北朝鮮で、国際社会やNGOが援助した医薬品が軍や市場に横流しされている実態は、以前から指摘されている。援助団体も監視しているが、こうした不正を根絶するのは困難だ。それもそのはず、最高指導層が横流しに絡んでいる可能性が高いからだ。 北朝鮮に支援される医薬品の中には韓国製も多いが、公には明かされておらず、一般的には「国連薬」とひとくくりに呼ばれて市場に出回っている。さらに、横流しだけでなく、パッケージにそっくりの「ニセ国連薬」まで出回っていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 無償医療制度が崩壊した北朝鮮では、患者が実費で医薬品を購入しなければならないが、この「ニセ医薬品」をつかまされる被害者が続出。「ニセ物が多すぎて、一時は脚光を浴びていた『国連薬』も信じられない状態だ」と、RFAの咸鏡北道の情報筋は語る。 ニセ国連薬は、薬の形はもちろん、パッケージ、容器、説明書まで本物そっくりに作られていて、本物に混ざって市場で売られている。患者はもちろん、医師ですら識別は困難で、飲んでみて初めて真贋が判明するという、恐ろしいシロモノだ。 こうした中、中朝の密輸品目で「医薬品」の割合が急激に高まっている。ニセ薬があまりにも横行するため、経済的に余裕のある住民は北朝鮮国内で販売される薬を買わず、多少費用がかかっても中国から取り寄せるからだ。 韓国製の医薬品も密輸されている。税関を通過させるため、アッと驚く奇抜な手口が使われているとのことだが、情報筋はその具体的な情報は明らかにしていない。 ニセ国連薬が横行する裏には「権力者の存在が見え隠れする」と語るのは、平安北道の情報筋だ。 「ニセ国連薬の形状やパッケージの精巧さを見ると、個人ができるレベルのものではない。おそらく権力者の庇護を受けた誰かが作っているとしか思えない」 もはや、信じられるのは密輸品だけなのか――。 (デイリーNKより<http://dailynk.jp/>)イメージ画像(「Thinkstock」より)
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米艦・中国“領海内”派遣の緊張をよそに、中朝国境河川は治外法権!?「場合によっては、上陸も……」
南シナ海を航行中の米海軍イージス駆逐艦が10月27日、スプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)で中国が「領海」と主張する水域に入り、まさに一触即発の危機となっている。一方で、同じ中国の国境といえども、川を隔てた北朝鮮側の国境管理は極めてユルい地帯があり、観光客が密貿易船に接触したり、時には相手国に上陸できたりと、今でもやりたい放題なんだとか。ボーダレスな現状をリポートする。 スプラトリー諸島で中国は、通常の国境管理と同じく、人工島から12カイリ(約22キロ)を領海と主張している。一方、中国と北朝鮮は、白頭山(中国名・長白山)を分水嶺にして西は鴨緑江、東は豆満江が国境線になっている。毛沢東と金日成が「川に国境線を引く必要はない」と取り決めを交わしたといい、船舶は相手側の陸地に着岸しない限り、国境の侵犯には当たらないと見なしている。ゆえに、2つの川の各所にある中国の遊覧船や遊覧ボートは、うまくいけば北朝鮮まで数十センチまで近づいてくれることがある。北朝鮮領土の目と鼻の先まで近づく中国の遊覧ボート(右)
「特にアツいのは、丹東郊外にある鴨緑江の中州のポイントです。中州を挟んで流れが二手に分かれ、中州は北朝鮮領。そのため、中国側から国境監視の目が届きにくい」(北朝鮮マニア) 丹東といえば、中朝貿易の7割を占める貿易の拠点で、今年5月には神奈川県内に住む脱北者の男性がスパイ容疑で当局に逮捕されるなど、中朝関係におけるホットスポットだ。 マニアの男性によると、中朝国境をまたぐ橋の近くで「北朝鮮を見に行かないか?」と、少々強引な客引きのオバちゃんがウロウロしているという。日本円で1,000円ほどのツアーで、5~6人の客が集まり次第、箱バンで約50km上流の「中州ポイント」に渡る遊覧船乗り場まで連れて行ってくれる。密貿易船
横付けして、中国人観光客に物を売る密貿易船
また「中州や対岸から見える北朝鮮は小さな兵舎があったり、農村風景が広がっているだけだが、面白いのは、北朝鮮側から来る不審な木造船が観光船に横付けし、いろんな物を売ってくる」(同)といい、値段はすべて100元(約1,900円)。アヒルの卵の瓶詰めや高麗人参、北朝鮮製タバコ(1カートン)、化粧品といった、それほど珍しいアイテムではないが、密貿易っぽい雰囲気がイイとか。 「川岸から、ガリ痩せの北朝鮮兵士が“タバコをくれ”というジェスチャーをしてアピールしてくる。中国人の船頭は慣れたもので、乗客にタバコを売り、乗客は兵士を目がけてそれをぶん投げる」(同) 兵士は周囲を気にしながらタバコを回収していくといい、また、少し前までは交渉次第では「北の大地」(北朝鮮領)に上げてくれることもあったとか。 米中の緊張をよそに、昔ながらの国境貿易のユルさが味わえる貴重なポイントになっているようだ。 (文・写真=金正太郎)密貿易船が売ってくれたアヒルのタマゴ
少子化に頭を悩ます北朝鮮で、避妊&中絶禁止令「指示に背けば、懲役3年の刑」に!?
少子化に悩む北朝鮮が、避妊や中絶手術を禁ずるという指示を出したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。しかし、少子化の原因は、北朝鮮の慢性的な経済難であり、人民からも疑問の声が上がっている。 北朝鮮経済の原動力は、アズマイ(おばさん)をはじめとする、主婦や働き盛りの女性たちだ。男性は、原則的に所属する国営の工場、企業所に出勤する義務があるが、給料はせいぜいコメ1キロ程度。女性たちが市場で商売をして、家計を支えなければならない。 家計を支える女性たちにとって大きな壁となるのが、やはり出産と育児だ。商売に忙しく育児をする余裕がないため、産んでもせいぜいひとり。こうした中、出産を拒否する女性も増えている。国連経済社会局(UNDESA)は今後、北朝鮮の出生率が下がり、2050年以降は人口減少に転じると見ている。 教育費の問題も、少子化に拍車をかけている。北朝鮮は「無償教育」を建前にしているが、実際には非常にお金がかかるため、子どもを産みたくても経済的に産めないのだ。 深刻な少子化に危機感を持つ金正恩第1書記は、さまざまな少子化対策を打ち出してきたが、これといった効果は出ていない。 そもそも少子化の根本的原因は、北朝鮮政府の旧態依然とした経済政策と、拡大発展する市場経済に当局が対応できていないからだ。それにもかかわらず、人民に少子化の責任を押しつけるような指示が出された。 RFAの両江道(リャンガンド)の情報筋は、「10月8日、北朝鮮当局の保健部門の担当者を集めた講演会が行われ、『避妊と中絶を禁止する。指示に背けば、懲役3年の刑に処す』という指示が下りた」と語った。 しかし、具体的な規定は公表されず。 正式な刑罰というより人民に対して注意を促す、もしくは闇の中絶手術や闇市で売買される避妊具などに対する警告の意味合いが強いのかもしれない。 具体的な内容が不明なことから、人民の間では「実際は懲役刑ではなく、巨額の罰金が科されるのではないか」というウワサ話も出回っているようだ。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は「もともと、避妊や中絶手術は法で禁じられていたが、有名無実化されていた。結婚前の女性が、他人の目がある病院ではなく、医師の家で中絶手術を受けることはよくある」と語る。 また、娘が性犯罪の被害者になるかもしれないという心配から、親が避妊用の「リング」を挿入する手術を受けさせるケースも多いという。 今回の北朝鮮当局の指示に対し、人民からは「無理やり子どもを産ませるのではなく、産んで育てられる環境を整えてほしい」と、まっとうな批判の声が出ている。 (デイリーNKより<http://dailynk.jp/>)
金正恩の“そっくりさん”が米国キャンパスで人気者に「1日100人に声をかけられ……」
米国の大学に通うある韓国人男性が、北朝鮮の金正恩氏にそっくりだとして人気を集めている。話題の渦中にあるのは、キム・ミンヨンさん。イリノイ大学で、正恩氏と似たような髪形および服装で出歩き、大学の“名物”になっているという。 キムさんはソウルで生まれ、2009年にイリノイ大学に入学。翌年から韓国で徴兵義務を全うするために一度帰国し、12年に復学した。ソウルに戻って生活している際、ハロウィン・パーティーで正恩氏のスタイルをモノマネしたところ、大ウケ。復学後にキャンパス内で同じような格好をしたところ話題となり、新聞にまで紹介された。米国で人気者になっているというニュースはキムさんの母国・韓国でも伝えられ、広告モデルやテレビ番組主演のオファーが舞い込み、一躍有名人となった。 現在、イリノイ大学で生活しているキムさんだが、キャンパスを歩いていると1日100人くらいから声をかけられ、記念撮影をせがまれるという。キムさん自身は、これに悪い気がしないらしく、キャンパス内で友達が増えることに喜びを感じているという。当初、正恩氏に似ているといわれることは嫌だったそうだが、最近は逆に楽しんでいるのだとか。 「僕が金正恩のマネをすることで、みんなが一瞬でも大学生活のストレスを忘れてくれれば幸せです」(キムさん) なお、キムさんは正恩氏を支持しているというわけではないらしい。ただ、バスケットボールとシカゴ・ブルズのファンであるという部分に関しては、共通点があると話している。ちなみに、正恩氏とキムさんは年が近い同世代。そのため「今後20~30年の間はモノマネできる」とキムさんは言う。キムさんは大学を卒業後は英語塾を経営する予定だが、「副業でドラマやコメディーショーに出演したい」と、メディアの取材に答えている。 そんなキムさんや、周囲の騒ぎぶりに対しては批判的な意見もある。脱北者支援団体「北朝鮮の自由」のイリノイ大学支部長は「キム氏のモノマネが、北朝鮮に住む2000万人の人々の残酷な現実に対して、アメリカ人を鈍感にさせている」とし「人々を笑顔にしたいという理由はわからなくもないが、少し無責任な行動では」と話している。USAトゥデイより
中朝国境に架かる“貿易の大動脈”が大事故で使用不能も、新国境橋が「無期限開通延期」のワケ
10月10日に労働党創建70周年を迎える北朝鮮。ミサイル発射を含め、国を挙げた一大イベントで何かと物入りの時期だが、喉元を絞めるような事態が発生した。9月28日、中国・丹東と北朝鮮・新義州を結ぶ鴨緑江大橋で大型トラックが横転、車道と鉄道線路をふさぎ、物流がストップしているというのだ。中朝貿易の7割を占める大動脈だが、橋は日本統治時代に建設されたもの。しかも、新しい国境橋は完成しているが、使用不能という。中朝国境は、いつになく不穏な空気が流れている。 中国の画像サイトに投稿された事故現場の写真によると、橋の上で大型トレーラーが線路側に横転して、車道と線路ともに通行不能になっている。29日に通行止めは解除になったとの情報もあるが、路面の一部が陥没した画像も投稿されている。韓国メディアによると、中朝貿易の7割がこの鴨緑江大橋を通じて取引されているという。事故が起きた鴨緑江大橋
1943年に完成した橋は幅が狭く、車道1車線、鉄道は単線しか走れない。このため、車両や鉄道の行き来は、時間を決めて一方通行にせざるを得ない。 老朽化して輸送力に限界がある橋に、物流の多くを依存するリスクは極めて高く、今回の事故について民間の北朝鮮研究者は「起こるべくして起きた。10日の祝典で必要な資材、幹部へのプレゼントや食料が滞ることになれば、金正恩第一書記への忠誠度も下がる」と予想する。 こうしたリスクは前々からあり、それらを打開すべく、中朝はすでに故・金正日総書記時代に手を打っていた。2009年、中国の温家宝前首相が訪朝した際、両国は新橋建設で合意していた。 中国が建設費用をすべて負担し、現在の橋から10キロほど下流に、横浜ベイブリッジに似た白い「新鴨緑江大橋」が14年10月に完成。中国側は、税関や出入国管理所も新築して開通を待つ状態だが、先の研究者は「北朝鮮側の橋のたもとから先の工事が、まったく進んでいない」と指摘する。すでに完成している新鴨緑江大橋
実際、完成後に撮影された写真を見ると、橋の先にある北朝鮮領には家屋や畑が広がり、ロクに用地買収も進んでいないようだ。中朝貿易に詳しい中国人貿易商によると、「北朝鮮は『橋から先の道路も中国のカネで造ってほしい』と駄々をこねているため、せっかく完成した橋も、その先が途絶えたままの状態になっている」というのだ。 また、金正恩第一書記の叔父で、党行政部長というナンバー2の地位まで上り詰めていた張成沢氏が13年12月に処刑された影響があるとの見方もある。「橋の完成で、物資や人、投資が北朝鮮にどっと流れ込み、中国の植民地のようになることを北朝鮮は恐れている」(同)というのだ。だが、実質的に北朝鮮の指導者層の生活を支えているのは、中国からの輸入品だ。 9月初旬に北京であった軍事パレードでも韓国の朴槿惠大統領が優遇され、北朝鮮の使節は冷遇気味の扱いだった。北朝鮮が弾道ミサイル発射に踏み切れば、中国政府は北朝鮮と距離を置くことは間違いない。 新鴨緑江大橋の開通は、さらに延びそうな気配だ。橋のたもとで途切れている、新鴨緑江大橋の北朝鮮側
フォルクスワーゲンも走る北朝鮮に、電気自動車をしのぐ“究極のエコカー”があった!
ドイツ・フォルクスワーゲンの排ガス規制逃れが、大問題となっている。閉鎖的な国家体制のため、世界的な影響を受けにくい北朝鮮でも一応、同社車両は輸入され、都市部の富裕層が乗り回している。だが、ディーゼル車は少なく、さらに当局は排ガスを意識しないため、大した影響はないそうだ。そもそも各国の厳しい環境基準が招いた同社の不正だが、北朝鮮にはガソリンや軽油はおろか、電気自動車をもしのぐ究極の“エコカー”が活躍しているらしい。驚きの現状を、中国と北朝鮮の国境からのぞいてみた。 今も昔も北朝鮮では、党幹部や軍幹部といった、コネと力の強い階層しか車に乗ることが許されない。一頃は日本車がステータスだった北朝鮮のカーライフだが、5年前に故・金正日総書記から「日本車を使うな」という鶴の一声があり、トラックやバスといった業務用車両以外は、欧州車や韓国との合弁で平壌郊外に工場がある「平和自動車」という国産車に代わった。交通量が多い平壌市内
「このところ、中国との商売で儲けた富裕層によるマイカー所有が増えた。結果、平壌市内の交通量は飛躍的に増えた。昔は女性警察官による手信号が平壌の名物だったが、今はすべてLEDの信号になっている」と証言するのは、親戚訪問で毎年訪朝しているという在日朝鮮人の男性だ。 数年前、金正恩第1書記が交通事故に巻き込まれそうになったこともあり、今度は正恩第1書記の鶴の一声で取り締まりが強化され、いま平壌市内では、手信号廃止による余剰人員の交通警察官により、違反キップが切られまくっているそうだ。 「特に道路脇への停車禁止違反が厳しい」(同)といい、好き勝手な場所で車の乗り降りはできない。 こうした交通量の増加は、あくまで平壌だけの話。地方では“元祖”エコカーが今も現役だ。 田舎に行くと「木炭トラックが走っている。煙がひどく、故障率が高い」(同)。荷台に木炭をくべる内燃機関を搭載し、木炭が燃えることで一酸化炭素と水素ガスを燃料にするもので、「木炭車とすれ違う際には、窓ガラスを閉めないときつい」(同)というが、燃料は木ゆえ、ちゃんと植林をすれば有効な再生可能エネルギーといえるかも?今にも切符を切りそうな女性警察官
さらに上をいくのが「牛車」だ。日本では平安時代ぐらいにメジャーな乗り物だったが、北朝鮮の地方部では今でも牛車が列をなすほどになっている。 「農機具や工事に使う重い物の輸送に使われている。現在、配給はロクにないので、北朝鮮の人々は生きていくのに必死。だから、物々交換や商売で活発な物流がある。そこに牛車が使われている」(同)道路のど真ん中を突っ切る牛車
確かに、中朝国境付近で撮られた写真には、牛車による渋滞が写っている……。燃料は草と水、排出ガスはゲップとフンぐらい。ただ「法律で人が牛車に乗るのは禁止」(脱北者)なんだとか。牛車にも交通ルールとは、なんだか大変そうだ。
豪華ショッピングエリアオープンも、致命的な欠点が……新・平壌国際空港が残念すぎる
去る7月1日、北朝鮮の空の玄関口となる平壌国際空港が改築オープンした。故・金正日総書記の遺言に基づき、24時間態勢の工事で完成させたというターミナルビル。竣工直前に李雪主夫人同伴で現地指導した金正恩第1書記は「近代的センスと民族的特性が調和され、立派に施工された」と、大満足したという。外貨を稼ごうと、免税店や食堂を異様に充実させたのが最大の特徴だが、空港利用者によると致命的な欠点があるらしい。 正恩氏の号令で、昨年春ごろから始まった空港の建設工事。平壌から車で30分ほどの順安(スアン)という小都市にあるこの空港は、もともと日本の地方空港のようなコンパクトなものだった。かなり立派になった平壌国際空港
昨年10月にオープンさせるという情報があったが、結局完成は7月までずれ込んだ。 「1階は到着ロビー、2階が出発ロビーで、コンビニや高級時計店がある。3階は食堂や洋服店、記念品店と、まるで商店街のようでした」とは、最近空港を利用した在日朝鮮人のビジネスマン。酒屋
さらに、出国ゲートを出た先にも、書店や高麗人参店、薬局、CD・DVD店、また民族料理店や洋食店、アイスクリーム店までが軒を連ね、中部国際空港や羽田空港国際線旅客ターミナルのような「遊べる空港」を意識した構造となっている。アイスクリーム店もある
「そもそもエネルギー不足で工場がまともに稼働していないため、北朝鮮の国産品自体が珍しいが、全国の産品を一堂に集めたような素晴らしい品ぞろえだった。同国内では、たとえ同胞でも、私のような在日朝鮮人は市中の商店に入って自由な買い物をすることは難しい。ここはなんでもそろっていて、面白そうだった。ただ最大の問題点は、買い物の時間がないこと」(同) 例えば、北朝鮮のフラッグキャリア・高麗航空の北京便の場合、日本へ同日乗り継ぎで帰国ができる平壌発は「月・火・金・土」の午前8時台。週2便の延吉便は午前9時発、同じく週2便の臨時ダイヤで運航する上海便は午後9時台。瀋陽便だけは午前11時台と余裕があるものの、これも週2便しかなく、日本への同日乗り継ぎはできない。 朝の出発は、とかく時間がない。また「出国の税関検査で職員が意地悪するかのごとく細かく荷物を調べるので、ここでもまた時間がかかり、店で土産を買う時間なんてなかった」(同)というのが実情なんだとか。 結局、すぐに搭乗時間となるが、高麗航空に機内販売のサービスはない。出国ゲートの奥にある本屋
「いったい空港の“商店街”は、なんのためのものなのか……」と先のビジネスマンは憤るが、いかにも北朝鮮っぽい顚末だ。 (文=金正太郎)脚線美を強調する高麗航空のCA
欧米各国に“難民ラッシュ”の一方……北朝鮮の“難民船”が日本に来ないワケ
欧州各国にアフリカや中東から難民が押し寄せ、大きな国際問題となっている。難民といえば、一時期問題となった北朝鮮の脱北者。最近は難民船が日本に漂着することもなくなったが、理由を探ると、中国や韓国との国境線だけでなく、海岸線にも高圧電流の鉄柵が敷設されたという仰天情報が入ってきた。金正恩第1書記の時代になって文字通り鎖国が徹底され、不作で飢餓の危機が迫る北朝鮮の人民らは完全包囲されているらしい。 韓国当局の統計によると、韓国に入国した脱北者は2002年に1,000人、06年に2,000人を突破した。その後、09年の2,914人をピークに減少傾向にあり、昨年は1,397人。今年は5月時点で535人となっている。 脱北者が減少傾向にあるのは、正恩氏による国境管理の強化だ。中朝国境は金網が続く
白頭山(ペクトゥサン)を挟んで東は豆満江(トゥマンガン)、西は鴨緑江(アムロクガン)が中国と北朝鮮の国境線となっている。中国在住の朝鮮族の50代女性は「もともと国境管理はユルく、実質的に行き来は自由だった」と証言する。 「中国側に住む朝鮮族の住民が豆満江を渡って北朝鮮側に入り、映画を見て帰ったこともある」(中国・吉林省延吉市に住む朝鮮族の事情通)といい、工業製品など足りない物は北朝鮮側に買いに行くこともあったという。 現在も鉄道と車両が通過できる複数の国境橋が両国を結び、コンテナを積んだトラックや貨物列車が活発に行き交っている。きちんと入出国管理を経た貿易は動いているが、密入出国の取り締まりは正恩氏の指令でかなり厳しくなっているようだ。中国側の2重簿金網
当初は中国側が鉄条網を設置し、川への侵入を禁止した。これに対抗して、北朝鮮側も鉄条網を設置。中国側は、さらに鉄条網を……と、結果的には2重3重の鉄条網が設置され、物理的に脱北が遮断されているという。 最近は、北朝鮮側の国境警備隊詰め所の改築が進み、目立つように水色のペンキで塗装されているのが確認できる。「かつては、ある程度カネ(賄賂)を積めば川を渡らせてくれた国境警備隊も、正恩氏の命令で引き締められている」(前述の事情通)と、監視の目も厳重になっているようだ。 また、「海岸線沿いにも電気柵が敷設された。元帥(正恩氏)は『海からの脱北も許すな』と命じた」とは、北朝鮮から中国にやってきた商売人の証言だ。漁業活動は許可された漁師のみで、欧州の難民船のように船に乗っての脱北はかなり厳しい状況らしい。背景には今年初旬から北朝鮮の漁船が遭難し、韓国の海洋警察に救出されるケースが続発。一部漁師が韓国に亡命を求めたという事象があるようだ。しっかりした造りの、北朝鮮の監視小屋
とにもかくにも難民船は来ていないが、北朝鮮は昨年から続く水不足で農業に大打撃を受けているという情報もある。拉致被害者の多くが北に閉じ込められたままの現状で、90年代の飢餓の再来が懸念される。 (文・写真=金正太郎)わりと暇そうな国境警備隊
国産サングラスを着用する朴槿恵を尻目に、金正恩は“海外高級ブランド”嗜好!?
今月3日に中国で開かれた抗日戦争勝利70周年記念式典に参加した韓国の朴槿恵大統領がかけていたサングラスが韓国の中小企業が作った製品であることがわかり、注目を集めている。 この製品は、テグ市にあるSEESUNという眼鏡メーカーが作った「SUR-1002」というモデルのサングラスだ。韓国のネットショップでは15万5,000ウォン(約1万6,000円)で販売されているが、同社の関係者も報道されるまで自社製品であることに気づかなかったという。 しかし、「大統領が着用したサングラス」と報道されたことで、同社にはお祝いと注文の電話が殺到、社員たちも大忙しのようだ。 もともと韓国の中小企業の製品は、品質面でもデザイン面でもクオリティが低く、「安かろう悪かろう」の代名詞。国産品愛用運動や中小企業奨励運動で特別優遇されているほどだ。 こうしたイメージがいまだに残っていることから「大統領が国産サングラスをかけた」というニュースが驚きを持って受け止められているようだ。一方、このニュースを見たある脱北者は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に次のように語っている。 「一国の指導者が国産製品を使うなんて、北朝鮮ではありえないことだ」 北朝鮮の金正恩第1書記は、サングラスを愛用することで知られている。ブランドは不明だが、海外から輸入した高級品であるとみられている。 また、今年3月に空軍のパイロットにプレゼントしたものをはじめ、正恩氏が人民にプレゼントするサングラスは海外の有名ブランド品であるといわれている。 正恩氏は、サングラスだけでなく、人民服の生地や時計なども海外の有名ブランド品を愛用している。夫人の李雪主氏も同様で、公務ではディオールのクラッチ・バッグを常に持ち歩いている。 世界中が見守る中、国産品をアピールする朴氏と、これ見よがしに舶来物を愛用する正恩氏。正恩氏は、今年の新年の辞で「輸入病(輸入に頼る傾向)をなくせ」と声高に強調していたが、まずは自分自身の“海外ブランド好き”をなくすべきではなかろうか。 (「デイリーNKジャパン」<http://dailynk.jp>より)2015年8月10日、帰国した女子サッカー選手らを空港で出迎えた金正恩氏(朝鮮中央通信より)
韓流ドラマが北朝鮮の人々に与えた「新しい幸せのかたち」
北朝鮮で“裏コンテンツ”として幅広く流通している韓流ドラマは、言葉やファッションに多大な影響を与え、北朝鮮社会や人民の意識を大きく変えているが、ここへきて新たなトレンドを生みだしつつある。平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が、その現状を探った。 かつて北朝鮮では、食事は「家で食べるもの」で、外食の習慣はなかった。仕事の都合などで“仕方なく”外食することはあったが、最近では“あえて”外食へ出かけることが当たり前になりつつある。以前から平壌では、幹部やドンジュ(金主、新興富裕層)が有名レストランで食事をする光景は見られたが、この習慣が地方の幹部や庶民にも広まっている。 さらに、ピクニックもちょっとしたブームだ。幹部やドンジュは焼き肉、カネのない庶民はお弁当を作って外で食べる。実はこれ、韓流ドラマをきっかけに広まったものなのだ。 そもそも北朝鮮には「外食」を表す単語は存在しなかったが、どうやら韓流ドラマで聞きかじった“新語”を一部の人々が使い始め、それが拡散したようだ。今では、若い男女が外食をして愛の告白をするといった“韓国のような”シーンも珍しくない。 中高生も、「学生の奉仕ノルマであるウサギの皮を持ってこられなかった」などの理由で先生に叱られたら、「憂さ晴らしに何か食べに行こう」と友達を誘い、人造肉飯(大豆でできたソイミートにご飯を入れたもの)などを食べに行く。その光景は、韓国や日本の中高生の放課後とまったく変わらない。 こうした習慣が広まり、「外食は、圧迫と苦悩の日常から解放してくれるプチ贅沢」という認識がすっかり定着した。 平壌で人気のグルメスポットは、冷麺の「玉流館」「清流館」、そして犬肉の「平壌香肉館」だ。皆よそ行きの服を着て、家族や親戚と出かける。人気のレストランなので順番待ちの列も長いが、おいしいものにありつけるとあって、みんなニコニコ顔だ。また、牡丹峰(モランボン)などの景勝地は、ピクニックエリアとして人気だ。 平壌以外の地方では、町の小さな食堂で家族そろって外食を楽しみ、日が暮れれば男たちは屋台で豆腐をつまみに一杯やる。お年寄りは長椅子に腰掛け、ポップコーンの袋をつまみながらおしゃべりに明け暮れる。苦しい生活の中のささやかな楽しみ、そして幸せのひとときなのかもしれない。 北朝鮮当局は、韓流ドラマの取り締まりを厳格化し、簡単に視聴できなくなっているが、韓流ドラマが北朝鮮に与えた「新しい幸せのかたち」は、人々から消えることはないだろう。 (デイリーNK<http://dailynk.jp/>より)平安南道粛川の魚介鍋食堂前で休憩している人々






















