震災から1年 地元を支えてきた被災地書店のその後

motki0227hung.jpg
「週刊ポスト」3月9日号 中吊り広告より
佳作 「3・11から1年 復興の書店」(「週刊ポスト」3月9日号) 佳作 「郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」(「週刊文春」3月1日号) 佳作 「東電の賠償電話<秘>マニュアルの全容」(「週刊朝日」3月9日号)  週刊誌400円時代が来たようだ。「週刊現代」がいち早く400円にして「週刊ポスト」が追随した。「週刊新潮」が次号発売を特別定価390円にするし、「週刊文春」は特別定価だった380円を次号から定価にするとしている。  消費税増税に反対している週刊誌が、増税を待たず次々に値上げをするのは、読者には納得できないだろう。消費税が上がれば、その分を便乗値上げしてくることは間違いない。だが、内容が変わらず、読者に何の説明もなく値段を上げるのは、自分たちが批判している新聞の値上げと同じである。  私は、不景気で物の値段が下がっているのだから、ページ数を減らしてもいいから定価を下げたらどうかとさえ思っている。300円程度にして、各週刊誌が独自色を出しセグメントされた情報を出して競えば、部数は伸びないまでも低減傾向に歯止めがかかり、もう少し生き残っていけるのではないか。  メディアが一番いけないのは、他の企業のリストラや立て直し策の批判はするが、新聞もテレビも出版社も、生き残りに向けた努力をどれほどしているのか情報公開さえしないことである。  昔は、コーヒーとラーメンと週刊誌の値段が同じだった時代が長く続いていた。一時、コーヒーが値上がりした時代があったが、マックやドトールなどの出現により安くなり、今はラーメンが一番高くなった。  故・立川談志師匠は「ラーメン屋なんていうのはまともな料理をつくれない奴がやるもんだ」と常々言っていた。私も昨今、ラーメンが異常なほどもてはやされ、一部のラーメン職人には"食べさせてやる"という態度が透けて見えるのには辟易とする。だから、そうした能書きのうるさいラーメン屋には行かないことにしている。  それと同じと言っては失礼かもしれないが、今の週刊誌に400円の価値があるのだろうか。売れないから値段を上げるというのでは、読者離れがますます深刻化することになりはしないか。  さて、東日本大震災からもうすぐ1年になる。各誌に被災地や東電関連の記事が多い。その中で3本選んでみたが、残念ながら順位をつけるほど、これはという記事はなかった。よってすべてを佳作とした。  まずは「週刊朝日」の記事。福島第一原発の事故によって自主的に避難(その地域にとどまっていてもいい)した人たちへ東電による賠償が始まろうとしている。そうした人たちが手続きを含めて問い合わせる先の電話のオペレーターに大量の派遣社員が使われ、あきれたマニュアルで応対せよと研修されているというのだ。  賠償額は18歳以下の子どもと妊婦は一人40万円、それ以外は8万円。また南相馬市の一部、双葉町、飯舘村、大熊町などの住民には、精神的な苦痛に対する賠償として一人月額10万円、避難所にいる人には月12万円。  50代のYさんは登録していた派遣会社からメールがあり、2月13日から4日間行われた研修に参加した。研修の部屋には監視人らしき男性が数人立ち、配布された資料の持ち出しはおろか休憩中の私語も禁止された。  そこで言われたのは、お前たちの仕事は避難して困っている人たちを救うことではなく、送付した書類の問い合わせに答えることだけで、被災者に有利な情報を教える必要もないというものだった。  東電は被災者への対応として「親身・親切な賠償のための5つのお約束」を掲げているのに、実態はこうである。  また相手を刺激する言葉を使うなといわれ、言い換えるようにされた例はこうだ。×原発→○原子力発電。×放射能→○放射線。×放射能を浴びる→危険なイメージだから使うな。×想定外→積み上げた知見の甘さが引き起こしたものでございます。  こうしたNGワードばかりではなく、「電話に出たら低いトーンで会話を始めるように」、「被災者から、お前ら事故の詳しい内容を隠蔽しているだろうと言われたら、隠し事はございませんと平身低頭する」「電話口で怒りが収まらない相手には、『少々お待ちくださいませ』と言って、電話の保留ボタンを押せ」というのだ。  東電の賠償は、避難に要した宿泊費用や交通費などが違うのに一律はおかしいという声が被災者から上がっている。  賠償金額なども少なすぎると、私は思う。財界や財務省の東電に甘いやり方に対して、東電を破綻処理させて徹底的にリストラを行えという声も強くある。  これだけの事故を起こしても、ぬけぬけと電気料金値上げを言い張ったりする東電の甘えの構造は、一度ぶっ壊さないと直らないようである。  「週刊文春」の巻頭特集「郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」は、こういう書き出しで始まっている。 「『今までにこんな例は見たことがありません』  超音波の画像を診た医師はそうつぶやいたという。7歳女児(検査当時・以下同)の小さな喉にある甲状腺に、8ミリの結節(しこり)が、微細な石灰化を伴ってみられたのだ」  北海道へ自主避難している親子309名(子ども139名、大人170名)を対象に昨年末から地元の内科医がボランティアで、甲状腺の超音波検査を行っている。  郡山から夫と離婚してまで避難してきた母親の7歳の姉に結節が見つかり、2歳の妹にも2ミリのものが見つかった。幸いなことに妹のほうはがんの疑いはなかった。  小児甲状腺がんは、チェルノブイリ原発事故で唯一公的に認められた被曝による健康被害である。旧ソ連のベラルーシでは事故までの10年間で7人だった子どもの甲状腺がんが、事故後は508人に上っている。  札幌で甲状腺超音波検査を実施した内科医はこう言っている。 「結節のあった7歳女児と4歳男児の2人に加え、19歳以上の『大人』9人の計11人に、甲状腺がんの疑いがありました。うち成人女性一人はすでに甲状腺がんが確定、切除手術を行うことも決まっています」  1月25日には福島県で第5回「県民健康管理調査検討委員会」(以後=検討委員会)が行われ、18歳以下の甲状腺エコー検査の結果が発表された。1,765名のうち26人に結節や嚢胞(のうほう)が見つかったが、「すべて良性」とされた。  福島県立医大の鈴木眞一教授は会見で「26名はいずれも6歳以上。5ミリ以上の結節、20ミリ以上の嚢胞が5歳以下で見つかることはありえない」と明言した。  先の内科医は年間2,000人ほど甲状腺の手術を行うというが、鈴木教授が言うように小学生に上がる前の子どもにできる可能性はほとんどないそうだ。だが、今回は発見されたのである。  避難してきた子どもたちはいずれも原発事故後3カ月以上福島で暮らしていた。  7歳の女児はその後の血液検査の結果「良性」と診断されたが、将来に不安が残ると母親は語っている。 「診てもらった北海道大学の先生も、今までに14歳未満でがんになった子どもを2回しか診たことがなく、『いつ、がんになるかわからない』と。でも、結節を切除してしまうと、今度は一生ホルモン剤を飲み続けないといけなくなるというのです」  福島県で行っている甲状腺検診は3年かけて一巡するが、甲状腺学会の関係者はこう疑問を呈している。 「動物実験ではたしかに被曝しても1年で発がんすることはないという結果が出ている。だが、チェルノブイリでは事故直後のデータをフォローしていないので、放射能に対して感受性の強い1歳や2歳の子どもが事故後1~2年後まで受診しなくても大丈夫だと言い切れるのだろうか」  しかもおかしなことに、福島では撮ったエコー写真を見せてもらうこともできない。それに県内でセカンドオピニオンを仰ぐことも困難なのだ。  それは「検討委員会」の座長・山下俊一福島県立医大副学長が全国の日本甲状腺学会員宛に「次回の検査を受けるまでの間に自覚症状等が出現しない限り、追加検査は必要がない」というメールを送っているからだ。  こうしたやり方に一人の甲状腺専門医は批判的だ。 「従来の理論では、1~2年ですぐに嚢胞や結節は大きくならないかもしれない。しかし、あくまでもそれは『これまで普段見てきたもの』を基準にした場合です。原発事故が起こった今、『今まで見たことがないもの』を見ている可能性がある。従来の基準が絶対とはいえないのでは」  この記事は重要な問題を告発しているのだが、残念ながら記事のインパクトが弱い。  母親が仮名なのは仕方ないとしても、郡山の子どもに甲状腺異常を発見した北海道の内科医の名前が出ていないのはどうしたことなのか。  こうした記事を書く場合、信ぴょう性を担保するためには実名報道が必須である。内科医は実名を出すことで何か不都合なことでもあるのだろうか。  甲状腺の専門医が匿名なのも解せないが、こうした報道は継続していくことが重要である。続報に期待したい。  さて、東日本大震災のあと「日本を信じよう」と表紙に打って話題になった「ポスト」は今週号で、ぶち抜き85ページの大特集「被災地と原発の真実」を組んでいる。  まず初めに2ページにわたる編集部の主張が載っている。その意気や良しだが、放射能と原発についてはこれまでの主張を繰り返していて、新しい情報はない。  それよりも、ポストが震災以後一貫して続けてきた、被災地の書店のその後を興味深く読んだ。  復興へ向けて歩み出した書店で売れている本は、他の土地で売れている本とはひと味違う。『大きな字の常用国語辞典』(学習研究社)は年配者が必要だとして買い求めるそうだ。仮設住宅ではいくつもの鍋を持つわけにはいかず、圧力鍋が売れたそうだが、圧力鍋のためのレシピ本も売れた。  お世話になった人たちへ手紙を書こうと「手紙の書き方とマナー」といった内容の本も売れ筋。「10年日記」のような将来を設計する本も問い合わせが多かった。釜石の遺体安置所を巡るルポ『遺体―震災、津波の果てに』(新潮社)は、死者がどう処置されたのか知るために買われたのではないかと、釜石市の書店店長が語っている。  飯舘村の日常を紹介した『までいの力』(SEEDS出版)も読まれているそうだ。 「までいとは"思いやり"といった意味で使われる方言です。(中略)飯舘村はいま、人が住めない場所になってしまいましたが、"までいの力"があればいつか必ず立ち上がれると思う」(飯舘村の書店の元副店長)  岩手県山田町の「大手書店」は、昨年6月から小さな店舗で営業を再開した。本も文房具もなく、当初はお祭り用のクジや景品を並べていたという。書店の娘・大手恵美子はこ言う。 「自分がこの町に残って何ができるかと考えた時、やっぱり本しかないという思いがあったからです。できることと言えば、考えることしかなかった。駄目だな、やんなきゃな、ってずっと考えていたんです」  釜石で一番古い書店だった「桑畑書店」はかつて70坪あったが、今は9坪。店主の桑畑眞一は、瓦礫の中から見つけ出した定期購読者のリストを頼りに、病院や美容院などを回った。津波で流されてしまったこの辺りは人が少なくなってしまったが、ノンフィクション・ライターや市長を招いてシンポジウムや絵本の読み聞かせの会などをやっている。  気仙沼市の大槌町のショッピングモールに昨年12月22日、化学薬品メーカーで働いていたサラリーマン夫婦が素人書店を始めた。その名は「一頁書店」。素晴らしいネーミングではないか。 「本の一頁目はとても大切ですよね。最初の一歩という気持ちを大切にしていこう、と思ったんです」  そう妻の木村里美が語っている。  南相馬市の「おおうち書店」の店主・大内一俊は、同市が屋内避難を指示されていた3月に書店を続けようと思った。それは、店のシャッターを開け、床に散らばった本や雑誌を棚に戻していると、街から避難しなかった人たちが少しずつ集まってくるようになったからだ。客は4分の1に減って、若い女性や子どもの多くが避難したため、女性誌やファッション誌は売れなくなったが、地図が売れるようになった。  お客の数は減っているのに、書店の売り上げは伸びているという。それは、ほかに開いている店がないことと、東電からの賠償金があるため、震災前より売れる本の単価が高くなり、週刊誌を3冊も買い込んでいく客がいるそうである。  飯舘村にある村営書店「ほんの森いいたて」には、書店の窓に「きっといつか再オープンするぞ!!」と書いた紙が貼られている。  IAEAが飯舘村で高濃度の放射性物質を検出して発表したのは3月30日だった。元副店長の高橋みほりはこう話す。 「閉店するとき、絶対また会おうね、再開したら買いに来るからねと言われながら、みんなと抱き合ってお別れしたんです。それだけ愛されていた本屋なんだなって思ったし、震災からの短い期間だったけれど、続けてきてよかったと感じました」  こうした人たちに支えられて本や雑誌が読者の手に届き、読まれていることを、出版に携わる人間一人一人がもう一度真剣に考える必要があるだろう。何を届けなくてはいけないかということを。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
本屋さんへ行こう 行こう。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・「利用者は顧客ではなく広告主への商品?」Facebookの思わぬ落とし穴  ・ふとした気の迷いから犯罪者へ転落 元博報堂社員が見た地獄財政危機のギリシャに学べ!? これからの時代を生き抜く生活防衛の基礎知識

「利用者は顧客ではなく広告主への商品?」Facebookの思わぬ落とし穴

nwfacebook.jpg
「ニューズウィーク日本版」2月22日号
第1位 「SNS フェイスブックの落とし穴」(「ニューズウィーク日本版」2月22日号) 第2位 「『メモ』を巡る夫婦の肖像――田中防衛相異聞」(「週刊新潮」2月23日号) 第3位 「無毛ヌード時代を始めよう」(「週刊現代」3月3日号)  2月18日朝日新聞朝刊のオピニオンページに「スキャンダラスな政治」と題してノンフィクション・ライターの西岡研介がこんなことを話している。 「今、政治スキャンダル報道は読まれていないと感じています。市井の人々の怒りを喚起できていない。それどころか、社会の共感すら得られていない。何で、こうなったんやろって思ってます」  竹下登や野中広務のようなタフで魅力的な政治家がいなくなり、小物政治家ばかりになったことでスキャンダルも薄っぺらになった一方、「小泉純一郎さんや橋下徹さんみたいな、けんか上手で発信力に優れた政治家に僕らは勝てんのです。だって彼らはタレント、スターやから。こと情報発信においては、素人はスターには勝たれへんのです」  小泉や橋下がスターで情報発信力があるから、メディア、特に雑誌メディアが勝てないというのは合点がいかない。要は、小泉のときは仮想敵を作り、「ぶっ潰す」というキャッチフレーズのまやかしをひっくり返すだけの論理をメディア側が持てないで翻弄されてしまった。橋下の場合も「それがどうした」と切り返せる程度のスキャンダルしか掘り起こせていないからではないか。  小泉元首相の構造改革の誤りは、西岡があげているようにNHKスペシャルの『ワーキングプア』や『無縁社会』なども含めて、さまざまなメディアで検証されつつある。  橋下市長の唯我独尊的大風呂敷も、必ず自ら口から出まかせで掘った落とし穴があるはずである。小泉ブームのときのような失敗に懲りて、じっくり腰を据えて橋下という人間を調べ、取材を尽くしてほしい。  そうしたスキャンダルを乗り越えて橋下がこのまま突き進んでいくのなら、危ういところは多々あるが、もしかすると希代の宰相になる器なのかもしれない。  そのはるか手前で、西岡ともあろう敏腕スキャンダル記者が「勝てへん」とあきらめないでほしいと思うのだ。  さて今週は特集に見るものがなく、グランプリ以外は小粒なラインナップになってしまった。  第3位は「週刊現代」の袋とじ。ヘア・ヌードから無毛ヌード時代がきたというのが「現代」の主張(?)らしい。  昔、無毛はパイパンなどといわれて貴重だったが、昨今ではヨーロッパを中心に、当たり前になってきているというのだ。確かに「生理のとき、蒸れなくて楽なんです」「元彼に毛じらみをうつされたんですよ」という悩みから解放されることもあるのだろう。「脱毛エステ」なるものもできているようだ。  「ワンダーアップ上野店」の宮原千晴店長は、「当店ではハイジニーナ脱毛まで希望される女性が多いですね」と言う。ハイジニーナ脱毛とはVライン=デルタ地帯、Iライン=性器周辺、Oライン=肛門周辺のすべてを無毛にすることだ。  このVIOすべてをしてもらうコースはなんと13万9,000円である。  しかしカメラマンからすると、無毛ヌードはヘア・ヌードよりも撮り方が難しいそうだ。 「毛で性器が隠れるので、ヘア・ヌードはそれほど工夫はいりません。しかし、無毛の女性の場合、縦のラインを見せずにいかに無毛であることを表現するかが難しい。ライティングや撮る角度など、写真家の腕が試されるんです」(カメラマン・小倉一真)  われわれの世代が若い頃、古本屋から買ってきたアメリカ直輸入の「PLAYBOY」は宝物だった。ドキドキしながら見たピンナップガールの大事なところは、ほとんどが黒く塗り潰されていたが、そうではないヌードもいくつか拝めた。それは無毛かそれに近い産毛のような薄いヘアで、まだティーンエージャーかと思うほど幼く見える女性だった。  性器はもちろん見えないが、ヘアが写っていなければワイセツではないと判断されたのだろうか。確かにそのヌードを見て、若い頃の自分でも十分には発情しなかった。  世は草食系男子が増えているといわれるのに、猥褻さが薄れて清潔感あふれる女性ばかりでは、ますますこの国の少子化に歯止めがかからなくなってしまうと「憂慮」するのは余計なお世話か。  2位は「新潮」のモノクログラビア3ページ。1ページ目は田中直紀防衛相のカミさんである田中真紀子が近所のスーパーマーケットで買い物する姿を撮っている。  マスクをして買い物するメモをじっと眺めている姿がフツーの主婦らしくていい。ここで鯛の切り身、切り干し大根やらしめて5,000円あまり買ったという。  さて、一方の夫君は防衛大臣になってから袋叩きにあっているが、以下は国会の委員会審議中に秘書官が田中防衛相に手渡したメモの内容である。  「新潮」が望遠で撮って、安保や防衛にかかわる重大情報かと「解読」したらアレレレレ~ッ。 「この薬は1日1回です また良くならない場合は別の薬もあるので相談して下さい とのことです。昼食は何を注文しますか? (1)サンドイッチ (2)おにぎり (3)カレー (4)定食 (5)カツ丼」  自民党議員の間では、官僚の言いなりの田中防衛相を評して、腹話術の人形のようだから「政界のいっこく堂」といわれているそうだ。  いくらなんでも、これでは田中防衛相がかわいそうではないか。彼が防衛問題はおろか経済や金融にはまったく関心もなく知識もないのは、誰でも知っていたことではないのか。それは彼が無知だったからではない。これまでの全人生をひたすら妻・真紀子のポチとして生きてきた結果である。  田中角栄が田中直紀を娘・真紀子の夫にしたのは、従順で娘にかしずく男だと見て取ったからだ。その役割を忠実にこなして生きてきただけの男を、防衛という重要な大臣に指名した野田佳彦総理に全責任がある。  憲法もろくに読んだことのない史上最低の防衛大臣などとメディアはこき下ろすが、彼にしてみれば防衛はおろか大臣の椅子など欲しがったことは、これまで一度もなかったのではないか。71歳にもなって、バカだアホだと言われなくてはいけない田中防衛相の哀れな姿をテレビで見るたびに、落涙しそうになる。  田中防衛相よ、早く辞表を出して議員も辞め、一主夫になったほうがいい。あなたは背広に議員バッチよりエプロン姿のほうが似合うと思うよ。  今週のグランプリに輝いたのはニューズウィーク日本版の「Facebook」批判記事である。  新規の株式公開(上場)を米証券取引委員会に申請した「Facebook」の時価総額は最大1,000億ドル(約7兆6,000億円)に上るとみられている。  「Google」をも上回り急拡大するSNSの怪物サイトについて、個人情報の観点からこれほど鋭く斬り込んだ記事は、私が知る限り日本ではなかった。  私も「Facebook」に1年以上前に登録したが、まだ1度も開いたことがない。それは、このサイトに付きまとうある種のいかがわしさだったが、この記事を読んでその正体がよくわかった。  まずは、以前アップルの創業者スティーブ・ジョブズになりすましたブログで名を馳せた『ニューズウィーク』のテクノロジー担当記者ダニエル・ライオンズが、今度は「Facebook」のマーク・ザッカーバーグに扮して書いた手紙。これがすこぶる面白い。 「実を言えば私どもは、皆さんのプライバシーを守ることには何の関心もありません。あると信じている皆さんは、私どもの想定外の愚か者です。もちろん私どもは最初から、皆さんが相当の愚か者だと想定していました。考えてもみてください。私どもの事業が成り立つのは、ひたすら皆さんの行動を追い掛け回し、その情報を広告主に売っているからです。この事実に、まさかお気付きでないとか? 皆さんは私どもの顧客ではありません。私どもの売る商品です。私どもが皆さんを守ると言うのは、養鶏業者が『ニワトリに快適な暮らしをさせる』と約束するようなもの。所詮は口先だけ、本気ではありません。(中略)そもそもインターネット上のビジネスは、皆さんがサービスを利用するに当たり、現金の代わりに自分の個人情報で支払うという斬新なビジネスモデルによって成り立っています」  「プライバシーはクソです」とも言っている。  「Facebook」は利用者が流したその人間や友達の大量な情報をまとめ、分析し、広告主に売りつけているのだ。  しかも、同社は個人情報に関するルールを次々に変更し、利用者がますます多くの個人情報を暴露しなければいけないように仕向けている。  さらに背筋が寒くなる事実があると書いている。「Facebook」は、会員たちが同サイトにログインしていないときも、どのサイトを訪れていたのか追跡していたことを、渋々認めたという。  2年前に、「Facebook」が会員向けに選別して送り付ける大量の広告を分析すれば、その会員が同性愛者であることを推認できるという調査が発表されている。  上場すればこの傾向がますます強くなると警告する。 「ソーシャル・ネットワーキングの世界を動かす現在のビジネスモデルでは、サービス提供者は利用者の私生活をひたすら詮索するしかない。株式を公開すれば利益の最大化を求める投資家の圧力が増すから、この傾向はさらに強まるだろう」  そして筆者は、どうしても「Facebook」を利用したいのなら、唯一の安全策は常に自分を「検閲」し続けるしかないという。ソーシャルメディアは表現を奨励するのではなく萎縮させる力となるのだ。  こうしたビジネスモデルは「Google」も同じだ。先日、60あまりのサービスの利用者情報をすべてシェアできるように個人情報のルールを変更した。Twitterも同様なビジネスモデルを構築しようとしている。  それでも実名を基本とする「Facebook」が一番プライバシーの敵になるとして、こう激しく批判している。 「フェイスブックはいつもこうだ。長い間、同社はユーザーの個人情報を広告主と共有することはないと主張してきた。だが、実際には、そんなことは最初からやっていたのだ。筆者は25年にわたってテクノロジー分野の取材を続けてきたが、これほど楽々と、恥ずかしげもなく明らかな嘘をつく会社は初めてだ」  こうしたIT企業の常として、情報公開はしないし記者会見で自由な質疑に応じることもない。こうしたことに注意を払わないユーザーに、これでは「Facebook」の思うツボだと注意を促し、こう締めくくる。 「はっきり言おう。利用者はフェイスブックの顧客ではない。広告主に売る商品だ。フェイスブックを使うなとは言うまい。だが使うときには、自分が誰に、何を売り渡そうとしているのかをよく考えてほしい」  日本でも「Facebook」の利用者が1,000万人になったそうだ。だが、日本人は自分の個人情報がどう侵害、利用されているのか無関心な国民である。  先頃、野田政権が、国民に1人ずつ番号を付けて納税記録や社会保障などの個人情報を管理する「共通番号制度(マイナンバー)」を導入するための法案を閣議決定した。いわゆる「国民総背番号制」である。  あきれたことに朝日新聞は2月19日の社説で「国や地方の財政は厳しい。所得や資産に応じてきちんと納税してもらい、本当に必要な人に漏れなく給付が行き渡るようにしなければならない。(中略)制度の必要性では、与野党の間に大きな争点はないだろう。一体改革と切り離して議論を進めてはどうか」と賛意を表明したのである。  その上、「番号制をめぐっては過去に納税者番号として何度か浮上し、懐を探られることへの反発から頓挫してきた歴史がある」とも書いている。  「国民総背番号制」は懐を探られるから反対したのではない。個人のプライバシーを権力側に一方的にすべて握られることへの「警戒心」から反対したのである。  個人情報やプライバシー保護に関心がないから、個人情報保護法のような最悪の法律が成立し、教育現場や福祉の現場で情報を共有できない深刻な事態が起きているのだ。  IT評論家なる者の多くに、ネットやSNSが拡がればバラ色の世界が拡がるなどとたわけたことを抜かしている輩がいるが、これからの時代は一つ間違えばジョージ・オーウェルが『1984』で描いたような監視国家になる。「Google」や「Facebook」はそのお先棒を担いでいるのではないか。  そうした現実をこの記事は教えてくれる。こうした痛烈な警告記事をこの国のメディアでも読んでみたいものである。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
フェイスブック 若き天才の野望 知ってたけど。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・ふとした気の迷いから犯罪者へ転落 元博報堂社員が見た地獄財政危機のギリシャに学べ!? これからの時代を生き抜く生活防衛の基礎知識「何が悪いんですか?」ヤフオクに勤しむ"バカ補佐官"のあきれた言い訳 

ふとした気の迷いから犯罪者へ転落 元博報堂社員が見た地獄

motoki120113.jpg
第1位 「東大地震研 平田教授の『正体』」(「週刊文春」2月16日号) 第2位 「博報堂元社員が明かす『わが転落の記』」(「週刊現代」2月25日号) 第3位 「福島『求人』職種の危険度と賃金 被災地のハローワーク」(「AERA」2月20日号)  天皇陛下の玉体、それも心臓にメスが入ることになったことで号外まで出された。  2月11日から東大病院に入院され心臓の精密検査を受けていたが、薬やカテーテルによるステント治療ではなく、詰まった血管に迂回路をつくるバイパス手術をすることになった。  「週刊新潮」の「『天皇陛下』心臓にメスが入る日」によれば、「一番左端の左冠動脈左回旋枝はほぼ9割方ふさがっているのです。もう一本も相当程度、狭窄が進んでしまっている。しかも場所が悪いため、すでにステントを入れるのは不可能なのです」(東大病院関係者)  天皇の体は「冠動脈の狭窄や動脈硬化ばかりか、不整脈も患われ、心臓は悲鳴を上げている状態だというのである」(新潮)  体に負担がかかる手術になるそうだが、無事終わることを祈りたい。  今週の3位は、東日本大震災の被災地で起きていることを「求人」というキーワードから探ってみようという「AERA」の記事。  南相馬市の中心地にあるJR原ノ町駅前のホテルは復興関連の人々でごった返しているが、深刻なのは人手不足である。  放射能が怖くて20代から30代の女性が来てくれないのだ。時給700円ということもあるかもしれないが、経営的にそれ以上は無理だという。  しかし、有効求人倍率は復興事業支援策予算約11兆7,000億円もあって、福島県相双地区の場合、求職者数549人に対して求人数は1.7倍の962人ある。  被災地の求人数では、最も多いのが医療福祉で全体の19.1%、次いで建設が18.2%。  しかし、11月から求人を始めた福島市内の建設機器レンタル業者によると、時給800円でもさっぱりだという。ほかにわりのいい仕事があるからだ。  それは放射能の除染関連。防護服を着用しなくても済む一般住宅などの除染関連だと月給20万円ほど、放射線量の高い区域などでの直接的な原発事故関連作業だと25万円以上になる。  ハローワークで調べてみると、現場を2カ月から3年くらいかけて移動しながら、瓦礫撤去や構造物の解体、手作業による物資の積み込みの仕事は、1日の実働は4時間で月給は27万6,000円から34万5,000円。宿泊食事付きだ。だが「履歴書に必ず血液型と緊急の連絡先を記入」という特記事項が付いている。  この求人を出しているゼネコン傘下の零細業者は「30人の定員に全国から150人ほど応募があった。ただし、安全のため40歳以上の男性に限定しています」と話している。  原発から20キロ圏内の警戒区域で空き巣パトロールの仕事もある。3交代で24時間体制。従事しているのは地元消防団の人たちが多いという。日給は7,000円ほど。  樹木の伐採の求人も多い。だが山の急斜面での伐採は危険を伴うし、伐採時に放射性物質が飛び散る危険も加わる。林野庁が出した現場監督と調査を手がける係長の求人は月給24万6,800円から40万1,800円。  専門技術を必要とされる職種は当然ながら高賃金。例えば宮大工は、基本給の3倍の月給最高34万5,000円までを支給する建築会社(いわき市)がある。  ほかには放射線測定員が基本給16万から24万。韓国語や中国語の翻訳などの仕事もある。韓国語の翻訳員が基本給17万4,300円。中国語の通訳が基本給14万0,080円。  求人票からは復興が進まない分野も見えてくる。福島県内の漁協は操業を自粛しているために求人はゼロ。  少し違う視点から物事を見る。週刊誌ならではの記事である。  第2位は「週刊現代」の詐欺で捕まった元博報堂社員の告白である。平凡なサラリーマンがふとした気の迷いから、犯罪者に転落していった。身につまされる。  本間龍(49歳)は1989年に博報堂に入社し、一貫して営業を担当。  転落のきっかけは得意先企業からパンフレット制作の仕事を受注したことからだった。  その費用1,000万円が、向こうの社長の「期末を超えた請求はびた一文払わない」という身勝手な主張により回収できなくなってしまったのだ。  そのとき上司に話していればよかったのに、異動させられるかもしれないという恐怖心から言い出せなかった。  転勤先の北陸から戻って子どもが小さかったこともあり、なんとか陰で穏便に処理したいと思っているとき、博報堂の上場が話題になり、株の上場話を元に金を借りようと思い立つ。  自分が持っている株が上場になれば2,000万円ほどになる。それで返済すればいいと、大学の後輩やサークルの仲間に持ちかけて1,000万円作るのだ。  それをきっかけに彼の評価は上がり、電通が独占的に扱っていた大手石油会社の仕事を博報堂に持ってくるなどの成果を上げる  そうなるとほかの部門のスタッフのケアをしなければならず、得意先などにも身銭を切ってご馳走することも多くなる。  そしてお決まりの女性関係。10歳年下の派遣で来ていた人妻と理無い仲になり、夜仕事が終わってからの食事、ホテル代、タクシー代と嵩んでくる。  そうして彼はまた、博報堂の未公開株の購入を友人知人に持ちかけ、集めた額は2,000万円を超えてしまうのである。  それでも出て行く金は増え続け詐取した分を注ぎ込んでも足りず、ついに闇金に手を出してしまう。40社から800万円くらい借り、返済が滞ると自宅にも会社にも「コラァ、本間を出せや!」と催促の電話が入る。とても仕事どころではなくなる。  そうして2005年2月に博報堂が上場されるが、持ち株は2,000万円どころか800万円にしかならなかった。  上場から1年近く経って、もはやだまし続けるのは限界と、一人に「未公開株の話、実はウソだったんだ」と泣きながら告白する。  妻にも打ち明けるが、総額を知った彼女は離婚を切り出す。借りていた二人から合計1,800万円で告訴され、会社を退職し、妻子が出ていった数日後に詐欺容疑で逮捕されるのである。  懲役2年の実刑判決が出て、未決勾留期間を差し引いた1年4カ月服役し、08年10月に出所する。  馬鹿な奴だというのは容易い。だがサラリーマンを経験した人間には、彼と自分との違いはほんの僅かなものだと知っている。  1,000万円の未回収金を上司に相談していれば、始末書か異動で済んだのだろう。それを隠すために儲け話をでっち上げて金を借り、それがうまくいったことで仕事もうまく回り出し、借金が雪だるまのように大きくなっていく。  私にもクレジットカードで、それに近い経験がある。当座の資金にと借りた10万20万があっという間に100万を超す。  それを返すために新たにクレジットカードを作る。そうして借金は増え続ける。私が曲がりなりにも躓かなかったのは、気が小さかったからである。  彼ほどの金額でなくても、金銭的な問題で悩んでいるサラリーマンがいたら、これを読んで、すぐ上司に相談したほうがいい。そうすれば最悪「解雇」になるだけである。  今週のグランプリは、読売新聞1月23日付の「首都圏直下型 4年以内に70%」の発信元になった東大地震研究所平田直教授から、以下の言を引き出した「週刊文春」の記事である。 「だからね。その数字に意味はないって何度も言っているでしょ。五年~七年というのも僕のヤマ勘ですよ、ヤマ勘!」  読売の記事を受けて大騒ぎになり、他紙や週刊誌、テレビが追随した。平田教授も連日メディアに出て「解説」したため、首都圏はパニック状態になっているのだ。この数字がヤマ勘だったとは。  この数字に対する異論が次々に出てきた。京都大学防災研究所の遠田晋次准教授は明らかにこの数字は高すぎるという。  震災から今年1月21日までに首都圏で起きたM3以上の地震回数を、東大と同じと思われる計算方法でM7地震が起こる確率を計算してみたところ、「5年以内に起こる確立は28%」になったという。  なぜこんなに開きが出るのか。それは東大がとったデータは震災から9月10日までで、関東で頻繁に地震が起きていたときのものだったからだ。その後から現在まで地震の回数は減ってきている。  批判は身内からも出ていて、地震研のホームページには「平田直教授の伝え方、あるいは記事の書かれ方のいずれかの問題によって、(略)正確でない表現や記述不足がありました」と平田教授と読売新聞両方が批判されているのである。  平田教授は毎日新聞のインタビューにこう答えている。 「(今回の報道は)誤解を招きやすい報道でしたけれども、関東地方の油断に警鐘を鳴らす意義はあった」  東大地震研の学者が確たる根拠もなくて警鐘を鳴らすとは、地震研の名が廃る。  日本の今年度の地震調査研究関係予算は135億円、来年度の概算要求額は460億円を超えるが、それを牛耳っているのが東大地震研なのだ。  だが、地震研は地震観測一辺倒で、阪神淡路大震災が起きてからも、「予知は不可能だから、地震現象の基礎研究に重点を移す」としてしまった。 「そもそも『地震ムラ』は予知にはまったく手をつけてこなかったのです」(上田誠也東大名誉教授)  東日本大震災が起きて「地震学者たちは何をしていたのか」という批判が出てきたため、あわてて「予知モドキ」が出てきたのだそうだ。  つまり、自分たちのアリバイ証明として派手な花火を打ち上げたということらしい。  原発事故で原発ムラへの批判が噴出したが、地震ムラも東大地震研が牛耳っていて、「成果をほとんど挙げなくても、潤沢な予算を得ることが出来たのですから、学問として発展するはずがありません」(島村英紀元北大地震火山研究観測センター長)  こうした連中のひと言で右往左往する自分が情けない。だが、これから10年ぐらいの間に大地震が来ることは間違いないようだ。  いい加減な地震予知などで一喜一憂せずに、いつ来てもいいように寝室のタンスやテレビなどを固定し、非常時用の食料、水の用意、家族との集合場所などは早急に決めておく必要があるはずだ。あとは運否天賦。どこでそのときを迎えるかは誰にもわからないのだから。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
非常用持出7点セット 用心するに越したことはない。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・財政危機のギリシャに学べ!? これからの時代を生き抜く生活防衛の基礎知識「何が悪いんですか?」ヤフオクに勤しむ"バカ補佐官"のあきれた言い訳  ・サムスンの躍進を止められるか!? 落日パナソニックに迫られる刷新の時

財政危機のギリシャに学べ!? これからの時代を生き抜く生活防衛の基礎知識

motok2012i0207.jpg
「フライデー」2月17日号
第1位 「白昼堂々! 浅野忠信・仲里依紗『抱擁&キス!の大阪デート一部始終』」(「フライデー」2月17日号) 第2位 「下り坂『日本』を歩く 生活防衛の基礎知識」(「週刊新潮」2月9日号) 第3位 「『たかがコミック』とは言わせない」(「ニューズウィーク日本版」2月8日号)  今年に入って、私が気になっているいくつかの言葉を紹介してみたい。  まずは「週刊金曜日」1月13日号のインタビューでの辺見庸の言葉。 「大震災の以前から、大きなパラダイム(枠組み)の変化はすでにあったのです。震災がそれを暴いてくれた。この国のマスコミ、文芸、市民運動を含めて、戦後しばらくは、状況に対する否定的な思惟というものがありましたが、八十年代ごろから現状を倦まずに批判し疑っていくという理念の芽を打ち消してきたのです。やがて疑問を持つこと自体を封じ、肯定的な思惟を強いるようになってきた。今回の出来事はそのことを明らかにしました。(中略)関東大震災では戒厳令が敷かれ、それ自体法的にもデタラメな戒厳令ではあったのだけれど、今はどうでしょう。自分たちで『心の戒厳令』を敷いてくれている。使用言語を限定するとか、テレビCMをやめるとか。国家権力が強制したわけでもないのに、みんな整然と下からのファシズムをやっている。(中略)『おずからのファシズム』です。それに対する言い知れぬ薄気味悪さ、耐えがたさ。そうしたものが『眼の壁』(詩集。第42回高見順賞を受賞した=筆者注)を執筆しているとき、心の底に流れていましたね」  次は経済評論家の内橋克人。朝日新聞1月8日付けのインタビューより。 「米国はじめ国内外の最強の秩序形成者に抵抗する力もなく、生活に追われて政治的な難題に真正面から対峙するゆとりもない。同時に、精神のバランスを維持するために『うっぷん晴らし政治』を渇望する。政治の混乱を面白がり、自虐的に、極めて反射的に、表面的に評価して、選挙権を行使する。大阪市の橋下徹市長の『ハシズム現象』も貧困マジョリティーの心情的瞬発力に支えられている面が大きい。(中略)民主政治を基盤とする国でのヒーロー待望論ほど異常なものはない。日本古来の『頂点同調主義』に加え、異議を唱える者を排除する『熱狂的等質化現象』が一体となる。『うっぷん晴らし政治』の渇望を満たそうとすれば、1930年代の政治が繰り返される。グローバリズムが生み出した『貧困ファシズム』の培地となりかねない」  最後は京都大学大学院教授・佐伯啓思の『反・幸福論』(新潮社)から。 「これから、かつて百年少し前に起きたのと似た様々な混乱、軋轢が生まれてくることは確実です。ロシア、中国、それからアメリカを中心とした激しい資源の争奪戦。食料の争奪戦も起きるでしょう。(中略)しかし日本が同じようなむき出しの力の争奪戦に入っても、勝てるわけがない。だとすれば、やはり日本的な価値観を掲げる以外にないのではないでしょうか。その価値観のベースになるのは、道義であり、京都学派的な言い方をすれば、『無』や『空』といった日本的精神だろうと思います。自由を極端に主張しない。自然権としての平等や人権ということも声高には主張しない。欲望の気のままな解放も主張しないし、競争というものも節度を持った枠内でしか認めない。これが本来の日本的精神です。調和を求め、節度を求め、自己を抑制することを知り、他人に配慮する。これを、今の世の中で実践するのは非常に難しいことです。しかし、これら日本的な精神に基づいた価値観を打ち出していく以外に、われわれの取るべき道はありません。それは間違いない」  今年は政治的にも経済的にも、昨年以上に厳しい混乱の時期が続くといわれている。そこで問われるのは一人一人がこの国をどうしたらいいのか、どう変えたらいいのかという確固たる「価値観」である。他人任せにしないで、おのおのの責任で考えることが一層求められることは間違いない。  今週も各誌が大地震特集を組んでいる。それもいつ大地震が来るかという予測記事ではなく、大地震が来たときにどう生き延びることができるのかという「具体策」に踏み込んでいる。  「4年以内に70%!『東京直下型大地震』死中の活」(週刊新潮)や「M8M9大地震 日本破滅 最悪の1週間はこうなる!」(週刊文春)が代表的である。  大地震ものを取り上げなければと思って各誌読んでみたが、内容的にはどれも似たり寄ったりで、これはというのがない。そこで今週は、読んで陰々滅々となる大地震記事とは少し違う記事を取り上げてみた。  まず「ニューズウィーク」の記事。バンドデネシ(BD)ってみなさん知ってましたか? フランスやベルギーのコミックのことなんですね。  書き出しは、昨年10月にロンドンで国際フェスティバルが開かれ、世界のコミックの有名作家が一堂に会したということから。  フランス語圏内と英米のコミックに対する認識のどこが違うかといえば、「リスぺクトの有無」だという。BDはフランス語圏内では長い歴史を誇り、「9番目の芸術」といわれているそうだ。  しかし、英米の意識も25年ほど前から変化した。そのきっかけになったのが、アート・スピーゲルマンの『マウスーアウシュヴィッツを生き延びた父親の物語』だそうだ。  これは図書館や大学の蔵書になりピューリッツア賞も受賞した。  以来、批評家もコミック作家の独創性に注目せざるを得なくなって、グラフィックノベルはフィクションや歴史、個人史を伝える重要なアートになりつつあるのだそうだ。  昨年秋には、イラン大統領選後の混乱の中、行方不明になった息子を捜す物語『ザハラの天国』(アミール)が12カ国で出版された。  哲学者バートランド・ラッセルが数学の真理を追究する『ロジコミックス』が25カ国でベストセラーになった。  現代ではスーパーヒーローものが衰え、女性の読者と作家が増えている。マウスのスピーゲルマンはコミックを「すべてを本質的に凝縮する」「絵による物語」と定義する。  コミックの一コマは教会のステンドグラスの窓で、そこには物語が詰まっている。  グラフィックノベルはアートとしても大きな可能性を秘めているが、パレスチナやボスニアの紛争ルポをアメリカで初めてコミック化したジョー・サッコが重視するのは「ドキュメンタリー機能」だという。  コミックは軽やかに時間を遡り、絵の力によって、難民キャンプや爆撃を受けた町の様子を、読者の意識に浸透させることができるからだ。  先ほどのアミールにとってグラフィックノベルは「究極の大衆メディア」で、「ストーリーを伝える上で最も早くて安くて便利な方法」だという。  エジプトではコミックの出版点数が急増しているそうである。ムバラク前大統領がエジプト初のコミックの出版を禁止したことへの反動で、アラブの春の一環と捉えられているそうだ。  文化評論家のマヤ・ヤッギはこう結んでいる。 「アートと行動主義というコミックの持つ2つの可能性が、人々に理解されるようになってきた。ブログやFacebookやTwitterと同じく、グラフィックノベルは革命を起こす武器になりそうだ」  何と日本のマンガと違うことだろう。電子書籍で一番手っ取り早くカネになりそうなのはマンガだと、マンガを持っている出版社は期待しているようだが、日本のマンガが受け入れられるのはごくごく小さな地域だけかもしれない。  マンガが世界的な認知を受け、広がっていくためには、漫画家の問題認識やドキュメンタリー性が必要になってくるのではないか。そうでないとマンガも「ガラパゴス化」していってしまう。  五木寛之の『下山の思想』(幻冬舎)が売れている。謳い文句は「再び世界の経済大国をめざす道はない。敗戦から見事に登頂を果たした今こそ、実り多き『下山』を思い描くべきではないか。『下山』とは諦めの行動でなく新たな山頂に登る前のプロセスだ」というのだ。  新たな山頂というのが何を指しているのかわからないが、もはや昔のようなバブル時代は望みようがないし、望むべきではない。  そこでこの下山の時代をどう生きていくのかは、一人一人にとって大難問である。週刊誌にその類の記事が多くあるが、今週の新潮の記事は一番役に立ちそうである。  第2位は「新潮」の「下り坂『日本』を歩く 生活防衛の基礎知識」。まずは「今やるべきは『資産』『ローン』『保険』の棚卸し作業」だと書かれている。 「生命保険を払いすぎている家庭が多いようですが、大黒柱が他界しても、子どもが18歳になるまで国から遺族年金が出る。夫名義の住宅ローンがあっても、たいていの家庭は団体信用生命保険に加入しているので、ローン残高は相殺される」  だから借金は極力返して家計をスリム化しろというのだ。  誠に真っ当な意見だ。さらにいえば、何千万の生命保険などに加入するより、その同じ額を毎月積み立てておいたほうがいい。早く死にたいなら別だが、満期になって戻ってくるカネは全額ではないのだ。  個人的には、生命保険は詐欺集団だと思いたくなるほど酷い仕組みになっている。だが若いときは、万が一を考えてしまう。そこが生命保険会社につけ込まれるのである。ご用心を!  メガバンクに金を預けても1年の金利は雀の涙。しかし、先日話題になった静岡銀行インターネット支店の「スーパー定期(1年もの)」なら金利は0.7%に跳ね上がる。ここは早々と目標額に達して終わってしまったが、探せば地方にはまだまだあるそうだ。  例えば、香川銀行のインターネット支店「セルフうどん支店」では1年ものの定期預金が0.5%。愛媛銀行のネット支店「四国八十八カ所支店」でも1年ものの定期が同じ0.5%。すぐにチェックしてみたらどうか。  インフレ対策にはコインパーキングがお奨めだそうだ。業者と組んで自宅の庭をコインパーキングにして自動販売機でも置けば、自販機1台で毎月5万円以上の利益を上げられるかもしれないというのだ。  国際的な話としては、建築基準が厳しくてなかなか新築が許可されないイギリス・ロンドンでは不動産価格はここ30年右肩上がりだそうだ。  廃屋をリフォームして値をつり上げて転売するのが財テクの主流だそうで、1,000万円で買って部屋を3つ増築した後、1億円で転売することも珍しくない。  かの地は外国人が不動産を手放した際、1物件に限り売却益は非課税になるそうだ。カネがありあまっている人はやってみたらいかがか。  金はまだまだ上がるそうである。 「過去にあった金の上昇相場では80年1月にピークを迎え、875ドルを記録しています。当時から比べると現在の物価は約2.5倍。これに合わせれば、金価格は2,200ドルまで上昇する余地がある」(ファイナンシャルプランナー深野康彦)  まあ、私はいくら金があっても金は買わないがね。  オフショア生保をご存じだろうか? 日本に支社や子会社を置いていないため自分から海外に行って手続きをしなくてはいけない生保なのだが、香港などで人気の元本保証の養老保険は、外資なので米ドルか香港ドルだが、月々3万円程度から始められ、5~25年の満期が設定されていて、利回りのよいものだと年利4.75%で複利運用してくれる。  45歳のサラリーマンが月3万円ずつ積み立てると65歳になれば運用益だけで500万円近くになる。リスクがまったくないわけではないそうだが、月々3万円ならやってみてもいいかもしれない。  ネットオークションは消費税もかからず、うまくやれば家計の足しになる。落札額で迷う人は「オークファン」というサイトがあり、楽天やヤフー、モバオクなどのネットオークションに出品されている商品の落札価格が調べられる。リスクもあるが、家計の助けになること間違いないそうだ。  その他に「ギリシャから学ぶ国破れて山河あり」は、財政破綻したギリシャや夕張がどれほど酷いことになったかを知ることで学べ、と言っている。 「こんな赤字国なのに、世界的に高水準の生活をしているのがおかしいんです。現在の生活水準を2割落として貯蓄に回し、最低でも現在の年収分の貯蓄を作る。ギリシャの人たちのように慌てないために、いずれ来る財政破綻に備えて、今から生活水準を下げておくのです」(東京福祉大学大学院水谷研治教授)  これからの「大変な時代」を生き抜くためには、きれいごとだけではダメで、絞った雑巾をさらに絞るような努力と知恵が必要なようである。もののあわれを感じさせる特集だ。  今週のグランプリは「フライデー」の記事。  浅野忠信(38)は渡辺謙に続いて世界的な俳優への道を歩き始めている。  出演作は70本以上。主演映画『モンゴル』でアメリカアカデミー賞にノミネートされたし、この冬キアヌ・リーブスと共演した『47RONIN』が公開される。  私生活では、95年に6歳年上のシンガー・Charaとできちゃった婚の末に入籍したが、2009年夏に子どもの親権を放棄して離婚した。 「別れる前、彼に女性の影があった。つまり、浅野の不倫が離婚の一因なんです」(テレビ局関係者)  その彼女とも別れて16歳年下の仲里依紗(22)と交際中なのだ。仲はスウェーデン人の祖父譲りの端正なルックスで人気の若手女優。昨年は映画『モテキ』で好演し、現在はフジテレビ系の月9ドラマ『ラッキーセブン』に出演中。  1月下旬の午後3時過ぎ。大阪の「アメリカ村」に真っ黒なサングラスを掛けたUKロック調なカップルが現れたと書いている。  あちこちウインドショッピングを楽しんだ後、心斎橋筋の商店街を北上。カフェに入り、通りに面したソファに並んで座り1時間ほどくつろぐ。  御堂筋のランドマーク、大丸前で信号待ち、手をつないでいた2人が見つめ合い、浅野が仲を引き寄せ、仲も両手で抱きつき、浅野が彼女の唇にチュッ! 一度顔を離すも再びチュッ!  この後、新幹線ホームで帰る仲を送って名残を惜しむ浅野。周囲を気にせず抱き合う。  とまあ、こうしたシーンが5枚の写真でバッチリ写っているのだ。  すごいのは巻頭の写真。浅野と仲が、まるで記念写真を撮るかのように正面を向いて写っている。  浅野は仲の肩に腕をまわし少し笑っている。とてもいい写真だ。これは2人も欲しがるのではないか。お見事フライデー!  最後に気になった記事を書いておきたい。  「週刊朝日」に吉本興業の中田カウスのインタビューが載っている。カウスがビートたけしと暴力団との本当の仲を話したとあるので期待して読んだが、まったくの期待外れだった。  「週刊文春」でたけしがカウスにハメられて渡辺山口組五代目組長(当時)に会わされたと告白していたことについて、会わせたことは認めたが、偶然会ったので意図的ではないし、組長とは20年近く会っていないと話している。  どちらの言い分が正しいのかはわからないが、全体がカウスの弁明で、勝手な言い分をそのまま載せただけのお粗末なインタビューである。  吉本興業を牛耳っているといわれる怪しい芸人の「疑惑」に切り込まなければ、この男を出してくる意味がない。「朝日」よ、猛省を。  「週刊ポスト」が東日本大震災の弔慰金(命の値段)に民と官で相当な開きがあると告発している。民間人は800万円で公務員は2660万円だそうである。なんたる格差。公務員には民間の大企業並みの見舞金や援護金が支払われ、それと別に市町村共済組合や関連公益団体から弔慰金が出るのだ。それらを合計すると、驚くほどの格差が出る。自分の命を落として中国人研修生20名を救った女川町の水産加工会社佐藤充専務にも、公的な補償は800万円なのだ。こんな官民格差があっていいはずがない。「ポスト」はいいところを指摘した。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
年収100万円の豊かな節約生活 世知辛い世の中です。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・「何が悪いんですか?」ヤフオクに勤しむ"バカ補佐官"のあきれた言い訳  ・サムスンの躍進を止められるか!? 落日パナソニックに迫られる刷新の時大間のマグロ漁の影にも原発マネー 口には出せない漁師の本音とは?

「何が悪いんですか?」ヤフオクに勤しむ"バカ補佐官"のあきれた言い訳

motoki130.jpg
「週刊新潮」2月2日号 中吊り広告より
第1位 「ネットオークション三昧の『バカ首相補佐官』」(「週刊新潮」2月2日号) 第2位 「激震スクープ! 福山雅治・吹石一恵『超厳戒忍び愛』撮った!」(「フライデー」2月10日号) 第3位 「スクープ 警察庁が秘かに作った『天下り斡旋会社』を掴んだ」(「週刊ポスト」2月10日号)  今週も大地震が来るという特集を各誌でやっている。「もう避けられない東京直下型大地震」(週刊現代)、「首都破壊『大津波』を生き延びるための基礎知識」(週刊新潮)、「首都直下型地震 最悪のシナリオ」(週刊朝日)。  各誌のタイトルを見ているだけで、地震の来ない国へ行ってしまいたい気持ちになる。 これまでこの件について触れていなかった新聞も、「東京大学地震研究所の研究チームが、マグニチュード7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算をまとめた」と読売新聞がスクープした。  この情報の出方を見ていると、どこか(政府機関)が情報リークをしていると思わざるをえない。国民がパニックを起こさないように、初めは週刊誌に書かせ、それから新聞。テレビでやり出したら切迫してきたと思わなくてはいけない(そう思っていたら1月30日のNHK『ニュースウオッチ9』で大地震が来るか? という特集をやっていた。これってマジやばいぞ)。  的中してほしくはないが、相当な確率で数年以内、もしかすると明日、大地震が起きても不思議ではない危険水域にあるのだろう。  「現代」によれば、津波などを除くと一番危険なのは寝室だそうである。寝室にあるタンスやテレビが飛んできて押し潰されるのだ。早速、寝室のタンスやテレビ、本箱には転倒防止をしなければ。  さて、今週の第3位はジャーナリスト・青木理と「ポスト」取材班による警察庁の告発ルポ。  民主党が高々と掲げた「天下り斡旋の根絶、公務員制度改革」は選挙のときだけの口先公約でしかなかった。  民主党政権誕生前の2007年、安倍晋三内閣のとき、各省庁によるOB天下りの斡旋を禁じる改正国家公務員法が成立している。  内閣府に「官民人材交流センター」を設置し、国家公務員の再就職斡旋をここに一元化。これに違反すると、最高で懲役3年以下の刑事罰が科せられることになったのだが、今も法の網をかいくぐって天下り斡旋が行われている。  しかも、「法と秩序の番人」たるべき警察組織のトップが、国家公務員法の規定をないがしろにし、OBたちの天下りを斡旋するダミー会社をつくって「脱法行為」をしているというのだから、あきれ果てるではないか。  そのダミー会社は千代田区平河町にある「株式会社サン綜合管理」。同社の代表取締役に就いているのは人見信男で、東大法学部を卒業して72年に警察庁入りし、警視庁副総監や交通局長などを歴任した大物警察官僚OBである。  すべての役員が警察官僚OBで固められており、会社設立から半年にも満たない08年9月1日に、登記上の目的欄に「職業紹介事業」という一項が追加された。改正国家公務員法が成立してから間もない時期である。  警察庁関係者がこう話している。 「実際の斡旋や調整は(警察庁の)長官官房人事課の意向に則ってやるわけだけれど、あくまでも民間の会社がやっていることだという建前を押し通せば、違法行為ではないと言い逃れることができる」  そのために警察庁で人事課長もやり、天下りやOB人事のウラもオモテも知り尽くした人見に白羽の矢が立ったというのだ。  人見にも直撃して「後輩のために天下りの斡旋」をしていることを認めさせている。  政権交代の混乱のために公務員制度改革は迷走し、「官民人材交流センター」も機能停止しているからといって、法の番人である警察自らが巨大な利権を維持し、裏支えするために限りなく違法に近い「脱法行為」をしていいはずはない。  そうでなくとも近年、風俗やパチンコ業界なさまざま々な分野で「規制権限」を強め、キャリア官僚を中心とする天下り利権を拡大させてきているのだ。  先頃整備された「暴力団排除条例」も、背後には警察OBたちの天下り先拡大の狙いがあるといわれる。暴力団関係者との接触に神経を尖らせる企業が警察OBを受け入れる動きに出ているからである。  この問題はぜひ国会で取り上げ、追及してほしいものだ。  福山雅治といえば、私でもよく知っている超大物俳優である。これまでも内田有紀や白石美帆、小西真奈美などとウワサになったが、しばらくして消えていった。 「福山は、女性ファンからのイメージを本当に大切にします。(中略)外で女性とふたりきりで食事をすることもないので、誰も交際の確証が得られないんです」(芸能プロダクション幹部)  その福山に、真剣交際している若手女優がいるというのだ。しかも、その彼女は涙ぐましいほど福山のことを想って、人目を忍んで福山のマンションに出入りしているというのである。  その女性の名は吹石一恵。現在、大河ドラマ『平家物語』で非業の死を遂げる清盛の母を熱演中である。  12月中旬の深夜0時前。吹石が大きなバッグとペット用のキャリーを持っている姿が捉えられている。キャリーの中はパンダ柄のウサギ「大吉くん」。タクシーで彼女が目指したのは福山のマンションだった。  ふたりの出会いは11年前になるという。雑誌「an・an」(マガジンハウス)の企画で、福山が当時18歳だった吹石の高校卒業記念に撮影したのがきっかけだった。  昨年の12月25日、クリスマスの夜にも、大きなバッグを持って福山のマンションへ向かうところを目撃されている。だが、マンション手前でタクシーを降りた吹石はエントランスのカードキーを取り出したが、近くに見慣れない車が止まっているのを訝り、またタクシーで戻ってしまった。 「彼女は、福山がファンのイメージをとても大切にしているのを分かっているのでしょう。だから福山に迷惑をかけないように、会うのは常に彼のマンションなのだと思います」(音楽プロデューサー)  男のことを想い、夜の闇に隠れて逢瀬を重ねる女。何とも切なくいじらしい女心ではないか。「吹石頑張れ!」とでも言いたくなるね。  今週並みいる傑作を押しのけてグランプリに輝いたのは「新潮」の「バカ補佐官」。  「新潮」に呼び捨てされているのは手塚仁雄(よしお)代議士、45歳。野田佳彦総理の首相補佐官殿で、野党と官邸の間に立って野田総理の意思を伝え、意思疎通をはかる重要な立場にいる。  野田総理を利用して自分の選挙を有利にしようとしていると批判されているが、それはともかく、多忙を極めているはずの手塚が、実は政策秘書までこき使ってYahoo!オークションの競売に熱心なのだというのだからあきれ果てる。  この特集はモノクログラビアとセットである。手塚がヤフオクに出品した品々が出ていて、その小見出しが「いらっしゃいませ!手塚商店国会営業所」とある。実にうまい!  ボッテガヴェネタのボストンバッグの商品説明には「海外の正規店で購入した時は40万円以上でした」とあり、現在の状態が事細かに書かれている。これだけでもかなりの時間がかかりそうだ。しかも、そのボストンが撮られた場所が議員会館の会議室だそうだ。  ハンドルネームには息子の名前を使い、IDに含まれる数字は「440」(よしお)。昨年6月から約240日間に取引された件数は最低でも241回。土日もなく取引に励んでいたというのだから、もはやビョーキの域なのではないか。  出品している品は「マーク&ロナ 新品スカルポロシャツ」「グッチ ナイロン製ミニリュック」「フェラガモ ビジネスバッグ」「越乃寒梅 大吟醸 超特選」など幅広い。  競り落とした品はミニカーが多いようだが、9万400円で「クロムハーツのブレスレット」、26万9800円で「ボッテガヴェネタ メンズバッグ」。  ヤクオクに出品する品には必ず写真が添付されるが、先に触れたように、いくつかの品は議員会館の部屋で撮ったようだ。  ある人物が商品を落札したところ「国会内」と書かれた切手が貼られた上に、振込先の名義がテヅカヨシオで、送り主は彼の秘書だったそうだ。  「新潮」の取材に対して手塚の弁明がすこぶる面白い。彼から送られてきた封筒に「国会内」と書かれた切手が貼られていたが、という質問に対して「国会の郵便局から出して何が悪いんですか」と開き直る。  やりとりの中で、プライベートな取引に使用するIDまで秘書に使わせていたことを白状する。  さらに、議員会館内で品物の写真まで撮っているのは公私混同と批判されても仕方ないのでは、という質問に対しても、こう答えている。 「国会議員の特権を使っているわけでもないし、趣味の延長だし、こんなことでの取材自体、ちょっと度を越していると思います」  度を越しているのはあんたのほうではないか。  この御仁、私的なヤフオクの取引のために、会館で写真を撮ることや秘書を使うことが、国会議員の「特権」の乱用で、税金の無駄遣いであることにも気づかない。  間の悪いときは仕方ないものである。「現代」のカラーグラビア「人生の相棒」という連載にもトイ・プードル「権之助」と一緒に締まりのない顔で手塚が写っている。  キャプションに「総理補佐官に就任。(中略)多忙な毎日を送っている」とあるが、これは「ヤクオクへ掲載する品の物撮りや、商品発送、落札などで超多忙な毎日を送っている」と書き直したほうがいい。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
ヤフオク 史上最強の出品テクニック ぜ~んぶ教えます。 愛読しているの? amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・サムスンの躍進を止められるか!? 落日パナソニックに迫られる刷新の時大間のマグロ漁の影にも原発マネー 口には出せない漁師の本音とは?宮根誠司に隠し子! でも......"芸能人を潰さないスキャンダル報道"の在り方 

サムスンの躍進を止められるか!? 落日パナソニックに迫られる刷新の時

motoki0123.jpg
「週刊文春」1月26日号より
第2位 「衝撃スクープ 金正男 独占告白!『金正恩、わが宿命の弟よ』」(「週刊文春」1月26日号) 第2位 「落日パナソニック」(「週刊東洋経済」1月28日号) 第3位 「M8M9大地震 そのとき最悪の場所にいても『生き延びる』方法を教えます」(「週刊現代」2月4日号)  この原稿を書く朝は、その日発売される週刊誌の新聞広告のタイトルを、ワイドの一本一本まですべて見て、あらかじめこれはと思う記事を絞っておく。  だが実際に読んでみると、羊頭狗肉の記事だったりすることもある。また、予期しなかった記事が面白くて読み耽ってしまうことがある。  今週でいえば、「東洋経済」は「暴力団対策と企業」という特集が読みたくて買ったのだが、パナソニックの記事が面白くて全20ページを一気に読み通した。  これについてはあとで触れるが、まずは「現代」の地震の記事から。  今朝(1月23日)の読売新聞1面にこんな記事が載った。 「マグニチュード(M)7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震研究所の研究チームがまとめた。(中略)昨年3月11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によると12月までにM3~6の地震が平均で1日当たり1.48回発生しており、震災前の約5倍に上っている。同研究所の平田直(なおし)教授らは、この地震活動に着目。マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した」  先日、政府の地震調査研究推進本部が発表した「首都直下を含む南関東の地震の発生確率は30年以内に70%程度」と比べて、はるかに早く大地震が起こると予測している。  このところ「現代」ばかりでなく、サンデー毎日「覚悟すべき巨大地震と本当の備え」、週刊文春「『M8M9大地震予知』を一挙公開」、プレイボーイ「四連巨大地震急接近中!」と、各誌取り上げだした。  いつかは必ず来る首都圏直下型大地震。もはや悠長に構えている場合ではないのかもしれない。  「現代」はモノクログラビアで、日本列島が「地震の巣」と化していると図解している。気象庁は、この1年間に発生した震度1以上の地震は9,723回で、前年の7.4倍にもなっていると発表した。  京都大学防災研究所・地震予知研究センターの遠田晋次准教授はこう語っている。 「3.11以降、地震に対しもっとも注意すべき地域は、首都圏だと思っています」  M9という日本史上最大級の地震により、大陸間プレートや断層が押し合う力に変化が生まれ、以前よりも地殻のストレスが増してしまった場所がある。  首都直下は1855年の「安政江戸地震」以来およそ150年起きていないが、3.11の地震の影響で再発時期が早まっている可能性があるというのである。危険度は震災前に比べて2~3倍に増したという。  大地震の激しい揺れをどこで迎えるのかは生死にかかわるが、そればっかりは選べない。地下鉄、高層ビルで被災したらどうすればいいのかを、特集で解説している。  まずは地下鉄。3.11のときは東京メトロ飯田橋駅につながる地下道に水が流れ出した。0メートル地帯や河川のそばにある地下鉄出口は危険性が高い。  和田隆昌災害危機管理アドバイザーによれば、水かさが増す前に線路に降りて、とにかく高いところへ逃げることだという。トンネル内にはエリアによってかなりの高低差があるから、低い駅から高い駅に1駅移動するだけで被害を免れる可能性がある。  地下鉄内には「非常口」がないから、駅を目指すしかないのだ。  東京スカイツリーの展望台で地震に遭遇したら、ゆっくりとした大きな揺れが長く続く長周期地震の影響を受ける可能性もあるので、窓辺から離れ、なるべく建物の中心に近い場所にある手すりなどを掴んで揺れに対処する。  高層ビルのエレベーターに閉じこめられたら、床に座り扉を叩いて救助を呼ぶ。そのとき役に立つのがレジ袋だそうだ。閉じこめられている間の排泄物入れに使える。  同じように比較的安全だといわれるトイレに閉じこめられたら、水を流さず、タンクの水をいざというときの飲料水としてとっておくのがいいそうだ。  その他に、手術前は、手術中だったら、動物園で猛獣の前にいたらと、懇切丁寧に教えてくれているが、このようなことが役に立たないように祈るしかない。  「東洋経済」の大特集「暴力団対策と企業」は、暴力団の実態や暴力団排除条例とはどういうものかというQ&A、主要企業・業界団体へ「暴排条例」アンケートなど充実した内容で、企業の総務担当者は必読だろう。  これを読もうと買ったのだが、パナソニックの記事を読み始めたら止まらなくなってしまった。  SONYやパナソニックのような大企業が韓国のサムスン電子などに押されていることは知っているが、ここまでひどいのかとため息をつかざるをえない。  クルマでも韓国の現代自動車が躍進していて、トヨタも日産も安穏としてはいられないそうである。  たしかに韓国の企業の躍進ぶりは目覚ましいが、パナソニック落日の要因は、歴代経営者たちの判断ミスが大きいようだ。  これまでのような周期で社長交代があるとすれば、今年2月下旬に交代が発表されるのではないかといわれている。3人の有力候補がいるそうだが、中でも「この男ならば」と社員やOBたちにいわれているのが津賀一宏(55歳)だそうだ。  技術畑で出身で04年に最年少で役員に就任。彼は上に対しても直言することで有名で、パナソニックの主力であるプラズマテレビのパネルをつくるために2,100億を投じた尼崎第3工場を、すぐ閉めるべきだと主張したことがある。  その工場は1年半前に稼働させたばかりの最新鋭工場だったが、津賀の発言から3カ月後に停止された。また40型のプラズマテレビなどの不採算部門から撤退し、テレビ部門の55歳超の社員を2011年内に全員退職させたのも彼だった。  彼の「執行力」に経営者としての資質ありとみているようだ。ただネックは55歳という若さだという。  今の株価は611円(1月17日)。サムスン電子の時価総額はパナソニックの1.5兆円に対して10兆円。勝負あり。  こうしたパナソニックの凋落の原因を「経営の失敗」だと断じる。中村邦夫という存在が大きすぎて世代交代を遅らせてしまったこと、組織風土が旧態依然の思考様式から脱却できないことだと手厳しい。  中村院政の下、今の大坪文雄社長は「工場長型であって経営者ではなかった」という批判が社内にある。  柱であるテレビ事業の躓きは、中村がぶちあげた「プラズマテレビに社運をかける」というプラズマ拡大路線だったが、液晶との戦いはパナソニック側の無惨な敗北となってしまった。  中の2ページコラム「中村邦夫という聖域」で、中村がビジョンに優れたリーダーだったら院政を敷いてもよかったが、彼にはそれがなかったため、軌道修正ができず、誤った方向へパナソニックを走らせてしまったとしている。  パナソニックが世界で勝てる商品は「僅少」だ。カーナビ、冷蔵庫、家庭用エアコン程度しかない。次世代テレビといわれる有機ELテレビでもサムスンに大きく水をあけられ、パナソニックは「不戦敗」。  ブランド力が低下し、グローバル展開もままならず、高齢化(平均年齢44.6歳)に悩むかつての巨人の姿は、トヨタの将来を暗示しているようでもある。  次世代のクルマといわれる電気自動車においても苦境に立っている。なぜならパナソニックの生産しているのはニッケル水素電池で、車載用電池はリチウムイオン電池が主流なのだ。まさに四面楚歌。  特集の最後をこう結んでいる。 「車搭載用リチウムイオン電池の開発は、世界で始まったばかりである。パナソニックにも等しく与えられたチャンスを生かせるかは、ひとえに、首脳陣の決断にかかっている」  「東洋経済」という経済専門誌がこうした特集を組んだことに拍手したい。今でもパナソニックは、国内最大級のシェアを誇る広告出稿企業である。一般週刊誌でこれだけの厳しい批評力をもって特集が組めるだろうか。  編集者はみんな、この特集を読むべきだと思う。  「文春」が「金正男 独占告白!『金正恩、わが宿命の弟よ』」をやっている。これは"世界的スクープ"だが、残念ながら東京新聞編集委員の五味洋治が文藝春秋から出す『父・金正日と私』(1月20日発売)のパブ記事であるために、東洋経済と同じ第2位とした。  五味は金正男(40)に過去2回、延べ7時間のインタビューをし、約150通のメールのやりとりをしたそうである。  正男は金正日総書記に溺愛され9歳の頃からスイスに留学したが、その後、正日が再婚して子どもができたためそちらへ愛情が移り、外国に置かれたまま放任されているうちに、本人曰く「完全な資本主義青年」になったそうである。  そのためか父・正日にも直言することができ、核実験やミサイル発射実験したときには、国際社会が憂慮していると言ったという。  彼が1月3日に送ってきたメールにはこうあった。 「この世界で、正常な思考を持っている人間なら、三代世襲を容認はできません」  正男は正恩とは一度も会ったことがないそうだが、正恩のことをこう心配している。 「祖父(金日成主席)に容貌だけ似ている弟の正恩が、どれだけ北朝鮮の人々を満足させられるか、心配です」  さらにこう注文をつける。 「(後継者として)何をやるかが問題でしょう。北朝鮮の住民が潤沢に、豊かに暮らしていけるようにしてほしいと願います。兄としてです。この言葉を受ける度量があると信じています」  金正恩体制のこれからについては、彼を象徴として存続させ、既存のパワーグループが引き継いでいくと見ている。  五味によれば、正男という男ただの放蕩息子ではなく、忠臣蔵の大石内蔵助のように、わざと遊び人のふりをしているのだそうだ。  一つ間違えば弟から粛正されかねない孤独な兄。正男がこれからどのように動くのかが、北朝鮮を見る上で重要になることは間違いないようである。 ***  蛇足ですが、嵐山光三郎さんや坂崎重盛さんたちと、江戸の食や老舗のお店、街歩きの楽しみを紹介して、江戸創業の食の老舗一覧も掲載した『江戸東京 味の散歩道―歩き味わう歴史ガイド』(1,680円/山川出版社)を出しました。よろしくお願いします。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
江戸東京 味の散歩道―歩き味わう歴史ガイド よろしくね♪ amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・大間のマグロ漁の影にも原発マネー 口には出せない漁師の本音とは?宮根誠司に隠し子! でも......"芸能人を潰さないスキャンダル報道"の在り方  ・米軍イラン攻撃、富士山噴火、紳助復帰......"賢者"が2012年を大胆予言!

大間のマグロ漁の影にも原発マネー 口には出せない漁師の本音とは?

motoki130116.jpg
「週刊ポスト」1月27日号 中吊り広告より
第1位 「どうしても増税したい大メディアと野田官邸の『頭ン中』」(「週刊ポスト」1月27日号) 第2位 「独占スクープインタビュー 吉本興業創業家当主が初めて語る『紳助復帰?ありえない。本当のこと話します』」(「週刊現代」1月28日号) 第3位 「大間マグロと原発マネー」(「AERA」1月23日号)  年末年始から週刊誌に活気がない。誌面から立ち上ってくる勢いが感じられない。  東日本大震災の復興もいまだ手につかず、原発事故の収束の目処はたたず、政局も世界経済も混迷のままである。  こんなときこそ週刊誌がどんよりした世の中を目覚めさせるスクープに期待したいのだが、そうした記事にお目にかからないのは残念だ。  さて今週、あまり期待していなかったが読んで面白かったのはAERAの記事。  今週の1行コピーに「新編集長は一色、アエラは多色」というあまり感心できないコピーが載っているが、『報道ステーション』(テレビ朝日系)でコメンテーターをやっていた一色清が編集長に就任したようだ。たしか彼は2度目だが、部数減をくい止められるかな。  今やマグロの最高峰になった大間のマグロ。1月5日の東京築地市場で史上最高値の5,649万円(269キロ)を叩き出した。  地元で食べるマグロ丼でも3,000円するそうだ。その大ブランドのマグロの町・大間町は下北半島の突端に位置し、人口6,000人強で、長い間積雪と強風で隔絶された陸の孤島だった。  大間のマグロの名が全国に知られるようになったのは最近だという。ある時期、青函トンネル建設の影響か不漁が続き、多くの漁師が廃業に追い込まれた。  そこへ電源開発による原子力発電所建設の話が持ち上がり、1984年12月に大間町議会は誘致を正式決定する。  漁師たちは一斉に反発したが、「10年にわたる電源開発側の工作により、最後は多額の補償金で漁民は屈服させられた」と長年大間原発の取材をしているルポライター・鎌田慧が語っている。  組合員923人いる大間漁協には96億円が転がり込み、さらにプルトニウムを消費する「フルMOX」型に原子炉が変更されると、増量する温排水分として22億5,000万円が上積みされた。  この他、電源三法により10年度までに大間町には67億円が交付され、原発が完成すれば16年間にわたって440億円の固定資産税収入が見込まれているのだ。  そんな中で2001年の正月に築地市場で202キロの大間産マグロに2,020万円の値がつき、メディアが殺到した。00年のNHKの朝ドラ『私の青空』が大間町を舞台にしていたこともあって、ここから大間のマグロの快進撃が始まる。  07年に渡哲也主演のドラマ『マグロ』(テレビ朝日系)が決定打となり、大間のマグロのブランドは定着した。だが、なぜその番組に10億円の巨費を投じることができたのか、そのカネはどこから出たのか真相はハッキリしないという。そのドラマの中で当然ながら大間原発の存在が語られることはなかった。  大間町観光協会が主催する「超マグロ祭り」という人気イベントがある。目玉はマグロの解体ショー。この後援の一つが電源開発。  原発マネーで潤った漁師たちは、最先端の漁業設備を漁船に搭載したが、そのときも漁協から一人当たり2,000万円前後が支払われたといわれる。  高度な魚群探知機や針にかかったマグロに電気ショックを与えて気絶させ、鮮度を保ったまま水揚げできる大間独特の漁具も一気に進化した。  原発マネーが大間のマグロ漁を近代化させ、テレビによって全国ブランドとなっていったのである。  東日本大震災以降、大間漁協でもマグロの放射線量の検査を始めた。今のところセシウムなどは検出されていないが、マグロ漁を引き継いだ30代のAさんはこう言っている。 「漁業権を放棄した福島の漁師たちが声をあげることもできずに、無気力に浜に佇む姿が自分たちの未来と重なる。オヤジたちがもらったカネの意味がようやくわかりました」  原発事故以来、大間原発建設工事は止まっている。進捗率は38%。金澤満春大間町長は、「国のエネルギー政策を理解し、立地に協力してきた住民の思いは揺るがない」と工事再開への姿勢を崩していない。  原発誘致の話があった頃、大間のマグロが全国で注目を浴びていたら、国も電源開発も、ここに原発を造ることは断念していただろうと、ベテラン漁師が話している。  1月15日夜のNHKスペシャルは福島第一原発20キロ圏内の海の放射能汚染を調べる研究者たちを追っていた。案の定、海底の泥が500ベクレル/Kg以上を計測する箇所があちこちにあり、中には4,520ベクレル/Kgという驚くべき数値を示す超ホットスポットもある。  さらに取材班は東京湾を調べるが、ここでも驚くほど放射能汚染は拡がっていることが分かる。特に江戸川や荒川の河口付近では1,623ベクレル/Kgもの数値が出た。  調査している人間によると、2年2カ月後にはさらに汚染は深刻になるという。ここでも 「海に流れた放射能は拡散して薄まる」といった東電や保安院のウソが明らかになった。  大間原発に事故が起きれば大間のマグロは致命的なダメージを受ける。だが、マグロで暮らしていけるのだから原発はいらないとは口に出せない。こうした現実を私は知らなかった。同じ青森県にある六カ所の再処理工場と合わせて考えなければならないことである。  第2位は、あの島田紳助に「復帰してほしい」とラブコールを送った吉本興業の大崎洋社長の発言に、創業家の当主が「常識を疑う」と批判した「現代」の記事。  林正樹(40)は吉本創業の礎を築いた祖父、社長・会長の父を持つが、経営陣と創業家の争いがあったため、経営陣によって吉本を追われた。  吉本の経営のおかしさや、ここ半年、芸人のギャランティの支払いが遅れていることに言及しているが、彼の話の中で一番重大な点は、05年8月12日の出来事である。  その日はSHIBUYA-AXというライブハウスで吉本所属のFayrayという歌手のライブがあった。  Fayrayは大崎が自ら発掘し芸名もつけた。ライブの開演前に大崎は会場にいる20代前半と思しき女の子を指さしてこういったのだ。 「あれは五代目の娘や。歌手になりたいと言ってると、カウスさんから頼まれた。ウチでレッスン受けさして、R&C(註・子会社のレコード会社)からCDを1~2枚出したら満足するやろ」  この山口組五代目渡辺芳則組長の娘のデビュー計画は頓挫したらしいが、吉本側が担当社員もつけて歌唱レッスンをさせていたのである。  この事実だけで、大崎社長の首が飛んでもおかしくない。吉本と暴力団とのつながりは長く深く強い。歴代の社長たちが親しく暴力団と付き合ってきたから、カウスという準構成員のような芸人が幅をきかし、その下にいる紳助が同じことを真似て、おかしいとは思わない。  推測するに、大崎社長が紳助の復帰を堂々と公言するのは、紳助のバックにいる暴力団連中から何か言われたからではないか。  明石家さんまは「フライデー」の取材に対して「紳助、復帰してほしくないわ」と言っている。大崎社長は身内からのこの言葉を重く受け止めたほうがいい。さもないと、今はいうがままになっているテレビ側が目覚めて、吉本の芸人を一斉にテレビから締め出す事態だって起きかねないと思う。 NHKの大河ドラマは『平清盛』である。大崎社長へこの言葉を贈ろう。 「祗園精舎の鐘の声、 諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、 盛者必衰の理をあらはす。 おごれる者久しからず、 唯春の夜の夢のごとし。 たけき者も遂にはほろびぬ、 偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ」  今週のグランプリはポストの大メディア批判記事。大メディアは増税すべしという論調でここまで来ているが、その裏には野田佳彦首相や官僚とメディアの癒着構造があると歯切れよく叩き切っていて小気味いい。  朝日新聞や読売新聞は社説でも野田首相の増税路線を支持しているが、大メディアは裏で、増税反対の論陣を張る元官僚やジャーナリストをパージし始めているのだ。  まずはカネのバラ撒きから。昨年12月4日付けの全国紙と地方紙71紙に、政府が社会保障と税の一体改革についてという全面広告を出したが、これに総額3億円の税金が使われた。  増税反対派の言論封殺の指揮をとっているとされるのは財務省の香川俊介官房長で、彼は「財務省の天皇」といわれる勝栄二郎事務次官直系である。  最初にターゲットにされたのが元経産官僚の古賀茂明。古賀自らが某テレビ局幹部に香川官房長官が電話を入れ、「古賀を出しているような局に安住淳大臣は出せない」と圧力をかけたことを明かした。  やはり元財務官僚の高橋洋一も「ブラックリストの筆頭」にあるといわれ、対談や討論番組への出演依頼後にキャンセルされることが何度かあったという。  また出演しても、増税論派を論破したところはカットされてしまった。  財務省が毎年年末に予算の政府原案がまとまると各紙の論説委員と経済部長を集めて「論説委員経済部長懇談会」を開くのだが、長谷川幸洋東京新聞論説副主幹は、突然そこから排除されてしまった。  また全国紙の中では唯一増税批判の姿勢をとってきた産経新聞には、昨夏、国税の税務調査が入った。そのためか税務調査後は「増税やむなし」という論が産経でも目立つようになったと、「ポスト」は書いている。  先の論説懇談会の夜、野田首相は東京港区の高級料亭で朝日新聞の星浩編集委員、毎日新聞の岩見隆夫客員編集委員、読売新聞の橋本五郎特別編集委員と酒食をともにしたのである。  星は1月8日の朝刊のコラムでこう書いている。 「権力監視が仕事であるメディアが『増税を容認すること』への疑問はあるだろう。しかし、先進国で赤字が膨らみ、危機からの脱出策を探っている現在、メディアの役割は『監視』だけでは済まない。国の再生に向けて、政治に『結果』を求めることが必要になってきた」  朝日新聞が増税推進であることの自己弁護のような書き方である。  さらに驚くのは、新聞協会が政府に対して、消費税が10%になっても、新聞はゼロにしてくれと裏取引をし、テレビはテレビで震災を口実に放送設備を新設するに当たって減税を要求しているというのだから、あきれた話だ。  しかし朝日新聞など大メディアの増税キャンペーンは功を奏さず、朝日の世論調査結果によると、消費増税の政府案に賛成は34%、反対派57%となり、反対が6割に迫ったのだ。  大メディアがいかに国民の感覚からズレているかという証である。こうした大メディア批判は最近「ポスト」の独壇場になった。読者目線で物事を考える。我々は先輩からそう教えられた。「ポスト」はそれを忘れていない。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
大間まぐろ 天然 本マグロ 中トロ サク 2人前 200g 食べれるうちに。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・宮根誠司に隠し子! でも......"芸能人を潰さないスキャンダル報道"の在り方  ・米軍イラン攻撃、富士山噴火、紳助復帰......"賢者"が2012年を大胆予言!千客万来で競争激化! 復興景気に沸く東北・仙台のネオン街

宮根誠司に隠し子!でも……"芸能人を潰さないスキャンダル報道"の在り方

seven0109.JPG
「女性セブン」1月19・26日号
第1位 「スクープ独占告白 宮根誠司(48)に隠し子!」(「女性セブン」1月19・26日号) 第2位 「宮崎あおい衝撃の『不倫疑惑』相手は超有名ジャニーズアイドル」(「週刊文春」1月5・12日号) 第3位 「首都厳戒 山口組VS関東連合『新時代の抗争』全内幕!」(「週刊アサヒ芸能」1月12日号)  年末年始の合併号は残念ながら、この時期らしい華やかな記事が見当たらなかった。わずかに「ポスト」がAKB48のクリアファイルを袋とじでつけたのが新年合併号らしく感じられただけだった。  子どもの頃、新年号というと近くの本屋へ飛んでいき、本屋のオヤジさんにハタキで叩かれそうになるまで、迷いに迷って1冊を選ぶときのワクワク感は忘れられない。  付録は雑誌の華であった。宝島のブランド品でなくていいから、こんなのがほしかったんだという夢のある「付録」をつけることを考えてみたらどうだろう。  考えればいくらでもあるはずだ。「フライデー」ならAKB48前田敦子がつけている香水の香り付き等身大ポスター。「現代」なら立川談志師匠の手拭い。「ポスト」なら小沢一郎のサイン入り色紙(笑)。  さて1月7日に韓国映画『哀しき獣』を見た。監督は『チェイサー』のナ・ホンジン。 「主人公のグナム(ハ・ジョンウ)は、中国・延吉に住む朝鮮族のタクシー運転手。生活苦の中、借金取りに追われているが、韓国へ出稼ぎに送り出した妻とは音信不通の上、賭け麻雀で大負け。そこに取引を持ちかけてきたのが、殺人請負業者のミョン(キム・ユンソク)。ソウルに行き、ある男を殺せば、借金を帳消しにするという。うまくいけば妻も見つけて、やり直せる。グナムは密航船で黄海を渡って韓国に入るが、待っていたのは、さまざまな黒い思惑がうずまく世界。罪をかぶせられて警察から追われる身となり、ミョン、そして標的を狙っていたもう一人の男、テウォン(チョ・ソンハ)からは、命までも狙われる」(読売新聞1月6日)  うらぶれた延吉や韓国の裏町がいい雰囲気を出している。徹底した暴力と血しぶき、迫力あるカーチェイス。これぞフイルムノワールの傑作である。  こうした映画を日本の作品で見ることができなくなって久しい。かつては『仁義なき戦い』や『仁義の墓場』などの深作欣二監督作品、一連の『昭和残侠伝』はヤクザの世界を素人衆に垣間見せてくれた。  めったやたらに人を殺す映画ばかりつくってきたビートたけしも、最近はバイオレンス度が低くなってきている。  昨年話題になった「暴力団排除条例」の以前から、ヤクザを賛美したり暴力を肯定するような映画は自粛するようになってきている。  新宿・歌舞伎町が石原慎太郎都知事のおかげで殺菌されたような無味乾燥な街になり、浅草も錦糸町も家族揃って遊べる街になってしまった。  ヤクザや暴力団関係者、その周辺の愚連隊(懐かしい言葉だね)が一人もいなくなったわけではない。彼らとて生きていかなくてはならない。いまでも多くのバーや飲食店が上納金を彼らに召し上げられ、売春やクスリは大きな収入源である。だがフツーの人たちは、何か事件でもない限りその存在を忘れて暮らしている。すぐ近くに彼らが生息しているのにだ。  暴力団の情報を知りたければ「アサヒ芸能」「大衆」「実話」を読めばいい。警察寄りではない暴力団の実態が時にはリアルに描かれている。  今週の第3位は「アサ芸」のそんな記事である。新聞やテレビでも報じられたが、昨年12月14日午前2時50分、六本木の雑居ビルにあるキャバクラ店で惨劇が起きた。  ジャージーやダウンジャケットを着たラフな格好の男たちが約20人乱入してきて、店のウイスキーのボトルなどを手にして、奥にあるガラスに囲われた席にいた4人の男をめった打ちにしたのだ。  被害者は山口系の幹部3人と極真連合会の元組員。3人は脳挫傷で意識不明、外傷性くも膜下出血、骨折などの重傷だった。  捜査関係者によると、六本木の路上でのトラブルが原因だったようだが、それにしてもすさまじい襲撃である。  襲ったのは「関東連合」と「怒羅権(ドラゴン)」といわれているが、住吉会系の組員も数人いたことがわかり、すわ山口組が抗争に突入するかと厳戒態勢が敷かれたという。  しかし12月19日に住吉会系組織のトップが詫びを入れ、和解条件を提示したことで話し合いに動いているようだと編集部は見ている。  ヤクザ同士では話がついても「関東連合」や「怒羅権」のような愚連隊とはどうなるのか。  「関東連合」がクローズアップされたのは2010年1月に起きた市川海老蔵暴行事件だ。それ以外でも元横綱朝青龍の暴行事件、押尾学の麻薬譲渡事件、上原美優の自殺などでも、ここの影がちらついているといわれる。  「関東連合」は1970年代に東京の複数の暴走族で結成された連合体だったが、最近世間を騒がせているのは90年代に不良少年だった30代から40代の関東連合OBたちだと、事情に詳しいジャーナリストが語っている。  彼らはクラブに遊びに来た上場企業の社長を美人局でハメ、大金を脅し取ったりして、実業家に転身して成功を収めている連中もいるそうだ。その連中に面倒を見てもらっている後輩たちが群がっている集団なのだ。  「怒羅権」のほうは帰国した中国残留孤児の2世3世が結成した愚連隊。最近では残留孤児とは関係ない日本人もメンバーにいるそうだが、その残忍さは相当なもののようだ。  こうした組織として不透明な愚連隊グループは、「暴対法や組織犯罪処罰法といった法律が成立していく90年代以降に、関東連合をはじめとする愚連隊が増長していった点は見過ごせない」(アサ芸)。こうした愚連隊のややこしいのは、組織自体が流動的で責任者の所在もハッキリしないことだ。  山口組も関東の組織も抗争厳禁の方針を打ち出しているのだから、報復はしにくいだろうと広域組織関係者が話している。  新時代なのかどうかはわからないが、警察に追い詰められている広域暴力団と、それをいいことに傍若無人にふるまう愚連隊グループを、警察はどう取り締まっていくのか。このままでは市民が巻き添えを食う危険性はますます高まってきている。そう思わざるをえない。  第2位は文春の宮崎あおい(26)「不倫疑惑」報道である。  年末に高岡蒼佑(29)と離婚した宮崎だが、その裏にジャニーズアイドルとの「不倫」があったというのだ。  語っているのは高岡の知人で、彼が所属するプロダクションの元社員。離婚を切り出したのは宮崎のほうからで、11月上旬、六本木の中華料理屋で「もう無理だよ......」と、やり直すつもりがないことを告げたという。  その後、離婚届が郵送されてきた。だが高岡は、自分名義で契約している携帯の支払い明細を見て「ある特定の電話番号」と頻繁に通話していることに気がついた。  高岡は意を決して電話をかけてみたが、相手は名乗ろうとせず「何か誤解されていませんか」と繰り返すだけだった。  高岡が相手の正体を知ったのは12月6日の夜。会いたいという高岡の申し出に相手がが応じて、都内の会員制のバーで会ったという。知人がこう話す。 「程なくして現れたのは、ニット帽に黒縁メガネをかけた、V6の岡田准一さん(31)だった。高岡は、さすがに岡田さんが来たことに驚いた様子でした。岡田さんは、高岡と宮崎の結婚式にも来ていましたからね」  始めは相談を受けていただけだと弁明していた岡田だったが、高岡が明細を突き付けると観念して謝った。 「高岡が彼の携帯電話を確認すると、そこには二人の親密さを示すメールのやりとりが残されていました。岡田さんから宮崎さんに送った〈今温泉に来てるよ〉というメールに対し、彼女が〈私も行きたい。また一緒に入ろうね〉と返していたのです」(知人)  岡田は映画『天地神明』(今年公開)で宮崎と夫婦役を演じている。岡田は平謝りで、芸能界を引退するとまでいったという。だが高岡は悩んだ末に離婚届に判をついた。  このスキャンダルはかなりのものだと思うが、テレビではほとんど取り上げられなかったようだ。当代の人気女優とジャニーズ事務所のアイドルとなればそれも致し方ないか。  NHKの『紅白歌合戦』を見ればわかるように、今のテレビはNHKでさえもジャニーズに乗っ取られた感がある。  その上、吉本興業の社長が「島田紳助の復帰を望む」発言をした。この非常識な発言に大マスコミが批判しなかったのはなぜだ。ジャニーズと吉本に牛耳られているテレビの惨状は、まだまだひどくなっていくようだ。  今週のグランプリは女性誌ながらスクープを発信し続ける「セブン」の記事。  『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)や『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で司会を務める宮根誠司(48)に隠し子がいたというのだ。発端は宮根が長年付き合ってきたA子さん(32)の知人から「宮根には奥さんでない人との間に3歳の子どもがいる」という情報からだった。  取材を申し込むと宮根は困った表情を浮かべながらも、一部始終をこう語った。 「A子さんと知り合ったのは6~7年前のことです。彼女は当時、夜のお店の接客スタッフとして大阪・北新地で働いていて、はじめはホステスと単なるお客という間柄でした。(中略)そのうち男女の関係になって、彼女の家にも行くようになりました」  宮根は93年に元モデルと結婚したが04年に離婚する。その後現在の妻であるB子さんと当時は恋人同士で、A子さんには「ぼくとは結婚できない」といってあったという。だが、結婚後A子さんから電話がかかってきた。 「07年の春ごろでした。ちょうど仕事が終わって夕方ぐらいに、ひさびさにA子さんから電話があって......。単刀直入に『子供ができた』といわれました。(中略)そのとき、ぼくが一瞬でも悩まなかったかといったら、嘘になると思います。正直、『困ったな......』とも思いました。だけど、尊い命が、すでに彼女のお腹の中にいると思ったら、ぼくがそれを奪ってええんかって考えて......」(宮根)  妻にそのことを伝えるまで1カ月ほど悩んだという。打ち明けると妻は沈黙を続け、1時間ぐらい経ってからこういった。 「(子供を中絶しなかったのは、)それはとりあえず正解や。あとはあなたのできる範囲で、自己責任でちゃんとやりなさい」  できた奥さんやわ! その前に宮根はA子さんの実家を訪れて両親に頭を下げている。  女の子が生まれたとき、彼は「ぼくにとってカノジョは宝だなって思いました」。2カ月後にその子を認知している。そして昨年5月に宮根と妻の間にも女の子が誕生した。  宮根はこう夢を語ってもいる。 「ぼくが70才ぐらいになったときに『お前ら、集合!』って、ふたりのむすめたちを呼んで、3人で飲みたいですね」  私は宮根の番組をほとんど見たことがない。だがこの記事を読んで見てみたくなった。宮根っていいやつじゃん。  テレビで有名になったためにスキャンダルで潰れていく人を何人も見てきた。だがこの記事にはホッとさせられる何かがある。  昔、結婚式でカミさんの叔父から、こういわれたことがある。 「スキャンダルを書いても、それが出たあと、その人間からありがとうといわれる記事を書く編集者になってくれ」。  自分にはできなかったが、こういう記事のことをいうのかも知れないと、読んでいて思った。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
チェイサー [DVD] ナ・ホンジン監督デビュー作。なかなか芯のある力作ですよ。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・米軍イラン攻撃、富士山噴火、紳助復帰......"賢者"が2012年を大胆予言!千客万来で競争激化! 復興景気に沸く東北・仙台のネオン街2ちゃんサーバー管理会社にガサ入れ! 忍びよるネットの言論統制 

宮根誠司に隠し子!でも……"芸能人を潰さないスキャンダル報道"の在り方

seven0109.JPG
「女性セブン」1月19・26日号
第1位 「スクープ独占告白 宮根誠司(48)に隠し子!」(「女性セブン」1月19・26日号) 第2位 「宮崎あおい衝撃の『不倫疑惑』相手は超有名ジャニーズアイドル」(「週刊文春」1月5・12日号) 第3位 「首都厳戒 山口組VS関東連合『新時代の抗争』全内幕!」(「週刊アサヒ芸能」1月12日号)  年末年始の合併号は残念ながら、この時期らしい華やかな記事が見当たらなかった。わずかに「ポスト」がAKB48のクリアファイルを袋とじでつけたのが新年合併号らしく感じられただけだった。  子どもの頃、新年号というと近くの本屋へ飛んでいき、本屋のオヤジさんにハタキで叩かれそうになるまで、迷いに迷って1冊を選ぶときのワクワク感は忘れられない。  付録は雑誌の華であった。宝島のブランド品でなくていいから、こんなのがほしかったんだという夢のある「付録」をつけることを考えてみたらどうだろう。  考えればいくらでもあるはずだ。「フライデー」ならAKB48前田敦子がつけている香水の香り付き等身大ポスター。「現代」なら立川談志師匠の手拭い。「ポスト」なら小沢一郎のサイン入り色紙(笑)。  さて1月7日に韓国映画『哀しき獣』を見た。監督は『チェイサー』のナ・ホンジン。 「主人公のグナム(ハ・ジョンウ)は、中国・延吉に住む朝鮮族のタクシー運転手。生活苦の中、借金取りに追われているが、韓国へ出稼ぎに送り出した妻とは音信不通の上、賭け麻雀で大負け。そこに取引を持ちかけてきたのが、殺人請負業者のミョン(キム・ユンソク)。ソウルに行き、ある男を殺せば、借金を帳消しにするという。うまくいけば妻も見つけて、やり直せる。グナムは密航船で黄海を渡って韓国に入るが、待っていたのは、さまざまな黒い思惑がうずまく世界。罪をかぶせられて警察から追われる身となり、ミョン、そして標的を狙っていたもう一人の男、テウォン(チョ・ソンハ)からは、命までも狙われる」(読売新聞1月6日)  うらぶれた延吉や韓国の裏町がいい雰囲気を出している。徹底した暴力と血しぶき、迫力あるカーチェイス。これぞフイルムノワールの傑作である。  こうした映画を日本の作品で見ることができなくなって久しい。かつては『仁義なき戦い』や『仁義の墓場』などの深作欣二監督作品、一連の『昭和残侠伝』はヤクザの世界を素人衆に垣間見せてくれた。  めったやたらに人を殺す映画ばかりつくってきたビートたけしも、最近はバイオレンス度が低くなってきている。  昨年話題になった「暴力団排除条例」の以前から、ヤクザを賛美したり暴力を肯定するような映画は自粛するようになってきている。  新宿・歌舞伎町が石原慎太郎都知事のおかげで殺菌されたような無味乾燥な街になり、浅草も錦糸町も家族揃って遊べる街になってしまった。  ヤクザや暴力団関係者、その周辺の愚連隊(懐かしい言葉だね)が一人もいなくなったわけではない。彼らとて生きていかなくてはならない。いまでも多くのバーや飲食店が上納金を彼らに召し上げられ、売春やクスリは大きな収入源である。だがフツーの人たちは、何か事件でもない限りその存在を忘れて暮らしている。すぐ近くに彼らが生息しているのにだ。  暴力団の情報を知りたければ「アサヒ芸能」「大衆」「実話」を読めばいい。警察寄りではない暴力団の実態が時にはリアルに描かれている。  今週の第3位は「アサ芸」のそんな記事である。新聞やテレビでも報じられたが、昨年12月14日午前2時50分、六本木の雑居ビルにあるキャバクラ店で惨劇が起きた。  ジャージーやダウンジャケットを着たラフな格好の男たちが約20人乱入してきて、店のウイスキーのボトルなどを手にして、奥にあるガラスに囲われた席にいた4人の男をめった打ちにしたのだ。  被害者は山口系の幹部3人と極真連合会の元組員。3人は脳挫傷で意識不明、外傷性くも膜下出血、骨折などの重傷だった。  捜査関係者によると、六本木の路上でのトラブルが原因だったようだが、それにしてもすさまじい襲撃である。  襲ったのは「関東連合」と「怒羅権(ドラゴン)」といわれているが、住吉会系の組員も数人いたことがわかり、すわ山口組が抗争に突入するかと厳戒態勢が敷かれたという。  しかし12月19日に住吉会系組織のトップが詫びを入れ、和解条件を提示したことで話し合いに動いているようだと編集部は見ている。  ヤクザ同士では話がついても「関東連合」や「怒羅権」のような愚連隊とはどうなるのか。  「関東連合」がクローズアップされたのは2010年1月に起きた市川海老蔵暴行事件だ。それ以外でも元横綱朝青龍の暴行事件、押尾学の麻薬譲渡事件、上原美優の自殺などでも、ここの影がちらついているといわれる。  「関東連合」は1970年代に東京の複数の暴走族で結成された連合体だったが、最近世間を騒がせているのは90年代に不良少年だった30代から40代の関東連合OBたちだと、事情に詳しいジャーナリストが語っている。  彼らはクラブに遊びに来た上場企業の社長を美人局でハメ、大金を脅し取ったりして、実業家に転身して成功を収めている連中もいるそうだ。その連中に面倒を見てもらっている後輩たちが群がっている集団なのだ。  「怒羅権」のほうは帰国した中国残留孤児の2世3世が結成した愚連隊。最近では残留孤児とは関係ない日本人もメンバーにいるそうだが、その残忍さは相当なもののようだ。  こうした組織として不透明な愚連隊グループは、「暴対法や組織犯罪処罰法といった法律が成立していく90年代以降に、関東連合をはじめとする愚連隊が増長していった点は見過ごせない」(アサ芸)。こうした愚連隊のややこしいのは、組織自体が流動的で責任者の所在もハッキリしないことだ。  山口組も関東の組織も抗争厳禁の方針を打ち出しているのだから、報復はしにくいだろうと広域組織関係者が話している。  新時代なのかどうかはわからないが、警察に追い詰められている広域暴力団と、それをいいことに傍若無人にふるまう愚連隊グループを、警察はどう取り締まっていくのか。このままでは市民が巻き添えを食う危険性はますます高まってきている。そう思わざるをえない。  第2位は文春の宮崎あおい(26)「不倫疑惑」報道である。  年末に高岡蒼佑(29)と離婚した宮崎だが、その裏にジャニーズアイドルとの「不倫」があったというのだ。  語っているのは高岡の知人で、彼が所属するプロダクションの元社員。離婚を切り出したのは宮崎のほうからで、11月上旬、六本木の中華料理屋で「もう無理だよ......」と、やり直すつもりがないことを告げたという。  その後、離婚届が郵送されてきた。だが高岡は、自分名義で契約している携帯の支払い明細を見て「ある特定の電話番号」と頻繁に通話していることに気がついた。  高岡は意を決して電話をかけてみたが、相手は名乗ろうとせず「何か誤解されていませんか」と繰り返すだけだった。  高岡が相手の正体を知ったのは12月6日の夜。会いたいという高岡の申し出に相手がが応じて、都内の会員制のバーで会ったという。知人がこう話す。 「程なくして現れたのは、ニット帽に黒縁メガネをかけた、V6の岡田准一さん(31)だった。高岡は、さすがに岡田さんが来たことに驚いた様子でした。岡田さんは、高岡と宮崎の結婚式にも来ていましたからね」  始めは相談を受けていただけだと弁明していた岡田だったが、高岡が明細を突き付けると観念して謝った。 「高岡が彼の携帯電話を確認すると、そこには二人の親密さを示すメールのやりとりが残されていました。岡田さんから宮崎さんに送った〈今温泉に来てるよ〉というメールに対し、彼女が〈私も行きたい。また一緒に入ろうね〉と返していたのです」(知人)  岡田は映画『天地神明』(今年公開)で宮崎と夫婦役を演じている。岡田は平謝りで、芸能界を引退するとまでいったという。だが高岡は悩んだ末に離婚届に判をついた。  このスキャンダルはかなりのものだと思うが、テレビではほとんど取り上げられなかったようだ。当代の人気女優とジャニーズ事務所のアイドルとなればそれも致し方ないか。  NHKの『紅白歌合戦』を見ればわかるように、今のテレビはNHKでさえもジャニーズに乗っ取られた感がある。  その上、吉本興業の社長が「島田紳助の復帰を望む」発言をした。この非常識な発言に大マスコミが批判しなかったのはなぜだ。ジャニーズと吉本に牛耳られているテレビの惨状は、まだまだひどくなっていくようだ。  今週のグランプリは女性誌ながらスクープを発信し続ける「セブン」の記事。  『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)や『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で司会を務める宮根誠司(48)に隠し子がいたというのだ。発端は宮根が長年付き合ってきたA子さん(32)の知人から「宮根には奥さんでない人との間に3歳の子どもがいる」という情報からだった。  取材を申し込むと宮根は困った表情を浮かべながらも、一部始終をこう語った。 「A子さんと知り合ったのは6~7年前のことです。彼女は当時、夜のお店の接客スタッフとして大阪・北新地で働いていて、はじめはホステスと単なるお客という間柄でした。(中略)そのうち男女の関係になって、彼女の家にも行くようになりました」  宮根は93年に元モデルと結婚したが04年に離婚する。その後現在の妻であるB子さんと当時は恋人同士で、A子さんには「ぼくとは結婚できない」といってあったという。だが、結婚後A子さんから電話がかかってきた。 「07年の春ごろでした。ちょうど仕事が終わって夕方ぐらいに、ひさびさにA子さんから電話があって......。単刀直入に『子供ができた』といわれました。(中略)そのとき、ぼくが一瞬でも悩まなかったかといったら、嘘になると思います。正直、『困ったな......』とも思いました。だけど、尊い命が、すでに彼女のお腹の中にいると思ったら、ぼくがそれを奪ってええんかって考えて......」(宮根)  妻にそのことを伝えるまで1カ月ほど悩んだという。打ち明けると妻は沈黙を続け、1時間ぐらい経ってからこういった。 「(子供を中絶しなかったのは、)それはとりあえず正解や。あとはあなたのできる範囲で、自己責任でちゃんとやりなさい」  できた奥さんやわ! その前に宮根はA子さんの実家を訪れて両親に頭を下げている。  女の子が生まれたとき、彼は「ぼくにとってカノジョは宝だなって思いました」。2カ月後にその子を認知している。そして昨年5月に宮根と妻の間にも女の子が誕生した。  宮根はこう夢を語ってもいる。 「ぼくが70才ぐらいになったときに『お前ら、集合!』って、ふたりのむすめたちを呼んで、3人で飲みたいですね」  私は宮根の番組をほとんど見たことがない。だがこの記事を読んで見てみたくなった。宮根っていいやつじゃん。  テレビで有名になったためにスキャンダルで潰れていく人を何人も見てきた。だがこの記事にはホッとさせられる何かがある。  昔、結婚式でカミさんの叔父から、こういわれたことがある。 「スキャンダルを書いても、それが出たあと、その人間からありがとうといわれる記事を書く編集者になってくれ」。  自分にはできなかったが、こういう記事のことをいうのかも知れないと、読んでいて思った。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
チェイサー [DVD] ナ・ホンジン監督デビュー作。なかなか芯のある力作ですよ。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・米軍イラン攻撃、富士山噴火、紳助復帰......"賢者"が2012年を大胆予言!千客万来で競争激化! 復興景気に沸く東北・仙台のネオン街2ちゃんサーバー管理会社にガサ入れ! 忍びよるネットの言論統制 

「snoozer」「ぱふ」……およそ200誌 2011年休刊雑誌クロニクル

snoozer2011xl.jpg
「snoozer」最終号
 言わずもがな不況続きの出版業界。「Kindle」や「iPad」が華々しく登場し、「次は電子出版の時代だ!」とその一筋の光に数々の出版社が先行投資するも、フタを開けてみれば継続的に売れているのは携帯電話向けのエロ漫画くらいのもの。電子書籍が広まっている欧米と違い、日本人はエロでヲタクな電子化にしかお金を落とさない現状......。  そんな中、今年は「ぴあ」(ぴあ)、「PS」(小学館)、「MISTY」(実業之日本社)、「この映画がすごい!」(宝島社)、「PC fan」(毎日コミュニケーションズ)をはじめ定期刊行物がバタバタと休刊・廃刊。2011年のその数は、メジャー誌から専門誌までおよそ200誌にも及ぶ。今は亡き雑誌たちを、敬意を表していくつか思い起こしてみたい。 hanachu2011.jpg ●「Hana* chu→(ハナチュー)」 (主婦の友社/4月1日発売号にて休刊)  「花の中学生」が由来の誌名で2003年に創刊。成海璃子や北乃きい、南明奈らがモデルを務め、全盛期は約15万部を発行。しかし競合誌である「nicola」(新潮社)、「ラブベリー」(徳間書店)、「ピチレモン」(学研パブリッシング)との四つ巴の戦いに負け、発行部数は約半分まで落ち込んでしまった。

snoozer2011.jpg ●「snoozer(スヌーザー)」 (リトル・モア/6月18日発売号にて休刊)  「渋谷系」の名付け親としても知られる音楽評論家の田中宗一郎氏が1997年に創刊した隔月刊誌。日本のアーティストではくるりをよく取り上げ、終刊号の表紙も彼らであった。ちょっと引くくらいにアーティストに心酔するような文体は、良くも悪くも独特。それは田中氏による休刊の挨拶からも十分伝わるだろう。「どれだけ客観的に見ても、ここ十数年、こんなにも熱烈に愛され、必要とされた雑誌はなかった。時として我々は、あなたのことを家族よりも近しい存在のように感じていました」とか。

pahu2011.jpg ●「ぱふ」 (雑草社/6月30日発売号にて休刊)  少女漫画やBLを中心に漫画情報全般を取り扱う月刊誌。同人誌即売会のスケジュールなども掲載されており、30年以上に渡り腐女子のバッグにヌルッと忍ばされていた。休刊理由は明らかではないが、雑草社の他の刊行物もほぼ同時期に休刊しているため、版元の倒産が噂されているが真相は不明。ちなみに、"けもこびる"ことデビュー前の高橋留美子先生なども同誌で作品を発表していた。

owaraipoporo2011.jpg ●「お笑いポポロ」 (麻布台出版/8月6日発売号にて休刊)  アイドル誌「ポポロ」の姉妹誌として2002年に創刊。女子中高生向けにお笑い芸人をアイドルのように取り上げ、主にインタビューを掲載していた。「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)などネタ番組の終了を追いかけるように休刊。

popsister2011.jpg ●「PopSister(ポップシスター)」 (角川春樹事務所/9月17日発売号にて休刊)  ギャルファッション誌「Popteen」のお姉さん雑誌として創刊。専属モデルに益若つばさ、菅野結以、小森純などのカリスマモデルが多数いたが、数あるお姉ギャル誌に押され約1年半の歴史に幕を閉じた。

GAKUMANplus2011.jpg ●「GAKUMANplus(ガクマンプラス)」 (小学館/10月3日発売号にて休刊)  2009年に休刊した「小学五年生」及び「小学六年生」の事実上の後継誌として、2010年春に創刊。「世界初(!?)の学習まんが専門誌!!」を謳い、『名探偵コナン』の青山剛昌先生や『Dr.コトー診療所』の山田貴敏先生など豪華執筆陣が連載していた。TVCMも多く放送されたが、1年半足らずで休刊。小学館の代名詞でもある小学生向け学習誌は、このまま廃れてしまうのだろうか。

genshiryokueye2011.jpg ●「原子力eye」 (日刊工業新聞社/10月8日発売号にて休刊)  創刊は原子力基本法が制定された1955年。57年もの長きに渡り、原子力界をリードする専門誌として原子力発電を中心に、医療や食品などの放射線利用など幅広く取り上げてきた。版元サイトの「福島第一原発事故はなお深刻な状況が続いています。(中略)こうした重大局面で、休刊のやむなきに至ったことは残念でなりません」との文面に胸が痛む。ちなみに終刊号の特集は「原子力の解体的な再出発への提言」「汚染地域の本格的な除染に向けて」。

gekkayo2011.jpg ●「歌謡曲ゲッカヨ」 (ブティック社/11月24日発売号にて休刊)  1979年に「月刊歌謡曲」として創刊。「歌いたくって仕方がないヴォーカル・フリークのための日本一ハッピーに歌える元祖譜面雑誌!!」を謳い、流行のJ-POPを中心に300曲以上を掲載していた。小室ファミリー全盛期など流行歌がはっきりしていた時代には部数を伸ばしたが、人々の音楽の趣向も多様化してしまい部数が激減してしまった。

 最後に、"決して雑誌が悪いわけではない! 買わない消費者が悪いのだ!"......と、何となくフォローしたところで、いつか復活できるその日までどうか安らかにお眠りください(合掌)。 (文=林タモツ)
サイゾー 2011年 12月号 サイゾー買ってください!! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・すでに100誌近くが......「ぴあ」「PS」だけじゃない2011上半期 休刊雑誌クロニクル「有名雑誌が次々と...」'08休刊雑誌プレイバック"編集者のバイブル"もついに...月刊誌「編集会議」が休刊へ