グラビアはどうでもいいけど、物の値段の変化にゾクゾクする!「GORO」1984年9月27日号

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『GORO』1984年8月27日号(小学館)
 本棚を探っていて、「なんでこの号を買ったんだろうか?」と記憶をたどってみて思い出した。戸川純のセクシーショットグラビアが掲載されているからだった。大学生の頃から遅れてきた世代だったことを思い出すと、胸が痛くなるよ……(なお、この号にはデビューしたばかりの故・戸川京子も掲載されておりマス)。    こうした雑誌を書店やヤフオクで買い集めようとすると、ネックになるのはグラビアページである。この号もグラビアの希少性ゆえに、えらい値段がした記憶がある。だが、いまや貴重なのは、グラビアよりもさまざまな広告とモノクロ記事にほかならない。  まずページをめくっていくと飛び込んでくるのは、パイオニアのCDコンポの広告である。時代的に、ミニコンポと呼ばれるジャンルが流行し始めた頃だが、パイオニアが売り出していたのが。ここに掲載されている「プライベート」シリーズであった。当時のミニコンポは、CDプレイヤー、ダブルカセットデッキ、チューナー、レコードプレイヤーなど、必要なものを予算と相談して購入する構成である。組み合わせの参考例として掲載されているのはアンプとプログラムチューナー、ダブルカセットデッキ、スピーカーシステムの組み合わせ。これでしめて22万9800円である。高い! 高いのだけれど、これだとCDデッキが付属していない。なので、その値段はというと、8万9000円である。さらに、当時誰もが大量に持っていたであろうレコードも再生できるようにしようとすれば、プラスで3万8000円となる。
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今見ると、一周回ってデザインがカッコイイ!
この後、90年代は金色の製品が流行したの覚えている人はいるかな?
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 CDデッキだけで、パソコンがモニタ付属で購入できる値段である。というか、フルセットと同じカネを出せば、アップルストアでMacBook Airをフルカスタマイズで購入して、iPhoneとかiPadまで買ってもお釣りがくるではないか。物って安くなったんだな……と感じるよりほかない。  何より注目したいのは、この広告ページの文章である。引用してみよう。 1肩をよせながら、コンパクトディスクプレーヤーを 2手をにぎりながら、ダブルカセットデッキを 3好きだとささやきながら、プログラムチューナーを 4抱きしめながら、フルオートプレーヤーを 5キスしながら、プリメインアンプのボリウムを ……手元の集中ワイヤレスリモコンでできるというのが、ウリなのである。ここで気づかされるのは、まず音楽はカップルで聞くものという概念である。最近、大学生とかに話を聞いてみると、まず家にCDコンポがないのは当たり前。CDはパソコンで再生するもの、音楽はパソコンか携帯プレイヤーで聞くものになっている。“女のコを部屋まで連れ込めたら、まずは音楽スタート!”が、すでに過去のセオリーになってしまっているのだ。最近の若いカップルって、部屋に連れ込めたら、何から始めるのがセオリーなんだろうか……。
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やっぱり、女子大=ナンパスポットという感覚こそが80年代の象徴だ。
 「隔世の感」を感じる機械は、ページをめくるたびにある。バブル崩壊まで、男のステータスのひとつは車だったわけだが、物欲と性欲に満ちた雑誌だけあって、そのあたりの情報もちゃんと押さえている(やたらと、車の広告も満載だ)。  モノクロのトップ記事は「スクープNEWソアラ3.0GTエクスタシー・フォルムが見えてきた」というタイトルなのだが、リードの部分を引用してみよう。 <トヨタ3 M頂上作戦>がついに公然化した。それは『トヨタ・ツインカム神話/新世紀編』と題すべき、壮大な叙事詩のプロローグ。  3Mツインカム6=6M-GEU型のデビューに大げさに驚いているのではない。むしろ逆だ。6M型が“ツインカム6”であって、“ツインカム24”ではなかったこと。ソアラより先にクラウンに展開された事実に当惑したほどだ。
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若者の車離れ……って言われるけれど、この時代のほうが
異常じゃないかと納得するページ。
……車の知識がない筆者には、何が書いてあるのかさっぱりわからない。車に詳しい人ならば「ああ、なるほど」という記述なのかもしれないけれど、これは専門誌じゃないのに。これだけで、車が若者の共通言語だったのだなと一目瞭然だ。この記事は「なぜ6M搭載1号車がソアラでなくなったか」といった解説が続くのだけれど、やっぱり何が書いてあるのか、よくわからん。もはや、一種の古文書になっているといっても過言ではない。  さらにページをめくるたびに趣味趣向の変化を、いくらでもうかがい知ることができる。この号には「総力追求/GIANTS再建プラン」という記事も掲載されているが、プロ野球巨人軍の凋落を検証する記事なんて、今ではあまり訴求力がないのではなかろうか。
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とりあえず、かわいいモデルを配置しておきゃあいい感覚がうらやましい。
 さらに「隔世の感」を感じさせるのは「電話はボクらのいちばん身近なアクティブメディア」と題された記事である。携帯電話がまったく普及していない時代なので、当然紹介されるのはちょっとオシャレな家庭用電話機なのだが、その中で最先端の商品として紹介されているのがパソコン用のヘッドセット。価格は1万円也。おまけに、音響カプラ不要でデーター通信できる機能を備えた電話機が3万円……やはり、物って安くなったんだなあと、しみじみ。
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今と書いていることが、そんなに変わらない。
ただ、この後のバブル期はアウトドアは敬遠されます
 時代と共に、趣味趣向というものはまったく変化してしまうもの。かと思いきや、ページをめくっているうちに、そうじゃないものもあることを知れる。それは、小学館が現在も発行しているアウトドア雑誌「BE-PAL」の自社広告である。「BE-PAL」の創刊は1981年だが、この広告を見る限り、現在と扱っている内容がそうそう変わっていないように思える。アウトドアで訴求力のある内容は、常にウェアや道具、そして「どこに出かけて、何を楽しむか」という問題。「GORO」のような、若者が知りたい情報がすべて網羅されている軟派な雑誌が姿を消す一方で、アウトドア雑誌が30年近くも続くことになるなんて、いったい誰が予測できただろうか。 (文=昼間 たかし 文中敬称略) ■「100人にしかわからない本千冊」バックナンバー 【第10回】ロリコンはやっぱり永遠にロリコンだった……のか?『改訂版 ロリコン大全集』 【第9回】ホントに一生恨んでいるのか? 『吾妻ひでおに花束を』 【第8回】あっと驚くパロディ満載!「パロディ・マンガ大全集」 【第7回】“落としやすい”女のコがいる大学は……?「平凡パンチ」1980年6月9日号 【第6回】物欲と性欲、自己肯定感に満ちた30年前の大学生活「POPEYE」 【第5回】1991年、ボクらはこんなエロマンガを読んでいた「美少女漫画大百科」 【第4回】そして『孤独のグルメ』だけが残った......月刊「PANjA」とB級グルメの栄枯盛衰 【第3回】「いけないCOMIC」1985年1月号大特集 戸川純にただ単にミーハーしたいっ! 【第2回】あの頃、俺たちはこんな本でモテようとしていた『東京生活Qどうする?』 【第1回】超豪華"B級"文化人がロリコンで釣ってやりたい放題『ヘイ!バディー』終刊号

やっぱり老害? 読売を私物化するナベツネの違法行為告発で、読売帝国崩壊か

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「週刊文春」11月15日号 中吊り広告より
グランプリ 「ナベツネの違法行為を暴露する読売現秘書部長『爆弾日記』公開!」(「週刊文春」11月15日号) 第2位 「橋下維新への『絶縁状』」(「週刊文春」11月15日号) 第3位 「東京都知事選 私が支持する候補 落ちてほしい候補」ほか2本(「週刊現代」11月24日号)  人間社会同様、ライバルに勝てず常にナンバー2にしかなれない馬がいる。1963年にメイズイが優勝した皐月賞、日本ダービーの2着馬だったグレートヨルカ。1964年のシンザンが勝った日本ダービー、菊花賞の2着馬ウメノチカラ。  今年の牝馬3冠馬・ジェンティルドンナの2着だったヴィルシーナもそうだった。  だからこそ、ジェンティルの出ない第37回エリザベス女王杯(G1・芝2200メートル、京都競馬場、重)は、この馬に勝たせてやりたいという判官贔屓もあって、断然の1番人気になった。だが、無情にも激しく降る雨に行き脚が鈍り、4コーナー手前から内田騎手は追い通しで直線に向いたが、持ち前の鋭い差し足は見られない。それでもゴールまで100メートルぐらいのところで先頭に立ったが、重得意の7番人気レインボーダリア(柴田善)に外から差され、首差の2着に敗れてしまった。  チャンネルを変えて、石川遼が2年ぶりに勝ったゴルフを見た。3打差で楽勝かと思われたが、最後は1打差まで詰め寄られ、かろうじて凌ぎきった。インタビューで「優勝することを忘れてしまった」と石川は涙ぐんだ。ヴィルシーナもゴールを過ぎて、おのが不運を嘆き、心で泣いていたのかもしれない。  寺山修司は「競馬が人生に似ているのではなく、人生が競馬に似ているのだ」と言った。人生という舞台で2番手にさえなれなかった私は、ヴィルシーナが晴れの舞台で先頭ゴールする姿を見てみたい、引退するまでこの馬を買い続けよう、そう思っている。  さて、こちらは予想通りだが、政治資金規正法違反の罪で強制起訴された「国民の生活が第一」代表・小沢一郎被告(70)の控訴審判決が今日(11月12日)あり、「東京高裁小川正持裁判長は、小沢氏を無罪とした一審・東京地裁判決を支持し、検察官役の指定弁護士による控訴を棄却した」(asahi.comより)  これで、事実上無罪が確定したと見ていいだろう。ポストが書いているように「『無罪判決』で始まる 小沢一郎の逆襲」とはならないと思うが、年内総選挙もささやかれだした中、彼の動きも注目である。  総選挙も気になるが、都民としては「ポスト石原がどうなるのか」に関心がある。石原が後継指名した猪瀬直樹副知事に松沢成文前神奈川県知事、宇都宮健児日本弁護士連合会前会長も出馬表明し、舛添要一参議院議員も出馬の構えだし、東国原英夫前宮崎県知事もギリギリで出るのではないかといわれている。  帯に短し襷に長しで本命不在だが、争点は長きにわたった石原都政を評価するのかどうかということになろう。現代は、舛添インタビューも含めて時機を得た特集を組んでいる。  石原が辞任した直後に自民党東京都連が電話で3,000人の緊急調査をした。猪瀬副知事がダントツトップで約50%の支持を得て、2位の東国原前宮崎県知事が約10%、次いでキャスターの安藤優子、小池百合子元環境相だったと全国紙の政治部記者が語っている。  現代は、各界50人の著名人に「誰が都知事にふさわしいか」をアンケートした。  最も支持を集めたのは、やはり猪瀬副知事で14票。2位には舛添参議院議員と宇都宮日本弁護士連合会前会長が7票、東国原前宮崎県知事は1票しかなかったという。猪瀬副知事の支持理由は、実務経験、行政への理解度、問題意識の高さだそうである。注目は、石原都政を評価したのは16人で、6割近くが批判的で、その人たちは宇都宮を支持しているという点だ。  自民党は猪瀬支持でいきたいそうだが、自民党都連との仲の悪さがどうなるのか、予断を許さないそうである。  石原と一橋大学から60年の付き合いだという高橋宏首都大学東京理事長と鈴木哲夫日本BS放送報道局長との対談のタイトルは、「石原慎太郎はタダのアホか それとも天才なのか」。  だが、親友である高橋が悪口を言うわけはなく、わずかにこの発言が気になるだけである。 「高橋 私は国政で新しい風を吹かせるには、最低でも国会議員30人くらいの勢力がないと無理だと考えています。石原は100人規模で人を集めてみせるなんて言っているけど、寝ぼけるんじゃないと言いたいね。30人どころか10人だって集まるかどうか」  高橋は「今回のようにバカみたいなことで晩節を汚してほしくない」とも言っている。石原人気が盛り上がらなくては、そのご威光をたっぷり浴びて知事になろうとしている猪瀬副知事にも逆風になりかねない。  以前から都知事を狙っている舛添参議院議員のインタビューは、批判が当を射ている。 「石原都政というのは、一言で言えば、常に仮想敵を作り、『敵と戦う正義の味方』の面をする典型的なポピュリズム政治でした。例えば、銀行を敵にして外形標準課税を導入し、分が悪くなると新銀行東京を創設しました。ところが1500億円もの損失を出しても、まったく責任を取ろうとしない。私が厚労相を務めていた時代には、都の社会保障を『税金の無駄遣い』と一刀両断して大幅カットし、社会保障の現場を大混乱に陥れた。私は個人的にも母親を介護した経験がありますが、単純な利害得失で図れないのが社会保障というものです。それなのに石原都知事は、弱者の視点に立つということができない政治家でした。そして最後は『悪の中国』という世論を喚起し、都の経済をメチャクチャにした。それにまんまと煽られた野田政権も問題ですが、問題の発端は石原前都知事です」  またこうも語っている。 「公職選挙法の規定によれば、都知事が任期途中で辞任した場合、50日以内に新たな都知事を選出することになっています。ところがこの規定は、病気や不慮の事故など、緊急事態を想定したもので、石原氏のような無責任な知事のためにある規定ではありません。そのため、非常に中途半端な都知事選にならざるを得ません。本来なら、石原都知事の任期は2015年4月までなので、次の都知事を目す候補者たちは、少なくもその半年から1年くらい前から、様々な立場の人の意見に耳を傾けながら、じっくりと自己の政策マニフエストを練り込んでいきます。ところがたった50日間では、落選中の政治家くらいしか手を挙げられません。都知事を目指しているような人たちは皆、それぞれの道で要職に就いているからです。これは、このような中途半端な形で都知事を選ばざるを得ない有権者に対しても、大変失礼な事です。こうした無責任さが露呈したため、都知事を辞任した石原氏は『新党を創る』と意気軒昂ですが、すっかり空回りしています。永田町では、石原氏に対する冷めたムードが充満して、誰かの名言ではありませんが、『晩節を汚した暴走老人』扱いです」  今週の選にはもれたが、週刊新潮が石原と元銀座のクラブの女性との間に隠し子がいて、現在30歳になると報じている。この話、フライデー(1996年3月1日号)でも報じられているように、有名な話ではある。  付き合ったのは、彼女が22歳、石原が49歳の頃だそうだ。だが、彼女が妊娠してしまうのだ。彼女は石原が泊まっているホテルに押しかけ「どうしてくれるのよ」とドアを叩き続けたが、石原は出てこなかったという。  その後は、石原プロの幹部が店のママと対応を協議したそうだ。24歳で彼女は子どもを産むが、石原がその子どもに会うことはなかったと、元同僚ホステスが語っている。  石原が子どもを認知したのは94年、11歳の時だった。その同僚ホステスが、その男の子のことをこう評している。 「子どもは身長が高く、見た目は慎太郎さんよりもどちらかというと裕次郎さん似のイケメンですよ」  今回、新潮は彼女の父親にも話を聞いている。 「孫はもう30歳になった。これまでアルバイトをあちこち転々としていたけれど、今年2月、“就職したよ”って電話を寄越した。“良かったね”と返事をしたが、孫の将来がどうなるか俺には分からない。ただ、就職するにあたって、あちらの厄介にはなりたくないとハッキリ言っていた。孫の心意気は俺にとっては、嬉しいと言うべきか、悲しいと言うべきか……」  石原は新潮の取材にこう答えている。 「彼女がこれまで何の仕事をしてきたかは聞いていない。でも、僕から金額は言わないが、養育費も学費も出し、自分では完璧に責任を果たしたつもりです。借金をしたり、物を売ったりして、必死におカネを作った。石原プロが僕の代わりに養育費を払ったかって? それは、ナンセンス。まったく違う。無責任な謀略情報が流れているなんて初めて聞きました。80歳の老人の昔の情事などに、永田町は関心なんてないんじゃないの……。でもね、あなたたちのおかげで息子から連絡が来て、今度、初めて会うことにしましたよ」  再び国政を目指し、ひよっとすると総理の座もありうると囁かれる注目人物だけに、こうした超旧聞も流れてくるのだろう。  想定内だったのか、石原の受け答えは平静で大人の対応である。新潮の取材がきっかけで息子との対面を果たすことになった石原は、息子に何と声をかけるのだろうか。  橋下徹大阪市長の「日本維新の会」との連携を含めて、石原の動静は注目である。  今週の第2位は、文春の子ども服メーカー「ミキハウス」木村皓一創業社長(67)の激白。  これまで橋下徹大阪市長と「日本維新の会」を支え続けてきたのにと、橋下と松井に怒っている。 「私は大阪を良くするためにと思って『維新の会』を支援し、橋下徹市長らを選挙に通すためにずいぶんカネも使ってきました。彼らは何にもせんでも選挙に通ったと勘違いしているようですが、大阪の地場の人々が手弁当で支援したからこそ、『維新』は圧倒的な支持を得たんです。しかし、彼らは人気にのぼせあがり、国政進出すると息巻いている。諌める人を次々に切り捨て、周囲にはモノをハッキリ言える人間が一人もいなくなった。橋下市長と松井一郎府知事、いまや二人は裸の王様です」  離合集散は世の習いとは言うものの、わが世を謳歌してきた橋下たちに、何かが起きているようである。木村はこうも語っている。 「橋下も松井も、経済については何も知らない。関電の株が紙クズになるようなこと言うんやから。関電の個人株主は、国債なみに安定してるからと買ってるお年寄りがほとんどでっせ。老後の安心がパーや。彼らも自分の株だったら、そんな無茶しないでしょう。市の株やから言うんです。経済を舐めとるわ。つい先日も、米国育ちのベンチャー起業家の講演会を催し、橋下にも聴きにくるよう言うたのに、『木村とは原発問題で意見が合わないから行かない」と断られた。まるで子供。僕に怒られるのが嫌なんやろな。知人の国会議員が何人も『橋下に会わせてくれ』と頼みにきたけど、僕は『何でそんなに橋下に会いたいねん。あんたの値打ち下げるだけや。利用されるだけやで』と遠ざけてきた。結局はそれが正しかった。それにしても橋下という男は運がいい。今回の石原新党にしても、うまいこと利用しよる。政策が一致せんから言うて自分だけいい子になって、完全に石原さんの負けやんか。 でも橋下の頭にあるのは票だけ。国民の幸せのことなど一つも考えてへん。国際社会に通じる人脈もビジョンもない。さらに言うなら、自分がない。風に流されてきただけの人物です。(中略)あんな男を国政に通したら絶対アカン。日本のためになりません」  あれだけ面倒見たのに自分のいうことを聞かない、という恨み節にも聞こえるが、支持者からこうした声が出てくるのは、早くも選挙前から組織に綻び始めた証左かもしれない。  今週のグランプリは、文春の巻頭特集「告発スクープ ナベツネの違法行為を暴露する読売現秘書部長『爆弾日記』公開!」である。  タイトルがすごい。大メディアのトップが違法行為とは聞き捨てならないが、文春はこう書き始める。 「今から八年前、二〇〇四年のことである。警視庁公安部公安総務課で、ある情報が駆け巡った。『渡辺恒雄読売新聞主筆が運転免許更新のために必要な高齢者講習を受講せずに済ませるよう、読売新聞幹部が警視庁に依頼した。渡辺氏は同年五月三十日に七十八歳を迎えており、本件事案は四月三十日から五月三十日までの一カ月以内に発生した模様』この情報は二○○四年六月、小誌記者にもたらされたが、警視庁幹部は完全否定したため、それ以上、取材を進めることはなかった」  だが、今回決定的な証拠となる文書を入手したというのだ。それは、この件で中心的役割を果たした、当時の読売新聞警視庁記者クラブキャップ・山腰高士(現・読売新聞東京本社秘書部長)の「日記」だった。  この日記は当時、社会部に在籍していた人物から提供されたものだという。  反ナベツネ、社会部記者というとすぐに清武英利元読売巨人軍取締役球団代表が浮かぶが。  高齢者講習とは道路交通法改正により、75歳以上の高齢者に義務づけられたもの(2002年に70歳以上に改正)で、座学による講義、シミュレーターによる反応検査、運転実習などを各1時間ずつ計3時間受けなくてはいけない。これは高齢者の死亡事故件数の増加のためであった。偽りやその他の不正な手段により交付を受けた者は、1年以下の懲役か30万円以下の罰金に処せられる(今回のケースは時効になっている)。  天皇陛下も例外ではないという。しかしナベツネは、部下に「めんどくさい手続きを省いてほしい」と命じ、当時の広報部長などが奔走することになる。教習所の社長に頼み込み、渡辺主筆は何とか出向いたものの、わずか10分で免許の更新を受けたという。  私の知人も最近講習を受けてきたが、1日仕事になるといっていた。世の不正を告発する大新聞のトップがこんなことをしてはいけない。  文春はこう結んでいる。 「本誌が今回公表した日記からは、違法行為に加担せざるを得なかった記者たちの苦悩が読みとれる。警察権力の監視役である現場の記者たちの報道倫理をねじ曲げた渡辺氏の罪はあまりに重い」  私はこれを読んで、ノンフィクション作家・本田靖春が読売新聞を辞めるきっかけになった「正力コーナー」のことを思い出した。  「正力コーナー」とは、当時社長だった正力松太郎の要請によって、彼の動静を毎日のように紙面を使って報じたことをいうのだが、本田はこれを紙面の私物化だと批判し、やめさせるべきだと同僚に説いて回るが、誰も正力を恐れて声を上げなかった。  そんな読売に嫌気がさして、本田は読売を辞めることを決意する。  文春を読む限り、正力、務台光雄と続いてきた読売私物化は、渡辺主筆になって、さらにひどくなっているようだ。  当然ながら「読売新聞東京本社は8日、同日発売の週刊文春(11月15日号)に掲載された『ナベツネの違法行為を暴露する読売現秘書部長「爆弾日記」公開!』と題する記事について、改ざん・捏造(ねつぞう)の疑いのある記録や出所不明の資料をもとにしており、事実と全く異なる記述によって名誉が著しく毀損されたとする抗議書を、発行元の文芸春秋に送付した。  今後、同誌や記録の盗み出しなどにかかわった人物に対し、刑事、民事上の法的措置を講じる。(中略)引用された『日記』には、秘書部長も含め関係者の認識とは全く異なる記述が多数ある。秘書部長は当時、警視庁記者クラブのキャップとしてパソコンで業務記録をつけていたが、『日記』は、この業務記録を何者かが違法・不正な手段で盗み出し、データの一部を改ざん・捏造したものである疑いが強い。渡辺会長の運転免許更新についても、警視庁に不当な依頼をした事実は一切なく、所定通り教習所に出向き、高齢者講習を受けるなど適切な手続きを踏んでいた。抗議書では、『現秘書部長「爆弾日記」公開!』とする見出しについて、現職の秘書部長があたかも内部情報を自ら積極的に暴露したかのような印象を与える狡猾(こうかつ)かつ悪意に満ちた表現であり、秘書部長個人の名誉も毀損していると指摘した。さらに週刊文春は先月中旬以降、秘書部長や多数の社会部員に対して行った取材および、グループ本社広報部への質問で、この『日記』や出所不明の資料の存在について意図的に隠し、一切触れなかった。抗議書は、そうした取材・報道姿勢も『悪質、異常、アンフェアであり、報道倫理に反する』としている」(2012年11月8日12時53分 読売新聞)  読売側はまた、今回のことは清武氏がやったと言いたいようだが、これが事実だとしたら、事件は時効でも、大メディアを牛耳る最高幹部にあってはならない「醜聞」である。  それに抗議するなら、本人の承諾なしで「日記」が掲載された山腰高士読売新聞東京本社秘書部長ではないのか。  事実が違うなら堂々と指摘すればいいのに、表に出てこないのはどういう理由からなのか。一企業の人間としては、致命的な情報流出である。渡辺帝国の崩壊を予感させる記事だと、私には思える。  千丈の堤も蟻の一穴から始まる。これが渡辺主筆の命取りになるかもしれない。 (文=元木昌彦)

ロリコンはやっぱり永遠にロリコンだった……のか?『改訂版 ロリコン大全集』

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『改訂版 ロリコン大全集』群雄社出版、
1983年(時勢を鑑み、編集部で修正を
入れております)
 どれだけ目を背けても、日本のオタク文化は、ロリコン(実写含む)とは切り離すことができない。オタク文化の愛好者が、近年問題になっている「児童ポルノ」と称される虐待の結果としての生産物を楽しんでいると主張したいわけではない。オタク文化が、その源流において少女愛と同居していたことだけは、紛れもない事実である。今回紹介するのは、その時代性を象徴する貴重な資料である。  多数の少女ヌードが掲載されている本書だが、そこは興味ないし、掲載したら「日刊サイゾー」もろとも通報されかねない(念のため、表紙も修正済み)。それに、単なる子どものハダカに、今のところは資料的価値を見いだせない。それよりも大切なのは、ページをめくった先にある作品群である。  少女ヌードのページが一段落した後に始まるのは、吾妻ひでおによる漫画『仁義なき黒い太陽 ロリコン篇』だ。この短編は、当時のロリコン界隈の人脈をネタにした不条理漫画である。「フリーロリコン もとFP組 緒方」が路上でロリコン本を売っているシーンから始まる物語は、「ロリコン界ではすでに神格化した存在である蛭児神建は人気美少女画家・内山亜紀と手を組み、関東統一を目指していち早くコマを進めていた」となり、「早坂えむ」に「岡田としお」「破李拳竜」とか、名前の一部を換えているのと換えていないのと、ごっちゃになりながら何もまとまらずに「第一部完」となる。まさに、本書のカオスさを象徴する作品だ。
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この連載、吾妻ひでおを取り上げることが多いけど。かつては巨人だったんだなあ……。
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無駄な知識しか手に入らない用語集だけど面白いです。
 「とにかく“大全集”の看板に偽りなく、ロリコンに関するものは全部詰め込みました」と各々のページが主張し、とくに実生活では役立たない無駄な知識を、懇切丁寧に教えてくれる。「ロリコン用語の基礎知識」なんかは、まさにそう。「スクール水着」の項目では「新宿区立富久小学校のスクール水着は黄色だそうだ。おまけに赤と黄色のダンダラの帽子をかぶるんだそうで、こういうのは許せないような気がする」と書き手が主張を始め、「破瓜」の項目では「少女凌辱の儀式」と、ゆがんだ性癖を露わにしてくるではないか……。いや、こんなこと書いているヤツが、発行から30年近くたっているのにまだ逮捕されたとは聞かないから、よほどヤバイ性癖の持ち主でもやっぱり現実世界では一線引いているんじゃないかと納得してしまう。
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川本と高桑常寿による写真も……って写真のページは公開できませんョ!
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結局のところ、オタク文化を語る時に二次創作のエロパロは切り離せないと納得だよ。
 そのことをさらに納得させてくれるのは、後半に収録の「幼女嗜好 特別出張版」だ。「幼女嗜好」は当時、コミケなどで頒布されて話題だったトンデモないロリコン同人誌だ。ここで収録されているのは「プティ・アンジェ無惨」。当時、ロリコンに人気だったアニメ『女王陛下のプティ・アンジェ』のヒロインが、好き放題輪姦される内容である。こんなカオスな本に寄稿している執筆者には、さべあのま、米澤嘉博、杉浦日向子、このま和歩、高取英らの名が並ぶ。本書に象徴されるような80年代の「なんでもアリ」が、その後のサブカルチャーを多様化させてきたことは、明らかであろう。 ■そして、ロリコンは永遠に……    本書は「改訂版」の文字が入っているように、底本になっているのは1982年に都市と生活社から発行された蛭児神建が編集したものである。対して、群雄社出版の発行になっている本書は、編集発行人が川本耕次に代わっている。川本は、近著に昨年発行された『ポルノ雑誌の昭和史』(ちくま新書)がある、伝説的なエロ本の編集者だ。けれど、近年では、毒づき方が特徴の人気サイト「ネットゲリラ」の中の人と説明したほうがわかりやすいだろう。かつてはエロ本の名編集者として知られて、昭和史に名を刻んだ川本だが、現在は静岡県で企業人として活躍中だ。筆者も、名刺交換した時に「なんかの社長っぽい人だな」と思ったら、ホントに社長だった。エロ本畑を歩いた挙げ句に、これほど華麗に異業種に転身できた人は寡聞にして聞かない。80年代の人士も、そろそろ「死人列伝」の様相を呈してきている。一度、この世界に足を踏み入れて、まともな死に方をできた人は少ない。そこを出発点に「坂の上の雲」やらを追いかけることができたのは、高取英とか、限られた人物くらいだろう。塩山芳明の『出版奈落の断末魔―エロ漫画の黄金時代』(アストラ)は、そうした悲惨な人々の人生の貴重な記録である(塩山もエロ漫画編集の仕事だけで、娘を大学まで行かせたから、現代では勝ち組)。
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『ポルノ雑誌の昭和史』ちくま新書、2011年
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『出版奈落の断末魔―エロ漫画の黄金時代』アストラ、2009年
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『おたくの本』宝島社、1989年
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『出家日記―ある「おたく」の生涯』角川書店、2005年
 それにしても、この世界は業が深い。伝説のロリコンと称された蛭児神建が、ブームの最中に雑誌「プチ・パンドラ」(一水社)の編集長を引き受けて、病んで業界を去った顛末は、1989年に出版された別冊宝島のベストセラー『おたくの本』(宝島社)や蛭児神建(元)名義で執筆された『出家日記―ある「おたく」の生涯』(角川書店)に詳しい。それらに記されているように、現在も僧侶を生業としている蛭児神だが、いまだにロリコンを過去のものとはできていない。6月に同人誌即売会MGMで彼に会ったとき「久しぶりに、こんなものを作ってみました」と茶封筒に入れたコピー同人誌をこっそりと手渡された。中に入っていた同人誌のタイトルは『幼女嗜好 FINAL』。10部だけ作ってきたというその同人誌は、扱われているヒロインが現代化しているが、描かれる嗜好は過去のものと変わらない(本人も、茶封筒に包んでこっそり配布していたから、画像はナシで。欲しい人は、どっかの同人即売会で本人を見つけるのがよいかと)。僧侶となってもなお消えない煩悩。もはや、それは賞賛する以外、どうともできない。  いくら業界から足を洗っても、この世界の業の深さからは逃れることはできないらしい。 (文=昼間 たかし 文中敬称略) ■「100人にしかわからない本千冊」バックナンバー 【第9回】ホントに一生恨んでいるのか? 『吾妻ひでおに花束を』 【第8回】あっと驚くパロディ満載!「パロディ・マンガ大全集」 【第7回】“落としやすい”女のコがいる大学は……?「平凡パンチ」1980年6月9日号 【第6回】物欲と性欲、自己肯定感に満ちた30年前の大学生活「POPEYE」 【第5回】1991年、ボクらはこんなエロマンガを読んでいた「美少女漫画大百科」 【第4回】そして『孤独のグルメ』だけが残った......月刊「PANjA」とB級グルメの栄枯盛衰 【第3回】「いけないCOMIC」1985年1月号大特集 戸川純にただ単にミーハーしたいっ! 【第2回】あの頃、俺たちはこんな本でモテようとしていた『東京生活Qどうする?』 【第1回】超豪華"B級"文化人がロリコンで釣ってやりたい放題『ヘイ!バディー』終刊号

文春、現代はどうした!? 怒れる週刊誌「週刊ポスト」がスクープ独占!

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「週刊ポスト」11月16日号 中吊り広告より
グランプリ 「『発電量ゼロ』原子力マフィアの総本山に1440億円!」(「週刊ポスト」11月16日号) 第2位 「日本の領土・馬毛島地主が『島を中国に売る!』と言い出した」(同)  第3位 「拝啓 池上彰様 『都知事選に出馬いただけないでしょうか』」(同) 次点 「あなたの知らない東京23区の謎」(同) 次点 「激撮スクープ! オリラジ藤森・TBS田中みな実アナ『真剣交際お泊まり愛』撮った!」(「フライデー」11月16日号)  不思議なことがある。週刊現代が尼崎の連続殺人事件を取り上げていないのだ。  11月1日の朝日新聞に、こういう記事が載った。 「兵庫県尼崎市の連続変死事件をめぐり、事件とは関係のない女性の写真が角田美代子被告(64)のものとして複数のメディアで報道された」  角田被告の写真を、関係ない女性の写真と間違えてしまったというのである。当然ながら、多くの新聞、テレビ、週刊誌はお詫びをしているが、現代は「今回の事件については報じていない」(朝日)から、間違えるはずもないと答えているのである。 これほど週刊誌にピッタリの事件はないと思うのだが、どうしてなのか。  「日本の編集長」(東京アドエージ)の11月号で現代の藤田康雄編集長は、週刊誌の編集現場時代は、「私は現場に行きたくてしょうがなかったクチです。ともかく事件ばかり取材していました」と語っているのに。  週刊大衆のように、事件取材はカネばかりかかって読者に受けないからやらない、という「主義」ではあるまい。  藤田編集長はこうも語っている。 「オレ、ダメ人間が好きなんですよ。(中略)断然、ダメ人間のほうが面白いんです。ダメ人間だとワクワクする」  角田被告はダメ人間ではないのだろうか。不可思議である。  今週は見ていただけばわかるように、週刊ポストの圧勝である。これほど1誌がほぼ独占したのは、この連載が始まって以来であろう。  このところ週刊朝日は「橋下徹大阪市長への全面謝罪」問題で低迷しているが、あれほど一時期スクープを連発した週刊文春の元気のなさが目立つ。奮起を促したい。  次点が2本。まずはフライデーの張り込みネタ。  「オリラジ」というのは「オリエンタルラジオ」の略で、お笑いコンビの一人、藤森慎吾(29)だそうだ。女性のほうは、TBS『サンデージャポン』の田中みな実アナ(25)。ぶりっ子で有名だそうである。  二人の仲が最初に報じられたのは5月。最初は交際を否定していたが、互いのマンションを行き来して愛を育んでいたようだ。  二人がフライデーされるのを用心している様は、なかなか微笑ましい。  芸能プロ関係者が二人の仲をこう明かす。 「藤森はこれまでどんな女性と付き合っても、本気になれないのか短期間で関係が終わっていました。でも今回は違います。すでに自分の親に田中アナを紹介し、親しい友人には関係を明かしているようです。本人も『とても大切な人』と話しています。田中アナも、親に藤森のことは伝えているそうですよ。彼女は埼玉県内の実家で両親と暮らしていましたが、藤森と付き合い始めてから都内で一人暮らしをするようになった。もちろん彼と会う時間を増やすためですが、藤森のマンションで手料理を振る舞うことも多いとか。結婚に向け、具体的に話が進んでいることは間違いないと思います」  藤森もフライデーの直撃に、交際を認めているし、11月5日のスポーツ報知がこう報じている。  「写真週刊誌『フライデー』でTBS・田中みな実アナウンサー(25)との“お泊まり愛”が報じられたお笑いコンビ『オリエンタルラジオ』の藤森慎吾(29)が4日、都内で行われたトークライブ出演後に報道陣の取材に応じ、田中アナとの交際を認めた」  それにしても、お笑い芸人って、どうしてこうモテるのかね。  次点の2番目は、地域ネタだが、なかなか読ませる。  大田区と江東区が壮絶な「領有権争い」を繰り広げているというのが、中央防波堤埋立地だという。  ここは廃棄物処分場として埋め立てられたが、近年コンテナ輸送の要衝として利用価値が高まっている。それまでも両区が所有権を主張し合っていたが、今年2月に江東区と結ぶ「東京ゲートブリッジ」ができたため、さらに激化したという。  大田区とは臨界トンネルでつながっている。江東区の市民から「中央防波堤は江東区固有の領土である」という声が大きくなり、お互いの「愛区心」が高まって収まる気配が見えないそうである。  その他「どの区にも属さない銀座『番外地』」とは、銀座9丁目(銀座は8丁目まで)を意味する銀座ナインなどの商業施設のあたりだが、高速道路の下だったため何区なのか議論されずにきた。しかし、そこに多くの商店ができたために、商店は店ごとに、中央区、千代田区、港区のどれかの自治体を選んで行政サービスを受けているそうだ。  「埼玉県の中にある『6軒』の練馬区住居」は、埼玉県の新座市に、住居表示は練馬区西大泉町という飛び地があり、面積は約560坪、6軒の「都民」の住居がある。どうしてなのかはよくわからないようだが、新座市側が編入しようとしたが、住民の合意が得られずそのままだという。  「墨田区と隅田川、『すみ』の表記がなぜ違う」は、本所と深川を統合した当時は、隅の字が当用漢字になかったから墨になった。  「目黒駅は品川区にあり、品川駅は港区にある」では、目黒駅は区内に建てるはずだったのに、地元住民がSLによる煙害を懸念して激しい反対運動が起こり、品川区の権之助坂に追いやられたからだそうである。  品川駅はかつて一帯が品川県という行政区だった名残だそうだ。ほかにも男の人口が多いのは台東区で、女の比率が高いのは目黒区だとか、23区のトリビアは面白い。  さて、石原慎太郎が抜けた後の東京の盟主が誰になるのかが関心を集めている。  石原が後継に指名した猪瀬直樹副知事は、彼の人間性もあるのだろう、一般的な人気がない。そこで我こそはと名乗りを上げると思われているのは、民主党の蓮舫議員、自民党では小池百合子議員、舛添要一議員、変わったところでは文筆家で白洲次郎の孫の白洲信哉の名前や、菅直人元総理の名まで挙がっている。  だが、そうした中で大本命と目されているのが、あの東国原英夫前宮崎県知事だそうだ。  確かに、前回の都知事選に出て政党の支持もなく169万票を集めたのだから、可能性はあると思うが、そうなったらどうしよう。  新潮が「ついに『東国原』当確で我らの生き恥」と、私のような東京都民の胸の内を代弁してくれている。 「よく考えて欲しい。いくら東国原氏が茶の間の人気者で、宮崎県の『セールスマン』として活躍したとはいえ、彼が1300万の民を抱える首都の顔になるなんて、想像するだけで戦慄を覚えるではないか。なにしろ彼はこれまで、後輩芸人に暴行を加えて書類送検され、16歳の少女との猥褻行為で警視庁の事情聴取を受けるなど、数々の不祥事を起こし、女性関係も“奔放”の極み。本誌(08年5月1・8日号)でも、宮崎県知事時代に20代の女性を弄び、挙句、150万円の手切れ金を支払った彼の行状を報じている。世間ではこういう男を『不届き者』と呼ぶ」  さらに、こう結ぶ。 「西の宮崎県から東の東京都への“国替え”を企図している東国原氏。名前に反して“東の国”とは縁が浅いままであってくれることを祈るばかりである」  まさにその通り。新潮はん、ええこと言いなはる。  ポストも東国原や猪瀬に東京を渡してはいけないと危機感をもったのか、意見広告とも思える特集をトップにもってきた。 「唐突で申し訳ありませんが」と断っているが、いまやテレビの寵児となった池上彰に出てくれと、誌面で呼びかけたのだ。  こういう誌面づくりに賛否はあるだろうが、私は好きである。  池上は「政治報道のタブーを破った」そうである。それは10年7月の参院選開票時に司会をし、「民主党支持の日教組の組織票はどれぐらいか」「公明党と創価学会の結びつき」などに踏み込んだからだそうだが、私は、その程度でタブーを破ったなどというなよ、と思ってしまうのだが。  池上は悪くないタマだとは思うが、本人がその気は「毛頭ない」と言い切っているのでは、ポストの片思いで終わるようだ。  前々回の都知事選の時、鳥越俊太郎元毎日新聞記者が出馬を打診されたことがあった。私は彼から直接聞いているが、体調の問題さえなければ出馬してもいいと思っていたという。  今回、彼は出ないだろうが、少しマシな知名度のある文化人が出馬すれば、大量得票は間違いない。取り沙汰されているニュースキャスターの安藤優子が出れば楽勝ではないか。どうかね安藤さん、出てみたら。  第2位は、鹿児島県種子島の西方12kmの東シナ海に浮かぶ馬毛島が、中国企業に売られるかもしれないという記事。  島の由来は、ポルトガル宣教師たちが鉄砲とともに渡来させた馬を養っていたことから。  無人島としては国内で2番目に大きい。島を所有するのは「立石建設工業」立石勲会長。彼のこんな発言が政府に伝わってきたからである。 「中国の企業が何社か接触してきている。日本の対応次第では売ってもいい」  防衛関係者がこう語る。 「それまでは、本意ではないだろうと高をくくっていたんですが、8月の尖閣諸島騒動で事態は一変した。馬毛島の周辺には佐世保や沖縄などの米軍基地があって地政学上、非常に重要な場所です。ここを本当に中国にとられたら国防上、危機的な状況に陥ると省内で危ぶむ声が高まってきた」  馬毛島は過去に幾度となく米軍によって軍用化が検討されてきたという。ポストによれば立石がここを購入した経緯はこうである。 「立石氏は鹿児島県で遠洋漁業の船長をした後に上京。64年に不動産会社『立石建設』を設立する。4年後には砂利や砂などの建設販売部門を独立させた『立石建設工業』を設立し、高度成長の波にも乗り、一大グループを築くまでになる。  東京で一旗揚げた立石氏に馬毛島購入を勧めたのは、たまたま知り合った防衛省幹部OBだったという。 『国防は30年、40年先を読まなくてはいけない。馬毛島はいつか、日本防衛の有力な基地になる』  立石氏は自ら率先して住民票を馬毛島に移し、防衛省幹部OBから耳打ちされた言葉を実行に移した。奇しくもその言葉が現実のものとなりつつある」  当初6割の所有だったが、次々に買い足され、この島に投じた金は150億円にも上るという。  島には3万人収容できるし、軍隊向きの港も兼ね備えていて、今すぐ米軍に提供できると彼は話しているという。  当時の防衛大臣・北澤俊美が立石と交渉したが、その額は50億円にも満たないものだったようである。  ある防衛省幹部が嘆いている。 「外国企業が離島を買うとなっても法的に禁止することができません。さらに問題なのが日本の法体系の中には買った土地に対する禁止条項がないこと。個々の自治体による行政上の制約はあるが、安全保障上の規制ではない。例えば通信施設が作られたとしても、国として強制的に立ち入り調査することはできないんです。外国企業に島を買い取られた場合、島を日本の監視下におくことは現実的に難しい」  中国による日本列島買い占めは、米軍にとっても頭の痛い問題のようである。  さて、今週のグランプリは「まったく発電していない原発」のために、値上げされた電力料金が使われていると告発する記事にあげたい。  国民の支払う電気料金が、発電量ゼロの「日本原子力発電」という会社へ支払われているというのである。 「ここは東海第二原発(110万kw)、敦賀原発1号機(33.7万kw)、同2号機(116万kw)の3基の原発を保有し、東電をはじめ、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力の本州5電力会社に電気を売る、卸電気事業者である。 3基のうち、東海第二は昨年3月の東日本大震災で自動停止した。敦賀1号機は昨年1月から、同2号機は昨年5月7日から、それぞれ定期検査のため停止されている。当然、その後、現在に至るまで発電量はゼロである。 ところが、同社の有価証券報告書によると、昨年度(12年度)は東電の約465億円をはじめ、関電・約641億円、中部電力・約307億円など、5社から電力を売った代金として合計約1443億円を受け取り、93億円の経常利益を上げている(震災の被害による特別損失計上で最終損益は赤字)。本社社員の平均年間給与は637万円。経産省が電気代値上げにあたって、電力各社に求めている賃下げ基準(大企業平均596万円)より高い。 敦賀2号機だけは昨年4月1日から5月7日に停止するまで37日間稼働したとはいえ、その間の発電量は10億kwhと前年度の発電量(162億kwh)の16分の1に過ぎない。 なぜ、事実上「発電ゼロ」の会社が利益を出せるのか。 「次の数字を比較してほしい。過去2年間の日本原子力発電の発電量と、電力5社が支払った金額は、 ◆11年度162億kwh 1736億円 ◆12年度 10億kwh 1443億円 と、発電量が16分の1に減ったにもかかわらず、電力会社の購入代金は2割しか減っていない」(ポスト)  一体、どんな会社なのか。 「日本原子力発電は原子力発電推進のために電力9社と政府系特殊法人の電源開発(現在は民営化)の共同出資で1957年に設立された国策会社だ。筆頭株主は東京電力(28.23%出資)。66年には日本初の商用原発『東海発電所』の運転を開始し、前述のように現在3基の原発を保有している。  社員数は関連会社を含めて2254人。原発推進派の政治家、与謝野馨・元財務相は議員になる前に社員だったことでも知られる」(同)  東電は今回の値上げで年間ざっと6150億円の増収を見込んでいるが、そのうちの1003億円はここのために使われたのだという。  東電にはこの会社を潰せない理由があった。原発事故で引責辞任した勝俣恒久前東電会長が天下っているからである。  ポストはこう結んでいる。 「この企業の清算を早く決断しない限り、東電だけではなく、値上げ方針を打ち出した関電はじめ全国の電力会社が新たな料金算定に原発企業への救済資金を盛り込むのは確実で、今後も国民負担は膨らむばかりだ。 これでも電気代値上げは仕方ないと思えるだろうか」 今、国民に成り代わり一番怒ってくれている週刊誌はポストである。   (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

尼崎連続殺人事件 女モンスターの“殺人カンパニー”ができるまで

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「週刊新潮」11月1日号 中吊り広告より
佳作1 「安倍晋三と半グレ」(「週刊現代」11月10日号) 佳作2 「『地震予知』は大嘘だったのか!?」(「週刊ポスト」11月9日号) 佳作3 「尼崎『女モンスター』の揺り籠から監獄まで」(「週刊新潮」11月1日号) 佳作4 「誤認逮捕の被害者が『恐怖の取調室』を語った」(「週刊現代」11月10日号)  今週は、残念ながらグランプリに値する記事はなかった。予想通り、橋下徹大阪市長の記事で全面敗北した週刊朝日の河畠大四編集長が更迭されたのが目立つ程度だ。  どんぐりの背比べの中から佳作を4本選んでみた。  まずは、警察の誤認逮捕と調書でっち上げで、危うく冤罪にされるところだった人たちの恐怖を扱った、現代の「ネットなりすまし事件」の記事。大新聞に、自白調書が警察のでっち上げだったことがわかったのに、それを追及した記事があまり見当たらなかったのはどうしてか。  発端は7月1日、東京・杉並区に住む19歳の明大生が神奈川県警保土ケ谷署に逮捕されたことだった。横浜市のHPに小学校を襲撃する殺人予告を書き込んだという、威力業務妨害の疑いだったが、これも冤罪だった。 「しかし、3日付のスポーツ新聞にはこんな記事か載っている。〈明大広報課担当者は『事実関係を確認し、厳正に処分します』とコメント。商学部2年の女子学生は『明治の恥。大学のイメージが悪くなり、就活などで他の学生に迷惑がかかる』と憤っていた〉(日刊スポーツ)」(現代)  現代の言う通り、学校は事実関係を調べもしないで、警察の発表を無条件で信じてしまうのだ。  大阪府警に誤認逮捕された北村真咲さん(43)の弁護人はこう語る。 「北村さんは、今回の事件に関して逮捕前から一貫して捜査に協力し、かつ否認していました。にもかかわらず、北村さんは逮捕・勾留されてしまい、著しい肉体的、精神的、経済的打撃を受けました。(中略)また、逮捕された後も、捜査機関は北村さんの言い分を聞くことなく連日の取り調べを続けました。このような取り調べは、虚偽の自白を誘発するものです。この取り調べに北村さんが屈していれば、そのまま有罪判決を受けていたかもしれない」  8月26日に北村さんが逮捕され、9月1日に福岡の無職の男性(28)が警視庁に逮捕される。9月14日には2ちゃんねるに伊勢神宮を爆破すると予告したとして、三重県津市に住む28歳の男性が三重県警に逮捕されている。  なぜこのようなことが起きるのかを、全国紙社会部記者が解説している。 「08年の秋葉原事件後、警察庁が全国の県警に通達した『サイバーテロ予告の捜査マニュアル』があります。詳しい内容は開示されていませんが、そこには『脅迫メールの書き込みが行われたパソコンのIPアドレスを根拠に、被疑者を逮捕してもよい。被疑者否認のまま起訴しても、公判は維持できる』という旨が明記されているんです」  IT時代に、こんなとんでもない通達が出ていたというのは驚きである。真犯人が犯行声明で捜査当局の能力の低さをあざ笑うのは当然である。その上、犯人が捕まる可能性はほとんどないと、サイバー犯罪に詳しい神田知宏弁護士は話す。 「いろいろな国のサーバーを経由して発信元を隠すTorというソフトを使っているので、発信元を辿ることは不可能でしょう。現状はネットの書き込みに対する法整備が追いついておらず、警察は正直言ってお手上げの状態です」  後手後手に回った捜査をごまかすために、無実の者を逮捕し、自分たちに都合のいい調書をでっち上げ有罪にする。これだから司法を監視する手を緩めてはいけないのだ。  尼崎の「女モンスター」角田美代子(64)が主人公の大量殺戮事件は、いまだに謎だらけである。新聞、テレビはもちろんのこと、週刊誌を読んでも、なぜこの女がこのような大事件を引き起こしたのか、よくわからない。取り巻きを含めて柄の悪いのはいっぱいいるようだが、だからといって、娘が自分の親まで殺してしまうというのは、理解しがたい。  いろいろ読んだ中では新潮が美代子だけに絞っているだけにわかりやすかったので、これを佳作に推す。  美代子は1948年に尼崎市内の左官工の家に生まれた。中学時代にはナイフを背中にしのばせていたというから、桁外れのワルのようだ。私立女子高へ入ってわずか数週間で喧嘩沙汰を起こして退学になってしまうが、その頃すでに中学の同級生と同棲していたそうだ。  さらに若い女を4~5人雇ってホテルに送り届ける「管理売春」の元締めだったという。その元手でスナックを開き、ママになる。その後、離婚して横浜へと移り、伊勢佐木町にバーを開く。10数年後に故郷へ帰り、「殺人カンパニー」の下地を作り始めていったそうだ。  息子を溺愛し、通う学校の教頭を怒鳴りつけたり、卒業式に乱入したこともある。  美代子の暴力装置として支えたのは、戸籍上のいとこである李正則。全身刺青で野球をやっていただけに、腕力は強い。  美代子たちに乗り込まれた香川県高松市の「谷本家」は一家崩壊、地獄のようになった。一家は、後に美代子の息子と一緒になる瑠衣、姉の茉莉子、両親が静かに暮らしていた。そこへ李が入り込み、美代子たちが乗り込んで阿鼻叫喚の地獄の日々が始まる。 「男らが庭に両親を立たせてホースで水責めにするのは序の口。美代子は“金を持ってこないとこうなる”と言い、娘2人に両親を執拗に殴らせていた。さらに両親は素っ裸で集落を歩かされ、親戚の家々を回って借金を申し込んでいた」(捜査関係者)  この事件の全容が明らかになると、まだまだ犠牲者が増えそうである。  さて、イタリアで地震に「安全宣言」を出した地震学者らに、禁固6年の実刑判決が出て話題になっている。地震大国日本の地震予知はどうなのか。ポストが「大嘘」ではないのかと噛みついている。 「若手学者が声高に言った。『(予知できない地震があるのは)地震学者なら誰だってわかっている。そんな状態で「予知絡み」の予算を取るのはもうやめましょうよっ!』(中略)10月16日、北海道・函館で開かれた日本地震学会特別シンポジウム『「ブループリント(青写真)50周年ーー地震研究の歩みと今後』の討論は白熱した」(ポスト)  ここで指す地震予知とは、短期の地震予知である。冒頭の研究者の「予知できない地震」とは、「前兆現象」のない地震で、阪神・淡路大震災も東日本大震災も前兆は観測されなかった。  “反予知派”の筆頭で、シンポジウム実行委員長の東大大学院・ロバート・ゲラー教授は、「打つ手がない」「地震を予知しようとする作業に意味はない」とまで言いきった。 「その証左が文科省の外郭団体である独立行政法人防災科学技術研究所が作成する『確率論的地震動予測地図』(ハザードマップ)だという。地震学の粋を集めて作成されたはずのハザードマップだが、ゲラー教授は手厳しい。『この地図は、地震発生確率の高い地区ほど濃い色で塗りつぶされているのですが、阪神・淡路大震災も東日本大震災も、大きな地震の震源はいずれも色が薄い、確率が低いとされた地区だった。こうなると予知は“害悪”ですらある。ハザードマップを見て、地震に遭う確率の低い地区だと思って住んだら、大震災に見舞われたという人がいるかもしれない』」  だが、地震研究には毎年100億円単位の予算が投じられ、官僚の天下り先にもなっているのである。  東洋大学の渡辺満久教授はこう語る。 「地震学会の体質改善はそう簡単ではない。そもそも地震学者と呼ばれる人々に対してこれまでマスコミが甘すぎたんです。学界内部でも、きちんと同僚の罪を告発していた人々は昔からいたのに、『個人攻撃になるから』などといった理由をつけて、しり込みするメディアが多かった。そこはしっかりしてほしいと思う」  天気予報と地震予知は当たらなくて当たり前、では困るのだ。日本で地震予知学者を告発したらどうなるのだろう。裁判所はどういう判断を下すのか。誰かやってみないかな。  石原慎太郎都知事が辞任して政党をつくるとはしゃいではいるが、先行きは不透明である。ポストは、橋下大阪市長の「日本維新の会」と連携すると見ているようだが、現代は「それはない」と真反対である。  そうした中で、存在感が日に日に薄れていく安倍晋三総裁だが、現代が彼の「怪しい人脈」を掘り起こした記事をやっている。  冒頭、03年9月22日に行われた「ワールド・ダンス・ランキング・アワード」という耳慣れない名前の「ダンス大会」の模様が描かれ、自民党の幹事長になったばかりの安倍がそこで挨拶をしている。  その時、壇上で安倍とツーショットに収まるのが主催者の塩田大介ABCホーム元会長だが、この人物、今年3月に競売入札妨害容疑で警視庁に逮捕され、その後起訴されている人物なのだという。  安倍総裁は最近発売された他の週刊誌にも、かつて「山口組の金庫番」と呼ばれた大物金融業者・永本壹柱(本名・孫一柱)と親密に肩を並べる写真が掲載されたばかりだが、塩田もまた暴力団の密接交際者として警察にマークされてきた人物なのだ。 「1カ月に2度、暴力団と近しい人物との交際が明るみに出るとは、次期首相候補の政治家として資質を疑われても仕方がない。新興宗教団体の『慧光塾』との深い関係が取り沙汰されたり、もともと安倍さんは『怪しい人脈』がチラつく人、という印象があります。政治家一家で育ってきたわりには、ワキが甘過ぎるのではないか」(政治評論家・有馬晴海)  自民党清和会の幹部もこう語る。 「岸信介さんが統一教会教祖の故・文鮮明氏と関係があったことで、安倍は官房長官時代に統一教会の行事に祝電を打って問題になった。国際勝共連合(文鮮明氏が設立した共産党撲滅を目指す組織)ともつながりがある。とにかく周りにいるのが右寄りの人間ばかり。右だけならいいけど、それが右翼、さらには暴力団につながる危険性がある」  現代はこう結んでいる。 「人を見るに厳しく、機を見るに敏という、政治家に必要な二つの能力が、現段階で安倍氏に十分に備わっているとは思い難い。『二度目の総理』が近づくいまこそ、真価が問われている」  そんな夫の窮状を知ってか知らずか、夫人のアッキーこと昭恵夫人は東京・内神田に出した居酒屋稼業に精を出しているようだ。新潮が紹介したが、その後日談を今週もやっている。 「『UZU』。昭恵氏が『女将』を務めるこの店を再び訪れてみると、何とカウンターまで一杯である。(中略)そこで待つこと1時間、ラストオーダー近くなって何とか入店すると看板メニューの『山口県産新米と豚汁セット』(980円)を頼む。(中略)残念ながらオーダーが間に合わなかった。そこで、『山口県祝島のひじき五目煮』(480円)と『自家製ベーコン』(1500円)を注文。ひじき煮は柔らかくて瑞々しい。ベーコンは2日間塩に漬け込み、さっと燻してあるという。市販されているものとはまったく違った味で、ベーコンなのに新鮮な肉の味がする。そばにいた客に聞いてみると、やはりもの珍しさからのぞきに来たという。(中略)運がよければ『自民党総裁夫人』が注文を聞きにやってくるのだから」  私も10月25日(木曜日)に訪ねてみた。神田駅から歩いて7~8分。外堀通りを渡って路地を左に入ったところにある。外から見ると喫茶店かフレンチレストランという趣の店である。覗いてみるとテーブル席が空いているようなので入ってみたが、中年の女性に、予約でいっぱいだと言われてしまった。  4~5人かけられるカウンターとテーブル席が3つぐらいのこぢんまりした店だが、私のような古びた居酒屋が好きな人間には、居心地がよくない。  女性がドアの外まで出てきて、「名刺をいただければ、後日連絡する」と言われたが、お断りして、近くの酒屋がやっている立ち飲みでいっぱいひっかける。このような「千ベロ」(千円でベロベロになれる店)が一番落ち着くね~。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

ホントに一生恨んでいるのか? 『吾妻ひでおに花束を』

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大日本吾妻漫画振興会 阿島俊編
『必殺吾妻読本 吾妻ひでおに花束を』
虎馬書房、1979年12月
 本書を語るためには、まず発見に至る過程を記さずにはいられない。時に1999年のこと、当時筆者はいろいろあって三重県は四日市市の郊外の辺鄙なあばら屋で暮らしていた。最寄り駅は近鉄線の富田駅。急行停車駅ではあるものの、ロードサイド店舗に押されてか、駅周辺の商店はどこもうらぶれた雰囲気でむせかえるようだった。そんな駅前の空き店舗に、ある日なんの前触れもなく小さな古書店が店を開いた。本当に小さい店舗で、書棚は左右の壁と中央に裏表の四面だけ。おまけに書棚の前に人が立つと、「ちょっと失礼」と通り抜けるのも困難な店舗である。ああ、きっと中はエッチな本ばかりに違いないと、入ってみて驚いた。店主の座るカウンターの傍の書棚には、吾妻ひでおの単行本がびっしりと詰まっている。ほかにも、当時、評価されるようになっていた、笠間しろうをはじめとする官能劇画系の単行本もびっしり。おまけに、ほとんどが初版である。しかも、値段は「それなりによいお値段」。「ウチにあるのを、ちょっとずつ持ってきてるんだよね~」と語る店主は、かなりのマニアであることを匂わせていた。  当時は、まだ収集方針を明確にしていなかった筆者だが「古いもの(要は90年代以前のオタク関連文献)は、買えるだけ買う」ことをテーゼにしていた。とりあえず、財布の続く限り買いまくっていたのだが、自分が買っていないうちに消えていく本がある。東京ならいざ知らず、ここは三重県の片田舎(失礼! 名古屋まで1時間かからない郊外です)である。そんな土地に、どんなマニアがいるというのか? と思っていたら、ある日、店主は、こう話した。 「さっきも、東京から来たマニアの人が、ごっそりと買っていっちゃったよ」  ……まだ、インターネットはダイヤルアップ回線すらもロクに普及していない時代。それでも、マニアは三重県の片田舎(失礼!)の古書店を見つけ出していたのだ。いったい、どのような情報の流れがあったのか? それはいまだにわからない。  前置きが長くなってしまったが、そこで手に入れた本書、大日本吾妻漫画振興会・阿島俊編『吾妻ひでおに花束を』(虎馬書房)は、1984年に同人誌として出版された、漫画家・吾妻ひでおのファンブック……もとい「必殺吾妻読本」である。ご存じの通り、阿島俊は、コミックマーケットの代表を長らく務めた漫画評論家・米澤嘉博のことである。本来は、帯もあったようだが筆者が所有するものは帯なしである。阿島俊編集という時点で内容が濃いのは自明の理であるが、とにもかくにも濃厚だ。
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あの吾妻先生の自伝ストーリーも読める。かなりの苦労人だったのを再確認する。
(クリックすると画像を拡大します)
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手書き文字は、80年代でほとんど消滅してしまった独特のオタク文字なのだ。
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この絵からあの青少年の心をわしづかみにする美少女へ変化。
すでに片鱗は見える。
 「必殺吾妻読本」の名に恥じず、巻頭は吾妻へのインタビューからスタート。就職して上京し最初は凸版印刷で、カルピスの段ボールを組み立てる仕事をしていたという吾妻。「そこはひと月くらいでやめてしまって、もう、行くあてもなく。だいたい友達の所で居候していたんで。仲間がアシスタントをやっていたんで、そこへたかり歩いて。えーちょっと一人だと耐えられない」と人生を語る吾妻は、個別の作品の話に入るとヒートアップしていく。『セールス・ウーマン』について問われれば「あれも担当、編集の意見が入っています。マガジンは編集が凄かったです。だいぶ、いじめられましたけど」と語り、『ふたりと5人』について触れられれば「あの頃から編集にいじめられだしたんですね」と語り、「編集はマニアが嫌いだからね、そーゆーの描くと、もう、すぐ切られる」とぶっちゃける。このインタビューで吾妻は山上たつひこ、鴨川つばめらに「蹴落とされ」て『週刊少年チャンピオン』の仕事がなくなったことを「一生恨んでやる」という。ネタかと思いきや、2009年にコアマガジンから出版された『誰も知らない人気アニメ&マンガの謎』で描き下ろされた「夢見る宝石 漫画家ドナドナ物語」では 「うちは山●さんと鴨●君で売れてるから吾妻さんはもういいやごくろうさん」といわれ 「この時編集長だった●●●●さんの絞り滓を見るような冷たい目今でも忘れません●●●●殺す! 注●●●●さんは亡くなりました」 と、恨みが本気だったことをうかがわせている(この編集長は、『ブラック・ジャック創作秘話』にも登場する壁村耐三である)。  それはともかく、本書が濃い情報に満ちているのは間違いない。吾妻のプロフィールを記した欄は、なんと本人の住所まで掲載だ。もっとも、当時は主な通信手段が電話と手紙だった時代。本書の奥付には当時の米澤宅の住所が記載されているし、ファンクラブの連絡先なども住所を掲載。このあたり、時代の流れを感じずにはいられない。
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現在から振り返ると当時の漫画評論のタイトルのつけかたも、
かなり独特である。
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DTPだと画一的になってしまうページ構成も手書きだとこんな感じに。
ぜひ、現代の人々にも学んでほしい部分だ。
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ここばかりは、壁村編集長も死んでしまったのですべて歴史の闇だね
(『誰も知らない人気アニメマンガの謎』コアマガジン、2010年11月より)。
 さて、本書には飯田耕一郎の「ギャグに色彩られたSF」をはじめ、評論も充実しているが、まず、注目したいのは再録された吾妻のデビュー作「リングサイドクレージー」だ(初出は秋田書店刊『まんが王』1969年10月号)。我々がよく知っている吾妻の絵柄とは、まったく違う。ここから、一時代を築いた美少女絵まで、どのような労苦があったのか、少しはうかがい知れるのではなかろうか。  本書は、同人誌としてはかなりの部数が出たようだ。筆者が所有しているのは第三版だが、後書きでは「限定五百で出した初版に対する反響にこたえて」と記している。おそらく反響があったのは、評論の「濃さ」も含んでのことだろう。「不条理解析」と題された評論は「不条理日記」で扱っているパロディの元ネタである、バラードやオールディズの作品群を挙げながら分析を行っている。「吾妻ひでお三流劇画家と酒を飲む」と題されたコラムでは「板坂剛VS流山児祥という状況が生まれる以前のことではあったが~」といった一文が。ここで笑うには、かなり当時の文化事象に関わる知識が要求されるハズだ。 そういった意味で、本書は現在では当時のオタクにとって必要だった知識が、どんなものだったかを知る手がかりにもなっているといえるだろう。  一般には、かなり入手難な本だと思うのだが、明治大学の米澤嘉博記念図書館には、なぜか4冊も所蔵されている。ネット以前の時代には、見つけたことすら奇跡だったのに、なんということだろう。「オタクの歴史」のようなものを語りたいなら、とりあえず読んでおくべき一冊である。 (文=昼間 たかし 文中敬称略) ■「100人にしかわからない本千冊」バックナンバー 【第8回】あっと驚くパロディ満載!「パロディ・マンガ大全集」 【第7回】“落としやすい”女のコがいる大学は……?「平凡パンチ」1980年6月9日号 【第6回】物欲と性欲、自己肯定感に満ちた30年前の大学生活「POPEYE」 【第5回】1991年、ボクらはこんなエロマンガを読んでいた「美少女漫画大百科」 【第4回】そして『孤独のグルメ』だけが残った......月刊「PANjA」とB級グルメの栄枯盛衰 【第3回】「いけないCOMIC」1985年1月号大特集 戸川純にただ単にミーハーしたいっ! 【第2回】あの頃、俺たちはこんな本でモテようとしていた『東京生活Qどうする?』 【第1回】超豪華"B級"文化人がロリコンで釣ってやりたい放題『ヘイ!バディー』終刊号

「AKB48サイドは動揺……!」アイドル誌と化した「ブブカ」が白夜書房へ移籍した背景

「BUBKA」2012年 10月号
 数多くの芸能人スキャンダル写真を連発して“鬼畜系雑誌”といわれた「ブブカ」が、創刊時から発行を続けるコアマガジンから先月号をもって白夜書房へと移籍することとなった。近年ではAKB48関連のグラビアやインタビューがメインコンテンツとなり「もはやAKBの広報誌」と言われた同誌だけに、このタイミングで突然のくら替えについては「とうとう秋元康に完全に押さえ込まれたのでは?」などとネット上でささやかれている。  しかし、移籍に関してはAKBではなく、お家騒動が原因となっているようだ。 「白夜書房をめぐっては今年2月、子会社である『白夜プラネット』が運営する携帯ゲームサイトが換金可能なシステムを導入していたことから、白夜書房社長の長男であるプラネット社長ら3人が常習賭博などの疑いで逮捕されるという事件が発生しています。この一件の影響は大きく、すったもんだの末に白夜書房の大黒柱だったパチンコ系雑誌はすべて休刊されることとなってしまいました。その窮地を救うべく招集命令を受けたのがブブカだった。つまり今回は看板雑誌を失った白夜が、実質子会社であるコアマガジンからブブカを引き抜いた構図のようです」(雑誌編集者)  白夜はその後、関連会社「ガイドワークス」を設立し、パチンコ系雑誌をそちらに移籍させる運びに。しかし一方で、一連の騒動に関しては看板雑誌であるブブカを失ったコアマガジン以上に、AKB運営サイドにとって“想定外の事態”となっていたようだ。 「事実、ブブカ編集部はまるごとAKB運営サイドに押さえ込まれており、同社から発行されているほかのエンタメ系雑誌に対してまで、『AKB関連のスキャンダルは厳禁』と口出ししていたほどでした。それだけの圧力と懐柔手段を用いてAKBは“ブブカ封じ”に尽力したわけですが、白夜に移籍してしまったことから、こうしたしがらみも消滅してしまいました」(事情通)  つまり逆を返せば、コアに残った雑誌には「AKBスキャンダルが解禁された」ということになるわけだ。 「ブブカを失った打撃は相当のものですが、現在コアは“このピンチをチャンスに変えよう”とばかりに、これまで寝かせてきたAKBスキャンダルを一気に炸裂させてやると息巻いていますよ。近年では『週刊文春』(文藝春秋)『週刊新潮』(新潮社)以外はご法度とされてきたAKB関連のスキャンダルが、同社のエンタメ誌から連発されることになりそうです。写真の買い取りなども一層強化する方針のようで、AKBサイドもこの想定外の事態に動揺していますよ」(同)  数年がかりでブブカ懐柔に成功したAKB運営サイドだったが、今後は複数の“スキャンダル取扱媒体”の脅威にさらされる展開に。背水の陣で挑むコアとAKBの戦いは、果たしてどちらに軍配が上がるのだろうか?

文春の連続安打はいつまで続く? 元・名物編集長が選ぶ、夏の合併号ベスト3

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「週刊ポスト」(8月17日・24日号)
<夏の合併号ベスト3> 第1位 「週刊ポスト」(8月17日・24日号) 第2位 「週刊文春」(8月16日・23日号) 第3位 「週刊新潮」(8月16日・23日号) <スクープ大賞ベスト3> グランプリ 「怒りのスクープ! 米兵レイプ犯を逮捕させない日本政府」(「週刊文春」) 第2位 「『テレビ朝日』看板番組の裏の顔『報道ステーション』は闇金融に手を染めた」(「週刊新潮」8月16・23日号) 第3位 「特別読み物 夏祭りからテキヤが消える」(同)  夏の合併号が出揃った。ロンドン・オリンピックに話題をさらわれたためか、全体に地味な作りになっていたが、その中ではポストが硬軟の記事のバランスがよく“お得”感が際立っていた。「橋下維新『総選挙候補888人』全実名を公開する」はイマイチだったが、巨人軍の主砲、阿部慎之助捕手(33)のスクープ激撮「阿部と巨乳アイドル『不倫の配球』」は暑気払いに格好の読み物になっていた。カラー「袋とじ」は女性器をかたどった芸術作品だが、圧巻。このところおなじみの「謎の美女YURIへの恋文」はやや迫力不足だが見て損はない。  ポストのライバル誌である現代は「3年で富士山は噴火する そのときに備えたほうがいい」と警鐘を鳴らしている。だが、全体に月刊誌かと見紛う作りで週刊誌らしさがなくなってきているのが気になる。同じように、たぶん久しぶりの合併号になる週刊朝日も、このところ元気がない。文春は相変わらずスクープが続いているし、新潮もスマッシュヒットをかっ飛ばしている。文春がどこまで連続安打を延ばせるのか、楽しみである。  第3位は、新潮のノンフィクション・ライター溝口敦の特別読み物。  夏といえば縁日、縁日といえばテキヤ、テキヤといえば寅さんというのが通り相場だったが、このところ祭礼、花火大会からテキヤが締め出されて、生活苦から自殺者まで出しているというのだ。テキヤでも家族総出で働けるのは親方クラスで、若い者はハナから結婚もできず女房子供も養えないそうだ。 「月20万円稼げれば、若い者も一家に残ります。現実は月10万ですよ。だから若い者が残らない。年間稼げる日は80~100日。仕込みとか準備の日も入れて130日。手伝いの若い者を手子(てこ)というんですけど、手子に1日1万2000円払っても、均せば7000円ぐらいにしかならない。これじゃ所帯持つのは不可能です」(都内のテキヤ幹部)  そこへ全国都道府県の暴排条例は、軒並みテキヤ排除を決めている。これは努力目標に過ぎないのだが、現実にはこの条項が実施され、祭礼などから次々締め出されているのだ。溝口は、警察が博徒、テキヤ、青少年不良団の3つを暴力団だと決めているからだという。だが、暴力団対策法で指定されている「指定暴力団」22団体の中でテキヤ中心の団体は極東会(本部は東京・西池袋)だけなのだそうだ。  昨年10月には、明治神宮を庭場にする杉東会が正月三が日の初詣客を当て込み使用許可願を出したが、神宮はテキヤを境内に入れず、周りの公道部分についても代々木署、原宿署が使用を認めなかった。そこで都知事秘書課や都総務局人権部、杉東会と一緒になってイベント企画会社が去年11月に上申書を出し、ようやく警察は公道使用の許可を出したのだ。だが、出店希望者は住民票、運転免許証のコピー、誓約書などを最寄りの警察署に提出し、一人当たり2100円の審査費用を払ってIDカードのような許可証をもらわなければならない。イベント会社は出店希望者から一人3万円の手数料を取ったが、道路使用料、電気代、ゴミ処理費用などを差し引いたら手元に17万円しか残らなかったという。  同年9月には山口組の直系だった関西のテキヤ集団が山口組本家から除籍になり、直後に解散したが、食うためには山口組から縁を切ってもらうしかなかったからだという。   生活苦から自殺者も出ている。テキヤ冬の時代だ。「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」という有名なフーテンの寅の口上。立川談志師匠が英語バージョンまで演じた絶品「蝦蟇の油」の口上はこうだ。 「サァーサァーお立会い(たちあい)、御用(ごよう)とお急ぎで無い方はゆっくりと聞いておいで、見ておいで、遠目山越し笠(とおめやまごしかさ)のうち 聞かざる時は物の出方善悪黒白(でかたぜんあくあいろ)がとんと判らない。  山寺の鐘がゴーンゴーンと鳴るといえども、法師(ほうし)きたって 鐘に撞木(しゅもく)をあたえなければ、鐘が鳴るのか、撞木が鳴るのか、とんとその音色(ねいろ)が判らない。  サテお立会い。手前ここに取りい出したる陣中膏(じんちゅうこう)は、これ「がまの油」、がまと言ったってそこにもいる・ここにもいると言う物とは物が違う」(口上文サイトからの引用)  こんな「啖呵売(たんかばい)」も、とんと聞くことができなくなってしまった。  驚くことに、江戸三大祭りの一つ、三社祭が中止されるかもしれないというのだ。この祭りは浅草寺の隣の浅草神社の祭礼だが、浅草寺は三社祭を猥雑だとして、その中止さえいい出し、町から総スカンを食っているというのである。それを警察は「暴排への一定の努力がなされたと認識」しているというのだから、伝統というものが蔑ろにされているといってもいい。縁日がなくなり、祭礼も土曜日曜に重なることが多く、テキヤが稼げなくなってきているところに、暴排条例適用で泣きっ面に蜂である。  溝口は「近い将来、『テキヤ殺して、お祭り死す』が日本の現実になりそうだ」と危惧している。ソース焼きそばも、金魚すくいも、射的もない縁日なんて……。天国の寅さんがこう言っているはずだ。「それをやっちゃおしめぇよ」と。  今週の第2位は週刊新潮の注目記事。実に刺激的なタイトルである。  きっかけは6月18日に赤坂で起きた、ちょっとした「捕り物」だったという。「X」(仮名)なる高級韓国クラブに警視庁の強制捜査が入り、店のママやホステスなど16人が入管難民法違反容疑で摘発されたのだが、オーナーママは当日韓国に滞在していて難を逃れた。  そのオーナーママはコリアン街では「エス」の愛人といわれているそうだが、「エス」は「何人もの韓国人ママやクラブの経営者たちに金を貸している“闇金の帝王”」(韓国クラブ関係者)として有名な人物だというのだ。    この「エス」なる人物がテレビ朝日の看板番組『報道ステーション』の制作協力会社で、古舘伊知郎も役員を務める「(株)古舘プロジェクト」の佐藤孝社長(63)だというのだから驚く。「(株)古舘プロジェクト」は長野智子アナや俳優の中尾彬などを抱え、70名の社員を擁する大手番組制作会社である。 『報道ステーション』関係者によると、この番組だけで年間20億円近くがテレビ朝日から支払われているという。この佐藤社長は元三越の呉服売り場の営業をやっていて、そこの顧客だった著名な劇画原作者にかわいがられ、編集プロダクションを任され、そこで古舘と出会ったそうだ。   そんな人物が複数のママたちに金を貸し付け、「利息は月3分」も取っているというウワサがあるというのだからコトは穏やかでない。月3分というのは、年利36%もの高利になる立派な闇金融である。さらに問題なのは、「(株)古舘プロジェクト」も佐藤社長も、貸金業としての届けを出していないことだ。  視聴率でフジを抜いて快調なテレビ朝日だが、その看板番組の制作会社社長が「貸金業違反」に問われたら、古舘アナにも火の粉が降りかかるのは間違いない。さあ、佐藤社長はどう答えるのか。 「X」のママが愛人だというウワサは否定したが、彼女のマンションの保証人になっていることは認めている。暴力団との交友も「絶対ない」と否定したが、闇金融についてはこう話している。 「ええ、『X』のママにはこれまで何度か合計5000万円くらいは貸したが、すべて返してもらった。(中略)他にも、これまで何人にも貸していたのは事実。10人以上は貸しましたかね」  さらにこう言っている。 「最初は私のポケットマネーや、私が会社から借りて、それを彼女たちに転貸ししていた。でも、今では直接、会社から彼女たちに貸す形にしているものもある。返済中の分も含めると、トータルで残っているのは2億円強だと思います」  ただし金利は年2・5%だと借用書を見せたという。  日弁連前会長で「全国ヤミ金融対策会議」の代表幹事・宇都宮健児弁護士は、こう言っている。 「(中略)トータルで10件以上、額も2億円となると、業として行っていると認定される可能性が高い。しかも相手が複数であれば尚更です。そうなると金利が年2・5%あっても関係なく、貸金業違反の可能性が高い」  新潮は、個人でも会社でも金利収入を得てきたのに、その税務処理はどうしたのかと問う。韓国クラブのママらに巨額の金を貸すのは尋常な行為ではないと批判し、『報道ステーション』でも闇金融問題を糾弾したことがある古舘アナを直撃する。だが、古舘アナは「そのような事実は把握していません」とそっけない。  しかし、報道に携わる制作会社の社長が貸金業の届けを出さずに多額の金を貸し付け、金利を取っていたというのは、無視していい話ではない。ましてや古舘アナも役員として名を連ねているのだから、はっきりした説明をするべきだと、私も思う。  文春の「怒りのスクープ!」が今週のグランプリに輝いた。泥酔した米海軍厚木基地航空基地所属の二等兵曹A(23)にレイプされた被害者の寺坂恭子さん(仮名・30代前半)の痛切な告白をスクープしている。  事件が発生したのは7月21日(土曜)の未明。神奈川県内のショットバーで、Aと高級将校との間でいざこざが始まった。将校はAを店の外に連れ出して「これ以上飲むな」と叱責、店の女性、寺坂さんがAを彼の自宅まで送り届けることになった。 「帰宅途中、Aは女性の腹部を何度も殴打し、『俺はやりたいんだ。黙ってやらせろ。従わなければ殺す』と脅迫して自宅に引っ張り込み、強姦に及んだ。凶悪で卑劣な事件です」(神奈川県警捜査関係者)  寺坂さんは、その夜の恐怖をこう語っている。 「Aの自宅に近づき、人気のないマンションとマンションの間の通路に差しかかったところで、Aはいきなり拳で私のお腹を殴り、チャックを下ろして自分のモノを出し(中略)。『痛い、やめてよ』と抵抗しても『うるさい。殺すぞ』と叩かれ(中略)。Aは私の髪を思い切り引っ張って、鳩尾をグーでバーンと殴られて、俵抱えにされて自宅に連れ込まれました。 『ああ、これはちょっとでも抵抗したら殺されるな。生きて帰るためには犯(や)られるしかないな』と諦めるしかありませんでした。(中略)  Aはサディストのように、叩いたり喚いたりしながら暴力的に犯し続けました。避妊などせず、膣中にも出されてしまった。でも生きて帰りたい一心で、大人しくAが眠りに落ちるのを待って、逃げ出しました。(中略)時計を見たら、午前三時五十分でした。後で気がついたけど、髪の毛がメチャクチャ抜けていました」  だが、彼女は泣き寝入りしなかった。必死に逃げ出した後、知人に相談して在日米軍憲兵隊に通報したのだ。憲兵隊は全米犯罪情報センターを通じて県警大和署に連絡を入れ、同署が翌日Aの自宅などを家宅捜索した。  Aはメキシコ系アメリカ人で、所属は診療所勤務。日本に来る前はイラク戦争にかり出され、ケガをしたままで砂漠に2~3日取り残されて半狂乱になり、それがPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったのではないかといわれている。Aの自宅に米軍憲兵隊や県警大和署の捜査員、鑑識が乗り込んで家宅捜索はしたが、奇妙なのはそこからだった。彼女は膣内の検査やDNA検体を採取され、何度も現場検証にも立ち会わされたが、それから捜査が進んでいないのだ。 「これまでに五回以上は警察に呼ばれて、毎回同じ話をしていますが、全然告訴状にサインさせてくれないんです。(中略)強姦って親告罪で、被害者が告訴しないと犯人を処罰できないんですよね」(寺坂さん)  一方のAは、IDカードを没収され基地の外には出られないが、身柄を拘束されて営倉にぶち込まれているわけではないようだ。  彼女は人形を使った現場検証を何度もさせられて、具合が悪くなってしまった。だが、ここで引き下がったら、Aが出てきて自分が狙われるだけではなく、家族にも危害が及ぶかもしれない。そんなことが起きたら死んでも死にきれないと、不安を口にする。  これまでも、1957年に群馬県内の在日米軍演習地にくず鉄を拾いに入った日本人主婦に、背後からグレネードランチャーを発射して即死させたジラード二等兵(当時21)に対して、懲役3年執行猶予4年という軽い判決が出たことがある。判決に対して日本国内で大きな批判が巻き起こったが、ジラードの処罰を最大限軽くすることを条件に、身柄を日本へ移すという「密約」が結ばれていたことが1991年の米国政府の秘密文書公開で判明している。  今回もこれと同じケースになる可能性があるというのは、春名幹男・名古屋大教授である。 「時期的にも、オスプレイの沖縄配備の直前に全国で試験飛行するという微妙な時期。オスプレイは将来的に全国の基地に配備される可能性があるので、こうした事件が世論に影響を与えることを、日米当局が懸念していることはじゅうぶん考えられます。(中略)日本側当局もオスプレイ配備への影響を懸念しているのは同じでしょう。決定的な証拠が出揃うまでは起訴しないつもりなのかもしれません」  文春は県警関係者の証言を掲載している。 「逮捕状を請求しようとしたところ、司法当局から『オスプレイ配備の問題もあるため、米軍関連で波風が立つのは好ましくない』と待ったがかかっている」  犯人が基地内に逃げ込んでいると、逮捕状を請求するためには、日米地位協定に基づく米軍の許諾が必要となり、事情聴取も米軍の協力に基づいて、犯人の身柄を憲兵に連れてきてもらって任意で取り調べることしかできないのだ。 「現行犯逮捕でない場合、立件することすら難しく、もみ消される可能性もあります。現状では、あくまでも米軍側の協力に捜査が左右されてしまうのです」(池宮城紀夫弁護士)  事件発生から20日近く経つのに寺坂さんの告訴すら受理していないのはおかしいと、文春は強い疑問を投げかける。この事件がどこまで拡がるのかは、この記事だけではまだ不透明である。オスプレイ配備と関連性はあるのか。レイプ犯罪を立証するのは、米軍が絡んでいなくても、なかなか困難である。そうしたこともあるのか、私の知る限り、他のメディアの追っかけ報道はない。  しかし、日米地位協定を持ち出すまでもなく、アメリカによる戦後の占領統治以来、沖縄だけではなく日本全土を植民地として支配し続ける構図は変わっていない。そうした実態を日本人に可視化し、知らしめるためにも、文春はこの件を継続取材し、事件の全容を毎週報道し続ける気概を持ってもらいたいものである。  週刊誌はスクープを飛ばしても、他誌が食いついてきて拡がっていかないと、その問題をフォローすることがないのが最大の欠点である。これを機に、在日米軍兵士が絡んだ過去の事件の掘り起こしをして、連載したらどうだろうか。怒りを忘れた日本人の心に火をつけなくては、在日米軍基地も原発もなくなりはしない。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

宅配屋に扮装して3夜連続密会! 巨人・阿部慎之助が小泉麻耶と不倫?

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「週刊ポスト」8月17日・24日号
グランプリ 「激撮スクープ! 巨人主砲阿部慎之助Gカップ巨乳アイドルと『不倫の配球』」(「週刊ポスト」8月17日・24日号) 第2位 「尖閣諸島地権者は40億円の借金、マネーゲームの末東京都に売却」(「週刊文春」8月9日号) 第3位 「『大阪維新の会』府議の親族が生活保護を貰っている」(「週刊新潮」8月9日号) 次点 「橋下維新『総選挙候補888人』全実名を公開する」(「週刊ポスト」8月17日・24日号) ワースト1位 「AKB48がついに週刊文春に登場!」(「週刊文春」8月9日号)  ウサイン・ボルト(ジャマイカ)はやっぱり強かった。ジャマイカ代表選考レースでは、100メートル、200メートルともにブレークに敗れて不安視されていたが、100メートル決勝では五輪新記録の9秒63で2連覇を達成した。これで200メートルにも勝てば、彼は伝説になる。  さて、文春が「AKB48がついに週刊文春に登場!」とはしゃいでいる。AKB48スキャンダルを唯一といってもいいほど報じてきた文春だが、過去にもAKB48を登場させ、さては秋元康側と妥協したかと思われたことがある。  だがその後もAKB48スキャンダルを報じ続けたから心配はあるまいが、なんとなく唐突な気はすると「疑念」が沸いた。  グラビアに出ているのは大島優子、小嶋陽菜、渡辺麻友、板野友美の4人。8月24日から東京ドームで行われる公演の、オフィシャルムックのために撮り下ろしたショットだという。  なんということのない写真である。だが、最後のページを見て「疑念」の正体がわかった。 「『AKB48 東京ドーム公演オフィシャルムック』(小社刊 8月23日発売) 予約受付中」とあるではないか。  文春よ、お前もか!  どういう話し合いがあったかは知らないが、おいしい話に文春も籠絡されたのだろうか。  オフィシャルムックを出しておいて、これからもAKB48のスキャンダルを書き続けられるのか。  かくてAKB48は日本芸能史上最強のタブーになってしまった? 心配である。よって特別に今週のワースト1位に推して、これからの文春のAKB48報道を注視していきたい。覚悟せよ、週刊文春。  発売前から話題になっていたポストの「維新の会名簿公開」が今週の次点。 「橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会が主宰する『維新政治塾』の塾生名簿が週刊誌に流出したとされる問題で、維新は4日に開いた維新塾で流出の事実を認め、塾生に謝罪した」(8月5日付毎日新聞より)  判明した者は、小さい字で名前と年齢、それに「会社員」「会社役員」「タレント」「弁護士」「元参院議員秘書」などと記してある。  合併号のとっておきのスクープと意気込んでいるが、「維新政治塾の塾生名簿」だから、彼らが選挙に出るかどうかも、出るとしたらどの選挙区なのかもさっぱり分からない。  ポストが「実名掲載の是非は意見が分かれるところであろうが、彼らが『国会議員になる可能性が高い人物』であることの公益性を鑑みて掲載したことをご理解いただきたい」とわざわざ断っているように、実名を公表されたことで「大阪市の男性会社員は『会社に内緒で来ているので困る。国政を狙うグループが、こんな情報管理体制では不安だ』」(毎日より)と困惑している人間も相当いるのではないか。  私には、今この時点で実名を公表することに大義があるとは思えない。よって次点まで。  中には、元NHK職員で「M-1グランプリ」の準決勝に進んだ元お笑い芸人の山田和史(33)や「国民的美魔女コンテスト」のファイナリストになった海老澤由紀(38)。手塚仁雄・総理補佐官元秘書で現在は目黒区議の勝田哲也(47)などがいるが、この人たちは「覚悟」の上だろうから、致し方あるまい。  週刊朝日が選挙になった際の各政党の獲得議席予測を、伊藤惇夫、野上忠興、松田馨の3氏にやらせているが、やはり大阪維新の会はかなりの議席を獲得すると見ている。  伊藤は50~80。野上が94。松田が116である。意外なのは小沢一郎の「国民の生活が第一」がかなり健闘すると見ていることである。  伊藤が上限20。野上は19。松田が18である。  所詮は寄せ集め集団の「維新の会」だから、かなり危なっかしい人も混じっているかもしれない。国民の見る目が試される選挙になることは間違いない。  3位にはそうした要注意人物の一人として、新潮が報じている記事。  「大阪維新の会」には57名の府議がいる。親族が生活保護をもらっていると名指しされたのは岡田義信府議、43歳。  維新の会の関係者がこう話す。 「彼の奥さんのお姉さんが生活保護を受けていて、役所の方も岡田さんが府議であることを把握している。ところが、岡田さんは義姉の生活の面倒を見るつもりはないという。平成26年度3月まで議員報酬は年30%カット中ですが、それでも年収1,200万円程ある。何よりも府民の範となるべき人が、生活保護を受けている義姉を放ったらかしにしているのはまずい」  岡田府議の父親も自民党の元府議で、府議会議長を務めた有力者である。  民法では三親等以内の親族に扶養の義務を負わせることができるが、岡田家が扶養するつもりがないため、義姉は3年近く生活保護を受けてきた。  だが、6月末に妹から姉に電話がかかってきた。マスコミが生活保護の件を取材し始めたので、そのことがばれれば、夫が維新の会から外されるかもしれないというのだ。  生活保護を止めてほしいというので、妹と二人で八尾市役所へ行き、一旦生活保護を止める手続きをしたそうである。  その後、義姉は内縁の男に叱られたため、今後のことを相談するために二人で岡田家を尋ねた。  だが、待っていた岡田府議の父親から、「お前ら、金をせびりに来たんか」と怒鳴られ、警察まで呼ばれてしまったのだ。  そこには義姉の内縁の男の問題も絡んでいるようだが、ここでは省く。  本来は、この問題に対応するべきは岡田府議のはずであると、新潮は書いている。ところがこの人、当事者意識があまりないようなのだ。 「義姉は5年以上前、家族を捨てて、他の男のところへ行った。言わば、私たちファミリーから出ていった人です。そういう状況で面倒見てほしいと言われても、正直困っていて、迷惑しているんです」(岡田府議)  この岡田府議、正直な男ではあるようだ。有力者の息子で年収も1,200万円あるのだから、面倒を見るべきだという新潮の言い分もわかる。だが、義弟と義姉では、お笑い芸人「次長課長」の河本準一の母親が生活保護をもらっていたケースとは、少し異なる気がする。  だが、岡田府議の親分・橋下大阪市長が河本の件のとき、「すぐに保護費に頼られてしまうと、本当に助けないといけない人にお金が回らなくなる。自立できない場合は、家族で支え合うルールを作るべきだ」と発言しているのだから、維新の会に留まりたければ、義姉の生活の面倒を見るしかないのでは。  選挙が近づけば、マスコミによる候補者たちの「身体検査」はより厳しくなってくる。それに耐えられる候補がどれだけいるのか。まだまだ維新の会のこれからは不透明である。  第2位にはスクープ賞の常連、文春の「尖閣諸島地権者には借金40億円もある」という記事。  石原慎太郎都知事が訪米中にいきなり尖閣諸島購入計画を発表して、その後、寄付金が14億円も集まった。  そこで、東京都なんぞに買われたらメンツが立たないと、野田佳彦首相が慌てて国で購入すると言い出し20億円を提示したそうだが、尖閣の地権者は「石原氏のメンツをつぶすわけにはいかない」と断っていると報道されている。  だが、この地権者である栗原國起氏(70)が、約40億円に上る多額の負債を抱えていることが文春の取材で明らかになったのだ。 「國起氏はさいたま市大宮区の大地主であり、大宮区近辺に多くの不動産を所有している。不動産登記簿謄本によれば、三菱東京UFJ銀行は一昨年3月末、國起氏が所有する物件に極度額24億5000万円の根抵当権を設定し、38件もの担保を取っている。一方、埼玉縣信用金庫も昨年9月に大宮区内の不動産に極度額15億円の根抵当を設定している。しかし、埼玉信金が設定した根抵当の担保は、土地2筆(計1000平米)と平屋の建物2棟(延床面積計119平米)の4件のみ。公示地価に照らし合わせると、2億3,000万円の価値にしかならない。『根抵当権の極度額は担保評価額の110%が一般的ですから、明らかに担保としては足りないですね。尖閣列島の所有者だから取りはぐれはないだろうという見込みで貸し込んだのではないでしょうか』(不動産鑑定士)  彼が莫大な負債を抱えるに至った理由を、弟であり一連の報道で地権者側の「スポークスマン」となっている栗原弘行氏に聞くと、次のような答えだった。 『地主は相続対策として、ある程度の負債を抱えておくのが常識ですから』  だが、ある都幹部はこの弘行氏も國起氏の負債に大きく影響していると話す。 「弘行さんはいろいろな事業に手を出して失敗し、それを國起氏が埋め合わせしたと聞いています」  一方で、本誌は都が國起氏側と売却金額上限20億円で合意に至っていることをつかんだ。(中略)  東京都知事本局は20億円という価格について『進行中の案件につき、詳細はお答えできません』と回答した。(中略)  日本全国から集めた寄付金を購入資金とする以上、石原都知事は地権者との交渉経緯、購入金額の妥当性等について、きちんと説明することが求められる」(週刊文春Webより)  しかし、尖閣が買収されると、中国側の影響をもろに受ける尖閣周辺を漁場とする石垣島の上原亀一八重山漁業組合長は、こう語っている。 「(中略)安全操業が可能になれば周辺海域での漁業が盛んになり、経済実効支配も進むんですよ。石原さんは基本的にそうした考え方をお持ちなので、都の購入自体は望ましい。ただ、パフォーマンスが過ぎて中国・台湾を必要以上に刺激しすぎている。そもそも中国漁船とのトラブルはないんです。尖閣を含む北緯二十七度以南は00年発効の日中漁業協定で中国に操業が認められましたから。それと漁法自体が沖縄の船と違うので、競合もしないんです」  冷静な目で見ているのに、石原都知事と野田首相は我先にと札束を積み「没落地主とのマネーゲームの様相を呈している」(文春)ようである。日中関係を悪化させてまで急ぐことではないと、私は思うが。  今週のグランプリはポストの張り込みネタに捧げたい。  先週でも美熟女ナンバーワンの女優・鈴木京香(44)の密会相手が、2010年に『セカンドバージン』(NHK)で共演した9歳年下の俳優・長谷川博己(35)だと張り込みの成果を記事にしたが、今週は原辰徳監督の1億円スキャンダルが出たにもかかわらず、快調な巨人軍の主砲、阿部慎之助捕手(33)の笑えるスクープ激撮である。  「宅配屋シンちゃん登場」「西麻布あのビルで」「広島遠征密会」などのサブタイトルで、その楽しさがわかろうというものだ。  夜の3連戦はオールスター明けの7月25日に始まった。この日、対DeNA戦で勝ち越しタイムリーを放った阿部は、運転手つきのワンボックスカーに乗り込み、東京・南麻布の某マンションへ向かう。  夜10時45分。マンションのエントランスで止まる。するとそこから出てきたのは「白色のTシャツ、黒色のキャップにベージュのチノパン、黒色のスニーカー、そして左肩に小包を抱える配達のお兄さん」姿の慎之助である。  宅配屋のシンちゃんがマンションへ消えて90分後。マンションから出てきて再びクルマに乗り込み自宅へ帰還。  翌26日。阿部は猛打賞の大活躍。その後阿部が向かったのは西麻布の飲食店。逢瀬はわずか1時間で、阿部が店を後にした30分後に彼女が出てくる慎重さ。  翌27日は舞台を広島に移す。対広島戦。スタンドからの彼女の応援に応えて阿部は5打数4安打2打点で連夜の猛打賞。もちろんもう一つの猛打賞も獲得しているはずであろう。  彼女の名前は小泉麻耶(24)。グラビアアイドルである。東京出身でバスト88センチのGカップ。高校2年でデビューし、09年には日本テレビの企業PRを目的としたイメージガール「日テレジェニック」にも選ばれている、「安めぐみ、ほしのあきを合わせた癒やし&エロ系の美女アイドル」(芸能関係者)である。  二人が出会ったのは今年の1月、野球選手とタレントの食事会という名の合コンだそうだ。最初は彼女が阿部にゾッコンだったが、今はお互い超ラブラブ状態だという。  だが、阿部には元モデルの妻(31)がいて、4歳と2歳の女の子と、今年1月には長男が生まれたばかり。  できた女房と愛妻家の夫だったはずが、若いGカップ美女にメロメロになってしまったのは、家庭内の嫁姑関係が影響していると解説する知人がいるが、橋下大阪市長の下半身スキャンダル同様、夫婦関係大波乱は必至であろう。  阿部を直撃するが、クルマで逃げ去り、読売巨人軍広報は、小泉と交際している事実はないとして、こう答える。 「7月25日は試合終了後、届け物のため、帰宅途中に小泉さんの自宅に寄りました」  届け物をするためになぜ宅配屋に扮装しなくてはいけないのか? 答えられないよな~。  今週水曜日(8日)に文春と新潮の合併号が発売されるが、ライバル・現代に対しては圧勝したポスト合併号。  カラー「袋とじ」は女性器を象った芸術作品だが、これも圧巻である。後半の「謎の美女YURIへの恋文」がやや迫力不足なのが残念だが、買って損のない合併号、特別定価420円。お代は見てのお帰りだ~い。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

19兆円の復興予算が“霞が関復興”に!? ネコババ“シロアリ役人”の悪業を暴く!

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「週刊文春」8月2日号 中吊り広告より
グランプリ 「野田首相前後援会長は社会保障費21億円を詐取していた」(「週刊文春」8月2日号) 第2位 「19兆円復興予算をネコババした『泥棒シロアリ役人の悪業』」(「週刊ポスト」8月10日号) 第3位 「JAL再上場目前の乱気流 当機は燃料費節約のため台風に突っ込みます!」(「週刊新潮」8月2日号) 次点 「ああ残念!鈴木京香様、やっぱりあの男と!」(「週刊ポスト」8月10日号)  何度も書いているが、週刊朝日が心配だ。今週は新聞広告の「総選挙へ 谷垣が小沢、鳩山と組む」につられて読んでみたが、それらしい記事がないのだ。どうやら「森元首相の引退声明で始まった自民党の『脱長老』総裁選」というのがそれに当たるらしいのだが、ここまで広告と本文が違うのには驚く。  谷垣の最側近だという川崎二郎が、囲み記事の中で「小沢さんや鳩山さんとも手を結ぶ」と話しているのがタイトルになったようだが、羊頭狗肉が過ぎる。  AERAの一行ダジャレが面白い。「夢をもうイチロー」  私に届いた暑中見舞いで、税理士で「株式会社パラトネール」の中川尚代表取締役はこう書いてきた。 「2010年度消費税還付金上位5社 1位 トヨタ自動車 2,246億円 2位 ソニー 1,116億円 3位 日産自動車 987億円 4位 東芝 753億円 5位 キャノン 749億円  輸出大企業は消費税を納めているのではなく、むしろ還付金を受けている。今後、消費税率を上げ、法人税の税率を下げていくと、日本の大企業の多くは日本で税金を1円も払わないことになる。輸出補助金がWTO(世界貿易機関)の協定違反となったことにより、消費税が実質的な輸出補助金となったのである。これが消費税問題の本質である」  消費税還付金がこれほどあるのは驚きである。大メディアはこのことを書いているのか。  さて、ポストが珍しく張り込みネタをやっている。フライデーのようにはいかないようだが、なんとか同じマンションから出てくる二人を撮っている。  一人は熟女美人の女優・鈴木京香(44)。そして相手は? きっかけは、銀座の飲食店の関係者の「極秘情報」だった。 「銀座の某有名高級クラブの常連に、政財界やメディアに大きな影響力を持つ団体のトップがいるのですが、彼は酔って上機嫌になると決まって鈴木京香さんを呼び出すそうなんです」  そこでポストは取材を開始し、京香の自宅があるマンションを張り込み始めた。そして、ついに7月下旬のある週末(なんで何月何日と書かないのかね)、霧雨が降る中、顔を隠すように傘をさした男が現れる。  彼はウワサされていたオヤジではなく、2010年に『セカンドバージン』(NHK)で共演した9歳年下の俳優・長谷川博己(35)であった。  長谷川が京香の部屋の合い鍵を持っているのは間違いないと、ポストは書いている。  かつては、俳優の堤真一や真田広之との熱愛が報じられたが、結婚までいくことはなかった。長谷川には結婚を求めてはいないらしい。山田五十鈴や原節子を持ち出すまでもなく、名女優は独身でいることが多い。独身生活を謳歌する京香は、名女優への道を「我が道」と思い定めたのかもしれない。  今週の第3位は、週刊新潮の記事。JALの再上場に異議ありと、新潮らしい切れ味を見せている。  JALが会社更生法の適用を申請したのが2010年1月。それが、今年3月期には2,049億円の営業利益を出したのだから、JALの名誉会長になった稲盛和夫は評価されていいはずだが、そうではないと異を唱える。 「稲盛さんの経営哲学の下、日航では、すべてに優先して絶対安全、という方針が弱まってしまいました」(共産党の穀田恵二代議士)  稲盛の「利益なくして安全なし」というイズムが浸透して、安全が脅かされているというのだ。  その例を穀田代議士は挙げる。昨年の台風シーズンのとき、機長が「台風は迂回すれば避けられるが、そうすると30分ほど余計に時間がかかり、燃料費が20万円余計にかかってしまうから台風を突っ切っていく」と発言したというのだ。  今年1月には旭川発羽田行きの便の機長が、空港で点検中に転倒して肋骨を折ったにもかかわらず、そのまま羽田まで操縦した。  航空業界に詳しいジャーナリストはこう語る。 「この機長は管理職で、稲盛さんの利益第一主義を進めてきた立場の人。自分がケガをしたせいで欠航になれば赤字になるから、休むと言い出せなかったのではないでしょうか」  その日の機種や、お客が何人搭乗して燃料費にいくらかかるかを、パイロットには事前に知らされる。そこから利益を捻出しなければと考えるパイロットが増えたために、燃料費を抑えようと、台風に突っ込んでいくパイロットまで出てくるというのだ。恐ろしいことではないか。  また、CA(客室乗務員)もただのセールス要員だと、元CAが嘆く。 「CAにはフライトごとに“セールスターゲット目標額”が課され、羽田―沖縄便ならCA一人につき往復4,000円。(中略)みなノルマをいかに達成するかで頭が一杯で、接客どころではありません」  国際線ではもっとノルマがきつく、一人当たり3万2,400円にもなるという。  パイロットは年収がいいと思われてきたが、破綻前が1,700~1,800万円、2,000万円を超える者もいたが、今は1,200~1,500万円だという。  驚くのは、希望退職で整備員が約2,000人辞め、今は下請けに丸投げされていることである。それをカバーしているのは中国の厦門(アモイ)にある工場で、そこへ一括して依頼しているというのだ。 「しかし、日航が世界に誇れる整備等の技術面が、このままで大丈夫なのか。信頼性が低下しないでしょうか」(国土交通省航空局の関係者)  新潮の言うように、 「安全を疎かにすると、いかに巨大なコストにつながるか、東京電力という反面教師がいるではないか」  JALに乗るのが恐ろしくなる記事である。  第2位は怒りが思い切りあふれている、ポストお得意の官僚批判特集。読みながら、こちらも怒りに震えてくる記事である。  東日本大震災から500日以上を過ぎたにもかかわらず、被災地復興は進んでいない。三陸海岸のガレキ処理はまだ2割にしか過ぎず、岩手、宮城、福島3県の仮設住宅には約27万人が暮らしているが、これまで着工した復興住宅はわずか229戸で、計画の1.1%にすぎない。  東北復興が進まないのには理由がある。被災者のための震災復興予算が役人たちにかすめ取られているからだとポストは追及する。  政府は震災復興のため、昨年度は3次にわたって約15兆円もの復興補正予算を組み、今年度分と合わせて総額19兆円の震災復興予算を集中的に投下することを決めた。  その財源を賄うために、来年1月から25年間にわたる所得税引き上げと10年間の住民税引き上げという、長期間の臨時増税が実施される。そのほかに子ども手当の減額、高速道路無料化の廃止、国家公務員の人件費削減も決まった。  だが、国の予算は制約ばかりが多く、被災地が本当に必要としている事業には使えない仕組みになっているというのだ。  宮城6区選出の小野寺五典衆議院議員(自民党)がこう語る。 「被災地の自治体は壊滅状態だから税収もない。そこで復興に自由に使えるという触れ込みの復興交付金が創設されたが、使途が40事業に限定され、土地のかさ上げすらできない。気仙沼では水産庁の復興事業で漁港周辺の地盤を高くしたが、そこに以前あった商店を建てるのはダメだといわれた。これでは町の復興には使えません」  そのために昨年度の復興予算約15兆円のうち、4割に相当する約6兆円が使われずに余ってしまったのだ。被災者向けの復興住宅に至っては1,116億円のうち、使われたのはわずか4億円。  大事な復興予算をシロアリ官僚たちはネコババしていると書いている。  まず「不用額」とされた約1兆円は、新設された「東日本大震災復興特別会計(復興特会)」に繰り入れられ、各省庁に分配されるのだが、国交省は36億円を使って政府の官庁舎を改修する計画を立てた。一方で石巻市役所は1階部分が水没し、5~6階の吊り天井が壊れるなどの被害が出たが、「市庁舎改修工事」費用はわずか2,900万円。  市の管財課担当者は、これは改修費用ではなく、加湿器と駐車場のLED電球の設置予算で、自治体が自腹で改修したら倒産してしまうと嘆く。  だが、同じ市の国の出先機関の港湾合同庁舎には4億円の改修費用が計上されているという。  ハコ物と並ぶ巨大公共事業である道路にも多額の予算が復興特会から出されている。北海道と沖縄の道路整備事業にそれぞれ78億円、22億円が拠出された。  もっと腹が立つのは、国家公務員を6,000人以上削減するといっていたのに、実際には1,300人しか減っていないことである。  削減分を穴埋めするために新規事業を立ち上げ、そちらに人員を移しているからだ。新設された復興庁の定員は120人だが、復興特会には791人分の人件費が計上されている。 「被災地に行く職員ならまだわかりますが、そうじゃない。霞ヶ関の役人の給料なんです。本来は一般会計で計上すべき予算を、勝手に付け替えている」(みんなの党の桜内文城参議院議員)  復興特会の人件費は総額131億円にも上る。これは通常の給与だけではなく、年金や福利厚生、退職金まで含まれているというからあきれ果てる。  また、文科省や会計監査院から天下りする独立行政法人・日本原子力研究開発機構へは107億円拠出されているのである。  機構を管理する文科省の研究開発戦略官付の担当者はこう語る。 「実験を行っている日本原子力研究開発機構は、(被災した)青森県と茨城県にあります。同事業のコンセプトは、この研究を日本と欧州が参画する『世界的な核融合の拠点施設』にして、イノベーションの力で復興に寄与しようというものです。世界的な研究拠点ができれば、被災地に活力を与えるという趣旨です」  ポストは「質の悪いジョークにもほどがある」と切り捨てる。  そのほかに、南極に行く調査捕鯨に18億円、それを妨害するシーシェパード対策費に5億円が使われてしまっている。 「財務省や執行部は、震災復興を増税するための道具としてうまく使っただけで、その駆け引きのために震災復興が遅れてしまった。(中略)もう無茶苦茶ですよ。それで不用分は繰り越しだというのだから、地元は本当に怒っていますよ。『使い切れなかったとはなんだ! こっちは本当に復興予算を必要としているのに』と」(新党きづなの齋藤恭紀衆院議員)  安住淳財務相は19兆円を超える可能性が高くなってきたので、新たな財源を考えると、積み増しまで示唆している。  震災復興のためのカネを役所の利権拡大や生活保障という「霞ヶ関復興」のために使っているのは「国家犯罪」だとポストは書いているが、その通りである。  今週も文春の記事がグランプリである。文春の独走態勢が止まらない。  今週は野田佳彦首相と刎頸の交わりのある医療グループオーナーのスキャンダルを暴き、野田首相には「消費増税を行う資格なし」と言い切っている。  オーナーの寒竹郁夫と野田は船橋高校時代の同級生。千葉県議に当選した野田と再会し、以来20年にわたって寒竹は支援を続けてきた。  昨年12月3日。野田首相は忙しい合間を縫って政経倶楽部というところで講演したが、この倶楽部の初代理事長で現在はファウンダーを務めるのが寒竹である。  野田首相は、総理に就任した2カ月後に開かれた天皇・皇后主催の秋の園遊会にも首相枠で寒竹を推薦し、出席させている。  彼は訪問歯科診療をサポートする「デンタルサポート株式会社」(以下、DS)の社長。訪問歯科診療とは、要は歯医者の出前である。歯科医、歯科衛生士、コーディネーターの3人でチームを組み、患者の自宅や介護施設を訪問して診療する。  医療保険から診療報酬が医療法人に支払われ、DSは診療1件ごとに約4,000円のサポート料を得る仕組みだそうである。  寒竹は街の歯科医だったが、訪問歯科診療に着目して売上を伸ばし、現在年商約86億円となっている。  だが、DSグループの元中枢幹部は「この売上には見逃すことのできない不正があるのです」と告発する。  訪問診療では、診療時間が20分を超えると一軒家なら850点、老人ホームなどは380点が加算されるが、20分以内では初診でも218点、再診では42点しか加算されないのだ。  20分を超えるか否かで、最大8,000円以上の差が出るという。DSグループでは20分以内で診療を終えても超えたことにして、高い診療点数を請求する不正が横行しているというのだ。事実ならば、刑事事件に発展する悪質行為である。  取材していくと、寒竹は「ノルマ」を達成するよう、以下のような文書を出していた。 「各医院の勤務医の先生は、院長の管理のもとで点数算定方法を再確認し、平均点数が1,100点となるようにして下さい」  DSグループの元中枢幹部は「組織として当たり前にやっていたということです。(中略)ただ、昨年くらいから幹部会議でも問題視され始めました。寒竹は株式上場を目指し、社内でもコンプライアンスを求める声が高まっていった」と語る。  だが、これほどおいしいやり方をやめるわけにはいかなかった。3年前にDS内部で、不正請求をやめた場合、どれぐらい売上が減るかを試算したら、年間21億円という数字が出たからである。  この幹部は、このことが記事になったほうがいいと思うと洩らし、続けてこう語る。 「記事になったら、もっと告発が出てくるはずです。やはり社会保障費をむさぼっている事実はあるわけで。規模を大きくしようとするあまり、その認識が抜けていたことは認めざるをえない」  野田首相は税と社会保障の一体改革を唱え、消費税増税に命を賭けると表明している。消費税増税は社会保障の充実に使われると説明しているが、DS社のような不正請求をする企業に吸い込まれていくとしたら、国民の理解は得られまい。  野田が96年に落選したときに支えたのも寒竹で、野田の秘書達の面倒も見ていた。  当人はこの疑惑にどう答えるのか。医療グループのトップにいる人間にしてはこの御仁、いささか柄が悪い。  「訪問医療を始めた理由は」と聞かれ、 「金を儲けたいから。当たり前だよ。だけど、やっているうちに、価値観がだんだん変わるんだよ。本当に世の中のためになりたいと」  と答えるが、「本当は診療していないのに、20分診療したことにして高い保険点数を請求していますが」と追及されると、口調が変わった。 「ウチの平均診療点数は九百、全国平均よりかなり下。現象として不正みたいなことはないと思います。今の医療を国の基幹産業にしようとしているのに、妨害する奴らがいる。百歩譲って、二十分を五分にしました。それで何になるの? 俺の給料、三千六百万だよ、たったの。ふざけんなよ。政経倶楽部に私費をぶっ込んでるわけだよ」  野田の選挙活動に、DSの社員を手伝わせたのではないかと突っ込まれて、 「そこまで調べてるんだ。もしそうだとしてもノーと言います。ウソをつきます。それはなぜかというと義理人情。従業員を張りつかせて選挙応援したって数十万。その件に関してはノーだと言うけど、あったとして、あげつらって、国難のときに意味がある? 野田は守るから、友情で。検察に言われても、俺はあいつを守る。検察にしょっぴかれようが、吐かないけど。一国の総理の後援会長だよ。そのくらいの根性じゃなければ」  厚労省保険局医療課は「訪問医療の場合、患者のリスクは、外来の患者に比べて高く、手間隙もかかるため、診療点数を高くしている。あくまでもつきっきりできちんと診療をやっていただく。その結果として二十分あったのか、なかったのか、ということです」と文春に答えている。  野田首相は文春の取材に対して期日までに返答をしてこなかった。消費税増税は国民の4割を超える支持を得ている。それは後世にツケを残してはいけない、日本を破綻させてはならないという将来に対する責任感に基づくものだろうと文春は書き、こう続ける。 「しかし、その増税が真の社会保障の充実に使われることなく、社会保障予算をむさぼる組織に流れ込むとしたら、消費税増税は国民の支持を得られるはずがない。しかも、その流れ込む先は野田首相の有力後援者なのである。野田首相、あなたに消費税増税を行う資格はない」  この結びも見事である。  野田首相は参院社会保障と税の一体改革特別委員会で、礒崎陽輔(自民党)議員がこの件について質問したが、「事実関係はまだ明らかでない。今、法的に問題があるわけではないが、疑惑について私も彼もきちっと説明していく責任がある」と述べるにとどめた。  事実関係が明らかになったら責任を取るということかね、野田さん。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか