朝日新聞までもが危惧し始めた「世界に広がるオタク文化」の幻想と危機的状況

 もう「世界に広がるオタク文化」の幻想を見る時代は終わった。2月7日付の朝日新聞の別冊紙面「GLOBE」が「MANGA、宴のあとで」と題して、日本のマンガ・アニメが持て囃されているはずのフランスとアメリカで売り上げが伸び悩んでいる現状をレポートしている。  秋葉原で外国人観光客を見かけることは珍しくなくなった。世界のあちこちでオタクイベントが開催されていることはニュースにもなる。YouTubeなどの動画投稿サイトでは、世界のあちこちで、コスプレしてダンスするオタクたちの姿を見ることができる。  それなのに売り上げが伸び悩むとは、どういうことか? 「newsweek日本版」が「萌える世界」と題して世界に広がる萌え文化を紹介したのは2007年3月のこと。それから4年余りの間に何が起こったのか?  答えは簡単である。最初から日本のマンガ・アニメが世界のあちこちで持て囃されているというのは、幻想に過ぎなかったのだ。  そもそも、「クールジャポン」なんて言葉が流行した07年頃、アメリカでもヨーロッパでも、アニメ関連の市場は縮小が始まっていた。アメリカで、日本のアニメおよび関連商品の売り上げがピークに達したのは03年頃。テレビでのアニメ放映時間も07年9月をピークに減少を続ける一方だ。  フランスでは日本のマンガが数多く翻訳出版されているが、とにかく売れない。先の朝日の記事では、『デトロイト・メタル・シティ』が5,000部程度しか売れなかったことを記している。もちろん、これはヒドイ例だ。ジャンプ作品はある程度人気を博しているが、それでも08年に発売された『NARUTO』の単行本が22万部売れた程度に過ぎない。  と、読者の皆さんは「ちょっと、データーが古いのではないか?」と思ったかも知れない。その通りである。  ところが、そもそもアメリカやヨーロッパにマンガやアニメの市場がどの程度の規模で存在しているのかを知るのは、かなり難しい。こうしたデータを収集している組織としてはJETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)が有名だろう。ところが、この記事を書くにあたって久しぶりにサイトを覗いてみたのだが、欧米圏に関しては新しい調査報告が、あまりなされていない。こうした状況を見ても、あたかも日本のマンガ・アニメが巨大なブームを引き起こしているような状況は、幻想としか思えない。  一方で、日本のマンガ・アニメを求める「濃い」ファンもちゃんと存在する。彼らの存在は大きく見えるが、数は限られたものに過ぎないのだ。  フランスで開催されたオタク系イベントの日本側窓口となったコーディネーターからは、こんな話も。 「日本のオタク事情に極めて詳しいファンは存在します。例えば、『東方』のファンはフランスにもいるんです。ただ、フランスで『東方』を知っている人は200人程度じゃないでしょうか」  筆者は一昨年に、ある週刊誌で「日本のマンガ、実は世界でウケてない!」という少々煽り気味のタイトルで日本国内での幻想と海外での現実とをレポートした。しかし、この記事の反響の多くは批判的なものだった。  だが、今となっては、このレポートは正しかったと言わざるを得ない。  国内需要が縮小していく中で、海外に活路を見出すのはビジネス上、当たり前のことである。だが、海外には、まだ山と溢れる日本産のマンガやアニメを受け入れるだけのすそ野が出来上がっているとは言えない。  例えば、日本ではオタクだけでなく幅広い客層を集めるスタジオジブリの作品群も、欧米では、さほど興行収益を上げてはいない。国内ではさまざまな海外映画祭での受賞が派手に報じられているが、それが集客には結びついていないのが現状なのだ。  だからといって、縮小する一方の国内の需要に頼っていては、マンガ・アニメの壊滅は必至だ。これまで、多くの人は、海外には既に作物が豊富に実る豊かな土壌の楽園があるち勘違いしていた。だが実態は、これから畑を耕してまだ日本のマンガ・アニメを消費する人々を育てていく段階だったのだ。  カギとなるのは、日本のように子供から大人まで、年齢を重ねてもマンガやアニメを消費するライフスタイルをどうやって普及させていくかということ。サブカルチャーの一分野として、日本のマンガ・アニメを消費する人々だけをアテにしていては、先はない。  別段、批判するわけではないが『朝日新聞』が、多くのページを割いて、海外のマンガ・アニメの不況を記すということは、状況は更に先に(悪く)進んでいるということだ。日本のマンガ・アニメの未来を考えるならば、もう、夢を見ている暇はない。 (文=昼間たかし)
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ヘタレ漫画家の半実録漫画がまさかの書籍化! アラサー男子の心をくすぐる『ハナムラさんじゅっさい』

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『ハナムラさんじゅっさい』(銀杏社)
 「30歳」と言うと、「節目の年」だの「人生の岐路」だのなにかとうっとうしいフレーズがつきまといがち。そんなプレッシャーのかかる年齢を目前に控えた売れない漫画家が、1円にもならないイラスト投稿SNS「pixiv」に趣味で投稿した半実録漫画が先ごろ単行本化された。その名も『ハナムラさんじゅっさい』(銀杏社)。  主人公の漫画家・ハナムラは、某メジャー少年誌の新人賞に入選したはいいものの、連載とはまったく縁がないまま早6年、気がつけばもうすぐ30歳。連載を目指し日々ネームを切るもことごとくボツにされ、単発の読切りやアシスタント仕事でくすぶり続けている自分をよそに、同期や年下の作家たちは次々と連載デビューを飾っていく。 「もう漫画家、やめようかな......」  そんな崖っぷちの状況から物語ははじまり、さらに「新人コンペ」に落ちた翌朝に1歳年上の彼女にこっぴどくフラれるというありさまで、ページをめくるたびに胃のあたりがキリキリする。このようなイタい身の上話をpixivにコツコツ投稿するのは結構しんどかったのではないかと思いきや、当のご本人にお話をうかがってみると、意外とあっさりしている。
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©ハナムラ/銀杏社
〈この年(作品の舞台は2009年)は僕にとってさまざまなことが起こった濃密な1年でした。ひとつひとつは何気ない些細な出来事でも、まとめてみると山あり谷ありで「実はすごい面白かったんじゃないか?」とふと思ったんです。それを誰かに話したい。でも、そんな長い話は誰も聞いてくれませんし、なにより自分は漫画描きですから、漫画にしてしまおうと〉  ハナムラ氏が描く「些細な出来事」のうち、自身の漫画家ライフにとって大きな転機となったのが、18禁ケータイサイトでエロ漫画の仕事だ。そこで出会ったのが白井さんという美人編集者。しかも、彼女は巨乳な上にかなり天然ちゃんで、喫茶店での打ち合わせで大声で「痴漢モノがいいですね!!」なんて言い放ったり、まったく警戒心なしにハナムラ氏の仕事場(=自宅)に来ちゃったりする始末。
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©ハナムラ/銀杏社
 この白井さんの(一見思わせぶりな)言動に主人公は振り回される、というか、勝手に戸惑ったり変な期待をするわけで、うだつの上がらない漫画家の日常に彼女が彩りを添えるカタチになっている。また、30歳を迎えてなお童貞マインド溢れるハナムラ氏の脳内で繰り広げられる妄想もなかなかの痛々しさだ。  一方で、基本的にはヘタレな主人公が抱えるリアルな不安や苦悩が描かれていく中、たとえばアシスタント先でふと「漫画を描くのは、やっぱり楽しかった」「何でもいいから(自分の)漫画が描きたい......!」といったモノローグがこぼれるなど、たまに見せる前向きな一面にホッとするし、つい応援したくもなってしまう。
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©ハナムラ/銀杏社
 かくして、地道な投稿がとある有名ブログに取り上げられたことで閲覧数が一気に伸び、無料コミックサイト「漫画街」(http://www.manga-gai.net/)での連載を経てまさかの単行本化。現在も同サイトにて連載中で、原則ウェブのみの販売だった単行本も書店での取り扱いが増え、pixivから生まれた新しいタイプの漫画家として注目されるに至っている。が、まだ不安もあるという。 〈僕は知識が浅く視野も狭いので、漫画で使える引き出しが少なくて苦労しています。唯一、連載・単行本化したのが自伝的漫画というのもそれを端的に表しています〉  作中の姿と同様にヘタレな......もとい控えめなコメントだが、単行本が発売されてむしろこれからが本番。今後についてはどう考えてらっしゃるのか。
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©ハナムラ/銀杏社
〈まず、『ハナムラさんじゅっさい』を最後まで描き切ること。それでしっかり読者の評価を得た上で、また少年誌の連載に挑戦したいです。今まで描いた漫画はほとんどがボツになっていて、正直、僕の「面白い」と世間の「面白い」は違うんじゃないかとずっと悩んでいました。でも、こうして『ハナムラ』が支持されたことで、自分のスタイルをもう一度考え直してみようかなと。その先に少年誌連載があると思っています〉  ハナムラさん、心配しないで! ちゃんと面白いですから! と思わず檄を飛ばしたくなるくらい、やっぱり謙虚な姿勢は変わらないが、思わぬカタチで崖っぷちから脱した現在、充実した日々を送られているようだ。最後に、世の30歳前後の男性に向けてメッセージをいただいた。 〈僕みたいな、ある意味で世間の同世代とは乖離した生活をしている漫画家の日常に、読者から「まるで自分のことのようだ」といったコメントが寄せられるたび、「悩んでいるのは僕だけではない」と気づかされます。また新たな気概を得て、勇気と自信を持って再スタートを切れる、そういう状況に喜びを感じています。30歳というのはいろいろな変化のある年齢だとは思いますが、「ハナムラがわりかし大丈夫だったんだから、みんな大丈夫なんじゃないか?」そんな感じで乗り切ってみてください〉 (文=須藤輝) hanamuraport.jpg ●ハナムラ 東京都江東区出身。 2003年某週刊少年誌新人賞入選、同作が週刊少年誌に読み切り掲載。現在、漫画街にてweb漫画「ハナムラさんじゅっさい」を連載中。
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トークライブで対決実現? 都条例をめぐる猪瀬直樹副知事の夕張雪かき騒動が新局面に

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雪かきも出来ない夕張市の市街(上)と
ちゃんと雪かきもされている室蘭市(下)。
 「ネトウヨは財政破綻した夕張を助けに行け。雪かきして来い」。昨年、東京都の猪瀬直樹副知事のTwitterでのつぶやきから、始まった「夕張雪かき騒動」が新たな展開を見せている。  この騒動、発端は、マンガ・アニメの規制を巡って対立した東京都青少年健全育成条例改定案だ。この最中の昨年12月5日、猪瀬副知事がTwitterで「表現規制ではない。デマゴーグに踊らせられているだけ」とつぶやいたところ、この問題を取材しているジャーナリストの昼間たかし氏が「ならば、その旨を取材させて下さい」と返答、すると猪瀬副知事が取材に応じる条件として、財政破綻で苦しむ夕張市での雪かきを提示したのだ。  これに、昼間氏と共に応じたのが、マンガ家の浦嶋嶺至氏。浦嶋氏は、一足先に今年1月21日に夕張を訪問し同市の社会福祉協議会の案内で雪かきを完了。取材の方法について猪瀬副知事と折衝を始めている。  昼間氏も、今月24日より開催される「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011」に併せて、夕張を訪問し雪かきを行うことを表明。 「日本国内のみならず、海外からも注目される国際映画祭の開催中に、雪かきを行うことで海外の方々や、マンガ・アニメファンに限らない多くの人に、この問題を考えてもらいたい」(昼間氏)  単に取材しながらアピールするのかと思いきや、昼間氏は、映画祭の「スペシャルプログラム」として出品されている映画「彗星の降る夜に -バイオ・サバイバル@JK-」(監督:やなぎさわやすひこ)には出演者として名を連ねている。  この映画祭は夕張市はもとより、周辺地域の市民も参加し協力する、人の繋がりの濃いもの。猪瀬副知事が繰り返し賛辞を送っている元都庁職員で、夕張市長選に立候補を表明している鈴木直道氏も映画祭に参加するそうで、出演者自ら、雪かきをしながら問題をアピールするインパクトは大きい。  なにより、都条例のインタビューを通して脚光を浴びていることに、地元の人々が、どのような反応を示すかも、目が離せない。 ■公開インタビュー実現に向け支援イベントも決定  様々な方向に飛び火し始めた、この騒動。ここに、新たな支援を表明したのがトークライブハウス・ロフトプラスワンをはじめとする「ライブハウスロフトグループ」席亭・平野悠氏だ。  平野氏は2月2日、「プラスワンで猪瀬副知事の公開インタビューをしたいと思っている。中継も行うつもりだ」と表明。早速、昼間氏がTwitterで「猪瀬直樹氏を、お招きしてロフトプラスワンにてトークライブを開催するプロジェクト始動」とつぶやいたところ、猪瀬副知事は即座に「勝手に決めても行きません」と反応。これに対して、平野氏は「それは猪瀬さん。上から目線過ぎませんかね?ミカドの肖像が泣きまする。あっ朝まで文化人でしたか?」と、反応するなど、騒動の加熱はもはや止めることができない。  平野氏は01年2月、当時ワイドショーでバッシングされていた野村沙知代氏が、新宿LOFTで「ニューロティカとサッチーの逆襲」というイベントに出演した際、キャスターの小倉智昭氏がフジテレビの番組『とくダネ!』で「この若者達は、いくらもらって来たの?」と客をサクラ扱いした発言に憤慨。「小倉あやまれ友の会」を結成しフジテレビの前をデモ行進。さらに、フジ株主総会に乱入するなど、フジテレビ役員から謝罪文を勝ち取るまで戦った「戦歴」の持ち主。  そんな熱い人物の参戦に加えて、昼間氏も「行きません」という猪瀬副知事に「ならば、雪かき後に提案する」と返答しており、トークライブでの公開インタビューは着実に実現の方向へと動いているようだ。  こうした熱いエールを受けて2月5日(土)と2月12日(土)には、イベント開催も決定。  トークライブの実現を支援するためにも、多くの人の参加が期待されている。 ◆緊急決定!-浦嶋嶺至プロデュース- 「猪瀬副知事が『夕張で雪かきして来い、それなら会う。』と言うので雪かきしてきました。報告会」 ▼日程 2月5日(土) OPEN 11:30 / START 12:30 OPEN 12:30 / START 13:00 時間が変更になっています。ご注意ください。 ▼会場 ロフトプラスワン 新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/ ▼出演 浦嶋嶺至(漫画家)、他ゲスト未定 <聞き手> 山本夜羽音(漫画家、北海道出身) 予約 / 当日 ¥600(飲食代別) ※予約はプラスワンHPより受付中! <http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/reservation◆映画「おやすみアンモナイト」アンコール上映 マンガ論争なう 昼間たかしの逆襲!! ※都条例、雪かき問題に加えて2009年のゆうばり映画祭にてフォーラムシアター部門招待作に選ばれた昼間たかし脚本作『おやすみアンモナイト 貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』(監督: 増田俊樹)を上映。 ▼日程 2月12日(土) OPEN 11:30 / START 12:30 ▼会場 阿佐ヶ谷ロフトA 東京都杉並区阿佐谷南1-36-16-B1 <http://www.loft-prj.co.jp/lofta/index.html> ▼出演 昼間たかし(ジャーナリスト/脚本家) <ゲスト> 永山薫(批評家) 増田俊樹(映画監督) 赤木智弘(フリーライター) 辻岡正人(映画監督) やなぎさわやすひこ(映画監督)他 前売¥1,500/当日¥1,800(共に飲食代別) ※前売りチケットは当店のウェブ&電話にて予約受付中!! 03-5929-3445(阿佐ヶ谷ロフトA) <http://www.loft-prj.co.jp/lofta/reservation/reservation.php?show_number=593※これらのイベントには猪瀬さんは来ません。
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「伏線王に俺はなる!?」ワンピース非公式ガイドブックの金字塔『ワンピース最強考察』

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『ワンピース最強考察』(晋遊舎)
 いま日本で最も売れているマンガと言えば、「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載中の『ワンピース』をおいてほかにない。「海賊王」を目指すモンキー・D・ルフィとその仲間たちの冒険を描いたこの作品は、コミックス累計発行部数が2億冊を突破する空前の人気マンガとなっている。  もちろん、売れているのは単行本だけではない。アニメのDVD、フィギュア、ぬいぐるみなどの関連商品も、軒並み好調な売れ行きを見せている。そんな中で、『ワンピース』の世界を変わった角度から掘り下げた1冊の本が密かな話題を呼んでいる。それは、『ワンピース最強考察』(晋遊舎)。Twitterやブログを通した口コミなどでじわじわと評判を呼び、10万部を突破するベストセラーになっている。  この本は、マンガ批評サイト「ヤマカム」管理人ほか3名で結成されたワンピ漫研団による本格的なワンピース研究書。作品内にちりばめられた伏線の数々を読み解き、『ワンピース』の世界をより深く楽しむための非公式ガイドブックである。  「海賊王ロジャーは、最後の島ラフテルに上陸さえしていない!?」「サー・クロコダイルは女だった!?」「10人目の仲間は『バーソロミュー・くま』である!?」など、ワンピースファンならば耳を傾けずにはいられない鋭い分析と大胆な仮説が盛りだくさん。もちろん、それぞれの考察がきちんとした根拠に裏打ちされているため、十分な説得力がある。『ワンピース』の読者がこの本を読めば、隠された伏線をたどりながら改めて作品を一から読み返したくなるのは間違いない。  そもそも、私はこのマンガの一読者として、一般的な『ワンピース』ファンの本作品に対する持ち上げ方に大きな不満があった。多くの人は、『ワンピース』を一種の感動物として語りたがる。このマンガは、友情をテーマとした冒険活劇であり、とにかく泣ける場面が多いんだ、と。それはそれで確かに間違ってはいないのかもしれない。だが、これだけ奥行きのある世界観を持った濃密な作品を、「友情」だの「感動」だのといった凡庸な切り口だけで語り尽くしてしまうのは、あまりにもったいないのではないだろうか。  私が思う『ワンピース』の本当の魅力は、緻密に構築された作品世界の壮大さにある。キャラクターの性格、能力、衣装などのデザインから、それぞれの国家、組織、民族にいたるまで、設定は細部まで練り上げられ、それらが有機的につながって1つの世界を構成している。だからこそ、そのシステムの一部をほのめかすようにして提示される数々の「伏線」が、物語をいっそう魅力的なものにしているのだ。  『ワンピース最強考察』の著者によれば、作者の尾田栄一郎こそは「伏線王」である。作品内にこれでもかというくらい大量に伏線をはりめぐらせて、それをひとつひとつ丁寧に回収していく手腕は、ほかに並ぶ者が見当たらないほどだ。まだまだ未回収の伏線や未解決の謎はたくさん残されているし、最後の最後には「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」という特大級の謎も控えている。本書は、「伏線王」が創造した壮大な作品世界を深く知るための手引きとして最適の1冊だ。 (文=ラリー遠田)
ワンピース最強考察 「本編が100倍楽しくなる」そう。 amazon_associate_logo.jpg
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18禁ロリマンガはどう使われた? 東京都青少年課が行った情報隠蔽工作とは

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東京都青少年・治安対策本部公式サイトより
 昨年末、全国のマンガ・アニメファンを恐怖に陥れた東京都のマンガ規制条例こと「東京都青少年健全育成条例」改定案をめぐる騒動。改定案が成立したことで、騒動も一段落したかと思いきや、改定案の施行はこれからで、まさに「俺たちの本当の戦いはこれからだ」と言うべき状況だ。そうした中で、東京都の新たな情報隠蔽工作が明らかになった。  昨年6月、最初の条例案改定が否決されてから、都青少年課は都内各地のPTA・保護者団体・自主防犯組織などに出向き、条例改定の意義を理解してもらうための説明会を開催した。その回数は80回余り。12月に改定案が可決した最大の理由である民主党が賛成に鞍替えした背景には、このことが大きかったとされる。民主党の一部議員は、PTAなどの支持者から「エロ議員」と非難されることを恐れたのだ。この点で、都青少年課の目論見は成功したと言えるだろう。  問題は、PTAなどに対して都青少年課からどのような説明が行われたかということ。これまでブログやTwitterなどで漏れ聞こえている情報では、18禁マークのついた成年雑誌などを示し、あたかもこうした本が野放しになっているかのような説明が行われたとされていたが、確証を得ることはできなかった。  そこで、筆者は東京都に対して説明の際に使用した雑誌・書籍をすべて公開するよう情報公開請求を行った。  実は、昨年12月の改定案審議中にも民主党の松下玲子議員は非公式の打ち合わせで都青少年課の櫻井美香課長に対して、使用した雑誌・書籍のタイトルを明らかに示すよう求めていたのだが「その都度、誰が、どの本を使って説明したか明らかでない」と、櫻井課長は返答していた。そのため、どこまで公開するかまったく期待はしていなかった。  結論から言うと、公開されたのは表示図書(最初から出版社が18禁マークをつけたもの)と指定図書(都の審議会で不健全図書指定されたもの)が一冊ずつである。表示図書は、「コミックエルオー(LO)」(2010年5月号、茜新社)、指定図書は尾崎晶氏の『人妻爆乳アナウンサー由里子さん』(10年2月、双葉社)である。そして、表示図書・指定図書以外のもの、すなわち新たな条例で都が規制したいと考えているものは、一切が非公開とされてしまった。  正直、理解に苦しむ。「LO」は既に自主規制されており、書店で子どもの手に届くところには絶対に置かれていない。また、『人妻~』も現在の条例で規制されているものだ。つまり、これらを用いたということは、ブログやTwitterなどで喧伝されている「こんな酷いマンガがある」と誤解を招くような説明を行っていたという噂を裏付けることになる(そもそも、どのような説明が行われたかも、ほとんど明らかにはなっていない)。  さらに、表示図書・表示図書以外のものがすべて非公開にされた理由も不明確だ。非公開の理由として示されたのは「当該と書類が不健全図書類の指定の疑いがあると判断され、出版社に不利益を生じさせる」「公開することにより、不健全図書類の指定に関する業務の効果的遂行を不当に阻害するおそれがある」の二つだ。  とは言っても、PTAなどには見せているわけで、説明会を80回開催して一回あたり5人しか来なかったとしても400人。なぜ彼らには見せて、都民に広く公開することができないのか、理解に苦しむ。  PTAへの説明会に関しては、条例反対運動に反対する人物が情報公開請求した説明会を行った先の団体名もすべて非公開となっており、何が説明されたかを必死に隠そうとしているとしか思えない。  そもそも、表示図書・指定図書の公開が一冊ずつだけなのもおかしいと思い、「これだけですか?」と問いただしたところ「明らかなのは、これだけですね」と、都青少年課の小宮山みき係長は返答。この説明会の模様が描かれたブログ(http://hirometai.blog.so-net.ne.jp/2010-08-24-2)では、小宮青少年対策課連絡調整課長が説明を行っている写真が掲載されており、見たところ5冊はあるのだが?  いずれにせよ、改定された都条例の施行を前に情報を明らかにしない都の態度は自らの首を絞めているとしか思えない。自らの改定案に正当性があると思うなら、堂々と公開すべきだろう。それとも、このままのらりくらりと騒ぎが治まるのを、じっと待っているのだろうか......。 (取材・文=昼間たかし@『マンガ論争4』も絶賛発売中)
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小さく産まれて大きく育った、お風呂漫画~ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』~

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『テルマエ・ロマエ II』
(エンター・ブレイン)
マンガ評論家・永山薫のコミックレビュー。連載第3回はヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』です!  「えーっ! なんでこんなに売れてんの!?」と驚愕しちゃったのが、ヤマザキマリの『テルマエ・ロマエ』(エンター・ブレイン)だ。公式サイト(http://www.enterbrain.co.jp/comic/TR/)の発表によれば、1、2巻の累計で150万部。確かに「マンガ大賞2010」、「手塚治虫文化賞短編賞」のダブルクラウンによって漫画ファン以外の、言わば「全国区」の認知度がアップしたというのが大きいのだろう。母艦の「コミックビーム」(同)が発行部数2万5,000部という漫画雑誌としては少部数であることを考えると、とんでもない数字である。参考までにデータを挙げておくと、一番発行部数が多いのが「週刊少年ジャンプ」(集英社)の約281万部、一番少ないのは「IKKI」(小学館)の1万3,750部である(数字はいずれも「マガジンデータ2010(2009年版)」社団法人日本雑誌協会より)。「小さく産んで大きく育てる」の見本というか、「雑誌はプレゼン、本番は単行本」というか、この出版不況の中で、めでたい話ではある。受賞効果とは別に地道な販促(雑誌付録のてぬぐいとか)、営業努力(書店営業とか、東京都公衆浴場組合から推薦をもらってくるとか)あればこその結果だろう。  もちろん、いくら賞を受賞しようが、営業が頑張ろうが、優れた作品でなきゃ、ここまでは売れません。まず間口が広い。ポイントは誰もが入るお風呂。ものぐさ者以外は大好きなお風呂。冬場にはうれしい温泉。現役だけど懐かしい銭湯。この辺で、ビッと来る。でも温泉ウンチク漫画ではない。主人公は古代ローマの悩める建築家ルシウス・モデトゥス。その彼が毎回、古代ローマのお風呂(ローマ人はお風呂マニアックスだった)から、「平たい顔」の異民族の住む異世界(要するに現代日本)にタイムスリップして、日本のお風呂文化からアイデアを得て、古代ローマに持ち帰るというコメディ連作。そもそも古代ローマ文化なんて、俺みたいなローマ史オタクならともかく、フツーの人は知りません。皇帝ネロとかカリギュラとかの暴君伝説を知ってるくらいならまでいい方で、ひどい人になると「ああ、あの筋肉映画『300』の世界ね」なんて勘違いしてたりする。いや、あれは時代が違うし、ローマじゃないし......。そんなワケで『テルマエ・ロマエ』のローマ・パートの舞台となる西暦130年代、文人皇帝ハドリアヌスの治世について知ってる人なんて、学者とローマ史オタクだけ。  でも、古代ローマ史オタクの俺から言わせてもらえれば、古代ローマってメッチャ面白いんだよ。現代と違うのはテクノロジーだけ。ビンボー人でも5階建ての高層アパートに住んでたし(地震で大変なことになるけど)、パンも食ってたし、ワインも飲んでた(イタリアだし)。サングラスをかけていた皇帝もいた。衣食住へのこだわりも、金銭欲も性欲も、ちょっとでも楽したいという欲望も今となんら変わりがありません。人権思想なんてのもすでに登場してたしね。もっとも「奴隷も人間じゃ」と主張した哲学者のセネカはネロ帝の側近で、大富豪。当然ながら奴隷を搾取してたという建前と本音の人......というのも現代のエライ人々と変わらない。  そんなワケで個人的にはいつかこの古代ローマを舞台にした小説か漫画原作を......と思ってた。歴史大作は、中華モノ以外でも古代ギリシアの『ヒストリエ』(岩明均/講談社)という成功例があるし、全く芽がないわけじゃない。キリスト教が国教になる以前の古代ローマではゲイもバイもごく普通だったわけで、世界最古の小説『サテュリコン』(ペトロニウス)なんか、美青年二人が美少年を取り合いながら、性と飽食と犯罪にまみれていくというオハナシで、なんか、腐女子にもウケそうな気がするぞ。そう言えば『テルマエ・ロマエ』でも美少年との悲恋で知られる皇帝ハドリアヌスの治世で、ルシウスは皇帝との関係を疑われ、奥さんに逃げられちゃったりする。とは言え、よく分からない世界を描いて、なおかつ売れるというのは大難事。そこんところを、お風呂つながりにしちゃったヤマザキマリはエライ。これってお風呂を軸にした比較文化論漫画という読み方もできるし、カルチャーショック・コメディとしても読める。しかも、小栗左多里『ダーリンは外国人』(メディアファクトリー)的な日本人から異文化を見る視点を一回反転させて、異文化側から異文化としての日本を見るという立ち位置なのが秀逸。この操作によって、日本人読者は、日本を「再発見」することができる。  しかし、このルシウスという男、お風呂関係でありさえすれば、銭湯から鄙びた湯治場から果てはお風呂のショールームにまでタイムスリップする。今のところ出没しそうもないお風呂と言えば、オトーサンたちには申し訳ないがソープランドくらいだ。流石にそれはマズイだろう、いくら第一巻の表紙がおちんちん丸出しだとしても(あれは彫刻の模写だからいいのか? 青少年健全育成条例的に)。まあ、ちょっとイロっぽい話としては第2巻の巻頭の第6話で、EDになっちゃったルシウスの遍歴を描くエピソードがある。ちんちんがいっぱい出てきて、それなりにエッチなので、オトーサンたちはお楽しみに。  ルシウスが現代日本のお風呂からどんなアイデアを古代ローマに持ち込むかはネタバレになっちゃうので詳しくは書かないが、建築にかかわる大がかりな施設から、シャンプーハット(これくらいはバラしてもいいか?)みたいなチープなアイデアまでさまざま。それらをどうやって受け止めて、どのように活かすのか? この辺の目の付けところのアホらしさがキモなわけですね。こういうことを思いつくだけでもすばらしい脳回路だと思う。しかも、その発想を該博な古代ローマ史の知識が裏打ちしているのだから鬼に金棒。なんでも、作者の配偶者はその道の専門家らしい。古代ローマの解説ページなんかも用意してあって、本作を読めば、古代ローマの知識もバッチリ。今でも使えそうな金属製の垢すりとか、ちんちんに脚の生えた携帯ストラップにしたいようなおまじないグッズがあったとか、どうでもいいような楽しいネタが満載。「これって比較文化論?」とかめんどくさいことを考えないでも雑学がどんどん頭に入ってくる。できれば読者のみなさんには、偉大なる日本文化の再発見と同時に、旧きを知る教養的楽しみも味わい、できれば古代ローマ史オタクの獣道(けものみち)に踏み込んでいただきたいと思う。  とは言え、地味な漫画であることも確か。大好きな作品にこういうことをいうのもなんだと思うが、どう考えても「いやあ、賞をあげちゃっていいの?」だし、最初に書いたように「こんなに売れるって一体どうなってんの?」なのだ。俺から見れば『テルマエ・ロマエ』は「山椒は小粒でキリリと辛い」ってツウ好みな漫画。雑誌の人気投票で言えば、常に真ん中からやや下くらいに位置していて、「ちょっと変わり種で捨てがたい」って思われてて、舌の肥えた固定客を掴んでいるような漫画だと思う。で、俺みたいな漫画評論家が「発見」して、書評で一回取り上げて、ちょっと話題になる。それがこの作品のベストポジションだと俺は思う。だが、それを時代が許してくれない。「マンガ大賞」は書店員を中心とした有志による選考、「手塚治虫文化賞」は一次選考候補には読者の推薦も含まれる。つまり、漫画に対してアクティブな人々の意志が反映される。近年の両賞の候補作を眺めると、そこに「目立たないけど優れた作品、漫画好きのための少部数雑誌を応援したい」という共通した意識が感じられる。これは逆に言えば、「放っておくと、そういう作品、雑誌が潰れちゃうかも」という危機感の裏返しなのかもしれない。 (文=永山薫) ●永山薫(ながやま・かおる) 1954年、大阪府大東市出身。80年代初期から、エロ雑誌、サブカル誌を中心にライター、作家、漫画原作者、評論家、編集者として活動。1987年、福本義裕名義で書き下ろした長編評論『殺人者の科学』(作品社)で注目を集める。漫画評論家としてはエロ漫画の歴史と内実に切り込んだ『エロマンガ・スタディーズ』(イースト・プレス)、漫画界の現状を取材した『マンガ論争勃発』シリーズ(昼間たかしとの共編著・マイクロマガジン)、『マンガ論争3.0』(n3o)などの著作がある。
テルマエ・ロマエ II12 まさかの大ヒット。 amazon_associate_logo.jpg
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元AV女優ライター・峰なゆかが語る『ヤングくん』は"画力なき浅野いにお"!?

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撮影/石垣星児
 コピー機で自分のチンチンをコピーする。デパートの化粧品売り場で"女の匂い"を思いっきり吸い込む。手のひらのベタつきを気にして女子に触れない......。こんな男子特有の"童貞マインド"がギッシリつまった4コママンガ『ヤングくん』(マガジンハウス)をご存じだろうか?  ムトウマサヤなる人物が描くユルユルなこのマンガ、もともとはマガジンハウスのウェブ媒体で連載されていたものだったが、ツイッターなどでじわじわと人気が広がり、「1,000人にフォローされたら出版」というユルめの企画を乗り越え、このたびめでたく書籍化が実現。そしてこの10月には、作者自ら印税をつぎ込み、マンガ単体としては異例の、ラジオ番組へのスポンサードを自腹で決定、TBSラジオの人気深夜番組『文化系トークラジオLife』にて、「この番組は『ヤングくん』の提供でお送りします」というギャグのような提供アナウンスが読み上げられた。  さて、童貞くささ満開の内容で、冴えない文化系男子たちから熱い支持を集める『ヤングくん』だが、そこに真っ向から噛みついたのが、『文化系トークラジオLife』にも出演経験があり、サブカルチャーに造詣が深い元AV女優ライターの峰なゆかさんだ。 峰なゆか(以下、峰) バカで、エロくて、ちょっぴり切ない脱力系4コマ──。ネット上のレビューなんかを見ると、『ヤングくん』は"童貞マインドをこじらせた思春期マンガ"なんて書いてあって、つまりは"非モテ系"の文脈に位置づけられているわけですが......まったく逆ですね。この本には女心をくすぐるテクニックが満載、完全なる"リア充マンガ"ですから!  う~む。一体どのあたりがモテ系マンガなのだろうか?  とにかくあざといんですよ。なんでこのモテ技を知ってるんだろうって思うくらい。例えば、女の世界には「乾燥機をじっと見ちゃう私アピール」というテクニックがあります。男から「いま何してんの?」的な電話がかかってきた際、「え~、回るもの見てた~」なんて答えると、不思議ちゃんキャラを演出できるわけですね。でも、それをなぜか男のヤングくんがやってるんですよ。これはタダモンじゃありません(笑)。  さらに峰さんは、このマンガの作者・ムトウマサヤについてもこう語る。  一度対談企画でお会いしたんですが、ムトウさんは女にモテそうな人でしたね。こういうシンプルな絵の不条理系マンガを描くのって、だいたいはモテる感じの人なんですよ。まあ、ちょっと方向性は違いますが、『おやすみプンプン』の浅野いにおさんにも近いような。THE・草食男子って感じの。そうそう、ヤングくんって、いうなれば"画力のない浅野いにお"かも(笑)。  いわく、"おしゃれトラウマ"な感じで、たまに哲学ネタとかあって、いかにも"絵本大好きな森ガール"あたりが食いついてきそうな点で、この2者は共通してるのだとか。そして、峰さんの舌鋒は文化系男子の批判へ......。  自分のことを草食だと思ってる文化系男子って、とにかく、傷つくのが怖いから恋愛でもリスクを負って頑張ったりしないじゃないですか。彼らって、そういう「ナイーブな俺」を理解してくれるマンガやアニメにすぐ飛びつきますよね。実際、浅野いにおもヤングくんも文科系男子の心をくすぐりそうなマンガ家さんですが......でも実はこの人たちはモテる側の人間ですから! 草食系男子のみなさん、この人たちに感情移入したって虚しいだけですよ!」  って、峰さん......草食男子に何か恨みでも?  ぶっちゃけ私、草食っぽい男が好みなんですよ。小説とかマンガの話をしながら、ほんわかとサブカルっぽい恋愛がしたいわけです。なのに、向こうは私みたいな巨乳女が嫌い、というか怖いんですよ。ホントはエロいくせに、「俺、そういうの苦手だから」みたいな顔して、性の匂いがしない森ガールとかに行くでしょ。そのせいで、私に寄ってくるのはオラオラな感じの人ばかり!  峰さんの周りに文化系の男子たちは、ひたすら受け身で積極性ゼロ。まったく恋愛に発展する匂いがしないのだそう。  文化系男子たちは、この本に感情移入してる場合じゃないですよ。ヤングくんを見習って、あざといモテ技を学んでほしいですね。とにかく、文化系男子の味方みたいな作家たちは、みんなヤリチンなんです! 癒されるんじゃなく、積極的にテクニックを学ぶ。この姿勢でお願いします!  "モテ本"としてのヤングくん。みなさんもぜひご一読を(笑)。 (文・取材=木元嵐) ヤングくん公式サイト「放課後! ヤングくん部」<http://young-kun.jp/> ヤングくん on Twitter<http://twitter.com/young_kunminenayu121202.jpg ●みね・なゆか 1984年生まれ。元AV女優のフリーライター。得意分野はエロ、文学小説、サブカルマンガ。AV情報サイト「men's NOW」でコラム「はだかのりれきしょ」を連載中。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」にもたまにゲスト出演。ツイッター<http://twitter.com/minenayuka

ヤングくん1 売れたら、「2」もある!? amazon_associate_logo.jpg
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【速報】角川書店に続き、集英社・小学館・講談社もアニメフェアをボイコットへ!

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「東京国際アニメフェア2011」HPより
 マンガ・アニメの表現の自由を奪うとして、日増しに反対の声が強まっている、東京都青少年健全育成条例問題。一時は、立場を変え全面賛成に鞍替えするともされた民主党でも、新・改定案に反対する都議の声は強く、最終的な結論は出せないでいる。  こうした中で12月8日、角川書店の井上伸一郎氏が「都の対応に納得できない」として、東京都が主催する東京国際アニメフェアへの参加を取りやめることをTwitterで表明し、注目を集めた。(参照:井上伸一郎 on Twitter http://twitter.com/hp0128)  角川書店は、関連するアニメ製作会社などにも、参加取りやめを呼びかけているとされ、東京都が開催する国際イベントは、存亡の危機に立たされることになりつつある。  そして本日、東京国際アニメフェアをボイコットする動きが角川書店だけではないことも明らかになった。  新たに態度を表明したのは、角川書店と同じく、多くのアニメ原作コンテンツを所有する、集英社である。
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実際に集英社から10社会に配布された文書
(クリックで拡大表示します)
 出版社で構成されるコミック10社会(集英社、角川書店、小学館、講談社、秋田書店、白泉社、少年画報社、新潮社、双葉社、リイド社で構成)に配布された文書によれば、集英社はアニメフェアには出展していないため、原作を提供しているアニメ製作会社に、出展取りやめを要請したことを表明。既に、小学館・講談社には「おおむねご賛同をいただいている」として、10社会各社にも賛同を求めている。  同時に文書では「石原都知事は、都条例の改正に関しては、たびたび、漫画家及び出版社側との話し合いを一方的に打ち切り、なりふり構わず改正案の成立に突き進んでいます。その一方で、『東京国際アニメフェア』を通じて、漫画やアニメを商業的に利用しようとする東京都に、不信感を、抱かざるを得ません」と、強い非難が記されている。  13日の総務委員会採決、15日本会議採決と、僅かな日々の中で行われるギリギリの攻防。出血も厭わない出版社の態度表明に、東京都は、どう対応するのだろうか?  いずれにせよ、採決のカギを握る「民主党」がこの動きにどう対応するかで、すべては決するだろう。 (取材・文=昼間たかし)
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【関連記事】 再び動き出した「東京都青少年健全育成条例」改定案に民主党も反対しない可能性 青少年課長も「前と言っていることは変わらない」と認める『新・健全育成条例改定案』の中身 取材拒否! 日本ユニセフ協会「児ポ法早期改正を求める署名」に賛同する連合の不見識

Jカルチャーは韓国に"いいとこどり"されている!?  「クール・ジャパン」今後の課題

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アニメ・フェスティバル・アジア2010の様子。
 「クール・ジャパン」のかけ声が、ますますかまびすしい昨今。6月には、日本政府が、日本文化の輸出を促進する「クール・ジャパン推進体制」を整備し、2020年には、アジア市場でのコンテンツ収入1兆円を目指すという、ジャパニーズ・ポップカルチャーのアジアへの拡大路線を発表したばかりだ。  去る11月13・14日、シンガポールで、東南アジア最大規模のジャパニーズ・アニメとポップカルチャーの祭典「アニメ・フェスティバル・アジア2010(AFAX)」が開催された。会場のサンテック・コンベンション・センターでは、アニソンのコンサートやフォーラムが行われるステージエリアと、物販や小規模なイベントが行われるフェルティバルホールが設置された。開催3年目を迎えて認知度を増し、また、開催直前にAKB48の東南アジア初のコンサートが決定するという話題も加え、シンガポールだけでなく、インドネシアやタイ、マレーシアなど、近隣の東南アジア諸国から、7万人ものファンやコスプレーヤーたちが集結した。
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会場には多数のコスプレイヤーたちの姿が。
 イベント開催前日(11月12日)には「クール・ジャパン・フォーラム」が行われた。日本のエンタテインメント・ブランドやコンテンツがどのように開発され、市場を作り、成功したか、その経験をシェアし、今後のアジアのコンテンツ産業の発展や、日本−アジア間のコラボレーションを推進する、アジア・コンテンツ・ビジネスの新しい「プラットフォーム」にしようというもくろみだ。  世界的な"カリスマ・オタク"、ダニー・チュー氏の総合司会で進行され、中西豪氏(キングレコード プロデューサー)、大浜史太郎氏(東京ガールズコレクション実行委員長)、秋元康氏(放送作家、AKB48プロデューサー)、杉山恒太郎氏(電通取締役)、高柳大輔氏(経済産業省商務情報政策局)など、アニメ、ファッション、エンタテインメント各分野のリーダーたちからのプレゼンテーションに、ビジネスのヒントを掴もうと会場に集まった来場者たちが身を乗り出して聞き入る姿が印象的だった。  しかし、こうした日本側からの意図的な「クール・ジャパン」施策よりもずっと昔から、ジャパニーズ・ポップカルチャーがアジアに与えて来た影響は、恐らく日本人の予想を遥かに越えたものとなっている。
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クール・ジャパン・フォーラムの様子。
 AFAXと連動する形で、11月11〜13日の3日間に渡り、日本ASEANセンター主催の「コンテンツ産業のための日本ASEANフォーラム:ポップカルチャーのフュージョン」が開かれ、日本とASEAN10カ国の代表がコンテンツ産業とポップカルチャーの現状と課題を共有する機会を有した。  ASEAN各国は、10~20代が人口の大多数を占める若いエリア。インターネットとFacebookで情報を得、コミュニケーションするデジタルエイジが、2000年以降のポップ・カルチャーシーンを牽引している。  それぞれの地理的、歴史的背景によるコンテンツ産業への取り組みや、インターネット環境などのインフラ整備の段階には、国によって違いは見られるものの、過去30年ほどの、日本を含めた他国からのカルチャーの入り方と時期は、驚くほど似通っている。  まず70~80年代には、アニメ、テレビ番組を中心としたジャパニーズ・ポップカルチャーが当時の子どもたちを熱狂させ、90年代に入るとそれが音楽(Jポップ)に広がり、ファッションやライフスタイルにまで影響を及ぼすようになる。今の30〜40代世代のほとんどがJカルチャーをごく自然に享受し、自分の一部として消化している。彼らにとっては、ジャパニーズ・ポップカルチャーは、「日本から来たもの」というよりも、もはや国を越えた共通言語なのだ。  ところが、自国のコンテンツの影響力を見落とし、市場の世代交代の対応に遅れたJカルチャーは、2000年以降、Kカルチャーの、国をあげての追撃に、ビジネス的には完全にお株を取られることになる。韓国は10~20代をメインターゲットとし、彼らの消費欲に合わせたコンテンツ(テレビ番組、映画、ファッション、コスメ、IT製品、オンラインゲームなどなど)にいち早くギアチェンジ。輸出規制を緩和し、自国のコンテンツをアジア市場にプッシュする、アグレッシブなマーケティングを行ったのだ。 Jカルチャーが今もかろうじてその"クールさ"を保持しているのは、コミックとアニメと食(ラーメン、トンカツ、寿司、日本茶など)のみとは......。つまり、日本で生まれたポップカルチャーは、事実上、韓国によって究極の「いいとこどり」を施され、商業化、市場化された、というのが、東南アジアのコンテンツ産業やクリエイティブ産業に関わる人たちに共通した認識なのだ。
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ASEANフォーラムの様子。
 今後は、ASEANの、あるいはその国独自のカルチャー・コンテンツを育てていくことが必須の課題となってくる。そのときのパートナーとして、日本がどのような役割を果たしていけるか。会議の参加者からは、日本のクリエイティビティに大きな信頼と期待を寄せる声が多く聞かれた。 これにシンクロするように、前述の「クール・ジャパン・フォーラム」で、杉山氏の述べた「クール・ジャパンは、歴史とモダンのシナジーである」という言葉は、「国のキャラクターを損なわずに、世界に通用するコンテンツを育てるにはどうすればいいのか?」と疑問を呈していた参加者にとってはズバリの回答になっただろうし、他のプレゼンターたちからも「日本からの一方的な発信ではなく、カルチャーを相互理解した上で、新しい市場を作っていくべき」という提案が、言葉を変えて繰り返された。  2020年には、東南アジアの富裕層の人口は3.9億に達するという予測もある。この巨大な市場を魅了していくためには、経済的な側面だけで捉えるのではなく、何よりも文化的(アジア人の心の根っこの部分)な面での共感を得、新しい世代に向けた"アジア発のポップカルチャー"を一緒に作り上げていくという気概こそが重要なのではないだろうか。 (取材・文=中西多香[ASHU]) ●「アニメ・フェスティバル・アジア2010」 < http://www.animefestival.asia/> ●実際にジャパニーズ・ポップカルチャーの影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエイターたちへのインタビューは、こちら
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青少年課長も「前と言っていることは変わらない」と認める『新・健全育成条例改定案』の中身

 先週から一部のマスコミが報じていた東京都青少年健全育成条例改定案の全文が11月22日、明らかになった。「非実在青少年」の言葉を削除され一見、大幅に内容を改めたように見えるため、"賛成に回る都議も増えるのではないか"と出版界からは懸念の声が挙がっている。  今回の条例案でまず注目すべきは、規制対象とされる「基準」の部分だ。今回の条例案では「非実在青少年」などの描写を削除し、次のように記す。
漫画、アニメーション、その他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為等を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。
 現状の「不健全図書」指定制度に加えて、新たなものを付け加える必要の是非は、ひとまず置いておいて、よく分からないのは、どうしたら「不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現する」ものだと判断されるのだろうか? 「あくまで、不健全図書にあたるかを決めるのは青少年健全育成審議会ですが、子どもとヤってイッてしまう描写などが、不当に賛美するものにあたると考えています」  と、話すのは東京都の櫻井美香青少年課課長。 櫻井氏は、不当な描写に当たるか否かは「作品の全体を見て判断するもの」だと話す。  作品全体を見て判断するというのであれば、作品の文脈にまで踏み込んで規制することになるのではないか。  ところが、櫻井氏はあくまでも「内容の規制ではなく描写の規制です」と説明する。  たとえば、漫画で書かれたキャラクターが、18歳未満のキャラクターであるか、性交している男女が近親にあたるかは、セリフやナレーションなどの文字を読んでいかなければ分からない。  だが、櫻井氏の見解では「描写=画像+セリフ」であり、内容規制ではないのだという。  それでは、古典文学の名作『源氏物語』はどうだろう。よく知られているとおり、現在では触法するような性描写を数多く含んでいるし、幾度も漫画化されているのだが......。 「それも描写の内容によります。『源氏物語』の原作には、葵の上とヤッたとか明確に書かれているわけではない。それを、もし性器が露出していないにしても、微に入り細に入り描写したとすれば、それは単に『源氏物語』の呈を借りているだけのものと、判断されるでしょう。もちろん、個別の作品を読んでみなければわかりませんが......」(櫻井課長)  櫻井課長は今回の条例案は「非実在青少年」問題で紛糾した前回と「言っていることは変わらない」ものだとも話す。 「前回の条例案は年齢などが描いてあるものの、どういった行為が当てはまるのか明確ではなかった。そこで今回の条例案では、施行規則で定める予定だったものを含めた形になっているんです」(櫻井課長)  ようやく明らかになった条例案だが、前回は反対に回った民主党の足並みが揃っていないという。 「(前回、反対に回った)民主党の都議は"エロ議員"と呼ばれて批判されているという話もある」(事情通)  民主党内部で、反対に回ることを恐れさせている原因は、来年の都知事選にまで問題がもつれ込むこと。一部の議員は候補者が批判される材料になると懸念を抱いているのだという。  今回の条例案には、前回と変わらず漫画やアニメに影響を及ぼす可能性のある部分以外でも、さまざまな問題点が見て取れる。賛否をめぐって熱くなる前に、まずは冷静に条文に目を通していくべきであろう。 (取材・文=昼間たかし)
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