ダメ。ゼッタイ。 怖すぎドラッグマンガ 『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』

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『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』
 リスクをお忘れだ! 快楽だけじゃ、都合良すぎるぜ!!  かねて薬物使用のウワサがあったプロ野球界の大物OBが、ホームランだけでなくクスリも打っていたということで、ついに逮捕されました。一昨年は、同じく覚せい剤所持容疑で逮捕された大物ミュージシャンが、供述で「SAY YES!」と言ったとか言わないとか(たぶん言ってない)という話もありましたし、危険ドラッグの影響と思われる交通事故も多数発生しましたね。  ということで、ドラッグの恐ろしさをあらためて皆さんと共有すべく、世にも恐ろしいドラッグがテーマのマンガをご紹介いたします。その名も『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』。やだ……タイトルがすでに怖い!  本作はそのタイトルの通り、麻薬撲滅のために闘う男が主人公です。主人公、財前要は、厚生労働省地方厚生局麻薬取締部の麻薬取締官。いわゆる麻薬Gメンとか、マトリと呼ばれる人です。麻薬捜査官は警察ではないんですが、逮捕権や拳銃の所持も認められているんですね。  財前は、単なるマトリの捜査官とは比較にならないほど、尋常じゃないドラッグへの憎悪を燃やしています。それもそのはず、自分自身が過去に捜査中にハメられてシャブを大量に投与されてしまい、生死をさまようことに。10年以上たった今も、後遺症で恐ろしいフラッシュバック(幻覚症状)に悩まされているのです。主人公の麻薬捜査官が元シャブ中……とんでもなく、ダークなマンガです。まさに、エンドレス・ドラッグ・ウォーズ。  作中で表現されているフラッシュバックのシーンが、またヤバいです。体中の至るところを虫が這い回ったり、時には人の顔が歪んだり、目が3つになったり……。財前は、自分の身にフラッシュバックが起こると、正気を保つために、ある行為に出ます。  それは、サックスを思いっきり吹くこと! そのため財前は、捜査中でも常にサックスをケースごと持ち歩いています。どう考えても捜査のジャマだろうと思うところですが、ジャンキーに襲われた時にサックスのケースで思いっきりブン殴るなど、武器としても役に立ちます。  その財前の宿敵が、関東仙石会幹部ヤンマ組組長である鬼山丈。通称、鬼ヤンマ。街をシャブで埋め尽くし、日本の麻薬王になる! と息巻く武闘派ヤクザです。鬼ヤンマの覚せい剤への入れ込みようはハンパではなく、言ってることもやってることもムチャクチャ。とんでもなくクレイジーな男で、もちろん自分自身もシャブを打つという筋金入りのジャンキーです。この鬼ヤンマの、シャブ中名言がスゴいです。 「シャブは基本的に無害なんだよ!」 「ヴーーーーーッ 来た来た来たあ 上がって来たぞォ」 「シャブは最高の貿易だ!! 広告も宣伝もいらなけりゃ、ジャロに苦情も来ねえ」 「オレにはシャブは現実(リアル)へのパスポートだ!」  こんなヤバいやつですので、怒らせると世にも恐ろしい拷問が待っています。それが「眼球シャブ注射」です。ギャーーー! ダメ! ゼッタイ!!  そして、こういうマンガですから、麻薬にハマって人生が崩壊する悲惨な人たちがワンサカ登場します。いくつかご紹介していきましょう。  大手広告代理店にお勤めの城野チーフ、プレゼン絶不調で、もう3日寝ていない状況です。そしてフラフラと、飯も食わずにトイレに行ってしまいました。しかし、トイレに行った後の彼は全然違いました! シャッキーン! 別人のような輝き!! 劇的ビフォーアフター。 「ホラ、メシなんか食ってないでガンガンいくぞ」  3日間不眠不休の男が、数分で見違えるほどに元気になるとは……。シャブの効果恐るべし。 しかし、コトがバレれば、もちろん会社はクビです。あとは転落するのみ。これからが本当の地獄の始まりなのです。仕事のために頑張っても、全然報われません。  若者向けドラッグといわれているMDMA(通称エクスタシー)も出てきます。しかも、舞台は高校の学校内です。最初は離婚の寂しさを紛らわすために使っていた体育教師から、女子高生……そして、男子高生へと段階的に波及していきます。こんな広がり方もあるのか。身近なだけに、恐ろしいですね。  MDMAは覚せい剤ほど強烈ではありませんが、本人が感じてなくても異常に発汗していたり、少しずつ異常な行動が増えていくようです。そして最悪なパターンは、ウワサによく聞く、いわゆる「アイ・キャン・フライ」です。  高校生が給水塔からダイブして、死亡。本人が飛べると思っちゃってるんだから、助かりようがないですよね。この男子生徒が大物政治家の息子だったため、マスコミや政界を巻き込んだ大問題に発展していきます。こんな感じで、基本的にいろいろなクズ野郎が出てくるマンガではあるのですが、この作品の中でも最凶最悪なクズ・オブ・クズで、キング・クズなキャラクターがいます。それが、御手洗光司という男。  麻薬中毒患者の更生施設「メシア」を運営し、何人も麻薬中毒から立ち直らせた人格者。しかし、実はこの男自身がいつのまにか覚せい剤にハマり、ジャンキーになってしまっていたのです。ミイラ取りがミイラにとは、まさにこのことです。  幼い一人娘に飲ませるフルーツミックスジュースも、なんとシャブ入り。おかげで、8歳にして娘もジャンキーです。いかにこの男が、キング・クズであるか伝わりましたでしょうか。 「キャハハハハハ 気持ちいーィ」  めちゃくちゃ楽しそうにブランコに乗る娘。そんな気持ちいいブランコ、おかしいから!! 実は、若かりし頃の財前をシャブ中にしたのも、この御手洗です。ウワサを聞いて内偵していた財前に一服盛って、財前に致死量寸前のシャブを投与したのでした。  ……というわけで、エンドレスで危ないドラッグマンガ『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 気の利いたキャッチコピーで「ダメ。ゼッタイ。」を連呼するよりも、一発こういう超おっかないマンガを読ませたほうが、よっぽど抑止効果があるような気がします。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

“SMAPタブー”に触れて打ち切り!? 伝説のパロディマンガ『平成義民伝説 代表人』

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『平成義民伝説 代表人』(講談社)
 ここ数日、世間はすっかりSMAP騒動一色。多くのマスコミにとって、SMAPやその他のジャニタレのスキャンダルを報じることはタブーであるというのは小学生でも知っている一般常識ですが、マンガの世界ではどうだったのでしょうか?  実は、ジャニーズをイジったマンガとしては、90年代にオッサンが美少年たちを次々と手込めにするホモネタを描いた4コママンガの怪作『ジャニーさん』(データハウス)という作品が存在しましたが、残念ながら、これはあまり一般には知られていません。  しかしその後、2002年にメジャー誌である「週刊少年マガジン」(講談社)で、堂々とSMAPをイジリ倒すという、神をも恐れない所業のマンガが連載されました。その名も『平成義民伝説 代表人』。『幕張』(ジャンプ・コミックス)、『喧嘩商売』(ヤンマガKCスペシャル)などの代表作を持つ木多康昭先生の作品で、単行本が2巻まで刊行されています。  もともと木多先生は、芸能・時事ネタを絡めたブラックジョークや、漫画界の暴露ネタを披露する作風で、発表される作品はことごとく問題作なのですが、かつて誰も触れることのなかった“SMAPタブー”に触れまくっている、この『平成義民伝説 代表人』こそが、木多作品の中で最もデンジャラスな存在といえます。では、一体どんな作品だったのでしょうか?  作品の冒頭は、こんなプロローグから始まります。 「皆様は覚えているだろうか!!? 今や芸能界の頂点に君臨しているIGARASHIが6人組だったことを!!」 「子供の頃からの夢、宇宙飛行士になるためにトップアイドルを辞めた米良君を!!!」 ……どこかで聞いたことがあるエピソードですね。そう、「IGARASHI」は嵐……の兄貴分「SMAP」に、「米良君」は「森君」(め→も、ら→り)と読み替えると、あることに気がつきます。これは、かつてSMAPに所属し、1996年にオートレース選手となるために脱退した6人目のメンバー、森且行の境遇によく似ているのではないかと。本作品はそんな元アイドル森且行……もとい米良勝男(めら・かつお)君が主人公の物語なのです。  ちなみに、国民的アイドルグループ「IGARASHI」の残る5人のメンバーはというと……。 ●小紫太郎(こむらさき・たろう)……愛称はコム太君。メンバーNo.1のイケメンで、SMAPでいうとキムタク的な存在です。 ●大井健次郎(おおい・けんじろう)……IGARASHIのリーダー。大井→中井→中居……ということで、中居君的ポジションと思われます。 ●六角武(ろっかく・たけし)……顔がホームベースのように六角形に角張っているが、性格は「良い人」。もちろん、草なぎ君でしょう。 ●菅野隊員(かんの・たいいん)……過去にトラブルを起こして謹慎していたが、復帰した過去を持つ。昔、菅野美穂と付き合っていた稲垣君に相当? ●ドク・サバラス……なぜか、メンバー唯一の外国人名。そういえば香取君が、『ドク』というフジテレビ系ドラマで主演していましたね。  という感じになっております。この時点で、固有名詞を巧みにカモフラージュしているようで全然隠しきれていない、かなり危険な作品であることはおわかりいただけると思います。  ストーリーはこんな感じです。人気絶頂から一気に転落した「ホタル源氏」のようになりたくないと、「IGARASHI」を脱退し、宇宙飛行士を目指すことになった米良君。「IGARASHI」を辞めたせいで彼女にフラれたりと散々でしたが、いつか見返してやるとばかりに、めげずに宇宙飛行士の訓練を続けます。しかし、ある日の訓練中、テレビをつけるとこんなニュースが……。 「今回、IGARASHIが日本製のスペースシャトルのパイロットに選ばれたことを発表します!!」  なんと、訓練など一切なしで、米良君より先にあっさりスペースシャトルに搭乗する権利を得てしまったIGARASHIメンバー。さらに、インタビューでリーダーの大井君が衝撃の発言。 「米良? もともとIGARASHIは5人組ですが?」  完全に存在をなかったことにされています。  怒り狂った森君……もとい米良君は、SMAP……もといIGARASHIのメンバーが搭乗するスペースシャトルに日本刀を持って忍び込み、ハイジャックならぬスペースジャックを行います。そして、スペースシャトル内は生き残るためにメンバー同士が殺し合う、バトルロワイヤル状態になっていきます。相当ムチャクチャなストーリーですね。  そう、ストーリー自体はハナから破綻しており、いかに作品中にブラックジョークをブチ込むかという一点に注がれたような作品なのです。 「IGARASHIのSはスポーツのSだ!」というセリフがあったり、菅野隊員が不祥事を起こした時の謝罪会見のシーンが描かれたり、六角の顔を引き合いに出して「人は、このような骨格を愛することはできない」って言ってみたり、「元ホタル源氏の星川君」なる人物が登場したり……明らかに、SMAPやジャニーズを小バカにする、センスあふれるパロディが満載です。  ただし、単行本2巻以降は「大人の事情」により、IGARASHIメンバーの登場回数が激減。SMAPと全然関係ない芸能ネタやほかの漫画家に対する愚痴(『GTO』藤沢とおる先生の休載が多すぎるとか)、マガジン編集部の暴露ネタだらけのマンガとなり、当初のコンセプトとは完全に別物になってしまいます。  そして、最後は作者の木多先生がなぜか訴訟を起こされ、裁判所に出頭するシーンが描かれます。そして、打ち切り同然で終了してしまうという謎のオチ。まあ、こんな内容の作品ですから、当然といえば当然なのかもしれませんが。  とにかく、ほぼ全編にわたってちりばめられているパロディの元ネタを調べて、ニヤニヤしながら読むというのがこの作品の正しい楽しみ方であり、何よりもマンガ界で唯一、SMAPをバカにした「世界に一つだけのあだ花」であるという意味で、歴史的意義のあるマンガといえるでしょう。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

“ダサイタマ”をメッタ斬り!! 伝説の埼玉ディスマンガ『翔んで埼玉』

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『翔んで埼玉』(宝島社)
 皆さんは、埼玉県について、どのような印象をお持ちでしょうか? 僕のようなサラリーマンですと、都心へのアクセスもよく、お手頃な物件がある住みやすい県、という印象です。結構レジャーも充実してますし、ハマっ子神奈川や、ディズニー千葉と比べて気取った感じがしないところも好印象です。  そんな素晴らしい彩の国・埼玉県にお住まいの皆様に、本日は大変うれしくないマンガをご紹介したいと思います。いや、むしろここから先は読まないほうがいいかもしれません。これを読んでしまったら、あなたは絶望のあまり埼玉県から引っ越してしまいたくなるかもしれない、そんな恐るべき埼玉県の真実を描いた作品『翔んで埼玉』(宝島社)をご紹介しましょう。 『翔んで埼玉』は、もともとは『パタリロ!』を生んだ巨匠、魔夜峰央先生の短編集『やおい君の日常的でない生活』(白泉社)に収録されている作品でした。連載が増え、上京しようと考えていた魔夜先生が、「花とゆめ」(同)の編集長の勧めで新潟県から埼玉県の所沢市に引っ越したところ、それが実は恐ろしいワナで、所沢には編集長と編集部長が住んでおり、精神的に完全に勾留状態だった……という極限のストレスから生まれた作品なのです。なるほど、埼玉でそんなにひどい目に遭ったから、このような作品を。おいたわしや……。  あまりに過激な内容で、発表当時から賛否を呼んだ本作ですが、昨年11月に『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で紹介されるや否や、ネット上を中心に話題沸騰。ついには、宝島社より、単行本として復刊されるに至ったのです。  舞台は、埼玉県民が徹底的に迫害される都市、東京。主人公は、都内の名門校白鵬堂学院に転校してきたアメリカ帰りの美少年、麻実麗(あさみ・れい)。容姿端麗、スポーツ万能の秀才である麗は、学校でも一躍注目の存在になるのですが、実は、本名を西園寺麗といい、所沢生まれで、アメリカに留学後、麻実家の養子になるという徹底的な出身地ロンダリングを経て入学していたのでした。  しかし、東京での埼玉県民のひどい仕打ちに、麗の所沢出身者としての怒りが爆発。埼玉県民の権利を取り戻すためのレジスタンス、「埼玉県解放連盟」のリーダーとして活動することになるのでした。  ……さて、ストーリーがざっくりわかったところで、この漫画の肝である、悲惨な埼玉差別ネタをいくつかご紹介していきましょう。 「最近やっと電気が通うようになった、まだテレビは珍しい」 「県知事に年貢を納めている」 「埼玉から東京に行くには通行手形が必要」 「埼玉にタクシーはない、あるのは牛車か馬車のみ」 などなどは、まだ序の口。 「三越は東京都民の行く所だ! 埼玉県民は星友(せいゆう)へ行け!」  なんと、埼玉県民は三越へ行くのも禁止のようです でも、星友(西友?)はOKって……。  埼玉県民への侮辱は、まだまだ続きます。麗の転校先では、父親の仕事の関係などで今は都内に住んでいる元埼玉県民の生徒は皆、Z組に集められ、学内でのけ者にされる始末。制服はなんと、モンペにゲートル、地下足袋です。  麗に学内を案内する役を買って出た女生徒は、 「だめよ!あんな物(Z組)なんて見ちゃ目がけがれるわ!」 「ああ、いやだ、埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」  学校で急に腹痛を訴える生徒に、学園の自治会長は、 「医務室を利用できるのは東京都民だけだ 出て行け!」 「そこらへんの草でも食わせておけ! 埼玉県民ならそれで治る!」  草食うだけで治すって、ドラクエ並みの薬草の効能ですね。  さらに東京のレストランは、どうやら都民向けのメニューと埼玉県民向けのメニューに分けられているようです。  都民用は、和風ステーキ、ヒレカツ定食、刺身定食、うな重といったメニューがずらりと並ぶのに対し、埼玉県民用は「残飯定食」「サンマの骨定食」「下水ライス」「犬のよだれご飯」……といった、見るからに吐き気をもよおすメニューばかり。  魔夜先生はいったい、所沢でどんなひどい目に遭ったんでしょうか……。  こんな感じで、散々な扱いを受けてきた埼玉県民の皆様のダメージは計り知れないことと思いますが、他県民だって油断してはいけません。実は、作品中で埼玉よりもひどい扱いを受けている県がひとつだけ存在するのです。それは、「気の弱い女性は、その地名を聞いただけで卒倒してしまう」という茨城県です。 「茨城では納豆しか産出しないから貧乏」 「茨城の原住民の食事は一日一回、水と納豆のみ」 「若者の夢は、白米にしょうゆをかけて食べること」 などなど、ボロクソです。  というわけで、埼玉県だけでなく、茨城県も巻き込んでエライことになっている悪夢のケンミンSHOW『翔んで埼玉』、いかがだったでしょうか? 実はこの作品、3話目の中途半端なところでストーリーが中断しています。その理由がなんと、魔夜先生が「横浜に引っ越し、悪口を書きづらくなったから」だそうです……。ちなみに関連作品として、『パタリロ』で、“日本のノースダコタ”こと千葉県をディスっている話もあるので、埼玉・茨城ディスだけでは飽き足らない皆さんには一読をお勧めします(http://blog.livedoor.jp/textsite/archives/55417447.html)。  レビューしておいてなんですが、この作品が広く知られることで、埼玉県(と茨城県)の人口がごっそり減らないことを祈るばかりです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

80年代エッチマンガのレジェンド後編『やるっきゃ騎士』『いけない!ルナ先生』

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左『いけない!ルナ先生』(上村純子/講談社)、右『やるっきゃ騎士』(みやすのんき/集英社)
『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』『やるっきゃ騎士』『いけない!ルナ先生』……1980年代に少年誌に連載され、少年達の股間を熱くした伝説のエッチマンガ4作品。前回(参照記事)はそのうちパイオニア的存在の2作品『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』をご紹介しました。  今回は、レジェンドエッチマンガ紹介の後編として、前2作品よりさらにエッジが利いている2作品、『やるっきゃ騎士』と『いけない!ルナ先生』をご紹介します。 『やるっきゃ騎士』(集英社)の作者は、みやすのんき先生。青年誌では『冒険してもいい頃』『AVない奴ら』などのエッチなマンガも描かれていますが、メジャー誌でのデビュー作は本作です。 『やるっきゃ騎士』がほかの3作品と違うのは、掲載誌が「月刊少年ジャンプ」(集英社)だったことです。『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』により、エッチな少年マンガ誌としての確固たる地位を築いていた「月刊少年マガジン」(講談社)に対し、このジャンルで後塵を拝していた「月刊少年ジャンプ」がエッチマンガの起爆剤として送り込んだ刺客が『やるっきゃ騎士』だったというわけです。  当時の多くのエッチマンガが1話完結型になっていたのに対し、『やるっきゃ騎士』の場合は複数話にまたがるストーリー仕立てが中心となっています。キャットファイト的なバトルマンガ色が強いのも特徴です。  そして、なんといってもこの作品の魅力は、学園を仕切る気高い女リーダー・美崎静香を、主人公・誠豪介をはじめとしたスケベな男子キャラクターたちが陵辱するシーン。手がつけられないほど気が強い女の子を、すっぽんぽんにして手込めにする……男子の思い描く願望のひとつが、この作品でかなえられているのです。  みやす先生の描くプルンとした体つきの美少女と背徳的なストーリーの絶妙なバランスが、大ヒットの要因だったと分析するわけですが、個人的に衝撃的だったのは、静香ちゃんがパンツを脱がされ、股間があらわになったシーン。なんと、股間部分が真っ白でした。男子が一番気になる女の子のアソコの部分が、実は真っ白だったことは当時の僕にとってかなりのトラウマでした。まあリアルに描いちゃうと少年誌に掲載できないわけですから、当然といえば当然なのですが……。  エッチマンガ“ファンタスティック・フォー”最後の刺客は、86年から「月刊少年マガジン」に連載された、上村純子先生の『いけない!ルナ先生』(講談社)です。  主人公は、勉強が大嫌いなダメ中学生の神谷わたる。わたるは幼い頃に母を亡くしており、さらに父親が海外に転勤することになったため、わたるの勉強や身の回りの世話まですべてやってくれる美人女子大生・葉月ルナ先生が住み込みでやって来ることになったのです。そして、夜な夜なムチムチプリンなボディを装備したルナ先生による手取り足取りおっぱい取りな過激なレッスンが行われる……そんな作品です。 イ  住み込みで身の回りの世話までする人を先生と呼ぶのが適切かどうかはともかく、これは男子にとっては理想的すぎるシチュエーションですよね。まさに、究極の女教師エロス。これでエッチな妄想をするなという方が無理というものです。まあ、現実にこんなことが起こる確率は宝くじよりも低そうですけど。 『いけない!ルナ先生』は、考えようによっては若者の持つリビドーを偏差値アップに変換するための巧妙に計算された学習メソッドが紹介されている、歴史的に見ても大変意義深いマンガであるといえます。すなわち、ルナ先生=学習マンガ、とすら言えるのです。では、具体的にはどのようなレッスンが行われていたのか、ご紹介しましょう。  テスト0点→落第→退学→人生の落伍者→孤独な人生→自殺 「たっ大変~! わたしがなんとかしなくっちゃ」 というルナ先生の意味不明な思考回路によりレッスンが開始されます。 ・数学の授業では分数の問題を出題。分母がパンティで分子がブラジャー、答えはパンティの中に書かれている。 ・物理の授業では、穴あき磁石をルナ先生の乳首に装着。おっぱいをくっつけたり離したりして、N極とS極の勉強。 ・体育の授業では風呂場で野球の特訓。紙の下着をつけたルナ先生に向かって、濡れたスポンジボールを投げます。ちなみに左のブラがアウトコース高め、右のブラがインコース高め、そしてパンティが真ん中低めです。 ・家庭科の授業では、エビフライを揚げる練習。エビになるのは、もちろんルナ先生。セリフは「うふ、じょうずにむいてね」。 などなど。驚いたことに、ルナ先生ひとりで数学から体育まで全科目を担当するという多才さを発揮しています。しかも、すべての授業で男子がやる気を出さざるを得ないエッチな創意工夫が満載。ルナ先生はある意味、究極の教師だったのです。  というわけで、1980年代の見えそうで見えない、やってそうでやってない寸止めエッチな少年マンガの代表作をご紹介しました。当時はそのほかにも、井沢まさみ先生の『どっきんロリポップ』、川原正敏先生の『パラダイス学園』、小原宗夫先生の『瞳ダイアリー』などもあり、巨人のV9時代に匹敵するエッチマンガの層の厚さだったといえます。まさに、エッチマンガが栄華を誇った素晴らしき黄金時代だったのです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) ※「月刊サイゾー1月号」でも、「マンガのマル禁事情」という特集で80年代エッチマンガを紹介しています。

80年代エッチマンガのレジェンド前編『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』

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左『Oh!透明人間』(中西やすひろ/講談社)、右『ハートキャッチいずみちゃん』(遠山光/講談社)
『Oh!透明人間』『ハートキャッチいずみちゃん』『やるっきゃ騎士』『いけない!ルナ先生』……1980年代に少年誌に連載され、少年たちの股間を熱くした伝説のエッチマンガ4作品。日刊サイゾー読者の中にも、お世話になった人がいるんじゃないでしょうか。僕はこの4作品を80年代エッチマンガの“ファンタスティック・フォー”と勝手に命名しているわけですが、今回はそのうち『Oh!透明人間』と『ハートキャッチいずみちゃん』について、どんな作品だったっけ? と皆さんに思い出していただくべく、ご紹介します。 『Oh!透明人間』(講談社)の作者は中西やすひろ先生。中西先生のその他の代表作としては『温泉へゆこう!』『めぐり愛ハウス』などがありますが、圧倒的知名度を持つ作品といえば、やはりこの『Oh!透明人間』をおいてほかにありません。  もし、男の子が透明人間になる能力を持っていたとしたら……。とりあえず、女子更衣室とか女風呂に潜入するに決まってますよね。そんな健全な男子の願望をダイレクトにかなえたエッチなマンガ……これはヒットしないはずがありません。実際、本作品は当時の「月刊少年マガジン」(講談社)の部数を爆発的に底上げした立役者でもありました。  作品の設定は、女だらけの家に居候する高校生の主人公、荒方透瑠(あらかたとおる)が、イクラを食べると透明になれるという超能力をフル活用し、ヒロインの良江ちゃんをはじめとした女子たちにエッチないたずらをしまくるというドタバタラブコメディです。透瑠という、いかにも透けそうな名前もナイスですよね。  しかし、この透明人間には、興奮すると元に戻ってしまうという致命的な弱点があります。あまりにハイリスクハイリターンな能力。しかし男子たるもの、そんな危険を冒してでも女風呂がのぞきたいもの。この男子が持つピュアなリビドーこそが、『Oh!透明人間』という作品のパワーの源なのです。  やはり特筆すべきは、透明人間だからこそ実現可能な、伝説のエッチシーンの数々。女子更衣室、女風呂に潜入するのは日常茶飯事として……。 ・日焼けマシーンの中に侵入し、素っ裸でいたずらする ・獅子舞の中に潜り込んで、おっぱいを触りまくる ・コインランドリーの中に閉じ込められた状態でグルングルン回る などなど、ハイレベルすぎるシチュエーションも登場。長期連載作品だけあって、エッチなシーンのインフレが半端じゃありません。  作品後半では、ヒロインの良江ちゃんが強盗に襲われる、吊り橋が崩落する、ロープウェイのゴンドラが墜落するなど、さまざまなトラブルに遭遇。透明になった透瑠君による『ダイ・ハード』顔負けの救出劇があるのですが、ここで手を放したら落ちる! という状況にありながら、「これはパンツを脱がすチャンス!」という衝動が抑えられず、「脱がす→手が離れる→落ちる」といった様式美が展開されます。自分の命よりもエロを優先する透瑠君の姿勢は、今どきの草食系男子にぜひ見習ってほしいハングリーさです。 『ハートキャッチ』(講談社)といえば、平成女子にとってはプリキュアですが、昭和男子にとっては遠山光先生の『ハートキャッチいずみちゃん』ですよね。『Oh!透明人間』と共に、80年代の「月刊少年マガジン」を盛り立てた作品で、主人公の原田いずみと幼なじみのエッチな男子・明智菊丸を中心としたドタバタラブコメディです。  ヒロインのいずみちゃんは、人の心が読めるというエッチマンガとしては反則すぎる超能力を持っており、いずみちゃんにエッチなことをしようとするスケベな男子たちは最後の最後に超能力で心を読まれ、ことごとく寸止めで涙をのむのです。 『いずみちゃん』の特徴は、エロ男子・菊丸による趣向を凝らしたオールラウンドな女体いじりで、エッチなシチュエーションのバラエティの多彩さはある意味、『Oh!透明人間』をも凌いでいるといえます。具体例を挙げると、 ・女体をゴルフコースに見立てて、グリーン、バンカー、池などを設置する「女体ゴルフコース」 ・車のフロントガラスに張り付いたおっぱいがワイパーで左右に揺らされる「おっぱいワイパー」 ・乳首に針をつけて壁にはめ込こんだ「おっぱい壁時計」 ・数珠つなぎになった豆電球で大事なところを隠す「豆電球水着」 ・股間と股間の間に張り付いた餅をはがそうとして、押したり引いたりしている間に餅がつきあがる「股間餅つき」 などなど、思春期男子にとっては神シチュエーションのオンパレード。とにかく女体のエロ表現に対する情熱は、計り知れません。  ちなみに遠山先生の代表作としては、犯人が近くにいると乳首がピキューンと立つ女刑事のマンガ『胸キュン刑事』もあります。乳首を使って犯人解決という設定は画期的すぎて、特許申請してもいいレベルです。  こうやって紹介してみると、今だったらわりとシャレになってないような過激なシーンがてんこ盛りなわけですが、80年代少年マンガにおいてはエロ描写の免罪符となる重要なキーワードがありました。それは「寸止め」。少年誌においては、裸は出てくるけど性行為シーンはない、女性器は描かないといった「寸止め」が鉄則なのです。『Oh!透明人間』における興奮すると元に戻るギミックや、『ハートキャッチいずみちゃん』のスケベ心が読めてしまう超能力などの設定が、ここで効いているのです。  作品を読めば、絶対に見えてなきゃおかしい女性の股間部分が、他のキャラの頭や、お風呂の泡、お尻側からのアングルなどで巧みにカバーリングされていることがわかると思います。少年エッチマンガの巨匠は「股間隠しの匠」といっても、決して過言ではなかったのです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) ※「月刊サイゾー1月号」でも、「マンガのマル禁事情」という特集で80年代エッチマンガを紹介しています。

『おそ松さん』よりブラック! 六つ子の厳しい現実を描く、学習マンガ『ニャロメのおもしろ性教室』

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『ニャロメのおもしろ性教室』(角川書店)
 赤塚不二夫先生の生誕80周年記念作として、大人になった現代版『おそ松くん』のアニメ、『おそ松さん』(テレビ東京系)が10月から放送されていますが、皆さんはご覧になりましたか? 六つ子が全員ニートでハローワーク通いをしていたり、声優がことごとくイケメンだったり、あまりのブラックさに、1話目がお蔵入りになったりと、何かと話題に事欠かないアニメ作品で、すでに、2016年からの第2クールの放送も決まっているとか。とにかく、すごい勢いです。  今回は、そんな『おそ松さん』ファンなら必読の『ニャロメのおもしろ性教室』(角川書店)をご紹介しましょう。本作は赤塚先生が手がけた学習マンガシリーズのひとつで、ほかにも『ニャロメのおもしろ数学教室』『ニャロメのおもしろ宇宙論』などが出版されています。学習マンガでありながら、赤塚キャラのシュールさと随所にちりばめられたギャグで、小難しい内容を、まるで『天才』バカボンを読んでるかのように楽しく学べてしまうという、実に画期的な学習本。もちろん『ニャロメのおもしろ性教室』も、基本的にはマジメに性を考える本になっています。あくまでも、基本的に……なのですが。  本シリーズは作品の枠を超えて、赤塚キャラがオールキャストで登場するのが魅力です。バカボンやバカボンパパはもちろん、ひみつのアッコちゃん、ウナギイヌやイヤミ、チビ太、おまわりさんなどのサブキャラ、そしてもちろん、おそ松くんも登場しています。  バカボンがニャロメ先生に勃起や性病について教わったかと思えば、SMやスワッピング、ゴム&革フェチといった、学習マンガでそこまでやらなくていいだろ! というレベルまで紹介されています。さすが赤塚先生、単なる学習マンガとは一味も二味も違う内容になっています。  なんといっても、本作品最大の被害者は、ひみつのアッコちゃんです。紅一点として、ありとあらゆる赤塚キャラからセクハラされまくり。  女性の体の紹介のために全裸にさせられたり、おそ松くんにボインタッチされたり、バカボンに「子どもをつくろう」と言われたり、チビ太に処女膜の話を振られたり……。もはや、同情したくなるレベルです。  そして、おそ松くんはといえば、思春期の多感な男の子としての役回りが課せられており、男子特有の現象がおそ松くんの体に起こります。  朝起きると、パンツの中に白い液体がベットリとついているおそ松くん。おそ松くんの体に、いったい何が起こったというのでしょうか!?  ここでズバリ、ニャロメ先生のマジメな解説です。 「これを射精というニャロメ!」  そうです。おそ松くんは、この作品で初めて射精というものを知ったのです。初めての射精の瞬間をネタにされるギャグマンガの主人公って、なかなかレアですよね。  また、おそ松くんが木登りをしたり、鉄棒や相撲をやっている時に刺激されて思わず射精してしまった現象については……。 「これを遺精(いせい)というニャロメ!」  これまた、ニャロメ先生の明快な解説です。なるほど、相撲を取る時は要注意なんですね! とにかく、おそ松くんが作品中で射精したり遺精したりと、本当の意味で「お粗末」な感じになっていくわけです。 「避妊」を解説する章では、おそ松くんのパパが、若気の至りで子どもを6人もつくったことで経済的に苦しく、後悔しているという、おそらく『おそ松くん』ファンが一番見たくなかったリアルなシーンが描かれています。 「なんて馬鹿なセックスをしてしまったんだろう…」 「妊娠しても、人工中絶しときゃよかった」  おそ松くんのパパの、現実的すぎるこのセリフ……。いろんな意味でブルーになりますね。「人工中絶」とか、もはやおそ松くんという作品の存在意義に関わる問題です。もし実行していたら、当然『おそ松さん』も存在し得なかったわけですからね。  そんな生々しい話の流れから、避妊の大切さについての話に展開するわけですが、ここでは性教育のお約束、コンドームの着け方についてイラスト付きで解説されています。ちなみに、イボ付きコンドームは使っても意味がないんだそうです。割と大きなお世話ですね。  そのほか、ラブドールを通して性の未来について語ったりとか、とにかく子ども向け学習マンガとは思えないレベルの解説がふんだんに盛り込まれている『ニャロメのおもしろ性教室』。ぜひ、『おそ松さん』鑑賞のお供に読んでみてはいかがでしょうか? (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

“ニルヴァーナ・トリップ”からバトルまで 読み手を選ぶ、異色のサウナマンガ『フィンランド・サガ』

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『フィンランド・サガ』(吉田貴司/モーニング KC)
「いつだってそう、真実はサウナでつぶやかれる」  今年もいよいよ、さむ~い冬がやって来ます。この季節、温泉や銭湯もいいですけど、体を芯から温めるんだったら、なんといってもサウナじゃないでしょうか。  スーパー銭湯や健康ランドには、必ずといっていいほどサウナが常設されています。それほどまでに、サウナ人口は多いのです。しかし「サウナなんか使ったことない」「熱いし、息苦しいし、いったい誰が得するんだよ、あんなもの」と思っている人もまた、結構多いのではないでしょうか。  今回はそんな、ハマる人とハマらない人がくっきりと分かれてしまう「サウナ」をテーマにしたマンガをご紹介します。  みなさんは、『サ道』(パルコ)という本をご存じでしょうか? 漫画家であり、「コップのフチ子」の発案者であり、そして日本初のサウナ大使でもあるタナカカツキ先生による、サウナエッセイ&マンガです。 『サ道』は、サウナの魅力をまだ知らない人をサウナジャンキーの道へと誘う、入門書といえます。サウナと水風呂の交互のセッションワークを繰り返すことにより、突然ありえないほどの気持ちいい状態、「ニルヴァーナ状態」が訪れるという衝撃的な内容が紹介されています。そう、みんなが苦手なあの水風呂こそ、サウナトリップの秘密! というわけです。さらに現在、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で『マンガ サ道』というコミカライズ作品が月イチ連載されており、サウナブームが静かに、そして確実に訪れているといっていいでしょう。  この『サ道』こそ、日本で唯一のサウナマンガかと思われたのですが、実はもうひとつ、サウナをテーマにしたマンガが存在していました。その名も『フィンランド・サガ』。 『サ道』がサウナのイメージアップをテーマにしているのに対し、『フィンランド・サガ』はもっとストイックで、サウナの「殺伐とした感じ」や「重苦しい雰囲気」が表現されている作品です。  主人公は“プロサウナチャンピオン”本庄丈一郎。この時点で、すでに突っ込みどころ満載なのですが、全裸にフェイスタオル、そして肩にはチャンピオンベルトといういでたちで登場する、マンガの主人公としてはあまりにも斬新なキャラクターです。本庄は悩める現代人の相談役として、あるいは「耐えなければいけないことだらけ」な日常のストーリーテラーとして、サウナの中で語り続けます。圧巻なのは、あまりに誇大なサウナ名言の数々。 「ライフ・イズ・サウナ」 「私の流している汗は…スパンコールなんかじゃない…」 「耐える姿は現代人のフォークロア(民間伝承)」 「耐えることで人とつながる…それがプロサウナ」 「サウナの本質はグローバルコミュニケーション」 「いつだってそう、真実はサウナでつぶやかれる」 「サウナだけが世界を変える」 「君はレストランへ行くのに弁当を持っていくのか? 荷物はいらない…ただ脱ぎ捨てるだけ、それがサウナだ…」 などなど、次から次へと繰り出される意味深なポエム。ここまでいくと、名言というより、迷言レベルです。  こんな感じで、初めは人生相談スタイルだったのですが、何を思ったか、単行本2巻からは唐突に、サウナバトルへ突入。参加国78カ国、世界一のサウニストを決める地下サウナバトルが開催されます。日本代表は、もちろん本庄。ロサンゼルスからやってきた強豪サウニスト「J.D.」と一騎打ちをします。  サウナの世界大会って、いったいどんなスゴいバトルなのかと思うかもしれませんが、“我慢できなくなってサウナから退場したら負け”という、実に単純明快なシステムです。ただし、プロ同士の戦いですから、サウナ内での高度な駆け引きが勝敗を分けます。  常に清く正しい潔癖なサウナスタイルを誇るJ.D.に対し、本庄は幼い頃に好きだった女の子と遊園地でデートした挙げ句に失敗して微妙な空気になった話など、切ない話てんこ盛りでJ.D.のメンタルに揺さぶりをかけます。……全然高度な駆け引きじゃないですね。酔っぱらいの居酒屋トークに近いものがあります。  3巻では、さらに新展開。若者たちの恋愛三角関係にサウナチャンピオンが割り込んできて、状況がさらにややこしくなるという、予想の斜め上を行くストーリーになっています。正直、舞台がサウナである必然性があまりありません。  全体的に「なんだコレ!?」感がスゴいのですが、無理やりサウナに結びつける独特の世界観は、ほかのマンガでは味わえません。読み手を選ぶかなりの異色作であると同時に、ハマる人はハマる、まさしくサウナのようなマンガといえましょう。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

“ニルヴァーナ・トリップ”からバトルまで 読み手を選ぶ、異色のサウナマンガ『フィンランド・サガ』

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『フィンランド・サガ』(吉田貴司/モーニング KC)
「いつだってそう、真実はサウナでつぶやかれる」  今年もいよいよ、さむ~い冬がやって来ます。この季節、温泉や銭湯もいいですけど、体を芯から温めるんだったら、なんといってもサウナじゃないでしょうか。  スーパー銭湯や健康ランドには、必ずといっていいほどサウナが常設されています。それほどまでに、サウナ人口は多いのです。しかし「サウナなんか使ったことない」「熱いし、息苦しいし、いったい誰が得するんだよ、あんなもの」と思っている人もまた、結構多いのではないでしょうか。  今回はそんな、ハマる人とハマらない人がくっきりと分かれてしまう「サウナ」をテーマにしたマンガをご紹介します。  みなさんは、『サ道』(パルコ)という本をご存じでしょうか? 漫画家であり、「コップのフチ子」の発案者であり、そして日本初のサウナ大使でもあるタナカカツキ先生による、サウナエッセイ&マンガです。 『サ道』は、サウナの魅力をまだ知らない人をサウナジャンキーの道へと誘う、入門書といえます。サウナと水風呂の交互のセッションワークを繰り返すことにより、突然ありえないほどの気持ちいい状態、「ニルヴァーナ状態」が訪れるという衝撃的な内容が紹介されています。そう、みんなが苦手なあの水風呂こそ、サウナトリップの秘密! というわけです。さらに現在、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で『マンガ サ道』というコミカライズ作品が月イチ連載されており、サウナブームが静かに、そして確実に訪れているといっていいでしょう。  この『サ道』こそ、日本で唯一のサウナマンガかと思われたのですが、実はもうひとつ、サウナをテーマにしたマンガが存在していました。その名も『フィンランド・サガ』。 『サ道』がサウナのイメージアップをテーマにしているのに対し、『フィンランド・サガ』はもっとストイックで、サウナの「殺伐とした感じ」や「重苦しい雰囲気」が表現されている作品です。  主人公は“プロサウナチャンピオン”本庄丈一郎。この時点で、すでに突っ込みどころ満載なのですが、全裸にフェイスタオル、そして肩にはチャンピオンベルトといういでたちで登場する、マンガの主人公としてはあまりにも斬新なキャラクターです。本庄は悩める現代人の相談役として、あるいは「耐えなければいけないことだらけ」な日常のストーリーテラーとして、サウナの中で語り続けます。圧巻なのは、あまりに誇大なサウナ名言の数々。 「ライフ・イズ・サウナ」 「私の流している汗は…スパンコールなんかじゃない…」 「耐える姿は現代人のフォークロア(民間伝承)」 「耐えることで人とつながる…それがプロサウナ」 「サウナの本質はグローバルコミュニケーション」 「いつだってそう、真実はサウナでつぶやかれる」 「サウナだけが世界を変える」 「君はレストランへ行くのに弁当を持っていくのか? 荷物はいらない…ただ脱ぎ捨てるだけ、それがサウナだ…」 などなど、次から次へと繰り出される意味深なポエム。ここまでいくと、名言というより、迷言レベルです。  こんな感じで、初めは人生相談スタイルだったのですが、何を思ったか、単行本2巻からは唐突に、サウナバトルへ突入。参加国78カ国、世界一のサウニストを決める地下サウナバトルが開催されます。日本代表は、もちろん本庄。ロサンゼルスからやってきた強豪サウニスト「J.D.」と一騎打ちをします。  サウナの世界大会って、いったいどんなスゴいバトルなのかと思うかもしれませんが、“我慢できなくなってサウナから退場したら負け”という、実に単純明快なシステムです。ただし、プロ同士の戦いですから、サウナ内での高度な駆け引きが勝敗を分けます。  常に清く正しい潔癖なサウナスタイルを誇るJ.D.に対し、本庄は幼い頃に好きだった女の子と遊園地でデートした挙げ句に失敗して微妙な空気になった話など、切ない話てんこ盛りでJ.D.のメンタルに揺さぶりをかけます。……全然高度な駆け引きじゃないですね。酔っぱらいの居酒屋トークに近いものがあります。  3巻では、さらに新展開。若者たちの恋愛三角関係にサウナチャンピオンが割り込んできて、状況がさらにややこしくなるという、予想の斜め上を行くストーリーになっています。正直、舞台がサウナである必然性があまりありません。  全体的に「なんだコレ!?」感がスゴいのですが、無理やりサウナに結びつける独特の世界観は、ほかのマンガでは味わえません。読み手を選ぶかなりの異色作であると同時に、ハマる人はハマる、まさしくサウナのようなマンガといえましょう。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

グダグダすぎる主人公を反面教師に! 全国の浪人生に贈る、予備校生マンガ『冬物語』 

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『冬物語』(原秀則/ヤングサンデーコミックス)
 予備校は受験勉強するところ? いえいえ……恋をするところです!  皆さんは、予備校に通ってましたか? 最近は少子化で、すっかり予備校の存在感は薄れており、目立っているのは「今でしょ!」の林修先生ぐらいですが、1970~90年代前半までは大学受験バブル。大学行くなら浪人して当たり前という、予備校天国の時代でした。かくいう僕も、かつては予備校で浪人生をしてました。  予備校といえば、その代名詞ともいえるのが駿台予備学校、河合塾、代々木ゼミナールのいわゆる3大予備校。「生徒の駿台、机の河合、講師の代ゼミ」なんて言われてました。いま思うと、「机の河合」って、扱いがヒドすぎますね。  そんな浪人、予備校ブームの最中に生まれた『冬物語』というマンガがあります。浪人して予備校に通う受験生たちの、まさしく「冬」な心境を描いた作品です。主人公の森川光は大学入試で、ことごとく不合格。残るはスベり止めに受けた「八千代商科大学」のみという状況。 「バーカ! あそこ(八千代商科大学)落ちたら人間やめるよ!」 「そーよ、あそこならだいじょーぶよ! あんなとこ小学生だって受かるわよ!」 「大学生っても、あそこじゃなあ…」  これぞまさに「Fラン大学」といった趣ですが、光はなんと、その「八千代商科大学」すら不合格。つまり小学生以下、人間やめろ状態です。付き合っていた彼女の和美ちゃん(専修大合格)にはあきれられた挙げ句にフラれ、どん底冬状態で浪人生活がスタートします。  この作品の見どころはなんといっても、主人公・光のすさまじいばかりの優柔不断さ、川の流れのようによどみなく流れていく意志の弱さにあるといえましょう。    浪人が決定し、通い始めた予備校、山の手ゼミナール(代ゼミがモデル)では、なんと「東大専科コース」に申し込む光。Fラン大学すら落ちた男が、なぜに東大専科コースを……? 実は、予備校で見かけたかわいい女の子(ヒロインの雨宮しおり)が東大専科コースに申し込んでいるのを見て、ついフラフラと、うっかり申し込んでしまったのです。なんだコイツは!? いきなりダメすぎる!!  当然、東大レベルの授業に、まったくついていけない光。模試の成績も赤点だらけ。さすがに、しおりちゃんにも心配されてしまいます。もちろん東大を受ける学力がないのは、本人が一番わかっているんです。でも、でも……! 「好きなコがいるんだよ…東大…東大目指してる好きなコが…だから…」  ドサクサに紛れて、しおりちゃんに遠回しな告白をする光。しかし、対するしおりちゃんは、それに気がつくどころか……。 「あたしも…光くんと同じなの…好きな人いるの! 東大に…」  告ったと思ったら返す刀で速攻轟沈。そう、しおりちゃんは、東大に入った彼氏を追いかけて一生懸命勉強している一途な女の子だったのでした。  しおりちゃんに脈がないことが判明したので、さっさと東大専科コースをやめればいいのですが、しおりちゃんに未練タラタラの光。いつまでもクヨクヨして、やめるやめないで悩み続け、ついに私大文系コースへの変更を申し出た時には単行本1巻のラストシーンでした。ここまでほとんど勉強せず。ダメだこりゃ!!  単行本2巻では、やっと夢から覚めた光。私大文系コースで目標を日東駒専に定め、再スタートを切ったのですが……。光の前に、新たなヒロインが登場。その名も、倉橋奈緒子。  天真爛漫で積極的なキャラクターながら、青学、中央を蹴って一貫して慶応を狙う才女です。この奈緒子がダメ男好きなのかなんなのかわかりませんが、光をひと目で気に入り、ちょっかい出しまくり。予備校そっちのけで映画に誘ったり、家に呼んだりと誘惑し、しまいにはキスまでしちゃいます。もともと意志の弱い光、これは勉強どころではありません。  これだけでも十分浪人生としてヤバい状況なのですが、奈緒子の一途な思いを裏切るように、しおりちゃんへの未練が再燃。勉強はできないくせに、恋愛だけはイッチョマエの恋多き予備校生として進化しています。  そんなこんなで迎えた、受験シーズン。一年浪人したその成果は……現役の時に落ちた「八千代商科大学」だけ合格! まあ、一応の成果はあったようです。親御さんも一安心です。  そのまま八千代商科大学でキャンパスライフを送るものの、やっぱり納得できない光。勉強できないくせに、プライドだけは一人前。親に黙って勝手に休学届を出して、再び予備校へ舞い戻ってきます。そう、二浪目突入です。しかし、ほどなくして休学がバレ、家族会議に。弟もこれから受験なのに、二浪させるお金なんてないとカーちゃんが泣いてます。身につまされるシーンです。 弟「俺、大学行く気ねーからさ。ま、がんばってよ」 父「金のことは心配するな、ボーナスとかその他にも多少は貯えあるから」  弟はともかく、父ちゃんのセリフ、明らかにムリしてます。  親を泣かせてまで選んだ二浪の道は、まさに修羅の道。今度こそ心を入れ替えて勉強を……と決意したところ、同じく東大に合格できず二浪目に突入したしおりちゃんと予備校で再会。再び、泥沼のノー勉強ライフへ……。  そんな感じで光のダメっぷりにイライラしたり、俺はさすがにこんなにヒドくなかったわーとか安堵しながら読むのが、この『冬物語』のたしなみ方ではないかと思うのです。  マンガではありえないほど情けなく見える光ですが、実はリアルな予備校生のひとつの姿だともいえます。中学・高校と違い、予備校生は基本的に時間の制約がないため、好きな時に好きなだけ勉強できる代わりに、自己管理ができないと、どんどん落ちていきます。誘惑に負けない意志の強さが求められるんです。  ちょっと最近サボり気味でヤバいなと思っている受験生の皆さんには、ぜひ『冬物語』を読んでいただき、勉強しなかったらコイツみたいになっちゃう! と光を反面教師にしつつ、頑張るのがオススメですよ! (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

元祖“出会い系”のいかがわしき世界……伝説のスケベマンガ『テレクラの秘密』

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『テレクラの秘密』(成田アキラ/スケール)
 みなさんは「テレクラ」って、知ってますか? いまやすっかり死語同然になってしまいましたが、1980年代から1990年代にかけて、テレフォンクラブ略して「テレクラ」というお店が繁華街にはたくさんありました。今聞いても、いかがわしくあやしい、なんともいえない響きがたまりません。 「テレクラ」は、いわゆる風俗の一業態。インターネットが普及するまで興隆していた出会い系システムです。基本的には狭い個室に電話とかティッシュが置いてあるだけで、男性がその個室でひたすら女性からかかってくる電話を待つというもの。電話で男女の会話が盛り上がり、交渉が成立すれば、電話を介したチョメチョメ(死語)やら、店外でのニャンニャン(これも死語)などに発展する可能性もあります。  そんな「テレクラ」の世界にどっぷりとハマり、人生をテレクラに捧げ、テレクラマンガという一大ジャンルを築き上げた伝説の漫画家がいます。その名も成田アキラ先生。そして、その成田先生が内外タイムスで連載していた日本初のテレクラマンガが、今回ご紹介する『テレクラの秘密』です。  成田先生こそ、まさしく「スケベマンガの帝王」と呼ぶにふさわしい存在です。この場合、エロマンガでもエッチマンガでもなく、「スケベマンガ」であるというところがポイント。なにしろ成田作品は、漂いまくるオヤジ臭に加え、淡々としたタッチがやけにリアルなギャグテイストになっているのです。やはりこれは、紛れもなく「スケベ」なのであります。 『テレクラの秘密』は、基本的に成田先生自身がテレクラに入店し、電話越しでひたすら女性客と会話。外で会う約束を取りつけられたら、待ち合わせからホテルに連れ込んでエッチするまでの一連のオトコとオンナの駆け引きや、その顛末を体験マンガにしています。  仕事でスケベできるなんて、うらやましい! と思うかもしれません。もちろん若くてかわいいOLや、美人な人妻が来れば超ラッキーですが、当然ながら、そんなにうまい話ばかりではありません。超デブスなオバサンや、性欲ありまくりのお婆ちゃん、手を出したら一発アウトの未成年や性病持ち、ヤクザの情婦に至るまで、あらゆるトラップだらけの中、テレクラで出会ったオンナはどんなにブサイクでもとりあえず口説いてラブホに連れ込もうとする成田先生のテレクラにかけるプロ根性は、ある種の悟りの境地に達しているといえます。 「ボクはこの数十年、かけっこで全力疾走をしたことがない。しかし、いい女とセックスする時は全力を尽くしてする。息切れし、心臓が破裂しそうになってもする。やっている時、これで死んでもいいような気になる。全くボクはどうしようもないスケベだ」 「愛のあるセックスでは決してない。原始的で粗暴で、けもののようなセックス、格闘技セックスなのだ」 「ボクにはヘンなクセがあって、女性が歓んでくれればくたばるまでやってやろーじゃないかという気持ちになる。こうなると、もう耐久レースの観を呈してくる。すでに肉体的快感はなく、頭はモウロウとして、ただ惰性的、自虐的持続があるのみ」  作品中、こんな数々の名言まで残しています。まさに、道を極めた者のみが語ることのできるテレクラ名言。  作品終盤では、テレクラの全国行脚を敢行。北海道、盛岡、仙台、新潟、松本、京都、福岡、鹿児島、沖縄など各地のテレクラに赴いては、現地のオンナとエッチすることに命を懸けます。例えば沖縄では、男勝りのすごいパワーでカニバサミを仕掛け、身動き取れない状態でエッチするオンナが登場。 「これが沖縄の女だ、これがー。来たかいがあった!」 などと、エッチしながら感無量の表情の成田先生。いや、沖縄の女の人が、みんなこんなじゃないと思うんですけど……。  そんなわけで『テレクラの秘密』は、単なるドスケベマンガだと思ったら大違い。最後まで読むと、成田先生のストイックなまでにテレクラ道を追求する姿に感動すら覚える作品だったのでした。まあ結局、ドスケベマンガであることに変わりはないんですが。  成田先生は漫画家でありながら、自らのホームページを「漫画家成田アキラコミュニティーサイト出会い情報館」(http://www.akiragirl.com/top.html)と銘打ち、オトコとオンナの出会いをプロデュースする伝道師としても活躍。さらに、御歳70を迎える現在でも、ブログをガンガン更新されています。しかも「週刊アサヒ芸能」(徳間書店)で、『成田アキラの性感マン遊 女体の旅GTR』などという、むしろ若い時よりも絶倫じゃねーか、というようなタイトルの連載で活躍されております。いやはや、スゴいです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)