藤子不二雄Aだらけの町・富山県氷見市!

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珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第11回は、藤子不二雄Aだらけの町・富山県氷見市に行ってきました。 ■FミュージアムもいいけどAミュージアムも作って!  当連載では前回、オープンしたばかりの「川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム」へ突撃取材をしてきた。その名の通り、藤子・F・不二雄先生の人気漫画『ドラえもん』や『パーマン』『エスパー魔美』などのキャラクターや生原稿てんこ盛りの楽しいミュージアムだったのだが、ボク的にはちょっとお願いしたいことが......。それは「藤子不二雄A先生のミュージアムも作ってくれよ!」ということ。F先生とA先生、とっくの昔にコンビを解消しているのは分かっているけど、やはり昔からのファンにとって「藤子不二雄」とは永遠に2人組の漫画家なのだ!   藤子・F・不二雄先生(通称・藤子ファンタジー不二雄)の夢いっぱいの世界もいいけど、藤子不二雄A先生(通称・藤子不二雄アナーキー、もしくは藤子不二雄アヴァンギャルド)のトラウマ&悪夢いっぱいの世界も大好き。『怪物くん』『忍者ハットリくん』『笑ゥせぇるすまん』『魔太郎がくる!!』......こんなキャラクターが勢揃いしたミュージアムを是非とも作ってもらいたい! できれば藤子・F・不二雄ミュージアムの隣に。  川崎市にはいずれ本当に実現してもらいたい夢ではあるものの、すぐにというわけにもいかないので、今回は今すぐ藤子不二雄Aの世界を満喫できるスポットを紹介しよう。 ■富山県氷見市は町中が藤子不二雄Aミュージアムだ  やって来たのは富山県の氷見市。実はここ、藤子不二雄A先生の出身地ということで、町のさまざまな場所で藤子Aキャラクターと出会うことができる変な......いや、ステキな町。  氷見へ行くためには高岡駅から「氷見線」という電車に乗り換える必要があるのだが、この電車がいきなりA丸出し! ボディー全体がハットリくんのキャラクターでラッピングされた、ハットリくん電車なのだ。
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ズドーンとハットリくんでラッピングされた電車の登場に、
いきなりテンション急上昇!
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車内には藤子不二雄A先生のサインも。
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到着した氷見駅の構内にはハットリくん人形が展示されていた。
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さらに、駅前で客待ちをしているタクシーにもハットリくんが!?
 電車の外にも中にもハットリくん、駅の構内にもハットリくん、タクシーのボディーにもハットリくん......と、いくらなんでも過剰すぎるハットリカンゾウの大群にいきなり脳がクラクラしてしまったが、氷見のA推しっぷりはこんなもんじゃすまないぞっ。 ■商店街にサカナの怪物たちが......  氷見駅から少し歩いた国道沿いにある「潮風通り商店街」では、いろんなところにAキャラクターのオブジェが設置されている。ハットリくんや獅子丸、シンちゃんたちはまあいいとして、明らかにA先生のタッチではあるものの、漫画やアニメでまったく見覚えがないサカナっぽいキャラクターもしこたま並んでいるのだ。なんだこのキャラは!?  実はコレ、「氷見のサカナ紳士録」といって、藤子不二雄A先生が氷見のためにデザインしたオリジナル・キャラクターなのだ。氷見市の特産品である寒ブリを擬人化したサカナの王子様「ブリンス」(ダジャレですよ!)をはじめとして、タコの「タコ八」、チョウチンアンコウの「アンボス」などなど、魚介類をモチーフとしたキャラクターたちが勢揃いしている。  おそらく商店街の人たちは「怪物くんみたいなかわいいキャラクターを」と期待して地元に縁のあるA先生にオファーしたんじゃないかと想像するが、完成したのは怪物くんというよりは本当の怪物。A先生らしい「かわいい」と「気持ち悪い」ギリギリの線をいった、ファン的には実に楽しめるキャラクターたちではあるものの、地元の人たちはどう思ってるのか......。  ちなみにこの「サカナ紳士録」オブジェたちは、近づくと「ボンヨヨヨーン!」という音とともにしゃべり出すのだ。ボクみたいに、コレ目当てでやって来ている観光客にとってはうれしい仕掛けだけど、知らない人がいきなりサカナからしゃべりかけられたらビックリして腰ぬかしちゃうよ!
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郵便ポストの上にハットリくん、これはうれしい!
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柱に縛り付けられて号泣しているようにも見えるシンちゃん。
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そしてコレが問題のブリの「ブリンス」。
まあ、わりとそのまんまブリですね。
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こちらはタコの「タコ八」。
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チョウチンアンコウの「アンボス」ちょっと目がイッちゃってます。
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商店街のお店のシャッターや柱にも、A先生のキャラクターたちが。
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これはA先生のキャラじゃないですね、明らかに。
それにしても「アイドル」って......。
■喪黒福造がそびえ立つお寺  さて、謎キャラクターが立ち並ぶ衝撃的な商店街を抜けると、ハットリくんのイラストが添えられた「光禅寺」なるお寺の看板が。いくらなんでも、お寺の看板に漫画キャラというのはやり過ぎなのでは!? と思ったものの、実はこの光禅寺、藤子不二雄A先生の生家なのだ。  かつて、A先生の父親がこのお寺の住職を務めていたのだが、小学5年生の時に急死してしまい、新たな住職が外部から来ることになったことからA先生の家族は高岡市へと引っ越すことになった。そこで藤子・F・不二雄先生と出会ったという、コンビ漫画家「藤子不二雄」誕生のターニング・ポイントのひとつともいえる重要なスポット。  ファン的にはそれだけでも訪れるべきお寺なのだが、さらにこの光禅寺の境内にはズラリと藤子不二雄Aキャラたちの石像が建ち並んでいるのだ。もちろんうれしいんだけど、一気に珍寺な雰囲気になってしまっているような気もしなくもない......。
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いまだかつて、お寺の看板に漫画キャラが使用されたことがあったでしょうか!?
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ごくごく普通のお寺に見えるものの、境内にはAキャラたちの石像が。
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『怪物くん』や『プロゴルファー猿』はまだいいとして、
『笑ゥせぇるすまん』をお寺に設置するのはアリかなぁ......?
★光禅寺(藤子不二雄A生家) 富山県氷見市丸の内1-35 ■観光資源としてのパワーは未知数だが......  最後に紹介したいのは、「ハットリくんのからくり時計」。市街中心部の湊川に架かる中の橋のすぐ横に設置された巨大なからくり時計なのだが、昼間の時間帯、毎正時に始動するからくりがものすごいんだ。  時計から水がビュービュー吹き出すは、ハットリくんとケムマキの人形がガンガン動いてバトルをするは、ケンイチくんはなぜか獅子舞を持っているは......。意味はよく分からないものの、とにかくお金と技術が大量につぎ込まれていそうな豪華なからくりショーが約4分間にわたって繰り広げられる。  これだけの大がかりなからくり、一回稼働させるだけでそれなりにお金がかかりそうな気がするのだが、見ていたのはボクひとり......。まあ、地元の人は毎日何回も動いているからくりをわざわざ見る気もしないんだろうけど。とにかく見応えたっぷりのショーなので、ファンの人はぜひ訪れてもらいたいスポットだ。
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なんだかフシギな形をしたからくり時計。
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ハットリくんとケムマキくんが出てきた! 
そしてビュービュー吹き上がる水、スゲー!
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シンちゃんや獅子丸、ケンイチくんも登場。なんで獅子舞を持っているのかは謎。
★虹の橋・からくり時計(ハットリくんのからくり時計) 富山県氷見市丸の内  このように、富山県氷見は町全体が藤子不二雄Aミュージアムといってもいいくらい、いたるところにAキャラたちがウジャウジャと沸いている、ファンだったら立ち脱糞必至、そしてファンでもなんでもない人的には「なんじゃこりゃ!?」感の強い町なのだ。漫画家さんの地元が町おこしとしてキャラクターを使用している例はたくさんあるものの、ここまで大規模にやっている自治体は少ないんじゃないだろうか。  まあ、ボクがフラフラ歩き回っている間、観光客らしき人どころか地元の人すら見かけなかったのは若干心配になるものの(しかし、商店街にあったラーメン屋で食ったラーメン一杯分くらいしかお金落としてない)、氷見市には今後もガンガン藤子不二雄A先生を推しまくってもらい『魔太郎がくる!!』の像や『ブラック商会変奇郎』の像、さらには『狂人軍』(A作品の中でも著しくクレイジー度の高い漫画)の像までどんどん作ってもらいたい! fujikoai01.jpg <おまけ>  氷見市にはまだまだ注目のAスポットがたくさん。こちらも合わせて訪れてね! ■氷見フィッシャーマンズワーフ 海鮮館 富山県氷見市中央町7-1
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全国でも珍しい漁港内にある道の駅・海鮮館には、A先生デザインの
「ひみぼうずくん」の像が。これまた、かわいいんだか
かわいくないんだかビミョーな......。
■氷見市潮風ギャラリー「藤子不二雄Aまんが展」 富山県氷見市中央町3-4
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潮風ギャラリーでは「藤子不二雄Aまんが展」が常設で開催されている。
原画の展示やコミック図書館、トキワ荘での部屋を再現したコーナーなど見所満載!
(取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
藤子不二雄Aのブラックユーモア 1 黒イせぇるすまん ちょっと遠いけど行く価値あり。 amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第10回】ファン狂喜乱舞モノ!?  藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきた 【第9回】男だけど女声を使いこなす"両声類"になりたい! 【第8回】SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

ファン狂喜乱舞モノ!?  藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきた

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ナンバーはドラえもんの生まれた年「2112」!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第10回は、先日オープンしたばかりの「藤子・F・不二雄ミュージアム」に行ってきました。 ■遂にオープンした藤子・F・不二雄ミュージアム  『ドラえもん』をはじめとして『キテレツ大百科』『パーマン』『エスパー魔美』等々......代表作を挙げていくだけでキリがなくなってしまうくらい、数々の名作マンガを残した日本を代表するマンガ家の藤子・F・不二雄。そんなF先生の生原稿やらなんやらがギッシリと詰め込まれた、ファンなら嬉ション噴出必至なスポット「川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム」が9月3日にオープンした。  ボクも子どもの頃に藤子不二雄先生(当時はまだコンビだった)に心酔しまくって「マンガ家になりたい!」と思ったものの、藤子先生に倣って「マンガとはふたりで描くものだ」というワケの分からない勘違いをした結果、コンビを組んでくれるマンガの上手い転校生がやってくるのを延々と待ち続けるだけでマンガを描かないまま35歳の夏を迎えてしまっているほどの藤子不二雄ファン。コレは行くしかない! ■細かいところまでこだわりまくりでマニア失神!  さて、早速やってきた最寄り駅の登戸駅。ここから出ているミュージアム行きのシャトルバスがもういきなりヤバイ。ボディー全体に人気キャラクターたちが描かれている上に、つり革やシートの柄など、細かいところにまでコネタがちりばめられており、早くもアドレナリンがジュクジュク分泌しまくり。ボク的にはポルシェやベンツよりも魅力的な車だぜ!
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つり革がパーマン!
他にもドラえもん、コロ助、オバQバージョンなどがあるのだ。
 もちろん館内でもコーフンしっぱなし。子ども向けの人気キャラで遊べるアトラクションから、大人のハートをガッチリつかんで離さない。貴重なF先生関連の資料まで。知らない人でもカワイイFキャラ勢ぞろいで楽しくなっちゃうこと間違いナシなのだが、好きな人だったらさらにテンションはガンガンズンズングイグイ上昇! 細部にまでこだわりまくった、マニア心をくすぐる仕掛けの数々に「ひーっ、キレイなジャイアンがッ!」「あんなところにバウワンコ!」「ジャングル黒べえまで!」とコーフンしっぱなしなのだ。
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エントランスの天井がいきなりコレ......ひょーっ、高まる!
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泉からズモモモ......とせり上がってくるキレイなジャイアン。
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休憩のためのソファがパーマンのバッジ型。
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「ネズミの入館はご遠慮いただいています」など数々のコネタにニヤリとしてしまう。
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「アンキパン」「コロ助のコロッケ」「ジャイアンのカツ丼」など
食堂のメニューもうれしい!
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人気のキャラクターが描かれたカフェラテを飲んでみると......。
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おっおっ......。
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キレイなジャイアーン!
■F先生の息吹が感じられそうな......  もう館内すべてが見所といっても過言ではないこのミュージアムだが、特に注目なのはやはりF先生が生涯をかけて描き続けてきた生原稿の数々。出版物として印刷されたものでは決して見ることのできないF先生直筆の指示書きや、生々しい修正の跡。そして単行本では白黒になってしまっているカラー原稿のキレイさにウットリ。
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F先生のカラー原稿の色使いはホント、奇跡的な美しさ。
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こんな指示書きまで見ることができるのだ。
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F先生の仕事机を再現した展示も。
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トレードマーク・パイプと貴重なアイデアノート。
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手塚治虫先生が描いた、超レアなドラえもん&手紙。
 親子2世代......どころか、ヘタしたら3世代にわたって愛され続けている藤子・F・不二雄マンガの世界を、こんな形でひとつの施設に詰め込んでくれて、ホントにありがとう! そしてありがとう! としか言いようのないステキなこの藤子・F・不二雄ミュージアム。でも、もっと要望しちゃうなら、日本が誇る全世界に向けたコンテンツとして、ディズニー作品と比べても決して見劣りしない藤子・F・不二雄マンガなんだから、「藤子・F・不二雄ランド」くらいのイキオイで広大なテーマパークも作って欲しいと思うのだ(ミュージアムの周りの土地、まだまだ空いてそうだし)。「ビッグサンダー・オロロン岩」「イッツ・ア・小宇宙(リトルスターウォーズ)ワールド」「空飛ぶパーマン」「のび太のシューティング・ギャラリー」とかね......ああ、行きたい!  そんなドリームをカムトゥルーするためにも、みなさんもこの「藤子・F・不二雄ミュージアム」にガンガン通ってもらいたいところ。ボクも月イチくらいで通いまくるよ! 川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム ■開館時間 午前10時から午後6時(日時指定による予約制の入館です) ■休館日 火曜日(ゴールデンウィークおよび夏休み期間は開館します) ■入館料 大人・大学生1,000円、高校・中学生700円、子ども(4歳以上)500円 ※3歳以下は無料です。 ■所在地 神奈川県川崎市多摩区長尾2丁目8番1号 ■HP <http://fujiko-museum.com/> ©Fujiko-Pro dorai01.jpg <おまけ>  今回紹介した「藤子・F・不二雄ミュージアム」は、F先生のご自宅が長年あったということで神奈川県川崎市にあるんだけど、F先生の出身地である富山県高岡市にもファン必見のスポットがあるのだ。合わせて、こちらも訪れてみよう! ■高岡おとぎの森公園(ドラえもんの空き地) 富山県高岡市佐野1342
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『ドラえもん』の土管の空き地を再現した広場。
■COCKTAIL&SHOT EVE 富山県高岡市下関町3-20
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藤子マンガをイメージしたオリジナルカクテルが飲めるショットバー。
コレは『オバケのQ太郎』をイメージした「Qホワイト」。
(取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
藤子・F・不二雄大全集 21エモン 1 ツウなあなたに。 amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第9回】男だけど女声を使いこなす"両声類"になりたい! 【第8回】SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

男だけど女声を使いこなす"両声類"になりたい!

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簡単そうに見えて意外と難しい!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第9回は、ネットで話題の両声類教室に行ってきました。 ■両声類になって自家製エロテープを作ろう!?  「両声類」という言葉をご存じだろうか。最近、ニコニコ動画などを中心に使われている言葉なのだが、まあ字面からも予想できるように、男性なのに女性のような声、逆に女性なのに男性のような声......と、両性の声を自由に使い分けることができる人、もしくはそのような人がパフォーマンスしている動画のジャンルを指して使用されている。  さて、この「両声類」。ちょろっとネットで検索をかけてもらえば多数の動画が見つけられると思うが、そのどれを見ても「えーっ、コレが男の声!? 完全に萌え&キュートな女子の声じゃん!」などとビックリしてしまうものばかり。  実はボク、エロいものを渇望して止まなかった中学生時代に、自らの裏声を駆使した女(気分の)声のアッハーンウッフーン・ボイスをテープレコーダに録音して自家製エロテープを制作していたことがあったのだが、ありゃあ、どんなに豊かな想像力をフル活用しても、ただ単に頭のおかしい童貞が「ハンハン」言ってるようにしか聞こえなかった。あのテープ、今となってはどこにいったのやら見当もつかないが、万一、実家で親なんかに発見されて聞かれちゃった日には即座に自殺したいランキング上位入賞間違いナシの代物だ。
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「エ」はエロテープの目印でした。
 そんなことを考えていたある日、日刊サイゾーの編集K女史から「両声類になるための教室があるみたいですよ」との情報をゲット。これはまさに渡りにフネ! 突撃取材してみることにした。  さて、今回やって来たおそらく世界初・男性のための女声ボイストレーニング教室「あかねの両声類教室」は、女装した男子、いわゆる「男の娘」が接客してくれるバー「若衆バー・化粧男子」に併設されている教室とのこと。確かに普段から女装をして接客をしている人だったら、いかに女声を出すかというノウハウもバッチリ持っていそうだ。 ■男性が女声を出すための教室があった  ......ということで早速、東京・上野の裏通りにある、ちょっとアヤシゲな雑居ビルの地下にあるという教室に向かったのだが、そこで出迎えてくれたのは、清楚な雰囲気のお姉さん......なのか!? オトコノ娘バーに併設された教室なので、女装した男子がいることは予想していたのだが、それにしてもリアルに女性っぽすぎる。男!? 女!? どっち? 「どうもー、今日はよろしくお願いします!」  声を聞いてようやく......いや、まだ分からない。パッと聞いた感じでは完全に女声にしか聞こえないのだ。取材に同行したK女史に至っては「この人は女性ですよねぇ?」なんて言い出す始末。男の娘バーなんだから、ホントの女性がいるわけないだろ! と思いつつも、万一、経理か何かをやっているリアルな女性だった場合「いやあー、すごいですねえ。ホントに女の人なのかと思いましたよー」なんて言っちゃったら失礼なことこの上ナシ。  慎重に観察して男か女か見分けようとするものの、どうにもこうにも判断がつかないので、とりあえずうやむやな状態で名刺交換に持ち込むことに。すると...... わー! この人が「両声類教室」の先生・あかねさんだったのかッ! つまり男にしてこのルックス&ボイスということ。これは思った以上にガチな女声だぞ。
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左から井上魅夜さん(♂)、あかねさん(♂)。
 驚愕したまま、講師のあかねさんと「若衆バー・化粧男子」および「両声類教室」プロデューサーである井上魅夜さん(♂)に話を聞いてみた。 --------いやあ、ビックリしました。あかねさんは、男性としてのもともとの声も高かったりするんですか。 あかね 「いや、素の声はこんな感じですからね(超・男らしい声)」 --------げっ! すごい男前な声じゃないですか。もともとそんな声なのに、普段から女声を使っていて疲れないんですか。 あかね 「今はもう、裏声と地声の区別もなく自然に出せるようになっています。声帯に負担を掛けずにこの声を出せるようにするのが目的のトレーニングですから」 --------どういうきっかけで女声を出せるようになったんですか。 あかね 「もともと女性の服を着るのが好きだったのですが、どんなに女性っぽくしていても、しゃべると男だってバレちゃうんですよ。だから女声を出せたらいいなって思って、完全に独学で試行錯誤して2年くらいかけてこの声を完成させました」 --------男性でも女声を出せるように、という「両声類教室」って面白い試みですよね。 魅夜 「昨年末に『若衆バー・化粧男子』をオープンしたんですが、お店の隣の部屋も空いていたので荷物置き場や更衣室として借りていたんですね、でも、それだけで使うのにはスペースがもったいないので、何か面白いことがやりたいなと。そこで、あかねさんがこういう声を出せるので、それを教える教室をやったら、性同一性障害で真剣に女性の声を出したいと思っている人や、カラオケで女性ボーカルの曲を歌いたい人たちに興味を持ってもらえるかなって。私自身も教えてもらいたいって思いましたからね」
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店内に『キャンディキャンディ』のいがらしゆみこ先生の絵が飾られていました。
なんと先生の息子さんも男の娘として活動しているんだとか。
■さっそく行ったボイトレの成果は......  ではここで、あかねさんに女声を出すコツを教えてもらうことに。本気でやろうとするとすごく時間が掛かるそうなので、とりあえずさわり程度のものを。 ・自分が出すことのできる一番高い声をなるべく長く出し続ける(裏声を安定させる)。 ・自分が出すことのできる一番高い声をなるべく小さな声量で出し続ける(小さい声だと裏声がかすれてきてしまうので、それを安定させる)。 ・一番高い声から一番低い声までなめらかに音程を変える(裏声と地声の境目を目立たなくする)。 ・裏声から地声に変わるギリギリの声を持続して出し続ける(裏声、地声の境目の声を安定させる)。  初級編でのトレーニングでは、とにかく裏声と地声をどちらも同じように出せるようにする、というのがポイントらしい。まあ、話が声のことなので文字だけじゃ伝わりにくいと思い、今回は動画も撮らせてもらっているのでご覧頂きたい。  うん、我ながら完全にどーかしている映像......。コレくらい恥も外聞もなく声を出してかないとボイストレーニングにならないんでしょうが。ちなみに、カメラが手ぶれしまくっているのは、撮影をした編集K女史が、バカな声を出しているボクを見てゲラゲラ笑っていたせい。ひ、ヒドイよ。  それにしても、コツを教えてもらったわりに女声にぜーんぜんなっていないのだが、どれくらいトレーニングすればそれっぽい声を出せるようになるのだろうか。 「うーん、とりあえず半年くらい頑張ってください」  あー、半年かー。やっぱ、それくらい継続してやらないと声なんて変わらないんだろうな。  ちなみに基本的には自宅でトレーニングしてもらい、教室へは確認のために月一回くらい通ってもらうのが効率的とのこと。ボクもヒマを見て通ってみようかな。そして合コンの二次会で人気者になりたい!  余談ながら、帰り際に編集K女子が女装男子にメイクのダメ出しをされていたのには笑った。声からメイク、スタイルまで、あらゆる面においてリアル女子を凌駕している男の娘......すごい人たちです。
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(取材・文・写真=北村ヂン) ●あかねの両声類教室 曜日:毎週土曜日・日曜日(完全予約制) 料金:入会金2,000円、1回券 2,500円、5回券1万円 場所:スタジオ「化粧男子」(東京都・湯島) <http://cosme-boy.com/voice/
おと★娘 VOL.4 付録にスク水が付いちゃう時代。 amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第8回】SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

SM雑誌だらけの図書館!? 風俗資料館

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すりガラスによって中は何も見えず......入りづらい!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第8回は、SM雑誌だらけの図書館に行ってきました。 ■風俗資料館ってなんぞや......!?  「風俗資料館へ取材に行きませんか?」サイゾー編集部に行った際に、編集Kさんからこんなお誘いを受けた。  高校三年間、カピカピの男子校生活を送ってしまった後遺症で、いまだに女子から声を掛けられると必要以上に緊張してしまうボクは「は、はい......」とテキトーに返事をしてしまったのだが、「風俗資料館」って一体なんなの!?  まあ、女性の編集さんが提案してきたネタなので、ピンサロやソープランドの資料が満載の"性風俗"資料館とかじゃなくて、民俗学的な意味での"風俗"なんだろうな......とは思っていたものの、実際に訪れた「風俗資料館」はその予想のはるか斜め上をゆくすごい場所だった。  飯田橋駅から徒歩4分の雑居ビル内にある「風俗資料館」。すりガラスの扉を開けて中に入ると大量の本が収められた本棚と閲覧机という、いわゆる図書館風の内装。しかし置かれている本が、普通の図書館では絶対に取り扱わないであろうものばかり。「S&Mスナイパー」「マニア倶楽部」「SM秘小説」等々......。そう、ココはサディズム・マゾヒズム・フェティシズムなど、いわゆる"そっち系"の雑誌・資料を大量に保管している有料会員制の図書館なのだ。  SMの資料館と聞くと、すさまじくアヤシイ場所でみんなニヤニヤしながら本を読んでる......的なイメージをどうしても抱いてしまうが、取材中のシャッター音すら気になるくらい静かで明るい館内で来館者が黙々と読書をしている光景は、ヘタしたらホームレスのオヤジがソファに寝っ転がってたりする最近の公立図書館以上に図書館らしい。それでいながら置いてあるのはハードコアなSM雑誌ばかりで、異空間に迷い込んでしまったかのような不思議な気分にさせられてしまう。
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一見、こじんまりとした図書館風ですが......。
蔵書はSM関係のものばかり!
■懐かしのあのエロ本と再び会いたい  しかしこんな珍しい図書館、どういう経緯があって作られたのだろうか。学生時代にこの資料館を訪れて衝撃を受け、自ら志願してスタッフになったという三代目にして初の女性館長・中原るつさんに話を聞いた。 「当館は、戦後三大アブノーマル誌と呼ばれている雑誌のひとつ『風俗奇譚』編集長だった高倉一さんと、スパンキング小説で有名な平牙人さんによって1984年に設立されました。当初は平さんが大量に所有していたコレクションを閲覧できる場所という側面が強かったようですが、その後、各SM系出版社からの献本や、個人からの寄贈などのおかげで現在では2万冊を超える雑誌・資料、SM関連の映像作品も2,000本以上所蔵されているんですよ」
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戦後三大アブノーマル誌「風俗奇譚」「奇譚クラブ」「裏窓」。
どれもイラストがいい味出し過ぎてます。
 ここは有料会員制の図書館ということで、正会員入会金が1万円、月会費3,500円(ビジターの一日入館料は5500円)という、なかなか冷やかし半分では利用しづらい料金が掛かるのだが、一体どんな人たちが利用しているのだろう。 「ここにしかないような資料も多いので、本当に1枚のコピーをとるためだけに会員になられる方もいますし、毎日のように通って、のんびりと自分の書斎のような感覚で利用してくれている方もいます。こういう雑誌って、どんなに思い入れがあっても個人で長期間保管しておくのは難しいものがありますよね。なので、若いころに熱心に読んでいたあの雑誌が読みたい......というような目的でやって来る方も多いようです。あの雑誌の何月号、のようにピンポイントで記憶しているわけじゃないんですが、表紙がこういう色合いで、裏表紙にはこういう映画広告が載っていて......という覚え方をしているんですよ。若いころに一カ月間大切に読み込んでいた雑誌のことって、本当に強く記憶に残っているんでしょうね」
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 ボク自身はSMにあまり興味がないので、ここに置かれている雑誌たちを読んだ記憶はほとんどないのだけれど、確かに若いころ、少ない小遣いをやりくりし、本屋の店員さんの視線を気にしつつ購入して読んでいたエロ本って今でも強烈に記憶に残っているし、それをもう一度読むことができたらすごくうれしくて、いやらしい気持ち......というよりは感動して泣いちゃいそうな気がする。  ちなみにこちらでは、この手の本に興味があるけど男性がいるところではちょっと......という女性のために、毎週水曜日の19~21時に女性限定で「夜の図書館」という企画が開催されているそうだ。 「女性の方からの要望もあり、たまたま私が女性で館長をやっているということもあるので、そういう企画を立ち上げました。ただ、本当は男性も恥ずかしいと思いながら来ているのにな......とも思うんですけどね。別に女性が来たからといって『うへへへ』みたいな雰囲気にはなりませんし、それぞれが触れてほしくないと思いながら思い思いの本を読んでいるわけですから。週に1回、しかも時間まで指定されているとなると使い勝手は良くないと思いますし、できれば普通の時間にも来てもらいたいんですけどね」 ■情念あふれかえりまくりのスクラップブック!  ところで、今回は取材ということで、いろいろな資料を説明してもらいながら見せてもらったのだが、ボク的にグッと心をつかまれたのは一般に売られていた雑誌よりも、個人の方から寄贈された自作のスクラップブックやファイルの数々だった。  もちろん、雑誌などからの切り抜きがメインとなるのだが、個人の独断と偏見丸出しで選定し、切り抜き、スクラップブックに貼られることによってまったく新しいオリジナルの一冊と生まれ変わっている。そのどれもが、作った人の情念(性欲)あふれまくりで、タマラナイのだ。  たとえば「下着の資料」と書かれたファイルには、セクシーランジェリーを着用してウッフンポーズを決めた、分かりやすくエロいお姉さんの写真が主に張られているのだが、その中に交じっていきなりグンゼの下着広告が張られていたりする。ボクからすると、ホントにただの広告にしか見えないページ。しかし、コレも下着マニアの目にかかればエロスの対象となるのだろう。
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エロ要素皆無な下着広告も、見る人が見ればエロ!
 また、熟女マニアによって作られたというファイルには、三田佳子や大竹しのぶ、中村玉緒(!)などの熟女有名人の切り抜きがズラリ。正直、ボク的にはチンポがピクリともこないセレクションではあるが、作った人のあふれかえる情熱に気おされて、見ているとちょっとエロチックな気分になってくるから不思議だ。......しかし、熟女好きなわりにはファイルに付けられた名前が「年増の資料」ってのはヒドイ! fuzoku07.jpg
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まあ......確かに熟女だけどね......。
悪意はないと思います。
 さらに圧巻だったのが、"美少年が体制などにがんじがらめにされて虐げられているのが大好きなマニア"の方(そういうマニアがいるんだね)が作ったというファイル。タイトルは「ジャニーズJr.ホモセクハラ関連記事」......。そうかー、そういう性癖を持っている人にとっては、ジャニーズのセクハラ裁判ってどんなエロ小説よりもリアルで股間(もしくは肛門)にグイグイ迫ってくるドキュメンタリーなのだろう。
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他にも気になるタイトルがいっぱい。
 もちろん、これらのオリジナル資料たちは会員の方から寄贈されているもの。自分の作ったエロ・スクラップを図書館に置くというのはどういう思いからなのだろうか。 「自分のコレクションをみんなに見せたいというよりも、ここに置いておけばいつまでも残るだろうっていう安心感があるんじゃないですかね。コツコツ作ってきた大切なコレクションをさまざまな理由で手放さなければいけないという事情がありますよね。でも捨てるくらいなら、せっかくだから風俗資料館に置きたいとか、元気なうちにきちんとまとめた資料を寄贈しておこう、ということなんじゃないでしょうか」  ......なるほどー。ここまで思い入れたっぷりに作ったスクラップブックたちをただ捨ててしまうのは忍びない、という気持ちはよく分かる!  しかも、本来なら絶対に人目に触れることがなかったであろうこれらのコレクションたちを、ボクらが自由に見ることができるようになっているというのも、またうれしい。いろいろな意味で本当に貴重な資料の数々だ。  ただ今回、残念だったのは、編集Kさんが取材に同行していたので、「うひょー! むひょー!」といろんな資料を血眼になって隅々まで読むことができなかったこと(気持ち悪いと思われたくないんで......)。  あのファイルたちをじっくり鑑賞するために、個人的にここの会員になっちゃいそうだ。
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●風俗資料館 <http://pl-fs.kir.jp/> (取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
「奇譚クラブ」とその周辺 "その周辺"がわんさか。 amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第7回】 テレクラは今こんなことになっている2010 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

テレクラは今こんなことになっている2010

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死ぬまでに一度は行きたいテレクラ!
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第6回は、テレクラを初体験してきました。 ■人生においてやり残していること......それがテレクラ!  三十路になっても自動車免許を持ってないとか、結婚してないとか、人としてやるべきことを全然こなせていない非常に残念な人生を送っているボクではあるのだが、その中でもやり残した感が非常に高い項目が「テレクラ」だ。  テレクラ、正式名称・テレフォンクラブとは、もちろん電話が著しく好きな人たちが集うユカイな同好会......ということではない。男子がお金を払うことにより電話を介して女子と会話することができ、さらには出会いやナンパをすることができるという、とってもアダルティなお店なのだ。  ボクが童貞臭全開の中学生だった1980年代後半、テレクラは全盛期を迎えていて、エロティックなマガジンには「テレクラ狂いのセックス依存症女を爆釣!」「テレクラで即面接、即ハメ!」といった見出しが躍り、テレクラでいかに女子を口説き落とすかという特集記事がバンバン組まれていた。そんな雑誌を読んでは田舎住まい&童貞のボクはまだ見ぬ大人の世界への期待で胸と股間をパンパンにふくらませていたものだ。  以来、「大人になったらテレクラに行こう!」「行こう行こう明日行こう! 明日はテレクラのお店に行こう!」がボクの合い言葉だったのだが、なんだかんだで行きそびれている内にテレクラブームもすっかり過ぎ去ってしまい、「テレクラはもう終わったね」「サクラしかいない」などといわれる始末。確かに、数年前だったら繁華街を歩けばしょっちゅうテレクラの看板を見かけたものだが、最近じゃずいぶんと減っているような気がする。こりゃあ、ホントに絶滅しちゃう前に行っておかねば!  ......というワケで今回はテレクラに突撃!  ドキドキしながら必要以上にビカビカと輝く看板をくぐりテレクラの中へ。受付を済ませると、デブだったら引っかかっちゃうんじゃないかというくらい狭っ苦しい店内を、さらに狭〜く区切った個室に通された。  約一畳強くらいの部屋の中は、まあ漫画喫茶の個室とそっくり。違っているのは、当然ながら電話が設置されていることと、ティッシュの箱がドーンと置かれていることくらいか。とにかくあとは、男子との出会いを求める女子たちから電話がかかってくるのを待つばかり......。
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することが明解すぎるテレクラの室内。
 とは言え、今のテレクラってホントに廃れてるって聞くし、どうせ電話なんて全然かかってこないんだろうな......と思っていた。ところが、部屋に入って一分も経たないうちにプルルルーッとコール音が!  「電話かかってこい!」と念じていたのにも関わらず、いざかかってくると思いっきりビビッてしまううれし恥ずかし30代男子。「まだ心の準備も出来てないし、なんか怖いし......今回のコールは見送ろうかな......」とコールを放置しておいたら、いつまで経っても鳴り止まないの......。ひーっ! なんか怖いっ! 仕方なく受話器を取ると。 「あのー、ワリキリで会いたいんですけど〜」  はあ......、そっち系ですか。その後も、電話が全然かかってこないどころか、ちょっとは休ませろというくらいガンガンかかってくるものの、そのほとんどが援助交際目当てなのだ。そうか、テレクラってそういうニーズで生き残ってたのね。  まあ別に、援交でもなんでも個人の勝手だとは思うけど、ボクがテレクラに求めてるのはそーいうんじゃないの。なんちゅうか、顔も見えない電話を通しての口説き口説かれみたいな......バチバチと火花の散るようなトークバトルを楽しみたいのよ! ■ついに女子とのトークバトルが  ......そんなことを思っていると、待望の援交目当て以外の電話が! 「テメー! なに昼間っからこんなところに電話してきてるんだよ! キメーんだよ!」  ひー、頭おかしい女キタ! こういうトークバトルは求めてません! そもそも、電話かけてきてるのはアンタでしょ。 ----はあ、スミマセン。 「アンタ、パソコン詳しい?」 ----は!?(なにそのジェットコースター展開) 「ウチのパソコン意味分かんないんだけど」 ----は、はあ......。多少は詳しいんで相談に乗りますよ。 「アタシ、マザーボードも全然使えないしさ(キーボードのことだと思う)」 ----あー、初心者だと難しいですよね。 「なんか電源入れるとジージー音がして......電波みたいな音がして......頭が、頭が痛くなるのよーっ!」 ----電波!? 電波って音するんですか? 「うるせーんだよ! お前が電波を出してるんだろ!」  神様スミマセン。トークバトルとかはやっぱり結構です。もう難しいことは言わないんで、シンプルに、ちょっとエッチな女子とお話出来れば満足ですので、なにとぞなにとぞ......。
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年齢と生まれ年、干支の対応表。年齢をごまかしてしゃべっている時、
生まれ年などを聞かれてもコレさえあれば大丈夫......
というアイテムらしい。
■実在していたUMA・痴女! 「もしもーし、アタシ今なにしてると思う?」 ----......電話? 「そうじゃなくて......。もうアソコ、いじっちゃってるのよ。わ・か・る?」  こ、これはまさか!? 世間ではモケーレ・ムベンベ級の幻な未確認生物とされている"痴女"さんではないですか!? まさかそんなファンタジックな生物が実在していたとは......! 脳内にAKB48のメジャーデビュー曲「会いたかった」が鳴り響く中、会話続行! 「ねえ、アタシのエッチな声、聞きたい?」 ----は、はい! 聞きたいであります! 「フフフ......もうおチン○ンカチカチなんでしょ」 ----ガッチガチでありますっ!  文字で書き起こすとホントに最悪な会話だが、ボクの軍隊コントばりに元気いっぱいの返答に気をよくしたのか、痴女の方もなんだかエキサイトしてきたようで、受話器の向こうから盛大なウッフン&アッハンのピンク・ボイスが。うはーっ、桃源郷じゃ桃源郷じゃ! 受話器の穴から桃源郷エキスが漏れ出しておる!  そんなボイスに身をゆだね、文字通りアハ体験をしていると、突然受話器から別の人の声が聞こえてきたのだ。 (○○子〜、今日の晩ご飯カレーでいい?) 「ちょ、ちょっと待ってて......。もう、今電話中なの! 夕飯なんてなんでもいいから!」 (じゃあカレーの材料買ってきてよ) 「だから今電話中だって......」 (まったくアンタはそうやって全然家の手伝いしないんだから......)  は、実家!? 実家の電話であんなことをしてたの!? 「あ、あの、買い物行かなくちゃならないんで......それじゃ(ガチャ)」  ボクはカレーよりもセックスアピールがないのか......。あまりの予想外な展開に、電話が切れたあともしばらく虚空を見つめてボーッとしてしまいましたとさ。  いやーしかし、廃れているどころかいろいろな意味でスゴイことになっているぞ、テレクラ! 期待していたアダルティな出来事はまったく起こらなかったものの、普段だったら絶対にしゃべる機会のない、とてつもなくフシギな人たちとの会話はなかなかにエキサイティング。もう一回くらい行っても......いいかなぁ。 terekura04.jpg (取材・文・イラスト・写真=北村ヂン)
あやしい人妻 テレクラ・リポート 奥さん、待ってます! amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第6回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編) 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(後編)

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前編はこちらから ■ホームレス公園の近くには微妙な風俗街が......  『下北GLORY DAYS』『阿佐ヶ谷Zippy』『新宿スワン』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』......などタイトルに地名のついた漫画はたくさんあるが、ほんとんどは実在の土地を舞台にしただけのフィクションだ。  そんな中『東京都北区赤羽』は、ガチで赤羽に実在する珍奇おじさんや珍妙おばさん、けったいなお店などを克明かつスリリングに描いたルポルタージュ的な漫画として、最近注目を集めている。  その作者、清野とおるさんと一緒に赤羽のディープスポットをめぐってしまおうという企画の後編。ますます微妙なスポットが登場しますよ。  前編では団地や児童館、幼稚園がすぐ近くにあるのにホームレスが大量に住みついてしまっている公園(ある意味、こっちも団地)などを見てきた。  仲良しファミリーや子どもたちが集う公園に段ボールハウスが乱立している光景はだいぶ衝撃的だったが、その公園からちょっこし歩くと、今度は風俗街が広がっているのだ。もちろん団地からもほど近い場所、なにもこんなところに風俗作らなくても......。赤羽のお役所はちゃんと都市計画してるのだろうか!?
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 近隣の住人がこんなところに入った日にゃあ、「山田さんところの旦那さん、真っ昼間からピンサロに行ってたらしいわよ!」......なんて団地中のホット・トピックスになって、回覧板が回ってこなくなってしまうこと必至だ。
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 お店自体もまた、妙に味わい深い。たとえば「忍者パブ」。"赤羽で伊賀だ、甲賀だ、くノ一だ"って、一体どんなサービスが受けられるの?  敵国の密書を盗み出し、雇い主の元へ急ぐ忍者。そこに追っ手のくノ一が! くノ一の八方手裏剣がバババーッ! すんでのところで避けて、返す刀でズバーッ! くノ一の忍者服が破け、素肌に鎖かたびら一丁に。「フハハハ、くノ一といえどもそんな姿になってしまえばただのメス。拙者の股間の太巻物を受けてみよ。ニンニン!」「イヤーン! アハーン! ウッフーン」......みたいなことか? うーん、気になる。
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コレはまだ営業してるのかな?「ロマンスサロン○○」
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そのビルに掲げられた謎のキャラクターもいい味出してます。
■お寿司屋さんにウルトラマンのフィギュアが!?  さて、そんな風俗街を抜けると突然「ここが『うるとらまん』ですよ!」と、清野さんがテンション高くある店を指さした。モロ和風な店構えなのに、ショーケースにウルトラ兄弟のフィギュアがズラリと飾られている謎のお寿司屋さん。なんじゃこりゃ!? 「ここはもともと、寿司屋さんなのに『うるとらまん』っていう店名だったんですよ。子ども受けを狙ったらしいんですが、さすがに『うるとらまん』じゃお客さんに不審がられてしまうということで、今は『寿司清』という名前に変わっているんですけどね」
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店名が変わってもウルトラマンのフィギュアはそのまま。
 寿司屋に「うるとらまん」なんて名前をつけてしまったことを反省して「寿司清」に改名したのは非常に正しい判断だとは思うが、どうしてそのタイミングでウルトラマンのフィギュアも撤去しなかったのか!? 「うるとらまん」にウルトラマンが飾ってあることよりも、普通の店名でウルトラマンが飾ってあるということの方が遙かにクレイジー感を放っているような気がする。
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多分「寿司清」と「清野とおる」というコラボギャグ。
 ちなみにこの寿司屋さんは、清野さんの漫画『東京都北区赤羽』の4巻で面白おかしく取り上げられているのだが、それがうれしかったらしく「寿司清野とおる券」なるクーポン券を発行しているようだ。「寿司清野とおる券」!? ----この「寿司清野とおる券」って、持ってるとどんな特典があるんですかね? 「いや、分からないです......」  清野さんによると、怪しげなお店ながら肝心の寿司は安くてすごく美味いとのこと。だったら余計な工夫なんかしないで普通に営業していれば......と思わずにはいられない。  前編で紹介した、天然素材にこだわりすぎてちょっとおかしなことになっている豆腐屋さんしかり、仕事自体は真っ当なのに余計なプラスアルファのせいで異様な雰囲気になっちゃってる"ザ・蛇足"なお店が赤羽には多いような気がする。......がんばり屋さんが多いってことかな? ■赤羽の迷路で戦争を考えた 「今度は西口の方に行ってみましょう。赤羽西の坂の上の迷路に......」  迷路!? ......言われるがままについていくと、確かに迷路と言えるくらいすごく道が入り組んだ住宅街が。
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すんごい急斜面。自転車じゃ上れそうもない、上りたくもない。
 しかもこの迷路、やたらと高低差があるのだ。急な坂道を上ったり下ったり、いきなり変な場所に階段があったり......ひとりで来たら迷子になること間違いナシ! 小学生が「シムシティ」で街を作っても、もう少し計画性のある都市になるんじゃないかというくらい超雑然としている。なんでこんなことに......。  その原因はなんと戦争にあるらしい。戦時中、この辺りには旧日本軍の施設が沢山あったのだが、終戦にともない軍施設は撤退。その跡地を計画的に開発すればよかったのに、戦後のどさくさで、寿司「うるとらまん」や風俗街がある東口の方には闇市が、そして台地のあるこの西口側にはメチャクチャに入り組んだ住宅街が無計画に作られてしまったらしい。  ホーッ、意外なところに戦争の影響が残っているもんだ。赤羽の妙なディープさっていうのは、闇市を経て復興した街だからかもしれないな......などと思いを馳せた。  思いっきり余談ながら、普段全然運動しないボクにはこの迷路の急斜面はホントにつらくって、歩いているうちに疲労と苦痛で完全に心が折れそうになっていた。しかし、同行した日刊サイゾー女子編集Kさん(美人)のシャツが腋汗でしっとりと湿っていて、くじけそうになった時にはその腋汗をチラチラ見ながら「なんか......がんばろう!」と自分を鼓舞していたことをここに記しておきたい。 ■情報過多でフレンドリーなレストラン
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 さて、そんなゴチャゴチャの迷路住宅街を抜けて連れてこられた目的地は「ナイトレストラン・マカロニ」。このお店、外観からしてとにかく情報量が多い! そもそも「レストラン」で「マカロニ」なのに、のれんには堂々と「とんかつ」の文字が。他にも「洋食・割烹」「安くて家庭的な雰囲気の店」「オリジナル健康薬酒」「テレビ放映」さらに「MT会事務局」「東京教育研究協会」「新潟県人会」......等々、やたらといろんな文字が書かれている。とにかく説明過多なのだ。
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 もちろん店内にも文字情報がてんこ盛りで、壁一面に膨大な量のメニューが貼り出されている。しかし「ナイトレストラン・マカロニ」という店名のわりには「らーめん」にはじまり「焼うどん」「なめこおろし」......と、マカロニを使ってそうなメニューどころか、洋食ですらないメニューばかり。
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 飾り付けも非常に濃厚だ。熊手、天狗、おたふく、ダルマ......。確かになんでも収集しちゃうおばあちゃんの家に遊びに来たかのような"家庭的な雰囲気の店"ではあるが......。  この「マカロニ」も漫画に登場しているので、店のおじちゃん&おばちゃんも清野さんとは顔なじみのようだ。「これ食べな、あれ出してやりな」と、頼んでもないメニューがバンバン出てくるし、「清野さんの本、10冊買ったよ!」「知り合いの娘がファンだっていうから、今度会ってあげて」「一緒にさくらんぼ狩りに行こう」と、とことんフレンドリー。都内でもまだこんな人とのふれあいができるんだねぇ。  そして、店員でもなんでもない、近所に住んでいるらしいバアちゃんが10分おきくらいにやって来ては「ワタシ、さっきここに忘れ物しなかった?」「お金借りてなかったっけ?」「亡き旦那をすごく愛してたんだけどね」......と、唐突な発言をして帰って行く、というサプライズも。 ----あの人、さっきも来てましたよね。 「人は、寂しいのです」 ----ああ......。 「寂しいのです」  結局、ボクらがいた2時間で10回くらいは来ていました。それをいちいち相手にしてあげてる店のおばちゃん、ホントにフレンドリーだな。  整然とした都市計画に乗っからず、チェーン店では決して作り出せない雰囲気をかもし出した個人商店が、気合いと人情と(若干余計な)ナイスアイデアで21 世紀の今もバリバリがんばっている赤羽。かなりクセは強いものの、非常に味わい深い、そんな赤羽がボクもちょっと好きになってきたような、きてないような気が......。 ----清野さんも『東京都北区赤羽』の単行本がドーンと売れて印税がガッポリ入ったら赤羽に豪邸を建てなきゃですね! 「いや、ホントに大金持ちになったら世田谷に家建てますよ」 akabane2_i01.jpg ----......まー、そうですよね。  清野さん的には「赤羽に限らず、一年くらい住み着いたらどんな街でも漫画にできるくらいのネタは見つけられると思いますよ」とのこと。これからさらにディープに赤羽を掘り返していくのか、それとも他の街に手を広げていくのか......。今後の清野さんの活動にも注目していきたい。 (文・写真・イラスト=北村ヂン) ■せいの・とおる 1980年東京都板橋区生まれ。98年「週刊ヤングマガジン」に掲載された「アニキの季節」でマンガ家デビュー。主な著書に、『東京都北区赤羽』1~4巻(Bbmfマガジン )、『清野とおる漫画短変集 ガードレールと少女』(彩図社)『バカ男子』(イースト・プレス)がある。 「清野ブログ」<http://usurabaka.exblog.jp/>
東京都北区赤羽 4 Bbmfマガジン刊/900円 東京都民にも埼玉県民にも見放された空間ポケット・赤羽。この赤羽に住む漫画家・清野とおるが趣味の散歩と尾行で遭遇した赤羽住民との不気味で愉快なリアルな日常を漫画化。帯には同じく赤羽在住の林家ペー・パー子氏の直筆コメント。携帯コミックサイト「ケータイ★まんが王国」にて連載中。1~3巻も好評発売中。 amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第5回】『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編) 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』

『東京都北区赤羽』の作者と行く赤羽ディープスポットめぐり(前編)

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一見、ごく普通の街。面白いところなんてなさそうだが......。
珍奇なものをこよなく愛するライター・北村ヂンが、気になったことや場所にNGナシで体当たり取材していく【突撃取材野郎!】。第5回は、いまちょっとしたブームになっている赤羽に行ってきました。 ■今、「赤羽」がきているらしい  珍奇なスポットや変わったお店などに行くのが趣味なので、普段からその手の情報を集めているのだが、そこで最近ちょいちょい話題に挙がってくるのが「赤羽」だ。  なんでもみんな、赤羽に住む奇人・変人などを紹介した漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン)を読んで赤羽に心奪われているらしい。でも、赤羽って名前は一応知ってはいるものの、わりと地味なイメージしか持ってないんだけど......。ホントにそんなに面白い街なんだろうか?  ......というわけで、今回は『東京都北区赤羽』の作者・清野とおるさん直々にガイドしてもらいながら、赤羽のディープスポットをめぐってみたいと思う。 ----ボク、赤羽駅で降りたのが初めてなんじゃないかというくらい初心者なんで、よろしくお願いします。赤羽が東京都なのか埼玉県なのかすら認識してませんでしたから......。 「そういう人は多いかもしれませんね。北区自体、目立つ区ではありませんから」  確かに北区って存在感ない! それでも、ホントに誰からも忘れ去られてるくらい存在感のないさびれた街だったら、それはそれでディープな場所がいっぱいあったりしそうだけど、見たところ赤羽ってそこそこ栄えてるし、非常に中途半端な印象を受けるのだ。こんな街に面白スポットなんてあるのかな?
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 ......と思ってたら、いきなり変なモノを発見。ビルの屋上にズドーンとそびえ立つ自由の女神。なんでこんなモノが!? 「たぶん、『サウナ→お風呂→入浴→ニューヨーク→自由の女神』ってことじゃないかと......」 ----は、はぁ〜。  やっぱりちょっこし変ね、赤羽。オラ、ワクワクしてきたぞ! ■『美味しんぼ』は絶対にうそつかない!  赤羽ディープ・ツアー。さっそく連れてきてもらったのはこの豆腐屋さん。
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微妙なクオリティのイラストも味わい深い。
----これは......。  看板にとって最も大切な要素である"店名"以上にでっかく『美味しんぼ』のロゴ&イラストが(しかもど真ん中に)。業種とは一切関係なく「カワイイやろ?」ってことで、デッサンの狂ったミッキーやドラえもんを看板にデカデカと描いちゃってるお店って時々あるけど、コレもそういうことなのかな!? 「ここは『美味しんぼ』に登場したこともある豆腐屋さんなんですよ」  ああーっ、そう言われてみればあったあった! アメリカから来た料理研究家が、大量生産の豆腐に文句付けて......みたいな話ね(『美味しんぼ・7巻』(小学館)収録「大豆とにがり」)。アレに出てきた手作り豆腐の店って実在するんだ。  それにしても、掲載された雑誌の切り抜きを貼り出している店はよくあるけど、漫画に紹介されたからって看板ごと変えちゃうなんて。「こだわりの天然豆腐の店」という素朴で実直なイメージが、この美味しんぼ看板で台無しになっちゃってるような......。
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 さらに店の品格をズズーンと落としちゃっているのが、店先にところせましと貼りまくられた貼り紙。これが、商品のラインナップあたりがギッシリと書かれているのならそれほど危険性を感じないけど、思いっきりエモーショナルな店主からのメッセージが込められた貼り紙なんで、なんともはや......。
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「美味しんぼは絶対うそはつきません」って......多分、
原作者・雁屋哲の肉親ですら、ここまで盲信してないと思うよ。
 こんなキャラの立ちすぎな豆腐屋さん、どんな濃い人がやっているのかと思いきや......。
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なんか品のいいおばちゃんでした。
 このおばちゃんがまたメチャクチャ気前がいい。天然水&国産大豆で作られた豆腐や豆乳を「飲みねえ食いねえ」状態でバンバン出してきてくれるのだ。もちろんお金は受け取ってくれない。「私はどうせもう先は長くないんだから、お金なんていいのヨー」って、商売成り立ってるのかしら、このお店。  肝心の味は、こだわって作ってるだけあってさすがにスゴイ。豆腐も豆乳もとにかく超豆臭くて濃厚な味! ツルンと滑らかな......という豆腐のイメージからはかけ離れた、野性味あふれる豆腐なので好みは分かれるかもしれないけど、コレが「本物の豆腐」ってヤツなんだろう。『美味しんぼ』に書いてあるんだから間違いない!  しかし、いずれにせよ『美味しんぼ』の看板や貼り紙を外してフツーに営業した方が繁盛すると思うけどな......。 ■段ボールハウス乱立公園
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 続いてやって来たのは、赤羽のセントラルパークこと「赤羽公園」。
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 周りを団地に囲まれ、児童館や図書館などの公共施設からも近い。緑も多いし、近隣に住む人にとっては嬉しい環境の公園なのだが......。
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 非常に残念なことに、ものすごい量の段ボールハウスが建ち並んでいるのだ。
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 家があるということは、当然住人も。平日の真っ昼間なのに寝て、酒飲んで、競馬の予想して......。本当の自由ってこういうことだよね。
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 タバコの吸い殻を注意する前に、もっと色々と注意すべきことがあるんじゃなかろうか、という貼り紙。段ボールハウスが燃えないように、ホームレスがこの貼り紙を書いたんじゃないかという気もする。 「ここの段ボールハウスは、公園内の施設を上手く利用して建ててるんですよ」
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確かに......。
 塀に立てかけたり、花壇を利用したり、防水対策を施してたりもして、他ではあまり見かけない、本格派の段ボールハウスが多いのだ。仮の宿というよりは、 ここに腰を落ち着けて住みつくつもりだね! ......って感じ。  普通、これだけホームレスが住みついている公園だったら、あまり子どもは近づかないように......みたいな雰囲気になりそうなモンですが、ここ赤羽では意外とホームレスと近隣の住人との折り合いがついているようで、お互いの領域を尊重しあっているというか、見て見ぬ振りをしているというか......。まあ、いいんだか悪いんだかだけどねぇ。
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近くの図書館には、こんな注意書きが。
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赤羽の書店では『1Q84』以上に大展開されている『東京都北区赤羽』......スゲエ!
後編に続く/文・写真・イラスト=北村ヂン) ■せいの・とおる 1980年東京都板橋区生まれ。98年「週刊ヤングマガジン」に掲載された「アニキの季節」でマンガ家デビュー。主な著書に、『東京都北区赤羽』1~4巻(Bbmfマガジン )、『清野とおる漫画短変集 ガードレールと少女』(彩図社)『バカ男子』(イースト・プレス)がある。 「清野ブログ」<http://usurabaka.exblog.jp/>
東京都北区赤羽 4 Bbmfマガジン刊/900円 東京都民にも埼玉県民にも見放された空間ポケット・赤羽。この赤羽に住む漫画家・清野とおるが趣味の散歩と尾行で遭遇した赤羽住民との不気味で愉快なリアルな日常を漫画化。帯には同じく赤羽在住の林家ペー・パー子氏の直筆コメント。携帯コミックサイト「ケータイ★まんが王国」にて連載中。1~3巻も好評発売中。 amazon_associate_logo.jpg
●「突撃取材野郎!」バックナンバー 【第4回】手塚、藤子、赤塚、石ノ森......漫画界の巨匠たちも食べた伝説のラーメン屋 【第3回】「激安宿に泊まりたい!」ドヤ街で一泊1,000円代の宿に泊まってみる 【第2回】「甘酸っぱい思い出のシンボル......」僕らの愛したブルマーは今どこに 【第1回】アイドル小明と行く、サブカル魔窟『中野ブロードウェイ』