いまや“ブラック企業”の名前が定着してしまった飲食チェーンの「ワタミ」。ネット上では悪評が次から次へと噴出し、作家や弁護士、大学教授が主催する「ブラック企業大賞2012」では、あの東京電力を抑え1位を獲得するほどだ。 とりわけ、ワタミバッシングの急先鋒といえば「週刊文春」(文藝春秋)。6月13日号では「自民党参院候補 ワタミ渡邉美樹会長は“Mr.ブラック企業”これだけの根拠」と題し、同社のブラック度を追及。記事によれば、ワタミグループでは全社員に「理念集」という冊子が渡され、その中には「365日24時間働け」「できないと言わない」などの言葉が掲載され、勤務時間については「『成し遂げる』ことが『仕事の終わり』であり『所定時間働く』ことが『仕事の終わり』ではない」と記されているという。 同誌では元社員の「勤務時間は夕方から明け方まで12時間以上なのに、休憩は取れても30分」という証言も掲載している。 これに、渡邉氏は6月6日のTwitterで「本日の一部週刊誌記事は、明確に事実と異なる点があり弁護士を通じて対応いたします。尚、今後も事実に基づかない記事掲載等には、毅然とした対応をして参る所存です」と提訴も辞さない姿勢を見せているが、世間の持つブラックイメージは簡単に消えるものではないだろう。 事実、ワタミバッシング後の会社環境について、30代の現役社員は次のように話す。 「現場のアルバイトなんかは『また書かれてるよ~』と自虐的に話していますが、上層部はピリピリムード。報道をきっかけに、退職者も増えています」 都内の和民で働く30代男性も嘆く。 「お客さんから『おまえも大変だな。こんな会社に勤めてて』や『早く辞めたほうがいいぞ~』と小バカにされたように言われます。怒りを通り越して、情けなくなってきますよ。妻子がいるので、簡単に辞めることもできないし。かと思えば、親族や友人から『おまえ、大丈夫か』と心配されるし……。肉体面より精神的にきついです」 参院選への影響を気にしてか、6月末に同社の会長職を辞任した渡邉氏だが、週刊誌に反論する前に、現場の声に耳を傾けてはどうか。『きみはなぜ働くか。』(日本経済新聞出版社)
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新勢力の台頭から二極化まで――ファッション業界最新事情
【サイゾーpremium】より
──流行の速度が加速し、スクラップアンドビルドが繰り返されるファッション業界。ここ最近ではユニクロの就労問題や女性ファッション誌の新創刊が話題になっているが、そんな業界の最新トピックスを専門紙編集長、現役アパレル社員らの弁から見ていこう。
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
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(写真/石黒淳二 go relax E more)
【TOPICS 01】相次ぐ女性ファッション誌創刊 『DRESS』の創刊号広告収入 2億5000万円 ■新陳代謝が激しい女性誌の活路 「講談社の女性誌『Grazia』『GLAMOROUS』が8月号で休刊予定の一方で、4月には『DRESS』(gift社)が創刊。今後も『MAMA MARIA』(光文社)、『GOLD』(世界文化社)と、アラフォー以上の女性を対象としたファッション誌の創刊が続く。また、『LEON』『OCEANS』の創刊に参画した干場義雅氏の監修で『Sette mari』という新雑誌も9月上旬に晋遊舎から発行予定」(都築氏)。こちらは船旅をテーマに、成熟したカップルを対象としたライフスタイル誌となる。
【TOPICS 02】都市型ショッピングセンターの好調 ららぽーとTOKYO-BAYの年間来客数 2500万人 ■勝敗が明確になったショッピングモール 苦戦が続く百貨店、一部で人気に陰りも見え始めたアウトレットに対し、2006年9月の開業後リニューアルなども経て集客を伸ばし続ける『ラゾーナ川崎プラザ』や、年間来客数約2500万人を誇る『ららぽーとTOKYO-BAY』など、三井不動産の都市型ショッピングセンターが好調。「丸の内南口前に3月21日に開業した『KITTE』、6月21日にグランドオープンが迫る『MARK IS みなとみらい』などの施設を手がける三菱地所にも注目」(都築氏)だという。
【TOPICS 03】環境保全社会貢献の動きが加速 ケリングが発表した12年度の日本の売上高 1506億円 ■PPRの社名変更に見る経営戦略 グッチ、サンローランなどを傘下に持つフランスの巨大ファッション企業組織・PPRグループが、社名をケリングに変更。「(健康を意味する仏語の)社名通り、環境などを大切に“ケア"する企業文化を打ち出し、女性支援なども含め社会貢献の姿勢を強めています。ロックバンド、U2のボノ夫妻が手掛ける『EDUN』はケニアやンド生産のオーガニックコットンのウエアで有名だが、『寄付ではなく産業を』という新たな考えのもと、アフリカやインドでの持続可能なビジネスモデルの創出を目指しています」(都築氏)
【TOPICS 04】止まらない二極化とコンテンポラリーブランド 12年の全国百貨店売上高 約6兆円 ■経済状況を反映する各ブランドの“次の一手” 「百貨店の利用者の高齢化、若者はファストファッションへ……という流れに対抗し、20~30代を百貨店に呼び戻す起爆剤となっているのが“コンテンポラリーブランド"」(都築氏)。コンテンポラリーブランドとは、個性が明確なデザイナーブランドでありながら、手の届く価格設定のブランドのことで、「シーバイクロエ」「マーク BY マークジェイコブス」など、ラグジュアリーブランドのセカンドラインもこれに該当する。
【TOPICS 05】「中国離れ」と途上国のトラブル バングラディッシュ縫製工場倒壊の死者数 1000人以上 ■ファストファッション隆盛の光と影 中国以外に製造拠点を分散してリスク回避を図る“チャイナ・プラス・ワン"の戦略は以前から業界のトレンドで、「中国国内の人件費の高騰などにより、その動きが加速。ベトナム、ミャンマー、バングラデシュなどに製造拠点を移すメーカーが増えた」(ラグジュアリーブランド社員)が、今年4月にはバングラデシュでアパレル工場などが入ったビルが崩落し、1000人以上が死亡する事故も発生。生産体制、安全面の整備や児童労働の問題の解決なども求められている。
ファッション業界では、世相に反して明るい話題が多いようだ。WWDジャパン・WWDビューティ編集長 都築千佳氏は「写真家・蜷川実花氏が責任監修を務めるムック本『MAMA MARIA』(光文社)、45~52歳の女性をコアターゲットにした新雑誌『GOLD』(世界文化社)などが今秋に創刊予定。また、『SPUR』(集英社)を含む集英社女性9誌が青山学院大学構内でイベントを開催したり、『STORY』(光文社)が独自ブランドを展開し、ウェブ連動の通販マガジンの単月売上が1億円を超えるなど、広告や実売以外で収益モデルを構築する雑誌も出てきています」と語る。 また都市型ショッピングセンターも「ラゾーナ川崎プラザ、ららぽーとなどは集客も好調のようですし、この6月に開業のMARK IS みなとみらいも注目を集めるはず。家族でゆったり時間を過ごせる都市型ショッピングセンターは、ファミリー層から支持を集めている印象」(都築氏)と、堅調だという。一方で、”安定物件”と見られていたアウトレットには陰りが見えているようだ。 「安定した数字を持っているアウトレットは、御殿場と神戸三田くらい。オープンしたばかりの酒々井は、早くも集客が伸び悩んでいるようです」(ハイブランド社員) 百貨店も年配の富裕層以外の客離れが加速する中で、コンテンポラリーブランドの強化などを行っているが、売り上げを支えているのは一部のハイブランドだという。 「男性のスーツを例にとっても、売れているのはトムフォードやブリオーニなど、一着が50万円もするような本当に高いブランド。宝飾品を中心にハイエンドのブランドは好調のようですが、フェラガモなどのミドルレンジのハイブランドは苦戦しています」(同) やはり”消費の二極化”の傾向は根強く、ファストファッションに注目が集まるが、ハイブランド側は「芸術・文化支援や環境保全などに力を入れることで、新たな価値観を創造するブランドが増えています。グッチなどを擁するPPRが社名をケリングに変更し、グループ全体で社会貢献活動に力を入れているのは、その代表例。ヨーロッパには”ノブレス・オブリージュ”という、『富める者は貧しい者、弱い者を助ける』という文化がありますから」(都築氏)と、価格競争とは別の活路を見いだしている。 市場競争に勝ち残るだけでなく、文化を成熟させることも、ファッション業界の役目だろう。本特集では、ビジネス的視点のみならず、文化や歴史など多角的に現代のファッション業界を見ていこう。 (取材・文/古澤誠一郎) 【「サイゾーpremium」では他にもファッション業界のタブーに迫る記事が満載です!】 ・「POPEYE」は○? 辛口"ファッション誌"批評 有名アパレルメーカー社員座談会 ・ファッション誌編集者が語る「ブランド広告とカネ」 その"キケンな関係" ・40億円超の負債を抱えたNIGO…裏原宿カリスマブランド“終焉物語”
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相次ぐ店舗閉鎖も、ヤマダ電機が中国から撤退しない理由とは……
家電量販店最大手のヤマダ電機が、中国の天津店を6月30日で閉鎖することとなった。同店は、ヤマダ電機が中国進出第2店として、2011年6月にオープンさせた、店舗面積1万5000平方メートルの大型店だった。 中国の家電市場が当初の想定より伸び悩んだほか、尖閣問題に端を発した日本製品の不買運動などが影響したことが、閉鎖に至った原因と見られている。また、5月末には同様の理由から南京店を閉鎖しており、中国では進出第1号店の瀋陽店が残るのみとなった。 現地では、瀋陽店の閉鎖による中国からの完全撤退も近い、とのウワサもささやかれている。しかし、「それはない。というよりできない」と話すのは、ヤマダ電機の中国現地法人「ヤマダ電機(中国)商業有限公司」の関係者の一人だ。 「瀋陽店も不振にあえいでいるのは同じです。ただ、天津と南京の店舗は賃貸物件だったので、閉鎖も容易だったのですが、瀋陽店は持ちビル。売り手が見つかるまでは、ジリ貧ながら営業を続けるしかなさそうです。しかも土地購入に際しては、相場の2倍ほどもボラれたという経緯があり、売却すれば多額の損失確定となってしまうので、おいそれと撤退できない。今思えば、中国事情をよく知る者がいない素人集団状態で、勢いだけで進出してしまったことが敗因でしょう」 日本国内では、過去最高益を更新し続けていた2010年、「日本流」を掲げて中国大陸に進出した同社。当初は、13年度末までに5店舗に増やし、中国市場で年間1000億円を売り上げる目標だったが、こうした突然の失速に、目標実現はほぼ不可能となる見込み。アウェーの逆風は予想以上に強かったということか……。 (文=牧野源)ヤマダ電機本社(LABI1高崎店舗/Wikipediaより)
日本流は通用しない!? ヤマダ電機南京撤退に「やっぱり」の声
家電量販最大手のヤマダ電機は、中国の「ヤマダ電機南京店」を5月末で閉店すると発表した。南京店は2012年3月に開業したばかりで、中国では最も新しい店舗だったが、業績が思うように伸びなかったことと、サプライチェーンの構築が不十分だったことが閉店の理由とされている。 日本国内で急成長を見せていた2010年、「日本流」を掲げて中国進出を果たして3年目でのまさかの失速。しかし、現地からは「やっぱり」という声も聞こえてくる。 同店舗を利用したことがあるという南京市在住の30代女性は、閉店を惜しみつつ、敗因の一端をこう推察する。 「自由に触ることができるディスプレイ商品と、商品に関する店員の知識は、ほかの家電量販店にはないもので、評判は良かった。ただ価格は、ネットで購入したほうが安い場合が多かった。私もそうでしたが、『ヤマダで見て、よそで買う』という人が多かったのでは」 同社がウリとする日本流の接客が裏目に出た格好だ。 また、問題を抱えていたのは売り場だけではない。北京市の日系広告代理店勤務の男性はこう証言する。 「中国進出第1号店の瀋陽店をオープンさせたときには、事前に価格情報が流出してしまい、騒ぎになっていました。流出元は、現地に同伴進出した大日本印刷が担当していたチラシ広告の制作過程だといわれていますが、中国ビジネスに関してはズブの素人であることが露呈してしまった。サプライチェーンを構築できなかったのも、皮肉にも日本流が過ぎて中国独自の商習慣になじめなかったのでは」 残る瀋陽店と天津店では、今後も通常通り営業を続けるということだが、中国での同社の「日本流」戦略は、再考を迫られそうだ。 (文=牧野源)ヤマダ電機本社
(LABI1高崎店舗/Wikipediaより)
「ゆくゆくはピンのタレントとして……!?」愛され続けて40年・キティちゃんはどこへゆく?
1974年の誕生以来、40年近くの長きにわたって世界中で愛され続けている子ネコのマスコットキャラ「ハローキティ」。世代を超えて女子たちの「かわいい」の声を一身に集め続けているキティちゃんが、最近なんだかすごいことになっている。 90年代末から、「ご当地キティ」と称して日本各地の名物を模した携帯ストラップや、浜崎あゆみ、AKB48ら人気タレントやスポーツチーム、「モンスターハンター」「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」といったゲーム、アニメキャラ。「Forever21」「サマンサタバサ」「リーボック」などの各種ブランドなどと、業種・タイトルを問わない多彩なコラボレーションを展開。毎回、我々を驚かせ続けているキティちゃんだが、近年はスーパーヒーロー・イチゴマンに変身してみたり、自分と同じフォルムのロボット・KITTYROBOTを作ってみたり、バキバキのクラブサウンドをプレイしまくるDJになってみたりと、ますますもってアグレッシブ。 そこで今回、株式会社サンリオの広報・東松一男さんに、キティちゃんに今何が起きているのか? キティちゃんは今後どこを目指すのかを聞いてみた! ■時代を、そして男女の壁を超えるハローキティサンリオ本社に潜入!
まず誰もが気になるのが、なぜキティちゃんはサンリオの大黒柱となるほどの人気コンテンツに成長したのかという点であろう。しかし、東松さんは「それはよく分からない」とキャラクターそのものの人気の秘密についての言及は避けつつ、「ハローキティ」の今までの歩みを語ってくれた。 「“ハローキティ”のみならず、弊社のキャラクターはほとんどが商品にデザインするために生まれます。一般的にキャラクターはアニメや漫画、絵本といった作品から生まれて、それを二次利用する形で商品にデザインすることが多かったので、原作のイメージを変えるのが難しく、そこが当社のキャラクターとの大きな違いです。そんな中でハローキティの開発は74年に始まり、それ以降も時代の価値観に合わせてデザインを変化させつつ、仲間やストーリー、設定を増やしていきました」 さらに、1980年より三代目デザイナーに就任した山口裕子氏によるサイン会の開催や、季節や年ごとにグッズの柄を変えるなどの工夫を凝らした商品展開によって、ハローキティは常にサンリオキャラの中で人気上位を維持し続けていた。 そんなハローキティの歴史の中で、大きなターニングポイントとなったのが、96年から97年のこと。この時期より、それまで主に子ども向けキャラクターとして販売されていたハローキティグッズが、女子中高生やOLを中心に人気を博し始めたそうだ。当時、一部メディアにて「華原朋美が雑誌でキティ好きを公言したところ、女子中高生の間でブームが起こった」という報道が行われたそうだが……。第1号商品 (C) 1976 SANRIO CO.,LTD.
「それも一つの要因だと思いますが、そんなに単純じゃないと思います。80年代以降、高校生くらいの方から『ハローキティがずっと好きだったけれども、どうしても子ども向けのデザインだから、まわりから子どもっぽいと言われる』『自分たちの世代でも持てるものを作ってください』というお手紙をいただくことがあって、すでにいくつか大人向けのグッズも展開していました。しかし、割合としては子ども向けのグッズが大多数でした。それが96~97年ころに弊社に限らず、大人がキャラクター商品を使うというのは子どもっぽいことではない、と考える人が増えてきて、大人向けのキャラクター商品が受け入れられるようになってきました。全人口の年齢の幅を考えれば子どもよりも大人のほうがはるかに割合が多いので、そうなってくるとキティの支持層も圧倒的に大人の割合が多くなってきたわけです」 男子向けグッズに目を向けると、バンダイが高年齢層向けの「ガンプラ」ブランド「MG」シリーズを95年に展開。またアニメファンをターゲットとした深夜アニメの放送が本格化し始めるのも96年頃。偶然かもしれないが、確かにこの頃からそれまで「子ども向け」と捉えられていた娯楽やキャラクターが「大人向け」に展開する動きが活発化してきたようにもみえる。さらに、日本以上にキャラクターグッズを大人が持つということに抵抗のある社会が多い海外でも、2000年以降、日本と同じく大人向けキャラクターグッズが売れるようになる、という価値観の転換が起こったそうだ。 東松さんは、この10年の「ハローキティ」、そしてサンリオの躍進の裏には、社会のキャラクターに対する価値観の転換が大きいと語る。その結果、冒頭にも触れた驚くべきコラボレーションの数々も実現した。 「コラボレーションもキャラクターだけではなくブランドやご当地のものなど多岐にわたることで、キティのファン層が広がっていきました。基本的にサンリオキャラクターは『人と仲良くしていくこと』がコンセプトなので、ほかのキャラクターとのコラボレーションは、コンセプトに合っていると思います」 「人と仲良くしていくこと」をモットーに、まさに「仕事を選ばず」コラボレーションしまくるキティちゃん。彼女にとってのNGは「殺傷能力のある刃物、銃(合法な国であっても)」「タバコ、ワイン以外のお酒」「アダルトグッズ」等だそうだ。 そんな仕事の鬼ことキティちゃん……もといキティさんの今後の展望の一つに、男性向けグッズの定着があるという。 「最初に男性ファッション誌とコラボして誌上限定販売したところ、すごく人気が出まして、原宿のショップで販売するようになったり、吉田カバンさんとコラボしてメンズバッグを出すようになりました。今後は、性を超えて愛されるキャラクターに育ってくれるとうれしいですね」 世代を超えて、今度は性別を超えようとしている「ハローキティ」。彼女の活躍は、まだまだ終わらない。 ■サンリオの考える「キャラクター」と「ソーシャル」の関係 現在サンリオは、国内向けにはキャラクターを使った商品を自社開発して「サンリオショップ」など自社で運営する流通網を使った商品展開と、他社にキャラクターを提供した際のライセンス料を受け取るというライセンスビジネスの両輪をベースに展開しているが、海外に対してはもっぱらライセンスビジネスが主流だという。 「アジアは日本と似ている部分が多いですが、欧米は流通構造や条件も全く異なるため、なかなか自社商品専門ショップを広く展開することが困難でした。そこでライセンス中心のビジネスに転換しました」 例えばH&M、Forever21、ZARAといったすでに大きなマーケットを持っているショップブランドと契約し、各ブランドでサンリオキャラを使った商品を開発。そしてそのブランドショップでのみ販売することで、キャラクター商品のクオリティを維持・管理できるというわけである。 サンリオは自社のキャラクターを海外のブランドにライセンスすることで、グローバルな展開が可能となり、ブランド側もサンリオの持つ強力なキャラクターでオリジナル商品を展開することでプレミア感を演出できる。このビジネスモデルで、サンリオキャラクターは世界中に拡散。現在、サンリオキャラクターは109カ国と地域で公式に展開されているという。最新のキティ「不思議の国のハローキティ」
(C) 1976, 2013 SANRIO CO.,LTD.
ほかにも日本国内でサンリオが展開するテーマパークというと、「サンリオピューロランド」(東京都)、「ハーモニーランド」(大分県)の2カ所が有名だが、昨年はマレーシアの「プテリハーバーファミリーテーマパーク」内に「サンリオ・ハローキティ・タウン」を現地企業がライセンス契約により開園。さらに、台湾の航空会社・エバー航空は2005年より日本~台北間の航路に、機体ペイントのみならず各アメニティや機内食など何もかもがキティ一色のハローキティジェットを就航(中断していた時期あり。現在では日本以外の路線にも)。昨年6月にはアラブ首長国連邦の首都・ドバイに、「ハローキティビューティスパ」という高級スパもオープンするなど、サンリオ──そしてハローキティは国境をも超えて活躍している。DJハローキティ (C) 1976, 2011 SANRIO CO.,LTD.
「昔はキャラクター=子どもというイメージがありました。しかし、オリンピックでもマスコットキャラクターが毎回作られるように、キャラクターは親しみやすさをアピールするために作られます。ただキャラクターグッズの歴史が、アニメや漫画など子どものものから始まったために、たまたま子ども向けというイメージが定着していただけだと思います」 キャラクターの持つ意味合いをそうとらえるサンリオは、起業当初より「ソーシャルコミュニケーションビジネス」を掲げている。 「弊社の事業について、我々は “ソーシャルコミュニケーションビジネス”と呼んでいますが、そこにはキャラクタービジネスではなく、人と人のつながりを円滑にするようなことを事業化していこうという思いがこもっています。その一つの表現方法として、キャラクターとは言葉を使うことなく人と人をつなげるメッセンジャーのようなものと認識しています。 例えばキティちゃんのプレゼントをもらった時、受け取った側はもしかしたらそんなにキティちゃんが好きじゃないかもしれない。でも、少なくとも贈る側のなんらかの好意的な感情をキャラクターデザインから感じることはできると思います。そういうふうに言葉でうまく表現できないことを、キャラクターが代弁してくれるという部分があるんじゃないでしょうか」 ■仕事を選ばないキティさんの今後の展望KITTYROBOT (C) 2013 SANRIO CO.,LTD.
Original concept by Sanrio Wave HK. All rights reserved.
ワールドワイドに、そして世代を超えて活躍する我らがキティちゃんだが、冒頭で触れたように「KITTYROBOT」「イチゴマン」「DJハローキティ」など、さまざまなパフォーマンスに挑戦。毎回、我々を驚かせ、そしてワクワクさせてくれる。 「これからはキティちゃんを一人のエンターテイナーとして育てていこうと考えています。これまでもハーモニーランド、ピューロランドや全国でのショーはやってきたんですが、そうではなく、ピンのタレントとして売り出していきたいですね」 このように語る東松さんが一番楽しそう。キティちゃんの活躍を楽しんでいるのは、誰よりもサンリオのスタッフのようだ。 40年にも及ぶ活動を通じて、名実ともにサンリオを支える大きな大黒柱として君臨するまでに成長したハローキティ。世界中のあらゆる存在とコラボレーションすべく、今日も彼女はみんなのそばで愛嬌をふりまいている。 (取材・文=有田シュン) ●サンリオ <http://www.sanrio.co.jp/>イチゴマン (C) 1976, 2011, 2012 SANRIO CO.,LTD.
富士スピードウェイに賠償命令 F1日本GP“ずさん運営”裁判に見た、トヨタの「金儲け主義」と「責任転嫁体質」
2007年9月末に富士スピードウェイ(以下、FSW)が開催したF1日本グランプリの運営はずさん極まりなく、「劣悪な環境の中、長時間のバス待ちを余儀なくされ、精神的苦痛を受けた等」として観客がFSWに対し、損害賠償を求め訴えていた。 13年1月24日、東京地裁はFSWの過失責任を認め、原告53名に対し賠償の支払いを命じた。 FSWが開催した07年F1日本グランプリでは「チケット&ライドシステム」と呼ばれる、各アクセスポイントから専用シャトルバスで来場する方式を取り、観客が自家用車やバイク、自転車など、ほかの交通手段による来場を基本的に禁じていた。 そのため、観客は渋滞や事故など不測の事態があっても自由に交通機関を変更することができず、指定されたシャトルバスを待つよりほかなかった。そのためシャトルバスを正常に運行し、観客をアクセスポイントからに会場まで円滑に送り届けることは、主催者FSWの義務である。ましてやシャトルバスの運行が滞り、レース開始に間に合わないなどといったことがあっては許されない。しかしFSWのずさんな計画で、その「まさか」が起きてしまったのだ。 FSWはF1開催前にリニューアル工事を行い、14万人の観客を受け入れることを決定した。これは、当時鈴鹿サーキットで開催されたF1日本グランプリの動員数と同等の観客数である。しかし、鈴鹿サーキットとFSWとでは立地が大幅に異なる。 鈴鹿サーキットは街中に存在し、電車は白子駅、平田駅、鈴鹿サーキット稲生駅が利用可能で、特に稲生駅からは徒歩30分と交通至便である。マイカー利用も多く渋滞するため、名古屋駅から近鉄を利用し白子駅まで来て、シャトルバス(有料)やタクシーを利用する観客も多い。F1ドライバーも付近の渋滞を嫌ってこの近鉄電車を利用することがあり、2012年にはアロンソやウェーバーがファンのサインに快く応じる姿がTwitterで報告されている。 一方F、SWは標高500~600mの高地に位置し、背後に1,000mクラスの峠を控えているためアクセス道路は限られる。付近に電車の駅はなく、一番近い御殿場線駿河小山駅でも7.5km、徒歩1時間40分かかる上、歩道のない峠道を歩くことになるため現実的ではない。 そのためメインの移動手段はクルマに限られるわけだが、道路インフラが貧弱なために観客3~5万人の国内レースの規模であったとしても付近道路に大渋滞が発生し、問題となっていた。そこに14万人の観客を入れようというのである。たとえサーキット場内の収容人数が鈴鹿サーキットと同等になったとしても、交通手段がなければ来場は不可能である。レースファンからは、新規にモノレールや新交通システムなどが必要ではないか、といった声が上がるほどであった。 F1開催を見据えて行われたFSWのリニューアル工事は、サーキット施設、パドック、ゲートなど場内設備への投資に終始し、交通公共機関は整備されなかった。その代わりに、交通手段はある施策を取ることにする。それが観戦チケットと交通機関をセットにした「チケット&ライドシステム」である。 マイカーでの来場や徒歩での入退場を禁止するなど、観客の交通の自由を犠牲にする代わりに、FSWが交通計画をしやすいシステムである。この導入決定時においては、レースファンもFSWの立地、アクセス道路の少なさを理解し、この「チケット&ライドシステム」の導入はやむを得ない、親会社トヨタの生産方式を見る限り信頼できるという反応であった。足止めされた一般客。右車線はレース関係車両のための優先道路だが、
トヨタ関連の招待客を乗せたバスが次々に通り抜けた。
07年当時、F1グランプリにはトヨタとホンダ、スーパーアグリF1が参戦、ブリヂストンがタイヤ供給するなど、日本企業の活動が華やかしき時代。30年ぶりに関東圏で行われるF1日本グランプリに首都圏を含め全国のF1ファンは注目し、都心からのアクセスが良いとFSWが喧伝したこともあり、思惑通り14万枚のチケットすべて売り切れとなった。これにより、どのアクセスポイントにどれだけの観客が来場するかFSWは把握、何台のバスを用意すればよいか正確に計画、コントロール可能となった。 それにもかかわらず、計画は破綻した。 FSWは訴訟を通じ、「想定を超える荒天のため」に場内道路の陥没事故、バス待機場の泥濘化が発生したと主張した。つまり自然災害であり、自分たちには責任がないと強弁した。しかし、陥没事故が発生した前後に大雨が降った記録はなく、霧雨程度の雨量であったことが分かっている。 FSWは外部に委託し、数年かけて詳細な交通計画を立てていた。しかしこれはFSWのゲートまでしか想定しておらず、場内導線やバス乗降場については一切の資料が存在しない、つまり検討していなかった。 開催直前に作成された資料によると、本来ショートサーキットとしている場所を急遽、東1シャトルバス乗り場として使用、アクセスに本来利用しない管理用道路を使うことが記されていた。管理用道路は狭く、勾配も急であり、リニューアル工事に合わせて整備された片側2車線、両側4車線の場内道路がきちんと設計、施工されたのに対し、設計図も存在しない上、いつ、どのような形で舗装されたかも把握されておらず、満員の乗客を乗せた大型バスが延べ2,000台も往復するだけの強度をもっているとは到底思えない、簡易的な舗装であった。案の定、その管理用道路で陥没が発生した。 FSWは裁判の中で、満員の大型バスを通すには明らかに貧弱すぎる管理用道路を「大型バスの運行に耐えうるアスファルト舗装をしている」「陥没は青天の霹靂だ」と自然災害を装ったが、裁判所には認められなかった。 また、シャトルバスの計画自体にも大きな問題があった。 14万人を乗せてひっきりなしに往復するシャトルバスが、たった2つのゲートから出入りするのである。バスが出なければ入れない。それがシャトルバスの問題点である。 本来F1関係者の出入り口を別途確保するべきところを計画せず、決勝日当日の帰路、次週韓国GPを控えたF1関係車両をFIAからの要請により、優先退場させた。優先退場の対象にはトヨタ関係者、招待客も含まれており、その間1時間45分にわたりシャトルバスの運行は止められ、バス待ち渋滞の混乱に一層拍車をかけた。 08年、FSWはバスをシャトル方式から留め置き方式に転換した。レース開始前は、バスは入場のみ、レース終了後はバスは出場のみとなるため出入りのボトルネックがなくなり、スムースな交通が実現できた留め置き方式は、より多くのバス台数が必要となるため当然コストが高くなる。そのため、07年開催時は事前検討の俎上にも上っていなかった。 雨天の想定も大きな争点となった。 FSWは高地に位置し、レース関係者、レースファンの間では、雨や霧が多く発生することがよく知られている。FSW自身も当然それを認識しているのだが、開催直後のFSW社長のインタビューや交通計画を担当したジェイコムの報告書の中で「雨を想定しなかった」と、予算の都合から雨天は想定しないで計画を立てたことを明確に記している。しかし証人尋問では翻し、FSW側証人が「雨の想定をして計画をした」と強弁したが、当然裁判所に認められることはなかった。 その結果、決勝日には元園芸場であったバス待機場が泥濘化。大型バスがぬかるみにはまってスタックし、利用できなくなるといった事態を招いた。地盤が緩い園芸場に雨が降ればどうなるのか、火を見るより明らかであるが、舗装する、養生するといった事前の対策はなんら施されなかった。 これらの怠慢により、シャトルバスの運行は破綻。暗くなり冷え込む富士山麓の山中、多くの観客が照明もなく、足元がぬかるむ中、トイレを我慢していつ乗れるか分からないシャトルバスを待つことを強いられたのである。この過酷なバス待ちは予選日の帰路、決勝日の往路、復路の3回にわたり続いた。またその間、FSWから状況の説明や案内といったものもなかった。殺気立つ観客を前に数少なかった案内スタッフは職場を放棄、どの列がどこ行きのバスか分からない状況が続き、現場は混乱を極めた。 裁判所はFSWの過失を認め、バスの待ち時間3時間を超える原告に対し、受忍限度を超えるとしてFSWに対し賠償を命じた。 しかし裁判所は、仮設スタンドの設計ミスによりコース場を走行するF1カーを見られなかったことは、FSWの配慮不足があったことは否めないと認めたものの、大規模イベントで一部が見えないことはよくあることとして受忍限度内とした。 また予選日にバス待ちの被害を受け、決勝日の観戦をあきらめた観客に対しては、レースが開催され、バスは遅延していたとはいえ運行されていたとして訴えを退けた。 全体的にはF1は国際的なカーレースであり、大規模イベントであるから、多少の混雑、交通の遅延はあることから、観客は受忍するのが相応という判断である。 判決としては、被告FSWに対し総額83万円を原告に賠償することを命じている。FSWは「裁判所の判断を尊重する」とのコメントを出している。14万人の観客を不幸と絶望の淵に追いやった責任が83万円とは、いかにも罰が軽すぎる。 多くの観客はF1レース観戦に慣れたリピーターであり、鈴鹿サーキットで開催されたF1レースではこのような混乱、訴訟が起きていないことを考え合わせると、観客の責任に帰するのは酷というものである。 この訴訟を通じて露呈したのは、FSWの怠慢、金儲け主義、責任転嫁体質である。 そもそも実質的にF1グランプリを初めて開催するにもかかわらず、売上を優先し観客数を14万人に設定、場内の出店料が高く、飲食代も当然高くなり、具のほとんどないカレーが1,000円、F1弁当に至っては1万円と高額であった。一方コスト削減のため雨天の想定をしない、誘導スタッフの数、仮設トイレの数を最小限に絞り「金儲け主義」と批判されても仕方がない。バス待ちの渋滞以外でも、ホスピタリティ、おもてなしの心は皆無だった。 レース直後は形式上謝罪したものの、責任者の辞任や降格、減給といった自主的処分は一切ない。裁判においては原告に対し信頼ならないとして全面的に争い、交通計画の破綻は悪天候のせいと責任転嫁して知らぬ存ぜぬを貫き通した。 翌08年のF1日本グランプリ開催は観客数を14万人から11万人と絞り、バスもシャトル方式から留め置き方式に変更して混乱なく運営を成功させた。ところがその直後「F1は儲からない」「F1ファンはトヨタの顧客ではなかった」として、わずか2年でF1開催から撤退した。やはり儲けるためにF1をやり、儲からないとなると放り出した格好だ。 原告の方々は、ずさんな計画・運営によるバス待ち被害が認定されたことに対し一定の評価をしているが、仮設スタンドの設計ミスによりレースを満足に見られなかったことや、決勝日に観戦をあきらめざるを得なかったことは、ずさんな計画・運営と明確な因果関係があるものとして控訴を検討している。 また2次訴訟は3月29日(金)に判決が言い渡されるが、こちらは別審理となっているため今回の判決と異なる判断となる可能性もあり、引き続き注目したい。1,000円の具ナシカレー。
「ウソにウソを重ねる富士スピードウェイ」2007年F1“ずさん運営”日本GP一次訴訟が1月24日判決へ

2007年9月末に富士スピードウェイが開催したF1日本グランプリの運営はずさん極まりなく、「劣悪な環境の中、長時間のバス待ちを余儀なくされ、精神的苦痛を受けた等」として観客109名が富士スピードウェイ(以下、FSW)に対し、損害賠償を求め訴えていた。この判決が、13年1月24日に言い渡される。
訴えから約4年と長期間にわたって行われた訴訟がようやく結審し判決を迎えるが、なぜここまで時間がかかったのか、そしてFSWの対応はどうだったのか、あらためて振り返る。
FSWが開催した07年F1日本グランプリでは「チケット&ライドシステム」と呼ばれる、各アクセスポイントから専用シャトルバスで来場する方式を取り、観客が自家用車や徒歩など、ほかの交通手段による来場を基本的に禁じていた。
予選日から各アクセスポイントと会場を結ぶシャトルバスの運行が滞り、数万人の観客が場内に閉じ込められた。決勝日にはシャトルバスの運行は改善されるどころか、さらに悪化。十分な時間をもって各アクセスポイントに到着した観客も、会場内外の大渋滞によりバスが時間通りに到着せず、決勝スタートに間に合わない者も多く出た。
決勝レース終了後も混乱は続いた。FSWはトヨタ関係車両を優先退場させるため急遽1時間45分もシャトルバスの運行を止め、シャトルバス待ちはますます悪化した。
バス乗り場は、どこに並んでいいのか分からないほど多数の観客であふれ、スタッフによる誘導もなく混乱を極めた。運よく行列に並べたとしても足場は悪く、芝生は泥濘化、照明もなく真っ暗な中、観客は雨に打たれ凍えながら、いつ来るか知れないシャトルバスを長時間待つことを強いられた。またトイレも圧倒的に不足しており、長蛇の列ができた上に足場は汚物であふれた。さらにバス乗り場には食料や飲み物もなく、空腹にも耐えなければならなかった。
このように、劣悪な環境により精神的・肉体的苦痛を受けたとして、原告はFSWに対して債務不履行に基づく損害賠償請求を行ったのである。
これに対しFSWは全面的に争い、訴えを起こした原告各人に対しての反論を始めた。「(FSWは)知らない」「(原告の主張は)信用ならない」として原告の主張をウソ、偽り、大げさと断じたものであり、原告の心をさらに深く傷つけた。
泥仕合の様相を呈してきた裁判は、裁判所の主導により和解についての話し合いが行われた。しかし、被告であるFSWが提示した和解案は原告の受けた被害を過小評価し、和解金額を低く見積もった挙げ句に「原告全員が和解することが条件」「イベント保険が利くかどうか……」「会社内に持ち帰って検討するため時間が必要」として、最終的な和解案を決定するまでにダラダラと1年近くかけたのである。コースを走行するF1カーが見られなかったC席仮設スタンドの一部返金を即日決定したと胸を張る対応とまったく大違いであり、疑念がますます深まった。
最終的に提示された和解金額についても、低額であり、到底原告を納得させるものではなかった。
和解案を渋々了承した原告は、一次・二次合わせて135名のうち半数に満たない51名。それも裁判が長期化することで疲弊した結果であり、多くの原告は不誠実で責任逃れをするFSWの対応に怒りの声を上げた。
和解は不発に終わり、残った原告と被告FSWとの間で、裁判は最終局面を迎えた。ハイライトは証人尋問である。
証人尋問では、一次訴訟ではFSW側証人として富士スピードウェイ株式会社取締役外村之朗氏、二次訴訟では交通輸送を担当した運営会社ジェイコムの山形希望氏が証人台に立った。
シャトルバスの運行計画は十分行われたと主張する被告側に対し、原告代理人が雨の想定や直前でのルート変更の検討資料がないと追及すると、被告証人は「役員会で口頭で検討した。資料はない」といった受け答えを繰り返すにとどまり、具体的な検討を行った証拠、資料は提示されなかった。
ジェイコム山形氏が08年、FSWに提出した事後の報告書に「雨を想定した計画がなかった」と反省が明確に記載されているのを否定。雨天を想定していたと翻したが、やはり資料は存在しない。
その他、陥没した場内ルートについて、大型バスの運行に耐えられるだけの十分な舗装を行っていたかについても、あやふやな受け答えに終始し、「運悪く陥没した」「この陥没がすべての渋滞の原因」と自然災害だったかのように言い逃れようとした。
さらにこの証人尋問までの4年間、被告FSWが終始一貫して「想定外の大雨」が降ったと主張してきたのを、証人尋問後に突然転換。07年F1日本グランプリを開催する3週間前に降った大雨の影響があったかもしれないと、科学的根拠がない、と前置きしながらも、これまでまったく触れられなかった新しい主張を行った。
また、C席仮設スタンドの件についても、新しい主張が飛び出した。それまでC席仮設スタンドの一部払い戻しの告知は30日午前に決定し、来場者に案内のパンフレットを配ったとされていたが、これをフリー走行があった28日に行ったというものである。
これは決勝日30日にシャトルバスのアクセスポイントまで行ってバス待ちに並んだが、予選日29日以上の混乱を容易に予見、同行する家族、幼児の健康が心配されたため、泣く泣く決勝レースの観戦をあきらめたC席の原告証人に対しての被告代理人の質問であった。そして証人尋問の後、あらためて書面にて提出されている。
これは07年10月、YOMIURI ONLINEをはじめ各メディアで報じられた内容と異なるものである。当時の報道では「3億5,000万円払い戻し」というキャッチーなタイトルで報じられており、いかにもFSWが英断、即対応した美談のように報じられていたのだが、決勝日30日と予選が始まる前日の28日とでは大きな違いであり、28日も観戦したC席原告には、まったくの寝耳に水であった。
この被告の主張の転換を見る限り、レース開催前にC席仮設スタンドからコースがよく見えないことを把握、対応を検討してそのシナリオ通りに行ったという疑念がますます高まった。そうでなければ、3億5,000万の払い戻し金額に到底及ばない和解金額決定に時間がかかる理由に説明がつかず、この美談シナリオは当時F1に参戦していた親会社トヨタの意向もあったに違いない。
いずれにしても、フリー走行日の28日にFSWが配ったと新しく主張した払い戻しの書面は、原告はもちろんのこと、他のレース観戦者からも「見た」「受け取った」という情報は得られていない。
07年当時、メディア向けに謝罪したFSW、そして親会社のトヨタ自動車であるが、裁判は全面的に争い、そして原告をウソツキ呼ばわりして裁判を長期化させてきた。一方で自らの主張の証拠となる肝心の資料は存在しない、当初から一貫して主張してきた「想定外の悪天候」については翻す、C席仮設スタンド払い戻し決定の美談は自作自演の可能性が高まるなど、あらためて不誠実な企業態度が明らかになった。
この裁判の一次訴訟は1月24日、二次訴訟は3月29日に判決が言い渡されるが、その内容、そしてFSWの対応にあらためて注目したい。
格付け大幅ダウンのシャープに、大手IT企業が救いの手をさしのべる?

シャープ株式会社
2012年9月15日、シャープは創業100周年を迎えた。しかし、同社はそれどころではない状態に追い込まれている。今年に入って、日本の電機関連企業が軒並み業績をダウンさせている。中でもシャープは、2012年3月の決算で3760億円の最終赤字を出し、今年の第1四半期の連結決算でも1300億円レベルの赤字を出した。工場の稼働率は大幅ダウンし、追加のリストラを遂行中だ。
なぜこのような事態に陥ったのか。それは、液晶ディスプレイの特需に依存しきったためだ。アナログ停波から地デジへの移行と、エコポイントにより、2008年までは絶好調の売り上げを誇った。売上高は3兆円を超え、純利益も1000億円以上。だが、買い換えが一段落したら、テレビがまったく売れなくなるのは当たり前。3Dやら高解像度は一般需要ではない。しかし、液晶工場への投資を続け、一気に破綻。リーマンショックを機に、転落が始まる。
100周年を迎える少し前、シャープが取引をしている主要銀行は、シャープの全事業所の土地と建物に対して担保を設定した。これは異例のことで、続けて、今冬と来夏のボーナスを50%カットし、給与のカットも発表。必死の努力が続いている。
どちらにしてもお金が足りない。そこで、シャープは台湾の鴻海精密工業との提携を発表した。同社は世界最大の電子機器受諾生産会社で、シャープの新株を引き受ける内容だった。しかし、業績悪化に加えて、世界中のヘッジファンドの空売りを受けて、株価は暴落。鴻海も、合意した内容で手を出しにくくなり、交渉は難航。シャープの奥田隆司社長が言うように、「一刻の猶予も許されない」状況になった。
そんな中、9月ごろ半導体大手のインテルが出資するというウワサが立ったが、シャープは「そうした事実はありません」と回答。しかし、11月にもインテルや通信技術大手のクアルコムが出資すると新聞で報じられると、「決定した事実はありません」と交渉はしている回答に変わった。さらに、アップルやグーグル、マイクロソフトといったIT界の巨人たちとも業務提携の交渉をスタート。PC大手のデルも出資したい意向を示している。
当たり前だが、人情話ではない。これはシャープの技術力を高く評価しているため。シャープは4月にIGZO液晶パネルの実用化を発表し、スマホやディスプレイを続々と市場に投入している。IGZO液晶は従来の液晶に比べて、明るく低消費電力で、高解像度化が可能。この技術力を欲しがっているのだ。世界最高変換効率を誇る太陽電池技術もポイントが高い。筆者としては、国内で技術を守ってほしいところだが、存亡がかかっていればそうもいかないのかもしれない。
どちらにせよ、とことん地に落ちたシャープだが、すぐにつぶれるということはなさそうだ。スマホやテレビを購入しても、サポートに問題はない。逆に、シャープファンなら買い支えてあげたいところだ。
「ノーパンで出社できないか?」盗撮の元IBM社長に“セクハラ前科”の証言も……

四ツ谷駅
TSUTAYA代官山店に向けられた意外な声 新作DVDの無料レンタルは是か否か!?
2011年12月にオープンした「代官山蔦屋書店」は、“オトナのTSUTAYA”を謳った落ち着いたデザインで人気のスポット。店内には専門のコンシェルジュやiPadを配し、併設したカフェやラウンジでゆったりと書籍や雑誌のバックナンバーを選ぶことができるなど、顧客本位のサービスで注目を集めている。だが意外なことに、代官山店が行っているあるレンタルサービスに対して、映画関係者のひとりが疑問を投げ掛けている。同店では60歳以上のシニアを対象に、新作・旧作を含めてDVDの無料レンタルサービスを3月19日から4月末までの期間限定で行い、好評を博したことから5月末まで同サービスを延期している。この気前のいいサービスが問題なのだという。 「60歳以上のシニア層にもっとDVDレンタルを利用してもらうためのサービスだそうですが、新作の無料レンタルはどうかと思います。おじいちゃんやおばあちゃんに頼めば、誰でも新作映画を無料で鑑賞できるんです。TSUTAYAは代官山店だけでなく、この無料レンタルを全国的に展開するつもりじゃないですか。今は劇場公開から4カ月待てば話題の映画もDVD化されるわけですが、4カ月待てば、映画は無料で観ることができるという風潮が広まると問題です。TSUTAYAが家の近所にある人は、映画館に足を運ばなくなってしまいます。旧作ならともかく、新作まで無料で貸し出すのはやりすぎですよ」(映画関係者) 100円レンタルを上回る無料レンタルとはユーザーにとってはおいしいサービスだが、そのソフトを製作・供給する側としては死活問題だという。前述の映画関係者は、TSUYAYAを全国展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社の姿勢に疑問を感じているようだ。 「CCC社は映画会社に対して事前に説明したり、許諾を求めることなく、無料レンタルサービスを無断で始めているんです。関東エリアで4月から100円レンタルを始めたときも断りなしで始めたんですが、メジャー系の映画会社が『やりすぎじゃないか』とクレームを付けたところ、ようやくその会社に対してのみ説明を行ったという対応の仕方なんです。映画には著作権があるわけで、著作権を持つ映画製作会社に無断で無料レンタルをやることは問題があるように思う。TSUTAYA側が買取ったソフトなら無料レンタルでもいいでしょうけど、収益に応じて分配するPPT(pay per transaction)方式の場合は無料で貸し出すと監督印税、脚本印税も含めて著作権料が支払われないことになるわけです。映画というのは俳優たちを数カ月も拘束し、多くのスタッフが汗を流し、数億円の大金を投じて作り上げたもの。現場の苦労を無視するかのように無料で貸し出してしまうのは、映画に対してあまりにも愛がない行為ですよ」(同) 5月23日、TSUTAYA広報に代官山店で行われている無料レンタルサービスについて電話で問い合わせてみた。 「TSUTAYAが1,000店舗以上ある中での、1店舗だけでの限定サービスということで理解してほしい。代官山店はTSUTAYAの中でも例外的な店舗でもあります。今回の無料レンタルサービスをほかの店舗で行うことは予定されていません。また、無料レンタルサービスを永続的に行うことはありえません。レンタル事業を生業としているのですから、自分たちの収益にならないようなことはしませんよ。今回の無料レンタルサービスはあくまで、DVDレンタルを楽しむ機会の少ないシニア層の方たちに、もっと映画などのソフトを気軽に楽しんでもらおうという主旨のもの。映画文化の興隆に役立ちたいというのが私どもの考えです」(TSUTAYA広報) DVDの無料レンタルは映画の著作権を侵害するものだろうか? 映像ソフトに関する取り決めを扱う団体「日本映像ソフト協会」に尋ねてみた。 「レンタル店の料金設定はレンタル事業者の経営努力次第によるものなので、メーカー側がレンタル料金を規制することは独禁法に触れることになり、それはできません。ただし、メーカー側とレンタル事業者側がどのような契約を交わしているかではないでしょうか。その契約に“無料で貸し出してはいけない”とあれば、許諾なしで無料レンタルすることには問題があるでしょう。PPT方式のソフトを永続的に無料で貸し出せば、製作者側に著作権料が支払われないことになるので問題が生じるかと思いますが、なんらかの形で製作者側に著作権料が支払われていれば問題ないはず。期間限定での無料レンタルということなら、すぐさま著作権の侵害に当たることにはならないでしょう」 「日本映像ソフト協会」の見解としては、期間限定での無料レンタルは法的には問題ないらしい。とはいっても、TSUTAYAとPPT方式でレンタル契約を結んでいる映画会社に支払われる著作権料が減ることは確かだろう。映画業界に対して断りなしで無料レンタルを始めたTSUTAYA側の独断的なやり方が問題のようだ。レンタル業界に詳しい人物に話を聞いてみた。 「TSUTAYAは業界1位の座を競り合うGEOと合わせて、レンタル市場のシェアの7割を占めるまでになっています。TSUTAYAの機嫌をそこねるとソフトを仕入れてもらえなくなるので、映画業界はTSUTAYAに対して強く発言することができないんです。2011年に一部上場をやめたことも大きいんじゃないですか。巨額の予算を投じた代官山プロジェクトや無料レンタルサービスなど利益に直接結びつかないことは株主に反対されていたはず。一部上場をやめてからは、株主の声を気にしなくていいので、TSUTAYAの自由度がかなり高まっているように感じられますね」 Tカードによるポイントビジネスも好調で、中高年層の取り込みに成功したT会員数は今や4,000万人を突破。CCCグループの2011年3月期の売上高は1,687億円に達している。2011年度の日本映画界全体の年間興収が1,811億円だから、TSUTAYAの存在がどれだけ大きいかが分かる。しかし、TSUTAYA広報の「映画文化の興隆に役立ちたい」というコメントを信じれば、TSUTAYAがソフトを提供する映画業界を軽んじるようなことはないのではないか。 この記事をまとめている5月25日の時点で新しい事実が分かった。TSUTAYAの桜新町店でも60歳以上の無料レンタルサービスが5月からすでに始まっており、6月9日まで行うことが同店に足を運ぶことで確認できた。先日のTSUTAYA広報の電話での説明は一体なんだったんだろうか?『代官山オトナTSUTAYA計画』(復刊ドッ
トコム)















