櫻井翔と中居正広は既定路線? ジャニーズのポチと化したテレビ局が挑む五輪中継

【サイゾーpremiumより】
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『SMAP 中居正広』(アールズ出版)
──バレーボールワールドカップの放映のみならず、いまや、スポーツの祭典に欠かせなくなったジャニーズの存在。今回のロンドン五輪でいえば、民放、NHK6局のうち、実に3局が公式キャスターとしてジャニーズのタレントを起用している。「キャスターとしては可もなく不可もなく、現地の取材陣の邪魔はしない」という評価(?)もあるが、彼らの起用の裏には、やはりというべきテレビ局の思惑があった──。  五輪開幕を前に、各テレビ局で特番キャスターの陣容がほぼ出揃った。もっとも「スポーツ中継のバラエティ化」という民放の悪癖は相変わらずで、今回もどこかで見たような顔触れとなっている。  いち早く中継体制を発表した日テレは嵐の櫻井翔、フジはTOKIOの国分太一といずれもジャニーズがメインキャスターに決定。櫻井は日テレのニュース番組『NWS ZERO』のキャスターを務めており、北京・バンクーバーに続く3大会連続の起用。国分もフジの看板スポーツ番組『すぽると!』に出演中で、ある意味順当といえる人選だ。  テレビ朝日も5大会連続での起用となる松岡修造が決定しているが、気になるのはテーマソングも担当する福山雅治。スペシャルゲストとしてロンドン入りもするようだが、趣味のカメラが高じて、カメラマン然として堂々と現地入りしたシドニー五輪では、本物の取材陣から大ブーイングを受けた”前科”もあるだけに、その動向が注目されるところだ。  唯一、賭けに出たのがテレビ東京。メインが俳優の佐藤隆太、リポーターに元プロゴルファーの古閑美保というコンビは他局も首をかしげるキャスティングだ。 「佐藤の起用ですが、どうやら島田昌幸社長の鶴の一声で決まったようです。ウチはもともと予算が少ないためビッグネームはハナから無理。そこに、爽やかなイメージと知名度もそこそこ、ギャラも安めという佐藤が浮上した。仕切りは経験豊富な局アナの大橋未歩に任せればいいという考えです」(テレビ東京関係者) 佐藤にしても今回のオファーは渡りに船だろう。TBS『ROOKIES』の大ヒットで一躍旬な俳優となり、CMやドラマ出演が激増したものの、その後はジリ貧。主演したドラマ『クレオパトラな女たち』(日テレ)も打ち切りになるほど数字的には惨敗で、今が最後の売り時との声も聞こえてくる。 「佐藤と松岡は、共に暑苦しいキャラが売りだけに”熱血キャラ対決”なんて言われてます。ただ、選手出身で、ニュース番組などでアスリートへの地道な取材を続けてきた松岡に対して、専門知識も経験もない佐藤の起用は、ハッキリ言って他局ドラマのイメージに頼ったバクチでしかないでしょう」(放送作家)  唯一、7月に入るまでメインキャスターの発表がなかったTBSだが、アテネから連続して担当しているSMAPの中居正広に決定した。 「発表が遅れた理由は、後輩の関ジャニ∞の村上信五が出ているユーロの決勝中継が終わってからという配慮だったようです。ただ、中居は大の野球ファンだけに、一部では『今回は正式競技から野球が外れたから、中居がグズっているのでは』なんて話も飛び交ってました」(テレビ誌記者)  最後に、国内のテレビ局では最長の放送時間を予定しているNHKだが、メインの中継キャスターにフリーの山岸舞彩を起用。ベテラン局アナの工藤三郎アナとのコンビでロンドン入りする予定で、NHKが中継キャスターを現地に派遣するのも初めての試みだ。 「これまで局アナだけによる中継を続けてきたNHKも、とうとうバラエティ化への舵を切り始めたということでしょう。山岸はあのセント・フォースの所属で、担当するスポーツ番組ではNHKらしからぬミニスカ美脚でオジサン層の支持を集めて抜擢されましたからね。そういえば過去には、東レのキャンペーンガールとして水着姿を披露したこともある」(前出・テレビ誌記者)  こうして見ると、今回はジャニーズ勢を起用した日テレ、フジ、TBSのバラエティ路線、ジャーナリズムを意識したテレ朝、勢いと熱血のテレ東、そして安定味に若干のお色気を加えたNHKという構図になりそうだ。 「特徴的なのは、吉本勢の名前がほとんど見当たらないこと。日テレの明石家さんまくらいで、五輪中継では常連のダウンタウン・浜田雅功もいない。1年ほど前までフジ『すぽると!』のレギュラーコメンテーターをやっていたチュートリアルの徳井義実も、まったくお呼びがかからなかった。やはり島田紳助事件や生活保護費受給問題などでついた黒いイメージが影響したんでしょうか」(広告代理店関係者)  それにしても、あらためて目立つのが6局中3局というジャニーズの独占ぶり。ファンを除けば、いささかウンザリという空気も漂ってきそうだが、それでもなおジャニーズ勢が五輪キャスターの座を守り続けるのには理由がある。 「局側としては、『ジャニーズタレントを起用することで若い世代に興味を持ってもらえれば、競技人口の底上げにもなる』というのが表向きの見解ですが、本音を言えば、やっぱり安定した視聴率が見込める点に尽きる。ジャニーズには根強い固定ファンがいますし、スポンサーのウケもいい。山ほどある冠番組と連動した番宣も可能ですしね」(民放プロデューサー)  その威力はこの5~6月にフジとTBSが中継したバレーボール世界最終予選でも実証済みだ。特に女子チームは大会前に『VS嵐』に出演。「スペシャルサポーター」のSexy Zoneが毎日のように会場を盛り上げ、これを国分がキャスターを務める『すぽると!』がトップニュースで連日報道。最終戦では23%という高視聴率を記録したが、世間との温度差を考えれば、これは驚異的な数字である。  いくらジャニーズに興味のないオジサン視聴者が「スポーツ中継は局アナと専門家の解説で十分だ」と文句を言ったところで、それだけで視聴率は狙えない。以前に比べて影響力の低下が指摘されるジャニーズだが、力関係でいえば、人気のジャニーズ勢を局側が奪い合っているという構図はここ十数年変わっていないのである。 「日テレでいえば、嵐は今年の『24時間テレビ』のメインパーソナリティーにも決定しており、上層部は最初からジャニーズありきで動いていた。正直言って五輪もか、という感じです。対抗馬として名前が挙がっていたのも、スポーツ番組『Going!』に出演しているKUT-TUNの亀梨和也くらい。それも7月から映画版『妖怪人間ベム』の撮影が入っているためにスケジュールが取れず、スンナリと櫻井に決定しました」(日テレ関係者)  ただし、過去2回の櫻井の司会ぶりは、「無難ではあるが、カタすぎる」と、それほど評価が高かったわけではない。さすがに日テレも心もとなかったようで、明石家さんまとくりぃむしちゅーの上田晋也というメインクラスを”スペシャルサポーター”としてキャスティングしている。  国分を選んだフジにも同様の事情があったようだ。看板番組の『SMAP×SMAP』『VS嵐』に加え、4月クールでも嵐の大野やSMAPの草彅剛が主演したドラマが、それなりの視聴率を獲得しているという”恩義”がある。 「最近はジャニーズのゴリ押しが恒常化していて、局員ですらゴリ押しとは思わなくなっている(笑)。まあ、国分なら上層部から現場のスタッフにまでまんべんなく腰が低いし、取材でも番記者の邪魔はしないのでマシな部類ですよ」(在京テレビ局スタッフ)  制作発表会見では「フジのお偉いさんにどうにか気に入ってもらって、このポジションを手に入れることができました」と冗談交じりに話していた国分だが、事務所の後押しの力を誰よりも自覚していたのかもしれない。  ジャニーズにとって今回、唯一の誤算といえば、これまでキャスター起用とほぼセットで採用されてきたテーマソングを外されたことだろう。日テレ内からも、こんな声が聞こえてくる。 「嵐の曲が最有力ですが、実は制作サイドからAKB48を起用したいという要望が出ていて調整に難航しています」(日テレ関係者)  露出が約束されるオイシイ五輪特需の争奪戦はギリギリまで続くようだ。 (文/小松 巌) (この記事は7月上旬に作成された記事です。)
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【WORLD ORDER】「日本の現状は明らかにおかしい!」WORLD ORDERが導く新たな世界

【サイゾーpremiumより】 ──須藤元気率いる7人組のダンスパフォーマンスユニットWORLD ORDERが、ニューアルバムをリリース。タイトル『2012』に込めたメッセージとは?
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(写真/三浦太輔 go relax E more)
 須藤元気が止まらない。  格闘技界を引退した”変幻自在のトリックスター”須藤元気によって、2009年に結成された7人組のダンスパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」。ポップなダンスミュージックと見る者を異次元に導くロボットダンスで構成される独特な世界観は、世間の注目を集め、YouTubeで公開したPVの再生数はのべ2000万超を記録。海外のイベントでもパフォーマンスを行うなど、その勢いは加速している。  そんなWORLD ORDERが、待望の2ndアルバム『2012』をリリースする。リードトラック「2012」の導入では、「つみ重ねた歴史が終わりを告げ 文明周期の記憶よみがえる……」と、いきなり”世界の終わり”を宣言し、PV撮影もメキシコの古代遺跡で敢行するなど、マヤ文明の2012年世界終末論を強く意識しているのが感じられる。さらに、神話的モチーフがちりばめられた「AQUARIUS」では、PVの舞台に京都の寺社を据え、ロボットダンスで魅せる非日常の映像世界は宗教的ですらある。  以前より傾倒していた精神世界の影響が色濃く出ている印象だが、作詞作曲を手がけた須藤元気は現代社会に何を啓示しようとしているのか? 「僕は12年を時代の転換点だととらえています。現在、個人も社会も『変わらないといけない』という潜在的な想いを抱えています。日本の年間の自殺者数が3万人。1日に約100人が自ら命を絶つ日本の現状って、明らかに何かがおかしいですよね。モノが人を幸せにする時代が終わって、目に見えない何か、例えば心地いい空気を仲間と共有したりすることが価値を持ち始めているのを感じます。物質至上主義から精神の時代へ、世界が動きだしていることを、このアルバムで伝えたいですね」  11年の東日本大震災も、アルバムの世界観に大きく影響を与えている。須藤は震災後、東北復興支援団体「Team WE ARE ALL ONE」を結成し、ボランティア活動に従事した。ひとりのファンから寄付金を託されたことと、「何かしなければ」という自分の気持ちが共鳴し、4月の段階で宮城県石巻市へ。がれき撤去作業の傍ら、家が流された人や家族と悲しみの対面をした人と直接話し、時に涙を流した。 「モノに執着することの無意味さを、あらためて痛感しました。また、制御不能な原発に依存する日本の現状にも疑問を感じました」  震災ボランティアに象徴されるように、須藤はずっとリアルな人とのつながりを大切にしてきた。それを示すように、WORLD ORDERが発足当時より情報発信の主戦場として選んできたのは、ネットの世界。PVをYouTubeで公開し、ファンの心をダイレクトにつかんでいる。 「テレビは今も巨大なメディアですが、リアルなことを伝えられるかというと疑問です。広告費などで内容が左右されるという話も聞きます。しかも、テレビだと発信先が固定化されていて、国内の音楽ファンにしか届かない。その点、ネットには国境もジャンルの壁もありません。いいものを発信すれば、世界中の人がすぐに反応してくれますからね」  目の前の世界を疑え。須藤は、自身の著書でも繰り返しそう述べてきた。既存の枠組みが大きく変わろうとしている現代で、大切なのは状況よりも「あり方」。自分のあり方次第で、世界は新しい一面を見せてくれる。「時代の転換点」で須藤が本当に伝えたいのは、そんなメッセージだという。 「世界は、いわば自分の意識を投影したもの。自分が変われば、世界は変わるんです。大切なのは言葉。人には3つの構成要素があって、それは『思考・言葉・行為』。思考は簡単に変わりませんが、言葉は明日からでも変えられます。僕も『ミュージシャンになる』と言葉にしたことで、周りの状況が変わり、自分の意識も変わりました。言葉ってエネルギーなんです。エネルギーっていうのは……」  須藤元気が止まらない。 (文/丸茂アンテナ) WORLD ORDER 須藤元気が立ち上げたパフォーマンスユニット。09年12月にiTunes先行配信で「WORLD ORDER」を発表し、10年7月に同名のアルバムでデビュー。須藤元気と6名のダンサーでつくり上げる独創的な世界観は、国内外で高く評価されている。12年3月には、640人の一般参加のダンサーと共に、ロボットダンスを踊り、大人数ロボットダンスのギネス認定記録を樹立した。
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『2012』 WORLD ORDERの2ndアルバム。未発表MVやメイキング映像も収録したBlu-ray/DVD+CDの2枚組。Blu-ray/DVDは、YouTubeで先行公開されている「2012」「MACHINE CIVILIZATION」「AQUARIUS」に加え、メンバーがホストに扮するコミカルな「CHANGE YOUR LIFE」など、全5曲。CDには未発表曲「HELLO ATLANTIS」を含む全7曲が収録されている。世界が熱視線を送る異次元のパフォーマンスを体感したい。 発売:ポニーキャニオン 価格:Blu-ray+CD/4935円(税込)DVD+CD/3990円(税込)発売日:6月20日 (衣装協力/D’URBAN、azabu tailor)
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【WORLD ORDER】「日本の現状は明らかにおかしい!」WORLD ORDERが導く新たな世界

【サイゾーpremiumより】 ──須藤元気率いる7人組のダンスパフォーマンスユニットWORLD ORDERが、ニューアルバムをリリース。タイトル『2012』に込めたメッセージとは?
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(写真/三浦太輔 go relax E more)
 須藤元気が止まらない。  格闘技界を引退した”変幻自在のトリックスター”須藤元気によって、2009年に結成された7人組のダンスパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」。ポップなダンスミュージックと見る者を異次元に導くロボットダンスで構成される独特な世界観は、世間の注目を集め、YouTubeで公開したPVの再生数はのべ2000万超を記録。海外のイベントでもパフォーマンスを行うなど、その勢いは加速している。  そんなWORLD ORDERが、待望の2ndアルバム『2012』をリリースする。リードトラック「2012」の導入では、「つみ重ねた歴史が終わりを告げ 文明周期の記憶よみがえる……」と、いきなり”世界の終わり”を宣言し、PV撮影もメキシコの古代遺跡で敢行するなど、マヤ文明の2012年世界終末論を強く意識しているのが感じられる。さらに、神話的モチーフがちりばめられた「AQUARIUS」では、PVの舞台に京都の寺社を据え、ロボットダンスで魅せる非日常の映像世界は宗教的ですらある。  以前より傾倒していた精神世界の影響が色濃く出ている印象だが、作詞作曲を手がけた須藤元気は現代社会に何を啓示しようとしているのか? 「僕は12年を時代の転換点だととらえています。現在、個人も社会も『変わらないといけない』という潜在的な想いを抱えています。日本の年間の自殺者数が3万人。1日に約100人が自ら命を絶つ日本の現状って、明らかに何かがおかしいですよね。モノが人を幸せにする時代が終わって、目に見えない何か、例えば心地いい空気を仲間と共有したりすることが価値を持ち始めているのを感じます。物質至上主義から精神の時代へ、世界が動きだしていることを、このアルバムで伝えたいですね」  11年の東日本大震災も、アルバムの世界観に大きく影響を与えている。須藤は震災後、東北復興支援団体「Team WE ARE ALL ONE」を結成し、ボランティア活動に従事した。ひとりのファンから寄付金を託されたことと、「何かしなければ」という自分の気持ちが共鳴し、4月の段階で宮城県石巻市へ。がれき撤去作業の傍ら、家が流された人や家族と悲しみの対面をした人と直接話し、時に涙を流した。 「モノに執着することの無意味さを、あらためて痛感しました。また、制御不能な原発に依存する日本の現状にも疑問を感じました」  震災ボランティアに象徴されるように、須藤はずっとリアルな人とのつながりを大切にしてきた。それを示すように、WORLD ORDERが発足当時より情報発信の主戦場として選んできたのは、ネットの世界。PVをYouTubeで公開し、ファンの心をダイレクトにつかんでいる。 「テレビは今も巨大なメディアですが、リアルなことを伝えられるかというと疑問です。広告費などで内容が左右されるという話も聞きます。しかも、テレビだと発信先が固定化されていて、国内の音楽ファンにしか届かない。その点、ネットには国境もジャンルの壁もありません。いいものを発信すれば、世界中の人がすぐに反応してくれますからね」  目の前の世界を疑え。須藤は、自身の著書でも繰り返しそう述べてきた。既存の枠組みが大きく変わろうとしている現代で、大切なのは状況よりも「あり方」。自分のあり方次第で、世界は新しい一面を見せてくれる。「時代の転換点」で須藤が本当に伝えたいのは、そんなメッセージだという。 「世界は、いわば自分の意識を投影したもの。自分が変われば、世界は変わるんです。大切なのは言葉。人には3つの構成要素があって、それは『思考・言葉・行為』。思考は簡単に変わりませんが、言葉は明日からでも変えられます。僕も『ミュージシャンになる』と言葉にしたことで、周りの状況が変わり、自分の意識も変わりました。言葉ってエネルギーなんです。エネルギーっていうのは……」  須藤元気が止まらない。 (文/丸茂アンテナ) WORLD ORDER 須藤元気が立ち上げたパフォーマンスユニット。09年12月にiTunes先行配信で「WORLD ORDER」を発表し、10年7月に同名のアルバムでデビュー。須藤元気と6名のダンサーでつくり上げる独創的な世界観は、国内外で高く評価されている。12年3月には、640人の一般参加のダンサーと共に、ロボットダンスを踊り、大人数ロボットダンスのギネス認定記録を樹立した。
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『2012』 WORLD ORDERの2ndアルバム。未発表MVやメイキング映像も収録したBlu-ray/DVD+CDの2枚組。Blu-ray/DVDは、YouTubeで先行公開されている「2012」「MACHINE CIVILIZATION」「AQUARIUS」に加え、メンバーがホストに扮するコミカルな「CHANGE YOUR LIFE」など、全5曲。CDには未発表曲「HELLO ATLANTIS」を含む全7曲が収録されている。世界が熱視線を送る異次元のパフォーマンスを体感したい。 発売:ポニーキャニオン 価格:Blu-ray+CD/4935円(税込)DVD+CD/3990円(税込)発売日:6月20日 (衣装協力/D’URBAN、azabu tailor)
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 須藤元気が止まらない。  格闘技界を引退した”変幻自在のトリックスター”須藤元気によって、2009年に結成された7人組のダンスパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」。ポップなダンスミュージックと見る者を異次元に導くロボットダンスで構成される独特な世界観は、世間の注目を集め、YouTubeで公開したPVの再生数はのべ2000万超を記録。海外のイベントでもパフォーマンスを行うなど、その勢いは加速している。  そんなWORLD ORDERが、待望の2ndアルバム『2012』をリリースする。リードトラック「2012」の導入では、「つみ重ねた歴史が終わりを告げ 文明周期の記憶よみがえる……」と、いきなり”世界の終わり”を宣言し、PV撮影もメキシコの古代遺跡で敢行するなど、マヤ文明の2012年世界終末論を強く意識しているのが感じられる。さらに、神話的モチーフがちりばめられた「AQUARIUS」では、PVの舞台に京都の寺社を据え、ロボットダンスで魅せる非日常の映像世界は宗教的ですらある。  以前より傾倒していた精神世界の影響が色濃く出ている印象だが、作詞作曲を手がけた須藤元気は現代社会に何を啓示しようとしているのか? 「僕は12年を時代の転換点だととらえています。現在、個人も社会も『変わらないといけない』という潜在的な想いを抱えています。日本の年間の自殺者数が3万人。1日に約100人が自ら命を絶つ日本の現状って、明らかに何かがおかしいですよね。モノが人を幸せにする時代が終わって、目に見えない何か、例えば心地いい空気を仲間と共有したりすることが価値を持ち始めているのを感じます。物質至上主義から精神の時代へ、世界が動きだしていることを、このアルバムで伝えたいですね」  11年の東日本大震災も、アルバムの世界観に大きく影響を与えている。須藤は震災後、東北復興支援団体「Team WE ARE ALL ONE」を結成し、ボランティア活動に従事した。ひとりのファンから寄付金を託されたことと、「何かしなければ」という自分の気持ちが共鳴し、4月の段階で宮城県石巻市へ。がれき撤去作業の傍ら、家が流された人や家族と悲しみの対面をした人と直接話し、時に涙を流した。 「モノに執着することの無意味さを、あらためて痛感しました。また、制御不能な原発に依存する日本の現状にも疑問を感じました」  震災ボランティアに象徴されるように、須藤はずっとリアルな人とのつながりを大切にしてきた。それを示すように、WORLD ORDERが発足当時より情報発信の主戦場として選んできたのは、ネットの世界。PVをYouTubeで公開し、ファンの心をダイレクトにつかんでいる。 「テレビは今も巨大なメディアですが、リアルなことを伝えられるかというと疑問です。広告費などで内容が左右されるという話も聞きます。しかも、テレビだと発信先が固定化されていて、国内の音楽ファンにしか届かない。その点、ネットには国境もジャンルの壁もありません。いいものを発信すれば、世界中の人がすぐに反応してくれますからね」  目の前の世界を疑え。須藤は、自身の著書でも繰り返しそう述べてきた。既存の枠組みが大きく変わろうとしている現代で、大切なのは状況よりも「あり方」。自分のあり方次第で、世界は新しい一面を見せてくれる。「時代の転換点」で須藤が本当に伝えたいのは、そんなメッセージだという。 「世界は、いわば自分の意識を投影したもの。自分が変われば、世界は変わるんです。大切なのは言葉。人には3つの構成要素があって、それは『思考・言葉・行為』。思考は簡単に変わりませんが、言葉は明日からでも変えられます。僕も『ミュージシャンになる』と言葉にしたことで、周りの状況が変わり、自分の意識も変わりました。言葉ってエネルギーなんです。エネルギーっていうのは……」  須藤元気が止まらない。 (文/丸茂アンテナ) WORLD ORDER 須藤元気が立ち上げたパフォーマンスユニット。09年12月にiTunes先行配信で「WORLD ORDER」を発表し、10年7月に同名のアルバムでデビュー。須藤元気と6名のダンサーでつくり上げる独創的な世界観は、国内外で高く評価されている。12年3月には、640人の一般参加のダンサーと共に、ロボットダンスを踊り、大人数ロボットダンスのギネス認定記録を樹立した。
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『2012』 WORLD ORDERの2ndアルバム。未発表MVやメイキング映像も収録したBlu-ray/DVD+CDの2枚組。Blu-ray/DVDは、YouTubeで先行公開されている「2012」「MACHINE CIVILIZATION」「AQUARIUS」に加え、メンバーがホストに扮するコミカルな「CHANGE YOUR LIFE」など、全5曲。CDには未発表曲「HELLO ATLANTIS」を含む全7曲が収録されている。世界が熱視線を送る異次元のパフォーマンスを体感したい。 発売:ポニーキャニオン 価格:Blu-ray+CD/4935円(税込)DVD+CD/3990円(税込)発売日:6月20日 (衣装協力/D’URBAN、azabu tailor)
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おバカな独裁者が問いかける民主主義

【サイゾーpremiumより】 雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。
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『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』 架空の国ワディヤの独裁者アラジーン(サシャ・バロン・コーエン)は、自国での核開発を疑われ、ニューヨークの国連本部へと召喚される。そこで拉致されて、路頭に迷った彼は、心優しい女性の元で難民として働き始めるのだが……。 監督/ラリー・チャールズ 出演/サシャ・バロン・コーエン、アンナ・ファリス、ベン・キングズレーほか 日本では、9月7日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか、全国順次公開  今年2月のアカデミー賞授賞式。開場前のレッドカーペットに、勲章をいっぱいつけた軍服を着て、オサマ・ビン・ラディンみたいな長い髭を生やした男が現れた。  独裁者に扮したサシャ・バロン・コーエンだ!  コーエンはイギリス出身のコメディアン。映画『ボラット』でカザフスタン国営テレビのレポーターと偽ってアメリカ各地を取材した。つまり「どっきりカメラ」方式の疑似ドキュメンタリーで、「カザフスタンのテレビなら何を言っても大丈夫さ」と油断したアメリカ人から黒人やユダヤ人差別発言を引き出した(コーエン自身はユダヤ系)。  その次の『ブルーノ』でのコーエンは、オーストリアのゲイのファッション・レポーター。ゲイ嫌いの保守的な南部のハンターに夜這いをかけて殺されそうになったりした。 『ディクテーター(独裁者)』でコーエンが演じるのは、中東の架空の国ワディヤの独裁者アラジーン将軍。『ヒューゴの不思議な発明』に、ギャグを封印して普通の俳優として出演し、アカデミー賞にも出席したコーエンは、レッドカーペットにはカダフィみたいに美女の護衛を2人連れて登場した。 「親愛なる金正日に捧ぐ」  冒頭の献辞で『ディクテーター』は最初の笑いを取る。主人公アラジーンは中東の独裁者だが、どっちかといえば金正日に似ている。独裁者の息子として生まれ、幼い頃からわがまま放題。核兵器の開発をしていると疑われ、国連から召喚され、ニューヨークにやってくる。  アメリカに着くやいなや、アラジーンはアラブ嫌いの男に拉致され、トレードマークの髭を剃られ、身ぐるみを剥がされてニューヨークの路上に放り出される。アラジーンの側近は、一緒に連れてきた影武者をアラジーンに仕立てる。  アラジーンはニューヨークで誰にも頼れない。ワディヤ人も大勢住んでいるが、みんなアラジーンの独裁から逃げてきた難民だ。アラジーンだとバレたら殺される。  彼を救ったのは、ゾーイという優しい女の子。彼女はオーガニック食料品店を切り盛りし、世界中の独裁国家から逃れてきた難民たちに職場を提供し、支援していた。アラジーンも哀れな難民と思われて、そこで働くうちにゾーイと恋に落ちる。 『ディクテーター』を観ると、チャップリンの『独裁者』(1940年)を思い出さずにいられない。チャップリンはヒットラーにそっくりの独裁者ヒンケルと、彼に瓜二つのユダヤ人の床屋の二役を演じた。ユダヤ弾圧をするヒンケルに床屋が間違われて……というコメディ。当時はヒットラーの最盛期で、チャップリンは、ドイツと戦争する気がないアメリカにナチ打倒を促すために、この映画を作った。  ただ、コーエンは『ディクテーター』を「独裁者は悪い。民主主義はいい。アメリカは素晴らしい」などという単純な映画にはしない。アラジーンは自分がしてきた罪に気づいて反省するが、母国から来た核物理学者に独裁を続けろと励まされる(彼は核兵器を作りたいだけ)。 「あんたは最後の独裁者なんだから頑張れ! カダフィも倒れた。金正日も、チェイニー副大統領も! あんたがいなくなったら、言論は自由になり、女性の権利も認められてロクでもないことになるぞ!」  一方、影武者は国連でワディヤの民主化を宣言しようとしていた。それを裏で操るのは、エクソン・モービル、BP、ペトロ・チャイナという石油メジャー。民主化されればワディヤの石油利権が手に入る。世界の巨大企業のベストテンにランクされる彼らがアメリカや中国の政治を動かし、湾岸戦争やイラク戦争を引き起こした。彼らに比べたらアラジーンなんてちっぽけな小悪党だ。  チャップリンの『独裁者』は、ヒンケルに間違われたユダヤ系の床屋がラジオで世界の虐げられた人々を励ます演説をして感動的に終わる。アラジーンも最後に演説をするが、その内容は辛辣だ。 「アメリカでは上位1%の金持ちが富のほとんどを独占し、貧乏な庶民は医療保険もない。国民に選ばれた大統領はウソをついて戦争を起こした。独裁とどっちがマシだ? 民主主義は欠陥だらけのシステムだ。でも……」  その「でも」から後が感動的。ちょっと涙が出たよ。 まちやま・ともひろ サンフランシスコ郊外在住。『〈映画の見方〉がわかる本』(洋泉社)など著書多数。TOKYO MXテレビ(金曜日23時半~)にて、『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』が放送中。
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『けいおん!』人気にも便乗!? AKB48のマーケティング戦略とは?

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『AKB48 よっしゃぁ~行くぞぉ~!in
西武ドーム スペシャルBOX』
 今月22日、今をときめくアイドルグループAKB48(以下、AKB)が、4日間かけて行われるコンサート『リクエストアワーセットリストベスト100』の最終日を迎えたことが話題となりました。同コンサートでは、AKBの新曲『GIVE ME FIVE!』を初披露。同曲はAKBメンバーたちによるバンド演奏の形式を取り、多くのファンを驚かせました。  奇しくも現在、女子高生の軽音楽部での日常を描いたアニメ映画『けいおん!』が大ヒット中。さすが時代のカッティングエッジを突っ走るプロデューサー・秋元康氏の手がけたアイドルグループだけあって、最先端のムーブメントを牽引する力を感じさせ、AKBのさらなる発展を感じさせるには十分なイベントだったといえるでしょう。  もはや"時代と寝た"アイドルといっても過言ではない彼女たちですが、もちろんサイゾーもAKBのことが気になる......。ということで、今回は今までサイゾーが追ってきたAKBの記事でオススメのものをピックアップしてみました。AKBを広告塔に使うIT企業の黒い噂や昨年のレコ大受賞の裏でうごめくコワモテ事務所の影から、松井玲奈ちゃんのグラビアまで──AKBの裏までわかる大特集をご一読あれ! 【プレミアムな関連記事】 土壇場の大逆転劇──AKB48レコ大受賞を"許した"バーニング&エイベックスの狙い 2012年1月号(プレミアサイゾー) EXILE兄さん、譲ってくれてあざーす! 「ヤンジャン」は他誌の2倍起用!! マンガ誌が愛す"グラビア登場回数"加点式AKB48ランキング 2011年12月号(プレミアサイゾー) グラビア人気は総選挙とはガラリと違う? 高岡蒼甫、平野綾、AKB48まで──芸能マネージャーが語る「ツイッターは百害あって一利なし!」 2011年10月号(プレミアサイゾー) Google+でも積極的に活動を始めたAKB。広告費が出れば利益のほうが大きいのかな。 アウトローには板野友美が大人気!? 瓜田純士、元ヤクザたちの推しメンとAKB48論 2011年9月号(プレミアサイゾー) 悪いメンズたちもAKBに夢中。 AKB48オーナーに囁かれるさらに黒い履歴とマスコミ統制 2011年8月号(プレミアサイゾー) AKBとエイベックス急接近の裏側には。 マルサの女──松井玲奈(SKE48)推しメンはきしめんなんです。 2011年10月号(プレミアサイゾー) こんな大人の色気も出せちゃうのです。 ■特集企画:醜聞にまみれたAKB48の明暗 2011年8月号(プレミアサイゾー) 研究生の実態、所属プロの本音──事務所は太田、狙い目はSDN? AKB48の芸能界サバイバル術 "セレクション"で強制卒業!? AKB48"伝説"の元8期生・三木にこるが語る研究生の"報われない"現実 オーディション経験者が匿名で大暴露! "非情オーディション"と"生き残れる女たち"とは? 新進気鋭の政治学者(大島優子推し)が徹底解析!! 『もしもAKB48総選挙を"ガチで"分析したら』 みんながんばってるんだね。 ■特集企画:AKB48広告効果の舞台裏 2011年8月号(プレミアサイゾー) 業務停止命令の問題企業もOK? 公演チケットを餌に集客「AKB48に群がる黒いIT企業」 セカンドライフは黒歴史になるか? AKB48を起用するIT企業のブラック度を徹底検証! やっぱりともちんは"底上げ"されてた!? だからAKB48のCM起用の理由を直接聞いてみた AKBの人気に便乗しようとする不届きな輩もいるらしいです。気をつけて!
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『グラゼニ』森高夕次×『砂の栄冠』三田紀房──「『ドカベン』は描かなかった 球界とカネ事情」


【プレミアサイゾーより】 ──プロ野球界で年俸事情を軸に据え、選手たちが右往左往するさまを描く『グラゼニ』と、1000万円を預かった公立校のエースが、その金を元手に甲子園を目指す異色の高校野球マンガ『砂の栄冠』。マンガ史に燦然と輝く野球マンガの名作は数あれど、「野球と金」をテーマに据えた作品はこの2作が初であろう。両作の作者、森高夕次と三田紀房が、裏金や栄養費問題など、金をめぐるタブーの存在が囁かれる野球界への思いを語る!

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(写真/田中まこと)
三田(以下、)『グラゼニ』は「週刊モーニング」の連載で毎週追って読んでるんですけど、今日は「どうしてくれるんだ」って森高さんに訴えに来たんです。 森高(以下、) え!?  実はプロ野球の裏側を描くストーリーは、僕も狙ってたんです(笑)。ひそかにプロ関係の人に会ったり選手や球団を取材して、「これは面白い、いける!」って踏んでたんですけど、『グラゼニ』が始まって先を越されて、しかもすごく面白いから、全部おジャンですよ(笑)。  それはすみません(笑)。僕は逆に、『砂の栄冠』のような作品は描けないというか、発想もなかったですね。単行本で一気に読みたくて、これまであえて連載は読まないようにしてたんです。今回いい機会だということで拝読したら、ストーリーもやっぱり三田流に楽しませつつ一気に引き込まれるし、何より巻末のコラムと合わせて「コミックスの商品性」がすごい。あそこまで裏側を書けるってことは、巻末コラムを書かれてる田尻賢誉さん(スポーツジャーナリスト)含めて相当取材なさってますよね?  でも、あのコラムに出てる話って、取材で得た情報のうちの、ほんの10分の1くらいなんですよ。表には出せないエゲツない話が多いから、これでも削りに削って、当たり障りのないレベルに落として書いてるんです。『グラゼニ』は、よく中継ぎピッチャーの話で連載に持っていったな、と感心しますね。中継ぎが主人公って本当に画期的なことで、そんな地味なものは企画段階でまず「連載にならない」と編集部にハネられるはずなんですよ。そこをこじ開けた功績は相当大きいと思います。  実際そこまで深く考えたわけではなくて、『グラゼニ』はぶっちゃけ、ほかの雑誌用に描いて眠っていたネームがあったんです。もともと僕自身のパッションというか、「これが描きたいんだ!」というのが強くあって、それを出しただけというか。  なるほど、個人的な動機が大きかったんですね。僕も高校野球はずっと描きたくて、『クロカン』や『甲子園へ行こう!』【2】の後、『ドラゴン桜』【3】を描いてる時も、春夏必ず甲子園には行ってたんですよ。でも単純に「高校野球を描きたい」と言っても、今時どこの雑誌も、洟も引っかけてくれない。何かしら読者を惹きつけるフックが必要だったから、表向きは爽やかで純粋だと思われている世界の裏側を見せながらストーリーを展開していこうと。  僕は『砂の栄冠』は、主人公チームのサクセス物語だと読んだんですけど、画期的に新しい点は、主人公率いる弱小公立校が「21世紀枠」を狙うところなんですよね。そういう実践的な戦略を立てて、弱小チームが強くなっていくプロセスを一つひとつ見せていく作りが三田マンガの真骨頂というか。  ロールプレイングゲームじゃないですけど、一個一個アイテムを揃えていってキャラクターが強くなっていくと、楽しいじゃないですか。アイテムを揃えてレベルアップした田舎の弱小校が、強豪校を打ち倒すっていう感覚はありますね。  あと、演出に結構な頻度で動物が出てくるとこも三田流だなと。  それは僕のオリジナルというか、単に僕が「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)の出身だからですよ。 『ミナミの帝王』【4】イズムですか(笑)。  やっぱり「ゴラク」で生き抜くためには、『ミナミの帝王』のテイストが必須だから(笑)。  冒頭で主人公がグラウンドの中に1000万円の札束を埋めるシーンも、そう考えれば「ゴラク」テイストかもしれませんね。  最初にその絵が浮かんだところから、あの作品は出発してます。冒頭にそんな象徴的なシーンがあれば、後のストーリーはどうにでも転がっていくものじゃないですか。それに、野球の裏側を知れば知るほど、お金の話はやっぱり絡んできますからね。 ■裏金も監督バックもアリ!? 爽やかじゃない高校野球 ――「グラウンドに札束を埋める」ということでいえば、森高さんの『グラゼニ』のタイトルも「グラウンドにはゼニが埋まってる」という野球界の常套句から来てるんですよね?
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森高夕次氏。
 物理的にと概念的にとで違いはあるけど、ある意味、丸かぶりですよね(笑)。でも『グラゼニ』も、別にテーマが「お金」というわけではないんです。プロ野球を球場観戦すると、どうしてもだんだん試合以外のものが見えてくるものなんですよ。特に僕はヤクルトファンなので神宮球場によく行くんですが、あそこなんかブルペンが丸見えなもんだから、ブルペンキャッチャーとかコーチとかのさまざまな人間模様が見てとれて、それをドラマにしたいと思ったのがきっかけです。で、そうした場合に、お給料の話が出てこないわけにはいかないといいますか。  主人公の凡田は年俸1800万円ですが、あのへんは選手に取材されて生の声を反映してるんですか?  いえ、僕は観戦以外の取材はしてないんです。  そうなんですか!? 確かに想像力で描いたほうが真実を突くことはありますが。  まあ、あまりに角が立ちすぎる話題なんで、取材しにくいというのもあります。でも例えば1800万円のピッチャーが1億8000万円のバッターと勝負したら、画面上では普通に対戦してるだけに見えるかもしれないですけど、給料のこと考えたら、何かおかしいじゃないですか。それでも勝負する時は1対1だというドラマを描きたいから、あえて年俸を全面に出してみたんです。そこは『砂の栄冠』の主人公が強化費1000万円をグラウンドに埋めるのと同じで、「ゼニ」とか「年俸」が出てくるとマンガとしての「引き」があるだろうと。  でもあの1000万円って数字は、実はリアルではないんです。マンガのストーリー的にそのくらいが妥当だろうと、あの金額にしたんですけど、高校野球の関係者が読むと「1000万円じゃ何もできないよ」って、みんな口を揃えますね。  やっぱりそうなんですか。 「3カ月くらいでなくなるよ」ってバッサリ。やっぱり遠征が一番金かかるみたいで、一回で300万円は超えちゃうらしいんです。  取材してると、そういう裏側の声ってどんどん聞こえてくるものなんですか?  甲子園のバックネット裏席や記者席は、裏話の宝庫ですよ! もうほんと、書けないことだらけで。 ――04年の一場問題のようなスカウトの裏金問題や、選手の契約金の何割かは出身校の監督の懐に入るという話は、世間的にもよく聞く噂ですが......。  記者なんかと話してると、たまにそういう噂も耳にしたりしますよね。ただ、そういうお金も、世間のイメージみたいに監督が懐に入れて私腹を肥やすっていうんじゃなくて、ほとんどは野球部の強化費で設備投資に使われてるって噂ですけどね。  そうなんですね。  あと、プロ志望届を出したのに、ドラフトに引っかからない選手がいるんですよ。そこで漏れちゃうと、大学や社会人はもう締め切られていて宙ぶらりんになっちゃう場合が多い。そういう浪人確定の生徒に、当面の生活費として、そうした金からいくらか渡したりするって話も聞いたことあります。というのも、中学生をスカウトする時に、監督が「俺の顔で絶対プロに入れますから」って親御さんたちを口説く場合が多いみたいなんです。逆に言えば、それくらいやらないと、名門校の監督は務まらないんじゃないですか。  名門校の監督って、クセの強い人が多くないですか? ある意味、感覚が浮世離れしてるというか。  本当にそう、強豪校の監督ってすごいですよ。何十年もずーっとグラウンドで過ごしてるから「王様」なんです。しかも地元じゃ名士ですからね。横柄な人も少なくないです。『砂の栄冠』でもガーソというイヤな監督が出てくるんですが、まあだいたいあんな感じになる(笑)。  高校野球の監督って、アマチュアイズムと体育会系の権化なんですよね。プロに来る人は草食系もオタクもいるんだけど、アマチュアだと、体育会系的な価値観に染まらないとやっていけない面もあると思う。だから妙に草食系でマスコミ対応なんかにも気を使える監督を見てると、「ひょっとしたら、現場ではうまく指導できてないんじゃないか」って不安になっちゃうんですけど。  そうですね、そういう人は大体地方予選の準決勝ぐらいで負けます。  (笑)  いや、ベスト8ぐらいかな......一生懸命に子どもたちと向き合ってる良い人のほうが勝てない。監督だけじゃなくて高校球児も、プロを目指してる子は『砂の栄冠』の主人公の七嶋のように腹黒いですよ。強豪校の選手なんかだと、一般社会で生きてくことを捨ててますからね。むしろ監督が「勉強なんかしてんじゃねぇ」って指導してる。で、プロに上がると、具体的にお金を稼いでいく『グラゼニ』の世界になる。 ■「本当はお金の問題はあるし皆そこに興味があるはず」
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三田紀房氏。
 プロにとって、やはり年俸は切実な問題ですからね。それに、この時代的に「現役のうちに、できるだけ稼ぎたい」と多分思ってるんだろうなっていう考えが、『グラゼニ』の根っこにはある。  再就職も厳しい時代ですからね。元プロ選手が解説者に転身してはみたものの......という現実も、『グラゼニ』はリアルに描いてますよね。  昭和世代のプロ選手は「辞めても何かで食っていけるんじゃないか」って感じはあったと思うんですよ。社会的にもそうだったと思うし。でも今は普通の人だってなかなか正社員になれない時代に、「野球しかしたことがない俺が、どうやって第二の人生やっていくんだ」っていう不安が大きいと思うんです。 『グラゼニ』の中で、神宮球場の売店に再就職してる元ドラフト1位の選手が出てくるじゃないですか。あれってモデルはいるんですか?  いるような......いないような......。『グラゼニ』の登場人物は誰かを想像できるような、できないような......というバランス感覚で書いているつもりなんで、そこは読者に勝手に想像してもらいたいんです。  でも引退後の身の振り方とか、そのへんはこれまでの野球マンガじゃ全然描かれてきませんでしたよね。日本人は全般的にお金に対してアレルギー体質みたいなところがあるからな。  だから『ドカベン』の中には契約更改は出てこないんですよ。山田たちはとんでもない成績を上げてて、皆10億円ぐらいもらっててもおかしくないけど、決して契約更改は描かれない(笑)。  これまでの野球マンガは、「お金」に触れないようにしてきたと思います。でも僕らは、「そうはいっても、現実にはこういう一面も存在するんだよ」ってことを提示してる。下世話なところもあるけど、そこには皆、実は興味あるんだしね。  それと、的外れかもしれないけどサイゾー的な分析をしてみるなら、社会状況的にそこに切実な関心があるってことなのかもしれない。『グラゼニ』は最初、自営業者に向けて「自営はつらいよね」という意味で描いてる面があったんですよ。でもネットの書き込みとか見てると、むしろサラリーマンの人たちの「共感できる」って声のほうが大きくて。  何かわかる気がするなぁ。  「サラリーマン向けじゃないのになぁ」って自営組の作者としては思ってたんですが(笑)、でも考えてみれば、今は正社員でも首切りにおびえてて、一歩踏み外せば格差社会の下のほうに落っこちちゃうって不安を抱えてる。それがプロ野球選手の抱えてる「今の仕事を辞めちゃったら、次はない」って感覚と通じてるんじゃないかって。  我々が描いている青年誌ってジャンル、実際は読者層がそういう勤労者じゃないですか。だからどこかで読者が作品を自己問題化しないと、支持を得られない面はありますよね。「これは自分の問題だ」と主人公ないし登場人物や物語にシンクロできないと、人気が出ない。『砂の栄冠』がサラリーマンの共感を得たところは、監督のガーソなんです。これは全国の高校野球指導者のイヤな部分を煮詰めたようなダメ監督なんだけど、読者の反応は「ウチの上司そっくりです!」と。意図して描いたわけではないけど、勝手なこと言うわ、敵前逃亡するわ、選手に責任転嫁はするわ、こういう人間ってどこの会社にもいるみたいで(笑)。  ガーソの描き方、中間管理職の生態として、すごいリアルなんだよなぁ。ああいう思考回路の人って、本当に世の中に多いですよね。「当たり障りのないこと言っておけば失敗しないだろう」とか、失敗したくないってところが、すべての思考の元になってるタイプ。  だから『グラゼニ』も同じだと思いますよ。「こんなに毎日中継ぎでがんばって馬車馬のように働いてるのに、たった1800万円か」という主人公の葛藤が、「毎日残業してるのに給料上がらない俺と一緒じゃん」って共感を得てるんだと思う。  そうかもしれないですね。  まあ何にせよ、僕ら世代のマンガ家は野球を描くとなると、水島新司先生が刈りきった、草一本生えてない砂漠をさまよってる状態なんで、あの手この手でやっていかないと。  オアシスを求めていろいろ模索していかなきゃならないから、大変ですよね(笑)。 (構成/鈴木ユーリ) 森高夕次(もりたか・ゆうじ) 1963年生まれ。マンガ家・コージィ城倉氏の、原作者としてのペンネームである。マンガ家として『砂漠の野球部』【6】、『かんとく』【7】、原作者として『おさなづま』【8】などの代表作がある。野球マンガを多く描いており、現在は『おれはキャプテン』【9】を連載中。10月17日に第27巻刊行。

三田紀房(みた・のりふさ) 1958年生まれ。『ドラゴン桜』『エンゼルバンク』等のビジネス・教育系の作風で知られるが、野球等のスポーツマンガも数多く描いている。『砂の栄冠』最新刊6巻は11月4日に刊行。

『砂の栄冠』1~6巻 三田紀房/講談社「週刊ヤングマガジン」/各580円
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埼玉県西部の県立樫野高校野球部は、創立100周年記念の夏に、地区予選決勝までコマを進めるが、逆転負けを喫して甲子園を逃す。その後新キャプテンとなったエース・七嶋は、野球部の練習を見に来ている地元の老人から、「野球部のために」と1000万円を手渡される。額面の大きさにビビりながらも、采配のできない監督(通称ガーソ)や選手を顧みない学校&OB会の様子に、七嶋は「自分ひとりでチームを作ってみせる」と腹をくくり、この金を使いながら21世紀枠で春のセンバツを目指す。 『グラゼニ』1~2巻 森高夕次(原作)、アダチケイジ(作画)/講談社「週刊モーニング」/各580円
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プロ野球チーム・神宮スパイダース1軍に所属する投手、凡田夏之介(年俸1800万円)。中継ぎ投手の彼は、「プロは金がすべて」と考える年俸マニアだ。その趣味ゆえに、相対したバッターの年俸を必ず思い出し、自分より下なら調子よく、そうでない選手には萎縮して打たれがち。そんな彼の目から、職業としてのプロ野球選手という立場や、解説者の苦労、球団フロント事情など、試合だけではない球界のドラマを見せる。タイトルは、「グラウンドにはゼニが埋まってる」という夏之介の座右の銘より。 ■プレミアサイゾーとは? 雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、月額525円読み放題! (バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】清原和博独白!! 「ピアスに込めた怒りと巨人の裏切り、そして伊良部の死」一番ダークなスポーツは野球!? 切っても切れないスポーツと闇社会野球、ラグビーは地盤沈下? 大学スポーツ"ハンカチ王子"の知られざる憂鬱

映画化の旨みは一切ナシ! 年間20~30本大量生産されるマンガ原作映画の功罪

【プレミアサイゾーより】 ──2011年も『GANTZ』というマンガ界の大作の映画化を皮切りに、『あしたのジョー』『パラダイス・キス』など、次々と人気のマンガ作品が実写映画化された。しかし、そのどれもが話題性に比例することなく、公開後には忘れられていく。"原作レイプ"と揶揄されるマンガ原作映画は、いつまで続くのか?
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大根仁監督の作家性も色濃い『モテキ』。
大根はインタビューで、「原作は久保さ
んのものだが、映画は俺のもの」と話す。
一方、期待された『GANTZ』は、映画が
完全に負けていたが......。
『GANTZ』【1】『あしたのジョー』(高森朝雄原作)『モテキ』【2】──今年の公開作だけでも話題作が目白押しだったように、マンガ原作の映画化が止まらない。すでに2012年に公開が予定されている作品も、『宇宙兄弟』(小山宙哉原作)『荒川アンダー ザ ブリッジ』(中村光原作)『闇金ウシジマくん』【3】『ヒミズ』【4】『テルマエ・ロマエ』(ヤマザキマリ原作)といった人気作ばかり。ヒットメーカー候補として、マンガは邦画界の熱い視線を集め続けている。ただ、本誌でも再三指摘してきたように、マンガ界と映画界がWin-Winな関係を築いているかというと、そこには留保をつけざるを得ない。最近の日本映画では、広告代理店やテレビ局、出版社が相乗りして出資する「製作委員会システム」が横行。結果として、マス向けにストーリー改変、キャラクター変更が行われることも多い。そしてこれを、"原作レイプ"とバッシングするネットユーザーもいる。それもそのはず、複数のスポンサーのお眼鏡にかなう作品となれば、社会的な表現は緩和され、エンタメ色が重視されてしまう。これはドラマの話だが、『ハガネの女 season2』(テレビ朝日)では、原作とかけ離れすぎた脚本に原作者が不快感を表明。クレジット削除を要望するという話題もあった。 「製作側に"マンガ原作は映画化企画を通しやすい"という認識があるのは確かですね。原作の認知度が高ければ製作発表そのものが話題になるし、発行部数は観客動員の裏づけとなり、マーケティングもしやすい」  そう語ってくれたのは、「映画秘宝」(洋泉社)編集長の松崎憲晃氏。松崎氏によると、企画立案から監督決定、キャスティングを経て製作発表に至るまでは最短でも1~2年。このため、ヒットの芽が見えたマンガには、いち早くオファーがかかるという。さらに、映画・マンガライターの奈良崎コロスケ氏も、マンガ原作の消費加速を嘆くひとりだ。 「大手映画会社のプロデューサーの机には『このマンガがすごい!』(宝島社)の1~20位に入ったコミックスがズラリ。部下に読ませて次の映画化ネタを探している、というエピソードを聞いたことがあります。実際、『このマンガ~』の11年版1位(オトコ編)に輝いた『進撃の巨人』(諫山創原作)も、映画化が発表されたばかりですしね」(奈良崎氏)  しかし、マンガ原作が期待されるようになったのはいつからなのか。奈良崎氏によると、映画界がマンガ原作を乱獲し始めたのは90年代後半。ホラーマンガ、少女マンガというジャンル作品が突破口になったという。 「まず、『リング』に始まるJホラーブーム。小説の候補作はあっという間に払底し、映画界はマンガに触手を伸ばしました。『富江』などの伊藤潤二作品、『神の左手悪魔の右手』をはじめとした楳図かずお作品などが実写化され、映画会社は、最初から客の動員が見込めるマンガの原作が楽なことに気づいたんです。ゼロ年代に入ってからは、ベタな恋愛ものがヒットし、『NANA』(矢沢あい原作)をはじめとする少女マンガ原作が次々映画化されました。この2つの流れが合流してほかのマンガも続々映画化。『海猿』(佐藤秀峰原作)『DEATH NOTE』(大場つぐみ原作)などのヒット作を経て、年間20~30本のマンガ原作映画が作られる現在に至ります」(同)  これらのヒットは、元気のなかった邦画界に喝を入れた。『青い春』(松本大洋原作)、『殺し屋1』(山本英夫原作)などの佳作が続出。マンガ原作のインディーズ系映画に活況をもたらした、と奈良崎氏。しかし、メジャー映画会社が乗り込むようになり、作家性の強いマンガに映像で新たな解釈を加えようという気概はどこへやら。後には、原作の青田買いというフローだけが残されている。 「確かに、"このマンガをどうしても実写化したい"という、監督なり、プロデューサーの熱い想いがほとばしっている作品は少なくなりました。製作委員会システムでは、それぞれの企業の意向を反映しなければならず、メッセージ性や情念はゼロに近いほど希釈されます。『映画秘宝』でも取り上げた問題ですが、『BECK』【5】の、美声を持つ主人公の歌をボーカルレスにするという演出は、"なんだったんだろう"感が拭い去れません。でも、例え映画が大惨事になっても、結果的にそのツケは製作委員会ではなく、名前の出ている現場の人々に回る。外から見ていると、メディアミックスの名の下、現場の立場が弱くなる一方に思えます。静かな小品が得意な監督を、いきなりSF大作に起用してみたりとか、本来の資質を生かしているのか微妙なスタッフ構成を見たりすると、ただただ切ない、の一言です」(松崎氏)  そんな中、希望が持てる萌芽もある、と両氏は語る。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【プレミアにはこんな記事も!】 ・『GANTZ』『大奥』に『あしたのジョー』......人気マンガ続々実写映画化の悲劇なんと 『あしたのジョー』 に続編!? 仕掛人が語る 「衝撃の物語」「QuickJapan」好きサブカル人のしょっぱい自意識に引きずられた『モテキ』

「反グローバリズムデモが世界席巻」? 勘違いも甚だしい報道の甘言

【プレミアサイゾーより】 ──激変するITビジネス&カルチャーの深層を抉る! ──米ウォール街におけるデモからの派生で、世界中の若者が自分たちの置かれた環境に異議を唱えだした......と報道されているが、果たして本当だろうか? 反グローバリゼーションを唱える参加者たちは、現在の世界の構造を本当にわかっているのか、疑義を呈す。
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知らぬは日本の参加者ばかりなり​「東京を占
拠する」前にやれることはまだあったはずだ。
「ウォール街占拠(オキュパイ)デモ」が各国に波及し、世界を一周していると報じられている。本当だろうか?  アメリカのウォール街やローマ、パリなどの欧米諸国で盛り上がったのは事実だ。ローマでは数万人がデモに参加し、暴動にまで発展して銀行が略奪されるなどの騒ぎになった。ウォール街でも数千人が参加し、逮捕者を多数出している。  日本ではどうか。朝日新聞の10月15日の記事にはこうある。 「東京・六本木の公園では正午ごろ、プラカードを手にした若者ら100人ほどが集まり、格差是正を訴えた。参加した学生の一人は『経済成長やグローバリズムを求めるのはやめよう。それは誰かを搾取していることだから』と話した」  写真入りで報じられている割には、参加者はわずか100人しかいなかったという。大手メディアの大半が無視したフジテレビへの反韓流デモだって、数千人は集まっていた。脱原発デモは数万人単位の参加者を集めている。それに比べれば、驚くほど小規模である。  さらに言えば、東南アジアでの参加者はもっと少なかったようだ。あまりソースがないので明確なことはわからないのだが、インドネシアのジャカルタでは20~30人程度がアメリカ大使館前に集合して「米帝国主義反対!」を叫んだだけだったようだし、フィリピンのマニラでも同じように参加者は数十人。おまけにこの参加者については、フィリピン在住の日本人男性がツイッターでこんな指摘をしていた。 「フィリピンでオキュパイデモに参加してたのは貧困層ではなくてネット環境が自宅に完備されてる良家の子息だと言う皮肉ww 貧困層はそんな事何も知らないし暇も無い」 ■「世界中の貧困層の団結」なんて、もはや不可能  前述のように、実態としては、先進国と途上国ではかなりの差があるようだ。ところがマスメディアでは「世界で盛り上がる反格差デモ」などと報じられている。例えば10月16日に、産経新聞はこんな記事を書いている。 「世代間の経済格差に気づかされた若者が自分たちの声を政治に反映させようにも人口構成上、有権者の中では少数派にとどまり、街頭を占拠して声を上げるしか道がない。インターネットを通じた『Occupy(オキュパイ=占拠せよの意)』という呼びかけに欧州やアジアの若者が一斉に反応したのは、構造的な矛盾へのいらだちを共有しているからに他ならない」  まあ言ってみれば、実にわかりやすい「反格差」「反グローバリゼーション」のスローガンがそこにはあって、そういうわかりやすいヒューマニズム(のようなもの)には大手紙は乗りやすいということでしかないのだろう。  だが「反格差」「反グローバリゼーション」の波は、本当に産経の言うように世界中を覆っているのだろうか?同記事ではこうも書かれている。
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■プレミアサイゾーとは? 雑誌サイゾーのほぼ全記事が、月額525円で読み放題!(バックナンバー含む) 【こんな記事もオススメ!】佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」森 達也×二木 信──公務執行妨害をでっち上げ!?デモに怯える公安警察の亀裂1万人以上が集結するなか、逮捕者も......「気楽に」「楽しく」だけじゃない! 反原発デモは正義なのか?

『ワンピース』頼りで後がない!? 増刊を乱発する「ジャンプ」はもう、死んでいる!?


【プレミアサイゾーより】 ──2010年末より「ジャンプ」の名を冠するマンガ雑誌が急増している。60年代より少年マンガ誌のトップとして君臨する「少年ジャンプ」の内情と共に、現在の「ジャンプ」増刊ラッシュの舞台裏を追った。

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(絵/magma giants)
「週刊少年ジャンプ」(以下、「少年ジャンプ」)は、いわずと知れた集英社発行の日本一売れているマンガ誌である。1968年の創刊後、70年代以降少年マンガ市場のトップをひた走り、ピーク時の90年代半ばには653万部というマンガ誌の最高発行部数を記録した。しかし、その後は雑誌不況もあり部数は右肩下がり、近年は300万部弱で推移している。とはいえ、ライバルである講談社の「週刊少年マガジン」が153万部、小学館の「週刊少年サンデー」が63万部【※いずれも11年1~3月期】という状況を鑑みれば、今でも圧倒的な部数を誇っていることに変わりはない。  また、「ジャンプ」ブランドは青年向けの「週刊ヤングジャンプ」(79年創刊)や中年向けの「ビジネスジャンプ」(85年創刊)など、数々の派生誌を生み出した。本章では、そんな「少年ジャンプ」と「ジャンプ」系雑誌の裏側を、「ジャンプ」関係者や集英社社員の言葉から読み解いてみたい。  まず、その現場である編集部とはどういうところなのだろうか? 集英社に出入りするジャーナリストによれば、「ジャンプ」系雑誌は、少年誌グループ(「少年ジャンプ」「ジャンプスクエア」「Vジャンプ」)と青年誌グループ(「ヤングジャンプ」「ウルトラジャンプ」「ビジネスジャンプ」ほか)でフロアが分かれているという。「どちらのフロアも体育会系ですが、少年誌フロアのほうが花形部署ということもあり、数字にシビアな気がします」。そう語るのは「ジャンプ」関係者。集英社社員が「結局、ウチの収益は『少年ジャンプ』がほとんど出していますからね。社内では、『少年ジャンプ』を、冗談交じりに『ジャンプさまさま』って呼んでますよ(笑)」と語るように、自他共に「少年ジャンプ」がマンガ事業の柱、というより集英社そのものの柱であるという認識があるようだ。 「『少年ジャンプ』の編集部員は全部で30人ほどで、毎年必ず2~3人の新卒が入ってきます。だから玉突きで同じ人数だけ異動になるんですけど、なにしろ花形部署ですから、みんな残ろうと必死です」(前出の関係者)  事実、集英社の現社長・堀内丸恵氏も「少年ジャンプ」出身で、「少年ジャンプ」編集部は集英社のエリート集団といえるだろう。ちなみに、原則としてほかの編集部から「少年ジャンプ」に異動することはなく、基本的に新卒で配属されない限り「少年ジャンプ」編集部員にはなれないそうだ。前出の集英社社員によれば、『Dr.スランプ』(鳥山明)に登場するマシリトのモデルとしても有名な鳥嶋和彦氏(現専務取締役)が「少年の心がわからないと、少年マンガは作れない」と発言した、という話もあり、編集部員は全員男性で、20代が多いという。「少年の心」とは少し違うかもしれないが、同社員はこんなエピソードも語ってくれた。 「本採用された新人は、組合の前で挨拶スピーチをするんですが、無難にこなす人が多い中で、『少年ジャンプ』の新人は一発芸をします。あと、編集部の部署旅行で、寝ている新人の裸をケータイで撮って、その新人のアドレス帳に入ってる女性全員にメールで送信したりと、内輪で盛り上がっている印象があります」 ■単行本が当たるまでタマを打ち続ける!?  そんな「少年ジャンプ」の今の看板作品といえば、97年に連載が始まった『ワンピース』(尾田栄一郎)である。発行部数は、最新64巻が初版400万部、累計2億5000万部と絶好調ではあるものの、社内では「『ワンピース』が終わったらどうするの?」といった話は絶えないようだ。実際、『ワンピース』に続くヒット作『NARUTO』(岸本斉史)と『BLEACH』(久保帯人)はいずれも10年選手で頭打ち、中堅も伸び悩んでおり、次世代の「少年ジャンプ」を担う新人が出てくる気配もない。  このような状況を受けて気になるのが、10年末からの増刊ラッシュである。07年に、「月刊少年ジャンプ」の新装版として創刊された「ジャンプスクエア」が、創刊号、第2号共に重版がかかり、「ジャンプ」ブランドの健在ぶりをアピールしたことは記憶に新しいが、10年末から11年半ばにかけては、「ガールズジャンプ」「アオハル」「ミラクルジャンプ」「ジャンプ改」と、実に4誌もの新雑誌が誕生している。
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