6割が定住する一方で、多くの人が地獄を見ているのも事実――。総務省の発表によれば、「地域おこし協力隊」に参加した人の約6割が、任期を終えた後も活動した市町村や近隣に残って生活していることが明らかになった。 地域おこし協力隊は、2009年に総務省によって制度化されたもの。過疎化や高齢化の激しい地域に人材を派遣する、いわゆる有償ボランティアである。 傍からみれば、給料をもらえて、田舎暮らしをしつつ地域貢献もできる、やりがいのある職業。自分探しの新たな形ともいうべきか、20~30代の男女を中心に応募する人が多いという。そうして地方に住んだ人々が、地元に根付き活性化するとなれば、過疎化に悩む地方にとってもオイシイ事業のはず。 だが問題は、地元に根付かなかった6割以外の部分である。残り4割が体験するのは、過疎地の地獄。中には任期途中で逃げ出す人もいるのだという。 任期半年で逃亡を余儀なくされたNさんが派遣されたのは、東北地方の某過疎地域。そこは鉄道もなく、日に数本のバスが来るだけという完全な過疎地域。20代にして都会でのサラリーマン生活に疲れを感じていたNさんは、田舎での平穏な暮らしに憧れて応募したのだという。だが、待っていたのは地獄だった。 「主な仕事は道の駅での販売です。朝は7時前から閉店までの長時間労働。労働時間が長いだけならよかったのですが、人間関係は最悪です。自分以外の職員は地元の人ばかり。なんとか溶け込もうとしたんですが、完全に都会から来たヨソ者扱いでされるばかりで……」 多少、ブラックな職場程度なら「慣れているのでかまわない」と思っていたNさんだったが、都会と田舎では大きな違いがあった。町内には、スーパーとコンビニ以外に商店はない。息抜きをする場所が、まったくなかったのである。 「コンビニで立ち読みするくらいしか、息抜きがありません。なにせ、与えられたアパートにはネットもなければWi-Fiも飛んでないので、YouTubeすら見られないんですよ」 そのアパートも、ほかの住人は農家に派遣されている外国人研修生。 「最初から、うすうすと感じていたんですが、途中から確信に変わりました。これは、現代の奴隷なんだと……」 もちろん、そんな過疎地でも日本国内。車で1時間も飛ばせば市街地はある。けれども、そこに行くこともできなかった。 「理由はわからないのですが、町外に出るためには書類を書いて届け出をしなくてはならなかったんです……」 結局、半年で耐えきれなくなり逃亡したNさん。現在も心を病んで通院を続けているという。 Nさんの例に限らず、「地域おこし協力隊」が人材を使い潰すブラックボランティアという一面は次第に明らかになりつつある。地域の特産品を販売するビジネスを始めようとしたら妨害される。役所で雑用させられるだけで、まったく意味のある仕事が与えられないなどなど……。 そうした実態が明らかになりつつあるからだろうか? 地域によっては人材を求めても、まったく人が来ないというところもあるという。 (文=是枝了以)「地域おこし協力隊クラウドファンディング」サイトより
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日本各地でイノシシ猟師の「補助金詐欺」が激増中! ジビエ推進の“歪んだ構造”とは
農作物に被害を与える鳥獣の捕獲を偽装して、市町村などから出る補助金をだまし取る詐欺が横行している。 農林水産省によると、先ごろ全国の自治体に補助金申請時のチェックを徹底するよう通知したというが、そもそも補助金制度そのものが大きな利権になっているという見方もある。 「鹿児島ではイノシシ1頭あたり1万2,000円の補助金が出るんですが、うち8,000円は国が補助する仕組みになっていて、自治体はとにかくこれを増やして金儲けしたいという感じでしたから、詐欺の増加もその副産物という気がします」 こう話すのは鹿児島・霧島市の農業関連事業者で「地域によっては猟師が補助金目当てで、農家の被害以上のイノシシを捕獲しようとしているありさま」だという。 「イノシシが出ていなくても、被害報告を作ってくれと猟師が依頼しているんです。報告書を書いてくれたら5,000円の謝礼をするとかね」(同) 実際、同市ではイノシシやシカに出る補助金が大量に騙し取られている。2013年度からの3年間で、少なくとも300件を超える不正が判明。この補助金は農家の被害報告を受け、猟師が捕獲したイノシシなどを時間や場所などを書いたボードと一緒に撮影、提出する形となっているが、同じ獣の写真を使い回すなどの虚偽が横行しているという。 約3年前、和歌山で同種の詐欺をして書類送検された職員は、約10万円の不正補助金を手にしていたが、調べに対し「100件以上やっていた」と余罪を供述。 この職員はシカやイノシシなど野生動物の肉を食用とするジビエの推進をする団体に勤めていて、その手の事情に精通していた。この職員を知る団体関係者によると「問題の職員は、ジビエなんか売るより補助金の方が儲かる、とハッキリ言っていた」という。 「実際にそうなんですよ。捕獲イノシシの食肉流用は、あくまで個体の再利用の話。主軸は補助金なので、和歌山県内でもジビエに流用するのは捕獲した数の2%程度。それでも、猟師の収入を増やすために『補助金の枠を拡大しよう』ってやっている。これは行政の歪な仕組みも影響していて、農作物の被害に遭う農家は農林水産省の管轄でも、鳥獣退治に出る猟師は環境省の管轄。本来、農家が自分で罠を作って捕まえたっていいんですが、そうすると猟師の食い扶持が減るから、基本は猟師に依頼する形を勧めているんです。ジビエ普及なんて言っても、本音は高額な補助金を国から取りたいだけでしょう。ジビエは生肉を求める消費者はほとんどいないので、加工するための施設が必要になり、これまた採算度外視で公共事業が生まれてます」(前出関係者) 政府は今、ジビエ普及を拡大するため、菅義偉官房長官を議長とする対策会議を設置。山林から消費地までの運搬ルートを強化して狩猟関係者が取り組みやすい仕組み作りに着手しているが、「捕獲した個体に補助金を出すことで成り立つビジネスだから、みんなが税金に群がっているだけ」と関係者。 「結局、農水省や農協資本の業者、林野庁の残党みたいな連中が躍起になって起こしている巨大利権みたいなものにしか見えないんです。不正受給の取り締まりを強化しても、過剰な補助金の捻出があれば同じこと」(同) ある猟友会のメンバーは「補助金制度をやめるなら、海外のように狩猟をスポーツ化して一般人にハンターをさせれば儲かる」という。動物殺しをレジャーにするなんて話が日本で理解を得られるはずもなく、ジビエ拡大を看板とした補助金枠の拡大が促されていくのだろうか? (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)イメージ画像(足成より)
「魚沼産」が生産量の30倍以上流通……農作物のネット販売に潜む“産地偽装”の深すぎる闇
新潟県が、昨年同県産のコシヒカリとして販売された米をDNA検査したところ、約1割の商品に別の品種が混入していたことを発表した。 100%の新潟県産コシヒカリと確認できた商品は、68%にとどまった。数年前から同様の結果は続いており、県が偽装米の告発も視野に入れるなど対応を強化する方針だ。 産地偽装は「夕張メロン」や「神戸ビーフ」、「信州味噌」などでも横行していて、農林水産省が対策に乗り出しているが、中でも米は「見分けがつきにくく一向に減らない」というのが関係者の見方だ。 「少し前に週刊誌でJA京都の米卸業者がコシヒカリに中国産米を混ぜているという報道があって、業者が反論する騒動になっていましたが、もっと身近なところで偽装はいくらでもあります。特にネット販売はひどい」(県消費者行政課の関係者) その一例と疑われているのがネット上で「農家直売のコシヒカリ」、「魚沼地区の中里産」などとして販売していた滋賀県の業者だという。 「購入者から告発を受けて、いま調べているところですが、見た目からして明らかに新潟県コシヒカリではないです」(同) この業者はネットオークションの「ヤフオク!」などで米を大量に販売している。購入者の男性を取材すると、なんと「この業者はクレームに対し、50万円の追加請求をしてきた」という。 「4,000円近くの代金を支払って送られてきた米は、袋に印字された検査証明書の欄がすべて空欄のままで、実際の米も明らかに魚沼産コシヒカリではなかったんです。そこで業者にクレームを入れたんですが、すると『代金未払いだ』とウソを言われ、追加で50万円の請求が届いたんです」(同) そこで、この自称農家の業者を直撃してみたところ「そんなん急に言われてもわからへん」と、ふてくされたような口調でトボけたが、疑惑の部分を指摘すると「魚沼産のコシヒカリとは書いていない」と反論。その商品説明の一部には『魚沼地区の中里産、同等品の棚田産』とあり、魚沼地域の棚田米と勘違いしてもおかしくない紛らわしい文言となっていたが、業者は呆れるような言い分を述べた。 「ウチは魚沼産なんか売ってない。滋賀県産だ。発送地の欄にちゃんと滋賀県と表示しているから。あくまで魚沼産と同等品」 商品の発送地と品種は別のはずで、なんとも屁理屈のような回答だが、その「魚沼産と同等品」とする根拠を聞くと、こんな説明をした。 「同じぐらいの標高だもん。一緒ということで」 論理はめちゃくちゃ。そして、ついにハッキリ「滋賀県産」と書かなかった理由を打ち明けた。 「地元で、インターネットで売っているってバレたら、カッコ悪いから……」 客に対しいわれのない50万円を追加請求したことについても「言ってない。そんなことしてない」と否定していたが、メールなどで請求の記録に残っていることを指摘すると、「その人だけちゃうかな。50万円の話はその人だけだと思う」と妙な言い方で認め、さらに「買った客が精神異常者だった」とまで言いだした。 まさにトンデモ業者としか言いようがないが、厳しい規制がないからか、そのまま同様の販売は継続。こうしたずさんな米販売については農林水産省・規格監視室も「特にネット販売の食品表示偽装は増えている実感があります」と答えた。 ただ、購入者が実際に届いた商品に違和感を覚えるケースは全体の割合からいえば少数で、騙されたことに気付いていない消費者も多いという。 魚沼産のコシヒカリを作っている新潟県魚沼市の農家に聞いたところ「魚沼の生産量の30倍以上の自称『魚沼産』が出回っている。魚沼の田んぼの数を見てみろよ、と言いたい」と言っていた。ブランド表示さえあれば妄信してしまう我々消費者側もきちんと判断することが必要ということか。 (文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)イメージ画像(足成より)
運送業者も大混乱!? 東京・町田と神奈川・相模原の“市境界変更”で「住所が変わったけど変わってない」怪現象が……
昨年12月、東京都町田市と神奈川県相模原市の境界線が変更され、町田市の一部が相模原市に、相模原市の一部が町田市となったが、ちょっとした混乱が起きている。 「ウチは自宅の一部が町田市から相模原市になったけど、住所は変わってないんだよ」 2004年~13年の間に、約30世帯が神奈川県民から東京都民になったと伝えられていたのだが、一体どういうことなのだろうか。 「この家は、建物が町田と相模原の境界線上にまたがっていたから、最初に住民登録をするときに住所はどちらか好きな方を選べたんだ。そのとき、ウチは相模原にした。今回の変更では自宅の町田市だった部分が相模原に変わっただけだから、結果として住所は変わらない」 要するに、境界変更にともなう編入先の市をもともとの住所として登録していたので、今回ほとんどの家の住所が変わらなかったのである。このように自宅が町田と相模原にまたがっていた人には、今回の境界線変更で自宅のすべてが町田あるいは相模原に編入されたので、今まで二カ所に固定資産税を払っていたところを一本化できるメリットはあった。 今回の境界線の変更は、両市境を流れる境川の河川改修に伴ったもので、1期約3年の9期計画で事業を進め、今回の変更で6期目。境界線の変更には手続きに時間がかかるため、両市は3年ほど前より対象区域の住民に説明し、同意を求めてきた。よって、ある日とつぜん境界線が変わったわけではない。 それにしても、現場を境界線変更区域の地図に沿って歩いてみると、新たに「町田市になった」、あるいは「相模原市になった」という土地は道路や空き地ばかり。相変わらず、相模原市の中にポツンと町田市の家が建っているような「飛び地」も見受けられる。結局、取材を進めていくと、今回の変更で住民の住所が変わったのはアパート1棟だけだったことがわかった。このアパートの住人は、今回の変更で相模原市民から町田市民になっている。そこで、住人に話を聞いてみた。 「神奈川県民から東京都民に変わったんですけど、ゴミ出しや行政サービスについて何か大きく変わったことはありません。ただ、住所の変更手続きをしないといけないのが面倒で、宅急便や郵便などがきちんと届くかという不安はあります。友人の車やタクシーなどで送ってもらうときも説明が面倒ですね」 話を聞いた感触では、少々の不便がある、という程度のものではあるのだが、これはあくまで事前の説明で状況を理解している住人の話。当人が言うように運送業などではちょっとした混乱が生じているようで、行政サイドへの問い合わせがあったという話だ。 「ネットの位置表示では相模原になっているのに現地は東京都の住所だったりするので、非常に困惑しています」(運送業者ドライバー) この問題は年明け、「国内の領土問題が勃発」などと一部ネット上で騒がれてもいたのだが、町田市役所には「市自体を神奈川県に編入すればスッキリするのでは」という極端な意見も届いているという。河川改修に伴う境界変更は、今後3回予定だ。 (文=大山清/NEWSIDER Tokyo)町田市旗(C)Kzaral /wikipediaより
軍事ジャーナリスト「論点がずれている」墜落事故から飛行再開“オスプレイ問題”の本質とは
アメリカ海兵隊の輸送機・オスプレイが墜落事故を起こしながら、6日後の飛行再開となったことに批判が集中、メディアもこれに同調する記事を出したが、軍事ジャーナリストの青山智樹氏は「論点が意図的に歪められている」と指摘している。 「欠けているのは『どうすれば次の事故が防げるか』という観点です。各紙の報道を見ると、読売新聞は19日、オスプレイの飛行再開を伝えた記事で『13日の事故から1週間足らずの飛行再開に沖縄県民らからの反発がさらに強まるのは確実だ』と伝えていますが、事故原因や経緯、飛行停止解除までの流れは一切無視。同日の毎日新聞は、加えて『不時着事故の原因になった空中給油訓練は当面、見送る』ということを記していますが、沖縄県での米軍機事故は短期間で飛行を再開するケースが目立っているとしています。朝日新聞はもう少し詳しく、事故原因が空中給油中のトラブルであることを明記、在日米軍司令部の発表文も掲載していますが、翁長雄志知事や普天間爆音訴訟の原告団長らのコメントを加えていて、いずれも早期の飛行再開に反対の姿勢が強い論調ばかりです。世界的に見て航空機事故については『事故があったから二度と飛ばすな』なんて話にはなっていません。事故原因を徹底調査して次の事故を防ぐ方が有益という姿勢です。日本では社会全体がまず責任者を追求するベクトルになってますが、今回の事故原因は米軍から、C130空中給油機からの給油訓練中に起こったと説明されています。それであれば飛行停止ではなく空中給油を問題視すべき話でしょう」(同) 実は青山氏、かねてからオスプレイの空中給油を危惧していた人物だ。同機の導入に際し、飛行に反対せずとも空中給油については「危険が大きい」と警鐘を鳴らしていたのだ。 「空中給油は飛んでいる機体を別の機体とホースで結んでジェット燃料を供給する方法で、戦闘機などが給油する際、タンカーとも呼ばれる空中給油機と給油口をドッキングさせますが、オスプレイの空中給油の訓練となると、時速400キロの高速で行われ、上下左右に10センチでもズレたら給油は難しく、接近しすぎると空中衝突してどちらも墜落してしまうハイリスクなもの。特にオスプレイは非常に大きなローター(回転翼)が前方にあるので、巻き込む危険性も高いです」(同) 実際、米軍はオスプレイの飛行禁止は解除しても、空中給油訓練は中止したままで、こちらは現時点では解除の見込みも立てていない。原因不明のまま事故が再発して困るのは当の自分たちなのだから、当然といえる。 「この問題で、ちゃんと直視しないといけないのは、空中給油をしているのは米軍だけではないこと。自衛隊も空中給油機を保有していて、オスプレイの導入も決まっているわけです。このままだと自衛隊のオスプレイによる空中給油があってもおかしくないわけですから、どうやって事故を防ぐのかが一番重要なはず。事故の教訓を生かすのが最優先のはずで、これで飛行停止にするのは自動車事故で車を廃止にするようなもの」(同) 確かに事故が起きたから飛行を止めろ、というのでは航空機は成り立たなくなる。やみくもに飛行停止を叫ぶのは、それこそ“思考停止”というわけだ。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)イメージ画像 photo by D. Miller from Flicker.
「日本死ね」選出に批判殺到! 「ユーキャン新語・流行語大賞」って、そもそもどうやって選んでるの?
12月1日に発表された「2016ユーキャン新語・流行語大賞」で、上位に「保育園落ちた日本死ね」が選ばれたことに大きな批判が巻き起こっている。 主催のユーキャンには抗議が殺到、選考委員の漫画家やくみつる氏は、テレビ番組で「過激とか穏当とかは、選ぶときになんの尺度にもならない。そこから議論が巻き起こるのも、広い意味での流行語」と反論したが、人々の間で「日本死ね」が広まっていたとはとても思えないのは確かで、委員にも怒りの矛先が向かっている。 ある新聞記者も「議論を巻き起こしたキーワードまでも流行語とするのなら、ノミネートは今年のビッグニュース一覧と同じになってしまうし、記事で『日本死ね』について書いたものも多くなかった」と選定への違和感を述べていた。 過去、このイベントに携わった広告代理店のプランナーによると「例えば10年前の大賞『品格』は、数学者・藤原正彦さんの著書『国家の品格』(新潮新書)が広まったものだったのに、一部の選考委員がわざわざ『国家の』を外したんです。こういう偏向思想が入り込むのは、今に始まったことじゃない」と証言する。 このプランナーは、2000年の年間大賞「おっはー」を流行させるべく、放送作家と共にプロモーションを仕掛けたことがある人物。それだけに、流行語大賞の意図的な動きもうかがい知る立場だ。 「07年は、朝日新聞の偏向報道を揶揄した『アサヒる』がはやっていたのに、これを打ち消すため、一部のマスコミが必死に安倍晋三首相の批判に置き換えて『アベする』の流行をコラムなどに書いてノミネートに推してました。ただ、流行語大賞は受賞者の出欠もノミネートに影響されるので、当時の厚労大臣だった舛添(要一)さんが出席を決めたことで『消えた年金』が急きょ入ったんです。年金問題(現 民進党)は民主党の長妻昭議員が取り組んだものだったんですけどね(失笑)」(同) こうした話はごく一部で、3年前に「アベノミクス」がノミネートされた際も、同時に「アホノミクス」という言葉も入っており、「安倍首相が来場しないことがわかって、逆ギレ的に差し入れたものだった」とプランナー。昨年も安倍政権批判のノミネートはかなり目立ち、50語中17語が政治ネタで「国民の理解が深まっていない」、「アベ政治を許さない」、「戦争法案」、「自民党、感じ悪いよね」といった言葉が並んだ。中でも世間で「安保法案」と知られるものがわざわざ「戦争法案」と置き換えられた表記は、明らかに主催者側の偏向を感じさせるものだった。 その選考については委員の編集者、清水均氏が「全員集まるのは年1回で、あとは電話やメールで連絡を取っている」としているが、少人数の委員が個々で相談し合って決めてしまう仕組みは、まるで談合。昨年まで選考委員だったジャーナリストの鳥越俊太郎氏も「大賞は受賞者が表彰式に来られる人を選ぶ」と、純粋な流行の度合いで選んでいないことを暴露している。 今年の選考委員は清水氏、やく氏のほか政治学者で大学教授の姜尚中氏、作家の俵万智氏、女優の室井滋氏、CMクリエイターの箭内道彦氏。 「実際、ノミネートは主催者が用意して、委員はそこに私見を述べるだけで激しい議論もないので、楽だと思いますね。7~8年はこれで大金をもらえますから、主催者や選考結果をあえて批判することもないんですよ」(前出プランナー) 年間大賞「神ってる」も、さほど流行した印象がなく、「日本死ね」も行き交う人々の日常会話で耳にしたり口にしたりしたものとは、とても思えない。これなら、イベント名を「流行させたい語大賞」に変えたらスッキリするかもしれないが、いずれにせよ主催者や選考委員への批判はしばらく収まりそうにない。 (文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)2016ユーキャン新語・流行語大賞公式サイトより
天理市メガソーラー入札不正 市議の自殺は「他殺」? 高市早苗総務大臣との関係は……
奈良県天理市のメガソーラー事業をめぐる入札不正疑惑が持たれていた男性市議が8月10日に亡くなった件で、他殺説が浮上している。 長女の自宅浴室で、胸や腹など複数箇所から血を流して倒れているのが見つかり、近くには血のついたカッターナイフが落ちていたということで、警察は自殺の可能性が高いとしているが、関係者からは「殺されたに違いない」といった話が聞かれる。 「10年前ぐらいになるけど、前にこの付近で大阪府議の秘書が不審死したことがあって、そのときもカッターで不自然に切りつけた感じだと聞いた。警察はそれを自殺としたけど、状況的に不自然だった。あれとそっくりなんだよ」 こう話すのは、亡くなった市議とも顔見知りの元市役所職員。亡くなった66歳の天理市議は実名での発表こそないものの、89年初当選のベテラン議員、佐々岡典雅氏と見られ、この元職員も「間違いない」と断言。実際に佐々岡氏の名前を出してほかで取材してみても、否定する関係者はひとりもいなかった。 佐々岡氏が疑われていたのは、3年前に行われた天理市のメガソーラー事業をめぐる入札で、大阪地検から官製談合防止法違反の疑いで捜索されていた。同事業は、もともと市が工業団地用に22億円も使って取得しながら計画が頓挫していたところ、東日本大震災を機に年間4,300万円でメガソーラー用地として貸し出すプランに転化したものだった。 「でも、事業者として応募した2社のうち選ばれた大阪のメガソーラー・ジャパンって会社は、従業員わずか3名でその手の実績ゼロ。かなりうさん臭い業者で、怪しいって、ある声が市議のブログなんかでも書かれていた」と元職員。 そこで暗躍していたと見られるのが、7期目の自民党市議、佐々岡氏だった。地元紙では事前に情報漏えいして業者の受注を後押しした見返りに、選挙資金600万円が謝礼として支払われたとの証言も伝えられていた。 さらにこの事業に関しては、周辺の土地買収や工事名目などで100億円以上の予算が計上されており、佐々岡市議は地上げなどにたくさんの業者を噛ませていたことでトラブルになっていたという。その中で大物政治家や暴力団の関与も浮上、高市早苗総務相や山口組系倉本組の河内敏之組長の名前が関係者証言で飛び出し、一大スキャンダルに発展しそうな状況になっていた。そんな中、昨年10月に渦中の河内組長が拳銃自殺。疑惑の目は佐々岡氏に集中していたようだ。 ただ、渦中の佐々岡氏の“自殺”という推察には、同じ天理市議からも異論が出ている。 「佐々岡さん、自殺するようなタマじゃないですよ。ヤクザとの付き合いだって隠さず言っちゃうぐらい肝のすわった人で、何かあったら『そういう世界でずっとやってきた慣習的なもんやから、しゃあないやろ』って開き直るタイプでした。少し前にテレビの取材が来ていろいろ追及されたときも『なんで俺だけが悪者か』って怒ってましたからね。万一にも死ぬとしたって70歳近い人がカッターで自分を切り刻むなんて、女子高生みたいなことやるわけない。車で突っ込んで交通事故を装うなり、ビルから飛び降りるなり、不審死に思われないようにしますよ。大きな声では言えないけど、もしかして、これ高市さんとか守るために殺されたんじゃないのかね」 実際、佐々岡氏は生前、記者の取材を受け、かたくなに関与を否定。地元紙記者の質問には「メガソーラー? なんのことか知らない」と、事業自体を一切関知しないとすっとぼけていた。その取材テープを聞かせてもらったが、たしかに神経が図太そうな様子だった。 「かつては市長がワイロを受け取って職員採用していたことが発覚したり、代々の市長が土地転がしを指示していたとの疑惑もあるなど、汚職の横行する地域で、その辺を面倒見ているのが天理教にも寄付をしている高市さんってウワサ」と元職員。 佐々岡氏が汚職に絡んでいたとしても、ひとり得をして終わるような小さな話ではなかったことは事業規模を見ればわかる。天理市は高市総務相の地盤であり、先ごろ市の産業振興館がオープンした際も都内から中継で参加。佐々岡氏は生前「高市組」という言葉を使って、高市総務相の“子分”を自慢していたというだけに、その死の背景に自民党の中枢が関係している疑いもあるが、この不審死でそれも解明は難しくなりそうだ。これではなお口止めの「他殺説」がささやかれてもおかしくはない。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)「天理市役所を捜索 市議に現金授受の疑い」(奈良テレビチャンネル/YouTubeより)
都知事選・小池百合子候補に出版界から不安の声「不健全図書の審議が……」
東京都知事選のさなか、サプライズで出馬表明した自民党衆院議員の小池百合子元防衛相を複雑な思いで見つめるのがグラビア誌の編集者で、「できれば女性議員には当選してほしくはない」と言っていた。その理由は「不健全図書」の審議にあるのだという。 「小池さんがどうというのではないんです。女性知事は避けてほしいんですよ。女性の政治家は多くがエロ雑誌、エロ漫画などにうるさいので、規制が強まる恐れがあるんです。世間から猛バッシングを浴びて辞任した(前知事の)舛添(要一)さんですけど、実のところ規制に関してはあまり関心が高くなかったのか、緩めだったんです。いま出版界は右肩下がりの大不況で、エロなしに食っていくことは不可能ですから、それを締められたらもうお手上げ。だから女性知事の誕生だけはしてほしくないです」 この編集者が担当するグラビア誌は、芸能ニュースや都市伝説、サブカルチャーなどの記事も充実しているが、「売りはあくまで女性タレントのグラビアやヌード、AV関係などエロ記事」だという。 ただ、東京都は青少年育成条例に基づき、自主規制団体とともに不健全図書の審議を行っており、ここで「性的感情を著しく刺激する」と判断されると書店の販売エリアなどが狭められるなどの措置があるという。 「ただ、行政当局によるわいせつの規制は、健全と不健全の境界線が曖昧で、感覚的な線引き。なので権力側が厳しくしようと思えば片っ端から不健全図書指定をすることも可能なんです」(同) 書籍の表現規制に関しては3月、大阪・堺市が決めた「有害図書類を青少年に見せない環境づくりに関する協定」に対し、日本雑誌協会と日本書籍出版協会が質問状を送付。堺市はコンビニエンスストアにポルノ雑誌が目につく形で販売されていることを問題視、成人雑誌の陳列棚に目隠しを取り付けるなど呼びかけたが、そもそも成人雑誌の規定が曖昧で、雑誌側が猛反発したわけだ。これと比べれば東京都の制度は毎月、個別タイトルを挙げて指定する形でいくらかわかりやすい部分があるが、いずれにせよその裁量が都知事次第となるわけだ。 「昔からエロ雑誌をやってきたベテラン編集者なんかは表現の自由を守れと規制に立ち向かう姿勢を見せることが多いんですが、今そういう編集者がかなり減ってきていて、ウチの編集部も30代の若い世代ばかり。そうなるとルールと戦うようなことはないので『寛容な都知事になってくれますように』と願うだけなんですよ」と編集者。 グラビア誌などエロ書籍を担当する編集者にとっては、オリンピック関連などの争点よりも気になるのがエロへの締め付け具合。編集者は「都知事選の立候補者の中に『規制緩和する』と言ってくれる人がいたら、我先にと投票するんですけどね」と話していた。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)写真:つのだよしお/アフロ
入所者3人転落死、元ボクサーによる殴打事件も……老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」の闇
老人ホーム暴行事件の被告は、元ボクサーだった。昨年、入所者3人が相次いで転落死した川崎市の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」では、殺人容疑で23歳の元職員、今井隼人被告が殺人罪で起訴されたが、同所で昨年6月、80代女性の入所者を殴った別の事件で暴行罪により起訴された29歳の男は、プロボクシングで13戦の経験を持つ元選手だった。男は4月18日、横浜地裁から懲役8月、執行猶予3年(求刑懲役1年)の判決を受けた。 男は昨年6月、女性の頭を複数回、殴った様子が女性の親族により撮影され、3月の初公判では「認知症の女性とコミュニケーションが取れず、イラ立っていた」と容疑を認めていた。元プロボクサーが認知症の老人を殴ったという衝撃の事件だったが、殺人事件の影に隠れ、その素性が報じられることはなかった。 男がボクシングをやっていたのは、元WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志らが所属する大手、ワタナベジムだった。こちらの世界では戦績は振るわず、2008年のプロデビューから3年が経過した6戦目でやっと初白星。13年の新人王トーナメントに出場も、初戦で優勝者の大保龍斗と当たる不運で敗北。14年11月のKO負けで、2勝8敗3分と大きく負け越したままリングを去った。少し前までYouTubeには現役時代の試合映像が並んでいたが、事件があった後はいつの間にか削除されていた。 「ガンガン前に出ていくアグレッシブなサウスポーで、対戦相手からはやりにくいと声の上がるタイプでしたが、ポイントを取れるスタイルではなかった。それでもリングを降りれば礼儀正しく、私生活で暴力を振るうタイプには見えなかった。働く環境が合っていなかったんでしょうか」とジム関係者。 ボクサー時代はまだ福祉施設では働いておらず、東京・大田区のスポーツクラブ「INSPA洗足池」でインストラクターを務めていた。同所で一緒に汗を流したプロレスラーのセッド・ジニアスによると「ボクシングでなかなか勝てないことを悩んでいたけど、ボクシングを辞めた後は一時的に設備工のような仕事をしていたりして、そのうちに人生をどうしていくかで悩んでいる様子だった」という。 その後に就いた福祉施設では老人から感謝の手紙をもらうほど人気者だったことがわかっているが、様子がおかしくなったのは問題の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」に勤務してからだ。 「その時期、街でばったり出くわしても目も合わせなかったりして変だった」とジニアス。ストレスがたまっていたのは、もしかするとその仕事環境のせいだったかもしれない。 同所は介護事業の大手メッセージが運営しているが、系列施設を含めて職員の所内窃盗や暴行が各所で相次いで報告されており、その労働環境に批判が持ち上がっている。介護ジャーナリストによると「同社は大手の中でもダントツに業績を上げてきたんですが、職員の給与が年358万円ほどで、これは400万円を下っていないライバル社に比べて低水準。待遇が悪いと職員が集まらず、慢性的な職員不足になったり、経験不足の職員ばかりになってトラブルが起きやすい」という。 事件の起きた「Sアミーユ川崎幸町」は月額22万円の低価格サービスを売りにしており、そのしわ寄せが職員にいっていたとするなら、最近問題視される介護職の問題も関わってくる話だ。 親族によると、男は現在、実家の山形県に戻って反省の言葉を口にしながら、別の職業に就くための勉強をしており、その様子は真面目だという。入所者を殴った罪を擁護できるものではないが、「暴行罪で有罪」というだけでは計れない何かが背景にありそうな気がするのだが……。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)Sアミーユ「川崎幸町」サイトより
高額クラブ出現で激化するスポーツクラブ生き残り戦線「老人が歩けなくなる……」
「このままでは歩けなくなって、寝たきりになってしまう」 脚力維持のリハビリをしていた80代の男性は、悲痛な面持ちでこう語った。 東京都大田区の閑静な住宅街にあるフィットネスクラブ「インスパ洗足池」が先ごろ「賃貸借契約期間の満了」を理由に、6月末での閉店を発表。同所は2009年からの営業だったが、それ以前もスポーツクラブではあった。 もとは1980年代に流行したラケットボールやエアロビクスのスタジオだったが、ブームが去った2002年からは女優の釈由美子がイメージキャラクターを務めた「ワウディー」に代わった。 しかし、運営会社ワークアウトワールド・ジャパンは、08年に約32億円の負債を抱えて破産。クラブは別会社が引き継いだが、これまた倒産。現在は株式会社ロックスが運営。10年以上も長く通ってきた前出の男性会員は「運営会社の変更は会員に詳しく告知されないので、自分が支払っている会費がどこへいっているか、よくわからなかった」と話している。 今回の閉鎖はクラブ運営の問題ではなく、老朽化したビル側が建物を解体して新築マンションを建設するということだが、移転するほどの体力はなかったようだ。 問題は、運営はコロコロと変わっても変わらずにクラブに通い続けてきた常連たち。会員は60代以降の高齢者となっている者が多く、中には90代もいる。同クラブで体を動かすことが日常生活のサイクルになっていたため、閉店による運動不足には不安が大きいと話す。 「顔見知りの会員はみんな言ってますよ。足腰が弱って歩けなくなり、寝たきりになっちゃうんじゃないかって。近くに手ごろなクラブはないので、どうしたものか。このクラブは定年退職した我々高齢者の社交場としての機能もあったんですよ。運動だけでなく、地域の情報を共有したり、孤独な老人を減らす効果もあったんですけどね。仲間との会話があれば認知症にもなりにくかったんじゃないかと思ってましたし」(同) 住宅街にポツンとそびえ建つフィットネスクラブは、ちょうど丘の谷間にあって、他のクラブに行くためには大きな坂を越えなければならず、高齢者が自転車や徒歩で行くのは難しいという。 実は似たような問題は全国で起こっている。千葉県でフィットネスクラブを経営する男性によると「ライザップのような高額クラブも話題になって健康ブームとなっていても、純利益は減少しているのがこの業界」というのだ。 「一部の高額クラブが出てきたのには理由があって、近年のクラブは大手各社が一様に値下げする傾向があったんです。入会金無料や数カ月割引といった広告で人集めをしてきましたが、それは巨大な設備投資と維持費、人件費は客が何人でもかかるという固定費の問題があったからです。でも、値下げ競争をすると質が落ちてしまい、まるで牛丼とかハンバーガー業界のような悪循環に陥りました。それで逆に高額クラブが出現しているという次第です。一般のクラブにとっては、高額クラブより質が悪いようなイメージもついてしまい、値下げでは客集めもできなくなってしまった。先行きが暗いので、閉鎖する店舗も少なくありません」 あるクラブ関係者は「医師や看護師が常駐するデイケア風クラブとか、ゲートボールコート併設などの高齢化社会に向けたクラブが必要になってくるかも」と言っているが、それ以前に運営会社の経営が明るくなければ実現は難しいだろう。行き場のなくなった高齢者が増えれば、介護保険財政も苦しくなると思われるのだが。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)インスパ洗足池公式サイトより








