プロボクシングの選手や関係者のライセンスを管理するJBC(日本ボクシングコミッション)が10月29日、ライセンスの申請に際して、暴力団などの反社会的勢力と関係していないことを確約する文書の提出を義務付ける発表をした。 ライセンスはボクサーのみならず、ジムの会長やプロモーター、マネジャーといった関係者に発行されており、新規申請者だけでなく、12月からの更新も対象となる。 JBCは2007年から警視庁との連携で、暴力団関係者の集団観戦や、組員の名前が挙がることもあった激励賞の読み上げ廃止など暴力団対策に取り組んできたが、今回の誓約は違反した場合にライセンス取り消しの可能性もあり、異議の申し立てや賠償請求もできないという厳しい条件を承諾させるものだ。 これについては、業界歴35年というベテラン関係者が「一部のジム関係者が誓約書をきちんと提出できるか注目されている」と話す。 「ひと昔前は、興行の開催やチケットの売買で暴力団との付き合いが避けられなかったけど、今はほとんどのジムやボクサーが、そういう付き合いをしなくなっているよ。特に日本ボクシングのメッカといわれる後楽園ホールなんかはJBCのお膝元だから、興行から暴力団を完全に排除できている。でも、地方での興行となると、まだ暴力団関係者と古くからの付き合いが残っていたり、組織的なチケット販売に頼っているところもあるって話だ。あるジムのオーナーは、準暴力団に指定された半グレ集団と付き合いがあるとか。こういう連中がちゃんと誓約書を出すか見ものなんだ」(同) 当然、これからは問題発覚と同時にJBCが業界から追放することができるわけだが、特例を許さず強硬姿勢を取ったのには、理由があるようだ。ボクシング取材を続けるジャーナリスト・片岡亮氏によると「暴力団関係者そのものは消えても、背後にそういった影をチラつかせて、粗暴な言動をする者がいる」という。 「少し前、あるジムに対するJBCの扱いに不満を持った人物が、関係者に脅迫的な電話をしたこともあったんです。こういうことも処罰の対象となるし、暴力団排除を徹底することで、テレビや企業に安心してコンテンツを提供できるので、メリットは大きい」(片岡氏) 暴力団とボクシングの関係は3年前、日本武道館で開催された亀田興毅の世界タイトルマッチで、暴力団関係者がリングサイドで観戦していたことが警視庁から指摘されたことがある。このときは亀田側が「招待席ではなく一般に売り出した席だった」と無関係を主張して、JBCから注意されるにとどまったが、前出の関係者は「亀田側に高圧的な態度を取られても、背後にそういう連中がいるのではないかと疑って反論できない人もいた」という。 こうした疑心暗鬼も一掃する狙いがある誓約書、まさかこれにサインを拒む関係者はいないと思うが……。 (文=和田修二)JBC公式サイトより
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ボクシング井岡一翔 3階級制覇の野望を支える「アマチュア時代の辛酸」と「井岡家の看板」
2014年5月、IBF世界フライ級王者アムナット・ルエンロン戦で、判定の末に敗北した井岡一翔。彼にとって、プロ転向後、15戦目にして初の敗戦であり、ミニマム級、ライトフライ級と王座に君臨してきたボクサーによる無敗での3階級制覇の野望が見送られた瞬間だった。
だが、これは一翔にとって初めての敗戦ではない。プロ転向以前、彼は敗北の辛酸をなめ尽くしてきた。
元フェザー級ボクサーである井岡一法を父に持ち、叔父は世界2階級を制した井岡弘樹。彼らからトレーニングを受けた一翔は、しばしば「サラブレッド」ともてはやされている。
しかし、アマチュア時代の彼は負けの連続だった。中学時代にボクシングを始めた一翔。当初から、彼の目標は「世界チャンピオン」ただひとつだった。しかし、高校1年生で出場したインターハイ予選、一翔はまさかの敗北を喫する。まだ全国大会ですらない、近畿大会での出来事だ。
「負けて泣くな! 泣くんやったら勝って男泣きしろ! 世界チャンピオンになるって言ったんちゃうんか!」(『今をブレない。』講談社)
父は一翔の涙に激怒し、ボクシングを辞めさせようとした。しかし、一翔はその叱咤に再び立ち上がると、史上3人目の高校6冠を達成。そして、ボクシングの名門として知られる東京農業大学に進学する。住み慣れた大阪の地を離れ、北京オリンピックを目標に据えた厳しい練習を行っていく。
だが、オリンピック日本代表選考会を兼ねた全日本アマチュアボクシング選手権大会決勝、一翔は1ポイント差で判定負けを喫し、オリンピック出場の夢は閉ざされた。金メダルを獲得し、鳴り物入りでプロデビューを飾るという夢が散った瞬間だった。そして、翌年の同大会でも判定負けの準優勝に終わった一翔は、大学を中退してプロに転向することを決意する。これ以上、大学に在籍していることは、大学生活に甘えているだけなのではないかと感じたのだ。だが、それはチームメイトたちへの裏切りを意味することとなる。
「僕は部員全員に憎まれてもしょうがないと覚悟していた」(同)
こうして、一翔は、挫折の末にプロへとたどり着いたのだった。
そして、プロに転向すると、一翔の快進撃は続いた。09年1月にプロテストに合格すると、4月にプロデビュー。3戦目には世界ランカーを打ち倒し、6戦目には日本ライトフライ級王座を獲得、7戦目には夢だったWBC世界ミニマム級王者を獲得する。しかし、その喜びは一瞬のうちに消えてしまった。
「ひとしきり喜びを噛みしめたあとはもう、自分が世界チャンピオンになれたことよりも、やっとスタートラインに立てたという意識のほうが強かった」(同)
夢だった世界チャンピオンになった瞬間、夢は通過点に変わった。さらに3回の防衛に成功し、ライトフライ級に転向。ここでもチャンピオンに輝いた一翔は3回の防衛戦を勝ち抜き、さらに上のフライ級へと転向する。そして、14年5月、アムナット・ルエンロンに破れ、タイトル獲得に失敗したのだ。
一翔の原点となっているのは、アマチュア時代に経験した105戦だ。ボクシングの世界では、プロに比較しても遜色ないほど、アマチュアのレベルは高い。プロよりもラウンド数が少ないため、試合序盤から相手の様子をうかがう余裕はなく、トップギアで打ちながら、相手の弱点を見抜いていかなければならない。そんな経験を実践で叩き込まれたことが、一翔がプロとして活躍できた一因だ。
そして、一翔を支えるもう一つの大きな柱が、「井岡」という看板だ。父と叔父が背負ってきた看板を、一翔はいま、一身に背負っている。彼に課せられた使命は、その名に傷をつけず、さらにその看板を磨き上げること。現在、一翔が目標としている3階級制覇は、叔父でありジムの会長である弘樹がついに果たせなかった夢なのだ。
プロとして初の敗戦から4カ月。9月16日には、後楽園ホールでコロンビアの世界ランカーとの再起戦を行う。プロとして初の敗北を喫した後だけに、この試合の成否が今後の一翔の方向を決めることになるだろう。井岡ジム会長である父は、これに勝利した後の大みそか、一翔を再び世界3階級制覇に挑戦させる意向を示している。
復帰申請のボクシング亀田兄弟を取り巻く“暴行・恫喝”訴訟問題「弁護士もケンカ腰で……」
ジム会長の処分などで国内での活動が停止中となっている亀田ジムが、先ごろ新しい会長の擁立を日本プロボクシング協会に再申請。協会がこれを認可し、日本ボクシングコミッション(JBC)からライセンスの発行があれば、亀田ジムは以前と同じように興行の開催や試合を行うことができるようになる。 しかし、一方で亀田兄弟はJBC職員とのトラブルで裁判が進行中だ。6月3日、亀田兄弟が起こしたとされる問題の証拠資料が、JBCから提出された。 「退室をしようとしたところ、亀田和毅WBOチャンピオンが『おいおい、まだ話は終わってないんや』等と不穏当な発言とともに、扉を閉めようとしたり、A(職員の実名)にのど輪をするような状態で押し返すなどの暴力行為が行われました。(中略)恐怖で足がすくんで、その場から動けませんでした」 これは昨年9月5日、職員3名が2日前に行われた世界タイトルマッチの舞台裏で起きたこととして「報告書」にまとめたものだ。当時、この職員らから直接話を聞いて報告書も確認したジャーナリストの片岡亮氏がそれをブログに記載したところ、長男・興毅と三男・和毅は名誉棄損だとして12月、片岡氏に2,000万円の損害賠償請求を行ったものが本裁判だ。さらに、職員は精神的苦痛を受けたとして亀田兄弟を訴え、逆に兄弟も職員を名誉棄損で反訴する訴訟合戦となっている。 職員がJBCに対して出したこの報告書には、タイトルマッチで定められた当日朝の体重計量が、亀田側によってJBC不在で行われたことや、使用グローブをめぐっての不満をぶつけられたことなどが列記されており、亀田側のスタッフが、現場にいたマスコミを追い出し、拒否する職員を強引に撮影、前述のように和毅による暴力行為があったとしている。 また、「身の危険も感じることから3人のスタッフはもちろん、ほかのスタッフも、今後一切、亀田ジム関係者が関わる試合に参加すべきではないと確信しました」と意見し、過去に兄弟の父親である史郎氏がJBC役員らを恫喝したことや、和毅がその恫喝現場で「父とともに恫喝に加担していた」とも書かれ、「彼らに反省や改心の態度など微塵もみられず、厳正なる処分を求める」と結ばれている。 これはあくまで職員3名による主張となるが、亀田側は無断撮影した当時のビデオ映像を提出済みで、事実ではないと反論している。これまでの弁論では亀田側は暴行について、当時のマネジャーが職員の腕や肩に「軽く手を触れたのみで強く引っ張ってはいない」とし、和毅も「おいおい、まだ話は終わってないんや」という発言ではなく「話し合いを続けるよう促した」とし、職員の体には触れていないとしている。 平行線をたどる双方の言い分は法廷で決着させることになるが、協会の理事からは「事実がどうあれ、こうしたトラブルを抱えたままで活動再開なんて認められるのか」という声もある。 「狭い業界だから信頼関係で成り立っているのに、亀田はJBCから受けた処分に対してもケンカ腰の弁護士を連れてきて、記者会見でJBCをウソツキ呼ばわりしていた。その決着をしないままというのもおかしい」(同) そもそも今回の活動再開を求める申請は、WBA世界スーパーフライ級王者である河野公平の所属するワタナベジムが、興毅との試合を実現させたくてバックアップしているといわれている。実際、これを放送したいテレビ東京も後押ししている形だが、興行の都合があるからとトラブル含みのまま話を進めてしまっては、ファンの反発を招きそうだ。 (文=和田修二)
復帰申請のボクシング亀田兄弟を取り巻く“暴行・恫喝”訴訟問題「弁護士もケンカ腰で……」
ジム会長の処分などで国内での活動が停止中となっている亀田ジムが、先ごろ新しい会長の擁立を日本プロボクシング協会に再申請。協会がこれを認可し、日本ボクシングコミッション(JBC)からライセンスの発行があれば、亀田ジムは以前と同じように興行の開催や試合を行うことができるようになる。 しかし、一方で亀田兄弟はJBC職員とのトラブルで裁判が進行中だ。6月3日、亀田兄弟が起こしたとされる問題の証拠資料が、JBCから提出された。 「退室をしようとしたところ、亀田和毅WBOチャンピオンが『おいおい、まだ話は終わってないんや』等と不穏当な発言とともに、扉を閉めようとしたり、A(職員の実名)にのど輪をするような状態で押し返すなどの暴力行為が行われました。(中略)恐怖で足がすくんで、その場から動けませんでした」 これは昨年9月5日、職員3名が2日前に行われた世界タイトルマッチの舞台裏で起きたこととして「報告書」にまとめたものだ。当時、この職員らから直接話を聞いて報告書も確認したジャーナリストの片岡亮氏がそれをブログに記載したところ、長男・興毅と三男・和毅は名誉棄損だとして12月、片岡氏に2,000万円の損害賠償請求を行ったものが本裁判だ。さらに、職員は精神的苦痛を受けたとして亀田兄弟を訴え、逆に兄弟も職員を名誉棄損で反訴する訴訟合戦となっている。 職員がJBCに対して出したこの報告書には、タイトルマッチで定められた当日朝の体重計量が、亀田側によってJBC不在で行われたことや、使用グローブをめぐっての不満をぶつけられたことなどが列記されており、亀田側のスタッフが、現場にいたマスコミを追い出し、拒否する職員を強引に撮影、前述のように和毅による暴力行為があったとしている。 また、「身の危険も感じることから3人のスタッフはもちろん、ほかのスタッフも、今後一切、亀田ジム関係者が関わる試合に参加すべきではないと確信しました」と意見し、過去に兄弟の父親である史郎氏がJBC役員らを恫喝したことや、和毅がその恫喝現場で「父とともに恫喝に加担していた」とも書かれ、「彼らに反省や改心の態度など微塵もみられず、厳正なる処分を求める」と結ばれている。 これはあくまで職員3名による主張となるが、亀田側は無断撮影した当時のビデオ映像を提出済みで、事実ではないと反論している。これまでの弁論では亀田側は暴行について、当時のマネジャーが職員の腕や肩に「軽く手を触れたのみで強く引っ張ってはいない」とし、和毅も「おいおい、まだ話は終わってないんや」という発言ではなく「話し合いを続けるよう促した」とし、職員の体には触れていないとしている。 平行線をたどる双方の言い分は法廷で決着させることになるが、協会の理事からは「事実がどうあれ、こうしたトラブルを抱えたままで活動再開なんて認められるのか」という声もある。 「狭い業界だから信頼関係で成り立っているのに、亀田はJBCから受けた処分に対してもケンカ腰の弁護士を連れてきて、記者会見でJBCをウソツキ呼ばわりしていた。その決着をしないままというのもおかしい」(同) そもそも今回の活動再開を求める申請は、WBA世界スーパーフライ級王者である河野公平の所属するワタナベジムが、興毅との試合を実現させたくてバックアップしているといわれている。実際、これを放送したいテレビ東京も後押ししている形だが、興行の都合があるからとトラブル含みのまま話を進めてしまっては、ファンの反発を招きそうだ。 (文=和田修二)
ボクシング亀田三兄弟に“業界最大手”帝拳ジムから救いの手 活動再開へ……
国内活動停止中の亀田兄弟に業界大手・帝拳ジムが手を差し伸べたことが、ファンに衝撃を与えている。 亀田兄弟は2月、日本ボクシングコミッション(JBC)から所属ジムの会長とマネジャーが事実上の追放処分を受け、現在は国内で興行や試合ができなくなっている。しかし、ここにきて亀田兄弟がかつて所属した協栄ジムのトレーナーだった大竹重幸氏が、新たに亀田ジムの新会長に就任するという話が浮上。この大竹氏を推薦したのが、帝拳ジムだというのだ。 ある関係者によると「WBA世界スーパーフライ級王者・河野公平を、所属のワタナベジムが亀田興毅と対戦させたくて水面下で動いていたもので、帝拳に“なんとかならないか”と相談していた」という。 「帝拳とワタナベは、亀田ジム復活の後押しをする代わりに日本人選手との対戦を亀田側に受諾させたようです。帝拳ジムにも三男・和毅と同階級のWBC世界バンタム級王者・山中慎介がいるので、恩を売って直接対決をやってしまおうという話。今後、新会長の大竹氏は帝拳ジムの意向をくんだマッチメイクを亀田兄弟に相談していくはず。ただ、亀田兄弟は過去に関係者と何度もトラブルを起こしてきた連中なので、親密な関係を作っても長く続くとは思えませんが……」(同) 帝拳ジムは日本ボクシング界の最大手ジムで、トラブル続きの亀田兄弟に嫌悪感を持つ良識派のボクシングファンからは「ガッカリした」という声が相次いでいる。業界の内情に詳しいジャーナリストの片岡亮氏が解説する。 「帝拳ジムは日本だけでなく海外にも拠点があり、自力で世界タイトルマッチを主催できない弱小ジムは、帝拳の主催で興行を組んでもらったりもしてきました。日本テレビ、WOWOWと放送契約を持つだけでなく、最近では金メダリストの村田諒太をプロモートし、フジテレビで中継のある興行にも絡んでいます。代表の本田明彦氏はプロモーターとしてWBC、WBAなど世界王座の各団体に強い影響力を持っていて、ボクシングの世界でHONDAといえば自動車ではなく本田氏のことを指すほど。ただ、そんな帝拳ジムも、これまでテレビ中継の視聴率では、TBSが放送した亀田兄弟の数字には追いつかなかった。長谷川穂積や山中など明らかに亀田より実力の高い選手を売り出し、主催興行の大会名を『The REAL』と名付け、亀田に対して“こっちが本物”と言わんばかりの対抗心を示してきたが、スキャンダル性のある亀田には世間の注目度で負けてきたんです。ここにきて亀田の知名度を利用するというのは、正統派ボクシングの敗北を自ら認めるように映るので、ファンは落胆しているんです」 亀田ジムが処分された際、ネット上では亀田を長く支援している一部関係者が「帝拳が仕組んだ陰謀だ」と主張する動画を配信していたこともあり、本来なら帝拳が亀田の追放劇に救いの手を出す必要はないと思われるが、新会長を推薦してバックアップする急展開。今後は、JBCなど所定の組織が新体制について審査する流れだが「帝拳の意向には逆らえないのがこの業界なので、形だけの審査になる」と前出関係者。 帝拳と亀田がリング上での決着を本当に実現するのであれば、ファンの批判も歓声に変わるかもしれないが、懲りずにトラブル含みとなるならプロボクシング自体がファンから見放されてしまう危険性もある。 (文=和田修二)亀田三兄弟 公式サイトより
訴訟トラブル抱え、TBSも知らん顔……試合ができないプロボクサー亀田三兄弟の現在
プロボクシングの亀田三兄弟が苦境に陥っている。関係者間では、業界の有力者に助けを求めているというウワサも聞かれる。 2月、日本ボクシングコミッション(以下、JBC)から所属ジムが「ガバナンスが不健全」と判断され、会長とマネジャーがライセンスを失効。国内で試合ができなくなったことで収入源を失った兄弟は、テレビ番組でも活躍する北村晴男弁護士を代理人にして訴訟も辞さないと強気の抵抗を見せていたが、これが業界の反発を招いて大失敗。3月にオープンしたばかりの東京・世田谷の新ジムもライセンスが下りないことからプロ選手を輩出できない状況にあり、描いていたビジネスプランが頓挫したとみられる状況だ。 実質的にジムを仕切っていた長男・興毅は昨年11月、韓国でWBA世界バンタム級王座8度目の防衛戦に出場したが、格下の対戦相手にダウンを奪われる劣勢の中、不可解な判定勝ちを拾うというヒドい出来で、テレビ視聴率も10.8%(関東地区)と2ケタに届くのがやっとだった。 「主催が亀田でしたが、直前で試合会場が小さい場所に変更になるなど、興行的にも失敗だった」と都内ボクシング関係者。さらに、WBAからバンタム級スーパー王者のアンセルモ・モレノ(パナマ)との王座統一戦を指示されていたが、逃げるようにして転級。王座を返上した。日頃の強気の発言とは対照的な弱腰な態度は、ファンの失笑を買ってしまった。 次男・大毅は昨年12月、IBF世界スーパーフライ級王者としてWBA王者と対戦も判定負け。同月、主演映画が公開されたが、この敗戦でさっぱり話題にならなかった。減量苦を公言していながら適正階級で勝負していないことも、ファンの期待値を低いままにしている。 唯一、世界王座を保持しているのがWBO世界バンタム級王者で三男の和毅だが、こちらは5月にメキシコで予定していた防衛戦が延期。前出関係者によると「表向きプロモーターの都合とされていますが、対戦相手がタイ人で、メキシコで集客が見込めなかったというのが本当のところでは」という。 実際、今度は7月開催とされてはいるものの、具体的な会場などは未定のままだ。 「和毅は主にメキシコで試合をしてきたので、現地で人気があるかのように伝えられてきましたが、過去の世界タイトルマッチはメキシコでやっていませんし、ほとんど打ち合わない試合スタイルから、目の肥えたメキシコで人気があるとは思えない」(同) これまで亀田兄弟は批判も覚悟のゴシップ的な話題作りで注目を集め、テレビ視聴率につなげたことが大きな収入源となってきた。しかし、兄弟を中継してきたTBSも、さすがに業界トラブルを抱えたままでは放送をあきらめている状況だ。 唯一、国内での活動再開の道はJBCとの和解だが、前出関係者は「JBC職員のひとりとトラブルになって訴訟になっている状態では、和解はまず難しい」とする。 職員は2月、昨年9月の興行で亀田兄弟から精神的苦痛を受けたとして損害賠償を請求。これに対し、亀田側も名誉毀損などで反訴しているが、民事裁判のため、このまま争えば長期戦になることは必至。 「そんな状況でJBCとの和解が難しいと見たか、亀田ジムの関係者は先日、兄弟が日本人選手と対戦することを条件に、有力関係者に仲介を依頼したというウワサもあります。ただ、亀田に対するファンの目が厳しいく、安易な和解は反発を招くでしょうからスムーズに運ぶかどうか……」(同) 亀田ジムは通訳やボディガードなど、多くのスタッフを抱えていることでも知られ、このままでは試合枯れで収入減どころか赤字なのではないかという心配もある。 (文=和田修二)JBC職員を監禁・暴行したとして提訴された亀田興毅。
ボクシング“絶対王者”長谷川穂積が乗り越えた、二度の敗北
4月23日、プロボクサー長谷川穂積が大阪城ホールのリングに立つ。対戦する相手は、スペインの王者キコ・マルチネス。長谷川にとって、3年ぶりのタイトルマッチとなる。 元プロボクサーである父親の影響でボクシングを始めた長谷川。今でこそ、日本を誇るプロボクサーの一人だが、トレーナーの福田耕平氏によれば、入門当時は「チャラい感じの、子どもみたいなの」という印象の青年だった。しかし、抜群のセンスと、ボクシングに対する人一倍の情熱が実を結び、2005年にWBC世界バンタム級王者ウィラポンを打ち破ってチャンピオンの座に輝くと、ヘラルド・マルチネスやヘナロ・ガルシアといった選手を次々と打ち砕いていく。WBC世界バンタム級王座を10度防衛した時、長谷川には「絶対王者」の異名が付けられていた。 10回にわたる王座防衛に成功し、具志堅用高が持つ世界王座防衛13回への記録を期待されていた長谷川の転機となったのが10年4月30日、フェルナンド・モンティエルとの試合だ。4ラウンド2分52秒、モンティエルの左フックが決まると、長谷川は続けざまに連打を浴びた。2分59秒、肩にタオルがかけられ、絶対王者の座から陥落した長谷川の姿に、会場となった日本武道館はざわめきに包まれた。 絶対王者の敗北に、メディアは当然のように「引退」の二文字を書き立てた。しかし、長谷川はグローブを置かなかった。 「今まで嬉し涙しか見たことがなかった妻に、初めて悲しい涙を流させてしまった。それが一番納得いかない。そんな涙を流させたままフィニッシュは絶対にできない」(『211』水野光博・集英社刊) だが、チャンピオン奪還を目指す長谷川を、さらなる試練が襲った。最愛の存在である母の身体が大腸がんに侵され、余命3カ月であることが判明したのだ。以前にも増してハードにトレーニングを行い、それに並行して毎日、母の入院する病院へ看病に向かった長谷川。だが、同年10月24日、母は天国へ旅立った。長谷川の王座復帰をかけた一戦の、1カ月前のことだ。 「“勝たなくては”ではなく、“勝たなければいけない”に変わった。負けてはダメ、負けるわけにはいかない。おかんは、俺のために24日に逝った。もしも、試合の2カ月前やったら落ち込む期間ができる。1週間前やったら試合どころじゃない。ちょうど1カ月前、もう集中せなしゃあない。だから、あの日やった。だから、絶対に勝たなくてはいけない」 (同) 同年11月26日、日本ガイシホール。フェザー級王者ファン・カルロス・ブルゴスとの一戦は、12ラウンドまで打ち合う展開になった。バッティングで右目上を出血するも、敗北の恐怖を、そして母の死を乗り越えて戦い抜いた長谷川。試合後、勝者としてコールされたのは、彼の名前だった。リングには、真っ先に母の遺影が上げられた。 「本当は母親に強くてカッコいい、安心できるボクシングを見せたかったけど……。でも再びベルトを巻くことができて、天国で喜んでくれていると思います」 翌年、ジョニー・ゴンサレスに敗北を喫し、長谷川は再び王座から陥落。以降、3年間にわたりタイトルマッチから遠ざかる日々を過ごしてきた。現在の年齢は33歳。「グローブを置くのも、そう遠くはない」(web Sportiva)と発言しており、引退の二文字は現実味を増している。自身でも「次のステップ、次の人生に進むための試合です」(同)と語るキコ・マルチネスとの戦い。それが、どのような結果になろうとも、長谷川の人生を賭した試合になるだろう。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])長谷川穂積 オフィシャルブログより
ボクシング“亀田ジム問題”記者・関係者に悪質嫌がらせ続発「中傷ファックス、怪電話も……」

『K3BOX&FIT GYM』HP
ボクシング亀田ジム“追放”問題、北村晴男弁護士の強気にマスコミ冷ややか「結局は父・史郎氏のメンツ」の声も
「北村弁護士、やることがどんどん裏目になっている感じがします」 26日、都内で行われた亀田ジムの記者会見を取材した記者から、そんな声が聞かれた。 日本ボクシングコミッション(JBC)から事実上の追放処分を言い渡されている亀田ジムは、代理人の北村晴男弁護士が記者会見。JBCの処分を不服として、処分の再審議と第三者機関設置を要求したことを明かした。 しかし、「会見場で北村弁護士が主張した内容は、処分理由と論点がずれていた」と記者。 「JBCが亀田ジムを処分した理由は、ジムの会長ら責任者が正しく職務を行っていないというもので、その原因として、実質的な責任者がほかに存在する“異常”な運営状況が指摘されました。でも今回、北村弁護士から出された主張はそこには触れず、次男・大毅が“負けても王座保持”となったことは正しい、というものでした」(同) この点について北村弁護士は「負ければ王座が空位になるルールが後に翻された、という前提が間違っている」とその理由を述べたが、ここは記者たちの反応が冷たかった。 「だってスポーツ紙からテレビまで、僕らマスコミはみんな“負けたら空位”で報じていたわけでしょ? それを“最初からそうじゃなかった”なんて言われたら、だったら試合前にそれを言えよって思います。北村弁護士が戦略としてそういう主張をするのは勝手ですが、マスコミの不信を煽るだけの話で、むしろ亀田ジムの立場を悪くさせるのでは」(同) 亀田ジムが主張する「第三者機関」の設置についても「まったく現実的ではないし、周囲の賛同も得られない話」と記者。 「業界全体の問題なのであれば、そういう声が上がっても分かりますけど、これは亀田ジムだけの問題。そもそも、この業界の第三者機関がJBCなんですから。それなのに第三者っていうのは、JBCを対立する敵に見立てる発想で、首をかしげる関係者は多いでしょうね」(同) 実際、都内いくつかのボクシングジムに第三者機関の設置について聞いてみたところ、一様に「必要ない」との返答だった。 亀田ジムは今後、要求が満たされない場合は「訴訟しかない」としているが、JBCはそれを想定して動いているともっぱら。法廷闘争になれば、亀田ジムのライセンス復帰は、なお遠のく。 「結局、損するのは亀田ジム。北村弁護士は1月、JBCとの面談でかなり強気にモノを言っていたと聞きますが、本来、JBCと対立すること自体が損で、本当は何か問題があっても、仲間だと思って一緒に改善する姿勢があればよかった」(同) ただ、亀田ジムには、そんな柔らかい態度を取れない事情があるという。 「父親の史郎さんがライセンスを剥奪されて以来、あそこはJBC憎しの感情が強い。今回の件も、史郎さんがJBCを“日本の恥”と言い放ったことに端を発しているでしょ。本来はここまでこじれる話じゃないけど、頑固な史郎さんのメンツを守ることが亀田ジムの大義になってしまっているんだろう」(ボクシング関係者) 興行会社である亀田プロモーションの代表も務める長男・興毅は先日、週刊誌のインタビューで「(JBCに)逆らうつもりも争う気持ちもないです」と答えてはいるが、それでも自ら頭を下げて和解する選択肢はないように見える。 「史郎さんの“戦闘体制”を後押ししているように見えるのが北村弁護士だけど、裁判沙汰になったほうが彼は報酬を稼げる。でも、それで踊らされてしまうと、亀田側にとって得は何もない」(同) 相手を攻撃すればするほど、周囲に不快感の輪が広がっているようにも見える亀田ジムだが、法廷闘争は決定的なしこりを残す最終手段。もう後戻りはできないのだろうか。 (文=和田修二)『北村弁護士のズバッと解決!法律相談』(二見書房)
「ドンには逆らえない……」3連続KOデビューのボクシング村田諒太を悩ます“大人の事情”とは
ロンドン五輪男子ミドル級金メダルの東洋太平洋・日本同級1位の村田諒太が22日、中国・マカオでプロ3戦目を行い、世界戦挑戦経験もあるブラジルのカルロス・ナシメントと8回戦で対戦。試合序盤から攻め立て3回にダウンを奪うなど4回43秒でTKO勝ちし、プロデビュー後の戦績を3戦3勝3KOとした。 「村田にとっては海外デビュー戦となったが、興行を主催したのは村田が契約する米・トップランク社。同社のボブ・アラムCEOも観戦する“御前試合”とあって負けられない戦いだったが、課題だった左ジャブがよく出ていて、攻防で横の動きも使えるようになるなど、前回の試合よりもかなりレベルアップしていた」(ボクシング担当記者) 次戦4戦目は5月末か6月に国内で、5戦目は9月にシンガポールで行う予定だというが、村田の試合をプロモートする帝拳ジムの本田明彦会長は各スポーツ紙に対し「村田は頭がいい。練習の成果を試合で確実に出す。1試合で5試合分の経験は積んでいる」とコメント。最短で来年末の世界挑戦を視野に入れるというが、このところ、村田にとっての不安要素がささやかれ始めている。 「アマチュア時代は自己流で強くなっていた村田だが、プロ入り後、トップランク社と契約したことで最高の練習環境を与えられた。専属トレーナーとして、これまで数多くの世界王者を育て上げたキューバ人の名伯楽イスマエル・サラスと契約。二人三脚で“プロ仕様”のファイティングスタイルを作り上げてきて、右ストレートを打つ時に肘が上がる村田の癖もほぼ修正されている。あとは、先日の試合で見せたような横の動きなど、ファイトスタイルを練り上げるだけだが、このところ、本田会長が村田に“技術指導”し始め、サラスと正反対のことを言ったりするので、悩みの種になっているようだ。村田の所属は三迫ジムだが、実質的なマッチメイクは帝拳にしてもらっているので、日本ボクシング界のドンとも呼ばれる本田会長の機嫌を損なうことはできない」(事情通) 世界王者を獲得するためには、さまざまな“大人の事情”にもうまく対処しなければならないようだ。『メダリストへの道―五輪に挑むボクサーたちの肖像』(石風社)






