ペット業界を知り尽くしたライターが業界の内側に迫る、短期集中連載。 某CMが発端となり、白いチワワがもてはやされた時代がありました。ちょうどその頃、私は店頭で犬を売る側の仕事に就いていました。とかくはやりもの(命ある商品もしかり)を欲しがる客層は偏りがちで、来る客来る客に同じ質問をされ、同じ回答を繰り返し、辟易した思い出があります。 時代が変わり、現在は空前の猫ブームが到来し、猫の飼育率が犬を凌駕する勢いだそうです。「ネコノミクス」という言葉がマスコミを騒がせ、ペット業界でも猫を意識したサービスや商材へのシフトが進みつつあります。 店頭で犬や猫を売っている、いわゆる生体販売の現場では、展示ケースの中は犬より猫のほうが多くなり、ペットフードやグッズのメーカーでは、猫商材のラインナップが進んでいます。サービス業では、猫専用もしくは猫対応のペットホテルが目立ち始め、犬主体であったトリミングでも猫向けのサービスが続々と出てきています。また、さまざまな種類の猫と触れ合いながら、至福のひと時を過ごせる「猫カフェ」も人気を博していますね。 カフェと銘打っていますが、猫カフェは飲食より猫とのふれあいがメインとなる店が大半で、業種的には「動物取扱業」の展示の分類となります。同じカフェと銘打った「ドッグカフェ」は、愛犬と一緒に利用できるカフェですので、飲食業の部類に入ります。当然、猫カフェに在籍している猫たちは、カフェ側で飼養している猫ということになります。 この飼養の形態によって、猫カフェもいくつかの種類に分類されます。経営者の趣味で飼養する複数種の猫たちと純粋に触れ合うことが目的の「癒やしメイン型の猫カフェ」。繁殖用の猫を展示し、ふれあいを通して子猫の販売を目的とする「生体販売型猫カフェ」。行政や地域からの保護猫を展示し、新しい飼い主を探すことが目的の「保護シェルター型猫カフェ」などが挙げられます。 猫たちの現状を見てみると、平成26年の飼育数は、犬は約1,034万6,000匹、猫は約995万9,000匹で、飼育率でも世帯数の15.1%が犬を、2.2%が猫を飼っているという統計となっています。同年度の環境省統計、犬猫の収容数と殺処分数を見ると、犬の引き取り(狂犬病予防法等に基づく捕獲収容を含む)5万3,173匹、猫の引き取り9万7,922匹、合計15万1,095匹。殺処分は、犬2万1,593匹、猫7万9,745匹、合計10万1,338匹となっています。 冒頭のテレビCMが話題となり、チワワが普及した平成16年の数字を見てみると、引き取り数で犬は18万1,167匹、猫が23万7,246匹。殺処分数は犬で15万5,670匹、猫で23万8,929匹となっています。 この10年で行政での収容数は犬で約3分の1に、猫で半数以下と減少しており、それに伴い、殺処分数も犬で約7分の1、猫で3分の1と減少傾向にあります。平成25年に施行された改正動物愛護法により、繁殖業者や明確な理由のない飼い主から犬猫の引き取りを拒むことができるようになったため、この年からの引き取り数は、さらに減少する傾向にあると考えられます。とはいえ、統計を見ると、いまだに毎年15万匹以上の犬猫が収容されており、10万匹が殺処分の必要な状況であることに変わりありません。 行政での収容数・処分数は見かけ上、減少傾向にありますが、その分、動物保護団体に収容される犬猫、特に猫の数が増えています。行政が引き取った個体の多くを保護団体に譲渡することで、その管理数を減らしているのです。いろいろな見方ができますが、殺処分を蔑視する風潮が引き起こした事態でもあり、本当の意味で“無駄な命”を作り出さない仕組みを確立しない限り、この現象は続くでしょう。 ■野放しにされる、悪質猫カフェ またブームに乗って、猫の乱繁殖を行う業者も増えているようです。一例として、少し前に話題になった東京の生体販売型猫カフェは、まともな健康・衛生管理ができず、業務の取り消し処分を受けました。業務として店舗運営するためには、「第一種動物取扱業」の届け出が必要ですが、これを取り消される国内初の事例となりました。その後、この業者は保護施設を有する保護団体向けの「第二種動物取扱業」を届け出ることにより、「保護シェルターカフェ」として営業を再開するという“離れワザ”を披露してくれました。環境も施設も変わらず、蔓延した病気を罹患した猫たちが生み出されています。これを許した管理自治体もどうかと思いますが、現行の法制度では合法であり、自治体担当者も歯ぎしりをする結果となっています。 犬は狂犬病予防法や動物愛護法によって、ある程度の実態数(販売数・野良の捕獲数・飼育数など)は読み取ることができます。ところが、猫の場合、個体数を把握するための法整備がなされていないため、飼い主のいない猫の数は把握できていません。また、野良猫を捕獲して処分するための制度もありません。そのため、野良を含む飼い主のいない猫の数は、公表されている数字の何倍もいると予想されています。これだけあふれ返っている猫がいる中でのブームです。需要に応じてこの猫たちを供給できれば、大きな無駄を省く効果があるのですが……。 ブームとはにわか景気。過去に何度もペットに対するブームが起こり、そのブームによって多くの命が不当に放棄されてきた歴史があります。単なる商品であれば、飽きて捨てることも、リサイクルショップで換金することも可能でしょう。命ある商品は健全に生き続けることに価値があります。「飽きたから」「要らないから」といって、簡単に処分できる類の商品ではありません。 誰かが、どこかだけが間違っていると言い切ることができる事態ではありません。このブームを先導し、煽り、衝動に駆られたすべての人間、飼い主には飼い主の責任が、販売する側、生み出させる側、管理する側にはそれ以上に命に対する責任があります。このブームを猫たちのためと考えるのであれば、いま猫たちが置かれている現実に目を向け、何ができるかを考えてみてください。もちろん、善良な人間として。 「この世でどうネコに接するかが、天国でのステータスを決める」ロバート・A・ハインライン (文=成田司) ●なりた・つかさ ペットビジネスライター。動物福祉の発想に基づく日本版ティアハイム設立を目指す「Giraf Project」を主宰。共著に『ペット市場の現状と展望2013-2014』(JPR)がある。イメージ画像(足成より)
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熊本地震で浮き彫りとなった、ペット「同行避難」と「同伴避難」のあいまいさ
ペット業界を知り尽くしたライターが業界の内側に迫る、短期集中連載。 報道番組で自然災害のニュースが流れるたび、ペットの救助シーンや避難所での様子が報じられるようになりました。ペットが “かけがえのない命”として認識され、災害時になされた「ペットも一緒に避難しましょう」という呼びかけの賜物だと思います。 1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災をきっかけに、災害時にペットと一緒に避難する対策を講じるための組織づくりが検討され、96年「全国緊急災害時動物救援本部」(どうぶつ救援本部)が公益4団体により組織されました。以降発生した自然災害時には、災害地域の自治体より依頼を受け、フードなどの支援、避難時のペット一時預かり施設の設置、迷子動物の保護と治療、里親募集など、被災飼い主に対する支援を主体的に行い、2011年3月11日の東日本大震災でも発生から約1カ月後、支援を開始しました。 まだ進行形ではありますが、16年4月14日に発生した熊本地震では、新体制となったペット災害対策推進協会が、現地動物救護本部の設置を見越し、いち早く募金活動を開始。後方支援を始めました。その後、同28日付で熊本地震ペット救護本部(構成団体:熊本県、熊本市、熊本県獣医師会)が設置され、災害地域での飼い主支援を進めています。 しかし、被災地ではいまだ復旧が進んでおらず、当初ペットの同伴が可能だった公共の避難所でも、ペットの受け入れを一切行わない事態となっています。一部の避難所では、敷地内に飼育施設を作り、飼い主はその施設内でペットの面倒を見ていますが、ペット連れの被災者の多くはいまだ車中泊や、NGOなどが運営するペット同伴可の施設で避難生活を送っています。 この時期になってようやく仮設住宅も建設され、入居者の募集を開始していますが、ペット同伴可かどうか不明な場所も少なくあいません。自治体でペットの一時預かりを行う活動も進めているようですが、収容数が多くなりすぎて、地域を超えた引き取りによってその数を減らさざるを得ない状況となっているようです。 いったいなぜ、このような事態となっているのでしょうか? 各都道府県では、地域防災計画により、災害時のペットに対する措置について地域の獣医師会と協定を結んでいる自治体が多いのですが、協定の内容にはペットの一時預かりと応急処置などの項目はあるものの、避難所にペットと一緒に避難するために必要な項目(ペット飼養施設の設置・同伴できる部屋割りの方法・同伴の基準など)はありません。避難所は、その施設の長(例えば、学校であれば校長)にどこまで受け入れるかの権限があるのが実情です。緊急時に多くの判断を強いられる立場ですので、その判断は優先させるべきものと理解できます。そもそも人間の避難所に動物を連れ込むことの是非は、いまだに決着していない争点です。 熊本地震では、ペットとの「同行避難」と「同伴避難」という2つの言葉の曖昧さが浮き彫りになりました。国として推奨しているのは同行避難。これは、災害時にはペットを連れて、一緒に避難しましょうというもの。しかし、被災した飼い主が期待しているのは同伴避難(同じ部屋や施設で、ペットと一緒に避難生活を行うこと)です。家族であるペットの命を安全に保護できない限り、被災者は安心して避難生活を送れないのです。 実は今回、自治体に「すべての避難所でペットを受け入れない」という判断をさせた原因があります。それは、自己中心的な動物愛護団体を名乗る人間からのクレームでした。こともあろうに、地震発生後、被災者の救護・復旧活動で混乱している自治体に電話をかけ、執拗に全避難所でペットの同伴を受け入れるよう訴えてきたのです。前述のように、緊急時、避難所での受け入れ範囲は、施設の長が決定します。初動では地域で避難者の状況を判断し、ペット同伴を認めていた施設もありましたが、クレームを受けた自治体の長には、全施設受け入れの命令を出す権限はありませんので、時間と労力を被災者対応に使うため、全避難所でのペットの受け入れを断るという判断をせざるを得なかったようです。このクレームがなかったなら、同伴を続けることができた避難所もあったのですが、状況を顧みない自分勝手な行動が、保護するべき動物たちに残念な結果をもたらしたのです。 いまや、犬猫の飼育率は4世帯に1頭となっています。災害時にペットをどう守るかの問題は、災害が起こるたびに議論されています。災害現場での“かけがえのない命”の存在は、行政や政治家も無視できない存在となりました。そろそろ共通の認識として、災害時のペット同伴避難、避難所での動物の扱い、支援受け入れの時期と方法、などは自治体の災害マニュアルに盛り込むべきです。 また飼い主は、ペットに対する最低限のしつけや健康管理は必須なことはもちろん、支援を行う団体も自治体やほかの団体と連携できるよう、お互いの価値観をすり合わせておく必要があります。多くの災害を経験し、すでにその準備期間は十分なはずです。 (文=成田司) ●なりた・つかさ ペットビジネスライター。動物福祉の発想に基づく日本版ティアハイム設立を目指す「Giraf Project」を主宰。共著に『ペット市場の現状と展望2013-2014』(JPR)がある。イメージ画像(Thinkstockより)
ペットの猛犬が子猫を襲うシーンを生配信! 韓国・生主に問われるモラルと、相次ぐ動物虐待
韓国で、自身のペットである猛犬が子猫を襲うシーンを撮影し、ネット上で生配信した男が、警察の取り調べを受けることになった。 7月17日、ソウル城東警察署などは、韓国版ニコ生とも呼ばれる「アフリカTV」でBJ(動画配信者)として活動していたキム氏(仮名、22)が、動物愛護法違反の疑いで捜査を受けていると発表した。 キム氏は先月30日、自宅の近くで、ペットの犬(アメリカン・ピット・ブル・テリア)が草むらの中にいた子猫を発見し、突然飛びかかって攻撃する様子を撮影、それを生配信した。犬は子猫を口にくわえ、激しく左右に振るなど攻撃を続け、視聴者のひとりは「子猫はその後、まったく動かなくなった」とコメントしている。 キム氏は配信終了後、子猫を放置したまま現場を立ち去った。この一連の行動は視聴者の激しい怒りを招き、アフリカTV側はキム氏にアカウント停止措置を下している。ちなみにキム氏は、先月まで放送ランキングで10位圏に入る人気BJだった。 その後、動物保護団体である「動物自由連帯」が、警察にこの件を通報。「猛犬に首輪をするのは飼い主の責務。これを守らなければ罰金対象になる」「潜在的なリスクを知りながら防止していない」と、キム氏に対する処罰を求めた。 韓国の動物愛護法第13条2項によると、飼い主は生後3カ月以上の猛犬を連れて外出する際、首輪と口輪を装着しなければならない。ピット・ブル・テリアは、この猛犬に指定されていた。義務を怠った場合、飼い主には50万ウォン(約5万円)以下の罰金が科せられる。ただし、今回の場合、虐待が故意であったと判断されれば、さらに罪が重くなる。動物愛護法違反になれば、1年以下の懲役または1,000万ウォン(約100万円)以下の罰金刑の可能性もある。 今回の事件について韓国司法関係者は「突然の予期せぬ事態を飼い主が制止することはできないだろうが、犬が子猫を襲っているのをしばらく見守っていた場合は、未必の故意などの責任を問うことができる」と語る。 直接的な動物虐待ではないが、生配信コンテンツのモラルが問われる事件となりそうである。 (文=河鐘基)「デイリーペット」より
【再掲】地震や洪水のとき、愛犬はどうなるの? 地震大国日本でペットを守るための絶対ルール
※当記事は、熊本地震の発生にあたり、サイゾーの過去の記事から再掲載しています。 阪神・淡路大震災(1995年)、三宅島の噴火(00年)、新潟県中越地震(04年)など、過去に起きた災害時には、人間だけではなく多くの動物たちも被災した。だが、実際にいざ自分が被災し当事者になったら、自分の飼っているペットはどうしたらよいのか、具体的な対応策を知っている人は少ないのではないだろうか。ただでさえパニックになりがちな災害時において、飼い主である人間は、正しい行動が取れるのだろうか──。 そこで、前述の災害時などで動物の救済活動に携わってきたひとり、獣医師の山口千津子氏(社団法人日本動物福祉協会)に「災害時のペット」の現状と防災対策について話を伺った。 「私たちは、阪神・淡路大震災以降、『緊急災害時動物救援本部』(日本動物愛護協会、日本動物福祉協会、日本愛玩動物協会、日本動物保護管理協会、日本獣医師会によって組織)の被災地における動物救護本部設置の手伝いをはじめとする動物の救援活動をしてきました。これは、行政、獣医師会、動物愛護団体が一緒になって行われているもので、この取り組みの積み重ねにより、最近になってようやく、災害時のペット避難対策を具体的に検討する自治体が増えてきました。ペットの同行避難に対する理解も広がってきており、私たちは、まず、災害時には飼い主によるペットの同行避難を呼びかけています」 災害に巻き込まれたペットは、被災地に置き去りにされたり、飼い主不明のまま保護される迷子も少なくない。迷子になれば、火災や事故に遭う危険性も出てくる。 「とにかく同行避難さえしていれば、餌の支給、物資援助、獣医師協力もあり、ペットの受け入れができない避難所の場合でも、一時的な預りを行う上記の救護本部などに依頼すれば、安全を確保することができます。ですが、もし、同行避難せずペットを置き去りにした場合、たとえ後日迎えに帰るつもりだったとしても、その地域が立ち入り禁止地区になったら、迅速な救助が困難となります。有珠山の噴火の時(00年)は、危険地域に置き去りにされた動物たちのために、自衛隊や警察・消防などに協力を要請し、飼い主に代わって餌やりや保護活動を行いました」(同) もっとも、同行避難後も、大きなダメージとストレスに加え、プライバシーのない避難所での共同生活では、隣人への配慮が必要不可欠だ。動物の無駄吠え、かみつきなどの問題行動は、隣人トラブルの原因となる。また、不十分な健康管理やワクチン不接種の動物を持ち込むことで、感染症などの新たな問題も起こしかねない。 「家族の一員であるペットの命を守ることができるのは、飼い主だけです。このことを自覚し、正しい知識と責任を持って、日頃からしつけや健康管理などを行うことが何よりも大切です。また、それが飼い主自身の心の支えにもなります」(同) 災害時に限らず、一番必要なのは、「ペットのしつけ」ではなく、「飼い主のしつけ」なのだ。最後に、ペットの防災対策に有効なポイントを簡単にまとめてみたので、飼い主のみなさんはぜひ実践していただきたい。 [ペットの防災対策] 【1】健康管理(=ワクチン接種、定期健康診断、病気の治療) 【2】しつけ(=人間社会への適応) 【3】避妊・去勢(=みだりな繁殖や問題行動の防止) 【4】鑑札や迷子札、マイクロチップ(動物の個体間識別を可能にする電子標識器具)の装着(=飼い主の所在明示による迷子の防止) 【5】同行避難時の非常袋(フード、水、薬、リードなど)の準備 【6】飼い主の情報、ペットの健康状態、病歴などをまとめた情報手帳の携帯 (文=小林未央/本記事は「サイゾー」2008年9月号掲載のものを再構成したものです)イメージ画像(「足成」より)
期待の成長産業!? 14万円で遺灰からダイヤモンドまで作れる「超豪華ペット葬」が中国でブーム
空前のペットブームが続く中国では、さまざまな関連ビジネスが興隆中だ。コンサルティング大手のユーロモニター・インターナショナルの試算では、2019年までに中国のペット関連産業は50%以上の成長が見込まれており、その市場規模は約3,200億円に達するとみられている。 そんな中、富裕層の間で、とんでもなく豪華なペット葬が流行しているという。ポータルサイト「騰訊」(8月29日付)が、上海市内にあるペット専門の葬儀会社を密着取材した。 亡きがらの周りを手向けられた白い花が覆い尽くす小さな棺。棺の両脇にも立派な花輪が飾られている。大きく掲げられた遺影を見なければ、これが小型犬の葬儀だと誰が思うだろうか。 飼い主だった女性はその遺影を見つめ、泣きながらこう話した。 「本当にいい子だったの……。火曜日に心臓病が悪化して死んでしまった。あれから家の中であの子の声が聞こえなくなって、本当にツラかったです。そこで以前、近所の友人がペットの葬式をしたという話を思い出して、うちの子にもしてあげようと思ってお願いしたんです」
この会社のペット葬の料金プランは、約1~18万円までと幅があり、どんなオプションを付けるかで料金が大きく変わってくる。葬儀の内容は、人間のものとほとんど変わらないそうだ。 葬儀が終わると、4人の男性の手で小さな棺は葬儀用の装飾が施された高級車に運ばれ、ペット専用の火葬場へと移動。
ここで飼い主と最後の別れをした後、いよいよ火葬の作業に入る。
ちなみにオプションで約14万円を支払うと、遺灰からダイヤモンド(遺灰や遺骨から抽出した炭素を使用し、天然のダイヤモンドが結晶化する過程と同じ方法で製作された合成ダイヤモンド)を製造できるという。その後、遺灰の入った骨壺は寺に送られ、丁重に埋葬されるのだ。 こうした豪華すぎるペット葬に対し、中国版Twitter「微博」には、 「私は、この人の気持ちが理解できるわ。ペットも家族の一員だし、動物だからといって、葬式をしてはいけないなんてことはないと思う」 「金持ちの金の使い方って、本当に理解できない。死んだ犬に何十万円も使って、何になるんだ!」 「俺が死んだら、この犬以上のレベルの葬式ができるのか……。金持ちの家のペットに生まれたほうがよかったかもしれない」 など、さまざまな声が上がっている。
上海在住の貿易会社を経営する日本人男性(43歳)は、富裕層のペット事情についてこう話す。 「ここ数年で、犬を飼う中国人が激増しましたよ。その多くが富裕層です。かつては海外の高級車、日本製の家電製品を所有していることが富裕層のステータスでしたが、最近は犬などのペットも加わったような気がします。犬といっても、もちろん高級品種のもの。さらにエサや美容、健康管理にも金を惜しまない。私の身近にも、飼い犬に、香港から取り寄せた和牛を食べさせたりしている知り合いがいる。葬儀だけでなく、亡くなったペットのために、人がうらやむような立派な墓を建てる人もいるそうです」 自分以外の人間は信用できない中国社会で、従順なペットを溺愛する気持ちはわからないでもないが……。
あの“ゴッドプロデューサー”KAZUKIが犬猫保護に乗り出した「殺処分をゼロに!」
小室哲哉の暴露本執筆、酒井法子の創造学園大入学関与……など「お騒がせタレント」の背後に必ず名前が浮上する“ゴッドプロデューサー”KAZUKI。現在は音楽活動から離れて、ペット占い師・詩月と共に動物愛護の財団を運営。「殺処分される犬・猫救済」に命を燃やしているという。 KAZUKIが会長を務めているのは、「国連世界動物救済支援機構 詩月財団」(理事長・詩月)という財団。 「現在、国は年間50億円もの予算をかけて動物の殺処分を励行している。消費税増税より、やらなければいけないことはコレ(の中止)です。しかも、年間50億円で実際に殺処分されている数は約20万頭。この数、信じられますか? 殺処分に50億円の予算をかけている国も問題ですが、処分に出される動物の数が20万頭もいるのです。この人(飼い主)たちに動物を飼う資格はない」(KAZUKI) KAZUKIがもくろんでいる財団のコンセプトは「飼い主やペットショップで“お払い箱”になった犬猫、災害などで被災した犬猫の救済」(詩月)だという。具体的な「マニフェスト」はというと――。 「殺処分をゼロにし、保護された犬猫の里親を募集。その一方で、犬猫が一生涯暮らせるテーマパークの建設を運営する財団なんです。現状では、まだ準備段階でどちらも運営まではたどり着いていませんが、里親志願者やテーマパーク用の土地提供者が現れるなど、機運が高まってきている」(KAZUKI) それにしても、「原発ゼロ」はよく耳にするが「殺処分ゼロ」とは……。言葉で語るのは簡単だが、現実問題として「ゼロ」になるのは、よほどの「意識改革」がないと不可能ではないか。原発問題を見れば一目瞭然。国民がこれだけ原発に関心を持っていても、「ゼロ」になるのは不可能に近い。 それに対しKAZUKIは「ゼロ」にするための「改革」を語り、近未来的には必ず「ゼロ」を実現させると断言する。 「まず、ペットショップの在り方、飼い主の資質、そして自分のペットだけでなく、すべての動物に愛情を注ぐことができる里親の募集。この3点が重要なのです。こういったことはスピードが命。財団が本格稼働したら、2~3年で実行に移します」(同) ちなみに今、ペットショップでは雌犬が倒れるまで強制的に受精→出産を繰り返させている。完全に「子ども産み機」状態なのだ。雌一頭が年間、出産する数は20~30頭にもなるという。 「我々はここにメスを入れ、『子ども産み機』をゼロにする。さらに問題なのは“にわかペット好き”の存在です。子犬・子猫の時は溺愛するのですが、(ペットが)成犬・成猫になると“御用終了”とばかりに保健所へ処分を依頼する飼い主が数多い。ここにもメスを入れます」(同) ペットを購入する場所はペットショップが主。そのペットショップでは「子ども産み機」による繁殖が励行され、購入した飼い主もまた、最期まで面倒を見ない……確かにペットが成長すると飼育環境によっては(ペットを)手放さなくてはならないケースもあり、事情は複雑だが、これもKAZUKIは一刀両断だ。 「死ぬまで面倒が見られないなら、最初から飼わなければいい。僕は、ペットの飼育は免許制にすべきだと思っている。『ペットを飼いたい』という人に対しては、ペーパーと実地試験をするのです。どちらも90点以上取れないと、ペット飼育の許可が下りない仕組みにするのです。そうすれば、“かわいいから欲しい”という飼う資格のない連中が入手できなくなり、保健所に殺処分を依頼する数が激減する。そもそも“飼いたいから飼う”のでなく、“かわいいから飼う”とは言語道断でしょう。犬や猫はぬいぐるみではない」 今後、行き場を失ったペットの収容施設建設を目指すというKAZUKI。その新たな野望はかなうだろうか。「国連世界動物救済支援機構 詩月財団」Facebookページより
大震災の被害に遭ったのは人間だけじゃない! 被災地に取り残されたペットと家畜の過酷な現状

『犬と猫と人間と2』の飯田プロデューサー(画面右)。『犬と猫と人間と』(09)の続編と
発表され、全国から多くのカンパが寄せられた。
発表され、全国から多くのカンパが寄せられた。

福島第一原発の20km圏内に残された牛たち。行政は商品価値のない
経済動物として殺処分を求めたが、踏み切れなかった牧場主も少なくなかった。
経済動物として殺処分を求めたが、踏み切れなかった牧場主も少なくなかった。

社会の弱者へ眼差しを向ける飯田プロデューサー。「問題点が浮かび上がり、また問題が解消されて
いない今、公開する意味があると思うんです」
いない今、公開する意味があると思うんです」
『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』
監督・撮影・ナレーション/宍戸大裕 構成・編集・プロデューサー/飯田基晴 音楽/末森樹 製作/映像グループ ローポジション
配給/東風 6月1日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショー (c)宍戸大裕 http://inunekoningen2.com
●ししど・だいすけ
1982年宮城県仙台市生まれ、名取市在住。学生時代に飯田基晴主宰の映像サークル「風の集い」に参加し、映像製作を学ぶ。学生時代のドキュメンタリー作品に『高尾山 二十四年目の記憶』がある。福祉関係のNPO勤務を経て、現在は映像製作に携わる。本作で劇場デビューを果たす他、飯田監督の『逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者』(12)を共同取材した。
●いいだ・もとはる
1973年神奈川県横浜市生まれ。新宿で野宿生活する“あしがらさん”の日常を追った『あしがらさん』(02)で劇場デビューを飾った。2006年に「映像グループ ローポジション」を仲間と共に設立。地域猫の世話をしていた稲葉恵子さんから依頼を受けた『犬と猫と人間と』(09)が反響を呼び、ダイジェスト版DVD『いぬとねことにんげんと』(11)も製作した。大震災時に東北沿岸部で犠牲になった障害者の割合が健常者の2.5倍だったことを伝える『逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者』(12)が現在DVDとしてリリース中。
大震災の被害に遭ったのは人間だけじゃない! 被災地に取り残されたペットと家畜の過酷な現状

『犬と猫と人間と2』の宍戸大裕監督(画像左)と飯田基晴プロデューサー。
物いわぬ被災動物たちの現状を取材して回った。
物いわぬ被災動物たちの現状を取材して回った。

福島市にある動物シェルター「SORA」の代表・菅野利枝さん。
警戒区域で保護された犬30匹、猫20匹前後の世話をしている。
警戒区域で保護された犬30匹、猫20匹前後の世話をしている。

宮城県名取市在住の宍戸監督。「幸いにも自分の実家は無事でしたが、自分の故郷が
どう復興していくのか記録しなくてはと思ったんです」
どう復興していくのか記録しなくてはと思ったんです」
『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』
監督・撮影・ナレーション/宍戸大裕 構成・編集・プロデューサー/飯田基晴 音楽/末森樹 製作/映像グループ ローポジション配給/東風 6月1日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショー (c)宍戸大裕 http://inunekoningen2.com
●ししど・だいすけ
1982年宮城県仙台市生まれ、名取市在住。学生時代に飯田基晴主宰の映像サークル「風の集い」に参加し、映像製作を学ぶ。学生時代のドキュメンタリー作品に『高尾山 二十四年目の記憶』がある。福祉関係のNPO勤務を経て、現在は映像製作に携わる。本作で劇場デビューを果たす他、飯田監督の『逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者』(12)を共同取材した。
●いいだ・もとはる
1973年神奈川県横浜市生まれ。新宿で野宿生活する“あしがらさん”の日常を追った『あしがらさん』(02)で劇場デビューを飾った。2006年に「映像グループ ローポジション」を仲間と共に設立。地域猫の世話をしていた稲葉恵子さんから依頼を受けた『犬と猫と人間と』(09)が反響を呼び、ダイジェスト版DVD『いぬとねことにんげんと』(11)も製作した。大震災時に東北沿岸部で犠牲になった障害者の割合が健常者の2.5倍だったことを伝える『逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者』(12)が現在DVDとしてリリース中。
流通過程で殺され続ける動物たちの慟哭を聞け!!

中国の「花鳥市場」で販売されている、動けないほどの狭いケージに
閉じ込められた犬。値段を聞くと「1,500元(約1万8,000円)」。
「観光客価格です。現地人なら900元(約1万円)まで下がる」と、
中国やヨーロッパなどで動物愛護に取り組んでいる上海在住の
日本人Aさん(35歳)は明かす。
経済成長を続ける中国で、生活の豊かさを背景にペットブームが拡大している。中国のあるペット専門誌の調べでは、中国の20主要都市で飼われている犬の数は約5,800万匹。これは日本国内の犬と猫を合わせた飼育頭数約2,200万頭(2009年ペットフード工業会調べ)の2.6倍に相当する。また、北京市保護小動物協会の05年の統計資料によれば、同市のペット市場規模は6億元(約72億2,000万円)を突破したという。
マーケットが拡大を続ける中、中国人のずさんな動物の扱い方も問題視されている。中国メディア「京華時報」は09年4月、北京市郊外のペット市場で一部の業者が犬の体毛を染色したり、塩水注射で口元を整形した犬を販売し、活発な犬に見せるために興奮剤を飲ませる業者もいるとの記事を配信。業界の慢性的なモラル欠如を告発している。
モラル欠如の象徴としてしばしば指摘されるのが、「花鳥市場」の存在だ。花鳥市場とは中国国内に多数存在する"なんでも市場"ともいうべき巨大な青空市で、犬や猫、鳥、魚、昆虫、植物、衣類、生活雑貨など、生き物から物品まであらゆる商品が売られている。正規のペットショップを利用する客は一部の層に限られ、多くの国民はこの花鳥市場で犬や猫などのペットを購入している。たとえば上海では、市内全体で60~70カ所の花鳥市場があり、法律上はそのすべてを政府が管理。出店希望者は上海市住房保障和房屋管理局の市場部に申し込み、当局と賃貸借契約を結ぶことで誰でも商売が可能となる。
中国やヨーロッパなどで動物愛護に取り組んでいる上海在住の日本人Aさん(35歳)は、「花鳥市場で売られている動物たちは例外なくルートが不明で、扱いも虐待に近いほどひどい」と説明する。
「花鳥市場では、基本的に野良犬や野良猫を捕まえて繁殖させ、商品価値のありそうな犬猫を販売していますが、新しい犬猫がどんどん入ってくるため、売れ残った動物は、ところてん式に押し出されて殺されていきます。狂犬病ワクチンの予防接種などは一切打たれていません。あまりに環境がひどすぎるため、欧米の愛護団体などが場内で業者と揉めるなどのトラブルも起きており、最近はナーバスになっている業者が写真撮影している外国人を怒鳴っている光景も目にします」
そのAさんの案内で、上海市内の花鳥市場を見てみることにした。場所は上海北部郊外にある普陀区。同区だけで5カ所の花鳥市場があるという。そのうちの一つを訪れると、およそ300坪ほどの敷地に、さまざまな店がひしめきあうように立ち並んでいた。動物たちは例外なく狭いゲージに折り重なるように詰め込まれ、中には死んで動かない動物も見受けられる。子猫の顔をよく見ると、顔全体に黒くまだらな点々が見える。「これ全部、ノミの糞ですよ」とAさんが嘆息する。

顔中の黒いまだらの点は「ノミの糞が散らばったもの」(Aさん)。
環境の劣悪さが分かる。
別の店では、毛が抜けて明らかに病気と思われる犬が、別のケージに隔離されている。投薬などの措置が施されている気配はない。場内に立ち込める悪臭に顔をゆがめると、Aさんは「今日はまだ涼しいからマシです。夏はとてもじゃないけど来られませんよ」と苦笑いした。
「新しい犬や猫を次々に仕入れてきては、弱った順に殺されていく。今ここにいる犬や猫たちも、来週にはいるかどうか分かりません」(Aさん)

激しく毛が抜け落ちてぐったりとする犬。
商品価値がなくなった動物は処分されるだけだという。
こうした中、中国でも動物愛護意識は高まっており、ずさんな扱いを虐待行為と批判する声も増えている。中国では今年4月、食用の犬約520匹を積んだトラックが、高速道路上で約300人の愛犬家グループに囲まれるという事件が発生。愛犬家らはすべての犬を買い取ることで運転手と話をつけたが、あまりの数の多さに結局は引き取ることができなかったと地元紙が報じている。
また、法規制の動きもあり、09年には中国社科院法学研究所の専門家たちが「反虐待動物法」という法案を提出したものの、同法案には中国国内にも賛否両論あり、現在は事実上ストップしている状態だという。
一方、「ペット市場の環境が劣悪だという点においては、日本も外国のことを言える立場にありません」と言うのは、公益財団法人どうぶつ基金(http://www.doubutukikin.or.jp/)の佐上邦久理事長だ。
「生まれたばかりの犬や猫は、環境の変化や輸送に弱いためと、母親や兄弟との触れ合いで社会性をつけるために、欧米の国や州では生後8週齢(約2カ月)未満の犬猫の取引は法律で禁止されているところがほとんどです。ところが日本では、生後すぐに子犬を母犬から引き離して売ってしまう。仮に病気に感染している場合、発症する前の小さくてかわいいうちに売り払ってしまったほうが、業者にとって利益になるからです」

福岡市内の悪質なブリーダーから市民団体に救助された全身皮膚病の雌犬(写真左)。
ひたすら出産のみを義務付けられ、病の治療は一切行われなかった。
現在は佐上理事長に引き取られ、一年かけて健康体を取り戻した(写真右)。
また、犬や猫を糞尿だらけの小さなカゴに詰め込んで飼育するブリーダーは、日本にも数多くいるといい、中には数を増やすことだけを目的に、父犬と娘犬や孫犬との近親交配も、一部の業者では常態化していると指摘する。
「環境省が公表している『犬猫調査のまとめ』によると、年約15万頭の犬や猫が業者によって生産され、そのうち生きて消費者に販売されるのは約6万頭。残りは死産や売れ残りという理由で処分されています。トレーサビリティ(流通履歴)の確保もされていません。年間約24万頭の犬猫が保健所で殺処分されているニュースは目にすることはありますが、流通ルートで10万頭近くが処分されている事実を国民は知るべきです。こんな国は先進国では日本だけです」
また、多くの国で禁止されている店頭での陳列販売が、日本ではほとんど問題視されていない現状に驚愕する欧米の愛護団体も多い。前述のAさんが、日本では一般的な「生体市場(オークション)」の問題点を次のように指摘する。
「日本のペットショップではオークションで仕入れた犬や猫が店頭のガラスケースに陳列されて売られていますが、狭いケースで陳列される環境は子犬には非常に苛酷で、ストレスから精神的に大きな負担を強いるために、イギリスでは法律で禁止されています。また、オークションでは動物たちが病気に感染しているかなどの健康状態を知ることができないため、店頭で他の子犬に感染を広めてしまうこともあるのです」
ヨーロッパの動物事情に詳しいある外資系メディアの記者は、日本や中国のペット市場には法律や条例による規制が今すぐ必要だと考えている。
「ドイツでは飼育面積などの規定も動物の種類ごとに法律で細かく規定されていて、犬については小屋の材質や散歩する時間、リードの長さまで決められています。また、無責任に犬を飼えないように『犬税』も存在します。ペット後進国の日本や中国は、こうした動きを積極的に導入していくべきでしょう」(同記者)
日本で法規制が遅々として進まないのはなぜだろうか。最大の原因は「悪質な業者の利益を関係省庁の天下り団体が守っている構造にある」と指摘するのは、前出の佐上理事長だ。8週齢未満での取引禁止などが法制化されると、手間やコスト面で業者にとっては大きなマイナスとなる。このために業界団体が環境省や農水省などからの天下りを受け入れることで、業界に不利な法規制に歯止めをかけているというのだ。
「動物愛護法の改正については、環境省の諮問機関である中央環境審議会動物愛護部会で審議されますが、ここの委員は過去に『日刊サイゾー』で助成金詐取が暴露された『日本動物福祉協会』のお抱え獣医師(※記事参照)や、農水省の天下り先である「ジャパンケネルクラブ」の理事長らが顔をそろえています。前回の法改正時には幼齢犬の分離を56日にする案が出されていたのに、土壇場でなぜか廃案。その直後に当時の環境省動物愛護管理室長は、動物愛護部会と小委員会臨時委員を輩出している業界団体『日本愛玩動物協会』の理事に天下りしています。しかし、新聞もテレビもこれを報じない。政治家と業界、官僚がズブズブの関係なんです。これでは適正な法改正などできません。ましてや中国を批判なんて恥ずかしくてできませんよ」
では、現状を変えるためには何が必要なのか。佐上氏は、一部の欧米諸国で導入されている飼育免許制度の導入と、流通構造の抜本的な改革が必要だと主張する。
「ペットを飼いたい人は講習を受けて飼育免許を取得する。流通構造については、問題の温床である店頭販売やセリを法律で禁止し、店で買わずに保健所やNPO団体が行っている保護施設から譲り受ける。どうしても買いたい人は、ブリーダーに予約して直接購入する。こうした改革が急務です。幸いにも、現在の環境省動物愛護管理室の職員は、問題の本質を受け止めながら真摯な態度で法改正に取り組んでいます。彼らの自浄能力に期待しています」
一方、市民レベルでの意識改革が必要だと説くのは、中国・上海で猫の里親探しなどの活動を続けている民間組織「ストレイ上海(Stray-Shanghai)」(http://stray-shanghai.jimdo.com/)だ。一人ひとりができることを考え、可能な範囲で実践に移していくことが何より大事だと指摘する。
「できることは人のキャパによってさまざまですので、絶対的な答えはありません。お金に余裕があれば資金面での支援ができますし、そうでなくても、近所の野良猫に去勢や避妊手術をする活動に参加することも可能です。一人ひとりが意識を変えなければ存在する問題を直視できませんし、現状を変えることは不可能です。まず、彼らの存在に気がついてあげられる事、そこが一番大事なポイントだと思っています」
事実、ストレイ上海のロシア支部「ストレイ・ピーターズバーグ」(Stray-Petersburg)では、2000年からサンクトペテルブルグ市に働きかけを続けてきた結果、これまで薬殺処分されていた野良犬に対し、国家予算での治療(チップの装着、不妊去勢手術、ワクチンや狂犬病の予防接種など)を行政に義務づける条例改正を06年に実現。また、同団体はフィンランドやスウェーデン、ドイツ政府とも協力し、野良犬の里親探し活動で300件あまりの成果を上げている。
仮にも先進国の日本がペット大国と言われながら、その劣悪な市場環境を理由に中国と並んで国際的な非難を受けているのであれば、恥ずべき現実という以外ない。一刻も早い法整備へ向けた審議が求められる。また、草の根レベルでの意識改革を図りながら、天下りなどの構造的な問題へも、社会全体で厳しく目を向けていく必要があるだろう。
(文=浮島さとし)
火葬されてもやっぱり産業廃棄物! 法なきペット葬祭業界の光と影
──90年代のペットブーム以降、ペット業界にはびこる闇組織や暴力団のニュースは絶えない。そんな中、業者が増え続けるペット葬儀に関しても、トラブルが頻発しているようだ。法規制のない同業界に参入するヤクザの荒らしや、焼き芋屋台感覚で営業する移動火葬車の実態を、改めて検証してみたい。
2010年3月、埼玉県飯能市の正丸峠に大量の犬や猫の死骸が捨てられているのが発見された。廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で逮捕、起訴されたのは、「花園ペット祭典」を経営する阿部忍被告。飼い主から火葬するといって預かった遺体の一部を、そのまま山中に捨てていたという。被害者の会の遺骨回収にボランティアとして参加し、裁判を傍聴した男性A氏はこう証言する。 「阿部被告は自前で火葬炉を持っていなかったので、近所の葬祭業者に頼んでいたそうです。一体ずつ火葬するとコストがかかるので、何体かまとめて焼いてもらい、その遺骨を適当にわけて、飼い犬や猫のものと見せかけて飼い主に渡していた。そうすればすべてを焼く必要がなくなるので、余った分を山中に捨てていたようですね」 また、飼い主からペットの死体の"処分"を依頼される場合もあり、それらも火葬せずに山中に投棄していたのだという。阿部被告が立件されたのは14体の死骸投棄についてだが、A氏によれば、実際に山中に投棄されたのは「自分が回収に参加した時だけで200個の頭蓋骨があり、すべて合わせると500体」にも上るそうだ。 昨今、このような飼い主の心情を踏みにじるペット葬祭業者のトラブルが頻発している。ホームページの料金表を見てペットの火葬を依頼した都内在住のある女性は、火葬が始まった後、オプション料金などと称して、予定費用の10倍近い30万円余りの代金を業者から請求された。ほかにも消費者庁には、「火葬した遺骨を引き取ったところ、中に犬歯が6本(犬の犬歯は4本)入っていた」「ほかの犬の首輪の金属部分が含まれていた」など、勝手な合同火葬や遺骨の入れ替えと思われるトラブルについての相談が寄せられている。さらに、東京都板橋区では、ペット葬祭場の建設反対運動が起こり、裁判所が火葬炉の使用禁止命令を下すなどの例もあった。 こうしたトラブルが後を絶たないのはなぜか。その一因は、ペット葬祭業者の急激な増加にあるようだ。マンションやアパート住まいで埋葬する場所がない場合や、ペットの家族化などで心情的にそのまま庭に埋められない人が増え、同業界の需要は一気に増えた。「全国ペット霊園協会」の伊東正和氏によれば、「ペットの葬祭業者は20年ほど前から増え始め、この10年で急激に増加しました。現在、全国の業者数はおよそ800社、うち、400~500社は移動火葬車【編註:移動しながらペット火葬をするための、火葬炉を積んだ車のこと】のみの業者といわれている」そうだ。 しかし、全国ペット霊園協会を設立しても、自社で火葬炉を持ち、同協会に加盟しているのは70社余り。250億円規模ともいわれる巨大市場を持つ同業界だが(『ペット葬儀・霊園市場の現状と将来展望』/09年、株式会社JPRより)、実は、冒頭の事件のような遺体の不法投棄などを起こさない限り、悪徳な運営を取り締まる法律はなく、監督官庁も存在しないのだという(当特集【3】参照)。とすれば、申請や審査などの手間がかからず、新規参入もしやすい。ところが、「この新規参入の容易さこそ、悪徳業者を増やす要因となっている」と伊東氏は指摘する。 「はっきり言って、我々のように真面目にやったら、ビジネスとして成り立たせるのは難しい業界です。火葬炉を作るだけで500~1000万円。更地から始めると、土地代に加え、事務所の建物や墓、供養塔の建設など、初期費用が億単位でかかることもある。しかもペット葬祭は人間の場合と違い、火葬から葬儀、埋葬、遺族のケアまですべてやるため、人件費もかかります。それで、1回の葬儀費用は全国平均で3万円前後くらい。うちの会社でも、動物病院などからのご紹介を受けて、ひと月せいぜい180~190件の葬儀です。参入したもののあまり儲からないため、あくどいやり方に走る業者も中にはいるみたいですね」(同) とはいえ、飯能市の事件のように、いくらでも利ざやを稼ぐ方法があるのも事実。そもそも、「葬祭」という、もともとあまり好まれない業種であることから、90年代にはバブル崩壊で土地の使い道に困った反社会勢力の参入が増え、これがトラブルの増加を助長しているという。 「確かに、ペットショップやブリーダー、人間の葬儀業者は儲かっていますから、簡単に参入できるペット葬祭業にそういった人たちが目をつけてもおかしくはありません」(同)全国ペット霊園協会の伊東氏が代表を務める「日
本ペットセレモ」の敷地内に設置された合同墓地。
キレイに掃除され、花も生け変えられていた。
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