数多くの大企業のコンサルティングを手掛ける一方、どんなに複雑で難しいビジネス課題も、メカニズムを分解し単純化して説明できる特殊能力を生かして、「日経トレンディネット」の連載など、幅広いメディアで活動する鈴木貴博氏。そんな鈴木氏が、話題のニュースやトレンドなどの“仕組み”を、わかりやすく解説します。 もし若者をターゲットに予備校と就活塾のどちらかを新規ビジネスとして始めるならば、どちらがビジネスとして有望だろうか? 既存の強い競争相手がウヨウヨしている予備校市場に今から参入するよりも、まだ戦う相手が少ない就活塾を新規に開業したほうが、新規ビジネスが成功する可能性は高いのでは? 普通はそう考えるところだが、実は就活塾という領域はなかなか事業化が難しい。私の本業は新規事業立ち上げのコンサルティングである。そしてこの就活塾というアイデアは、新規事業アイデアとしては、非常に多くの起業家が挑戦しようとしている分野でもある。 一見、ビジネスチャンスが大きそうなこの領域がなぜ難しいのか? この謎を、今回のコラムのテーマとして取り上げてみたい。 なぜ就活塾を起業するのが難しいのか? 先に答えを言ってしまうと、この領域はベンチャー起業家よりも、大資本に向いた領域なのだ。もしくは起業家であれば就活の当事者ではなくその親からカリスマ的に信頼されるような大物である必要がある。30歳前後の若手起業家にはとりつきにくい。理由はカスタマーの意識を変える大規模なカスタマー教育投資が必要だから。 その前振りを申し上げた上で、就活塾というビジネスチャンスについて、一緒に考えていくことにしたい。 一昔前に受験戦争という言葉があった。(選挙から派生した俗説だが)「四当五落」といって4時間しか寝ずに勉強した者が受験に合格し、5時間寝た者は試験に落ちるなどという話がまことしやかに流布されたのはこの時期である。 筆者は「受験は効率」だと合理的に考えて大学受験を乗り切ったくちだが、それでも人生であれだけの時間を勉強に費やしたのは、大学受験の時をおいてほかにはなかったと思う。 ところが当時の受験戦争は、大学に入学すればそれでおしまい。4年間無事に単位をとって就活に臨めば、それなりの就職先が待っているという、今から考えると非常にぬるい時代。それが受験戦争が存在した時代であった。 今はというと、これは皆さん実感値としてご存じの通り、就活戦争の時代である。それもバブル後の就職氷河期よりもさらに厳しい就職活動が、大学生を待ち受ける時代である。 ●大切なのに、就活は“子任せ”のワケ ここで一見不思議なことは、中高受験や大学受験にあれほどの投資をする親が、大切な息子や娘の就活に関しては子任せという状況が、受験戦争が戦争というほどではなくなった今でもまだ続いていることである。 時代が変わったのだから、本当ならば自分の子がどこの大学に入るかではなく、どのような仕事を手にするかのほうが、子の将来のキャリアを考えると重要事項である。 さらに就活は教えることも、サポートすることもどちらも可能であると同時に、どちらも大切だ。例えば就活に成功するか失敗するかの境目は、実は行動量で差が出る。そして要求される行動量が生半可ではないから、多くの学生が途中で心が折れてしまう。伴走することで行動量が十分なレベルから減らないようにモニターしつつ、心が折れないようにケアもする。就活塾がそのような役割を果たしてくれるのであれば、その存在には意味があるはずだ。 しかし実際の世の中では、そうなってはいない。それはなぜだろうか? 簡単に言えば2つの認識が予備校市場に比べて就活塾市場を小さくとどめてしまう。ひとつは、20歳を過ぎたらもう子供ではなく大人だと親が認識してしまうこと。もうひとつは、現代の就活がここまで厳しいということを、子が就活をするようになって初めて親も実感すること。後者は就職氷河期を体験した世代が就活生の親になるまでは、口で言ってもなかなか直りそうにはない。 しかし、この親の意識を変えない限り、就活塾の市場規模は大きくならない。違う言い方をすると、就活をする本人の財布からお金を集めようとするビジネスモデルでは、就活塾市場は大きくはならない。 ここには市場創造のパラドックスが存在する。 ●生涯賃金で1〜3億の差? ちなみに就活に成功するかどうかで、どれくらいの収入差が出るかご存じだろうか? 生涯賃金についての研究によれば、一流企業で経験を積んでキャリアアップをしていく社会人人生を送る者の生涯賃金は、3~5億円という金額レベルになる。これに対して、大卒時の就活で労働生産性の低い業界やいわゆるブラック企業に就職した場合は、正社員になったとしても生涯給与は2億円前後である。 アメリカでは大学院に行くかどうかで、生涯給与に1億円程度の差が出てくるそうだ。大学院に行く若者は、そのために1000万円にもなる授業料を数年間かけてため、そのなけなしのお金を投資して大学院に行くことを経済合理的に判断する。 ところが日本の場合、最終学歴が大学院かどうかではなく、最初の就活がどこに決まるかで生涯給与が決まる要素が大きい。とすれば、将来のための十分な投資資金は、まだ自分では準備はできていないステージにいるのが標準的な就活生ということになる。 最終的な成果が1億円単位で違ってくるならば、大学受験の予備校と同レベル、例えば100万円を投資程度の投資は絶対にしたほうがいい。アメリカ人が大学院で自己投資するよりも、はるかに投資は少ない。ところが本人にはそれを支払う資金がなく、親にはそれを支払ったほうが絶対によいという情報が足りない。 だから経済合理的には成立する(もっと言えば投資したほうがいい)就活塾に、十分な投資資金が回ってこない。 結局のところ、就活塾を成立させるには、親の財布から受講料を獲得する有効な方法を見つけ出さなければ、その市場は大きくはならない。 そのためには、親の常識を変えるために、マスメディアを活用した大規模なマーケティング施策が必要だ。ないしは、この世代の親(50代のバブル経験世代が中心)が納得するほどのカリスマが市場創造に乗り出すか、そのどちらかが必要だろう。 受験戦争の終結を宣言するとともに、就活戦争の実態を大いに知らしめ、そこで子たちが勝ち抜くために必要なものを理解させる。その下地ができて初めて、就活塾市場は市場として形成される準備ができるのである。 (文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役) ■おすすめ記事 矢口真里不倫報道に、西川史子「結構前から噂で聞いていた。もともと夫婦関係破綻」 “加害者”家族の現実 失われる日常、自殺、退職、執拗な脅迫…広く親戚にまで影響 スマホを捨てられますか? なんとなく世間に流されている「無難な人」になっていないか!? 変われない人の共通点とは?決断力より重要な「否定力」「根拠なき自信」 ヴィトンら海外ブランド大幅値上げは横暴?円安が理由はオカシイ!百貨店も驚き「Thinkstock」より
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資格スクールの恐ろしい実態 リピーター量産、合格者を食い物、ヤラセ写真…
資格を取れば就職に有利。独立開業で儲かる--。 資格最高峰の弁護士、公認会計士でさえ、就職難は続いているのに資格スクールは今日も資格の有効性を叫ぶ。そして、「資格は取ったけど」就職できない若者を量産し、就職にあぶれた資格保持者を激安賃金で非正規雇用する。一度入ったら抜け出せない(?)資格スクールの裏側に迫る。 「資格を取って稼げている人は、私の実感で1割程度。そこで、かつて資格を取るために通っていた学校に戻り、ファストフード店以下の労働条件で働かざるを得ない人がゴマンといます」 かつて大手資格予備校で講師を務めていた社会保険労務士の須田美貴さん(39歳)は、開口一番そう実態を語る。須田さんの勤めていた資格学校は、このような「資格は取ったけど食えないOB・OG」を実に2000人も雇用。といっても、正社員として一生面倒みてくれるワケもなく、「業務委託」として時給1000円ほどで講師の仕事が割り振られるだけ。それでも人気講師になればシメたもので、大半はろくろくお呼びも掛からず、「年1回だけしか講義させてもらえず、年収5000円の講師もいた」という。 資格を取れば、バラ色の人生が待ち受けていると匂わせ、その結果がコレ。ほかにも、資格学校には唖然とさせられるウラがある。 ●合格祝賀会写真のウソ 資格予備校のパンフレットを見ると、真っ先に目に入るのが「合格祝賀会」の写真だ。そこには晴れ着など正装姿の男女が満面の笑みでギッシリ。「この学校、こんなにたくさんの合格者を出しているの?」とついソノ気になるが、騙されてはいけない。 「私が勤めていた資格学校は、その年の合格者だけではなく、以前の合格者も大勢招いていました。タダ酒が飲める上に男女の出会いもあるとなると、結構、集まるものなんです」(須田さん) ヒドイ場合は、「就職者交流会」と銘打つことで、他校の生徒や独学者まで招いてしまうというから、油断ならない。 ●講師が客引き!? 資格予備校は、生徒が集まらなければ潰れてしまう。だから、どこも生徒募集に躍起。中には生徒の合格率を上げてそれをウリに集客しようとするマトモな学校もあるが、そうではない学校も。 「講師に駅前でのパンフレット配布をさせるくらいは常識。それどころか、『名簿を渡すから、営業しろ、電話をかけまくれ』と命令されていました。しかも、報酬はゼロです」(同) さらに、須田さんのいた予備校では社長自ら「生徒全員が合格したら、会社は潰れてしまう。不合格者がいるからやっていけるんだ」と語り、不合格者を“リピーター”にするために割引価格で囲い込むことも多々あったという。 ●人気講師は口のウマさだけがウリ 難関資格ともなると、5年モノ、6年モノのリピーターもザラだ。そうまで受からないなら別の予備校に通ったほうがいい気もするが、そこにはまた予備校側の仕掛けがあるという。 「予備校には、口のウマさがウリの人気講師が必ずいます。彼ら彼女らは必ずしもいい講義をして、生徒の高い合格率を叩き出しているのではない。『いつやるの? 今でしょう~』の受験予備校の先生ではありませんが、ああした生徒の鼓舞の仕方がうまく、いつしか生徒は先生の虜となり、『おっかけ』と化していくのです」(須田さん) まるで、自己啓発セミナーだ。 ●恐怖の“ヒヨコ食い”の実態 いざ、資格試験に合格し、開業したとしても、すぐに客など付くはずがない。そこで用意されるのが、有資格者による「開業セミナー」だ。各種資格予備校もやっているが、中でも悪質なのが「開業講座専門の学校」だ。 「通称“ヒヨコ食い”です。要するに、資格を取得したばかりで右も左もわからないヒヨコちゃんを食い物にしている人や塾が、たくさんあるのです」(須田さん) 中には、6日間で33万円と非常に高額な講座もある。 「内容はお粗末そのもの。まずは自己紹介の練習から入り、営業のロールプレイング、プレゼンのやり方などを教える程度。資格者の夢である本の出版をチラつかせ、『出版企画会議に参加できる』と謳うケースもある。まるで出版計画などないのに。ところが、食われたヒヨコのほうは、SNSなどで仲間に『あの有名な先生から執筆のお手伝いを依頼されちゃいました!』なんて自慢しているのですから、おめでたいとしか言いようがありません」(須田さん) その「有名な先生」とて実際は本業の仕事が皆無で、“ヒヨコ食い”だけで生計を立てていたりするのだ。 このように、「資格学校」の裏には、生徒を食い物にするブラック過ぎる闇がうごめいている。詳しい実態は、須田さんの著書『資格ビジネスに騙されないために読む本』(鹿砦社)を参考にしてほしい。 (文=佐藤留美) ■おすすめ記事 元“天才子役”坂上忍、子役ブームに苦言「使い捨ての子役養成システムに将来はない」 シャープ、経営破綻へのカウントダウン!? 主力2行が追加融資&役員級派遣か ソニー、社長就任から1年の平井改革の行方…次々と新組織立ち上げの狙いと懸念 “不遜な女”主演連ドラ対決、説得力と激痛溢れるNHKが、フジ・日テレに勝利? 岡村隆史、新作映画で仲里依紗とエロシーン?「Thinkstock」より
就職氷河期、本当の理由は高すぎる大卒初任給?

ある意味、幼児虐待...(「Thinkstock」より)
新入社員にとって、社会人になった実感も持てるのが、うれしい初月給。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、昨年の大卒初任給の平均は20万2000円(額面)。前年比2.3%増で初めて20万円の大台に乗った。今年は景気が回復基調にあり、調査平均が20万円台を再び割り込むことはないだろう。
だが、喜びに水を差すようでもあえて問いたい。初任給20万円は高すぎないか?
今年4月の平日は20日間。ということは日給1万円。就業時間が9時から5時までで、休憩が1時間とすると、実勤7時間で割ると時給は1428円になる。今どき、そんなボロいアルバイトがどこにある?
厚生労働省のモデル年金は月額23万1648円(昨年度)だが、これは夫婦2人分の支給額。妻の国民年金分6万6008円を差し引くと、夫1人だけでもらえる金額は16万5640円しかない。
「プレジデント」(プレジデント社/07年12月号)によると、世界の主要都市に勤めるサラリーマンの、ボーナスを含まない平均月収は、先進国でもイタリア・ローマが19万200円、韓国・ソウルが17万9500円で20万円を割る(円換算、額面)。
つまり、日本の大卒新入社員の初任給は、ボロいアルバイトの時給よりも良く、モデル年金支給額1人分よりも良く、平均的なイタリア人や韓国人の月給よりも高いのである。
会社は、新入社員1人に月25万〜30万円を注ぎ込む
初任給を受け取った新入社員が、「会社は右も左もわからない私に20万円も使う」と思ったとして、その謙虚さは買うが金額は間違えている。20万円ではなく、22万8682円だ。なぜなら企業は、社員の各種社会保険料も負担しているからだ。
<社員の月給に対する、会社の保険料負担分>
厚生年金 8.206%
健康保険 4.985%(協会けんぽ/東京都)
雇用保険 0.85%
労災保険 0.3%(その他の各種事業)
合計 14.341%
月給20万円の場合、会社は20万円×14.341%=2万8682円を、月給以外にその社員に払っていることになるのだ。そのほか、通勤交通費も支給するし、財形貯蓄、厚生年金基金、社員食堂の利用、共済会費といった会社負担分が発生する。さらに独身寮や借り上げ社宅の場合、それだけで会社負担は月数万円は下らないだろう。
福利厚生だけでなく教育研修にもカネがかかる。新入社員の入社前後の1人当たり平均研修費用は20万8989円(産労総合研究所の調査)で、月額換算で1万7415円だ。
以上をトータルすれば25万円突破はまず確実で、福利厚生が手厚い会社、教育研修に熱心な会社なら30万円を超えるケースもあるだろう。だが、仮に30万円としても、初任給はその3分の2を占め、やはり大きい。
初任給を5万円下げれば、就職氷河期は終わる?
もし仮に、初任給の25%の5万円がカットされて15万円になったら、どうなるだろうか。前出の厚労省の調査によると、大卒男子の初任給が15万円を超えたのは1988年で、バブル絶頂の少し手前だった。当時とは物価も社会保険料も違うので単純比較はできないが、今でも1人なら月15万円の給料で生活できないことはない。
初任給が15万円になり、会社が新入社員1人に25万円かけたのが20万円にダウンしたら、同額の予算で採用できる人数を25%増やせる。月1000万円の予算なら、採用できる人数が40人から50人に増える。
「採用の25%増」がどれぐらい大きなインパクトかというと、みんな入りたがる1000人以上の大企業の求人総数15万2400人が19万500人に増え、民間企業就職希望者数に対する求人倍率0.65は0.81に改善し、前回のピーク0.77(08年、09年3月卒)を超える。(リクルートの「ワークス大卒求人倍率調査/2012年3月卒」より)。
初任給を下げれば、多くの学生を苦しめる「就職氷河期」は一気に雪解けを迎える。学生にとっては、同期の仲間につらい思いをさせても自分は20万円ほしいか、15万円で我慢して仲間を助けるか、という選択になる。
韓国の「初任給ワークシェアリング」の失敗
初任給を下げて採用を増やすという「初任給ワークシェアリング」を、実際に実践してみせた国がある。韓国である。
国民ひとり当たりの所得(GNI)と比較した大卒初任給(08年)は、日本の0.6倍、アメリカの1.2倍に対し韓国は1.3倍もあり、「大卒の初任給は高すぎる」という批判が韓国政府に寄せられていた。日本の経団連にあたる韓国の全国経済人連合会(全経連)は09年2月、政府の意向を受けて「雇用安定に向けた経済界発表文」を発表し、大卒初任給を削減する代わりに、新規採用・インターン採用を増やすワークシェアリングに乗り出す。全経連所属の民間企業30大グループに最大28%の初任給削減を要請し、サムスン、LG、現代、SKなど8グループがこれに応じ、採用数を当初予定よりも増やした。
だが、この3年前の韓国の試みは「不徹底で効果が薄かった」という声がもっぱら。全経連の要請を受けてもロッテ、現代自動車、韓進など13グループが削減を拒否し、様子を見ていた他社もそれにならった。削減した企業も、ほとんどは短期間で元に戻している。要請を拒否した企業は「社会的弱者の大卒新入社員に犠牲を強要するな、という非難の声を無視できなかった」「政策と歩調を合わせた全経連のやり方には最初から無理があった」と、当時を振り返る。
初任給を20万円もらう新入社員が社会的弱者なのかという議論はともかく、やるならやるで産業界が完全に足並みを揃えるか、政府が最低賃金法ならぬ「最高初任給法」を制定して、税務署がチェックし、違反企業に罰則を科すぐらいのことをやらなければ「初任給ワークシェアリング」はうまくいかないことを、韓国の失敗は教えてくれる。
(文=寺尾 淳 フリーライター/ファイナンシャルプランナー)
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「コネがなければ買えばいい」岩波書店の上を行く、中国"究極"理不尽就活事情
岩波書店の2013年度の社員募集要項に、同出版社の著者や社員の紹介が応募条件として明記されていたことが、縁故採用ではないかとネット上で話題となった。また、小宮山洋子厚労相も「早急に事実を把握したい」と調査に乗り出す構えを示すなど、日本では国をも動かす騒動となった。
しかし、ところ変われば何とやら。この春、東京の大学を卒業予定で、北京市で就職活動中という中国人男子留学生は意にも介さない。
「なんでこんなことが問題になるのか分からない。中国では、縁故採用は当たり前。親戚や知人に政府関係者や大企業の重役クラスの人がいれば、履歴書の『特記事項』の欄にその名前を書いておくのは常識ですよ。この企業(岩波)は採用基準を正直に申告しただけ透明性が高い」
中国では現在、就職活動がピークを迎えている。卒業月にあたる6月には、過去最大となる約680万人が大学を卒業予定。さらに昨年就職できなかった既卒者約200万人を合わせると、やはり過去最高となる約900万人の大卒資格者が目下、就職活動中ということになる。
一方で、大卒の就職率は6割前後にとどまっており、正規雇用を獲得できずにフリーター生活を続ける「蟻族」と呼ばれる高学歴ワーキングプアを量産している。
男子留学生によると、こうした超就職難の中、コネの有無は就職活動において最重要項目となっているという。
では、コネを持たない就職活動者は、もはや絶望するしかないというのか......。
「コネがないなら購入することもできますよ。中国には"コネ紹介会社"というのがある。彼らに頼めば、企業や役所の人事権に影響力のある人物を紹介してもらうことができる。例えば、鉄道局員や地方公務員のポストは日本円にして36~100万円ほどです」(男子学生)
一方、金銭ではどうにもならない、さらに理不尽な応募条件もある。過去には血液型がO型かB型であることを条件として社員採用を行っていたインテリア会社や、「てんびん座を優先して採用す る」と明言する企業も存在した。男子留学生も「『湖南省出身』ということを理由に、書類選考で落とされたことがある」と自らの体験を話す。
しかし、こうした現状にあっても、男子留学生は達観とも諦念ともいえる態度で就職活動を続けている
「人材市場では我々は商品。数ある商品の中からどれを買うか、その判断や基準は購入者である企業に委ねられてもしょうがない。そもそも世の中に平等なんて、ありえない」
かつて「労働者の平等」を掲げた共産主義国で育った若者は、資本主義国である日本の若者よりも現実的だ。
(文=高田信人)
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「岩波書店のコネなんてもらえない!」底辺東大生の就職活動はFラン大よりも悲惨!

※イメージ画像 photo by sir.Kir from flickr
就職活動シーズンまっさかりに発表したためか、一向に冷める様子もない岩波書店のコネ入社をめぐる議論。「不公平だ!」という批判意見がある一方で、「合理的だ」と称賛する声も増えてきている。先の記事に記したように(※記事参照)、岩波書店が求めているのは、基本は東大卒を中心としたエリート層である。明確な志望動機もなく、「なんとなくマスコミに行きたい」というような学生の応募で事務処理が煩雑にならなくて済む。「コネが必要な上に東大生じゃないとダメ」となればさらに不公平な感じもするが、実は東大生の就活事情も内情はかなり悲惨なのだ。
実は、岩波書店のコネ報道が流れてから、東大生たちから聞こえてくるのは「岩波に紹介状を書いてもらえるようなヤツはいいよな......」という怨嗟の声だ。
東京大学といえば、日本で一番偏差値が高い大学である。ゆえに、日本国内に住んでいて成績優秀な学生は、ほぼすべて東京大学に入学することになる(最初から海外の大学に進学する人もいるだろうけど、ごく少数だ)。なので「この人は神か?」と思うようなハイパーエリートもいるかと思えば、十数年の人生を受験勉強に費やしてなんとか入学した学生まで、実は頭のデキが随分と幅広い。にもかかわらず、就職活動で企業から「東京大学」と十把一絡げに分類されてしまう。こうなると、悲惨なのがいわば「底辺東大生」ともいえる学生たちだ。
「東大に入ってしまったがために、最初から就活の対象になる企業がある程度絞られてしまうんです。どこでもいいから就職したい、と思って誰も知らないような中小企業に行こうとしても『なんで東大なのにウチの会社なんかに?』と、何か問題があるんじゃないかと書類でハネられてしまうんです......」
と、話すのは、就職先が決まらずに留年することを決めた東大4年生の男子学生。東大ならではのコネが通じる企業はいくつもある。でも、コネをもらえるためには一定水準以上の能力が必要というわけだ。彼に限らず、大学受験を終えた解放感の中で4年間を過ごしてしまい、就職も決まらずに留年を決めたり、大学院進学へ「逃げ」たりする東大生は数多い。
また、就職活動にあたっては「とりあえずマスコミも受けてみる」という東大生はやっぱり多い。
「朝日新聞と講談社と......あと、P&Gも(日本では台所用洗剤で有名な会社だが、世界でも指折りの優良企業で東大生の採用率が高い)とりあえず受けてみる予定です」
と、就職活動中のある東大女子は話す。ちなみに、第1志望は堅そうな独立行政法人を狙っているというから、わけがわからない。
それでも心が折れて就職活動を断念してしまう最底辺を除けば、どこかには就職できるのだから「腐っても東大生」というべきか。
ただ、彼らの場合は具体的に「どこそこの教授の研究室にいたヤツがコネで就職した」といった情報を得る機会が多いので、このニュースを通じてコネのぜひを論議している人々よりも怨嗟が強いのは間違いない。
(取材・文=三途川昇天)
「岩波書店のコネなんてもらえない!」底辺東大生の就職活動はFラン大よりも悲惨!

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実は、岩波書店のコネ報道が流れてから、東大生たちから聞こえてくるのは「岩波に紹介状を書いてもらえるようなヤツはいいよな......」という怨嗟の声だ。
東京大学といえば、日本で一番偏差値が高い大学である。ゆえに、日本国内に住んでいて成績優秀な学生は、ほぼすべて東京大学に入学することになる(最初から海外の大学に進学する人もいるだろうけど、ごく少数だ)。なので「この人は神か?」と思うようなハイパーエリートもいるかと思えば、十数年の人生を受験勉強に費やしてなんとか入学した学生まで、実は頭のデキが随分と幅広い。にもかかわらず、就職活動で企業から「東京大学」と十把一絡げに分類されてしまう。こうなると、悲惨なのがいわば「底辺東大生」ともいえる学生たちだ。
「東大に入ってしまったがために、最初から就活の対象になる企業がある程度絞られてしまうんです。どこでもいいから就職したい、と思って誰も知らないような中小企業に行こうとしても『なんで東大なのにウチの会社なんかに?』と、何か問題があるんじゃないかと書類でハネられてしまうんです......」
と、話すのは、就職先が決まらずに留年することを決めた東大4年生の男子学生。東大ならではのコネが通じる企業はいくつもある。でも、コネをもらえるためには一定水準以上の能力が必要というわけだ。彼に限らず、大学受験を終えた解放感の中で4年間を過ごしてしまい、就職も決まらずに留年を決めたり、大学院進学へ「逃げ」たりする東大生は数多い。
また、就職活動にあたっては「とりあえずマスコミも受けてみる」という東大生はやっぱり多い。
「朝日新聞と講談社と......あと、P&Gも(日本では台所用洗剤で有名な会社だが、世界でも指折りの優良企業で東大生の採用率が高い)とりあえず受けてみる予定です」
と、就職活動中のある東大女子は話す。ちなみに、第1志望は堅そうな独立行政法人を狙っているというから、わけがわからない。
それでも心が折れて就職活動を断念してしまう最底辺を除けば、どこかには就職できるのだから「腐っても東大生」というべきか。
ただ、彼らの場合は具体的に「どこそこの教授の研究室にいたヤツがコネで就職した」といった情報を得る機会が多いので、このニュースを通じてコネのぜひを論議している人々よりも怨嗟が強いのは間違いない。
(取材・文=三途川昇天)
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就職先人気企業ランキングは広告だ! 毎年、同じような大企業が並ぶ理由
*本記事は、「ZAITEN」5月号において「就活」に代わる職業人養成システム「インターンシップ」として、大学生有志が取材・執筆した文章の内、紙幅に治まらなかった部分を中心に筆者が取りまとめたものです。「ZAITEN」の厚意でネットに転載いたしました。マーケティング・リテラシー―知的消費の技法 広告を読む力。
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