名作小説×3Dが魅せる新境地! ディカプリオ主演『華麗なるギャツビー』

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 今週紹介する最新映画3本はいずれも、現実を変えてしまうほどの“妄想力”や、常識を無意味にするほどの“現実逃避力”が物語の核になっている。「創造は想像から始まる」という普遍の真理を、現代的な味付けで描き直した作品群といえるかもしれない。  『華麗なるギャツビー』(2D/3D上映、公開中)は、米作家F・スコット・フィッツジェラルドの名作小説『グレート・ギャツビー』を、『ムーラン・ルージュ』(2001)のバズ・ラーマン監督、レオナルド・ディカプリオ主演で映画化。好景気にわく1920年代の米ニューヨーク。素性も仕事も謎めいた大富豪ギャツビー(ディカプリオ)は、宮殿のような豪邸で夜ごと盛大なパーティーを開いていた。豪邸の隣に住む証券マンのニック(トビー・マグワイア)は、ギャツビーと知り合いその魅力にひかれていくが、できすぎた身の上話に不信感も抱く。やがてギャツビーはニックに仲介を頼み、ニックの親戚で社交界の花のデイジー(キャリー・マリガン)と再会。今は人妻となっているデイジーとギャツビーには、秘められた過去があった。  完璧な笑顔で人々を魅了する上流階級の美青年から、禁じられた恋にのめり込み、次第に素顔をさらしていく主人公を、ディカプリオがゴージャスかつミステリアスに演じた。ラーマン監督は『ムーラン・ルージュ』や『オーストラリア』(09)で見せた華麗な屋内セットや壮大な光景による映像美を、本作では最新の3D映像で臨場感たっぷりに描き出し、文芸作品の3D映画という新境地を開拓。パーティーでのダンス場面にあえて現代のヒップホップ音楽を当てるなど、単なる歴史の再現や懐古趣味にとどまらない挑戦も。好況期から大恐慌へと向かう当時のアメリカを象徴する主人公の、切なくもはかない「夢の実現」は、再びバブルの気配が漂いはじめた現代の日本でどう受け止められるのかも気になるところだ。  続いて6月15日に封切られる『俺はまだ本気出してないだけ』は、外見も中身も残念な中年男が奮闘する姿を描いた青野春秋の同名漫画を、堤真一主演、『大洗にも星はふるなり』(09)の福田雄一監督で映画化。42歳バツイチ子持ちのシズオ(堤)は、「本当の自分を探す」と言い残し会社を辞めたが、毎日朝からだらだらとゲームをして過ごしていた。高校生の娘・鈴子(橋本愛)に借金し、バイト先では新人からも叱られる始末。そんなシズオがある日突然、漫画家になると宣言する。  さわやかな好青年、仕事のできる大人といった役どころを多くこなしてきた堤真一に、パンツ一丁でゴロゴロするダメ中年役のキャスティングは意外だが、さすがは実力派俳優。根拠のない自信と現実社会への不適格ぶりのギャップを見事に体現し、痛々しさが笑いを誘うキャラクターを再創造した。生瀬勝久、山田孝之、濱田岳、石橋蓮司ら個性的な共演陣との掛け合いも楽しい。先のAKB48選抜総選挙で1位に輝いた指原莉乃が、編集者役で出演していることでも話題だ。  同じく6月15日公開の『フィギュアなあなた』(R18+)は、『GONIN』(95)、『花と蛇』(04)の石井隆監督が、自身の短編漫画を自ら映画化したエロティック・ラブファンタジー。勤務先の出版社からリストラ宣告された孤独なオタク青年・健太郎(柄本佑)は、ヤケ酒の勢いでケンカになった相手から追われ、逃げ込んだ廃墟ビルでセーラー服姿の等身大フィギュアを発見する。健太郎が危険なチンピラたちに取り囲まれたその時、美少女フィギュアが突然動き出し、男たちを次々に倒して健太郎を救う。健太郎は彼女を自宅に連れ帰り、ココネと名づけて同居生活を始める。  人気グラビアアイドルの佐々木心音がココネ役を演じ、ヘアヌードやコスプレで体当たりの演技を披露。シュールで不条理な展開に身を委ね、石井監督渾身のエロス表現を頭で理解するのではなく、体で感じるのが本作との正しい向き合い方だろう。なお本作は、石井監督が今年角川書店配給で相次いで発表するエロス連作の1本で、9月公開の『甘い鞭』(R18+)では壇蜜がSM嬢を演じることでも注目される。  (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『華麗なるギャツビー』作品情報 <http://eiga.com/movie/57190/> 『俺はまだ本気出してないだけ』作品情報 <http://eiga.com/movie/77297/> 『フィギュアなあなた』作品情報 <http://eiga.com/movie/77917/>

ダニエル・デイ=ルイスにアカデミー賞をもたらした、レオ様の幸運の正夢とは

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「レオが背中を押してくれた」  スティーブン・スピルバーグ監督の『リンカーン』主演オファーを「荷が重すぎる」と一度は断ったダニエル・デイ=ルイスが、その後、親友レオナルド・ディカプリオからの助言で出演を決め、今年度アカデミー賞(第85回)主演男優賞を受賞したという話題が報じられた。髭を生やしたダニエルの風貌はエイブラハム・リンカーン本人と酷似しており、まさにハマり役といった印象だった。  3月2日、そのダニエルの出演のきっかけを作ったというレオナルド・ディカプリオが、クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ジャンゴ 繋がれざる者』の公開を記念して緊急来日。記者会見で、ダニエルとのエピソードを語った。 「ダニエルの話だけど、僕は夢を見たんだ。夢の中でエイブラハム・リンカーンに会ったんだ。ちょっと煙が立ち上っているログキャビンのような場所で、そこにリンカーンがいると思って近づいてみると、それは実際のリンカーンではなく、リンカーンになったダニエル・デイ=ルイスだった。後日、その夢のことをダニエルに話したんだ」 IMG_2766.jpg  当時、出演を悩んでいたダニエルは、レオの見た預言のような夢の話を聞かされて一念発起。監督のスピルバーグも「USAトゥデイ」紙のインタビューでこのエピソードに触れ、レオにダニエルの件を相談すると、一役買ってくれて、ダニエルとのつなぎをしてくれたと明かしている。レオの夢は、まさに幸運の正夢だったのだ。  ダニエルとはマーティン・スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』で共演するなど、普段から親交があるようで、レオは会見の中で、ダニエルの扮したエイブラハム・リンカーンについて「リンカーンを演じるんだったら彼しかいないと思っていた。彼はあの役を演じるために生まれてきた、そういう人だと思う」と発言。ダニエルの受賞を喜んだ。  ちなみにレオは、こんなふうに夢や昼寝の最中に、ふとしたアイデアやきっかけをつかむことがあるという。 「つい最近だと、ウォール街の狼を演じた『The Wolf of Wall Street(マーティン・スコセッシ監督作品)』。この役を演じた時も、実はスコセッシと仕事している夢を見て、それを彼に話したら実現したんだ」とレオ。大監督とはいえ、スコセッシも「あなたと仕事をする夢を見た」と言われたら、レオを誘わずにはいられなかっただろう。  レオが出演している最新作『ジャンゴ 繋がれざる者』も、この『リンカーン』に負けじと評判がいい。南北戦争直前のアメリカを題材にした西部劇で、前述のアカデミー賞においても、脚本賞(クエンティン・タランティーノ)・助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)の2部門を受賞し、昨年12月にアメリカで公開されるや、タランティーノ作品としては史上最大のヒットを記録している。  レオはこの作品で脇役にもかかわらず、監督に自らオファーを出し、出演を決めたという。 IMG_2617.jpg 「常に自分が本当に尊敬する、そしてまた革新的な仕事をしている監督と仕事をしたいと思ってるんだ。タランティーノは、まさにその条件にぴったりの監督で、ずっと仕事がしたいと思っていたんだよ」  劇中でも、これまでのレオのキャラクターとはまったく違った非常に残酷な悪役を演じるなど、役者としての新境地に挑戦している。  南北戦争直前というアメリカ人が触れたくない時代設定の中で、レオは南部の人種差別主義者の農園主を演じる。題材を聞いた時はショックを受けたというが、台本を読んでいくうちに「こんなものは見たことがない、読んだことがない」と、逆にこの作品に興味を惹かれたそうだ。 「これはアメリカが自分の過去を振り返り、鏡を覗くような大事なプロジェクトだと思ったんだ。その悪役っぷりも、タランティーノ監督らしい、ページから飛び出すような激しいキャラクターで興奮したよ。俳優というのはいろいろな役を演じるのが仕事だから、ここまで大胆不敵な人物だと、ある意味、非常に開放感を持って演技ができる。楽しかった。よく俳優にとって一番楽しい役は悪役だと聞くけど、僕もそういう感じだったよ」  来日前、海外メディアの間でレオの役者休業のウワサが出回り、その原因がタランティーノ監督との不仲にあるのではともささやかれた。だが、レオはこのウワサについても一蹴し、監督との仕事を楽しそうに振り返った。 「悪役を演じるにあたり、役者としては、その嫌な部分を正当化する理由がないと演じられない。僕が演じる農園主は、非常に偏見主義で人種差別主義者で、黒人に囲まれて育ってきたにもかかわらず、彼らを人間として扱わないという矛盾を持っている。この役を演じるにあたり、早い時点でいろいろなアイデアを出したんだよ。すると、信じられないほどの量のセリフやモノローグを、ほんの数日間で書き上げてくれたんだ」  撮影中には大ケガも負った。これについても「シャンパングラスやシェリーグラスがたくさん並んだテーブルを叩くというシーンで、あるテイクの時にシェリーグラスの上に自分の手がいき、グラスが割れて柄の部分が手に突き刺さってしまったんだ。血が出ていることも分かったし、テーブルも血で染まったけれど、このシーンを使ってもらえたら最高だとも思ったよ。それでそのまま演技を続けたら、監督は撮影中、心配そうにこちらを見ていたけれど、その後、ちゃんとそのシーンを使ってくれた。後で数針縫ったんだけど、俳優としては最高に幸せだったよ」と、監督に感謝の気持ちも述べた。  来日すると空港で150人のファンに出迎えられ、初日の舞台挨拶のチケットも4時間でソールドアウトするなど、レオの日本での人気は相変わらず。本人も親日家で、以前来日した時に、両親を京都に連れて行ったこともあるという。  会見では、ウワサされた俳優休業説についても一蹴。「大好きな俳優業を辞めるつもりは、まったくないよ」と否定し、舞台挨拶など、来日スケジュールを終始ご機嫌な様子でこなしていた。 (写真・文=名鹿祥史)

潜在意識に潜入せよ! 最高難度のミッションに立ち向かう『インセプション』

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 映画はDVDかテレビで観ればいいと思っている人にも、映画館の大スクリーンで観てほしい、この夏最高の映像エンタテインメントがやって来る。クリストファー・ノーラン監督(『ダークナイト』)、レオナルド・ディカプリオ主演のSFアクション大作『インセプション』(7月23日公開)。グイグイ引き込まれるスリリングなストーリー展開に、トリップ感さえ覚える驚異の映像の数々。知的な興奮と視覚的な快楽を同時に味わえる、お得感いっぱいの作品だ。  『メメント』(00)で米アカデミー賞にノミネートされたノーラン監督が、今作でもオリジナル脚本を執筆。人が眠っている間に夢(潜在意識)に侵入し、他人のアイデアを盗む特殊技術の専門家コブは、共に夢の世界を過ごした妻を失い、国際指名手配犯となったせいで2人の子どもとも会えなくなる。そのコブに、大物実業家のサイトーがある仕事を依頼し、成功すれば犯罪履歴を消して子どもが待つアメリカに帰れるようにすると約束。その仕事とは、侵入したターゲットの潜在意識にあるアイデアを埋め込むという、最高難度のミッション「インセプション」。  コブはそれぞれ専門技術に秀でたメンバーを集め、ターゲットの夢にまんまと侵入。想定外のトラブルに遭遇しながらも、意識の深層へ、さらに深い層へと突き進んでいく......。  現実と夢の両方で世界を駆けめぐるストーリーに対応すべく、ロケーション撮影は東京の超高層ビルのヘリポートに始まり、パリの市街、モロッコの港町タンジール、カナダ・カルガリーのスキーリゾートと縦横無尽。さらに、ロンドン北部の飛行船格納庫では30メートルに及ぶホテルの廊下のセットを丸ごと回転させて無重力状態を作り出し、パリのカフェでは軽量素材による店の調度の爆発を高圧窒素で実現して高速撮影、ロサンゼルスのダウンタウンでは貨物列車のレプリカを実際に走らせる。これらの創意工夫を凝らした実写にCGが巧みにブレンドされ、身たことがないのに奇妙にリアルな、まさに観客自身も夢を見ているかのような映像体験ができる。  共演も、コブの妻役にマリオン・コティヤール(『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』)、サイトー役に渡辺謙、さらにジョセフ・ゴードン=レビット(『(500)日のサマー』)、エレン・ペイジ(『JUNO/ジュノ』)、キリアン・マーフィ(『麦の穂をゆらす風』)等とにかく豪華。特に渡辺謙については、ノーラン監督が『バットマン ビギンズ』での仕事を評価し、今作では最初から彼のために出番の多いサイトーの役を書いたというから必見だ。  映画好きを自認する人なら、これを劇場で見逃すと後悔すること必至。また、普段あまり劇場で映画を観ない人にとっても、映画館の大スクリーン・高音質で鑑賞することが、他には代え難い体験だと実感できるはず。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 『インセプション』作品情報 <http://eiga.com/movie/54466/>
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