電子書籍なのに手売り販売? ウワサの「電書フリマ」で電子書籍の最前線を体験レポート

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 「2010年は電子書籍元年」と言われ、Amazon kindleやApple iPadなどの電子ブックリーダーが次々に登場。国内でも出版社や印刷会社などが電子出版の取り組みに本腰を入れ始めた。また、佐々木俊尚氏の『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー21)等、関連書籍も軒並みヒットしている。  だが、kindleはまだ日本語対応しておらず、iTunes Book Storeに並ぶ書籍の数はまだ紙の出版物に比べものにならないほど少数というのが実情。コンテンツの少なさに、せっかくiPadを買ったのに「何に使えばいいか分からない」といった声も聞く。 そんな中、大手流通をまったく介さない、電子書籍の「対面販売」という手法が編み出され密かに注目されている。このシーンをリードしているのが、大人気パズルゲーム『ぷよぷよ』の生みの親でもある米光一成さんが率いる有志団体「電子書籍部」(以下電書部)だ。  5月23日に開催された第10回文学フリマで電子書籍15点を販売し、5時間で168人に1,453冊を販売するという驚異的な数字を叩き出した。これは、「一点数十冊売れれば上出来」という文学フリマの常識を覆す販売数である。  何かが確実に変わり始めている。そう感じずにはいられなかった筆者は、7月17日に開催された世界初の「電書フリマ」に参加してみた。  朝10時。渋谷駅から約7分、宮益坂上の信号のほど近くに、今回のフリマの会場、レンタルカフェ「ColaboCafe」はあった。入口前には、手書き感満点の看板が。 denshifurima02.jpg  B1Fに降りてみると、約35平米とさして広くない部屋の中は既に多くの人でごった返していた。奥のソファー席前のテーブルには紙に印刷された電子書籍の見本が並べられ、皆熱心に目を通している。客層は20歳前後から壮年の方までさまざま。男女比は同じくらい。ただ、iPhone所有率は高いようだ。  今回は合計64作品が出品(http://densho-z.heroku.com/catalog)。電子書籍関連の内容のものが目立つが、小説、歌集、評論、写真集、マンガとさまざまなジャンルのものがあり、どこか骨董品市のような風情が漂う。  ところで、電書は何で読めるのだろうか? 「PC、Kindle、iPhone、iPadで読めます。iPhoneならStanza(http://www.lexcycle.com/)というアプリで読むのが快適ですよ」  iPadを持った電書部のメンバーが親切に教えてくれた。では、実際に電書を買うまでの流れはどうなっているのだろう? 「まず、あらかじめサイトで取得した電書ナンバーかメールアドレスを教えて頂いて、購入する電書の番号をクリックします。すると、登録したアドレスにメールが届くので、そこから一カ月の間ダウンロードして頂けます」  さっそく、15冊を選んで購入してみた。 「10冊以上お買い上げになると1冊どれでも100円になりますので、15冊で合計1,500円です」  中には500円のものもあったはずなので、とてもお買い得! これはまとめ買いをする人が多いのではないだろうか。しかも、電書だと実際の本と違ってかさばらないという利点もある。ここでは重い紙袋を持つということはないのだ。  早速会場でPCを開いてみると、すでにメールが届いていたのでリンクからすぐにダウンロード。通常のPDFなら問題なく読める。インストールしておいたKindle PC版でもうまく作動した。iPhoneでも、Stanzaを起動させればページ送りなどはスムーズだし、文字の大きさも気にならないレベルだった。  しかし、出品する側にはいろいろな苦労があったようだ。 「タグを何回直してもうまく改行されなかったり、試行錯誤の連続でした」  ミニコミ誌「放課後」メンバーのゆりいかさんは、特にデザイン面で何度もテストを重ねたという。 「見出し部分や、太文字などを制御するのが大変でしたね。詩集も収録しているのですが、縦書きや改行に意味があるものですから、画像で処理しました」  作り手にとっては印刷とは違った技術的な課題がまだまだ残されている、といった声はこのほかにも多く聞かれた。 denshifurima03.jpg    一方、「電書」というスタイルに魅力を感じている作者もたくさんいた。処女歌集『モテる体位』を上梓した佐々木あららさんもその一人。 「何より手軽なのがいいですね。もともと短歌集って既存の出版流通だとそんなに売れないし出せないので、それほどお金がかからずに発表できるのはありがたい。自分みたいに歌集や句集を発表する人が、これからどんどん増えていくといいなと思っています」  今回「この人が目当てで来ました」という声が多かったのが、「コミックバーズ」にて『大東京トイボックス』を連載中のうめさん。特に、諸事情で没になったネームをそのまま公開した『東京トイボツ(没)クス』は、電書ならではのコンテンツと言えるだろう。 「個人的にも好きなネームで、いつか日の目を浴びせたいと思っていたのですが、正式な完成品でもないので、お金を取って売ってもいいのかという疑問がある。そういったモノに、手売りでの電子書籍販売という形が最適だったんですよね。没ネームはたくさんあるので、好評ならまた出します(笑)」  うめさんは、電子書籍によって、これまでの価値観に変化が出てくるだろうと予測する。 「電書は、紙と比べてリスクが少ないので多少雑なコンテンツでも世に出せます。だからこそ、逆の意味で編集という仕事が何なのかが浮き彫りになってくると思います。ボツになったネームの方が売れてしまったとすれば、編集に何か問題があったことになりますし、その逆に編集がスゴかったから売れていた、という作者も出てくるかもしれません」  また、電書部の活動について積極的に参加していきたいと語る。 「電子書籍は大きな話題もたくさん出ていますが、形になっていないしまだ流動的な状態。ならば、早く動いてしまえば自分達の望むように小さなコンテンツでも流通できるような市場に出来るんじゃないか、と思っているんです」  今回の電書フリマの実績は購入者529名・売上部数5,206冊という結果になった。特に、電子書籍を出すノウハウ本やマンガが多く販売されたとのこと。 「AmazonやApple、大手の版元がペットショップの血統書付きの猫だとすれば、僕たちは野良猫。野良猫は野良猫で、しぶとく生きていきます(笑)」  概ね好評だったことに米光さんは満足を感じつつ、「次」を見据えているようだ。 「今回同時多発的に吉祥寺と京都でもイベントが行われました。こういった動きが広がっていけばいい。そのために販売のノウハウも含めてオープンにしたいと考えています。ただ、僕たちは『部活』ですので、気負わずに出来ることをやっていくつもりです」  Twitterの電書フリマのハッシュタグ「#denf717」を見ると、作品の感想やバグの報告などがTLに並んでおり、今も活発に動いている。もしかすると、いままで語られてこなかったこのような有志たちによる小さな動きが、電子出版界の最前線なのかもしれない。 (取材・文=ふじいりょう)
電子書籍の衝撃 衝撃! amazon_associate_logo.jpg
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アダルト絶対NGはホント? iPadで夢のエロ漫画読み放題生活!

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実際に販売されているiPadで読めるエロ漫画。
「電子書店では、エッチな内容の本、特に漫画は買うことができないらしい」  こんなことが、iPadが発売された今春以降あちこちでささやかれている。  一種の都市伝説なのだが、その根拠は存在する。海の向こうでiPadが華やかにデビューし、それを見た日本人が「電子書籍=iPad」という錯覚を起こしたことがその一つ。さらにiPadを販売しているAppleが、アダルトコンテンツに対して非常に厳しい姿勢を取っていることがもう一つの原因だ。  Appleの製品であるiPhone用の「App Store」では、"エロコンテンツ狩り"が行われており、水着写真集程度のアプリであっても発売停止の処置が取られる。内容的によりフリーダムな日本の漫画の場合、単純なアダルトものよりもApp Storeの関門は厳しい。単純な露出だけではなく、キャラクターの年齢(児童か否か)、暴力描写などが問題視されるからだ。講談社が一般向け漫画コンテンツをApp Storeで販売しようとしたら3分の1が審査落ちしたとか、廣済堂が持ち込んだコンテンツが全滅した、とかいうニュースも実際に伝えられている。こんなものを立て続けに見せられたのでは、「アダルト漫画を電子書籍として買うことはできない」と思い込むようになったとしても無理はない。しかし、実際には全くそんなことはない。  iPadは「電子書籍リーダー」とは言われているものの、その正体はタブレット型のパソコンであり、ごく普通にインターネットに接続できる。ブラウザもAppleのパソコンが搭載しているものと同じSafariなのだ。だから、これで普通のダウンロードサイトに接続し、コンテンツを買うことが可能だ。別にApple直営の書店でなければ本が買えないというわけではない。決済方法にしても、一般的なWebブラウザ上で使用可能なクレジットカードやPayPalなどが使える。  iPadで標準とされている電子書籍のフォーマットは「EPUB」と言われているもので、その中身は基本的にWebページと同じものだ。「EPUBで日本語の書籍を作るのは難しい」とよく言われるが、これは縦書きで作ろうとした場合の話。漫画のような、絵だけで構成されたコンテンツの場合、驚くほど簡単に電子書籍化できる。特別なソフトは何もいらない。その気になれば、Windows付属の「メモ帳」でもイケてしまうのだ。  というわけで、「iPadでも利用できる電子書店」も、「そこで販売できる電子書籍」も、個人ベースで作れてしまう。EPUBそのものは、Appleが開発したフォーマットではないオープンな規格なので、いくらエッチな本を販売しても、Appleが文句を言ってくることはない。表現面でやりすぎたり、そこらにある漫画を勝手にスキャンして電子書籍化して売ったりすると日本の法律によって処罰されるが、水着程度なら全く問題ないのである。  筆者はケータイ用のデジタル漫画を制作するプロダクションで働いている。だから著作権的に何の問題もない漫画データは豊富にある。それをフリーのツール(FUSEeというフリーソフト)で電子書籍化し、さらに書店サイトを作って販売を開始した。コンテンツはiPad・iPhoneで閲覧できるほか、ビューアソフトを入手すればパソコンでも鑑賞可能だ。  自分で書店を運営する場合、問題になるのはネットを通じて商売する上で必須になる決済システムだが、これにはPayPalを使用した。PayPalは日本ではあまり使われてないが、世界的にはオークションの決済などに多用される少額決済用のシステムである。サービス利用開始時に初期費用が一切かからないこと、日本国内だけでなく世界中のユーザーが利用可能という点が魅力である。  他のやり方としては、ビューアアプリだけを製作し、コンテンツ本体はそのビューアから出版社のサイトに直接アクセスさせ、そこで購入させるという手法がある。この方法は、パピレスが運営する「電子化資本Renta!」などで採用されている。ただし、アプリ方式だと提供する業者ごとにユーザーインターフェースが異なったり、近い将来登場してくるAndroid端末では利用できないなど、克服しなければならない問題点も多い。  しかし、AV見たさにビデオデッキが急速に普及したと言われるのと同様に、電子書籍においてもエロコンテンツがその普及の牽引役を担うことを期待したい。 (文=高安正明)
iPadスタートブック iPhoneで十分? amazon_associate_logo.jpg
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噂の新型デバイス! あらゆる産業に革命を巻き起こす『iPadショック』

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『iPadショック』(日経BP社)
 日本に鉄道が登場したのは1872年(明治5年)、新橋‐横浜間に開通したのが始まりである。その後、昭和初期まで、およそ50年の歳月をかけて、日本全国に鉄道が敷設されていった。東西南北津々浦々、レールは延々と伸びてゆき、鉄道という画期的な機械は、人々の暮らしだけでなく、意識すらも変えていったのだ。もちろん、鉄道の開通に反対した町や村も少なからずあった。鉄道を開通しなかったそれらの町村は、現在、深刻な過疎化にある。  2010年5月7日、アップル社の開発したタブレット型メディアプレイヤー及びPC「iPad」が日本でも発売され、大きな話題となった。周知のとおり、タブレット型PCとは、タッチパネルディスプレイを搭載した手持ちでの運用に重点をおいたパソコンで、タッチパネルを指でなぞるだけでマウスの操作ができるスグレモノだ。iPadのサイズは縦24.28cm 横18.97cm、13.4mmの薄さで、重量はわずか730gほど。iPhoneの約6倍の大きさである。ネットユーザーの皆様には、長い説明は不要であろう。  そのiPadがあらゆる産業に革命を起こす!? 『iPadショック』は、ITジャーナリスト兼コンサルタントの林信行氏が『iPhoneショック』(日経BP社)に続いて上梓した、iPadの性能や魅力、iPadで変わる社会について記した本だ。製品情報やシステム、アップル社について、携帯電話業界のアレコレまで詳しく説明されており、インターネット業界に明るくない人でもわかりやすい内容だ。iPadを模した黒白の装丁も、シンプルでシビれるデザイン。  世間でもっぱら騒がれている電子書籍。iPadは画面が大きく、画質も美麗で、手軽に持ち運ぶことができる。まさに電子書籍にうってつけのツールなのだ。電子書籍の流行は、印刷、流通、販売、と書籍に関わる産業を大きく変えることを意味する。アップルは多くの専用アプリケーションを備え、書籍だけでなく、音楽も聴ける、映画も観られる、ゲームもできる、とiPadひとつで様々な情報や娯楽を享受することができる。電車内、皆一様にiPadを手に持って移動時間を過ごす、といった未来も遠くないように思えてくる。  鉄道敷設に反対した町や村は発展から取り残されたが、先祖代々の土地をそのまま残すという点においては成功したともいえる。昔ながらののどかな暮らしと文明の発達したにぎやかな暮らし、どちらが正しいとは一概には言えない。ただ、iPadは産業に少なからぬ衝撃を与えることは確かだ。『iPadショック』は、当分続きそうである。 (文=平野遼) ・林信行(はやし・のぶゆき) ITジャーナリスト兼コンサルタント。1980年頃からアップルの動向に関心を抱き、90年から本格的な取材活動を始める。グーグルなどの検索市場の動向、ブログやSNSの動向などについても記事を執筆。主な著書に、『iPhoneショック』、『Twitterの衝撃』(共著・日経BP社)、『スティーブ・ジョブス 成功を導く言葉』(青春出版社)、『iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?』(アスペクト)などがある。ツイッターアカウントは@nobi。
iPadショック iPhoneもiPadも持ってないけど、不自由ないです。 amazon_associate_logo.jpg
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祝「iPad」発売!! ますます盛り上がる電子書籍ブームはメディアをどう変える?

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「iPad」公式サイトより
­──「日刊サイゾー」で話題のあの記事をただ読む以上に、さらなる知識を知りたいそんなアナタのために、話が100倍(当社比)膨らむ" プレミアム"な記事をサイゾー目線で厳選レビュー!  ついに日本でも「iPad」が発売され、大々的に謳われている「電子書籍元年」は本格的にその幕を開けたといえるだろう。Kindleをはじめ続々と発売される電子書籍リーダーを嚆矢として、電子書籍のニューウェーブは21世紀のガラパゴス・日本をも飲み込もうとしている。電子書籍が本を駆逐するとも言われ、ただでさえ四苦八苦している出版業界は、追いうちをかけるかのごとくやってきた電子書籍に戦々恐々。一方で、新しいメディアの脅威にさらされているのは出版業界に限ったことではない。新聞やテレビなどの既存の大手メディアに対抗するかのようにニコニコ動画やUstreamといった新しいメディアが次々と現れては軒並み人気を博している。  そんな中、ネット上で若い研究者の論文を募集し公開するというプロジェクト「.review」を立ち上げた西田亮介氏が「電子書籍とメディアの関係」について語った記事が注目を浴びている。彼の使命は、自身の媒体を通して"知のハブ"を生成し言論を活性化させること。それは要するに、同人誌やウェブサイトなどの小さなメディアを持つことによって既存の大手メディアには出てこれなかった優れた人を世に送り出そうというシンプルなものではあるが、こうした流れはなにも最近はじまったわけではない。  いわゆるゼロ年代と称される2000年~2009年、血気盛んな若手評論家を中心にオールドメディアをハックするという動きは顕著に見られた。自身のミニコミ誌「PLANETS」で多彩な文化評論を展開している宇野常寛氏や、メールマガジン「SYNODOS」を発行し広い視野で言論をマネジメントすると同時に、自身も闊達に発言する荻上チキ氏などが代表的だ。彼らのようなゼロ年代の論客といわれる人々の議論は、抽象的なものに限らず社会的な問題にも及んでおり、その注目度は今やうなぎ昇りである。それは今年の2月にニコニコ動画で行われた、批評家の東浩紀氏や超人気ブロガーの小飼弾氏などによる「朝までニコニコ生激論 テーマ『ベーシック・インカム(キリッ』」において、述べ来場者数が5万人を超える驚異的な動員を見せたことからもわかるだろう。もはやネット文化は社会を語る上で欠かせないものとなっていることは、今さら言うまでもないだろう。  このように地殻大変動ともいえる大きな変化が訪れているメディア環境。しかし、ネットにあふれる情報を追うだけでは色々な情報があり過ぎてなにがなんだかよくわからない! という人も多いはず。そこで、「電子書籍って何がすごいの?」と素朴な疑問を抱く人も、「最近注目の論者を知りたい!」という知的欲望に満ち溢れる人も、ひとまず"プレミアム"な関連記事を読んでみてはいかがだろうか。今回は佐々木俊尚氏がレクチャーする今さら聞けない電子書籍の基礎知識から、新旧メディアを問わず縦横無尽に活躍する注目の論客たちまでをフィーチャー。広がりを見せる新しいメディア・ランドスケープに備え、知のアップデートをもくろむアナタへ贈ります。 【日刊Pick Up記事】 クラウド・ソーシングの新媒体「.review」発起人が語る、メディアの未来 2010年5月22日付 新しい時代を言祝ぐ福音なのか!? 電子書籍でメディアを読む プレミアムな記事紹介はこちら↓ 【プレミアムな関連記事】 [レベル1:電子書籍とは一体何なのかを改めて] 賑わう 電子書籍リーダー 市場 読書のカタチはどう変わる? 2010年1月号(プレミアサイゾー) でも、iPadって結局でかいiPhoneじゃないの? "Kindle""iPad"電子書籍端末という黒船に対峙する日本出版界最初の一手!! 2010年3月25日付(日刊サイゾー) 現代版・勝海舟? 日本のおじさんたちも出版界のためにがんばってます。 [レベル2:新しいビジネスモデルを考える] 鍵を握るは「ネット」と「個人」新聞以後のメディアが百花繚乱! 2009年3月号(プレミアサイゾー) twitterみたいな新しいメディアが続々と誕生なう。 若手評論家が語る「新聞・雑誌の死後」 2009年7月号(プレミアサイゾー) サイゾー読者にはお馴染みの宇野常寛氏と荻上チキ氏の対談。 舌鋒鋭きお2人が侃々諤々メディアの未来を語り尽くす! 小飼 弾×元「スタジオ・ボイス」編集長 危うい雑誌の未来 2010年1月号(プレミアサイゾー) 私ごとですが、サイゾーも毎日雑誌の未来を憂いてます。 既存のレコード会社はもういらない!? nauが提案する新しい音楽の楽しみ方 2010年6月号(プレミアサイゾー) お金の配分、Amazonが7:3ならこっちは8:2! [レベル3:今後も活躍間違いなし! の論客たちをチェック] "松本人志以降を総括する"インディーズ誌「PLANETS」お笑い批評特集 2009年5月31日付(日刊サイゾー) 昔の「QJ」が好きな人におススメ。 東浩紀&宇野常寛 冬コミ「ゼロ年代のすべて」&「Final Critical Ride 2」 2009年12月29日付(日刊サイゾー) 30分でわかる!? ゼロ年代のサブカルチャー。 批評家・東浩紀が選ぶヤバいくらいためになった本 2010年1月号(プレミアサイゾー) 作家、早大教授としても八面六臂の活躍を見せる彼の人が選んだのは、西田氏の名を一躍広めた"あの"本。 対談 速水健朗×後藤和智 「俗流若者論」にダマされるな! 2009年3月号­­­(プレミアサイゾー) ゆとり、ゲーム脳、草食系男子、全部嘘。 サイゾー本誌では「PLANETS」の連載が7月号より開始します! ご期待下さい!! プレミアサイゾー http://www.premiumcyzo.com/
メディア・ビオトープ 森ガールにもわかるメディア論。 amazon_associate_logo.jpg

クラウド・ソーシングの新媒体「.review」発起人が語る、メディアの未来

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 2010年1月、『中央公論』(中央公論新社)『思想地図』(NHK出版)などで若手論客として活躍する西田亮介氏がTwitter上で呼び掛けて立ち上げた新媒体「.review」。ネット上の不特定多数の人間を動員して集合的に業務を行うクラウド・ソーシングを採用し、若い書き手や研究者の論文を募集、ウェブサイト上で順次公開している。それらをまとめたもののダウンロード販売も予定するなど、一見、webを中心に独自の活動を展開するインディーズ・メディアに見えるが、5月23日の文章系同人誌即売会「文学フリマ」では約300ページの紙媒体『.review 001』を販売など、複合的な展開を見せている。  メディア環境が劇的な変化の兆しを見せる中、今月28日にはとうとう日本でもiPadが発売される。出版の電子書籍化に拍車をかけるという見方もあるが、実際のところ電子書籍はメディアや言論を一変させ、各メディアがwebに民族大移動を行うことになるのだろうか? オンラインとオフラインを横断して活動を展開する「.review」の西田氏に話を聞いた。 ──「.review」の具体的な方針はなんですか? 西田 「.review」を仕掛ける「project .review」のミッションは2つあります。若い研究者や書き手を社会的に認知させる契機を作ることと、新しい"知のハブ"を作ることです。最近のメジャー媒体は、半ば固定化された執筆陣やコメンテーターに頼むばかりで若手を発掘する「余裕」のようなものがあまり感じられません。そもそも、出版不況で媒体自体が減っている。だから、既存の書き手と若い書き手をシャッフルしつつ「メジャーができないことをやる」ことで、当事者たちで新しい言説のインディーズ・シーンを作っていきたいと考えています。そのためには、一つのメディアの形にはこだわりません。僕らがやりたいのは「本を作る」ことではないので、形態に捉われず、目指すミッションの達成に最適な方法を選びます。 ──紙でも電子でも、必要に応じて対応すると。 西田 ただし、正直なところ、作る側としてはコストがかからない電子書籍のほうがやりやすいですね。今回、紙版を制作して痛感したのは、印刷代に紙代、輸送費など結構な額の元手がかかることです。しかも、取次を介すると中抜きされてしまう。直販で本屋に並べるだけでも6掛けされたりする。正直、やってられないと思うこともあります(笑)。電子書籍はコンテンツさえ用意して、運営側がプラットフォームを作ることができれば、ストックするコストもかからないので、自分たちで100%管理することができます。商品に繋がる導線のちょっとした工夫さえあれば、在庫コストもないのでいつでも売れる契機を持っている。だから電子書籍は、インディペンデントな活動においてはすごくやりやすい形態だと思います。 ──しかし、情報量が多く埋もれがちなweb上で目立たせることは、難しいのではないでしょうか? 例えばリアルの書店であれば、店内をフラフラしていて元々の目的ではないものに出会う機会があります。 西田 その機会はネットのほうが多いのではないでしょうか。例えば、今の僕の知名度であれば、どこかの出版社で本を書かせてもらったとして、初版3000部といったところでしょう。その内のほとんどが都内のブックファーストさんやジュンク堂書店さんなど、大手書店に並ぶことになります。そこに仮に一週間平積みされたとして──平積みされるかも怪しいですが、それで本当にたまたま来た人に訴求できるだろうかというと、入口がたくさんあるネットのほうがはるかに可能性がある。Twitterで僕をフォローしてくれている人が今大体3800人くらいいて、そこに対して繰り返し告知をするほうが、周知効果が見込めると思います。もちろん層が偏ってしまうことはありえるけれど、部数の制約の中で何とか訴求するしか方法がない紙より、誰でもどこでもいつでもアクセスできるネット上で電子書籍を取り扱うほうが広くアピールできるし、偶有性に開かれているといえます。 ──では今後、紙媒体の刊行をやめる可能性もありえる、と。 西田 状況次第です。僕らはいくつかのプラットフォームを設けることを考えています。具体的には、ダウンロード販売のプラットフォームを整備しながら、iPhoneアプリなどで販売できるようにもしたいと考えています。それが軌道に乗れば、将来的には紙媒体はやめる可能性もあります。電子書籍、ダウンロード販売は、単価は下がるが利率は上がる。「単価が低い」という電子書籍への批判がありますが、インディペンデントの場合、小さな機動力でうまく回すのであればやりようはあると踏んでいます。
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メディアの未来を語る西田氏。
──そうして電子書籍に移行した時、メジャー、つまり大手版元などとインディーズは互角に戦えるんでしょうか? 西田 そもそも「.review」は、メジャーとの対立は掲げてません。ジュンク堂書店さんやTSUTAYAさんなど、企業とのコラボレーション企画にも取り組んできましたしね。とは言え、一般論でいえば、ある程度のプレゼンス、存在感も必要になることはあるでしょう。しかし、まともにぶつかったとしたら、やはりメジャーが圧倒的に優位です。資本力でも歯が立たない上、同じ土俵でーー電子書籍ということですが、メジャーが持っているたくさんの商品を並べられたらひとたまりもありません。また、消費者の信頼を獲得できるのはやはり既存出版社のブランド力になるでしょう。だから、そことまともに正面から対抗するのは、僕らが掲げるミッションには適合しないと思っています。むしろ、インディーズ同士が横に繋がってコラボレーションすることで質を高め、メジャーにはない魅力的なコンテンツを増やすことが重要になります。そのための仕掛けを、オンライン/オフラインにまたがって、あらゆる場所に神出鬼没に設けるしかない。現状、「文学フリマ」のような場はありますが、団体やプロジェクト間の密な交流は少ないという認識でいます。それを増やしていきたいですね。23日には「文学フリマ」にも出店しますし、同じ建物内で商業誌の枠に捉われない、『早稲田文学』のプランナーである市川(真人)さんとそういった今のメディア状況についての対談も行います。 ──「.review」としての具体的な到達目標はありますか? 西田 ありません(笑)。なぜなら、新しい書き手は常に出てくるから。ネット的な言い方をするならば、"永遠のβ版"ですね。今は、何かにつけて境界を引くことが難しい環境です。「.review」をひとつのメディアとして捉えることもできますが、試み自体が新しいので取り組み自体をコンテンツとして消費することもできます。また、コンテンツとtwitterのハッシュタグを連動させてインタラクション性を設けているので、コンテンツ自体がメディアになっているともいえます。このように、コンテンツとメディアの境界が曖昧な中で、書き手も読み手も相互的になれる新しい時代です。とはいえ、本当はアメリカには、著名人によるオピニオンや他媒体からのニュースを集約して運営する「ハフィントン・ポスト」などが既にあって、日本は10年遅れくらいなんですけどね。 ──日本ではなぜ遅れたんでしょうか? 西田 「ネット上で実名記述文化が根付かなかった」とか、「ネットに金を払う文化が根付かなかった」といった諸説があります。具体例をあげれば「オーマイニュース」や「JanJan」も失敗してしまいました。しかし、電子書籍はそういったパラダイムさえ変えてしまうかもしれない。電子書籍が普及することで、「ネットのコンテンツが有料なのは当たり前だ」という認識が広まる可能性があるからです。電子書籍にしても、あるいは政策などに関しても、今求められているのは、日本の関連する社会的条件を読みながら、海外の優れたコンセプトを実装するために日本の社会環境に適した方法を探ることです。僕らがやっているような、緩やかに他媒体や既存メディアとも手を組んでやっていく、一見ぬるく見える方法がもしかしたら意外と日本社会と適合的なのかもしれないとも思っています。 ──今、巷では「電子書籍が紙媒体より優位になる」とする論調が多く見受けられますが、今後、紙は亡びてしまうとお考えになりますか? 西田 ユーザー視点でいえば、電子書籍は紙媒体にあらゆる面で勝っているというわけではありません。一長一短といったところでしょう。確かに紙の本はかさばりますし、個人的にはKindleやiPhoneといったメディアを使って、電子書籍を読むことにも抵抗はありません。なので、今のところ趣味の領域での読書は、電子書籍で支障ないと考えています。ただし、仕事で参照する場合には、意外と使いづらいという印象です。電子書籍は検索機能など使い勝手が良い点もありますが、紙の本は、「なんとなくこの辺に重要な論点があったはずだ」といった漠然とした記憶をたどれる点で圧倒的に優れている。ページを越えた文脈の検索もそうです。逆にそう考えれば、本をそこまで徹底的に読む必要がない書籍のライトユーザーにしてみれば、紙にこだわる理由があまりないともいえます。ただ、紙をめくるという身体性が染みついていて変更できない人もやはり一定数いるでしょう。したがって、徐々に紙の本がしめる割合が小さくなりつつも、共存する形に落ち着くと思います。少なくとも、いわゆる"ネオデジタル・ネイティヴ"といった、新しい身体性を持ったさらに下の世代が消費者のメイン層になるにはもうしばらく時間がかかります。そのような理由から、音楽CDからダウンロード販売への変化のように、電子書籍の登場によって直近で全てが置き換わるとは思えません。あえて予測するならば、流動性が高くて、"情報"に近いもの、雑誌・新書・文庫の順に置き換わっていくのではないかと思います。 ──インディーズ・シーンにとっては電子書籍は有利だと。しかしネットに馴染みの薄い層に対しては浸透どころか、電子書籍がさらにデジタル・デバイドという情報格差を広げることにはなりませんか? 西田 そもそも電子書籍自体が、現時点ではイノベーターやアーリー・アダプター層に注目されている、いわば「エッジなもの」なので、「格差」があるのは当たり前。しかし、情報機器の利用はかなり高齢者まで浸透してきています。電子書籍は、地理的制約を越え、さらにいろいろなデバイスやプラットフォームから臨機応変にアクセスできるので、将来的には紙媒体よりも格差を縮める可能性があるのではないでしょうか。 ●にしだ・りょうすけ 1983年生まれ。独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー。慶應義塾大学政策・メディア研究科博士課程在籍中。東洋大学非常勤講師。専門は地域活性化の分析と実践。既存メディアでの言論活動に取り組む一方で、新しい書き手の発掘とメディアのハブをつくるproject「.review」でも注目を集めている。 <http://dotreview.jp/> ・イベント情報 「第十回文学フリマ」出店 日時:5月23日(日)/午前11時から午後16時まで 会場:大田区産業プラザPiO 『.review001』販売ブース:V-11 『.review』+V-12KAI-YOU合体出店 http://bunfree.net/ 【同日会場内トークイベント詳細】 「〈ミニコミ2.0〉~メディアと流通の機能~」 対談:市川真人(『早稲田文学』プランナー/批評ユニット「前田塁」)×西田亮介 司会:武田俊(KAI-YOU代表) 会場:同6FC会議室 日時:5月23日(日)/午後14時10分から15時30分まで(予定) ※要予約(http://kai-you.net/order/index.html) ※当日券あり 入場料:800円(『界遊004』とのセットの場合は1700円) 定員:55名 ※ニコ生にて同時配信決定!<http://live.nicovideo.jp/gate/lv17471902>
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