女だったら女帝を目指せ! 究極の成り上がりホステスマンガ『女帝』

jyotei.jpg
『女帝』(作:倉科遼/画:和気一作/グループ・ゼロ)
「日刊サイゾー」の読者の皆さん、こんにちは。皆さんは「成り上がりマンガ」は好きですか? 成り下がってばかりの潜水艦のような人生を送っている僕にとって、「成り上がりマンガ」は最高のカタルシスです。  このジャンルは、男性が主人公の作品が多数を占めています。スポーツマンガ、任侠マンガ、格闘マンガ、ビジネスマンガなど、多くの男性向けマンガは「成り上がる」こと自体が命題となっているので、当然ですね。  では、女性を主人公にしたマンガはあるのでしょうか? もちろんあります。それも、強烈なやつが。今回ご紹介する『女帝』です。 『女帝』は熊本出身の女子高生・立花彩香が、大阪の場末のスナックからスタートして、銀座で「女帝」と呼ばれるようになるまでの半生を描いた、ノンストップホステス成り上がりマンガです。何がノンストップかというと、一度読み始めると次の展開が気になって仕方がない、読んだら最後、You can’t stopなマンガなのです。それだけストーリーが精巧に練り上げられているということなのですが、今回はそんじょそこらの成り上がりマンガに対して『女帝』がどのぐらいすごいのかを、解説していきたいと思います。 ■成り上がる必然性ありまくりな壮絶設定  母子家庭で、スナックをしている母に育てられた彩香。高校では生徒会副会長になるほどの秀才でありながら、水商売の娘というだけで周囲に蔑まれる日々でした。そんな彩香に、ひそかに恋心を抱く男子高校生がいました。杉野健一、生徒会長であり、地元の大手企業、杉野建設の御曹司でもあります。  高校卒業間際、杉野は彩香をレイプ同然で襲うのですが、杉野が父の権力を使って、彩香が誘惑したことにしてしまいます。この頃から、男や権力に対して憎悪を燃やしだす彩香。  加えて実家のスナックは、杉野建設がバックの地上げ屋に嫌がらせをされており、心労で母が倒れてしまいます。さらに、病院の診断結果で末期がんが判明するのです。あまりに悲惨な状態からのスタートです。 ■男たちへの復讐が原動力  母ががんで亡くなり、天涯孤独となって熊本の地を離れ、大阪でホステスとして生きることを決意した彩香。しかし、杉野をはじめとした卑怯な男たちや汚い権力者たちへの復讐心がメラメラと燃え上がっていました。 「学力も力もないわたしだけど一つだけ武器がある!! 女という武器が、この武器を使ってのし上がってやる」 「男の上に君臨する、女帝になってやる…!!」  高卒にして、すでに「女帝」になることを決意します。しかも、野望達成のためなら体を張る気もマンマン。単なるお小遣い稼ぎでポロリと脱ぐのとは、気合が違うという話です。 ■処女であることを最大限に活用  ホステスとして生きることを決意した彩香ですが、実はまだバージン。そして「処女は貴重なはず、高く売れるはず」という信念のもと、女帝になるためのワンステップとして、己の処女までも利用します。  大阪で出会ったスケコマシのヤクザ、伊達直人にバージンを奪われそうになるシーンがあるのですが、こんなセリフでピンチを切り抜けます。 「この肉体をあげる時は勝負する時や! 女として一世一代の勝負する時に処女を捨てるんやッ!!」 「高おに売ったるんや!! だからナオトに抱かせるわけにはいかんのやあッ!!」  ベッドでこんなセリフ言われたら、どんな絶倫男でもシュンとなるってもんですよね。そんな感じで彩香のバージンブレークのエピソードだけでも、前半はめちゃくちゃ盛り上がります。  そんな彩香がバージンを捧げるのは、見た目はキモいけど、超大金持ちの爺さん。ミナミの妖怪と呼ばれる、美濃村社長です。 「どうせ抱かれるなら最初は醜い男がいい!! これから先、いろいろな男たちがわたしの肉体を通り過ぎていくだろう…! なら、最初に一番醜い男に抱かれれば、あとはどんな男でも受け入れられる! わたしは女帝になるんだ…」  こんなポエムをつぶやきつつ、ジジイに抱かれる彩香。しかしそのおかげで、ミナミのクラブでナンバーワンとなり、その勢いで銀座へ進出します。処女を捧げたご利益はメチャクチャありました。 ■ムダに多いシャワーシーン&着替えシーン  十分すぎるほど読ませるストーリーの『女帝』ですが、サービスシーンなのか、なんなのか、毎回のように、彩香のド迫力のシャワーシーンや着替えシーンが出てきます。裸体のゴリ押し、これも、『女帝』ならではの演出なのです。 ■『女帝』という言葉がカジュアルに飛び交う  皆さんは、日常生活で「女帝」って言うシーンはありますか? 普通の人はあまりないと思いますが、このマンガでは日常会話として普通に「女帝」という言葉が飛び交います。 「あの女は女帝なんかじゃない、わたしこそが女帝なのよ!!」 「お前も負けんな、お前は女帝になったれや!!」 「彩香やからでけたことや、さすが女帝・彩香やな…!!」 「彩香という一人の女の力…まさしく女帝にしかできないことだ…女帝・彩香にしか…!!」 「やっぱ彩ちゃん、銀座の女帝だね…!!」  こんな感じで、彩香の周りの人物たちが気軽に「女帝」と口にするので感覚が麻痺してきますが、職場で隣にあだ名が「女帝」の人が座っていたら、僕は結構嫌です。 ■ホステスの老後まで心配してこそ「女帝」 『女帝』という作品のすごいところは、彩香が成り上がった時点で終わりではないところです。引退したホステスの再就職先として割烹を経営したり、クラブを辞めたホステスがみんなで働けるように伊豆の旅館を買ったりします。さらに、結婚せずに年老いたホステスたちがお互い介護し合う環境まで整える彩香。単なる成り上がりマンガだったら、ここまで描かないですよね? っていうか、たぶんそんな話を描き始めたら、普通は打ち切られます。成り上がるだけじゃない、老後まで描き切ってこその『女帝』なのです。 ■究極のどんでん返し設定、実は「総理大臣の娘」  水商売の娘ということで少女時代からさんざん蔑まれてきた彩香ですが、なんと実の父親が時の総理大臣だったことが判明! 大逆転のスーパーチート設定で、彩香を陥れようとしていた周りのライバルたちの度肝を抜きます。女帝のパパが総理大臣。ほかのマンガでは、こんな最強設定は、なかなかお目にかかれないですよ。 ***  というわけで、女成り上がりマンガの究極系『女帝』をご紹介しました。このほかに、女帝シリーズとして『女帝 花舞』『女帝 薫子』『女帝 由奈』などがありますので、併せて読んで女帝コンプリートを目指してみるのもオススメです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

女だったら女帝を目指せ! 究極の成り上がりホステスマンガ『女帝』

jyotei.jpg
『女帝』(作:倉科遼/画:和気一作/グループ・ゼロ)
「日刊サイゾー」の読者の皆さん、こんにちは。皆さんは「成り上がりマンガ」は好きですか? 成り下がってばかりの潜水艦のような人生を送っている僕にとって、「成り上がりマンガ」は最高のカタルシスです。  このジャンルは、男性が主人公の作品が多数を占めています。スポーツマンガ、任侠マンガ、格闘マンガ、ビジネスマンガなど、多くの男性向けマンガは「成り上がる」こと自体が命題となっているので、当然ですね。  では、女性を主人公にしたマンガはあるのでしょうか? もちろんあります。それも、強烈なやつが。今回ご紹介する『女帝』です。 『女帝』は熊本出身の女子高生・立花彩香が、大阪の場末のスナックからスタートして、銀座で「女帝」と呼ばれるようになるまでの半生を描いた、ノンストップホステス成り上がりマンガです。何がノンストップかというと、一度読み始めると次の展開が気になって仕方がない、読んだら最後、You can’t stopなマンガなのです。それだけストーリーが精巧に練り上げられているということなのですが、今回はそんじょそこらの成り上がりマンガに対して『女帝』がどのぐらいすごいのかを、解説していきたいと思います。 ■成り上がる必然性ありまくりな壮絶設定  母子家庭で、スナックをしている母に育てられた彩香。高校では生徒会副会長になるほどの秀才でありながら、水商売の娘というだけで周囲に蔑まれる日々でした。そんな彩香に、ひそかに恋心を抱く男子高校生がいました。杉野健一、生徒会長であり、地元の大手企業、杉野建設の御曹司でもあります。  高校卒業間際、杉野は彩香をレイプ同然で襲うのですが、杉野が父の権力を使って、彩香が誘惑したことにしてしまいます。この頃から、男や権力に対して憎悪を燃やしだす彩香。  加えて実家のスナックは、杉野建設がバックの地上げ屋に嫌がらせをされており、心労で母が倒れてしまいます。さらに、病院の診断結果で末期がんが判明するのです。あまりに悲惨な状態からのスタートです。 ■男たちへの復讐が原動力  母ががんで亡くなり、天涯孤独となって熊本の地を離れ、大阪でホステスとして生きることを決意した彩香。しかし、杉野をはじめとした卑怯な男たちや汚い権力者たちへの復讐心がメラメラと燃え上がっていました。 「学力も力もないわたしだけど一つだけ武器がある!! 女という武器が、この武器を使ってのし上がってやる」 「男の上に君臨する、女帝になってやる…!!」  高卒にして、すでに「女帝」になることを決意します。しかも、野望達成のためなら体を張る気もマンマン。単なるお小遣い稼ぎでポロリと脱ぐのとは、気合が違うという話です。 ■処女であることを最大限に活用  ホステスとして生きることを決意した彩香ですが、実はまだバージン。そして「処女は貴重なはず、高く売れるはず」という信念のもと、女帝になるためのワンステップとして、己の処女までも利用します。  大阪で出会ったスケコマシのヤクザ、伊達直人にバージンを奪われそうになるシーンがあるのですが、こんなセリフでピンチを切り抜けます。 「この肉体をあげる時は勝負する時や! 女として一世一代の勝負する時に処女を捨てるんやッ!!」 「高おに売ったるんや!! だからナオトに抱かせるわけにはいかんのやあッ!!」  ベッドでこんなセリフ言われたら、どんな絶倫男でもシュンとなるってもんですよね。そんな感じで彩香のバージンブレークのエピソードだけでも、前半はめちゃくちゃ盛り上がります。  そんな彩香がバージンを捧げるのは、見た目はキモいけど、超大金持ちの爺さん。ミナミの妖怪と呼ばれる、美濃村社長です。 「どうせ抱かれるなら最初は醜い男がいい!! これから先、いろいろな男たちがわたしの肉体を通り過ぎていくだろう…! なら、最初に一番醜い男に抱かれれば、あとはどんな男でも受け入れられる! わたしは女帝になるんだ…」  こんなポエムをつぶやきつつ、ジジイに抱かれる彩香。しかしそのおかげで、ミナミのクラブでナンバーワンとなり、その勢いで銀座へ進出します。処女を捧げたご利益はメチャクチャありました。 ■ムダに多いシャワーシーン&着替えシーン  十分すぎるほど読ませるストーリーの『女帝』ですが、サービスシーンなのか、なんなのか、毎回のように、彩香のド迫力のシャワーシーンや着替えシーンが出てきます。裸体のゴリ押し、これも、『女帝』ならではの演出なのです。 ■『女帝』という言葉がカジュアルに飛び交う  皆さんは、日常生活で「女帝」って言うシーンはありますか? 普通の人はあまりないと思いますが、このマンガでは日常会話として普通に「女帝」という言葉が飛び交います。 「あの女は女帝なんかじゃない、わたしこそが女帝なのよ!!」 「お前も負けんな、お前は女帝になったれや!!」 「彩香やからでけたことや、さすが女帝・彩香やな…!!」 「彩香という一人の女の力…まさしく女帝にしかできないことだ…女帝・彩香にしか…!!」 「やっぱ彩ちゃん、銀座の女帝だね…!!」  こんな感じで、彩香の周りの人物たちが気軽に「女帝」と口にするので感覚が麻痺してきますが、職場で隣にあだ名が「女帝」の人が座っていたら、僕は結構嫌です。 ■ホステスの老後まで心配してこそ「女帝」 『女帝』という作品のすごいところは、彩香が成り上がった時点で終わりではないところです。引退したホステスの再就職先として割烹を経営したり、クラブを辞めたホステスがみんなで働けるように伊豆の旅館を買ったりします。さらに、結婚せずに年老いたホステスたちがお互い介護し合う環境まで整える彩香。単なる成り上がりマンガだったら、ここまで描かないですよね? っていうか、たぶんそんな話を描き始めたら、普通は打ち切られます。成り上がるだけじゃない、老後まで描き切ってこその『女帝』なのです。 ■究極のどんでん返し設定、実は「総理大臣の娘」  水商売の娘ということで少女時代からさんざん蔑まれてきた彩香ですが、なんと実の父親が時の総理大臣だったことが判明! 大逆転のスーパーチート設定で、彩香を陥れようとしていた周りのライバルたちの度肝を抜きます。女帝のパパが総理大臣。ほかのマンガでは、こんな最強設定は、なかなかお目にかかれないですよ。 ***  というわけで、女成り上がりマンガの究極系『女帝』をご紹介しました。このほかに、女帝シリーズとして『女帝 花舞』『女帝 薫子』『女帝 由奈』などがありますので、併せて読んで女帝コンプリートを目指してみるのもオススメです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

「集めて編むのが編集だ!」名言連発の熱すぎる編集者マンガ『編集王』

henshuou0727.jpg
『編集王』(土田世紀/小学館)
『重版出来!』というマンガをご存じでしょうか? 大学を卒業したばかりの新人女性漫画編集者、黒沢心が、本が売れない時代に作品を売り出すために奮闘するという、いま一番熱い“編集者マンガ”です。現在も「月刊!スピリッツ」(小学館)誌上で連載中であり、黒木華主演でドラマ化もされました。 『重版出来!』はもちろん素晴らしい作品ですが、僕らのような90年代のマンガをこよなく愛するロートルマンガ読みにとって、どうしても忘れられない編集者マンガがあります。それは、土田世紀先生の『編集王』です。  主人公は、桃井環八(通称カンパチ)。子どもの頃に読んだ『あしたのジョー』に影響を受けてプロボクサーになったものの、網膜剥離で引退を余儀なくされます。失意のドン底にあったカンパチですが、幼なじみでヒロ兄ィと慕う「週刊ヤングシャウト」編集デスク、青梅広道に誘われ、マンガ編集者の道を歩むことになるのです。  このマンガ、一言で言えば、とにかく熱い。まさに、やけどしそうな作品なんです。元ボクサーのカンパチが熱血漢なのを筆頭に、編集長も編集者も、漫画家もアシスタントも、書店員や出版社の営業マンまでもが例外なく熱くて、狂おしいほどに漫画バカ。まるで格闘技マンガを読んでいるかのようなスリリングな展開と、浪花節のような泣かせるセリフ回しの応酬が魅力です。  では、『編集王』がどのぐらい熱いか、ご紹介していきましょう。まず、ボクシングで挫折したばかりのカンパチをヒロ兄ィが励ましつつ、「週刊ヤングシャウト」編集部に誘うセリフ。 「おめえの人生は全20巻じゃねえ…」 「おめえにゃあ、あさっても、しあさってもやってくるんだからな」 「兄ちゃんの職場に来てみろよ…ネクタイ締めたリングもあるぜ!」  見事に全部『あしたのジョー』縛りでセリフが成立しています。「ネクタイ締めたリング」とか、たとえがうますぎるだろ。大喜利か! まあ、こんな熱いセリフで誘われたら、絶対転職しますよね。  そして、編集部にアルバイトとして採用された主人公のカンパチ、この男は気性が荒く、毒舌で思ったことをそのまま口に出す、まさしく狂犬です。『美味しんぼ』の主人公、山岡士郎も、世界3大珍味のフォアグラをディスってアンキモのほうがうまいと言ってみたり、中華街で「ゴマソースの物もチリソースの物も同じ皿でとれって言うのかっ!!」ってよくわからないキレ方をしたりと、かなりの狂犬っぷりを発揮していましたが、それに匹敵するレベルといって過言ではありません。  そんなカンパチにとって、もっぱらの敵は「週刊ヤングシャウト」の疎井編集長。週刊マンガ誌にありがちなアンケート至上主義、部数至上主義で、人気さえ出るならエロ満載のお下品マンガも厭わないという姿勢で、作品の面白さや質を重視するヒロ兄ィやカンパチたちと常に対立します。 「前々回のパンチラから今回のパンモロ、おまけに半チチに半ケツときたからな。次はチチモロ行くかァ?」 「集めて編むのが俺たちの仕事だ。会社は、作家との友情ごっこに、給料払ってんじゃないんだよ」 「アンケートは絶対なんだよ。アンケートの1位が一番面白いマンガなんだよ」  どうですか、編集長のくせにこのワルなセリフ。悪役としての貫禄十分ですね。そんな編集長の方針が気に入らないカンパチ。アルバイトで入ったばかりなのに、いきなりかみつきます。 「へえーっ、そうなんだ。じゃああんた、いらないじゃん! 編集長なんか居なくたって、このアンケートを見れば、売れる雑誌が作れるわけでしょ?」  すごい暴言! 編集部に来て、いきなり編集長不要論をぶち上げるカンパチ。こんな新人アルバイトいねーだろ……。  怖いものなしのカンパチは、酒とゴルフと釣りに明け暮れ、マンガへの情熱を失ってしまった大御所漫画家・マンボ好塚にも容赦なくかみつきます。 「原稿受け取るだけなら伝書鳩で十分だろう」 「あんたの仕事はウンコだよ!! 仕事場はまるでウンコの缶詰工場だ!!」  ひでぇ! 大御所漫画家の作品をウンコ扱いですから、そりゃあ相手だって烈火のごとくブチ切れます。しかし、カンパチのすごいところは、相手とガチでぶつかり合った末に、最終的にはカンパチの熱い想いが通じて親友になってしまうところなのです。 主人公以外のキャラも概ね濃いです。例えば、出版社の営業マンが登場する回なんかも熱いです。編集者を向こうに回して、営業が吠えまくります。 「出版社を支えてるのはお客様です。あんたら編集部が支えてるなんて思い上がりなさんな」 「あんたが持ってる編集のプライドとやらにかけて、文学をどうにかしてくれよ! 誇りで仕事が出来るんなら、給料なんかいらねえんだよこちとら!」  出版社では裏方に回りがちな営業だって、こんなに熱いんです。しまいには「給料なんていらねえ」とか言い出してるし。どんだけ本が好きな奴らなんでしょうか。  そうかと思えば、めちゃくちゃストイックな漫画家も出てきます。漫画のために家族を捨て、入稿寸前に原稿が気に入らないと破り捨てて逃亡。編集部や印刷所にめっちゃ迷惑を掛けるような存在ですが、いざ出来上がった作品は天才的な面白さ。そんな漫画家の持論がコレ。 「マンガ家と編集者に限って言やあ…家庭環境なんざ不幸なほど、良い作品が出来るわけだしな。」 「不安で不満で、もう逃げ出したくなるほど私生活をズタズタに追いつめてくと、見えてくんだよな、もう一人の自分ってやつが」  どんだけマゾだよ!! 自分の作品のために周囲の関係者までも道連れにするとか、超タチが悪い漫画家ですが、生い立ちが不幸なほうがいい作品ができる……というのは、ある意味で真理なのかもしれません。  そんなわけで、熱い奴らが集っている『編集王』をご紹介しました。編集の仕事を志す人にとってはバイブルのような作品だと思いますので、ぜひ全巻読み切って、『あしたのジョー』のように真っ白に燃え尽きちゃってください(燃え尽きちゃダメか)。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

無職だけど、料理は絶品!! “クズッキングパパ”の貧乏グルメ 『貧民の食卓』

hinmin.jpg
『貧民の食卓』(おおつぼマキ/新潮社)
 世間はすっかり夏のボーナス時期ですね。「ボーナス支給額が上がった!」「祝・景気回復!!」という人もいれば、「ボーナスなんか存在しないし、景気など回復していない!」「呪・アベノミクス!!」なんて人もいるのではないでしょうか。消費税も8%になりましたし、実感としては、まだまだ景気が悪いと感じる人のほうが多いと思います。  というわけで、今後も当面続くであろう格差社会を生き抜くために、食に関するコストは極力抑えたい、自炊して食費を限りなくゼロにしたい、なんて思っている人にピッタリなのが、今回ご紹介するグルメマンガ『貧民の食卓』なのであります。 『貧民の食卓』はその名の通り、1人1食当たり100円を切る激安レシピを徹底的に追求したグルメマンガです。1食当たり100円っていったら、食費は、月に約9,000円しかかからないことになりますね。今のご時世、これはかなりすごいことです。  主人公・赤柿留吉は、中学生の娘と小学生の息子がいる2児の父親です。奥さんが五平餅を喉に詰まらせて亡くなったため、男やもめで頑張っている……のかと思いきや、働く気は一切ゼロ。貯金を切り崩しつつ、日々パチンコと麻雀の稼ぎで糊口をしのいでいるのです。    そんな父親なので、娘・千夏には「おっさん働けー! 子どもに小遣い渡せー!」と罵られるわ、息子・ハジメを遊園地代わりにパチンコ屋へ連れて行ったり、焼酎を飲ませてみたりするなど、なかなかのクズっぷりを発揮しています。  徹底した無職ライフを満喫する留吉ですが、料理の腕だけは超一流。冷蔵庫に残ったわずかな食材や残り物を使って極上の貧民料理を作り、腹をすかせた子どもたちを満足させたり、町内の諸問題を解決したりします。もちろん、出てきた貧民料理のレシピはバッチリ紹介されていますので、そういう意味では構成が『クッキングパパ』に酷似していますが、肝心のパパが無職であるというところが全然違います。つまり、本作品はクッキングパパならぬ、クズッキングパパなのであります。  作中紹介されるメニューは1食当たり100円以下を目指しているだけあって、どれも徹底的にコストダウンが図られていますが、それでいて、それなりに旨いというのがポイントです。そんな貧民メニューを、いくつかご紹介しましょう。 ●「おかずにヘンシン風ライス春巻き」  冷蔵庫の冷ご飯を春巻きの皮で巻いて揚げるメニュー。パリッっと香ばしい春巻きで、ご飯のおかずにピッタリ! 気がつけば、ご飯をおかずにご飯を食べる炭水化物祭り状態になっていますが、なんと1人前53円という驚きの低コスト。まさに貧民料理です。 ●「胴の短いウナギ丼」 いまや庶民に手の届かなくなりつつある高級料理、ウナギ丼。気分だけでもウナギ丼を味わいたいということで、イワシを使ってウナギを再現するという、まさに貧民の知恵がほとばしる一品。考えてみれば、タレさえちゃんとしてれば、ウナギだろうがアナゴだろうがイワシだろうが、大して変わらないですよね(そんなことないか)。お値段も、胴が短い分、リーズナブル。1人前95円でいただけます。 ●「おめめパッチリじゃこめしセンベイ」「あたまシャッキリ梅レタススープ」 受験生向けに目が覚める歯応えのある夜食を、ということで作られたメニューが、この2品。じゃこめしセンベイが1人前12円、スープは13円と、2品合わせても25円という、本作品中屈指の超低コストメニュー。なんだこれ、駄菓子より安いじゃねーか! ●「赤柿屋の100円牛丼」 牛丼が100円って、一番安い時のすき家でもそんなに安くなかったんですが、どうやって実現するんでしょうか……? と思ったらなんと、牛丼屋で買ってきた一杯の牛丼をお麩と玉ねぎと卵で増量して4等分してしまうという、一杯のかけそばを超えるド貧民メニューでした。しかも1人前89円って、100円切ってるし!! ●「ステキなステキなステーキこんにゃく」 塩コショー、カレー粉、ニンニク、ごま油、肉味噌などなど、ありとあらゆるスパイシー素材で炒め合わせる涙ぐましい努力により、こんにゃくでステーキを再現した1品。1人前84円。これで満足できるなら、ステーキは一生食べる必要なし! ***  もちろん作中にはもっと詳しいレシピがバッチリ載っていて、読めばその日にすぐ貧民料理が作れるようになっています。問題は、ここに載っているレシピよりも単行本自体の価格のほうが高いところですね。そういう意味では、実に悩ましい作品です。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

尾田栄一郎の重い腰を上げさせた香川真司へ感謝の声が殺到! 長澤まさみに「アモーレになってやれ」の声

kagawa0711
 10日に放送された『伝説の瞬間 発掘ファイル~アニメ編~』(フジテレビ系)で、漫画『ONE PIECE』(集英社)の原作者・尾田栄一郎がテレビ初出演。そのきっかけを与えたサッカー日本代表・香川真司の“アシスト“に、『ONE PIECE』ファンから感謝の声が殺到している。 『ONE PIECE』の大ファンであることを公言している香川に、尾田が直筆サインとルフィのイラストが描かれたレガースとスパイクをプレゼント。そのお返しとして、香川は自身が所属するドイツ・ブンデスリーガ「ボルシア・ドルトムント」のサイン入りユニフォームを用意。「確実に届いたのか映像で確認したい」という香川の要望を受けた番組スタッフが、ダメもとで尾田にオファーを出したところ、「顔出しはしない」という条件で出演を承諾され、「マジか!?」とファンを驚かせた。 「シリーズ累計売り上げは3億部を超え、“最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ”としてギネス世界記録に認定されるなど、日本のみならず世界でも名を知られた漫画家である尾田ですが、これまでテレビ出演したことがなかっただけに、当然ファンからは『本物か?』という疑惑がささやかれたものの、本人確認としてルフィをサラサラと描き上げる姿にファンは大熱狂。年収30億円とも40億円ともいわれる尾田ですが、Tシャツにデニム、足元は雪駄という質素な姿での登場に『倹約家なんだな』『メタボ体形だな』など、ネット上は大盛り上がり。香川からプレゼントされたユニフォームを着る姿まで見せてくれました」(芸能関係者)  今まで誰も成し遂げられなかった尾田のテレビ出演をかなえたことで、すっかり株を上げた香川。だが、そんな彼も、2012年に大ファンであることを公言している女優の長澤まさみと『とんねるずのみなさんのおかげでした』(同)の『食わず嫌い王決定戦』コーナーで共演した際、食事に誘うも、その後、2人に熱愛のウワサは流れず、残念ながら自身の恋の願いはかなえられていない。14年12月には、自身のTwitter上でのファンとのやりとりの中で「長澤まさみさんに会えるようにがんばります!」とツイートするなど、その後も長澤に恋心を抱いている様子が垣間見えているだけに、『ONE PIECE』ファンからは感謝の意味を込めて、長澤へ「香川のアモーレになってやれよ」と、香川を推す声が寄せられている。 「長澤の父親は元サッカー日本代表で、ジュビロ磐田の監督を務めたこともあるだけに、『お似合い』と香川を後押しする声は絶えません。ですが、長澤とこれまでウワサになったのは、嵐の二宮和也や伊勢谷友介、リリー・フランキーなど、業界関係者ばかり。しかし、日本代表で香川と仲が良い長友佑都が先日、女優の平愛梨への“アモーレ発言”で注目を集めたこともあり、『リリーなんかより、香川がベストだと思うぞ』『日本サッカー界の未来のためにも、香川と優秀な遺伝子を残してくれ』などといった声が再燃。また、香川はモデルのマギーと熱愛のウワサが流れたことがあるのですが、『長澤がダメなら、マギーでもいいぞ』『香川のテクニックにプラスして、強靭なフィジカルを備えた息子が誕生しそうだ』などと、マギーを売り込む声も殺到しているようです」(同)  年収8億円ともいわれている高給取りの香川だが、果たして長澤をモノにすることができるか!?

尾田栄一郎の重い腰を上げさせた香川真司へ感謝の声が殺到! 長澤まさみに「アモーレになってやれ」の声

kagawa0711
 10日に放送された『伝説の瞬間 発掘ファイル~アニメ編~』(フジテレビ系)で、漫画『ONE PIECE』(集英社)の原作者・尾田栄一郎がテレビ初出演。そのきっかけを与えたサッカー日本代表・香川真司の“アシスト“に、『ONE PIECE』ファンから感謝の声が殺到している。 『ONE PIECE』の大ファンであることを公言している香川に、尾田が直筆サインとルフィのイラストが描かれたレガースとスパイクをプレゼント。そのお返しとして、香川は自身が所属するドイツ・ブンデスリーガ「ボルシア・ドルトムント」のサイン入りユニフォームを用意。「確実に届いたのか映像で確認したい」という香川の要望を受けた番組スタッフが、ダメもとで尾田にオファーを出したところ、「顔出しはしない」という条件で出演を承諾され、「マジか!?」とファンを驚かせた。 「シリーズ累計売り上げは3億部を超え、“最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ”としてギネス世界記録に認定されるなど、日本のみならず世界でも名を知られた漫画家である尾田ですが、これまでテレビ出演したことがなかっただけに、当然ファンからは『本物か?』という疑惑がささやかれたものの、本人確認としてルフィをサラサラと描き上げる姿にファンは大熱狂。年収30億円とも40億円ともいわれる尾田ですが、Tシャツにデニム、足元は雪駄という質素な姿での登場に『倹約家なんだな』『メタボ体形だな』など、ネット上は大盛り上がり。香川からプレゼントされたユニフォームを着る姿まで見せてくれました」(芸能関係者)  今まで誰も成し遂げられなかった尾田のテレビ出演をかなえたことで、すっかり株を上げた香川。だが、そんな彼も、2012年に大ファンであることを公言している女優の長澤まさみと『とんねるずのみなさんのおかげでした』(同)の『食わず嫌い王決定戦』コーナーで共演した際、食事に誘うも、その後、2人に熱愛のウワサは流れず、残念ながら自身の恋の願いはかなえられていない。14年12月には、自身のTwitter上でのファンとのやりとりの中で「長澤まさみさんに会えるようにがんばります!」とツイートするなど、その後も長澤に恋心を抱いている様子が垣間見えているだけに、『ONE PIECE』ファンからは感謝の意味を込めて、長澤へ「香川のアモーレになってやれよ」と、香川を推す声が寄せられている。 「長澤の父親は元サッカー日本代表で、ジュビロ磐田の監督を務めたこともあるだけに、『お似合い』と香川を後押しする声は絶えません。ですが、長澤とこれまでウワサになったのは、嵐の二宮和也や伊勢谷友介、リリー・フランキーなど、業界関係者ばかり。しかし、日本代表で香川と仲が良い長友佑都が先日、女優の平愛梨への“アモーレ発言”で注目を集めたこともあり、『リリーなんかより、香川がベストだと思うぞ』『日本サッカー界の未来のためにも、香川と優秀な遺伝子を残してくれ』などといった声が再燃。また、香川はモデルのマギーと熱愛のウワサが流れたことがあるのですが、『長澤がダメなら、マギーでもいいぞ』『香川のテクニックにプラスして、強靭なフィジカルを備えた息子が誕生しそうだ』などと、マギーを売り込む声も殺到しているようです」(同)  年収8億円ともいわれている高給取りの香川だが、果たして長澤をモノにすることができるか!?

42歳非モテ男と、18歳フィリピーナの壮絶すぎる国際結婚物語『愛しのアイリーン』

irene.jpg
『愛しのアイリーン』(新井英樹/太田出版)
 国際結婚というと、皆さんがすぐに思い浮かべるのは千昌夫とジェーン・シェパード夫人、梅宮辰夫とクラウディア夫人、川崎麻世とカイヤ夫人、後藤久美子とジャン・アレジ等の華々しい結婚ではないでしょうか。えっ、どれも古いって?  今回ご紹介する『愛しのアイリーン』は、1995~96年まで「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載されていた新井英樹先生による作品で、国際結婚がテーマです。しかし、国際結婚といっても、いま挙げたような華やかな事例とはちょっと違い、フィリピン人女性とのトンデモ国際結婚がテーマとなっています。  80~90年代まで、日本人男性がフィリピンに行って嫁探しをし、フィリピン人女性は出稼ぎ感覚で日本に嫁ぐ……そういったスタイルの国際結婚が社会現象になっていました。「ジャパゆきさん」という言葉がはやったり、フィリピン人女優のルビー・モレノが活躍したりしました。『愛しのアイリーン』は、そんな社会情勢に強く影響を受けています。  それはともかく、『愛しのアイリーン』ってタイトル、なんともラブリーでかわいらしいですよね。タイトルだけだと、きっとキュートな女性が登場するあまーいラブコメじゃないか、なんて思う人もいるかもしれません。ところがどっこい、内容は全然かわいくありません。出てくるのは、オナニーとセックスとバイオレンス。主人公は有り余る性欲が抑えられず、「おまんごー!」「メイグラーブ!」と、方言全開で雄叫びを上げたりします。軽い気持ちで読むと、トラウマになる作品ですね。  舞台は、過疎化が進行したとある山村。主人公、宍戸岩男は熊のようなガタイをした大男で、パチンコ店勤務のモテない42歳のオッサンです。同居する家族は年老いた母親・ツルと、認知症が進行している父親・源造……なんとも切なさがこみ上げてくる設定ですね。  1話目から、岩男の非モテエピソードが全開です。仕事から帰ってきて、夜中に親の目を盗んでAVやエロ本を見ながら自慰にふける主人公。その様子を、障子の穴から心配そうにのぞく母。なんともやるせないシーンです。なにより、この42歳独身男にプライバシーが皆無なのがやるせない。母よ、そこはのぞかないでやってくれよ……。  そんな母は、結婚するアテもない息子を不憫に思い、お見合いをセッティングしようとするのですが、岩男は母ちゃんが苦労してセッティングした縁談を頑なに拒みます。  実は、岩男は職場にいる愛子という同僚に惚れていました。バツイチ子持ちの薄幸そうな清楚系美女ですが、岩男に対し、ちょくちょく気があるようなそぶりを見せるため、免疫のない純情中年童貞は、すっかりその気になってしまっていたのです。  ところが、その愛子が清楚な見た目とは裏腹に超お盛んで、パチンコ店の複数の男性従業員とエッチ済みだったのでした。その事実を知って愕然とする岩男は、怒りのあまり愛子の自宅に押しかけるも「ほ…本気だと困るんだわ」と、ガッツリ振られます。その夜、怒りのあまり車で壮絶に事故り、血だるまの状態で雪山に駆け上り、『北斗の拳』のケンシロウよろしく上半身の服をビリビリに引き裂きながら「お…おま…おまんごー」と絶叫。あまりに壮絶すぎるシーンに、読者の大半はドン引き必至。それにしても、非モテをこじらせるとケンシロウ化するんですね。知らなかった……。  さて、ここまでのシーンで6話経過しているのですが、一切タイトルの「アイリーン」がなんなのか触れられていません。まるでスピッツの「ロビンソン」並みに謎の存在でしたが、ここから急展開します。  愛子に振られて失意の岩男は、あっせん業者になけなしの貯金280万円を支払って、フィリピンへ嫁探しに。そして、30人の嫁候補と面談の末、面倒くさくなって決めたのが、18歳の生娘、アイリーンでした。ただヤリたいだけの夫と、カネ目当ての妻。打算だらけの国際結婚が成立します。  しかし、せっかく嫁を連れて帰国した岩男、バラ色のハネムーンどころか、そこからが地獄の始まりでした。岩男が黙ってフィリピンに嫁探しに行っている間に父が亡くなっていたのです。事もあろうに、葬儀中にフィリピン人妻を突然連れて帰ってきたため、母・ツルが激怒。その姿は、まさに鬼婆そのものでした。その後のシーンでは、ツルはアイリーンに猟銃を突きつけ、単なる脅しかと思いきや、本当に発砲。間一髪で逃れたものの、本気でアイリーンを殺しにかかるシーンが何度かあります。こんな恐ろしい婆さん、マンガでもなかなかいないレベルです。  家の敷居をまたげなくなってしまった岩男は、アイリーンとともにラブホテルを転々とする生活を余儀なくされますが、しょせんカネで買った関係。アイリーンが岩男に心を許さず、セックスを拒み続けるため、いまだに初夜を迎えられません。280万円払っても望みがかなわない岩男は、ラブホのベッドを引き裂き、逃げ回るアイリーンに対し「おまんごー」「メイグラーブ!!」「ファッグ ミ ファッグ ミ」と怒りの絶叫。最後は、ホテルの部屋中の器物を破壊しまくります。非モテが極まって、公害レベルの迷惑な存在へと進化!  ここまででも十分に常軌を逸している展開なのですが、その後もすごいです。どうしても岩男とアイリーンの結婚を受け入れられないツルは、アイリーンと和解するフリをして家に呼び寄せ、女衒のヤクザ者に売り飛ばします。しかし、ヤクザに車で連れ去られるアイリーンを岩男がカーチェイスの末、決死の救出。勢い余って、ヤクザ者を猟銃で撃ち殺してしまいます。  岩男とアイリーンは、その遺体を人里離れた山中に埋めます。皮肉なことに、結婚後初めての共同作業がケーキカットではなく、死体埋葬でした。そしてその夜、2人は初めて結ばれるのです。  その後、2人は仲睦まじく幸せに……ということは全然なく、人を殺した罪悪感と、殺したヤクザの仲間からの執拗な嫌がらせにより精神崩壊状態の岩男は、同僚の愛子を襲ったり、アイリーンの友人のフィリピーナを買ったりと、女がいれば手当たり次第にセックス三昧で現実逃避に走ります。人を殺した後が一番モテモテ、なんという皮肉でしょうか。  その後はなんと、岩男が途中で死亡。残されたアイリーンとツルが壮絶な嫁姑バトルを展開しますが、最後の最後までドン底すぎる展開が続きます。  実は本作品、農村の少子高齢化や嫁不足問題、後継者問題、そして国際結婚といった複雑な社会問題をテーマとして扱っている作品でもあるのですが、終始狂気に満ちあふれた、気が抜けないストーリーとすさまじい画で、そういった部分をまったく感じさせません。バブルアフターで浮かれ気分の残る世間の風潮に強烈な冷水を浴びせるものすごいマンガ、それが『愛しのアイリーン』だったのです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

親子丼といえば「鮭イクラ丼」!? 地方あるあるマンガ 『北海道民のオキテ』『沖縄県民のオキテ』

hokkaidookite.jpg
『北海道民のオキテ』(KADOKAWA/中経出版)
 埼玉disマンガ『翔んで埼玉』が話題になったことで、地方disマンガというジャンルが、にわかに盛り上がっています。そんな中、『翔んで埼玉』を復刊した宝島社から、続けざまに「この『地方ディス』マンガがひどい!」というムックまで出版されました。編集のスピード感もすごいですが、あけすけな便乗っぷりで商魂たくましすぎ!   しかし、「埼玉だとか群馬だとかの関東の話はもういい! ほかの地方マンガが読みたい」という方もいらっしゃるのではないのでしょうか? そんなあなたには『○○民のオキテ』という、地方あるあるマンガシリーズがあります。今回はその中で、南北の両端となる『北海道民のオキテ』と『沖縄県民のオキテ』(KADOKAWA/中経出版)をご紹介しましょう。 『○○民のオキテ』シリーズは現在、北海道、沖縄県、愛知県、福岡県と出ていますが、最初に発売されたのが『北海道民のオキテ』で、続編として『もっと!北海道民のオキテ』が出版されています。 ■『北海道民のオキテ』『もっと!北海道民のオキテ』    札幌支社に転勤になった主人公のまささんが、そこで働いていたもえさんに一目惚れ。晴れて結婚して夫婦になるものの、北海道民のもえさんとの文化の違いに翻弄される……という内容です。    道民の生態っていっても、都民と大した違いはないんじゃないか? と思っていたのですが、まさかここまで桁外れに違うものだとは……。というわけで、東京以外に住んだことがない僕にとって特にインパクトが強かった「オキテ」をご紹介しましょう。 「道民はご飯にバターと醤油をかけた『バターかけご飯』を日常的に食べる」  バターかけご飯って、ビンボー学生なんかが仕方なく食べてる感がありましたが、北海道では常食なんですね。ビンボー食扱いしてすんません。 「北海道ではコンビニでおにぎりを買うと『おにぎり温めますか?』と聞かれる」  東京ではまず聞かれることないので、これは結構、衝撃的です。ビニールを引き抜いて海苔と合体させるタイプのおにぎりは、温めるとかなり食べづらいような気がするんですが……。 「道民にとって親子丼といえば『鮭イクラ丼』のこと」  親子の基準が鮭だったとは、さすが鮭王国北海道。となると、道民は親子丼を鶏卵丼って呼ぶのでしょうか? 「道民が気温を5度とか15度とかいうと、マイナス5度やマイナス15度のことを意味する」 「道民にとってマイナス5度ぐらいなら全然暖かい方」  逆に、0度以上の気温の時にあえて「プラス5度」というらしいです。これは知っておかないと、命にかかわるレベルの文化の違いですね。 「道民はゴミ集積所にゴミを捨てることを『ゴミステーションにゴミを投げる』という」  ステーションって! ゴミが集まる駅、もしくはゴミ収集車が止まる駅ということなんでしょうか? でも、ゴミ集積所より呼び方がカッコイイし、なんかいいかもしれません。「ゴミを投げる」は、ちょっとビビりますけど。 「『ジャスコまで直進110Km』とかいう看板が普通に出ている」  110Kmって、東京からだと熱海(静岡)に行けちゃう距離です。ちょっとした旅行ですよ。買い物に行くのに熱海まで、しかも往復とか……絶対無理。やはり北海道は、“試される大地”だったか。 「道民の7割がセイコーマートのポイントカードを持っている」  以前、北海道に行った時にやたらオレンジ色のコンビニを見かけるなと思っていたのですが、あのコンビニがそこまで普及していたとは。7割って、尋常じゃないですよね。Tカードより、普及率高そう。
okinawaokite.jpg
『沖縄県民のオキテ』(KADOKAWA/中経出版)
■『沖縄県民のオキテ』  横浜出身のまゆさんが、石垣島でりゅうくんと出会って、沖縄で結婚生活を始めるというストーリーです。読んでみると、沖縄ってもしかして外国? と思わせるエピソードが多いです。こちらも、特にインパクトが強かった「オキテ」をご紹介しましょう。 「沖縄県民は水着にならず服のまま海に入る」 「沖縄県民の6割は、実は泳げない」  沖縄といえば、美しい海のイメージを描く人がほとんどだと思いますが、沖縄県民は海に対してさほど思い入れがないようです。 「沖縄県民は雨が降っても傘をささない」  すぐやむから、すぐ乾くから、面倒くさいからという理由で、ほとんど傘をささないとのこと。そう聞くとびっくりですが、海外ではあまり傘をささない国も多いので、そういう意味では沖縄県民のほうが、感覚がグローバルなのかもしれません。 「沖縄ではマーガリンのことをバターと呼ぶ」  マーガリンはバターの代用品というイメージですが、沖縄県ではマーガリンとバターはほぼ区別がなく、「ホリデーマーガリン」という米国製マーガリンを使うのが主流のようです。親に「バター買ってきて」って頼まれて、マーガリンを買ってきたら激怒された経験を持つ僕としては、にわかに信じられない話です。 「沖縄で魚屋のことを『さしみ屋』と呼ぶ」  沖縄では魚料理といえば、ほぼ刺身のことを言うため、魚屋=さしみ屋になったとのこと。東京で「さしみ屋」っていう看板があったら、どう考えても海鮮居酒屋のイメージですよね。 「沖縄県民は台風がやってくると外出しようとする」  そ、それって死亡フラグじゃないの? って思ってしまいますが、沖縄では台風が来ると、翌日会社や学校が休みになることが多いため、夜遅くまで飲んだり、ボウリング場で遊んだりと、やたらとアクティブになる気質があるとのこと。台風が来ると花金気分か! それはそれでうらやましい……。 「沖縄県では中学・高校の卒業式にメリケン粉(小麦粉)をぶちまけるイベントがある」  少し前に、沖縄で卒業式に投げる用に大量購入したメリケン粉を、校長先生に説得されて寄付に回したというニュースが話題になりましたが、これって沖縄では普通のイベントだったんですね……。それにしてもメリケン粉っていうのが、またアメリカンな響きで異国情緒漂ってます。 ***  というわけで、北は北海道、南は沖縄それぞれの文化を描いたマンガ『北海道民のオキテ』『沖縄県民のオキテ』をご紹介しました。ここでご紹介したオキテも、地元の人からしてみると「え、それって全国共通でしょ?」と思うことばかりなのかもしれませんが、はっきり言います。それは完全なるローカルルールです!! (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

ゲイの毒舌精神科医がお悩み解決! 読んでおきたい『ツレうつ』以降の「うつ病」マンガ

utsumanga.jpg
『夫婦で鬱るんです』(少年画報社)『アンタたち治るわよ!-ゲイ精神科医が心の病をぶったぎり』(講談社)
 作者の実体験を赤裸々に語るコミックエッセイの中でも、「うつ病」をテーマにしたマンガを目にすることが多くなりました。最近では特に、田中圭一先生がうつ病からの脱出に成功した人たちをリポートするコミック『うつヌケ~うつトンネルを抜けた人たち~』(https://note.mu/keiichisennsei/n/n825d9e612277?magazine_key=m1e241522cab9)が話題になっています。 「うつ病」マンガが増えているのは、なんといっても、ドラマ化・映画化もされた、細川貂々先生の『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)の功績でしょう。かつては、精神疾患をマンガのネタにするのはある種のタブーとされていましたが、『ツレうつ』では重くなりがちなテーマを、かわいらしい画とユーモアで明るく描き切っています。「うつ病」マンガのハードルを下げ、後に続く作品を生み出す土壌になったといえます。 「うつ病」マンガが注目を集めるのは、15人に1人はうつ病といわれるほど身近な病気になってきていることが起因しています。実際、僕の周りを見渡しても、近親者・友人・知人にうつ病の経験者が多数おり、決して他人事ではありません。というわけで、今回は「うつ病」マンガの中でも、ひときわ個性を放つ2作品をご紹介します。 ■『夫婦で鬱るんです』(少年画報社)  ホラーコミック作家・稲垣みさお先生によるうつ&育児体験記です。この作品のすごいところは、新婚3カ月で稲垣先生がうつ病にかかり、その後に旦那さんが躁うつ病にかかり……しかも、先生のおなかには赤ちゃんが! という「マンガかよ!」と突っ込みたくなるほどにエクストリームな状況になっているところです。  最大の見どころは、陣痛に追い詰められた先生が、「生まれるって言ってるだろーがっ!!」と、うつでダウンしている旦那を蹴り飛ばし、旦那に車を運転させて病院に直行するシーンです。人間、やればできる。まさに火事場のバカ力です。  無事出産後も、修羅場は続きます。ただでさえ大変な赤ちゃんの世話ですが、両親共にうつ症状でフラフラ、それを尻目に超ハイテンションで暴れる赤ちゃん……。なんという地獄絵図。  さらに旦那さんはうつが悪化し、仕事を始めても1カ月も続かない毎日で、収入がピンチ!などなど。無理ゲーすぎる試練が次々襲ってくる稲垣家から、目が離せないマンガです。  また、この作品のテーマが「うつ病でも、妊娠・出産・育児は可能です!!!」となっている通り、非常にリスクが高いといわれている妊娠中の抗うつ薬使用についても、服用量を調整しながら無事に出産されているのは貴重な事例といえるでしょう。 ■『アンタたち治るわよ!-ゲイ精神科医が心の病をぶったぎり』(講談社)  こちらは、ゲイの精神科医Tomy先生と、漫画家はじめ先生による合作。ゲイの精神科医という時点で相当キャラが立っているのですが、相談に来る患者さんたちの悩みをオネエ言葉と毒舌でガンガン解決していく「元気の出るうつマンガ」です。  うつがどうこう以前に、まずTomy氏のキャラが相当濃いです。一人称が「アテクシ」なのもなかなかのブッ飛び具合ですが、Tomy氏のパートナーで同じくゲイの精神科医ジョセフィーヌ氏がほぼレギュラーで登場し、ゲイカップル2人でキャッキャウフフしながら悩みを解決していきます。  なにしろ本題に入る前に、いきなり2人の馴れ初めが(ゲイバーで出会って、その日に合体とか)描かれているあたり、うつ病マンガの中で、本作がいかに特殊な雰囲気なのか、おわかりいただけるのではないでしょうか。  そして、相談に来るイケメン男性患者には、もれなく「Tomy’sサーチアイ」が発動。  26歳の男性会社員の相談に対しては、 「あーん、いーわー、若い男にすがられるってカ・イ・カ・ン」  32歳の男性エアロビインストラクターには、 「モテ筋…いいオトコ!」  うつ症状を発症している娘の相談に来た父親にも、 「老けてもいないけど脂ぎってもいないわね! アテクシ若いのが好みだけど、こういうのもアリだわ」 ……そんなん言われたら、かえってうつが進行するわ! と思わず突っ込まずにいられないほど、オネエキャラが徹底されています。ちなみに、うつ病だけではなく、躁うつ病、新型うつ、アスペルガー障害、ボーダーライン、パニック障害などなど、うつ病と一緒に語られやすいさまざまなメンタル系疾患についても取り上げられており、その解説も明快で、さすが精神科医! という内容になっています。ただ……解説は、ことごとくオネエ言葉なんですけどね。  というわけで、今後一層ニーズが高まりそうな「うつ病」マンガを2作品ご紹介しました。読んでみると、自分には全然関係ないと思っている人でも、いつ自分や家族がかかってしまうかわからないということを、あらためて痛感しますね。読んでおいて損はないジャンルです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

「日本のAV女優の待遇はメジャーリーガー級!?」紗倉まな激似ヒロインのAV漫画が韓国で大ヒット中!

manacomic01
漫画の宣伝Twitterを見ると、本人が、同昨のイラストを手にした画像も。まるで似顔絵!?
『Highイキ!』というエロ漫画をご存じだろうか? 昨夏よりスマホ向けの漫画サイト「レジンコミックス」で連載されている作品なのだが、これがいま韓国で話題になっているという。  本作はAV業界を舞台に、ヒロインである美人AV監督を中心とした内幕漫画で、単体女優のデビューAVや、ナンパAV、芸能人のAVデビューの撮影の様子などが、コメディタッチで描かれていく。うんちくあり、セックスシーンあり、笑いありと、盛りだくさんな内容だ。
manacomic02
漫画のヒロイン。彼女はAV女優ではなく、監督という設定だ。
 韓国にも濃厚なセックスシーンが収録された映像はあるものの、日本のAVのように、挿入シーンを接写するような過激なポルノ映像というのはあまりない。そのため、多くの韓国人男性は違法アップロードされた日本のAVを視聴しており、その裏事情にはかなり興味を持っているという。  この『Highイキ!』が韓国で話題になっている理由は、ほかにもある。ヒロインが、AV女優の紗倉まなに激似なのだ。 「韓国人はみんな、紗倉まなを知っていますよ。6月には、彼女のエッセイ『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』(宝島社)が韓国でも出版されるようで、僕の友人も楽しみにしています」(日本に留学中の韓国人・キムさん)
manacomic03
 ちなみに、このことは紗倉本人も承知のようで、『Highイキ!』の宣伝Twitterには、彼女が漫画のイラストを持った写真がアップされている。こうして見比べてみると、確かにそっくりだ。作者は、彼女のファンだったのだろうか……?  そして、この作品が韓国人に最も衝撃を与えているのが、AVに対する日本人の意識だという。 「単体女優の女の子がデビューする際、事務所の社長が『君は選ばれた人間だ』と言ったり、ヒロインの監督が『AVは誰にでもできるものじゃない、パフォーマーとしての才能が必要だ』って言うんです。この漫画を読んでいると、AV女優がまるでメジャーリーガーみたいな位置付けに思えてくるんですよ(笑)。あと、借金を抱えた国民的アイドルがAVデビューする話があるんですが、これも韓国だと考えられません。国民的アイドルまで上り詰めたのなら、たとえ借金があっても裸にはならず、芸能の道で必死にお金を返しますよ。韓国ではあり得ない話ですが、それと同時に、だから日本のAVにはこんなにレベルの高い女の子が集まるのかと、納得させられます。何にせよ、韓国人は日本のAV女優に興味津々ですよ(笑)」(同)  近年は恵比寿マスカッツのように、トップクラスのAV女優が芸能人のような扱いを受けていることもあり、芸能人としての活動も視野に入れて、この世界に飛び込んでくる女の子も増えている。    紗倉まなを筆頭に、日本のAV女優たちが今後、韓国で大フィーバーを巻き起こす日も近いかも!? (文=萩本正也) ●レジンコミックス <http://www.lezhin.com/ja/comic/high_iki