『ワンピース』4000億円の功罪 角川書店と電子書籍で変わるマンガ業界の勢力図


【プレミアサイゾーより】 ──マンガは好きだけど、マンガ雑誌は買わない......こうした人が増えているためか、マンガ雑誌の売り上げが下がる一方、コミックスの売れ行きは堅調だという。そんなマンガ業界で台頭する新勢力や「自炊」「電子書籍」の広がり、そしてマンガ界が抱える真の問題点を、関係者らの聞き取り取材から浮き彫りにしてみたい。

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■コミックスとマンガ誌の推定販売金額の推移
05年には、コミックスとマンガ誌の売り上げが逆転するなど、縮小を続ける市場において
『ワンピース』が牽引したコミックスの売り上げは、横ばいの印象だ。
(出版月報/2011年2月号より)
 2315億円。これは2010年のコミック単行本の推定販売金額である。前年比はプラス1.8%で、増加に転じるのは実に5年ぶり。一見マンガ業界全体が活況を取り戻してきているとも思える数字だが、出版業界紙「新文化」の元編集長で、業界に詳しいジャーナリストの諸山誠氏は、この回復は、マンガ史上最大のヒット作といっても過言ではない『ワンピース』(集英社)1作による効果だと語る。 「これまで売れ続けていた『ワンピース』の単行本が、10年11月の60巻で初版が340万部、今年11月の64巻で400万部にも跳ね上がり、全巻累計発行部数は2億5000万部を記録。同時に50点以上もある既刊が増刷を重ねました。そのたった1作品がコミック市場全体に影響を与えているのです。一方で逆説的ですが、市場の規模が縮小してきたからこうした現象が起こっているのかもしれませんね」(同)  だが、マンガ誌の売り上げは前年比でマイナス7.2%の1776億円で、実に15年連続のマイナスで、マンガ誌と単行本を合わせた売り上げは4091億円、前年比で見ると2.3%減少しているのだ。 「マンガ誌はファッション誌や情報誌と異なり、商品の購買に結びつきにくいため広告出稿が少なく、雑誌だけでは赤字を出しているところがほとんど。そこから1~2本のヒット作が単行本で莫大な利益を生み、雑誌本体の赤字を補っている。そこから新人を発掘したり、思い切った作品を世に問えるエネルギーも生まれてくるのですが、最近はそのゆとりがなくなってきているのが実情です」  こう語るのは、マンガジャパン事務局長なども務める大御所マンガ家の里中満智子氏。大手マンガ週刊誌の場合、ひとりの連載作家がデビューする裏には、100人以上の新人による持ち込みの繰り返しと、編集者とのやりとりが繰り広げられていると続ける。今はエッセイマンガ家として活動しているAさん(仮名)の例を見てみよう。彼女はかつて、6年間にわたり「週刊少年マガジン」(講談社)に持ち込みを繰り返していた頃をこう振り返る。 「私は新人賞で選外佳作に入ってから担当がついて、『マガジン』に連載を持つマンガ家のアシスタントをやりながら持ち込みをしていたのですが、編集部に10年以上持ち込みを続けている人もザラでした。私は2週間に1回、50ページほどのネームを出していたのですがこれでも少なかったほうで、3日に1回ペースの人もいましたね。企画にOKが出て、新連載のネームを繰り返し描くのですが、中には同じ話を1年以上直している人もいたほどです。結局大勢の新人に対し、掲載枠は限られているため、編集者が時間稼ぎをしている感も確かにありました」  こういった話は、業界が不況に陥る昨今、特に顕著になったようだが、編集部によっては"大物"を逃がすこともあったという。現在、初版100万部という大ヒットを飛ばしている『青の祓魔師』(集英社)の加藤和恵氏もそのひとりだ、と語るのは某マンガ家。 「加藤さんの連載デビューは講談社の月刊誌『少年シリウス』で、そこで連載していた『ロボとうさ吉』はまったく売れずに打ち切り、最終巻の初版はわずか5000部ほどだったそうです。その後、同誌で次回作の打ち合わせを重ねていたそうですが、結局新作のネームは通らないうえに担当編集者の横暴もあって、加藤さんは集英社の『ジャンプスクエア』に移籍。そこで大ヒットとなったのが『青の祓魔師』です」  このように、他社に移籍してヒットを飛ばすマンガ家は少なくない。ただ、どのマンガ誌でもそうだが、アンケートの順位や単行本の売れ行きが悪ければ、即打ち切り。金銭面においても、特に週刊の場合は数人のアシスタントが必要になり、その人件費、仕事場の家賃、食費などが新人作家の肩にかかってくる。これまでは、「最小限のアシスタント人件費を編集部が負担してくれたり、また、編集者がその新人によほど目をかけている場合、ポケットマネーから単行本の印税が入るまでのつなぎとして資金を貸してくれるといったことも少なくなかった」(某マンガ編集者)そうだが、今やそれは小学館や講談社、集英社などの大手出版社に限った話。昨今の出版不況から、単行本化もアテにできないような弱小編集部で短期集中連載などの企画が通ると、体制を整えるためにお金を捻出した結果、かえって"連載ビンボー"になってしまうこともあるとか。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・累計2億冊のあの名作から知られざるレア作品までメッタ斬り!!タブー破りのマンガ100総部数2億冊は劇場版あっての快挙──『ONE PIECE』大ヒットで本当に"儲けた"のは誰だ!?ドラえもんもびっくり仰天!! 人気マンガのキケンな裏側

「ワンピース」は売れてない!? 書店員が語る有名作の"売れ行き"と"売れるマンガ"


【プレミアサイゾーより】  マンガ市場が落ち込みを見せつつも、その規模から、出版社にとっても書店にとっても、マンガは最も力を入れている商品だといえる。そんなマンガ流通の現場にいる書店員たちが、今本当に売れているマンガからメディアミックスの影響まで──その実情を語った!

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書店で膨大な数が並ぶマンガの中で、目立つために台座やPOPなどが
ところ狭しと並ぶ。これがあるとないとでは売り上げに大きく差が出てくる
という。
■座談会参加者 A...中規模チェーンの郊外店勤務
B...萌え系などに強い、都内のマンガ専門店勤務
C...学生街に店舗を構える、都内中規模チェーン店勤務
D...都心の大規模チェーン店勤務 A 今年は大物タイトルが相変わらず堅調という感じだったけど、ヒットしたという意味では2010年末発売の『花のズボラ飯』(作:久住昌之 画:水沢悦子/秋田書店)ですかね。【特集『マンガ編集座談会』参照】 B 僕が働いている書店は、30~40代のいわゆるアキバ系の男性客が9割以上ですが、『花のズボラ飯』はかなり売れました。相当大量に入荷したんですが、それでも品切れになるほど。 C 私のところは学生街なので、大学生が中心の客層。『花のズボラ飯』は最初3冊くらいしか入らなくて即完売。すぐに追加したんですが、それでも30冊程度しか入らず、すぐ売り切れ......の繰り返しでした。 A とにかく品薄でしたよね。しかも発売が年末だったから、重版がかかっても実際に入荷するのが年明けとか、かなりタイムラグがあった。100冊前後入れたのでなんとか年明けまで在庫がもちましたが、ほかの店舗はまったく入らない状況だったみたい。そもそも配本がほとんどなかったから、売れてることに気づいてないところも多かった。 D 私のところも配本がなかったクチ。ただ、年明けに動いているのを知って入荷しましたが、まったく動かなかったです。都心にあるうちの場合、主要客層である20~30代のビジネスマン層にはあまり響かなかったのかも。店舗的には男女比半々で、OLさんも多いですが、その層にもダメ。でも、繁華街の旗艦店では相当売れていましたね。 A 今の勢いでいうと、「コミックフラッパー」(メディアファクトリー)の作品も伸び盛りですね。昨年対比で150~250%伸びていて、本部からも棚を増やすように通達されてます。学生からサラリーマンまで、客層が比較的幅広いうちのような店では、『高杉さん家のおべんとう』(柳原望/メディアファクトリー)をはじめ、一般層にも売れるタイトルが部数を伸ばしていて、全体的に売り上げが底上げされている感じです。書店にとって大事なヒット作って、この手の作品。例えば『ワンピース』(尾田栄一郎/集英社)は、発行部数的には桁違いですが、売り場ではそこまで重要な作品じゃない。 C『ワンピース』や『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)、『君に届け』(椎名軽穂/共に集英社)といった、置いていて当たり前の作品はコンビニにもたくさん入っていて、必ずしも書店で買ってくれるとは限らないですからね。単行本にしろ、雑誌にしろ、コンビニにないものが書店にとっては大事なタイトル。 A もちろん店舗によっては1000冊以上入荷するところもありますけど、こういう一見さんがフラッと買っていくような作品は、リピーターが中心の店舗では売り上げを左右するほどのタイトルにはなりません。 B アキバ系をターゲットにしたマンガ専門店には、『ワンピース』目当てのお客さんなんていません(笑)。『けいおん!』(かきふらい)など萌え系4コマを多数抱える芳文社や、萌え系、ファンタジー系に強い一迅社の作品のほうが売れますし、入荷も多い。秋葉原のマンガ専門店では、『ひだまりスケッチ』(蒼樹うめ/芳文社)の6巻が1カ月で数千冊売れたなんて話もあるようで、アキバ系の店舗だと「ジャンプ」作品よりこのあたりが売れ筋。 D その売れ行きはさすがに異常だと思いますけど(笑)。私のところでは比較的全国ランキングに近い動きをするんですが、"バトルもの"はあまりウケません。『ワンピース』は3~4番手のタイトルという感じ。それよりも頭脳戦の要素が大きい『HUNTER×HUNTER』や『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦/集英社)が売れます。立地的にサラリーマンが多いからですかね。特に『ジョジョ』はすごい動いて、今年、女性向けファッション誌「SPUR」(集英社)の10月号で荒木先生が表紙を描いていたんですが、男性にもウケて、すぐに売り切れました。 B 荒木先生は別格。うちの店舗でも例外的に「SPUR」を入れましたが、即完売していました。 C 狙って入荷したものが売れるのはうれしいですよね。でも、あてが外れる作品もある。『どげせん』(企画:板垣恵介 画:RIN)は、掲載誌の「週刊漫画ゴラク」(共に日本文芸社)で読んでいて面白かったので、話題になってもっと売れるかと思ってたんですが、案外伸びなかった。「このマンガがすごい! 2011」(宝島社)でオンナ編1・2位を独占したヤマシタトモコ先生の短編集『ミラーボール・フラッシング・マジック』(祥伝社)も思ったほど動きませんでしたね。あれは「カバーデザインが悪い」って声が多いけど。 ■「このマン」、アニメ......メディアの影響は? D「このマン」などのマンガ系アワードは、やはり影響力があります。同じチェーンの旗艦店では「このマン」とかアワード系の特設棚を作ると、上位から下位まで全部売れる。「マンガ大賞」や日販がやってる「全国書店員が選んだおすすめコミック」とかも売れるきっかけになります。 C「このマン」でオトコ編1位の『進撃の巨人』(諫山創/講談社)はすごかった。受賞前からプッシュしてましたが、1位になってからは桁違いの売れ行きでした。 A 僕のところは受賞前にたっぷりプッシュしたので、「このマン」の頃には、もうあまり置いてなかったですね。どこでも売れる作品は、置いても仕方ないので。正直、去年なんか常連さんはみんな、アワードに対して「今年つまんないね」って言ってました。 B 客層が違うからか、うちもほぼ影響ないです。
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オリンパスが犯したもうひとつの罪──不当労働行為の被害者が告発

【プレミアサイゾーより】 ──相次ぐ社長交代や不正会計疑惑に揺れるオリンパス。そんな同社がかねてから抱えてきたトラブルのひとつに、内部通報により、不当な配置転換を強要された現役社員の濱田正晴氏が、同社に対し不当労働行為の取り消しと損害賠償を請求した「オリンパス裁判」がある。この裁判では、8月に出された控訴審判決で濱田氏が全面勝訴したが、9月に会社側は最高裁へ上告。その濱田氏が、現在の裁判制度、内部告発者を守るべき公益通報者保護法が孕む危険性について語るべく、その重い口を開いた。  今回濱田正晴氏が対談相手として選んだのは、オリンパス裁判を通じて濱田氏を実務面、精神面で支援した串岡弘昭氏(後述参照)。
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トナミ裁判元原告で現在は大学や自治体の研修会など
で講師も務める串岡弘昭氏(写真左)と、オリンパス
裁判控訴審で勝訴した原告・濱田正晴氏(写真右)
(写真/山本宏樹)
 串岡氏が起こした「トナミ裁判」(同)がひとつの契機となって成立したともいわれるのが、不正の内部告発者を保護することを定めた公益通報者保護法(通称:内部告発者保護法)である(同法の詳細は別枠参照)。現実にはその趣旨に反して「内部告発者に甚大な被害を与えかねない法律」と指摘する声も多い。今回は同法と因縁の深い2人に、同法の問題点に加え、ある日突然誰もが直面し得る司法や企業に潜む罠について語ってもらった。 ──濱田さんは裁判中の身のため、裁判に支障のない範囲でお話しいただければと思います。 串岡(以下、) 私が代わりに話すから大丈夫(笑)。 ──まず、濱田さんの内部通報のあらましについて教えてください。 濱田(以下、) 07年、私はオリンパスにとって重要な顧客企業の営業担当でした。そこで私は、上司がその顧客企業から、内部の情報を入手して取引を有利に進めるために、複数の社員を引き抜こうとしていることを知りました。これは、不正競争防止法違反の恐れがあったため、「社内で不正行為を知り得た者は内部通報努力義務がある」との社内規定に沿い、社内の通報窓口に通報しました。 ──その後、濱田さんは、会社から報復を受けたのですね?  はい。上司らが私を密室に監禁し、それまで長年従事してきた営業担当とはまったく畑違いの部署へ強制的に異動させたのです。 ──かつて串岡さんが内部通報をした時は、まだ同法はありませんでしたね?  ええ。私は74年にトラック業界の闇カルテル【編註:談合で違法な割増運賃を徴収】を勤務先(当時)であるトナミ運輸社内で内部告発したことがきっかけで、約30年間に及び閑職に追いやられました。 ──お2人は、会社に対し裁判を起こされましたが、裁判を経験されていかがでしたか?  私は地位回復と謝罪を求め02年にトナミ運輸を提訴し、06年の控訴審で会社側と和解しました。民事訴訟では和解交渉になるケースが多いのですが、私が和解交渉を拒否したところ、裁判官は法廷とは表情を豹変させ、「不利になりますよ」という意味のことを、相当キツイ口調で言いました。濱田さんの裁判でも、彼が一審で和解交渉を拒否したところ、裁判官が激高したそうです。 ──濱田さんは、一審の弁護士にも大変苦労されたようですが。  一審の濱田さんの代理人=弁護士が裁判の終盤で、濱田さんの意向を無視して、強引に和解に持ち込もうとし、「濱田氏はオリンパスのブランドを傷つけたので謝罪します」という和解案まで作成していたのです。 ──濱田さんは一審敗訴、二審の控訴審では全面勝訴し、会社の違法配転命令、不法行為が認定されましたが、9月にオリンパスは最高裁に上告しました。  裁判が続くということは、一個人にとって裁判費用の問題のみならず、何より精神的にキツイです。最高裁で判決が確定するまで、会社は濱田さんを継続して過酷な状況に置くことができる。それにより、そのほかの約4万人の社員に向けて、「内部告発者に対して、会社側はとことんやるぞ」という、一種の見せしめを行えるわけです。 ──「精神的にキツイ」ということですが、一番悩んだことはなんでしょうか?
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ガンダムの新作で小学館と角川書店が激突──角川帝国を支えた"ビジネス"の未来

【プレミアサイゾーより】 ──アニメ界に君臨するガンダムシリーズ。その関連ビジネスは幅広いが、中でも紙媒体での展開で近年深く結びついてきたのが角川書店だ。しかし今期放映が始まった『ガンダムAGE』では、そのお株を小学館に奪われている。角川のガンダムビジネスに何があったのか?三大出版社を追い上げる、オタク系の雄の未来を考える。
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(絵/都築潤)
2011年10月より、ガンダムの最新テレビシリーズ『機動戦士ガンダムAGE』(TBS系/以下、AGE)が、満を持してスタートした。『機動戦士ガンダム00』から4年ぶりのテレビシリーズということで、制作サイドも気合が入っているようだ。『レイトン教授』シリーズや『イナズマイレブン』など子ども人気の高い作品を多く手がけるゲーム会社・レベルファイブを企画協力に、ストーリー&シリーズ構成・脚本に同社の社長・日野晃博氏を迎え、ガンダムシリーズ史上初となる、ゲーム化を前提としたメディアミックスの形で企画が始動。同じ血脈の3世代の主人公を据えてストーリーが展開し、1年間放送される予定だ。主人公のフリット・アスノが14歳であることや、キャラクターデザインがずいぶん子ども向けであることを見てもわかるように、コアなターゲットを従来の年齢層からグッと下げて、ガンダムシリーズに触れたことがない小中学生に焦点を絞っているのが特徴といえる。従来のガンダムファンからは、「キャラが子どもっぽすぎる」「世界観がこれまでと違いすぎる」など、放送開始前から否定的な声が大きく、案の定1話放映後は日野氏のツイッターに作品に対する批判が殺到し、炎上寸前になった。  前途多難な出だしとなった『AGE』だが、放送前からマンガ版が展開されていた点も要注目だ。いち早くコミカライズ作品を掲載したのが、小学館の少年誌「月刊コロコロコミック」(『機動戦士ガンダムAGE トレジャースター』【1】)。前述の『イナズマイレブン』などのコミカライズで前例があり、レベルファイブとのかかわりが強いことから今回初めてガンダムシリーズと小学館がタッグを組んだと思われるが、ガンダム作品のコミカライズといえば、「ガンダムエース」というガンダムマンガ専門誌を持っている角川書店がお決まりのコースとなっていたはずである。  同誌はもともと『機動戦士ガンダム』(以下、1stガンダム)の再構成を主とした『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』【2】(作画は『1stガンダム』のキャラデザを手がけた安彦良和。11年8月号で連載終了)のために創刊された。そのほかにも、現在OVA(オリジナルビデオアニメ)でシリーズ発売され、アラフォー世代のガンダムファンの間で人気を博している『機動戦士ガンダムUC』の原作小説(作・福井晴敏)やそのマンガ版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』【3】が連載されるなど、ガンダムシリーズの要となるような作品のコミカライズ版やアナザーストーリーが多数掲載されている(なお、『AGE』の別バージョンのコミカライズは同誌にも掲載されている)。また、『機動戦士ガンダムさん』【4】『トニーたけざきのガンダム漫画』【5】など、アニメ制作会社・サンライズのお墨付きならではのギャグマンガやパロディマンガも掲載されている。このように、"ガンダムビジネスの出版部門を担うのは角川書店"という印象が強いわけだが、そもそも、角川書店とガンダム、ひいてはサンライズ社の蜜月は、いつから始まったのだろうか? ■「ニュータイプ」創刊がすべての始まりだった  当特集の年表を読んでいただければわかるように、『1stガンダム』の、富野由悠季監督による小説版は朝日ソノラマから、マンガ版は秋田書店から刊行されるなど、ガンダムシリーズは始動当初から、角川書店とタッグを組んでいたわけではない。むしろ、「SDガンダム」シリーズやガンプラ人気を盛り上げたのは講談社の少年誌「コミックボンボン」掲載作『プラモ狂四郎』(クラフト団・やまと虹一)や『SD武者ガンダム』シリーズなどであり、この頃は同社との関係が深かったことが伺える。角川書店とサンライズが深くかかわるようになり始めたのは、「角川書店の現取締役社長の井上伸一郎氏と、『ファイブスター物語』【6】などで有名なメカニックデザイナーでマンガ家の永野護との付き合いが発端ではないか」と、アニメ史に詳しいライターは言う。
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【刈谷友衣子】──"非笑顔"の美人中学生が女優業に開眼

【プレミアサイゾーより】
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 NHKにて10月まで放送されたケータイ小説を原作にしたドラマ『金魚倶楽部』で、激しいイジメを受けるヒロイン役を熱演した刈谷友衣子。4月クールに放送された『鈴木先生』(テレビ東京系)など話題の学園作品への出演が相次ぐ、注目の若手女優だ。 「今まではなんとなく『お芝居は楽しいです』と言ってたんですけど、『金魚倶楽部』を通して、初めて演じることの面白さがわかった気がします。撮影現場では『もういやだ!』って思うんですけど、終わったら、またすぐに現場に戻りたくなるんですよね」  女優として着実に成長を重ねるそんな彼女が、初の写真集『つぼみ』(マガジンハウス)を発売。雑誌モデルとしての活動も長いから、撮られるのは慣れていたのではないですか? 「私が専属モデルを務めていた『ラブベリー』(徳間書店)はティーン誌なので、"キャピキャピ"っていう雰囲気が求められたんですけど、今回は"非笑顔"というか(笑)、ふとした瞬間の表情を撮っていただけたので、すごく雰囲気のいい写真集になったと思います」
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火事場泥棒話はなぜ報じられない? 東日本大震災で露見したタブーだらけのマスメディア

──東日本大震災によって国内の各業界に少なからぬ影響が出ているのは周知の通りで、それはまた報道の世界においても例外ではなかった。半年がたった今、今回の震災で新たに生まれ、固定化されつつある報道における規制には、どんなものがあるのだろうか?
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津波に飲まれて亡くなった人物の手と、それを見
つめる家族らしき人物の写真をニューヨーク・タイ
ムズが一面掲載。日本と海外メディアではこうし
た災害でも報じ方が異なっている。
 東日本大震災から半年余りが経過した。復興に向けた動きが草の根レベルから続いているが、この情勢下で新たな政権が組閣されるなど、日本全体が混迷している。また、同時に起こった福島第一原発事故もまったく収束の気配を見せず、社会にはうっすらと疲弊した空気が堆積したままだ。放射性物質の拡散や被ばく被害について、さまざまな情報が錯綜し、神経を尖らせて過ごす人も増えていることだろう。  神経を尖らせているのはまた、そうしたニュースを報じるマスコミも同様である。震災発生直後、国家レベルの非常事態に世間が浮き足立つ中で、何をどのように報じるか、各媒体の姿勢が問われた。特に、常日頃から大手マスコミを「マスゴミ」と呼んではばからないネット住民などは、それらの報道体制に対して、揚げ足取りレベルでも容赦ない批判を繰り返した。もちろん、災害発生直後となると規模が大きく体力のある報道機関しか現地取材に入ることは難しく、大手メディアが流す情報に頼らざるを得ない部分があったため、批判も生じたと考えられる。  当特集【2】の図【1】【3】のように、3月時点の報道において、テレビ局関係者による問題行動や発言がいくつかあったのは事実。『スッキリ!!』(日テレ)の大竹真レポーターや、首相会見中継におけるフジテレビスタッフなど、たとえ音声切り替えミスによる事故だったにせよ、非常時に報道に臨む者がそのような姿勢でいることは、批判されても仕方のないことだろう。 「中継中のああいった事故は珍しくないですが、大竹さんはタイミングが悪すぎた。中継が切れまくることへの皮肉だった、という話もありますが、被災直後の混乱した現場じゃ機材トラブルがあるのだって別に不思議はない。まぁ彼はレポーター系大手の圭三プロダクション所属ですし、あんなことがあっても、テレビ関係者の間ではクビになることはないと思ってる人が大半でしたけどね」(制作会社社員)  一方で、【2】のように、仕方なしに取った処置に対して、「不謹慎」という言葉を盾にした視聴者からの苦情も発生した。 「『非常事態をいいことに、ACが広告枠を買い占めている』と思った人もいたとかで、たいへんな誤解ですよ。通常のCMが入れられないから、差し替えでAC広告を入れてるのにね。『ポポポポーン』が耳障りだってところには同意しますけど(笑)、やり場のない苛立ちやストレスをぶつけた人が大半だったんじゃないでしょうか。一般企業のCMが再開したら再開したで、『まだそれどころじゃないだろう』と苦情が入るっていうんだから、じゃあどうすればいいんだよ!? って話ですよ」(キー局営業社員)  こうした報道をめぐる事件の中で最も大きなものは、東海テレビの「セシウムさん」騒動【4】だろう。午前の情報番組で、視聴者プレゼントの当選者名が表示されるべきところに「怪しいお米 セシウムさん」などと書かれたテロップが流れ、世間は騒然。表示する内容が決まるまで、仮で入れていた文字が誤って流れたものとされたが、制作時にスタッフ間でふざけてそうした文言を書いていたのだとしたら、よりタチが悪い。 ■破られた東電タブーそれでもテレビは......  原発事故をめぐる報道については、当初、マスコミにおける「東電タブー」によって、きちんと報じられないのでは? と、そうした事情を関知する人の間でささやかれた。  東京電力が毎年マスコミ各社に支払う広告宣伝費は300億円近くになるとされ、また、電力会社各社が加盟している電気事業連合会が支払う宣伝費も合計すると、1000億円に上るとする意見もある。マスコミ業界に厳然と存在する「スポンサータブー」から、原発事故には踏み込めないのではないかと危惧されたわけだ。しかし事故の規模は無視できるレベルになく、雑誌メディアを中心に、さまざまな独自取材記事が世に出ることとなった。  このように、従来は週刊誌等の雑誌においても、広告出稿の都合からタブー視されていたものの重しが外れたのは、今回の震災で大きく変わった点だろう。それでも、テレビのように幅広い層を対象にした媒体では、報じ方が難しいことには変わりがなかったという。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・"奇形の人なんて存在しない !?"  表現規制が生む新たな差別を考える急成長ケータイコミックへの表現規制がマンガの市場を殺す!?テレビのタブーを破った男が激白! マツコ起用の理由「デカくて面白いから使っただけ!」

[対談]"東北学"から読み解く被災地の闇──日本の植民地たる東北で、タブーなき復興とは?

──震災前、すでに活力を失いつつあった東日本大震災の被災地。"日本の植民地"たる東北に、描くべき未来はあるのか? 気鋭の社会学者・小熊英二氏と、震災で甚大な被害を受けた南三陸町出身の山内明美氏が、その難問に挑む。
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 東日本大震災から7カ月が過ぎた。その被害は甚大で復興にはいまだほど遠く、メディアに登場する被災地、そしてそこに生きる被災者の姿はいきおい、「かわいそうな被災者」、そして「そんなつらい現実を受け止め、懸命にがんばる人々」と、感傷的に描かれがちだ。いや、現にそうである以上、そのこと自体を非難はできまい。しかし、そのように"のみ"被災地が語られてしまうことで、覆い隠されていること─タブー─がありはしまいか?  被災地の大部分は、震災前からすでに疲弊しきっていたのではなかったか。そうした被災地にとって、国からただ予算を引っ張るだけの、そしてその代わりに国の要求に沿う形でただ町や村を再生させるだけの「復興」に、一体いかほどの意味があるのか─。  かような問題意識のもと、7月に緊急出版されたのが『「東北」再生』(イースト・プレス)だ。同書では、「東北学」を提唱してきた民俗学者の赤坂憲雄氏、『単一民族神話の起源―〈日本人〉の自画像の系譜』『〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性』(共に新曜社)などで日本の歴史を問い直してきた社会学者の小熊英二氏、そして、小熊氏の学問上の弟子に当たり、また今回の震災で甚大な被害を受けた町のひとつである宮城県南三陸町で生まれ育った歴史社会学者の山内明美氏が、これからの東北の、そして日本のあるべき姿を語り合っている。  そこで今回は、東日本大震災復興構想会議の委員職を務め多忙な赤坂氏を除く2人に、「震災前の被災地」がもともと抱えていた問題と、それを踏まえた上での被災地の今後のあるべき姿を、あらためて語ってもらった。 山内明美(以下、) 陸の孤島─。私が生まれ育った宮城県南三陸町を含めた三陸沿岸の町々は、そう呼ばれてきました。以前から後継者不足に悩む漁村や農村、そして、公立病院にさえ産婦人科・小児科もないというような医療過疎の町です。2005年に旧志津川町と旧歌津町が合併して、南三陸町に名前が変わりましたが、ほぼ限界集落の寄せ集まりであることに変わりはありません。少子高齢化の進んだ町です。地元の高校を卒業しても、長男は家督を継ぐために残りますが、それ以外の者は町を出て行かざるを得ない。そもそも働き口が町役場かJAくらいしかないんです。農閑期には、出稼ぎに行く人もたくさんいました。  私の場合は、高校卒業後、町の臨時職員になって、志津川の「民俗資料館」へ勤務しました。この民俗資料館は、80年代の国の農業構造改善事業からの出資で運営が始まったため、管轄は農林課でした。そういった経緯からか、村の大地主の民家を修復保存して公開していました。  その後、もっと違った形での町づくりについて学びたいと、24歳の時に上京して、大学に入学したんです。 小熊英二(以下、) 公民館などの「箱モノ」が地方で盛んにつくられたのは、80年代末から90年代。日米構造協議で日本が内需拡大を求められたのと、不況対策で公共事業が増えたのとが大きな要因です。そうやって国から降ってきたお金を、地方自治体は「箱モノ」にばかり使ってしまい、国にも地方にも財政赤字だけが残ってしまった。もう少し有効な使い方ができていれば、今とは違っていたかもしれません。  そうなんです。南三陸町の民俗資料館も、まさにそんな状態でした。80年代の国のばらまき政策で多くの箱モノを建てたはいいけれど、それにかかる莫大な維持費を、自治体の予算ではとても工面できなくなっていた。そうして累積赤字の積もった町には県の指導が入り、自分の町の予算さえ自分たちで決められないという状態に陥っていた。 ──『「東北」再生』において民俗学者の赤坂憲雄氏は、東京に食料と労働力、電力を供給し続けてきた東北を「日本の植民地」と表現している。その「植民地化」の歴史についても、小熊氏が同書で解説している。以下に要約してみよう。  本来は米作には適さない土地であった東北が「米どころ」のイメージを確立したのは、実は戦後から。朝鮮半島や台湾を失ったために困窮した食料自給を補うためだった。そのため、漁業の町である気仙沼や石巻も栄えた。  また、一次産業以外でも同様のことが起こる。鉄鉱山があった岩手県釜石市には、鉄の需要増加を受け、日本中から労働者が集まる。農村女性をはじめとした低賃金の非正規労働者をあてにして、東北各地に下請けの部品工場などが誘致された。と同時に、集団就職や出稼ぎで、若い労働力は東京をはじめ大都市へと向かった。  しかし、まずは一次産業が、70年前後から都市の食品供給が間に合ってきたことによる米の減反政策がきっかけとなり、立ちゆかなくなる。さらに鉱工業においては、80〜90年代の国際化の中、東北よりもさらに安価な労働力を有するアジアとの競争にさらされていく。そんな中、釜石の新日鐵釜石は、89年に製鉄をやめてしまう。  その次にやってくるのが、地方にスキー場やゴルフ場、テーマパークなどを作るリゾート化の流れ─典型的な公共事業の時代だ。東京とリゾート地を結ぶため、公共事業で高速道路や空港がつくられ、東京の広告代理店と地方の土建業者の合作のような計画が各地で進んでいった。  しかし、90年から2000年代以降、この流れは破綻する。地域を活性化させてくれるはずだった道路を使い、若者はどんどん都会に出ていった。駅前の商店街は、シャッター通りになった。東北の人口変動は、60年代前半をピークにして、あとは減少の一途をたどるのみ。東北に雇用などなく、補助金で地域を下支えできた時代など、震災前にとうに終わってしまっていたのだ。  そして、そんな状況に追い打ちをかけるように、突如として震災が町を襲った──。  三陸沿岸の町は、公共事業や補助金がふんだんに降ってきた時代の幻影をいまだに追っているように見えます。  震災後、「これでまた公共投資が降ってくる」などと浮き足立っている首長や建設業者などは多いでしょうね。一時的にそういった流れはあるでしょうが、絶対に長くは続かない。リーダーの人たちは、まずは「夢の時代」を忘れることから始めないと。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・『震災以降も「原子力ムラ」は何も変わっていない』 原発と共に生きる人たちの現実【前編】ブータンと水俣市に学ぶ震災後のあるべき日本の姿【前編】瓦礫撤去、産廃処理から義援金詐欺、人身売買まで──ヤクザも訝しがる復興事業"儲けのカラクリ"

「生涯保障」は生涯使えない!? テレビが伝えない生命保険の不払いと不始末

──「一生涯保障」「持病があっても入れます」といったコピーと共に、日々メディアに登場する生命保険のCM。これには巧妙な罠が隠されているという。しかし、その罠について、テレビはおろか、雑誌ですら大スポンサーである生命保険業界におもねって、真実をほとんど伝えようとしない......。
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好感度の高いタレントを起用する保険会社のCM。
住友生命では、嵐の相葉雅紀と北川景子を起用し
ている。
 "保険月"という言葉があるのをご存じだろうか? 大手企業の社員や公務員の方は経験があるだろうが、秋口であるこの季節になると、保険会社のセールスレディが社内に来たり、あるいは知人を介して訪ねてくる、保険会社が売り込みに力を入れる時期のことである。もちろんこの時期には、保険広告を目にする機会も増えているはずだ。 「これは例年、各保険会社が保険商品を拡販しようとキャンペーンを行う時期で、保険に加入する顧客の都合云々というよりは、業界の古い慣習です。この時期になると保険会社のセールスレディの間で集会が開かれ、普段よりはるかに高いノルマを課され、新規開拓のためのアポイントメントを必死で入れることになります」(保険業界関係者)  とはいえ、ひと昔前と違って、会社の中に営業担当者が堂々と入り込んで、新入社員を見つけるや「社会人になったのだから」と勧誘を始めるという光景はずいぶん減ったようだ。企業がコンプライアンスなどに敏感になっている今、どの会社も外部の人間の立ち入りには厳しくなっていることがその理由だろう。  それよりも近年は、盛んに放映されるCMや新聞・雑誌広告をきっかけに保険に加入する向きが多いかもしれない。ある外資系保険会社社員によると、「最もCMを大量に流していたのは10年前。ある保険会社では、年間500億円もの広告費をCMにつぎ込んでいたというが、そこから得られた利益は700億円に上り、十分元が取れていた」というから驚きだ。  だが、耳あたりの良い話に惹かれて保険に加入しても、"いざ"というときに保険金や給付金が支払われない事例が世間を騒がせたことは記憶に新しい。明治安田生命が悪質な不払いを繰り返していたことが発覚し、社会問題となったのは2005年のことである。  営業マンが契約の際に、加入に有利になるからと病歴などの告知をしないように勧め、虚偽の申告をさせておきながら、保険金支払いの段になると、告知義務違反として支払いを拒否するなどの手法が組織的に行われ、1000件以上、約15億円もの不払いが行われていたというものだ。バブル崩壊以降、保険会社は運用益が保険料の基準となる予定運用率を下回る「逆ざや」を抱えることになり、その結果、このような悪質な不払いにまで手を染めた会社があったのだ。 「明治安田生命の不払いが社会問題になり、行政やマスコミも厳しく糾弾したので、今はさすがにそのような悪質な不払いは見られなくなりました。しかし、CMで、事実と異なる錯覚を起こさせる手法は、いまだに健在。いざ何かが起こったときに、"加入時に想像していたのと違った"といったケースは、今でも頻繁に起こっています」  こう語るのは、長年生命保険業界で働き、今は個人で保険に関するアドバイスを行なっているファイナンシャルプランナーで、『生命保険の闇』(フォレスト出版)、『やっぱりあぶない、生命保険の選び方』(三五館)などの著書がある藤原龍雄氏。では、保険のCMに今でもはびこる騙しのテクニックについて聞いてみよう。 「『月々3000円で保障は一生涯』といったCMを目にしたことがあると思います。こういう文句を聞くと、何年も入院することになっても、ずっと入院費を保障してくれると思ってしまうのが普通ではないでしょうか。しかし、この場合、確かに保険料は生涯納め続けるのですが、一入院当たりの保障日数は60日や120日など、実は期限が限られているのです。  また、これは最近少なくなりましたが、『持病があっても、誰でも入れます』とうたった保険が、実は医療保険ではなく傷害保険で、けがには対応するけど病気には支払われない、といったものもありました。こういったことはCMの画面の下のほうに小さい文字で注釈がついていたりするのですが、そんなの、誰も読まないですよね」  業界関係者は「これは外資系、国内企業問わず、どの保険会社でも同じこと」と言うが、"医師の診断書なしで簡単に入れる保険"にも要注意だ。いざ病気になったときに、保険金や給付金が支払われないケースがあるからだ。
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"菊の維持費"に253億円! 知られざる天皇陛下と皇族の収入とは?

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『天皇家の財布』(新潮社)。
──皇室経済の実態と、その効果年間200億円以上にも上る皇室関連予算。だが、禁忌的な側面からか、それらが表立って語られることは実は少ない。日本の象徴として扱われ、金銭面で語ることがタブー視される皇室を、あえて経済の観点から考察、その経済効果を探ってみた―。  後、現人神ではなく国の象徴として君臨することとなった天皇。国賓との晩餐や内閣総理大臣の任命にかかわる儀式などの公務を日々こなしているが、一方で皇室を維持するために年間約253億円もの税金が投入されている。国家財政が逼迫している状況を鑑みれば、「菊タブー」として聖域化していた皇室関連予算に対しても、厳しい目を向けている国民は多い。 「皇族としての品位保持」の目的に使われるものも含まれている、これらの支出。だが、05年に高円宮承子さまが留学先での私生活を奔放につづったブログが問題となり、そのような皇室に多額の税金を投入することへの是非が問われた。しかし、「宮内庁御用達」の品々など、皇室が存在することによって発生する経済効果があることも事実。皇室存続の是非についてはさまざまな意見や立場があり、すぐに結論が出るものではないが、今回はあえて経済的な側面に焦点を当てていきたい。  そもそも、皇室にどれくらいの国家予算が投入されて、どのような使われ方をしているのか、積極的に取り上げるメディアが少ないこともあり、一般国民には見えにくい。ということで、まずは皇室費についての基本的な知識から押さえていこう。  皇室費には皇室経済法第3条で定められた、内廷費、皇族費、宮廷費の3種類がある。内廷費は天皇家に支給される予算で、今年度は3億2400万円。皇族費は秋篠宮家や常陸宮家など宮家に対する予算で、2億8822万円が支出されている。ちなみに、これらは法律的には「御手元金」という扱いになっており、つまりは天皇家、宮家の「家計」をやりくりする費用なのだ。  具体的にいえば、例えば愛子さまの教育費も内廷費から支払われているのだが、プライベートな費用のため、その実態は詳しく公開されていない。 ■皇室経済を語るのはやっぱりタブー?  元毎日新聞の宮内庁担当記者で、成城大学准教授の森暢平氏が執筆した『天皇家の財布』(新潮新書)によると、一般の会社員が皇族並みの手取りを得るには、内廷費からは、所得税や住民税、健康保険、年金などの諸経費が引かれないので、額面で7億円以上の収入が必要だという。  しかし、「宮家の例でいうと、皇族費には一定の基準があり、例えば秋篠宮家は悠仁さまを含めた5人で5490万円。半分は使用人を雇う人件費に充てられるとして、自由に使えるお金は3000万円ほどです。大手企業の役員でも、これくらいの給料の人はたくさんいる」(森氏)というのが現状。ちなみに、『天皇家の財布』によると、宮家の巨大な私邸に関しては、維持管理費を皇族費から払わなければいけない。こうした状況を考えると、この額が多いか少ないかは、国民一人ひとりの価値観に委ねられる部分が大きい。  さらに、皇室費としては、公的活動の費用に充てられる宮廷費がある。今年度予算は56億8378万円で、こちらは宮内庁が管理する公金という扱いだ。さらに、皇室に関連する予算としては宮内庁の人件費や事務費などが計上されている宮内庁費107億8557万円のほか、皇室の警備を担う皇宮警察本部の経費81億9899万円がある。これらの費用を合計すると約253億円となり、当然、財源は国民の税金だ。  これらについては「合理性を基にしたリベラリズム的な視点からすると、必然的に無駄なものは省こうという立場になるが、逆に伝統や格式を重んじる保守的な視点からすると、是が非でも守らなければいけないという立場になる」(森氏)ため、議論することが難しい。まして、かつては「不敬罪」があった皇室。現在でもその存在是非を問うことは一般的にタブーとなっており、約253億円という金額の費用対効果について論じることはメディアでも控えられがちだ。その証拠に、秋篠宮妃紀子さまが悠仁さまを出産された際の経済波及効果を年間3兆円規模とした試算はあるものの、皇室を取り上げた雑誌の売り上げ増や皇居周辺などを訪れる人が落としていく観光関連費を試算したデータは驚くほど少ない。今回取材を申し込んだなかでも「皇室関係の経済を試算することは控える方針となった」(某機関のマーケッター)という弁もあり、やはり皇室を経済で語ることには、抵抗がある様子。ほとんど国民による議論の俎上にも上がっていないのが実情であろう。森氏の試算によると、03年度の皇室関連予算の国民ひとりの負担額は、214円ほどだといい、これを庶民の生活感覚としてどうとらえるかはそれぞれ。一方、皇室があることよって得られる経済波及効果は税金の投入額を上回る可能性もあると考えられるが、実際にその費用対効果はどのようになっているのだろうか?
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シャープ「GALAPAGOS」撤退騒動に見る電子書籍の本質

──激変するITビジネス&カルチャーの深層を抉る!
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自慢のアーカイブが、虚無の彼方に消え去
るかも......となれば、ちょっと考えます。
 2010年は「電子書籍元年」と呼ばれたが、実際のところ、日本においてはまだ電子書籍が広く普及したとは言えない状況だ。幅広いユーザーへと波及しないのはなぜなのか? 先般話題になったシャープの電子書籍リーダーをめぐる騒動からその本質を考察する。  9月中旬、シャープの電子書籍リーダー「GALAPAGOS」が「撤退へ」と、新聞各紙などで一斉に報じられる騒ぎがあった。たとえば日刊スポーツはいかにも扇動的な「ガラパゴス"絶滅"真価を見せられず」という見出しで、こう報じている。 「液晶画面に触れるだけで簡単に操作できるタブレット端末。その国産品の一角が脱落した。シャープは15日、昨年12月に鳴り物入りで発売した『ガラパゴス』の自社販売を今月30日で終了すると発表した。わずか10カ月の短命となった背景には、先行する米アップル社『iPad』の勢いに勝てず、電子書籍のコンテンツ不足などが重なった。さらに、人気の多機能携帯電話『スマートフォン』にもアピール力で及ばなかったことなどが浮上した」  最後の文章など何を意味しているのかわからず、いかにもスポーツ紙らしいIT音痴ぶりを発揮しているが、しかし一般紙などの記事もおおむね「撤退」という論調だった。  これに慌てたのが、シャープ自身。翌日になって「撤退は事実と異なる報道だ」と異例の声明をリリースした。自社販売は終了するが、アンドロイド搭載のGALAPAGOS製品に関しては通信キャリアのイー・アクセスから発売しており、今後も販売していく予定だというのである。そして同時に濱野稔重副社長が大阪の機械記者クラブで「GALAPAGOSは決して撤退しない。来年にも、さらに新モデルを追加販売する予定だ。今後もさらに魅力ある端末とコンテンツサービスの提供に努め、事業拡大を図る」と説明したのだった。  しかし、GALAPAGOSのビジネスが岐路に立たされているのは間違いない。その約10日後には、今度は配信プラットフォーム「TSUTAYA GALAPAGOS」からTSUTAYAが撤退し、同プラットフォームがシャープの100%子会社になるという発表も行われた。  そもそもGALAPAGOSの販売方式には、残念ながらかなり無理があったと言わざるを得ない。家電量販店で購入を申し込んでもその場で製品は受け渡しされず、後日シャープから直送されてくる形式になっていた(あるいは、シャープのオンラインストアでの購入)。なぜ直販方式を採用したかといえば、電子書籍のプラットフォームビジネスでは単にリーダーという家電製品を販売するだけでなく、リーダーを中心とした電子書籍エコシステムを包括的に利用してもらわなければならないからだ。そのためには、ユーザーに製品購入時に必ず決済やアカウントの登録をしてもらう必要がある。  シャープの担当者は今年初め、私の取材にこう答えている。
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