紗倉まな、自身初のスタイルブック発売に感激! メイク術から勝負下着までプライベートを大公開

IMG_5785
 セクシー女優の紗倉まなが14日、東京・ヴィレッジヴァンガード下北沢店で行われた初のスタイルブック『MANA』の発売記念イベントに出席した。  紗倉の撮りおろしのグラビアはじめ、直筆絵画やコラム、私服や下着を紹介するプライベートスナップ、ヘアメーク術が掲載された本書。紗倉は「ある意味今まで出してきたエロ関係の本とか、男性を楽しませることをメインとした本とは真逆の、本当に女性の方も楽しめる内容になっています。エロ要素は全くないんですけど、わたしが『messy』さんで連載していたコラムや、吉田豪さんやケンドーコバヤシさんとの対談も入っています」と本書を紹介。 「ぱっと見からすごくかわいらしい本で、ティファニーブルーの表紙がすごくお洒落です。活字は少しネガティブでドロドロしていますけど、その対極的な部分を逆に楽しんでもらえたら」と見所をアピール。掲載されている下着のスナップもすべて正真正銘の私物だといい、「普通に自分が着けているもの。わたしの勝負下着も写っています!」と笑顔。  その勝負下着について「わたし、肌色の下着が好きなんです。一見、裸に見えるじゃないですか。すげえエロいなって。他の人が着けているそういう下着を見てから自分の勝負下着は肌色って決めたんです」と持論を展開。「肌色で胸の形がよく見える、あんまり安価じゃない、ちゃんとしたブラジャーを勝負下着として使っています」と、うれしそうに話した。
IMG_5818
 普段、紗倉が自宅で行うメイク術も掲載されおり、「メイクのハウツーをこんなに細かく書いたことはないです」と自信たっぷり。「丸顔女子の方はぜひ。仕事をする中で、プロのメイクさんに過去5年くらい、丸顔の子に似合うメイク方法を教わったものを自分なりにアレンジして編み出したものです。丸顔、たぬき顔の女子はぜひチェックしてください」と紗倉。 「今年は心身共に健康がモットー」と一年の豊富も明かし、「去年は心の浮き沈みが激しい時期があったり、体もちょっと弱かったので、今年は健康で丈夫にいきたい」としみじみ。「スタイルブックなんて出せると思っていなかったのですごく嬉しい。したいことの積み重ねで次の仕事が決まるのかなって感じました。今年も安定してやりたいことをのんびりとやっていきたい」とコメント。「アクセルはベタ踏みではなく中踏みくらいで一年頑張ります!」と話していた。 (取材・文=名鹿祥史)
MANA~紗倉まなスタイルブック 発売中 amazon_associate_logo.jpg

紗倉まな、自身初のスタイルブック発売に感激! メイク術から勝負下着までプライベートを大公開

IMG_5785
 セクシー女優の紗倉まなが14日、東京・ヴィレッジヴァンガード下北沢店で行われた初のスタイルブック『MANA』の発売記念イベントに出席した。  紗倉の撮りおろしのグラビアはじめ、直筆絵画やコラム、私服や下着を紹介するプライベートスナップ、ヘアメーク術が掲載された本書。紗倉は「ある意味今まで出してきたエロ関係の本とか、男性を楽しませることをメインとした本とは真逆の、本当に女性の方も楽しめる内容になっています。エロ要素は全くないんですけど、わたしが『messy』さんで連載していたコラムや、吉田豪さんやケンドーコバヤシさんとの対談も入っています」と本書を紹介。 「ぱっと見からすごくかわいらしい本で、ティファニーブルーの表紙がすごくお洒落です。活字は少しネガティブでドロドロしていますけど、その対極的な部分を逆に楽しんでもらえたら」と見所をアピール。掲載されている下着のスナップもすべて正真正銘の私物だといい、「普通に自分が着けているもの。わたしの勝負下着も写っています!」と笑顔。  その勝負下着について「わたし、肌色の下着が好きなんです。一見、裸に見えるじゃないですか。すげえエロいなって。他の人が着けているそういう下着を見てから自分の勝負下着は肌色って決めたんです」と持論を展開。「肌色で胸の形がよく見える、あんまり安価じゃない、ちゃんとしたブラジャーを勝負下着として使っています」と、うれしそうに話した。
IMG_5818
 普段、紗倉が自宅で行うメイク術も掲載されおり、「メイクのハウツーをこんなに細かく書いたことはないです」と自信たっぷり。「丸顔女子の方はぜひ。仕事をする中で、プロのメイクさんに過去5年くらい、丸顔の子に似合うメイク方法を教わったものを自分なりにアレンジして編み出したものです。丸顔、たぬき顔の女子はぜひチェックしてください」と紗倉。 「今年は心身共に健康がモットー」と一年の豊富も明かし、「去年は心の浮き沈みが激しい時期があったり、体もちょっと弱かったので、今年は健康で丈夫にいきたい」としみじみ。「スタイルブックなんて出せると思っていなかったのですごく嬉しい。したいことの積み重ねで次の仕事が決まるのかなって感じました。今年も安定してやりたいことをのんびりとやっていきたい」とコメント。「アクセルはベタ踏みではなく中踏みくらいで一年頑張ります!」と話していた。 (取材・文=名鹿祥史)

「あなたを殺したくて殺したわけではない……」増え続ける『介護殺人』の悲しい現実

kaigosatujin.jpg
『介護殺人』(新潮社)
 こんな悲劇があっていいのだろうか?  ニュースを見ていると、しばしば目にする「介護殺人」の文字。介護への疲れから逃れるために、殺人へと発展してしまう、痛ましいこの種の事件。超高齢化社会を迎えた日本において、1年間に発生する介護殺人の件数は数十件に上るとみられており、もはやありきたりな事件のひとつとなってしまった。だが、毎日新聞大阪社会部取材班による書籍『介護殺人』(新潮社)を読めば、そんなニュースに立ち止まらざるを得なくなってしまうだろう。介護殺人事件の「加害者」たちを追った本書に描かれているのは、愛するがゆえに殺人にまで追い込まれてしまった、介護者/殺人者たちの苦悩である。  木村茂(仮名/75)は2011年から、連れ添って45年あまりになる認知症の妻・幸子(71)の介護をしていた。物忘れや徘徊だけでなく、まるで人格が変わってしまったように怒りっぽくなり「ご飯の準備せえ!」と茂を怒鳴りつける幸子。それにもかかわらず、入浴、着替え、トイレまでも、茂がひとりで懸命に介護し続けた。「お前は誰や!!」と言われ、汚い言葉を投げかけられようとも、うんうんとうなずきながら、茂は幸子の背中をさすり続けていた。  12年夏になると、幸子はあまり眠らなくなった。夜中に目を覚まし、大声で茂をなじる声に、近所からも苦情が届くようになる。さらに、幸子は、毎晩のように「どこかへ出かけたい」と駄々をこね、茂はそのたびに彼女をドライブへ連れ出した。昼は家事、夜はドライブという毎日に追われ、茂の精神は疲弊していく。施設に頼ろうとも考えたが、介護保険施設にはまったく空きがなく、民間の高級老人ホームの入居費用は年金暮らしの夫婦に払える金額ではない。茂は「幸子を介護できるのは自分しかいない」と言い聞かせた。  けれども、もう限界だった。  その夏のある夜、幸子から激しくなじられ続けた茂は、幸子の首をタオルで絞めて殺害。自身も死のうと思って睡眠薬を飲んだが、死にきれなかった……。  介護殺人の加害者たちは、被害者を献身的に介護をしてきた人々だ。茂のケースはおよそ1年半だが、数年間、あるいは数十年間にわたって、自らの日常生活を捨てて介護にいそしんできた人々も数多い。施設にも頼らず、自分の手で家族の介護を続けた彼らは、ある日、その責任感に押しつぶされ、殺人に手を染めてしまう。その判決では情状酌量が認められ、執行猶予の判決が下されることがほとんどだが、誰よりも自らの犯した罪を許せないのは、被害者を介護してきた彼ら自身だろう。茂は、拘置所で、こんな言葉をノートに書きつけている。 「あなたを殺したくて殺したわけではないの。あなたを愛して愛していたのに、あの日はなぜかマイナス思考になっていた。あなたを介護したい自分がおること。自分がしたいが思うようにできない事などがあって、殺して自分も死のうと思って。自分だけが生き残ってごめん」  15年の国勢調査によれば、65歳以上の人口は3,342万人。国では、800万人の団塊の世代が75歳となる25年をにらみ、社会保障費圧縮のために、施設ではなく在宅での介護を推進している。もちろん、在宅介護は、介護者となる家族の生き方をも大きく変える。しかし、在宅介護者への現金支給や休暇取得制度などを導入し、介護者が休息する権利までをも掲げている英国をはじめとする諸外国とは異なり、日本では、介護者をどのように支援していくかという視点を持っていない。その結果、介護に追い詰められた介護者が、愛する家族を殺してしまうという悲劇まで起こってしまうのだ……。  誰もが、ある日突然、介護という現実を突きつけられる。もはや、介護は誰にとっても他人事ではない。一刻も早く、この悲しい殺人事件が、日本からなくなることを願ってやまない。 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])

「あなたを殺したくて殺したわけではない……」増え続ける『介護殺人』の悲しい現実

kaigosatujin.jpg
『介護殺人』(新潮社)
 こんな悲劇があっていいのだろうか?  ニュースを見ていると、しばしば目にする「介護殺人」の文字。介護への疲れから逃れるために、殺人へと発展してしまう、痛ましいこの種の事件。超高齢化社会を迎えた日本において、1年間に発生する介護殺人の件数は数十件に上るとみられており、もはやありきたりな事件のひとつとなってしまった。だが、毎日新聞大阪社会部取材班による書籍『介護殺人』(新潮社)を読めば、そんなニュースに立ち止まらざるを得なくなってしまうだろう。介護殺人事件の「加害者」たちを追った本書に描かれているのは、愛するがゆえに殺人にまで追い込まれてしまった、介護者/殺人者たちの苦悩である。  木村茂(仮名/75)は2011年から、連れ添って45年あまりになる認知症の妻・幸子(71)の介護をしていた。物忘れや徘徊だけでなく、まるで人格が変わってしまったように怒りっぽくなり「ご飯の準備せえ!」と茂を怒鳴りつける幸子。それにもかかわらず、入浴、着替え、トイレまでも、茂がひとりで懸命に介護し続けた。「お前は誰や!!」と言われ、汚い言葉を投げかけられようとも、うんうんとうなずきながら、茂は幸子の背中をさすり続けていた。  12年夏になると、幸子はあまり眠らなくなった。夜中に目を覚まし、大声で茂をなじる声に、近所からも苦情が届くようになる。さらに、幸子は、毎晩のように「どこかへ出かけたい」と駄々をこね、茂はそのたびに彼女をドライブへ連れ出した。昼は家事、夜はドライブという毎日に追われ、茂の精神は疲弊していく。施設に頼ろうとも考えたが、介護保険施設にはまったく空きがなく、民間の高級老人ホームの入居費用は年金暮らしの夫婦に払える金額ではない。茂は「幸子を介護できるのは自分しかいない」と言い聞かせた。  けれども、もう限界だった。  その夏のある夜、幸子から激しくなじられ続けた茂は、幸子の首をタオルで絞めて殺害。自身も死のうと思って睡眠薬を飲んだが、死にきれなかった……。  介護殺人の加害者たちは、被害者を献身的に介護をしてきた人々だ。茂のケースはおよそ1年半だが、数年間、あるいは数十年間にわたって、自らの日常生活を捨てて介護にいそしんできた人々も数多い。施設にも頼らず、自分の手で家族の介護を続けた彼らは、ある日、その責任感に押しつぶされ、殺人に手を染めてしまう。その判決では情状酌量が認められ、執行猶予の判決が下されることがほとんどだが、誰よりも自らの犯した罪を許せないのは、被害者を介護してきた彼ら自身だろう。茂は、拘置所で、こんな言葉をノートに書きつけている。 「あなたを殺したくて殺したわけではないの。あなたを愛して愛していたのに、あの日はなぜかマイナス思考になっていた。あなたを介護したい自分がおること。自分がしたいが思うようにできない事などがあって、殺して自分も死のうと思って。自分だけが生き残ってごめん」  15年の国勢調査によれば、65歳以上の人口は3,342万人。国では、800万人の団塊の世代が75歳となる25年をにらみ、社会保障費圧縮のために、施設ではなく在宅での介護を推進している。もちろん、在宅介護は、介護者となる家族の生き方をも大きく変える。しかし、在宅介護者への現金支給や休暇取得制度などを導入し、介護者が休息する権利までをも掲げている英国をはじめとする諸外国とは異なり、日本では、介護者をどのように支援していくかという視点を持っていない。その結果、介護に追い詰められた介護者が、愛する家族を殺してしまうという悲劇まで起こってしまうのだ……。  誰もが、ある日突然、介護という現実を突きつけられる。もはや、介護は誰にとっても他人事ではない。一刻も早く、この悲しい殺人事件が、日本からなくなることを願ってやまない。 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])

滑稽すぎる! 戦争が生み出した本気の“おバカ珍兵器”『マンガ 本当にあった! 世界の珍兵器コレクション』

heiki1220
『マンガ 本当にあった! 世界の珍兵器コレクション』(宝島社)
「人生は近くで見ると悲劇だが、 遠くから見れば喜劇である」これは喜劇王チャールズ・チャップリンの言葉である。人間は必死に生きる。その“必死さ”は関係のない他人からすれば、滑稽に見えるのである。戦争という人類が起こせる最大の災厄の中においても、その“必死さ”が生んだ兵器群には、滑稽なものが多々ある。  宝島社から発売中の『マンガ 本当にあった! 世界の珍兵器コレクション』では、実在した滑稽な兵器を網羅。  表紙に登場するのは、ソ連の“時代遅れの長すぎた砲身”「オカ自走迫撃」。日本の“風任せ爆弾”こと風船爆弾「ふ号」、イギリスの“制御不能の自走式大車輪”「パンジャンドラム」の3つだ。ここだけを読んでも、これらの兵器がいかにバカげているかは理解できるはずだ。  しかし、戦争をしている当人たちは必死だ。兵器開発者たちも紆余曲折の苦悩の末、これらのバカげた珍兵器を世に生み出したのだ。本書では、珍兵器と共に、開発者の苦悩、葛藤、暴走を面白おかしくマンガで紹介されている点も魅力だ。  全部で8章に構成された本書は、バカげた珍兵器開発をめぐるエピソードが1つずつ語られる。1、2章ではトンデモ兵器を大量生産したナチスドイツ。3、4章ではイギリス。5章は、独裁国家ソビエト連邦。6章は、超大国アメリカ。7章は、兵器もガラパゴス化した我らが日本。そして、8章では、現代の世界中のトンデモ兵器が登場する。  ここでいくつか例を挙げよう。ナチスドイツの左右非対称航空機「BV 141」。ドイツ航空省は「単発エンジン、3人乗り、視界が360°確保できること」という条件の偵察機の開発を要求した。ブローム・ウント・フォス社の設計技師リヒャルト・フォークト博士が条件を満たす設計図を書き上げる。生まれたのは、世にも珍しい左右非対称の航空機だった。これほどまでに大胆な左右非対称というのは、歴史上、他に類を見ない。この「BV 141」は、実際に予算が計上され、製造された点はなんともナチスドイツらしい。  次に紹介するのは、イギリスの「パンジャドラム」。第二次世界大戦中、ヒトラーは占領したフランス北部沿岸の主要港湾部にコンクリートの防御壁、通称“大西洋の壁”の建造を命じる。イギリスは、上陸作戦と同時に壁の対策も講じる必要に迫られた。味方との距離が近く、誤爆の可能性が高いため、空爆での壁撃破は不可能である。そんな中、イギリス海軍中尉のネヴィル・シュートは対抗策として、ロケットの推進で回転する自走機雷「パンジャンドラム」を開発する。  壁に直接爆薬を当てて、撃破するという戦法だ。想像してほしい。爆弾を積んだ巨大な車輪が誰も操縦することなく突き進んでいく。もし、段差があれば跳ねてしまうし、登り坂があれば、止まってしまう。運が悪ければ、機雷同士が接触する。味方陣営の方に向かっていかないとも限らない。  そんなことは、誰にでも容易に想像できるだろう。こういったナンセンスともいえる話がいくつも紹介されている。珍兵器の発想から、ドイツやイギリス、アメリカ、ソ連、日本それぞれの国の傾向、置かれている現状を考えるのも面白い。  兵器を開発している人々は必死だ。しかし、現代を生きる我々からは過去の愚行を喜劇として見ることができる。いつかそう遠くない将来、現代の兵器が喜劇となる日がくるのだろうか。 (文=二木知宏[スクラップロゴス])

70代、80代でも「濡れるわよ!」 女性ライターが丸裸にした“高齢者風俗嬢”の意外な真実

koureifuuzoku.jpg
『高齢者風俗嬢』(洋泉社)
 男性の間で、「風俗に行ったら、ババアに当たった……」なんていう笑い話は珍しくない。しかし現在、70代、80代といった高齢の風俗嬢たちが、じわじわと増殖しており、そんな超超熟女たちを好む男性たちも増えつつある。そんな高齢者風俗の実態に迫ったのが、『高齢者風俗嬢』(洋泉社)を上梓したライターの中山美里氏だ。  いったいどうして、男性たちは“ババア!”と蔑んできたはずの高齢風俗嬢たちに魅せられてしまうのか? そして、彼女たちはなぜ風俗で働くのか? 超高齢化社会を迎えた日本に生まれつつある、新たな性産業に刮目せよ! *** ――本書では、70代、80代といった高齢の風俗嬢やAV女優たちに焦点が当てられています。なぜ中山さんは、彼女たちを取材しようと思ったんですか? 中山美里氏(以下、中山) もともと、ライターとしてアダルト産業や性風俗を取材していたのですが、80歳以上のおじいさんが風俗に通うことが珍しくないと聞いて、高齢者の性に興味を持っていたんです。そんな折、本書にも登場する74歳のAV女優の方にお話を伺ったところ、とても楽しみながら生き生きと仕事をしていることに驚きました。高齢者が元気を出すのに、セックスや恋愛はとてもいい効果を与える。そんな元気な高齢者風俗嬢にもっと話を聞いてみたいと思ったのが、取材を始めたきっかけでした。 ――まさに一億総活躍社会! でも、取材は難しそうですね。 中山 そもそも、働いている絶対数が少ないし、なかなか出会える存在でもない。風俗店に取材を申し込んでも、断られ続けました。高齢者風俗業界では、かつて違法な「本番店」が横行していて、取材もNGだったんです。しかし、近年ではだんだんと流れが変わってきて、取材OKのお店も多くなったことから、1冊の本にまとまるほどの取材ができるようになりました。 ――高齢者風俗店がクリーンになったからこそ、誕生した1冊なんですね。 中山 2010年、13年に巣鴨の超熟女専門店が摘発されたことをきっかけに、業界全体がだんだんと浄化されてきたんです。そもそも、かつてお店側では「熟女なんて売れるわけない」という先入観から本番を黙認していて、そこに別の需要があることに気づかなかったんでしょう。けれど、80歳の男性にとって60代なんてピチピチの女性だし、同じ80代ならガールフレンドとしても見ることができる。そういった需要が、高齢者風俗を支えているんです。 ――利用する男性高齢者も、いろいろな意味で「元気」だからこそ、成り立っているんですね。しかし、本書の中には、高齢の男性だけでなく、若い男性が高齢者風俗店の常連となっているケースも描かれています。 中山 10代のうちから、高齢者風俗店の常連になる人もいました。若い男性は「失敗したらどうしよう……」「早漏と思われないか……」などと不安になりがち。そんな不安を受け止めてくれるのが、超熟女たちなんです。 ――草食男子には、もってこいですね(笑)。 中山 また、男性をリードしてくれるのも、彼女たちの魅力。彼女たちは年齢を重ねて人生経験も豊富だから、インタビューをしていても話がはずみます。若い女性の場合は、会話もなかなか続かないし、こちらから話題を用意しないと何も話せない。それに、彼女たちはとても褒め上手で、プレイの最中に「優しそうな人でよかった~」「あら、アソコがすごく大きいわね~」などと、男性をノセてくれる。スナックのママのように、あしらいがうまいんです(笑)。 ――まさに“おもてなし”の精神! 高齢者風俗嬢へのインタビューでは、どんな話を聞くんですか? 中山 仕事のことももちろん聞きますけど、「イクってどんな感じ?」とか「濡れるの?」といった、なかなか普段は聞けないことも聞いていますね。70代の女性には「濡れるわよ!」って、怒られました(笑)。 ――70代でも濡れる!? 中山 「ローションは使わないの?」って聞いたら、「使うときもあるし、使わないときもある。それくらいわかるでしょ!」って(笑)。取材してわかったのが、高齢者でもほぼみんな濡れているし、イッている人も多いんです。男性の高齢者は勃ったり勃たなかったりですが、バイアグラを飲んだりして、前向きに楽しんでいますね。 ――ただ、自分の親世代の性事情を知るのって、正直、ちょっとキツイものがありますね……。 中山 そうですか? わたし昔、友達のお母さんが彼氏らしき人とラブホ街をイチャイチャ歩いてたのを見たことがあるので、それ以来、あんまり抵抗ないんですよ(笑)。 ――どうりで、週刊誌の「死ぬまでセックス」特集が売れるわけですね(笑)。では、彼女たちはどういう目的で、風俗で働いているのでしょうか? 中山 やっぱり、9割がお金のため。40~50代の女性だと、子どもの学費のためということもありますが、60代になると、ほとんどが自分の生活費で、パートに出るのと同じ感覚です。ただ、“お金のために仕方なく……”というネガティブな気持ちではない。そんなネガティブな気持ちだけだったら、お客さんが取れませんよね。 ――一般的には“風俗店に勤めている女性は、精神を病みがち”というイメージが強いですが、高齢者風俗嬢たちは、ある程度腹をくくっていて、ポジティブな方も多いんですね。 中山 ポジティブだし、ずうずうしいですよね(笑)。そして、言うまでもなく、女優さんみたいに美人なわけもなく、本当に巣鴨とか歩いてる普通のおばちゃんなんです。そんな人たちが、“自分の体が金になる”と思って、風俗業界に乗り込んでくるんですよ? 客観的に見たら、おっぱいも垂れてるし、おなかも出てるし、70代になると体にもシワが寄ってるのに。だから、メンタルは強いと思います。 ――いま書店では、風俗の負の側面にフォーカスをした本がたくさん並んでいますが、一方で、坂爪真吾さんの『性風俗のいびつな現場』(筑摩書房)のように、貧困女性やハンデを抱えた女性を支える社会インフラとしての面にも注目が集まっていますね。 中山 世間から思われているほど、風俗はネガティブな場所ではないんです。あとがきにも「セックスワークは堕ちる場所ではない。チャンスをつかむ場所なのだ」と書きましたが、お金を手にしたり、セックスで女性としての価値を見いだして生き生きしたり、承認欲求が満たされる場所でもある。決して、「悪い場所」というばかりではないんです。 ――女性である中山さんが語ると、とても説得力がありますね。ありがとうございました! ●なかやま・みさと 編集プロダクション・株式会社オフィスキング所属。ショーダンサー、訪問販売員などを経てフリーライターに。アダルトのジャンルで多く取材、執筆。著書に『漂流遊女』(ミリオン出版)、『ネット風俗嬢』(泰文堂)などがある。

70代、80代でも「濡れるわよ!」 女性ライターが丸裸にした“高齢者風俗嬢”の意外な真実

koureifuuzoku.jpg
『高齢者風俗嬢』(洋泉社)
 男性の間で、「風俗に行ったら、ババアに当たった……」なんていう笑い話は珍しくない。しかし現在、70代、80代といった高齢の風俗嬢たちが、じわじわと増殖しており、そんな超超熟女たちを好む男性たちも増えつつある。そんな高齢者風俗の実態に迫ったのが、『高齢者風俗嬢』(洋泉社)を上梓したライターの中山美里氏だ。  いったいどうして、男性たちは“ババア!”と蔑んできたはずの高齢風俗嬢たちに魅せられてしまうのか? そして、彼女たちはなぜ風俗で働くのか? 超高齢化社会を迎えた日本に生まれつつある、新たな性産業に刮目せよ! *** ――本書では、70代、80代といった高齢の風俗嬢やAV女優たちに焦点が当てられています。なぜ中山さんは、彼女たちを取材しようと思ったんですか? 中山美里氏(以下、中山) もともと、ライターとしてアダルト産業や性風俗を取材していたのですが、80歳以上のおじいさんが風俗に通うことが珍しくないと聞いて、高齢者の性に興味を持っていたんです。そんな折、本書にも登場する74歳のAV女優の方にお話を伺ったところ、とても楽しみながら生き生きと仕事をしていることに驚きました。高齢者が元気を出すのに、セックスや恋愛はとてもいい効果を与える。そんな元気な高齢者風俗嬢にもっと話を聞いてみたいと思ったのが、取材を始めたきっかけでした。 ――まさに一億総活躍社会! でも、取材は難しそうですね。 中山 そもそも、働いている絶対数が少ないし、なかなか出会える存在でもない。風俗店に取材を申し込んでも、断られ続けました。高齢者風俗業界では、かつて違法な「本番店」が横行していて、取材もNGだったんです。しかし、近年ではだんだんと流れが変わってきて、取材OKのお店も多くなったことから、1冊の本にまとまるほどの取材ができるようになりました。 ――高齢者風俗店がクリーンになったからこそ、誕生した1冊なんですね。 中山 2010年、13年に巣鴨の超熟女専門店が摘発されたことをきっかけに、業界全体がだんだんと浄化されてきたんです。そもそも、かつてお店側では「熟女なんて売れるわけない」という先入観から本番を黙認していて、そこに別の需要があることに気づかなかったんでしょう。けれど、80歳の男性にとって60代なんてピチピチの女性だし、同じ80代ならガールフレンドとしても見ることができる。そういった需要が、高齢者風俗を支えているんです。 ――利用する男性高齢者も、いろいろな意味で「元気」だからこそ、成り立っているんですね。しかし、本書の中には、高齢の男性だけでなく、若い男性が高齢者風俗店の常連となっているケースも描かれています。 中山 10代のうちから、高齢者風俗店の常連になる人もいました。若い男性は「失敗したらどうしよう……」「早漏と思われないか……」などと不安になりがち。そんな不安を受け止めてくれるのが、超熟女たちなんです。 ――草食男子には、もってこいですね(笑)。 中山 また、男性をリードしてくれるのも、彼女たちの魅力。彼女たちは年齢を重ねて人生経験も豊富だから、インタビューをしていても話がはずみます。若い女性の場合は、会話もなかなか続かないし、こちらから話題を用意しないと何も話せない。それに、彼女たちはとても褒め上手で、プレイの最中に「優しそうな人でよかった~」「あら、アソコがすごく大きいわね~」などと、男性をノセてくれる。スナックのママのように、あしらいがうまいんです(笑)。 ――まさに“おもてなし”の精神! 高齢者風俗嬢へのインタビューでは、どんな話を聞くんですか? 中山 仕事のことももちろん聞きますけど、「イクってどんな感じ?」とか「濡れるの?」といった、なかなか普段は聞けないことも聞いていますね。70代の女性には「濡れるわよ!」って、怒られました(笑)。 ――70代でも濡れる!? 中山 「ローションは使わないの?」って聞いたら、「使うときもあるし、使わないときもある。それくらいわかるでしょ!」って(笑)。取材してわかったのが、高齢者でもほぼみんな濡れているし、イッている人も多いんです。男性の高齢者は勃ったり勃たなかったりですが、バイアグラを飲んだりして、前向きに楽しんでいますね。 ――ただ、自分の親世代の性事情を知るのって、正直、ちょっとキツイものがありますね……。 中山 そうですか? わたし昔、友達のお母さんが彼氏らしき人とラブホ街をイチャイチャ歩いてたのを見たことがあるので、それ以来、あんまり抵抗ないんですよ(笑)。 ――どうりで、週刊誌の「死ぬまでセックス」特集が売れるわけですね(笑)。では、彼女たちはどういう目的で、風俗で働いているのでしょうか? 中山 やっぱり、9割がお金のため。40~50代の女性だと、子どもの学費のためということもありますが、60代になると、ほとんどが自分の生活費で、パートに出るのと同じ感覚です。ただ、“お金のために仕方なく……”というネガティブな気持ちではない。そんなネガティブな気持ちだけだったら、お客さんが取れませんよね。 ――一般的には“風俗店に勤めている女性は、精神を病みがち”というイメージが強いですが、高齢者風俗嬢たちは、ある程度腹をくくっていて、ポジティブな方も多いんですね。 中山 ポジティブだし、ずうずうしいですよね(笑)。そして、言うまでもなく、女優さんみたいに美人なわけもなく、本当に巣鴨とか歩いてる普通のおばちゃんなんです。そんな人たちが、“自分の体が金になる”と思って、風俗業界に乗り込んでくるんですよ? 客観的に見たら、おっぱいも垂れてるし、おなかも出てるし、70代になると体にもシワが寄ってるのに。だから、メンタルは強いと思います。 ――いま書店では、風俗の負の側面にフォーカスをした本がたくさん並んでいますが、一方で、坂爪真吾さんの『性風俗のいびつな現場』(筑摩書房)のように、貧困女性やハンデを抱えた女性を支える社会インフラとしての面にも注目が集まっていますね。 中山 世間から思われているほど、風俗はネガティブな場所ではないんです。あとがきにも「セックスワークは堕ちる場所ではない。チャンスをつかむ場所なのだ」と書きましたが、お金を手にしたり、セックスで女性としての価値を見いだして生き生きしたり、承認欲求が満たされる場所でもある。決して、「悪い場所」というばかりではないんです。 ――女性である中山さんが語ると、とても説得力がありますね。ありがとうございました! ●なかやま・みさと 編集プロダクション・株式会社オフィスキング所属。ショーダンサー、訪問販売員などを経てフリーライターに。アダルトのジャンルで多く取材、執筆。著書に『漂流遊女』(ミリオン出版)、『ネット風俗嬢』(泰文堂)などがある。

マザーテレサもスティーブ・ジョブズもサイコパス!? 隣の“名もなき殺人者”『サイコパス』

psycopass1214
『サイコパス』(文春新書)
 凶悪な殺人事件の犯人を指す言葉として“サイコパス”がよく聞かれるようになった。サイコパスの頭の中は、いったいどんなことになっているのだろう? そんな半分怖いもの見たさの好奇心を満たしてくれる一冊が『サイコパス』(文春新書)だ。本書では、脳科学者の中野信子が、サイコパスの頭の中を詳しく解説している。  さて、サイコパスという言葉にはどんなイメージを持つだろうか? 猟奇殺人、異常性癖、尋常ならざる執着……。どれも想像するだけでゾッと鳥肌が立つが、本書によれば、歴史に名を残した多くの偉人がサイコパスであったというのだ。  ノーベル平和賞を受賞し、聖人となったマザーテレサ。多くの貧しい人々を救ったというイメージが濃いが、実際には援助した子どもや側近に対しては、とても冷淡だったそうだ。“奇跡”と呼ばれたその治療法も、キリストに祈りを捧げ、痛みに耐えるように繰り返し唱えるだけで医療的な行為は何一つ施さなかったことが、近年わかってきたという。誰でも受け入れるその一方で、誰にも愛着を持てないというのは、まさにサイコパスの特徴のひとつだそうだ。  サイコパスに共通しているのは「共感性が低いこと」と「恐怖を感じにくい」ということ。「共感性が低い」というのは、相手の顔を見て気持ちを察する部分が恐ろしく低いということだという。  動物を繰り返し罠に仕掛けると、罠を学習して反射的に慎重になる「恐怖条件付け」というものが備わるが、サイコパスは、恐怖を学習しないので、逮捕されるような大胆な殺人を犯し、しかも再犯率が高い。これが「恐怖を感じにくい」という特徴を顕著に表す事例だ。  この2点を含め、最新の研究で、サイコパスの脳内では一般人とは違う動きがあると判明している。サイコパスは、そもそも我々とは違う生き物だとはいえないだろうか?  実は、サイコパスは文明が進む中で登場した存在ではないという。アラスカ北西部の少数民族ユピックには「kunlangeta」という言葉が伝わっていて、意味は「くりかえしウソをついたり、騙したり、盗んだりする男」で、サイコパスのことを指している。同じ意味の言葉は世界各地に確認されており、アフリカの先住民族ヨルバ人の間には「arankan」というものがあり、こちらもサイコパスを意味しているという。  彼らは、どこからやってきたのか? 諸説ある起源の中で、特に目を引くのが「性急な生活史戦略仮説」。生物が進化する過程で、さまざまな危険と遭遇し、それを“恐怖”として学習し子孫に引き継いていった個体と、恐怖を学習しない個体がいたと仮定し、その恐怖を学習しない個体が密かに繁栄したのが、サイコパスの起源だというのだ。  驚くべき学説はほかにもある。サイコパスが、人類を進化させたというのだ。アフリカに起源を持ち、地球上を覆い尽くした人類。海を越え、山に入っていく中でその先頭を切ったのはサイコパスだったのではないかという説だ。なぜなら、彼らは恐怖を持たないので、危険が潜む場所にも物怖じせず分け入ることができたはずだからだ。  2000年代で一番有名なサイコパスとして取り上げられるのが、スティーブ・ジョブズである。斬新な製品を次々と発表したジョブズだが、コンピュータの知識があるわけでもなかった。しかし、天才的だったといわれるプレゼン能力と交渉能力で億万長者になった。一方で、Apple社内のスタッフや妻に対しては容赦のない追い詰め方をしたという。魅力的な言葉で他社を駒のように操る姿は、サイコパスと重なる。  ほか、多くの学説をそれぞれ照らし合わせながら、サイコパスを脳科学の観点から考察。多くのサイコパスは大衆に紛れているという。きっと、あなたのすぐ隣にも……。

子ども時代と地続きの関係の中で生きる楽しさと面倒くささ──「お笑い・プロレス・ドリームハイツ」三題噺でたどるサイプレス上野の足跡

161201_csu_048_1
 人気番組『フリースタイルダンジョン』のモンスターとして、ヒップホップ・リスナーの域を超えて知名度上昇中のサイプレス上野。テレビ番組やCMのみならず、本業の楽曲のほうでも新日本プロレスの新春東京ドーム興行の公式テーマを作成するなど、活動の幅は拡大中だ。そのサ上が、自身の半生を綴った書籍『ジャポニカヒップホップ練習帳』(双葉社)をリリース。『FSD』でのコミカルなキャラクターとも異なる一面が垣間見られる同書について、「お笑い・プロレス・ドリームハイツ」の3ワードを中心に話を聞いた。 *** ――『ジャポニカヒップホップ練習帳』(以下・練習帳)を読んで、一番気になったのが「俺達はラップの練習と平行して、漫才の練習もしてた」のくだりだったんです。漫才についてはその一文しか出てこないですけど。 上野 やりましたね。時期的には『ごっつええ感じ』大ブームの頃です。俺は兄貴がいたから、最初は『ゲンテレ(天才たけしの元気が出るTV!)』派だったんですよ。でも中学になっていい加減『ごっつ』見たほうがいいって雰囲気になって、見たら「なにこれ。超おもしれー!」(笑)。それに影響されて、お笑いの感度が高い連中と俺たちもやってみようという話になった。ボケ・ツッコミはジャンケンで決めて、10分だけ考える時間設けた後、漫才というかコントを作って、家の裏にあった森で披露しました。 ――まさにフリースタイルじゃないですか。 上野 でもガキだったんで、漫才を理論的に分かっていないんですよ。だからお笑いに詳しくて、ロジックを分かってるやつだけが笑いをかっさらっていきましたね。 ――上野さんのお笑いの原点は何なんですか? 上野 ドリフですかねえ。兄貴にムリヤリ見させられて、なんとか間に合ってる世代なんですよ。でもコントの途中に大仏が動き出したり、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』の「スイカ男」は怖くて泣いてたなー。『ひょうきん族』をあまり見なかったのは、ブラックデビルを怖く感じたせいのような。たぶん明るいお笑いを求めてたんでしょうね。それがそのうち、『お笑いウルトラクイズ』に触れて、俺はこっちのムチャやってるほうが好きだなと。 ――その頃、サ上さんはグループの面白いヤツとして君臨してたんですか? 上野 俺はトップではなかったし、ギャグでクラスを笑わせることはなかったです。そこはスノッブで、人のギャグに「つまんねーよ」とチャチャ入れてるようなタイプ。でもお笑いをことこまかく見てたから、他のヤツより詳しいことが多かったかな。
161201_csu_027_1
――ガキ大将タイプだったのかと勝手に思っていたんですが、『練習帳』を読むと決してそうではないですよね。業界やいわゆる“シーン”の中心に行かされそうになると拒んで、全体のバランスを気にしたりするタイプ、と自己分析されているくらいで。 上野 シンナー吸ってるヤツに「ジャイアン」と呼ばれていたぐらいなんで、暴君っぽい一面はあったかもしれないけど、中心には行きたくなかったです。でもカラダがでかかったから、行かざるを得なかったんですよ。隣の地区のグループとケンカした時、リーダー格のヤツに「おまえ、上野だろ?」と言われると、こっちは自覚ないから「え? 俺?」(笑)。こういう役目回ってくるのは、イヤだなと思ってました。 ――その時、サ上さんたちのグループのリーダーはどこに? 上野 その場に全然降りてこなくて、この先輩はダメだと小6で悟りました(笑)。結局、周りが自ら動かないヤツらばかりだったんで、やらざるを得なかっただけです。今も俺が立派な人みたいに見られることが多いけど、単純に相方の吉野と比較されることが多いから良く見られるだけで。 ――俺、出身が神奈川県大和市なんです。 上野 あ、地元近いじゃないですか。今もチャリでブラブラ行きますよ。 ――南にドリームランド、北行けばNORIKIYOさんが団地で悪さを働いていた相模原市があって、そんな危険地帯に囲まれているとは思ってませんでした。 上野 いやいや、大和こそマッドシティですよ!(笑) まあ当時のドリームランドは物騒ではありましたね。家まで暴走族が押しかけて金属バット振り回すようなこともあって、ぶちぎれた警察官のオヤジが追っかけまわしてました(笑)。コンビニのガラスにモノ投げて割ってる、やさぐれたヤツらもいたし。俺たちが健全に野球してたら、「パクられたチャリがここに置いてある。おまえの仕業だろ!」と因縁つけられたこともありましたね。「知らねーよ。ふざけんな!」とキレたら、どうもシンナー吸ってるワタって仲間(サ上とロ吉結成前に組んでいたユニット・ドリームラップスのメンバー)が勝手に持ってきてたみたいで……。そこで揉めてたら、ワタがまたパクッた原チャリに乗ってきたんですよ。そしてその様子を目撃して、そのまま逃げるという(笑)。そこから火蓋切られて、後処理が大変でした。 ――そういう荒れた部分が、サイプレス上野とロベルト吉野の曲にはあまり出てないですよね。 上野 ファーストアルバムで出してたらよかったのかもしれませんね。でも当時、そういうやんちゃや武勇伝みたいなのがだせーなと思ってたんです。危ない経験をして生きてきたことを主張するより、今のほうが楽しくない? って気分で。その頃、俺が音源リリースしたことがラップやめたワタには悔しかったらしく、文句言ってきたことから殴り合いのケンカになったりして、まだ昔話を語る余裕がなかったんです。
161201_csu_060_1
――それでヒップホップの定番でもある、過去を振り返る曲には向かわなかった。 上野 ヤンキー気質の不良って、勝ち上がって社長になるような野心が強くて、ビジネスに向かうヤツが多いんです。結果、猛勉強して若くして社長になったり、法律事務所を始めたりする。ろくな死に方しねーなと思ってたスケーターの後輩たちなんて、それぞれ一国一城の主になってますもんね。「え? おまえら、かなりやってるよね?」と思うようなヤツが税理士になって、今やタワーマンションに住んで、「先輩たちがドリームを守ってくれる」ですから。バカにしてんのかこいつらと(笑)。  でもそれって、自分を捨ててビジネスに徹する覚悟があるんですよ。ラッパーでも昔話系ができる人はひとつ“上がってる”人なんです。NORIKIYOくんとも、マジでしょうもないことを自慢しあってる時期から知ってるし(笑)。今の生活があるから昔を歌える。 ――人が変わったというより、ひとつステージがあがったんですね。 上野 そうなんですよ。でも俺は昔から地続きで延長線上なんで。街も飛び出してないし、いまだ毎週ヤサ(ドリームハイツの一室を仲間で買い取った作業部屋)で反省会してるし。「また揉めごと起こしたらしいじゃねーか」と説教してるのが36才で、「すいません」と謝っている後輩が35才(笑)。  変わらなきゃいけないのかなとも思うんですけど、変わったら変わったで周りが窮屈に感じるだろうし、仲間と決別するのもムリだと分かってるんで。そういえばこないだ後輩の女に、「最近、天狗になってる」ってしつこく言われました。その子に初めて会ったの、今年の夏なんですけどね!(笑) ――面倒な友達が多くても、縁を切りはしない? 上野 腐れ縁で、楽しいは楽しいんです。ただ何回もダメだと思ったし、疲れます。なんせ現役で揉めごとがあるんで(笑)。仲間に店のオーナーやってるヤツがいるんですけど、もともとヤンキー寄りだったのが改心してまっとうになったと思ったら、どうにも気質が抜けない。俺がその店に立つ話になったのに病気で行けなかった時、来店したヒップホップ好きが酔って、ずいぶん客に絡んだらしいんですよ。そうしたらそのオーナーが、「てめー、外出ろ! 二度と来るな!」と叩き出したみたいで。それ、オーナーのすることか? と(笑)。でもそっちのお客さんより、仲間を選びたいと思っちゃうんです。 ――ケンカも多いけど、和解も多いんでしょうね。 上野 「揉めたくない」が前提にあって、面倒くさいからすぐ仲直りしますね。それにどうしようもないヤツらばかりでも、ヒップホップによくある金持って逃げる事態はないかなと。多分ぎりぎりで踏みとどまるはず。そう言いながら、謎みっちゃん(サ上とロ吉と同じ、ZZ PRODUCTION所属アーティスト。ドリームハイツ出身)は踏み込む可能性あるかも(笑)。でもまだ信頼がギリギリ勝ってるな。 ――51対49くらいで。 上野 結局、厄介ごとを楽しむ癖がついちゃいましたね。
161201_csu_075_1
――あと『練習帳』は随所にプロレスの表現が散りばめられてますね。サ上さんのプロレス好きは有名ですが、ついに来年は新日本プロレス東京ドーム大会のテーマを担当するという快挙を。 上野 さすがに世界第2位の団体だけあって、古参のプロレス原理主義者から批判の雨あられを浴びました(笑)。「今までのテーマがよかった」って。それ、いつも聞いてるハードロックみたいなやつだろ? ジャンル違うんですが、と(笑)。でもその言いたくなる気持ちはすごくわかるんです、俺も。まぁ、そこに対する思いを全部喋ると総攻撃食らうんで、このへんにしといてください。 ――もともと団体はどこが好きなんですか。 上野 子どものころは新日、全日見て、FMW、W★ING、リングス……。ほぼほぼ全部見てました。近所の古本屋にすごい数の「週刊プロレス」のバックナンバーが置いてあったから、座って貪り読んでたんです。 ――近所の誰かがプロレス卒業して売ったんでしょうね(笑)。 上野 働き出した兄貴と金を出しあってそれ買って、けど兄貴もプロレスを卒業して全部捨ててました(笑)。俺もその時はプロレスを見てはいても、のれない時期だったんで……。新日の暗黒期で、大日(大日本プロレス)からザンディクがいなくなった頃ですね。 ――2000年代初頭ですか。 上野 それまでしょーもない大会に行って楽しんでいたはずなのに、面白がれなくなって肩落として帰るようなことが続いたんです。そのうちいろんなファンが入ってきても、もう俺だけのもんじゃねーんだ、みたいな気持ちにもなりました。「何も知らない新参者が……」と新規のファンを見下すイヤなプロレスファンになってしまった。 ――それこそ今、ヒップホップに新参者のファンが入ってきているのは、どう感じてるんですか。 上野 ヒップホップはプレイヤーとしてそこにいるんで、また違う感情なんです。ニトロが盛り上がった時は、「知らねーやつがのっかってきやがって」ってにわかヘッズを超憎みました。そこで「ライブはやるけど興味ない」みたいな態度をとって、新譜ばかりかけてる友達のDJとぶつかったりもして、一回ヒップホップから離れたんです。だから『フリースタイルダンジョン』前からヒップホップ好きだった人は、あの頃の俺みたいに歯がゆい気持ちなんじゃないですか。でもプレイヤーがそんなことを言ってもしょうがないんで、棚橋選手みたいに布教活動するのが役目なんだなと。ブームといっても一過性で、「即興でラップできてすごーい」だけじゃないですか。まだ何も開花してない。これから続けていくためにも、顔と音源を売らなければいけないなと思ってます。  でもプロレスに関しては、いっこ抜けた感があるんです。10何年前から誰もいない大会でよく顔をあわせる、女の子のファンがいたんですよ。ガラガラの客席で、リングサイドの反対側にいるから、お互いに意識はしていて。FREEDOMSの興行に行った時、その子に声かけられて、「おまえ、いつもいるよな?」と話をしたんです。ちょうどデスマッチで、周りに友達もいたからギャーギャー騒ぐじゃないですか。そうしたら前に座っていたオタに「静かにしてもらえますか!?」と怒られちゃった。  昔だったら「はあ? ここは騒ぐ場所だろ。おまえバカじゃねえ?」と突っかかっていったはずなんですけど、あ~もうそれを言う必要ないんだなって。その瞬間、後楽園ホールの天井に魂が抜けていった気がしたんです(笑)。 ――「もう自分の知ってるプロレスとは違う」と解脱しましたか。 上野 今、場外乱闘やっても、ファンがリングサイドの席から離れないから、若手がレスラーを止めたりしてるんですよ。昔は席がグシャグシャになって、気づいたら2階席からリングサイドに移動するような楽しみがあったのに(笑)。
161201_csu_053_1
――よくも悪くも今は整備されたんでしょうね。 上野 自分にとって、客のやばさも大事な要素だったんですよ。会場で社会不適合者と出会って、食らうじゃないですか。ずっと寝ているヤツがいたかと思えば、コーラの1.5リットルを何本も持ち込んでゴクゴク飲みながら実況してるやつがいて、それ観てるの好きだったな~(笑)。それも相手を見下すわけじゃなく、冬でも短パン、さらに金髪の俺を見て向こうも同じこと思ってただろうし。人生いろいろで、いろいろな楽しみ方があることを学べたのは、でかかったです。  それに比べると今、プロレスを見ていてもどこか冷静で、自分が熱狂してるか分からないんですよね。じゃあなんで行ってるのかといえば、自分を保つため会場に行ってるのかもしれない。リリック書くのが溜まってて煮詰まってるとき、家から遠い後楽園ホールにわざわざ出向くと、救われるというか。こないだも大日に行ったら、見られたのがセミのフォールからだったんですよ。でもメインマッチの内容がよかったんで、これでいいかなと納得して。 ――今は勝った負けたで一喜一憂はしていない? 上野 ないんですよ。そこは寂しいですね。テーマがある試合は気持ちが入るんですよ。でもそれも09年の葛西VS伊東(FREEDOMS・葛西純VS大日本・伊東竜二のデスマッチ対決。同年のプロレス大賞ベストバウトを受賞。参照)あたりで記憶が止まっている。あれもプロレス雑誌に載ってたバルコニーダイブの写真に俺が映ってるから、「これはやばいことが起こるぞ!」と自分の席外して向かってたんでしょうね。 ――サ上さんはやばい現場にいたい人なんですね。今、ほかに注目してる現場はありますか? 上野 ヒップホップもやばいヤツが現場にいなくなりましたからねえ。アイドル現場は取材でいくと、ファンが結構ちゃんとしていて健全だなと思う。今やばい空気が残ってるのは女子プロレスなのかなー。スカスカの後楽園で、リングサイドでずっと「うおー」とデス声出してるヤツは衝撃でした。人目もはばからず、ずっとカメラでバシャバシャ撮ってるヤツもいるじゃないですか。でも俺たちは自意識が強くてそれができなかった。『東京ポッド許可局』でいう「自意識が邪魔をする」ですね(笑)。だいぶ落ち込んで帰りましたねえ……。いつまでも女子レスラーのポートレートを買える人間でいたいですよ!(笑) (構成=鈴木工/写真=市村岬) ■サイプレス上野 ヒップホップ・ユニット「サイプレス上野とロベルト吉野」のMC。横浜市戸塚区ドリームハイツ出身。最近では『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)のモンスターとして知られるように。無類のプロレスファンでもあり、来年1月4日開催の「WRESTLE KINGDOME 11 in 東京ドーム」(通称イッテンヨン)のオフィシャルテーマソング「GET READY」を制作。MVがYouTubeで公開中<https://www.youtube.com/watch?v=JA6I_29dmWc> Twitter ID<@resort_lover> ■書籍情報 『ジャポニカヒップホップ練習帳』 今や地上波番組はもとよりテレビCMにも出演し、一般知名度も急上昇中のサイプレス上野の半生記。自分にとっての「ヒップホップとは何か?」がぎゅう詰めされた一冊。 著:サイプレス上野 発行:双葉社 価格:1400円(税別) http://amzn.asia/iLZWZwY

東北ソウルフードを喰らえ! 土山しげるのグルメ漫画『流浪のグルメ・東北めし』に腹が鳴る!

tohoku1214
『流浪のグルメ・東北めし』(双葉社)
『花のズボラ飯』(秋田書店)、『ダンジョン飯』(KADOKAWA エンターブレインBC)、『食戟のソーマ』(集英社)、『孤独のグルメ』(扶桑社)などなど、食べ物を描いた「グルメ漫画」は空前のブームとなっており、漫画界においてもひとつのジャンルとして確立されている。漫画家たちが描く美味しそうな料理の数々に食欲を刺激され、思わずヨダレを飲み込まずにはいられないこれらの漫画。しかし、そんなブームが訪れるはるか以前から、グルメ漫画ばかりを描き続けてきた漫画家がいる……。  哀川翔主演で映画化もされた『借王』(リイド社)で知られる漫画家の土山しげるは、『喧嘩ラーメン』『食キング』(以上、日本文芸社)、『極道めし』(双葉社)などなど、グルメ漫画のパイオニアとして数々の作品を発表してきた。現在も、定年を迎えた男によるひとり飯の美学を描く『野武士のグルメ』(幻冬舎)、平凡な中年サラリーマンが「オアシス」と呼ぶ小料理屋で晩酌を楽しむ『荒野のグルメ』(日本文芸社)を連載し、読者の食欲を刺激し続けている。そして、そんな彼の最新刊となるのが、『流浪のグルメ・東北めし』(双葉社)。週刊大衆で連載を続けるこの漫画には、知られざる東北グルメの数々が描かれている!  トラック・ドライバーであり「食先案内人」の異名を持つ錠二を主人公にしたこの漫画で、土山が描くのはありきたりの名物料理ではない。仙台・石巻・塩竈などの各地で、土山は、地元の人間しか知らないソウルフードを伝えていくのだ。  杜の都仙台にやってきた観光客を相手に、錠二が紹介するのは定番の牛タンではない。彼が案内するのは、中華料理店の上海ラーメン、朝市のコロッケ、喫茶店のバタートースト、味噌とんかつ……といった、仙台でなくても味わえる料理ばかり。しかし、そのすべては地元の人々の熱い支持を集めている「本物」の料理なのだ! また、石巻編では自家製ラー油が食欲を刺激する中華料理屋の味噌タンメン、開店と同時に売り切れる揚げパン、地元民に愛される寿司などを紹介し、その絶品な味わいに登場人物たちの舌は鷲掴みにされてしまう。もちろん、食漫画に対して誰よりも強いこだわりを持つ土山が描くソウルフードの数々や、それに喰らいつく登場人物たちの描写は、読者にその美味さを十二分に伝え、読んでいるだけで口の中にヨダレが溢れてくるはずだ。  作品中に登場する絶品の水煮肉片を出す中華料理店「昇竜萬寿山」は「成龍萬寿山」、味噌とんかつの「叶屋」は「とんかつ叶」など、すべての店には実在するモデルがあり、居ても立ってもいられない読者は、実際に食べに行くことも可能となっている。土山は、まるで旅行雑誌のごとく、知られざる東北グルメを高い筆圧で描き出しているのだ! 『流浪のグルメ・東北めし』が描くのは、どこでも食べられる普通の料理ばかり。しかし、どこにでもある料理だからこそ、その味は、東北に赴かなければ絶対に味わうことはできない。ぜひ、土山の描く東北ソウルフードに生唾を飲み込み、東北グルメ旅の計画を立ててほしい。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])