
著者近影
「あるある本」ブームも収束に向かいつつあるが、そんな中、トンデモないタイトルの「あるある本」が登場した。その名も『創価学会あるある』。公称の会員世帯数は827万世帯に上るマンモス教団でありながら、実態は見えづらい創価学会。非学会員からはうかがい知れない学会カルチャーを「あるある形式」でピックアップするという本だ。
たとえば、「学会員は日蓮を日蓮上人と呼ばれるとイラッとする」という最初のネタからして、ぜんぜんわからない。「聖教新聞はネガティブキャンペーンを張っているときのほうが筆がのっているように感じる」。ちゃんと読んだことはないけど、これはちょっとわかる。「池田先生の側近とも言える第一庶務は、池田先生のことを『モンスター』と呼んでいる」という、ちょっとドキッとするネタも載っている。
学会シンパ本でもなければ、アンチ学会本でもない。学会カルチャーや学会員の考え方などを紹介しつつ、創価学会や池田大作に対する辛らつな意見やスキャンダルについても具体的に書いてあり、“すぐ隣に存在する異次元世界”を理解するガイドとして気軽に楽しめる一冊になっている。
著者の「創価学会ルール研究所」さんは、キャリア30年以上のバリバリの創価学会員とのこと。今回は匿名を条件に、直撃インタビューが実現した。
■「Fを取る」「命に入る」…学会員ならニヤリとする「学会言葉」
――まずは、この本を書こうと思ったきっかけを教えてください。
研究所 縁あって、編集の方から「創価学会ネタで『あるある本』を書かないか」と提案をいただいたことがきっかけです。企画書を見て、1秒もたたないうちに「あ、これは書けます」とお返事しました(笑)。ただ、内容が内容なだけに、名前を出すと厄介なことになりそうなので……。
――厄介なこととは、どんなことなのでしょう?
研究所 自分としては中立の立場で書いているつもりですが、創価学会の公式見解とは違うことも書いてありまして、そうなるとマークされてしまう可能性があります。そこで今回は匿名という形にさせていただきました。
――ちなみに、この本を書いたことを周りの人にはお話しされたんですか?
研究所 何人かには話しました。モノがモノだけに、みんな二の句が継げなくなりますね(笑)。本を渡しても、そそくさとカバンにしまったり。
――学会の方たちには?
研究所 言ってません。だから、リアクションがまだわからないんですよね。
――「あるある本」ということは、ここに書かれていることは学会員の方たちが共有、あるいは共感するような事柄だということでしょうか?
研究所 たとえば、創価学会の御本尊を勧誘する人に渡す「本尊流布」のことを「ほんる」と略したり、ほとんど活動をしていない学会員のことを「未活」と呼んだりするような学会内の用語に関してはそうですよね。「Fを取ろう」(※選挙活動における票取りのこと)とか「命に入る」(※学会の教えをしっかり理解すること)とかは日常的な会話に出てくるので、学会員の人も読めば思い当たるでしょう。
――第1章の「学会言葉の世界」のネタですね。
研究所 一方で、「捨て金庫事件」(※1989年、横浜市のゴミ処分場で2億円近く入った金庫が発見されたが、のちに持ち主が創価学会の経理担当者だと判明した事件)や「竹入・矢野の退会事件」(※元公明党委員長の竹入義勝と矢野絢也が脱会。学会がバッシングを繰り広げた事件)のような学会のスキャンダルについても書いていますが、それは少人数のグループになったとき話題に出るような感じです。
――身内だったり、お酒の場では話題に上ると。
研究所 特に私だけが突っ走っているわけではないと思います。ただ、竹入・矢野の事件などはちょっと前の話なので、若い学会員は知らないかもしれませんね。
――スキャンダルに関しても、学会の公式声明を真に受けない学会員が増えてきたということでしょうか?
研究所 疑問がないことはないでしょうが、形にできない、言葉にできない学会員は多いと思います。教えを守っていれば自分の人生が開けると考えている学会員は、まだまだ多いですからね。
――聖教新聞しか読まないような方が多いと。
研究所 そうですね。聖教新聞がすべて正しいと思っている学会員は多いです。
――でも、聖教新聞を読む一方で、日刊サイゾーを読む学会員もいるわけですよね(笑)。
研究所 いてもおかしくはないです(笑)。ウェブのニュースは、みんな読んでいるでしょう。ただ、ネットを見ると創価学会の悪口はゴマンと出てきますが、大手メディアは学会の話題をまったく取り上げませんよね。だから、学会員がネットで学会への批判的なニュースを見ても、あまりなんとも思わないんです。
■元ヤクザでもDV男でも“役に立つ”人間になれば全部チャラ!
――「平和教育文化を推進する学会員だが、平和教育文化に関して自分なりの意見や活動はほとんどない」という“あるある”はリアルで面白かったです。
研究所 学会員は、学会に入ることイコール平和教育文化に貢献していると自動的に考えているんですね。平和教育文化について具体的に何か考えているわけではない。だから、楽なんですよ。池田大作は平和教育文化について貢献しているから、毎日世界中から勲章をもらっていますよね(笑)。その池田大作に従っている自分も自動的に貢献していることになっているわけです。それでいて世界の問題を解決するムーブメントの中に身を置いている、と思っているんですね。あくまでも、そんな気になっているだけですけど(笑)。創価学会に入って、池田先生の言うことに従っていればいいという設定になっているわけです。
――学会員の主な目的は「ほんる」と「F活動」の2つなんでしょうか?
研究所 そうですね。その2つさえできていれば、多少悪いことをしたような人でも受け入れられます(笑)。人殺しはさすがに難しいでしょうが、盗みで刑務所に入ったことがあったり、DVが大好きな男だったりしても、「ほんる」して「F」をたくさん取れば、すべてチャラ。
――すごい。シノギの世界みたいだ。
研究所 昔、シノギの世界にいた人も大勢いますよ。私も何人か会いました(笑)。どれだけ嫁を泣かせていようが、シャブを打っていようが、池田先生の弟子になればオッケー! という考え方ですね。
――さすがにシャブを打ったままではダメですよね?(笑)
研究所 ダメです。でも、たまにまた捕まったりする人もいますけど(笑)。
――「学会員もいろいろいるので、急に蒸発しちゃう人や逮捕されちゃう人もいる」というネタですね。
研究所 だいたい元ヤクザのような人のほうが、実行力があるんですよ。実務能力も高いし、処世術にも長けているので、人を勧誘するのは真面目な信徒よりうまいんです。昔シャブやってたような人が、いつの間にか地域の部長になって学生たちを指導していたりする。で、その人がまたシャブで捕まって、急にいなくなったりするんです(笑)。
――本の中に、創価学会は「貧乏人と病人と訳ありな人物の集まり」という表現があります。「暴走族だった人が、地元の学会のリーダーに」というネタもありました。
研究所 雑食性が学会の面白いところですね。そのへんのものは、なんでも食べちまえ的な(笑)。訳ありの人間でも役に立たせてしまう再生力は、すごいものがありますね。池田大作という人が、そういう人だったと思うんです。貸金業、今でいうサラ金みたいな仕事でのし上がって、選挙で勝ちまくって、今の地位を築いたわけです。メディアには金をバラまいて、公明党を徹底的に利用して、矢野絢也氏に税務調査の妨害を指示したりする。トンデモない人間ですよね。そのあたりの話は、『乱脈経理 創価学会vs国税庁の暗闘ドキュメント』(矢野絢也/講談社)に詳しく描かれています。
――本にも書いてありましたが、50議席を獲得して維持しているってすごいことですよね。幸福実現党があんなに頑張っても、1議席も取れないわけですから。
研究所 大川隆法は一度学会に入って、やり方を習ったほうがいいと思います(笑)。頭はいい人だと思うから、元ヤクザとか元シャブ中とか暴力亭主を、票が取れる人間に変える方法を学べばいいと思いますよ。営利を目的に活動しているすべての人たちは、学会に学ぶところがあると思います。
■池田大作は、なぜ側近から“モンスター”と呼ばれているか?
――この本には、あるあるネタとは別に、「池田先生のすごいところ」という一種の“池田大作論”が記されていました。「ドリームメイカー」という表現も使われていましたが、あらためて池田大作のすごいところとは、どのような部分なのでしょうか?
研究所 結局、池田大作によって、それまでの人生では就けなかったようなポジションに就けた人がたくさん現れたわけですよね。そういう意味では、池田大作の実行力、実現力はすごいですよ。これを30年、40年やり続けている人はいませんから。その代わり、宗教ということでタダ働きの人がたくさんいたり、税務調査潰しを指示したりするんですけど。たくさんボロは出ていて、信徒の人たちも気づいていると思いますが、実利で帳尻を合わせている。その決定力がすごいと思いますね。
――「池田先生の側近とも言える第一庶務は池田先生のことを『モンスター』と呼んでいる」というようなネタは、どこから仕入れてくるんですか?
研究所 単純に、直接聞いた話ですね(笑)。池田大作が現場でバリバリやっていたときは、夜中であろうが構わずいろいろな指示や命令が飛んできたそうです。あと、極めて黒に近いグレーなミッションをこなさなければいけない不条理な状況に遭遇したりするときは、「ちょっとこの人はモンスターだな」と思わざるを得なかったということでしょう。
――池田氏に対する認識は、学会員たちと共有しているものなのでしょうか?
研究所 うーん、揺れている人はかなりいると思います。
――本にも書かれていましたが、それが今の学会の活気のなさ、求心力の低下につながっていると。
研究所 そうですね。学会は宗教として考えるなら、グレーの部分があってはいけないんです。白なら全部白でなければならない。ただ、公明党や周りの外郭団体、利権につながるような組織にいる人たちは学会で食べていますから、池田大作の多少のゴシップやマイナス面を踏まえた上で行動しているはずです。
■そんなにオイシイわけではない「学会タレント」
――「活躍する学会タレント」という学会員の芸能活動について書かれた章があります。「『学会タレントは芸能界で有利である』という噂があるが、そうでもない」や「学会タレントが学会員であることを隠すのは、広告対策が理由の一つだ」などのリアルなネタが多いのですが、「池田先生が芸術部の、特定の芸能人を褒めてあげることはある」というネタもありました。どなたの名前が挙がったのか、教えてもらうことはできますか?
研究所 ご迷惑をかけるといけないので、具体的な名前を挙げるのは避けさせていただきたいのですが、池田大作は学会タレントが所属する「芸術部」を、とにかく立てるんです。学会のイベントになると、芸能人とスポーツ選手と政治家が、ずらっと並びますよ。これだけそろったら、けっこう視聴率いくんじゃない? と思うような顔ぶれです(笑)。ハービー・ハンコックが来ていたのは見ましたね。あと、オーランド・ブルームが「牙城会」に入りたがっているとか(笑)。
――ええっ。牙城会というのは、学会本部を警備する組織のことですよね。
研究所 はい、女性会員たちの間では、かなり話題になっていましたよ。
――「都市伝説学会タレント」という表現がありますが、実際には学会員ではないのに学会員だとウワサされているタレントもいるということですが、具体的にはどなたなんでしょう?
研究所 これも誰が学会員で、誰が学会員ではないか、ということを明確に言及するのは避けています。たとえば、石原さとみさんが創価高校出身なのは事実ですが、現在、信心されているかどうかはわかりませんからね。
――なるほど。
研究所 間違えられている現状そのものが面白い、というスタンスです。ただ、学会タレントと共演している人は間違えられやすいですね。あとは、「パンプキン」や「第三文明」などの学会関連雑誌に出る人。実際は、登場している全員が学会員というわけではありません。「灯台」は学会員が多いかな。あと、男性アイドルをめぐる学会員のウワサが多いですが、実際は10分の1ぐらいですね。
――先輩タレントが後輩タレントを折伏(※学会に勧誘すること)することもあるのでしょうか?
研究所 実は、逆のケースが多いんですよ。後輩が先輩に「学会に入りたい」と言ってくることが結構あるんです。もちろん、事務所的にアウトですけどね。
――学会がタレントを売り出そうとしているわけではない?
研究所 芸能事務所は、すでに力がありますからね。そこに学会が介入しても、あまり意味はないかなと思います。
■3年は姿を見ていない……池田大作Xデーは、もう訪れている!?
――本の最後に、著者なりの創価学会への見方が披露されています。「学会の未来は明るい」ということですが、これはどういうことでしょう?
研究所 学会は“地肩が強い”んです。学会の支持層や活動している人は、ロウワークラスの人が多いんですね。学会に代わる彼らの受け皿は、世の中に存在しません。別の組織が創価学会の真似をすればよかったんですけど、そういう組織は現れませんでした。たぶん、学会の汚れ仕事を厭わないような部分を真似できなかったんでしょうね。結局、創価学会が求められることになるんです。
――「プア集団の受け皿」と書かれていますね。よく言えば“セーフティネット”なんでしょうけど。
研究所 ドロップアウトした人たちを救って、彼らに“幸せだった”と思える人生にしてあげている、ということなんです。本人が幸せだったと思えればいいですからね。宗教に力があるのかどうかわかりませんが、何かに一生懸命打ち込んでいれば、いいことが起こりますからね。劇的に自分が変わったように思えることもあります。すると、信心はすごい、池田先生はすごい、となるでしょうね。一方で、エリート層からの受けは相変わらずよくないだろうな、とも思います。
――日本が貧しくなればなるほど、創価学会は強いと。
研究所 結局、やっていることが泥臭いんです。選挙もずっとドブ板選挙で、地上戦に極めて強い。今でも自民党のキンタマ握っていますからね。そのあたりは、池田大作の政治的な嗅覚だと思います。
――こういう質問をすると怒られそうですが、池田氏のXデーは、学会のみなさんは想定されているのですか?
研究所 学会の人間はしていると思います。話には出ますけど、大声では言わない感じです。「先生がいなくなった後は、私たちが頑張らないといけないよね」という話にはなりますね。
――Xデー後の学会は、どうなると思われますか?
研究所 しばらくは変わらないでしょう。池田大作が作ってきたマニュアルを上層部がしっかり踏襲して、このままプア集団を受け入れていくと思います。ただ、やっぱり池田大作が出てきて講演すると盛り上がるんですよ。学会以外の人が聞いても、クソつまらないと思いますけど(笑)。
――今年も講演はされたんですか?
研究所 声は聞きましたが、動く池田大作はまだ現れていません。もう3~4年、姿を見せていないです。だから、もうXデーは訪れているんですよ。池田大作がいないという想定で、いろいろなことが進んでいますから。急激な瓦解はないと思います。
――最後に、研究所さんは脱会の意思はないのですか?
研究所 ないですね(即答)。学会員だということが、自分の中では面白いと思っていて。あと、学会員が使えることもあるんですよ。面倒くさい付き合いやコミュニティに入ってしまったときは、学会の話をするといいんです(笑)。みんな、パッと去っていきますから。今日早く帰りたいな、というときは、学会の話をすると、みんなのトーンが下がりますからね(笑)。非常脱出装置として使いやすいんです。
――意外な活用法があるんですね(笑)。
研究所 みなさんも、ぜひお使いください。ただし、「あいつ、学会員だぞ」とウワサされることになりますが(笑)。僕は最初からレッテルが貼られているから、関係ないんですよ。
(構成=大山くまお)