劔樹人32歳、あるときは「神聖かまってちゃん」「撃鉄」のマネジャー、またあるときは鬼束ちひろに振り回されるネット番組の司会者。そしてバンド「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシストとしてライブ活動をし、最近は雑誌の連載なども手掛ける。
取材部屋に着いた彼に「インタビュー中も写真撮ります」と伝えても、「はい」と答えるばかりで髪形も衣服も全く整えようとする気配がない。これは人前に出る人間なのか、それとも裏方なのか......かたくなに素のままで勝負しようとする彼の正体を暴くべく、話を聞いた。
――今日はよろしくお願いします。ぶしつけですが、いつも前髪短いですね。
劔樹人(以下、劔) これ自分で切ってるんですよ。僕、初対面の人への苦手意識が強くて、大学以降は美容院に行くのやめちゃって、自分で切るようにしたんです。そうするとこれが不思議なことに、見える範囲は切れるけど、見えないところは切れないっていう問題が出てきまして。
――目が前に付いてるから、前髪をたくさん切っちゃうと。
劔 そうなんです。それにカッコつけたい気持ちはめちゃくちゃあるんですけど、僕がモテヘアとかしたら「お前がやったら馬鹿だろう」って言われるんじゃないのかなって。
――誰にですか?
劔 分かんないですけど、言われるんじゃないですかねえ。僕、この変な自意識が昔からほんと治らないんですよ......。
――そんな劔さんは最近、活動の幅が広すぎて、もはや何の人か分からない感じになってきてますけど、本業はバンドのマネジャーさんですよね。
劔 株式会社パーフェクトミュージックの社員として、マネジメントやプロモートをしてます。
――パーフェクトミュージックに入ったきっかけは?
劔 渋谷の「LUSH」っていうライブハウスでブッキングのバイトをしてたときに、今の社長から誘われたんです。そのときにちょうどネットで見たかまってちゃんが気になっていたので、会社に入ってかまってちゃんのマネジメントを始めたって感じですね。
――本業以外の仕事に関して、会社は寛容なんですか?
劔 うちの社長は、僕にアーティストっぽいことをやらせたいって気持ちがちょっとあるんです。僕も頼まれたことはやりたいと思ってるので、いろいろやらせてもらってます。ただ、僕が逮捕されたときの肩書きは「会社員」になると思いますし、お給料もいただいてるのでそこは裏切れないという感じですね。
――かまってちゃんのファンからは「5人目のメンバー」として見られていると思うのですが、マネジャーが目立つことについてはどうお考えですか?
劔 僕の場合、狙ってやったわけじゃなくて、成り行きでそうなったんですが......。ただ、バンドを"自分を含めて見せる"ことで、ほかと差が生まれるならそれも悪くないんじゃないかなって気はしてます。それに昔から「自分の名前で仕事したい」という夢があるので、それにちょっとは近づいてきてるのかなと。
――前に出ることで批判を受けることはありますか?
劔 もう批判なんて死ぬほどありますよ。僕を"サポートする人間"だと思ってる人は「でしゃばんなよ」とか「プロフェッショナル性に欠ける」って言いますし。でも「頑張るんで許してください」としか言えないっすよ......。
――自身のブログでも「調子に乗ってる」と言われることへの恐怖心について綴ってらっしゃいましたが。
劔 その恐怖心はめちゃくちゃありますね。僕、本当に調子にだけは乗りたくないと思ってるんです。初心を忘れると必ずツライ目に遭うし、上に行ったところで落ちるんで。
――昨年4月に公開された映画『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(入江悠監督)では、重要な役どころを演じてましたが、出演オファーが来た時、"その恐怖心"はよぎりませんでしたか?
劔 あのときは一応、劇中にドキュメンタリーシーンがあって、そこに自分がいたんで、自分が演じざるを得ない......っていうのを言い訳に自分の中で納得しましたね。でも僕もずっとバンドをやってる人間なので、"出たがり"っていうのは否めないというか......。でも一流の裏方の人は表には出てこないから、やっぱり僕って中途半端ですよね......。
――でも劔さんが器用だからこそなせるワザですよね。
劔 器用貧乏ってやつですかね。でもそのせいでほかにない感じの立ち位置にはなってきたので、これからは道なき道を行くのみって感じです。
■中心人物になるのは最初っからあきらめている
――映画のほかにも、昨年9月にスタートした『鬼束ちひろの包丁の上でUTATANETS』(ニコニコ動画)にMCとして出演されてますが、毎回どんな心境でやられてるんですか?
劔 普通の司会をやるならプロの司会者や芸人さんがやったほうがうまいわけですから、僕は自分の立場を考えて「鬼束さんに振り回されつくさないと」って気持ちでやってます。あんなにエネルギーがあって人間力の高い人と接することってあまりないので、毎回わくわくしてますね。鬼束さんて台本とか関係ないし、何考えてるのかは全然分からないので、不安はめちゃくちゃありますけど。
――番組中は、鬼束さんも楽しそうですよね。
劔 鬼束さんがやりたいと言ったことをやってる番組ですから。「闇鍋やりたい」とか「黒ひげ危機一発やりたい」って言ったら、単純にそれをやるだけです。みんな鬼束さんのことを「変わった」って言いますけど、鬼束さんが昔に出た『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の「テレフォンショッキング」の動画とか見ると、外見以外はそんなに変わってないんですよ。
――みんなが気付かなかっただけなんですね。さらに昨年は、杉作J太郎さん主催の『エアセックス世界大会』で優勝されたとか(笑)。
劔 あれは別に僕が普段からエアセックスをやってたわけじゃなくて、杉作さんからある日、「いざ鎌倉」ってタイトルのメールが送られてきて、何だろうと思って見たら「エアセックス選手の皆さんお疲れ様です」って大会の詳細が送られてきたんですよ。「いざ鎌倉」と言われたらもうやるしかないじゃないですか。そしたら優勝してしまったっていう。まあ、ビギナーズラックですよ。
――どこが評価されたんですか?
劔 審査員の評では、「エアセックスの世界に『顔芸』という新しい風を吹き込んだ」って言われました。その場にいた杉作さんや吉田豪さんが、昔から僕の顔を面白いって言ってくださるんですよ。
――そんな活動の一方で、ピアニカ・ダブエレクトロバンド"あらかじめ決められた恋人たちへ"のベーシストとしてクールなプレイを見せてますが。
劔 あれは池永正二っていう中心の人がいて、そっちの世界観に引っ張られてるんです。僕、そもそもああいうかっこいい感じのことをやる人間じゃないんで、ほかでしょぼい感じにしてバランスをとらないと気が済まなくて。
――の子さんのような"中心人物になりたい"という気持ちは?
劔 それはもう最初からあきらめてます。僕は若い頃から自分の限界を常に意識してて、何かやりたくても自分ができないなと思ったら、「それを支える立場だったらできるんじゃないか」ってほうにシフトしてきたんです。それがバンドのベーシストであったり、マネジャーであったり、司会進行の男であったりするんだと思います。
――そんな活動の広さが評価されて、昨年末には『大根仁が選ぶ2011 マン・オブ・ザ・イヤー』を受賞されたわけですが。
劔 昨年は、自分のバンドもそれなりに人気が出てきたし、いろいろやることによって、まとめていい感じになれたかなとは思ってます。
■アイドルをプロデュースしたい!
――ところで劔さんといえばアイドル好きとしても有名ですが、現在はKARAにお熱だそうで。KARAの魅力は?
劔 KARAはみんなかわいいし、キャラも立ってるし、戦隊ものみたいな感じがいいですよね。でも実はKARAって、韓国ですごい苦労してたストーリーがあるんですよ。そういう雑草魂も含めてグッとくるんですよね。
――劔さんにとってKARAとはどんな存在ですか?
劔 ふと一人になった時に、唯一考えることですね。そこを持っとけば足取りも軽く歩いていこうって気持ちになれるっていうか。そうでなかったら気の重いことばっかりなんで。
――劔さんの推しメンはどなたですか?
劔 二コルなんですけど、これもまた悩んでて......。最近、メンバーの人間性を見てたら、僕と性格が合うのはハラちゃんじゃないかって思いだしちゃって......。ハラちゃんの男らしい性格とかを見てると、「この子はきっと僕のことを分かってくれるなあ」みたいなことを勝手に思うんですよね。それからというもの、ほんと......ちょっと......どうしよう......。いっそのこと、二コルに一度、フラれたらいいと思うんですけど、会ったこともないし......。
――悩んでるんですね......。劔さんはよく「アイドルグループを作りたい」と発言されてますが、具体的な構想はありますか?
劔 Perfumeやバニラビーンズみたいに、音楽で付加価値を付けたいですね。そのほうがブレてなくていいと思うんです。音楽性をどんどん変えることで失敗し続けてるアイドルって、大人に振り回されてるみたいでかわいそうじゃないですか。だからアイドルが一緒に成長していく感じは、音楽も込みで見てみたいなって思います。今年はそこまで手がまわれば、ぜひアイドルを作りたいですね。
――今日はいろいろお話いただきありがとうございました。最後に日刊サイゾー読者へメッセージがあれば。
劔 僕、男気への憧れがずっとあって、『トラック野郎』(菅原文太演じる"一番星桃次郎"が主人公の映画シリーズ)が大好きでして。より具体的に自分の中に『トラック野郎』イズムを入れるために、今後、星柄の服を中心に着ていくことに決めたんです。だから星柄の服があったらみなさん教えてください!
(取材・文=林タモツ)
●つるぎ・みきと
1979年新潟県生まれ。「神聖かまってちゃん」、「撃鉄」のマネジャーを務めるかたわら、「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベース担当。(株)パーフェクトミュージック所属。
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「調子にだけは乗りたくない!」サブカル界を賑わす"劔樹人"って誰?
劔樹人32歳、あるときは「神聖かまってちゃん」「撃鉄」のマネジャー、またあるときは鬼束ちひろに振り回されるネット番組の司会者。そしてバンド「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシストとしてライブ活動をし、最近は雑誌の連載なども手掛ける。
取材部屋に着いた彼に「インタビュー中も写真撮ります」と伝えても、「はい」と答えるばかりで髪形も衣服も全く整えようとする気配がない。これは人前に出る人間なのか、それとも裏方なのか......かたくなに素のままで勝負しようとする彼の正体を暴くべく、話を聞いた。
――今日はよろしくお願いします。ぶしつけですが、いつも前髪短いですね。
劔樹人(以下、劔) これ自分で切ってるんですよ。僕、初対面の人への苦手意識が強くて、大学以降は美容院に行くのやめちゃって、自分で切るようにしたんです。そうするとこれが不思議なことに、見える範囲は切れるけど、見えないところは切れないっていう問題が出てきまして。
――目が前に付いてるから、前髪をたくさん切っちゃうと。
劔 そうなんです。それにカッコつけたい気持ちはめちゃくちゃあるんですけど、僕がモテヘアとかしたら「お前がやったら馬鹿だろう」って言われるんじゃないのかなって。
――誰にですか?
劔 分かんないですけど、言われるんじゃないですかねえ。僕、この変な自意識が昔からほんと治らないんですよ......。
――そんな劔さんは最近、活動の幅が広すぎて、もはや何の人か分からない感じになってきてますけど、本業はバンドのマネジャーさんですよね。
劔 株式会社パーフェクトミュージックの社員として、マネジメントやプロモートをしてます。
――パーフェクトミュージックに入ったきっかけは?
劔 渋谷の「LUSH」っていうライブハウスでブッキングのバイトをしてたときに、今の社長から誘われたんです。そのときにちょうどネットで見たかまってちゃんが気になっていたので、会社に入ってかまってちゃんのマネジメントを始めたって感じですね。
――本業以外の仕事に関して、会社は寛容なんですか?
劔 うちの社長は、僕にアーティストっぽいことをやらせたいって気持ちがちょっとあるんです。僕も頼まれたことはやりたいと思ってるので、いろいろやらせてもらってます。ただ、僕が逮捕されたときの肩書きは「会社員」になると思いますし、お給料もいただいてるのでそこは裏切れないという感じですね。
――かまってちゃんのファンからは「5人目のメンバー」として見られていると思うのですが、マネジャーが目立つことについてはどうお考えですか?
劔 僕の場合、狙ってやったわけじゃなくて、成り行きでそうなったんですが......。ただ、バンドを"自分を含めて見せる"ことで、ほかと差が生まれるならそれも悪くないんじゃないかなって気はしてます。それに昔から「自分の名前で仕事したい」という夢があるので、それにちょっとは近づいてきてるのかなと。
――前に出ることで批判を受けることはありますか?
劔 もう批判なんて死ぬほどありますよ。僕を"サポートする人間"だと思ってる人は「でしゃばんなよ」とか「プロフェッショナル性に欠ける」って言いますし。でも「頑張るんで許してください」としか言えないっすよ......。
――自身のブログでも「調子に乗ってる」と言われることへの恐怖心について綴ってらっしゃいましたが。
劔 その恐怖心はめちゃくちゃありますね。僕、本当に調子にだけは乗りたくないと思ってるんです。初心を忘れると必ずツライ目に遭うし、上に行ったところで落ちるんで。
――昨年4月に公開された映画『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(入江悠監督)では、重要な役どころを演じてましたが、出演オファーが来た時、"その恐怖心"はよぎりませんでしたか?
劔 あのときは一応、劇中にドキュメンタリーシーンがあって、そこに自分がいたんで、自分が演じざるを得ない......っていうのを言い訳に自分の中で納得しましたね。でも僕もずっとバンドをやってる人間なので、"出たがり"っていうのは否めないというか......。でも一流の裏方の人は表には出てこないから、やっぱり僕って中途半端ですよね......。
――でも劔さんが器用だからこそなせるワザですよね。
劔 器用貧乏ってやつですかね。でもそのせいでほかにない感じの立ち位置にはなってきたので、これからは道なき道を行くのみって感じです。
■中心人物になるのは最初っからあきらめている
――映画のほかにも、昨年9月にスタートした『鬼束ちひろの包丁の上でUTATANETS』(ニコニコ動画)にMCとして出演されてますが、毎回どんな心境でやられてるんですか?
劔 普通の司会をやるならプロの司会者や芸人さんがやったほうがうまいわけですから、僕は自分の立場を考えて「鬼束さんに振り回されつくさないと」って気持ちでやってます。あんなにエネルギーがあって人間力の高い人と接することってあまりないので、毎回わくわくしてますね。鬼束さんて台本とか関係ないし、何考えてるのかは全然分からないので、不安はめちゃくちゃありますけど。
――番組中は、鬼束さんも楽しそうですよね。
劔 鬼束さんがやりたいと言ったことをやってる番組ですから。「闇鍋やりたい」とか「黒ひげ危機一発やりたい」って言ったら、単純にそれをやるだけです。みんな鬼束さんのことを「変わった」って言いますけど、鬼束さんが昔に出た『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の「テレフォンショッキング」の動画とか見ると、外見以外はそんなに変わってないんですよ。
――みんなが気付かなかっただけなんですね。さらに昨年は、杉作J太郎さん主催の『エアセックス世界大会』で優勝されたとか(笑)。
劔 あれは別に僕が普段からエアセックスをやってたわけじゃなくて、杉作さんからある日、「いざ鎌倉」ってタイトルのメールが送られてきて、何だろうと思って見たら「エアセックス選手の皆さんお疲れ様です」って大会の詳細が送られてきたんですよ。「いざ鎌倉」と言われたらもうやるしかないじゃないですか。そしたら優勝してしまったっていう。まあ、ビギナーズラックですよ。
――どこが評価されたんですか?
劔 審査員の評では、「エアセックスの世界に『顔芸』という新しい風を吹き込んだ」って言われました。その場にいた杉作さんや吉田豪さんが、昔から僕の顔を面白いって言ってくださるんですよ。
――そんな活動の一方で、ピアニカ・ダブエレクトロバンド"あらかじめ決められた恋人たちへ"のベーシストとしてクールなプレイを見せてますが。
劔 あれは池永正二っていう中心の人がいて、そっちの世界観に引っ張られてるんです。僕、そもそもああいうかっこいい感じのことをやる人間じゃないんで、ほかでしょぼい感じにしてバランスをとらないと気が済まなくて。
――の子さんのような"中心人物になりたい"という気持ちは?
劔 それはもう最初からあきらめてます。僕は若い頃から自分の限界を常に意識してて、何かやりたくても自分ができないなと思ったら、「それを支える立場だったらできるんじゃないか」ってほうにシフトしてきたんです。それがバンドのベーシストであったり、マネジャーであったり、司会進行の男であったりするんだと思います。
――そんな活動の広さが評価されて、昨年末には『大根仁が選ぶ2011 マン・オブ・ザ・イヤー』を受賞されたわけですが。
劔 昨年は、自分のバンドもそれなりに人気が出てきたし、いろいろやることによって、まとめていい感じになれたかなとは思ってます。
■アイドルをプロデュースしたい!
――ところで劔さんといえばアイドル好きとしても有名ですが、現在はKARAにお熱だそうで。KARAの魅力は?
劔 KARAはみんなかわいいし、キャラも立ってるし、戦隊ものみたいな感じがいいですよね。でも実はKARAって、韓国ですごい苦労してたストーリーがあるんですよ。そういう雑草魂も含めてグッとくるんですよね。
――劔さんにとってKARAとはどんな存在ですか?
劔 ふと一人になった時に、唯一考えることですね。そこを持っとけば足取りも軽く歩いていこうって気持ちになれるっていうか。そうでなかったら気の重いことばっかりなんで。
――劔さんの推しメンはどなたですか?
劔 二コルなんですけど、これもまた悩んでて......。最近、メンバーの人間性を見てたら、僕と性格が合うのはハラちゃんじゃないかって思いだしちゃって......。ハラちゃんの男らしい性格とかを見てると、「この子はきっと僕のことを分かってくれるなあ」みたいなことを勝手に思うんですよね。それからというもの、ほんと......ちょっと......どうしよう......。いっそのこと、二コルに一度、フラれたらいいと思うんですけど、会ったこともないし......。
――悩んでるんですね......。劔さんはよく「アイドルグループを作りたい」と発言されてますが、具体的な構想はありますか?
劔 Perfumeやバニラビーンズみたいに、音楽で付加価値を付けたいですね。そのほうがブレてなくていいと思うんです。音楽性をどんどん変えることで失敗し続けてるアイドルって、大人に振り回されてるみたいでかわいそうじゃないですか。だからアイドルが一緒に成長していく感じは、音楽も込みで見てみたいなって思います。今年はそこまで手がまわれば、ぜひアイドルを作りたいですね。
――今日はいろいろお話いただきありがとうございました。最後に日刊サイゾー読者へメッセージがあれば。
劔 僕、男気への憧れがずっとあって、『トラック野郎』(菅原文太演じる"一番星桃次郎"が主人公の映画シリーズ)が大好きでして。より具体的に自分の中に『トラック野郎』イズムを入れるために、今後、星柄の服を中心に着ていくことに決めたんです。だから星柄の服があったらみなさん教えてください!
(取材・文=林タモツ)
●つるぎ・みきと
1979年新潟県生まれ。「神聖かまってちゃん」、「撃鉄」のマネジャーを務めるかたわら、「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベース担当。(株)パーフェクトミュージック所属。
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マンガ学部よりも就職はラク? 全国初のポピュラーカルチャー学部は成功するのか?

京都精華大学公式HPより
昨年12月、全国で唯一マンガ学部を持つ京都精華大学が、今度はポピュラーカルチャー学部を新設することを発表し注目を集めている。この学部には、音楽コースとファッションコースの2つのコースが設置される予定だ。
既に開設されている特設サイトでは、想定される就職先として音楽コースでは「ミュージシャン」「ソングライター」「DJ」「サウンドエンジニア」「音楽サイトや雑誌の編集者・ライター」「音楽プロデューサー」を、ファッションコースでは、「ファッションデザイナー」「バイヤー」「アパレルブランドプロデューサー」「ショップオーナー」「ファッション雑誌やウェブサイトのデザイナー・ライター・編集者」などを挙げている。加えてファッションコースでは「批評眼と伝える技術をもった批評家や編集者という、ファッション文化の担い手も育てる」とも記している。
同大学のマンガ学部は定員200名あまりだが、そのうちデビューしたり、マンガ・アニメ業界に就職できるのは、ごく一握りに過ぎないのは既に知られている通り。
華やかな職業を羅列したところで「そんなに、うまくいくものか?」と疑ってしまう。
ところが、大学事情に詳しい人々に話を聞いてみたところ「これはなかなか手堅い経営戦略だ」という称賛の声ばかり。誰もが口をそろえるのは、学費を払うであろう親に対する訴求力の高さだ。
「才能の有無にかかわらず、音楽系の専門学校を志望する高校生は意外に多いのです。しかし、親は"学費を出すのであれば四年制大学に進学してほしい"と考えるのが当たり前です。このコースは、両者のニーズをうまく一致させているといえるでしょう」(都内大学職員)
つまり、大学での授業内容や卒業後の進路は、「人並みに大学に行ってくれるんなら......」と、親の心をくすぐることができるものといえる。
また、ファッションコースも、手堅い就職を期待させるコースだと分析される。
「全員がファッションデザイナーになるのはとても無理でしょう。でも、ショップの販売員であれば、さほど困難とは感じないハズです。おそらく、販売員になりたいギャル系の女のコあたりを入学志望者に想定しているのではないでしょうか」(同大学職員)
さらに、音楽とファッション、どちらのコースもマンガ学部より「就職」あるいは「デビュー」させるのは簡単にできるのではないかという指摘も。
「マンガ家になるには、最低でも商業誌に16ページくらいの作品をひとつは掲載しなくてはならない。そのハードルは極めて高いといえます。けれど、音楽ライターやファッションライターならどうでしょう? ページの埋め草的な文章を400字でも書けば、デビューしたとしてカウントできますからね」(ファッション誌編集者)
どうも景気のよい話だけれど、やはり「そんなにうまくいくワケがない」という意見もある。ジャンルによって違いはあるものの、ファッションの販売員の出世コースは20歳で店長、25歳を過ぎたあたりで管理職というのが当たり前の世界だ。出世する人材の大半は、高校を中退して17歳くらいで就職した人々だとされる。つまり、大学を出てからでは感性を磨く時間もなく、既に手遅れなわけだ。
また、特設サイトでは「楽器が弾けなくても、服づくりの経験がなくても。音楽とファッションにひたりきれる場所がここにある」という宣伝文が掲載されているのだが、ここには誰もが苦笑する。
「DTMだったら、楽器は弾けなくても作曲できるかもしれませんが、それで音楽業界に就職できるかといえば......」(音楽業界関係者)
開設後、一体どんな学生が集まるのかが注目される。
(文=三途川昇天)
目指したのはオシャレサブカル! 自主制作DVDマガジン『NICE IDOL(FAN) MUST PURE!!!』

『NICE IDOL(FAN) MUST PURE!!!』
世はまさにアイドル戦国時代。8月7日、8日には、東京・品川において、アイドリング!!!をはじめ、ももいろクローバー、東京女子流など、総勢40組近いアイドルグループが出演する、史上初のアイドルフェスティバル「TOKYO IDOL FESTIVAL 2010」が開催された。
こうしたイベントの成功やAKB48の隆盛など、歌ものアイドルユニットが中心となっている現在のアイドルブームだが、ドラマや映画に主演する若手女優や、雑誌の表紙を飾る多くのグラビアアイドルたちもまた、入れ替わりの速度を日増しに上げている。
一方で、「美し過ぎる○○」などとしてアイドル的活動を始める素人女性がいるかと思えば、オタクであることをアピールするアイドルたちも存在し、さらには、ネット上で"一億総アイドル評論家"のごとき分析を繰り広げているアイドルオタクたち──。
こうして、メジャーとマイナー、プロとアマチュアの間でカオス化とボーダレス化が進んだ現在のアイドルシーンに一石を投じるような、興味深いDVDがリリースされた。
そのDVDとは、『NICE IDOL(FAN) MUST PURE!!!』。ジャケットにある「アイドルファンのアイドルファンによるアイドルファンのためのインディペンデントDVD-MAGAZINE」というコピーが示すように、アイドルシーンの"今"を切り取ったこのDVDは、自主制作ながらAmazonのアイドルDVDランキングで最高位で3位を獲得し、現在もヒットを続けている。
制作したのは、アイドル関連ものを中心にライターとして活躍しているアイドルライターの、エリンギ氏と岡島紳士氏の2人だ。いったいなぜこのようなDVDを制作したのか? その目的は? 2人に話を聞いた。
──DVDを制作したきっかけはなんだったんですか?
エリンギ(以下、エ) アダルト系ライターの安田理央さんが『No1 in HEAVEN』というDVDマガジン(紙ではなく、DVD1枚に収録された映像のみで表現された"雑誌")を制作され、しかもそれが売れているということを知ったんです。同じライターとして、「こうしたDVDマガジンは、この出版不況を乗り越えるひとつの突破口になるのでは?」と、ガラにもなくやる気を出してしまいまして(笑)。ライターと兼業で簡単な動画編集の仕事もしていたので、ちょうどいいかなと考えたんです。
岡島紳士(以下、岡) 僕は僕で、趣味的な動画制作はそれまでもぽつぽつとやっていて、ちょうど、もう少し本格的にやってみようかというタイミングだったんです。それなら、それに「DVDマガジン」っていう付加価値をひとつ乗っけてみてもいいのかなと。

エリンギ氏(左)と岡島紳士氏(右)。
エ 自主制作で雑誌を1冊作るより、DVDのほうが簡単にできそうだっていうのも、安田さん(記事参照)に直接話をうかがってわかったので。
──なぜ、アイドルをテーマに選んだのでしょう?
エ アイドルのことが好きすぎるから。2人でやるなら、それしかないだろうと。
岡 あと、今までのメディアにおけるアイドル文化の切り取り方に、画一的なものを感じていたんです。だから、やるべきことも大きく残っているだろうと。
エ 完全に自由にやるには、自主制作という選択肢しかなかった。
岡 アイドル文化っていうのは、アイドルに対するファンの側のおどろおどろしい思い、というものが重要なポイントなんですが、そこには、あまり正当な形ではスポットライトが当たってこなかったように思うんですね。
エ その部分を表現することに対する時代のニーズも来ているのかなとも感じて。それと、アイドルファンの間には昔からミニコミ文化があったので、自主制作DVDという形式にも、アイドル文化への親和性が十分にあるんじゃないかと思いました。
──それぞれの役割分担は?
岡 それぞれ個人で勝手に作ったコンテンツもありますが、基本的には、僕が出したアイディアを2人で話し合ってまとめて、出演を希望するタレントさんの所属事務所などにオファー。取材、撮影は2人で行いました。
エ 編集は、すべてを自分たちだけでやるのは技術的にも労力的にも厳しかったので、一部仕上げを業者に頼みました。それ以外は2人で分担しましたが、取材までの事務作業を岡島が担当した分、僕の編集量が多い、というバランスでしたね。
──こだわった点はありますか?
エ デザインですね。とにかくシャレオツ(オシャレの意)にしようと頑張りました!
岡 ファンの側に力点を置いたアイドル文化を表現しようとすると、どうしたって気持ち悪くなるので、パっと見だけでも誤魔化さなければならないと思いました。目指したのは、90年代後半の渋谷系サブカルです。「あ、アイドルオタクってカッコイイんだ!」という誤解を与えようと。バックに流れる音楽も、クラブミュージックっぽいものを使ったりして、精一杯カッコつけました。
エ 中身に関しては、我々は名もないアイドルライターでしかないので、限られた人脈の中で、なるべく有名な人に出てもらおうとしました。人気コスプレイヤーのうしじまさん、日テレジェニック2009の小泉麻耶さん、掟ポルシェさん。それから、「サイゾー」でも活躍しているアイドルライターの小明さんと、"藤川優里後援会会長"で、「ブブカ」(コアマガジン)などでも活躍中の「佐々木会長」。アイドルユニット・ももいろクローバーのイベントに参加してもらう、「"ハニカミ"ももクロイベントデート」という企画も作りました。
岡 それと、自分たちからはアイドルに対する評論・分析はしない、ということ。そこを避けた表現に落とし込むほうが、結果として、ダイレクトに現在のアイドルシーンを切り取ることができると考えたので。
エ あとは、とにかく企画の面白さで勝負しようと。「(アイドル)ライターという仕事は、このまま続けていくことができるのか?」というのもテーマのひとつではあったので、ドキュメンタリー的に自らをさらけ出すことによっても成立するようなコンテンツを作りました。予算もなく、当然広告費もないわけで、今でも、採算は取れるのかと不安でしょうがないです。
──現在、Amazonで販売されていますが、今後、ほかでの流通は考えていますか?
エ 自主制作系の商品が多数置いてある東京・中野のショップ「タコシェ」には置いてもらう予定です。今後、ほかのDVDショップにもかけあっていきます。
岡 あと、基本的に我々はアイドルオタクなので、アイドルのイベント会場にいる時なんかに声をかけてもらえれば、手売りで即売します。そのあたりは、随時Twitterなどで告知していきます。
──今後の展望は?
エ CSのアイドル専門チャンネル『エンタ!371』『PigooHD』を運営するつくばテレビさんから声をかけてもらったので、そこで何か企画がやれればと。現在検討中です。
岡 やりたいことはたくさんあるんです。「最強オタ決定戦」と題して、ある特定のアイドルのオタクたちに相撲で戦ってもらったりとか。
エ 「なんのオタクが最強か?」という戦いも見たいですね。「アニオタvsアイドルオタで、料理対決」とか。「玉子焼き、どっちがうまく焼けるかな?」みたいな。アイドルオタクの親へのインタビューもやりたい。
岡 それと「顔をさらせるアイドルライター募集」ですね。一緒にものを作って、「我々と一緒に夢を見ませんか?」と言いたいです。悪夢かもしれませんけど。
エ あとは、アイドルをテーマにしたショートフィルム・アニメなどの、アートっぽいコンテンツを入れたいので、作れる方を募集中です。
岡 そして、先に挙げた『No1 in HEAVEN』で話題になった安田さんと同じく、「DOMMUNE」(映像作家・宇川直宏氏による、Ustream配信プログラム)にたまらなく出たいです。とにかく、もっとオシャレなサブカルだと思われたい!
エ まあでも、次号が出るかは今号の売れ行き次第なので......。とにかく、たくさんの方に観てもらえればいいなと思っています。
・オフィシャルブログ <http://nifmp.blog57.fc2.com/>
・Twitter <http://twitter.com/nifmp>
NICE IDOL(FAN) MUST PURE!!! 雑誌媒体を中心にアイドル記事を寄稿する、エリンギと岡島紳士の2人の若手アイドルライターが発起人となり、新たなるアイドル文化の可能性を模索すべく制作した、自主制作のアイドルDVDマガジン。Amazonのほか、中野ブロードウェイのサブカルショップ・タコシェでも販売中。 出演/うしじまいい肉、小泉麻耶、掟ポルシェ、小明、佐々木会長、柚原凪、tofubeatsほか 価格/1500円 販売元/NI(F)MP編集部 時間/117分
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