが趣味の散歩と尾行で遭遇した赤羽住民との不気味で愉快なリアルな日常を漫画化。帯には同じく赤羽在住の林家ペー・パー子氏の直筆コメント。携帯コミックサイト「ケータイ★まんが王国」にて連載中。1~3巻も好評発売中。 amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編)

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一見、ごく普通の街。面白いところなんてなさそうだが......。
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第5回は、いまちょっとしたブームになっている赤羽に行ってきました。 ■今、「赤羽」がきているらしい  珍奇なスポットや変わったお店などに行くのが趣味なので、普段からその手の情報を集めているのだが、そこで最近ちょいちょい話題に挙がってくるのが「赤羽」だ。  なんでもみんな、赤羽に住む奇人・変人などを紹介した漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン)を読んで赤羽に心奪われているらしい。でも、赤羽って名前は一応知ってはいるものの、わりと地味なイメージしか持ってないんだけど......。ホントにそんなに面白い街なんだろうか?  ......というわけで、今回は『東京都北区赤羽』の作者・清野とおるさん直々にガイドしてもらいながら、赤羽のディープスポットをめぐってみたいと思う。 ----ボク、赤羽駅で降りたのが初めてなんじゃないかというくらい初心者なんで、よろしくお願いします。赤羽が東京都なのか埼玉県なのかすら認識してませんでしたから......。 「そういう人は多いかもしれませんね。北区自体、目立つ区ではありませんから」  確かに北区って存在感ない! それでも、ホントに誰からも忘れ去られてるくらい存在感のないさびれた街だったら、それはそれでディープな場所がいっぱいあったりしそうだけど、見たところ赤羽ってそこそこ栄えてるし、非常に中途半端な印象を受けるのだ。こんな街に面白スポットなんてあるのかな?
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 ......と思ってたら、いきなり変なモノを発見。ビルの屋上にズドーンとそびえ立つ自由の女神。なんでこんなモノが!? 「たぶん、『サウナ→お風呂→入浴→ニューヨーク→自由の女神』ってことじゃないかと......」 ----は、はぁ〜。  やっぱりちょっこし変ね、赤羽。オラ、ワクワクしてきたぞ! ■『美味しんぼ』は絶対にうそつかない!  赤羽ディープ・ツアー。さっそく連れてきてもらったのはこの豆腐屋さん。
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微妙なクオリティのイラストも味わい深い。
----これは......。  看板にとって最も大切な要素である"店名"以上にでっかく『美味しんぼ』のロゴ&イラストが(しかもど真ん中に)。業種とは一切関係なく「カワイイやろ?」ってことで、デッサンの狂ったミッキーやドラえもんを看板にデカデカと描いちゃってるお店って時々あるけど、コレもそういうことなのかな!? 「ここは『美味しんぼ』に登場したこともある豆腐屋さんなんですよ」  ああーっ、そう言われてみればあったあった! アメリカから来た料理研究家が、大量生産の豆腐に文句付けて......みたいな話ね(『美味しんぼ・7巻』(小学館)収録「大豆とにがり」)。アレに出てきた手作り豆腐の店って実在するんだ。  それにしても、掲載された雑誌の切り抜きを貼り出している店はよくあるけど、漫画に紹介されたからって看板ごと変えちゃうなんて。「こだわりの天然豆腐の店」という素朴で実直なイメージが、この美味しんぼ看板で台無しになっちゃってるような......。
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 さらに店の品格をズズーンと落としちゃっているのが、店先にところせましと貼りまくられた貼り紙。これが、商品のラインナップあたりがギッシリと書かれているのならそれほど危険性を感じないけど、思いっきりエモーショナルな店主からのメッセージが込められた貼り紙なんで、なんともはや......。
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「美味しんぼは絶対うそはつきません」って......多分、
原作者・雁屋哲の肉親ですら、ここまで盲信してないと思うよ。
 こんなキャラの立ちすぎな豆腐屋さん、どんな濃い人がやっているのかと思いきや......。
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なんか品のいいおばちゃんでした。
 このおばちゃんがまたメチャクチャ気前がいい。天然水&国産大豆で作られた豆腐や豆乳を「飲みねえ食いねえ」状態でバンバン出してきてくれるのだ。もちろんお金は受け取ってくれない。「私はどうせもう先は長くないんだから、お金なんていいのヨー」って、商売成り立ってるのかしら、このお店。  肝心の味は、こだわって作ってるだけあってさすがにスゴイ。豆腐も豆乳もとにかく超豆臭くて濃厚な味! ツルンと滑らかな......という豆腐のイメージからはかけ離れた、野性味あふれる豆腐なので好みは分かれるかもしれないけど、コレが「本物の豆腐」ってヤツなんだろう。『美味しんぼ』に書いてあるんだから間違いない!  しかし、いずれにせよ『美味しんぼ』の看板や貼り紙を外してフツーに営業した方が繁盛すると思うけどな......。 ■段ボールハウス乱立公園
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 続いてやって来たのは、赤羽のセントラルパークこと「赤羽公園」。
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 周りを団地に囲まれ、児童館や図書館などの公共施設からも近い。緑も多いし、近隣に住む人にとっては嬉しい環境の公園なのだが......。
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 非常に残念なことに、ものすごい量の段ボールハウスが建ち並んでいるのだ。
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 家があるということは、当然住人も。平日の真っ昼間なのに寝て、酒飲んで、競馬の予想して......。本当の自由ってこういうことだよね。
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 タバコの吸い殻を注意する前に、もっと色々と注意すべきことがあるんじゃなかろうか、という貼り紙。段ボールハウスが燃えないように、ホームレスがこの貼り紙を書いたんじゃないかという気もする。 「ここの段ボールハウスは、公園内の施設を上手く利用して建ててるんですよ」
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確かに......。
 塀に立てかけたり、花壇を利用したり、防水対策を施してたりもして、他ではあまり見かけない、本格派の段ボールハウスが多いのだ。仮の宿というよりは、 ここに腰を落ち着けて住みつくつもりだね! ......って感じ。  普通、これだけホームレスが住みついている公園だったら、あまり子どもは近づかないように......みたいな雰囲気になりそうなモンですが、ここ赤羽では意外とホームレスと近隣の住人との折り合いがついているようで、お互いの領域を尊重しあっているというか、見て見ぬ振りをしているというか......。まあ、いいんだか悪いんだかだけどねぇ。
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近くの図書館には、こんな注意書きが。
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赤羽の書店では『1Q84』以上に大展開されている『東京都北区赤羽』......スゲエ!
後編に続く/文・写真・イラスト=北村ヂン) ■せいの・とおる 1980年東京都板橋区生まれ。98年「週刊ヤングマガジン」に掲載された「アニキの季節」でマンガ家デビュー。主な著書に、『東京都北区赤羽』1~4巻(Bbmfマガジン )、『清野とおる漫画短変集 ガードレールと少女』(彩図社)『バカ男子』(イースト・プレス)がある。 「清野ブログ」<http://usurabaka.exblog.jp/>
東京都北区赤羽 4 Bbmfマガジン刊/900円 東京都民にも埼玉県民にも見放された空間ポケット・赤羽。この赤羽に住む漫画家・清野とおるが趣味の散歩と尾行で遭遇した赤羽住民との不気味で愉快なリアルな日常を漫画化。帯には同じく赤羽在住の林家ペー・パー子氏の直筆コメント。携帯コミックサイト「ケータイ★まんが王国」にて連載中。1~3巻も好評発売中。 amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

「文系離れが国を滅ぼす」カリスマ編集者・濱崎誉史朗が語る書籍への希望

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「私は企画魔的な編集者だと思うんです」  そう語るのは、社会評論社の編集者・濱崎誉史朗氏。以前、日刊サイゾーでも書評を掲載した『エロ語呂世界史年号』、『ニセドイツ』、『いんちきおもちゃ大図鑑』など、一癖もふた癖もある書籍を担当した敏腕編集者である。彼の作る本は一言で言えば、"珍書・奇書"。変な言い方をすれば「ヘンな本」ばかりだ。日本中の高層ビルの写真をひたすら収めたもの、アジア産の珍奇なおもちゃを集めたもの、エロい語呂で覚える歴史参考書、世界中の時刻表をまとめたもの......。彼の担当した書籍の持つ独自の着眼点と統一感から、出版関係者、書店員の間でも編集者・濱崎誉史朗ファンはじわりじわりと増加中。これまでも彼の担当した書籍を大々的にフィーチャーした「ハマザキカク」というブックフェアが2度開催され、現在も有隣堂ヨドバシAKIBA店において3回目のブックフェアが開催中である。  毎日最低一つは企画を考え、この半年でおよそ550もの企画案を出したというアイデアマン濱崎氏が、出版というメディアを通じて訴えたいこととは何なのだろうか。 ■アイデアの種 ──毎日一つは企画を立てているという話を聞いたのですが、毎日アイデアを生み出す原動力は何なのでしょうか。 「テクニック的なものもあるのですが、それよりも元々私は愉快犯的な気質があるんです。それはたぶん孤独心から来ているんじゃないかな。もっと注目を浴びたいとか思っちゃう。あとは天邪鬼なところもあって、他の人と極端に差別化を図ろうと工夫するところがあるんですね。そういった性格的な部分がベースになっていると思います」 ──アイデアを思いつくために心がけていることはありますか? 「本を読んでいます。月に60冊くらい。昔、自分はそこそこのアイデアマンだと思っていたんですけど、でもこれだけじゃいけないと思い、たくさん本を読んで修行しましたね。物事の概念自体に気づくためにも、元々いろんなことを知ってないといけないから。例えば、こういう本はもう出ているかどうかと分かるためには、自分が想像できる概念の幅を誰よりも広くしないといけない。アイデア力というものは、読書量に比例すると思います」 ■本を「作る」ということ ──濱崎さんは書籍を企画し、執筆者を探し、自ら組版、装丁、帯コピー、時にはポップまで作られます。
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「著者のみなさんから、まるで共著みたいってよく言われるんですよ。著者に質問攻めにして刺激を与えたりして、著者と二人でけっこうハイな状況になって作ったりするんですね。普通の出版社の本と違って、私の企画ってすごい"濱崎臭"がするって言われるんですけど、それは私がたぶん著者と一心同体で作っているからだと思います。それに......うちは小出版だからそんなに大量に部数が刷れないんですよ。でも私が作りたいのはカラーの本だし、大部数配本したい。そうするとコストを相当抑えて、価格を低下させないといけないんです。外注するとやっぱりお金がかかるわけで、そうすると全部自分でやるしか無いっていうのが、決定的な理由です。それに、自分でいろいろやった方が本に愛着が湧くからですね」 ──書籍への愛着。「紙媒体」というものに、やはりこだわりはあるのでしょうか。近年、電子書籍というものが注目されていますが。 「まだ自分の中で結論が出ていないんです。ただ、自分がやっていることがいくらすごくて自信があってネット上で話題になっても、一瞬で忘れられちゃうんですよね。昔、デスメタルをやっていて、ネット上でそこそこ話題になっていたんですが、どうも不完全燃焼だったんです。でも、ちゃんとCDになった時に初めて達成感を憶えたし、他人に伝えることができた。結局、一般の人でも認めてくれるものにするには、普通のCDとか本にして固形物として売り物にしなくては自己愛は満たされないんですね。だから電子書籍とかWeb媒体だと、それほど自分の創作意欲が刺激されないんじゃないでしょうか。もしかしたらそうではないという人もいるのかもしれないけれども」 ──固形物でないとモチベーションを維持できない。 「電子書籍ってどこでも読めるとか、安いとか、読む人の利便性ばかり取り沙汰されるんですが、そこには作っている人の気持ちが抜け落ちていると思います。やっぱり作っている人の創作意欲、やりがいってのもあって、それが鈍ると多分素人のゴミみたいなのがはびこって、誰も見向きしなくなってしまう。ネットにはネットの美学とか、リアクションとか速報性があると思いますけど、私はやはり本にはネットにはない美点があるし、紙というメディアにこだわりがあります」 ■文系オタクを作っていきたい ──濱崎さんが出版を通じて表現したいことって何なのでしょう?
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現在開催中のフェアの様子。見えづらいですが、
パネルはご本人です。
「今、理系離れが進んでいるって言われていますけど、実際は文系離れも危機的な状況だと思っています。文系離れが国を滅ぼすって、本当に思うんですよ。みんな、マルクス主義も哲学も経済のことも案外分かっていなくて。アメリカの首都も分からないって人もいるじゃないですか。そうなってくると、この時代日本国内だけ完結できるわけでもなくて、やっぱり国際社会で通用しない。そういう基礎教養とかを高めていかないといけない。そうしないとものも考えなくなっていく。だから文系オタクをかっこよくプロデュースしていきたい。かっこいい文系オタクを作っていきたいんです」 ──文系を再評価したい。 「例えば数学オリンピックで順位が下がったとか、スーパーコンピュータが何位だとかで理系は目に見えやすい形で表れているから、助成金だ、産業だってすぐにビジネスとかにも結びつけて"理系離れが~"ってキャンペーンされていたりするんですが、文系離れも相当激しいと思っています。日本人のIQが全体的に下がっていて、文系、理系両方馬鹿になっていっているのかもしれない。私が自分の職務として考えているのが、日本人の知性の低下をちょっと予防していくこと、だと思っています」 ──知識を獲得していく楽しさ、というものを取り戻さないといけないということでしょうか。 「そうですね。Wikipedia的な、断片的な情報で充足しちゃっている人って意外と多いと思います。そこで満足しちゃって、それ以上知ろうと思わない。本って買った以上は最後まで読まないともったいないと思うじゃないですか。でもWebサイトとかだと、飽きれば読むのをやめちゃうし、表面的なものしか見ないっていうのが多いんじゃないかな。自分もそうなんですけどね。さらっと見るだけ(笑)」 ──今後はどういう活動をしていきたいですか? 「ラジオに出たいし、テレビにも出たい。前はそうやってどんどん出ていくことがはしたないって思っていたんですよ。自己顕示欲と自己愛の塊で見苦しいから、って。だけど、社会評論社の宣伝になって、社会の好奇心とか知性を高められるなら、別にそれは自己愛でも何でもないんじゃないか。大人として振舞っていればいいんだって思うようになったんです」 (取材・文=有田シュン) ●はまざき・よしろう 社会評論社の変集者。父の仕事の関係で、幼少期をフィリピン・チュニジア・イギリスなどで過ごす。慶應大学法学部政治学科を卒業後、IT企業に就職するも性に合わず退職。その後、日本有数の左翼出版社・社会評論社に転職する。『超高層ビビル』『いんちきおもちゃ大図鑑』『ニセドイツ』など、数々のマニアックな本を手掛けている sokuseki.jpg ・「ハマザキカク」最新刊 『即席麺サイクロペディア』(著:山本利夫 ) 世界一の即席麺コレクターによるカップラーメン大全。懐かしいものから超ヘンテコリンなものまで1046個のカップ麺を収録。これを見ずにカップ麺の歴史は語れない! 定価:1785円/6月19日発売 ●濱崎誉史朗フェア「Cool Ja本~世界で通用する日本本~」 日本の趣都、秋葉原で最大規模の書店という条件を活かし、ヨドバシカメラを訪れる外国人をターゲットに、日本が世界に誇れる本をおよそ100冊選び抜いた、「日本語が読めなくてもウケる本」フェア。普段、本を全く読まない、活字離れ著しい若者、特にオタクにも興味を持ってもらえるラインナップ。6月30日まで有隣堂ヨドバシAKIBA店にて絶賛開催中。 <http://www.shahyo.com/ext02/coolJapon.html
アイデアのつくり方 濱崎さんのバイブル。 amazon_associate_logo.jpg
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