「今だからこそ」お笑いブームの全貌を俯瞰する、ラリー遠田『この芸人を見よ!2』

konoG2.jpg  10月5日、お笑い評論家のラリー遠田氏による単行本『この芸人を見よ!2』(サイゾー)が発売された。これは、「日刊サイゾー」に連載されているコラムをまとめたもの。お笑いを取り巻く状況も激変しつつある今、ラリー氏は現状をどのように見ているのか? 著者本人を直撃してみた。 ――2011年10月というこの時期に、サイゾーからの単行本第2弾を出すことになった経緯について教えてください。 ラリー 「日刊サイゾー」の連載コラムがある程度たまってきたら書籍化するという話は以前からありました。中身に関していえば、『エンタの神様』(日本テレビ系)、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)、『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)といったネタ番組が次々に終了して、「お笑いブームの終焉」が叫ばれた2010年が過ぎ、2011年を迎えた今こそが、「お笑いブーム」と呼ばれたものの全貌を振り返るにはちょうどいい時期だと思ったんですよね。ブームを総括するという意味でも、今出す価値がある1冊になっているのではないでしょうか。 ――この単行本の中では、そんな時代状況の変化がどういう形で反映されているんでしょうか? ラリー まず、本文を全面的に改稿した上に、すべてのコラムに新たに「追記」を足しています。ここでは、その芸人のテレビでの扱われ方やその人を取り巻く状況の変化に合わせて、情報を補足したり解釈を加えたりしています。例えば、09年に執筆したフットボールアワーに関するコラムでは、主に漫才における彼らのボケとツッコミの技術論に言及していましたが、「追記」では最近のバラエティー番組における彼らのいじられ方、特にめきめきと頭角を現している後藤輝基さんの扱われ方について書いています。  このような追記を45本のコラムすべてに加えたことで、記述に厚みが増して、単にウェブ上のコラムをまとめただけではなく、それを通してひとつの時代を概観できる仕上がりになっているのではないかと思います。 ――単行本でしか読めない特別企画として、放送作家の元祖爆笑王さん、作家の岩崎夏海さんとの対談記事も収録されていますね。 ラリー ガンバク(元祖爆笑王)さんは、『めちゃ×2 イケてるッ!』(フジテレビ系)をはじめとする数多くのお笑い番組で構成を務め、長年にわたってお笑い養成学校の講師も務めている笑いのスペシャリストです。その人に『めちゃイケ』を含むテレビのお笑いについてじっくりお話をうかがうことができたのは非常に興味深かったです。  また、岩崎さんは、250万部を突破したベストセラー小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)の作者でもあり、かつては秋元康さんに師事してバラエティー番組の構成も手掛けていた人物です。岩崎さんとは、「エンターテインメントとしてのお笑い」という観点から、『M-1グランプリ』やとんねるずについてお話をさせていただきました。岩崎さんはドラッカーの解説者として注目されていますが、お笑いに関しても独特のロジカルな視点があって面白いです。岩崎さんのそういう一面が見られるのも貴重だと思います。 ――では最後に、次の単行本への展望はありますか? ラリー 第3弾が出せるかどうかは状況によりますね。これからお笑いシーンが盛り上がって、有望な若手が次々に出てくるようになれば、連載コラムで取り上げるべき人材も充実してきて、これから3冊目、4冊目と出していくことはできると思います。また、別の形になるかもしれませんが、お笑いに関する特定のテーマを掘り下げた評論にもいずれ取り組みたいと考えています。  現在、私は『コメ旬』(キネマ旬報社)というお笑い専門ムックの編集長を務めています。そこでは、テレビの笑いを中心にして、お笑い、演芸、コメディーなどを幅広く取り扱っています。編集者・取材者としてはそういう媒体を生かしながら、書き手としてはまた新たなプロジェクトに積極的に挑んでいきたいと思っています。 (取材=編集部) ●らりー・とおだ 1979年生まれ。おわライター/お笑い評論家。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。在野のお笑い評論家として多方面で活躍。雑誌「黄金のGT」(晋遊舎)、WEBマガジン「日刊サイゾー」、ケータイ版「imidas」にてコラムを連載中。現在、お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めている。主な著書に『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)、『THE 芸人学 スゴい!お笑い』(東京書籍)、『この芸人を見よ!』(サイゾー)がある。公式HPは「おわライター疾走」(http://owa-writer.com/
この芸人を見よ!2 イラストは今回もホセ・フランキー先生の描き下ろし! amazon_associate_logo.jpg
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『もしドラ』オーディオブックでもNo.1に 朗読担当・AKB48仲谷を岩崎夏海が絶賛

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岩崎夏海氏とAKB48の仲谷明香。
 12月2日、書籍を音声化した「オーディオブック」の人気作品を表彰する「オーディオブックアワード2010」(オトバンク主催)が開催された。オーディオブック配信サイト「FeBe」ユーザーからの投票で、「「オーディオブック・オブ・ザ・イヤー」に『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(著・岩崎夏海/ダイヤモンド社)が選出された。表彰式には著者の岩崎氏、ダイヤモンド社の今泉憲志氏、朗読を担当したAKB48の仲谷明香が出席した。  『もしドラ』は書籍年間ベストセラー1位を記録し、発行部数は181万部(書籍が172万部、電子書籍が9万部)で、NHK総合で来年3月からアニメ版が放送されるなど、空前のヒットとなっている。オーディオブックとしても、FeBeで発売以来13週連続1位を記録し、今回の受賞となった。  「大変光栄で、関わってくれた多くの方に感謝を述べたい」と喜びを語った岩崎氏は、「僕の小説は19世紀小説を標榜している。バルザックなどの名作が生まれた当時、欧米の識字率は数パーセントで、90パーセント以上の人は字が読めなかった。だが、小説を読める人が教会などで読み聞かせる朗読文化が定着していた。そういう文化を背景に、小説家は朗読されることを前提に小説を書いてきた。『もしドラ』も当たり前のようにその前提で書いた」と当初から朗読を意識していたことを説明した。 DSCN0357.jpg  今回、朗読には岩崎氏が2007年末までプロデュースに関わっていたAKB48から仲谷を起用。その理由について岩崎氏は「AKB48の中で、彼女は声優志向があり、早くからそれをアピールして、勉強を重ねてきた。演技力にも秀でた部分があり、仕事にも意欲がある。一緒に仕事をする相手として最高のパートナーだと思ってお願いした」と語った。  仲谷は朗読の依頼に「最初はびっくりして、私でいいのかなと思いました」と抜擢に驚いたという。録音は夏の暑い最中、ノイズが入らないように空調を止めて行なわれた。本編の収録時間は6時間40分だが、実際にはその数倍の時間をかけて収録したというエピソードが明かされた。仲谷は「戸惑いながらでしたけど、終わりの方には、少しはうまくなったかと思います。終わってからは達成感がありました」と充実感を得た様子。そんな仲谷について岩崎氏は「AKB48は厳しい競争があり、彼女はその中で、くじけることもなく自分の目標のためにがんばり続けてきた。その姿が、小説家として40歳を過ぎてデビューした遅咲きの自分とシンクロする部分があった」と称えた。  式典では、仲谷が実際に『もしドラ』の一部分の朗読を披露。無事に終えた彼女は「皆さんがとても静かに聞き入ってくださったので、すごい緊張しました」とコメント。「とても良い経験になりました。これをステップとして声優に近づいていきたいなと思います」と語り、すでに声優としても数作で活動している彼女だが、本格的に自らの夢へと向かう足がかりを掴んだようだ。 ◆「オーディオブックアワード2010」受賞一覧 ・ビジネス書部門大賞 『志高く 孫正義正伝 完全版』(著・井上篤夫/実業之日本社) ・文芸部門大賞 『イン・ザ・プール』(著・奥田英朗/文藝春秋) ・審査員特別賞 『超訳 ニーチェの言葉』(著・白取春彦/ディスカヴァー・トゥエンティワン) ・優秀作品賞 『池袋ウエストゲートパーク』(著・石田衣良/文藝春秋) ・オーディオブック・オブ・ザ・イヤー 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら まだ読んでないの? amazon_associate_logo.jpg
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サイゾーテレビ【吉田正樹×岩崎夏海×ラリー遠田】イベント緊急生中継します!

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吉田正樹氏(左)と岩崎夏海氏(右)による、めくるめく究極のエンタメ談義!
 8月4日に東京・ロフトプラスワンで行われるイベントお笑いトークラリーpresents「笑う犬の告白 ~人生で大切なことは全部お笑いで学んだ~」を、サイゾーテレビ@Ustreamで19時30分より生中継することが決定いたしました! ●サイゾーテレビ@Ustream http://www.ustream.tv/user/cyzo_tv  『夢で逢えたら』『やるならやらねば!』『笑う犬』など、数々のバラエティ番組を手がけた元フジテレビの伝説的プロデューサー吉田正樹氏と、AKB48の立ち上げに携わり、近著『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)が100万部を超えるベストセラーとなっている岩崎夏海氏を迎え、日刊サイゾーでもおなじみのお笑い評論家・ラリー遠田がお送りするエンタメ界のカリスマ談義、ぜひお楽しみください。 ●サイゾーテレビ@Ustream http://www.ustream.tv/user/cyzo_tv 8月4日(水)19時30分放送開始 イベント詳細はこちらから 【関連記事】 『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ』吉田正樹 テレビバラエティーは死なず 『もしドラ』とAKB48の相関関係 岩崎夏海が明かすAKB48大ブレイクの真相

『もしドラ』とAKB48の相関関係 岩崎夏海が明かすAKB48大ブレイクの真相(後編)

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岩崎氏も大島優子の逆転Vにはビックリ!?
前編はこちら ――AKB48の人気の重大なファクターの一つが握手会。やはり、ブレイクしてもなお、"会いに行けるアイドル"であることにこだわって、幕張メッセや東京ビッグサイトの会場を借りてまでも行うのは驚異です。 岩崎 握手会がこれほど受けるとは実は思っていなかったんですよ。開催しているうちにファンの受けがいいというのが分かって、握手会の役割が強まっていったんですね。そもそも、秋元さんは"握手会"なんて言葉も知らなかったと思いますね。握手のためにCDを100枚買うなんてスタッフもレコード会社も想像だにしたことがなかったと思いますよ。1人で2枚買うことすらも考えてなかったかのではないですかね。 ――活動初期の花やしきイベント、「軽蔑していた愛情」発売当時の水泳大会のほか、最近のチームシャッフル、移籍先が決まってなかった正規メンバー全員の所属事務所発表など、さまざまな仕掛けや"サプライズ"もAKB48の話題性の一つだと思います。 岩崎 既成概念を作らないのを心がけていましたよね。"AKB48らしさ"ができた瞬間に終わる、と。それは、ほかの歌手の方とお付き合いしていく中で、秋元さんの歌詞に「これは私が歌うべき歌詞じゃないわ」とおっしゃる方もいる。それでも秋元さんは手直しするんですが、そういう言い方をする歌手はつぶれていきますね。AKB48は変化していくこと、らしさを作らないことが大事。「あれは止めておいたほうがいい」と周りが言うことがよくあるんですが、それで失敗があっても、失敗を恐れてはすぐ飽きられる。終わるのは早いですからね。常に細心の注意を払って、裏切りを続けていかなきゃいけないという脅迫観念にも似た思いがあると思います。意外なことですが、おニャン子クラブは2年半しか活動していない。AKB48はすでにその倍やってますからね。長く続けることにこだわっている。 ――では、そのサプライズの中でも、特に「選抜総選挙」はエポックメイキングで、世間を圧倒しました。初めてこの企画を聞かれた時はどう思われました? 岩崎 まさに、秋元さんらしいなと思いましたね。ファンの間でメンバーをランク付けする"AKB48ソート"があるのを秋元さんはご存知なんですよ。アンケートサイトにメンバー人気ランキングのような投票があるのも知っていると思います。そんな中、選抜が固定していることに批判が多く、「なんで前田敦子がセンターなんだ?」という声があるのも把握していて、秋元さんもファンに委ねた場合の順位を見てみたかったのでは。そのため、昨年の選挙で、運営が選んだ選抜と大差なくて秋元さんが一番ほっとしたんじゃないでしょうかね。 ――今年の「選抜総選挙」はまさかの大島優子1位という波乱の展開となりました。感想を教えていただけますか? 岩崎 優子の1位は2位からの躍進ですから、一般的に言えば「まさか」というほどではないかと思いますが、それでもやっぱり「まさか」という思いはありますね。というのも優子はどちらかというとマイナー志向というか、野球で言えば"月見草"と言われた野村克也さんみたいな魅力を持っている存在。僕にとってもそれが魅力なのですが、"ひまわり"と言われた長嶋茂雄さん的な魅力を持っている前田には、人気では敵わないだろうと思っていたからです。だから、僕は今でもなぜ優子が人気があるのか、1位になったのか、本当のところは分からないくらいなんです。それでも、優子が「アイドルの仕事というのは人気を得ることもそのうちの一つ」と考え、昨年の2位のという順位を受け、1位を目標にあらゆる努力を惜しまなかったことは想像に難くありません。今回の結果は、その努力のたまものと考えると、彼女の生き方には心から頭の下がる思いです。また、AKB48全体にとって今回の選挙は、「不動の1位に変動があった」という意味でとても歓迎すべき事態だと思います。変化していくこと、成長していくことが、AKB48のみならずあらゆるものにとって大きな魅力の一要素でありますから、今回の順位変動は、さらに多くのファンの関心・興味を引きつけることになるのではないでしょうか。 ――前田と優子はライバル同士でありながら同じ太田プロ所属で、仲も良く、信頼関係があります。その点はどう見ていらっしゃいますか? 岩崎 前田と優子は何から何まで全く違うので、"ライバル"というのはピンと来ません。でも、2人とも女優志望だし、1位2位を2年連続で争うところだけ共通しているのが面白いですね。その意味では、強烈な刺激を与え合っている存在だとも思います。違うけど競い合う部分があるというのは、同じ事務所の同僚としては、理想的な関係ではないでしょうか。2人が同じ事務所というのは、もちろん秋元さんはそれを考慮してそうしたのだと思いますけど、とても運が良かったことだと思います。 ――さて、今後のAKB48はどのようになっていくと推察されますか? 岩崎 中興の祖というか、現状を大きく変化させる新メンバーが出てくると、もっと変わっていくと思いますね。現時点では、女優の堀北真希さんのような映画、連続ドラマで主演を張れるような存在が出てきていない。今なら前田でそれができるかもしれないけど、それよりも新メンバーでそのぐらいの人気・実力のある子が出てきてほしい。今のAKB48の状況は、上がつかえていますからね。その序列を秋元さんは本当に崩したくてしょうがないと思いますよ。 ――『マジすか学園』(テレビ東京系)の「世代交代は近いぜ!」ですね。やっぱり、渡辺麻友か松井珠理奈あたりが次世代のセンターになるんでしょうか? あるいは、最近では、9期研究生が前座ガールズや、「プレイボーイ」「ヤングジャンプ」(集英社)の表紙に起用されています。 岩崎 渡辺は一番特別な存在かな。秋元さんは、珠理奈を前田を追い抜かすぐらいの存在にしたかったけど、現時点では、まだファンがそこまでのいい反応していないようですね。前田もいきなりトップに立たされて、苦労もしていたと思います。でも、チャンスがあれば、秋元さんは本当に序列が崩れることを期待していますよ。 ――最後に改めて、ここまで人々を魅了し、そして、魅きつけて離さないAKB48とは一体なんなんでしょうか? 岩崎 AKB48は、言うなれば、子どもたちのリアリティー。AKBには、本当に人間的にいい子が多い。これほどよくできた子たちが同時多発的に集まるって信じられないぐらい。学級委員になるような子が、AKB48には10人ぐらいいる。そこが現代の時代を反映してるように思います。今の子どもたちは家庭や社会のさまざまな状況の中で、"いい子"であらざるを得ない。特に高橋を見ている中で、今の時代が何かということを学ばせてもらいました。現代の世相を反映した、世相を映す鏡とも言えますね。 ――メンバーたちは、歌手、女優、モデル、タレントなど異なる夢を持っていて、将来なりたい方向性は異なるけれど、共に歌い、踊る中で絆を深め、切磋琢磨される姿に魅かれるファンも多いと思います。 岩崎 それは初めから意図していたわけではなく、結果的にそういう子たちが集まってきて、特に優子は、「AKBに入ったら刺激的なメンバーがたくさんいて、抜けられないなと思った。ここでがんばろうと思った」と話していました。切磋琢磨しようと思って入ってきたわけじゃないけど、結果的にそうなる状況になって、それに揺るがない子たちが残ってますね。高橋は人間的にできている反面、負けず嫌いで、コンペティティブ(競争心が強い)。前回の総選挙のベスト10の選抜メンバーで負けず嫌いじゃない子は一人もいないですよ。絶対自分が一番だと思ってるけど、だからといって他人を蹴落とそうとは思っていない。蹴落とそうとしたら、自分も足引っ張られますからね。 ――そんなメンバーたちが『もしドラ』の"マネジメント"の発想に触れれば、さらに成長できると思います。『もしドラ』は、AKB48へのメッセージでもあるのでしょうか? 岩崎 峯岸を始めとして、何人かは本を読んでくれているみたいですね。スタッフとして近くにいた僕が作家として世に出られたのは、彼女たちのおかげでもある。僕自身が高橋、優子、秋元才加らを見ていて、「負けられない」と思って奮起して書いた部分もあります。僕もAKB48のライバルでありたい。このままだと抜かされそうで、偉そうなことが言えなくなるぐらいの危機感すら抱いていますね。 (取材・文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>) ●岩崎夏海(いわさき・なつみ) 1968年7月生まれ。東京藝術大学美術学部建築科卒。大学卒業後、作詞家・秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)などテレビ番組に制作に参加。AKB48のプロデュースにも携わり、ゲームやウェブコンテンツの開発会社を経て、2009年4月、株式会社吉田正樹事務所に入社。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』出版を機に、現在は所属作家として活動中。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら AKBとドラッカーがつながるとは......。 amazon_associate_logo.jpg
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『もしドラ』とAKB48の相関関係 岩崎夏海が明かすAKB48大ブレイクの真相(前編)

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師匠はあの秋元康氏!
 高校野球の物語に"経営の神様"ピーター・ドラッカーの"マネジメント"の概念を巧みに織り込んだ大胆な発想で、60万部を超えるベストセラーとなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)の著者・岩崎夏海氏。作詞家・プロデューサーの秋元康氏の事務所にかつて所属し、放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)などにも参加した彼だが、アイドルグループ・AKB48に立ち上げ当初から2007年までプロデュースに携わっていたことを知る人は少ないだろう。そこで今回、3作連続でシングルチャート1位を記録し、"時代の寵児"となったAKB48の大ブレイクの真相を岩崎氏に直撃。秋元氏のそばにいたからこそ語れるヒットまでの道程、AKBメンバーたちの知られざる素顔、さらに話題をさらった選抜総選挙の印象、『もしドラ』とAKB48の関連性も語っていただいた。その模様を前後編に分けてお届けする。 ――岩崎さんはAKB48に関わられていた当時は、AP(アシスタントプロデューサー)としてクレジットされていましたが、具体的にどのようなことをされていたのでしょうか? 岩崎夏海(以下、岩崎) 秋元さんの補佐役ですね。秋元さんは、総合プロデューサーなので、その仕事は多岐にわたっていて、作詞はもちろんのこと、公演の楽曲の選定、衣装のアドバイス、振付師に踊りのイメージを伝える、レコード会社とのプロモーションの打ち合わせ、事務所との折衝、コンサート、テレビの打ち合わせなど、すべて一度は秋元さんが目を通します。その全般で、秋元さんの側近として現場にはすべていましたね。特に僕は、ネットに強かったので、ファンの公演の感想やリアクションを、ブログや2ちゃんねるにどんなことを書いているかをリサーチして伝えていました。その後、07年の年末に秋元康事務所を辞めることになったのですが、その12月31日、AKB48初の『紅白歌合戦』(NHK総合)出演を果たしました。最後に『紅白』によって、AKB48が一つ先のステップに進んだ瞬間を目撃できたのは非常に印象的でしたね。 ――秋元先生の事務所には17年在籍されたそうですが、改めてその間に見た秋元先生の人物像とは? 岩崎 秋元さんは顧客指向が強い方ですね。作詞家、プロデューサーとしての力量は、世間では評価されていますが、僕からすればまだまだ評価が低いぐらい。アイドルを女の子中心に見るのは当然ですが、アイドルを輝かせるために、歌詞がどれだけの役割を果たすのか考えると、秋元さんの力が大きいはずです。 ――秋元先生は現在、AKB48の3チーム、さらにSKE48、SDN48があり、各公演が16曲で合計80曲、さらにノースリーブス、渡り廊下走り隊など別働ユニットもあり、年間100曲程度AKB48関連の作詞をしていますね。そこまでの原動力は何だと推察されますか? 岩崎 秋元さんは、例えるなら競走馬。競争心がものすごく強いと思います。実は、長年ヒットアイドルを作れなかったことに忸怩たる思いがあり、いつかそれをやり遂げるようとされていたのでは。80年代のおニャン子クラブ以降、推定少女(秋元氏が作詞を担当)、チェキッ娘(秋元康事務所として番組制作に参加)があっても、おニャン子に匹敵するものが作れなかった。だから、直接聞いたことはありませんが、モーニング娘。がヒットしていた状況に悔しい思いはあったと思いますよ。 ――では、今回の本題であるAKB48がここまで大ブレイクを成し遂げた理由は一体何なんでしょうか? 岩崎 理由は、いくつかあると思いますが、窪田さん(AKB48運営会社・AKSの窪田康志社長)というパートナーの存在が大きいと思います。AKB48は、秋元さんが資金を出すわけではないので、やはりパートナーが必要。パートナー次第で秋元さんのクリエイティブを生かすも殺すもできるんです。そのためこれまでに、パートナー次第で失敗したプロジェクトも多々あります。でも、窪田さんは基本的に制作にはノータッチで、秋元さんに全幅の信頼を置いて、お任せになっている。なかなかそう割り切ってできる人はいないですよね。お金を出す人は自分の意見を反映させたがるし、秋元さんもスポンサーには強く出れないので、その方のご意見をお聞きしてモノ作りをする。そうすると、混じりっけのあるものができてしまう。 ――やはり、スポンサーになると口を出したくなりますよね。 岩崎 秋元さんはクリエーターとしては超一流で歴史に残る方だと思いますが、失礼ながらプロデューサーとして秋元さんは一流ではあるけど、超一流ではないと思います。自分で資金を調達する部分は苦手なところがあると思います。それを一緒にやってくれるパートナーが参加したのが非常に大きい。 ――そのほか、やはりAKB48は常時1,000曲あるとされているストックの中から選んでいるという楽曲の良さもほかのアイドル、アーティストと一線を画す点では? 岩崎 そう。楽曲のすばらしさ。やはり歌詞がいいので、メンバーたちは歌詞の意味を感じ取って、その歌詞に影響されて、テンションが上がったり、感性が研ぎ澄まされていったと思います。特に「夕陽を見ているか?」(名曲の呼び声高い07年10月発売の6thシングル)は、『もしドラ』のモチーフにもしたメンバーの峯岸みなみの当時の心境とシンクロしていて、峯岸は「歌うたびに涙が出た」と言ってましたね。涙を流しながらAKB48劇場の公演で歌うというのは、観ているファンに対しても何らかのインプレッションを与えたでしょうし、そんな感情の連鎖がメンバーの感性をさらに研ぎ澄ませて、成長させたと思います。チームB3rdの「初日」もすばらしい楽曲。当時、菊地あやかが「先輩たちには負けたくない」と話していて、普段そんなこと言う子じゃないので、どうしたのかと思っていたら、初日の歌詞にその内容があり、やはり秋元さんの歌詞はメンバーに多大な影響与えるようです。それから、チームKの3rd公演『脳内パラダイス』がチームKに与えていた影響は計り知れないですね。 ――K3rdは、楽器ができるメンバーが多いことから生まれたバンド形式の「友よ」で始まり、ユニットでも「泣きながら微笑んで」「MARIA」「君はペガサス」など各メンバーの個性を多大に反映した楽曲が次々に生まれましたね。 岩崎 あの公演から特に、Kは体育会系の特別なチームワークを持ち、Kのスタンスが確立されたことで、チームA独自のカラーが生まれて、チ-ムBは"末っ子だけど元気"という路線も生まれたと思います。『脳内パラダイス』がAKBに与えた影響は大きかったですね。各チームの公演によって印象は違いますが、それもAKBの一つのドラマを作っています。秋元さんはいろんな可能性を試されるので、間口を広げるための狙いの一つですね。 ――メンバーそれぞれの個性もAKB48の大きな魅力だと思います。 岩崎 僕が一番尊敬するメンバーは高橋みなみですね。高橋がいなかったら、AKB48ってどうなっていたんだろう? と考えるんですよ。高橋の役割を担うメンバーはいたのかもしれないけど、高橋ぐらいの高いレベルでリーダーシップを発揮できたかはわからない。AKBの濃いファンならわかると思いますけど、彼女の存在がAKBというアイドルに与えた意味は大きい。僕自身が芸能界を見ていて、「この人には敵わない。イメージの遥か上を行く」と思ったのは、とんねるずの石橋貴明さんと高橋だけしかいない。それほどスゴイ存在。ひまわり2nd公演で、当時研究生として加入したばかりだった宮崎美穂が高橋のアンダーで、最初宮崎は踊れなくて、高橋がミラーになって(自分の踊りを左右反転させて)、振り付けを教えていたんです。あの姿は壮絶でしたね。そこまで熱心に後輩の練習に付き合うのは高橋ぐらい。それは「今、AKBの公演を成立させるためには、宮崎をちゃんと踊らせるしかない」「ファンにAKB48として恥ずかしいものを見せるわけにはいかない」という高橋の強固な使命感が集約された行動だったと思います。 ――高橋の存在は『もしドラ』にも、影響を及ぼしたそうですね。 岩崎 これはインタビューでも初めてお話するんですが、前田敦子が握手会で嫌なことがあって、一人で、控え室で泣いているときがあったんですよ。そこに、遅れて高橋が入ってきて、泣いている前田を見つけると、隣に座って、何をするでもなく、何か聞くわけでもなく、前田の髪をただなでていた。女の子は泣いている女の子を見ると、こうやって慰めるんだと強いインプレッションになりました。それを今回、『もしドラ』で、夕紀が文乃を慰めるシーンで使いました。まさに前田と高橋を見なければ、書けなかったシーンですね。その文乃は実は、渡辺麻友がモデル。渡辺は今でこそ堂々としていますが、AKB48加入当初は、子鹿のようにビクビクしていて、誰かに何か言われると「え? あ? ハイ」みたいな調子。それが印象的で。実は渡辺は誰よりも負けず嫌いだと思うんですが、それなのにそんなオドオドした面も持っているのが面白いなと思っていました。 ――これは、渡辺のファンには衝撃だと思います。今ではアニヲタキャラ全開で、総選挙でも向上心むき出しのコメントが印象的でしたが、「僕の太陽」「夕陽を見ているか?」では、チームBから彼女だけが選抜に選ばれて、確かに子鹿のようになっていましたね。ほかにも、メンバーがモデルになっていたりするんでしょうか? 岩崎 夕紀は大島優子がモデル。優子は、ダンスの面でも病気になるようなギリギリのところまで自分を追い込むんですよね。力の加減を一番知らない。その部分がファンに魅力として映ってると思うけど、本人はそんなことは意識してはいない。彼女も競走馬みたいなものですね。やるからには一生懸命やらざるを得ないという特性を持っている。秋元才加も高橋も努力家で知られていますが、リミットを越えてまでは、がんばりはしない。優子だけが限界を軽々と超えて、あとでバッタリ倒れる。彼女のそこまで命を完全燃焼させるかのような生き方にも感銘を受けましたね。火の玉が飛んでいくような優子の生き方そのもの。主人公・みなみは峯岸みなみの弱いところに共感を抱いて描いていて、その3人だけはメンバーから『もしドラ』のモチーフにしました。  * * *  『もしドラ』とAKB48の意外な関係性も次々につまびらかになっていった岩崎氏のインタビュー。さらに、後半では、AKB48名物のサプライズの真相、"政権交代"が実現した総選挙から見る今後の展開、そして、岩崎氏だから知るメンバーたちの真の魅力にも迫っていく。AKB48ファン必読の後半をお楽しみに。 (後編に続く/取材・文=本城零次<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>) ●岩崎夏海(いわさき・なつみ) 1968年7月生まれ。東京藝術大学美術学部建築科卒。大学卒業後、作詞家・秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)などテレビ番組に制作に参加。AKB48のプロデュースにも携わり、ゲームやウェブコンテンツの開発会社を経て、2009年4月、株式会社吉田正樹事務所に入社。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』出版を機に、現在は所属作家として活動中。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら すげぇよ、AKBって。 amazon_associate_logo.jpg
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