AKB48がアニメになる!? 何ソレ? 今時「ピンクレディー物語 栄光の天使たち」デスカ! と思わずプチ切れたナガヤマです。 というのは冗談として、アニメ化するなら週マガで連載中の『AKB49~恋愛禁止条例~』(漫画:宮島礼吏、原作:元麻布ファクトリー・講談社)でしょう! と思ったのは俺だけではない(Twitterでつぶやいたら2~3人の賛同者がいた)。『AKB49~恋愛禁止条例~』ならば、選抜9人(アニメ48はメンバーからオーディションで声優を選ぶらしい)なんてケチなことは言わない。中心メンバーが次々とそれぞれの個性を活かした美味しい役で出てくるからだ。秋元康は何故、俺に相談しにこない(当たり前か)。 正直な話、最初の頃は『AKB49』なんて鼻で笑っていた。おいおい今時タイアップかよ。前世紀の「週刊明星」かよ。ピンクレディー物語かよ(しつこい)。 芸能界ものってツマンネェのが相場。唯一の例外が『シャイニング娘。』(師走の翁、ヒット出版社)だ。あれは面白いし、抜けるし、ファンとアイドルの共感幻想、共犯関係まで踏み込んだ傑作だ。成年コミックなので、お子様たちは18歳になったら読むといい。きっと一皮剥けるぞ。 というノリだったのに、なんとなく読んでるうちに、だんだん、面白くなってきたのである。 最近の男性向けマンガ誌。特にヤング○○系の雑誌の表紙とグラビアに注目すれば、AKB48の露出度が異常に高いことに気づくだろう。 いや、こないだ見たのはNotYetとかいうグループだったぜというオトーサン、それもAKBのユニットですから。 単体で、ユニットで、NMB48みたいな地方バージョンとかYN7とかYJ7とか雑誌企画のユニットとかAKB48にあらずんばアイドルにあらずという世界。しかも、総選挙だの、ジャンケン大会だので、人気(露出度とプレゼン力に左右される)と運という芸能界の力関係を透明化してしまうという面白さも。 おかげさまで全く興味がなかったはずなのに、いつの間にかものすごく気になっているのだ。 洗脳力がタダゴトではない。 どのくらいタダゴトでないのかといえば、先日とあるコンテンツ系のシンポジウムに潜り込んだらパネラーの先生が何を語っても最後がAKB48の分析になってしまって頭を抱えていたが、プロのメディア研究者が「ミイラ取りがミイラになる」くらいタダゴトではないのである。 もちろん、いい歳ぶっこいたオッサンである俺様がこともあろうに『AKB49』を面白く読めるようになったも、洗脳の賜物であろう。 「特定の情報を集中的に与えられた脳は否応なしに、その情報のレセプターを発達させ、脳内辞書(データベース)を充実させていく」 というのが俺の持論だ。大昔、中森明菜をネタに記事(「自宅でできる芸能レポーター」みたいなネタ記事)を書こうとずーっと調べたり、歌番組を見てるうちにホントに好きになって困ったことから思いついた仮説である。 ただ、そうした洗脳分をさっ引いても良くできた面白い漫画であることは保証しよう。 どんな漫画が全然説明してなかったので、ざっくり説明する。 同級生の女の子がAKBに憧れてて、オーディションを受けるってんで、応援してやろうと女装してオーディションに混ざっちゃったら自分も合格しちゃって、男のなのにAKBの研究生! というお話。 実際にAKB48の研究生になるには、それなりの手続があるはずだし、いくら女顔だって無理のある設定だが、そこはまあドリームということだ。 さっさと逃げればいいのに、主人公・浦山実は片想いの吉永寛子を見守るため、研究生・浦川みのりとして、ムリヤリな二重生活に突入する。 コミカルな要素はあるがコメディではない。ラブコメではあるが、キモはそこにはない。 吉永寛子をサポートするという理由は、男の子をAKB48に入れるための作られた必然でしかない。そもそも同性の「みのり」は寛子の恋愛対象たりえない。2人の間に友情は育っても、最初から「恋愛」の門は閉ざされている。「実=みのり」も当初の目的は堅持しつつも、研究生である自分にハマッていく。AKB48のすごさに痺れ、他の研究生との仲間意識とライヴァル意識が芽生え、チームの一員として、いやそれどころか、先輩方から見れば新世代リーダーと目されるほどの存在になっていく。 秋元康の理不尽とも言える試練、即ち「期限までにチケット1万円の研究生講演を満員にできないと全員クビ」とか、最近だと、みのりたちのユニット「GEKOKU嬢」を1カ月間工事現場で働かせたりとかの無理難題や、公演中の事故、急病、寛子の親バレなどなどを乗り越えて、みのりと研究生たちは成長を遂げる。 これは作画担当の宮島礼吏も認めるようにスポ根ものである。 元々芸能界は体育会体質だからスポ根的文脈に違和感はない。厳しい監督・コーチ(秋元康)がいて、厳しいけど優しい先輩(AKB48の正規メンバーたち)がいて、試練と成長と団結がある。 しかも、虚構のAKB48の美化が巧妙に行われている。単純に「可愛くて、根性があって」ではなく、ネガティブな部分も折り込んで美談に換える。例えば秋元才加の過去のゴシップも、「いくら謝っても謝りきれない」と練習に打ち込む才加の描写で昇華される。 リアルのAKB48をベースにした虚構のAKB48、すなわち漫画のキャラとして自立したAKB48はリアルよりも魅力的だ。 元麻布ファクトリーの虚実のコントロールが効いた脚本は見事だし、さらにその背後でGOサインを出しているあろうリアル秋元康の黒幕感も流石だと思う。 では、主人公は女装少年ではなく、弱いくせに一本筋が通っていて実は根性がある古典的なヒロインである寛子でもいいではないか? 『ガラスの仮面』アイドル・バージョンでいいじゃないか? なんでわざわざ女装なのか? もちろん、アイドル志願の女の子がヒロインでも、飛ぶ鳥を落とす勢いのAKB48である。それなりにアンケートは稼げただろう。 だが、寛子では週刊少年マガジンの想定する男子読者にとっては自己投影の度合いが低くなる。 本当は男である「浦川みのり」というアイドル候補生を置くことによって自己投影はたやすくなる。しかも「みのり」は女性っぽくふるまおうとはしない。ガサツだし、言葉遣いも「浦山実」と大差ない。ノリもまさに部活の新人なのだ。 ここでは、例えば『プラナスガール』のような男の娘漫画的な感覚、つまり異性装のエロチックな愉しみ、女装者に自己投影する倒錯的な快楽はない。 キモはあくまでもAKB48を魅力的に演出することに尽きる。 みのりは「研究生=未来の正規メンバー」に読者が自己投影し、最終的にはリアルAKB48と自己同一化とまでは行かなくとも、きわめて近しい位置にいるという幻想を持たせるための回路なのである。 すでに忘れられているかもしれないが、第1巻のプロローグでは近未来にビートルズを超え、世界的スターとなったAKB48の姿が描かれている。 しかし、そこには浦川みのりの姿はない。「あなたは知っているだろうか、彗星の如く現れ、彼女たちを世界のスターダムへと押し上げた 伝説の49人目......"神に推された"メンバーがいたことを──」と書かれている。 身も蓋もなく言ってしまえば、世界進出しようにも浦川みのりは正体をバラさないかぎりパスポートを取れないからだが、そうでもなくても、この作品を成功させ、リアルAKB48の人気に寄与することができれば回路の役目は終わる。 どこかで浦川みのりは消失しなければならない。 それを考えるとちょっと切なくなる俺は、かなり洗脳の度合いが進んでいるのだろう。困ったことだが。 (文=永山薫) ●永山薫(ながやま・かおる) 1954年、大阪府大東市出身。80年代初期から、エロ雑誌、サブカル誌を中心にライター、作家、漫画原作者、評論家、編集者として活動。1987年、福本義裕名義で書き下ろした長編評論『殺人者の科学』(作品社)で注目を集める。漫画評論家としてはエロ漫画の歴史と内実に切り込んだ『エロマンガ・スタディーズ』(イースト・プレス)、漫画界の現状を取材した編著『マンガ論争勃発』シリーズ(マイクロマガジン)があり。現在は雑誌『マンガ論争』(n3o)共同編集人、漫画系ニュースサイト『Comics OH』(http://oh-news.net/comic/)編集長を務める。『AKB49~恋愛禁止条例~(4)』講談社
「29」タグアーカイブ
巨大資本・文教堂の参入で激化する同人誌書店のシェア争いの行方
巨大資本の参入で、オタク産業の一角を担う同人誌書店に業界再編の兆しが見え始めている。かつては同人誌即売会でなければ手に入らなかったマンガ・アニメ等の同人誌を、いつでも気軽に買えるものへと変貌させた、同人誌書店。果たして生存競争に勝利するのは、どの書店なのか。
オタクの街、秋葉原。そこには「コミックとらのあな」「COMIC ZIN」「アニメイト」「メロンブックス」などいくつもの店舗が軒を連ねている。これらの書店が、同人誌市場を巨大化させる一翼を担ってきたことは、いうまでもない。
このマーケットに新たに参入を決めたのが、大手新刊書店チェーンの「文教堂」だ。文教堂は、大日本印刷の連結子会社で、首都圏を中心に182店舗(2010年8月時点)の書店を運営する日本最大規模の書店チェーンだ。近年では、新刊書籍の販売だけでなく、一部の書籍を対象に税抜き定価の3割で買い取り、ネット販売する新古書販売事業にも参入し注目を集めている。
現在は、販売を委託してくれる同人誌を募っている段階で、当面は9月24日に1号店がオープンした専門店「アニメガ」での取り扱いがメインだが、徐々に取扱店を増やしていく予定だという。今後、同人誌を取り扱う店舗数が増加すれば、同人誌を購入できる書店が、一気に増加していくことになる。
もうひとつ、業界での大きな話題が、今月、「アニメイト」と関係の深い同人誌書店「らしんばん」が秋葉原に進出したことだ。長らく秋葉原に店舗を持たなかった同社が、秋葉原に進出した背景には、さまざまな憶測が流れている。「アニメイト」はグループ会社や関連企業も含めれば、同人誌の取り扱いだけでなく、版権管理やキャラクターグッズの製作、映像や音楽の製作、出版も行うオタク業界の巨大企業だ。今年6月には神保町の大型新刊書店「書泉ブックマート」などを運営する「株式会社書泉」も傘下に収めている。新店舗のオープンと並行して、新たな買収で更なる体制強化を図っているとの見方もある。
こうした競争激化の中で、一部の同人誌書店は人気のある同人漫画家の囲い込みに躍起になっているという話も聞こえてくる。囲い込みとは、文字通り人気作家の同人誌を即売会後に自店舗だけの専売にすること。どの同人誌書店も、売り上げを確保する最良の手段としているようだが、その中である大手同人誌書店の「失敗」が秋葉原の同人誌書店関係者の中では語り草になっている。
「最近、秋葉原でも古参の大手同人誌書店が、同人誌の専売を断った漫画家に対して、その漫画家の商業出版された作品が入荷した際に、即日返品する"報復"を行う事件が起こった。当然、ひんしゅくを買う結果に終わってしまい、ほかの漫画家も"そんなところには販売委託できない"と、離れつつある」(ある同人誌書店員)
あえて名前は伏せるが、この話題に上がった店舗は、創業者である社長が大学などでも積極的に講演を行ったりしている、本当の意味での「古参」だ。にも関わらず「報復」が他社を潤す結果に終わるだけだと見通せなかった理由は謎だ。この書店、新刊書籍の取り扱いも行っているのだが、店頭を覗いてみると既刊の補充が十分に行われていないのが目につき(1巻があるのに、2巻がなくて3巻がある)、組織自体が、なんらかの問題を抱えていることを窺わせる。通販で売り上げを確保しているかもしれないが、供給源である漫画家から忌避されるような同人誌書店に、果たして未来はあるのだろうか。
いずれにせよ、同人誌市場のシェア争いは、大手の参入によって新たな段階に入ったといえるだろう。巨大化したとはいえ、同人誌市場は、日本のコンテンツ産業全体からすれば、僅かな部分を占めているに過ぎない。巨大化した同人誌書店同士の競争が、市場を拡大することになるのだろうか。そもそも、書店で手軽に購入できる物が「同人誌」なのかは、甚だ疑問だが。
(取材・文=昼間たかし)

【関連記事】
「制作会社に採用されなくてよかった」原作者・竜騎士07の挫折と下克上
「コミケ発禁即売会」を掲げたイベントの実態は自主制作エロ画像販売会だった!!
"恋人たちの祭典?"「ラブプラス」同人誌即売会潜入レポ
同人誌やイラストの美しいデザイン100―レイアウトの基本から配色、文字組みまで もはや無視できないマーケット。
「分裂の危機を回避していきたい」ノイタミナ山本PがTAF問題に言及

東京都青少年健全育成条例(以下、都条例)改正に伴い、これに反発するコミック10社会が参加を取り止め、開催が危ぶまれていた東京国際アニメフェア(以下、TAF)2011だが、最終的には東日本大震災の影響により中止となった。TAFと同日に開催予定だったアニメコンテンツエキスポも中止となり、以後、この分裂状態は解消されていない。
イベントそのものが中止になってしまったため、TAF2011内で実施を予定していた「第10回 東京アニメアワードコンペティション」(以下、アニメアワード)の表彰式と「第7回 功労賞」の顕彰式も延期になっていたが、その式が10月10日、東京ビッグサイトで行われた。
この会場で一歩踏み込んだ勇気ある発言をしたのが、"ノイタミナ"の山本幸治プロデューサー(株式会社フジテレビジョンクリエイティブ事業局映像コンテンツ事業部)だった。ノミネート作品 テレビ部門 優秀作品賞に『四畳半神話大系』が選ばれ、受賞に際してコメントを発したときのことである。
「ノイタミナという放送枠を、もう7年くらいやっているんですが、『四畳半神話大系』という作品と湯浅政明という監督は圧倒的に個性的な人、作品でした。まさか、『ガンダム』(機動戦士ガンダムUC)や『けいおん!!』(2期)に並んで賞がいただけるとは思っていなかったですし、そんなアヴァンギャルドな作品に賞をくれるTAFのアワード、素敵じゃないか、と思っております。
ここからは個人的な話になるんですが、そんな作品やクリエイターを公に評価する、していただける場はなかなかありません。とても貴重な場だと思っておりますが、一連の都条例問題以降のゴタゴタは非常に残念で、力を合わせて、先ほど個人のクリエイターの方のおっしゃってきたように、"日本を元気にする"ため、分裂の危機を回避していきたいと思っております。我々も頑張ります」
公募作品で世界のクリエイターを、ノミネート作品で"アヴァンギャルド"なプロの制作者を、功労賞で道を切り拓いてきた先達を称え、あるいは奨励するアニメアワードは、山本プロデューサーがいうように貴重な場であることは間違いない。
今回、OVA部門では『機動戦士ガンダムUC』が優秀作品賞に輝いているが、同作品の小形尚弘プロデューサーが「なかなかこういった賞とはご縁のないロボットアニメなんですが、こだわりを持ってこれからも作っていきたい」と言うように、賞レース向きではないジャンルアニメに対しても優れた作品であればフェアに評価するという面を持っている。
しかし、それも片肺飛行では意義を失いかねない。TAF2012は来年3月22日から東京ビッグサイトで開催が決まっている。一方、アニメコンテンツエキスポに2回目があるかは未定だ。
統合か、それとも分裂か。あるいは片肺のままTAFだけが開催されるのか。この問題を決着させないとすっきりしない。いつまでも震災でうやむやにしておくわけにもいくまい。
功労賞の顕彰式は素晴らしかった。やはり長い人生を歩んできた人々の言葉は重く、そして深い。
『キューティーハニー』『魔女っ子メグちゃん』『ベルサイユのばら』『聖闘士星矢』で知られるアニメーター荒木伸吾のコメントに込められた思いは多くの制作者に共通するところかもしれない。
「私は約45年間アニメーションの原画を描いてきましたが、その中で自分が一番よかったなと思うのは、アニメを見て育った子どもたちが、私の絵を通して物語の中から素晴らしいものを夢描いてくれたことです。今になって本当に、アニメーションの原画を真剣に描いてきたことを、誇りに思います。アニメーターというのは非常に地味な存在で、でも一番肝心なところを受け持っている絵描きたちです。その人たちが、アニメーションの難しさの中で進んでいくには、目標が必要です。その目標を見失わないように、初めは苦しいんですが、目標に向かって自分を励ましながら描いていってほしいと、後輩たちに言いたいです。
私はこれからもアニメーションや漫画を描いて、その中から、自分としてここまでやってきたんだと、満足できるところまで......手が震えていますが(苦笑)、なんとか自分を励ましながらやっていきたいと思います。今日は本当に私だけじゃなく、アニメーターを代表してこの賞をいただいていきます」

冨永みーなが永井一郎に顕彰状を渡す。
今回は『サザエさん』の加藤みどり(フグ田サザエ役)、永井一郎(磯野波平役)、麻生美代子(磯野フネ役)、貴家堂子(フグ田タラオ役)が顕彰されている。サザエの弟、三代目磯野カツオ役を演じる冨永みーながサプライズゲストのプレゼンターとして呼ばれ、顕彰状を授与する際には、「ねえさん」である加藤みどりから笑いが漏れた。
日本の本格的な商業アニメには『鉄腕アトム』から数えて既に50年近い歴史がある。最大級の地震、津波、原発事故に襲われたことしがほぼ世紀の折り返し地点。ここからアニメをどうしていくのか。課題が突きつけられている。
受賞者と受賞作品は以下の通り。
◆アニメアワード《公募作品》/応募396作品
公募作品グランプリ 『Trois Petits Points』(フランス)
一般部門 優秀作品賞 『Thought of You』(アメリカ合衆国)『フルーティー侍』(日本)
学生部門 優秀作品賞 『HONG』(中国)『MOBILE』(ドイツ)
特別賞 『くちゃお』(日本)
企業賞 東京ビッグサイト賞 『SWING』(台湾)
CortoonsItalia 2011 『CHILDREN』(日本)
入選 『farm music』(日本)『ユートピアン』(日本)
◆アニメアワード《ノミネート作品》/415作品
アニメーション オブ ザ イヤー 『借りぐらしのアリエッティ』
テレビ部門 優秀作品賞 『けいおん!!』『四畳半神話大系』
国内劇場映画部門 優秀作品賞 『借りぐらしのアリエッティ』
海外劇場映画部門 優秀作品賞 『トイ・ストーリー3』
OVA部門 優秀作品賞 『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』
個人部門
監督賞:米林宏昌『借りぐらしのアリエッティ』、脚本賞:丸尾みほ『カラフル』、美術賞:武重洋二/吉田昇『借りぐらしのアリエッティ』、キャラクターデザイン賞:馬越嘉彦『ハートキャッチプリキュア!』、声優賞:豊崎愛生『けいおん!!』、音楽賞:CECIL CORBEL『借りぐらしのアリエッティ』
◆第7回 功労賞
有賀健、荒木伸吾、小隅黎、勝間田具治、浦田又治、雪室俊一、神原広巳、千蔵豊、加藤みどり、永井一郎、麻生美代子、貴家堂子
(取材・文・写真=後藤勝)
とことんブレない! 幕末でもヤンキー! おまけに下品~加瀬あつし『ばくだん! 幕末男子』~

『ばくだん! 幕末男子 1』(講談社)
マンガ評論家・永山薫のコミックレビュー。連載第5回は加瀬あつし『ばくだん! 幕末男子』です!
最近やたらと目につくのがタイムスリップ物だ。
例えば漫画好きの間で評価が高い『信長協奏曲』(石井あゆみ)は成績の悪い(つまり歴史の知識が皆無)高校生が信長になっちゃうって話だ。
かつて『ジパング』において、イージス艦をミッドウェイ海戦直前の太平洋上に送ったかわぐちかいじの最新作は、ビートルズのコピーバンドがビートルズがデビュー前の日本にタイムスリップしてビートルズに成り代わっちゃう『僕はビートルズ』(原作・藤井哲夫)だ。かわぐちかいじってタイムスリップ好きだよねえ。他にも、『モテキ』の久保ミツロウの新作は3年前の自分にミニマム・スリップする『アゲイン!!』だし、6月に完結した『夢幻の軍艦大和』(本そういち)もそうだ。高校生が三国志の時代に......の『龍狼伝』『龍狼伝 中原繚乱編』(山原義人)も順調に巻数を増やしている。記憶に新しいところでは現代の医師が幕末に行っちゃう『JIN-仁-』(村上もとか)はドラマ化もされちゃう大ヒットだ。イチイチ挙げ始めるとキリがない。
こうしたタイムスリップ物のキモは、「あのとき、ああじゃなくこうしてたら歴史は変わったかもなあ?」、あるいは「歴史の教科書ではこうなってるけど実は......だったら面白いのに」って、歴史の授業の間につい余計なファンタジーに逃げる中高生的な発想だ。
まあ、普通のボンクラな高校生はそうした空想や妄想を「ははっ、ありえねぇ」と忘却して立派なボンクラ大学生やボンクラ社会人になるわけだが、まかり間違って漫画家になっちゃった場合、「おおっ、あのときの空想、使えるかも」となるワケですね。
この秋、俺が推薦したいタイムスリップ物を発表しよう。それが加瀬あつしの『ばくだん! 幕末男子』だ!
作者本人は『ばくだん!』のあとがきで、「幕末版『カメレオン』」と言い切っちゃてる。オールドファンならば「おおっ、そうか、分かった!」だろうが、イマドキの読者は分からない。だって、20世紀の漫画だもん。どんな作風なのか知りたければ漫喫なりなんなりで過去作を読めばいいんだけど、それすら面倒というアナタはトットとアンチョコを見るべしだ。
「一見典型的なダメ男である主人公が、類まれなる奇跡的な幸運と個性的な仲間の助け、そして本人の努力によって成り上がっていく展開が多い」(Wikipedia)
とWikiさんがサクッとまとめている通りだ。キーワードは「ヘタレ/ヤンキー/成り上がり/強運/下品/卑怯/憎めないバカ」で、『ばくだん!』も、そのまんまです。
主人公のマコちんことマコトこと安達真琴は転校デビューを狙うヘタレヤンキー。体の前面には無数の傷があり、それを看板にしているが、それも実は前の学校でのリンチの痕。タバコの火でも押しつけられたのかと思いきや、上半身裸にされて体に豆を撒かれ、周囲で「はとぽっぽ」を歌いながら、鳩についばませるという、底辺校ヤンキーの発想とはとても思えない創造性に富んだというか、よほど暇でないと思いつかないようなバカなリンチである。もちろん鳩山元首相への諷刺なんて含意はない。そんな下らないリンチを俺が受けたとしたら、一生モンのトラウマですよ。
でもマコちんは俺のような繊細なインテリじゃなくって、バカでお調子者でスケベという、どうしようもないダメ人間。あくまでもヤンキーをやめないし、主人公になりたい願望は人一倍だ。そんな大バカ野郎が、修学旅行先の京都で自分の肖像が印刷された千円札を拾ってしまう。チャチなオモチャではない。偽札? 悪戯? それとも、主役願望が天に通じてのお告げ?
「歴史に名を残せとでも......?」
かくしてその謎の千円札に導かれるままに(とゆーか他校の不良に追われて)、巻き添え食った幕女(歴女の中でも幕末ラブの女子)である高階蓮(たかしなれん)とともに、三条大橋から幕末の風雲渦巻く京へとタイムスリップしてしまうのだ。
スカジャン&ボンタン姿のマコトは到着早々、「異人かぶれの奸物」として攘夷浪士に天誅されそうになっちゃうのだが、ここでも「類まれなる奇跡的な幸運」に守られて、新選組局長・近藤勇の登場です。ここからが「類まれなる奇跡的な幸運」の乱れ打ち! 近藤勇に命を救われたくせに、ソッコーで裏切ろうとするマコトくんだが、本人の計略が裏目に出て、近藤の命を救ってしまい、一目置かれる存在になってしまい、ついには新選組の隊士になってしまうのだ。そんなメッキがすぐ剥げるのが普通の漫画。「そんなバカな!?」的奇跡の連続で、沖田総司との手合わせも、土方歳三から暗殺指令を受けた斎藤一の凶刃からも逃れてしまうのである。これってどこまで続く綱渡り? 謎の千円札によって将来の大人物になることは担保されている。後世、千円札の肖像画になるとなれば、伊藤博文に代表されるが如く、維新の元勲、つまり勝ち組でないと話にならない。ということは、マコト君の作る未来とは幕府側勝ち組の世界か、途中で寝返るかのどちらかだろう。と思ってたら、加瀬あつしは甘くない。問題の千円札は肖像が薄くなったり、全然別の図柄になったりしてくれる。つまり、必ずしも確定された未来を指し示しているわけではないのだ。マコト君はこのまま新選組で成り上がっていくのか? 土方歳三との確執は? 今のところ活躍していないが、物語の鍵を握ってそうな男装の女剣士・山南敬助と幕女の蓮がどう動くのか?
歴史に「IF」を挿入するのがタイムスリップ物の見せ場だが、これだけ「IF」だらけというのも珍しい。どう考えてもとんでもない「歴史」が描かれることになるのは間違いない。現代のヤンキーは歴史を作ったりできないが、幕末ならば活躍の余地がある。可能な限り、バカで下品でぶっ飛んだ歴史改変に挑んでいただきたい。
しかし、一番スゲェのは加瀬あつしのブレなさである。いや、ブレないにも程がある! マコト君どころか、新選組の面々も攘夷派の連中も、ほぼ全員がヤンキーという時代劇コスプレ・ヤンキー漫画だし、どーしよーもなく無理やりなオヤジダジャレも、やたらチンポをおっ立てる下品さも健在なり。本気になったオッサンのパワーにひれ伏せ!
(文=永山薫)
●ながやま・かおる
1954年、大阪府大東市出身。80年代初期から、エロ雑誌、サブカル誌を中心にライター、作家、漫画原作者、評論家、編集者として活動。1987年、福本義裕名義で書き下ろした長編評論『殺人者の科学』(作品社)で注目を集める。漫画評論家としてはエロ漫画の歴史と内実に切り込んだ『エロマンガ・スタディーズ』(イースト・プレス)、漫画界の現状を取材した『マンガ論争勃発』シリーズ(昼間たかしとの共編著・マイクロマガジン)、『マンガ論争3.0』(n3o)などの著作がある。
ばくだん!~幕末男子~(1) どうなる、マコちん!
■【コミック怪読流】バックナンバー 【第4回】人気はSNSのお陰? これからが勝負の絶望的活劇漫画~諫山創『進撃の巨人』~ 【第3回】小さく産まれて大きく育った、お風呂漫画~ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』~ 【第2回】ホラー少女が鈍感力でライバルをなぎ倒す~椎名軽穂『君に届け』~ 【第1回】いっそゾンビな世の中に──花沢健吾『アイアムアヒーロー』
知る人ぞ知る、国民的人気漫画!? 藤子不二雄の下世話パロディー『ブッチュくん全百科』

『ブッチュくん全百科』(講談社)
ご存じ、阿蘇子元夫と不死本浩のコンビからなる漫画家・無事故無事雄(むじこぶじお)先生の代表作『ブッチュくん』。宇宙船の故障で地球にやってきて、ヨン太くんの家に居候しているドスケベ宇宙人・ブッチュくんが、小脇に抱えた4次元ポシェットから秘密道具を取り出して、みんなの夢と性的欲求をかなえてくれるユカイでエロスな漫画だ。全22巻の漫画単行本は総売上部数なんと8,000万部! テレビアニメや映画版も絶好調と、今や国民的人気漫画としての地位を不動のものとしている。
......って、そんな漫画知らねーよ。オレの気づかないところで、そんなヒット作が生まれていたとは! ニートで引きこもりなオレだけど、漫画だけにはちょいと詳しいと思ってたのに。悔しいのう、悔しいのう! ......なんてショックを受けている人もご安心を。この『ブッチュくん』は、『バカドリル』(扶桑社)などで知られる天久聖一&タナカカツキが生み出した架空の漫画なのだ。まあ、ほとんどの漫画は架空のお話を描いているもんだが、『ブッチュくん』に関しては漫画の存在自体が架空。どの雑誌にも連載していないし、単行本も全ゼロ巻。もちろんアニメもやってるわけない。
現実にいない女の子の設定を考えてアイドルとして売り出すバーチャル・アイドルというのは、古くは『伊集院光のオールナイトニッポン』から生み出された芳賀ゆいや、ホリプロが大金突っ込んで大コケした伊達杏子、CGアイドルのテライユキ、最近では初音ミクをはじめとするボーカロイド勢など、結構たくさんいるのだが、設定だけしか存在しないバーチャル・漫画というのは他に類を見ないのではないだろうか。
で、そんな『ブッチュくん』関連で唯一実際に存在するのが今回発売された『ブッチュくん全百科(おーるひゃっか)』(講談社)。小学生のころ、みんな持っていたコロタン文庫の『ドラえもん全百科』あたりをベースにしたと思われる構成の本書には、架空の単行本全巻解説やアニメ放送リスト、キャラクター大図鑑、さらには大量に発売されている(という設定の)キャラクター・グッズまで、ありもしない漫画『ブッチュくん』の情報がギッシリと詰め込まれている。
大ざっぱにいってしまえば、『ブッチュくん』とはセクシャルな方面に特化した『ドラえもん』といった話で(ルックスは『オバケのQ太郎』かな)、まあこの手の『ドラえもん』エロ・パロディー漫画というのは同人誌の世界ではよくありそうなネタではあるのだけれど、ふざけてチョロッと描いたパロディーとは設定の細かさがケタ違いなのだ。
のび太くんっぽいヨン太くん、しずかちゃんっぽいヒカルちゃん、ジャイアンっぽい傷ゴリラ、スネ夫っぽいチビアラブなど、膨大な数の藤子不二雄キャラっぽい登場人物たちや秘密道具(モテモテグッズ)、名場面の数々など、ここまで詳細な設定を考えるんだったらオリジナル漫画を一冊描いた方がラクなんじゃないの!? と思ってしまうくらい。
とはいえ、やはりちゃんとした漫画を描くとなると、話のつじつま合わせやら何やらいろいろと面倒くさいことも多い。その点、設定オンリーの漫画なら、前後の流れとか関係なくオイシイところだけ作ればいいじゃん! とばかりに、『北斗の拳』『ドラゴンボール』『幸せの黄色いハンカチ』、はてはつげ義春の『紅い花』など、見境ナシでいろんな作品をパクッ......モチーフにした名場面が紹介されており、全般的にくだらないエロ・パロディーばかりなのに、なんだかすごくいい漫画のような気分になってきて、存在しない漫画『ブッチュくん』が妙に読みたくてたまらなくなってしまう。
そこで、『ブッチュくん全百科』の後半には「幻の名作」「最新書き下ろし」と称した2作の短編漫画が掲載されているのだが、大人になった正ちゃんたちとオバケのQ太郎との別れを描いた感動作「劇画・オバQ」を彷彿とさせる「ヨン太、夏の幻影」、さらに初老に突入したヨン太くんの悲哀を描いた「ブッチュくん2010」と、どちらも子ども時代をすっ飛ばして、いきりなり大人時代の話!
この手のストーリーって、長期連載で描かれた子ども時代の楽しいエピソードがあってこそ感動できるもんなんだと思っていたのだが、延々と設定を読まされて全22巻を読破したような気分になっている状態で読むと、それだけでなんとなーくウルッときてしまうのだ。あ、漫画って設定だけあればよかったんだ......。
もともと、この『ブッチュくん全百科』は1999年に『ブッチュくんオール百科』(ソニーマガジンズ)として発売されたものの、「設定資料集のみの漫画」という設定が理解されなかったのか、当時は驚くほど売れなかったという。しかし、今はインターネットなどでパロディー文化も一般化してきたし、今度こそ売れるんじゃ!? ということで、大幅に書き直しした上で復刊されることになったんだとか。確かに、設定だけは存在しているものの、実態は存在しない『ブッチュくん』。ネット上でいろんな人があれやこれやと口を出して作り上げていくのにはピッタリな素材といえそう。
架空の漫画のくせに存在するオフィシャルサイト( http://butchu-kun.com/ )では『ブッチュくん』アニメ主題歌が公開されていたり、Tシャツ通販サイト「TEE PARTY」( http://teeparty.jp/butchu-kun/ )でブッチュくんTシャツが販売されていたりと、今後もわけの分からない展開をしていきそうな『ブッチュくん』! 是非とも、うっすらと注目しておいてもらいたい漫画(?)だ。
(文=北村ヂン)
綾瀬はるか主演の実写版『ひみつのアッコちゃん』所属事務所が抱える2つの不安とは
「また、マンガの実写化が決まりました。故・赤塚不二夫さんの人気漫画『ひみつのアッコちゃん』です。主演に綾瀬はるか、相手役に岡田将生と、若い層に向けてヒットを狙ったキャスティングです」(映画関係者) 来年公開の映画『ひみつのアッコちゃん』の撮影が10月からスタートするという。一部では、すでに綾瀬の主演が報じられていたり、同事務所の先輩である深田恭子も出演するのではと言われているが、綾瀬のマネージャーは、相手役が岡田に決まったあたりから、どうも気が気でないというのだ。 「それにはふたつ理由があるそうなんです。ひとつは、岡田クンで客が入るのかと。確かに、彼はいろんな賞を総ナメして、有望な若手俳優であることは間違いなくて、実際に『重力ピエロ』(2009)や『告白』(10)といった話題作にも出演しています。ただ、彼が主演した『雷桜』(10)や、二番手だった『瞬 またたき』(10)は、全然ヒットしませんでした。まだ、そこまでの力はないんじゃないかって話もあるんです。ふたつめは、北川景子や井上真央など、彼と共演した女優は、必ず恋の噂が立っているんです。実際に、彼はまだそういったスキャンダルはないですが、大沢たかおと別れてフリーなだけに、綾瀬とくっつきやしないかと心配してるようです。実際に、映画『プリンセス・トヨトミ』でも共演していて知らない仲じゃないですからね......。芸能マスコミも注意してる2人だそうです」(芸能事務所関係者) 相次ぐコミックの実写映画化だが、成功例がなかなか出せない日本映画界。スキャンダルのひとつでも飛び出せば、話題にはなるかもしれないが......。『ひみつのアッコちゃん 完全版 1』
(河出書房新社)
マンガ・アニメの未来はどうなる? またまた浮上した児童ポルノ法改定問題の行方

25日に開催された院内集会の登壇者。
(撮影=永山薫)
民主党代表選は野田佳彦氏の勝利に終わり、9月初めに臨時国会で新首相に就任する見通しだ。補正予算や関連法案の審議など、震災対応の課題が山積する臨時国会の中でマンガ・アニメファンから動向が注目されているのが、再び持ち上がった児童ポルノ法改定をめぐる審議である。
2009年6月、当時の与党だった自民・公明両党と民主党との間で一時は改定が合意された児童ポルノ法だが、この時の改定案は会期末の時間切れで廃案、直後の衆院選で規制に慎重な議員が多くを占める民主党が政権を得たことから、改定議論の再浮上はなかった。だが、今年6月になり、改定を求める与野党各党の議員らが改定と規制強化を求める院内集会を開催し、議論が再浮上してきたのだ。
これを経て、8月には自公両党と民主党がそれぞれ改定案を提出し、国会への審議がスタート。8月中には議論はまとまらず、次期国会での継続審議となっている。
2つの案の隔たりは大きい。自公両党は、児童ポルノの所持自体を禁止する「単純所持」規制の導入を柱に、マンガやアニメなどが児童ポルノが絡む犯罪の要因となっていることを重視し、政府による調査・研究も求めている。対して、民主案では「有償かつ反復の取得」を違法とした上で「専ら医学その他の学術研究の用に供するもの」に対する適用除外を明記するなど、犯罪となる基準を厳密にしようとする意思がみられる。また「この法律のいかなる規定も、架空のものを描写した漫画、アニメーション、コンピュータゲーム等を規制するものと解釈してはならない」と、マンガ・アニメへの規制を容認していない。
臨時国会での審議入りを前に、8月25日には規制強化に反対する立場から表現の自由の問題取り上げてきた市民団体・コンテンツ文化研究会主催による「児童ポルノ禁止法改正を考える院内集会」が開催された。平日の10時30分開会という時間設定にもかかわらず、70名あまりの一般参加者を得て開催されたこの集会、発言した上智大学文学部新聞学科の田島泰彦教授は民主案を評価しながらも、問題点を指摘した。田島教授が問題点として指摘したのは、民主案が自公案よりましながら、09年の案よりも後退していることだ。09年の民主案では、誤解を招きやすい「児童ポルノ」という用語についても「児童性行為等姿態描写物」への変更を求めていた。さらに「性欲を興奮させ又は刺激するもの」「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」等の曖昧な定義の改定もなされていたが、今回の案では手がつけられていない。そのため、田島教授は「自公両党との修正協議が心配である」と不安の色を隠さない。
続いて発言した、児童の人権保護に取り組む弁護士で、子どものためのシェルターを運営する「カリヨン子どもセンター」理事長の坪井節子氏は、単純所持の前にやるべきことがあると指摘。実際の性犯罪の被害の現場では、捜査機関が被害児童に対して「気持ちよかったか?」などと平気で聞くような現状があること、性的虐待を受けた子どもが生きていくために援助交際をし、さらに性的搾取されている構造があることなどを述べた。
また、日本インターネットプロバイダー協会の立石聡明氏からは、インターネットでの自主規制の努力が報告された。
さて、この集会は児童ポルノ法の「改悪」を防ぐ上で効果があったのか。
主催者であるコンテンツ文化研究会の代表・杉野直也氏は「議員に事務所関係者を合わせれば、2ケタは参加しているので、関心があることは間違いないでしょう」と話す。
その上で改定は避けられないが最悪の状況を避けなければならないと杉野さんは語る。
「児童ポルノ法を、一度の改定で理想的なものにするのは困難です。現行法でも"3年に1度の見直し"が定められているわけですし、ちょっとずつ理想の方向に持って行きたいと考えています」
多くの人が動向を見守る児童ポルノ法改定の行方だが、実際にできることは少ない。
「規制に慎重な議員の方々は、既に意思表明をしてくれているわけだから、今さらメールや手紙を送っても効果は薄いと思います。できることがあるとすれば、集会の際に坪井さんも話していたように、対策の遅れている実際に性虐待の被害にあっている児童の保護などの問題に(寄付をするなりの行動で)眼を向けることではないでしょうか」
昨年、「非実在青少年」の言葉が象徴となった東京都青少年健全育成条例改定問題では、議員へのメールや手紙は非常に効果があった。ところが、児童ポルノ法改定問題では、事情が違うことは明らかだ。お手軽な方法だけでは、問題は解決できない。
(文=昼間たかし)
「正直、自分が受けたショックの100分の1も描けていない」しりあがり寿が見た3.11とマンガの可能性

マンガ家・しりあがり寿が東日本大震災以降に描いたマンガをまとめた単行本『あの日からのマンガ』(エンターブレイン)が話題を呼んでいる。震災からわずかひと月後に掲載され大きな反響を呼んだ「月刊コミックビーム」(同)発表作や、朝日新聞夕刊に連載中の時事4コマ「地球防衛家のヒトビト」などが収められた本作。"あの日"から現在進行形で続く信じがたい現実を前に、なぜしりあがり氏は震災をテーマにしたマンガを描き続けているのか。話を聞いた。
――「地球防衛家のヒトビト」では3月14日掲載分から震災をテーマにマンガを描き続けていらっしゃいますが、創作意欲は衝動的に湧いてきたものだったんですか?
しりあがり寿(以下、しりあがり) 11日に地震が来た後、すぐに描き始めたんです。衝動的でもあったし、「地球防衛家のヒトビト」という時事ネタを扱ったマンガを描いているのだから、描かないわけにはいかなかったんです。
――震災から1カ月後には岩手県でボランティア活動をされたそうですね。その前後で、描く4コママンガに何か変化はありましたか?
しりあがり ちょっと吹っ切れた感じはありました。僕は小心者だしボランティアとかガラじゃないけど、被災地に行かずに想像だけで描くっていうのは、どこか気が引けてしまって。本当に描いていいのかな、とか、被災者の気持ちはどうなのだろうとか思うけれど、でも描かなきゃいけない。どうしたらいいんだろうとモヤモヤしていたんです。でも実際に現地に行ってみると、たとえ2~3日でも、この目で見たことはウソじゃない。ストーリーがなくてガレキだけしか描いていない回もあるんだけれど、あれはしょうがないよ。何も浮かばなかったんだもの。あれしか浮かばなかった。
――「コミックビーム」に掲載された短編「海辺の村」は特に大きな反響を呼びました。震災から50年後の未来を描いたこの作品ですが、「いつ失われるか分からない不安の中で豊かな生活を送ることをやめ、いつまでも続く幸せを選んだ」という一節はすごく印象的でした。まるで昭和30年代に戻ったかのように人々はつつましやかに暮らし、福島第一原発の周辺は風力発電でいっぱいになる、という風景は、現在のしりあがりさんが思い描く、理想の未来なのでしょうか?
しりあがり 「海辺の村」は、3月20日くらいから描き始めたのかな。あのエンディングは僕の理想の未来というわけじゃなくて、消去法みたいなもんだよね。今までは、"幸せの中の不安"というのをテーマにマンガを描くことが多かったんだけれど、この時は逆だった。どこを向いても不安だらけだから、せめて希望を描かないといけないなって思ってね。で、その時点で自分なりにいろいろ考えたら、希望ってやっぱり、50年先まではないなって思ったんです。すぐは無理でも50年くらいのスパンで考えれば、下降から反転する可能性はあるかもしれない。再生エネルギーがうまく行き出すとか、それによって災害や放射能だけでなく戦争の不安からも解放されるような。戦争って結局は資源の取り合いだから、それがなくなるって希望じゃない? 逆に言うと、そこまでいかないと希望を見つけられなかった。みんなが明るく楽しくやっている時は「ちょっとどうなのよ?」って言いたいし、ヤバくなると、希望を見つけなきゃって思う。そういう意味では、僕は相当なへそまがりだよ。

『あの日からのマンガ』「地球防衛家のヒトビト」より
――マンガというのはフィクションなわけで、もっとハッピーなエンディングにしようと思えばできたはずですが、ものすごくリアリティーのある形に落とし込んだのはなぜなんですか?
しりあがり 僕のマンガって、自分ではすごくリアリズムだと思っているんです(笑)。たとえば、シュールレアリスムって、ダリとかあり得ない光景を描いているけれど、ある意味、人の意識の中まで入ってきているから、見えるままの風景を描くよりもリアルでしょ? 不安な人にとっては、そういう風景の方がリアルだったりする。そういう意味では、常にリアルに描こうと思っているし、ずっと追求しているつもりでいるんだけどね。
マンガって割とファンタジーが多いけど、ファンタジーにしてもどこか現実に足場がないとリアリティーがない。僕は現実方向にもう一歩近づきたいなという気持ちがあって。10年前、9.11が起こったときにそれをテーマにしたマンガってあまり目にしなかった。文学とか音楽がそういう社会と連動するのに、それに比べてマンガってちょっと鈍いなって感じがして。力があるのにもったいないなって。僕は「くだらないもの」が大好きだけど、「くだらないもの」も「ファンタジー」も結局ある程度世の中が豊かで安定してないと成立しない気がしていて。だから少しは社会にコミットする必要があると思っているんです。そこにこの震災だからなー。
でも正直、自分が受けたショックの100分の1も描けていない気がするんです。だから期待して読まれるとすごく困る(笑)。そんなたいしたこと描いていないというか、その都度その都度の断片でしかないからね。

『あの日からのマンガ』「海辺の村」より
――いま振り返ると、もうちょっと違う描き方ができたんじゃないかと?
しりあがり うーん、やっぱり僕の力じゃ......っていうところもある。手を抜いたわけじゃないし、その時は一生懸命だったけれど、もっと絵がうまくてストーリーがうまい人が描いたら違うものが描けただろうし。逆にこれがきっかけになって、みんないろいろ描けばいいと思う。1,000年に1度の大地震だよ? 後世の人は、この地震が記されたマンガをいっぱい読みたいんじゃないかな? (ページをめくりながら)懐かしいね、今見ると。なんで僕、こんなに絵がヘタなんだろう?(笑) もうちょっと上手だったら泣けるのに......。泣けるシーンなのに、なんか笑えちゃうんだよね。
――作品によってそれぞれ違うと思いますが、誰に向けて、どういう立場で描かれたんですか?
しりあがり 特別に誰かに向けて描いたというよりは、それぞれの連載の一部分なので、それまでのシリーズの中で描いたっていう感じですね。しょせん、自分目線からは逃れられないし。
――自分の気を静めるために描いていたという部分もあるんですか?
しりあがり それもあるよね。さっき、希望というか未来を探したって言ったけど、それは自分のためだよね。モヤモヤとしていることを定着させることで落ち着くというか、踏ん切りがつくんじゃないかな。作品として描くことで、自分の体から切り離される感じ。変な話、例えば僕の身内に不幸があったとしても、僕は作品を描くと思うよ。
――今回のマンガにはどれも、政府や東電に対する怒りの表現はありません。しりあがりさんご自身としては、今回の震災や原発に対して憤りはないんですか?

『あの日からのマンガ』「川下り双子のオヤジ」より
しりあがり 本の中で「大きな賭けに負けた」っていう文章を書いているんだけれど、僕はまさかこんな大きな地震は来ない方に賭けていた。危険を訴える人がいるのは知っていたけれど、まさか原発が爆発するなんてことにはならない 方に賭けていた。誰が悪いというより、日本まるごと「しくじった」という思いが強かった。
マスコミや政府を批判するのも大切だけど、結局真実もウソもひっくるめて不信感に包まれただけじゃ元も子もないからね。代わりに信頼できる情報が出るようになったかというと、そんなに簡単な話じゃない。こうなったら怒っているよりも、小さなコミュニティーでもつくって、大切な人たちと生きていけるような仕組みをつくる方に力を使ったらいいんじゃないかと思ってしまう(笑)。
――原発事故はまだ収束していないし、日々、放射能汚染が目に見えるかたちで表れてきています。現在進行形の問題をフィクションにして描くことには、作家として相当の覚悟があったと思うのですが。
しりあがり やっぱり怖かったですよ。だって、描いていることが変わっちゃうかもしれないから。3月下旬に描いたものが4月10日くらいに発売される間に致命的な爆発が起こるかもしれなかったし、状況は刻々と変わっていくから。それに、今回の震災は地域によって受け止め方に差があって、誰かの共感は呼ぶけれど別の誰かの反感を買う恐れもある。でも、描かざるを得ない感じだったなー。マンガのルーツにはポンチ絵とか風刺マンガとかもあるんだけれど、あれって写真の技術がそこまで普及していなかった時代に、従軍マンガ家が描いていたのが元だったみたい。戦場の様子をスケッチして新聞に載せる。マンガはジャーナリズムの一端を担っていた。そういう意味では、そこにあるものを描くっていうのは、基本っていう感じがしますね
――なるほど。実はそれとはまた別の視点になるんですが、想像を絶するような恐ろしい「現実」と向き合うには、やっぱり何らかのフィルターが必要だと思うんです。その役割の一端を、マンガも担えるということを証明した作品なのではないかという気がしています。不謹慎だとか自粛とかいう言葉がはびこる窮屈な状況の中で、「フィクションとして震災を捉える」という視点は、ひとつの風穴を開けてくれた。エンタテインメントとしてだけではない、マンガの新しい可能性を見せてくれたのではないかと。
しりあがり 「エンタテインメントって何か?」って、これも難しいけれど、僕は30年くらいマンガを描いてて、常にマンガの可能性を広げていきたいというのはあった。マンガって、コマがあって絵があって、そういうシンプルなものから広がって無限の可能性があるじゃん? ストーリーを入れなくたっていいし、何をしたっていい。最近、美術館で絵を描かせてもらう機会もあるんだけど、それって自分ではアートではなく、マンガの延長線上にある気がしているんです。
――帯には「『たとえ間違っているとしても、今描こう』と思った」とありますが、このマンガを通して伝えたいメッセージとはどんなものなんでしょうか?
しりあがり メッセージはないんです。今までの作品は何か伝えたいことがあってそのためにマンガを描くみたいなところがあったんだけど、今回は断片ばかりだから。もう、「あの時、自分はあんな想いでした」という記録でしかない。それぞれの作品に深みとかひねりや表現としての新鮮さがあるわけじゃないし、そもそも面白いとかうまいとかいうものではない。だけど、迷ったり、混乱したりしながらその都度描いたマンガは少なくとも「ウソ」じゃない。「確かにあの日からマンガを描いた」という証のようなものです。正直、1冊の本として出版するには自信がなかったんです。でも僕の周りの信頼している何人かが「これはいいよ」って言ってくれて、それで世に出してもいいかなって。これからも震災をテーマにした作品は描き続けたいなという思いはあるけれど、そろそろ本当に力がある人が描き始めるんじゃないかな(笑)。
(取材・文=編集部/写真=後藤匡人)
●しりあがり・ことぶき
1958年静岡市生まれ。81年多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業後キリンビール株式会社に入社し、パッケージデザイン・広告宣伝等を担当。85年単行本『エレキな春』でマンガ家としてデビュー。パロディーを中心にした新しいタイプのギャグマンガ家として注目を浴びる。94年に独立後は、幻想的あるいは文学的な作品などを次々に発表、マンガ家として独自な活動を続ける一方、近年ではエッセイ・映像・ゲーム・アートなど多方面に創作の幅を広げている。
『星守る犬』村上たかしが大健闘! 『第4回ギャグ漫画家大喜利サバイバル!!』リポート

本戦へのチケットは誰の手に!?
ギャグ漫画家・おおひなたごうの呼び掛けで始まった『ギャグ漫画家大喜利バトル!!』が、今年で4回目を迎える。過去にはとり・みき、うすた京介、江口寿史ら大物作家たちが参戦し、知名度もスケールも広がりつつあるイベントだ。
7月9日、阿佐ヶ谷ロフトAにて、優勝者1名のみが本戦バトルの出場枠をゲットできる『第4回ギャグ漫画家大喜利サバイバル!!』が開催された。
今回は初めて「公開審査」のスタイルが取られる。
客席の前方に審判席が設けられており、ジャッジする様子はまる見え。これにより判の不透明さが払しょくされ、バトルがヤラセなしのガチンコ対決であることを証明付ける。大会側の大喜利への本気度をうかがわせるシステムだ。
審判員を務めるのは「サイゾー」本誌記者とライターの3人。スタート前から、客席から無言のプレッシャーがかかってくるよう。大喜利の勝敗を決めるのは審判員でも、観客からはその判断をジャッジされる立場でもある。3人とも熱戦を期待しながら、選手たちとは別の意味の緊張を感じていた。
『~サバイバル!!』のエントリー選手は8名。ピョコタン、村上たかし、古泉智浩、堀道広、イクタケマコト、浦田☆カズヒロ、森繁拓真、宮下拓也という、若手とベテランが入り混じった濃い顔ぶれ。
立ち見も出る大盛況の中、熱いバトルが始まった。
まず注目は、森繁拓真。東村アキコの実弟であり、もし優勝すれば、本戦バトルで夢の姉弟対決が実現する可能性もあった。しかし、一回戦であっさり浦田☆カズヒロに敗れ、会場の笑いを誘った。

解説を務めたおおひなたごう氏(左)と
「ヤングジャンプ」編集者。
当イベントのプロデューサーであるピョコタンは、定評(?)のあるゲスい下ネタで畳みかける。女性器の潮吹きをもじった回答で、「エクセレント!」(最高得点)をゲットすると、審判席へ大ブーイングが巻き起こった。
審判の女性記者は「こ、こわい......」と苦笑い。主審を務める記者は「ジャッジを任された以上、会場の同調圧力に屈したらダメだ!」と、骨のある発言をして、自己判断を貫くことを決意した。
会場の空気と審判員の評価が必ずしも一致しないのが大喜利ライブの醍醐味。選手と客と審判員、三つ巴のリアルファイトの様相となったバトルが以後も続く。
解説のおおひなたごうが「今回は手数が多いですね」と感心したように、1回戦から爆笑回答がマシンガンのように繰り出さた。動物デッサンで手がピタリと止まる堀。妙に怖い暗黒ワールドを開花させた宮下など、若手たちの新たなキャラの誕生も楽しめた。
そんな中決勝に勝ち進んだのは、村上たかしと浦田☆カズヒロ。
「ヤングジャンプ」(集英社)の新人賞でデビューした3年目の新人と、「ヤングジャンプ」出身の大ベテラン。集英社が育てた才能の、新旧決戦となった。
決勝戦は1問目から、村上・浦田とも画力を生かした回答で、真っ向からぶつかり合う。今回のイベントは映像化されないので、スタジオジブリ作品など、権利的にアンタッチャブルなパロディーもやり放題。村上と浦田の持つ、毒っ気とギャグセンスがフルに発揮された。
開始10分を過ぎると、村上のファインプレーが続出。<「なぜそれを?」思わず首を傾げた、彼女が最後に残したルージュの 伝言とは>の問題の答え<あやまんJAPANに入ります>など「エクセレント!」回答を着実に重ねる。ベテランのキャリアに達しながら最新の芸能ネタをキャッチしているアンテナの鋭さに、誰もが驚嘆した。一方、浦田も画力を生かした回答で、着実にポイントを加える。決勝戦にふさわしい、追いつ追われつの接戦となった。
結果は14対13の僅差で、村上が勝利!
優勝候補筆頭の呼び声に応え、見事に本戦の出場枠を勝ち取った。
村上はバトルの前に「ギャグをまともに考えるのは何年かぶりで、どこまでやれるか挑戦者の気分です」と謙遜していたが、80~90年代にギャグの一時代を築いた才能は、まったく衰えていなかった。
エンディングは全出場者が壇上に上がって、互いの健闘を讃え合った。優勝者の村上には「本戦の台風の目になってください!」と、全員でエールを贈る。
そして今イベントの司会進行をつとめた歌手・千葉山貴公のムーディーな歌唱で、無事に閉幕。
公開審査の重責を担ったサイゾーの記者とライターは、へとへとになりながらも充実た気持ちで、本戦への期待を膨らませるのだった。
(取材・文=浅野智哉)
※原稿に誤りがありましたので、訂正いたしました。関係者の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。謹んでお詫び申し上げます。
●ギャグ漫画家大喜利バトル公式サイト
<http://www.gagmanga.com/2011/ >
松本人志も食い付いた!? 壮絶カオス美少女萌え4コマ『あいまいみー』とは?

『あいまいみー1 』(竹書房)
かのブルース・リーは、映画『燃えよドラゴン』で少年に「Don't Think. Feel!」と言ったが、おそらくちょぼらうにょぽみ先生も我々に同じ言葉を投げ掛けているのだろう。
一部で熱狂的な支持を集める漫画家・ちょぼらうにょぽみ先生が、「まんがライフWIN」(竹書房)で連載中の萌え4コマ『あいまいみー』をご存じだろうか。作品自ら"常識にとらわれない4コマ"とうたっている通り、常識と無縁の個性的なキャラたちが、これまた浮世離れしたギャグを連発。独創的過ぎるその世界観に今、中毒者が続出しているのだ。
主な登場人物は、唯一のツッコミ役"愛"、無邪気過ぎる暴走少女"麻衣"、漫画を描くと触手が飛び出す"ミイ"、謎の壷を持ち歩くちょっぴりミステリアスな"ぽのか先輩"の4人。高校の漫研に所属する彼女たちの日常は、イキっぱなしで180ページの超大作エロ漫画を描いたり、撲殺されても壷に入ったら生き返ったり、頭がパカッと開いてちくわが出てきたり......と、愉快の域をはるかに超えた壮絶カオス空間が広がり、読んでいると次第にお手上げ状態へ。しかし心配は要らない。この漫画はそれでいい、それでいいのだ。
コミック1巻の発売から半年以上たった今、この作品が再び注目を集めるきっかけとなったのが、4月に放送されたテレビ番組『人志松本の○○な話』(フジテレビ系)。毎月7,000本以上の4コマ漫画を読んでいるという芸人の天津・向清太朗が、この時代には早すぎる漫画という意味を込め、「未来4コマ」として紹介。松本人志の口から「ちょぼらうにょぽみ先生」(実際は「にょぽらいちょぽみ先生」と言っていたが)と発せられたことで、漫画ファンが一斉にテレビを二度見し、ネットなどで再燃に至ったのだ。
『あいまいみー』のファンは口をそろえて言う、「とにかく読め」と。一見、突き放したような言いぐさだが、それはしょうがないことだ。なぜなら『あいまいみー』に関しては、「Don't Think. Feel!」以外の言葉が見当たらないのだから。
(文=林タモツ)












