ヲタすらいなかった……有名漫画家の参加は皆無「まずは資金が足りない!」表現規制反対院内集会の問題

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 16日、今国会への提出が予定されている児童ポルノ法改定案をめぐり「表現の自由」の抑圧を危惧する人々による院内集会が参議院議員会館で開催された。平日日中の開催にも関わらず100人あまりの人々が集まったものの、「規制反対派」の問題点も晒される結果となった。  参議院議員会館で開催された、この集会はNPO法人うぐいすリボンの呼びかけで行われたもの。「表現の自由」の問題を考える活動を行う同NPOは、今回の児童ポルノ法改定論議にあたって全国各地で集会を開催している。本日開催された集会は、論議が盛り上がる中では初の「規制反対派」による集会。ネット上ではTwitterなどを利用して情報が流されるなど盛り上がっているかのように思われた。  今回の集会は、曽我部真裕京都大学教授を招いての講演を中心とした「勉強会」だ。曽我部氏は、BPO委員で大阪府の青少年健全育成条例の審議に携わった人物。  講演で、曽我部教授は既に児童ポルノの取得・所持の規制を盛り込んだ規制を行っている大阪・京都・奈良・栃木の各府県の制定経緯と現状についてを解説する。  この中で、曽我部教授は法律による「児童ポルノ」の定義の問題点として「過小包摂」と「過剰包摂」をあげる。頭部や顔面に精液をかけられた児童の顔の写真などが性的虐待なのは明らかなものの児童ポルノ法の定義に該当しなくなる一方で、18歳未満のアイドルの水着写真が「性的虐待」といえるかは疑問があるにも関わらず、児童ポルノに該当する可能性を持ってしまうのがそれだ。  その上で、曽我部教授は「児童の性的虐待の記録」に関する努力義務の形で児童ポルノの規制を行う大阪府青少年健全育成条例では、この点を明確にするために「性的虐待の記録」を定めていることをあげる。ここでは「刑法176条から178条の2までの規定に該当する行為(強姦。強制わいせつなど)」 「児童虐待防止法3条の虐待」などを視覚により確認することができる方法により描写した写真、電磁的記録を「努力義務」として規制している。児童ポルノ法に定められた「児童ポルノ」の定義よりも明確な印象だ。  続けて曽我部教授は、所持・取得の規制について説明。現在、所持に対して罰則を規定しているのは京都と奈良の条例だ。京都府は、罰則の対象を有償取得に限り処罰範囲を限定しているのに対して奈良県では単純所持を処罰対象としており、処罰範囲は広い。曽我部教授は、京都府が処罰範囲を限定している理由として、条例制定に携わった高山佳奈子京都大学教授の言葉を引き「単純所持は拡散の危険性とは結びつかないことから、この危険性を有する有償取得を処罰」する主旨から成立しているという。  また、条例によっては「廃棄命令」を定めている場合もある。これは、児童虐待の記録が永続的に拡散することを防止するといったメリットもあるが、問題点もある。京都府条例などでは知事が廃棄命令を出す形になるのだが、担当部署である青少年課が児童ポルノを所持している人物の情報を得て、確認するといった運用は困難だからだ。この点を、栃木県条例では、廃棄命令を出す主体を公安委員会=警察にすることによって、具体的な運用を可能にしようとする意図が見られる。  これら条例を比較検討した上で、曽我部教授は「各自治体の条例からわかるように、単純所持を単純に処罰することの弊害は大きい、児童ポルノ法の定義には問題があると思われます。児童ポルノの被害は深刻であり単純所持・取得の規制を一切認めるべきではないとまではいえませんが、条例の試みから示唆をくみ取って慎重な議論が必要でしょう」  と、話す。さらに曽我部教授は、単純所持を処罰することは、一部のマニアや事業者だけでなく、一般国民に広く関わるものであり、「一般国民レベルでの判断基準の明確性」を定めることが欠かせないともいう。曽我部教授は、この点で京都府条例は判断基準を明確にするとともに冤罪の可能性も回避していると評価する。 「有償取得を処罰する京都府条例では、処罰範囲が狭いという意見もあるでしょうが、それはありません。主観の立証に関わる捜査権の濫用ということは生じにくいと考えられます。マニア間の無償交換は児童ポルノ法の提供罪で対応が可能でしょうし、セクスティングは、強要罪や製造罪の教唆犯などで対処することができます」  講演に続いて、発言を求められた、みんなの党の山田太郎参議院議員は次のように発言する。 「今国会で、改定案が最終的に提出されるか分からないが、高市早苗政調会長が力を注いでいることは感じている。国会の日程を見ると6月10日くらいまでに法案が上程されないと間に合わない。参議院選挙があるので、会期の延長はない。与党が巨大な状況の中で、憲法を絡めて選挙の争点にするとか、緻密に作戦を考えなくてはならない。次の参院選の次の国政選挙は3年後になる。3年間の間、阻止続けるのは難しい。私は、選挙の争点にするのがよいと思う。みなさんにはTwitterでもメールでも事務所にFaxやお手紙でもいいので議員に意見を送ってほしい。そうしたものが世論を形成します」。  現状、参議院は野党が多数の状態であり、衆議院を通過しても参議院で止めることができる可能性はある。だが、今夏の参議院選挙で与党が大勝する可能性は高い。そのため、今期国会で高市議員らの改定案を提出させたほうが十分に議論ができるとも考えられる。 果たして、今期国会で議論すべきか、選挙の争点にすることで、巨大与党の下でも十分に議論できるだけの影響力を生み出すべきか、早急な判断が求められている。  なお、集会には山田議員のほか、民主党の田島要衆議院議員も参加した。 ■「有名漫画家」は皆無。運動の高揚に向けた課題  平日の日中にも関わらず、100人余りが結集した、今回の集会。議員の参加もあり、それなりの成果はあったものの、いくつかの課題が残った。特に重要なのは、利害関係にある出版・アニメ・ゲームなど業界関係者の参加が少なかったことである。特に気になったのは、この改定案が成立した場合に、過剰な自主規制の対象になるであろう漫画家の参加だ。  まだまだ、マニアのものにしか過ぎない児童ポルノ法改定案の問題を、一般国民にも広めるために欠かせない「有名漫画家」の参加は、一切なかった。  その第一の原因は、告知が圧倒的に不足していることにある。実は、筆者は別件で出版業界団体の関係者と話した時に、本日の院内集会への参加の有無を尋ねたのだが「集会の案内が来ていない」といわれて驚いた(「表現の自由」の問題で「ここに送っておかないで、どうする!」というところである)。  いったい、どういう告知をしたのかNPO法人うぐいすリボンの代表・荻野幸太郎氏に尋ねたところ、業界団体への告知が足りなかったことを認めた上で、次のように語る。 「これまで、オタクによる“表現の自由”を守る運動は、個々人が勝手にやるというスタンスの人が多かった。我々も専従スタッフと資金力が足りず、告知が行き届かない部分が多いのは認めざるを得ません。もはや、ゲリラ戦の時代は終わりました。今後も、全国各地で催しを継続的に行っていきますので、参加すると共に、まずは資金面でご協力を頂きたいと思います」  東京都青少年健全育成条例の問題も、世間が広く注目したのは、オタク以外にも名前が浸透している多くの有名漫画家が集会などに出席してから。この問題を選挙の争点にするためには、より広く問題を国民に浸透させる方法を考えなくてはならないだろう。 (取材・文=昼間たかし) <集会案内>うぐいすリボン  http://www.jfsribbon.org/ ・京都京都府児童ポルノ規制条例 解説講演会 講師:高山佳奈子(京都大学教授)日時:2013年5月18日(土) 19時00分~20時30分場所:ひと・まち交流館京都(会議室5) http://kokucheese.com/event/index/75830/ ・広島児ポ法改正審議直前:緊急集会 日時:平成25年5月25日(土)19時00分~20時30分場所:広島市まちづくり市民交流プラザ 研修室C講師:中村晃基 (弁護士) http://kokucheese.com/event/index/88712/ ・福岡児童ポルノ規制に関する論点解説講演会 日時:平成25年6月14日(金)19時00分~20時30分場所:JR博多シティ 9階 大会議室3講師:山口貴士 (弁護士) http://kokucheese.com/event/index/91053/

ヲタすらいなかった……有名漫画家の参加は皆無「まずは資金が足りない!」表現規制反対院内集会の問題

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 16日、今国会への提出が予定されている児童ポルノ法改定案をめぐり「表現の自由」の抑圧を危惧する人々による院内集会が参議院議員会館で開催された。平日日中の開催にも関わらず100人あまりの人々が集まったものの、「規制反対派」の問題点も晒される結果となった。  参議院議員会館で開催された、この集会はNPO法人うぐいすリボンの呼びかけで行われたもの。「表現の自由」の問題を考える活動を行う同NPOは、今回の児童ポルノ法改定論議にあたって全国各地で集会を開催している。本日開催された集会は、論議が盛り上がる中では初の「規制反対派」による集会。ネット上ではTwitterなどを利用して情報が流されるなど盛り上がっているかのように思われた。  今回の集会は、曽我部真裕京都大学教授を招いての講演を中心とした「勉強会」だ。曽我部氏は、BPO委員で大阪府の青少年健全育成条例の審議に携わった人物。  講演で、曽我部教授は既に児童ポルノの取得・所持の規制を盛り込んだ規制を行っている大阪・京都・奈良・栃木の各府県の制定経緯と現状についてを解説する。  この中で、曽我部教授は法律による「児童ポルノ」の定義の問題点として「過小包摂」と「過剰包摂」をあげる。頭部や顔面に精液をかけられた児童の顔の写真などが性的虐待なのは明らかなものの児童ポルノ法の定義に該当しなくなる一方で、18歳未満のアイドルの水着写真が「性的虐待」といえるかは疑問があるにも関わらず、児童ポルノに該当する可能性を持ってしまうのがそれだ。  その上で、曽我部教授は「児童の性的虐待の記録」に関する努力義務の形で児童ポルノの規制を行う大阪府青少年健全育成条例では、この点を明確にするために「性的虐待の記録」を定めていることをあげる。ここでは「刑法176条から178条の2までの規定に該当する行為(強姦。強制わいせつなど)」 「児童虐待防止法3条の虐待」などを視覚により確認することができる方法により描写した写真、電磁的記録を「努力義務」として規制している。児童ポルノ法に定められた「児童ポルノ」の定義よりも明確な印象だ。  続けて曽我部教授は、所持・取得の規制について説明。現在、所持に対して罰則を規定しているのは京都と奈良の条例だ。京都府は、罰則の対象を有償取得に限り処罰範囲を限定しているのに対して奈良県では単純所持を処罰対象としており、処罰範囲は広い。曽我部教授は、京都府が処罰範囲を限定している理由として、条例制定に携わった高山佳奈子京都大学教授の言葉を引き「単純所持は拡散の危険性とは結びつかないことから、この危険性を有する有償取得を処罰」する主旨から成立しているという。  また、条例によっては「廃棄命令」を定めている場合もある。これは、児童虐待の記録が永続的に拡散することを防止するといったメリットもあるが、問題点もある。京都府条例などでは知事が廃棄命令を出す形になるのだが、担当部署である青少年課が児童ポルノを所持している人物の情報を得て、確認するといった運用は困難だからだ。この点を、栃木県条例では、廃棄命令を出す主体を公安委員会=警察にすることによって、具体的な運用を可能にしようとする意図が見られる。  これら条例を比較検討した上で、曽我部教授は「各自治体の条例からわかるように、単純所持を単純に処罰することの弊害は大きい、児童ポルノ法の定義には問題があると思われます。児童ポルノの被害は深刻であり単純所持・取得の規制を一切認めるべきではないとまではいえませんが、条例の試みから示唆をくみ取って慎重な議論が必要でしょう」  と、話す。さらに曽我部教授は、単純所持を処罰することは、一部のマニアや事業者だけでなく、一般国民に広く関わるものであり、「一般国民レベルでの判断基準の明確性」を定めることが欠かせないともいう。曽我部教授は、この点で京都府条例は判断基準を明確にするとともに冤罪の可能性も回避していると評価する。 「有償取得を処罰する京都府条例では、処罰範囲が狭いという意見もあるでしょうが、それはありません。主観の立証に関わる捜査権の濫用ということは生じにくいと考えられます。マニア間の無償交換は児童ポルノ法の提供罪で対応が可能でしょうし、セクスティングは、強要罪や製造罪の教唆犯などで対処することができます」  講演に続いて、発言を求められた、みんなの党の山田太郎参議院議員は次のように発言する。 「今国会で、改定案が最終的に提出されるか分からないが、高市早苗政調会長が力を注いでいることは感じている。国会の日程を見ると6月10日くらいまでに法案が上程されないと間に合わない。参議院選挙があるので、会期の延長はない。与党が巨大な状況の中で、憲法を絡めて選挙の争点にするとか、緻密に作戦を考えなくてはならない。次の参院選の次の国政選挙は3年後になる。3年間の間、阻止続けるのは難しい。私は、選挙の争点にするのがよいと思う。みなさんにはTwitterでもメールでも事務所にFaxやお手紙でもいいので議員に意見を送ってほしい。そうしたものが世論を形成します」。  現状、参議院は野党が多数の状態であり、衆議院を通過しても参議院で止めることができる可能性はある。だが、今夏の参議院選挙で与党が大勝する可能性は高い。そのため、今期国会で高市議員らの改定案を提出させたほうが十分に議論ができるとも考えられる。 果たして、今期国会で議論すべきか、選挙の争点にすることで、巨大与党の下でも十分に議論できるだけの影響力を生み出すべきか、早急な判断が求められている。  なお、集会には山田議員のほか、民主党の田島要衆議院議員も参加した。 ■「有名漫画家」は皆無。運動の高揚に向けた課題  平日の日中にも関わらず、100人余りが結集した、今回の集会。議員の参加もあり、それなりの成果はあったものの、いくつかの課題が残った。特に重要なのは、利害関係にある出版・アニメ・ゲームなど業界関係者の参加が少なかったことである。特に気になったのは、この改定案が成立した場合に、過剰な自主規制の対象になるであろう漫画家の参加だ。  まだまだ、マニアのものにしか過ぎない児童ポルノ法改定案の問題を、一般国民にも広めるために欠かせない「有名漫画家」の参加は、一切なかった。  その第一の原因は、告知が圧倒的に不足していることにある。実は、筆者は別件で出版業界団体の関係者と話した時に、本日の院内集会への参加の有無を尋ねたのだが「集会の案内が来ていない」といわれて驚いた(「表現の自由」の問題で「ここに送っておかないで、どうする!」というところである)。  いったい、どういう告知をしたのかNPO法人うぐいすリボンの代表・荻野幸太郎氏に尋ねたところ、業界団体への告知が足りなかったことを認めた上で、次のように語る。 「これまで、オタクによる“表現の自由”を守る運動は、個々人が勝手にやるというスタンスの人が多かった。我々も専従スタッフと資金力が足りず、告知が行き届かない部分が多いのは認めざるを得ません。もはや、ゲリラ戦の時代は終わりました。今後も、全国各地で催しを継続的に行っていきますので、参加すると共に、まずは資金面でご協力を頂きたいと思います」  東京都青少年健全育成条例の問題も、世間が広く注目したのは、オタク以外にも名前が浸透している多くの有名漫画家が集会などに出席してから。この問題を選挙の争点にするためには、より広く問題を国民に浸透させる方法を考えなくてはならないだろう。 (取材・文=昼間たかし) <集会案内>うぐいすリボン  http://www.jfsribbon.org/ ・京都京都府児童ポルノ規制条例 解説講演会 講師:高山佳奈子(京都大学教授)日時:2013年5月18日(土) 19時00分~20時30分場所:ひと・まち交流館京都(会議室5) http://kokucheese.com/event/index/75830/ ・広島児ポ法改正審議直前:緊急集会 日時:平成25年5月25日(土)19時00分~20時30分場所:広島市まちづくり市民交流プラザ 研修室C講師:中村晃基 (弁護士) http://kokucheese.com/event/index/88712/ ・福岡児童ポルノ規制に関する論点解説講演会 日時:平成25年6月14日(金)19時00分~20時30分場所:JR博多シティ 9階 大会議室3講師:山口貴士 (弁護士) http://kokucheese.com/event/index/91053/

ヲタすらいなかった……有名漫画家の参加は皆無「まずは資金が足りない!」表現規制反対院内集会の問題

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 16日、今国会への提出が予定されている児童ポルノ法改定案をめぐり「表現の自由」の抑圧を危惧する人々による院内集会が参議院議員会館で開催された。平日日中の開催にも関わらず100人あまりの人々が集まったものの、「規制反対派」の問題点も晒される結果となった。  参議院議員会館で開催された、この集会はNPO法人うぐいすリボンの呼びかけで行われたもの。「表現の自由」の問題を考える活動を行う同NPOは、今回の児童ポルノ法改定論議にあたって全国各地で集会を開催している。本日開催された集会は、論議が盛り上がる中では初の「規制反対派」による集会。ネット上ではTwitterなどを利用して情報が流されるなど盛り上がっているかのように思われた。  今回の集会は、曽我部真裕京都大学教授を招いての講演を中心とした「勉強会」だ。曽我部氏は、BPO委員で大阪府の青少年健全育成条例の審議に携わった人物。  講演で、曽我部教授は既に児童ポルノの取得・所持の規制を盛り込んだ規制を行っている大阪・京都・奈良・栃木の各府県の制定経緯と現状についてを解説する。  この中で、曽我部教授は法律による「児童ポルノ」の定義の問題点として「過小包摂」と「過剰包摂」をあげる。頭部や顔面に精液をかけられた児童の顔の写真などが性的虐待なのは明らかなものの児童ポルノ法の定義に該当しなくなる一方で、18歳未満のアイドルの水着写真が「性的虐待」といえるかは疑問があるにも関わらず、児童ポルノに該当する可能性を持ってしまうのがそれだ。  その上で、曽我部教授は「児童の性的虐待の記録」に関する努力義務の形で児童ポルノの規制を行う大阪府青少年健全育成条例では、この点を明確にするために「性的虐待の記録」を定めていることをあげる。ここでは「刑法176条から178条の2までの規定に該当する行為(強姦。強制わいせつなど)」 「児童虐待防止法3条の虐待」などを視覚により確認することができる方法により描写した写真、電磁的記録を「努力義務」として規制している。児童ポルノ法に定められた「児童ポルノ」の定義よりも明確な印象だ。  続けて曽我部教授は、所持・取得の規制について説明。現在、所持に対して罰則を規定しているのは京都と奈良の条例だ。京都府は、罰則の対象を有償取得に限り処罰範囲を限定しているのに対して奈良県では単純所持を処罰対象としており、処罰範囲は広い。曽我部教授は、京都府が処罰範囲を限定している理由として、条例制定に携わった高山佳奈子京都大学教授の言葉を引き「単純所持は拡散の危険性とは結びつかないことから、この危険性を有する有償取得を処罰」する主旨から成立しているという。  また、条例によっては「廃棄命令」を定めている場合もある。これは、児童虐待の記録が永続的に拡散することを防止するといったメリットもあるが、問題点もある。京都府条例などでは知事が廃棄命令を出す形になるのだが、担当部署である青少年課が児童ポルノを所持している人物の情報を得て、確認するといった運用は困難だからだ。この点を、栃木県条例では、廃棄命令を出す主体を公安委員会=警察にすることによって、具体的な運用を可能にしようとする意図が見られる。  これら条例を比較検討した上で、曽我部教授は「各自治体の条例からわかるように、単純所持を単純に処罰することの弊害は大きい、児童ポルノ法の定義には問題があると思われます。児童ポルノの被害は深刻であり単純所持・取得の規制を一切認めるべきではないとまではいえませんが、条例の試みから示唆をくみ取って慎重な議論が必要でしょう」  と、話す。さらに曽我部教授は、単純所持を処罰することは、一部のマニアや事業者だけでなく、一般国民に広く関わるものであり、「一般国民レベルでの判断基準の明確性」を定めることが欠かせないともいう。曽我部教授は、この点で京都府条例は判断基準を明確にするとともに冤罪の可能性も回避していると評価する。 「有償取得を処罰する京都府条例では、処罰範囲が狭いという意見もあるでしょうが、それはありません。主観の立証に関わる捜査権の濫用ということは生じにくいと考えられます。マニア間の無償交換は児童ポルノ法の提供罪で対応が可能でしょうし、セクスティングは、強要罪や製造罪の教唆犯などで対処することができます」  講演に続いて、発言を求められた、みんなの党の山田太郎参議院議員は次のように発言する。 「今国会で、改定案が最終的に提出されるか分からないが、高市早苗政調会長が力を注いでいることは感じている。国会の日程を見ると6月10日くらいまでに法案が上程されないと間に合わない。参議院選挙があるので、会期の延長はない。与党が巨大な状況の中で、憲法を絡めて選挙の争点にするとか、緻密に作戦を考えなくてはならない。次の参院選の次の国政選挙は3年後になる。3年間の間、阻止続けるのは難しい。私は、選挙の争点にするのがよいと思う。みなさんにはTwitterでもメールでも事務所にFaxやお手紙でもいいので議員に意見を送ってほしい。そうしたものが世論を形成します」。  現状、参議院は野党が多数の状態であり、衆議院を通過しても参議院で止めることができる可能性はある。だが、今夏の参議院選挙で与党が大勝する可能性は高い。そのため、今期国会で高市議員らの改定案を提出させたほうが十分に議論ができるとも考えられる。 果たして、今期国会で議論すべきか、選挙の争点にすることで、巨大与党の下でも十分に議論できるだけの影響力を生み出すべきか、早急な判断が求められている。  なお、集会には山田議員のほか、民主党の田島要衆議院議員も参加した。 ■「有名漫画家」は皆無。運動の高揚に向けた課題  平日の日中にも関わらず、100人余りが結集した、今回の集会。議員の参加もあり、それなりの成果はあったものの、いくつかの課題が残った。特に重要なのは、利害関係にある出版・アニメ・ゲームなど業界関係者の参加が少なかったことである。特に気になったのは、この改定案が成立した場合に、過剰な自主規制の対象になるであろう漫画家の参加だ。  まだまだ、マニアのものにしか過ぎない児童ポルノ法改定案の問題を、一般国民にも広めるために欠かせない「有名漫画家」の参加は、一切なかった。  その第一の原因は、告知が圧倒的に不足していることにある。実は、筆者は別件で出版業界団体の関係者と話した時に、本日の院内集会への参加の有無を尋ねたのだが「集会の案内が来ていない」といわれて驚いた(「表現の自由」の問題で「ここに送っておかないで、どうする!」というところである)。  いったい、どういう告知をしたのかNPO法人うぐいすリボンの代表・荻野幸太郎氏に尋ねたところ、業界団体への告知が足りなかったことを認めた上で、次のように語る。 「これまで、オタクによる“表現の自由”を守る運動は、個々人が勝手にやるというスタンスの人が多かった。我々も専従スタッフと資金力が足りず、告知が行き届かない部分が多いのは認めざるを得ません。もはや、ゲリラ戦の時代は終わりました。今後も、全国各地で催しを継続的に行っていきますので、参加すると共に、まずは資金面でご協力を頂きたいと思います」  東京都青少年健全育成条例の問題も、世間が広く注目したのは、オタク以外にも名前が浸透している多くの有名漫画家が集会などに出席してから。この問題を選挙の争点にするためには、より広く問題を国民に浸透させる方法を考えなくてはならないだろう。 (取材・文=昼間たかし) <集会案内>うぐいすリボン  http://www.jfsribbon.org/ ・京都京都府児童ポルノ規制条例 解説講演会 講師:高山佳奈子(京都大学教授)日時:2013年5月18日(土) 19時00分~20時30分場所:ひと・まち交流館京都(会議室5) http://kokucheese.com/event/index/75830/ ・広島児ポ法改正審議直前:緊急集会 日時:平成25年5月25日(土)19時00分~20時30分場所:広島市まちづくり市民交流プラザ 研修室C講師:中村晃基 (弁護士) http://kokucheese.com/event/index/88712/ ・福岡児童ポルノ規制に関する論点解説講演会 日時:平成25年6月14日(金)19時00分~20時30分場所:JR博多シティ 9階 大会議室3講師:山口貴士 (弁護士) http://kokucheese.com/event/index/91053/

「オタクは二次元にしか興味ないのか?」充実した講演の一方で不安も残った児童保護の現状院内集会

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社会福祉法人カリヨン子どもセンター
公式サイトより
 「表現の自由」を守る活動を行う人々は、実際に被害に遭っている児童の保護をどのように考えるのか。10日、「実在児童の人権擁護基金」の呼びかけで院内集会「“子どもシェルター”における児童保護の現状」が参議院議員会館にて開催された。  この基金は、2010年に東京都青少年健全育成条例改正問題を機に集まった人々が、「非実在青少年」ではなく、「実在する青少年(児童)」の人権を擁護するために何ができるのかを議論する中で生まれた組織である。これまでに集まった基金は、国内を対象に児童保護施設などへ寄付されている。いわば、表現規制に反対を唱える人々が、「二次元を守りたいだけではない」という意志を示すための組織といえる。そこに賛同する人も多いのか、今回の集会にも、共催として表現の規制に異議を唱える団体、コンテンツ文化研究会、女子現代メディア文化研究会、特定非営利活動法人うぐいすリボン、表現規制を考える関西の会が共催に名を連ねた。  今回、集会で行われたのは「社会福祉法人カリヨン子どもセンター」評議員の角南和子氏による講演だ。このセンターは「子どものシェルター」と「自立援助ホーム」の運営を行っている組織だ。 「親子関係が崩れ、あるいは虐待に遭ったりして帰る家のない子どもが、万引きなどの犯罪でなんとかしのいでいて補導されることがあります。そうしたときに、引き受ける大人がいなかったり、帰す場所がない場合には、どうしようもなく少年院に行かなくてはならないということもあります」 と、角南氏はいう。センターが行っているのは、そうした境遇に置かれた子どもたちが緊急に逃げ込むためのシェルターと、就労し生活していくための自立援助ホーム事業というわけだ。  近年、「児童虐待」はニュースなどでたびたび目にするものである。社会問題になる中で行政も力を入れてはいるが、十分ではないのが現状だ。 「日本の法律は無力ではありませんし、東京都に限ってですが、児童相談所はよく仕事をしていると思っています。18歳未満までは児童福祉法が守ってくれますし、虐待や親の擁護が不適切な場合に保護してくれる一時保護所も運営されています。でも、十分ではありません。例えば、一時保護所は以前、定員が120%程度になることもありました。そうなると、ケアは危険な状況にある年少者が優先されるようになってしまうのです」(角南氏)  そこでセンターでは、ケアがおろそかになりがちな思春期以上の若者、児童福祉法の対象にはならないが、成人として認められない18~19歳までを対象にしている。 「シェルターでは1日3度の食事も出ます。けれど、子どもたちはこれにも驚くんです。中には、大人が料理をすることに驚いた子どももいます」 と、角南氏は語る。ここからも保護すべき子どもたちがどのような状況に置かれていたかが、おのずと理解できるだろう。 「そうした子どもたちは、大人と一緒にトランプをしたりして遊んだこともありません。身体がガチガチで、常にストレスいっぱいになっているんです」  こうして保護された子どもたちも、やがては社会に復帰しなければならない。そのための手助けをするのが、自立援助ホームだ。そこでは、朝起きて夜寝るような「普通」の生活習慣を身に付けさせることから始まって、就労し自立していけるまでの手助けも行われているのだ。  この講演を通じて感じたのは、口先だけの子どもの「人権」とか「保護」ではないリアルな現場の話であった。いわゆる「規制派」と呼ばれる人々は、法律があればたちどころに不幸な子どもは減っていくと主張することもある。だが、問題を解決するのは地道な現場の取り組みであることを、角南氏は語ってくれた。  会期中のため、国会議員は秘書の代理参加であったものの、「議員会館で開催したこと」の効果は大きい。これから「オタクの側も児童の保護を真剣に考えている」ことを広くアピールしていくための材料になっただろう。  ただ、参加者数は20名あまりと、かなり少なかった。平日金曜日の午後という時間帯のせいもあるだろうが、ネットでも言及は少ない。漫画やアニメの規制など、実際に自分の利益が侵害されそうだと「児ポ法改“悪”反対!」の旗を掲げるが、結局は“実際の児童虐待になんか興味ないよ”というのが「規制反対派」とカテゴライズされる人々の本音なのかと疑ってしまう。「表現の自由」を守ることは、自分の好きな漫画がどうのこうのという小さな問題ではないことを理解している人は、まだ少ないのだろうか。  講演を行った角南氏は児ポ法などの問題には知識がないとはいうものの「これから、調べたい」と拙速な規制強化が大人の都合にすぎないことを、経験から語ってくれた。オタクの側も、今から興味を持つことを期待している。 (取材・文=昼間たかし)

狙いは提出阻止から……児童ポルノ法改“悪”案の提出はいつになるのか?

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 今国会にも提出が予定されている「児童ポルノ法」改正案。既報の通り、8日の参議院予算委員会での、みんなの党・山田太郎参議院議員の質問は大きな注目を集めている。そうした中で唯一わからないのが「一体いつ提出されるのか」である。当初考えられたゴールデンウィーク明けになっても、音沙汰はない。一体どうなっているのか?  ゴールデンウィークが明け、新たな規制に反対する人々の熱は高まっている。自民党政調会長の高市早苗衆議院議員が、議員立法での提出を目指しているとする法案が明らかになったことで「このまま可決してしまえば、大変なことになる」という思いが強まっているのだ。明らかに影響を受ける出版業界をはじめとした業界団体でも、国会議員らへの働きかけを始めている。しかし、その中で問題になっているのが、法案の提出がされていないこと。 「明らかになっているのは、高市政調会長が示した法案だけ。実際に、どのような法案になるか不明確な部分もある。そのような段階で大規模な反対運動を展開するのは困難」と、出版業界の消息筋は語る。  現状示されているように、単純所持の禁止、漫画・アニメが現実に影響を与えているか調査する条項が含まれる可能性は高い。  自民党内でも高市政調会長は法案提出にヤル気を見せているが、一部の議員からは異論も出ているという。議員立法とはいえ、党内でコンセンサスを得なければ反発を買うことも必至のため、なかなか法案提出へ踏み切れないという話も流れている。  また、国会議員の中にも高市案以前に、何が問題になっているかを知らない議員は、まだまだ多い。筆者も先日、憲法問題を扱うイベントで、「憲法クイズ」で注目された民主党の小西洋之参議院議員に質問してみたが、児童ポルノ法の問題については知らなかった(とはいえ、興味を示していたが)。  そうした事情もあり、現在は高市案の問題点を指摘し、まず法案そのものの提出を阻止するための水面下の動きが続いているのだ。  もう一つ、法案の提出を阻んでいるのが国会の混乱だ。参議院予算委員会では、野党が提出した川口順子参議院環境委員長の解任決議案をめぐり自民、公明両党が欠席するなど、混乱が続いている。このため、ほかの重要法案も審議が遅れており、通常国会の会期中に児童ポルノ法改正案を提出するのは、困難になるのではないかとの見方もある。  通常国会の会期は6月25日まで。それまでに法案の提出を阻止するのも、ひとつの目標になりつつある。 (取材・文=昼間たかし)

みんなの党・山田太郎参議院議員「表現の自由を大幅に規制する『児童ポルノ法』案に反対します」

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「参議院議員 山田太郎日本の底力を生かす
~蘇れ日本の成長力~」より
 8日に開かれた参議院予算委員会でみんなの党所属の山田太郎参議院議員は、自民党政調会長の高市早苗衆議院議員らが議員立法として今国会への提出を予定している「児童ポルノ法」改定案(実質的な与党案)について質問を行った。高市議員らの案が漫画・アニメなどの過剰な自主規制を招きかねないと指摘する山田議員に対して安倍総理は慎重な検討が必要とは思っているとしながらも「議員立法として提出が検討されているものであり、現在は検討中のためコメントは差し控える」と回答するにとどまった。  また「議員立法でやっているので、財務省に持ち込まれても所管外」と答えた、麻生太郎金融担当大臣は、漫画・アニメを規制対象として検討しながらも小説が対象外になっていることについて「漫画のほうが子供が読むので、この種の話になったのだと思う」と持論を述べた。  山田議員は、高市議員らの改定案を、いち早く自身のサイトで公開するとともに「表現の自由を大幅に規制する法案に反対」する立場を表明している。予算委員会に先立つ今月3日、筆者の取材に応じた山田議員は「高市自民党政調会長自らが、我が党に法案の説明に来た。今回は(改定案を通すための)本気を感じる」と、当日の状況を話す──。  今回、高市議員が、みんなの党の政調会議を訪問して法案の説明をしたことは「異例中の異例」だ。というのも、政調会長の役割は、党内の意見を取りまとめることが一般的だ。にも関わらず、高市政調会長は自ら説明にやってきた。そこに「この法案を通したい」という本気度を感じるというのだ。  当日、法制局の担当者と共にやってきた高市氏の説明に対して、山田議員らは次々と疑問をぶつけた。 「みんなの党内では、規制強化に慎重な意見の議員が数多くいます。説明を聞いて疑問を感じたのは、まず附則で記された政府が漫画・アニメなどが児童の権利を侵害する行為と関連性があるか調査研究し、三年後を目処に検討するという法案の附則の部分。そして、単純所持禁止の項目です」  特に疑問の声が大きかったのは、漫画・アニメなどが児童の権利を侵害する行為と関連性があるか調査研究をするという部分だ。みんなの党では、山田議員をはじめとした議員が、この項目が過剰な自主規制を招く可能性があるなど、表現の自由を大幅に規制する結果となると認識していたからだ。その危惧について質問した山田議員に対して、高市議員は 「党内では、もっと厳しく取り締まったほうがよいという意見もあるのだが、私が頑張ったから、附則に止まっている」  と、自民党内にはさらに強硬に漫画・アニメを含めた規制を求める議員が存在することも匂わせたという。規制強化は2009年の審議の際と変わらず規定の方針だ。一方で、芸術作品や水着写真までもが所持しているだけで犯罪になってしまう可能性のぬぐえない(諸外国では、実例がある)単純所持の禁止の部分については、少々意見が変わったようで高市議員は 「芸術性の高いものは大丈夫」  と、説明したのだとか。2009年の審議の際に法務委員会で答弁した自民党の葉梨康弘衆院議員(昨年の衆院選で返り咲き)が「(写真家の)篠山紀信さんにもネガごと捨ててもらう」と話して、批判を浴びたことで多少は学習したらしい。それでも、基本的な方針は普遍なのだ。 「この法案が通れば、出版社や漫画家など表現する側は過剰な自主規制へと走ることになるでしょう。また、インターネット事業者に児童ポルノの情報の送信を防止する措置を講ずることを求める条文もあります(第14条の2)。児童ポルノの送信を傍受するという目的で、個人のメールなどを堂々と見てよいということです。規制を進める人々には、とにかく社会を浄化したいという感情的なものを強く感じます。このままでは『図書館戦争』のように自由な表現がゲットーのようなところに閉じ込められ、メディアにも報じられない、そんな世の中が本当にやってくるのではないでしょうか」  山田議員の危惧は深まるばかりだ。 ■あらゆる手段で政治家に意見を届けることは有効  山田議員は、高市議員が法案説明を行った、その日のうちに自身のサイトに全資料を公開し、反対の意志を世間に示した。それに対しては、多くの激励のメール・FAX・直筆の手紙、それにTwitterでのRTが寄せられている。そうした中で、今考えるべきは、いかにして「表現の自由」を制限するための法案に変質してしまっている改定案を、法の本来の目的である性的虐待の被害に遭っている児童を守るものへと戻すかということだ。山田議員はいう。 「まず、漫画・アニメの表現規制につながるになる可能性の高い附則の部分に絞って修正を求めていくつもりです。というのも、単純所持と両輪でやろうとすると議論が錯綜してしまいます。第一に漫画・アニメの部分。次に単純所持について議論するつもりです。その中で(条文が極めて曖昧で、何が「児童ポルノ」になるのか判然としない)定義に関する条文も議論することになるでしょう」  そうした中で、規制強化を危惧する国民にできることとして、山田議員が第一に挙げたのは8月にも予定されている参議院選挙だ。 「この問題を選挙の争点にすればよいでしょう。今回からネット選挙も解禁されますから、国民の皆さんも政治家に、直接意見をどんどん投げかけるのがよいと思います」  しかし、従来の選挙でもそうであったように「漫画規制反対」は、争点になりにくいのも事実である。そこで、山田議員は、個別の法律の問題として捉えるのではなく、注目が高まりつつある憲法改正問題として、この問題をどうすべきか考えることを提案する。憲法改正問題というと護憲VS改憲の二元論的な物の見方をする人が多いが、実際はそのような単純なものではない。大前提は、これからの国家をいかにするかということ。その上で、改めるべきところは改めるということで個別の中身を議論することが重要なのだ。 「みんなの党でも、憲法の一部を変えようとしています。そのためには、改正したあとにあるものをしっかりと議論していきます。その中で憲法21条にある“表現の自由”を守り抜かなければなりません」。  さらに、山田議員は今からできる活動として「どんな声でもよいから、政治家に意見を述べる」ことを推奨する。 「政治家は国民の意見を気にするものです。様々な手段を使って政治家にアプローチするのは効果的です」  最近はTwitterなどネットを活用している議員も多いので、誰もが意見を直接述べることができるようになっている。また、山田議員はFAXやメール、電話といった手段も「迷惑にはならない」そうだ。多くの国会議員は、児童ポルノ法の問題点には気づいていない。そして、安易に「規制してもいいか」と流れてしまうのだ。やはり、本来の法の趣旨を外れた安易な規制が行われようとしていること。なによりも、ことを任せてはならないような人々が法案を推進していることを、気づいてもらう手段として、やはり草の根の手段は欠かせない(もちろん、大前提として正しい知識の学習は不可欠なのはいうまでもない。規制に反対している側は、自分たちがキモワルがられて、忌み嫌われていることを感じるだろうが、その感情を押し出すのは禁忌)。 「法律を変えるのも守るのも人間です。一人一人が声を上げれば政治は変わります」  と話す山田議員。その、心根はとても熱いと筆者は感じた。 (取材・文=昼間たかし)

東京から地方まで……全国各地で「児童ポルノ法」与党案反対集会が続々開催予定

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 いよいよ、本格的な戦いが幕を開けるのか。  先日、国民の基本的人権・権利を著しく侵害する恐れが高いとされる与党案が明らかになった「児童ポルノ法」改正問題をめぐり、問題点を多くの人に知ってもらうことを目的とする集会が、5月11日の名古屋を皮切りに全国各地で開催される。17日には、国会議員へも呼びかけるべく参議院議員会館でも院内集会を行う予定だ。  今回、全国で開かれる集会を呼びかけているのは、NPO法人「うぐいすリボン」。同団体は「表現の自由」を守るため学習会、支援活動などを目的に活動している。昨年、当サイトでもスクープした、スウェーデンの漫画翻訳家であるシモン・ルンドストルム氏が、PCに保存していたイラストが「児童ポルノ」であるとして逮捕・起訴され、同国の最高裁で無罪になった事件では、同氏の来日に合わせて講演会を開催。スウェーデン語の資料を翻訳し、サイトで無料公開するなど「表現の自由」の問題を語る上で欠かせない知識の普及活動を行っている。  現在、集会の開催が予定されているのは名古屋、東京、京都、広島の4都市だ。全国で集会を開催する理由を、同団体の荻野幸太郎氏は語る。 「東京だけで頑張っても、地方の選挙区から声が上がらないと、政治家はなかなか動こうとしません。それに、規制強化を訴える人々は“弱いところ”を狙って、国の法律よりも強硬な“表現の自由”に抵触する条例を成立させ、地方でやっているのだから国でも……という手段も画策してきます。この2つの目的で、地方でもイベントを開催することにしたんです」  それぞれの集会は、研究者や弁護士によって「児童ポルノ法」改正の問題点などが解説される勉強会形式のものだ。 「児童ポルノの取り締しまりは、実在する児童を性暴力や性的搾取の被害から守るのが本来の目的です。その制度を漫画やアニメの規制に転用されたり、インターネットの事実上の検閲のために濫用されることは、あってはならないと思っています」(荻野氏)  目的は明確だが、とにかく「人が集まらなくてはどうしようもない」とも荻野氏は言う。荻野氏は、東京と関西圏ではそれなりに人が集まるが、名古屋と大阪はまだ関心を持つ人の数が少ないともいう。だが、東京や関西圏ですら「東京都青少年健全育成条例」改正問題の時には、集会などには大勢の人が集まったが、ホンの一瞬の花火で終わったのも事実。今回、この問題はどのような盛り上がりを見せていくのだろうか。 (取材・文=昼間たかし) <集会案内> うぐいすリボンHP <http://www.jfsribbon.org/> ・名古屋 児ポ法改正審議直前:緊急集会(名古屋) 5月11日(土)19時00分~20時30分 場所:ウインク愛知 会議室1104 講師:大屋雄裕 (名古屋大学教授) <http://kokucheese.com/event/index/88367/> ・東京 第3回 児童ポルノ禁止法に関する院内勉強会 ~関西3府県の先行事例の紹介~ 日時:平成25年5月17日(金)12時00分~13時30分 場所:参議院会館 B109会議室 講師:曽我部真裕 (京都大学教授/BPO委員) <http://kokucheese.com/event/index/88071/> ・京都 京都府児童ポルノ規制条例 解説講演会 講師:高山佳奈子(京都大学教授) 日時:2013年5月18日(土) 19時00分~20時30分 場所:ひと・まち交流館京都(会議室5) <http://kokucheese.com/event/index/75830/> ・広島 児ポ法改正審議直前:緊急集会 (広島) 日時:平成25年5月25日(土)19時00分~20時30分 場所:広島市まちづくり市民交流プラザ 研修室C 講師:中村晃基 (弁護士) <http://kokucheese.com/event/index/88712/>

国家レベルでマンガ・アニメも監視する検閲社会がやってくる! 児童ポルノ法の先にある「有害情報」規制

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高市早苗 公式サイトより
 いよいよ国会での審議が始まりそうな児童ポルノ法改正案。その中でも「表現の自由」を侵害するのではと危惧される与党案を熱心に推進しているのが、自民党の政調会長・高市早苗衆議院議員だ。みんなの党の政調会議に出席し法案について説明するなど、異例の熱心さを見せている。  だが、彼女の真の目的は「児童ポルノ」だけではない、有害情報そのものの規制ではないかと考えられている。  現状、青少年に「有害」とされる本や雑誌、ゲーム、映画などは長野県以外の都道府県が定めている青少年健全育成条例によって販売規制などが行われている。これを、条例ではなく国の法律として定め、国の機関が有害指定を行って規制しようというのが、高市議員の、従来からのスタンスだ。  リアルに『図書館戦争』のメディア良化隊を彷彿とさせる思想だが、彼女の本気度は高い。  2007年には、第一次安倍内閣の内閣府特命担当大臣として「有害情報から子どもを守るための検討会」を開催し、同様に「有害情報」の国家レベルでの規制を実現すべく有識者へのヒアリングを行っている。だが、こちらも国に新たな機関を設置するというアイデアに「予算規模が縮小されている中で現実的でない」と各省庁から絵に描いた餅だと批判がなされた末、第一次安倍内閣の退陣によって、予定を消化せず終了している。  08年には、今度は、青少年のインターネットを通じた有害情報へのアクセスを防ぐ法案を議論していた自民党内の青少年特別委員会において「内閣府に設ける青少年健全育成推進委員会に有害情報を判断する権限を与え、削除命令の権限を付与。違反者には懲役刑や罰金」という法案を提案。さすがに乱暴すぎるとして自民党内でも異論が相次ぎ、日の目を見ることはなかった。  これらの行動から考えられる高市議員が目指すものは、かつて自民党が実現を目指した「青少年有害環境対策基本法案」の復活にあると考えてよい。この法案は99年ごろに「個人情報保護法」「人権擁護法案」と共に「メディア規制三法」として激しい批判に晒された法案のひとつだ。「青少年有害環境対策基本法案」は当初、異業者や団体ごとに「青少年有害社会環境対策センター」を設置し、主務大臣または都道府県知事がセンターを通じて商品・役務の供給に対して監督・指導することができるとしていた。いわば、マンガ・アニメ・ゲームなど、それぞれの業界に国家の監視機関を置いて「指導」という名の規制を行うことができるようにしようとしたわけである(なお、指導・監督なので行政処分にはあたらないとされていた。これも都道府県の「有害図書」規制条例を国レベルで強化することを企図したものといえる)。  結局、この法案は「メディア規制三法」の一角と見なされたこともあり、強い反対に晒されて02年には提出を断念、04年には「青少年有害社会環境対策センター」などの部分を削除し、再提出されるも審議未了で廃案となった。しかし、昨年の衆院選でも、自民党は公約の中に「青少年健全育成基本法案」を掲げており、自民党内部には根強く、国家レベルでの「有害情報」の規制を是とする勢力が存在することを示している。  党全体では児童ポルノ法による規制強化に慎重な姿勢を示していた民主党でも、一部に頑強に規制強化を求める議員が存在した。実のところ、児童ポルノ法の問題に熱心に取り組む国会議員の数は極めて少ない。結果、場の流れの中で、なんとなく賛成、なんとなく反対となっているだけだ。そうした中で、官僚や党内からも異論を唱えられながらも、規制強化の意志を曲げない高市議員は存在感を増し、浮動票的な立場の議員を巻き込んでいると考えるのが自然だ。  「クール・ジャパン」という言葉を旗印に、国家によるコンテンツ産業の振興が盛り上がる一方で規制を強化するなんて、本来はあり得ない話だ。一連の問題は、単なるマンガやアニメを超えて、国家をいかにするかという視点で考えなくてはならないだろう。 (文=昼間たかし)

もはや単純所持禁止は避けられない──新たな児ポ法改正議論の最新事情

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 今月9日、自民、公明両党は与党政策責任者会議で、児童買春・ポルノ禁止法改正案を議員立法で今国会に共同提出する方針を固め、作業に入っている。2008年に規制強化を含んだ改正案が審議されるも、会期終了と民主党政権の誕生で消滅してから5年あまり。いよいよ、単純所持の禁止を含んだ改正案の成立が秒読みに入っている。  自民党内の消息筋によれば、与党内では提出のために論議が続いているものの、まだ法案は確定していないという。「改正に反対する声が盛り上がることを恐れて、提出ギリギリまで秘密にしておくつもりではないか」との疑念もあるが、実のところ自民党内でも議論が錯綜しているという印象だ。  ただ、「ほぼ、08年の改正論議の際の与党案と同等になるのではないか」という観測もある。つまり、現行法に「単純所持」を禁止する条文を加えると共に、付帯事項として漫画やアニメなどの創作物が、実際に起きている児童が被害者となる事件に影響を及ぼすか否かを調査する一文を加えるというものになる可能性が強い。  前回は国会の会期のおかげで時間切れ、民主党政権の誕生という時流に救われたわけだが、もはや自公両党が絶対多数となっている現在、同様の内容で提出されたら成立する可能性は高い。すなわち、今後数年以内に単純所持の規制は確実に導入されると見て間違いない。 ■単純所持禁止そのものは有効な手段  21世紀に入り、インターネットや携帯電話の急速な普及によって、99年の児童ポルノ法成立時には考えられなかったような事件も発生している。携帯電話を通じて見知らぬ相手に我が子の「児童ポルノ」画像を売る事件などは、その代表格だ。実際に被害者が存在し、インターネット上に一度流出した画像を完全に消去することは不可能であるため、「単純所持の禁止」を定めることによる抑止効果はとても高い。  つまり、単純所持の禁止はやむを得ないわけである。だが、単純所持を禁止する上で重要なのは、「児童ポルノ」とは何かを明確に定義することである。現在、議論をややこしくしている最大の理由は「児童」と「児童ポルノ」を曖昧な定義のままで放置していることにある。  例えば、児童ポルノ法が制定される際、発展途上国での児童売春と国内の援助交際をまとめて取り締まる法律にしようとした結果、児童ポルノ法で定義される「児童」は18歳未満となっている。この部分も大きな議論になっているのだが、「児童の年齢を15歳未満にしろ」といったような議論はあまり聞かれない。実際に、18歳未満と性行為をして逮捕された事例、裁判で「真剣な交際」と訴えて無罪になった事例もある。  「児童ポルノ」の定義も、やはり明解ではない。そもそも「児童」が18歳未満なので、一般に「児童ポルノ」としてイメージされるもの=幼女がレイプされているようなもの以外もカテゴライズされてしまう。おまけに、04年の改正によって「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの」という定義が新設されたことで、さらに事態がややこしくなった。これは、いわゆる「着エロ」を取り締まることに念頭が置かれたもの。「着エロ」は、まっとうな商売とはいえないものであり、取り締まられてしかるべきだが、結果として「子どもの水着写真もアウトなのか」など、議論を錯綜させる要因となってしまっている。つまり、08年の民主党案にあった「児童ポルノ」の名称を「児童性行為等姿態描写物」に変更するとまではいかなくても、いま一度、現状に即して「児童」と「児童ポルノ」とは何かをハッキリさせる必要がある。  そして、「単純所持」の禁止に伴う例外規定も欠かせない。学術的研究や取材・調査など必要に応じて「児童ポルノ」を所持・取得、さらには公開することはあり得る。昨年、スウェーデン大使館が主催したシンポジウムでは、同国の警察当局者が多数の「児童ポルノ」を大スクリーンに映して規制の現状についてのプレゼンを行った。単に「所持はダメです」だけでは「児童ポルノ」をめぐる問題にアクセスすることまでもが不可能になってしまう。現状「この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」とはなっているが、これでは不足だ。「単純所持」の禁止は、正当な理由がある場合に「児童ポルノ」にアクセスする権利も保障してこそのものである。国立国会図書館では図書館の「知る権利」の保障を放棄してまで特定の「児童ポルノ」とされる書籍の閲覧を内規で制限しているが、結果として「どういったものを制限しているのか」を国民が知ることはできなくなっている。  こうした法律そのものの議論と同時に、規制の強化に賛成、反対する双方の側で偏狭で過激な意見を吐く人々を排除した上で、何が問題になっているのか見ていく必要がある。  現状、出版社では自主規制が行われているし、書店ではゾーニングも行われている。それでも、今年1月のAKB48の河西智美の写真集のような問題は起こり得る。自主規制やゾーニングは社会へ理解を求める装置として実効性が高いが、警察当局はワイセツ罪という武器も持っているし、その気になればいかなる手段を使っても介入することができるわけで、完璧なものではない。  制定以来10余年を経過した児童ポルノ法だが、国家を挙げての議論になったことは一度もない。ほとんどの国民は、漠然とした社会全体の不安の中で「なんとなく規制をしたほうがよい」と思っているに過ぎない。  また「反対派」の多くは漫画やアニメを愛好する多くの「オタク」であると一般的に思われているが、これも正しいものではない。大混雑するコミケ参加者(前回冬で延べ55万人)の中で「児童ポルノ法」について考えたことがある人は1割もいない。だいたい0.3%くらい、要はとてつもなくマニアな1ジャンルに過ぎないのだ。  児童ポルノ法が国民的な議論になることは、まずあり得ない。そうした情勢で事態は着々と進行している。いわゆる「反対派」の人々がいまできることがあるとすれば、ここまで記してきたようなことを、じっくりと考えることなのではないか、と筆者は思う。 (文=昼間たかし)

「ジャニーズも児童ポルノ扱い」した「自白は証拠の王様」男が衆院選で返り咲き当選!

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葉梨康弘 公式サイトより
 全国各地で自民党が議席奪還を果たした2012年衆院選。最も強硬な「表現の自由」規制論者として知られる葉梨康弘氏(茨城3区より復活当選)も、その一人だ。09年、国会での児童ポルノ法改正をめぐる審議の中で、数々の「衝撃発言」を繰り返した人物である。果たして、再び児童ポルノ法改正問題が浮上してくるのだろうか? 今回は、09年の葉梨氏の「衝撃発言」の数々を、おさらいしてみよう。  葉梨氏は1959年生まれ。東京大学を卒業後、警察庁に入庁。刑事局防犯課、少年課理事官などを歴任した警察庁キャリア官僚出身者である。この人物が、児童ポルノ法改正問題を知る人々の間で一躍有名になったのは、09年6月26日に行われた衆議院法務委員会でのことだった。  この時の改正案は、直後の国会解散、民主党政権誕生で消え去ったのだが、出席者たちの数々の発言は、今でもよく記憶に残っている。筆者は当日、傍聴席でやりとりを取材したが、参考人として発言したアグネス・チャン氏は「今のうちに(児童ポルノを)集めようというような呼びかけが今インターネットで広まっています」「児童ポルノの30%は3歳以下です」と発言し(その後、取材したが明確な出典は示さず)、「私の背中の子どもたちが見えますか!」と感極まって泣きだすシーンもあった。  だが、それ以上にインパクトが大きかったのが、葉梨氏である。葉梨氏は「自白は証拠の王様」「(単純所持が禁止されたら)政府が児童ポルノにあたるかどうかを調べるくらいサービスする」「性的好奇心が目的だと自白を強要するような捜査官なんて、私はいないと信じています」「有名な女優であろうが大手の出版社であろうが関係ない」などの発言を連発(この記事を書くのに議事録を再確認したが、アグネス氏・葉梨氏ともに議事録は微妙に修正が入っている)。  さらには、改正反対の意見を述べる枝野幸男衆院議員には「ことさらそれを強調するように、ジャニーズが胸をこうやって乳首を出している、これは(児童ポルノに)ならないということですか?」と、あたかもジャニーズも上半身を脱いでいたら児童ポルノにあたる、と取れる発言までしたのである。  さらには、保坂展人衆院議員(現・世田谷区長)に「篠山紀信氏は十代の少女の写真等を数多く撮っているが、児童ポルノに相当するという判断がされれば、全部フィルムや紙焼きを廃棄処分しろということか?」と質問され、 「廃棄をしていただくか、あるいは国立国会図書館に届けていただけば、国立国会図書館ではそれは正当行為として保管するということにもなるんでしょう」 と、そんなのは当然だという態度を取ったのだ。 ■「立法者の意思だけじゃ、どうにもならない」  ここまで激しい意見を述べる人物には、ぜひ詳しく話を聞かねばならない。後日、議員会館で筆者の取材に応じた葉梨氏は、 「自白は証拠の王様というのは、私が言ったんじゃない。刑法を学ぶ人間なら誰でも知っている。刑法学の通説ですよ」 と、資料をプリントアウトして説明を始めた。ところが、「児童ポルノ」の定義に話が及ぶと、法務委員会とは打って変わって、発言が曖昧になった。 「(芸術か否かは)関係ないですよ。ただ、(デヴィッド)ハミルトンの写真を見たことがあるけれど、個人的には児童ポルノじゃないと思う。でも、私は判断する立場じゃない。それに、篠山紀信さんが(ネガを持っていても)性的好奇心を満たす目的じゃないだろうし、家族のアルバムや出版社・ジャーナリストが取材目的で所持しているのは、正当行為だから犯罪にはなりませんよ」  葉梨氏が「犯罪にならない」と言っても保証はないだろう、と思いながらも黙って聞いていると、さらにこんな発言も。 「(児童ポルノか否かは)政府が調べるとは思うけど、実際、捜査されるのは、これから作られるものと、現在ある明らかに児童ポルノだとわかるもの。18歳か17歳かよくわからないものなんて、立証できないから捜査しないよ。捜査される可能性だってない。もちろん、そういう疑念が起こらないように話し合う必要があるんですよ。私だって、冤罪なんてあっちゃならないと思いますからね」  なるほど、警察庁キャリア出身だけあって、捜査する・しないの基準はわかるという経験則ゆえの主張かと思ったのだが、取材の終盤には 「立法者の意思だけじゃ、どうにもならないんだよね」 と、立法に携わる人間とは思えないことまで、言いだしたのである。  とにかく、この時の葉梨氏は、児童ポルノ改正案に反対する民主党を叩きつぶすためのパフォーマンスに心血を注いでいて、案の定、自分の発言の事の重大さの認識に欠けている印象を受けた。その直後の衆院選では落選。3年あまりの雌伏を経て復活した葉梨氏は、再びこの問題に携わるつもりなのだろうか。  自公が大幅な議席増をしたことで「表現の自由」の規制に反対する人々の間では、絶望感が広がっているという。しかし、歴史を振り返れば危機とは、革命的情勢とイコールであること。本当に守りたいものがあるというのならば、決意を示してほしいものだ。 (文=昼間たかし)