最高時価総額の裏で…アップルに切られ日本企業が経営破綻

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) まだくそ暑いのに、もうコンビニにおでんがあるのはなぜ? グーグルが社員がもっとも最悪だったと思う仕事とは? 「ただの水が腐るのか」おいしい水の賞味期限ってどれくらい? ■特にオススメ記事はこちら! 最高時価総額の裏で…アップルに切られ日本企業が経営破綻 - Business Journal(9月3日)
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いかにも実直そうなサイト。(「シコー株式会社」HPより)
 米アップルの膨張がとまらない。8月27日の米国株式市場でアップル株は、一時、過去最高となる680.87ドルまで買われた。時価総額は20日につけた6231億ドル(約49兆円)の史上最高記録をあっさり更新し、6382億ドル(約50兆2580億円)にまで拡大した。米カリフォルニア州連邦地裁で争われていた韓国サムスン電子との特許訴訟でアップルが勝利したことが好感された。陪審団はサムスン電子の特許侵害を認定し、10億5100万ドル(830億円)の賠償を命じた。  今回の全面勝訴により、月に1000万台規模で売れるスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone(アイフォーン)」を武器に快走を続けるアップルに弾みがついた。年末商戦に向けた新製品「アイフォーン5」の発売を前にモバイル市場でリードをさらに広げるとの見方が出ている。  米グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したモバイル機器は、世界市場全体の3分の2を占めている。サムスン電子をはじめとするアンドロイド勢がデザインの変更を余儀なくされれば、モバイル市場の勢力図が大きく塗り変わる可能性がある。  ところでアップル膨張の影で、振るい落とされた電子部品メーカーが出た。東証マザーズ上場のシコー(神奈川県大和市)である。8月10日、東京地裁に民事再生法を申請した。負債総額は85億945万円。  シコーは携帯電話やスマホに搭載する小型カメラの自動焦点用モーターを手掛ける。同社の製品がアイフォーンに採用されたことで、2010年12月期には過去最高の売上高140億9000万円、営業利益16億6600万円を計上した。  シコーはアップルからの大量受注に備えて、小型モーターを製造する中国・上海工場で大量の労働者を確保した。しかし11年9月にアップルがスマホをモデルチェンジして仕様を変更した際に、シコーは切られてしまった。労務費が重くのしかかり上海工場での大規模なリストラを迫られた。その結果、11年12月期の売上高は104億5700万円にダウン、最終損益は31万6900万円の赤字に転落。経営破綻に追い込まれた。  シコーの創業者の白木学社長(64)は、開発一筋の人だ。岐阜県のミシン屋の息子である彼は、ラジオを作ったり、壊したりするのが大好きな機械マニアの少年だった。東京理科大学に進むと特許研究部を設立。早稲田、慶應、武蔵工大、明治大学の特許研究部で構成する日本学生アイデア連盟を結成した。  その後69年、大学を卒業すると、伴五紀教授の私設研究所に入り、小型モーターの研究に従事する。74年6月に4人で起業、76年7月にシコー技研(現シコー)を設立した。シコー技研の社名は、思考に思考を重ねて独創的な製品を開発するという志からきている。このシコー技研という言葉がいたく気にいり、大学3年の時、商標登録したほどだ。  白木氏は、携帯電話のマナーモードの生みの親である。携帯電話で着信音が鳴らないように設定できるのがマナーモード、バイブレーション(振動)で着信を知らせる。白木氏は直径4ミリという超小型振動モーターを1分間に1万回転させることによって、世界で初めて携帯電話のマナーモード機能を実現させた。  携帯電話のバイブレーター用の小型振動モーターのメーカーとして業容を拡大したシコーは、04年8月に東証マザーズに上場した。05年に携帯電話のカメラに搭載し、焦点合わせに使うAFLモーターの低価格化に成功。アップルなどスマホ大手に販売を伸ばした。だが、最近では量産技術やコストで中国・韓国勢に激しく追い上げられていた。  多くの日本国内の電子部品メーカーが、アップルのスマホ向けに部品を供給している。アップルに採用されたことで高成長を誇ったシコーの経営破綻は、チャンスとリスクが紙一重であることを示している。  シコーの事業再生に名乗り挙げたのは、極小ベアリングで世界シェアの6割を占めるミネベアである。M&A(合併・買収)はミネベアのお家芸だ。ミネベアの“中興の祖”と評される故・高橋高見氏がM&Aの先駆けとなった。70年代から80年代にかけて次々とM&Aを仕掛けて「買収王」と謳われた。  高橋氏の死後、鳴りを潜めていた大型のM&Aを復活させたのが、高見氏の娘婿で09年に社長に就任した貝沼由久氏(56)。日本政策投資銀行の協力を得て、大型M&Aに取り組む方針を打ち出した。第1弾が今年5月、韓国の小型精密モーターメーカー、モアテックの買収。第2弾がスマホ向けAFLモーターのシコーだ。シコーは開発と営業に集中し、ミネベアが生産を引き受ける。  ミネベアが再び、“M&Aの風雲児”と呼ばれる日が来るのだろうか。 (文=編集部) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) まだくそ暑いのに、もうコンビニにおでんがあるのはなぜ? 最高時価総額の裏で…アップルに切られ日本企業が経営破綻 「ただの水が腐るのか」おいしい水の賞味期限ってどれくらい? イオンに対抗! セブンイレブンが大型モールを展開予定 アニキのお金で起業したアプリ会社の落とし穴 いつでもどこでも、スマホをワイヤレス充電できる日も近い? 総務省も8割がムダだと評価した!?国の再生エネ事業って一体…

アップル元社員「ジョブズは他人の成果を自分のものに…」

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 上層部の保守的なムードにうんざり ソニー社員は阿鼻叫喚 スマホ対応炊飯器にナノイー搭載テレビ…パナソニック社員はもう限界! ヤマダ電機からの"横流し"も日常茶飯事!? 家電販売のいま ■特にオススメ記事はこちら! アップル元社員「ジョブズは他人の成果を自分のものに…」 - Business Journal(7月27日)
アップル元CEOのスティーブ・ジョブズ。
(「ウィキペディア」より)
「デザインを先に考え、そこからまったく妥協しないで製品化していく」 「ジョブズは“嫌なヤツ”です」  数々のヒット商品を生み出してきたアップル、そして創業者の故スティーブ・ジョブズを、神様のように畏敬の念をもって崇める人々は多い。しかし、その等身大の姿は、今もって明かされていない部分も多い。 「アップル強さの秘密はなんなのか?」  「世界市場における地位低下が叫ばれる日本メーカーとの、根本的な違いはなんなのか?」 そして、 「ジョブズ亡き後の、アップルの懸念材料とは?」    前回(http://biz-journal.jp/2012/07/post_416.html)に引き続き、4月に発売された『僕がアップルで学んだこと』(アスキー新書)(http://www.amazon.co.jp/dp/4048865390)の著者で、元アップル米国本社シニアマネージャーの松井博氏に話を聞いた。 ――製品のクリエイティブ面では、やはりジョブズのトップダウンが大きかったのでしょうか? 松井 そこは本当にそうなのか? と思うところもあります。スティーブは誰かが良いことを言うと、全部自分のものとしてしまう人でしたから。数々の伝説のいくつかは、眉唾なのではないかと思うものもあります。彼が「こういう方向に行こうよ」と考えたときには、必ずそれを実現してくれるジョナサン・アイブ(デザイナー)が傍らにいた。ジョナサンが率いるデザイナー・チームは、あちこちで賞を取っているような名だたるデザイナーを世界中から集め、どの会社でもよだれが出るほど欲しい人材が、ごっそりそこで働いていました。彼らの仕事場はパーテーションで仕切られたオフィスや個室ではなく、だだっ広い学校の教室みたいところでした。そこで試作品をつくっては、皆で批評し合うというカルチャー。もともと優れているから、それだけすごいデザインのものが出来上がるわけです。ただ、彼らはエンジニアではないから、実現性を度外視したものが出来上がる。「これ、無理だろ」みたいな。例えば、MacBook Airは異常に薄いでしょ? しかも全部金属で、内蔵アンテナも入っています。しかし、アンテナを金属で覆えば、電波は入りにくくなる。放熱にしても、金属は熱伝導が高いから、使っているとすぐに熱くなってしまう。プラスチックを使えばぜんぜん楽なのですが、そうしない。最初に全部金属だと決めてしまうんです。だから排熱の穴はほとんどない。結局、モニタから熱を逃がしているわけですが、そうした仕組みをどうにか考えなければならない。普通ならファンをつけて熱を出せばいいのですが、それをやらせてもらえない。どうにかして最初のデザインのまま、製品化するのです。 ――つまり、ユーザーに受け入れられるデザインを決めて、そこからブレないわけですね。 松井 そうです。エンジニアがつくりやすいものではなくて、お客さんが使いやすいもの。そうしたデザインを先に考える。そこからまったく妥協しないで製品化していく。そこが強いところですね。かつて私が日本のメーカーに勤めていた時には、「強度がない場合はネジを増やそう」という話がすぐに出てくるわけです。しかし、ネジを増やすとカッコ悪くなる。しかも集密度が高い基板の中にネジ穴をつくるだけでも、すごく大変なんです。ネジなんかないほうがいいに決まっている。ネジを使うというのは、実は安直な解決方法なのです。ネジのいらないボディをつくることは、すごく正しい。ただ、正しいけど前例がないから、つくるのは大変です。正しいとは思っても、なかなかできない。アップルは先に決めてしまうのです。だから、やらなきゃいけない。日本企業だと、できないからネジを使って、最初のコンセプトからズレてしまう。自動車メーカーがよく自動車ショーで格好いいコンセプトカーを展示していますよね。でも、何年後かに商品化されると、かつてのコンセプトカーとはまったく別物になっている。アップルは最初のコンセプトに忠実につくる。「コンセプトカーと商品は別物」という会社ではないんです。 ジョブズの考えは必ず実現 ――なぜ日本企業は、それができないんでしょうか? 松井 日本はサラリーマン社長だからだと思います。怖くて、そんな大きなリスクを取れないのです。「これで失敗したら、何と非難されるのか?」を先に考えてしまう。創業社長は、そこが強いと思います。アップルは、スティーブの考えたことを必ず実現させるという意識が、下のほうまで浸透している。100名超いた僕の部署でも、実績が上がればいい転職もできるから、何がなんでも実績を出したい。マネージャーも皆そう思っていますから、少々のリスクは厭わない。上から下までそんな感じです。一方で、失敗に寛容なところもあります。「コケても、次でなんとかすればいい」という空気です。会社だって、よほど悲惨な失敗をしない限り、辞めさせられることはなかなかありませんから。 ――アップルは、人材マネジメントという面で、何か意識して工夫している点はあるのでしょうか? 松井 社員一人ひとりに、「競争させる」「責任を負わせる」「タスクを定義して、やることを決める」ということです。いわば、自分で仕事にコミットさせて、きちんと責任を取らせる。順当に実績を積んでいけば、次のステップで「自分はこうやりたい」と言えば、その希望はかないます。ヒラ社員でもチャレンジをうまくこなしていくことで、だんだんと上に行ける。できるヤツとできないヤツとでは、給与の差もすさまじい。例えば、ボーナスの原資は各部署で決まっているわけですから、皆に均等に分けるのではなく、できるヤツにドンと渡す。良い仕事をしていれば、たくさんもらえるし、パッとしないと常にボーナスはもらえない。昇給も予算枠があるので、できるヤツは上がるし、ダメな人はずっとダメ。会社に入ってしまえば、大卒、高卒も関係なく、実績のみで評価されるという世界です。 ――なぜアップルには優秀な人材が集まるのでしょうか? 松井 それは面白いことをやらせてくれるからでしょう。例えば、物流の専門家だとすれば、アップルのヒット商品ともなれば、何千万台、何億台と売っているわけです。それだけのモノを動かすことは、物流をやっている人たちにとっても、それこそ一生で何度も出会える仕事ではありません。アップルには、そうしたスケールの大きな仕事が普通にある。やってみたいと思う人は来ますよね。 ――ジョブズ亡き後、アップルの懸念材料とは何でしょうか? 松井 やはり社内政治でしょうね。現CEOのティム・クックが社内カルチャーを変えていくかもしれませんが、スティーブ自身は良くも悪くも政治的な人でした。そうした政治的な要素が下まで浸透しているので、それが今後、吉と出るか凶と出るか、まさに両刃の剣といえるでしょう。また、前述のジョナサン・アイブがもし辞めたらどうなるだろう、ということも考えますね。アップルには2種類の天才がいるんですが、1種類目の天才はスティーブ・ジョブズやジョナサン・アイブといった、何かとんでもないことを考えつくヤツら。そしてもう1種類の天才が、それを製品化できるヤツらなんです。後者は表舞台にこそ出てきませんが、あり得ないくらいすごい人たちなんです。どちらが欠けてもダメなんですが、魅力ある商品をつくって世の中に出すという力は、今も衰えていない。しかし、ジョナサンはジョブズのいいパートナーだったので、ジョブズ亡き今、何かしらの変化が起こり得るのかなという気もします。あのふたりはいつも一緒に飯を食べていましたから。クリエイティブを起こすパワーは、少し減少するのかなという懸念を感じます。ティム・クックはプロフェッショナルな働き者です。怒ったりもしないし、感情を表に決して出さない。ただ、いい加減なことを言っていると、泣くまでそいつを追い詰めるタイプですね。ジョブズは、伝記にある通り、ある意味では“嫌なヤツ”です。 ソニーやパナソニックは眼中にない ――アップルにとって、ソニーやパナソニックなどの日本メーカーはどう映っていますか? 松井 昔はアップルのほうが「追いつき追い越せ」でしたが、今はもう眼中に入っていません。かつて私も、日本メーカーの携帯電話やミュージックプレイヤーを片っ端から買って、本社に持って帰って分解していました。その数も100や200では収まらない。そうやって得た情報を社内に出せば、上から下まで技術オタクばかりですから、すぐに食いついてくるわけです。しかし、iPhoneを出した頃からは、ライバルから「一部品メーカー」になったという感じです。部品メーカーとして納期は必ず守るし、品質も高いし、コミットしたことは必ず守るから、頼りになる存在ではあります。しかしライバルではない。今は、競合商品を分析することもしなくなったと思います。 ――今後、日本メーカーはどうすれば復活できるとお考えですか? 松井 もっと簡単な仕事を、きちんとやればいいと考えています。例えば、ソニーは、米国の量販店を覗くと、日本でまったく流通していない商品が売られている。ヨーロッパでも同じ。一体ソニーは全世界で何種類の製品つくっているのか、ウェブサイトで数を数えたことがありますが、途中で挫折してしまった。なぜなら、日本だけで180くらいあり、それが欧米やアジアといった地域ごとでも分かれていて、数えきれなかったからです。これは、人的/資金的リソースを無駄遣いしているということなのです。アップルだけではなく、成功している海外の会社は、アマゾンでもエクソン・モービルでも、世界で同じ商品・サービスを提供しているわけです。 ――日本企業も、世界共通のビジネスを展開すべきだということでしょうか? 松井 そうです。日本の会社は地域によって、ビジネスの仕方を変え過ぎです。アップルは「どこの国でも売れる製品をひとつつくろう」と思ってやっています。日本企業は地域ごとに違う製品をつくっている。だからスケールメリットが出にくい。ひとつの製品が50万台売れるほうが原価率もぐんと下げられるし、工場のラインも一本で済む。それには多様な視点を持った人材が必要です。日本企業は、社内教育で一種類の視点しか持ち得ない人間をつくってしまいがちです。先輩のやったことを踏襲すればいい。そうしたメンタリティでいると、革新的なものはできなくなるのではないでしょうか。冒険したい人間がいると、社内で異端児扱いされる。これからは、企業の中にもっと多様な視点を持った人材を確保することが必要だと思います。 (構成=國貞文隆) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 上層部の保守的なムードにうんざり ソニー社員は阿鼻叫喚 スマホ対応炊飯器にナノイー搭載テレビ…パナソニック社員はもう限界! ヤマダ電機からの"横流し"も日常茶飯事!? 家電販売のいま サムスンLG社員「ソニー社員“引き抜き”年収は1億円!?」 【検証】プレステ、PSNで、ソニーの業績回復なるか? 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない!

アップル元社員「ジョブズは他人の成果を自分のものに…」

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アップル元CEOのスティーブ・ジョブズ。
(「ウィキペディア」より)
「デザインを先に考え、そこからまったく妥協しないで製品化していく」 「ジョブズは“嫌なヤツ”です」  数々のヒット商品を生み出してきたアップル、そして創業者の故スティーブ・ジョブズを、神様のように畏敬の念をもって崇める人々は多い。しかし、その等身大の姿は、今もって明かされていない部分も多い。 「アップル強さの秘密はなんなのか?」  「世界市場における地位低下が叫ばれる日本メーカーとの、根本的な違いはなんなのか?」 そして、 「ジョブズ亡き後の、アップルの懸念材料とは?」    前回(http://biz-journal.jp/2012/07/post_416.html)に引き続き、4月に発売された『僕がアップルで学んだこと』(アスキー新書)(http://www.amazon.co.jp/dp/4048865390)の著者で、元アップル米国本社シニアマネージャーの松井博氏に話を聞いた。 ――製品のクリエイティブ面では、やはりジョブズのトップダウンが大きかったのでしょうか? 松井 そこは本当にそうなのか? と思うところもあります。スティーブは誰かが良いことを言うと、全部自分のものとしてしまう人でしたから。数々の伝説のいくつかは、眉唾なのではないかと思うものもあります。彼が「こういう方向に行こうよ」と考えたときには、必ずそれを実現してくれるジョナサン・アイブ(デザイナー)が傍らにいた。ジョナサンが率いるデザイナー・チームは、あちこちで賞を取っているような名だたるデザイナーを世界中から集め、どの会社でもよだれが出るほど欲しい人材が、ごっそりそこで働いていました。彼らの仕事場はパーテーションで仕切られたオフィスや個室ではなく、だだっ広い学校の教室みたいところでした。そこで試作品をつくっては、皆で批評し合うというカルチャー。もともと優れているから、それだけすごいデザインのものが出来上がるわけです。ただ、彼らはエンジニアではないから、実現性を度外視したものが出来上がる。「これ、無理だろ」みたいな。例えば、MacBook Airは異常に薄いでしょ? しかも全部金属で、内蔵アンテナも入っています。しかし、アンテナを金属で覆えば、電波は入りにくくなる。放熱にしても、金属は熱伝導が高いから、使っているとすぐに熱くなってしまう。プラスチックを使えばぜんぜん楽なのですが、そうしない。最初に全部金属だと決めてしまうんです。だから排熱の穴はほとんどない。結局、モニタから熱を逃がしているわけですが、そうした仕組みをどうにか考えなければならない。普通ならファンをつけて熱を出せばいいのですが、それをやらせてもらえない。どうにかして最初のデザインのまま、製品化するのです。 ――つまり、ユーザーに受け入れられるデザインを決めて、そこからブレないわけですね。 松井 そうです。エンジニアがつくりやすいものではなくて、お客さんが使いやすいもの。そうしたデザインを先に考える。そこからまったく妥協しないで製品化していく。そこが強いところですね。かつて私が日本のメーカーに勤めていた時には、「強度がない場合はネジを増やそう」という話がすぐに出てくるわけです。しかし、ネジを増やすとカッコ悪くなる。しかも集密度が高い基板の中にネジ穴をつくるだけでも、すごく大変なんです。ネジなんかないほうがいいに決まっている。ネジを使うというのは、実は安直な解決方法なのです。ネジのいらないボディをつくることは、すごく正しい。ただ、正しいけど前例がないから、つくるのは大変です。正しいとは思っても、なかなかできない。アップルは先に決めてしまうのです。だから、やらなきゃいけない。日本企業だと、できないからネジを使って、最初のコンセプトからズレてしまう。自動車メーカーがよく自動車ショーで格好いいコンセプトカーを展示していますよね。でも、何年後かに商品化されると、かつてのコンセプトカーとはまったく別物になっている。アップルは最初のコンセプトに忠実につくる。「コンセプトカーと商品は別物」という会社ではないんです。 ジョブズの考えは必ず実現 ――なぜ日本企業は、それができないんでしょうか? 松井 日本はサラリーマン社長だからだと思います。怖くて、そんな大きなリスクを取れないのです。「これで失敗したら、何と非難されるのか?」を先に考えてしまう。創業社長は、そこが強いと思います。アップルは、スティーブの考えたことを必ず実現させるという意識が、下のほうまで浸透している。100名超いた僕の部署でも、実績が上がればいい転職もできるから、何がなんでも実績を出したい。マネージャーも皆そう思っていますから、少々のリスクは厭わない。上から下までそんな感じです。一方で、失敗に寛容なところもあります。「コケても、次でなんとかすればいい」という空気です。会社だって、よほど悲惨な失敗をしない限り、辞めさせられることはなかなかありませんから。 ――アップルは、人材マネジメントという面で、何か意識して工夫している点はあるのでしょうか? 松井 社員一人ひとりに、「競争させる」「責任を負わせる」「タスクを定義して、やることを決める」ということです。いわば、自分で仕事にコミットさせて、きちんと責任を取らせる。順当に実績を積んでいけば、次のステップで「自分はこうやりたい」と言えば、その希望はかないます。ヒラ社員でもチャレンジをうまくこなしていくことで、だんだんと上に行ける。できるヤツとできないヤツとでは、給与の差もすさまじい。例えば、ボーナスの原資は各部署で決まっているわけですから、皆に均等に分けるのではなく、できるヤツにドンと渡す。良い仕事をしていれば、たくさんもらえるし、パッとしないと常にボーナスはもらえない。昇給も予算枠があるので、できるヤツは上がるし、ダメな人はずっとダメ。会社に入ってしまえば、大卒、高卒も関係なく、実績のみで評価されるという世界です。 ――なぜアップルには優秀な人材が集まるのでしょうか? 松井 それは面白いことをやらせてくれるからでしょう。例えば、物流の専門家だとすれば、アップルのヒット商品ともなれば、何千万台、何億台と売っているわけです。それだけのモノを動かすことは、物流をやっている人たちにとっても、それこそ一生で何度も出会える仕事ではありません。アップルには、そうしたスケールの大きな仕事が普通にある。やってみたいと思う人は来ますよね。 ――ジョブズ亡き後、アップルの懸念材料とは何でしょうか? 松井 やはり社内政治でしょうね。現CEOのティム・クックが社内カルチャーを変えていくかもしれませんが、スティーブ自身は良くも悪くも政治的な人でした。そうした政治的な要素が下まで浸透しているので、それが今後、吉と出るか凶と出るか、まさに両刃の剣といえるでしょう。また、前述のジョナサン・アイブがもし辞めたらどうなるだろう、ということも考えますね。アップルには2種類の天才がいるんですが、1種類目の天才はスティーブ・ジョブズやジョナサン・アイブといった、何かとんでもないことを考えつくヤツら。そしてもう1種類の天才が、それを製品化できるヤツらなんです。後者は表舞台にこそ出てきませんが、あり得ないくらいすごい人たちなんです。どちらが欠けてもダメなんですが、魅力ある商品をつくって世の中に出すという力は、今も衰えていない。しかし、ジョナサンはジョブズのいいパートナーだったので、ジョブズ亡き今、何かしらの変化が起こり得るのかなという気もします。あのふたりはいつも一緒に飯を食べていましたから。クリエイティブを起こすパワーは、少し減少するのかなという懸念を感じます。ティム・クックはプロフェッショナルな働き者です。怒ったりもしないし、感情を表に決して出さない。ただ、いい加減なことを言っていると、泣くまでそいつを追い詰めるタイプですね。ジョブズは、伝記にある通り、ある意味では“嫌なヤツ”です。 ソニーやパナソニックは眼中にない ――アップルにとって、ソニーやパナソニックなどの日本メーカーはどう映っていますか? 松井 昔はアップルのほうが「追いつき追い越せ」でしたが、今はもう眼中に入っていません。かつて私も、日本メーカーの携帯電話やミュージックプレイヤーを片っ端から買って、本社に持って帰って分解していました。その数も100や200では収まらない。そうやって得た情報を社内に出せば、上から下まで技術オタクばかりですから、すぐに食いついてくるわけです。しかし、iPhoneを出した頃からは、ライバルから「一部品メーカー」になったという感じです。部品メーカーとして納期は必ず守るし、品質も高いし、コミットしたことは必ず守るから、頼りになる存在ではあります。しかしライバルではない。今は、競合商品を分析することもしなくなったと思います。 ――今後、日本メーカーはどうすれば復活できるとお考えですか? 松井 もっと簡単な仕事を、きちんとやればいいと考えています。例えば、ソニーは、米国の量販店を覗くと、日本でまったく流通していない商品が売られている。ヨーロッパでも同じ。一体ソニーは全世界で何種類の製品つくっているのか、ウェブサイトで数を数えたことがありますが、途中で挫折してしまった。なぜなら、日本だけで180くらいあり、それが欧米やアジアといった地域ごとでも分かれていて、数えきれなかったからです。これは、人的/資金的リソースを無駄遣いしているということなのです。アップルだけではなく、成功している海外の会社は、アマゾンでもエクソン・モービルでも、世界で同じ商品・サービスを提供しているわけです。 ――日本企業も、世界共通のビジネスを展開すべきだということでしょうか? 松井 そうです。日本の会社は地域によって、ビジネスの仕方を変え過ぎです。アップルは「どこの国でも売れる製品をひとつつくろう」と思ってやっています。日本企業は地域ごとに違う製品をつくっている。だからスケールメリットが出にくい。ひとつの製品が50万台売れるほうが原価率もぐんと下げられるし、工場のラインも一本で済む。それには多様な視点を持った人材が必要です。日本企業は、社内教育で一種類の視点しか持ち得ない人間をつくってしまいがちです。先輩のやったことを踏襲すればいい。そうしたメンタリティでいると、革新的なものはできなくなるのではないでしょうか。冒険したい人間がいると、社内で異端児扱いされる。これからは、企業の中にもっと多様な視点を持った人材を確保することが必要だと思います。 (構成=國貞文隆) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) 上層部の保守的なムードにうんざり ソニー社員は阿鼻叫喚 スマホ対応炊飯器にナノイー搭載テレビ…パナソニック社員はもう限界! ヤマダ電機からの"横流し"も日常茶飯事!? 家電販売のいま サムスンLG社員「ソニー社員“引き抜き”年収は1億円!?」 【検証】プレステ、PSNで、ソニーの業績回復なるか? 釈ちゃんを15年支えた芸能マネージャーのビジネス術とは? 今晩スペイン戦 日本人好みの“走るサッカー”では勝てない!

アップル元社員語る「過酷な社内政治とクレイジーな要求」

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アップル元CEOのスティーブ・ジョブズ。
(「ウィキペディア」より)
「社内政治は本当にキツい。マイクロソフトもすごいらしいですが、それに負けないくらいすごい」 「そもそも要求が無茶なんです。まずジョブズの思いつきから始まるわけです」  数々のヒット商品を生み出してきたアップル。世間では創業者の故スティーブ・ジョブズを、神様のように畏敬の念をもって崇める人々も多い。  だが、実際のアップルの現場では、多くの優秀な人材を集め、優れた製品やサービスを生み出すために、キレイごとだけでは済まされない、“超過酷な”社内政治やジョブズから出される“不可能に近い”要求に、社員は絶えずさらされているのだ。  アップルのスマートでクリエイティブなイメージの裏には、どんな姿が隠されているのか?  4月に発売され、IT業界のみならず多くのビジネスマンの間で好評を博している『僕がアップルで学んだこと』(アスキー新書)(http://www.amazon.co.jp/dp/4048865390)の著者で、元アップル米国本社シニアマネージャーの松井博氏に、アップルの内実、そして同社が躍進した本当の理由を聞いた。 ――アップルと日本メーカーの根本的な違いは、どこにあると思いますか? 松井博氏(以下、松井) まず人材の豊富さが違います。アップル本社があるシリコンバレーは、優秀な人材を集めるにはとても有利な場所です。私が住んでいるクパティーノ市では、居住者の7割がエンジニア。実際に私の周りの人たちの職業を聞いても、アップル、HP(ヒューレット・パッカード)、グーグルなどのエンジニアばかりで、それだけエンジニアがシリコンバレーには集中しているんです。そのうえ、人口の約6割強が中国人、韓国人、インド人などのアジア人なのですが、彼らは皆エリートばかりで、その大半がIT系の仕事に従事している。 ――白人は少ないのですか? 松井 ええ。白人は意外と少なく、「白人だから就職に有利だ」ということは一切ありません。「どれだけ仕事ができるのか?」、判断基準はそれだけです。IT系に進む白人は変わり者が多く、ウォール街を目指す白人と違って、お金儲けにそれほど興味がない。彼らには、「自分たちで世の中を変えてやろう」という気概がある。そうした人たちが集まるシリコンバレーは、まさに人材の宝庫なのです。転職も日常茶飯事です。私はアップルに16年在籍したのですが、「一カ所にそれだけ長い期間とどまるのはおかしいんじゃないの?」という感覚なのです。通常は3~5年くらいの期間で転職していきます。ちょっと待遇が悪かったり、会社が傾いたり、株価が下がったりすると、すぐに転職してしまう。次の転職先に困らないから、辞められるのです。 技術者の宝庫・シリコンバレー ――シリコンバレーの生活環境とは、どのようなものなのでしょうか? 松井 朝早い人が多いです。基本的には9時出社で、6~7時に出社する人もいます。フレックス制ですが、10時に出勤する人は少ないですね。出社が遅い人は独身者に多い。家族がある人は、子供の学校が7時半くらいに始まりますから、子供を送ったあと、そのまま出社する。通勤時間は車で15~20分というのが普通ですね。シリコンバレーはかつて果樹園が広がっていたような田舎町で、ほかに何もなかったところです。今だって車で20分も行けば何もない。山に囲まれた盆地のようなところで、基本的に田舎。アップルの本社があるところも昔は果樹園でした。日本でシリコンバレーと同じ雰囲気を持った土地がどこかといえば、筑波あたりをイメージすればいいかもしれません。若者なら、「こんな刺激がないところには住めない」という人もいます。ただ、家族持ちにとっては、学校教育の環境も充実していて住みやすい。移民も多く、ニューヨークに匹敵するほどです。そのため、子供たちは2カ国語話せることが普通なんです。3カ国語、4カ国語もちらほらいる。それだけアメリカの中でも、特殊な環境なんです。普通の公立高校からもハーバード大学などの有名大学にたくさん入学しますから、ここで子供に教育を受けさせたいという人も多い。エンジニアばかりが集まることによって、より特殊な環境になっているのです。 ――シリコンバレーでは昼夜問わず、働く人が多いというイメージも強いですが。 松井 もちろん、そういうときもあります。ただ、基本的にはプロジェクトベースで仕事をしているので、ピーク時は忙しいけれど、それ以外は一般的な勤務と同じです。製品のプロジェクトのピークは、デザイン、ハード、ソフトと順々に迎えるので、忙しくなるサイクルは担当者それぞれ違いますが、各グループともピーク時には本当によく働きます。仕事が好きな人が多いですね。しかし、それが長く続けば、もちろんアップルの人間でも「また今日も仕事か……」と思うわけで、そのあたりのメンタリティは日米で大きな違いはありません。ただ、大きく違うのは、シリコンバレーの精神風土が明るいことです。まず転職にも困らないから、会社で何かあっても「嫌になったら、次に行けばいいや」と考えればいい。その分、気持ちを軽く持ちやすいといえます。また雨が降らない。いつも晴れていて、仕事でクヨクヨしていても空を眺めれば、気分はスカッと晴れてしまう。気候がジメジメしていてますます気が滅入るということは、ほとんどありません。 仕事のほとんどは社内政治 ――松井さんは16年ほどアップルに勤務されていましたが、それだけアップルは居心地がよかったのでしょうか? 松井 アップルは、ヒラ社員にとってはすごくいい会社だと思います。ただ、上層部になればなるほど、ハードな環境が待ち受けています。時には神経もやられる。私のシニアマネージャーという肩書は、日本企業でいえば部長や本部長クラスだと思うんですが、仕事のほとんどは社内政治でした。その意味では結構つらかったです。ずっと熱湯風呂に我慢して入っているような感じでしたね。 ――アップルといえば、外から見ると、社内政治とは無縁のようなイメージなので、意外な感じがします。 松井 真逆ですよ。社内政治は本当にキツい。マイクロソフトもすごいらしいですが、それに負けないくらいすごい(笑)。要は、良い意味で「いかに社内で目立つか?」なのです。日本人の場合、「ちゃんと良い仕事していれば、上司が認めてくれて、いつか報われる」というイメージですが、アップルにはそうした雰囲気がない。自分で自分を売るしかないのです。この「自分の売り方を、どう工夫するか?」がなかなか難しい。自著にも、いかに自分の部署をマーケティングするのかについて一章割いて書いたんですが、私がいた品質保証という部署は、うっかりしていると悪者にされやすい。市場で問題が発生すると「なぜ事前に見つけられなかったのか?」と問われるわけですから。そんな問題が出たときに誰のせいにするのか、その駆け引きみたいな話がたくさんあるわけです。自分のせいになったらたまらない。うっかりその失態をジョブズに覚えられたら最悪です。いかに素早く自分の身を安全圏に置いて、誰を指さすのか。それが重要になってきます。 ――想像とはかなり違いますね。 松井 ひどいです。しかし、そのひどいことを、きちんと修正しながらやっていくわけです。指さして非難しているだけでは、口だけのヤツだと思われる。いじめっ子のようにやるのもダメ。非難をしつつも、きちんと正当性を主張して正義面をする必要があるのです。僕も十数年英語圏に住んでいて、英語をしゃべることに不自由はないのですが、いかに自分の正義を示しつつ相手を非難するのかを、英語で表現するのは難しいものです。本当に神経をすり減らしましたから。 会議でボコボコにされる ――例えば、どのようなことでしょうか? 松井 出荷判定会議の際に、新製品のバグ(不具合)をどれだけ修正するのかを議論するのですが、僕としては一件でも多く修正してもらいたい。こちらはその方向で議論を押していきますが、ネゴシエーションする上で、エンジニアも限界ギリギリのところで調整しているわけですから、互いに落としどころを見つけなければならない。まあ、ケンカになりますよ。最終的には、上級副社長など上層部の前でプレゼンをしなければならないのですが、そこで全員のつじつまが合ってないと、本当に頭のいい連中ですから、その場で「おまえ、その話おかしいじゃねえか」と指摘されボコボコにされてしまう。ですから、出荷判定会議をする前に、部内でそのリハーサルをするくらいなんです。もうねえ、本当にきつかったですよ(笑)。 ――そんな場合は、日本的な根回しも欠かせませんか? 松井 あからさまに人を非難すると恨みを買いますからね。次はこちらがやられちゃう可能性だってある。かといって、やらないと、知っていたのに黙っていたということになる。だから、加減もあるんです。ただ、自分で良い子にしているだけではスケープゴートにされてしまう。ちゃんと自分の身を守りつつ、ときどき人も攻めて、良い感じの関係も築く。まさに政治ですね。 ――しかし、その議論の結果として、アップルは多くのクリエイティブな商品を生み出していますね。 松井 そもそも要求が無茶なんです(笑)。まず「ここまでできたんだから、次はこれもできるはずだ」というジョブズの思いつきから始まるわけです。ジョブズの側近は「その思いつきは間違い」と一生懸命説得するのですが、時々思いつきのまま突き進んでいく。例えば、CPUをインテルに移行したとき、社外に対しては2年後に完了すると言っておいて、社内では突然「半年でやれ」と言ってくる。皆は「えぇ」という感じになるのですが、どうにかするしかないわけです。何年かに一回、ジョブズが商品の大きな方向性を決め直すときがあります。これがアップルはうまい。日本企業だってアップルとやっていることは変わりませんが、修正がちまちましていてドラスティックに変えることがない。「そのプロジェクトでどうやって収益を上げつつ、次を目指すのか?」というところが見えてこないのです。本質的にリスクを取らない体質が、日本企業にあるのかもしれません。 ――アップルは、リスクを厭わないということでしょうか? 松井 私はアップルに勤めていて、「これが失敗したら次はどうなるのだろう」と思ったことが、たびたびありました。「気が狂ってる」と思うことも何回かありました。ジョブズは蛮勇といってもいいような勇気をもって、商品のかたちをまったく変えてしまう。iPadにしたって、タブレット型のコンピュータというのは、これ以前にもあったわけです。ですが成功例はただのひとつもなかった。そこで、「よし、やってやろう」となる。創業者だからできたのかもしれませんが、日本企業は勇気が足りない感じがしますね。 潰れかけていたアップル ――松井さんがアップルに入社されたのは、業績が低迷していた頃ですね。 松井 相当ひどかったです。もうめちゃくちゃ。悪循環に完全にハマっていて、製品がダメでバグだらけ。雑誌にもバンバン叩かれる。社員のプライドは低くなるし、いい人材は辞めてしまう。類は友を呼ぶで、代わりにしょうもないヤツが入ってくる。試作機が消える。備品がなくなる。その劣化ぶりも見事で、日本人だったらもうちょっとマジメにやるだろと思うくらい。自著で書いたのも本当のことばかりで、恥ずかし過ぎて書いてない内容もありますが、とにかく衝撃でしたね。漫画のような世界でした。 ――そこからどうやって組織が変わっていったのですか? 松井 ジョブズが戻ってきたことが一番大きいのですが、まずギル・アメリオ(元アップルCEO)が大ナタを振るったんです。当時社員が1 万5000人くらいいたと思いますが、大きなレイオフを2回して、社員を半分くらいに減らしたんです。それまで何も生んでいないただのお荷物みたいだった人たちが、きれいに整理された。儲かっていない事業もバンバンやめた。そうやって膿を出し、視界が広がりました。その後、アップルがネクストを買って、ジョブズが戻ってきた。彼はもっと徹底していました。 ――具体的には? 松井 アップルにはATG(アドバンス・テクノロジー・グループ)という部署があって、論文を発表するような有名人がたくさん働いていた。しかし、この人たちはいろいろと研究しているのですが、利益を生んではいない。しかも、社長よりも偉そうにしているんです。社員にとってATGは憧れの対象でしたが、そのATGをジョブズはリストラしてしまうんです。この一件が、「お金を生まないヤツはダメだ」という強烈なメッセージとなって、社内にさぁーっと広がった。能書きはいいから、とにかく仕事をしろと。ジョブズ以前は良くも悪くもアップルは民主的だったんです。上からああしろ、こうしろと言われても、それじゃダメだと能書きを言えば意見が通ったりすることもあった。ところが、ジョブズがネクストから連れてきた連中が経営陣に入ると、雰囲気が変わった。 ――どのように変わったのですか? 松井 「嫌なら辞めろ」という感じになりました。旧経営陣に拾われて偉くなった人たちは、もう先がないと思い、多くの人が辞めていきました。民主的な雰囲気はなくなって、ジョブズの一言でクビになる。例えば、「ホワイトボードの議事録を消し忘れてクビになった」とか、そういった真偽のつかめない噂が社内に飛び交いました。ジョブズと一緒になりたくないという社員が多かったと思います。 (構成=國貞文隆) <おすすめ記事> もしグーグルが日本で起業していたら成功したか? 広告費ゼロで会員5万人?ソーシャルランチ人気の秘密 脱法市場のパチンコ業界がクリーンになる? 合コンで大人気!化粧品K男性社員は毎晩自社商品で全身を… 広告、消したい過去…日経が野村インサイダーに“甘い”ワケ トヨタが独法などで官僚流「利権温存」の隠れ蓑に利用される? 深夜強盗の影響で「すき家」の売り上げが激減

発売は秋以降に!? 「中の人」が明かすiPhone 5生産遅れの原因

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アップル公式サイトより
 世界のガジェット好きが、今か今かと首を長くしているiPhone 5の発売。6月11日から5日間、カリフォルニアで行われたApple主催のデベロッパー向けイベントWWDCでも、発売日を特定できる情報がもたらされることはなかった。  そんな中、「もともと9月初めには発売される予定だったのですが、生産が間に合っていない。このままいくと、10月以降にまで延びる可能性もあります」と明かすのは、アップル社の屋内サプライヤー筋のA氏だ。彼によると発売日延期の原因は、新型タッチパネルの供給が追い付いていないことにあるという。  「iPhone 5からは、インセル型タッチパネルが採用されることとなり東芝モバイルディスプレイとシャープ、LGディスプレイの3社がこれを生産しています。この新型タッチパネルは、iPhone 4と比べても5割近くの薄型化が可能で、タッチ性能も向上する優れもの。しかし、高度な技術を必要とするために歩留まりが低く(不良品率が高い)、納品が大幅に遅れている。これにはアップル側も苛立っているようです。しかし、収益性や納期の面で毎度毎度アップルに過酷な条件をのまされている液晶メーカー側にも不満はたまっており、両者の関係はかなり悪化している。液晶メーカーの技術畑からは、『もうアップルの注文は受けたくない』という声も聞こえていますよ」  アップル製品が世界の人々を魅了しているのは事実だが、それはすべてのサプライヤーの協力があってこそ。両者に軋轢が生じれば、人々に夢を与えるような優れた製品は生まれまい。  ただA氏によれば、「スピードこそ遅いものの、iPhone 5の組み立てはすでに始まっている。ストックが十分そろわないまま、見切り発売される可能性もある」とのこと。飛ぶ鳥を落とす勢いのアップル社の新製品だけに、そうなれば品薄となることは必至だろう。 (文=牧野源)

「1万元出してもいい!?」女子中学生がiPhone4Sを密輸 驚くべき手段とは?

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 4月20日、香港との境界線上にある中国広東省深セン市羅湖の税関で、香港国籍の女子中学生が密輸の疑いで逮捕された。彼女は、30台に及ぶiPhone4Sを中学校の制服のスカートの内部に隠し、香港から中国大陸に持ち込もうとしたのだ。彼女は制服姿だったにもかかわらずカバンを持たず、挙動も不振だったことから税関職員による身体検査を受け、密輸が発覚したという。  その後の調べで彼女は、母親に指示されて犯行に及んだことが明らかとなった。さらに母親は、中国国内の販売業者から1台につき約250円の報酬で、“運び屋”となることを持ちかけられていたという。 gdehigaa.jpg  中国では、iPhone4Sをはじめとするアップル社製品は品薄状態が続いており、さらに課せられる税率も高いことから、税関をすり抜けて持ち込まれた密輸品が多数販売されている。  ちなみに、彼女が密輸しようとしたiPhone4Sは、すべて当局に没収されることとなった。ところが、報道された彼女の写真が美少女風であったことや、ス カートの内部に隠してという密輸手段がネット上で話題となり、没収品を熱望する声も上がっている。  中国版Twitterの「微博」に書き込まれたツイートを見ると、「われら人民のために、iPhone4Sを持ち込もうとしてくれた彼女は女神だ!」と、彼女を賞賛するものもあるが、「あそこのボーダーは混雑するから、1時間近くは彼女のスカートの中にあったに違いない。当局は没収品を放出すべき」といった不埒ものがほとんど。さらに「1万元(約13万円)出してもいい」などと、“プレミア価格”まで付き始める始末である……。 (文=牧野源)

「1万元出してもいい!?」女子中学生がiPhone4Sを密輸 驚くべき手段とは?

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 4月20日、香港との境界線上にある中国広東省深セン市羅湖の税関で、香港国籍の女子中学生が密輸の疑いで逮捕された。彼女は、30台に及ぶiPhone4Sを中学校の制服のスカートの内部に隠し、香港から中国大陸に持ち込もうとしたのだ。彼女は制服姿だったにもかかわらずカバンを持たず、挙動も不振だったことから税関職員による身体検査を受け、密輸が発覚したという。  その後の調べで彼女は、母親に指示されて犯行に及んだことが明らかとなった。さらに母親は、中国国内の販売業者から1台につき約250円の報酬で、“運び屋”となることを持ちかけられていたという。 gdehigaa.jpg  中国では、iPhone4Sをはじめとするアップル社製品は品薄状態が続いており、さらに課せられる税率も高いことから、税関をすり抜けて持ち込まれた密輸品が多数販売されている。  ちなみに、彼女が密輸しようとしたiPhone4Sは、すべて当局に没収されることとなった。ところが、報道された彼女の写真が美少女風であったことや、ス カートの内部に隠してという密輸手段がネット上で話題となり、没収品を熱望する声も上がっている。  中国版Twitterの「微博」に書き込まれたツイートを見ると、「われら人民のために、iPhone4Sを持ち込もうとしてくれた彼女は女神だ!」と、彼女を賞賛するものもあるが、「あそこのボーダーは混雑するから、1時間近くは彼女のスカートの中にあったに違いない。当局は没収品を放出すべき」といった不埒ものがほとんど。さらに「1万元(約13万円)出してもいい」などと、“プレミア価格”まで付き始める始末である……。 (文=牧野源)

アップル社ティム・クックCEO訪中も……連続飛び降り騒動以降も変わらない労働環境

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アップル公式サイトより
 iPadの商標権横取りなど、中国でさまざまな問題を抱える米アップルのティム・クックCEOが3月末に訪中し、次期首相就任もウワサされる李克強副首相と会談した。さらに、北京市内のアップルストアや、アップル製品を受託生産するフォックスコンの河北省内の生産工場を視察するなどのパフォーマンスも忘れなかった。   その一方、時を同じくして、米独立調査機関 「Fair Labor Association(FLA)」によるフォックスコンの労働環境に関するレポートが発表された。     世界的な話題となった、フォックスコン深セン工場における従業員連続飛び降り自殺騒動から2年経とうとする中、同レポートには依然として改善されない複数の「重大な問題」が浮かび上がった。   まずは、超過労働に関する問題だ。レポートによると、中国内の3カ所ある生産拠点のすべてで、労働法で定められている時間外労働の上限を超えていたが、残業代の算出は30分単位で、29分まではサービス残業となる計算となっていたという。   また同レポートでは、従業員の安全に関する問題も指摘されている。フォックスコンの生産拠点では、避難経路の確保と周知が徹底されていなかったり、安全設備が未整備だったりといった箇所が確認されたという。ちなみに昨年5月には、フォックスコンの成都工場で爆発事故が発生。従業員3人が死亡している。   また、労働組合の形骸化も問題視されている。組合の委員の多くは経営陣の操り人形であり、従業員が要求する権利を主張することは困難だというのだ。   いまや、アップル製品を目にしない日はないといっても過言ではないが、それらの製品がこうした中国人労働者の犠牲のもとに成り立っていると思うと、穏やかではない。商標権や知的財産の保護を中国に求めるのもいいが、まずは自分の頭のハエを追うべきでは……。
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中国市場から姿を消し始めたiPadに新商標候補が続々?

R00107062015.JPG  中国紙「南方都市報」などが報じたところによると、2月16日、中国国内で「iPad」の商標権を取得している深セン市のIT企業「唯冠科技」の親会社「唯冠国際」が、中国税関に対しiPadの輸入を禁止するよう申請を出した。  アップル社は、「iPad」の中国国内での商標権を主張する唯冠科技を提訴し、法廷で争ってきた。ところが昨年12月、深セン市の中級人民法院が、アップルの訴えを退ける判決を出し、事実上、アップル社の敗訴が決定した。さらに一方では、唯冠科技側がアップル社を相手に、「商標を無断使用された」として、約1,200億円に上る損害賠償を請求を起こしており、現在も係争中だ。  そんな中で唯冠国際がとった今回の実力行使により、中国国内の小売店やショッピングサイトには、 すでにiPadの販売を取りやめるところも出始めている。  「第一財経日報」の報道によると、上海市中心部の繁華街にある複数の電化製品店では、iPadの入荷をすでに停止したという。また、徐州市や青島市などでは、地元工商局が販売店にiPadを店頭から自主撤去するよう勧告したという。  さらに、16日付けの「AP通信」では、アップル社がアマゾン社に対し、中国語ウェブサイトでのiPad2の取り扱いを取りやめるよう要請したとも報じられている。  こうした状況の中、中国のネットユーザーたちの間ではiPad国内販売を存続させるため、新しい商標を名付けようという動きが盛んになっている。中国版Twitterの「微博」では、発音の似た字を当てた「愛※足へんに八」(アイパー)や故・ジョブズ氏にちなんだ「JobsPad」、さらにはアップル社が中国市場に進出したことで被った今回の代償を皮肉った「iPaid」(私は支払った)などが有力候補として挙げられている。 (文=牧野源)
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「今なら摘発されない?」iPad商標訴訟にアップル敗訴の広東省で盗作品が増殖中

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 今月13日、中国大陸でもiPhone4Sが販売開始を迎えた。販売日当日には国内5カ所のアップルストアには、夜を徹しての長蛇の列が作られ、客と警官隊が衝突する騒ぎも見られた。また、転売業者による買い占めが相次いだため、アップルストアでは販売を無期限停止する措置をとらざるを得ない事態となり、北京の店舗では怒った客が生卵を投げつける一幕もあった。  中国大陸でもまさに旋風を巻き起こしているアップルだが、一方では頭の痛い問題に直面している。  アップルは、iPadの商標権を主張する広東省深セン市のIT企業「唯冠グループ」と訴訟合戦を展開してきた。しかし昨年12月、深セン市の地方裁判所で出された判決は、アップル側の主張を退けるものであった。    本家本元が商標を横取りされるケースは、『クレヨンしんちゃん』をはじめ中国では枚挙にいとまがないが、iPadの場合、その人気の高さゆえ、これまでに類を見ない大きな弊害が出始めているという。 「深セン市にある広東省最大の電気街、華強北路にはアップル製品の山寨(パクリ製 品)が以前から溢れていましたが、見かけはiPadのもろパクリでも、『lPad iRad』といったように、商標は微妙に変えられていたんです。これはパクリ王国といわれる中国であっても、商標法違反に対しては取り締まりが意外と厳しかったから。『iPad』のロゴが書かれてある商品も中にはありましたが、店頭ではその部分に黒いシールが張られ、隠されていたんです。ところがアップル敗訴の判決以降、iPadと堂々と書かれた商品が並んでいる。iPadの商標の帰属が確定していない現在なら、摘発されることもないと踏んでのことでしょう」(現地在住ライター)  ちなみに唯冠グループは、商標を無断で使用されたことに対する損害賠償として、100億元(約 1,250億円)をアップルに請求する考えを示しており、アップルはiPadを改名せざるを得ない可能性も、現実味を帯び始めている。 (文=高田信人)
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