
新進気鋭の脱力系映像作家・坂本渉太氏。
本日からスタートする、ニコニコ動画公式チャンネル「サイゾーテレビ」。そのなかで、アニメーション『真・野球ドラマー外伝』を担当する坂本渉太は、関西で活躍する脱力系映像作家。チャットモンチーや関西出身のバンド・neco眠る、BOGULTAなどのPVを手掛けている、いま大注目の若手クリエーターだ。坂本渉太とは、一体どんな人物なのか。彼の作品を紹介していきつつ、彼の映像の魅力に迫る!
坂本渉太を知っているか?
関西で人気の盆踊り系ダブバンドneco眠るの「ENGAWA DE DANCEHALL」や、同じく関西のハードコアエレクトロバンドBOGULTAの「メッ政治」といった、オモロー系バンドのPVを手がけ、その映像から繰り出される超脱力ビームで、観る者の戦闘能力を限りなくゼロにしてしまう気鋭の映像作家である。
どんな感じに力が奪われてしまうのかは、映像を観ていただくしかないのだが、とにかく、どんなに苦しい気持ちで悩んでいたとしても、そんなことど~でもよくなってしまうのだ。
──まずは、映像を作り始めたきっかけを教えてください。映像よりは音楽の方が先だったんですよね?
坂本渉太(以下、坂本) そうです。ずっと自分で音楽を作っていて、中学くらいの時は便所の音を録音して「作曲や!」と、学校で友達に聞かせたりしていました。高校ではバンドでドラムを担当していて、大学の時は一人でパソコンで曲を作ってましたね。アニメーションも特に勉強してなくて、全部独学なんです。
──映像の動きにすごく躍動感があるのは、ドラムをやっていたからなんでしょうか?
坂本 たぶん、そうでしょうね。アニメーションをやろうと思っていても、ストーリーがあんまり思いつかなくって。だから音をひたすら聞いて、それに合わせて動きや面白いシーンを考える。絵コンテや下絵とかは一切描かないで、ペンタブで直接パソコンに描いていきます。ひたすら曲を聞きまくって、字コンテというかプロットを起こしていくんです。メロディの構成に合わせた動きとか話とか。
──すごいですね。では、作品別に話を聞いていきたいんですが、neco眠るの「
ENGAWA DE DANCEHALL」は、どういう設定から入っていったんですか?
坂本 これは、泣いた赤鬼と『まんが日本昔ばなし』と『座頭市』がモチーフなんですけど、 農民や飛脚ばっかりが出てくる感じにしたかった(笑)。全員バカな顔して、楽しいぜ、みたいな。あとneco眠るはメロディが(パートごとに)かっちり分かれているので、シーンごとに分けてストーリーを作っていきました。全体的には、neco眠るのライブの爆発的な楽しさを表現したんですけど、隠れテーマが「世界平和」なんです。鬼っていう異種が出てくるでしょ? そいつと仲良くなるっていうのがテーマで、この映像を作ってる時は本気で「世界よ、平和になれ」と祈りながら作りました(笑)。それと、自分の中での強烈なまでのバカな気持ちを大事にしました。みんなのアホ面とか餅が光るとかね。
──鳩も出てくるし、鯛も出てくるし、そして最後はみんなで踊って大団円ですもんね、確かにみんな平和に満ちています(笑)。ではBOGULTAの「
メッ政治」はメンバーからは何かリクエストがあったんですか?
坂本 BOGULTAの時はメンバーから「暴走族っぽく」っていうリクエストがあったんですが、何回曲を聞いてみても暴走族っぽく聞こえなくて、ああいう映像になりました。これも完成するまでメンバーには見せなかったんですが、後でメンバーに「泣いた!」って言われましたよ。でも、途中から暴走族でもなんでもなくなってますよね。

「カジカジ」連載中の4コマ漫画
『新・もちおフレンド』より
──この登場するキャラクターの面白い動きは、坂本さんの好みなんですか?
坂本 実は、技術的な問題なんですよ。アフターエフェクトを使ってるんですが、自分のレベルだとああいう動きしか出せないんです。アニメーションみたいな滑らかな動きにめっちゃ憧れてるんですけど、技術的に無理!(笑)まあ、でも美大生とか絵が上手い人やったら死ぬほどいるんで、それだったら下手なまんまでもオモロイ方がいいやって思って。あと全然関係ないんですけど、ロックなヤツらって人前でめっちゃ情熱的な感じでやるじゃないですか。そして女の子にモテるじゃないですか! それで、ちきしょ~って、俺だって作ってる時はめっちゃ情熱的に作ってるっつーの! めっちゃ感情爆発させてるっつーの! って思いながら作ってるんですけど。
──これからどんな作品を作っていきたいですか?
坂本 映像じゃなくても何でもいいんです。漫才でもラップでもパペットアニメでも(笑)。とにかく人を笑わせるものを作りたい。あとは、3歳児が見ても分かるようなものを作りたいっていう気持ちがあります。現代アートって、見てもよく分からない部分があるじゃないですか。サブカルもあんまり好きじゃない。だから、誰が見てもわかるドメジャーなものが好き。そういう意味では、NHKの『みんなのうた』の映像は一度やってみたいですね。
──一緒に仕事してみたい人はいますか?
坂本 仲里依紗さんがいいですね。彼女の仕事がきたら何でもやります! ギャルっぽい感じが好きなんですよ。俺もギャルがめっちゃ好きで、でもギャル好きっていうよりは、ギャルが持ってるものとかがカッコいいって思って。仲里依紗もそのノリ。彼女ってセレブ好きでしょ? そういうところがいい。だから、Chim↑Pomのエリィさんとかも好きなんです。でも、面白かったら本当にどんな人でもいいです。だから、最初の仕事でneco眠るやBOGULTAという、日本のミュージシャンの中でもトップクラスに面白いバンドのPVをつくれてよかったです。
──ニコニコ動画のアニメーションは、どのようなものになるんですか?
坂本 ニコニコでは、『真・野球ドラマー外伝』という、応援団長とヤンキーと秀才の3人が登場する青春アニメをやろうと思っています。30秒~1分くらいのOP曲があって、本編があって、ED曲という構成でアニメ番組っぽくまとめられたらと考えてます。
(取材・文=上條桂子)
そんな坂本さんのアニメーション『真・野球ドラマー外伝』は月2回放送予定! 今回は、そのオープニングを少しだけお見せいたします。
●さかもと・しょうた
1981年奈良県生まれ。大学在学中から映像作品を作り始める。09年11月に初の作品集DVD『THE DVD』(de-flagment)をリリース。SPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDS 2010 ALTERNATIVE部門ノミネート(neco眠る「ENGAWA DE DANCEHALL」)、ロサンゼルス映画祭2010 music video部門正式招待(neco眠る「ENGAWA DE DANCEHALL」、BOGULTA「メッ政治」、AUDIO FOOD「dumdumdum」)。現在、関西のファッションン情報誌「カジカジ」に4コマ漫画を連載中。また、オンラインオンデマンドTシャツショップ「
TEE Party」に参加。ブログ <
http://www.shotasakamoto.com/>
THE DVD
笑い死にます。

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