「これはファックではない訓練だ!」伝説のハードボイルドエロ劇画『実験人形ダミー・オスカー』

osuka.jpg
『実験人形ダミー・オスカー1 Kindle版』(グループ・ゼロ)
 今回ご紹介するのは『実験人形ダミー・オスカー』という作品。小池一夫先生と叶精作先生の巨匠コンビによる名作です。しかし、タイトルは知っているけど読んだことがない、という人も多いのではないでしょうか? その異様な響きのタイトルといい、あまりにエロ劇画的で近寄りがたいオーラが漂う表紙といい、恐れをなして手を出せないという気持ちもわかります。実際、僕もそのひとりでした。  今回は、この狂気の名作、『実験人形ダミー・オスカー』の魅力について語り、今まで敬遠していた人にもぜひ読んでもらいたいという趣旨で書いておりますが、もしかしたらいま以上に敬遠する結果となるかもしれません。それほどにアクの強い作品、「ハードボイルド・セクシーコミック」なのです。 『実験人形ダミー・オスカー』の主人公は、本物の人間とまったく見分けがつかない人形(ダミー)を作る天才人形師、渡胸俊介(ときょう・しゅんすけ)です。渡胸がその人形師としての能力を生かしてビジネスをしたり人助けしたり、時には犯罪を解決したりしながら世界中を渡り歩くというストーリーです。  渡胸は人形師として紛れもなく天才なのですが、口数が少なく、内向的で常にオドオドしており、加えてイチモツが子どものように小さくてベッドで女にバカにされるといった、非モテ男子要素が数え役満のようにそろっている人物です。  しかし、この渡胸が実は二重人格者で、精神的なショックを受けると裏の人格「オスカー」が現れます。「オスカー」は渡胸と真逆の人格で、性格はワイルドで暴力的、しかも顔つきまで精悍でイケメンになり、筋肉ムキムキで巨根という……、いくら二重人格だからって、そこのサイズまで変わる!? と、ツッコミを入れざるを得ないキャラクターです。  作中のエピソードは、心優しい渡胸が人形を使って人助けする癒やし系パートと、オスカーがそこらへんの女を犯しまくったりするエロ&バイオレンスパートに分かれるのですが、やはりオスカーのブッ壊れた人格と、過剰すぎるエロスが、この作品を特徴付けているといえるでしょう。オスカーは自らを「超人間」と自称しているのですが、セリフからしてもう常人のレベルをはるかに超えています。 「おれのコックにあいさつしてくれ」 「女は子宮(ウーム)で撃つことを覚えれば絶対だッ!」 ……どうですか? この俺様口調で、救いようのないくらい下品なセリフ。ちなみに、この作品では「コック」という言葉がまるで日常会話であるかのように普通に出てきますが、お察しの通り、コックさんのことではありません。念のため。  もうひとつ、この作品の魅力となっている重要な要素があります。それが、エピソードごとに毎回とっかえひっかえで登場するゴージャスな美女たちです。美女とは言いましたが、ことごとく洋物ポルノ女優みたいな濃すぎるルックスの女ばかりである上に、ほぼ全員が欲求不満という、必然的にエロくならざるを得ない設定となっています。お約束のベッドシーンでは…… 「BING! BING!! BINNーG!!」 というような擬音とともに、金属バットを模したオスカーの巨大な男根が登場。それをうっとりと眺める欲求不満な洋ピン女優もとい、ゴージャス美女たち。そして、ベッドで繰り出されるハードコアなあえぎ声は、それはもうすさまじいものです。 「ああーッ!! すごい あー!! ロッド!! OH ロッド ロッドーーーーッ(大きい)」 「ああッ!! ジィグ!! ジャグ!! アーッ上(ジィグ)!!  アーッ下ッ(ジャグ)」 「もっと……もっとォ!!  にぎりつぶしてェーーーーッ!! 私の乳房(ヘッドライト)ーーーーッ!!」 「あーーッ すご…い…い…もっと…もっと…ドッグファッションーーーーッ!!」 「ちょうだいッ ちょうだいッ あなたの…スライムッ」  どうですか、この狂気のセリフ……ヘッドライトとかスライムとか例え方がすでにおかしいし、ドッグファッションに至っては何を例えているのかもまったくわかりません。原作者、小池先生によるボキャブラ天国状態となっています。  ちなみに「勃起」と書いて「エレクチオン」と読ませたり、「性交」と書いてファックと読ませたり、「射精」と書いて「イジャキュレイション」と読ませたりなど、読んでいると自然と夜の英会話のボキャブラリーが増えるというマンガでもあります。まあ、覚えたところで使いどころがないけど。そして、これらの単語を組み合わせた代表的な例文としては…… 「これは性交(ファック)ではない訓練だ、その証拠におれは射精(イジャキュレイション)してはいない」  オスカー様のカッコよすぎるセリフです。「これはファックではない訓練だ!」男なら一度は言ってみたいような言ってみたくないような、それでいて口走ったら確実にお縄になりそうなセリフですね!  こんな感じで、ページをめくるたびにエロかっこいい変態ゼリフが乱れ飛んでいる『実験人形ダミー・オスカー』なのですが、ムチャクチャな設定なのにストーリーとしては奇跡的に破綻しておらず、しっかり読ませる作品となっているのが名作といわれるゆえんです。ただ、エロいシーンが山ほど出てくるわりには、美女たちがあまりにポルノ女優っぽすぎるのと、モンスターのようなあえぎ声にドン引きしてしまい、ちっとも興奮しないっていうか、どっちかというとギャグマンガ扱いしたくなるレベルです。どうですか? ちょっと読んでみたくなったでしょ?「イジャキュレイション」って、言ってみたくなったでしょ?(それはないか……) (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) 「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

芦田愛菜も顔負け! 芸能界をあざとく生きる天才子役マンガ 『このゆびとまれ』

konoyubi.jpg
『このゆびとまれ 1』 (ニチブンコミックス)
「天才子役」。このワードを聞いてすぐにイメージするタレントといえば、芦田愛菜ちゃん、加藤清史郎くんあたりでしょうか。かつては、日本テレビ系『家なき子』で一世を風靡した安達祐実、NHK朝ドラ『おしん』の小林綾子も、天才子役と呼ばれていましたね。  そんな天賦の才能を持った子役たちが魑魅魍魎はびこる芸能界で生き延びるには、大人顔負けのプロ根性や、世渡り上手さも必須です。当然、天使のような表の顔に対し、裏では性格が最悪だった……なんていうウワサも常につきまといます。今回ご紹介するのは、そんな天才子役にスポットを当てたマンガ『このゆびとまれ』です。  主人公は日本で一番忙しい子ども、藤江恵那(ふじえ・えな)ちゃん、小学1年生(6)です。恵那ちゃんがひとたび天使のように笑えば、大人たちをキュンキュンさせ、ひとたび泣きだせば、お茶の間もつられて号泣するという、まさに演技の天才。  そんな恵那ちゃん、いや、ここはあえて「恵那さん」と呼ばせていただきますが、控室で見せる素の姿がスゴすぎます。控室に戻るなり、少々頼りないマネジャー・田代を呼びつけ……。 「田代ぉ! 水っ!!」 「ほんっと使えねーな、言われる前に考えて動けっつーの!」 などと怒鳴りつけます。6歳に「使えねー」なんて言われる大人の立場って……いや、きっついです。これが天使の素顔なのか!? さらに、控室で次々に披露される本音トーク。自分が天才であるという自負も、しっかりあるようです。 「はっ、ばかじゃね? 数字持ってるのは私なんだから!」 「まー私もプロだし? 求められる以上のことはやるけどさっ!!」 「皆さんの大好きな“理想の子ども”を見事に演じてあげますよっ」 6歳にして、このプロ根性。「数字持ってる」とか、なかなか言えませんよね。それもそのはず、恵那ちゃんには「全宇宙で一番のトップ女優」になるという野望があるのです。「全宇宙」ってところだけは、なんか子どもっぽいですが。 さらに恵那ちゃんは、「恵那's eye」により、『ドラゴンボール』のスカウターよろしく、一瞬にしてタレントの実力を数値化できる能力があります。それがETP(恵那's・タレント・ポイント)と呼ばれるもので、そのタレントが100ポイント中、何ポイントなのかで接し方を変えるのです。  例えば、スタッフを怒鳴り散らし、現場の雰囲気を悪くするベテラン女優(ETP37)と共演した際には、撮影中に「くしゅん」とかわいいくしゃみをして、わざとNGを出し、その場を和ませます。もちろんこれは、ベテラン女優を踏み台にして自分の好感度を上げるための計算です。そして、腹の中では「もう用済みよ! お・ば・さ・ん」のセリフ。エグい、エグすぎる!  ETP90以上の大物芸能人には、子どもの特権を利用して巧妙に取り入ります。お笑い界の大物、松鶴亭剃瓶や三河屋はまちには、無邪気さ&かわいさを全力でアピール。そして、計算通り大物のハートをつかんだ時は、腹の中で「そるべさんゲットだぜーっ!!」って、ポケモンか!  ライバルの子役に対する仕打ちも容赦ないです。撮影の合間、椅子の上で子役同士おしくらまんじゅうして遊んでいる時、ライバルの子役にささやきます。 「よーく聞け小娘。芸能界(このせかい)は蹴落とし合いだ、うかうかしてると喰われっちまうぜ」  そう言うと同時に、自ら椅子から落下。そして、 「てへへへへーおっこちちゃった(コツンッ)」  自ら落ちることで、周囲の大人たちにドジッ子ぶりをアピールしつつ、ライバルを蹴落とすという一石二鳥の巧妙な動き。あざとい、あざとすぎる! 小悪魔どころか、もはや悪魔といって差し支えありません。  人気芸能人のお約束、始球式では、本当は豪速球が投げられるのに、かわいく「えいっ」とヘロヘロのボールを投げます。そして、投球後のインタビューでは……。 「パパとれんしゅうしたかいありました!!」(ヘタに投げる練習をなぁ……!!)  努力する方向そっち!? とにかく、自己プロデュースのために日々の鍛錬を惜しまないのです。  こんな感じで、芸能界を必死に生きていく恵那ちゃんの表と裏での豹変っぷりから目が離せない作品なのですが、大人顔負けのプロ根性と世渡りのうまさは、いろいろ学ぶところも多いです。これはもう、マンガという体の、自己啓発本といってもいいかもしれません。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>) 「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

気が狂っている……! B級ヒーロー“犬溶接マン”とゴッサム・シティの変態的な仲間たち『HITMAN』

dog0823
『ヒットマン2』(KADOKAWA/エンターブレイン)
 アメリカンコミックス原作の映画がヒットを連発している昨今、『バットマンvsスーパーマン』をはじめ、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、『デッドプール』(すべて2016年公開)などのアメコミファンが見たかった大作や、知る人ぞ知るマイナー作の実写化が相次いでいる。  アメコミの双璧マーベルコミックとDCコミックが中心となり、今後数年先までさまざまな作品を実写化すると発表しているが、ここでは何があっても“実写化不可能”なアメコミヒーローを紹介したいと思う。  今回、紹介するのはDCコミックが出版する『HITMAN』という作品に出てくる犬溶接マン。そんなバカなと思う名前だが、原作を翻訳した海法紀光氏によると、それでオッケーとのこと。 『HITMAN』は1996年から2001年まで続いた全60話の作品。同作品は、『バットマン』に登場するゴッサム・シティを舞台にアウトローな連中が2流・3流のヒーローや悪役、犯罪者を巻き込んで、ドンパチしあうハードボイルドな物語。その中に登場するB級ヒーローチーム、セクション8に所属するのが犬溶接マンだ。アメリカ国内でも超マイナーな存在だった同作品だが、犬溶接マンという頭のおかしいキャラクターがいることは、マニアの間では古くから話題になっていた。  溶接工のようなコスチュームを身にまとい、ガス切断機と犬の死体を駆使して戦うヒーロー。ガス切断機であるにもかかわらず溶接できるのは、劇中では“スーパーパワー”で片付けられてしまっている。どう見ても出で立ちは悪役だが、同作品ではヒーローとして扱われている。  アメコミヒーローの中でも、特に変わった能力を持ったヒーローの実写化に成功した例は今まで何度もあったが、犬溶接マンの能力は、とにかくめちゃくちゃだ。それは文字通り、“犬の死体を敵の顔に溶接する”というもの。  しかも、犬の死体を溶接された相手は必ず死ぬ。犬も死に(もともと犬溶接マンによって殺されているが)、敵も死ぬというなんともいたたまれない結果になる。  犬溶接マンの“実写化不可能”なポイントは3つある。まず、動物保護団体がマジギレするのが、容易に想像できる点。2つ目は、全く映像化に向いてないキャラクター設定。最後に、ヒーローチームとしてかっこ悪すぎる点だ。  まず、犬の死体を溶接するクレイジーな能力には、多くの動物保護団体からお叱りの声をいただくに違いない。そんな犬溶接マンは、罠を仕掛けて自分で犬の死体を調達しており、必要に応じて予備も持ち歩くという人間っぽさ溢れる設定がおかしくもあり、私が好きなところでもある。  2つ目の問題は、犬溶接マン自身にある。先ほど紹介したコスチュームや、“犬の死体を溶接して相手を倒す”という設定に、無口という特徴も上乗せ。久しぶりに再会した仲間に、無言で犬の死体を溶接しようとするなど、気が狂っている。実写化した場合、無口で120分持つのか? 疑問である。  最後の問題は、彼の所属するヒーローチーム、セクション8の存在である。犬溶接マンのほかに、「シックスパック(酔って酒瓶で頭を殴るマン)」、「デフェネストレイター(窓から投げ捨てるマン)」「フレンドリー・ファイア(誤射マン)」「ブエノ・エクセレンテ(変態性欲マン)」「ジャン・ドゥ・バトン(フランス人マン)」「シェイクス(貧乏揺すりマン)」「フレムジェム(痰吐くマン)」と、聞いただけで気になるヒーローが勢ぞろい。『アベンジャーズ』のような華麗なヒーローチームとは、ほど遠い。  はっきり言って、イケメンは一人もいないおっさんの集まりだ。『エクスペンダブルズ』ばりに、かっこいいおっさんたちの集まりだったらまだよかったが、能力も相まって悪人面ばかり。  実写化しても奇天烈さが話題になるだろう彼らだが、バットマンたちの代わりにマフィアのボスや、最強のエイリアン、ゾンビ、はてはサンタクロース相手に戦いを挑み、日夜ゴッサム・シティの平和を守っている。  昨年12月にセクション8を主人公にした単行本が新たに発売されたり、シックスパック(酔って酒瓶で頭を殴るマン)と犬溶接マンの2人が旅に出る番外編が発売されるなど、アメリカ国内でも現在人気急上昇中。 『HITMAN』は、アメコミ初心者でもすんなりと入り込め、面白い作品であることは間違いない。コメディとハードボイルドが入り混じった同作品は、現在翻訳版が2冊発売されており、ボリュームとしても読みやすい一作だ。 (文=大野なおと)

気が狂っている……! B級ヒーロー“犬溶接マン”とゴッサム・シティの変態的な仲間たち『HITMAN』

dog0823
『ヒットマン2』(KADOKAWA/エンターブレイン)
 アメリカンコミックス原作の映画がヒットを連発している昨今、『バットマンvsスーパーマン』をはじめ、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、『デッドプール』(すべて2016年公開)などのアメコミファンが見たかった大作や、知る人ぞ知るマイナー作の実写化が相次いでいる。  アメコミの双璧マーベルコミックとDCコミックが中心となり、今後数年先までさまざまな作品を実写化すると発表しているが、ここでは何があっても“実写化不可能”なアメコミヒーローを紹介したいと思う。  今回、紹介するのはDCコミックが出版する『HITMAN』という作品に出てくる犬溶接マン。そんなバカなと思う名前だが、原作を翻訳した海法紀光氏によると、それでオッケーとのこと。 『HITMAN』は1996年から2001年まで続いた全60話の作品。同作品は、『バットマン』に登場するゴッサム・シティを舞台にアウトローな連中が2流・3流のヒーローや悪役、犯罪者を巻き込んで、ドンパチしあうハードボイルドな物語。その中に登場するB級ヒーローチーム、セクション8に所属するのが犬溶接マンだ。アメリカ国内でも超マイナーな存在だった同作品だが、犬溶接マンという頭のおかしいキャラクターがいることは、マニアの間では古くから話題になっていた。  溶接工のようなコスチュームを身にまとい、ガス切断機と犬の死体を駆使して戦うヒーロー。ガス切断機であるにもかかわらず溶接できるのは、劇中では“スーパーパワー”で片付けられてしまっている。どう見ても出で立ちは悪役だが、同作品ではヒーローとして扱われている。  アメコミヒーローの中でも、特に変わった能力を持ったヒーローの実写化に成功した例は今まで何度もあったが、犬溶接マンの能力は、とにかくめちゃくちゃだ。それは文字通り、“犬の死体を敵の顔に溶接する”というもの。  しかも、犬の死体を溶接された相手は必ず死ぬ。犬も死に(もともと犬溶接マンによって殺されているが)、敵も死ぬというなんともいたたまれない結果になる。  犬溶接マンの“実写化不可能”なポイントは3つある。まず、動物保護団体がマジギレするのが、容易に想像できる点。2つ目は、全く映像化に向いてないキャラクター設定。最後に、ヒーローチームとしてかっこ悪すぎる点だ。  まず、犬の死体を溶接するクレイジーな能力には、多くの動物保護団体からお叱りの声をいただくに違いない。そんな犬溶接マンは、罠を仕掛けて自分で犬の死体を調達しており、必要に応じて予備も持ち歩くという人間っぽさ溢れる設定がおかしくもあり、私が好きなところでもある。  2つ目の問題は、犬溶接マン自身にある。先ほど紹介したコスチュームや、“犬の死体を溶接して相手を倒す”という設定に、無口という特徴も上乗せ。久しぶりに再会した仲間に、無言で犬の死体を溶接しようとするなど、気が狂っている。実写化した場合、無口で120分持つのか? 疑問である。  最後の問題は、彼の所属するヒーローチーム、セクション8の存在である。犬溶接マンのほかに、「シックスパック(酔って酒瓶で頭を殴るマン)」、「デフェネストレイター(窓から投げ捨てるマン)」「フレンドリー・ファイア(誤射マン)」「ブエノ・エクセレンテ(変態性欲マン)」「ジャン・ドゥ・バトン(フランス人マン)」「シェイクス(貧乏揺すりマン)」「フレムジェム(痰吐くマン)」と、聞いただけで気になるヒーローが勢ぞろい。『アベンジャーズ』のような華麗なヒーローチームとは、ほど遠い。  はっきり言って、イケメンは一人もいないおっさんの集まりだ。『エクスペンダブルズ』ばりに、かっこいいおっさんたちの集まりだったらまだよかったが、能力も相まって悪人面ばかり。  実写化しても奇天烈さが話題になるだろう彼らだが、バットマンたちの代わりにマフィアのボスや、最強のエイリアン、ゾンビ、はてはサンタクロース相手に戦いを挑み、日夜ゴッサム・シティの平和を守っている。  昨年12月にセクション8を主人公にした単行本が新たに発売されたり、シックスパック(酔って酒瓶で頭を殴るマン)と犬溶接マンの2人が旅に出る番外編が発売されるなど、アメリカ国内でも現在人気急上昇中。 『HITMAN』は、アメコミ初心者でもすんなりと入り込め、面白い作品であることは間違いない。コメディとハードボイルドが入り混じった同作品は、現在翻訳版が2冊発売されており、ボリュームとしても読みやすい一作だ。 (文=大野なおと)

格闘マンガ以上にバイオレンス! 豪胆すぎる梶原一騎の人生劇場『男の星座』

otokoseiza.jpg
『男の星座』(グループ・ゼロ)
 マンガの世界では、マンガ家自身の半生をテーマにした「マンガ家マンガ」というジャンルがあります。その中で、最高峰かつバイブル的な存在といえば、藤子不二雄A先生による『まんが道』でしょう。この作品を読んで、マンガ家を志した方も多いのではないかと思います。  ところで、皆さんは梶原一騎という人物をご存じでしょうか? 『空手バカ一代』『巨人の星』『タイガーマスク』『あしたのジョー』『プロレススーパースター列伝』などなど、日本を代表するスポ根マンガの原作者であり、「劇画王」とまでいわれている人物ですが、マンガ作家でありながら、そんじょそこらの格闘マンガの主人公よりも遥かに破天荒な人生を送ったことでも有名です。  そんな梶原先生の人生そのものをマンガにしてしまった、バイオレンスすぎる自伝マンガが『男の星座』なのです。原作は梶原先生自ら担当し、作画は『プロレススーパースター列伝』でコンビを組んだ、原田久仁信先生です。連載中の1987年に梶原先生が逝去したため、未完となってしまいました。 『男の星座』の内容は、妙齢の男性が星座占いやプラネタリウム通いにいそしむ、などといったたぐいの軟弱な話ではなく、「これが男一匹・梶原一騎の人生じゃ! 文句あるか!!」とばかりに、男性ホルモンをフルスロットルで放出し続けています。キーワードは「力道山」「大山倍達」「ケンカ」「女」「酒」の、ほぼ5つのみ。本業のマンガ原作の話は、わりとそっちのけです。  本作における重要人物となる2人の格闘家、力道山と大山倍達についてですが、力道山はご存じ、必殺「空手チョップ」を武器に、戦後のプロレスブームを牽引した「日本プロレス界の父」であり、ジャイアント馬場、アントニオ猪木といった、プロレス界のレジェンドを生んだ師匠でもあります。  一方の大山倍達は極真空手の創始者であり、猛牛を素手で倒したため「牛殺し」の異名を持ち、『空手バカ一代』のモチーフともなった人物です。この2人と梶原先生という、3つの輝く一等星が織りなす人生劇場が『男の星座』なのです。  梶原先生(作中では梶一太)は柔道・空手の有段者であり、格闘技に造詣が深かったことから、取材を通じて力道山や大山倍達と交流するようになります。作中で描かれる格闘界のレジェンドの2人の逸話はとてつもなくディープですさまじいものですが、実は真の主人公である梶原先生自身の武勇伝のほうがすごかったりします。その豪胆すぎるエピソードを、いくつかご紹介しましょう。  まだ駆け出しの小説家だった若き日の梶原先生が、浅草でストリップの女王に一目惚れ。そこからの行動は、今でいうなら、完全にストーカーです。タクシーで尾行し、彼女と同じ店に入って隣の席で飯を食いながら会話を盗み聞きしたり、ファンレターを書きまくったのに返事をもらえず、怒りのあまり楽屋に乗り込んでケツモチの暴力団に襲われるも、得意の柔道で返り討ちにしたり……。しかし、その強引さに女王は心奪われ、2人は同棲することになるのです。ストーキング行為が激しすぎて恋が成就してしまうという、稀有な例です。  続いても、女絡み。酔って入った場末のキャバレー、そこでナンバーワンホステス・夕子とイチャついていたのはいいが、実は暴力団経営のボッタクリ店で、お勘定はなんと30万円。「払えない」と言うと、「指を詰めろ」と脅されます。しかし、逆ギレした梶原先生は、その場で夕子を人質に取り、すごみ返します。 「ヤクザの情婦ふぜいが、ちょっとばっかりツラの印刷がいいからって、大の男をコケにしくさってぇーーー!」 「ヘタな大阪弁で凄むんじゃねえッ、この京浜蒲田のドサヤクザがァ!」  梶原先生、人質を取った途端、めっちゃ強気です。取り囲む数十人のヤクザ相手に、全然ひるんでいません。「ツラの印刷」って表現も斬新すぎる!  そして、和服姿で下半身丸出し状態の夕子をジャイアントスイングでブンブン振り回し、取り囲むヤクザをなぎ倒して店を脱出。その後しばらく、ヤクザの刺客たちに命を狙われては返り討ちにする日々を過ごすのですが、その梶原先生の腕っ節の強さに、ヤクザの情婦だったはずの夕子が惚れてしまい、2人は同棲することに(またかよ!)……。どうですか、破天荒でしょう!?  力道山との初対面のエピソードもすごいです。梶原先生の書いたルポの内容が力道山を怒らせてしまい、料亭の太い床柱を空手チョップで叩き割る姿を見せつけられ、周りはみんなチビッているのに、梶原先生だけはまったく動じなかったのです(実は女と別れて、ヤケクソになっていただけ)。それがきっかけで、力道山に気に入られるという、棚ボタラッキーな豪胆エピソードです。  また、銀座のステーキ店「スエヒロ」で見習いとして働いていた時代、皿を割ってコック長に殴られたのに逆ギレし、コック長を一本背負いしてノックアウト。退職金代わりに牛フィレ肉5枚を奪っていくというエピソードなども、キレッキレでシビれます。  これが最後の作品だと腹をくくっていたせいか、力道山が岸恵子と付き合っていたとか、こ●どり姉妹のスポンサーは暴力団だったとか、当時としてはいろいろと外に出してはまずそうな話を、実名で容赦なく暴露しているところも見どころです。まさに、怖いものなし状態。  さらに、梶原先生が浮き名を流した松坂慶子、島田陽子、池上季実子、早乙女愛、志穂美悦子などの女優たちとの関係についても真相を描く……などといった、名前を出された方にとっては戦々恐々の予告がされていたのですが、こちらは残念ながら、本作では描かれる前に絶筆となってしまいました。  というわけで、まだまだネタはあったに違いないのに未完となってしまったのが惜しまれる、梶原一騎自伝マンガ『男の星座』をご紹介しました。男たるもの、こんな豪快な生き方をしてみたいものですが、普通の人には到底無理そうです。先生が数々の大ヒットマンガの原作を発想できたのは、本人の人生がマンガ以上に破天荒すぎたからかもしれませんね。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

格闘マンガ以上にバイオレンス! 豪胆すぎる梶原一騎の人生劇場『男の星座』

otokoseiza.jpg
『男の星座』(グループ・ゼロ)
 マンガの世界では、マンガ家自身の半生をテーマにした「マンガ家マンガ」というジャンルがあります。その中で、最高峰かつバイブル的な存在といえば、藤子不二雄A先生による『まんが道』でしょう。この作品を読んで、マンガ家を志した方も多いのではないかと思います。  ところで、皆さんは梶原一騎という人物をご存じでしょうか? 『空手バカ一代』『巨人の星』『タイガーマスク』『あしたのジョー』『プロレススーパースター列伝』などなど、日本を代表するスポ根マンガの原作者であり、「劇画王」とまでいわれている人物ですが、マンガ作家でありながら、そんじょそこらの格闘マンガの主人公よりも遥かに破天荒な人生を送ったことでも有名です。  そんな梶原先生の人生そのものをマンガにしてしまった、バイオレンスすぎる自伝マンガが『男の星座』なのです。原作は梶原先生自ら担当し、作画は『プロレススーパースター列伝』でコンビを組んだ、原田久仁信先生です。連載中の1987年に梶原先生が逝去したため、未完となってしまいました。 『男の星座』の内容は、妙齢の男性が星座占いやプラネタリウム通いにいそしむ、などといったたぐいの軟弱な話ではなく、「これが男一匹・梶原一騎の人生じゃ! 文句あるか!!」とばかりに、男性ホルモンをフルスロットルで放出し続けています。キーワードは「力道山」「大山倍達」「ケンカ」「女」「酒」の、ほぼ5つのみ。本業のマンガ原作の話は、わりとそっちのけです。  本作における重要人物となる2人の格闘家、力道山と大山倍達についてですが、力道山はご存じ、必殺「空手チョップ」を武器に、戦後のプロレスブームを牽引した「日本プロレス界の父」であり、ジャイアント馬場、アントニオ猪木といった、プロレス界のレジェンドを生んだ師匠でもあります。  一方の大山倍達は極真空手の創始者であり、猛牛を素手で倒したため「牛殺し」の異名を持ち、『空手バカ一代』のモチーフともなった人物です。この2人と梶原先生という、3つの輝く一等星が織りなす人生劇場が『男の星座』なのです。  梶原先生(作中では梶一太)は柔道・空手の有段者であり、格闘技に造詣が深かったことから、取材を通じて力道山や大山倍達と交流するようになります。作中で描かれる格闘界のレジェンドの2人の逸話はとてつもなくディープですさまじいものですが、実は真の主人公である梶原先生自身の武勇伝のほうがすごかったりします。その豪胆すぎるエピソードを、いくつかご紹介しましょう。  まだ駆け出しの小説家だった若き日の梶原先生が、浅草でストリップの女王に一目惚れ。そこからの行動は、今でいうなら、完全にストーカーです。タクシーで尾行し、彼女と同じ店に入って隣の席で飯を食いながら会話を盗み聞きしたり、ファンレターを書きまくったのに返事をもらえず、怒りのあまり楽屋に乗り込んでケツモチの暴力団に襲われるも、得意の柔道で返り討ちにしたり……。しかし、その強引さに女王は心奪われ、2人は同棲することになるのです。ストーキング行為が激しすぎて恋が成就してしまうという、稀有な例です。  続いても、女絡み。酔って入った場末のキャバレー、そこでナンバーワンホステス・夕子とイチャついていたのはいいが、実は暴力団経営のボッタクリ店で、お勘定はなんと30万円。「払えない」と言うと、「指を詰めろ」と脅されます。しかし、逆ギレした梶原先生は、その場で夕子を人質に取り、すごみ返します。 「ヤクザの情婦ふぜいが、ちょっとばっかりツラの印刷がいいからって、大の男をコケにしくさってぇーーー!」 「ヘタな大阪弁で凄むんじゃねえッ、この京浜蒲田のドサヤクザがァ!」  梶原先生、人質を取った途端、めっちゃ強気です。取り囲む数十人のヤクザ相手に、全然ひるんでいません。「ツラの印刷」って表現も斬新すぎる!  そして、和服姿で下半身丸出し状態の夕子をジャイアントスイングでブンブン振り回し、取り囲むヤクザをなぎ倒して店を脱出。その後しばらく、ヤクザの刺客たちに命を狙われては返り討ちにする日々を過ごすのですが、その梶原先生の腕っ節の強さに、ヤクザの情婦だったはずの夕子が惚れてしまい、2人は同棲することに(またかよ!)……。どうですか、破天荒でしょう!?  力道山との初対面のエピソードもすごいです。梶原先生の書いたルポの内容が力道山を怒らせてしまい、料亭の太い床柱を空手チョップで叩き割る姿を見せつけられ、周りはみんなチビッているのに、梶原先生だけはまったく動じなかったのです(実は女と別れて、ヤケクソになっていただけ)。それがきっかけで、力道山に気に入られるという、棚ボタラッキーな豪胆エピソードです。  また、銀座のステーキ店「スエヒロ」で見習いとして働いていた時代、皿を割ってコック長に殴られたのに逆ギレし、コック長を一本背負いしてノックアウト。退職金代わりに牛フィレ肉5枚を奪っていくというエピソードなども、キレッキレでシビれます。  これが最後の作品だと腹をくくっていたせいか、力道山が岸恵子と付き合っていたとか、こ●どり姉妹のスポンサーは暴力団だったとか、当時としてはいろいろと外に出してはまずそうな話を、実名で容赦なく暴露しているところも見どころです。まさに、怖いものなし状態。  さらに、梶原先生が浮き名を流した松坂慶子、島田陽子、池上季実子、早乙女愛、志穂美悦子などの女優たちとの関係についても真相を描く……などといった、名前を出された方にとっては戦々恐々の予告がされていたのですが、こちらは残念ながら、本作では描かれる前に絶筆となってしまいました。  というわけで、まだまだネタはあったに違いないのに未完となってしまったのが惜しまれる、梶原一騎自伝マンガ『男の星座』をご紹介しました。男たるもの、こんな豪快な生き方をしてみたいものですが、普通の人には到底無理そうです。先生が数々の大ヒットマンガの原作を発想できたのは、本人の人生がマンガ以上に破天荒すぎたからかもしれませんね。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

女だったら女帝を目指せ! 究極の成り上がりホステスマンガ『女帝』

jyotei.jpg
『女帝』(作:倉科遼/画:和気一作/グループ・ゼロ)
「日刊サイゾー」の読者の皆さん、こんにちは。皆さんは「成り上がりマンガ」は好きですか? 成り下がってばかりの潜水艦のような人生を送っている僕にとって、「成り上がりマンガ」は最高のカタルシスです。  このジャンルは、男性が主人公の作品が多数を占めています。スポーツマンガ、任侠マンガ、格闘マンガ、ビジネスマンガなど、多くの男性向けマンガは「成り上がる」こと自体が命題となっているので、当然ですね。  では、女性を主人公にしたマンガはあるのでしょうか? もちろんあります。それも、強烈なやつが。今回ご紹介する『女帝』です。 『女帝』は熊本出身の女子高生・立花彩香が、大阪の場末のスナックからスタートして、銀座で「女帝」と呼ばれるようになるまでの半生を描いた、ノンストップホステス成り上がりマンガです。何がノンストップかというと、一度読み始めると次の展開が気になって仕方がない、読んだら最後、You can’t stopなマンガなのです。それだけストーリーが精巧に練り上げられているということなのですが、今回はそんじょそこらの成り上がりマンガに対して『女帝』がどのぐらいすごいのかを、解説していきたいと思います。 ■成り上がる必然性ありまくりな壮絶設定  母子家庭で、スナックをしている母に育てられた彩香。高校では生徒会副会長になるほどの秀才でありながら、水商売の娘というだけで周囲に蔑まれる日々でした。そんな彩香に、ひそかに恋心を抱く男子高校生がいました。杉野健一、生徒会長であり、地元の大手企業、杉野建設の御曹司でもあります。  高校卒業間際、杉野は彩香をレイプ同然で襲うのですが、杉野が父の権力を使って、彩香が誘惑したことにしてしまいます。この頃から、男や権力に対して憎悪を燃やしだす彩香。  加えて実家のスナックは、杉野建設がバックの地上げ屋に嫌がらせをされており、心労で母が倒れてしまいます。さらに、病院の診断結果で末期がんが判明するのです。あまりに悲惨な状態からのスタートです。 ■男たちへの復讐が原動力  母ががんで亡くなり、天涯孤独となって熊本の地を離れ、大阪でホステスとして生きることを決意した彩香。しかし、杉野をはじめとした卑怯な男たちや汚い権力者たちへの復讐心がメラメラと燃え上がっていました。 「学力も力もないわたしだけど一つだけ武器がある!! 女という武器が、この武器を使ってのし上がってやる」 「男の上に君臨する、女帝になってやる…!!」  高卒にして、すでに「女帝」になることを決意します。しかも、野望達成のためなら体を張る気もマンマン。単なるお小遣い稼ぎでポロリと脱ぐのとは、気合が違うという話です。 ■処女であることを最大限に活用  ホステスとして生きることを決意した彩香ですが、実はまだバージン。そして「処女は貴重なはず、高く売れるはず」という信念のもと、女帝になるためのワンステップとして、己の処女までも利用します。  大阪で出会ったスケコマシのヤクザ、伊達直人にバージンを奪われそうになるシーンがあるのですが、こんなセリフでピンチを切り抜けます。 「この肉体をあげる時は勝負する時や! 女として一世一代の勝負する時に処女を捨てるんやッ!!」 「高おに売ったるんや!! だからナオトに抱かせるわけにはいかんのやあッ!!」  ベッドでこんなセリフ言われたら、どんな絶倫男でもシュンとなるってもんですよね。そんな感じで彩香のバージンブレークのエピソードだけでも、前半はめちゃくちゃ盛り上がります。  そんな彩香がバージンを捧げるのは、見た目はキモいけど、超大金持ちの爺さん。ミナミの妖怪と呼ばれる、美濃村社長です。 「どうせ抱かれるなら最初は醜い男がいい!! これから先、いろいろな男たちがわたしの肉体を通り過ぎていくだろう…! なら、最初に一番醜い男に抱かれれば、あとはどんな男でも受け入れられる! わたしは女帝になるんだ…」  こんなポエムをつぶやきつつ、ジジイに抱かれる彩香。しかしそのおかげで、ミナミのクラブでナンバーワンとなり、その勢いで銀座へ進出します。処女を捧げたご利益はメチャクチャありました。 ■ムダに多いシャワーシーン&着替えシーン  十分すぎるほど読ませるストーリーの『女帝』ですが、サービスシーンなのか、なんなのか、毎回のように、彩香のド迫力のシャワーシーンや着替えシーンが出てきます。裸体のゴリ押し、これも、『女帝』ならではの演出なのです。 ■『女帝』という言葉がカジュアルに飛び交う  皆さんは、日常生活で「女帝」って言うシーンはありますか? 普通の人はあまりないと思いますが、このマンガでは日常会話として普通に「女帝」という言葉が飛び交います。 「あの女は女帝なんかじゃない、わたしこそが女帝なのよ!!」 「お前も負けんな、お前は女帝になったれや!!」 「彩香やからでけたことや、さすが女帝・彩香やな…!!」 「彩香という一人の女の力…まさしく女帝にしかできないことだ…女帝・彩香にしか…!!」 「やっぱ彩ちゃん、銀座の女帝だね…!!」  こんな感じで、彩香の周りの人物たちが気軽に「女帝」と口にするので感覚が麻痺してきますが、職場で隣にあだ名が「女帝」の人が座っていたら、僕は結構嫌です。 ■ホステスの老後まで心配してこそ「女帝」 『女帝』という作品のすごいところは、彩香が成り上がった時点で終わりではないところです。引退したホステスの再就職先として割烹を経営したり、クラブを辞めたホステスがみんなで働けるように伊豆の旅館を買ったりします。さらに、結婚せずに年老いたホステスたちがお互い介護し合う環境まで整える彩香。単なる成り上がりマンガだったら、ここまで描かないですよね? っていうか、たぶんそんな話を描き始めたら、普通は打ち切られます。成り上がるだけじゃない、老後まで描き切ってこその『女帝』なのです。 ■究極のどんでん返し設定、実は「総理大臣の娘」  水商売の娘ということで少女時代からさんざん蔑まれてきた彩香ですが、なんと実の父親が時の総理大臣だったことが判明! 大逆転のスーパーチート設定で、彩香を陥れようとしていた周りのライバルたちの度肝を抜きます。女帝のパパが総理大臣。ほかのマンガでは、こんな最強設定は、なかなかお目にかかれないですよ。 ***  というわけで、女成り上がりマンガの究極系『女帝』をご紹介しました。このほかに、女帝シリーズとして『女帝 花舞』『女帝 薫子』『女帝 由奈』などがありますので、併せて読んで女帝コンプリートを目指してみるのもオススメです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

女だったら女帝を目指せ! 究極の成り上がりホステスマンガ『女帝』

jyotei.jpg
『女帝』(作:倉科遼/画:和気一作/グループ・ゼロ)
「日刊サイゾー」の読者の皆さん、こんにちは。皆さんは「成り上がりマンガ」は好きですか? 成り下がってばかりの潜水艦のような人生を送っている僕にとって、「成り上がりマンガ」は最高のカタルシスです。  このジャンルは、男性が主人公の作品が多数を占めています。スポーツマンガ、任侠マンガ、格闘マンガ、ビジネスマンガなど、多くの男性向けマンガは「成り上がる」こと自体が命題となっているので、当然ですね。  では、女性を主人公にしたマンガはあるのでしょうか? もちろんあります。それも、強烈なやつが。今回ご紹介する『女帝』です。 『女帝』は熊本出身の女子高生・立花彩香が、大阪の場末のスナックからスタートして、銀座で「女帝」と呼ばれるようになるまでの半生を描いた、ノンストップホステス成り上がりマンガです。何がノンストップかというと、一度読み始めると次の展開が気になって仕方がない、読んだら最後、You can’t stopなマンガなのです。それだけストーリーが精巧に練り上げられているということなのですが、今回はそんじょそこらの成り上がりマンガに対して『女帝』がどのぐらいすごいのかを、解説していきたいと思います。 ■成り上がる必然性ありまくりな壮絶設定  母子家庭で、スナックをしている母に育てられた彩香。高校では生徒会副会長になるほどの秀才でありながら、水商売の娘というだけで周囲に蔑まれる日々でした。そんな彩香に、ひそかに恋心を抱く男子高校生がいました。杉野健一、生徒会長であり、地元の大手企業、杉野建設の御曹司でもあります。  高校卒業間際、杉野は彩香をレイプ同然で襲うのですが、杉野が父の権力を使って、彩香が誘惑したことにしてしまいます。この頃から、男や権力に対して憎悪を燃やしだす彩香。  加えて実家のスナックは、杉野建設がバックの地上げ屋に嫌がらせをされており、心労で母が倒れてしまいます。さらに、病院の診断結果で末期がんが判明するのです。あまりに悲惨な状態からのスタートです。 ■男たちへの復讐が原動力  母ががんで亡くなり、天涯孤独となって熊本の地を離れ、大阪でホステスとして生きることを決意した彩香。しかし、杉野をはじめとした卑怯な男たちや汚い権力者たちへの復讐心がメラメラと燃え上がっていました。 「学力も力もないわたしだけど一つだけ武器がある!! 女という武器が、この武器を使ってのし上がってやる」 「男の上に君臨する、女帝になってやる…!!」  高卒にして、すでに「女帝」になることを決意します。しかも、野望達成のためなら体を張る気もマンマン。単なるお小遣い稼ぎでポロリと脱ぐのとは、気合が違うという話です。 ■処女であることを最大限に活用  ホステスとして生きることを決意した彩香ですが、実はまだバージン。そして「処女は貴重なはず、高く売れるはず」という信念のもと、女帝になるためのワンステップとして、己の処女までも利用します。  大阪で出会ったスケコマシのヤクザ、伊達直人にバージンを奪われそうになるシーンがあるのですが、こんなセリフでピンチを切り抜けます。 「この肉体をあげる時は勝負する時や! 女として一世一代の勝負する時に処女を捨てるんやッ!!」 「高おに売ったるんや!! だからナオトに抱かせるわけにはいかんのやあッ!!」  ベッドでこんなセリフ言われたら、どんな絶倫男でもシュンとなるってもんですよね。そんな感じで彩香のバージンブレークのエピソードだけでも、前半はめちゃくちゃ盛り上がります。  そんな彩香がバージンを捧げるのは、見た目はキモいけど、超大金持ちの爺さん。ミナミの妖怪と呼ばれる、美濃村社長です。 「どうせ抱かれるなら最初は醜い男がいい!! これから先、いろいろな男たちがわたしの肉体を通り過ぎていくだろう…! なら、最初に一番醜い男に抱かれれば、あとはどんな男でも受け入れられる! わたしは女帝になるんだ…」  こんなポエムをつぶやきつつ、ジジイに抱かれる彩香。しかしそのおかげで、ミナミのクラブでナンバーワンとなり、その勢いで銀座へ進出します。処女を捧げたご利益はメチャクチャありました。 ■ムダに多いシャワーシーン&着替えシーン  十分すぎるほど読ませるストーリーの『女帝』ですが、サービスシーンなのか、なんなのか、毎回のように、彩香のド迫力のシャワーシーンや着替えシーンが出てきます。裸体のゴリ押し、これも、『女帝』ならではの演出なのです。 ■『女帝』という言葉がカジュアルに飛び交う  皆さんは、日常生活で「女帝」って言うシーンはありますか? 普通の人はあまりないと思いますが、このマンガでは日常会話として普通に「女帝」という言葉が飛び交います。 「あの女は女帝なんかじゃない、わたしこそが女帝なのよ!!」 「お前も負けんな、お前は女帝になったれや!!」 「彩香やからでけたことや、さすが女帝・彩香やな…!!」 「彩香という一人の女の力…まさしく女帝にしかできないことだ…女帝・彩香にしか…!!」 「やっぱ彩ちゃん、銀座の女帝だね…!!」  こんな感じで、彩香の周りの人物たちが気軽に「女帝」と口にするので感覚が麻痺してきますが、職場で隣にあだ名が「女帝」の人が座っていたら、僕は結構嫌です。 ■ホステスの老後まで心配してこそ「女帝」 『女帝』という作品のすごいところは、彩香が成り上がった時点で終わりではないところです。引退したホステスの再就職先として割烹を経営したり、クラブを辞めたホステスがみんなで働けるように伊豆の旅館を買ったりします。さらに、結婚せずに年老いたホステスたちがお互い介護し合う環境まで整える彩香。単なる成り上がりマンガだったら、ここまで描かないですよね? っていうか、たぶんそんな話を描き始めたら、普通は打ち切られます。成り上がるだけじゃない、老後まで描き切ってこその『女帝』なのです。 ■究極のどんでん返し設定、実は「総理大臣の娘」  水商売の娘ということで少女時代からさんざん蔑まれてきた彩香ですが、なんと実の父親が時の総理大臣だったことが判明! 大逆転のスーパーチート設定で、彩香を陥れようとしていた周りのライバルたちの度肝を抜きます。女帝のパパが総理大臣。ほかのマンガでは、こんな最強設定は、なかなかお目にかかれないですよ。 ***  というわけで、女成り上がりマンガの究極系『女帝』をご紹介しました。このほかに、女帝シリーズとして『女帝 花舞』『女帝 薫子』『女帝 由奈』などがありますので、併せて読んで女帝コンプリートを目指してみるのもオススメです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

「集めて編むのが編集だ!」名言連発の熱すぎる編集者マンガ『編集王』

henshuou0727.jpg
『編集王』(土田世紀/小学館)
『重版出来!』というマンガをご存じでしょうか? 大学を卒業したばかりの新人女性漫画編集者、黒沢心が、本が売れない時代に作品を売り出すために奮闘するという、いま一番熱い“編集者マンガ”です。現在も「月刊!スピリッツ」(小学館)誌上で連載中であり、黒木華主演でドラマ化もされました。 『重版出来!』はもちろん素晴らしい作品ですが、僕らのような90年代のマンガをこよなく愛するロートルマンガ読みにとって、どうしても忘れられない編集者マンガがあります。それは、土田世紀先生の『編集王』です。  主人公は、桃井環八(通称カンパチ)。子どもの頃に読んだ『あしたのジョー』に影響を受けてプロボクサーになったものの、網膜剥離で引退を余儀なくされます。失意のドン底にあったカンパチですが、幼なじみでヒロ兄ィと慕う「週刊ヤングシャウト」編集デスク、青梅広道に誘われ、マンガ編集者の道を歩むことになるのです。  このマンガ、一言で言えば、とにかく熱い。まさに、やけどしそうな作品なんです。元ボクサーのカンパチが熱血漢なのを筆頭に、編集長も編集者も、漫画家もアシスタントも、書店員や出版社の営業マンまでもが例外なく熱くて、狂おしいほどに漫画バカ。まるで格闘技マンガを読んでいるかのようなスリリングな展開と、浪花節のような泣かせるセリフ回しの応酬が魅力です。  では、『編集王』がどのぐらい熱いか、ご紹介していきましょう。まず、ボクシングで挫折したばかりのカンパチをヒロ兄ィが励ましつつ、「週刊ヤングシャウト」編集部に誘うセリフ。 「おめえの人生は全20巻じゃねえ…」 「おめえにゃあ、あさっても、しあさってもやってくるんだからな」 「兄ちゃんの職場に来てみろよ…ネクタイ締めたリングもあるぜ!」  見事に全部『あしたのジョー』縛りでセリフが成立しています。「ネクタイ締めたリング」とか、たとえがうますぎるだろ。大喜利か! まあ、こんな熱いセリフで誘われたら、絶対転職しますよね。  そして、編集部にアルバイトとして採用された主人公のカンパチ、この男は気性が荒く、毒舌で思ったことをそのまま口に出す、まさしく狂犬です。『美味しんぼ』の主人公、山岡士郎も、世界3大珍味のフォアグラをディスってアンキモのほうがうまいと言ってみたり、中華街で「ゴマソースの物もチリソースの物も同じ皿でとれって言うのかっ!!」ってよくわからないキレ方をしたりと、かなりの狂犬っぷりを発揮していましたが、それに匹敵するレベルといって過言ではありません。  そんなカンパチにとって、もっぱらの敵は「週刊ヤングシャウト」の疎井編集長。週刊マンガ誌にありがちなアンケート至上主義、部数至上主義で、人気さえ出るならエロ満載のお下品マンガも厭わないという姿勢で、作品の面白さや質を重視するヒロ兄ィやカンパチたちと常に対立します。 「前々回のパンチラから今回のパンモロ、おまけに半チチに半ケツときたからな。次はチチモロ行くかァ?」 「集めて編むのが俺たちの仕事だ。会社は、作家との友情ごっこに、給料払ってんじゃないんだよ」 「アンケートは絶対なんだよ。アンケートの1位が一番面白いマンガなんだよ」  どうですか、編集長のくせにこのワルなセリフ。悪役としての貫禄十分ですね。そんな編集長の方針が気に入らないカンパチ。アルバイトで入ったばかりなのに、いきなりかみつきます。 「へえーっ、そうなんだ。じゃああんた、いらないじゃん! 編集長なんか居なくたって、このアンケートを見れば、売れる雑誌が作れるわけでしょ?」  すごい暴言! 編集部に来て、いきなり編集長不要論をぶち上げるカンパチ。こんな新人アルバイトいねーだろ……。  怖いものなしのカンパチは、酒とゴルフと釣りに明け暮れ、マンガへの情熱を失ってしまった大御所漫画家・マンボ好塚にも容赦なくかみつきます。 「原稿受け取るだけなら伝書鳩で十分だろう」 「あんたの仕事はウンコだよ!! 仕事場はまるでウンコの缶詰工場だ!!」  ひでぇ! 大御所漫画家の作品をウンコ扱いですから、そりゃあ相手だって烈火のごとくブチ切れます。しかし、カンパチのすごいところは、相手とガチでぶつかり合った末に、最終的にはカンパチの熱い想いが通じて親友になってしまうところなのです。 主人公以外のキャラも概ね濃いです。例えば、出版社の営業マンが登場する回なんかも熱いです。編集者を向こうに回して、営業が吠えまくります。 「出版社を支えてるのはお客様です。あんたら編集部が支えてるなんて思い上がりなさんな」 「あんたが持ってる編集のプライドとやらにかけて、文学をどうにかしてくれよ! 誇りで仕事が出来るんなら、給料なんかいらねえんだよこちとら!」  出版社では裏方に回りがちな営業だって、こんなに熱いんです。しまいには「給料なんていらねえ」とか言い出してるし。どんだけ本が好きな奴らなんでしょうか。  そうかと思えば、めちゃくちゃストイックな漫画家も出てきます。漫画のために家族を捨て、入稿寸前に原稿が気に入らないと破り捨てて逃亡。編集部や印刷所にめっちゃ迷惑を掛けるような存在ですが、いざ出来上がった作品は天才的な面白さ。そんな漫画家の持論がコレ。 「マンガ家と編集者に限って言やあ…家庭環境なんざ不幸なほど、良い作品が出来るわけだしな。」 「不安で不満で、もう逃げ出したくなるほど私生活をズタズタに追いつめてくと、見えてくんだよな、もう一人の自分ってやつが」  どんだけマゾだよ!! 自分の作品のために周囲の関係者までも道連れにするとか、超タチが悪い漫画家ですが、生い立ちが不幸なほうがいい作品ができる……というのは、ある意味で真理なのかもしれません。  そんなわけで、熱い奴らが集っている『編集王』をご紹介しました。編集の仕事を志す人にとってはバイブルのような作品だと思いますので、ぜひ全巻読み切って、『あしたのジョー』のように真っ白に燃え尽きちゃってください(燃え尽きちゃダメか)。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

無職だけど、料理は絶品!! “クズッキングパパ”の貧乏グルメ 『貧民の食卓』

hinmin.jpg
『貧民の食卓』(おおつぼマキ/新潮社)
 世間はすっかり夏のボーナス時期ですね。「ボーナス支給額が上がった!」「祝・景気回復!!」という人もいれば、「ボーナスなんか存在しないし、景気など回復していない!」「呪・アベノミクス!!」なんて人もいるのではないでしょうか。消費税も8%になりましたし、実感としては、まだまだ景気が悪いと感じる人のほうが多いと思います。  というわけで、今後も当面続くであろう格差社会を生き抜くために、食に関するコストは極力抑えたい、自炊して食費を限りなくゼロにしたい、なんて思っている人にピッタリなのが、今回ご紹介するグルメマンガ『貧民の食卓』なのであります。 『貧民の食卓』はその名の通り、1人1食当たり100円を切る激安レシピを徹底的に追求したグルメマンガです。1食当たり100円っていったら、食費は、月に約9,000円しかかからないことになりますね。今のご時世、これはかなりすごいことです。  主人公・赤柿留吉は、中学生の娘と小学生の息子がいる2児の父親です。奥さんが五平餅を喉に詰まらせて亡くなったため、男やもめで頑張っている……のかと思いきや、働く気は一切ゼロ。貯金を切り崩しつつ、日々パチンコと麻雀の稼ぎで糊口をしのいでいるのです。    そんな父親なので、娘・千夏には「おっさん働けー! 子どもに小遣い渡せー!」と罵られるわ、息子・ハジメを遊園地代わりにパチンコ屋へ連れて行ったり、焼酎を飲ませてみたりするなど、なかなかのクズっぷりを発揮しています。  徹底した無職ライフを満喫する留吉ですが、料理の腕だけは超一流。冷蔵庫に残ったわずかな食材や残り物を使って極上の貧民料理を作り、腹をすかせた子どもたちを満足させたり、町内の諸問題を解決したりします。もちろん、出てきた貧民料理のレシピはバッチリ紹介されていますので、そういう意味では構成が『クッキングパパ』に酷似していますが、肝心のパパが無職であるというところが全然違います。つまり、本作品はクッキングパパならぬ、クズッキングパパなのであります。  作中紹介されるメニューは1食当たり100円以下を目指しているだけあって、どれも徹底的にコストダウンが図られていますが、それでいて、それなりに旨いというのがポイントです。そんな貧民メニューを、いくつかご紹介しましょう。 ●「おかずにヘンシン風ライス春巻き」  冷蔵庫の冷ご飯を春巻きの皮で巻いて揚げるメニュー。パリッっと香ばしい春巻きで、ご飯のおかずにピッタリ! 気がつけば、ご飯をおかずにご飯を食べる炭水化物祭り状態になっていますが、なんと1人前53円という驚きの低コスト。まさに貧民料理です。 ●「胴の短いウナギ丼」 いまや庶民に手の届かなくなりつつある高級料理、ウナギ丼。気分だけでもウナギ丼を味わいたいということで、イワシを使ってウナギを再現するという、まさに貧民の知恵がほとばしる一品。考えてみれば、タレさえちゃんとしてれば、ウナギだろうがアナゴだろうがイワシだろうが、大して変わらないですよね(そんなことないか)。お値段も、胴が短い分、リーズナブル。1人前95円でいただけます。 ●「おめめパッチリじゃこめしセンベイ」「あたまシャッキリ梅レタススープ」 受験生向けに目が覚める歯応えのある夜食を、ということで作られたメニューが、この2品。じゃこめしセンベイが1人前12円、スープは13円と、2品合わせても25円という、本作品中屈指の超低コストメニュー。なんだこれ、駄菓子より安いじゃねーか! ●「赤柿屋の100円牛丼」 牛丼が100円って、一番安い時のすき家でもそんなに安くなかったんですが、どうやって実現するんでしょうか……? と思ったらなんと、牛丼屋で買ってきた一杯の牛丼をお麩と玉ねぎと卵で増量して4等分してしまうという、一杯のかけそばを超えるド貧民メニューでした。しかも1人前89円って、100円切ってるし!! ●「ステキなステキなステーキこんにゃく」 塩コショー、カレー粉、ニンニク、ごま油、肉味噌などなど、ありとあらゆるスパイシー素材で炒め合わせる涙ぐましい努力により、こんにゃくでステーキを再現した1品。1人前84円。これで満足できるなら、ステーキは一生食べる必要なし! ***  もちろん作中にはもっと詳しいレシピがバッチリ載っていて、読めばその日にすぐ貧民料理が作れるようになっています。問題は、ここに載っているレシピよりも単行本自体の価格のほうが高いところですね。そういう意味では、実に悩ましい作品です。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)