『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ』吉田正樹 テレビバラエティーは死なず

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伝説のプロデューサー・吉田正樹氏。
 吉田正樹と言えば、テレビバラエティーの歴史に名を刻む伝説のプロデューサーである。ディレクターとしては『夢で逢えたら』『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』などを手がけ、ダウンタウンやウンナンを世に送り出した。1998年には、「コント冬の時代」に『笑う犬の生活』を立ち上げて、その後のフジテレビのコントバラエティーの礎を築いた。  そんな彼は、09年1月にフジテレビを退社し、現在はワタナベエンターテイメント会長、吉田正樹事務所代表を務めている。そこではテレビに限らない幅広いエンタテイメントコンテンツの企画・制作に携わっているのだ。  7月14日、吉田正樹の著書『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ 「笑う犬」プロデューサーの履歴書』(キネマ旬報社)が発売された。これは、彼が自身のフジテレビ時代の体験を振り返って、そのときの思い出を語るという内容。『ひょうきん族』のADとしてスタートした下積み時代から、『やるやら』打ち切りのきっかけとなった事故の一件まで、フジテレビで濃密な26年を過ごした彼が、自らの身に起こったすべてを赤裸々に告白している。この本を出したきっかけについて本人に尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。 吉田「テレビやお笑いを愛する人たちのために書いた本です。彼らにとって役に立つような一次資料を残そうと思ったんです。言葉は何かに定着しないと意味を持たない。活字になると僕個人の手を離れていろんな人のもとに届く。それがいいかなと思いました」  フジテレビには「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズに象徴されるような、独自の文化がある。それが具体的にはどういうことなのか、どこからそれが生まれたのか、ということに関しても、著書の中で明確に述べられている。 吉田「『フジテレビのDNAを受け継いで......』とかって、みんな割と軽々しく言うんですけど、それをきちんと考えた人はあんまりいない。それはフジテレビの若い社員が80年代に故・鹿内春雄(元・フジテレビ副社長)さんから頂いて現・日枝会長や、その後進が育てた気持ちだと思います。どんなにふざけたことをやっていても、自分たちはテレビで意味のあることを発信しているんだという過剰なまでの自己肯定と、徹底的なエンタテイメント性。結局そういうことなのかなと」  鹿内春雄が生み出した「フジテレビのDNA」は、『オレたちひょうきん族』のディレクター達から下の世代の吉田正樹に受け継がれた。そして、吉田もまた、それを次の世代に受け渡す立場になったのだという。 吉田「僕は僕で、自分のバトンを誰かに渡すことになった。それが片岡飛鳥であり、小松純也であると。現在で言えば、宮道Pや神原Pかな......。これは『葵徳川三代』みたいな、フジテレビ版の大河ドラマですよ。じゃあ僕は秀忠か。一番報われないなあ(笑)」  著書の中には、吉田の盟友・内村光良との対談も収録されている。この本の中ではウンナン以外にも、ダウンタウン、とんねるずなど、フジテレビの90年代を支えた「お笑い第三世代」と呼ばれる大物芸人たちのパーソナリティーの違いについても述べられている。 吉田「とんねるずに関して素晴らしいと思うのは、とにかく石橋貴明のプロデューサー性が卓越していることなんだよね。番組がどういう形で成り立っているのか、視聴者や局や、スポンサーが何を求めているかっていうのが分かるんです。その上で、ある企画が当たるか当たらないかを直接舵取りできる。そんな人はほかにいないですよ。それに対してウッチャン(内村光良)なんかは、どんな仕事もとても一生懸命やってくれる。たとえ死に至る道だと分かっていても、がんばって歩いてくれる。その後ろ姿は切ない(笑)そこが好きなんですけど(笑)。あと、ダウンタウンに関しては、僕は普通に話しやすい人達だと思っています。特に松本(人志)の場合は、信者がいっぱいいるじゃない。それは、お笑いを愛していない人が、松本を神格化することで逆にお笑いをつまらなくしていると思う。見る前から『さすがは松本さん!』っていうのは、正しい笑いの見方ではないよね。もっとあたたかく平たく見てあげて欲しい」  最後に、「この本の読者として求めているのは誰なのか?」という問いを投げると、吉田は間髪入れずにこう答えた。 吉田「すべてのテレビを楽しもうと思っている人たちに読んでいただきたいですね。いわば、人生のひとこまの中でテレビを一度は愛したことがある人たち。そういう人に読んでいただけると、そうだったのか、と思ってもらえるんじゃないかな」 (取材・文=お笑い評論家・ラリー遠田) ●『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ』刊行記念 対談トークイベント ■日時:7月31日(土) 【1回目】13:30~/【2回目】15:00~ ■会場:紀伊國屋書店 新宿本店(9階特設会場) ■ゲスト: 【1回目】ビビる大木(お笑い芸人) 『笑う犬』シリーズのレギュラー出演者だったビビる大木さんが、収録当時の思い出などを吉田さんと語ります。『笑う犬の冒険』でレギュラー起用が決まった理由とは!? 【2回目】小松純也 (フジテレビジョン 編成制作局 バラエティー制作センター 副部長) 『笑う犬』シリーズや『平成日本のよふけ』といった、吉田さんプロデュース番組で鬼才ぶりを発揮した吉田班きっての才人が、"師"吉田正樹を語ります。 ■参加方法: 紀伊國屋書店新宿本店にて対象書籍をご購入のお客様のうち、ご希望の方を先着順で整理券を配布いたします(1回目と2回目どちらかをお選びください。整理券はなくなり次第、配布終了となります)。 詳しくは紀伊國屋書店ホームページにて < http://www.kinokuniya.co.jp/01f/event/event.htm#shinjukuhonten_6> ■対象書籍: 「人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ ~『笑う犬』プロデューサーの履歴書~」キネマ旬報社刊/1,680円(税込) ■販売場所:紀伊國屋書店 新宿本店1F ■販売開始日:7月15日(木)/電話予約も可能です ●お笑いトークラリーpresents 「笑う犬の告白 ~人生で大切なことは全部お笑いで学んだ~」 【日時】8月4日(水) OPEN 18:30 / START 19:30 【出演】ラリー遠田、岩崎夏海 【Guest】吉田正樹 【会場】新宿ロフトプラスワン 前売¥2000/当日¥2500(共に飲食代別) ※前売券は7/3(土)よりローソンチケットにて発売。(Lコード:38927)
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山崎邦正 ダウンタウンによって強制開花した「ヘタレの天才」が巻き起こす奇跡

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『奇跡』(遊タイム出版)
 ダウンタウンは、笑いの都・大阪から東京にやって来たお笑い文化の伝道師だった。彼らが東京に進出して、全国ネットの人気番組を多数抱えるようになってから、関西弁や関西の笑いのエッセンスが一気に日本中の若者に広まっていった。「サブい(寒い)」「スベる」といった演芸用語の意味が一般に知られ、それが当たり前のように使われるようになったのは、ダウンタウンの登場以降のことである。  そんなダウンタウンが広めた言葉の1つに「ヘタレ」がある。関西弁で「意気地無し」「臆病者」を意味する単語だ。この語が有名になったきっかけは、ダウンタウンが自身の番組の中で、後輩芸人の山崎邦正を指して何度もそれを用いたことだろう。言わば、山崎は「ヘタレ」の代名詞であり、ヘタレという単語が世間に広まるのと時を同じくして、山崎邦正という芸人も有名になっていったのだ。  山崎は、体を張って危険な企画に挑戦することから、出川哲朗やダチョウ倶楽部のような「リアクション芸人」の系譜に位置づけられることが多い。だが、山崎は、どんな番組にも呼ばれる出川や上島竜兵と違って、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)というレギュラー番組を持っていて、そこを拠点にして活動している。言わば、山崎は職場を渡り歩くフリーランスのリアクション芸人ではなく、『ガキ使』というホームグラウンドを持つサラリーマン型のリアクション芸人なのだ。もちろん、山崎も他の番組に一切出演しないというわけではない。ただ、彼の才能が最も輝く場所はやはり『ガキ使』というフィールドなのである。  山崎は、お笑い界随一の精鋭集団である「ダウンタウンファミリー」の出身である。今田耕司、東野幸治、木村祐一、板尾創路(130R)といったメンバーに並んで、山崎は軌保博光とのコンビ「TEAM-0」の一員としてダウンタウンの番組に出演していたのだ。  彼は、そのメンバーの中では一種の落ちこぼれに近いポジションにあったと言っていい。大喜利的な発想力、当意即妙のフリートーク能力など、松本人志を頂点とする本物のお笑いセンスが試されるダウンタウンの番組では、山崎はなかなか自分の持ち味を発揮することができなかった。  当時、ダウンタウンのもとで活動する若手芸人に求められた能力は、他のバラエティー番組で芸人が求められるものとはひと味違っていたのだ。木村のような作家型芸人、板尾のような発想力に長けた芸人が重宝されたことからもそれは明らかだろう。そのような「ダウンタウン的な物差し」で測ったとき、山崎は明らかに出来損ないの落ちこぼれ芸人だったのだ。  だが、『ガキ使』のレギュラーメンバーに抜擢されたことで、山崎の運命は急転する。大声でわめき散らし、わが身一つで過激なロケにも挑戦する山崎のファイトスタイルは、低予算の深夜番組である開始当初の『ガキ使』とは非常に相性が良かった。ダウンタウンの2人もまた、山崎のそういう一面を伸ばそうとして、「ヘタレ山崎」という愛称を与えて、彼の秘められたリアクションの才能を徐々に引き出していった。  そんな中で山崎の人気はじわじわと上がり、彼は「ヘタレ芸人」の代名詞として独自のポジションを築いていった。特に、山崎がリングの上でモリマンのホルスタイン・モリ夫と真剣勝負を繰り広げる「山崎vsモリマン」は、『ガキ使』の歴史に残る名物企画となり、2008年の大晦日には『NHK紅白歌合戦』の裏番組として堂々オンエアされる快挙を成し遂げた。  山崎は、決して能力の低い芸人ではない。『ガキ使』以外の番組に出れば、それなりに進行もフリートークもソツなくこなす力はあるし、作曲、落語、卓球、心理学など、さまざまな分野に関心を持ち、それに打ち込む生真面目さを備えている。だが、どの分野にも本気になりきれず、器用貧乏の状態にあった山崎は、「ヘタレ」というフィルターを通すことで、一気にその才能を開花させることができたのだ。  憎めないベビーフェイスと、数々の奇跡を起こしてきた豪運。笑いの神に弄ばれる奇才・山崎は、裸一貫で今日もヘタレの最先端をひた走っている。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田) ●お笑いトークラリーpresents 「笑う犬の告白 ~人生で大切なことは全部お笑いで学んだ~」 【日時】8月4日(水) OPEN 18:30 / START 19:30 【出演】ラリー遠田、岩崎夏海 【Guest】吉田正樹 【会場】新宿ロフトプラスワン 前売¥2000/当日¥2500(共に飲食代別) ※前売券は7/3(土)よりローソンチケットにて発売。(Lコード:38927)
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●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第85回】フルーツポンチ 確かな演技力でポストバブル世代に現出した「キザ男のリアリズム」 【第84回】よゐこ 爆発力と切れ味で支持層を拡大する「自然体のシュール」 【第83回】バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」 【第82回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第81回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第80回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第79回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第78回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

フルーツポンチ 確かな演技力でポストバブル世代に現出した「キザ男のリアリズム」

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『スクールデイズ』(ワニブックス)
 20世紀を代表する「キザでイヤミな男」と言えば、『ドラえもん』に出てくるスネ夫に並ぶ者はいないだろう。豊富なプラモデルやラジコンのコレクションを見せびらかし、芸能界にコネがあることを堂々と自慢する。ジャイアンのような強者にはこびへつらい、のび太のような弱者には厳しい態度を見せる。スネ夫こそは、キザでいけすかない人間の代名詞のような存在だ。  だが、21世紀を迎えて、キザ男のあり方にも微妙な変化が起こっている。スネ夫のように、自分の金やコネを露骨にアピールするような生き方は、バブル期までの日本においては、一定のリアリティがあった。  だが、バブル崩壊以降、このようなタイプのキザ男は減少の一途をたどっている。金を持っていることをひけらかすこと自体が、あまり格好いいイメージではなくなってきているのだ。言わば、絵に描いたような「金持ち」であることの価値が下がっているのである。  むしろ、21世紀に入って新たに台頭してきたのは、エコロジー志向、グルメ、サブカル趣味など、金のかからない思想や流行を持ちネタとして、それをこれ見よがしにアピールしてくるタイプの人々である。彼らは、「地球にやさしい」「おいしいレストランを知っている」「本当のおしゃれが分かる」など、それ自体としては誰にも否定できないような絶対的な価値観を盾にして、傍若無人に遠回しな自慢を繰り返す。金やコネのような分かりやすい尺度がない分だけ、キザ男としてはこちらの方がはるかに厄介だ。  そんなキザ男の生態を描くコントで人気を獲得したのが、フルーツポンチの2人である。フルーツポンチの村上健志が演じるイヤミでウザいキャラクターは、いかにも日常にいてもおかしくないと思われるような絶妙なリアリティを備えていた。  「アンダーグラウンドぶる男」では、村上演じるキザな男が亘健太郎演じる友人を自分の部屋に招待する。亘が「おしゃれな部屋に住んでるんだな」と話を切り出すと、「いや、普通っしょ。北欧のカフェとか行ったらだいたいこんな感じだし」と返してくる。「これ絶対正解」と言いながらお香をたき始め、レコードを聴いては「やっぱアナログだと音の深み全然違うかんね」と悦に入る。  ウザったい自慢を続ける村上だが、ネタの後半では知識が浅いことを見抜かれてしまう。そこで何とか持ちこたえようと必死になる男の心の動揺まで、村上は演じきってみせる。彼は、演技力もさることながら、天然の「訳知り顔」を持っている。そのウザったいキャラが彼の外見にもマッチしているので、見る側はついつい笑ってしまうのだ。  コントとは、現実離れした架空のキャラを演じればいいというものではない。演じる側が、自分の中にある引き出しを開けて、それを誇張することで面白いキャラが生まれる。フルーツポンチのコントにおけるキザ男も、村上の中にもともとあった「気取り屋」の一面が生かされたものだ。彼が気取り屋の要素を持つことは、極度の音痴であることからも明らかだろう。音痴とは、自分の信じる音程が世間一般の音程とずれている人のことだ。村上演じるウザキャラも、自分が演出する格好良さが他人のそれとずれているということが魅力になっている。  一方、こういう人間に直面したときの亘の対応も実にリアルだ。『ドラえもん』ののび太は、スネ夫に自慢されると素直に悔しがり、ドラえもんに泣きつく。だが、村上演じる底の浅いウザキャラは、人にうらやましさを感じさせない。ただ苦笑いしてその場をやり過ごすしかないような気分にさせるのだ。亘は、持ち前の実直な人柄を生かして、キザ男に直面して思わず苦笑してしまう人間を見事に演じてみせる。  フルーツポンチの2人は、このタイプのネタを名刺代わりにして、演技派コントの達人という評価を確立した。村上演じるキザ男は、ポストバブル時代を象徴する「21世紀のスネ夫」そのものである。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田) ●お笑いトークラリーpresents 「笑う犬の告白 ~人生で大切なことは全部お笑いで学んだ~」 【日時】8月4日(水) OPEN 18:30 / START 19:30 【出演】ラリー遠田、岩崎夏海 【Guest】吉田正樹 【会場】新宿ロフトプラスワン 前売¥2000/当日¥2500(共に飲食代別) ※前売券は7/3(土)よりローソンチケットにて発売。(Lコード:38927)
スクールデイズ セット売りには飽きました。 amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第84回】よゐこ 爆発力と切れ味で支持層を拡大する「自然体のシュール」 【第83回】バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」 【第82回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第81回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第80回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第79回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第78回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

よゐこ 爆発力と切れ味で支持層を拡大する「自然体のシュール」

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『とったどー! よゐこの無人島生活』(ナムコ)
 6月2日、女優の前田愛とタロット占い師の濱口善幸が、都内で行われた映画『マイ・ブラザー』の試写会に出席した。濱口善幸は、お笑いコンビ・よゐこの濱口優の実弟で、4月からは兄と同じ「松竹芸能」に所属し、タレントとしても活動している。報道陣から兄・優と倉科カナとの熱愛報道について話を振られると、取材慣れしていない戸惑った様子を見せていた。  デビュー当時のよゐこは、関西では「シュールコントの旗手」として知られていた。だが、お笑いの世界で言われる「シュール」とは一体どういうことなのか、改めて考えてみると意外と難しい。シュールとは、フランス語の「シュルレアリスム(超現実主義)」の略語である。1920年代にフランスで興った前衛芸術運動の総称で、まるで夢の中を覗いているような不条理な世界を描くものだった。  お笑いでは、非現実的な設定を扱ったり、セオリーに反する難解なネタに対して「シュール」という呼び名が与えられることが多い。簡潔に言えば、単純で分かりやすい笑いという意味の「ベタ」の反対語として、複雑で分かりにくい笑いを意味する「シュール」という言葉が用いられるのである。  かつてのよゐこの持ちネタの多くは、妙な設定やキャラクターを使って、2人が淡々とした語り口で話を進めていくものが多かった。特に、ボケとツッコミがはっきり分かれたスタイルの芸人が多い関西では、彼らのネタは異彩を放っていた。そこからシュールな笑いが売りの芸人だというイメージが広まっていったのだろう。  だが、彼らは芸術的な笑いを気取ってシュールコントを作っていたわけではないし、彼らの中にそういうものを志向する要素があったわけでもなかった。その後のよゐこのテレビタレントとしての活躍ぶりを見れば、それは明らかだろう。シュールの一語では説明しきれない個々人の魅力によって、よゐこの2人は人気を獲得していったのだ。  濱口は、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の抜き打ちテスト企画で、それまで知られていなかった「おバカキャラ」という一面を発掘された。自分の名前をローマ字で「hamaguche(ハマグチェ)」と書いてしまうほどの圧倒的なボケぶりで爆笑を獲得。その後は、『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日系)のサバイバル企画でも活躍して、小中学生にまで支持層を広げていった。濱口は、知識がなくても物怖じせず、誰に対しても陽気で親しみやすい。子どもたちはそんな彼のキャラクターを自然に読み取り、共感を寄せるのだ。  また、有野晋哉も『ゲームセンターCX』(フジテレビTWO、他)では「有野課長」としてゲーム攻略に闘志を燃やすなど、自分の趣味を生かした企画を多数手掛けるようになってきた。見た目も芸風も地味ではあるが、ぼんやりした口調で鋭い一言を放つ彼は、他の芸人には真似のできない何とも味わい深い芸人へと成長した。  よゐこの魅力は、自然体であるというところにある。2人とも肩の力が抜けていて、ロケでもトークでもコントでも、いかなるシチュエーションにおいても普段通りの状態をキープすることができる。長寿番組『めちゃイケ』の中でも、生真面目なナインティナイン、暴力的で攻撃的な極楽とんぼという2組とは全く異質な芸風で、一歩引いた立場にいる。  彼らにかつて与えられたシュールという称号も、周囲に流されず自分たちのやりたいことを貫く姿が結果的にそういうふうに見えてしまっただけだ。彼らは、難解なコントを作りたかったわけではないし、芸術的な笑いを気取るつもりもなかった。ただ素直な気持ちでそういうネタを演じていただけなのだ。徹底した脱力で独特の地位を築いた2人は、シュールの皮をかぶった気ままな自由人だ。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
とったどー! よゐこの無人島生活 野性派芸人。 amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第83回】バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」 【第82回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第81回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第80回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第79回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第78回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」

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『バッファロー吾郎の偽自伝』
(東京ニュース通信社)
 バッファロー吾郎ほど、お笑い業界の内外で評価の分かれる芸人も珍しいだろう。一般的なテレビ視聴者の立場から見れば、「オー、ポカホンタス!」でおなじみの木村明浩は一種のスベリキャラ、竹若元博は目立たない地味キャラ、という程度のイメージしかないかもしれない。ひな壇トークにも今ひとつ馴染めない2人の姿をテレビ越しに眺めているだけでは、彼らの芸風はつかみづらいものがある。  さらに言えば、「キングオブコント2008優勝」という彼らの経歴も、必ずしもプラスに作用しているわけではない。演出面の不備から、数々の問題が噴出したいわくつきの大会を制した、疑惑の王者。それが必ずしもうがった見方だとは言えないくらいに、そのような認識も多くの視聴者の間では共有されている。  だが、お笑い界内部では、彼らの功績を高く評価する声は多い。第一に挙げられるのは、イベント企画者としての実績だ。彼らは、お笑いの真剣勝負を突き詰めた結果として、芸人同士が一対一の大喜利バトルを繰り広げるイベント「ダイナマイト関西」をスタートさせた。まだM-1すら始まっていない、お笑いブームの兆しも見えない1999年にひっそりと動き出したそのプロジェクトは、現在では後楽園ホール、ディファ有明といった巨大会場で行われる日本最大規模の大喜利イベントに成長している。それ以外にも、彼らがプロデュースして成功させたイベントは数多い。テレビとは一線を画すライブの世界で、彼らは着実にお笑いファンの心を掴んでいるのだ。  第二に、後輩芸人の育成能力である。バッファロー吾郎の2人は、吉本興業の若手養成システムの流れから弾かれてしまった芸人の中から、面白い才能を持っている人間を選び出して、彼らにライブでネタを披露する機会を与え、積極的に売り出していった。  そんな「バッファローファミリー」に数えられるのは、ケンドーコバヤシ、友近、笑い飯、千鳥、ザ・プラン9、南海キャンディーズといった面々。女子中高生の観客が集まる若手のライブでは活躍できないでくすぶっていた彼らを、「面白いから大丈夫」と励まして、自分たちの手で売れっ子に育て上げていった。落ちこぼれかけていた芸人を復活させるということにかけて、バッファロー吾郎ほど目覚ましい功績を残している芸人はほかにいない。ファミリーと呼ばれる芸人たちは皆、バッファロー吾郎の2人を心から尊敬している。2人のプロデューサーとしての実力は、バッファローファミリーの面々の現在の活躍ぶりが示している通りだ。  もちろん、本業のネタ作りでも、彼らの姿勢は一貫している。くだらなくてバカバカしいことを徹底的に突き詰める。プロレスやマンガの知識を詰め込んで、固有名詞を使ってマニアックな笑いを取ろうとする。そのスタイルは、若手時代にはあまり評価されなかった。だが、ケンコバが同じような芸風で活躍し、『アメトーーク』(テレビ朝日系)のような人気番組でも芸人同士でマンガやプロレスの話をするのが普通になっている現代から見れば、ようやく時代がバッファロー吾郎のコントに追い付いた、とも言えるほどだ。  世間では、テレビに出て人気を獲得して、最後は司会者になることが芸人の唯一の出世コースのように思われている節がある。だが、芸人がお笑いを極めるための道はそれだけではない。芸人には、芸人の数だけ成功の形がある。バッファロー吾郎の不器用で地道な生き様は、そのことを教えてくれる。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
バッファロー吾郎の偽自伝 「若手の極上の踏み台」(ケンコバ談) amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第82回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第81回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第80回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第79回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第78回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」

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『ライブミランカ ドランクドラゴン
トークライブ 鈴木拓のトークは
俺にまかせなさいっ! ついて来れるか
塚っちゃん!!」』
(ジュネオン・エンタテイメント)
 5月12日、お笑いコンビ・バナナマンの二人が、東京・タワーレコード渋谷店にて、DVD『バナナ炎』(アニプレックス)の発売記念イベントを行った。これは、TOKYO MXほかで放送中の彼らの人気トーク番組をDVD化したもので、vol.3~5まで3枚が同時リリースされた。  このイベントでは、日村の誕生日(5月14日)を祝うために、ドランクドラゴンの鈴木拓がシークレットゲストとして駆けつけていた。"大物が来る"という噂を聞いていた日村は、「お前かよ!」とがっかりした様子。それでも鈴木は「釣りの予定をキャンセルして来ました」と、いつもの飄々とした態度を貫いていた。  ドランクドラゴンは、ボケの塚地武雅とツッコミの鈴木拓から成る二人組。しっかりした構成力と演技力が光るコントで評判を呼び、『はねるのトびら』(フジテレビ系)のレギュラーに抜擢されたことをきっかけにブレイク。お笑い界に確固たる地位を築いた。  ネタ作りを担当している塚地は、若手の頃からその才能を高く買われていた。彼のコント芸人としての存在感は、『はねトび』メンバーの中でも頭一つ抜けていた印象がある。地に足の付いた演技でどこか親近感の沸くキャラクターを演じて、数々の名作コントを生み出した。一方の鈴木は、常にマイペースで塚地に頼りっぱなしで、共演する芸人たちにも徹底的にいじり倒されていた。  ドランクドラゴンのコントでも、主導権を握っているのは塚地である。決まった設定の中で、塚地が役柄に入り込み、おかしな発言を連発して、鈴木がそのひとつひとつにツッコミを入れていく。ネタの中身が簡潔で分かりやすいので、個々のボケで手堅く笑いが取れる。『はねトび』の前身番組である『新しい波8』に出ていた頃から、すでにそのスタイルは完成されていた。  ただ、塚地という芸人の弱みは、あまりにも器用で才能豊かで、自分の世界が完成されすぎているため、笑いが自己完結的になりがちだということだった。何でも自分の中で処理してしまうので、隙がなくて息苦しいところがある。ドランクドラゴンのコントは、言葉の笑いがメインになっているため、余計にそういう窮屈な印象を与えるということもあるかもしれない。すべてを計算して、すべてを説明しつくしてしまう塚地の笑いは、単独で味わうには少し味付けが濃すぎるようなところがあるのだ。  そこで鈴木の存在が生きてくる。鈴木は、周りに流されない独特の感性を持っている。そんな彼は、コントの中でも普段通りに淡々としていて、部外者のような視点で塚地の演劇的な世界観に入り込まず、外部から醒めた口調でツッコミをいれていく。彼は、塚地が構築する完璧な世界をあえて壊しにかかる。それが塚地という器用な芸人の唯一の弱点でもある「そっけなさ」を薄めて、彼らのコントをより魅力的なものにするのだ。  鈴木がいるからああいうネタになったのか、ああいうネタをやるために鈴木を必要としたのか、どちらか分からない。しかし鈴木は一種のノイズとして、ドランクドラゴンのコントを作る上では欠かせない役割を果たしていたのだ。  鈴木は、いつの間にか『はねトび』でもそういうポジションを手にしていた。彼は他の芸人にからかわれたりいじめられたりする「いじられキャラ」の立場ではあるが、それを気にしていないかのような態度をとる。どんな場所にいても、周囲の人間よりも一段低いところに下りて、すぐにラクをしようとしてしまう。ガツガツする若手の中に彼のような芸人が一人混ざっていると、番組全体としてはバランスが取りやすい。その点では、鈴木の存在は『はねトび』メンバーにとっても重要なものになっていると言える。  塚地がアリの入る隙間もない完璧な建築物を造ると、鈴木はそこに無造作に穴を空けて、風通しを良くする。そうやって作られるドランクドラゴンのコントは、繊細さと大胆さを兼ね備えた見ごたえのあるものになる。互いの弱点を補い合う、理想的なコンビの形がそこにはある。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
ライブミランカ ドランクドラゴン トークライブ 「鈴木拓のトークは俺にまかせなさいっ! ついて来れるか塚っちゃん!!」 これも才能。 amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第81回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第80回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第79回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第78回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程

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『タカダオカダ 適当ドライブ・
熱海温泉編』(ポニーキャニオン)
 5月28日、高田純次とお笑いコンビ「ますだおかだ」の岡田圭右が、都内で行われた新作DVD『タカダオカダ 適当ドライブ・熱海温泉編』(6月16日発売)の記者発表会に出席した。このDVDは、関西テレビで5月に放送された特別番組に、未公開シーンなどを加えてまとめたもので、2人が熱海で秘宝館に潜入するなど、珍道中を繰り広げる。  高田は「シリーズ化したら共演したいのは沢尻エリカさん。生尻? 触ってって言われれば触るけどね」といい加減なコメントを連発。自身のDVDについても「買いたい人は買って、買いたくない人は買わなくていい」と適当一筋の高田節を貫いていた。  高田純次といえば、現在では「日本一の適当男」として、ダンディーなルックスとは裏腹の超いい加減なキャラクターで世間には知られている。常に行き当たりばったりでその場限りの発言を連発して、「適当」という言葉が彼の代名詞になっているほどだ。  だが、高田に「適当男」というイメージが定着したのは、比較的最近になってからのことである。タレントとしてテレビに出始めの頃には、マイク片手にロケに出て、きっちり笑いを取って場を盛り上げるリポーター役として非凡な才能を発揮していた。その頃には、どちらかといえば「適当・いい加減」というよりも、「破天荒・自由奔放」という印象の方が強かったのだ。  そんな彼のテレビでのブレイクのきっかけになった番組といえば、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)だろう。ここで高田は、番組の名物リポーターの一員として、アクの強い素人や有名人を相手にして一歩も引かず、自由に暴れ回って笑いを取り、一気に世間の注目を集めた。中でも、女優の故・清川虹子の自宅に訪問したときに、彼女が大事にしていたダイヤの指輪を口に含んで吐き出した事件などは、今でも伝説として語り継がれている。  この番組を通して彼は、爆笑を勝ち取るためのリポート術を身につけていったのだろう。その具体的な内容とは、例えば、陽気に振る舞う、とにかくボケの数を多く打つ、自分の言ったことを自分で笑う、というようなことだ。明るい態度でテンションを上げていくことで、共演者を自分のペースに巻き込むことができる。また、間断なくボケ続けていくというのも、編集でどこが使われるかわからないロケだからこそ必要な心構えである。そして、自分の発言で笑ってしまうことで、その前に言った冗談の質や中身を問わず、見る者の警戒心を下げて笑いが生まれやすくなる。このようなテクニックによって、彼は日本一の名リポーターとなった。  その後の高田は、この方法論を他のバラエティー番組にも応用していった。スタジオでトークをするときにも、クイズの回答者として出演するときにも、立て続けにジョークを連発したりして、場の空気を強引にさらっていくことができたのである。  高田のこのスタイルの最大の利点は、歳をとってからもそのパワーが落ちない、ということだ。即座にシャープな言葉をひねり出す瞬発力を売りにしているような芸人は、歳をとって反射神経が衰えたときに、全盛期の力を再現できずに苦しむことになってしまう。だが、高田にはそんな心配はない。彼は、天性の明るさを武器に、自分の言った冗談が本当に面白いのかどうかという価値基準そのものを破壊してしまう。いわば、彼は「面白いこと」を言う能力だけに頼らず、自らが「面白い人」になることによって笑いを生んでいるのだ。  高田のやっていることは、昔からそれほど大きく変わっているわけではない。そんな彼が、近年になって「適当男」のレッテルを貼られているのは、単に彼が年齢を重ねたせいで、実年齢と中身のギャップが大きくなっているからだろう。歳を重ねれば、普通は体力や気力が衰えたり、節度を知って落ち着いたりするはずなのに、そうなっていないのは驚異的だ、というふうに思われているのだろう。  さらに言えば、下ネタやくだらないことを平気で口にしたりするのも、還暦を過ぎた彼がやると、妙にとぼけた味わいが出てくるようなところがある。老いてなお盛んな「平成の無責任男」に死角はない。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
タカダオカダ <適当ドライブ・熱海温泉編 適当、バンザイ! amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第80回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第79回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第78回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

森三中 メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」

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『ブスの瞳に恋してる 3 』マガジンハウス
 5月22日、森三中の大島美幸と放送作家の鈴木おさむ夫妻が、東京・銀座の教文館で新刊本『ブスの瞳に恋してる3』(マガジンハウス)の出版記念イベントを行った。  同書は、鈴木氏が大島との夫婦生活を記録したエッセー。クレオパトラのコスプレで現れた大島は、山田花子ら女性芸人の結婚ラッシュにも触れて、「自分のことのようにうれしい」と祝福。人妻になっても尻を出して笑いを取る自身の芸風に胸を張り、「花子さんもぜひやってください」と主張していた。  森三中は、「女性の3人組」という珍しいチーム編成の芸人である。今では3人が3人ともそれぞれの個性を発揮して、バラエティで活躍する機会も多い。彼女たちが単なる「ブスキャラ」にとどまらず、現在の地位を築くことができたのは、芸人として実力があったということに加えて、女性トリオとして互いの関係性を売り物にすることができるようになったからだ。  彼女たちはもともと、ネタが評価されて売れたタイプの芸人ではない。若手時代には、かなり前衛的なスタイルのコントを演じて『オールザッツ漫才』(毎日放送)で話題を呼ぶなど、どちらかというと世間よりも同業者に評価されるような芸風だった。だが、それがそのまま彼女たちのブレイクにつながったわけではない。  彼女たちは、バラエティに出演して、体を張った企画にも果敢に挑んでいくことで、少しずつ知名度を上げていったのである。この時期には、大島が先陣を切って過激な企画に飛び込み、3人を引っ張っていた。  特に、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ)での印象は強烈だった。この番組のロケ企画では、大島が浜田雅功に邪険に扱われ、最後は裸になり、胸や尻や局部を堂々と露出して爆笑を勝ち取っていた。これはもちろん、すべてを笑いに変えてしまう『ガキ使』という特殊な空間だからこそ通用するギリギリの企画ではある。ただ、大島の不細工ではあるがどこか憎めないキャラクターによって、いやらしくもなく気の毒でもない雰囲気を作ることができたのである。女性芸人で、服を脱いで笑いが取れるのは大島ぐらいのものだろう。  また、同じ企画の中で、村上知子は浜田に強引に胸をもみしだかれ、真に迫る恥ずかしそうな表情を浮かべていた。これもまた、大島の裸と並んで、お笑い史に残る伝説として語り継がれている。いずれも、従来の女性芸人ではあり得ないようなものを見せられたという衝撃があった。平気で裸になる(ように見える)大島も、胸をもまれて本気で脅えた表情を浮かべる(ように見える)村上も、どちらも女性芸人としての限界を超える決死のパフォーマンスを見せていた。  ただ、彼女たちの個々の魅力が引き出されるのはここからだった。大島、村上の2人は立て続けに結婚を果たしたことで、従来の「ブスキャラ」「女捨ててるキャラ」からの脱却を果たした。もともと、脱いでもどこか品がある大島と、料理や家事などの趣味を持つ村上は、「ブスキャラ」というレッテルを貼られて終わってしまうような存在ではなかったのである。  そして、事態がここに及んで、3人の関係性が一気に変わり、もう1人のメンバーである黒沢かずこに注目が集まるようになった。実は3人の中で最も変わり者だとも言われる黒沢の才能が、ここから一気に開花したのである。「キューティーハニー」の歌詞を適当に変えて熱唱する、お笑いやラジオ番組の熱狂的なファンであることを公言する、大島・村上をねたむ発言を連発するなど、黒沢が負のオーラを身にまとい、つかみどころのない不気味なキャラクターをあらわにしている。黒沢の暗黒面が拡大するのに伴って、彼女自身の体型もどんどん肥大しているというのも恐ろしい。  ただ、これによって、森三中はトリオとしてのバランスが良くなった。比較的影の薄かった黒沢が目立ち始めて、3人それぞれが単体で通用するキャラクターになったのだ。大島が体を張ってもいいし、村上が家庭的な一面を見せてもいいし、黒沢が歌いながらスタジオに乱入してきてもいい。そしてもちろん、彼女たちの組み合わせ次第で、そこでできることの可能性は無限に広がる。3人そろっても良し、1人や2人でテレビに出てもきっちり仕事をこなす。ここでようやく、森三中は本当の意味でトリオとしてのブレイクを果たしたのである。  それぞれが一癖あるキャラを持ち、歌がうまく器用でもある3人が、番組や企画ごとにそれぞれの役割を使い分けながら、互いの関係性そのものを日々更新していく。人々を引きつけてやまない森三中の魅力の源泉は、恐らくその部分にある。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
ブスの瞳に恋してる 3 女を捨てて女になった女です。 amazon_associate_logo.jpg
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●「この芸人を見よ!」書籍のお知らせ
日刊サイゾーで連載されている、お笑い評論家・ラリー遠田の「この芸人を見よ!」が書籍化されました。ビートたけし、明石家さんま、タモリら大御所から、オードリー、はんにゃ、ジャルジャルなどの超若手まで、鋭い批評眼と深すぎる"お笑い愛"で綴られたコラムを全編加筆修正。さらに、「ゼロ年代のお笑い史」を総決算や「M-1グランプリ」の進化を徹底分析など、盛りだくさんの内容です。手元に置いておくだけで、お笑いを見るのがもっと楽しくなる。そして、お笑い芸人を通して現代が見えてくる。そんな新時代の"お笑い批評"をお楽しみください。
ラリー遠田×担当編集S「お笑いを楽しむための"ツールとしての批評"でありたい」
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第79回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第78回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

Wコロン・ねづっち 「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由

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ねづっちです!
 現代のテレビバラエティーの世界では、「うまいことを言う」という技術の価値が軽視されがちである。駄洒落は「おやじギャグ」として忌み嫌われているし、1つの言葉に2つの意味を持たせて笑いを取るという手法もそれほど一般的ではない。テレビに出る若手芸人が、トークやネタの一部に、このような言葉遊びをさりげなく忍ばせたりするケースはある。だが、それはあくまでも例外にすぎない。ほとんどの芸人は、テレビの中でそういう方向性の笑いを追求したりはしない。  その大きな理由としては、言葉遊びによる笑いの多くが、理解するのに多少の時間を要する「考えオチ」の笑いであり、瞬間的な爆発力が求められるテレビの世界とは相性が悪い、ということがある。今どきの視聴者には、「考えて納得して笑う」というプロセスをいちいちたどってもらうことは期待できないのだ。  落語のオチにあたる「サゲ」の多くには、ダブルミーニングを使った言葉遊びが含まれているし、落語家が余興や大喜利でなぞかけを披露するのは珍しいことではない。「うまいことを言う」という技術は、寄席の世界では生きながらえているが、テレビの世界ではほぼ死滅していたのだ。  そんな中で、Wコロンのねづっちが「なぞかけ芸」で注目を集めているというのは、時代に逆行するようにも見える驚くべき事態である。彼は、浅草を中心に活動する漫才師であり、「バッチグー」などと古臭い死語を連発して、やたらとなぞかけを言いたがる「なぞかけ漫才」を持ち芸としている。漫才の中では、自慢げになぞかけを披露するねづっちのズレっぷりに相方の木曽さんちゅうがツッコむという形で、一種の飛び道具としてなぞかけが用いられている。  そんな彼が、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)『アメトーーク』(テレビ朝日系)などの番組で、与えられたお題で瞬時になぞかけを返す技を披露したところ、それが話題を呼んだのである。彼は、幼い頃から鍛え上げた「うまいことを言う能力」によって、驚異的な速さでなぞかけを繰り出すことで、言葉遊びをテレビで通用するエンターテイメントにしてしまった。速さだけを追い求めることによって、時代遅れの言葉遊び芸が、新たな感心と感動を呼び起こしたのである。  彼がブレイクした要因の1つには、「なぞかけ」を巧妙にパッケージングしたことが挙げられる。なぞかけとは本来、単発で披露されるものであり、ネタを披露したらあとはそれぞれの受け手にその意味を考えてもらうことしかできない。いわば、本来のなぞかけ芸は、かなりの割合で「お客さん任せ」の芸になってしまいがちなのである。  だが、彼は、それを分かりやすく見せるためのフォーマット作りにこだわった。なぞかけネタが頭の中でまとまると、すかさず元気よく「整いました!」と声を張り上げる。そして、ネタを披露し終わると襟元を立てて、「ねづっちです!」と決めポーズを作る。この一連の流れができたことで、なぞかけパフォーマンスの型が明快になり、誰もが楽しめるようになった。  さらに言えば、ここで最も重要なのは、「整いました!」「ねづっちです!」と言うときの彼の屈託のない笑顔である。うまいことを言う人間は、往々にして「してやったり」という表情、いわゆる「どや顔」をしてしまいがちだ。それが見えてしまうと、観客はうまいことを言うことの面白さをなかなか素直に受け入れてはくれなくなる。だが、ねづっちは素直になぞかけを愛し、うまいことを言うことそのものの快楽に溺れている。そんな彼の無邪気な笑顔が、時代を超越して見る者を圧倒するのである。  なぞかけブームを牽引するねづっちは、持ち前の超絶技巧によって、うまいことを言うことの価値を現代によみがえらせてしまった。お笑い界の「音速の貴公子」は、昭和の香り漂う芸風で今日も淡々となぞかけを整えている。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
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●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第78回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

所ジョージ 突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」

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『安全第二』(エイベックス・エンタテイメント)
 4月25日、所ジョージがアニメ映画『トイ・ストーリー3』の声優発表会に出席した。先月中ごろ体調不良でテレビ番組収録を欠席していたのだが、公の場に復帰して元気な姿を見せた。「1、2以上に面白いので、見ないとダメ。あと6月公開の(北野武監督の)『アウトレイジ』もよろしく」とちゃっかり友人の映画の宣伝もするなど、自由奔放な語り口は普段通りだった。  芸能界広しと言えども、所ジョージほどの安定感を誇るタレントはほかにいないのではないだろうか。デビュー以来、その型破りで奔放なキャラクターが支持されて、バラエティーを中心に活躍。いまだにゴールデンタイムに数多くのレギュラー番組を持っている。他の大物タレントの多くは、ある程度の浮き沈みを経験しているものだが、所にはそれもほとんどないと言っていい。脱力した態度で自然体に振る舞うというスタンスを貫きながら、常に第一線に立っている。  本業はミュージシャンと言っているが、彼の作る楽曲はかなり独創的で形容しがたい魅力に満ちている。コミックソングとして万人ウケするほどの爆発力もなく、名曲として語り継がれるほどの圧倒的な音楽性の高さがあるわけでもない。ただ彼は、「笑っても笑わなくても別にいい」ぐらいの態度で、たまにテレビで自作の曲を披露するだけなのである。  また、彼には、マニアックな趣味人というイメージもある。車、アウトドア、ゴルフ、ラジコンなど、多数の趣味を持ち、「世田谷ベース」と称される仕事場を拠点にして、趣味を生かした番組の収録もそこで行っている。  どこを取ってもつかみどころのない不思議な存在。彼がお笑いタレントと呼べるのかどうかすらよく分からないが、タレントとしてビートたけしや明石家さんまとも対等に絡める話術は天下一品である。彼の立ち回りのどこがそんなに評価されているのだろうか。  所のテレビタレントとしての最大の特徴は、乗りたいときだけ乗る、はしゃぎたいときだけはしゃぐ、という徹底した割り切りだ。これは簡単そうに見えてなかなかできることではない。バラエティーの世界では、我先にと言葉を発しなければ置いて行かれてしまう。だが、所はそこで焦らないし、たとえ置いていかれたとしても、そんな自分の立ち位置自体にこだわらない。自分のアンテナに引っかかったものだけを楽しそうに受け入れ、気の利いたコメントで処理するという技術だけを洗練させているのである。  これは、何にでも乗っかり、誰とでも絡み、全てをネタにしようとする明石家さんまのような芸風とは真逆のスタイルである。だが、だからこそ、所とさんまは互いの力を認め合い、一目置いているのである。所は、たけしやさんまがジョークを飛ばしたときに、素直にホメて面白がる、という対処をすることが多い。面白さを単純に認めてほめてしまうというのは、お笑いとは別の視点で物事を見ている彼にしかできない芸当だ。  所は、一人称として「私」というのをよく使う。これも、バラエティータレントとしてはかなり珍しい。男性の用いる「私」には、状況には関わらずに淡々とマイペースを貫くような品の良さのようなものが感じられる。所の悠然とした構えが、「私」という呼び方そのものに現れているのだ。彼がタレントとして飽きられないのも、お笑いや芸能界の戦場そのものには首を突っ込まずに、一定の距離を保っているからだろう。  所ジョージは、単なるお笑いタレントでもなければ、ミュージシャンでもない。職業「所ジョージ」として、誰にも縛られずにテレビの世界を気ままに漂う風来坊だ。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
安全第二 妻の尻に敷かれっぱなしだけどね。 amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第77回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」