「マスコミには清武の味方になる理由がないだけ! 巨人の裏金は他球団が悪い」エモやんが語る球界と巨人

【プレミアサイゾーより】
1209_emoyan.jpg
(写真/丸山剛史)
──元選手であり、著作やスポーツ紙などで持論を展開してきた”エモやん”こと、プロ野球解説者の江本孟紀氏。彼は、巨人にまつわる一連の事件や現状をどのように見ているのだろうか。  清武(英利)さんの乱は、ただの内輪もめだよね。GM(ゼネラル・マネージャー)を清武さんにやらせてしまったのがそもそも問題だったんですよ。彼は読売新聞の社会部で部長をやっていて、大きな事件を追いかけたりしていたかもしれないけど、野球に関しては素人。それを育成制度が評価されて勘違いして、チームの編成や人事にまで首を突っ込むようになった。現場からしてみたら、「野球素人に何がわかるんだ」っていう気持ちが強いですよ。補強にしたって、使えない外国人選手を取ってきては、現場に押し付けて。原(辰徳)監督も大分不満がたまっていたはず。ほんとは熱血漢だったのかもしれないけど、結果球界と自分のイメージを悪くしただけでしたね。  そもそも、アメリカのメジャーリーグ(MLB)のように、GM制度を取り入れたいんだったら、まずは複数オーナー制にするなど、組織の作り方からMLBに倣うべきなんですよ。日本の場合は親会社が100%出資している球団に、上から出向してきた形だけのGMでしょう。結局親会社やオーナーの発言力が強くなるから、上辺だけの制度を取り入れたって上手くいくはずがない。清武さんがGMに就任した時に、僕は「清武さんは読売を退社して、GMとして巨人と契約するべきだ」って主張したんだけど、結局出向の形でGMになって、結果、こうなっちゃった。当時、偶然清武さんと飛行機で隣の席になったことがあって、乗っている間中、MLBのシステムに関してレクチャーもしたんだけどね。その時は感心してたのになぁ……。こんないざこざが起きた場合、MLBだったらコミッショナー【編註:各チーム、各団体の上に立ってその統制をとる最高権威者のこと】が最大の権限を持っているから、巨人に厳重注意したり、処分したりできるんだけど、日本の場合コミッショナーはただのお飾り。結局、巨人を筆頭に、12球団のオーナーの権限ですべてが決まってしまうんです。  この一連の件に関して、一部では「球界関係者は巨人が怖くて、ナベツネ(渡邉恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆)のことをバッシングできないんだよ」って言う人もいるけど、この件では巨人に敵対するというよりも、清武さんの味方になる理由がないんだよね。ナベツネさんにも悪いところがあるのはわかってるけど、我々だって現場のことがわかっていない素人に対しての意地がある。日本シリーズ直前に会見を開くあたり、その感覚がズレているでしょう。本当に野球を愛している人間なら、大事な試合の前にあんな騒動を起こしたりしませんよ。  それに巨人って、本来は批判に対して懐が深いんですよ。僕もスポーツ紙なんかにいつもボロクソ書いていますけど、文句言われたことなんか一度もない。だから、巨人を恐れて批判しないっていうムードはないよね。そうそう、ナベツネさんって、あれだけ巨人のことをボロクソに書いている「夕刊フジ」のことも、意外と好きだったりするんですよ。ある記事を気に入って、その記者を読売新聞本社に呼んだりしたこともあるらしくて。ところが「夕刊フジ」は、当時清武さんから出入り禁止を食らっていてさ。それを聞いたナベツネさんの鶴の一声で、出禁が解除になった。でもその記者は、「出禁のほうが遠慮なくボロクソにできたんだけどねぇ。かえってやりづらくなったよ」なんてボヤいてましたけど(笑)。 ■「どこも買えないんだろ?」契約金問題の本当の事情  今回の件に関しては、”飼い犬に手を噛まれた”ナベツネさんを見てるのも面白いし、ナベツネさんも自分の発言がメディアに取り上げられて騒ぎになっているのを楽しんでいるところもあるでしょう(笑)。あの人はエンターテイナーだから。とはいえ、ナベツネさんも86歳。さすがにもう長くないし、巨人はナベツネさんが死んでからが問題だよ。あの人がいなくなっちゃうと、各球団が好き勝手言い始めると思う。だから、それまでにMLBのようなコミッショナーを頂点とした球界システムを整えておく必要がある。その場合もやはり、巨人が先頭に立って旗を振らないといけないと思うよ。  巨人は金満球団で、なんでも金にモノを言わせているという印象が強いけど、もともと10億円とも言われた阿部(慎之助)や高橋(由伸)の契約金や裏金疑惑に関しても、巨人だけを責められる話じゃない。そもそも、他球団が有望選手を巨人に取られないように裏金を渡し始めたんだから。FA(フリー・エージェント)制度で強引な補強をしていると言われている件も、他球団が年棒の高いFA選手を雇えないから巨人が手を挙げているだけ。「どうせどこも買えないんだろ?ウチは金あるから買うけど」みたいな(笑)。まだまだ、懐にも体力的にも巨人には余裕がある。やはり、巨人が率先して改革しないとプロ野球は変わらないですよ。ソフトバンクの孫(正義)さんや、楽天の三木谷(浩史)さんのような、新時代の経営者とか呼ばれてる人たちが参入してきて、大きく変えてくれるかなと思いきや、結局彼らだって、旧態依然としたシステムの中でしかやれていないでしょう? それがいい証拠です。  僕の年代だと、心の隅に”巨人願望”ってあるのよ。四国の田舎(高知)出身だから巨人しか知らなかったし、長嶋(茂雄)さんに憧れたりもした。僕が現役だった時代だって、毎日テレビ放送があって、後楽園球場に観客が5万人も入っていて、巨人はとても人気があった。世の中全体に「巨人に勝たせなきゃいけない!」っていう空気すらできてたからね。巨人と対戦してると、7回くらいから急にストライクゾーンが厳しくなったりして(笑)。審判が意識的にやっていたのかどうかはわからないけど、それだけ、巨人中心に野球界が回ってたんだよ。でも、僕は阪神タイガースに入って、巨人が”親の敵”みたいになっちゃった。だから、巨人愛は持っていないけど、球界を変革してくれることには、これからも期待してますよ。 (文/高橋ダイスケ) 江本孟紀(えもと・たけのり) 1947年、高知県生まれ。現役時代は南海ホークスや阪神タイガースで投手として活躍し、引退後は、野球解説者、政治家として活躍。エモやんの愛称で親しまれ、南海時代から、その歯に衣着せぬ物言いで人気を集めた。近著に『野村克也解体新書』(無双舎)、 『「アホ」がプロ野球を滅ぼす』(KKロングセラーズ)ほか。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人タブーを暴く記事が満載!】『Gファイル』執筆者のジャーナリスト・武田賴政が指摘! 「球界が角界のように腐敗するかの分水嶺」スポーツライター永谷脩が苦言「ついに表面化した巨人軍の”カネ”と”驕り”」「週刊ベースボール」編集長・小林光男が語るファン心理 盟主だからこそ表に出た醜聞の意義とは?
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

清武の乱、契約金超過問題、トドメに原の1億円……紳士なんかじゃない! 巨人軍スキャンダル史

【プレミアサイゾーより】
1209_2toku01.jpg
『私の愛した巨人』(ワック)
 “球界の紳士””球界の盟主”と呼ばれてきた読売巨人軍が、「週刊文春」6月28日号の報道に端を発するスキャンダルに、揺れている。かねてより同球団に対しては球界の内外から毀誉褒貶相半ばしてきたが、今回の事件や”清武の乱”といった騒動が相次ぐなど、一体巨人軍はどうしてしまったのか? 球界関係者や昔からのファン、あるいは球団を取材してきた人物たちは、今の巨人軍をどう捉えているのか。それぞれの立場からの視線によって、現在の”巨人像”を浮かび上がらせてみよう――。 「巨人軍は常に紳士たれ」「巨人軍は常に強くあれ」「巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」――これは、読売巨人軍の創設者たる読売新聞社主・正力松太郎が遺した「巨人軍憲章」だ。日米野球興行出場チーム「大日本東京野球倶楽部」(1934年発足)から、「東京巨人軍」と改称された36年に正力が示したこの訓示は、とっくの昔に消え去った昭和の夢といっていいだろう。  巨人が「紳士ではない」ということは、球団発足から今日に至るまでのさまざまなスキャンダルがそれを証明している。プロ野球史上最も有名な、巨人が引き起こした醜聞といえば、78年の「空白の一日」事件【註1】だろう。前年のドラフト会議にてクラウンライターライオンズ(当時)の指名を拒否し、アメリカに留学中だった江川卓と、野球協約の穴を突く形で電撃契約。ほか11球団のみならず、世間からの大非難を浴びた。その後も、85年のKKコンビドラフト事件【註2】、90年の桑田真澄野球賭博疑惑【註3】、97年の高橋由伸入団にまつわる裏金疑惑【註4】、99年の篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件【註5】、04年の一場靖弘”栄養費”事件【註6】……と、”順調に”スキャンダルを積み重ねてきた。  そして11年から今年にかけて、またしても球界を揺るがすようなトラブルが、巨人を震源として立て続けに巻き起こっている。11年日本シリーズ(福岡ソフトバンクホークス対中日ドラゴンズ)開始の前日であった11月11日、清武英利球団代表(当時)が、「読売巨人軍のコンプライアンス上の重大な件」を告発する記者会見を開催した。内容は、来季の巨人のヘッドコーチ人事について、渡邉恒雄球団会長が不当に介入し、同氏の”鶴の一声”によって人事がめちゃくちゃにされている。渡邉氏による巨人軍・プロ野球の私物化を許すことはできない――というもの。オリンパス事件が世を騒がせていた折、「コンプライアンス上の」と言うから「すわ、野球賭博の告発か」などと色めき立った野球ファン・マスコミは、いささか肩透かしを食らった格好になった。のちに「清武の乱」と呼ばれることになるこの告発については、当事者たる清武氏の言葉も参照してほしいが、巨人を見舞ったスキャンダルはこの後も容赦なく続いている。 ■「清武さんへ」と題された異例の呼びかけの行方は?  さらに今年3月15日、朝日新聞朝刊の一面を、「巨人、6選手に契約金36億円 球界申し合わせ超過」という見出しが飾った。97年~04年度に入団した、阿部慎之助選手・野間口貴彦選手・高橋由伸選手・上原浩治選手・二岡智宏選手・内海哲也選手の6人に対し、球界で申し合わせた新人契約金の最高標準額(1億円+出来高払い5000万円)を超える契約を結んでいたことをすっぱ抜くスクープだった。確かに”申し合わせ”は厳密なルールではないし、違法行為でもない。かつて横浜ベイスターズ(現DeNA)や西武ライオンズにおいても、契約金の超過が発覚したことはある。しかし、前出の一場靖弘にまつわる”前科”もあり、また何よりこの「36億円」という額のあまりの大きさが、かねてより批判されてきた”金にものを言わせて選手を引っ張ってくる”という巨人のやり方をさらに強調し、世間の反発を呼び起こした。  そして6月21日、「週刊文春」(文藝春秋)が、原辰徳監督の不倫スキャンダルをスクープ。現役巨人選手だった88年、関西遠征に際して球団で宿泊していたホテル従業員の女性と不倫関係に陥り、06年にその女性の日記を持っているという男性2人から1億円を要求され、原監督がこれに応じたとする内容だった。日記には原以外にも、2人の巨人コーチ(88年当時は同球団選手)の名前が記されていたとされる。この報道が世に出るとすぐ原は「清武さんへ」と題する談話を発表。「巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いでいます。たくさんの暴露が行われ、巨人軍関係者を混乱させ、選手、OBを苦しませています。(略)こんなことがなぜ続くのか。清武さんのほかに、いったいだれがいるのか」と、本件の情報元が清武氏であると名指しで非難した(清武氏はこうした巨人側の発言を名誉毀損とし、7月25日に提訴)。原を脅した男性2人は暴力団関係者とされ、うちひとりは現役選手の父と報じられている。さらには、この男性2人と原を仲介したのが、巨人出身である現横浜DeNAベイスターズ監督・中畑清であったという報道も飛び出し、暴力団排除の機運が上がり続ける世の中において、巨人のずさんな体質が露呈した格好となった。  巨人は確かに発足の当初から球界における別格であり、数々の伝説やスーパースターたちが彩る華やかな歴史があり、それゆえに異形の存在でもある。以降の本特集では、元プロ野球選手や読売新聞関係者、巨人を取材してきたジャーナリスト、そして熱烈なファンら、識者たちの目を通して、現在の巨人軍の姿を見ていきたい。そこに浮かび上がるのは、崩落寸前の”盟主”の看板か、かつての輝きが垣間見える栄光の残滓なのか――。 (文/松井哲朗) ■巨人裏面史 【註1】「空白の1日」事件(78年) 77年のドラフトでクラウンライターライオンズから1位指名された江川卓。指名を蹴って1年浪人するが、同球団の入団交渉権が切れた78年11月21日、突然巨人入りを発表。翌日にドラフト会議を控え、”空白の1日”となる同日であれば希望の球団に入団できるという野球協約の穴を突いた契約だった。当然大問題になり、ドラフト会議は大荒れ。結局、江川はいったん阪神に入団し、その後、小林繁とのトレードによって巨人入りを果たした。 【註2】KKコンビドラフト事件(85年) PL学園の同級生だった清原和博と桑田真澄。巨人入りを熱望する清原に対し、桑田は早稲田大学進学を表明。ドラフトの目玉は清原、桑田は回避との予測が立ったが、実際は巨人が桑田を1位指名。清原には巨人以外の6球団から指名が集中した。桑田・巨人間の密約の存在が囁かれた。 【註3】桑田真澄野球賭博疑惑(90年) スポーツメーカーの営業マンだった中牧昭二氏が、告発本『さらば桑田真澄、さらばプロ野球』(リム出版)で、アドバイザリー契約の見返りに桑田から多額の金品を要求されたと暴露。当時桑田が親しかったメンバーズクラブ社長に登板日を伝えていたような描写があったため、野球賭博に関与していたのでは、と疑惑に火がついた。 【註4】高橋由伸入団裏金疑惑(97年) 97年ドラフトの目玉・高橋由伸。スカウト合戦をヤクルトが制し、読売グループ傘下の報知新聞さえ「ヤクルトへの逆指名」と報じていたが、巨人へ逆指名入団。その後、高橋の父が所有する不動産が焦げついて莫大な借金を背負っていたこと、それを巨人サイドが肩代わりしたことが報じられる。 【註5】篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件(99年) 99年10月15日、巨人軍出身でコーチを務めていた篠塚和典が、家宅捜索を受けた。所有者を偽ってナンバーを登録する、「車庫飛ばし」を行っていた容疑で経営者が逮捕された自動車販売会社の役員に名を連ねていたことから、こうした事態が勃発。同社は後藤組のフロント企業とされていたため、篠塚本人と裏社会の交友も取り沙汰された。 【註6】一場靖弘”栄養費”事件(04年) 明治大学野球部4年だった一場靖弘に、巨人が栄養費などと称して総額約200万円を渡していたことが発覚。球団オーナー渡邉恒雄と社長の土井誠、球団代表の三山秀昭らが引責辞任した。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人タブーを暴く記事が満載!】「マスコミには清武の味方になる理由がないだけ! 巨人の裏金は他球団が悪い」エモやんが語る球界と巨人「責任転嫁ばっかりしてると選手に呆れられる」“球界の野良犬”愛甲猛が知る原スキャンダルと野球賭博「巨人の四番に女性問題がないわけがない」ビビる大木が嫌いになれない“1億円を払う”原の天然ぶり
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

清武の乱、契約金超過問題、トドメに原の1億円……紳士なんかじゃない! 巨人軍スキャンダル史

【プレミアサイゾーより】
1209_2toku01.jpg
『私の愛した巨人』(ワック)
 “球界の紳士””球界の盟主”と呼ばれてきた読売巨人軍が、「週刊文春」6月28日号の報道に端を発するスキャンダルに、揺れている。かねてより同球団に対しては球界の内外から毀誉褒貶相半ばしてきたが、今回の事件や”清武の乱”といった騒動が相次ぐなど、一体巨人軍はどうしてしまったのか? 球界関係者や昔からのファン、あるいは球団を取材してきた人物たちは、今の巨人軍をどう捉えているのか。それぞれの立場からの視線によって、現在の”巨人像”を浮かび上がらせてみよう――。 「巨人軍は常に紳士たれ」「巨人軍は常に強くあれ」「巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」――これは、読売巨人軍の創設者たる読売新聞社主・正力松太郎が遺した「巨人軍憲章」だ。日米野球興行出場チーム「大日本東京野球倶楽部」(1934年発足)から、「東京巨人軍」と改称された36年に正力が示したこの訓示は、とっくの昔に消え去った昭和の夢といっていいだろう。  巨人が「紳士ではない」ということは、球団発足から今日に至るまでのさまざまなスキャンダルがそれを証明している。プロ野球史上最も有名な、巨人が引き起こした醜聞といえば、78年の「空白の一日」事件【註1】だろう。前年のドラフト会議にてクラウンライターライオンズ(当時)の指名を拒否し、アメリカに留学中だった江川卓と、野球協約の穴を突く形で電撃契約。ほか11球団のみならず、世間からの大非難を浴びた。その後も、85年のKKコンビドラフト事件【註2】、90年の桑田真澄野球賭博疑惑【註3】、97年の高橋由伸入団にまつわる裏金疑惑【註4】、99年の篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件【註5】、04年の一場靖弘”栄養費”事件【註6】……と、”順調に”スキャンダルを積み重ねてきた。  そして11年から今年にかけて、またしても球界を揺るがすようなトラブルが、巨人を震源として立て続けに巻き起こっている。11年日本シリーズ(福岡ソフトバンクホークス対中日ドラゴンズ)開始の前日であった11月11日、清武英利球団代表(当時)が、「読売巨人軍のコンプライアンス上の重大な件」を告発する記者会見を開催した。内容は、来季の巨人のヘッドコーチ人事について、渡邉恒雄球団会長が不当に介入し、同氏の”鶴の一声”によって人事がめちゃくちゃにされている。渡邉氏による巨人軍・プロ野球の私物化を許すことはできない――というもの。オリンパス事件が世を騒がせていた折、「コンプライアンス上の」と言うから「すわ、野球賭博の告発か」などと色めき立った野球ファン・マスコミは、いささか肩透かしを食らった格好になった。のちに「清武の乱」と呼ばれることになるこの告発については、当事者たる清武氏の言葉も参照してほしいが、巨人を見舞ったスキャンダルはこの後も容赦なく続いている。 ■「清武さんへ」と題された異例の呼びかけの行方は?  さらに今年3月15日、朝日新聞朝刊の一面を、「巨人、6選手に契約金36億円 球界申し合わせ超過」という見出しが飾った。97年~04年度に入団した、阿部慎之助選手・野間口貴彦選手・高橋由伸選手・上原浩治選手・二岡智宏選手・内海哲也選手の6人に対し、球界で申し合わせた新人契約金の最高標準額(1億円+出来高払い5000万円)を超える契約を結んでいたことをすっぱ抜くスクープだった。確かに”申し合わせ”は厳密なルールではないし、違法行為でもない。かつて横浜ベイスターズ(現DeNA)や西武ライオンズにおいても、契約金の超過が発覚したことはある。しかし、前出の一場靖弘にまつわる”前科”もあり、また何よりこの「36億円」という額のあまりの大きさが、かねてより批判されてきた”金にものを言わせて選手を引っ張ってくる”という巨人のやり方をさらに強調し、世間の反発を呼び起こした。  そして6月21日、「週刊文春」(文藝春秋)が、原辰徳監督の不倫スキャンダルをスクープ。現役巨人選手だった88年、関西遠征に際して球団で宿泊していたホテル従業員の女性と不倫関係に陥り、06年にその女性の日記を持っているという男性2人から1億円を要求され、原監督がこれに応じたとする内容だった。日記には原以外にも、2人の巨人コーチ(88年当時は同球団選手)の名前が記されていたとされる。この報道が世に出るとすぐ原は「清武さんへ」と題する談話を発表。「巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いでいます。たくさんの暴露が行われ、巨人軍関係者を混乱させ、選手、OBを苦しませています。(略)こんなことがなぜ続くのか。清武さんのほかに、いったいだれがいるのか」と、本件の情報元が清武氏であると名指しで非難した(清武氏はこうした巨人側の発言を名誉毀損とし、7月25日に提訴)。原を脅した男性2人は暴力団関係者とされ、うちひとりは現役選手の父と報じられている。さらには、この男性2人と原を仲介したのが、巨人出身である現横浜DeNAベイスターズ監督・中畑清であったという報道も飛び出し、暴力団排除の機運が上がり続ける世の中において、巨人のずさんな体質が露呈した格好となった。  巨人は確かに発足の当初から球界における別格であり、数々の伝説やスーパースターたちが彩る華やかな歴史があり、それゆえに異形の存在でもある。以降の本特集では、元プロ野球選手や読売新聞関係者、巨人を取材してきたジャーナリスト、そして熱烈なファンら、識者たちの目を通して、現在の巨人軍の姿を見ていきたい。そこに浮かび上がるのは、崩落寸前の”盟主”の看板か、かつての輝きが垣間見える栄光の残滓なのか――。 (文/松井哲朗) ■巨人裏面史 【註1】「空白の1日」事件(78年) 77年のドラフトでクラウンライターライオンズから1位指名された江川卓。指名を蹴って1年浪人するが、同球団の入団交渉権が切れた78年11月21日、突然巨人入りを発表。翌日にドラフト会議を控え、”空白の1日”となる同日であれば希望の球団に入団できるという野球協約の穴を突いた契約だった。当然大問題になり、ドラフト会議は大荒れ。結局、江川はいったん阪神に入団し、その後、小林繁とのトレードによって巨人入りを果たした。 【註2】KKコンビドラフト事件(85年) PL学園の同級生だった清原和博と桑田真澄。巨人入りを熱望する清原に対し、桑田は早稲田大学進学を表明。ドラフトの目玉は清原、桑田は回避との予測が立ったが、実際は巨人が桑田を1位指名。清原には巨人以外の6球団から指名が集中した。桑田・巨人間の密約の存在が囁かれた。 【註3】桑田真澄野球賭博疑惑(90年) スポーツメーカーの営業マンだった中牧昭二氏が、告発本『さらば桑田真澄、さらばプロ野球』(リム出版)で、アドバイザリー契約の見返りに桑田から多額の金品を要求されたと暴露。当時桑田が親しかったメンバーズクラブ社長に登板日を伝えていたような描写があったため、野球賭博に関与していたのでは、と疑惑に火がついた。 【註4】高橋由伸入団裏金疑惑(97年) 97年ドラフトの目玉・高橋由伸。スカウト合戦をヤクルトが制し、読売グループ傘下の報知新聞さえ「ヤクルトへの逆指名」と報じていたが、巨人へ逆指名入団。その後、高橋の父が所有する不動産が焦げついて莫大な借金を背負っていたこと、それを巨人サイドが肩代わりしたことが報じられる。 【註5】篠塚和典コーチ車庫飛ばし事件(99年) 99年10月15日、巨人軍出身でコーチを務めていた篠塚和典が、家宅捜索を受けた。所有者を偽ってナンバーを登録する、「車庫飛ばし」を行っていた容疑で経営者が逮捕された自動車販売会社の役員に名を連ねていたことから、こうした事態が勃発。同社は後藤組のフロント企業とされていたため、篠塚本人と裏社会の交友も取り沙汰された。 【註6】一場靖弘”栄養費”事件(04年) 明治大学野球部4年だった一場靖弘に、巨人が栄養費などと称して総額約200万円を渡していたことが発覚。球団オーナー渡邉恒雄と社長の土井誠、球団代表の三山秀昭らが引責辞任した。 【「サイゾーpremium」では他にも巨人タブーを暴く記事が満載!】「マスコミには清武の味方になる理由がないだけ! 巨人の裏金は他球団が悪い」エモやんが語る球界と巨人「責任転嫁ばっかりしてると選手に呆れられる」“球界の野良犬”愛甲猛が知る原スキャンダルと野球賭博「巨人の四番に女性問題がないわけがない」ビビる大木が嫌いになれない“1億円を払う”原の天然ぶり
1lineimg.jpg
「サイゾーpremium」とは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円読み放題! (バックナンバー含む)

『グラゼニ』森高夕次×『砂の栄冠』三田紀房──「『ドカベン』は描かなかった 球界とカネ事情」


【プレミアサイゾーより】 ──プロ野球界で年俸事情を軸に据え、選手たちが右往左往するさまを描く『グラゼニ』と、1000万円を預かった公立校のエースが、その金を元手に甲子園を目指す異色の高校野球マンガ『砂の栄冠』。マンガ史に燦然と輝く野球マンガの名作は数あれど、「野球と金」をテーマに据えた作品はこの2作が初であろう。両作の作者、森高夕次と三田紀房が、裏金や栄養費問題など、金をめぐるタブーの存在が囁かれる野球界への思いを語る!

1112_yakyutaidan_n.jpg
(写真/田中まこと)
三田(以下、)『グラゼニ』は「週刊モーニング」の連載で毎週追って読んでるんですけど、今日は「どうしてくれるんだ」って森高さんに訴えに来たんです。 森高(以下、) え!?  実はプロ野球の裏側を描くストーリーは、僕も狙ってたんです(笑)。ひそかにプロ関係の人に会ったり選手や球団を取材して、「これは面白い、いける!」って踏んでたんですけど、『グラゼニ』が始まって先を越されて、しかもすごく面白いから、全部おジャンですよ(笑)。  それはすみません(笑)。僕は逆に、『砂の栄冠』のような作品は描けないというか、発想もなかったですね。単行本で一気に読みたくて、これまであえて連載は読まないようにしてたんです。今回いい機会だということで拝読したら、ストーリーもやっぱり三田流に楽しませつつ一気に引き込まれるし、何より巻末のコラムと合わせて「コミックスの商品性」がすごい。あそこまで裏側を書けるってことは、巻末コラムを書かれてる田尻賢誉さん(スポーツジャーナリスト)含めて相当取材なさってますよね?  でも、あのコラムに出てる話って、取材で得た情報のうちの、ほんの10分の1くらいなんですよ。表には出せないエゲツない話が多いから、これでも削りに削って、当たり障りのないレベルに落として書いてるんです。『グラゼニ』は、よく中継ぎピッチャーの話で連載に持っていったな、と感心しますね。中継ぎが主人公って本当に画期的なことで、そんな地味なものは企画段階でまず「連載にならない」と編集部にハネられるはずなんですよ。そこをこじ開けた功績は相当大きいと思います。  実際そこまで深く考えたわけではなくて、『グラゼニ』はぶっちゃけ、ほかの雑誌用に描いて眠っていたネームがあったんです。もともと僕自身のパッションというか、「これが描きたいんだ!」というのが強くあって、それを出しただけというか。  なるほど、個人的な動機が大きかったんですね。僕も高校野球はずっと描きたくて、『クロカン』や『甲子園へ行こう!』【2】の後、『ドラゴン桜』【3】を描いてる時も、春夏必ず甲子園には行ってたんですよ。でも単純に「高校野球を描きたい」と言っても、今時どこの雑誌も、洟も引っかけてくれない。何かしら読者を惹きつけるフックが必要だったから、表向きは爽やかで純粋だと思われている世界の裏側を見せながらストーリーを展開していこうと。  僕は『砂の栄冠』は、主人公チームのサクセス物語だと読んだんですけど、画期的に新しい点は、主人公率いる弱小公立校が「21世紀枠」を狙うところなんですよね。そういう実践的な戦略を立てて、弱小チームが強くなっていくプロセスを一つひとつ見せていく作りが三田マンガの真骨頂というか。  ロールプレイングゲームじゃないですけど、一個一個アイテムを揃えていってキャラクターが強くなっていくと、楽しいじゃないですか。アイテムを揃えてレベルアップした田舎の弱小校が、強豪校を打ち倒すっていう感覚はありますね。  あと、演出に結構な頻度で動物が出てくるとこも三田流だなと。  それは僕のオリジナルというか、単に僕が「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)の出身だからですよ。 『ミナミの帝王』【4】イズムですか(笑)。  やっぱり「ゴラク」で生き抜くためには、『ミナミの帝王』のテイストが必須だから(笑)。  冒頭で主人公がグラウンドの中に1000万円の札束を埋めるシーンも、そう考えれば「ゴラク」テイストかもしれませんね。  最初にその絵が浮かんだところから、あの作品は出発してます。冒頭にそんな象徴的なシーンがあれば、後のストーリーはどうにでも転がっていくものじゃないですか。それに、野球の裏側を知れば知るほど、お金の話はやっぱり絡んできますからね。 ■裏金も監督バックもアリ!? 爽やかじゃない高校野球 ――「グラウンドに札束を埋める」ということでいえば、森高さんの『グラゼニ』のタイトルも「グラウンドにはゼニが埋まってる」という野球界の常套句から来てるんですよね?
1112_moritaka.jpg
森高夕次氏。
 物理的にと概念的にとで違いはあるけど、ある意味、丸かぶりですよね(笑)。でも『グラゼニ』も、別にテーマが「お金」というわけではないんです。プロ野球を球場観戦すると、どうしてもだんだん試合以外のものが見えてくるものなんですよ。特に僕はヤクルトファンなので神宮球場によく行くんですが、あそこなんかブルペンが丸見えなもんだから、ブルペンキャッチャーとかコーチとかのさまざまな人間模様が見てとれて、それをドラマにしたいと思ったのがきっかけです。で、そうした場合に、お給料の話が出てこないわけにはいかないといいますか。  主人公の凡田は年俸1800万円ですが、あのへんは選手に取材されて生の声を反映してるんですか?  いえ、僕は観戦以外の取材はしてないんです。  そうなんですか!? 確かに想像力で描いたほうが真実を突くことはありますが。  まあ、あまりに角が立ちすぎる話題なんで、取材しにくいというのもあります。でも例えば1800万円のピッチャーが1億8000万円のバッターと勝負したら、画面上では普通に対戦してるだけに見えるかもしれないですけど、給料のこと考えたら、何かおかしいじゃないですか。それでも勝負する時は1対1だというドラマを描きたいから、あえて年俸を全面に出してみたんです。そこは『砂の栄冠』の主人公が強化費1000万円をグラウンドに埋めるのと同じで、「ゼニ」とか「年俸」が出てくるとマンガとしての「引き」があるだろうと。  でもあの1000万円って数字は、実はリアルではないんです。マンガのストーリー的にそのくらいが妥当だろうと、あの金額にしたんですけど、高校野球の関係者が読むと「1000万円じゃ何もできないよ」って、みんな口を揃えますね。  やっぱりそうなんですか。 「3カ月くらいでなくなるよ」ってバッサリ。やっぱり遠征が一番金かかるみたいで、一回で300万円は超えちゃうらしいんです。  取材してると、そういう裏側の声ってどんどん聞こえてくるものなんですか?  甲子園のバックネット裏席や記者席は、裏話の宝庫ですよ! もうほんと、書けないことだらけで。 ――04年の一場問題のようなスカウトの裏金問題や、選手の契約金の何割かは出身校の監督の懐に入るという話は、世間的にもよく聞く噂ですが......。  記者なんかと話してると、たまにそういう噂も耳にしたりしますよね。ただ、そういうお金も、世間のイメージみたいに監督が懐に入れて私腹を肥やすっていうんじゃなくて、ほとんどは野球部の強化費で設備投資に使われてるって噂ですけどね。  そうなんですね。  あと、プロ志望届を出したのに、ドラフトに引っかからない選手がいるんですよ。そこで漏れちゃうと、大学や社会人はもう締め切られていて宙ぶらりんになっちゃう場合が多い。そういう浪人確定の生徒に、当面の生活費として、そうした金からいくらか渡したりするって話も聞いたことあります。というのも、中学生をスカウトする時に、監督が「俺の顔で絶対プロに入れますから」って親御さんたちを口説く場合が多いみたいなんです。逆に言えば、それくらいやらないと、名門校の監督は務まらないんじゃないですか。  名門校の監督って、クセの強い人が多くないですか? ある意味、感覚が浮世離れしてるというか。  本当にそう、強豪校の監督ってすごいですよ。何十年もずーっとグラウンドで過ごしてるから「王様」なんです。しかも地元じゃ名士ですからね。横柄な人も少なくないです。『砂の栄冠』でもガーソというイヤな監督が出てくるんですが、まあだいたいあんな感じになる(笑)。  高校野球の監督って、アマチュアイズムと体育会系の権化なんですよね。プロに来る人は草食系もオタクもいるんだけど、アマチュアだと、体育会系的な価値観に染まらないとやっていけない面もあると思う。だから妙に草食系でマスコミ対応なんかにも気を使える監督を見てると、「ひょっとしたら、現場ではうまく指導できてないんじゃないか」って不安になっちゃうんですけど。  そうですね、そういう人は大体地方予選の準決勝ぐらいで負けます。  (笑)  いや、ベスト8ぐらいかな......一生懸命に子どもたちと向き合ってる良い人のほうが勝てない。監督だけじゃなくて高校球児も、プロを目指してる子は『砂の栄冠』の主人公の七嶋のように腹黒いですよ。強豪校の選手なんかだと、一般社会で生きてくことを捨ててますからね。むしろ監督が「勉強なんかしてんじゃねぇ」って指導してる。で、プロに上がると、具体的にお金を稼いでいく『グラゼニ』の世界になる。 ■「本当はお金の問題はあるし皆そこに興味があるはず」
1112_mita.jpg
三田紀房氏。
 プロにとって、やはり年俸は切実な問題ですからね。それに、この時代的に「現役のうちに、できるだけ稼ぎたい」と多分思ってるんだろうなっていう考えが、『グラゼニ』の根っこにはある。  再就職も厳しい時代ですからね。元プロ選手が解説者に転身してはみたものの......という現実も、『グラゼニ』はリアルに描いてますよね。  昭和世代のプロ選手は「辞めても何かで食っていけるんじゃないか」って感じはあったと思うんですよ。社会的にもそうだったと思うし。でも今は普通の人だってなかなか正社員になれない時代に、「野球しかしたことがない俺が、どうやって第二の人生やっていくんだ」っていう不安が大きいと思うんです。 『グラゼニ』の中で、神宮球場の売店に再就職してる元ドラフト1位の選手が出てくるじゃないですか。あれってモデルはいるんですか?  いるような......いないような......。『グラゼニ』の登場人物は誰かを想像できるような、できないような......というバランス感覚で書いているつもりなんで、そこは読者に勝手に想像してもらいたいんです。  でも引退後の身の振り方とか、そのへんはこれまでの野球マンガじゃ全然描かれてきませんでしたよね。日本人は全般的にお金に対してアレルギー体質みたいなところがあるからな。  だから『ドカベン』の中には契約更改は出てこないんですよ。山田たちはとんでもない成績を上げてて、皆10億円ぐらいもらっててもおかしくないけど、決して契約更改は描かれない(笑)。  これまでの野球マンガは、「お金」に触れないようにしてきたと思います。でも僕らは、「そうはいっても、現実にはこういう一面も存在するんだよ」ってことを提示してる。下世話なところもあるけど、そこには皆、実は興味あるんだしね。  それと、的外れかもしれないけどサイゾー的な分析をしてみるなら、社会状況的にそこに切実な関心があるってことなのかもしれない。『グラゼニ』は最初、自営業者に向けて「自営はつらいよね」という意味で描いてる面があったんですよ。でもネットの書き込みとか見てると、むしろサラリーマンの人たちの「共感できる」って声のほうが大きくて。  何かわかる気がするなぁ。  「サラリーマン向けじゃないのになぁ」って自営組の作者としては思ってたんですが(笑)、でも考えてみれば、今は正社員でも首切りにおびえてて、一歩踏み外せば格差社会の下のほうに落っこちちゃうって不安を抱えてる。それがプロ野球選手の抱えてる「今の仕事を辞めちゃったら、次はない」って感覚と通じてるんじゃないかって。  我々が描いている青年誌ってジャンル、実際は読者層がそういう勤労者じゃないですか。だからどこかで読者が作品を自己問題化しないと、支持を得られない面はありますよね。「これは自分の問題だ」と主人公ないし登場人物や物語にシンクロできないと、人気が出ない。『砂の栄冠』がサラリーマンの共感を得たところは、監督のガーソなんです。これは全国の高校野球指導者のイヤな部分を煮詰めたようなダメ監督なんだけど、読者の反応は「ウチの上司そっくりです!」と。意図して描いたわけではないけど、勝手なこと言うわ、敵前逃亡するわ、選手に責任転嫁はするわ、こういう人間ってどこの会社にもいるみたいで(笑)。  ガーソの描き方、中間管理職の生態として、すごいリアルなんだよなぁ。ああいう思考回路の人って、本当に世の中に多いですよね。「当たり障りのないこと言っておけば失敗しないだろう」とか、失敗したくないってところが、すべての思考の元になってるタイプ。  だから『グラゼニ』も同じだと思いますよ。「こんなに毎日中継ぎでがんばって馬車馬のように働いてるのに、たった1800万円か」という主人公の葛藤が、「毎日残業してるのに給料上がらない俺と一緒じゃん」って共感を得てるんだと思う。  そうかもしれないですね。  まあ何にせよ、僕ら世代のマンガ家は野球を描くとなると、水島新司先生が刈りきった、草一本生えてない砂漠をさまよってる状態なんで、あの手この手でやっていかないと。  オアシスを求めていろいろ模索していかなきゃならないから、大変ですよね(笑)。 (構成/鈴木ユーリ) 森高夕次(もりたか・ゆうじ) 1963年生まれ。マンガ家・コージィ城倉氏の、原作者としてのペンネームである。マンガ家として『砂漠の野球部』【6】、『かんとく』【7】、原作者として『おさなづま』【8】などの代表作がある。野球マンガを多く描いており、現在は『おれはキャプテン』【9】を連載中。10月17日に第27巻刊行。

三田紀房(みた・のりふさ) 1958年生まれ。『ドラゴン桜』『エンゼルバンク』等のビジネス・教育系の作風で知られるが、野球等のスポーツマンガも数多く描いている。『砂の栄冠』最新刊6巻は11月4日に刊行。

『砂の栄冠』1~6巻 三田紀房/講談社「週刊ヤングマガジン」/各580円
1112_sunano_n.jpg
埼玉県西部の県立樫野高校野球部は、創立100周年記念の夏に、地区予選決勝までコマを進めるが、逆転負けを喫して甲子園を逃す。その後新キャプテンとなったエース・七嶋は、野球部の練習を見に来ている地元の老人から、「野球部のために」と1000万円を手渡される。額面の大きさにビビりながらも、采配のできない監督(通称ガーソ)や選手を顧みない学校&OB会の様子に、七嶋は「自分ひとりでチームを作ってみせる」と腹をくくり、この金を使いながら21世紀枠で春のセンバツを目指す。 『グラゼニ』1~2巻 森高夕次(原作)、アダチケイジ(作画)/講談社「週刊モーニング」/各580円
1112_gurazeni_n.jpg
プロ野球チーム・神宮スパイダース1軍に所属する投手、凡田夏之介(年俸1800万円)。中継ぎ投手の彼は、「プロは金がすべて」と考える年俸マニアだ。その趣味ゆえに、相対したバッターの年俸を必ず思い出し、自分より下なら調子よく、そうでない選手には萎縮して打たれがち。そんな彼の目から、職業としてのプロ野球選手という立場や、解説者の苦労、球団フロント事情など、試合だけではない球界のドラマを見せる。タイトルは、「グラウンドにはゼニが埋まってる」という夏之介の座右の銘より。 ■プレミアサイゾーとは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、月額525円読み放題! (バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】清原和博独白!! 「ピアスに込めた怒りと巨人の裏切り、そして伊良部の死」一番ダークなスポーツは野球!? 切っても切れないスポーツと闇社会野球、ラグビーは地盤沈下? 大学スポーツ"ハンカチ王子"の知られざる憂鬱

ハンカチ王子・佑ちゃんも"食べられた"!? 野球選手に迫る女子アナたち

fujiajyoshiana.jpg
『フジテレビアナウンサーのおうちごはん』
(扶桑社)
 古くより続く野球選手と女子アナのカップル。最近も巨人のルーキー・澤村拓一と日テレの森麻季アナ、巨人の長野久義とテレ朝の下平さやかアナなど、例を挙げればきりがない。  世間的には「野球選手が取材現場に来た女子アナを口説いて......」と思われがちだが、実際は逆だ。野球担当記者が明かす。 「むしろ、猛烈にアプローチをかけているのは女子アナの方ですよ。スポーツの現場なのに胸元を強調した服で来る勘違いアナも多い。選手も選手で、基本的には野球しかやってこなかったから、そうした誘惑に簡単に引っ掛かっちゃうんですよ」  露骨だったのは一昨年12月、当時西武の"黄金ルーキー"と呼ばれた菊池雄星にインタビューしたフジテレビの平井理央アナだ。ヒザ上3センチの超ミニスカート、胸元ザックリの服装が物議を醸し、同局には抗議電話が殺到したという。  だが、現場の野球記者に言わせれば「平井アナはまだマシな方。本当にヤバイのはNHKのXアナとテレビ東京のYアナ」という。球界関係者が証言する。 「Xは日本人メジャーリーガーとウワサになって番組を降板したお天気キャスターの半井小絵と同じ系統で、世間的には清純派なイメージかもしれないが、業界では"肉食系"で有名。ある球団のスタメンを全員"食べた"と言われるほどで、選手の間でも"兄弟"が増殖している。古典的ですが『お茶でもしませんか?』と言って、自宅に招き入れて、そのまま......というパターンだそうだ」  別の球界関係者はテレ東のYアナについて「一度"ハンカチ王子"こと斎藤佑樹との交際がウワサされ、一部のスポーツ紙が裏取りに走った。実際は"つまみ食い"した程度らしいですがね(笑)。もともとスポーツマンがタイプで、取材現場では常に笑顔を振りまいていますよ。いずれスキャンダルが飛び出すでしょうね」と語る。  これでは野球選手狙いで女子アナになったと思われても仕方がない!?
フジテレビアナウンサーのおうちごはん 狙われたい。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 "ディープキス降板"のテレ朝・下平さやかアナ 次番組が決まらず困惑中 「目指すは教祖!?」フジ退社の高島彩 「かむながらのみち」にまつわる仰天証言 「エレーヌとは大違い!?」控えめなTBS加藤シルビアの好感度が急上昇中?

戦力外でもまだ終わらんよ!『プロ野球「戦力外通告」終わらない挑戦編』

proyakyu2.jpg
『プロ野球「戦力外通告」終わらない
挑戦編』(洋泉社)
 昨年秋のドラフトは豊作に沸いた年だった。"ハンカチ王子"こと斉藤佑樹(日ハム)に加え、澤村拓一(巨人)、大石達也(西武)と大型新人が数多く揃い、どの選手を指名するか、各球団フロントも頭を悩ませたことだろう。育成選手も合わせ、毎年10人以上の有望新人が入団してくる。だがその一方、選手としてのピークを過ぎ、ひっそりと戦力外を通告されるものもいる。  そんな戦力外通告を受けた選手の素顔に迫ったのが、『プロ野球「戦力外通告」終わらない挑戦編』(洋泉社)。美山和也氏、加藤慶氏、田口元義氏ら3人のスポーツライターが、戦力外通告を受けたプロ野球選手に取材した新書で、以前、当サイトで紹介した『プロ野球「戦力外通告」』(同)に続く第2弾となる。今回は、堀幸一(元ロッテ)、入来祐作(元巨人、日ハム、NYメッツ、横浜)、三井浩二(元西武)、大越基(元ダイエー)、的場寛一(元阪神)、三浦貴(元巨人、西武)、戦力外通告を受けた6人の選手の数奇な野球人生が綴られている。各選手の歩んできた道のりや、引退までの経緯、トライアウトに賭ける思いなど、試合中継では見ることの出来ない背景を垣間見ることが出来る良書だ。特に、故・木村拓也(元広島、巨人)に励まされたという選手が多く、故人の人徳の篤さが偲ばれる。  西武の中継ぎ左腕として長年活躍してきた三井浩二は、憧れのメジャーへ挑戦するため、08年オフ、ポスティング申請をする。計2度のポスティングをするも、三井に入札するメジャー球団はなかった。米経済の不況、代理人とのコミュニケーション不足、小林雅、薮田、福盛らの成績不振による日本人選手への低評価、など複数の要因が重なったためである。引き続き西武に留まることになったが、一度出て行こうとした選手に球団は冷たかった。年俸は大幅に減額され、2軍でも登板機会はほとんどなかった。高年俸がネックとなり、09年オフ、戦力外を通告される。 「こちらが『よし、行くぞ』って思っていても『ない』となると、モチベーションが違ってきます。(中略)1回肩を作って、登板なし。2回目作って、なし。もう1回作って、またなし。登板がなくても、そんなふうに体力と精神力を消耗する試合がたくさんありました。その連続ですよね」(本文より)  章を通じて、中継ぎという仕事の苦労と、その仕事が評価されないことへの憤りが語られており、興味深い。  上記6人に共通している点は、引退後も野球に携わっていること。戦力外通告を受け、現役生活を終えても、野球人生は終わりじゃない。社会人野球選手、指導者、解説者、球団関係者と、それぞれの野球人生を歩み続けている。寝ても野球、覚めても野球、辞めても野球のことだけ考えている。そんな愚直とまで言える生き方に、ファンでなくとも強~烈に心揺さぶられるのです。 (文=平野遼) ・美山和也(みやま・かずや) 1967年千葉県生まれ。週刊大衆、週刊女性を経てフリーに。プロ野球、少年野球を含むアマチュア組織の取材をしている。近著は「プロ野球スキャンダル事件史」「スーパースター引退劇の真実」「プロ野球代打物語」(以上、宝島社/共著 ・加藤慶(かとう・けい) 1972年愛知県生まれ。情報誌編集などを経て、編集プロダクション「sutudioKEIF」の代表に。自身はライター兼フォトグラファーで、スポーツ紙や週刊誌に寄稿する。共著多数あり。 ・田口元義(たぐち・げんき) 1977年福島県生まれ。出版社でアシスタント、編集プロダクション勤務を経て03年フリーに。野球を中心にスポーツ総合誌などに寄稿。Number Webにてコラム「野球クロスロード」を連載中。
プロ野球「戦力外通告」終わらない挑戦編 野球バカも悪くない。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 "クビ"からの再起。這い上がる男たちの生き様『プロ野球「戦力外通告」』 「廃墟×鉄道」夢のコラボレーション 両マニア垂涎の一冊『廃線跡の記録』 夢かうつつか フジモトマサルが贈る世にも奇妙なウェブ漫画『夢みごこち』

ボヤキまくりのノムさん、"マーくん"田中将大からも相手にされず……

nomusan.jpg
『負けに不思議の負けなし〈完全版〉 上 』
(朝日新聞出版)
 東北楽天ゴールデンイーグルスの元監督・野村克也氏が白い目で見られている。先日とあるイベントに出席したノムさんは、タレント・里田まいとの交際が発覚した教え子の"マーくん"こと田中将大投手について聞かれ、「もう(田中とは)縁は切ったから」とそっけなく言い放った。  これもノムさん流のボヤきかと思いきや、真相は違う。野球担当記者が明かす。 「ぶっちゃけ、マーくんはノムさんのことを毛嫌いしているんですよ。それまでは監督をやっていたから従っていただけ。ノムさんの監督解任が決まると、マーくんは『もう気を遣う必要はない!』と手の平返し。選手会が企画した野村監督の慰労会をドタキャンしています」  原因はチクチク嫌味を言われることだったようだが、ノムさんにしても慰労会にマーくんが来なかったことに不満を募らせていたという。 「その結果、イベントで『縁切った』発言が飛び出したんです。今後もマーくんへの口撃は続くでしょうね」(同関係者)  監督解任のきっかけも、楽天フロントへの批判だったと噂されるノムさん。今の矛先は現・楽天監督である星野仙一氏だが「星野さんはノムさんを"老害"扱いしていて、相手にする気はしていません。ノムさんは東スポなどの御用新聞を通じて話題を振りまいていますが、影響力はゼロ。遠吠えにしか聞こえませんね」(球界関係者)  名監督と言われたノムさんだが、自身のボヤきが災いし、その影響力も低下しているようだ。
負けに不思議の負けなし〈完全版〉 上 なんだか切なくなる......。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「選手やコーチを折伏!?」"宗教戦争"を制した千葉ロッテ・西村監督を危惧する声 超大物もどっぷり!? 角界を揺るがすプロ野球賭博騒動が芸能界にも波及か "クビ"からの再起。這い上がる男たちの生き様『プロ野球「戦力外通告」』

「食うに困った」"番長"清原和博が次々とバラエティー番組出演 さんまに明かした窮状

kiyoma.jpg
番長と呼ばれた男も、バラエティーの
いい駒に成り下がり?
 2008年にプロ野球を引退し、昨年は、日刊スポーツの専属野球評論家を務めた清原和博。"球界の番長"として名を馳せた彼が、9月17日放送の『今夜初公開!芸能人ウワサの美人妻&イケメン夫 顔が見たいスペシャル』(日本テレビ系)で、初のバラエティー番組司会に挑戦。さらに、10月13日には『さんまのまんま 25周年記念スペシャル』(フジテレビ系)に出演し、18日には、深夜番組『芸人報道』(日本テレビ系)にも登場する。そんな清原が、『さんまのまんまSP』で経済的に窮状に陥っていることを明かした。 「食うに困ってきましてね。現役の時は給料日が毎月25日なんですけど、何千万って給料が入ってくるわけですよね。でも、引退したらゼロですよね。びっくりしますよ。銀行のキャッシュカードでお金下ろすときに『お取り扱いできません』と言われて、『どういうことやねん!!』と言ったら『残高がない』と......」  1986年から08年まで22年間にわたる現役時代、年俸が3億円以上あった時期もある清原だが、それが月ごとに分割されて振り込まれていたことを明かし、現在は銀行の残高が時になくなることもあることまで告白。そんな清原にさんまは、「太った面白いおっさん」「社会不適合者」と容赦ないツッコミを連発した。引退後の清原についてある週刊誌記者は次のように明かした。 「『おう、ワイや!』でおなじみの清原ですが、昨年の『ワールド・ベースボール・クラシック』で、TBSの中継のスペシャルナビゲーターとして解説を担当するも、体調不良で2次ラウンド2試合の一時欠席。清原は現役時代から左ひざにバクダンを抱えており、解説を同じ姿勢で続けるのが難しいためだと言われています。準決勝、決勝には復帰したもの、その後、ラジオ局から来た野球の解説のオファーも蹴っていますね。昨年11月には、背中に激痛が走ったとして入院し、腎臓結石か尿管結石の疑いがあるとされ、『柔道グランドスラム東京2009』(テレビ東京系)のスペシャルコメンテーターを降板しています。今年5月には、映画『ザ・ウォーカー』の"宣伝番長"に就任し、会見で、『野球選手になった以上、将来監督をやってみたい』と監督就任への夢を語っていますが、現時点では難しいでしょうね」  体を酷使し、心体ともに限界を迎えての引退となった清原。年俸数億円を稼ぐスタープレーヤーもいざ現役を終えると、給料がゼロになってしまうというシビアな世界だ。お笑いの世界でもそれは同じで、さんまは「ダウンタウンの松本(人志)も股間痛めて、(ナインティナインの)岡村(隆史)も今、休養して......給料ゼロやからね。俺も声でなくなったら収入ゼロ」と、歩合制の吉本興行(所属はよしもとクリエイティブ・エージェンシー)の現実を明かした。 だが、野球で鍛えた強靭な精神力は、"第2の人生"の大きな推進力となることだろう。清原が次は何の世界で、ホームランを放ってくれるのか注目だ。 (文=ポイズン戸田)
男道 愛人と別れたら節約できるよ! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「堂々と勝負したるわ!」番長・清原和博が六本木で大暴れ! 泥沼金銭トラブル......X JAPANのHIDE肖像権騒動の「黒幕」とは? 武士道精神が聞いて呆れるJJサニー千葉(旧芸名・千葉真一)金銭トラブル連発の裏事情