テレビで堂々と宣言! 村上隆の作品は「ブラック企業」で生産されていた!?

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『芸術起業論』(幻冬舎)
 ルイ・ヴィトンとのコラボ、ベルサイユ宮殿での作品展開催など、世界的な名声を轟かせているアーティスト・村上隆。ただ、一方で「芸術はビジネス」だと公言し、作品作りからマーケティングまでをシステマティックに行う村上のやり方は、美術界から「工場で工業製品のようにアートを量産している」という批判を受けてきた。  だが、村上の“工場”は、ただの工場ではなかったようだ。場合によっては殴られることも覚悟しなければならない、「超ブラック」な労働現場だったのである。  その事実が判明したのは、2月16日に放映された『夏目と右腕』(テレビ朝日系)。この番組は、夏目三久がトップクリエイターの右腕的人物を紹介する番組なのだが、この日は村上の会社である有限会社カイカイキキの女性プロデューサーが出演し、そのアトリエの様子が公開されたのだ。  まず驚愕したのは、スタッフの多さと勤務システムだった。埼玉県の工場を改築した巨大なアトリエで、何十人ものスタッフが黙々と作業をこなしている。下絵を描くデータチーム、絵を描くペイントチーム、乾燥やツヤ出しを行う仕上げチームと、作業分担が細かく決められ、昼勤・夜勤のシフト制が敷かれ、24時間365日年中無休!  しかも毎日、仕事を始めるときには必ず朝礼(夜勤の場合は夜礼)が開かれ、全員が集まって、ラジオ体操、大声でのあいさつの復唱を行う。  その様子はまるで「ワタミ」のようで、とてもアート作品を作っているとは思えないものだったが、もっとびっくりしたのは、そのスタッフへの扱いだった。  番組では、現場に貼り出された、こんな村上の注意書きが大写しされていた。 「これは村上隆の絵です。君たちの絵画的な個性を求めていません!! 大きな勘違いです!! 作業員の絵画的な快感にゆだねたつもりは一切ありません!! それは大きな勘違いです!!」  下絵から仕上げまでをやらせながら、スタッフを“作業員”呼ばわりというのは、まるで奴隷工場の工場主のようだが、自らこの番組に出演した村上はまったく悪びれることなく、こう話す。 「うち、離職率95%以上ですからね」「みんなアーティストになりたくて、チャンスがあると思って来たら、村上の手伝いばかりやらされて嫌になって辞めていく」  だが、95%の離職率は、単に「村上の手伝いが嫌だから」ということではないだろう。むしろ原因になっているのは、その恐怖支配ではないだろうか。  というのも、村上はスタッフを頻繁に怒鳴りつけるのだが、そのやり方がすさまじいらしい。周囲に響きわたるほどの大声を出し、白目を剥き、3時間も怒っていることもあるという。  実際、番組ではスタッフ全員に配布されるという「村上の取り扱い説明書」が紹介されたのだが、そこには「村上さんに怒られている時の話の聞き方」と題して、こんなことが書かれていた。 「多少殴られることも覚悟して、正々堂々と村上さんの目を見て誠実に対応しましょう」  要するに、カイカイキキでは「多少殴られることもありうる」ということだ。ブラックどころか、一歩間違えればパワハラや傷害で訴えられかねないような話だが、村上自身はおそらく、なんの問題も感じていないだろう。数年前、村上は自身のTwitterでこうつぶやいている。 「ブラック企業がどうちゃらとか、したり顔で書いてる奴ら、おまえらきちんと働いてんのかよ、とか思うぜ。なにがブラックなんだよ。無責任、自分だけが有利に金もらいたい。楽したい。嫌なこと言われたくない。じゃあ、社会的な現場で仕事するな」  実は、村上のカイカイキキに限らず、有名アーティストやクリエイターの経営する会社にはブラックな体質を指摘する声が多い。最近では、大ブレークした「くまモン」のデザイナー・水野学が、社内でスタッフに暴力を振るっていたことや、くまモンを部下に作らせていたことなどを「週刊文春」(文藝春秋)が報じた。  自分に憧れている若いアーティスト志望者を洗脳支配し、修行という名のもと、低賃金・不眠不休で働かせ、ストレスのはけ口のように暴力を振るう。  あのオシャレなアートやデザインが、こんな現場から生み出されているとは信じたくないが、これが日本のクリエイティブの現実らしい。 (文=和田実)

フランス人にはまったく無視されていた! 芸術家・村上隆作品展をめぐる反対運動

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『芸術起業論』(幻冬舎)
 現代美術家・村上隆氏。9月14日からフランス・ヴェルサイユ宮殿で開催される彼の作品展をめぐり、フランスの右派団体などが「宮殿を侮辱するものだ」として反対運動を繰り広げ注目を集めている。誰もが知る彼の作品と言えば、2008年に競売会社・サザビーズが行ったオークションに出品され16億円で落札された、裸の少年が精液を飛ばすフィギュアだ。  ある意味「芸術」とは別の意味で注目されてきた彼の作品が、フランスではどのように理解されているのか。この反対運動は、彼の評価を知る絶好の機会とも言える。  フランス現地で、反対運動を呼びかけている「versailles mon amour(私の愛しいヴェルサイユ)」というサイトは8月31日の時点で3,861人の反対署名を集めている。このサイトでは、村上氏の作品展に反対する理由が次のように語られている。 「ヴェルサイユ宮殿を尊重しない挑発的な現代美術には、反対するべき。ヴェルサイユ宮殿はドゥコー(フランスの大手広告代理店)の広告のパネルではなく、我々の歴史と文化のシンボルである。村上も皇居で作品展を開くことは決してない」  そもそも今回の作品展は半数が未発表の新作。日本では、村上氏のフィギュアが下品だから忌み嫌われているのではないか。あるいは、オタク的な造型が批判の対象になっているのではないかなど、作品そのものが批判の対象になっているように受け取られているが、前述の精液を飛ばしているフィギュアのような作品は展示されない。それでも、「下品なアート」を子どもが目にする可能性があり、作品展は容認できないのだという。  それに加えて、彼らが批判するのは、現代美術の商業主義的な側面。彼らは村上氏の作品展や過去にヴェルサイユ宮殿で開催された現代美術の作品展も「投機のため、金儲けのためのアート」として厳しく非難を加えている。  日本では、この事件が報じられて以来、村上隆の作品の価値自体をめぐってネット上で活発な議論の応酬が見られる。ところが、肝心のフランスではどうかと言えば、まったく話題になっていない。  フランスといえば世界の芸術の中心地。この反対運動をめぐって、さぞや活発な議論が巻き起こっているのかと思いきや、この問題を取り上げているのは、いくつかのニュースサイトのみ。フランスの新聞・テレビ局のサイトをめぐってみたが、一連の騒動を取り上げている記事は、わずか一紙のみ。  この件を最初に報じたのはフランスのAFP通信なのだが、フランス国内では見向きもされていないのだ。ならば「現代美術」の評価が高いアメリカなどではどうだろうと探してみたが、やはり、アニメ・マンガの情報サイトが取り上げている程度にすぎない。つまり、世界的にもごく僅かの人々の間で注目されているだけに過ぎなかったというわけだ。  日本文化に詳しいフランス人研究者に話を聞いたところ、「フランスでは現代美術をめぐる論争は、しばしば見られる。ヴェルサイユ宮殿のような施設を使った展示を保守的な人々が批判することも日常的で、多くのフランス人は興味を示しません」という。  ヴェルサイユ宮殿では08年にも現代美術の作品展での展示方法をめぐりフランス王家の子孫が中止を求めて訴訟を起こす事件があった。それに比べると、今回の一件の注目度は極めて低い。この報じられ方自体が、村上氏が海外でどのような評価を受けているかを如実に現していると言えるだろう。  自ら主催する現代美術の祭典「GEISAI」を、台湾でも開催するなど世界規模で活躍しているかと見える村上氏。だが、世界に名を轟かせる芸術家になるには、まだ長い道のりが控えているようだ。 (文=昼間たかし)
芸術起業論 美意識なんて人それぞれ。 amazon_associate_logo.jpg
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