プロ野球の賭博問題は、巨人・高木京介投手の1年間の失格処分で幕引きが図られようとしている。だが「このまま終わるはずがない」と明かすのは、ヤクザ実話誌の記者だ。というのも、指定暴力団・山口組の分裂が、この騒動に関係しているのだという。 「巨人選手の間に入り込んでいた闇社会の連中がいて、その中に山口組の分裂で仲たがいした関係者が複数いるんです。一方が巨人選手の弱みをネタにカネにしようと動いているところ、もう一方はこれを守って新たな弱みにしようとしているという話を聞きました。事実なら、相当厄介ですよ」(同) 巨人の渡邉恒雄・最高顧問の辞任にまで発展した野球賭博問題はその後、複数球団にわたって「声出し」と呼ばれる賭け行為や、高校野球を対象に金銭を賭ける「くじ」行為などが続々と明らかになり、球界全体を巻き込んだ大問題に発展している。 シーズンは予定通り開幕する見込みだが、「混乱した状況が続けば、試合どころではなくなるのでは?」と話すのは同記者だ。 「もともと野球選手は暴力団にとっていいカモで、大金を稼いでいても社会性に乏しいので取り込まれやすい。これを、一気に搾り取らず長期的に金を奪い続けるのがヤクザのやり方です。基本、ヤクザの息のかかったカタギの人間を接近させるんですが、表向きヤクザの姿はないので、高木投手みたいに『怖い人だと後でわかった』となるんです。モメたらモメたで、別のヤクザが『収めてやる』と出てくるのが、この世界の常套手段。実際には、2人のヤクザが仲間内で事態収拾を演出しているだけ。そうして新たな借りを作らせるんです」(同) だが、今回の山口組の分裂で、事情が変わってきたのだという。 「高木投手には『問題の仲介人と手を切らせてやる』と怪しいコンサルタントの男が近寄っていたことがあるんですが、この男は組の分裂で、仲介人に反目していた人物なんです。通常なら出来レースであるところが、今回は本当に利権の奪い合いになっているらしいです。分裂している山口組は今、風俗店のみかじめなどでシノギの奪い合いになりつつあるので、高木投手はすべて告白してカタをつけたつもりでも、第5、第6の選手や関係者がいたら強硬的な動きが出てきて大変なことになるのでは……」(同) 実際、渡邉最高顧問ら上層部の辞任があったのも、暴力団からのユスリタカリの二次被害に遭わないためだという見方もあるほど。山口組は目下、昨年の分裂騒動以降、六代目山口組と神戸山口組が連日のように小競り合いを続けており、3月17日には大阪・堺市にある山口組系事務所の入り口に軽自動車が突っ込んだ。こうした衝突は関西で今年7件(23日現在)も発生しており、さらに17日には茨城・水戸市の山口組系事務所に、灯油入りの瓶が投げつけられた。この状況下、拳銃のヤミ売買で相場が高騰しているという物騒な話もある。 暴力団の抗争に巻き込まれる恐れについて巨人に問い合わせると「把握していない」と、冷たく電話を切られた。だが、暴力団との関わりは記者の電話のように簡単に切れるものではない。選手の身に、何もなければよいのだが……。 (文=ハイセーヤスダ)ナベツネ辞任でも、騒動は収まらない!?
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次は誰だ!? 球界激震の巨人野球賭博騒動「他球団も含め、14人の名前が……」
わかっているだけでも、14人の名前が浮上中……。野球賭博にはまだ疑わしき者がいるようだが、現時点でその名前は公にされていない。 3月8日、読売ジャイアンツが発表した高木京介投手の野球賭博。昨年、福田聡志、笠原将生、松本竜也の巨人3投手が解雇されてから4カ月、事態は収束どころか、さらに広がりを見せてしまった。 実は昨年、筆者の取材に内情を打ち明けていた球団関係者は「この3人で終わったらウソ」と漏らしており、“笠原人脈”と呼ばれる疑惑の人物名を数名挙げていた。そのひとりが高木だった。 「高木さんは熱狂的なパチンコ好きで、危ないよ。本人は否定しているけど、聞かれたことに首を横に振っただけだから疑惑は晴れない。もっと調べれば、何か出てくると思う」(同) この関係者からは、ほかに疑わしい人物として中堅投手と野手の3名の名前が聞かれたが、巨人は「ほかに関与した人物はいない」との調査結果を発表した。ただし、その調査とやらはヒアリングをしただけで、当人が「やってません」と言えば、それ以上の追及はないものだった。 「たとえば選手が違法な裏カジノに出入りしていたことは、“野球賭博ではない”という理由だけでお咎めなしのまま封印されています。高木から賭けトランプに誘われたチームメイトがいたんですが、その話もセーフにしちゃって公表しなかった」(同) 昨年の3選手の処分で幕引きしようとしたわけだが、結果的にその判断はアダとなった。今回、あらためてその球団関係者に聞くと「ほら、言った通りになった。でも、いま他球団を含め、14人の名前が挙がっている」と驚くべき話をした。 「彼らがみんな摘発されるかもしれないから、球団最高顧問のナベツネ(渡邉恒雄)さんらは逃げるようにさっさと引責辞任したんです。問題が拡大する暗示みたいなもの。高木の記者会見だって、一部で潔いという感じで扱われているけど、実際には野球賭博の胴元から『この件をバラすぞ』と脅されていて、泣く泣く罪を認めたわけだから」 野球賭博に詳しい元暴力団組員に、その脅しをかけてきた人物について聞いてみた。 「黒幕といわれている人物は、その世界ではちょっと知られた人物だと聞いている。野球賭博で飯を食ってきたようなやつだとすれば、それ専門にやっているはずで、高木投手が逃げても別の選手にも弱みをネタに脅しをかけるだろうね。多くは若い選手がターゲットにされる。その世界の業界用語では、賭け金をIN、払い戻し金はOUTと呼ぶんだけど、若い人のほうが『IN高』といって、賭け金を高く設定する傾向があるから。賭博をやっていることを知られたらまずい人ほど抜けられなくなるわけで、若い選手の参加は一番おいしいということ。その世界の連中なら、こんな騒動さえも逆手に取って参加した選手に揺さぶりをかけるはず。そうなると、高木投手みたいに泣きながら全部ぶちまける人のほうが少なくないと思う」 聞けば野球賭博の利益構造は複雑で、一球団だけを顧客ターゲットにしているなんてことはまずありえないという。事実、熊崎勝彦コミッショナーは12球団に再調査を指示。続々と「実はウソついてました」と言いだす者が出てくるのか、そうでなければ、闇の連中に取り込まれたままになるということだ。 (文=ハイセーヤスダ)読売巨人軍オフィシャルサイトより
ナベツネがゴリ押しする川上哲治さん再現ドラマに、局プロデューサーが“及び腰”のワケ
10月28日に93歳で逝去した元巨人監督の川上哲治さんの生涯をドラマ化する話が、日本テレビ系列の制作会社から持ち上がっているという。 「企画案では川上さんの背番号から『レッド16』というタイトル(仮題)で、打者として小柄ながら得意のバッティングを習得していった過程とか、絶好調の時に『ボールが止まって見える』と言った場面、また監督時代にエース不在の中でドジャースのコーチ、アル・カンパニスの著書『ドジャースの戦法』を応用して日本シリーズを勝ち抜いた知的戦略あたりがハイライトになりそう」(同局関係者) 天才打者にして育て上手、監督としていまだに誰も打ち破れない9連覇を成し遂げた川上さんの生涯はドラマティック。打撃の神様と呼ばれた彼のバッティニングフォームは今でも少年野球で映像が教科書として使われるほどで、その技術的な部分は野球ファンにも興味深い。ただ、関係者からは「あまりやりたがるプロデューサーがいない」という話も聞かれる。 「実はこの話、読売新聞社の渡邉(恒雄)会長サイドから発案されたものらしく、楽天との日本シリーズ中、川上さんが亡くなった日に巨人が粘り勝ちしたのを見た渡邉会長が『今こそ、川上イズムを若い連中に伝えるべきだ』と日テレ関係者に言い渡したというんです。ただ、そうなると、内容に何かと口出しされる恐れがありますし、スケジュール的にも来春の開幕時に放送してくれという要望があったりで、後ろ向きな関係者は多い」(同) また「スポーツ選手の再現ドラマは過去、視聴率が取りにくかった」という話もある。楽天が巨人を破った第7戦の視聴率(テレビ朝日系)は関東で平均27.8%、本拠地の仙台では平均44%と高かったが、それでも「若い人に川上さんの認知度が高いとは思えませんし、実は情報番組で川上さんの死を伝えたものも、あまり数字はよくなかった」と関係者。 その一方で「あのナベツネさんの指令なら、局内のポイント稼ぎとしては大きい」と、出世を当て込んで乗り気になっているプロデューサーや放送作家もいるという。 「以前、ゴールデンタイムでモーニング娘。のメンバーに渡邉会長を訪問させてヨイショする番組を企画した連中は、後に“ご褒美”をもらったって話ですし」(同) 日本テレビは「現在、オンエアの予定はわかりません」とコメントしているが、実際にこの話は、まだキャスティングすらされていない段階。日頃からナベツネの“ゴリ押し”に批判的な関係者もいるため、ドラマ化が実現するかどうかは未知数だ。「ベースボールマガジン増刊 さらば、永遠の赤バット 川上哲治 追悼」2013年12月号(ベースボール・マガジン社)
「もう球団とは無関係」元巨人監督・堀内恒夫氏の国政進出がナベツネに大反対されていた!?
8月9日、自民党の中村博彦議員の急逝に伴い、繰り上げ当選して参議院議員になった元巨人監督の堀内恒夫氏に対し、ナベツネこと読売新聞社の渡邉恒雄会長は、これに大反対したとの話が伝わっている。 同社の関係者によると「元ヤンキースの松井秀喜に監督を打診するプランでは、堀内さんにヘッドコーチを依頼するつもりだったそうです。2人は野球理論や肉体維持などの手法で非常に近い意見を持っていて、会長は堀内さんなら松井を補佐できると考えていた」という。 そんなナベツネの思惑を知ってか、堀内氏が繰り上げ当選を真っ先に報告したのもナベツネだったというが、「どうも“辞退してくれ”と言われた様子だった」と同関係者。 しかし、かつては「悪太郎」と呼ばれたほど頑固なところもある堀内氏は「必死に選挙を戦った結果。これは天命」と辞退を断ったという。 「会長は何も言わず電話を切ったそうですから、堀内さんも巨人と袂を分かったということでしょう。監督としてあまり良い結果を残せませんでしたが(04年3位、05年5位)、解説がうまく、同じ読売グループの日本テレビなんかは“この先、議員を辞めたら仕事をお願いしたいですし、使いにくくなったら困りますね”とボヤいていましたよ」(同) ただ、堀内氏は急な当選に、秘書の人選に戸惑うなど、議員としての体制に苦慮しており、そこもナベツネの影響があると関係者は話す。 「参院会館の304号室には登院直後、王(貞治)さんや長嶋(茂雄)さんから花が届いていましたが、原監督とか現役選手からはお祝いの電話一本もなかったそうで、堀内さんが秘書としてアテにしていた元巨人職員の男性も、そんな状況を見て仕事を引き受けられなかったそうです。読売グループと関わっている人たちは距離を置く感じですね」(同) それでも堀内氏の政治への意欲は強く「本人は存在感を放とうと、やる気マンマン」という話が政治記者たちから聞かれる。 「今後、和解するとすれば会長の意向を受けて国会で発言するとか、そういったことで恩返しするしかないですが、堀内さんはそういうことをするような人には見えないんですよね」(同) このあたりを巨人軍の広報に取材すると「会長が堀内氏の議員転身に反対したという話は聞いていない」としたが、「議員になられてから、堀内氏は球団とは無関係です」と話の最後に付け加えており、やはりかつての縁は切れた様子。堀内氏は「スポーツを通じて福祉やイジメ問題に貢献したい」と抱負を語っているが、巨人軍が彼の活動に協力することはなさそう? (文=鈴木雅久)
「マスコミには清武の味方になる理由がないだけ! 巨人の裏金は他球団が悪い」エモやんが語る球界と巨人
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──元選手であり、著作やスポーツ紙などで持論を展開してきた”エモやん”こと、プロ野球解説者の江本孟紀氏。彼は、巨人にまつわる一連の事件や現状をどのように見ているのだろうか。 清武(英利)さんの乱は、ただの内輪もめだよね。GM(ゼネラル・マネージャー)を清武さんにやらせてしまったのがそもそも問題だったんですよ。彼は読売新聞の社会部で部長をやっていて、大きな事件を追いかけたりしていたかもしれないけど、野球に関しては素人。それを育成制度が評価されて勘違いして、チームの編成や人事にまで首を突っ込むようになった。現場からしてみたら、「野球素人に何がわかるんだ」っていう気持ちが強いですよ。補強にしたって、使えない外国人選手を取ってきては、現場に押し付けて。原(辰徳)監督も大分不満がたまっていたはず。ほんとは熱血漢だったのかもしれないけど、結果球界と自分のイメージを悪くしただけでしたね。 そもそも、アメリカのメジャーリーグ(MLB)のように、GM制度を取り入れたいんだったら、まずは複数オーナー制にするなど、組織の作り方からMLBに倣うべきなんですよ。日本の場合は親会社が100%出資している球団に、上から出向してきた形だけのGMでしょう。結局親会社やオーナーの発言力が強くなるから、上辺だけの制度を取り入れたって上手くいくはずがない。清武さんがGMに就任した時に、僕は「清武さんは読売を退社して、GMとして巨人と契約するべきだ」って主張したんだけど、結局出向の形でGMになって、結果、こうなっちゃった。当時、偶然清武さんと飛行機で隣の席になったことがあって、乗っている間中、MLBのシステムに関してレクチャーもしたんだけどね。その時は感心してたのになぁ……。こんないざこざが起きた場合、MLBだったらコミッショナー【編註:各チーム、各団体の上に立ってその統制をとる最高権威者のこと】が最大の権限を持っているから、巨人に厳重注意したり、処分したりできるんだけど、日本の場合コミッショナーはただのお飾り。結局、巨人を筆頭に、12球団のオーナーの権限ですべてが決まってしまうんです。 この一連の件に関して、一部では「球界関係者は巨人が怖くて、ナベツネ(渡邉恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆)のことをバッシングできないんだよ」って言う人もいるけど、この件では巨人に敵対するというよりも、清武さんの味方になる理由がないんだよね。ナベツネさんにも悪いところがあるのはわかってるけど、我々だって現場のことがわかっていない素人に対しての意地がある。日本シリーズ直前に会見を開くあたり、その感覚がズレているでしょう。本当に野球を愛している人間なら、大事な試合の前にあんな騒動を起こしたりしませんよ。 それに巨人って、本来は批判に対して懐が深いんですよ。僕もスポーツ紙なんかにいつもボロクソ書いていますけど、文句言われたことなんか一度もない。だから、巨人を恐れて批判しないっていうムードはないよね。そうそう、ナベツネさんって、あれだけ巨人のことをボロクソに書いている「夕刊フジ」のことも、意外と好きだったりするんですよ。ある記事を気に入って、その記者を読売新聞本社に呼んだりしたこともあるらしくて。ところが「夕刊フジ」は、当時清武さんから出入り禁止を食らっていてさ。それを聞いたナベツネさんの鶴の一声で、出禁が解除になった。でもその記者は、「出禁のほうが遠慮なくボロクソにできたんだけどねぇ。かえってやりづらくなったよ」なんてボヤいてましたけど(笑)。 ■「どこも買えないんだろ?」契約金問題の本当の事情 今回の件に関しては、”飼い犬に手を噛まれた”ナベツネさんを見てるのも面白いし、ナベツネさんも自分の発言がメディアに取り上げられて騒ぎになっているのを楽しんでいるところもあるでしょう(笑)。あの人はエンターテイナーだから。とはいえ、ナベツネさんも86歳。さすがにもう長くないし、巨人はナベツネさんが死んでからが問題だよ。あの人がいなくなっちゃうと、各球団が好き勝手言い始めると思う。だから、それまでにMLBのようなコミッショナーを頂点とした球界システムを整えておく必要がある。その場合もやはり、巨人が先頭に立って旗を振らないといけないと思うよ。 巨人は金満球団で、なんでも金にモノを言わせているという印象が強いけど、もともと10億円とも言われた阿部(慎之助)や高橋(由伸)の契約金や裏金疑惑に関しても、巨人だけを責められる話じゃない。そもそも、他球団が有望選手を巨人に取られないように裏金を渡し始めたんだから。FA(フリー・エージェント)制度で強引な補強をしていると言われている件も、他球団が年棒の高いFA選手を雇えないから巨人が手を挙げているだけ。「どうせどこも買えないんだろ?ウチは金あるから買うけど」みたいな(笑)。まだまだ、懐にも体力的にも巨人には余裕がある。やはり、巨人が率先して改革しないとプロ野球は変わらないですよ。ソフトバンクの孫(正義)さんや、楽天の三木谷(浩史)さんのような、新時代の経営者とか呼ばれてる人たちが参入してきて、大きく変えてくれるかなと思いきや、結局彼らだって、旧態依然としたシステムの中でしかやれていないでしょう? それがいい証拠です。 僕の年代だと、心の隅に”巨人願望”ってあるのよ。四国の田舎(高知)出身だから巨人しか知らなかったし、長嶋(茂雄)さんに憧れたりもした。僕が現役だった時代だって、毎日テレビ放送があって、後楽園球場に観客が5万人も入っていて、巨人はとても人気があった。世の中全体に「巨人に勝たせなきゃいけない!」っていう空気すらできてたからね。巨人と対戦してると、7回くらいから急にストライクゾーンが厳しくなったりして(笑)。審判が意識的にやっていたのかどうかはわからないけど、それだけ、巨人中心に野球界が回ってたんだよ。でも、僕は阪神タイガースに入って、巨人が”親の敵”みたいになっちゃった。だから、巨人愛は持っていないけど、球界を変革してくれることには、これからも期待してますよ。 (文/高橋ダイスケ) 江本孟紀(えもと・たけのり) 1947年、高知県生まれ。現役時代は南海ホークスや阪神タイガースで投手として活躍し、引退後は、野球解説者、政治家として活躍。エモやんの愛称で親しまれ、南海時代から、その歯に衣着せぬ物言いで人気を集めた。近著に『野村克也解体新書』(無双舎)、 『「アホ」がプロ野球を滅ぼす』(KKロングセラーズ)ほか。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人タブーを暴く記事が満載!】 ・『Gファイル』執筆者のジャーナリスト・武田賴政が指摘! 「球界が角界のように腐敗するかの分水嶺」 ・スポーツライター永谷脩が苦言「ついに表面化した巨人軍の”カネ”と”驕り”」 ・「週刊ベースボール」編集長・小林光男が語るファン心理 盟主だからこそ表に出た醜聞の意義とは?(写真/丸山剛史)
■「サイゾーpremium」とは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
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清武の乱、契約金超過問題、トドメに原の1億円……紳士なんかじゃない! 巨人軍スキャンダル史
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“球界の紳士””球界の盟主”と呼ばれてきた読売巨人軍が、「週刊文春」6月28日号の報道に端を発するスキャンダルに、揺れている。かねてより同球団に対しては球界の内外から毀誉褒貶相半ばしてきたが、今回の事件や”清武の乱”といった騒動が相次ぐなど、一体巨人軍はどうしてしまったのか? 球界関係者や昔からのファン、あるいは球団を取材してきた人物たちは、今の巨人軍をどう捉えているのか。それぞれの立場からの視線によって、現在の”巨人像”を浮かび上がらせてみよう――。 「巨人軍は常に紳士たれ」「巨人軍は常に強くあれ」「巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」――これは、読売巨人軍の創設者たる読売新聞社主・正力松太郎が遺した「巨人軍憲章」だ。日米野球興行出場チーム「大日本東京野球倶楽部」(1934年発足)から、「東京巨人軍」と改称された36年に正力が示したこの訓示は、とっくの昔に消え去った昭和の夢といっていいだろう。 巨人が「紳士ではない」ということは、球団発足から今日に至るまでのさまざまなスキャンダルがそれを証明している。プロ野球史上最も有名な、巨人が引き起こした醜聞といえば、78年の「空白の一日」事件【註1】だろう。前年のドラフト会議にてクラウンライターライオンズ(当時)の指名を拒否し、アメリカに留学中だった江川卓と、野球協約の穴を突く形で電撃契約。ほか11球団のみならず、世間からの大非難を浴びた。その後も、85年のKKコンビドラフト事件【註2】、90年の桑田真澄野球賭博疑惑【註3】、97年の高橋由伸入団にまつわる裏金疑惑【註4】、99年の篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件【註5】、04年の一場靖弘”栄養費”事件【註6】……と、”順調に”スキャンダルを積み重ねてきた。 そして11年から今年にかけて、またしても球界を揺るがすようなトラブルが、巨人を震源として立て続けに巻き起こっている。11年日本シリーズ(福岡ソフトバンクホークス対中日ドラゴンズ)開始の前日であった11月11日、清武英利球団代表(当時)が、「読売巨人軍のコンプライアンス上の重大な件」を告発する記者会見を開催した。内容は、来季の巨人のヘッドコーチ人事について、渡邉恒雄球団会長が不当に介入し、同氏の”鶴の一声”によって人事がめちゃくちゃにされている。渡邉氏による巨人軍・プロ野球の私物化を許すことはできない――というもの。オリンパス事件が世を騒がせていた折、「コンプライアンス上の」と言うから「すわ、野球賭博の告発か」などと色めき立った野球ファン・マスコミは、いささか肩透かしを食らった格好になった。のちに「清武の乱」と呼ばれることになるこの告発については、当事者たる清武氏の言葉も参照してほしいが、巨人を見舞ったスキャンダルはこの後も容赦なく続いている。 ■「清武さんへ」と題された異例の呼びかけの行方は? さらに今年3月15日、朝日新聞朝刊の一面を、「巨人、6選手に契約金36億円 球界申し合わせ超過」という見出しが飾った。97年~04年度に入団した、阿部慎之助選手・野間口貴彦選手・高橋由伸選手・上原浩治選手・二岡智宏選手・内海哲也選手の6人に対し、球界で申し合わせた新人契約金の最高標準額(1億円+出来高払い5000万円)を超える契約を結んでいたことをすっぱ抜くスクープだった。確かに”申し合わせ”は厳密なルールではないし、違法行為でもない。かつて横浜ベイスターズ(現DeNA)や西武ライオンズにおいても、契約金の超過が発覚したことはある。しかし、前出の一場靖弘にまつわる”前科”もあり、また何よりこの「36億円」という額のあまりの大きさが、かねてより批判されてきた”金にものを言わせて選手を引っ張ってくる”という巨人のやり方をさらに強調し、世間の反発を呼び起こした。 そして6月21日、「週刊文春」(文藝春秋)が、原辰徳監督の不倫スキャンダルをスクープ。現役巨人選手だった88年、関西遠征に際して球団で宿泊していたホテル従業員の女性と不倫関係に陥り、06年にその女性の日記を持っているという男性2人から1億円を要求され、原監督がこれに応じたとする内容だった。日記には原以外にも、2人の巨人コーチ(88年当時は同球団選手)の名前が記されていたとされる。この報道が世に出るとすぐ原は「清武さんへ」と題する談話を発表。「巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いでいます。たくさんの暴露が行われ、巨人軍関係者を混乱させ、選手、OBを苦しませています。(略)こんなことがなぜ続くのか。清武さんのほかに、いったいだれがいるのか」と、本件の情報元が清武氏であると名指しで非難した(清武氏はこうした巨人側の発言を名誉毀損とし、7月25日に提訴)。原を脅した男性2人は暴力団関係者とされ、うちひとりは現役選手の父と報じられている。さらには、この男性2人と原を仲介したのが、巨人出身である現横浜DeNAベイスターズ監督・中畑清であったという報道も飛び出し、暴力団排除の機運が上がり続ける世の中において、巨人のずさんな体質が露呈した格好となった。 巨人は確かに発足の当初から球界における別格であり、数々の伝説やスーパースターたちが彩る華やかな歴史があり、それゆえに異形の存在でもある。以降の本特集では、元プロ野球選手や読売新聞関係者、巨人を取材してきたジャーナリスト、そして熱烈なファンら、識者たちの目を通して、現在の巨人軍の姿を見ていきたい。そこに浮かび上がるのは、崩落寸前の”盟主”の看板か、かつての輝きが垣間見える栄光の残滓なのか――。 (文/松井哲朗) ■巨人裏面史 【註1】「空白の1日」事件(78年) 77年のドラフトでクラウンライターライオンズから1位指名された江川卓。指名を蹴って1年浪人するが、同球団の入団交渉権が切れた78年11月21日、突然巨人入りを発表。翌日にドラフト会議を控え、”空白の1日”となる同日であれば希望の球団に入団できるという野球協約の穴を突いた契約だった。当然大問題になり、ドラフト会議は大荒れ。結局、江川はいったん阪神に入団し、その後、小林繁とのトレードによって巨人入りを果たした。 【註2】KKコンビドラフト事件(85年) PL学園の同級生だった清原和博と桑田真澄。巨人入りを熱望する清原に対し、桑田は早稲田大学進学を表明。ドラフトの目玉は清原、桑田は回避との予測が立ったが、実際は巨人が桑田を1位指名。清原には巨人以外の6球団から指名が集中した。桑田・巨人間の密約の存在が囁かれた。 【註3】桑田真澄野球賭博疑惑(90年) スポーツメーカーの営業マンだった中牧昭二氏が、告発本『さらば桑田真澄、さらばプロ野球』(リム出版)で、アドバイザリー契約の見返りに桑田から多額の金品を要求されたと暴露。当時桑田が親しかったメンバーズクラブ社長に登板日を伝えていたような描写があったため、野球賭博に関与していたのでは、と疑惑に火がついた。 【註4】高橋由伸入団裏金疑惑(97年) 97年ドラフトの目玉・高橋由伸。スカウト合戦をヤクルトが制し、読売グループ傘下の報知新聞さえ「ヤクルトへの逆指名」と報じていたが、巨人へ逆指名入団。その後、高橋の父が所有する不動産が焦げついて莫大な借金を背負っていたこと、それを巨人サイドが肩代わりしたことが報じられる。 【註5】篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件(99年) 99年10月15日、巨人軍出身でコーチを務めていた篠塚和典が、家宅捜索を受けた。所有者を偽ってナンバーを登録する、「車庫飛ばし」を行っていた容疑で経営者が逮捕された自動車販売会社の役員に名を連ねていたことから、こうした事態が勃発。同社は後藤組のフロント企業とされていたため、篠塚本人と裏社会の交友も取り沙汰された。 【註6】一場靖弘”栄養費”事件(04年) 明治大学野球部4年だった一場靖弘に、巨人が栄養費などと称して総額約200万円を渡していたことが発覚。球団オーナー渡邉恒雄と社長の土井誠、球団代表の三山秀昭らが引責辞任した。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人タブーを暴く記事が満載!】 ・「マスコミには清武の味方になる理由がないだけ! 巨人の裏金は他球団が悪い」エモやんが語る球界と巨人 ・「責任転嫁ばっかりしてると選手に呆れられる」“球界の野良犬”愛甲猛が知る原スキャンダルと野球賭博 ・「巨人の四番に女性問題がないわけがない」ビビる大木が嫌いになれない“1億円を払う”原の天然ぶり『私の愛した巨人』(ワック)
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清武の乱、契約金超過問題、トドメに原の1億円……紳士なんかじゃない! 巨人軍スキャンダル史
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“球界の紳士””球界の盟主”と呼ばれてきた読売巨人軍が、「週刊文春」6月28日号の報道に端を発するスキャンダルに、揺れている。かねてより同球団に対しては球界の内外から毀誉褒貶相半ばしてきたが、今回の事件や”清武の乱”といった騒動が相次ぐなど、一体巨人軍はどうしてしまったのか? 球界関係者や昔からのファン、あるいは球団を取材してきた人物たちは、今の巨人軍をどう捉えているのか。それぞれの立場からの視線によって、現在の”巨人像”を浮かび上がらせてみよう――。 「巨人軍は常に紳士たれ」「巨人軍は常に強くあれ」「巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」――これは、読売巨人軍の創設者たる読売新聞社主・正力松太郎が遺した「巨人軍憲章」だ。日米野球興行出場チーム「大日本東京野球倶楽部」(1934年発足)から、「東京巨人軍」と改称された36年に正力が示したこの訓示は、とっくの昔に消え去った昭和の夢といっていいだろう。 巨人が「紳士ではない」ということは、球団発足から今日に至るまでのさまざまなスキャンダルがそれを証明している。プロ野球史上最も有名な、巨人が引き起こした醜聞といえば、78年の「空白の一日」事件【註1】だろう。前年のドラフト会議にてクラウンライターライオンズ(当時)の指名を拒否し、アメリカに留学中だった江川卓と、野球協約の穴を突く形で電撃契約。ほか11球団のみならず、世間からの大非難を浴びた。その後も、85年のKKコンビドラフト事件【註2】、90年の桑田真澄野球賭博疑惑【註3】、97年の高橋由伸入団にまつわる裏金疑惑【註4】、99年の篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件【註5】、04年の一場靖弘”栄養費”事件【註6】……と、”順調に”スキャンダルを積み重ねてきた。 そして11年から今年にかけて、またしても球界を揺るがすようなトラブルが、巨人を震源として立て続けに巻き起こっている。11年日本シリーズ(福岡ソフトバンクホークス対中日ドラゴンズ)開始の前日であった11月11日、清武英利球団代表(当時)が、「読売巨人軍のコンプライアンス上の重大な件」を告発する記者会見を開催した。内容は、来季の巨人のヘッドコーチ人事について、渡邉恒雄球団会長が不当に介入し、同氏の”鶴の一声”によって人事がめちゃくちゃにされている。渡邉氏による巨人軍・プロ野球の私物化を許すことはできない――というもの。オリンパス事件が世を騒がせていた折、「コンプライアンス上の」と言うから「すわ、野球賭博の告発か」などと色めき立った野球ファン・マスコミは、いささか肩透かしを食らった格好になった。のちに「清武の乱」と呼ばれることになるこの告発については、当事者たる清武氏の言葉も参照してほしいが、巨人を見舞ったスキャンダルはこの後も容赦なく続いている。 ■「清武さんへ」と題された異例の呼びかけの行方は? さらに今年3月15日、朝日新聞朝刊の一面を、「巨人、6選手に契約金36億円 球界申し合わせ超過」という見出しが飾った。97年~04年度に入団した、阿部慎之助選手・野間口貴彦選手・高橋由伸選手・上原浩治選手・二岡智宏選手・内海哲也選手の6人に対し、球界で申し合わせた新人契約金の最高標準額(1億円+出来高払い5000万円)を超える契約を結んでいたことをすっぱ抜くスクープだった。確かに”申し合わせ”は厳密なルールではないし、違法行為でもない。かつて横浜ベイスターズ(現DeNA)や西武ライオンズにおいても、契約金の超過が発覚したことはある。しかし、前出の一場靖弘にまつわる”前科”もあり、また何よりこの「36億円」という額のあまりの大きさが、かねてより批判されてきた”金にものを言わせて選手を引っ張ってくる”という巨人のやり方をさらに強調し、世間の反発を呼び起こした。 そして6月21日、「週刊文春」(文藝春秋)が、原辰徳監督の不倫スキャンダルをスクープ。現役巨人選手だった88年、関西遠征に際して球団で宿泊していたホテル従業員の女性と不倫関係に陥り、06年にその女性の日記を持っているという男性2人から1億円を要求され、原監督がこれに応じたとする内容だった。日記には原以外にも、2人の巨人コーチ(88年当時は同球団選手)の名前が記されていたとされる。この報道が世に出るとすぐ原は「清武さんへ」と題する談話を発表。「巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いでいます。たくさんの暴露が行われ、巨人軍関係者を混乱させ、選手、OBを苦しませています。(略)こんなことがなぜ続くのか。清武さんのほかに、いったいだれがいるのか」と、本件の情報元が清武氏であると名指しで非難した(清武氏はこうした巨人側の発言を名誉毀損とし、7月25日に提訴)。原を脅した男性2人は暴力団関係者とされ、うちひとりは現役選手の父と報じられている。さらには、この男性2人と原を仲介したのが、巨人出身である現横浜DeNAベイスターズ監督・中畑清であったという報道も飛び出し、暴力団排除の機運が上がり続ける世の中において、巨人のずさんな体質が露呈した格好となった。 巨人は確かに発足の当初から球界における別格であり、数々の伝説やスーパースターたちが彩る華やかな歴史があり、それゆえに異形の存在でもある。以降の本特集では、元プロ野球選手や読売新聞関係者、巨人を取材してきたジャーナリスト、そして熱烈なファンら、識者たちの目を通して、現在の巨人軍の姿を見ていきたい。そこに浮かび上がるのは、崩落寸前の”盟主”の看板か、かつての輝きが垣間見える栄光の残滓なのか――。 (文/松井哲朗) ■巨人裏面史 【註1】「空白の1日」事件(78年) 77年のドラフトでクラウンライターライオンズから1位指名された江川卓。指名を蹴って1年浪人するが、同球団の入団交渉権が切れた78年11月21日、突然巨人入りを発表。翌日にドラフト会議を控え、”空白の1日”となる同日であれば希望の球団に入団できるという野球協約の穴を突いた契約だった。当然大問題になり、ドラフト会議は大荒れ。結局、江川はいったん阪神に入団し、その後、小林繁とのトレードによって巨人入りを果たした。 【註2】KKコンビドラフト事件(85年) PL学園の同級生だった清原和博と桑田真澄。巨人入りを熱望する清原に対し、桑田は早稲田大学進学を表明。ドラフトの目玉は清原、桑田は回避との予測が立ったが、実際は巨人が桑田を1位指名。清原には巨人以外の6球団から指名が集中した。桑田・巨人間の密約の存在が囁かれた。 【註3】桑田真澄野球賭博疑惑(90年) スポーツメーカーの営業マンだった中牧昭二氏が、告発本『さらば桑田真澄、さらばプロ野球』(リム出版)で、アドバイザリー契約の見返りに桑田から多額の金品を要求されたと暴露。当時桑田が親しかったメンバーズクラブ社長に登板日を伝えていたような描写があったため、野球賭博に関与していたのでは、と疑惑に火がついた。 【註4】高橋由伸入団裏金疑惑(97年) 97年ドラフトの目玉・高橋由伸。スカウト合戦をヤクルトが制し、読売グループ傘下の報知新聞さえ「ヤクルトへの逆指名」と報じていたが、巨人へ逆指名入団。その後、高橋の父が所有する不動産が焦げついて莫大な借金を背負っていたこと、それを巨人サイドが肩代わりしたことが報じられる。 【註5】篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件(99年) 99年10月15日、巨人軍出身でコーチを務めていた篠塚和典が、家宅捜索を受けた。所有者を偽ってナンバーを登録する、「車庫飛ばし」を行っていた容疑で経営者が逮捕された自動車販売会社の役員に名を連ねていたことから、こうした事態が勃発。同社は後藤組のフロント企業とされていたため、篠塚本人と裏社会の交友も取り沙汰された。 【註6】一場靖弘”栄養費”事件(04年) 明治大学野球部4年だった一場靖弘に、巨人が栄養費などと称して総額約200万円を渡していたことが発覚。球団オーナー渡邉恒雄と社長の土井誠、球団代表の三山秀昭らが引責辞任した。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人タブーを暴く記事が満載!】 ・「マスコミには清武の味方になる理由がないだけ! 巨人の裏金は他球団が悪い」エモやんが語る球界と巨人 ・「責任転嫁ばっかりしてると選手に呆れられる」“球界の野良犬”愛甲猛が知る原スキャンダルと野球賭博 ・「巨人の四番に女性問題がないわけがない」ビビる大木が嫌いになれない“1億円を払う”原の天然ぶり『私の愛した巨人』(ワック)
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清武英利元巨人軍球団代表が『巨魁』に込めた本当の思いとは? 出版差し止め請求とナベツネが書いた大きな嘘
【プレミアサイゾーより】
2011年に起きた「清武の乱」にはじまる一連の騒動について綴られた『巨魁』が、今年3月に発売された。同書の著者であり、本騒動の中心人物である清武英利氏は、今なお、もうひとりの主人公、ナベツネの標的にされ続けている。『巨魁』に込められた思いと、4月に読売が起こした同氏の復刻本差し止め訴訟について、清武氏があらためて口を開いた──。
月額525円で読み放題! (バックナンバー含む)
──清武さんが書かれた『巨魁』は、今まで噂されながらもあまり表に出てこなかった、渡邉恒雄氏の読売巨人軍内における横暴が描かれていました。2004年に清武さんが球団代表・編成本部長に就任して以降、問題と感じたのはどういったところですか? 清武英利(以下、清武) 渡邉さんが、ルールやコーチ、選手、ファンを無視して読売巨人軍を絶対支配しようとしていたところです。読売巨人軍は読売新聞の子会社のひとつですが、超優良企業だし、取締役会もある。なのに、重要事項や1億円以上の決裁となると、本社代表取締役の事前承認を受けないといけないという異例の定款があるんです。僕が告発しようとした時に「破滅だぞ」と言ってきたのは、子会社としての独立性を認めていないからでしょう。 それと、僕もそうでしたが、巨人の上層部は本社から来た役員ばかりだった。子会社に来たら子会社のことをまず考えないといけない。でもそんな状態だから、役員も親会社のほうばかりを見るようになってしまう。ほとんどの社員は生え抜きなのに、そんな上層部を見ていたら、やりがいなんて生まれませんよね。 ──長く現場から離れていた江川卓さんを突然ヘッドコーチにするというのは、とても無茶な話に感じたんですが、渡邉さんはどの程度野球を理解していたんでしょうか? 清武 桃井氏(恒和・現球団社長)に聞いたんですが、「今さら聞けないんだが、セカンドとショートはどっちがファーストに近いんだ?」と言っていたことがあるらしいんですよ(笑)。それくらい、野球についてはほとんど知らないと思いますよ。僕が知っていることとして言えるのは、あれだけ口を出していても、巨人の会議には一度も出たことはないんです。二軍のグラウンドに来たこともないし、キャンプにも来なかった。試合も、高い位置の席からしか見ていない。つまり、野球が身近な存在の人ではなかったんです。だってお客さんはヘッドコーチを見に球場に来ると思います? それでも、「江川を連れてくるんだ」って言われたら、なかなか逆らえないんです。 ──『巨魁』は、清武さんが行った巨人改革の本でもあります。清武さんが球団代表に就任されたのは、04年に起きた一場靖弘選手をめぐる裏金事件を受けて、渡邊さんをはじめ、上層部が解任されたことがきっかけですが、なぜこのような問題が起きたのでしょうか? 清武 渡邉さんがオーナーの時代というのが長く続いて、大金をかけて四番バッターばかりを集めた大艦巨砲主義になっていました。金にモノを言わせるという、そのやり方のつけが、一場事件に表れたんだと思いますよ。そもそも大金を使っているのに、渡邉オーナー時代はあまり優勝していないんですね。負けているのに、責任を取って辞めなかった。上が責任を取らないような組織じゃ、強くなれません。 ──まさにその時期、たとえば、97年には高橋由伸選手に6億5000万円、98年には上原浩治選手、二岡智宏選手にそれぞれ5億円、00年には阿部慎之助選手に10億円……と、球界で申し合わせた最高標準額を超える新人契約金を巨人が払っていたことを、今年3月に朝日新聞が報道じましたよね。 清武 上限がなかったからと言っているけど、それは嘘ですよね。申し合わせでもルールはルール。野球だってルールがあるから成り立つのに、ルールを台無しにしてなんぼでも払ってしまうようなトップがいるから問題なんです。1億円以上の決裁が行われているんだから、当然渡邉さんが事前承認していたはずなのに、問題をすり替えて責任を取らないんです。 ──もっと問題にするべきことなのに、その後の報道があまりされていないのはなぜでしょうか? 清武 報道がない理由は、僕にはわかりません。ただ、スポーツマスコミというのはひとつの村なんです。スポーツ村というのはすごく閉鎖的で、異分子を追い出そうとする傾向がある。彼らにとって巨人というのは大きなネタだから、取材できなくなると困ってしまう。だから、弱きをくじき強きに巻かれるようなことをしてしまう。スポーツ記者の一部は、平気で事実をねじ曲げて書いたりもするんです。そういう雰囲気は、スポーツの世界にはあっちゃダメ。なんのために記者をやっているのか。ジャーナリズムの世界に戻った人間として、嘆かわしいと思いますよ。 ■「携帯電話の履歴を開示しろ!」 嘘の陳述書も書かせる読売の手口 ──マスコミの報道では、「ナベツネ同様の権力志向」「現場がわかっていない」など、清武さんに対して否定的な意見も見かけますね。 清武 マスコミといっても、どこのマスコミかによりますよ。スポーツ関連の媒体を持っていないところで行ったあるアンケートでは、僕への支持率が圧倒的というのもありましたし。でも先ほど言ったように、スポーツマスコミは村社会だから、巨人の意向に反したことはなかなか書けない。それとテレビのコメンテーターなんかは日テレにも出る可能性があるから、渡邉さんのことを悪く言えない。彼らは印象で語っているとしか思えないけどね。 ──仮に渡邉さんに反論があったとしても、読売が清武さんにスラップ【編註:SLAPP・大きな企業や団体が、個人や比較的弱い団体に対して恫喝的訴訟を行うこと】を繰り返しているところをみると、まるで説得力がありませんよね。 清武 僕個人に対して3つ(1つは取り下げ)、僕らの本を出した七つ森書館に対して3つ訴訟を起こされました。特に僕個人に対しては「契約金の問題が報道されたのは、意図的に僕が秘密書類を暴露したのだから、僕の私物の携帯電話の履歴を開示しろ」とまで訴えたわけです。取材源の秘匿が生命線である新聞社が、そんなことをやるなんておかしいですよね。 しかしそのおかげで、同様に反感を持っていた読売の中の人たちが、自分にもやられるんじゃないかってビビってしまった。それだけじゃなく、僕の友人や関係者がみんな恐怖心を抱く。裁判を起こせば僕らは疲弊するし、向こうは漏洩防止と批判の封じ込めになるわけです。 ──七つ森書館に対しての3つの訴訟は、清武さんたちが社会部時代の00年に新潮社から出した『会長はなぜ自殺したか』の復刻を差し止めようと、「契約の無効」「著作権」「名誉権」を持ちだして、今年4月に行われました。同書は総会屋への不正融資をめぐる第一勧銀・宮崎邦次元会長の自殺の真相と当時の金融腐敗を追った内容であり、今回の一連の騒動とはなんの関係もありません。読売側は何を根拠にしているんですか? 清武 契約の無効については、復刻本の窓口になっていた当時の社会部筆頭次長が、復刊に関して会社の許可を得ていなかった、ということを根拠にしています。著作権についても、すでに締結していたものでしたが、これも締結はしていなかった、と。彼は、「上司に相談せずやってしまった」という陳述書を書かされたようですが、そんなことあるわけがないでしょう。でも彼以外にも、清武班と呼ばれた僕の元部下たちが、新聞記者としての矜持を捨て去って読売の意図に沿った陳述書を書いているんです。私の告発前に、すべて許可は取れていた話なのに。七つ森書館は5人くらいの小さな出版社で、訴訟費用を考えると本当に気の毒だと思いますよ。 それから、すでに七つ森書館が勝訴した名誉権については、昔の事件なのに実名が出てくることが問題だと言い出したんです。15年前の事件なのに、実名を出すことはプライバシーの侵害に当たると。そんなことを言っていたら、田中角栄だって実名で書けなくなりますよ(笑)。ノンフィクションだけじゃなく、すべての出版物が当てはまってしまうし、新聞の縮刷版だって全部黒塗りにしなきゃいけなくなる。大新聞社がそんな馬鹿馬鹿しいことを言っちゃダメでしょう。 ──ちなみに、今号はタブー破りの本特集なんですが、今回の件を踏まえ、巨人や読売、渡邉さんのタブーについて迫った本は何かありますか? 清武 読んでもらいたいのは、前澤猛さんの『表現の自由が呼吸していた時代ー1970年代読売新聞の論説』(コスモヒルズ)。前澤さんは読売新聞の論説委員だったんですが、渡邉さんと論説委員会で戦って飛ばされた人なんです。渡邉さんは「俺は裁判で負けたことがない」って豪語しているけど、前澤さんとの裁判は実質負けている。とても根性がある方だと思いますし、非常に冷静に書かれている本です。 それと魚住昭さんの『渡邉恒雄 メディアと権力』(講談社文庫)も立派な本ですね。僕は、魚住さんとは対談もしていて、単行本にまとまる予定です。 ──渡邉さんの『わが人生記~青春・政治・野球・大病』(中公新書ラクレ)には、渡邉さんのプロ野球改革論が掲載されています。「プロ野球は文化的公共財だ」とも書かれていましたが、この論文をどのように感じられましたか? 清武 その続きを書いてもらいたいものですね。物事は、言い続けたり書き続けたりしないと意味がない。でも本人はすぐ忘れちゃうんです。ある時は文化的公共財だというけど、ある時はまったく逆のようなことをいう。『君命も受けざる所あり~私の履歴書』(渡邉恒雄・日本経済新聞出版社)には「私の後継者の本命が内山(斉・元読売新聞社長)君」と書いてあります。でも去年辞めさせられてしまいました。本当にプロ野球を改革しないといけないと思うなら、改革し続けないといけないんです。僕が渡邉さんを告発して9カ月です。僕がやり始めたことが広がって、おかしくなっている読売の実態をわかってもらえた部分もあると思います。でもまだまだ8カ月では短い。2年かかっても3年かかっても、最後まで続けていこうと思っています。 (文/大熊 信)(写真/奥山智明)
清武英利(きよたけ・ひでとし) 1950年、宮崎県生まれ。立命館大学卒業後、読売新聞社に入社。社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。04年に読売巨人軍球団代表兼編成本部長に就任し、11年からは、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を務めた。著書に、『会長はなぜ自殺したか』(共著/七つ森書館)、『「巨人軍改革」戦記』(新潮社)など。 『巨魁』 清武英利/ワック出版(12年)/1600円 11年11月11日、当時読売巨人軍球団代表であった清武氏は、巨人のコーチ人事をめぐり、ナベツネこと渡邉恒雄球団会長が不当介入したことを告発した。本書では、同氏が自身の球団代表就任からナベツネに対する内部告発に至った経緯と、巨人軍、そして野球への思いを綴っている。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人関連の記事が満載!】 ・巨人軍契約金問題を新聞業界再々編につなげる朝日の深慮遠謀 ・ついに赤西軍団入り情報も? 原辰徳を悩ませる不肖の息子と六本木の武勇伝 ・"入団したくない球団"ナンバーワンは千葉ロッテ!? 12球団ドラフトの傾向と実力
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2011年に起きた「清武の乱」にはじまる一連の騒動について綴られた『巨魁』が、今年3月に発売された。同書の著者であり、本騒動の中心人物である清武英利氏は、今なお、もうひとりの主人公、ナベツネの標的にされ続けている。『巨魁』に込められた思いと、4月に読売が起こした同氏の復刻本差し止め訴訟について、清武氏があらためて口を開いた──。
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──清武さんが書かれた『巨魁』は、今まで噂されながらもあまり表に出てこなかった、渡邉恒雄氏の読売巨人軍内における横暴が描かれていました。2004年に清武さんが球団代表・編成本部長に就任して以降、問題と感じたのはどういったところですか? 清武英利(以下、清武) 渡邉さんが、ルールやコーチ、選手、ファンを無視して読売巨人軍を絶対支配しようとしていたところです。読売巨人軍は読売新聞の子会社のひとつですが、超優良企業だし、取締役会もある。なのに、重要事項や1億円以上の決裁となると、本社代表取締役の事前承認を受けないといけないという異例の定款があるんです。僕が告発しようとした時に「破滅だぞ」と言ってきたのは、子会社としての独立性を認めていないからでしょう。 それと、僕もそうでしたが、巨人の上層部は本社から来た役員ばかりだった。子会社に来たら子会社のことをまず考えないといけない。でもそんな状態だから、役員も親会社のほうばかりを見るようになってしまう。ほとんどの社員は生え抜きなのに、そんな上層部を見ていたら、やりがいなんて生まれませんよね。 ──長く現場から離れていた江川卓さんを突然ヘッドコーチにするというのは、とても無茶な話に感じたんですが、渡邉さんはどの程度野球を理解していたんでしょうか? 清武 桃井氏(恒和・現球団社長)に聞いたんですが、「今さら聞けないんだが、セカンドとショートはどっちがファーストに近いんだ?」と言っていたことがあるらしいんですよ(笑)。それくらい、野球についてはほとんど知らないと思いますよ。僕が知っていることとして言えるのは、あれだけ口を出していても、巨人の会議には一度も出たことはないんです。二軍のグラウンドに来たこともないし、キャンプにも来なかった。試合も、高い位置の席からしか見ていない。つまり、野球が身近な存在の人ではなかったんです。だってお客さんはヘッドコーチを見に球場に来ると思います? それでも、「江川を連れてくるんだ」って言われたら、なかなか逆らえないんです。 ──『巨魁』は、清武さんが行った巨人改革の本でもあります。清武さんが球団代表に就任されたのは、04年に起きた一場靖弘選手をめぐる裏金事件を受けて、渡邊さんをはじめ、上層部が解任されたことがきっかけですが、なぜこのような問題が起きたのでしょうか? 清武 渡邉さんがオーナーの時代というのが長く続いて、大金をかけて四番バッターばかりを集めた大艦巨砲主義になっていました。金にモノを言わせるという、そのやり方のつけが、一場事件に表れたんだと思いますよ。そもそも大金を使っているのに、渡邉オーナー時代はあまり優勝していないんですね。負けているのに、責任を取って辞めなかった。上が責任を取らないような組織じゃ、強くなれません。 ──まさにその時期、たとえば、97年には高橋由伸選手に6億5000万円、98年には上原浩治選手、二岡智宏選手にそれぞれ5億円、00年には阿部慎之助選手に10億円……と、球界で申し合わせた最高標準額を超える新人契約金を巨人が払っていたことを、今年3月に朝日新聞が報道じましたよね。 清武 上限がなかったからと言っているけど、それは嘘ですよね。申し合わせでもルールはルール。野球だってルールがあるから成り立つのに、ルールを台無しにしてなんぼでも払ってしまうようなトップがいるから問題なんです。1億円以上の決裁が行われているんだから、当然渡邉さんが事前承認していたはずなのに、問題をすり替えて責任を取らないんです。 ──もっと問題にするべきことなのに、その後の報道があまりされていないのはなぜでしょうか? 清武 報道がない理由は、僕にはわかりません。ただ、スポーツマスコミというのはひとつの村なんです。スポーツ村というのはすごく閉鎖的で、異分子を追い出そうとする傾向がある。彼らにとって巨人というのは大きなネタだから、取材できなくなると困ってしまう。だから、弱きをくじき強きに巻かれるようなことをしてしまう。スポーツ記者の一部は、平気で事実をねじ曲げて書いたりもするんです。そういう雰囲気は、スポーツの世界にはあっちゃダメ。なんのために記者をやっているのか。ジャーナリズムの世界に戻った人間として、嘆かわしいと思いますよ。 ■「携帯電話の履歴を開示しろ!」 嘘の陳述書も書かせる読売の手口 ──マスコミの報道では、「ナベツネ同様の権力志向」「現場がわかっていない」など、清武さんに対して否定的な意見も見かけますね。 清武 マスコミといっても、どこのマスコミかによりますよ。スポーツ関連の媒体を持っていないところで行ったあるアンケートでは、僕への支持率が圧倒的というのもありましたし。でも先ほど言ったように、スポーツマスコミは村社会だから、巨人の意向に反したことはなかなか書けない。それとテレビのコメンテーターなんかは日テレにも出る可能性があるから、渡邉さんのことを悪く言えない。彼らは印象で語っているとしか思えないけどね。 ──仮に渡邉さんに反論があったとしても、読売が清武さんにスラップ【編註:SLAPP・大きな企業や団体が、個人や比較的弱い団体に対して恫喝的訴訟を行うこと】を繰り返しているところをみると、まるで説得力がありませんよね。 清武 僕個人に対して3つ(1つは取り下げ)、僕らの本を出した七つ森書館に対して3つ訴訟を起こされました。特に僕個人に対しては「契約金の問題が報道されたのは、意図的に僕が秘密書類を暴露したのだから、僕の私物の携帯電話の履歴を開示しろ」とまで訴えたわけです。取材源の秘匿が生命線である新聞社が、そんなことをやるなんておかしいですよね。 しかしそのおかげで、同様に反感を持っていた読売の中の人たちが、自分にもやられるんじゃないかってビビってしまった。それだけじゃなく、僕の友人や関係者がみんな恐怖心を抱く。裁判を起こせば僕らは疲弊するし、向こうは漏洩防止と批判の封じ込めになるわけです。 ──七つ森書館に対しての3つの訴訟は、清武さんたちが社会部時代の00年に新潮社から出した『会長はなぜ自殺したか』の復刻を差し止めようと、「契約の無効」「著作権」「名誉権」を持ちだして、今年4月に行われました。同書は総会屋への不正融資をめぐる第一勧銀・宮崎邦次元会長の自殺の真相と当時の金融腐敗を追った内容であり、今回の一連の騒動とはなんの関係もありません。読売側は何を根拠にしているんですか? 清武 契約の無効については、復刻本の窓口になっていた当時の社会部筆頭次長が、復刊に関して会社の許可を得ていなかった、ということを根拠にしています。著作権についても、すでに締結していたものでしたが、これも締結はしていなかった、と。彼は、「上司に相談せずやってしまった」という陳述書を書かされたようですが、そんなことあるわけがないでしょう。でも彼以外にも、清武班と呼ばれた僕の元部下たちが、新聞記者としての矜持を捨て去って読売の意図に沿った陳述書を書いているんです。私の告発前に、すべて許可は取れていた話なのに。七つ森書館は5人くらいの小さな出版社で、訴訟費用を考えると本当に気の毒だと思いますよ。 それから、すでに七つ森書館が勝訴した名誉権については、昔の事件なのに実名が出てくることが問題だと言い出したんです。15年前の事件なのに、実名を出すことはプライバシーの侵害に当たると。そんなことを言っていたら、田中角栄だって実名で書けなくなりますよ(笑)。ノンフィクションだけじゃなく、すべての出版物が当てはまってしまうし、新聞の縮刷版だって全部黒塗りにしなきゃいけなくなる。大新聞社がそんな馬鹿馬鹿しいことを言っちゃダメでしょう。 ──ちなみに、今号はタブー破りの本特集なんですが、今回の件を踏まえ、巨人や読売、渡邉さんのタブーについて迫った本は何かありますか? 清武 読んでもらいたいのは、前澤猛さんの『表現の自由が呼吸していた時代ー1970年代読売新聞の論説』(コスモヒルズ)。前澤さんは読売新聞の論説委員だったんですが、渡邉さんと論説委員会で戦って飛ばされた人なんです。渡邉さんは「俺は裁判で負けたことがない」って豪語しているけど、前澤さんとの裁判は実質負けている。とても根性がある方だと思いますし、非常に冷静に書かれている本です。 それと魚住昭さんの『渡邉恒雄 メディアと権力』(講談社文庫)も立派な本ですね。僕は、魚住さんとは対談もしていて、単行本にまとまる予定です。 ──渡邉さんの『わが人生記~青春・政治・野球・大病』(中公新書ラクレ)には、渡邉さんのプロ野球改革論が掲載されています。「プロ野球は文化的公共財だ」とも書かれていましたが、この論文をどのように感じられましたか? 清武 その続きを書いてもらいたいものですね。物事は、言い続けたり書き続けたりしないと意味がない。でも本人はすぐ忘れちゃうんです。ある時は文化的公共財だというけど、ある時はまったく逆のようなことをいう。『君命も受けざる所あり~私の履歴書』(渡邉恒雄・日本経済新聞出版社)には「私の後継者の本命が内山(斉・元読売新聞社長)君」と書いてあります。でも去年辞めさせられてしまいました。本当にプロ野球を改革しないといけないと思うなら、改革し続けないといけないんです。僕が渡邉さんを告発して9カ月です。僕がやり始めたことが広がって、おかしくなっている読売の実態をわかってもらえた部分もあると思います。でもまだまだ8カ月では短い。2年かかっても3年かかっても、最後まで続けていこうと思っています。 (文/大熊 信)(写真/奥山智明)
清武英利(きよたけ・ひでとし) 1950年、宮崎県生まれ。立命館大学卒業後、読売新聞社に入社。社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。04年に読売巨人軍球団代表兼編成本部長に就任し、11年からは、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を務めた。著書に、『会長はなぜ自殺したか』(共著/七つ森書館)、『「巨人軍改革」戦記』(新潮社)など。 『巨魁』 清武英利/ワック出版(12年)/1600円 11年11月11日、当時読売巨人軍球団代表であった清武氏は、巨人のコーチ人事をめぐり、ナベツネこと渡邉恒雄球団会長が不当介入したことを告発した。本書では、同氏が自身の球団代表就任からナベツネに対する内部告発に至った経緯と、巨人軍、そして野球への思いを綴っている。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人関連の記事が満載!】 ・巨人軍契約金問題を新聞業界再々編につなげる朝日の深慮遠謀 ・ついに赤西軍団入り情報も? 原辰徳を悩ませる不肖の息子と六本木の武勇伝 ・"入団したくない球団"ナンバーワンは千葉ロッテ!? 12球団ドラフトの傾向と実力
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朝日新聞を指弾、野田政権を絶賛……ナベツネがYC総会で怪気炎!

7月13日に開催された読売七日会と東京読売会の合同総会で、渡邉恒雄・読売新聞グループ本社会長が行った挨拶が業界で話題になっている。「この合同総会は全国の読売新聞販売店(YC)店主が集うものですが、そこで行われるナベツネさんらしいリップサービスに溢れた挨拶は、例年、業界で注目を集めています」と話すのは経済誌編集長。
「まず注目すべきは、この6月に東京本社の専務に昇格した山口寿一氏の人事に触れていることです。彼は昇格と同時に新たに設置された経営戦略本部長も兼任しているのですが、こうしたことに言及するということは、次期社長は山口氏が当確だと見ることができそうです。もっとも、山口氏は東京本社内では“小皇帝”と呼ばれ、渡邉会長に次ぐ独裁者として恐れられているほどですから、さほど意外な人事ではないのですが」(同)
販売店向けの挨拶だけに、消費増税にも触れられている。
読売がかねてより増税論を主張しているのは周知の通りだが、挨拶では新聞・出版物に対する軽減税率を強く主張。また、原発再稼動の必要性を強調したり、近著『反ポピュリズム論』(新潮新書)をPR。小泉改革を「大衆迎合的劇場型政治」とバッサリ斬り捨て、野田政権を「社会保障と税の一体改革しかり、原発再稼動しかり、読売の主張に近い政治決断を行っています」と大絶賛している。
「一般的な興味としては、例のジャイアンツの契約金問題についても言及していましたね。朝日新聞が6選手に合計36億円の契約金を支払ったと報じたことを、誤報だと強く批判。正しくは12億5,000万円だと言い張っているのですが、そもそも契約金の最高標準額は6人だと9億円ですからね。仮にナベツネさんの言う金額だとしても、標準額を超過しているじゃないかと(笑)。朝日新聞に対しては損害賠償訴訟を起こす、と断言しています。さらに、秋山耿太郎・朝日新聞会長をもはや信頼できないと強く批判する一方で、新任の木村伊量社長については、今回の契約金報道には無関係だったと思われると擁護しています。ナベツネさんは、よほど秋山さんのことが嫌いなんでしょうね(笑)」(同)
そのほかにも、東日本大震災の影響で発行部数1,000万部を割ってしまったが今年11月までには回復すると、並々ならぬ部数への執着も見せている。この挨拶を見る限り、読売新聞におけるナベツネ氏の独裁ぶりは、まだまだ続きそうである。








