死刑肯定論や犯罪の正当化も根は同じ!? 道徳的判断を貫く「ふさわしさ」

──国家とは、権力とは、そして暴力とはなんなのか......気鋭の哲学者・萱野稔人が、知的実践の手法を用いて、世の中の出来事を解説する──。 第14回テーマ「近代刑法学の祖から見た死刑と道徳」
1109_kayano.jpg
[今月の副読本]
『犯罪と刑罰』 ベッカリーア著/岩波文庫(59年)/693円 フランス革命から遡ること25年前に上梓され、封建的刑罰制度の中で執行される、死刑と拷問の廃止を訴えた初の書物として名高い。その後、フランス革命を経て、近代刑法の礎を築くきっかけとなった。

 前回は、道徳はどこまで普遍的なものなのか、という問題を取り上げました。そこで考察の対象となったのは「人を殺してはいけない」という道徳と死刑との関係です。2009年の内閣府の世論調査では85.6%の人が死刑制度を容認していたことからわかるように、多くの人は「人を殺してはいけない」と確信しながらも、処罰のためには凶悪犯を殺すのもやむをえないと考えています。つまり、どのような場合であれ(たとえ凶悪犯を処罰するためであれ)人を殺してはいけない、とは考えていないんですね。「人を殺してはいけない」という道徳には例外がある、ということです。 「例外がある」とは、言い換えるなら「どんな場合でも守られるべき普遍的な道徳ではない」ということです。「人を殺してはいけない」という道徳は、あらゆる社会に見いだされ、かつ私たちが考えうる最も究極的な道徳です。にもかかわらずそれが普遍的なものではないということは、道徳そのものが実は普遍的なものではない、ということにもなってきます。果たして、道徳とは普遍的なものなのでしょうか、それとも時と場合によって左右される相対的なものにすぎないのでしょうか。  死刑を多くの人が容認しているという事実から「道徳は普遍的なものではない」と結論付けるのは、実はそれほど難しいことではありません。問題はその先です。道徳は普遍的なものではないということなら、私たちはなぜそれにもかかわらず道徳的な「正しさ」を追究することをやめないのでしょうか。私たちは日常的にさまざまな事柄を「善い・悪い」と道徳的に判断していますが、それは行き当たりばったりの脈絡のないものにすぎないのでしょうか。確かに、多くの人が「人を殺してはいけない」と考える一方で、凶悪犯を前に「奴を殺せ」と考えるのは、一貫していないかもしれません。しかし、そのどちらもが道徳的な判断として出されている以上、両者の一貫性のなさの背後には、それぞれの判断を成り立たせる、より根本的な道徳意識があるはずです。これは、道徳の源泉はどこにあるのかという本質的な問題にかかわっています。これを考えるために、再びカントの道徳論を取り上げましょう。  前回もお話ししたように、カントは、道徳は普遍的でなければならないと考えました。つまり、時と場合によって左右されるようなものであってはならない、と。例えば「悲しむ人がいるから、人を殺してはいけない」という命法は、決して道徳ではありません。なぜなら、この命法に対しては「悲しむ人がいなければ、人を殺してもいいのか」という反論が成り立ってしまうからです。「人を殺してはいけない。なぜなら、自分がされたくないことを人にしてはならないからだ」という命法も同じです。ここからは「自分は殺されてもいいと思う人は、人を殺してもいいのか」という反論が必然的に生まれてしまいます。
「プレミアサイゾー」で続きを読む
■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) プレミアサイゾー初月無料キャンペーン実施中!! (2011年9月30日まで) 詳しくはこちら 【プレミアでは人気連載も読み放題!】 ・【連載】哲学者・萱野稔人の"超"現代哲学講座 ・【連載】神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 ・【連載】荻上チキの新世代リノベーション作戦会議

愛の三日間には何があった!? レイプか愛の逃避行か 世間を騒がす女の半生

雪に隠れた岩山のように、正面からは見えてこない。でも、映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる。超大国の真の姿をお届け。
1109_machiyama.jpg
『タブロイド』 1977年にイギリスで起こった「モルモン教徒男性誘拐手錠レイプ事件」の容疑者であるジョイス・マッキニーのインタビューと、当時の資料映像によって構成されたドキュメンタリー。彼女の劇的な半生を、ドキュメンタリー監督エロール・モリスが追った。 監督/エロール・モリス 出演/ジョイス・マッキニーほか 日本での公開は未定  2008年、韓国のバイオテック企業、RNLバイオ社がクローン犬を作って話題になった。依頼人のバーナン・マッキニーは、凶暴な犬に襲われて瀕死の重傷を負った。その時、ブーガーという彼女の愛犬が、身を挺して彼女を守った。その忠犬ブーガーがガンで余命わずかと宣告されたので、彼女はブーガーのクローンを作ろうとしたのだ。  ブーガーの細胞から、ブーガーと同じ遺伝子の5匹の子犬が生まれた。子犬を抱いて喜ぶマッキニーの写真は世界を揺るがせた。つまり、人間のクローンも技術的に可能な時代になったのだ。これは神の領域を冒したのでは? クローンの人権はどうなる? 法律による規制の必要は?  だが、イギリスでの反応は違った。 「このマッキニーという女性、見覚えがある」  その大きなタレ目と大きな口は忘れられなかった。彼女は77年にイギリスのタブロイド紙の一面を毎週のように飾った「モルモン教徒男性誘拐手錠レイプ事件」の「犯人」、ジョイス・マッキニーだったのだ。  ベトナム戦争を"デッチ上げた"マクナマラ国防長官のインタビューを記録した映画『フォッグ・オブ・ウォー』でアカデミー賞に輝いたドキュメンタリー映画作家エロール・モリスの新作『タブロイド』は、このジョイス・マッキニーという奇妙な女性の生涯を追った作品だ。  77年、イギリスで布教活動をしていた19歳のモルモン教徒カーク・アンダーソンが行方不明になり、4日後に戻ってきた。彼は警察にこう語った。 「私はジョイス・マッキニーという女性に拳銃を突きつけられて誘拐され、田舎のコテージに監禁され、ベッドに手錠で両腕を固定され、3日間にわたりレイプされ続けていた」  彼はモルモン教の教えから、結婚まで童貞を守るつもりだったという。  警察が逮捕したジョイスを見て、イギリス人は驚いた。ジョイスは、ブロンドのキュートでセクシーな女性だった。ミスコンの常連で、ミス・ワイオミングになったこともある。
「プレミアサイゾー」で続きを読む
■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) プレミアサイゾー初月無料キャンペーン実施中!! (2011年9月30日まで) 詳しくはこちら 【プレミアでは人気連載も読み放題!】 ・【連載】町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 ・【連載】CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評 ・【連載】宇野常寛の批評のブルーオーシャン

社長や大物タレントとも付き合っていた!? AVデビューの小向美奈子とは一体何者なのか?

komukai_pre.jpg
『AV女優 小向美奈子』
──気になるあのニュースをただ読む以上に、さらなる知識を知りたいそんなアナタのために、話が100倍(当社比)膨らむ" プレミアム"な記事をサイゾー目線で厳選レビュー! さらにプレミアサイゾーでは秋の感謝祭実施中。9月は「プレミアサイゾー」の全記事が無料で読めちゃいます!  タレントでストリッパーの小向美奈子が、10月14日にアリスJAPANよりAVデビューすることが報道され、話題を集めています。ご存知の通り、グラビアアイドルとして人気を誇りながらも、2009年1月に覚せい剤取締法違反で逮捕された彼女。その後、ストリッパーとして活動を始めるも、今年2月には麻薬特例法違反容疑で逮捕状が出されるなど、世間を騒がせ続けてきました。(前述の容疑は証拠不十分で不起訴に)「サイゾー」では、そんな小向美奈子さんに幾度もお話をうかがってきました。  そこで、今回のレベルアップ案内は「新天地進出記念!? 小向美奈子の軌跡と前途」として、小向さんの昔のインタビューからAV女優の生き様までをまとめてみました。トークのヤバさも犯罪級!? ホリエモンとのエロティック対談から反社会的集団とのつながりも囁かれる裏の面、さらにはAV女優の新書ブームや屋外ヌードの撮影法まで──小向さんの"体"のすべてを知る前に、彼女の"心"のすべてを知ってみてはいかがでしょうか? 【PickUp記事】 小向美奈子"AV女優"として究極の出直し!! 2011年9月9日付(メンズサイゾー) 【プレミアムな関連記事】 [レベル1:小向美奈子とは一体何者なのか?] 小向美奈子が激白! なぜ「セックス」「流産」「ドラッグ」そのすべてを語ったのか? 2009年12月2日付(日刊サイゾー) 小向さん、ストリップにかける思いはどうなったの!? ホリエモン×小向美奈子 「覚せい剤より、ストリップと買収のほうが気持ちイイ!」【前編】 2010年1月号(プレミアサイゾー) 色んな意味で話題の2人による赤裸々対談! 小向さんのぶっちゃけぷりは変わらないですねぇ。 マルサの女──小向美奈子 いつも調教されてるんです。 2010年9月号(プレミアサイゾー) アイドルイメージ、消したいんです。 2010年1月号(プレミアサイゾー) 「サイゾー」の人気グラビア連載。 小向さんは昔はこんなにキレイな体をしてたんです。 [レベル2:小向美奈子の背後にちらつく黒い影] 「グラドル時代からの不倫関係」小向美奈子容疑者の逮捕に怯える大物タレントって? 2011年2月15日付(日刊サイゾー) いっそその人とビデオに出てくれないかなぁ? 小向美奈子とつながるグレーな紳士たちの正体 2009年3月号(プレミアサイゾー) 小向美奈子はスケープゴートにされた!? 小向美奈子と海老蔵事件と暴対法改正を結ぶ"点と線" 2011年4月号(プレミアサイゾー) 今回のAVデビューもあのグループの影が......。 [レベル3:小向美奈子へ贈る! AV女優の生きる道] 【ハメ撮りAVのインパクト】──手持ちDVカメラが炙り出すハダカの人間たちを見よ! 2011年9月号(プレミアサイゾー) 小向さんも映画になるくらいビッグなAV女優をめざして頑張って! タブーなき性表現!? 実体験からAV女優が指南する「SEX手ほどき本」 2010年8月号(プレミアサイゾー) 「シャブSEXのやり方」を書けるのは、小日向先生だけ! 篠山紀信の"やり方"はまずかった? AV屋が語る"屋外ヌード撮影道" 2010年4月号(プレミアサイゾー) 屋外で撮影して前科を重ねないように注意してくださいね。 プレミアサイゾー http://www.premiumcyzo.com/ ■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) プレミアサイゾー初月無料キャンペーン実施中!! (2011年9月30日まで) 詳しくはこちら

スマートグリッドが実現しない日本型民主主義の悪しき慣習【前編】

ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地 今月のゲスト 高橋 洋[富士通総研経済研究所主任研究員]
1109_marugeki_n.jpg
──通信と電力を融合させ、より効率的に電力を供給できるシステム──それがスマートグリッドだ。情報と通信技術を融合させ、世界各国へ網のように張り巡らせたワールドワイドウェブを例えに挙げられることも多いが、スマートグリッドとは「供給の分散化」「需要の自律化」「蓄電池の発達」を結ぶ網のことだと考えられている。だが、独占企業ともいえる日本の電力会社にとって、「スマートグリッド=電力の自由化」ととらえられているため、その見通しは決して明るくない。「原発は是か非か」という二元論に陥りがちなエネルギー問題を、また別の角度から考えてみたい。 神保 マル激では、原発や電力の自由化、再生可能エネルギーなど、電力に関するさまざまなテーマを取り上げてきました。その中で、日本はこれまで電気の発電も送電も何もかも電力会社10社にすべてを「おまかせ」してきたことがわかった。日本の電力は地域独占ゆえに送電網はしっかりしているし、停電も少ないが、その一方で、我々はその体制が多くのリスクを抱えていることに目を向けてきませんでした。結果として、電力会社に権益も権限も集中し、誰も抑えられないガリバー産業になってしまった。今回は、エネルギー政策に詳しい、富士通総研経済研究所主任研究員の高橋洋さんをゲストに迎え、原発問題が起きる前から注目を集めていた新たな電力配分システム「スマートグリッド」を取り上げながら、この先、日本のエネルギーをどう運営していくべきかを議論したいと思います。 宮台 4月半ばのTBS『報道特集』が「スマートメーター」を取り上げました。スマートグリッド化の前提になる装置で、電力網だけでなく情報網に接続し、1カ月の累積でなくリアルタイムで使用電力を計測し、家電機器ごとに使用量の自動制御もできるデジタル電力計です。  スマートというと、スイッチに触れなくても自動的に制御してくれて、今まで以上に「おまかせ生活」になりそうですが、実は違う。番組でも紹介されたけど、発送電分離を前提に、電力会社も選べ、電源種も選べ、自家発電も選べるので、実は〈エネルギーの共同体自治〉の要となります。つまり、家庭では家族が、企業では財務担当者が、頻繁に電力会社や電源種や自家発電の選択が適切かどうか議論し、単に効率だけでなく、良い電源の選択による社会貢献(の与える満足)を追求できるようにするのが、スマートメーターです。   神保 「おまかせ生活」という言葉はうまい表現ですね。高橋さんも論文の中で、「スマートグリッドとは、需要者が供給者に協力することにより電力の需給を最適化すること」だと書かれています。まずは高橋さん、一般の人はスマートグリッドをどんなものだと理解すればいいのでしょうか? 高橋 「グリッド」とは送電網のことで、簡単にいえば「配電も含めて、送電網をもっとスマートにしていきましょう」という意味です。最終的な形態としては、送配電網に通信網がくっついたものだと理解していい。なぜそういうものが必要なのかというと、世界的に3つの革新が起きているからです。  1つ目は「供給の分散化」。これまでの電力会社は、原発に象徴される集中電源を作ってきました。当然、一基の発電量が大きいほうが効率的だろうし、運用がしやすい。ところが、今後再生可能エネルギーが導入されると、電力会社の所有物ではない小さな電源が、いろんなところに入ってくるようになります。再生可能エネルギーの出力は不安定なので、電力会社側がそれをうまく処理するためには、ITの力が必要なのです。  2つ目は「需要の自律化」です。冒頭で言われたように、これまでは電力会社に「おまかせ」で、電力料金は少し高いけれど、スイッチを入れるだけで電力が手に入った。ところが、原発事故以降の日本のように、供給側が不安定になってくると、消費者の協力も必要になってくる。そこで重要なのが「情報」です。「停電が起こる可能性がある」とアナウンスされても、詳細な情報が得られなければ、いつ、どこで、どれだけ節電すればいいのかわからない。そこで、必要な節電量をメーターが提示してくれたり、あるいは家電が直接通信して、電力を調整してくれるようにする。これが、スマートグリッドの発想です。 神保 電力の需給状況に応じて、エアコンの設定温度が勝手に上がったりすると? 高橋 単純にいえば、そういうことです。そこで重要なのは、電力を利用する側へのインセンティブ。私たちは自由に電力を使いたい。しかし、「需要がピークの時には電力料金が10倍になる」「この時間に節電をしてくれたら、キャッシュバックする」などのインセンティブがあれば、率先して協力するでしょう。  3つ目の変化は「蓄電池の発達」という技術革新。電力にはそもそも"同時同量の原則"があり、常に需要と供給を一致させていなければいけなかった。しかし蓄電池が安価になり、広く普及すると、この原則は崩れます。つまり、電気が在庫できるようになる。据え置き型の蓄電池ももうすぐ発売されますし、蓄電池をうまく使うことにより、需要者自身が電気を売買することができるようになるのではないかと考えられています。以上の3つの革新を前提にして、中央管理者がすべてを支配するという仕組みから、電力システムがもっと民主的なものに変わっていく──それがスマートグリッドの背景です。 神保 スマートグリッドとは、今ご説明いただいた「供給の分散化」「需要の自律化」「蓄電池の発達」を結ぶ網のことだと考えていいでしょうか? 高橋 そうですね。電線に通信網が付加されるようなイメージです。もちろん、いきなりすべてを分散型電源にする必要はないし、大規模な発電所は残るでしょう。ただし、日本では再エネが電力消費の1%にすぎず、分散型電源があまりにも少ない。地球環境保護のためにも安全保障のためにも、分散型電源は必要であり、その上でスマートグリッドの導入は重要なポイントになるんです。 宮台 〈共同体自治〉の発電システムがあれば、電力会社の大規模発電所が停電しても、「原発が止まった以上、停電は仕方ない」という発想はあり得ません。 高橋 電力会社はこれまで「消費者側が自律的に電力を利用することなど不可能だ」と主張しており、それが一般常識でした。つまり、消費者は自分勝手だから「この時間はエアコンの温度設定を1度上げてください」とお願いしても、やってくれないだろうという見方をしてきた。私は「そんなことない」と考えていましたが、論破するのは難しかったんです。  ところが震災以降、東京電力管内の人々が、節電に一生懸命に協力してしまった。私の試算では、3月・4月の電力消費量は、前年比10~15%も下がっています。当然ながら、スマートメーターなどなく、消費者は十分な情報を与えられず、かつ節電になんのインセンティブもなかった。これは驚異的なことです。   神保 消費者は自律的に協力する。ましてや情報を提供し、インセンティブを与えれば協力できるということが、いみじくも今回の震災によって証明されたということですね。  さて、概念だけでは伝わりにくいと思うので、スマートグリッドにまつわる具体的な「もの」として、スマートメーターについて教えてください。一見すると、ただの電気メーターですね。 高橋 そうですね。これまでのメーターと違うのは、通信機能がついていることです。どれくらいの量の電力を消費しているかという情報を30分単位で発信しています。そのデータをパソコンでチェックすることができ、個別の家庭で「この時間は電力の消費が激しい」とか「この時間はもっと使えそうだ」という判断が可能になる。また電力会社側から見れば、個々の家庭や企業のメーターを足し合わせて「この時間帯は需要が高まっている」とか「需要が減ってきた」ということがわかります。意外かもしれませんが、実は現在、電力会社は各家庭の消費量をリアルタイムで把握できていないんです。 神保 電力会社としては、スマートメーターを普及させたいと考えているのでしょうか? それとも、スマートグリッドは電力会社の独占体制を崩す脅威と考えているのでしょうか? 高橋 残念ながら後者です。かつて電力会社にとってはスマートグリッドという言葉自体が禁句でした。スマートグリッドが進めば、どうしても「消費者に情報や価格インセンティブを与える」という話になる。電力会社のほうは頭がいいから「スマートグリッドとは、要するに電力自由化のことだろう」とわかるわけです。ただし、2010年政府が発表したエネルギー基本計画では、今後はしっかりと議論をした上で、「スマートメーターに記録された情報を一定の条件のもとで第三者に開放する」ということまでは書かれており、状況は変わりつつあると思います。
「プレミアサイゾー」で続きを読む
■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) プレミアサイゾー初月無料キャンペーン実施中!! (2011年9月30日まで) 詳しくはこちら 【プレミアでは人気連載も読み放題!】 ・【連載】神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 ・【連載】荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 ・【連載】哲学者・萱野稔人の"超"現代哲学講座

死の匂いをメディアが排除する! ジャーナリストが見た軍事的リアリズム【前編】

──若手専門家による、半熟社会をアップデートする戦略提言
1109_chiki_main.jpg
■今月の提言 「政治も今後の安保論議も 自衛隊が持つ現実性に学べ!」 ゲスト/田上順唯[フリージャーナリスト]  1954年の創設以来、数々の議論を呼んできた自衛隊。東日本大震災では、救援活動や原発事故への対応などをめぐり、活躍がクローズアップされた。これを機に、彼らを取り巻く状況や議論の争点も変わってゆくだろう。自衛隊への密着取材を続けてきたジャーナリスト・田上順唯氏と、そうした動きの内実と今後の展開を考える。 荻上 本連載ではここ2回、東日本大震災に関連するテーマとして、被災地での復興支援や医療に関する問題を取り上げました。それらの課題に加えて、被災地での救助活動などを通じてあらためてクローズアップされているのが、なんといっても自衛隊という存在です。  言うまでもなくこの国は、憲法9条との矛盾をはらんだ自衛隊という機関をめぐり、肯定的な立場と否定的な立場とに別れ、それぞれのイデオロギーに基づく綱引きや論争を伝統芸のように続けてきました。それは、原発問題のスイシン派とハンタイ派以上に強力で、固着的なものでもあった。ただ、今回の震災での災害救助活動ひとつとっても、そうした価値論争とは別のレベルで、現地のニーズへの対応や組織の在り方などが適切だったかどうか、現実に即した議論も必要になります。それはもちろん、「対災害」を含めた、日本の安全保障の問題をこれから長期的にどう議論していくべきなのかという大きな論点のもと、丁寧に行われなくてはなりません。    そこで今回は、主に安全保障の問題に取り組まれ、自衛隊の取材も続けておられるフリージャーナリストの田上順唯さんをお招きしました。まず、田上さんが実際に被災地で取材された中で見聞きした、隊員の災害派遣に対する意識がどうだったのかをお聞かせいただけますか。 田上 宮城の被災地に行ったのは4月11日でした。現地も混乱しているので、事前に情報を集め、現地の自衛隊部隊にお邪魔しましたが、彼らの口からよく出てきたのは「これは有事だ」ということ。日本では「有事」という言葉は、国と国との武力衝突に限った狭い意味でしかイメージされず、特に左翼の人々は強いアレルギーを持っていますが、現場の隊員にとっては、自然災害であっても敵からの攻撃であっても、国民の生命財産に対する破壊という意味では同じです。実際、災害派遣でやっていることは、まず偵察隊が情報を収集し、本隊を呼んで補給線を確立して......といった作戦行動であり、外国から攻められた場合とでは、弾を撃つか撃たないかの違いしかない。  なので、お会いした自衛隊の方たちは、「我々はライフルをスコップに持ち替えて戦っている」という認識を皆お持ちで、さらには「自分たちが国の最後の砦。ここでどうにかせねば、復興のフの字も始まらない」という、背水の陣で臨む高いモチベーションを感じました。 ■冷戦構造崩壊を経て変化したドクトリン 荻上 戦後の長い間、「有事」という概念は日本人にとって非常に日常から遠いものでした。しかし3・11以後は、被災地との距離感にもよりますが、少なくとも日本国内に「有事こそが日常」になった人たちも相当な割合でいて、節電などの形で国民全体が共有する感覚が生まれたと思います。「社会」や「国家」を強く意識せざるをえない環境の中で、逆に3・11以前から潜んでいた、「平時」にも抱えていた諸問題が露骨に顕在化するケースが見受けられたのですが、今回の自衛隊の災害派遣についてはいかがでしょうか。 田上 自衛隊に割かれた防衛予算が諸外国に比べて高いとずっと言われていますが、その大部分が人件費と糧食費なんですよね。それを除いた正面装備に回されるお金が、総額として多いのか少ないのかはわかりませんが、現場レベルで適切な配分がされていないのは確かだと思います。  自衛隊の装備品は部隊単位ごとに編成表で定められていて、例えば普通科(歩兵)中隊なら小銃何丁、機関銃何丁、対戦車ロケット何門というように、書類上では配備されていることになっています。しかし、実際には予算がつかなくて配備されていない、あるいはゲリラなどに対処する一線部隊に貸し出されていたりして本当は「アレもないコレもない」というケースが非常に多いんです。  今回の災害派遣に即して言えば、いかなる地形地物も克服する上で機械化が不可欠でしたが、ジープやヘリの数が足りずに運用に支障が出たり、施設科(工兵)部隊のショベルカーなどの重機が足りず、結果的にスピードが要求される発災直後の救助活動で人力に頼らざるを得ず、人員に過度の負担が集中しました。そういう部隊レベルの具体的な問題は山ほど明らかになったでしょう。 荻上 では、ここ数年は国際情勢や国家財政の悪化を理由に、「軍縮」の動きが取り沙汰されていましたが、そうした議論への見直しなどが起こるのでしょうか。
「プレミアサイゾー」で続きを読む
■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) プレミアサイゾー初月無料キャンペーン実施中!! (2011年9月30日まで) 詳しくはこちら 【プレミアでは人気連載も読み放題!】 ・【連載】荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 ・【連載】哲学者・萱野稔人の"超"現代哲学講座 ・【連載】神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」

ヤクザとつながる芸能人はコイツだ!紳助騒動で振り返るタレント派閥と裏社会人脈

──気になるあのニュースをただ読む以上に、さらなる知識を知りたいそんなアナタのために、話が100倍(当社比)膨らむ" プレミアム"な記事をサイゾー目線で厳選レビュー! さらにプレミアサイゾーでは秋の感謝祭実施中。9月は「プレミアサイゾー」の全記事が無料で読めちゃいます!
shinsuke0903_pre.jpg
 8月23日、タレントの島田紳助が緊急引退会見を行い、大きな話題となりました。氏は6年ほど前から、暴力団関係者との間で親密なメールのやり取りをしていたことが発覚。会見の中で、「所属する吉本興業との話し合いの結果、芸能界を引退することを決定した」と明らかにしました。  暴力団関係者とのつながりに関して「この程度の付き合いはセーフだと思っていた」と語っていた紳助。しかし、30日発売の「週刊朝日」(朝日新聞出版)では、件の暴力団関係者とのメール106件の内容を詳細に報じています。その中には、紳助が暴力団幹部のために芸能イベントチケットを手配する様子や、組の会長と電話したことなどが書かれており、組織自体との親密な付き合いをうかがわせるものでした。  そこで、今回のレベルアップ案内は「島田紳助引退の裏側」を大特集。大物演歌歌手や人気ダンスヴォーカルグループまでが飛び出す芸能界の黒い人脈から"東京03事件"が尾を引いたテレビ業界における"島田紳助外し"の噂、紳助がちょう愛していた女子アナなどなど――島田紳助にかかわる芸能記事を一挙大放出しちゃいます。警察庁の安藤隆春長官が今月1日の定例会見で、「芸能界も暴力団との関係遮断を実現しなければならない」と述べるなど、たびたび問題となる芸能人と暴力団の関わり。この騒動をきっかけに業界の浄化運動がはじまるのか......。叩けばホコリが出そうな芸能人が盛りだくさんです! 【PickUp記事】 島田紳助芸能界引退!「明日からは一般人、ウソを書かれれば告訴できる」 2011年8月23日付(日刊サイゾー) 【プレミアムな関連記事】 [レベル1:紳助だけじゃない! 芸能人とヤクザの蜜月] 角界以上に華々しい!? 大物芸能人とヤクザとの交友録 2010年9月号(プレミアサイゾー) 『オールスター感謝祭』ができるくらい、有名芸能人がたくさん。 それでも暴力団と付き合い続ける芸能界の懲りない面々【1】 2009年11月号(プレミアサイゾー) 付き合いを改めないと、誰かさんみたいになっちゃいますよ。 「メールで引退なら演歌はみんな永久追放!?」音楽界と暴力団の切っても切れない関係 2011年8月28日付(日刊サイゾー) 暴力団とのつながりこそ、日本の心? [レベル2:引退の裏にあった水面下の動向] 羽賀事件の裏で狙われる、大物芸能人の「危険度」 2007年9月18日付(日刊サイゾー) あれ? このAってもしかして...... 「ずっと紳助を切りたかった!?」吉本に"親密メール"を持ち込んだ闇人物とは 2011年8月27日付(日刊サイゾー) "芸能界の大物"あの御方にはやっぱり誰も逆らえない!? "島田紳助外し"の流れが加速中! 本人もテレビには執着なし? 2011年2月号(プレミアサイゾー) 吉本と本人にとっても利害が一致していた? [レベル3:今、振り返る島田紳助の軌跡] 松本人志、明石家さんま、そして島田紳助まで! 人気芸人を"作る"芸人派閥の傾向と功罪 2008年12月号(プレミアサイゾー) 紳助の人脈の広さがアダとなっちゃいました。 芸能人の「慰安番組」が跋扈する"下流メディア"テレビの瀕死ぶり コラムニストの小田嶋隆が語るこんな司会者は消えろ! 2008年7月号(プレミアサイゾー) 本当にテレビから消えちゃった! フジ・中野美奈子の人気のウラにとんねるずの影あり!! "芸人いじり"のテクニックと女子アナブームの意外な関係 2008年12月号(プレミアサイゾー) 紳助お気に入りの女子アナはKとS! グラビア事務所が続々「寿司はせ川」へ"島田紳助参り"する理由 2008年12月30日付(日刊サイゾー) 引退したら、客足が遠のいちゃう!? 儲からなくてもうま味はいっぱい! 芸能プロ&有名人が飲食店を経営するワケ 2010年3月号(プレミアサイゾー) 飲食店の開業には当然、不動産もからんでくるわけで...... ■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) プレミアサイゾー初月無料キャンペーン実施中!! (2011年9月30日まで) 詳しくはこちら

東北←→全国で風俗嬢のバーターが発生! 東北風俗業界と女の子の今

1109_cover_suzukibook.jpg
鈴木大介氏の著書『家のない少女た
ち』
──被災地のさまざまな情報が飛び交ったこの半年。震災直後から実話誌などでは、現地の風俗の状況も報じられてきたが、そもそも以前から、東北の風俗文化は東京のそれとは大きく異なっていたのだという。そうした背景から出発し、東北の現在の風俗の状況を、そこに群がる裏社会の住人たちの証言を元に追っていく。  あの3月11日直後、さまざまな"裏産業"が時節を逃すまいとばかりに一気に動いた。治安が低下した被災地を狙った窃盗団に、被災者の急場につけ込んだ闇金融業や、震災便乗詐欺等々(特集『裏社会が群がる復興シノギ』参照)。だがそんな中で最も初期から「震災便乗」を狙った業界が、風俗産業だった。 「あの日、地震があって事務所に戻ってテレビをつけた瞬間、あのハンパない津波の映像が流れて、ピンときましたね。不謹慎だけど、これはとてつもないチャンスが来たんじゃないかと。これだけひどい災害があれば、復興に向けてボランティアや建築業の人間や自衛隊なんかの、すさまじい数の男が現地に向かうはず。これは震災特需だ! って」  そう語るのは、都内でフリーランスのスカウト業をする小山氏(仮名)。彼がそう直感したのは、あの阪神淡路大震災でも同じような特需が発生したことが、業界で伝説的に語られていたからだという。契約しているスカウト会社の幹部からは「足が確保できるなら、すぐ現地に行ってみてほしい」と、即ゴーサインが出た。だが3月末、交通網が復旧し、被災地に炊き出し支援に向かう都内暴力団関係者の車に同乗させてもらって宮城県に向かった小山氏が見たのは、想定外の光景だったという。「これは、特需どころじゃない」。そう思ったそうだ。 「まず『東京の業者が東京の女の子を連れていって、進出できるのか』と、逆に『現地で風俗をしている子や家を失った子を、東京に呼び寄せられないか』という両面からの視察だった。事前に聞いていたのは、震災で倒壊しなかった風俗店に客が集まって大入りとか、『家を流された女の子が店で働いているので、ぜひ遊んでお金を落としてください』なんていう路上のポン引きが大活躍してるとか。実際、被災した子を雇う店は多いんだけど、景気がいいって話は全部ガセ。まず現地の雰囲気は自粛ムードで、風俗どころか飲みに行くのも気が引けるような感じだった。そして意外だったのは、東北の風俗業者はほとんどが経営者の横のつながりのあるチェーン店で、店を失った女の子や男性スタッフが無事な店にたくさん避難してきて、完全な人余りの状態だったんです」(小山氏)  東北風俗は、予想外の「互助社会」だったというのだ。ある風俗チェーン店では、震災で家を失った店舗型風俗の女性やスタッフを集め、系列店のデリヘル業者が契約していたラブホテルを避難部屋にして住まわせることまでしていたという。  これでは、関東業者進出の余地を狙うどころではない。さらに、人余りなら関東に避難しつつ働けば......という申し出も、ほぼ全滅した。 「『家族がいるから東京には行けない』と言う子がほとんどで、アレ? っと思った」(同)  小山氏が感じた違和感は、現地を訪れた風俗関係者が一様に感じたものだったという。そもそも東京近郊で風俗に勤める女性の多くは、家族や社会のあらゆるコミュニティから抜け落ちてしまった「無支援者」であるケースが多い。ところが東北の風俗産業はまったく逆で、誰かを守るために風俗を選ぶというパターンが多いという。いわく「二大就労理由は、親を養うためと兄弟の学費」(小山氏)。稼ぎの悪い夫、時には親戚や親戚の子どもまでを、自らの風俗の稼ぎで養っているというのだ。  同じく現地を訪れたスカウト会社幹部が言う。 「現地の店は、震災後で人余りの状態でも、風俗経験のない被災者の女の子をどんどん雇っていた。東京なら面接を通らない不細工な子でも採用してるのを見て、ビックリした」 ■車内本番で5000円 現地で進んだ価格崩壊  一方そんな中、実際に「特需」を迎えていた業態もあった。店舗型風俗とは違って自粛感情とは関係なく、目立たず利用できる派遣型風俗のデリヘルや、出会い系サイトを使って営業する裏風俗の援デリ業者だ。当然ながらこちらも現地進出しようともくろんだ関東の業者がいたが、ゴールデンウィーク直前に実際に現地に向かったという援デリ業者は、眉を寄せて語る。 「価格崩壊が起きてたんですね。客はラブホテル代も払えないし、ボイラーが機能してないホテルも多くて、プレイは車内。それでも金が足りないからと、そこで本番行為をしても5000円などという、関東では考えられない価格で対応する業者すらいるんだから。女の子も被災しててお金がないから、そんな額でも働く。しかも客の中には家族を失った被災者も多くて、寂しくて話を聞いてほしくて女の子を呼ぶんだよ。同情して泣きながら帰ってくる女の子もいるって」  これもまた、被災地以外の女性を連れていったところでメリットは何もない。そもそも援デリ業者は震災前から東北に援デリ業態を定着させようと挑戦して、失敗してきた経緯がある。
「プレミアサイゾー」で続きを読む
■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) プレミアサイゾー初月無料キャンペーン実施中!! (2011年9月30日まで) 詳しくはこちら 【プレミア関連記事】福祉から無視され続ける社会的弱者としての売春少女たち【前編】「処女は恥!」「ランドセル売春」......ゼロ年代末期の10代セックス事情を緊急調査世界に冠たるフーゾク大国日本で歴史ある「裏風俗」が壊滅寸前の危機!?

火葬されてもやっぱり産業廃棄物! 法なきペット葬祭業界の光と影

──90年代のペットブーム以降、ペット業界にはびこる闇組織や暴力団のニュースは絶えない。そんな中、業者が増え続けるペット葬儀に関しても、トラブルが頻発しているようだ。法規制のない同業界に参入するヤクザの荒らしや、焼き芋屋台感覚で営業する移動火葬車の実態を、改めて検証してみたい。
1109_petreien.jpg
全国ペット霊園協会の伊東氏が代表を務める「日
本ペットセレモ」の敷地内に設置された合同墓地。
キレイに掃除され、花も生け変えられていた。
 2010年3月、埼玉県飯能市の正丸峠に大量の犬や猫の死骸が捨てられているのが発見された。廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で逮捕、起訴されたのは、「花園ペット祭典」を経営する阿部忍被告。飼い主から火葬するといって預かった遺体の一部を、そのまま山中に捨てていたという。被害者の会の遺骨回収にボランティアとして参加し、裁判を傍聴した男性A氏はこう証言する。 「阿部被告は自前で火葬炉を持っていなかったので、近所の葬祭業者に頼んでいたそうです。一体ずつ火葬するとコストがかかるので、何体かまとめて焼いてもらい、その遺骨を適当にわけて、飼い犬や猫のものと見せかけて飼い主に渡していた。そうすればすべてを焼く必要がなくなるので、余った分を山中に捨てていたようですね」  また、飼い主からペットの死体の"処分"を依頼される場合もあり、それらも火葬せずに山中に投棄していたのだという。阿部被告が立件されたのは14体の死骸投棄についてだが、A氏によれば、実際に山中に投棄されたのは「自分が回収に参加した時だけで200個の頭蓋骨があり、すべて合わせると500体」にも上るそうだ。  昨今、このような飼い主の心情を踏みにじるペット葬祭業者のトラブルが頻発している。ホームページの料金表を見てペットの火葬を依頼した都内在住のある女性は、火葬が始まった後、オプション料金などと称して、予定費用の10倍近い30万円余りの代金を業者から請求された。ほかにも消費者庁には、「火葬した遺骨を引き取ったところ、中に犬歯が6本(犬の犬歯は4本)入っていた」「ほかの犬の首輪の金属部分が含まれていた」など、勝手な合同火葬や遺骨の入れ替えと思われるトラブルについての相談が寄せられている。さらに、東京都板橋区では、ペット葬祭場の建設反対運動が起こり、裁判所が火葬炉の使用禁止命令を下すなどの例もあった。  こうしたトラブルが後を絶たないのはなぜか。その一因は、ペット葬祭業者の急激な増加にあるようだ。マンションやアパート住まいで埋葬する場所がない場合や、ペットの家族化などで心情的にそのまま庭に埋められない人が増え、同業界の需要は一気に増えた。「全国ペット霊園協会」の伊東正和氏によれば、「ペットの葬祭業者は20年ほど前から増え始め、この10年で急激に増加しました。現在、全国の業者数はおよそ800社、うち、400~500社は移動火葬車【編註:移動しながらペット火葬をするための、火葬炉を積んだ車のこと】のみの業者といわれている」そうだ。  しかし、全国ペット霊園協会を設立しても、自社で火葬炉を持ち、同協会に加盟しているのは70社余り。250億円規模ともいわれる巨大市場を持つ同業界だが(『ペット葬儀・霊園市場の現状と将来展望』/09年、株式会社JPRより)、実は、冒頭の事件のような遺体の不法投棄などを起こさない限り、悪徳な運営を取り締まる法律はなく、監督官庁も存在しないのだという(当特集【3】参照)。とすれば、申請や審査などの手間がかからず、新規参入もしやすい。ところが、「この新規参入の容易さこそ、悪徳業者を増やす要因となっている」と伊東氏は指摘する。 「はっきり言って、我々のように真面目にやったら、ビジネスとして成り立たせるのは難しい業界です。火葬炉を作るだけで500~1000万円。更地から始めると、土地代に加え、事務所の建物や墓、供養塔の建設など、初期費用が億単位でかかることもある。しかもペット葬祭は人間の場合と違い、火葬から葬儀、埋葬、遺族のケアまですべてやるため、人件費もかかります。それで、1回の葬儀費用は全国平均で3万円前後くらい。うちの会社でも、動物病院などからのご紹介を受けて、ひと月せいぜい180~190件の葬儀です。参入したもののあまり儲からないため、あくどいやり方に走る業者も中にはいるみたいですね」(同)  とはいえ、飯能市の事件のように、いくらでも利ざやを稼ぐ方法があるのも事実。そもそも、「葬祭」という、もともとあまり好まれない業種であることから、90年代にはバブル崩壊で土地の使い道に困った反社会勢力の参入が増え、これがトラブルの増加を助長しているという。 「確かに、ペットショップやブリーダー、人間の葬儀業者は儲かっていますから、簡単に参入できるペット葬祭業にそういった人たちが目をつけてもおかしくはありません」(同)
「プレミアサイゾー」で続きを読む
■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 詳しくはこちら 【プレミア関連記事】ブームの裏で聞こえる犬猫の鳴き声──利益優先のペットビズは動物愛護法改正でどう変わる?「女性タレントS・Eや女優T・Hは飼い主失格!?」究極のペット業界覆面座談会ワシントン条約は意味なし!? "違法動物"がこんなに日本に!!【1】

中国のマフィアとグルメに詳しい賢人が語る「誰も知らない"チャイナタウン"裏ガイド」

──先日錦糸町で起きた傷害事件により、中国残留孤児2・3世グループ「怒羅権」の名を耳にした人も多いだろう。事件現場となったのは、人気中華料理店「天安門」。まるで任侠映画のワンシーンのようなこのシチュエーションは、いまだ健在ということだろうか。ここでは読者の皆様を、ちょっと危険な中華料理店へと誘いたい。
1109_kabukicho.jpg
不況で客足が減ったとはいえ、平日夜で
もにぎわいを見せる歌舞伎町。ここから
1歩踏み入れたところに、李小牧氏の「湖
南菜館」も軒を連ねる。
 今年6月、警視庁組織犯罪対策2課は、指定暴力団住吉会系組員と口論になり、近くの中華料理店から持ち出した包丁で相手の耳を切り落とすなどの重傷を負わせたとして、「怒羅権(ドラゴン)」のメンバーを逮捕した。「怒羅権」とは中国残留孤児2・3世らを中心として80年代末に結成された、裏社会に精通するグループのこと。この残忍な手口で初対面の暴力団組員を襲撃した事件は、記憶に新しいところだろう。ちなみに、メンバーが包丁を持ち出した錦糸町の中華料理店「天安門」は怒羅権のリーダーの親族が経営しており、警察当局の家宅捜索を受けるなど、「中国マフィアの拠点か?」という観測も乱れ飛んでいる。中華料理店が裏社会の拠点──そんな映画のような設定が、現実にもあるのだろうか?  本誌は、さっそく中国マフィアが暗躍する(?)裏社会に取材を敢行。歌舞伎町案内人の李小牧(リー・シャム)氏、そして東京アンダーグラウンドシーンの取材を精力的にこなす李策(リ・チェク)氏に、"中国マフィアと飲食店の、切っても切れない関係"について話を聞いた。 「中華料理店と中国人ワル、不良のつながりは、もちろんあるよ。彼らが会食でよく使うのは、中華料理店だからね。うちの店(湖南菜館/当特集【2】参照)にも某グループのドンが来たことがあるし。ただ、『マフィア』となると話は別かな。中国マフィアが歌舞伎町などを闊歩していたのは90年代の初めから2003年ぐらいまで。今はせいぜい、『不良グループ』といったところ。しかも、彼らが直接経営しているというお店は、今はあんまりないよね」(李小牧氏)  中国マフィアは、もういない? かつては血で血を洗う抗争が、歌舞伎町を震撼させたというが......? 「歌舞伎町で抗争を繰り広げていたのは北京グループと上海グループですが、最近はまったく話を聞くことはないですね。以前は、中国人が経営する飲食店にいると、なんかおじさんが入ってきたな~と思った瞬間に、従業員に緊張が走り、店の空気が一変する、つまりグループの顔役が登場するなんてことも、しょっちゅうありました」(李策氏) 「かつて、中国、韓国、東南アジアの犯罪者たちにとって、入国審査の楽な日本は黄金郷だった」と策氏は振り返る。往時は、薬物や盗品、犯罪の密議などが中華料理店を舞台に行われていたのだろうか? 「確かに昔はあったね。Kという、盗品をさばくために使われる料理店もあった。どうしてもその名残を調べたいなら、中国人グループの出身地域に関連した料理店を調べてみたらいいよ。なんでも食べる日本人と違って、中国人は食にはすごく頑固。食べ慣れた出身地の料理しか食べない。いくら美味しいと言われても、違う地域の料理を好きになることはあり得ないから」(李小牧氏)  確かに、中国マフィアは出身地ごとに綿密に区分けされ、個々に対抗しながら勢力を伸ばしてきた。そしてどうやら、その勃興には中華料理店が密接にかかわってきたともいえるようだ。ここでは、李小牧氏、李策氏のナビにより、歌舞伎町の中国マフィア興亡史を紐解いてみよう。
「プレミアサイゾー」で続きを読む

キャバ嬢から女子大生まで──親分が畏怖する"極道の妻たち"

1109_cover_gokuuma.jpg
家田荘子の『極道の妻たち』
──山口組六代目司忍組長の出所、大物ヤクザの自伝『憚りながら』(宝島社)やヤクザ社会のルポルタージュ『ヤクザの修羅場』(文春新書)が話題になる昨今、ヤクザたちを支える現在の「極道の妻たち」はどのような存在になっているのか? 現役の極妻さんたちに聞いてみると、バラエティに富んだ素顔が......。 「あんた、指詰めなアカンよ」  岩下志麻演じる「姐」が服役中の夫に代わってスゴむと、子分たちはひれ伏さんばかりに萎縮する──。  これは、作家・家田荘子原作の映画『極道の妻(おんな)たち』(1986年)で、縄張り内で起こったトラブルの責任を取れと姐が子分にタンカを切るワンシーンだ。極道の世界を女性の視点から見る斬新な設定と、役柄にマッチした岩下の好演により、同作は高い評価を得た。それゆえ、多くの人が思い描く"極道の妻"のステレオタイプなイメージは出演する女優たちに近いだろう。  実際『極道の~』は、本職からも大人気だったようだ。岩下も、新幹線で「ホンモノ」からあいさつされたことがあるというエピソードは、この世界ではつとに有名だと広域指定組織三次団体幹部を夫に持つ極妻Aさんは語る。 「ただ、あれはあくまでフィクション。極妻同士の盃(親分と子分の関係になる)など、絶対あり得ない話も多い。日本全国どこの組織でもそうですが、極道は究極の男の世界。女が口を出すなんて許されないし、もし出したら夫が笑われます。いくら服役中でも、夫を差し置いて妻が組員に指図するなどありえませんし、どんな不祥事でも子分に指を詰めろなんて冗談でも言えません。リアルなのは現役ヤクザの描き方くらいですね、大半は女好きで金に弱いっていう(笑)」  また、ヤクザの世界では"めんどりが鳴く(女性が口を出す)と組は潰れる"なる格言(?)もあるようだが、この一例が、山口組三代目の田岡一雄組長の妻フミ子夫人だという。  山口組三代目田岡一雄組長の死後間もなく、四代目本命と目されていた山本健一(山健組組長)が病死したため、フミ子夫人は四代目に竹中正久(竹中組組長)を指名。これに反発した山本広(山広組)らが一和会を結成し、山口組と一和会は対立。死者29名、負傷者66名、直接の逮捕者は560人にも及んだ山一抗争へと発展したのだ。 「抗争が起こったのは夫人の強い意向により竹中四代目が誕生したためと見る向きが多く、この話は山口組内でも長い間タブーになっていた。しかし、実際はそうではないという話。たとえば、田岡組長の長女・田岡由伎さんと作家の宮崎学氏の対談『ラスト・ファミリー』(角川書店/10年)では、田岡組長は自身の死後、組が割れるとわかっていながら跡目を考えていなかったことも明かされている。これを知っていたのか、危篤状態が続いたフミ子夫人を『姐さんが死なれへんのはな、俺らの兄弟ゲンカの言い訳を親分にするのを考えてるからや』と若い衆が気遣うくだりも。つまり、長女という身内の証言ではあるが、内部抗争は起こるべくして起こったというのが真相のようだ」(実話誌ライター) ■一番嫌われるのは金にうるさい姐さん?  こうした中、極道のファーストレディともいえる田岡フミ子夫人について、田岡組長は『田岡一雄自伝』(徳間書店/73年)でその糟糠の妻ぶりを綴り、同じ山口組の大幹部だった後藤忠政元組長も、『憚りながら』(宝島社/10年)で妻に苦労させたことを語っている。 「フミ子夫人は戦後の混乱期でも、苦心してお金を作って若い衆を食べさせ、さらに彼らの下着の洗濯までする糟糠ぶり。後藤元組長は奥方を『おっかぁ』と呼び、自分の浮気に怒りながらもずっと連れ添っていることを感謝している」(同)  では、最新版の"極道の妻たち"とはどんな人物像なのだろうか? 前出のAさんによると、極妻は大きく分けて大親分を支えた「糟糠の妻」タイプと「愛人」タイプになるという。  Aさんによると、「かつては糟糠の妻がほとんどだった」というが、このタイプは、夫が若い衆の時代には水商売、場合によってはソープランドで働いてでも夫を支え、出世してから外でシノギや遊びに精を出し、あるいは懲役に行って帰ってこなくなっても、組や家の中をしっかり支え続けてきた女性である。 「糟糠の妻も、シロート出身系とオミズ出身系に分かれます。三代目田岡組長の奥さんは実家が喫茶店で、シロート系の代表。でも、オミズ系でいうと、夫がパクられたらソープででも働いて、裁判費用や生活費を捻出する人はさすがに見なくなりました。今はアッサリ別れちゃう人も多いです」(同)  浮き沈みの激しいヤクザの世界、かつては極妻が夫の生活を支えることは普通だったのだろうか?
「プレミアサイゾー」で続きを読む