しゃべりと笑いと音楽があふれる“少数派”メディアの魅力を再発掘! ラジオ好きライターが贈る、必聴ラジオコラム。 「禁断」という言葉には、間違いなく人を惹きつける魔力がある。何かを禁ずるのは、それによって人間がコントロール不能な状態に陥ってしまうからであり、逆にいえばそこには人知を越えた根源的な力があることを意味する。『井筒とマツコ 禁断のラジオ』(文化放送 毎週金曜深夜2:30~3:00)は、映画監督の井筒和幸とマツコ・デラックスの辛口2トップが敵陣自陣関係なくゴールを決めまくる、まさしくその名の通り禁断のラジオである。 番組は進行役の文化放送アナウンサー寺島尚正と、ツッコミ役で映画パーソナリティのコトブキツカサを含めた4名で進められるが、そもそも守備役を2枚置いたこの4人編成という大所帯のフォーメーションが、2トップがいかにアウト・オブ・コントロールであるかを逆説的に物語っている。さらに、それだけではやはり禁句の発動を止め切れぬため、最終的な防御策として「危険な発言部分にかぶせて『オクラホマミキサー』を流し続ける」という特例措置がとられており、時には延々と同曲が掛かり続けることもあって、ラジオをつけるタイミングによっては異様に牧歌的な音楽番組だと思うかもしれない(直後には間違いなくその夢から叩き起こされるが)。 2枚看板を置いた番組の場合、やはり気になるのはそれぞれの魅力が並び立つのか否かという問題だが、この番組においては井筒の放つ強力な言葉が主導権を握る場面が多く、マツコはそこに反応する形でコンビネーションを形成している。毒舌同士という意味ではテレビで有吉と組んでいる時のマツコを連想するし、年輩者相手という意味では池上彰との組み合わせが思い起こされるが、ここでのマツコはそのどちらとも違う感触で、両者以上に井筒とのシンクロ率の高さを感じることが多い。特にエロスに関して手加減のない表現を好む井筒の言語感覚が、マツコの中にある女の部分を思いがけず引き出しているようなところもあって、反対にどんな言葉(たとえば「自衛隊」)からもエロスを連想できるマツコの想像力に、井筒が感心する場面も少なくない。 トークの内容は政治から井筒とコトブキの主戦場である映画、そしてドのつく下ネタに至るまで森羅万象にわたるが、それらが分け隔てなく、理屈と感情を総動員して同じまな板の上でシームレスに語られるのがこの番組の特徴である。真面目な戦争の話と下世話な下ネタの果てに共通の「死」を見だし、徹底的に考え抜いた上で感情を爆発させる。何が上で何が下というのではなく、あらゆる物事を並列に扱うことで見えてくる真実がある。エロ雑誌の付録の使用済みパンティを全員で嗅いでみるという謎の時間帯の直後に、内閣の話をするなんていうカオティックな展開もあった。ちなみに井筒は、かつてはみんな嗅いでいたし自分も嗅いだことがあると告白したのち、しかし雑誌の付録としてつけることには異議を唱え、「もっと牧歌的なノリで嗅げよ。オーガニックに」と憤慨してみせた。付録という、その取ってつけたような形式が「詩的じゃない」とのことだが、この怒るポイントの意外性と、わかるようでわからない、でもやっぱりちょっとわかるというギリギリのラインを突いてくるこの厳密な表現力は、目の前の対象がどんな題材であれ、やはり知性というべきだろう。 そして話題が井筒の本分である映画に及ぶと、その表現はさらに鋭さを増し、暴力的にすらなってくる。レオナルド・ディカプリオを「ガキ顔だろ」と揶揄した流れで「釣りキチ三平みたいな顔しとる」と謎の比喩を繰り出してくるこの跳躍力。見てもいない『戦火の馬』のラストを「最後、馬刺しになって終わりかい」と決めつける力業。そして「3Dメガネが煩わしい」という話になると、目の前のコトブキツカサのメガネが伊達メガネだということを持ち出し、「レンズ入ってへんメガネかけてる奴なんかね、まず泥棒と思ったほうがええよ!」と無茶苦茶な持論へ持ち込む驚異的な展開力。ここまで来るともうすっかりわけがわからないが、でも伊達メガネ掛けてる奴は確かに信用できないような気がしたり、馬の出てくる映画のラストが「馬刺しオチ」だったら間違いなく伝説に残る一本だなと思ったりもして。とはいえ、さすがに釣りキチ三平のたとえはまったくピンと来ないのだが、それでもここまで自信を持って言い切られると、なんだかもう面白くて仕方ない。 つまりこういうのを「痛快」というのだろう。ここでは「禁断」の果てに「痛快」がある。万事につけて手加減がなく、あらゆる言語表現が振り切れた結果としての「痛快」さ。手加減のないものは常に禁ずべき対象と見なされ、実のところ世の中は手加減のおかげでスムーズに回っていたりもするのだが、本当の面白さはそんなスムーズさから外れた場所にこそある。この番組に対する不満は唯一「時間が短すぎること」だけだが、それもすでに聴き手としての禁断症状の一種かもしれない。 (文=井上智公<http://arsenal4.blog65.fc2.com/>) ◆「逆にラジオ」過去記事はこちらから文化放送『井筒とマツコ 禁断のラジオ』
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型破りな魑魅魍魎が集まる『アウト×デラックス』という大宴会
「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。 矢部浩之が、ただただ笑っている。 「働きたくない俳優」坂上忍、「ゲームをやりすぎて腱鞘炎になった大女優」淡路恵子、「本気で男を好きになれない朝ドラヒロイン」遠野なぎこ、「声優になるためにオリンピックを踏み台にした男」成田童夢といった著名人から、「上地雄輔になりたい男」田口学、「声が高すぎる男」山下恵司、「自分が作った紙芝居を世に広めたい女」柿沼しのぶといった素人まで、世間的に型破りな「アウト」な人たちを迎えトークするのが『アウト×デラックス』(フジテレビ)だ。2011年から5回特番が組まれ、13年4月からレギュラー化された。ちなみに上記メンバーは、特番時代の活躍が認められ、レギュラーとして出演している。 この番組のスゴさは、なんといってもその絶妙な匙加減だ。番組を仕切る矢部とマツコ・デラックスは次々と出てくる「アウト」な人たちの話を聞きながら、その暴走を促す。そしてそれが行き過ぎた瞬間に、矢部が「アウトー!」と叫んでぶった切る。 これまでも小林よしのりがAKB48への愛を語り「フライングゲット」を弾き語ったり、天才棋士・加藤一二三九段がひたすら自作クイズを出し続けたり、中山功太改めコウタ・シャイニングがくすぶってしまったR-1王者の“闇”を告白したりと話題を呼んでいた。 そして、5月9日の放送回には、ついに鬼束ちひろが登場した。番組の主題歌「悪戯道化師 (いたずらピエロ)」を彼女が歌うという縁で出演したのだ。 レギュラー出演者のひとり山里亮太は言う。 「『アウト×デラックス』のテーマ曲にあの方の曲を使うっていう、このメッセージ深すぎませんか?」 鬼束ちひろは「月光」のヒットで知られるシンガーソングライター。というよりも、近年のネット上での破天荒な言動のほうがいまや有名かもしれない。11年にニコニコ生放送で生配信された『鬼束ちひろの「包丁の上でUTATANETS」』では、これまでのアーティスティックで物静かなイメージを大幅に覆す、濃いメイク、紫色のボディコン風ワンピースの風貌で自由奔放な発言を繰り返し、突如としてプロレスごっこをし始めるなどの奇行で、大きな話題を呼んだ。 さらに翌年にはTwitterデビュー。するとすぐに「あ~和田アキコ殺してえ」「なんとか紳助も殺してえ」などとツイートし、大問題に発展した。どう考えても、この番組の枠を超えかねない「アウト」な人物である。 冒頭からもうスゴかった。 「ニューヨークののみの市で、1000円で買った」というド派手なファッションを身にまとい、悪魔のようなメイクで「ナイストューミーチュー」「イエスアイドゥー」と叫びながら登場。鬼束が「会いたかったです」と矢部に言うので、矢部も「僕もです」と返すと、「あっ?」。会話が成立しない。イヤリングが取れてつけ直すと突然「リ・メイク!」と叫び、「ハハハハ!」と高笑い。「『リ・フレッシュ!』でもいい」と訳の分からない注釈が入る。「セクシー!」と矢部が言えば「バイオレンス」と返す瞬発力があったと思えば、突如、「フーアーユー?」「ディスイズアペン!」と言いだす奇天烈ぶり。「何もかも、モノには目をつけたらかわいくなる」となんとなく理解できるかもしれない主張にも、それを「魂吹きこみショー」と呼ぶ、独特の語彙のネーミングが付け足される。矢部に「てんとう虫」とあだ名を付ければ、マツコにはなぜか「チビ助」。その後も「憧れている人はカーネル・サンダース」「米と水がダメ。岩の味しかせん」「今、主食はスイカバー」とか……もう意味不明! 予測不能! おなかいっぱい。 最後は主題歌の「悪戯道化師」を歌うことを求められ「あそこで宴会すればいいの?」と嬉々として歌い上げると、「神の存在」と崇めるロバート秋山と作った、“すべての曲を演歌で終わらす”「演歌終わらせサークル」会員らしく、自らの曲を演歌調で終わらすのだった。まさに悪戯道化師。 そこでは、彼女の奇っ怪な言動を聞いて、矢部浩之は親指を立てて「アウトー!」と叫びながら笑っているしかない。 思えば矢部は、いつだって相方の岡村隆史の横でニヤニヤ笑っていた。 岡村は基本的に「カッコつけ」気質のある芸人である。たとえば『めちゃイケ』(フジテレビ系)では、「ジャニーズJr入団」「オカザイル」などの「岡村隆史のオファーが来ました!!」を筆頭に、その「カッコつけ」部分がクローズアップされてしまう企画が多い。ミッションを達成するために真剣に取り組むあまり、お笑い芸人として「アウト」な感動路線に針が振れそうになる。そんな時、矢部は笑う。「岡村さん、何してはるんですか?」とツッコみながら。 抜群なバランス感覚で矢部が笑うことで、これは笑うものだと視聴者に伝える。その瞬間、感動路線に揺れた針が一気に笑いの方向に傾くのだ。それはこの番組でも同じだ。 魑魅魍魎な「アウト」な人たちが集まる宴のような『アウト×デラックス』。そこで矢部浩之は、ただただ笑っている。矢部の笑顔と「アウト!」という声は、今までテレビ的に「アウト」だったものを、その宴だけでは「セーフ」に変えるのだ。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) ◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらからフジテレビ『アウト×デラックス』
テレビがマツコ・デラックスだらけのワケ 専門家、芸人、タレントも凌駕で最強?
サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。
■「Business Journal」人気記事(一部抜粋)
株価によってスカートの丈が変わる!? アイドルユニット「街角景気☆JAPAN↑」 が衝撃デビュー!
芸人ブームの終焉(?)受け、テレビで台頭めざましい歌手たちは、なぜ面白い?
セキュリティソフトだけでは危険?ダブルクリックNG、とりあえずググれ!
■特にオススメ記事はこちら!
テレビがマツコ・デラックスだらけのワケ 専門家、芸人、タレントも凌駕で最強? - Business Journal(4月8日)
主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。 先週はまさに「マツコ・デラックス・ウィーク」だった。 毎週、マツコがメインで出演するレギュラー番組は楽しみにしている。マツコがメインではなく大勢の中のひとりという扱いの番組は、基本的に面白くないので観ていない。「どれだけマツコに依存してんのか、アタシは」と自分ツッコミを入れたいところだが、マツコ頼みなのは何も視聴者だけではない。テレビ局側も、今じゃ「春のマツコ祭り」である。白いお皿は当たらないけれど。 4月4日は『池上×マツコ ニュースな話』(テレビ朝日系/19:00〜)、『アウト×デラックス』(フジテレビ系/10:00〜)、5日は『マツコの知らない 〜SP〜』(TBS系/21:00〜)と、たった2日間でプライムタイムはマツコだらけ。こうなると、なかばメディアジャックレベルだ。 基本的に、テレビに出すぎていると飽きられるのも早いはず。マツコは確か2年前くらいから露出がグンと増え、民放キー局はほぼ制覇。それでも飽きない・飽きられないのは、マツコが各種芸能人や有名人の特色をすべて満たせるからだ。もっと言えば、スタジオに不要な芸能人を切り捨てる“リストラ&ギャラ節約”を可能にしたのがマツコである。 池上彰とサシで、ほかのゲストなしに構成した『池上×マツコ〜』は、社会情勢や日本が抱える問題点に斬りこむ番組だった。今までの池上起用スタイルは、おバカな芸能人相手に池上がわかりやすく解説するのが定番だった。が、もはやおバカな芸能人は不要で、核心を突くことが池上にも求められている時代。そこで適役だったのがマツコである。 知ったかぶりするでもなく、ドン引きするほどKYな質問をするでもなく、ちょうどいい塩梅で現状を咀嚼していくのはマツコならでは。少し小さくまとまりすぎた感もあるし、池上から最後に「いつものマツコと違う」とツッコまれてはいたけれど。 また、『アウト×デラックス』は素人玄人問わず、痛々しいキテレツさん(アウトな人)を呼んで盛り上げる番組だが、そもそもマツコも一般社会で言えばアウトな人。だからこそ、嘘偽りや余計な気遣いをすることなく、アウトな人をいじり倒せるわけだ。こうした番組は、自分がまっとうだと信じて疑わない人にMCをさせても、鼻につくだけである。 『マツコの知らない世界』は、いまだ買い控えと節約から離れられない、貧乏くさい日本社会に、消費欲を煽ることに成功。次々と出される食品をたった3口で美しく食べていくマツコは、ベテラングルメレポーターをこぞって失業させるレベルである。 セクシュアルマイノリティであり、男であり、女(装)であり、オジサンでもあり、オバサンでもあるマツコ。芯の通った物言いは評論家や専門家の人々の代わりになる。毒舌と自虐のバランスの良さは、お笑い芸人を凌駕している。図々しさと業の深さは熟女タレントよりはるかにうわてだ。性別も世代も越えて、あらゆる層の共感を得られるなんて、最強である。そのうち、出産や育児についてもキレのある提言をしてくれるんじゃないかと思うほど。そうなると、ブログ炎上と物販で稼ぐB級ママタレたちも職を失うだろう。 とはいえ、マツコ自身がまったく興味のないことまで手を広げさせられるのも、さぞかしツラかろう。そのうち、消費されて疲弊し、死んだ魚のような目になったマツコが映し出されるかもしれない。そうなる前に、大橋巨泉のようにやり逃げしちゃいなよ。 (文=吉田潮/ライター・イラストレーター) ■おすすめ記事 株価によってスカートの丈が変わる!? アイドルユニット「街角景気☆JAPAN↑」 が衝撃デビュー! 芸人ブームの終焉(?)受け、テレビで台頭めざましい歌手たちは、なぜ面白い? セキュリティソフトだけでは危険?ダブルクリックNG、とりあえずググれ! 矢部浩之、結婚披露宴直後に裕子の前で「世に出ていない火遊びがたくさんある」と告白 銀行ATMの手数料って一体なんのためにある? みずほ銀行に直撃してみたマツコ・デラックスの所属事務所・
ナチュラルエイトのHPより
「テレビの中でも外でも言いたい放題!」マツコ・デラックスの“無双”は今年も続く!?
「いつ消えても……」と言われながら、根強い人気を誇るマツコ・デラックス。同じく“毒舌タレント”の有吉弘行と担当するテレビ朝日系バラエティー番組『マツコ&有吉の怒り新党』(毎週水曜・午後11時15分~)も高視聴率を記録している。 マツコの魅力は言わずもがな、物おじしない発言力。芸能界復帰した酒井法子に対して聞かれた際には「ああいうこと(薬物事件での逮捕)があると、それで人生の深みが増すと言ってしまっていいのかは分からないけど、万人ができない経験をしたわけじゃない。それが、おかしな方向になれば面白いんじゃない」と独特の言い回しで評した。 一方でお笑いコンビ・オリエンタルラジオの藤森慎吾と、マツコの“天敵”と呼ばれるTBSの田中みな実アナウンサーとの交際が話題になった時には「なんでアナウンサーごときにギャーギャー言ってんのよ。世の中、そんなに関心ないわよ」とバッサリ。過去には同性愛者を嫌悪する石原慎太郎元東京都知事に対して「あの人は頭がおかしい。狂ってる」と罵声を浴びせたことも……。好き嫌いを隠さず、嫌いなものに対しては徹底的に糾弾する姿勢がマツコの魅力でもあるのだろう。 それはマスコミに対しても同じだ。 マツコの“男時代”の顔写真を掲載した社に電話で猛クレームを入れた話は知られているが、それ以外にもこんなことがあったという。 「マツコさんのプライベート写真を撮ったので、それを本人に見せたら、烈火のごとく怒り狂い『これを載せる意味があんのか! 載せたら出るトコ出るぞ!』と野太い声で恫喝されました」とは出版関係者。女性誌ライターも次のように証言する。 「ある女性タレントのスキャンダルを報じようとしたら、なぜかマツコさんから編集部に『なんでそんなこと書く必要があるんだ!』と電話が掛かってきたんです。聞けばその女性とマツコさんは友人で、女性からスキャンダルについて相談されたようなのです。義憤に駆られたマツコさんは、その女性のために記事を止めようとしたんでしょうけど……。結局、そのスキャンダルは掲載されました」 すると、後日マツコから再び編集部に怒りのクレーム電話が掛かってきたという。 「まさに“怒り心頭”といった感じで、ひたすら『上を出せ!』と。テレビで見せる毒舌はショーアップされたもので、こういう時のあの人は本当に怖い。ぶっちゃけ、この一件以来、マツコさんには触れないでおこうという結論に達しました」(同) いまやマスコミ業界でマツコは“取り扱い注意人物”の一人。当然、各社とも「あとあと面倒くさい」という考えが働き、スキャンダルを報じるのに及び腰になる。マツコの“無双状態”は今年も続きそうだ。『マツコの部屋 アタシ、誰のため
に生きてるの? 編』(ポニーキャニオン)
「スタッフが横暴すぎる」人気番組『マツコ&有吉 怒り新党』に“怒り心頭”な人が続出中!?

『マツコ&有吉の怒り新党』テレビ朝日
有吉イジリの“陰の帝王”は夏目三久? 本当は怖い『怒り新党』

『マツコ&有吉の怒り新党』公式サイトより
「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。
夏目三久が怖い。
『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)で有吉弘行に対し、「こわぁ~い」と怯えてみせる夏目が怖いのだ。いまさらその面白さを力説しても仕方ないくらいの安定感と浸透度を持っている『怒り新党』だが、まだまだその進化は止まらない。
もともとは、当代随一の毒舌タレントであるマツコ・デラックスと有吉弘行を組み合わせたら……? という、一見安易な企画から始まったような番組だったが、その思惑を超えて2人の「怒らない」コンビネーションが冴え渡り、深夜から23時台に昇格した。そして、この番組の雰囲気の重要なアクセントになっているのは、間違いなく夏目三久だ。当初は、“マツコと有吉のアシスタントなんだから、スキャンダラスな夏目がピッタリだろう”というような、これまた安易なキャスティングのように思われた。しかし、彼女はそんなタマではなかった。2人の意見に対しても決して流されず折れず、夏目は「違いますね」と笑顔で否定する。
「控室へのあいさつは不要」と2人に拒否されても「私はさせていただきます」と頑なに言ったかと思うと、結局途中から行かなくなり、その理由を問われると「面倒くさくなった」とふて腐れる。そのたびに、マツコと有吉は苦笑しつつ唖然とし、「怒らない」まま許してしまう。なにしろ、「夏目三久なのだから」。そう彼らに思わせてしまう、そんな怖さがあるのだ。
そしてついに、7月4日放送回のオープニングでは有吉が不在のまま始められ、彼の欠席裁判が行われていた。以前も「(イジったりすると)たまにホントにムッとしてるなって顔されますよね。プロなのに!」などと有吉を批評していたように、有吉には「拭えない壁」があるという夏目。「よく人に被害者意識が強すぎるとおっしゃるじゃないですか。あれ、自分ですよね」と本質を突いていく。有吉が戻ってくると、やはり瞬時に怯えた表情に変え、有吉イジりコントへ発展させていく。
彼の過去をイジるというような番組はよく見かけるが、最も鋭利に有吉の本質をイジり始めたのが『怒り新党』であり、アシスタントである夏目三久だったのだ。
そもそもマツコと有吉は、「強固な意志をもとに世の中や人生と戦ってます!」などと誤解されがちだ。しかし、彼らの主張の多くは「斜め」からの視線ではなく、ひどく真っ当な正論だ。たとえば、「何か新しいことをやろうとすると否定から入る日本人の気質が許せない」という視聴者からの“怒りメール”に対し、有吉は「世の中っていうのはそういうもんだからね。そりゃ上の人間は新しい芽を摘もうとするし、若い奴らは反抗していくし、ね」と答える。
マツコも同調し、「自分の理解できないものは恐怖じゃない、みんな。それをうまく理解させてあげられる人が優秀な人なんじゃないの? だから、それができてないってことは、彼の努力も足りないんじゃないの? それをうまく騙すじゃないけど、うまく理解させなきゃいけないわけじゃない、上の人にさ」と続ける。「ジジイころがしがうまい人って見てると、ジジイリスペクトもしてるんだよね。ジジイの面白さだったり、自分たちには持っていない部分だったりちゃんと評価し、尊敬した上でしてるから、ジジイも心開くわけよ。『俺、若い奴は苦手だけど、お前だけは信じられるんだよな』って言わせてる奴いるじゃん」と。
視聴者からのひねくれた“あるある”な社会批判を、「怒らない」代わりにベタな正論で返していくのだ(思えば番組随一の人気コーナー『新・三大○○調査会』も、見落とされがちなベタな王道を再評価する企画だ)。
有吉とマツコはどちらもコンプレックスを抱えながら、それを理論武装する形で自分自身を守っている。それが多くの視聴者にとって自分と重なり共感を呼ぶ。似たもの同士の2人だが、その思考は少しベクトルが違う。僕らはみんなどこかで「自分は他人より物事をわかっている」と思っている。そういう「理知的な自分」の代弁者が、「自分磨き」を「泥団子みたいなもんだよね。どんなにキレイに磨いても中身は泥だよ」と断罪する有吉だ。諦観を含んだ厳しさに僕らの優越感が共鳴する。
一方で、僕らは「自分は他人より劣っている」ことに怯えている。そんな「弱い自分」の言い訳をしてくれるのが「全員、同じくらい自分のこと嫌いだし、自分のこと大好きだよ」と諭したり、「人のせいにできないから、ストレスのせいにしてるのよ!」とムキになるマツコだ。弱さを許容する虚勢に僕らの劣等感が共鳴する。
そして、そんな2人を(それに共感し、快哉を叫ぶ僕らを)夏目三久は微笑みながら否定するのだ。恐ろしい女である。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
有吉イジリの“陰の帝王”は夏目三久? 本当は怖い『怒り新党』

『マツコ&有吉の怒り新党』公式サイトより
「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。
夏目三久が怖い。
『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)で有吉弘行に対し、「こわぁ~い」と怯えてみせる夏目が怖いのだ。いまさらその面白さを力説しても仕方ないくらいの安定感と浸透度を持っている『怒り新党』だが、まだまだその進化は止まらない。
もともとは、当代随一の毒舌タレントであるマツコ・デラックスと有吉弘行を組み合わせたら……? という、一見安易な企画から始まったような番組だったが、その思惑を超えて2人の「怒らない」コンビネーションが冴え渡り、深夜から23時台に昇格した。そして、この番組の雰囲気の重要なアクセントになっているのは、間違いなく夏目三久だ。当初は、“マツコと有吉のアシスタントなんだから、スキャンダラスな夏目がピッタリだろう”というような、これまた安易なキャスティングのように思われた。しかし、彼女はそんなタマではなかった。2人の意見に対しても決して流されず折れず、夏目は「違いますね」と笑顔で否定する。
「控室へのあいさつは不要」と2人に拒否されても「私はさせていただきます」と頑なに言ったかと思うと、結局途中から行かなくなり、その理由を問われると「面倒くさくなった」とふて腐れる。そのたびに、マツコと有吉は苦笑しつつ唖然とし、「怒らない」まま許してしまう。なにしろ、「夏目三久なのだから」。そう彼らに思わせてしまう、そんな怖さがあるのだ。
そしてついに、7月4日放送回のオープニングでは有吉が不在のまま始められ、彼の欠席裁判が行われていた。以前も「(イジったりすると)たまにホントにムッとしてるなって顔されますよね。プロなのに!」などと有吉を批評していたように、有吉には「拭えない壁」があるという夏目。「よく人に被害者意識が強すぎるとおっしゃるじゃないですか。あれ、自分ですよね」と本質を突いていく。有吉が戻ってくると、やはり瞬時に怯えた表情に変え、有吉イジりコントへ発展させていく。
彼の過去をイジるというような番組はよく見かけるが、最も鋭利に有吉の本質をイジり始めたのが『怒り新党』であり、アシスタントである夏目三久だったのだ。
そもそもマツコと有吉は、「強固な意志をもとに世の中や人生と戦ってます!」などと誤解されがちだ。しかし、彼らの主張の多くは「斜め」からの視線ではなく、ひどく真っ当な正論だ。たとえば、「何か新しいことをやろうとすると否定から入る日本人の気質が許せない」という視聴者からの“怒りメール”に対し、有吉は「世の中っていうのはそういうもんだからね。そりゃ上の人間は新しい芽を摘もうとするし、若い奴らは反抗していくし、ね」と答える。
マツコも同調し、「自分の理解できないものは恐怖じゃない、みんな。それをうまく理解させてあげられる人が優秀な人なんじゃないの? だから、それができてないってことは、彼の努力も足りないんじゃないの? それをうまく騙すじゃないけど、うまく理解させなきゃいけないわけじゃない、上の人にさ」と続ける。「ジジイころがしがうまい人って見てると、ジジイリスペクトもしてるんだよね。ジジイの面白さだったり、自分たちには持っていない部分だったりちゃんと評価し、尊敬した上でしてるから、ジジイも心開くわけよ。『俺、若い奴は苦手だけど、お前だけは信じられるんだよな』って言わせてる奴いるじゃん」と。
視聴者からのひねくれた“あるある”な社会批判を、「怒らない」代わりにベタな正論で返していくのだ(思えば番組随一の人気コーナー『新・三大○○調査会』も、見落とされがちなベタな王道を再評価する企画だ)。
有吉とマツコはどちらもコンプレックスを抱えながら、それを理論武装する形で自分自身を守っている。それが多くの視聴者にとって自分と重なり共感を呼ぶ。似たもの同士の2人だが、その思考は少しベクトルが違う。僕らはみんなどこかで「自分は他人より物事をわかっている」と思っている。そういう「理知的な自分」の代弁者が、「自分磨き」を「泥団子みたいなもんだよね。どんなにキレイに磨いても中身は泥だよ」と断罪する有吉だ。諦観を含んだ厳しさに僕らの優越感が共鳴する。
一方で、僕らは「自分は他人より劣っている」ことに怯えている。そんな「弱い自分」の言い訳をしてくれるのが「全員、同じくらい自分のこと嫌いだし、自分のこと大好きだよ」と諭したり、「人のせいにできないから、ストレスのせいにしてるのよ!」とムキになるマツコだ。弱さを許容する虚勢に僕らの劣等感が共鳴する。
そして、そんな2人を(それに共感し、快哉を叫ぶ僕らを)夏目三久は微笑みながら否定するのだ。恐ろしい女である。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
「私のブームはあと2年」マツコ・デラックスが語ったテレビという"怪物"

テレビ朝日 『マツコ&有吉の怒り新党』
公式サイトより
春の新番組が続々始まる中、有吉弘行、マツコ・デラックスの毒舌家二人と、日本テレビを退社しフリーアナウンサーとなった夏目三久の『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)が4月6日にスタートした。マツコが幹事長、有吉が政調会長として、有権者(視聴者)から寄せられた苦情をジャッジするという異色のバラエティー番組だ。初回の放送では、両者が「『怒れ』と言われても怒れない」と番組の企画自体を批判する意外な展開となったが、さらにマツコは現在の自らの立ち位置についてこう語った。
「私は分かってるの。(自分のブームは)あと2年ぐらいだって。でも、ここまでどっぷりテレビに漬かると(逆に)負けないって思う。テレビは一番巨大なメディアで、(テレビに出ていた人が)テレビに出なくなった時点で何もかも終わったかのように思われてしまう。私が主戦場としている物書きの世界でも、私がこれだけテレビに出てたのに、いなくなったら『あいつはダメなやつだ』と思うはず。そんな危険なことを始めてしまったと思って、週に1回でもいいから、出ていないとすべて失うと思う。怖いわよ、テレビ」
昨年10月にフジテレビの改編イメージキャラに選ばれ、妊婦に扮したポスターが話題をさらったマツコ。だが、そのタイミングで始まった『(株)世界衝撃映像社』(同局系)と、09年10月から放送の『マツコの部屋』(同局)は3月で終了。4月からは『スター☆ドラフト会議』(日本テレビ系)と『怒り新党』がスタートしたが、現在レギュラー番組を4本抱える彼女について、あるスポーツ紙記者は次のように明かした。
「マツコはゲイ雑誌『Badi』(テラ出版)の編集者やコラムニストを経て、現在のポジションを確立。くりぃむしちゅーの事務所であるナチュラルエイトに所属しており、くりぃむとは『有田とマツコと男と女』(TBS系)、『スター☆ドラフト会議』でも共演。『5時に夢中!』(東京MXテレビ)での歯に衣着せない発言が話題となりましたが、あまりにも世間の注目を集めすぎたため、最近は歯切れが悪くなってきていますね。有名になり、多くのタレントや著名人と関わるうちに、噛み付ける人間が少なくなってきています」
異形の風体と舌鋒鋭いコメントで注目されたマツコだが、『しゃべくり007』(日本テレビ系)では、くりぃむらと相撲のぶつかり稽古を行い、『お試しかっ!』(テレビ朝日系)の「帰れま10」ではフライドチキンを食べまくるなど、テレビタレントとしても定番化。見慣れたものには飽きてしまうのが人間の性だろうが、この世で一番の怪物は、常に新たな刺激を求めてしまう人間の欲望なのかもしれない。




