また、あいつらが“仕掛けて”きた! 気持ちよく振り回されたい『山田孝之のカンヌ映画祭』

yamada0110
テレビ東京『山田孝之のカンヌ映画祭』番組サイトより
 いまや、カメレオン俳優として名をはす実力派俳優・山田孝之。  彼が2016年の夏に「カンヌ」で賞を獲ることを決意、その決意から思い立った行動を描くドキュメンタリー(風)番組。果たして、山田は「カンヌ」を獲れるのか? どんな映画を作るか? 何をしでかすのか?  一見、どう見ていいか迷う、この番組。放送枠や監督(山下敦弘、松江哲明)、主演が同じことから、2015年に同局で放送された『山田孝之の東京都北区赤羽』と同じ手法となる作品と見ていいだろう。 「手法」という言い方をさせてもらったのは、これらが、ドラマでもドキュメンタリーでもない、いわゆる「フェイクドキュメンタリー」「モキュメンタリー」と呼ばれる特殊な観せ方の作品だからだ。 『東京都北区赤羽』は、もともと清野とおる原作のエッセイ漫画で、作者本人が実名で登場、清野自身の赤羽での実際の暮らしをもとに描いた作品だ。  ここからは勝手な想像なのだが、いわゆるノンフィクション漫画である『東京都北区赤羽』をドラマ化するにあたり、そのまま脚本化することに抵抗があったのではないだろうか?  山田に漫画のままの「主人公・清野」を演じさせ、実在する街の人をそれぞれ役者に演じさせるだけの「ドラマ」にしてしまったら、原作の持つリアルなざらついた面白さはなくなる。  そうなれば、あの漫画の面白さである臨場感だったり、出会いの化学反応だったりを「再現」することは難しい。近いところではドラマ『孤独のグルメ』(同)が、原作の話を一切使わず「なぞる」ことをしなかったように、それを一歩進めて、新しいアプローチとして、山田自身を新しい「主人公」として、あの赤羽という街に降り立たせてみたのではないのだろうか。  それは、山田の発案なのか、監督や、制作の発案なのかはわからないが、結果的にあの「ドラマ」は(あえてドラマと呼ばせてもらうが)、後半、妙なグルーブを産み、新しい感覚と興奮を我々に味わわせてくれた。それは原作の漫画とはもちろん違うが、原作の新鮮味に負けぬ鮮度だったと思う。  この作品で、東京ドラマアウォード演出賞を受賞した監督は、一人が山下敦弘。『苦役列車』(12)や『天然コケッコー』(07)など、観る人によっては「何も起こらない映画」という印象を抱くであろう、いわゆるそういう映画の人だ。そしてもう一人が、主にドキュメンタリーで活躍する松江哲明。  これに山田を加えた、この3人だからこそ産み出せた空気だったはずだ。  後のインタビューで山下は「(監督2人とも)テレビのバラエティを観て育ったし、ドラマの影響も受けているので、それらの要素を全部やってみたい、山田くんのこの企画(『東京都北区赤羽』)ならできる、そして変なものは間違いなくできたという手応え」があったと語っている。  いくら言葉を並べても、実際に観ていない人にはピンと来ないとは思うが、雑に言わせてもらうと『ガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)でよくあるリアルっぽいコントの長いやつみたいな感じだ。汲み取ってほしい。  さてそんな前作があってからの、今作『山田孝之のカンヌ映画祭』である。「第一話 山田孝之 カンヌを目指す」放送を振り返る。  カンヌでタキシード姿の山田と山下監督。これは山田の夢なのか?  オープニング。カンヌを歩く山田のバックに流れる山田とフジファブリックのテーマ曲「カンヌの休日 feat. 山田孝之」が、しびれるほどかっこいい。歌詞は、カンヌで賞を獲った映画のタイトルがずらり。  東宝スタジオ。『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の楽屋で、呼び出されてやって来た山下に、カンヌで賞を獲りたいとの相談を、ヨシヒコの衣装のまま、大真面目に持ちかける山田。  理由としては、近年、本を書いたり(『実録山田』ワニブックス)、MV(TEE「恋のはじまり」)の監督をしたり、いろいろ新しいことをしていく中で、賞が欲しくなり、狙うなら世界最高峰のカンヌだということらしい。『赤羽』の冒頭で、映画撮影を中断して、急に赤羽に移住すると言い出した「おかしくなっちゃった山田」の再来だ。  途中、カンヌへの想いを語る中で、日本アカデミー賞に1回も呼ばれたことがないことへの不満を「正直なんなんだ?」「存在知ったのも何年か前ですけど」という言葉で、真顔で吐き捨てる山田。気持ちいい。  その作品の監督を依頼され、特にカンヌを意識したことがないという山下に「意識してなかったから獲れなかったんじゃないですか? 意識してこっからやってけば獲れますよ?」「本気出せば」と早口でまくしたてる山田。もちろん真顔。見た目は「ヨシヒコ」だ。  途中、「ヨシヒコ」の「メレブ」まんまの姿のムロツヨシがふらりとやってきて「『北区』だ? 『北区』これ? 『北区』だ? 出せ出せ『北区』に」と楽しげに絡んでくる。否定する2人に「じゃあ何区?」。この人はこうやって仕事を増やしてきたのだろうなとしみじみ思う。 「人を巻き込む時とか、何かやる時は強引なところがある」というムロの山田に対する証言がリアルだ。  後日、横浜元町のビルにすでに合同会社「カンヌ」の事務所を設立し待ち構える山田。山下監督は今回も振り回されつつ食らいついてゆく。 『赤羽』から続く、このシリーズの面白さの一因に、山下監督の「芝居」のうまさがあると思う。実に自然に、山田に驚かされ、山田を問い詰め、山田に振り回される。今回もその名コンビは健在だ。  壁には漫☆画太郎による馬鹿でかい山田の肖像画がかけられ、まるで悪夢のような部屋。  漫☆画太郎の単行本の他に、『軍鶏』や『クリームソーダシティ』1、2巻が積まれている。『赤羽』では山田の部屋のDVDに『ゆきゆきて、神軍』や『A』などのドキュメンタリーに混ざってフェイクドキュメンタリーの『容疑者、ホアキン・フェニックス』があり、これらがテレビ版『赤羽』の「手法」や「元ネタ」を匂わす、かすかな布石となっていたのだが、今回はいかに?  さて、今回山田がカンヌを目指すために作りたい映画の題材は『エド・ケンパー』。  エドモンド・エミール・ケンパー三世。身長206センチ。15歳で祖父母を銃殺し、ヒッチハイクした女性ら6人を殺害、その死体を犯して、のちに実の母親をハンマーで殴り殺した、いわゆる猟奇殺人犯だ。  前回の『赤羽』で山田が悩んだきっかけが、(架空の?)映画『己斬り』での自害のシーン。そして今回が、親殺しの殺人犯のそこにいたる心理を描きたいらしい。純粋な山田ファンが心配になるほどの症状だ。 「日本の人たち、逆輸入好きじゃないですか?」と、おそらく山田の中にたまったものの一部がこぼれ出す瞬間も、この「ドラマ」の一つの見所だと思う。  山田はプロデューサーとしてカンヌの最高賞「パルムドール」を狙いたいらしく、出演はしないと明言する。  すでに主演候補には個人的に話をして、相手事務所にもほぼ許可も取っているらしい。 「誰かは楽しみにしてて下さい」と煙に巻く山田。 『赤羽』でも、ふと思い立って詩を書き、ふらっと作曲者を紹介すると連れて行かれた先にいたのが、イエローモンキーの吉井和哉だった。  今回も油断できない。どんな大物俳優なのか。  日比谷公園のオープンテラスへ。主演俳優との待ち合わせ場所だ。  テラス席でカンヌ談義をする山田と山下。  ひとしきり話した後で、山田が席を立ち、待ち合わせ相手を連れて公園の遠くの方から歩いてくる。禿げた中年男性と歩いている。誰だろうか。  その男性の横にランドセルを背負った小さな児童が。  どこか芦田愛菜に似てる。  近づいてくる。  芦田愛菜によく似ている。  たしか芦田愛菜も小学生だったはずだ。  異様に芦田愛菜に似てる児童が、席に着く。  おもわず、山下が、「芦田愛菜ちゃん?」と尋ねる。 「芦田愛菜です。よろしくお願いします。」と答える児童。  芦田愛菜だった。  当たってた。  このとき、タイムラインが一斉に「芦田愛菜」になる現象が。  禿げた男性はマネジャーらしい。  戸惑いながら「親殺し」のことは聞いてるかと聞く山下に、「はい」と当然のように頷く芦田。いや、愛菜ちゃん。この瞬間、公園のカラスが騒ぎ出す。演出だとしたら恐ろしいが、偶然だろう。  カラスもたじろぐキャスティング。カンヌと親殺しとランドセル。咀嚼しきれない。 「全然不安はない、絶対できます」と山田。彼には、もう見えているようだ。  ここでエンディング。  次週「第二話 カンヌを学ぶ」の予告で、大学のような場所で必死にノートをとる愛菜ちゃん。どうやら悪夢は続くらしい。  ぞわぞわしつつ、エンドロールを眺めていると、「語り 長澤まさみ」の文字が。冒頭から聞こえてたナレーションは長澤まさみであったことに気づかされる。またタイムラインが活気づく。 『赤羽』後のインタビューで監督2人は、世間のリアルタイムなリアクションや議論を非常に面白がっていた。前回で知ったその反応を、今回はより強く意識して「仕掛けて」きたはずだ。  初回でこれだ。  見た人はがっつり掴まれたことだろう。  さてこうなってくるとハードルは上がってしまう。  どう展開するのか? どんな結末になるのか? 愛菜ちゃんの出落ちを越えられるのか?  よこしまに考えてしまうが、一番楽めるのは、素直に観て、驚いて、振り回されることだろう。 『赤羽』から観ていて、ひとつ気になったのは、山田孝之は決まった台本を演じることに飽きてしまったのでは? という懸念だ。  同じことを何度も繰り返し、自分のセリフも相手のセリフの決まっている台本での芝居に比べて、これらの掛け合いは多分に刺激的なはずだ。カメレオン俳優などの評価を得て、早くも物足りなさを感じてしまっているのではないだろうか。  ダウンタウンが漫才よりもフリートークを選んだように、山田もドラマよりもモキュメンタリーを選んでいるのではないだろうか?  それは極論だとしても、「狂った山田孝之」を「演じる」山田孝之には、他の芝居の時とは違う興奮を感じる。  今回、このドラマに振り回されつつも、山田のなかなか掴めない素顔も垣間見れたらと思う。 (文=柿田太郎)

西内まりやの精神状態が心配……フジ“月9”キャスト発表も「深夜ドラマかよ」「ショボイ」とフルボッコ

nishiuchi0623.jpg
 西内まりやとflumpool・山村隆太が出演する“月9”ドラマ『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ、23日スタート)の残りのキャストが発表された。 「何せギリギリまでキャストが決まらなかったため、撮影はもちろん、何もかもがバタバタ。出足が遅かった分、宣伝部は大急ぎでPRを展開しています」(芸能関係者)  今月スタートの月9といえば、半年前から主演は竹野内豊で決まっていたものの、竹野内側の申し入れにより、立ち消えに。企画は振り出しに戻り、大慌てでキャスティングしたのが、スケジュールの空いていた西内と、演技未経験の山村だった。  また、今回、新たに発表されたキャストは、沢村一樹、山崎育三郎、杉本哲太、山賀琴子、鍵本輝(Lead)、加藤諒、中村アン、岸井ゆきの、古舘寛治、石野真子、葉山奨之。今ひとつ派手さに欠けるためか、ネット上では「深夜ドラマみたい」「なんかショボい」「月9俳優のレベル、下がりすぎ」といった声が相次いでいる。 「竹野内が所属する研音が穴埋め的に送り込んだ俳優を中心に、他は断らなさそうな俳優をうまくかき集めてきたなあという印象。それより気がかりなのは、西内の精神状態。西内が所属するライジングプロダクションは、稼ぎ頭だった安室奈美恵が抜けてからというもの、西内をさらにゴリ押し。近年の同プロは、タレントの売り方にことごとく失敗していることもあって、西内にかかる重圧は相当のもの。さらに、良くも悪くも注目される月9主演となれば、世間の声に耐えられるかどうか……」(同)  モデルや歌手としても活躍する西内だが、“器用貧乏”と揶揄されることも多い。案の定、月9主演が発表されてからというもの、「すべてが中途半端で、何屋さんかわからない人」「中高生には人気あるんだろうけど……ピンとこない」など、ネット上には辛らつな声が飛び交っている。  そんな世間の評価を受けてか否か、西内自身、今回の抜擢について「(月9は)演技を始めてからは一つの目標でもあり、遠い存在だった」と控えめにコメント。どこか「月9の器ではないことは、わかっている」とでも言いたげだ。 「プロデューサーは、『今回は特に、月9ラブストーリーを担う男女二人のキャスティングは攻めの姿勢で臨みたいと思っていた』などとコメントしていますが、“結果的に”攻めの姿勢になってしまったことは、視聴者にもバレバレ。放送開始後、このキャスティングが必然であったことを証明できるといいですが……」(同)  早くも「大コケ確実」といわれている同作。月9史上最低視聴率を記録した『ラヴソング』を下回るような事態にならなければいいが。

西内まりやの精神状態が心配……フジ“月9”キャスト発表も「深夜ドラマかよ」「ショボイ」とフルボッコ

nishiuchi0623.jpg
 西内まりやとflumpool・山村隆太が出演する“月9”ドラマ『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ、23日スタート)の残りのキャストが発表された。 「何せギリギリまでキャストが決まらなかったため、撮影はもちろん、何もかもがバタバタ。出足が遅かった分、宣伝部は大急ぎでPRを展開しています」(芸能関係者)  今月スタートの月9といえば、半年前から主演は竹野内豊で決まっていたものの、竹野内側の申し入れにより、立ち消えに。企画は振り出しに戻り、大慌てでキャスティングしたのが、スケジュールの空いていた西内と、演技未経験の山村だった。  また、今回、新たに発表されたキャストは、沢村一樹、山崎育三郎、杉本哲太、山賀琴子、鍵本輝(Lead)、加藤諒、中村アン、岸井ゆきの、古舘寛治、石野真子、葉山奨之。今ひとつ派手さに欠けるためか、ネット上では「深夜ドラマみたい」「なんかショボい」「月9俳優のレベル、下がりすぎ」といった声が相次いでいる。 「竹野内が所属する研音が穴埋め的に送り込んだ俳優を中心に、他は断らなさそうな俳優をうまくかき集めてきたなあという印象。それより気がかりなのは、西内の精神状態。西内が所属するライジングプロダクションは、稼ぎ頭だった安室奈美恵が抜けてからというもの、西内をさらにゴリ押し。近年の同プロは、タレントの売り方にことごとく失敗していることもあって、西内にかかる重圧は相当のもの。さらに、良くも悪くも注目される月9主演となれば、世間の声に耐えられるかどうか……」(同)  モデルや歌手としても活躍する西内だが、“器用貧乏”と揶揄されることも多い。案の定、月9主演が発表されてからというもの、「すべてが中途半端で、何屋さんかわからない人」「中高生には人気あるんだろうけど……ピンとこない」など、ネット上には辛らつな声が飛び交っている。  そんな世間の評価を受けてか否か、西内自身、今回の抜擢について「(月9は)演技を始めてからは一つの目標でもあり、遠い存在だった」と控えめにコメント。どこか「月9の器ではないことは、わかっている」とでも言いたげだ。 「プロデューサーは、『今回は特に、月9ラブストーリーを担う男女二人のキャスティングは攻めの姿勢で臨みたいと思っていた』などとコメントしていますが、“結果的に”攻めの姿勢になってしまったことは、視聴者にもバレバレ。放送開始後、このキャスティングが必然であったことを証明できるといいですが……」(同)  早くも「大コケ確実」といわれている同作。月9史上最低視聴率を記録した『ラヴソング』を下回るような事態にならなければいいが。

キムタクvs草なぎ視聴率対決、『東京タラレバ娘』に注目! 1月期連続ドラマ展望

tarareba0104
日本テレビ系『東京タラレバ娘』番組サイトより
 2016年は『ドクターX~外科医・大門未知子~』第4シリーズ(テレビ朝日系/米倉涼子主演)、『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系/嵐・松本潤主演)、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/新垣結衣主演)などのヒットドラマが生まれたが、17年はどうなるのか? そこで、1月期に放送される連続ドラマの展望をしたい。  やはり、なんといっても最大の注目はSMAP解散後、初のドラマ出演となる木村拓哉と草なぎ剛の主演作だ。木村はTBS日曜劇場枠の医療ドラマ『A LIFE~愛しき人~』(日曜午後9時~)で、15年4月期『アイムホーム』(テレビ朝日系)以来、1年9カ月ぶりに連ドラで主演を務める。ヒロインはオファーした女優から断られまくった結果、竹内結子に決定。そのほか、松山ケンイチ、木村文乃、菜々緒、及川光博、浅野忠信らの豪華キャストが集結。TBSが木村側の要望を聞いていたら、とてつもない豪華出演陣となって、ギャラ総額も暴騰。最低でも15%は取らないと、TBS的には割が合わないだろう。  木村は同枠で13年10月期に主演した『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』が12.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)しか取れず、自身の主演連ドラ史上ワースト視聴率となっただけにリベンジを果たしたいところ。それとともに、“キムタク健在”をアピールしたいはずだ。  草なぎ主演の『嘘の戦争』(フジテレビ系/火曜午後9時~)は、視聴者の期待感が高い。同ドラマは15年1月期にオンエアされ、13.4%の高視聴率をマークした『銭の戦争』に続く「復讐シリーズ」の第2弾。『銭の戦争』の実績や草なぎの潜在視聴率を考えると、よもやコケることはなさそうだが、唯一の不安要素はヒロインが“嫌われ女優”水原希子だという点だ。『A LIFE』とは視聴率対決以外にもなにかと比較されそう。  日本テレビ系『東京タラレバ娘』(吉高由里子主演/水曜午後10時~)も注目度は抜群。仕事も恋愛もなかなかうまくいかない30歳の主人公が、「タラレバ」をいいながら、親友2人と女子会ばかりやりつつ、厳しい現実に直面しながら、幸せを探して突き進むストーリー。「吉高がダメなアラサー女子を演じても共感が得られない」「ミスキャスト」といった声もあるようだが、吉高の連ドラ出演は、大ヒットしたNHK連続ドラマ小説『花子とアン』以来、2年3カ月ぶりとなるだけに、“吉高待望論”が多かったのも事実。吉高は演技力で、批判をしている視聴者を黙らせるしかなさそう。日テレの「水10」枠は、女性主人公の作品で好調が続いているだけに、吉高がストップをかけるわけにはいかない。  そのほかのドラマを局別に見ると、日テレは堤真一&小泉今日子コンビの『スーパーサラリーマン 左江内氏』(土曜午後9時~)、松坂桃李主演『視覚探偵 日暮旅人』(日曜午後10時30分~)。NHK朝ドラ『マッサン』で存在感を発揮した堤は、直後の主演ドラマ『リスクの神様』(15年7月期/フジテレビ系)が5.1%と大爆死しており、なんとか雪辱を果たしたいところ。その意味では、松坂も同様で、前回の主演ドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(同10月期/同)が9.2%と2ケタに届かなかっただけに、スペシャルドラマで実績のある『日暮旅人』をヒットさせたいだろう。  テレ朝は、三浦友和が17年ぶりに連ドラで主演を務める『就活家族~きっと、うまくいく~』(木曜午後9時~)。出演予定だった成宮寛貴が撮影途中で突然の引退表明、降板してミソがついてしまったが、ここはもう内容で勝負するしかなさそう。ヒロインは三浦の妻役の黒木瞳で、中高年視聴者の獲得をもくろんでいるようだ。若手出演者の前田敦子、工藤阿須加がどこまで、若い視聴者を引きつけられるかがポイントになりそう。  TBSは、「火10」が10年ぶりの連ドラ主演となる松たか子の『カルテット』、「金10」が阿部サダヲ&深田恭子コンビの『下剋上受験』。『カルテット』は主要キャストに満島ひかり、松田龍平、高橋一生らの演技派が起用された本格派ドラマだが、華のなさが気になるところ。『下剋上受験』は子どもの受験を題材にしたコメディだが、深キョンの母親役で、どこまで注目を集められるか?  16年、視聴率2ケタを取った連ドラが皆無だったフジは、「月9」が西内まりや主演『突然ですが、明日結婚します』、「木10」が香里奈主演『嫌われる勇気』、「日9」が小雪主演『大貧乏』。ネームバリュー不足の西内、“大股開き写真流出騒動”の記憶も、いまだ生々しい香里奈、主役の器とは言い難い小雪が主演で、どこまで数字が取れるのか? フジは『嘘の戦争』以外は、苦戦を免れそうにない。  NHKでは、波瑠主演『お母さん、娘をやめていいですか?』(金曜午後10時~)が注目ドラマ。波瑠は朝ドラ『あさが来た』以来の同局でのドラマ主演となるが、共演陣は、母親役の斉藤由貴、父親役の寺脇康文をはじめ、壇蜜、柳楽優弥、E-girls・石井杏奈らとバラエティに富んでおり、期待が高まる。  また、プライム帯ではないが、テレ朝の金曜ナイトドラマ『奪い愛、冬』(倉科カナ主演/金曜午後11時15分~)も要注目。主人公の倉科が、婚約者・三浦翔平の存在がありながら、既婚者の元カレ・太谷亮平との愛が再燃してしまうドロドロの恋愛ドラマ。大谷共々秋ドラマからの連投となる倉科が、どこまで、この難しい役どころを演じきれるか?  木村、草なぎだけではない注目のラインナップがそろった1月期の各局の連ドラ。視聴者の心を引きつけるのは、どのドラマになるか? (文=田中七男)

キムタクvs草なぎ視聴率対決、『東京タラレバ娘』に注目! 1月期連続ドラマ展望

tarareba0104
日本テレビ系『東京タラレバ娘』番組サイトより
 2016年は『ドクターX~外科医・大門未知子~』第4シリーズ(テレビ朝日系/米倉涼子主演)、『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系/嵐・松本潤主演)、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/新垣結衣主演)などのヒットドラマが生まれたが、17年はどうなるのか? そこで、1月期に放送される連続ドラマの展望をしたい。  やはり、なんといっても最大の注目はSMAP解散後、初のドラマ出演となる木村拓哉と草なぎ剛の主演作だ。木村はTBS日曜劇場枠の医療ドラマ『A LIFE~愛しき人~』(日曜午後9時~)で、15年4月期『アイムホーム』(テレビ朝日系)以来、1年9カ月ぶりに連ドラで主演を務める。ヒロインはオファーした女優から断られまくった結果、竹内結子に決定。そのほか、松山ケンイチ、木村文乃、菜々緒、及川光博、浅野忠信らの豪華キャストが集結。TBSが木村側の要望を聞いていたら、とてつもない豪華出演陣となって、ギャラ総額も暴騰。最低でも15%は取らないと、TBS的には割が合わないだろう。  木村は同枠で13年10月期に主演した『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』が12.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)しか取れず、自身の主演連ドラ史上ワースト視聴率となっただけにリベンジを果たしたいところ。それとともに、“キムタク健在”をアピールしたいはずだ。  草なぎ主演の『嘘の戦争』(フジテレビ系/火曜午後9時~)は、視聴者の期待感が高い。同ドラマは15年1月期にオンエアされ、13.4%の高視聴率をマークした『銭の戦争』に続く「復讐シリーズ」の第2弾。『銭の戦争』の実績や草なぎの潜在視聴率を考えると、よもやコケることはなさそうだが、唯一の不安要素はヒロインが“嫌われ女優”水原希子だという点だ。『A LIFE』とは視聴率対決以外にもなにかと比較されそう。  日本テレビ系『東京タラレバ娘』(吉高由里子主演/水曜午後10時~)も注目度は抜群。仕事も恋愛もなかなかうまくいかない30歳の主人公が、「タラレバ」をいいながら、親友2人と女子会ばかりやりつつ、厳しい現実に直面しながら、幸せを探して突き進むストーリー。「吉高がダメなアラサー女子を演じても共感が得られない」「ミスキャスト」といった声もあるようだが、吉高の連ドラ出演は、大ヒットしたNHK連続ドラマ小説『花子とアン』以来、2年3カ月ぶりとなるだけに、“吉高待望論”が多かったのも事実。吉高は演技力で、批判をしている視聴者を黙らせるしかなさそう。日テレの「水10」枠は、女性主人公の作品で好調が続いているだけに、吉高がストップをかけるわけにはいかない。  そのほかのドラマを局別に見ると、日テレは堤真一&小泉今日子コンビの『スーパーサラリーマン 左江内氏』(土曜午後9時~)、松坂桃李主演『視覚探偵 日暮旅人』(日曜午後10時30分~)。NHK朝ドラ『マッサン』で存在感を発揮した堤は、直後の主演ドラマ『リスクの神様』(15年7月期/フジテレビ系)が5.1%と大爆死しており、なんとか雪辱を果たしたいところ。その意味では、松坂も同様で、前回の主演ドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(同10月期/同)が9.2%と2ケタに届かなかっただけに、スペシャルドラマで実績のある『日暮旅人』をヒットさせたいだろう。  テレ朝は、三浦友和が17年ぶりに連ドラで主演を務める『就活家族~きっと、うまくいく~』(木曜午後9時~)。出演予定だった成宮寛貴が撮影途中で突然の引退表明、降板してミソがついてしまったが、ここはもう内容で勝負するしかなさそう。ヒロインは三浦の妻役の黒木瞳で、中高年視聴者の獲得をもくろんでいるようだ。若手出演者の前田敦子、工藤阿須加がどこまで、若い視聴者を引きつけられるかがポイントになりそう。  TBSは、「火10」が10年ぶりの連ドラ主演となる松たか子の『カルテット』、「金10」が阿部サダヲ&深田恭子コンビの『下剋上受験』。『カルテット』は主要キャストに満島ひかり、松田龍平、高橋一生らの演技派が起用された本格派ドラマだが、華のなさが気になるところ。『下剋上受験』は子どもの受験を題材にしたコメディだが、深キョンの母親役で、どこまで注目を集められるか?  16年、視聴率2ケタを取った連ドラが皆無だったフジは、「月9」が西内まりや主演『突然ですが、明日結婚します』、「木10」が香里奈主演『嫌われる勇気』、「日9」が小雪主演『大貧乏』。ネームバリュー不足の西内、“大股開き写真流出騒動”の記憶も、いまだ生々しい香里奈、主役の器とは言い難い小雪が主演で、どこまで数字が取れるのか? フジは『嘘の戦争』以外は、苦戦を免れそうにない。  NHKでは、波瑠主演『お母さん、娘をやめていいですか?』(金曜午後10時~)が注目ドラマ。波瑠は朝ドラ『あさが来た』以来の同局でのドラマ主演となるが、共演陣は、母親役の斉藤由貴、父親役の寺脇康文をはじめ、壇蜜、柳楽優弥、E-girls・石井杏奈らとバラエティに富んでおり、期待が高まる。  また、プライム帯ではないが、テレ朝の金曜ナイトドラマ『奪い愛、冬』(倉科カナ主演/金曜午後11時15分~)も要注目。主人公の倉科が、婚約者・三浦翔平の存在がありながら、既婚者の元カレ・太谷亮平との愛が再燃してしまうドロドロの恋愛ドラマ。大谷共々秋ドラマからの連投となる倉科が、どこまで、この難しい役どころを演じきれるか?  木村、草なぎだけではない注目のラインナップがそろった1月期の各局の連ドラ。視聴者の心を引きつけるのは、どのドラマになるか? (文=田中七男)

長澤まさみ『真田丸』の“貞淑キャラ”で下ネタ好きイメージを払拭! 今年、再ブレークへ?

masami1226
 昨年放送された堺雅人主演のNHK大河ドラマ『真田丸』全50回の平均は、16.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。 「最終回の放送があった先月18日は、裏の日本テレビ系で『FIFAクラブワールドカップジャパン2016決勝』が放送され、平均視聴率26.8%と高視聴率だったことから、『真田丸』がかなり食われたのは間違いない。とはいえ、期間平均16%超えは2011年の『江~姫たちの戦国~』の17.7%以来5年ぶりで、大河再興を印象付けました」(テレビ誌ライター) 「真田丸ロス」に陥っている視聴者も多い中、今回の大河で“タナボタ”となったのが、堺演じる真田幸村の幼なじみ・きりを演じた長澤まさみだという。 「同11日放送のラストでは、豊臣方と家康との最終決戦を前に最後の使命をきりに託す場面で、死を覚悟した幸村がきりを抱き寄せ、抱擁。きりがキスされながら『遅い、せめて10年前に。あの頃が私一番キレイだったんですから!』と、もごもごと文句を言いながらも、きりの長い恋がやっと報われる場面に感動した人が続出しました」(テレビ関係者)  長澤といえば、これまで数々の浮名を流し、「肉食」「自由奔放」のイメージが強かった。酔うと下ネタに走る姿もたびたび報じられており、ここ数年は話題になるのも“豊満なバスト”ばかり。 「ところが今回きりを好演したことで、“貞淑”なキャラが定着。一気にイメージ回復となりました。すでに、民放各局からオファーが殺到している状況です。とりわけ、フジテレビが熱心に月9ヒロインのオファーをしているといいますが、近年は大コケ続きの枠ですから長澤サイドが受けるかどうか。それよりも、4月以降の日本テレビの水10での主演、もしくはヒロインが有力視されています」(同)  今年は、長澤の再ブレークが期待できそうだ。

テレ朝強し! フジテレビは凋落……「2016年ドラマ視聴率ランキング」

asaga1228
NHK『あさが来た』番組サイトより
 今年の連続ドラマがすべて終了した。平均視聴率ランキング形式で振り返ってみると、テレビ朝日の強さと、フジテレビの凋落ぶりが如実に示される格好となった。  年間の視聴率首位は、波瑠主演のNHK連続テレビ小説『あさが来た』の23.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、2位は高畑充希主演『とと姉ちゃん』の22.8%でワン、ツーフィニッシュ。朝ドラは2013年前期『あまちゃん』以降、好調が続いている。  3位は、2年ぶりに復活した米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の21.5%で堂々の民放トップ。4位は嵐・松本潤主演『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)の17.2%、5位は堺雅人主演のNHK大河ドラマ『真田丸』の16.6%、6位は水谷豊主演『相棒season14』(テレビ朝日系)の15.3%。  7位には、初回10.2%でスタートも、その後グングン右肩上がりで視聴率を上げ、最終回では20.8%と大台を突破した新垣結衣主演『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が14.6%を記録してランクイン。あらためて、その存在がクローズアップされた新垣には、今後オファーが殺到しそうな公算。  8位は嵐・大野智主演『世界一難しい恋』(日本テレビ系)の12.9%、9位はSMAP・草なぎ剛主演『スペシャリスト』(テレビ朝日系)の12.7%で、ジャニーズ勢が続いた。  10位は石原さとみ主演『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)の12.4%。ここのところ、すっかり“恋愛ドラマ”専門女優の印象が強くなっていた石原だが、今回、恋愛部分は弱めで、基本的には“お仕事ドラマ”。それでもしっかり高視聴率をマークしたことで、評価を高めた。  トップ20を局別で見ると、『ドクターX』や『相棒』などのキラーコンテンツを持つテレ朝が8作入り、ぶっちぎりのトップ。続いて、TBSで5作ランクイン。年間視聴率3冠王狙いの日テレは4作で、今年のドラマはあまり振るわなかった。NHK総合は3作入ったが、朝ドラ、大河以外の連ドラは不振だった。昨年、『銭の戦争』など5作が入っていたフジは今年は1本も入らず、壊滅状態となってしまった。  なお、NHKを除く民放の連続ドラマ(プライム帯)で最下位は、芦田愛菜&シャーロット・ケイト・フォックス主演『OUR HOUSE』(フジテレビ系)で4.5%だった。 (文=田中七男) <2016年連続ドラマ平均視聴率ランキング> ※2016年中に放送を終えたドラマのみが対象 1位 『あさが来た』(NHK総合)23.5% 2位 『とと姉ちゃん』(同)22.8% 3位 『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)21.5% 4位 『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)17.2% 5位 『真田丸』(NHK総合)16.6%  6位 『相棒season14』(テレビ朝日系)15.3% 7位 『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)14.6% 8位 『世界一難しい恋』(日本テレビ系)12.9%  9位 『スペシャリスト』(テレビ朝日系)12.7%  10位 『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)12.4%  11位 『警視庁・捜査一課9係』(テレビ朝日系)12.2%  12位 『家売る女』(日本テレビ系)11.6% 13位 『科捜研の女15』(テレビ朝日系)11.0%  14位 『怪盗 山猫』(日本テレビ系)10.9% 15位 『グッドパートナー 無敵の弁護士』(テレビ朝日系)10.8%  16位 『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系)10.7% 17位 『仰げば尊し』(TBS系)10.6% 18位 『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系)10.2%  19位 『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)10.0% 20位 『はじめまして、愛しています』(テレビ朝日系)9.9%

テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2016年のテレビ事件簿【ドラマ編】

nigehaji1226.jpg
火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』|TBSテレビ
■バラエティ編はこちらから  いまだ「逃げ恥ロス」や「真田丸ロス」から抜け出せない人も多いのではないだろうか?  2016年はドラマの当たり年だった。年間を通してNHK大河『真田丸』が引っ張り、上半期は『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)や『ちかえもん』『トットてれび』(ともにNHK総合)、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)、『重版出来!』(TBS系)などが、下半期は『逃げるは恥だが役に立つ』(同)、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』『黒い十人の女』(ともに日本テレビ系)などが大きな話題を呼んだ。  そんな2016年のドラマを振り返ってみよう。 ■NHKドラマの強さが顕著に    これは近年続く傾向だが、今年は特にNHKのドラマの強さが際立った年だった。三谷幸喜の『真田丸』は1年間ダレることなく、高いクオリティを維持。最後まで、堺雅人演じる真田信繁側が史実を超えて勝ってしまうかも……と思わせてくれる盛り上がりだった。  信繁の父・昌幸を演じた草刈正雄を筆頭に、秀吉役の小日向文世、三成役の山本耕史、家康役の内野聖陽、景勝役の遠藤憲一……と、実質的な主人公が変わっていき、迫田孝也、高木渉、村上新悟、新納慎也、峯村リエといった、これまでテレビドラマでは派手な活躍のなかった実力派俳優の好演が目立った。  1~3月クールでは藤本有紀脚本で松尾スズキ主演の『ちかえもん』が、さらに4~6月クールでは黒柳徹子の半生をドラマ化した『トットてれび』が放送された。中でも黒柳を演じた満島ひかりの憑依っぷりは特筆すべきもので、文句なしで今年最も印象的だった主演女優だ。彼女の存在なしに、このドラマは成立し得なかっただろう。  また、BSプレミアムのドラマも秀作ぞろい。岡田惠和脚本・峯田和伸主演の『奇跡の人』や安藤サクラ主演の『ママゴト』、そして森川葵主演の『プリンセスメゾン』と、心に染みる作品ばかり。独特な絵柄の原作をマンガチックな表情と仕草で再現した森川は、作品によってまったく違う印象になるのが驚かされる。 『富士ファミリー』『百合子さんの絵本』『キッドナップ・ツアー』など、単発ドラマも強かった。 ■2016年の潮流は「童貞感」  一方、今年のドラマの潮流としては、「童貞感」が挙げられる。ブームを巻き起こした『逃げ恥』で星野源が演じた「プロの独身」こと平匡の童貞感あふれる言動は、見る者を虜にした。 「『かわいい』は最強なんです。『カッコいい』の場合、カッコ悪いところを見ると幻滅するかもしれない。でも、『かわいい』の場合は何をしてもかわいい! 『かわいい』の前では服従、全面降伏なんです!」 と、ヒロインのみくり(新垣結衣)が言うように、抗おうにも抗いきれないかわいさにひれ伏すしかなかった(ガッキーもだけど)。 『逃げ恥』同様、大野智主演の『世界一難しい恋』(日本テレビ系)でも、童貞感の強い男性が恋愛に奮闘する姿が描かれた。また、宮藤官九郎脚本『ゆとりですがなにか』(同)の松坂桃李や、『プリンセスメゾン』の高橋一生なども童貞感にあふれていた。ついでに言えば、今年3月まで放送されていたアニメ『おそ松さん』(テレビ東京系)もそうだ。  その多くに共通するのが、基本的に(仕事が)“できる”男だということ。けれど、女性に対してだけはまるでダメで、そのギャップがかわいいのだ。それを象徴するのが、パジャマ姿。星野も大野も高橋も、みんなパジャマ姿がかわいかった。 ■星野源と野木亜紀子の時代  そんな星野は、これまで文化系やサブカル好きの中では確固たる支持を集めていたが、『逃げ恥』の大ヒットで完全にメジャーシーンのど真ん中に飛び出し、「浸透力がハンパない」その魅力を満天下に知らしめた。そういう意味では、2016年は「星野源の時代」が始まった年として記憶されるのではないか。 『逃げ恥』のほかにも、『真田丸』では徳川秀忠役を好演。特に最終回では、強烈な印象を与えた。  ドラマだけではない。昨年末、『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たすと、今年は『逃げ恥』の主題歌「恋」が大ヒット。『LIFE!』(NHK総合)にも出演し、内村光良らとコントを演じている。またラジオでも、絶大な強さを誇る『伊集院光 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)の真裏で『星野源のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)を担当。radikoの利用者数で前者を上回るという快挙も果たした。  その星野の魅力を『逃げ恥』で最大限生かし、引き出した脚本を書いた野木亜紀子は、今年最も充実した作り手のひとりだろう。 『重版出来!』は視聴率こそ振るわなかったが、ドラマファンの心に深く刻み込まれた名作だった。もともと彼女は、『主に泣いてます』(フジテレビ系)、『空飛ぶ広報室』(TBS系)、『掟上今日子の備忘録』(日本テレビ系)と、原作の良さを損なわず、それを巧みにアレンジした上で、キャストを魅力的に描くことに定評があった脚本家。彼女が脚本だというだけで、原作ファンはとりあえず安心していいと思える、数少ない作家だ。  原作ものが多く、キャストが優先される現在のテレビドラマ界の申し子ともいえる存在ではないだろうか。けれど、そろそろ彼女の完全オリジナル脚本の作品も見てみたい。間違いなく、それだけの実績は残してきたはず。来年には、それが実現していることを願いたい。 ■2017年のドラマ界に求められるもの  大ヒットした映画『君の名は。』もそうだが、今年、ドラマでは『トットてれび』や『ちかえもん』『プリンセスメゾン』など、単なる“主題歌”以上に音楽を効果的に使った作品が多かった。井上芳雄、浦井健治、山崎育三郎といったミュージカルの舞台で実績を積んだ俳優がテレビドラマにも進出。『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(テレビ東京系)では『レ・ミゼラブル』『ライオンキング』『ベルサイユのばら』『美女と野獣』など、実際の出演者を使ってミュージカルをパロディ化。2.5次元ミュージカルの定着と相まって、テレビドラマにもミュージカル的な演出が増えていくかもしれない。  また、Netflixで制作された『火花』をはじめ、テレビ以外でもハイクオリティなドラマが作られ始めた。『Thunderbolt Fantasy』(TOKYO MX)のような台湾の布袋劇を用いた人形劇も作られた。  今年を象徴する『逃げ恥』はこれまでの“当たり前”を超えて「多様性」を肯定するドラマだったが、ドラマ界にも、より多様な表現や出演者、作られ方が求められていくだろう。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

“最後のとりで”『ドクターX』は失敗しなかった米倉涼子 続編オファーを蹴れない事情

yonekura161227.jpg
 米倉涼子主演の人気ドラマシリーズ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)第4弾の最終回(第11話)が22日に放送され、22.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率を獲得し、有終の美を飾った。  同ドラマは、初回20.4%と好発進し、第2話では19.7%と大台を割ったものの、以後、24.3%→21.3%→20.4%→21.5%→22.2%→20.7%→22.6%→20.5%と安定した数字をキープ。最終回も第3話に次ぐ2番目に高い視聴率で、11話中10話で大台を突破した。全話平均は21.5%で、4月期の嵐・松本潤主演『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)の17.2%を上回り、今年の民放連ドラでダントツのトップとなった。民放連ドラの全話平均が20%を超えたのは、2014年10月期『ドクターX』第3弾以来、2年ぶり。  過去のシリーズでは、第1弾(12年10月期)が19.1%、第2弾(13年10月期)が23.0%、第3弾が22.9%で、今シリーズは第2弾、第3弾を下回ったが、昨今ドラマの視聴率が10%を超えれば上々といわれる現状での大台超えは特筆に値する。  こうなると、気になるのは、続編(第5弾)が放送されるかどうかだが、たとえやりたくなくても、米倉にはオファーを受けざるを得ない状況があるようだ。  第3弾の放送後、「役のイメージがつきすぎる」などの理由で、米倉はいったん『ドクターX』を封印した。その直後に2歳年下の一般人男性と結婚し、一時休業したが、あっさり結婚生活は破綻。いまだに離婚が成立せず、イメージダウンの要素をはらんでいる。  1年のブランクを経て、昨年12月にオンエアされたドラマスペシャル『家政婦は見た!』(テレビ朝日系)で主演したが、視聴率は12.6%とパッとせず。同ドラマシリーズの前作の17.4%から、大きく数字を落としてしまった。また、今年4月に放送された主演ドラマ「松本清張スペシャル『かげろう絵図』(フジテレビ系)は8.3%と、“高視聴率女優”の称号に陰りが見えていた。  その状況下で“最後のとりで”となったのが『ドクターX』。7月に放送されたスペシャルは22.0%と大台を突破し、連ドラ第4弾も高視聴率をマーク、米倉はその健在ぶりをアピールすると共に、『ドクターX』シリーズの人気を示した。 「今後、米倉が『家政婦は見た!』シリーズなど、ほかのドラマで主演したところで、『ドクターX』以上の視聴率はなかなか見込めないでしょう。今シリーズは脚本の雑さも目立ち、男性視聴者が楽しみにしていた銭湯での入浴やV字開脚披露シーンが途中からなくなってしまい、ブーイングもありました。“マンネリ”との批判も出ていますが、ここまで来たら、ほとんど『水戸黄門』の領域。米倉の現在の立場を考えたら、続編はやるしかないでしょう。テレ朝的には、『相棒』や『科捜研の女』のように、2クールまたいででもやりたいはず」(テレビ誌関係者)  状況的に、第5弾の放送はほとんど内定といってもいい『ドクターX』。できれば、次期シリーズでは、視聴者の要望が高かった遠藤憲一のレギュラー出演をお願いしたいものだ。 (文=田中七男)

『ドクターX』独走、“恋ダンス”違法YouTuber続出、『IQ246』『砂の塔』のトンデモ脚本……秋ドラマランキング 

 続々と最終回を迎えた秋ドラマ。視聴率をランキング形式で振り返ります。

『ドクターX』2016年首位独走

yonekuraryouko0415_s.jpg
 まず、平均視聴率のトップ10は以下の通り(ビデオリサーチ調べ、関東地区/クールまたぎの作品は除く)。 1位『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)21.5% 2位『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)14.6% 3位『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子 』(日本テレビ系)12.4% ※全話レビュー 4位『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系)10.5% ※全話レビュー 5位『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系)10.2% ※全話レビュー 6位『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ系)8.3% 7位『カインとアベル』(フジテレビ系)8.2% ※全話レビュー 8位『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』(フジテレビ系)8.1% 9位『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)7.7% 10位『キャリア』(フジテレビ系)7.2%  トップは、予想通りの米倉涼子主演『ドクターX』第4期。第3期の全話平均22.9%からは1.4ポイント落としたものの、20%超えは年間通して同作のみでした。  今期から、主要キャストに泉ピン子を投入した同作ですが、開始早々「演技が下品」「邪魔」「小姑みたい」と“ピン子不要論”が続出。テレ朝がそんな視聴者の声を汲んでか否か、第7話ではなぜか出番がゼロだったことが話題となりました。

“恋ダンス”違法動画が大量発生

aragakiyui1226.jpg
 2位は、今期最大の話題作といえる童貞ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。初回は10.2%でしたが、みるみる上昇し、最終回は20.8%の大台に乗りました。正直なところ、「周りが言うほどハマらなかった」「童貞ドラマなら、『世界一難しい恋』(日本テレビ系)のほうが面白かった」という人ももちろんいるでしょう。しかし、それを人前で口に出せない世間の空気は、NHK『あまちゃん』流行時のそれを思い出させます。  また、星野源やガッキーがエンディングで踊る“恋ダンス”を、YouTube上に公開する素人が続出しましたが、星野の所属レコード会社が音源使用を許可しているのは、最終回が放送された今月20日まで。しかし、YouTube上には、いまだに星野の音源をそのまま使った“踊ってみた”動画が大量に公開されっぱなしです。違法ですし、サムいので早く消しましょう。  あ、そういえば、映画監督の園子温氏による「この前仕事したメンズノンノの売れっ子モデルは目の前で遅刻した理由が昨晩、朝まで好きでもない2人の女とSEXしたせいだと言いわけ?したが、さらにチンポがデカイからさあ、とふざけた奴のツイッターやインスタ見ると、いい人ぶったいい事しか書いてない。これがツィツター、これがインスタ」という5日のツイートが、百合(石田ゆり子)の部下・梅原ナツキ役の成田凌のことではないかとウワサされましたが、どうなんでしょうね? もしそうなら、平匡さん(星野)は自分のと比べて“恐縮”しちゃいそうですね!

『IQ246』『砂の塔』ミステリーものは、揃って脚本がアレ!

odayuji.jpg
 3位は、全話2ケタと健闘しながらも、『逃げ恥』に話題をかっさらわれた感のある石原さとみ主演『地味にスゴイ!』。世の働く全ての人々への応援歌的なドラマでしたが、主人公の恋も仕事も中途半端なまま終わってしまった最終回には、賛否両論が巻き起こりました。続編ありそうですね。  4位は、最終回で、沙羅駆が敵のマリアTに、悪意や殺意のパルスを判断して犬並みにIQを下げる機能が付いたネックレスをプレゼントするという、トンデモ展開が繰り広げられた『IQ246』。放送前には、織田の珍妙なしゃべり方が話題でしたが、本当にヤバかったのはトリックそのものでした。
kannomiho1017.jpg
 5位は、松嶋菜々子の美しさを再確認させられた『砂の塔』。放送前にプロデューサーが「3年以上の年月をかけ、丹念にプロットを練り上げてきた」「ワンランク上のサスペンス」とハードルを上げまくっていたものの、最終回では荒すぎる脚本に視聴者がズコー! 松嶋や横山めぐみらが演じるタワーマンションの住人たちが、菅野美穂演じる主人公を追い詰める展開にハラハラさせられたものの、話を広げすぎて収まらなかったのか、放送が終わっても謎だらけです。  また、三代目 J Soul Brothers・岩田剛典演じる体操教室の先生・航平が、主人公と鉄橋でばったり出くわすシーンが毎回頻出。ネット上で「岩ちゃんが橋に住んでる」と話題になりました。

フジ亀山社長が低視聴率報道に反論!!

chef1021.JPG
フジテレビ公式サイトより
 今期は、テレ朝やTBSのプライム帯ドラマがオール2ケタと大健闘した一方で、日テレが不調。唐沢寿明・窪田正孝主演『THE LAST COP』がイマイチだったほか、沢村一樹主演『レンタル救世主』が第9話で5%台を記録するなど、惨敗してしまいました。  そして、近年、負け続きのフジテレビですが、今期も全作全話1ケタと全滅。特に、天海祐希主演『Chef~三ツ星の給食~』は、全話平均7.1%で、TOKIO・松岡昌宏主演深夜ドラマ『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)をも下回る結果に。今年は、『ラヴソング』の福山雅治、『営業部長 吉良奈津子』の松嶋菜々子といった大物俳優に続き、天海までフジの毒牙にかかってしまいました。  そういえば、10月の定例会見で亀山千広社長は、10月からビデオリサーチが始めたタイムシフト視聴率を話題に上げ、月9『カインとアベル』は初回平均8.8%だったけど、録画視聴率は5.9%あるから、合計すると14.0%になるもーーん! と反論しましたが、その計算方法でも他局ドラマに大惨敗していることから、ネット上で失笑を買ってしまいました。  そんなこんなで、視聴者の目を潤したり、カサつかせたりした秋ドラマ。フジは、すっかり俳優から触らぬ神に祟りなし的な存在となってしまったようで、次クールも西内まりや、香里奈、小雪……と、主演俳優の地味さが目立ちますね。頑張れ、フジ! (文=どらまっ子TAMOちゃん)