バニラエア比国便で「パイロット行方不明」騒ぎ!? 実際には“体調不良”も「激安旅行」の深すぎる落とし穴

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「こんなことってあるのかよ! パイロットが行方不明だって?」 「振替え便もないなんて、おかしいですよ」  4月7日の午前11時すぎ、成田空港ターミナル3で、ANAホールディングス100%出資のLCC航空会社バニラエアのチェックインカウンターが騒然としていた。フィリピン・セブ島行きの13時20分発、JW601便が「欠航」となってしまったからだ。 「本日、下記の運航便は、乗員繰りのため、欠航が決定いたしました」  スーツケースを持った、たくさんの旅行客がこう書かれた張り紙の前に立って呆然としている。「乗員繰り」というのは、乗務員の確保ができない場合だというが、現場ではそれ以上の詳しい説明がなく、一時は「パイロットが行方不明」というウワサまで聞かれた。激高していた客の多くは、旅行代理店を通してチケットを買っていたようだ。別の張り紙には、こうあった。 「代理店経由でご予約頂いたお客様はカウンターでの便の振替えならびに返金はできませんので、直接代理店へお問い合わせください」  旅行代理店でツアーを申し込んだ客は、現場での対応をしてもらえなかったのだ。バニラエアのスタッフに何か質問する人たちもいたが、返答の大半は「すみませんが、旅行会社の方に……」といったものだった。  通常、欠航であれば旅行代理店から代金の返金はされるが、収まらないのはこの旅行のために地方からやってきた人や、現地ホテルを別途、独自に予約していた人だ。 「秋田県からやってきたのに、旅行会社から返金されるのはバニラエアの航空券代3万数千円だけ。これから秋田に帰るのに、その往復交通費はどうにもならないそうです」(60代男性) 「ネットで現地ホテルを4泊、4万8,000円で予約しましたが、宿泊日3日前以降だと代金は100%返金されない。明日以降に何とかして行かないと、すべてがパー」(20代女性)  こちらが取材者だとわかると、やり場のない怒りをぶつけるように被害者たちが話をしてくれたが、中には中国語で叫びながらキャリーバッグを蹴飛ばす中国人男性もいた。失ったのは金銭だけではなく、「セブ島で先に着いている友人と会う予定だった」とする女性や「大事な仕事の打ち合わせがある」と嘆く人もいた。  バニラエアは、2011年にANA(全日本空輸)とマレーシアのエアアジアの共同出資で設立された会社を、ANAが株式を買い取って再スタートしたLCC。国内は北海道や沖縄、海外は台湾、香港、ベトナム、フィリピンなどに就航しており、格安で知られている。  ただ、今回のトラブルについて会社側に電話で原因などを聞こうとしたところ、当初の返答は「担当がいません」という驚くべきものだった。あとになって留守番電話に連絡があったため、かけ直すと、有料のナビダイヤルだった。そこでやっと「乗員繰り」はパイロットの体調不良による欠員だとわかったが、広報担当者に「代わりの操縦士は準備していないのですか?」と聞くと「弊社では病欠のパイロット交代のシステムはありません。欠航された方は1カ月以内に振替えができますので」とのことだった。そう言われても、海外旅行の予定を1カ月以内に組み直せる人ばかりではないだろう。  そこで同じ質問をJAL(日本航空)にしてみたところ、こちらはスムーズに広報が回答。 「国際線の場合、フライトの約1時30分前である出頭時間に操縦士と副操縦士の所在や体調などを確認し、もしそれで乗務できないとなったら、常にスタンバイしている別の者が担当します」  ANA(全日本空輸)も「状況にもよりますが、基本的に別の操縦士を探して運航する体制をとっています」とのことだった。  バニラエアは一部報道で、詰めすぎるフライトスケジュールで現場が疲弊しているといった話もあった。もしパイロットがそういった過酷勤務で体調を崩したとしても、被害を受けるのは乗客のほうなのである。  旅行会社てるみくらぶの大型倒産では、被害者が最大9万人に及ぶ見込みとなっているが、こちらも格安な販売による価格競争の末に自転車操業に陥っていたもので、識者からは「安すぎる旅行会社には気をつけましょう」という声もある。  安さが魅力のLCCでも、遅延で乗継便に間に合わないことが珍しくなく、なんらかのトラブルに遭う可能性が一般の航空会社に比べ高いことは覚悟しなければならない。天候不良などは別にして“人災”的な原因で旅行計画が台無しになるリスクを避けたいのであれば、LCCの利用は避けたほうがいいかもしれない。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

発券された席が存在しない……LCC・格安航空スクートの“トンデモ”トラブルと“雑すぎ”対応

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大騒動になった機内の様子
 11月にLCC(格安航空会社)のトランスアジア航空が経営不振により突然運航を停止し、解散してしまったが、奇しくも6月に同航空を利用したばかりの筆者は、11月末、別のLCC、スクート航空でトンデモない事態を目の当たりにした。 「席がないじゃないか!?」 「本当に乗れるんでしょうか!?」  多数の日本人客の抗議で機内の入り口がごった返していたのは、タイ・バンコクのドンムアン空港からたつ成田行きの便だ。困惑する乗客に聞くと、なんとチケットに明記された座席が機内に存在しないというのだ。航空会社がカウンターで手配したチケットには「5A」「6B」といった座席番号が記してあり、数字が縦の列番号でアルファベットが横列の順だ。しかし、客が手にした「7G」などのチケットが、実際の機内には「7E」までしかないなど、存在しない席番号が発行されていたのである。  乗務員が慌てて対応するも明確な説明がなく、日本語が話せる者もごく一部であったため、先行きの見えない十数名の乗客たちは出発時刻が過ぎても20分以上も入口周辺に立ち往生となった。同行したジャーナリストの片岡亮氏は60カ国以上の豊富な海外取材を経験しているが「スクートは初めて乗りましたが、こんなトラブルは見たことがない」と驚いていた。結果、宙に浮いた乗客たちは空席に振り替えられたことで、グループがバラバラになりながらも機内から締め出されずに済んだが、もっと混んでいたら最悪乗れないという事態があったかもしれなかった。 「僕たちは旅行会社に頼んでツアーを組んでもらったので、こういう格安だったこともよく知らなかったんですけど、添乗ガイドもいないのでどうしたらいいかわからなくて本当に焦りました」と被害に遭った男性。  まれに見るミステイクだったというなら海外旅行にはつきものののちょっとした珍事件で済んだが、そもそも、このスクート航空、筆者がバンコクを往復した際、行きも帰りも遅延する大失態をやらかしていた。成田出発の行きの便は、なんと2時間以上の遅延。「航空機が到着していない」というのがスクート航空からの説明だったが、おかげで筆者はバンコクで乗り換えるはずのラオス行きの便には間に合わず、チケットが無駄になり、改めて買いなおすハメに。それでもスクート航空のカウンターデスクは「当方では一切、責任を負えません」と冷たい一言。謝罪すらなかった。  その帰りの便が先の珍事だが、帰国便は航行中、機内が大きく揺れてもいないのに座席上部の荷物入れが突然開いて、荷物があやうく落ちそうになったのに、乗務員はそれをほったらかし。客が立ち上がって閉じるしかなかった。その上、到着チケットの発行ミスで遅延したわけだが、機内では到着直前に遅延を詫びる短いアナウンスがあっただけ。これぞ安かろう悪かろうの顛末というしかない。  成田空港で利用者たちに話を聞いていると、別の航空便から到着した日本人からは「スクートは遅延の常習犯なので、ちゃんと時間通りに到着したい場合は使えません」という話が聞けた。成田空港の職員にも話を聞いてみると「ハッキリ数を数えたわけではないですけど、最近かなりトラブルが増えているみたい」と言っていた。  確かにネット上のSNSなどを見ても、最近3時間半や6時間遅れがあったという客の報告が見られ、なかば炎上気味となっている様相だ。  航空機は我々乗客が命を預ける乗り物であり、座席トラブルや遅延など運行上の不祥事が相次ぐと、次に不安になるのはメンテナンスの不備や事故の心配だ。遅延して乗り換え便のチケットが無駄になった客にも謝罪ひとつない無責任な対応も含め、スクート航空はどう考えているのか取材してみたが、これまた呆れるものだった。  日本オフィスに電話すると、日本語対応と明記してある番号にもかかわらず、カタコトの日本語を話す女性が「私は日本語がわからないのでシンガポール本社に電話してください」と言う始末。そこで本社に問い合わせると、こちらは英語対応のみで、担当女性が「飛行機である以上、遅延はどうしようもないと上司が言っています」と伝言ゲームのような返答。その後、3時間を超えた遅延については補償の対象にあるという説明こそあったが、とても洗練された対応とは言い難かった。  スクート航空はシンガポール航空の出資で5年前に設立され、12年には「ベストLCC」に選ばれたこともあったが、エアアジアなどのほかLCCと比べても機内の飲食物の値段が高く、今回のようなトラブルも含めれば、体感的には解散したトランスアジアよりずっと質が低い印象だ。  同社は来年、タイガー・エアとの統合でブランディング価値を高める方針を打ち出しているが、そんなことよりまずは時間通りに客を運ぶ基本的な努力から始めたほうがよさそうだ。筆者は二度と利用しないと思うが……。 (文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)

LCCジェットスター、相次ぐ大量欠航でも拡大路線の背景と、主要株主JALの本音

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 堀江貴文仮釈放当日夜の様子を友人が語る「みんなに触られ、穏やか。服のサイズMに」 オセロ中島の早期復帰熱望に、テリー伊藤「病気治ってない。復帰前にすべきことある」 仕事の9割はコミュニケーションで決まる! 上司の怒りポイントを見極め仕事をスムーズに行おう!! ■特にオススメ記事はこちら! LCCジェットスター、相次ぐ大量欠航でも拡大路線の背景と、主要株主JALの本音 - Business Journal(4月1日)
「Wikipedia」より
 格安航空会社(LCC)・ジェットスター・ジャパンは、2012年7月の初就航から8カ月が過ぎ、3月22日には搭乗者が100万人を突破、日本航空(JAL)とのコードシェア(提携運航)もスタートし、新しい一歩を歩み出そうといている。  しかし、一方で課題は山積している。12年11月16日には整備上の問題で国土交通省から厳重注意を受け、翌12月に改善計画を提出したにもかかわらず、今年2月には再びエンジン故障事故が発生。 3月27日には那覇空港でジェットスターの乗客がはさみを持ち込んでいるのが発見されたが、持ち込み禁止のはさみであるかどうか十分確認しないまま、乗務員が乗客に返還し、保安検査場がいったん閉鎖、欠航や遅延がでるなど空港を混乱させたという。  なぜトラブルが頻発するのか。航空業界関係者は、「急速な拡大戦略に、社内体制の整備やコーポレートガバナンスができていないからではないでしょうか」と指摘する。  ジェットスターは11年8月16日、カンタス航空グループ、日本航空、三菱商事が3分の1ずつ出資して設立された。その後、12年3月12日には伊藤忠商事系の総合リース会社、東京センチュリーリースが三菱商事の保有株式の半分を引き受けて資本参加し、12年7月3日から東京-成田間の国内線を就航させた。  その後、他社の運賃よりも10%下げる最低価格保証を実施し、大々的に宣伝。一方で12年7月3日に成田-新千歳線、成田-福岡線、同9日に成田-関空(関西国際空港)線、成田-那覇線の運航を開始し、8月23日には関空の第2拠点化、24日には関空-新千歳線、関空-福岡線を、10月28日には関空-那覇線、那覇-新千歳線の運航開始と、矢継ぎ早に新路線拡大を発表した。  その猛烈な拡大ぶりに、ライバル航空会社の幹部はあきれ返るように語る。 「関空進出のときなどは、LCC事業を進めようとしていた関空から打診があったときには、何ら関心を示さなかった。そのためLCC用の運行ターミナルは小ぶりで、事実上ピーチしか利用できないようなものをつくることになっていたのですが、ジェットスターの鈴木みゆき社長が突然、関空の路線数や就航便数を増やし、拠点として利用するからと、拡大させたわけですよ。しかし、いまだに拠点化できていない」  実は11月に国交省から厳重注意があり、ジェットスターをめぐる環境は一変した。  同省関係者はいう。 「厳重注意をしたのは、整備の最終責任者にあたる確認主任者に、自分たちで決めた要件に満たしていない整備士を2人任命していたことが発覚したからです」  そのため12年12月6日から13年3月30日までの成田-関空線などで計3路線、806便の運休・時刻変更を発表した。運休は262便で4367人、スケジュール変更では544便で1万1270人の予約を受けていたが、振り替えや払い戻しで対応したという。    しかもジェットスターの関空拠点化は「厳重注意以降、話は聞かなくなりました」(関空関係者)という。ちなみにジェットスター側では「関空の拠点化は変わっていない」と説明するが、時期は未定だという。 ●LCCにくすぶる整備士不足  なぜこのような事態を起こしてしまったのか? 「ジェットスターの説明では、現場レベルでこうした社内の要件があったことを知らなかったこと、そして管理者がきちんとチェックしていなかったということでした」(国交省関係者)   しかし業界関係者は疑問を投げかける。 「自分の会社で決めた要件を社内が知らないなんて、大手の航空会社では考えられない。むしろ、ほかの理由があるのではないですか」  別の業界関係者がいう。 「実は、LCC各社は整備士の確保には非常に苦労しているのです。整備士というのは、そもそもJALやANAが必要とする数以上に養成してこなかった。大量に養成しても、就職できませんから。そのため、いきなりLCCが参入してきて、整備士が不足したのです。それに加えて、ジェットスターが保有するエアバス320は、国内ではこれまでANAしか保有していなかった。つまり、320の技術者はANAにしかいないのですから、そんな大量に整備士がいるわけがない。ほかの航空機の整備士に320のライセンスを取らせるにも、半年はかかる。オーストラリアのジェットスター本社から整備士を呼ぶにも、整備士の資格は各国で取得しなければなりませんから、日本の国内法などを勉強させなければならない。いずれにせよ、整備士を手当てする手段というのは、簡単にはありえないのです。そのような中での拡大戦略ですから、かなり無謀だったといえるのではないでしょうか」  厳重注意を受けた当時、ジェットスターの確認主任者は要件を満たしていない2人を含め14〜15人(現在は20人程度)、これで7路線24便を回さなければならないから、かなりきついスケジュールだ。しかも古参の整備士が急逝し、ローテーションがさらに厳しくなっていた。それでもなお、12月までに成田発着便の国内4路線28便、関空発着便の4路線20便まで増やすことを予定していたという。  実はジェットスター側もこの点は認めている。 「LCCというのは、収益を上げるために、スケールメリットや先駆者利益を得るため、路線を拡大していく必要がある。だから急速な拡大戦略を取らざるを得なかった。今、拡大戦略については社内の整備体制を配慮しながら慎重に対応している」 ●主要株主JALの本音  このような中で出資し、主要株主でコードシェアをしているJALはどう対応するのか? 「うちはあくまでも出資しているだけですから、特に何かやるつもりはありません。エアバス320もありませんから、専門の整備士もいません」(JAL関係者)  JALはカンタス航空と並ぶ筆頭株主で、役員や社員を出向させ、創業支援をした立場だが、ジェットスターへのさらなる支援には非常に慎重だ。 「そもそもジェットスターは、日本のマーケットに非常に関心を持ち、国交省が国内でLCCの参入の準備をしていたときにも積極的に協力していたのです。しかしジェットスターが国内で事業をするためには、外資の出資制限などがあったことから、国交省としては日本の慣習などをよく知っている国内のキャリアに資本参加させたかった。しかしANAはすでに独自でLCCの準備を進めていたことから、JALに白羽の矢が立ったのですが、JALは本当はあまり乗り気ではなかった。  しかも最初は3分の1を出資していた三菱商事も、伊藤忠関連の会社に保有株を半分売却してしまった。このままでは、JALはジェットスターを国交省から押し付けられかねない。それはJALにとっては不本意です。JALもジェットスターに何かあれば、いつでも手を引けるように、マイノリティー出資の形をとっているわけですから」(業界関係者)  ジェットスターは14年までに航空機を24機まで増強する予定で、成田-大分線、中部(中部国際空港)-福岡線、成田-札幌線が3月31日から就航を開始し、成田-鹿児島線、中部-鹿児島線などの就航も予定している。果たして進められる拡大戦略に、十分対応できる体制が社内でつくられているのか。ジェットスターの今後が注目される。 (文=松崎隆司/経済ジャーナリスト) ■おすすめ記事 堀江貴文仮釈放当日夜の様子を友人が語る「みんなに触られ、穏やか。服のサイズMに」 オセロ中島の早期復帰熱望に、テリー伊藤「病気治ってない。復帰前にすべきことある」 仕事の9割はコミュニケーションで決まる! 上司の怒りポイントを見極め仕事をスムーズに行おう!! 食事風景さえ追わない…ぬるい『情熱大陸』の少女時代ドキュメンタリーでは国家の壁を超えない! うつ病・社畜・就職浪人…… 生きづらい社会になった日本に全世界が同情中?

HISとスカイマークが"貧乏人"相手の商売から脱却!

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HISに買収された後、経営改善化が進むハウ
ステンボス。営業利益の黒字化も近いと見られ
ている。
   国内線格安航空会社のスカイマークと、その大株主である旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)の両社が、ここ最近興味深い動きを見せている。  まずは昨年2月、経営再建問題で揺れていた長崎県佐世保市の大型リゾート施設「ハウステンボス」を、HISが約20億円を出資して支援すると発表。続いて11月には、国内線限定で展開してきたスカイマーク社が、2014年を目処に国際線への参入を表明。これへ向けて「空飛ぶ豪華客船」と呼ばれる1機280億円の超大型旅客機「A380」の6機購入も明らかにした。「つぶれそうなテーマパークをなんで今!?」「スカイマークの経営規模を考えたら6機購入は無謀すぎ」と、一部業界やネット上では物議を醸した。  そして昨年12月、HISは保有するスカイマーク株300万株を売却し、約31億円の売却益を特別損益として計上したことが今年になって明るみに。さらに、再建に取り組んできたハウステンボスが、長崎~上海を結ぶカジノ船の購入へ向けて動いていたことも分かり、すでに船の所有会社「テンボスクルーズ パナマ」を、昨年12月に設立済みであることも明らかになった。  社名に「パナマ」とあるのは船籍をパナマに置き、公海上でカジノ営業を行うことで日中両国の法的問題をクリアするため。同社では「船は2~3万トン級の予定」「年間50万人の利用を目指す」(HIS広報)と鼻息は荒い。  潰れそうな大型テーマパークの買収→国内線から国際線への参入→大型旅客機の購入表明→カジノビジネスへの参入......。  これらの点を結ぶことで浮かび上がる両社の狙いとは何なのか? 「HISがハウステンボスを支援すると聞いたときは『なぜ?』という声が業界内でも多数でしたが、カジノ船を運行するとなれば話が通じます」  そう語るのは、航空専門誌「エアワールド」編集長の竹内修氏だ。竹内氏は、HISがこれまで格安旅行の薄利多売で利益を上げてきたビジネスモデルから、中流層から富裕層を睨んだ国際観光ビジネスへの転換を図ろうとしているのでは、と推測する。 「航空ビジネスって派手に見えますけど、原油価格が高騰すれば燃料サーチャージが上乗せされてチケット価格が上昇したり、『9.11』のようなテロが起これば利用客は大幅に落ち込んだりと、不確かな要素が大きいんです。そんな水商売的事情でスカイマークの利用客が減れば、海外旅行をビジネスの柱とする大株主のHISも当然苦しくなるわけです」  つまり、航空会社(スカイマーク)も旅行会社(HIS)も、構造的には水商売的な要素が大きい業態であり、両社がその構造から脱却を試みているというのだ。 「しかも日本国内では若年層の海外旅行離れが進んでいて、これまでこうした層をターゲットに格安航空券を売って成長してきたHISにとって、市場の将来性は期待できなくなりつつあります。そんな中で、勢いのある中国の富裕層を狙って確実に利益が出るギャンブル船を運航し、その流れでハウステンボスに団体客を継続して運び込む。ハウステンボスは事実上、HISの独壇場ですから、宿泊から食事、物販までほぼ独占できる。今も湯布院(大分県)などは中国人観光客が多く、すでに下地はある。形になれば大きなビジネスになるでしょう」
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世界のポルシェ代理店で最も売り上げ成績が
いいと言われる上海支店。写真のパノラマターボ
は249万元(約3,100万円)と日本の販売価
格の1.5倍近いが、「よく売れてます」(現地
コンサル)とのこと。中国の勢いを感じさせる。
 では、スカイマークによるA380の購入表明と、HISによるスカイマーク株売却についてはどう見るのか。実はスカイマークは当初、導入を決めたA380をドル箱路線に集約させ、これまで通り薄利多売で利益を出す(記事参照)と見られていたが、最近はやや事情が変わりつつあるという。竹内氏が続ける。 「A380は二階建ての大型旅客機で、全席エコノミーにすれば700席以上を設置できます。ところが、どうやらスカイマークの西久保社長は、座席をビジネスクラスとプレミアム・エコノミーのみに絞った高級路線で展開する意向を持っているとの話もあります。そもそも、エアバスの営業担当者は当初、スカイマーク向けに別の旅客機の営業をかけに行ったらしいのですが、西久保社長はなぜか超大型のA380に食いついたので驚いたというんです。しかもそれからすぐに、西久保社長は他のエアラインのA380にお忍びで乗ってみたらしく、同機の快適さに大満足して導入を決めたようです」  スカイマークの西久保社長はA380の持つ広さや静かさなどを体感し、これを活かしてランクアップしたビジネス客などをターゲットに、新たなビジネスモデルを模索している可能性があるというのだ。しかし、もしそうならば、同じ高価格ビジネスを狙う両社はさらなるシナジー効果が期待できるのでは? 「スカイマークはすべてのビジネススタイルを高価格層に移行するわけではありませんから。格安運行はこれまで通り続けるでしょう。また、これもあくまでも予想ですが、スカイマークは他社のビジネスクラスやプレミアム・エコノミーよりは安い価格設定とするために、チケットは主にネットでの直販でさばくことになりそうです。そうなればHISは関与の余地が少なくなります。さらにスカイマークは近い将来、東証に上場する構想を持っていますが、その際には増資を行う可能性が高く、一時的とはいえ株価は下がります。こうした観点からHISがスカイマーク株を今が売り時として、ある程度の量までなら手放しても問題ないと考えたとしても不思議ではありません」(注:持ち株比率は14.33%から10.05%に下がったが、売却後も売却前と変わらず第2位株主)  つまり、国内市場に限界を感じたHISは、中国人富裕層などの獲得へ向けてビジネスモデルを方向転換し、スカイマークとは一定の距離感を保ちつつも、シナジー効果が薄れた同社株を一部売却し、そこで得た資金をカジノ船の運営などの新規ビジネスに投入。さらに、日本人にとっては距離感のある長崎のハウステンボスへ中国人観光客を大量に運び込み、宿泊や外食、物品販売などへお金を落とさせる――。  思えばHISの平林社長は08年の就任会見で、「これまで成功してきたビジネスモデルをすべて見直し、ゼロベースから新たに形を作り上げる」と発言。今にして思えば意味深なコメントと言えなくもない。  いずれにせよ、石原東京都知事や橋本大阪府知事が熱望しながらいまだに実現の糸口も見えない国内のカジノビジネス。しちめんどくさい許認可権や業界のしがらみがいっさい及ばない公海上で、早ければ今年の夏にはさっさと運行を開始するというHIS。「天下り経営者たちが寄ってたかって会社を潰してしまったJALでは逆立ちしても真似できないプラン」(某旅行代理店)であることは間違いない。  1980年に格安航空券の販売からスタートし、JTBとも肩を並べる総合旅行会社へと成長を続けてきたHIS。かたやHISが株式公開で得た資金で96年に子会社として設立したスカイマーク(現在は売却)。不況と好機が混沌とするこの時代に、両社は新たな局面を迎えているようだ。 (文=浮島さとし)
日本カジノ戦略 カジノ詐欺にあったことがあります。 amazon_associate_logo.jpg
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ホントにできるの? 専門家が分析する「スカイマーク国際線進出」の可能性

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スカイマークオフィシャルサイトより
 上海まで片道4,000円!、マレーシアまでの直行便が5,000円!!――一昔前なら考えられなかった激安価格で飛行機に乗れる「ローコストキャリア」(LCC)が世界的に市場を拡大する中、日本国内線のLCCとして定着したスカイマークが、2014年を目処に、ついに国際線へ参入すると発表。航空業界を激震させている。  スカイマークでは、一人当たりの運賃を抑えるために1機約280億円の「空飛ぶ豪華客席」と呼ばれるオール2階建ての超大型旅客機「A380」を6機購入するとしているが、「スカイマークの経営規模を考えると無謀。購入資金もどこから引っ張ってくるのか」(航空ライター)と危惧する声もある。  一般にLCCは、パイロットに外国人や他社の退職者を再雇用して人件費を抑え、キャビンアテンダントも制服も簡素化してトイレ掃除を自ら行うなど、徹底したコスト圧縮により低価化を実現している。「牛丼の安売り合戦みたいな薄利多売の世界」(同)だけあって、今回の大型機大量購入が高すぎる買い物となる可能性は否定できない。  そこで、航空専門誌「AIR WORLD」編集長の竹内修氏に、スカイマーク社が国際線へ進出する狙いと今後の可能性について聞いてみた。「今回の件は我々にとっても寝耳に水で(笑)。あくまで推測という枠の中でご理解いただきたい」との前提のもと、以下の通りの回答をもらった。 ――スカイマーク社が国際線へ参入する最大の目的は? 竹内氏(以下、竹内) 大株主である「HIS」とのシナジー効果への期待、ということもあると思いますが、それとは別に、日本のLCCが国交省主導のもとでANA(全日空)の系列に入っていく中で、独立したエアラインとしての地位を保つという明確な意思表示という意味はあるかもしれませんね。 ――機体の購入が「高すぎる買い物」とする指摘もあります。 竹内 おそらく、いったんリース会社が購入した機体を借りることになると思います。そういう形で航空機を導入している会社は珍しくありません。一部の報道で言われているような1,000億円以上の投資が必要となることはないでしょう。しかも航空機の価格というのは、実はあってないようなところもありまして、「日本のエアライン初の国際線LCC」という効果を期待して、ある程度の値引きがされているはずです。資金調達は、巷で報道されているとおり、増資で行うことになるでしょうね。 ――具体的な路線がまだ発表されていませんが。 竹内 今のところ、成田~ロンドン、フランクフルト、シアトル線などの名が取りざたされています。「A380」は世界最大の大型旅客機で、座席数も多いですから、搭乗率の高い、いわゆる「ドル箱路線」に投入するのではないかと思います。また、HISや海外の航空会社と共同でチケットを販売し、高い搭乗率が期待できるハワイ線や、スカイマークの航空機の整備を委託している台湾路線などへ投入する可能性はあると思います。 ――今月4日にカンタス航空(オーストラリア)で緊急着陸する事故があり、その機体が「A380」でした。 竹内 あの事故はエンジントラブルによるとの見方が有力視されていますが、「A380」のエンジンは、カンタス航空やシンガポール航空の機体が装備する「ロールス・ロイス」社製のほかに、「エールフランス」社の機体などが装備する「エンジン・アライアンス」製のエンジンを選択することも可能です。発注時にエアラインが選択できるんですね。仮にですが「ロールス・ロイス」のエンジンが心配なら、もう一つのエンジンを選べばいいだけです。 ――スカイマークの試みがビジネス的に成功する鍵は? 竹内 成田と羽田の発着枠を確保できるかどうかは鍵になりますね。大型旅客機のA380は地方の中小空港で運航不可能ですし、かといって関西や名古屋といった空港を発着する便しか運航できないようでは旅客の数からして採算が合いません。また、魅力ある航空路線のチョイスも重要です。いくら安くても「そんな国、行かないよ」という路線では座席数を埋めることは難しいでしょうから。 ――既存キャリアのJAL(日本航空)やANA(全日空)への影響は? 竹内 仮にスカイマークが今回成功を収めた場合、これまで「A380」の導入を時期尚早として見送り続けてきたANAが、真剣に導入を検討することになるかもしれません。ただ、現時点ではスカイマークが本当に国際線へ参入できるかは予断を許しません。資金面も含めて障害となるハードルは少なくありませんからね。  * * *  ここ数年で急速に存在感を増してきたLCC。背景には、国同士の乗り入れを自由に開放しようというオープンスカイ協定が結ばれたことと、航空業界のサービスが二極化している点があげられる。エールフランスなどの大手キャリアがビジネスクラスで高い単価で利益をあげる一方、これまで飛行機に乗ったことがないような層を狙い、薄利多売で利益を出すのがLCCだ。国内大手のANA(全日空)でも、香港の投資会社との共同出資によるLCCへの参入をこのほど発表。「現行運賃の半額を目指す」(ANA)と鼻息は荒い。しかし、前述のとおり「牛丼の安売り合戦みたいな薄利多売の世界」だけあり、無策なままに価格競争に参戦することは危険だと指摘する専門家は多い。ある関係者は次のように言う。 「吉野家のほうが松屋より数十円高いけど、吉野家の味を求める客を相手に牛丼の質と価格をキープしていく、というやり方もあるでしょう。LCCも、しっかりとしたマーケティング戦略の中で自社の独自カラーをどう創造していけるかが鍵になると思います」 (文=浮島さとし)
AIR WORLD (エア ワールド) 2010年 12月号 いい時代になったもんだ。 amazon_associate_logo.jpg
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