マンガ家・江川達也の印税は、新興宗教に寄付された!?

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます! ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) サッカー五輪代表は、海外移籍で1億円稼げるか? 有名女子高では4割!?医学部志望女子急増の意外なワケ ソフトバンクの落とし穴?再生エネ全量買取で東電原発の復活も ■特にオススメ記事はこちら! マンガ家・江川達也の印税は、新興宗教に寄付された!? - Business Journal(8月9日)
post_516.jpg
(右)「週刊ダイヤモンド 8/18号」
(左)「週刊東洋経済 8/18号」
海外への租税回避は5000万円までに制限!? 「週刊ダイヤモンド 8/11・18号」の大特集は『もめる相続 賢い「対策と節税」という特集だ。日本では毎年約110万人が亡くなる。このうち相続税が課される人はわずかで、相続はどこか人ごとであった。だがこれから大きく変わる。相続税の増税は必至で課税対象者も大幅に増えそうだ。増税の中身を解説するとともに、節税や遺産争い回避など相続にまつわるノウハウを紹介するという企画だ。  ……しかし、この相続ネタは、ライバル誌「週刊東洋経済」が6/30号で特集したばかり(『あなたを襲う相続税 失敗しない事業承継 葬儀・墓』)。しかも、その6月の時点で当欄は、ツッコミを入れているのだが、相続税の増税は、2010年末の政府の「2011年度税制改正大綱」で記載された改正案で、その後、国会では与野党の衆参ねじれ国会で、なかなか通過しないままになっている話。  経済誌は何度も、「大増税がやってくる」とあおっており、「週刊ダイヤモンド」でもすでに11年1月22日号『相続が大変だ』で大特集をやっているのだ。  つまり、国会が2年越しで通過できないために、各経済誌が何度も相続の改正を紹介して、「やるやる」詐欺のような事態になっているのだ。今回のダイヤモンドも「年末の13年度税制改正であらためて議論されることになるとみられ、早ければ15年から相続税増税となる見通しだ」などと書いている。つまり、今、この相続税の特集をやる必要性はまったくないのだ。  今回の特集で知っておきたいのは、『Part2 知られざる節税対策』だろう。多額の資産を持つ富裕層たちが日本を捨てて海外に資産を移しており、これを租税回避の動きという。この租税回避を目的に海外に資産と生活拠点を移し始めているのだ。これに対し、国税庁も安易な課税逃れを防ぐ取り組みを活発化させている。  その象徴的な事件が、1600億円相当の贈与が問題となり、相続税法上の「生活の本拠」(日本か香港か)をめぐって、最高裁まで争われた消費者金融大手・武富士創業者の長男の裁判だ。詳しい経緯は記事を読んでいただきたいが、最高裁は香港を生活の本拠とする長男側の主張を認め(国側敗訴)、国は還付加算金を含めて約2000億円という巨額の還付をせざるをえなくなった。この最高裁の判断に研究者からも多くの批判が出て、この武富士事件は国税庁上の最大の屈辱とも言われている(その後、相続税法は改正されており、武富士事件のような手口は使えなくなっている)。ただし、この武富士事件はとうに確定した話だ。  さらに、国税庁が現在、注目しているのが中央出版事件だ。名古屋にある教育系出版社「中央出版」といえば、あまりいいうわさは聞かない出版社だ。その「中央出版」元会長から孫の男児(米国籍)への米国債の信託スキームを使った5億円の贈与をめぐり、国税庁が贈与税など計約3億1000万円を追徴課税したことで、裁判となっている問題だ。11年3月の名古屋地裁での判決では、国税庁の言い分が認められず、敗訴・控訴中だ。  判決文を見ると、「中央出版」元会長側も明らかに租税回避を狙っていて(わざわざ孫を米国籍にしているなど)、課税とのグレーゾーンの問題なのだ裁判所はグレーゾーンを国税庁に不利にとっており、国税庁としては歯がゆい状態が続いている。  相続税の世界では、この中央出版事件が一番ホットな話題なのだが、米国とスイスの銀行が舞台になる複雑なスキームのためか、今回のダイヤモンドでは、一切紹介されていないのだ。これでは「記事の鮮度が古くないか!?」と思ってしまう。  また、今後に影響を与える重要な改正にもそっけなく触れるだけだ。  海外への租税回避行為への対応策として、現在、国外財産調書制度という制度が整備され始めた。国外財産調書制度とは「その年の12 月31 日において価額の合計額が5000万円を超える国外に所在する財産(「国外財産」)を有する居住者は、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書を、翌年3月15 日までに、税務署長に提出しなければならない、というものだ。    つまり、海外資産が5000万円以上のある納税者は、税務署に確定申告と同様にその情報の提出が必要になってくる。逆に言えば、もし海外財産を持つのならば、5000万円未満にしておく必要があるということだ。制度は罰則もあり、海外の当局との税務情報交換ネットワークも整備されつつあり、ほぼ完全に国税庁が情報を把握できるようになるのだ。  この改正案は今国会で通過しており、13年から適用と納税者にとっては重要な話なのだが、記事上では「12年度税制改正では(略)毎年税務署への報告を義務付けた」などと軽くふれている程度だ。今回の特集目当てで、今号を買った租税回避を狙う読者にとっては、不親切な話だろう。どこか「自分は相続税、5000万円以上の国外財産は関係ない」というような記者の他人事感が伝わってきてしまう。  また、「東洋経済」6/30号の特集では、『大企業の世襲とは① ニトリ社長、肉親と裁判の泥仕合』という形で、マスコミではタブー化している家具の最大手ニトリホールディングスの創業者家族の遺産分割協議をめぐる似鳥昭雄社長側と実の母親と昭雄社長以外の3人の妹弟側との骨肉の争いをレポートしていた。今回のダイヤモンドではその続報にでも迫っているかと思いきや、そういった骨のある記事はなく、代わりといえそうなのが、『相続の明暗を分けた遺言の存在 人気漫画家は実兄と骨肉の争い』という記事だ。  99年に死去した父親の遺言がなかったことで骨肉の争いに発展したのが、マンガ家の江川達也氏。もともと江川氏のマンガ製作等で得た資金を父親に提供していたが、この資金をもとにした遺産をめぐって、実兄がすべての遺産の相続を要求し、13年にも及ぶ「争続」となっているのだ。江川氏本人が『有名漫画家が初めて激白!! 13年に及ぶ兄との壮絶「争続」』というインタビューにも登場している。  その発言たるやすさまじい。「苦しい裁判を続ける動機は?」という質問に「当然、子どもの生命を守るためです。今まで兄の要求を少しでものんだら最後、要求はエスカレートしました。兄が『議論を戦わせた』母は、私の解釈では、兄の言葉の虐待によるストレスから胃がんで亡くなり、次に議論相手にされた父も同様に胃がんで死にました」と江川氏は答えている。江川氏といえば、マンガ家になりたてのころの印税をほとんど母親と兄がハマった新興宗教に全額寄付されたエピソードがあるが、ここまでくると、相続の話というよりも、宗教問題ではないかと思えてくる。ダイヤモンド編集部もインタビューはしたものの、扱いに困った感じが文章からも伝わってくる。  もし、経済誌がまた、国会で改正案が通過しないのにもかかわらず、ヒマネタ的に、相続モノを特集する際には、国外財産調書制度の詳細と、ニトリ創業家と江川達也氏、そして中央出版事件の最新事情は必ずフォローしていただきたい(笑)。 3D事業をめぐる日韓戦がはじまった! 「週刊東洋経済 8/11・18号」の大特集は『クスリ 全解明』だ。次々と登場する期待の新薬から、費用負担を安く抑えられるジェネリック、ドラッグストアで買える風邪薬、注目の漢方薬までクスリと賢くつきあうための知識を徹底図解するというもの。  東洋経済は2年前の10年5月1日・8日合併特大号でも『クスリ全解明+先端医療』特集を行なっており、休暇前の恒例の特集だ。  ビジネスジャーナル読者にとっては、今年4月「通信販売を認めるように」とする高裁判決の結果を受けてネット販売解禁の方向へと動き出し、今後は対面では薬剤師に相談しづらい医薬品もネットで購入できるようになる『OTC(一般用医薬品) ネット販売の解禁で患者の生活はどう変わる?』や、約5200億円市場とされ、許可数は今年5月に1000品目に到達したトクホ(特定保健用食品)の「病気の予防や治療につながる」といったイメージの誤解(「お腹の調子を整える」など、特定の保健の目的が期待できるにすぎない)を解説した『実はあなたには効かない? 誤解の多いトクホ利用 消費者庁も異例の通知』といったところは知っておきたい。  今回、ご紹介したいのは、連載記事の『カンパニー&ビジネス』『世界のスポーツ放送は3Dが常識 映像・放送分野でも進む日本のガラパゴス化』という記事だ。  実は今回のロンドンオリンピックでは世界的に3Dの生中継が行なわれている。行なわれていないのは主要国ではカナダと日本くらいだという。それだけではない、ロンドン市内の3D対応の映画館では、「映画、音楽、スポーツ、オペラ、バレエ」といったイベントのライブ映像は3Dのパブリックビューイングとしてビジネス化しているのだ。より臨場感が味わえると好評だそうだ。  今年1月、日本では電機メーカー各社が3Dの拡販をしかけたが、地上デジタル放送移行完了後の消費意欲の低下もあって、不発に終わっているほどだ。  しかし、日本のNHKは英BBCと同様に技術開発の基本方針として2030年に3D映像の実用化を目指している。英BBCは欧州での3D表示機能を活用する動きに合わせて、方針を前倒ししている。つまり将来的には3Dの方向には進む予定なのだが、足元ではガラパゴス化が進んでいるという。現在、映画撮影用やハンディ型まで多様な3Dカメラが活躍しているがそのほとんどが日本製だ。ロンドンオリンピックではパナソニックが3D技術を供与、カメラなどを納入している。  現在、3Dの映像技術に国策として取り組む中国や韓国、なかでも韓国は国をあげて韓国規格の売り込みをかけている。他方式にはない優れた特徴もあるため、国際標準に決まれば同方式を採用する国は拡大する一方になるのではないかという。韓国製メーカーの機材が入り始めると、その実績や価格攻勢によって、あっという間に韓国製への機材置き換えにつながりかねない。  現在でも、地上デジタル放送移行完了後の消費意欲の低下の影響も受けて、日本のテレビメーカー、パナソニック、ソニー、シャープは総崩れ状態だ。さらに3D事業の分野でも韓国勢の攻勢を受けているというわけだ。  日本の消費者は3Dに関しては、それほど魅力は感じない、とばかりは言っていられない世界市場をめぐる企業の競争が激化しているのだ。  なお、「ダイヤモンド」も「東洋経済」も今週号が合併号で来週号は休みだ。 (文=松井克明/CFP) ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) サッカー五輪代表は、海外移籍で1億円稼げるか? 有名女子高では4割!?医学部志望女子急増の意外なワケ ソフトバンクの落とし穴?再生エネ全量買取で東電原発の復活も 大容量動画も!スマホのデータはワイヤレスHDDに保存せよ! 松原聡「インド大停電で日本の電力もやっぱり……」 PTAが「子供に見せたくない番組」を発表するワケ 「ジャンクフードは食べたくない」!? マック高価格路線の失敗

映画監督・江川達也の"暴走"トーク!? 第2弾映画は"洗脳の怖さ"が発端だった(後編)

eguchi05.jpg
映画製作の内情を率直に語る江川氏。
歯に衣着せぬストレートな物言いは、江川氏ならでは。
前編はこちら ──ゲームの進行役"白兎"に扮した川村ゆきえちゃんは、まさに江川作品から抜き出てきたようなキャラクター。 江川 オレ、ゆっきーが大好きなの(笑)。『東京大学物語』の映画化も最初は彼女で考えていたんだ。でも、事情があって、見送ったという経緯があったんだ。今回はプロデューサー側のキャスティングだったんだけど、ゆっきーが配役されてて、内心は大喜びしたんだ(笑)。彼女、かわいいだけじゃなくて、すごく素直だし、仕事に対しても熱心なんだよ。白兎が最初に無理に明るいテンションでゲームの説明をするところとか、最後に部屋を退室するときの表情はすごくいいよね。彼女、暗い芝居をやるとかなりうまいよ。 ──明るい笑顔の中に、微妙に影が差してますよね。 江川 そうなんだよ。瞳の奥に何か隠されたものを持っているよね。それはね、主演の石田卓也くんにも感じたことなんだ。彼も一見したところ、爽やかな若者なんだけど、演技にどこか鬼気迫るものを感じさせる。芦名さんが自分から進んでラバースーツを着て、四つん這いになってくれたのもそうだけど、映画って演技の中に役者の人間的な本質がさらけ出されるものなんだろうね。 ──"王様ゲーム"は中世の頃から存在したとのことですが、江川先生は学生の頃に"王様ゲーム"やってました? 江川 ボクの学生時代はもう30年前だからね、少なくとも名古屋では"王様ゲーム"をやってる学生はいなかったよ。"王様ゲーム"をやったのは上京して漫画家になってから。それで、「こんな楽しいゲームがあるんだぁ」と感激した(笑)。それに「フィーリングカップル5対5」とか『あいのり』みたいなテレビ番組のイメージを合体させていったのが今回の企画の発端。それと、あと"自己啓発セミナー"のイメージを組み合わせて、バーチャルリアリティーの世界で描いてみたかったんだ。
eguchi06.jpg
──『BE FREE!』『東京大学物語』『家庭教師神宮山美佳』ほか江川作品は管理教育、マインドコントロールが主要テーマになってますもんね。 江川 そう、ボクの作品のキーワードだからね。心理療法とかグループ・ダイナミックス(集団における人々の思考や行動の研究)をベースに考えていた。もっと言えば、統一教会やオウム真理教などのカルト宗教で、人間がどのように洗脳されるのかを描いてみたかった。ま、そういった要素は全部、プロデューサーにボツにされたんだけどね(苦笑)。 ──なるほど。監禁された男女の精神状態が何者かにコントロールされる怖さは、作品から伝わってきました。 江川 うん、そこだけはね、最低限でも見る人に伝わってほしいと、ボクも何とか頑張ったところなんだ。でも、プロデューサーには映画を完成させてから最後に、「あなたの自己実現のために働くのは、もう嫌です」と言ったけどね(笑)。 ──権力をかざすのが"王様"ではない。 江川 そういうこと。本来、"王道"っていうものは王様がいちばん苦労して、みんなのことを考えなさいということなんだよ。権力を持っている人間は、末端の人間のことまで配慮しなくちゃいけない。でもさ、そういうことは全く理解してもらえなかったなぁ......。今回は本当、与えられた限られた状況の中で何とか最善を尽くした、作品にまとめることができたということだね。今回の現場のスタッフの中で、オレがいちばん大人だったと思うよ(笑)。 ──江川先生は教壇に立った経験もある、元教職者でもあるわけですが、教育とエンタテイメントの関係はどう考えていますか? 字幕付きの洋画は敬遠される、オリジナルストーリーよりもテレビドラマの劇場版のほうがヒットするという最近の映画界の傾向を"ゆとり教育"の弊害だという声を耳にするんです。 江川 教育ってのは先のことを見据え、自分の行動を律して、社会生活が破綻しないよう、幸せをつかむために自分を磨くためにあるものなんだよ。エンタテイメントは、それとは真逆にあるもの。ダメ人間を生み出すのがエンタテイメント。見ているうちにダメ人間になってしまうような作品がヒットするわけですよ。そういう意味では、某国民的アニメ監督の一連の大ヒット作はすごく良くできたエンタテイメント。一見したところ、家族の幸せを健気な少女が願っているかのように見せているけれど、ドロドロとした人間の欲望を増大させるものですよ。主人公たちが空を飛ぶシーンは、爆撃機で敵国を襲撃するような快感じゃないですか。猟奇的なスプラッターシーンやエロティックなシーンもよく見ると入ってますよ。
eguchi07.jpg
江川達也監督がデザインした特注のラバースー
ツ。SMマニア&ゴムフェチには堪らないシー
ンだ。果たしてラバースーツの中は?
──確かに一連の国民的大ヒットアニメは見ていると気持ち良さ、陶酔感を覚えます。 江川 そう、その気持ち良さは、戦争とセックスを想起させるもの。それをね、ふだんエロビデオとか見ない女性は「素敵な映画」と喜んで見ているわけですよ。「子どもに国民的人気アニメを見せておけば安心」なんて考えは危ない。ちゃんとね、エンタテイメント作品に隠されているものは何かということを教育する立場の人間は分析して、知っておかなくちゃいけない。教育とエンタテイメント的なもののバランスをうまくとることが大事。だから、ゆとり教育以前の問題ですよ。ゆとり教育に関しても、それまでマニュアルに従って授業をしていた教師たちが、自由にやりなさいと言われてできるわけがないんだから。ファーストフードのハンバーガー店に勤めている店員に、明日から創作料理を作ってくださいと言ってもできないでしょ。 ──『KING GAME キングゲーム』もエンタテイメント作品ですよね。 江川 『KING GAME キングゲーム』は木村佳乃さんに「私はヘンタイ!」と言わせているように、SMシーンとかも隠さずに見せているからね。国民的人気アニメのように人間の欲望を巧妙に隠したり、パッケージで嘘を付いたりはしてないよ。その点はね、評価してほしいな。まぁ、今回は厳しい状況の中でキャストが頑張ってくれました。"王様"は自分の欲望のみに走っちゃいけませんってことだね。 (取材・文=長野辰次) 『KING GAME キングゲーム』 原案・監督/江川達也 脚本/ナーキカインド、保坂大輔 出演/石田卓也、芦名星、窪塚俊介、前田愛、堀部圭亮、山本浩司、夏目ナナ、ジェイ・ウエスト、佐藤千亜紀、川村ゆきえ、ジェリー藤尾、木村佳乃 配給/ファントム・フィルム 8月28日(土)より新宿K's cinemaにてロードショー <http://king-game.jp> ●えがわ・たつや 1961年愛知県名古屋市出身。愛知教育大学数学科卒業後、中学の数学教師に。本宮プロダクションでのアシスタントを経て、84年に『BE FREE!』で漫画家デビュー。代表作に『まじかる☆タルるートくん』『東京大学物語』『日露戦争物語』『家畜人ヤプー』『家庭教師神宮山美佳』ほか多数。AVの監督を経験後、06年に田中圭&三津谷葉子主演『東京大学物語』で念願の映画監督デビュー。現在公開中の『日本のいちばん長い夏』には俳優として出演している。
東京大学物語 青春だね。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 自伝漫画『おのぼり物語』が映画化! カラスヤサトシ史上最大の波が来た? 「マンガを正当なビジネスにしたい」マンガ家・佐藤秀峰 爆弾発言の裏にある思い 『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり

映画監督・江川達也の"暴走"トーク!? 第2弾映画は"洗脳の怖さ"が発端だった(前編)

egawa01.jpg
『東京大学物語』(06)に続く、監督第2作目となる『KING GAME キングゲーム』
を完成させた江川達也氏。"王様ゲーム"を題材にしたオリジナル作品だ。
 江川達也と言えば、『BE FREE!』『まじかる☆タルるートくん』『東京大学物語』などの大ヒット作を放った人気漫画家。かわいい女の子のキャラクターやエロティックなシーンを盛り込むことで読者の心をつかむ一方、管理されたシステムの中で自分で考えることを止めてしまった現代人への風刺劇を繰り返し描いてきた。漫画連載時のクライマックスには、読者だけでなく担当編集者さえも驚愕する、予定調和をぶち壊す怒濤の展開を度々見せることから、"暴走作家"としても知られている。また、2006年には1,500万部の大ベストセラーとなった『東京大学物語』を自らの手で実写映画化し、映画監督デビューを果たした。監督第2作となる『KING GAME キングゲーム』は、密室に監禁された10人の男女が"王様ゲーム"を延々と続ける心理サスペンス。ルールやシステムに縛られた人間の言動が次第にエスカレートしていく内容は江川作品らしい。ところが、江川監督は本作に関して思うことが多々あるらしく、渋谷区松濤の豪邸でのインタビューは序盤から"暴走"の気配を漂わせていた......。 ──率直にお聞きしますが、今、なぜ"王様ゲーム"なんでしょうか? 江川達也氏(以下、江川) うん、まず、今じゃないんです。『東京大学物語』を撮り終わり、「じゃあ、次は?」という話になって、すぐに5本ほど企画を考えたんです。でも、映画の人ってノンビリしてるよね。やたらとダメ出しするし。それで企画が動き出すのを待っていたら、4年もかかったんだよ。で、なんで"王様ゲーム"かというと、現代は人間が欲望を暴走させている時代なわけです。米国のサブプライムローンの破綻なんかも人間ひとり一人の強欲が膨張しすぎて収集がつかなくなって起きたわけでしょ。そんな現代社会において、"王様ゲーム"をやることでひとり一人の欲望がむき出しになり、でも延々と続けていくことで逆にエゴをコントロールするための修行になるんじゃないかと考えたんです。王様の中には暴君もいるけど、王様は基本的には社会の末端のことまで考えて、人間の欲望を調整する役割を負っているんです。それをね、"王様ゲーム"の中に描こうと考えたんです。 ──密室で行なわれる"王様ゲーム"の中に、現代社会を箱庭的に凝縮して見せようという狙いだった? egawa03.jpg 江川 そうです。それで思いついたアイデアをイメージボードという形でスケッチにしたんです。でも、そういった企画意図は、全部ボツになって、"王様ゲーム"という設定だけが残った(苦笑)。今回の脚本はボクじゃないんです。まぁ、脚本はダメでも、撮影現場で何とかなるだろうと考えたけど、プロデューサーが現場でも「脚本通りにやらなくちゃダメだよ」と言ってきてね。今回は映画が完成しただけでも奇蹟じゃないですか。ボクの考えていた企画意図は全部ひっくり返されて、大変な状況の中で完成に漕ぎ着けたんです。映画って大変だなと思いましたね。 ──漫画より映画のほうがシンドイ? 江川 そうだなぁ、漫画のほうが楽かな。漫画を描くのは大変だけど、一度通った企画はここまでひっくり返されることはないからね。 ──江川先生が漫画執筆時のように"暴走"しないよう、手かせ足かせを付けられたんでしょうか。 江川 いやいや、"暴走"する以前に、話の骨組みも作らせてもらえなかった。脚本家が書き切れなかった部分だけ、「じゃあ、ボクがやらせてもらいます」と自分で書いたんです。現場でカット割り考えるのも楽しみにしていたんだけど、それもできなかった。カメラマンが疲れてカット割り考えられない状態になったときだけ、自分でカット割りしたんです。だから、部分部分に自分の色が出てると思うよ(苦笑)。でも、監督なのにまるで権限が与えられないっていうのはどうなんだろう。逃げてもよかったんだろうけど、とにかく映画を完成させなくちゃという使命感でしたね。プロデューサーの指示に従わないことには、収集がつかない状況でしたから。 ──この取材も記事として成立するのか心配になってきました......。 江川 そうだな、うまいこと言えば、"王様ゲーム"で監督であるボクにはあまり"王様"が回ってこなくて、プロデューサーがやたら"王様"を引き続けたってことかな。こういえば、ギリギリセーフでしょう(苦笑)。でもさ、監督は2本目だけど、オレって映画運ないんだなぁと思ったよ。 ──監督デビュー作『東京大学物語』、面白かったですよ。遥役の三津谷葉子ちゃん、かわいかったし。
egawa02.jpg
10人の男女が密室で10日間にわたって"王様
ゲーム"を繰り広げる。時間の経過と共に、
王様の命令は次第に過激になっていく。
(c)2009キングゲーム製作委員会
江川 デビュー作も、本当はオリジナルストーリーで勝負したかったんだよ。でも、『東京大学物語』の映画化をと言われてね。じゃあ、原作に忠実に映画化しようとしたら、それもダメだと言われたんだ。映画って何かやろうとすると、すぐにダメって言われるだよなぁ。 ──え~と、ここらでキャストの話題に移りましょうか。石田卓也、芦名星、木村佳乃、窪塚俊介、川村ゆきえ......と主演経験者の多い、かなり豪華なキャスティングじゃないですか。 江川 キャスティングはね、プロデューサーの力量で集まったからね。ボクの力じゃないから。 ──多彩なキャストの中でも、木村佳乃さんのボンテージルックが決まってます。いかにも"SMの女王様"って感じですね。 江川 うん、決まってるよねぇ(テンションが上がってくる)。実は木村佳乃さんはスリムすぎて、基本的にはボンテージルックは似合わないんですよ。衣装合わせのとき、木村さん機嫌が悪くて、その場の空気がピリピリしてましたよ(笑)。女優なんで、自分がどう見られるかについて厳しいんです。黒いシンプルなボンテージ衣装をそのまま着ただけだと"モジモジくん"になってしまうので、SM指導の本職の女王様がふだん使っているベルトを借りたり、バストアップしてセクシーさを強調して、見事にカッコよくなってましたね。衣装合わせに関しては木村さんが"王様"だった(笑)。 ──木村佳乃さん演じる"山咲"の「わたしはヘンタイ!」という台詞を皮切りに、言葉責めが始めるシークエンスは俄然盛り上がりました。 江川 あの言葉責めやSMのシーンはよかったよね。ボクも演出してて楽しかった。監督が未熟な分を、木村佳乃さんがうまくフォローしてくれた。木村さんには世話になったね。 ──ラバーマスク付きの真っ赤なラバースーツの中に入っているのは、芦名星さんなんですか? 江川 そうだよ。あの顔の見えないラバースーツをデザインしたのはボクなんだけど、あんなにスタイルのいい女性はそうそういないからね。鞭を打たれているのも彼女だよ。スタントマンじゃないし、CG合成もしてないから。正直さ、芦名さんを四つん這いにさせて鞭に打たれるシーンはどうやって頼もうかと悩んだんだけど、振り返ったら芦名さん、もう四つん這いになっていたからね(笑)。彼女さ、いつもクールな表情をしているけど、役に関してはすごく熱心なんだよ。1シーン撮るごとに「監督、今のシーンの私、どうでした?」と聞いてくるんだ。でも、11人みんなの表情までチェックできてなかったから「うん、いい感じだったよ」と答えてたんだけどさ(笑)。芦名さん、雰囲気もあるし、ガッツもありしさ、女優としていいもの持ってるよ。 (後編につづく/取材・文=長野辰次) 『KING GAME キングゲーム』 原案・監督/江川達也 脚本/ナーキカインド、保坂大輔 出演/石田卓也、芦名星、窪塚俊介、前田愛、堀部圭亮、山本浩司、夏目ナナ、ジェイ・ウエスト、佐藤千亜紀、川村ゆきえ、ジェリー藤尾、木村佳乃 配給/ファントム・フィルム 8月28日(土)より新宿K's cinemaにてロードショー <http://king-game.jp> ●えがわ・たつや 1961年愛知県名古屋市出身。愛知教育大学数学科卒業後、中学の数学教師に。本宮プロダクションでのアシスタントを経て、84年に『BE FREE!』で漫画家デビュー。代表作に『まじかる☆タルるートくん』『東京大学物語』『日露戦争物語』『家畜人ヤプー』『家庭教師神宮山美佳』ほか多数。AVの監督を経験後、06年に田中圭&三津谷葉子主演『東京大学物語』で念願の映画監督デビュー。現在公開中の『日本のいちばん長い夏』には俳優として出演している。
東京大学物語 青春だね。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 自伝漫画『おのぼり物語』が映画化! カラスヤサトシ史上最大の波が来た? 「マンガを正当なビジネスにしたい」マンガ家・佐藤秀峰 爆弾発言の裏にある思い 『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり