元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんが、自らカメラマンとしてかわいい声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の53回目! 今回も声優からちょっと外れた番外編! おたぽるで「姫乃たまの耳の痛い話」を連載し、サイゾーからは『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』も出版したサイゾーと縁の深いアイドル・ライター・歌手の姫乃たまちゃんを小明が迎え撃つ、新旧(?)アイドルライター対談です! ──ご無沙汰です、前回お会いしたのも、確かサイゾーの企画でしたね~。(【小明×姫乃たま】精神を病む素質あり(!?)の売れないアイドルの幸せはどこにあるのか?) 姫乃 そうです、あのときは私がインタビューしたのでした。 ──今回は逆ということで、どうですか? その後、もろもろと。 姫乃 いい大人になれるように頑張ってます、小明さんみたいな(笑)。 ──最後の(笑)はなんだよ。あと、残念ながらたまちゃんはもう大人だよ。前の取材のときはまだ大学を出たばっかりで、私はさんざん「新卒を逃して地下アイドル続行とか、愚か(笑)」と馬鹿にした気がするんだけど、それからおよそ2年だね。今、たまちゃんの名前を検索すると「キングオブ地下アイドル」って出てくるのね。 姫乃 あははは、もう性別も越えているし。 ──ねぇ、キングなの? 地下アイドルのキングになってるの? 姫乃 違います! 違います! ──だって、私が初めてたまちゃんと会ったのは、映画『世界の終わりのいずこねこ』(2014年)の撮影のときだよ。あのときのたまちゃんは印象的でしたよ。持ってたバックが超ボロボロだったの。レースはちぎれていて、持ち手の縫い目もほつれていて、全体的に薄汚れていて、それを見て「ご苦労なさってるんだわ」と思ってたんだけど、今日はもう……何それ? ルイ・ヴィトンのリュックサックじゃん。どんだけ金持ってんの? 姫乃 これは、祖母が20年くらい使った後にくれたもので……。 ──はぁ~(ため息)。出ました、おばあちゃんからのもらいもの。セレブがよく言うやつ。本当に良い物は世代を超えて受け継がれるってか? 私がおばあちゃんからもらったバッグはね、スーパーのチラシで織ったやつだったよ! 1日で壊れたよ! 姫乃 でも20年ものですよ? 一回置き引きにあって「ブランドものなんて持つんじゃなかった!」って警察に被害届を出したら、「おばあちゃんが20年かぁ、うーん、時価5,000円だね」って言われたんですよ。 ──5,000円のヴィトンかぁ……。でも、ホラ、前回のインタビューで会ったときは、たまちゃんはもっと変なワンピースを着ていたよ。中野ブロードウェイ1階のらこっと(ワンピース1枚500円とかの激安店)で売っていそうな、猫の絵がついた服を。 姫乃 小明さんに「すっごい毛玉ついてるね」って言われたやつですよね。あれもまだ着てますよ。ゴキブリコンビナートを観劇するときに便利なんですよ、虫や泥などが飛んできますので。 ──物持ちいいね! で、今日の服はヒグチユウコの猫でしょ? 猫まで売れてる猫にランクアップと来たもんだよ。 姫乃 これはね、1万5,000円くらいするのを、古着屋さんで6,000円で買いました。 ──5,000円のヴィトンとあわせて、ようやく1万円越えか……。高いのか安いのかわからないところが、キングオブ地下アイドルって感じでいいね。 姫乃 っていうか、関係ないんですけど、小明さんって、ちゃんとノートのメモを見てインタビューするんですね。偉いですね。 ──いつもならそうですが、残念ながら今日は……ジャーン!! ノートは白紙です!! 全て見ているフリでした!! 姫乃 ギャッ!? けっこうチラチラ見てたのに!?
──それは挙動が不審なだけです。いつもは細かく個人情報を書いて質問事項をズラーっと並べているんだけど、今回はたまちゃんだし、いいかなって……。だってインタビューもいっぱい受けてるし、自分でも書いたものもたくさんあるから、同じようなこと聞いても、お腹いっぱいでしょう。 姫乃 ちなみに、前に小明さんにインタビューさせていただいたとき、小明さんにノートを覗かれたんですよ。ノートには担当編集から聞けって言われた「小明さんと中川翔子さんの格差について」って書いてあって……「聞きなよ。ホラ、早くそれ聞きなよ」って言われて震えました。 ──(爆笑)! 今は、たまちゃんとの格差が広がるばかりだよ。だってキングオブ地下アイドルだもんね。売れたんだよ。 姫乃 それは、イベンターの人が適当につけた冠だから! ──今、連載はどれくらいやってるの? 姫乃 今は月に10本くらいで、週刊もあるから、なんだかんだ月に20本くらい書いてます。改めて確認すると恐ろしいですね……。それで今月はライブが17本くらいあって。 ──何そのスケジュール! 儲かってるでしょう! 姫乃 儲かってないです。小忙しいだけです。 ──ウソつくんじゃないよ。儲かってるんだろ。私もうすぐ第二子産まれるからさ、ちょっと包んでよ。40万でいいよ。 姫乃 初孫レベル! ──毎月だよ。頑張って。でも、全然お休みもなさそうで大変だねぇ。 姫乃 というか、今週やっと私にはワーカホリックの気があるかもしれないって気が付いたんですよ。ワーカホリックの人って何かから逃避していると思うんですけど、ライブで会った大谷能生さんから「自分自身から逃げている以外にないだろう」って言われて。ワーカホリックを解いたときに、私に残るものは何なのだろうと思ったら怖くないですか? そこには虚無しかないんですよ。だから、最近はイベントで精神科医の人と対談したりして、神話の話とかしてます。 ──公開診療かな? 姫乃 あれっ、あれって診療だったのか! 「これをイベントだと思い込んだのはいつからですか?」ってやつですか。怖いな。 ──イベントの終わりには何か病名ついた? 姫乃 いえ。「この世は冥界だから頑張りなさい」って言われました。 ──え、大丈夫? その先生も怖いんだけど。 姫乃 これまで過酷な地下アイドルのインタビューとか、業界を俯瞰してできるだけ正確に伝える仕事ばかりやって来たので、もっとこう、目に見えないものも信じていかなきゃいけないなぁと思って。 ──宗教にハマる一歩手前だね! 宗教家の皆さん、勧誘するなら今ですよー! 姫乃 これまで宗教とかスピ系と呼ばれるものを毛嫌いしてたのですが、妄信するのではなくて物事の本質を知るためスピリチュアリティがあると知ってからすごく興味があって、自分から仕事の営業をかけたことがないんですけど、この間初めてTOCANA(サイゾーが運営する目に見えないものばかり載っているサイト)の編集長に連載させてくださいって頼んできました。 ──ああ、もう実行に移しているんだ。ええと、かける言葉が見つからないけど、お大事にね。でも気持ちはわかるよ。私も何かにすがりたい。私も一時期仏像とかにハマったんだけど、結局あんまり続かなかったなぁ。 姫乃 やってましたね、仏像。あれって、やっぱりそういうことだったんですか? 私も最近、「魂はいずれどこかに還っていくなぁ」って感覚が強まってきてから、生きるのが楽になりました。人生は旅行。 ──大丈夫? 今ってお酒飲んでないよね? っていうか、たまちゃんって、いつも酒を飲んでるよね。原稿書くときも飲むの? 姫乃 あ~……半分くらいは。あとライブのときはだいたい飲んでますね。んっ、なんか飲まない日がないですね。そういえば朝起きたときが一番ビール飲みたいです。 ──まんしゅうきつ子さんの『アル中ワンダーランド』(扶桑社)とかを読みなよ。多分それアル中だよ。 姫乃 私ですか? でも今は飲んでないですよ。 ──うん知ってる。だって今は挙動が変だもの。
姫乃 あっ、確かにお酒飲んでるときの方が挙動が普通かもしれない! ──田代まさしさんが捕まる前に一緒に仕事してたけど、シャブが抜けてるときは手が震えてたよ……。逆にシャブが入ってるときはテキパキしてるんだって。 姫乃 そうそうそう! 飲めないときは、とにかく目の前にある飲み物を飲んで気分を落ち着けてるんですよ。でも、今はせっかくメイクさんに口紅を塗ってもらったから飲めなくて、それで挙動が変なのかな? ──口紅なんてあとで塗り直すよ! メイクさんはそのために来てるんだよ! 姫乃 あっ、ありがとうございます。なんか、そういう感じでやっています。 ──危ういね。変な薬とかやらないでくださいね。 姫乃 最近、石丸元章さんと仲良くさせていただいているのですが、ドラッグへの欲望を抑えて、文章を書いて生きているという点で、ほとんど神様ですよね。欲望の抑え方が修行僧。 ──カウントダウンそこまで来てんじゃん! でも、身近な人がちょいちょい捕まりがちなところは、私たちの共通点ですね。……そうだ! 共通点と言えば、先日、東洋経済オンラインでたまちゃんが村田らむさんにインタビューされているのを読んだんだけど、そこで私たちの共通点をたくさん見つけましたよ。 姫乃 あれ、主に暗い話しかしてないじゃないですか。 ──そうです。まず、暗黒の中学時代です。たまちゃんは中学校でひどいイジメにあったわけですが、私も中学校は大嫌いで1年ほぼ行かずにひきこもってました。そして「全身にかさぶたができる」という奇病も、まったく同じ症状が私にもありました。 姫乃 そうなんですよ! 私、小明さんの本を読んだときに「あ、いた!!」って思った記憶があります。アレすごいですよね、なんなんですかね? ──全身にかさぶたと膿が広がって『蔵六の奇病』みたくなるんだよね。蔵六はその膿できれいな絵を描くけど、私たちはコラムを書いていたんだね。そして19歳くらいでライターデビューしているでしょ、そこも同じです。 姫乃 私はワニマガジン社のエロ本でデビューです。 ──私は「BUBKA」! まだアイドル誌じゃなくってハードなゴシップ誌だった頃の。 姫乃 同じだー。いやでも本当に文章を書く仕事ができてよかったです。 ──アイドル一本で食うなんて、できなかったしね。 姫乃 里咲りさちゃんとか、絵恋ちゃんとか、ライブ稼業で食べている周囲の人ともぶつからなくて済むのが良いです。兼業している中途半端さが、本職の人に対して申し訳ない気持ちもありますが……。 ──ああ~、たまちゃんの世代は大変そうだね。私の時代って、まだ基本は可愛さが売りの事務所所属のアイドルが多かったから、その中でフリーで変わったことをすればナンボか目立ったんだよ。でも、今はフリーでなんでもできる上に、変な奴が多すぎるよね。ミスiD界隈とか、それの最たるもんだよね。 姫乃 しかも、みんなやる気があるでしょう? ──やる気がある上に、元気がない人たちに向けて活動している人が多いのも、やっかいなんだよ。昔は、元気なアイドルには元気なファン、ダウナーなアイドルにはダウナーなファンで住み分けができていたのに、今はもう全部まざっている感じ。それに、今は事務所に入らない子が多いから、アイドル同士のつながりも大事にしなくちゃいけなさそう。大変じゃない? 姫乃 私は業界から相手にされていない感じなので、のうのうとやっています。あと、なんだかんだでみんなアッパーなんですよね。里咲りさちゃんはアッパーの化身ですし、絵恋ちゃんは性格的にはアレですけど、ライブはアッパーです。
──性格的にはアレというか、先日この連載で絵恋ちゃんに会ったときは(記事参照)、話を聞きながら何度も「ヤバイ」と思ったよ。 姫乃 目がね、あまり合わないんですね。私もですけど。 ──個室でマンツーマンで話しているのに目が合わないんだよ。でも、打ち解けてくると柔らかくなるの。あの不器用さが愛しいよね。っていうか、たまちゃんって友達いる? 姫乃 ……んんっ? なんの話ですか? ──アイドルで、友達っている? 姫乃 ちょっとなんの話かわからないですね。でも、絵恋ちゃんと、里咲りさちゃんと、ぱいぱいでか美ちゃんと、水野しずちゃんと女子会っていうのをやっていますよ。 ──何そのメンツ! 何しゃべるの? 姫乃 恐らく全員が「私が一番まともだ」って思ってるから、通常の女子会(行ったことない)と違ってマウンティングの取り合いがなくて居心地はいいんです。ただ、私以外の4人はあんまりお酒を飲まないんですね。というか飲まないんです。で、私は今までの人生で、同世代の女性と交流を取ることがなかったので、酒を飲まないと緊張しすぎてしまうんですよね。でもみんな飲まないから、ちょこちょこ「ビール、ビール、チューハイ、チューハイ」って注文するのが恥ずかしくって……。 ──たまちゃんの会計だけどんどん上がって、割り勘イヤだな。 姫乃 私も恥ずかしいんですよ。なので、洋食屋に行ったらワインをボトルで、焼き肉屋に行ったらマッコリをカメで頼んでしまうんですよ。一応気をつかって「飲む~?」って聞くんですけど、「いらな~い」って言われるから、それを一人で飲んで、一人で酔っていくんです。だから、だいたい記憶がなくて、何を話したかは思い出せないんですよね。そういう感じでやっています。 ──それ、酒飲まないと友情を育めないんじゃないの……? 姫乃 なんだろう、でもお酒を飲んでるときの方が現実世界に近いって、TOCANAにも書いてありましたよ。 ──TOCANAどんだけ愛読してんだよ! 私もお酒に頼ろうと思ったんだけど、その練習で自宅で一人酒しているときに急性アル中みたくなって死にかけて諦めたんだよね。たまちゃんは酒が強いから、きっと永遠に辞められないんだ……。あ、妊娠すると飲めないよ。妊娠~出産~授乳の時期は飲めないから、ずっと妊娠し続ければ酒が抜けるかもよ。 姫乃 子どもは2人くらい欲しいんですけど、結婚ってどういう手順を踏めばできるんですか? やはりハチ公前でプラカードなどを掲げて? ──フリーハグ感覚で結婚だね。ホームレスとかしか来ないだろう。あと日本のビザが欲しい外人とか……うちの旦那かな? 姫乃 旦那さんお元気ですか? 今度ホームパーティーなどに呼んでください。 ──ないよ、そんなもん。 姫乃 ないんですか? フランス人の方はそういう催しをすると聞いています。 ──フランス人もピンキリだから。私と結婚する外人だから、それなりだよ。 姫乃 小明さんは結婚したり出産したりして「幸せになったね」と言われると、とても腹が立ったり、モヤモヤしたりしませんか? ──しますよ。結婚出産して、人生はそんなにシンプルではないのだと学んだよ。 姫乃 子育てとか結婚生活って、自分と向き合う時間が多くなったりしますか? ──しませんよ。忙しいから。今、子どもは2歳で、次々に要求のボールを投げ続けられてて、それを受け止めたり返したりしないといけないから、自分と向かい合って鬱々とする習慣をキープしていたら死にます。
姫乃 でも、これまでも30代や40代の男性たちに、ボールを投げ続けられていませんでしたか? ──さすがに24時間じゃないもの。そして彼らは基本DDだったりして、数打ちゃ当たる感覚でいろんなアイドルに投げてるから、ボールの重みも違うよ。まぁ活動歴の割にガチ恋が異常に少なかったせいもあるでしょうけど……。だから前と比べて、体力的に「あ、死ぬ」ってことはあっても、精神的に「死ぬ」ってことが減ったと思う。あと、前は「いざとなったら死にゃいいや」っていう選択肢が一番に来ていたんだけど……。 姫乃 保険感覚の死。 ──今はその選択肢がなくなったから、なんとかするしかないんだよ。あとなんか、年とっていろいろと図太く、図々しくなってるんだと思う。図々しさは強さだよね。 姫乃 図々しさですか。やはり最終的にはスターバックスで持ち込んだせんべいを勝手に食べるおばさんになりたいですよねぇ。「甘いものしかないわねぇ、ここ~(バリバリ)」みたいな。 ──それは別に今からでもできるんじゃない? 頑張って! 姫乃 今はもっと他のことで頑張らせてください。 ──でも、今はそうやって忙しいからなんとかなっているけど、そのうち子どもが大きくなって、また自分と向き合う時間が増えてきたら、「私の人生って……」って、サブカル40で鬱かもね。そのときはもう誰も私の書いた物なんて読まないだろうから、もう匿名ではてなダイアリーに投稿するよ。 姫乃 なんでも最終的には、はてなダイアリーに投稿するとなんとかなりますよね。 ──はてなダイアリーなら今はあんまり誰も読まないだろうから(失礼)、何書いても良い感じがあるよね。事務所に入ってグラドルやってたとき、ブログとは別で匿名で鬱々とした日記を書いてたよ。 姫乃 わかります。私も今、アベ、アベマ、アママ、アメバ、アベベ、あれ? アマブロ? あ、アー……? ──挙動だけじゃなく舌にもキテいる。完全にアル中である。 姫乃 あ、アメブロ? あれをオフィシャルだったのにほとんど閉じて、近々オフィシャルでもなんでもないはてなブログに移行する予定です。そういう感じでやっています。 ──そうですか、それは何よりで……あんたほんとに肝臓大事にしなさいよね。 姫乃 ところで、私、地下アイドルの肩書きを変えたいんですけど、何か良い肩書きないですかね? ──前に私が「アイドルライター継いで」って言ったら断ったじゃん。まだ根に持ってるからね。それになんで変えたいの? キングの冠を自ら下ろすなんて愚かだよ! 姫乃 先日、宍戸留美さんとイベントをやったときに、宍戸さんは写真を撮るから、「自分をアイドルと名乗るのはアイドル一本でやっている人に失礼だと思う」って話をされていて、非常に反省しました。 ──確かに、ワンマンライブをロフトプラスワンとかじゃない地上のイケてるライブハウスでやって、450人も動員している時点で、姫乃たまはもう地下アイドルではないよね。 姫乃 でも、その翌日のアフターパーティで私のお誕生日会をやったら、30人くらいしか来なかったですよ。お客さんが酒樽を買ってきてくれたので、みんなで割って飲みました。 ──それはあなたを一生食わせてくれる精鋭です。もうコミューンを作ってどこかの山で暮らしなさいよ。 姫乃 でも、小明さんのファンも来てましたよ。 ──じゃあもうマージン寄こせよ! 姫乃 でもですよ、みんな酒樽の酒を飲んでベロベロになっていて、例外なくベロベロに酔った小明さんのファンがチェキの上に酒をこぼして、「ごめんね!」って焦ってどかそうとして、そのチェキを誕生日ケーキにダイブさせたんですよ。そのまま一緒にチェキ撮ったら、クリームまみれのチェキがベローっと出てきました。あっちも申し訳なさそうだし、こっちも意味なく申し訳ない気持ちですよ! ──マージン寄こせと言ったけど、今はうちの子がごめんねって気持ち……。じゃあ、真面目に考えるね。地下アイドルじゃない肩書きって言ったら……コラムニスト? コラムニストで良いじゃん! かっこいい~! 峰なゆかさんとか、犬山紙子さんとか、北条かやさんとか、その辺とやりあうんだよ。 姫乃 私その中で戦えないよ!? 想像しただけで助かりたい気持ちだよ!? ──誰もが自分が一番まともだと思っているその女子会を抜けて、お前はそこに行くんだ。 姫乃 (震え) ──怖いね……。もう少し地下アイドルで良いんじゃないの、グラビアとかやってさ。 姫乃 もうグラビアも辞めちゃったんです。めっちゃ太ったんですよ、3年で8キロ増えたんです。 ──8キロ! 私、いま妊娠後期で8キロ増えてるんだけど、妊娠せずして8キロ!?
姫乃 新生児3人分です。女子会でも私だけ「もう食べられないよぉ~(太っちょの声マネ)」みたいになってます。 ──やるねぇ。アイドル的な売りが厳しくなってくるアラサーあたりで肝臓を壊したら、体調が悪くて原稿も書けず、アイドル仕事もできず、サーッとヤバくなりますね。 姫乃 ほ、保険に入ります。国に金を納めて、貯金をがんばって続けようと思いました。 ──酒を辞めるって発想はないんだね! とは言え、たまちゃんはまだ24歳なんだよね。私が24歳のときって何してたかな。もう覚えてないな。 姫乃 記憶にモヤが? ──そう、二十歳前後は鬱がMAXになってるけど、そこを越えるともう防衛本能が働くのか、記憶がないのよ。 姫乃 私のMAXの時期も、18~19か。うーん、良く生きてたねぇ。大人になって良かったねぇって思いますねぇ。 ──大人になって良かったことはありますか? 姫乃 鬱が穏やかに……。 ──ハードなマイナスから、マイルドなマイナスになっただけだね……。 姫乃 あと性格も穏やかになりました。昔は切れたナイフでした。 ──キレる十代はおっかないから、それは良かったね。 姫乃 あと同性の人から好かれるようになって良かったなって。昔はなんだろう、「前世で米でも荒らしたのかな?」ってくらい、目が合うだけで嫌われてました。 ──すごいね、才能を感じるね。その代わり、男子から好かれたりする特権があったでしょ? 姫乃 「LEON」を読まないタイプのおじさまからは好かれたかもしれません。 ──サブカルおじさんから好かれて良いなぁ。私はセクハラとかで悪名高いサブカルおじさんと接触しても、完全にスルーされてたもんなぁ。なんか悔しいよ。私の何がダメだったの? 姫乃 でも、なんだろう、別にそれで何もないですよ。 ──「無」だね。あ、ハチ公前でプラカードを持たずとも、そのサブカルおじさんを受け入れれば、たまちゃんは若いアイドルだし、超ガッツかれてすぐ結婚になるんじゃない? どういうメンズが好きなの? 姫乃 体重が130キロくらいあって、車が好きで、サイゾーとかを読んでいる文化的な人ですかね。 ──それ日刊サイゾーの編集長だろ! っていうか、たまちゃん、ちょっとこの連載狙ってない? 前に宍戸さんと一緒にライブしてたあたりから薄々感じてたんだけど、私の産休中に私と取って代わろうって魂胆でしょう? 新旧アイドルライターなら新しい方が良いってか? クッソ!! 言っておくけど、このギャラは安いからな!! 姫乃 あははは、来月から宍戸留美×姫乃たまに! でも、宍戸さんと小明さんと私は職業上の血縁関係にあるので、小明さんのギャラが上がらないことには私のギャラも上がりません。上げておいてください。 ──無理!! 今日はありがとうございました!!
●オマケ 宍戸留美27周年記念作品について ──あのさぁ、せっかくだから宍戸さんの27周年の記念アルバムの話しようよ。せっかく二人とも歌っているしさ。 姫乃 そうだ、そういう美しい話をしましょう。 ──「ピンクのラフレシア」のレコーディングはどうでしたか? 姫乃 ……緊張しました。なんか歌えなかったんですよ、全然。声もガサガサだったし。 ──それは酒焼けだろう。 姫乃 だから龍角散を持参してたんですけど、手が震えているからオシャレなスタジオに白い粉をドバッとこぼしてしまい……宍戸さんに「おじさん臭くなったね」と言われて……。なんとかレコーディングは始めたものの、私は緊張するとピッチが下がる癖があるので、何度やってもずっと低いピッチのままで、宍戸さんがニコニコ見守ってくださる中、4時間ずっと白い粉が舞っていて……。 ──地獄だね。しかも、たまちゃんはレコーディング初日だったから、その後の人はずっと龍角散臭い中で歌ったんだね。 姫乃 そうなんです。あと、宍戸さんはすごく人間が出来ていて、現役のアイドル達を耕す意味でも自分の曲を提供してくださっているわけだけど、嫉妬心とか複雑な気持ちはないのかな、と思ってたら、レコーディング中に「あ、今すごく複雑な気持ちになった」とおっしゃられて、「そうだよなぁ、頑張って歌わなきゃ!」と思ったらますますピッチが下がっていって……だんだん向こうのブースからの応答がなくなってきて、「あ、これはもう1フレーズずつ切り貼りしはじめているな」とわかって……。 ──(爆笑)! 姫乃 服についた龍角散をバサバサしながら切り貼りしたものを聴いて「あ、歌えているみたいになってますね」って言った後、宍戸さんに「レコーディング風景を撮りたいから」って言われて、記念受験で歌ってみたら普通に全部歌えてしまい、みんながガックリしていました。 ──これに関しては、酒飲んでから行けば一発録りで出来たような気もするね……。でも、作曲家の福田さんはそれで学習したみたいで、次のアイドルから優しくなったらしいよ。私はほぼラストの方だったから超優しくて「今のニュアンスは良かったから、この頭の2文字だけちょうだい!」とか、もうフレーズごとの切り貼りですらなかったよ。その裏にはたまちゃんの龍角散臭い努力があったんだね。感謝~。 姫乃 私は申し訳なさで逃げるように帰りましたけどね。 ──後足で粉かけて帰ったんだね。次にたまちゃんと会うのはアルバムの発売記念ライブとかかな。やだなぁ。私、里咲りさちゃんとか絵恋ちゃんとかと一緒にライブするの、もうキツいよぉ。 姫乃 アッパーですよ……。 ──このアルバムに参加が決まってうれしかったけど、参加アイドルのラインナップ見てちょっと引いたもんね。現代のライブアイドルの中に、そっと入り込んでる自分の違和感がすごい。「だって宍戸さんとはずっと一緒にやってるからね!」みたいな。コネ入社ですよ。 姫乃 縁故採用! ──肩身狭いよぉ。盛り上げたり踊ったりできないよぉ。 姫乃 里咲りさちゃんや絵恋ちゃんが踊って輝くほど、私たちの目がどんどん遠くなっていって……嫌だわ……またそれをやらなきゃいけないのね……。 ──学生時代の格差が蘇るようだよ。でも、たまちゃんだって歌いながら踊るじゃん。 姫乃 だって、歌ったり踊ったりしなけりゃアイドルって言えなくなるじゃないですか。 ──そういう理由かよ~! ではでは、また発売記念ライブ(たぶんある)でね! 読者の皆さまも是非是非~! (取材・文=小明/撮影=宍戸留美) ●姫乃たま(ひめの・たま) 地下アイドル/ライター 1993年2月12日、下北沢生まれ。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を中心に、文筆業も営む。主な音楽作品に『First Order』『もしもし、今日はどうだった』、著書に『職業としての地下アイドル』(朝日新聞出版)『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。7インチレコードやカセットテープなど、様々なメディアで音楽を発表しており、地下アイドルとしても枠にとらわれない活動を展開している。 ・Twitter https://twitter.com/Himeeeno ●ししど・るみ 1973年、福岡県生まれ。1990年にアイドルデビュー、18歳でフリーアイドルになり現在まで様々な分野で活動中! フランス、ドイツ等でもライブを行い音楽活動で高い評価を得ている。 【宍戸留美最新情報】 ■絵恋ちゃん、里咲りさ、姫乃たま、小明、他がカバーしたものと、セルフカバーした宍戸留美アイドル時代の音源を絶賛制作中! ■11/18(土)「宍戸留美と昼下がりのキルシェ親睦会」開演:16時 場所:Kirsche 前売¥3,000(1oder別) ゲスト:るんこ、さな、cherry ※25名様限定 ■11/19(日)「宍戸留美と昼下がりのレガート親睦会」開演:13時 場所:cafe&bar Legato 前売り¥3,000(2oder別) ゲスト:るんこ、さな、たかこ ※22名様限定 ■演劇企画CRANQ主催の朗読劇に出演! 6th STAGE Sound Play #2『プリモ・ピアット~聖夜のヒミツ~』12/19(火)〜24(日) 場所:中目黒キンケロシアター http://cranq.jp/ 東京幻想曲集 発売中!
増田賢一氏と25年分の宍戸留美を撮りためた「東京幻想写真集」発売中!! 公式HP: http://rumi-shishido.com/ ブログ: http://lineblog.me/sundaliru/ Twitter: @RumiShishido ●あかり 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。『卑屈の国の格言録』(サイゾー)、『アイドル墜落日記 増量版』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> シングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中。<http://www.cyzo.com/akr/>













































