「2人のチャンピオン」――お笑い評論家・ラリー遠田の『R-1ぐらんぷり2012』観戦記

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『COWCOWコントライブ 1 』
(よしもとアール・アンド・シー)
 3月20日、ピン芸人日本一を決める『R-1ぐらんぷり2012』が開催された。3,612人の出場者の中から勝ち抜いて優勝を果たしたのはCOWCOW多田健二。得意のギャグを連発していくネタで安定して笑いを取り、優勝の栄冠と賞金500万円を手にした。  だが、今回の『R-1』では多田以外にもう1人のヒーローが生まれた。それは、決勝の最終決戦で1票差で優勝を逃したスギちゃんである。彼は優勝こそ果たせなかったものの、圧倒的なインパクトで強烈な印象を残し、今大会の台風の目となった。スギちゃんの破壊力は圧倒的だった。彼が披露したのは、自分がいかにワイルドであるかを自慢するという不思議な漫談ネタ。ネタが終わった後、出演者も観客もその場にいた多くの人がスギちゃんのキャラクターの虜になっていた。本来なら公正な立場で進行役を務めなくてはいけないはずの司会の雨上がり決死隊の2人ですら、「~だぜぇ」というスギちゃんの口調を思わず真似していたほどだ。  スギちゃんは決勝進出が決まったときに号泣し、決勝で最終決戦進出を果たしたときにも泣き、しまいにはCOWCOW多田が優勝した瞬間に多田の涙に思わずもらい泣きまでしていた。その飾らない純朴な人柄も彼の魅力だ。スギちゃんはネタが面白いというだけではなく、その親しみやすいキャラクターで見る者を魅了して、場の空気を完全に支配していた。2本目のネタ中には何度か小さなミスもあったのだが、それも温かく受け入れてもらえるくらいの雰囲気がすでにできあがっていた。準優勝のスギちゃんは、会場の空気をつかんだという点では「もう1人のチャンピオン」と言っても差し支えがないほどの活躍ぶりだった。  とはいえ、そんなスギちゃんの猛追をギリギリのところで振り切った多田も見事だった。彼が決勝で見せた2本のネタは、いずれも優勝を意識して磨き上げられたプロの芸だった。1本目では、五十音が書かれた箱から球を取り出して、その頭文字で始まるギャグを次々に演じていった。2本目では、くじ引きでお題を選び、そのお題に沿ったギャグを連発。ひとつひとつのギャグのクオリティが高く、それを効果的に聞かせるネタの枠組みもよくできていた。うまくガードを下げさせて、懐に入ったところで威力のあるパンチを連打する。理想的な試合運びで最初から最後まで爆笑を取り続けた彼は、隙のない“王者の戦い”を実践したといえるだろう。  本人の話によると、くじ引きで引いたギャグを披露していくというフォーマットを作ったのは、相方である山田與志のアドバイスによるものだという。山田は『R-1』の常連であり、これまで4度も決勝の舞台に立ちながら惜しくも優勝を逃していた。多田は相方の助けを借りて、コンビとして雪辱を果たした。これはこれで見事な優勝劇だ。  多田とスギちゃんをはじめとして、決勝に進んだ12人の芸人はいずれも、クオリティの高いネタでプロとしての誇りを見せつけていた。結果的に多田は記録に残る王者となり、スギちゃんは記憶に残る王者となった。2人のチャンピオンが制した『R-1ぐらんぷり2012』は見応えがあった。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
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明石家さんま、ダウンタウン、とんねるず……大御所たちが続々とライブ回帰のワケは!?


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とんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 Season2 Vol.1 「デオデオデオデオ」
 先日、吉本興業からあるライブイベントに関する発表があった。4月8日に行われる「吉本興業創業100周年初日公演(4回目)」にて、明石家さんま、ダウンタウンの出演が決定したというのだ。  さんまは月亭八方、間寛平、村上ショージ、ジミー大西、今田耕司らとともに、かつての人気番組『さんまの駐在さん』(朝日放送)を復活させるという。一方のダウンタウンは「ポケットミュージカルス」と題された企画で今田耕司、130R、東野幸治、木村祐一らと共演する。この公演は、大阪・なんばグランド花月のリニューアルオープンを記念して開催されるもの。吉本の二大看板を張る両者が、久しぶりに吉本の舞台に上がることになった。  さんまとダウンタウンはいずれも、若い頃にテレビに出演して人気が出てきてからは、吉本の劇場に出る機会がなくなっていた。例えば、2007年から10年にかけて行われた吉本芸人が総出演するお笑いフェスティバル「LIVE STAND」にも、彼らは一度も出演していない。いわゆる吉本の“公式行事”のようなものには、さんまとダウンタウンは姿を現さないというのが慣例のようになっていた。だからこそ、今回のような事務所主導の企画で彼らが吉本の舞台に上がるというのは本当に珍しいことだ。  さんまは、テレビの仕事の合間を縫って、自らがプロデュースする舞台を1992年からほぼ毎年行っている。一方のダウンタウンは、東京に進出してからはその種のライブ活動もほとんど行っていない。ダウンタウンのファンにとっては、今回の公演はまたとない貴重な機会となるはずだ。  また、3月15日放送の『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)では、とんねるずの木梨憲武の口から衝撃的な発言が飛び出した。番組内では、3月8日から10日にかけて東京・日本橋三井ホール行われた木梨のソロイベント「NORITAKE GUIDE 5.0」の模様が放送されていた。そこで最終日にサプライズゲストとして登場したのは、相方の石橋貴明だった。2人でヒット曲「一番偉い人へ」を歌い終えた後、木梨は「来年あたり、とんねるずで(ライブを)やりますか」とライブ開催を高らかに宣言した。さらに、木梨は自身のブログでも「あきとんねるずらいぶあるかも、ありがとう」という意味深なコメントを残した。来年ではなく今年の秋にとんねるずのライブが行われるのだろうか? かつては歌手として全国を回りながら、苗場プリンスホテルで毎年コントライブを行っていたこともあるとんねるず。彼らもここへ来て改めてライブ活動に興味を示しているのだ。  明石家さんま、ダウンタウン、そしてとんねるず……。大御所芸人たちのライブ回帰は何を意味するのか? それは恐らく、芸人として節目を迎えた彼らが「第二の芸人人生」を模索するための試みのひとつだ。さんまとダウンタウンが所属する吉本興業は今年で創業100周年。また、ダウンタウンは結成30周年の節目の年でもある。一方のとんねるずはこの3月に木梨が誕生日を迎えて、2人ともちょうど50歳になった。キャリアを重ねてそれなりの地位を築いた今だからこそ、テレビだけではなくライブでも自分たちのパフォーマンスを見せたいという意識が高まっているのだろう。  彼らのライブ回帰は、お笑いライブ市場を活性化するきっかけにもなるかもしれない。今の若手お笑いライブの主な客層は若い女性である。だが、大御所芸人のライブとなれば、もっと上の世代がライブ会場に足を運ぶことも考えられる。お笑いシーンを盛り上げてもらうためにも、彼らには単なる一過性のイベントではなく、芸人魂を込めた熱いライブを期待したいものだ。 (お笑い評論家・ラリー遠田)
とんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 Season2 Vol.1 年末のPODCASTから何か予感めいたものは。 amazon_associate_logo.jpg
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明石家さんま、ダウンタウン、とんねるず……大御所たちが続々とライブ回帰のワケは!?


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 先日、吉本興業からあるライブイベントに関する発表があった。4月8日に行われる「吉本興業創業100周年初日公演(4回目)」にて、明石家さんま、ダウンタウンの出演が決定したというのだ。  さんまは月亭八方、間寛平、村上ショージ、ジミー大西、今田耕司らとともに、かつての人気番組『さんまの駐在さん』(朝日放送)を復活させるという。一方のダウンタウンは「ポケットミュージカルス」と題された企画で今田耕司、130R、東野幸治、木村祐一らと共演する。この公演は、大阪・なんばグランド花月のリニューアルオープンを記念して開催されるもの。吉本の二大看板を張る両者が、久しぶりに吉本の舞台に上がることになった。  さんまとダウンタウンはいずれも、若い頃にテレビに出演して人気が出てきてからは、吉本の劇場に出る機会がなくなっていた。例えば、2007年から10年にかけて行われた吉本芸人が総出演するお笑いフェスティバル「LIVE STAND」にも、彼らは一度も出演していない。いわゆる吉本の“公式行事”のようなものには、さんまとダウンタウンは姿を現さないというのが慣例のようになっていた。だからこそ、今回のような事務所主導の企画で彼らが吉本の舞台に上がるというのは本当に珍しいことだ。  さんまは、テレビの仕事の合間を縫って、自らがプロデュースする舞台を1992年からほぼ毎年行っている。一方のダウンタウンは、東京に進出してからはその種のライブ活動もほとんど行っていない。ダウンタウンのファンにとっては、今回の公演はまたとない貴重な機会となるはずだ。  また、3月15日放送の『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)では、とんねるずの木梨憲武の口から衝撃的な発言が飛び出した。番組内では、3月8日から10日にかけて東京・日本橋三井ホール行われた木梨のソロイベント「NORITAKE GUIDE 5.0」の模様が放送されていた。そこで最終日にサプライズゲストとして登場したのは、相方の石橋貴明だった。2人でヒット曲「一番偉い人へ」を歌い終えた後、木梨は「来年あたり、とんねるずで(ライブを)やりますか」とライブ開催を高らかに宣言した。さらに、木梨は自身のブログでも「あきとんねるずらいぶあるかも、ありがとう」という意味深なコメントを残した。来年ではなく今年の秋にとんねるずのライブが行われるのだろうか? かつては歌手として全国を回りながら、苗場プリンスホテルで毎年コントライブを行っていたこともあるとんねるず。彼らもここへ来て改めてライブ活動に興味を示しているのだ。  明石家さんま、ダウンタウン、そしてとんねるず……。大御所芸人たちのライブ回帰は何を意味するのか? それは恐らく、芸人として節目を迎えた彼らが「第二の芸人人生」を模索するための試みのひとつだ。さんまとダウンタウンが所属する吉本興業は今年で創業100周年。また、ダウンタウンは結成30周年の節目の年でもある。一方のとんねるずはこの3月に木梨が誕生日を迎えて、2人ともちょうど50歳になった。キャリアを重ねてそれなりの地位を築いた今だからこそ、テレビだけではなくライブでも自分たちのパフォーマンスを見せたいという意識が高まっているのだろう。  彼らのライブ回帰は、お笑いライブ市場を活性化するきっかけにもなるかもしれない。今の若手お笑いライブの主な客層は若い女性である。だが、大御所芸人のライブとなれば、もっと上の世代がライブ会場に足を運ぶことも考えられる。お笑いシーンを盛り上げてもらうためにも、彼らには単なる一過性のイベントではなく、芸人魂を込めた熱いライブを期待したいものだ。 (お笑い評論家・ラリー遠田)
とんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 Season2 Vol.1 年末のPODCASTから何か予感めいたものは。 amazon_associate_logo.jpg
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お笑い評論家・ラリー遠田の『R-1ぐらんぷり2012』完全予想! 今年の優勝者は……


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「東洋水産R-1ぐらんぷり2012」公式サイトより
 3月5日、ピン芸人日本一を決める大会「東洋水産PRESENTS R-1ぐらんぷり2012」の決勝進出者が発表された。エントリー総数3,612人の中から見事に決勝に勝ち上がったのは、スギちゃん、川島邦裕(野性爆弾)、いなだなおき(アインシュタイン)、大悟(千鳥)、AMEMIYA、キャプテン渡辺、サイクロZ、多田健二(COWCOW)、友近、ヒューマン中村、ヤナギブソン(ザ・プラン9)、徳井義実(チュートリアル)の12人。決勝では、12人が4人ずつ3つのブロックに分かれて戦い、勝ち残った3人が最終決戦に挑むことになる。5日の決勝進出者発表会見では、トーナメントの組み合わせ抽選が行われ、Aブロックが「友近、川島、AMEMIYA、多田」、Bブロックが「サイクロンZ、いなだ、徳井、キャプテン」、Cブロックが「大悟、ヤナギブソン、ヒューマン、スギちゃん」というふうにグループ分けとネタ順も確定した。果たして誰が優勝するのか? 2日に行われた準決勝を生で観戦した経験を踏まえて、決勝の展開を予想しながら注目ポイントを解説していきたい。 ●決勝Aグループ 友近、川島邦裕(野性爆弾)、AMEMIYA、多田健二(COWCOW)  Aグループの戦いのカギを握っているのは、2番手として登場する川島だ。彼はお笑い界でも一、二を争うナンセンスな芸風の持ち主。準決勝でも、常人には理解しがたい支離滅裂で破壊力抜群のネタをやりきって、会場を震撼させた。彼の芸は良くも悪くもアクが強すぎるため、それが前後に出てくる芸人にも大きな影響を与える。決勝審査員は川島の芸をどこまで受け入れることができるのか? そこがひとつのポイントとなるのは間違いない。  順当に考えるなら、川島の芸風は人によって好みが分かれるため、審査員によってはあまり高く評価しないかもしれない。そうなると、Aグループを制するのは川島以外の3人のいずれかである可能性が高い。1人コントの友近、音楽ネタのAMEMIYA、ギャグを得意とする多田。誰が上がってきてもおかしくないが、決勝初登場のインパクトとネタの分かりやすさで、多田が一歩リードしている気がする。 ●決勝Bグループ サイクロンZ、いなだなおき(アインシュタイン)、徳井義実(チュートリアル)、キャプテン渡辺  なんといってもBグループ最大の見どころは、先日発表された「よしもとブサイクランキング2012」で3位に輝いたいなだと、イケメン芸人の代名詞である徳井の「ブサイクvsイケメン頂上決戦」である。最強のブサイクが最強のイケメンを打ち破る下克上はあり得るのか? 準決勝で爆笑を取っていたいなだに勝機は十分にある。4人の中で唯一、初めて決勝の舞台を踏むという点も、いなだには優位に働くだろう。ブサイク界のスーパールーキー・いなだなおきに他の3人がどう対抗するかが見ものだ。 ●決勝Cグループ 大悟(千鳥)、ヤナギブソン(ザ・プラン9)、ヒューマン中村、スギちゃん  Cグループは強豪ぞろいでかなりの接戦が予想される。『THE MANZAI2011』で活躍して以来、全国ネットのテレビでブレイクしつつある千鳥の大悟。過去には決勝経験もあり、ピン芸の評価も高いザ・プラン9のヤナギブソン。2年連続の決勝進出を果たしたヒューマン中村。そして、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)『爆生レッドカーペット』(フジテレビ系)などに出演して話題を呼んでいる今が旬のワイルド芸人・スギちゃん。ネタの面白さ、人気、実力、勢い、どれを取っても甲乙つけがたいメンバーである。勢いに乗ったときの爆発力が最も大きそうなのはスギちゃんだが、最後の出番なので観客がやや集中力を失っているという可能性はある。だが、それを考慮に入れてもなお、僅差でスギちゃんが接戦をものにするのではないか、と予想する。 ●最終決戦  私の個人的な読みでは、最終決戦に残るのはCOWCOW 多田、アインシュタイン いなだなおき、スギちゃんの3人。この三者による勝負の行方もかなり悩ましいところだが、過去のR-1優勝者の顔ぶれを見ると、芸歴の長いベテラン芸人が多いように思われる。3人の中で最も芸歴が長いのは多田。ここは多田が意地を見せて、4年連続で決勝敗退していた相方の山田與志の雪辱を果たす、というのがひとつの美しいシナリオとして考えられるのではないだろうか。  ......と、ひとしきり勝手に展開予想をしてみたものの、お笑いの勝負は水物。結果はフタを開けてみるまで分からない。決勝が行われるのは3月20日(火・祝)。19時から関西テレビ・フジテレビ系列全国ネットで生放送される。12人の芸人による意地と誇りをかけた真剣勝負に期待したい。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
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お笑い評論家・ラリー遠田の『R-1ぐらんぷり2012』完全予想! 今年の優勝者は……


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「東洋水産R-1ぐらんぷり2012」公式サイトより
 3月5日、ピン芸人日本一を決める大会「東洋水産PRESENTS R-1ぐらんぷり2012」の決勝進出者が発表された。エントリー総数3,612人の中から見事に決勝に勝ち上がったのは、スギちゃん、川島邦裕(野性爆弾)、いなだなおき(アインシュタイン)、大悟(千鳥)、AMEMIYA、キャプテン渡辺、サイクロZ、多田健二(COWCOW)、友近、ヒューマン中村、ヤナギブソン(ザ・プラン9)、徳井義実(チュートリアル)の12人。決勝では、12人が4人ずつ3つのブロックに分かれて戦い、勝ち残った3人が最終決戦に挑むことになる。5日の決勝進出者発表会見では、トーナメントの組み合わせ抽選が行われ、Aブロックが「友近、川島、AMEMIYA、多田」、Bブロックが「サイクロンZ、いなだ、徳井、キャプテン」、Cブロックが「大悟、ヤナギブソン、ヒューマン、スギちゃん」というふうにグループ分けとネタ順も確定した。果たして誰が優勝するのか? 2日に行われた準決勝を生で観戦した経験を踏まえて、決勝の展開を予想しながら注目ポイントを解説していきたい。 ●決勝Aグループ 友近、川島邦裕(野性爆弾)、AMEMIYA、多田健二(COWCOW)  Aグループの戦いのカギを握っているのは、2番手として登場する川島だ。彼はお笑い界でも一、二を争うナンセンスな芸風の持ち主。準決勝でも、常人には理解しがたい支離滅裂で破壊力抜群のネタをやりきって、会場を震撼させた。彼の芸は良くも悪くもアクが強すぎるため、それが前後に出てくる芸人にも大きな影響を与える。決勝審査員は川島の芸をどこまで受け入れることができるのか? そこがひとつのポイントとなるのは間違いない。  順当に考えるなら、川島の芸風は人によって好みが分かれるため、審査員によってはあまり高く評価しないかもしれない。そうなると、Aグループを制するのは川島以外の3人のいずれかである可能性が高い。1人コントの友近、音楽ネタのAMEMIYA、ギャグを得意とする多田。誰が上がってきてもおかしくないが、決勝初登場のインパクトとネタの分かりやすさで、多田が一歩リードしている気がする。 ●決勝Bグループ サイクロンZ、いなだなおき(アインシュタイン)、徳井義実(チュートリアル)、キャプテン渡辺  なんといってもBグループ最大の見どころは、先日発表された「よしもとブサイクランキング2012」で3位に輝いたいなだと、イケメン芸人の代名詞である徳井の「ブサイクvsイケメン頂上決戦」である。最強のブサイクが最強のイケメンを打ち破る下克上はあり得るのか? 準決勝で爆笑を取っていたいなだに勝機は十分にある。4人の中で唯一、初めて決勝の舞台を踏むという点も、いなだには優位に働くだろう。ブサイク界のスーパールーキー・いなだなおきに他の3人がどう対抗するかが見ものだ。 ●決勝Cグループ 大悟(千鳥)、ヤナギブソン(ザ・プラン9)、ヒューマン中村、スギちゃん  Cグループは強豪ぞろいでかなりの接戦が予想される。『THE MANZAI2011』で活躍して以来、全国ネットのテレビでブレイクしつつある千鳥の大悟。過去には決勝経験もあり、ピン芸の評価も高いザ・プラン9のヤナギブソン。2年連続の決勝進出を果たしたヒューマン中村。そして、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)『爆生レッドカーペット』(フジテレビ系)などに出演して話題を呼んでいる今が旬のワイルド芸人・スギちゃん。ネタの面白さ、人気、実力、勢い、どれを取っても甲乙つけがたいメンバーである。勢いに乗ったときの爆発力が最も大きそうなのはスギちゃんだが、最後の出番なので観客がやや集中力を失っているという可能性はある。だが、それを考慮に入れてもなお、僅差でスギちゃんが接戦をものにするのではないか、と予想する。 ●最終決戦  私の個人的な読みでは、最終決戦に残るのはCOWCOW 多田、アインシュタイン いなだなおき、スギちゃんの3人。この三者による勝負の行方もかなり悩ましいところだが、過去のR-1優勝者の顔ぶれを見ると、芸歴の長いベテラン芸人が多いように思われる。3人の中で最も芸歴が長いのは多田。ここは多田が意地を見せて、4年連続で決勝敗退していた相方の山田與志の雪辱を果たす、というのがひとつの美しいシナリオとして考えられるのではないだろうか。  ......と、ひとしきり勝手に展開予想をしてみたものの、お笑いの勝負は水物。結果はフタを開けてみるまで分からない。決勝が行われるのは3月20日(火・祝)。19時から関西テレビ・フジテレビ系列全国ネットで生放送される。12人の芸人による意地と誇りをかけた真剣勝負に期待したい。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
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ロバート コント日本一をかっさらった暴風雨・秋山竜次の芝居に宿る「殺気の正体」

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『キングオブコント2011』
(よしもとアール・アンド・シー)
 深夜のコント番組だった頃の『はねるのトびら』(フジテレビ系)で、ロバートの秋山竜次を初めて見たときの衝撃は忘れられない。生きのいい新世代芸人がそろっていたこの番組の中でも、秋山の存在感は別格だった。アクの強い破天荒なキャラクターを演じて、勢いだけで一方的に場をかき回し、根こそぎ笑いをさらっていく。ウド鈴木のような愛される天然ボケでもなく、江頭2:50のような体を張った力づくのボケでもない。破壊力のあるキャラクターを演技とも本気ともつかないテンションで演じ切ることで笑いを生み出すというのは、今まで見たこともない革新的な芸風だった。  秋山は、ロバートというトリオの中でも間違いなく中心的な存在であり、桁外れの破壊力を秘めた核弾頭の役割を果たしている。彼らのコントでは、秋山がエキセントリックな人物を演じてその空間を完全に支配してしまう、というのが常道になっている。いわば、秋山は、周りの全てを巻き込む嵐となることで光り輝くのだ。馬場裕之と山本博は、そんな秋山になすすべもなく巻き込まれてしまう被害者の立場を演じる。同じボケという役回りとして同調気味に巻き込まれていくのが馬場で、ツッコミ役として違和感を表明しながらしぶしぶ巻き込まれてしまうのが山本、という役割上の区別があるだけだ。馬場も山本も、それぞれ単独ではかなり薄味の芸風である。だが、秋山という絶対的な存在が近くにいることで、彼らは秋山を邪魔せずに、その暴風を体全体で受け止める被害者としての役目をきっちりと果たすことができる。  そんなロバートは、基本的な3人の関係性はそのままにしながらも、年々進化を続けている。成長を遂げた彼らの実力がいかんなく発揮されたのが、去る9月23日に行われた『キングオブコント2011』だった。ここで演じられた2本のネタは、ロバートの新境地を示すものだ。  1本目のコントは、戦国時代村で忍者ショーをこなす2人の老芸人の生態を描いたもの。秋山と馬場が演じる老芸人は、同じ舞台でこれまでに1,800万回ものステージを重ねている。そんな彼らにとって、舞台で芸を見せることはありふれた日常の一部に過ぎない。出番直前まで楽屋で雑談に興じて、舞台に上がるときっちりとした芸を見せて、スッと引っ込んでまた雑談を再開する。それは、秋山自身が憧れる大御所芸人たちの理想の境地を戯画化して描いたものだ。ここでの秋山は、いつもの偏執的な演技はやや抑え気味にして、芸を究めた末にそれを日常にしてしまった老芸人の生き様を尊敬を込めてコミカルに演じている。  2本目のコントでは、普段通りの秋山のぶっ飛んだキャラクターの魅力が全開になっていた。秋山演じる自動車修理工の「おしゃべりのシゲ」は、思ったことをすべて大声で口にせずにはいられない危険な人物。ある種の精神疾患を連想させるくらい、本当の意味でギリギリのキャラクターである。彼が正気と狂気の狭間で力強く演じる姿には、殺気とも言えるほどの気迫がこもっていた。そんな2本目のネタは、ロバートの従来路線のネタの進化形だった。  この2本のネタでいずれも高得点を獲得して、ロバートは悲願の優勝を果たした。自分たちにできるコントの形を極限まで追い求めたロバートは、まさにキングの称号にふさわしい。秋山という問答無用のハリケーンと、そこに巻き込まれる哀れな野次馬のスペシャリストである馬場と山本。彼らの正体は、お笑い界全体を嵐に巻き込む"怪物"トリオである。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
キングオブコント2011 12月23日発売。 amazon_associate_logo.jpg
この芸人を見よ!2 絶賛発売中。 amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第103回】TKO 不遇を乗り越えたかつてのアイドル芸人が「太って咲かせた、もう一花」 【第102回】オアシズ それぞれにブスを昇華した「現実と空想のアンサンブル」 【第101回】スリムクラブ 最後のM-1を駆け抜けた「超スローテンポという革命」 【第100回】レイザーラモンRG  "吉本団体芸"が生んだ「強心臓のニューヒーロー」 【第99回】麒麟 5度の決勝進出が「M-1グランプリの申し子」をどう変えたか 【第98回】ピース 噛み合わない2つの破片が力ずくで組み上げた「笑いのパズル」 【第97回】次長課長 変幻自在のオールラウンダー河本を生かす、井上の「受け止めるツッコミ」 【第96回】 オセロ松嶋尚美 大先輩・鶴瓶に見初められ「褒められて咲いた大輪の花」 【第95回】 ダイノジ 雌伏16年──ついに訪れる「二頭の虎が目覚めるとき」 【第94回】 キングオブコメディ 極限の不運と"顔芸人"のレッテルを払拭して掴んだ「コント日本一」 【第93回】 山田邦子 史上初の「天下を取った女芸人」その栄光と転落のタレント人生 【第92回】エレキコミック 一度ハマるとクセになる!?「一点突破の納豆コント」 【第91回】野性爆弾 「遅れてきた吉本最終兵器」がブレイクを果たした秘密とは 【第90回】野沢直子 今振り返るカリスマ女芸人の「先駆者としての比類なき存在感」 【第89回】サバンナ 野生の勘で芸能界を疾走する「発展途上のロジカルモンスター」 【第88回】東京ダイナマイト 破壊なくして創造なし! ハチミツ流「笑いのセメントマッチ」 【第87回】トータルテンボス 進化を止めない本格派コンビを育てた「M-1急転直下の挫折劇」 【第86回】ロッチ  シンプルな構図でコントに魂を吹き込む「関係性のスペシャリティ」 【第85回】山崎邦正 ダウンタウンによって強制開花した「ヘタレの天才」が巻き起こす奇跡 【第84回】フルーツポンチ 確かな演技力でポストバブル世代に現出した「キザ男のリアリズム」 【第83回】よゐこ 爆発力と切れ味で支持層を拡大する「自然体のシュール」 【第82回】バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」 【第81回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第80回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第79回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第78回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第77回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第76回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

「今だからこそ」お笑いブームの全貌を俯瞰する、ラリー遠田『この芸人を見よ!2』

konoG2.jpg  10月5日、お笑い評論家のラリー遠田氏による単行本『この芸人を見よ!2』(サイゾー)が発売された。これは、「日刊サイゾー」に連載されているコラムをまとめたもの。お笑いを取り巻く状況も激変しつつある今、ラリー氏は現状をどのように見ているのか? 著者本人を直撃してみた。 ――2011年10月というこの時期に、サイゾーからの単行本第2弾を出すことになった経緯について教えてください。 ラリー 「日刊サイゾー」の連載コラムがある程度たまってきたら書籍化するという話は以前からありました。中身に関していえば、『エンタの神様』(日本テレビ系)、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)、『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)といったネタ番組が次々に終了して、「お笑いブームの終焉」が叫ばれた2010年が過ぎ、2011年を迎えた今こそが、「お笑いブーム」と呼ばれたものの全貌を振り返るにはちょうどいい時期だと思ったんですよね。ブームを総括するという意味でも、今出す価値がある1冊になっているのではないでしょうか。 ――この単行本の中では、そんな時代状況の変化がどういう形で反映されているんでしょうか? ラリー まず、本文を全面的に改稿した上に、すべてのコラムに新たに「追記」を足しています。ここでは、その芸人のテレビでの扱われ方やその人を取り巻く状況の変化に合わせて、情報を補足したり解釈を加えたりしています。例えば、09年に執筆したフットボールアワーに関するコラムでは、主に漫才における彼らのボケとツッコミの技術論に言及していましたが、「追記」では最近のバラエティー番組における彼らのいじられ方、特にめきめきと頭角を現している後藤輝基さんの扱われ方について書いています。  このような追記を45本のコラムすべてに加えたことで、記述に厚みが増して、単にウェブ上のコラムをまとめただけではなく、それを通してひとつの時代を概観できる仕上がりになっているのではないかと思います。 ――単行本でしか読めない特別企画として、放送作家の元祖爆笑王さん、作家の岩崎夏海さんとの対談記事も収録されていますね。 ラリー ガンバク(元祖爆笑王)さんは、『めちゃ×2 イケてるッ!』(フジテレビ系)をはじめとする数多くのお笑い番組で構成を務め、長年にわたってお笑い養成学校の講師も務めている笑いのスペシャリストです。その人に『めちゃイケ』を含むテレビのお笑いについてじっくりお話をうかがうことができたのは非常に興味深かったです。  また、岩崎さんは、250万部を突破したベストセラー小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)の作者でもあり、かつては秋元康さんに師事してバラエティー番組の構成も手掛けていた人物です。岩崎さんとは、「エンターテインメントとしてのお笑い」という観点から、『M-1グランプリ』やとんねるずについてお話をさせていただきました。岩崎さんはドラッカーの解説者として注目されていますが、お笑いに関しても独特のロジカルな視点があって面白いです。岩崎さんのそういう一面が見られるのも貴重だと思います。 ――では最後に、次の単行本への展望はありますか? ラリー 第3弾が出せるかどうかは状況によりますね。これからお笑いシーンが盛り上がって、有望な若手が次々に出てくるようになれば、連載コラムで取り上げるべき人材も充実してきて、これから3冊目、4冊目と出していくことはできると思います。また、別の形になるかもしれませんが、お笑いに関する特定のテーマを掘り下げた評論にもいずれ取り組みたいと考えています。  現在、私は『コメ旬』(キネマ旬報社)というお笑い専門ムックの編集長を務めています。そこでは、テレビの笑いを中心にして、お笑い、演芸、コメディーなどを幅広く取り扱っています。編集者・取材者としてはそういう媒体を生かしながら、書き手としてはまた新たなプロジェクトに積極的に挑んでいきたいと思っています。 (取材=編集部) ●らりー・とおだ 1979年生まれ。おわライター/お笑い評論家。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。在野のお笑い評論家として多方面で活躍。雑誌「黄金のGT」(晋遊舎)、WEBマガジン「日刊サイゾー」、ケータイ版「imidas」にてコラムを連載中。現在、お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めている。主な著書に『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)、『THE 芸人学 スゴい!お笑い』(東京書籍)、『この芸人を見よ!』(サイゾー)がある。公式HPは「おわライター疾走」(http://owa-writer.com/
この芸人を見よ!2 イラストは今回もホセ・フランキー先生の描き下ろし! amazon_associate_logo.jpg
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TKO 不遇を乗り越えたかつてのアイドル芸人が「太って咲かせた、もう一花」

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『TKO 修行』(ジェネオン
エンタテインメント)
 お笑い芸人を評価する際に「華がある」「華がない」といった表現が使われることがある。そして、華があることがあたかも売れるための絶対条件であるかのように語られたりする。業界内で実際にそう思っている人間も多い。「華がある」というフレーズの具体的な意味は必ずしも明確ではないのだが、人々は確実に「華」という言葉で何かを理解し合って、それを芸人を測る尺度として用いようとする。  その物差しで測った場合、1990年代前半のデビュー当初のTKOは、明らかに華のあるタイプの芸人だった。2人とも身長180センチ前後の長身で、はっきりした顔立ちの男前。服装も妙にこじゃれていた。ネタの中にもボイスパーカッションを折り込むなど、あか抜けたセンスを感じさせるものがあった。芸人離れしたルックスを誇る2人は、アイドル芸人として若い女性ファンにも支持されて、輝きを放っていた。  だが、売れている芸人の多くに華があるのは真実だとしても、華があれば必ず売れるというものではない。東京に進出したTKOは、目立った成果を挙げられないまま大阪に撤退することになった。その後、何度か東京進出の切符はつかむものの、そこで定着できるほどの結果を残せない日々が続いた。何度立ち向かっても跳ね返される、東京という厚い壁。彼らほどこの壁に苦しんだ芸人も珍しいだろう。  歴史を振り返ると、彼らは必ずしも実力不足で東京進出に失敗したとは思えない。当時からネタはしっかりしていたし、十分に面白かった。ただ、華がある彼らには、なぜか運だけがなかった。いくつかの機会に、彼らは幸運の女神に背中を押してもらえなかったのだ。  だが、そうして試行錯誤の日々を続けるうちに、奇跡が起こった。ボケ役の木下隆行が結婚してみるみるうちに太り始めて、いつのまにか面白くかわいげのある体形になっていたのだ。太って丸刈りにした後の彼は、どこからどう見ても芸人としか思えないコミカルな姿になっていた。これは大きな武器になる。  テレビでは、一瞬で分かる自己紹介的なネタが求められる。そんな状況で彼らがひねり出したのが、木下の外見を生かした「笑福亭鶴瓶」と「せんとくん」のものまねだった。木下が太って太って太りきったおかげで、彼らは貴重な2つの飛び道具を得ることができた。その威力は絶大で、『爆笑レッドカーペット』などの出演を経て、彼らはついにブレークすることができたのだ。その後、コント日本一を決める『キングオブコント』でも二度の決勝進出を果たして、コント職人として世に広く認められることになった。  近年のTKOのコントの特徴は、ボケ役としての木下のたたずまいを最大限に生かしたネタが多い。それらのネタは「木下がやるから面白い」という構造になっている。こういう芸が成立するのは、木下が何をやっても笑える愛嬌のある外見になったからだ。そこに長年培った演技力が加わることで、彼の演じるキャラクターには隙がなくなり、大きな笑いを生む。しかも、彼らのコントには、受け手の世代や性別を選ばないというメリットもある。見ただけで伝わる木下のコメディアン然としたたたずまいは、問答無用で人を笑わせる説得力に満ちているのだ。  もちろん、相方の木本武宏の活躍も見逃せない。木本はTKOの広報部長として、木下の魅力を引き出して、それを周囲の芸人やスタッフに積極的に売り込んでいった。現在の彼は、パソコンや釣りなどの幅広い趣味を生かして、仕事を着実に増やしている。  何度ダウンしても立ち上がってくる往生際の悪さを持っていたTKOの2人。彼らがタオルを投入されてテクニカルノックアウトになることがなかったのは、最後の最後まで芸人であろうとしたからだ。不屈の闘志でチャンスを物にしたお笑い界の不死鳥は、持ち前のスター性を生かして大きく羽ばたくことに成功した。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
TKO 修行
すっかり中年。 amazon_associate_logo.jpg
●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第102回】オアシズ それぞれにブスを昇華した「現実と空想のアンサンブル」 【第101回】スリムクラブ 最後のM-1を駆け抜けた「超スローテンポという革命」 【第100回】レイザーラモンRG  "吉本団体芸"が生んだ「強心臓のニューヒーロー」 【第99回】麒麟 5度の決勝進出が「M-1グランプリの申し子」をどう変えたか 【第98回】ピース 噛み合わない2つの破片が力ずくで組み上げた「笑いのパズル」 【第97回】次長課長 変幻自在のオールラウンダー河本を生かす、井上の「受け止めるツッコミ」 【第96回】 オセロ松嶋尚美 大先輩・鶴瓶に見初められ「褒められて咲いた大輪の花」 【第95回】 ダイノジ 雌伏16年──ついに訪れる「二頭の虎が目覚めるとき」 【第94回】 キングオブコメディ 極限の不運と"顔芸人"のレッテルを払拭して掴んだ「コント日本一」 【第93回】 山田邦子 史上初の「天下を取った女芸人」その栄光と転落のタレント人生 【第92回】エレキコミック 一度ハマるとクセになる!?「一点突破の納豆コント」 【第91回】野性爆弾 「遅れてきた吉本最終兵器」がブレイクを果たした秘密とは 【第90回】野沢直子 今振り返るカリスマ女芸人の「先駆者としての比類なき存在感」 【第89回】サバンナ 野生の勘で芸能界を疾走する「発展途上のロジカルモンスター」 【第88回】東京ダイナマイト 破壊なくして創造なし! ハチミツ流「笑いのセメントマッチ」 【第87回】トータルテンボス 進化を止めない本格派コンビを育てた「M-1急転直下の挫折劇」 【第86回】ロッチ  シンプルな構図でコントに魂を吹き込む「関係性のスペシャリティ」 【第85回】山崎邦正 ダウンタウンによって強制開花した「ヘタレの天才」が巻き起こす奇跡 【第84回】フルーツポンチ 確かな演技力でポストバブル世代に現出した「キザ男のリアリズム」 【第83回】よゐこ 爆発力と切れ味で支持層を拡大する「自然体のシュール」 【第82回】バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」 【第81回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第80回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第79回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第78回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第77回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第76回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」

ロッチのコントに「ウンコだのオッパイだのが多い」知られざる理由とは?

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 2月23日、ロッチのDVD『ロッチ単独ライブ「PELO PELO PELOTTi」』が発売される。これは、2010年秋にオール新ネタで行われた彼らの単独ライブの模様を収録したもの。「少しだけエロを感じさせる」という理由で、彼らは自らこのタイトルを付けたのだという。  つかみどころのないキャラクターと、独創的なネタの数々。本人たちへのインタビュー取材を通して、謎に包まれたロッチの素顔に迫った。 ――DVDのタイトルにもなっている『PELO PELO PELOTTi』というのは、少しだけエロを感じさせるということでこのフレーズにしたんですよね。 コカド そうですね。ちょっとだけエロい、そよ風程度のエロさがあるのがいいなあと。片仮名だと露骨になるから、アルファベットにしました。僕らのコンビとしての要素にもそれは入ってますね。普段しゃべっていても、そういう話題で一番笑ってる気がするし。まあ、エロいって言っても、中学2年生レベルのエロさですけどね。 中岡 一時期、内村(光良)さんにも、「(ロッチのネタは)ウンコだのオッパイだのが多いなあ」って言われたんです。自分たちでは意識して作ってなかったんですけど、そういえばそうだなあ、って思いました。2年前の『キングオブコント2009』でも、「これ、受け入れられるかなあ?」と思いながらも、ネタの中で「巨乳、巨乳」って連呼してましたからね。 コカド あの時期、はんにゃとかジャルジャルに紛れて、なぜか自分達もキャーキャー言われてたんですよ。それが自分たちの中でもしっくり来なかったんで、テレビであえてそういうのをやりたいというのもあったんですよね。 中岡 キャーキャー言われると、2人とも恥ずかしくて変な笑顔になるんですよ。うれしいはうれしいんですけどね。間違えてますよ、と(笑)。 コカド 前回の単独ライブ『ロッチラリズム』のときは、出て行った瞬間にキャーキャー言われて、こんなん言われたらでけへんわ、って思ったんですけど、今回はそれがなくなってて。コントやりやすくなったけど、無いなら無いで、「何やねん!?」と思いますね(笑)。 ――お二人のネタは、かなりパターンも豊富ですが、今回のライブでは、中岡さんが一方的にコカドさんにいじり倒される、という形のネタが目立った気がします。今までにもそういうネタはあったと思うんですけど、今回は特に理不尽度が高い、というか。 中岡 分かります。今回は特に多かったですね。 コカド 作ってて楽しかったからそうなっただけで、あえてそうしたってわけじゃないんですけどね。今までは、(中岡の演じる)切ないキャラをどうやって面白がるかっていうことだったのが、最近はいじめっぽく見える感じにはなってきましたよね。 中岡 でも、いじめられてる方もちょっと悪いところはあるんですよ。本当はテレビ出たくてしゃあないのに、「出たくない」って言ってるやつとか。そういう悪い部分をこっちに持たしといて、向こうがやりたい放題やる、っていうのばっかりなんですよ。十文字アキラもそうですよね。 コカド まあ、「ジャンケンマン」は悪くないけどね(笑)。あいつ、めっちゃ盛り上げようと思ってがんばってるだけやから。でも、単なるテレビ売り場で働いてる一個人が、独りで勝手にコスチューム作って、あそこまで考えてやってくる。そんなのが現実にいたら、いじらなしゃあないじゃないですか(笑)。あいつは、がんばりすぎなんです。それをいちばんデリカシーないやつに捕まった、っていうだけで。 ――やっぱり、お二人の実際の性格も、コントの中のキャラと近いところがあるんでしょうか? 中岡 まあ、ほぼそのまんまですよね。僕が何か面白いようなことを言っても、コカド君は全然笑わないんですけど、僕が失敗したりすべったりしてるのを見ると、めちゃくちゃ笑いますね。 コカド そうですね、そういうとこ見た瞬間、ニヤニヤが止まれへんので。街とか電車とかでたまに、独りでしゃべってる人っているじゃないですか。まあ、僕はそういう人にしゃべりに行きますね。「え、何言うてんの?」って(笑)。「教えて教えて!」って行くんですけど、そうするとああいう人は100%黙りますね。僕は聞きたいのに、ああいう人って聞かれたら嫌なんでしょうね。 ――最近はお二人の姿をテレビで見る機会も増えましたが、お互いを見て昔と比べて変わったことはありますか? 中岡 コカド君は、西麻布や六本木で開かれている「レセプションパーティー」とか「バースデーパーティー」とかに、足繁く通うようになりましたね。芸能人になろうと必死なんですよ(笑)。 コカド そんなことないんですけどね。僕、お金がないときからハワイ行ってましたし。でも、今こういう状況になって、正月ハワイ行ったら、おかしなことになりますよね。今まで通りやってるだけなんですけど。中岡君は、独り言とかで、「あー、結婚したい」ってよう言いますね。後輩とかには、「今年結婚すんねん」って言ってます。で、「相手おんの?」って聞いたら「おらん」って返すという。坂田(利夫)師匠と全く同じパターン(笑)。 中岡 この若さで(笑)。でも、本当に結婚はしたいです! (取材・文=ラリー遠田) ●ロッチ 中岡創一(写真右)とコカドケンタロウ(左)からなるお笑いコンビ。2005年結成。コント日本一を決める『キングオブコント』では2009年、2010年と連続して決勝戦に進出している。また、ハライチ、我が家とともに「クレイジーラッツ」を結成し、5月7~8日にライブを行う予定。 ●クレージーラッツライブ(タイトル未定) 日時:5月7日 18:15開場 19:00開演 / 5月8日 13:15開場 14:00開演 / 5月8日 17:15開場 18:00開演 会場:東京・新宿BLAZE 出演者:クレージーラッツ チケット:全席指定5,000円(別途ドリンク代500円) 2月19日(土)10時~ローソンチケットにて
PELO PELO PELOTTi 2010年11月5、6日に北沢タウンホールで行われた、オール新ネタのライブを完全収録。音声特典として、ロッチによる全編コメンタリーを収録。 amazon_associate_logo.jpg
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オアシズ それぞれにブスを昇華した「現実と空想のアンサンブル」

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『不細工な友情』幻冬社
 1月27日放送の『アメトーーク』(テレビ朝日)では、「39(サンキュー)オアシズ姐さん」という企画が放送されていた。森三中、北陽、いとうあさこ、椿鬼奴という女芸人たちが集まり、普段から世話になっているオアシズの2人を囲んで、トークを展開していた。  かつてはテレビの世界でも希少生物だった「女芸人」という存在は、今ではさほど珍しいものではなくなった。なぜそうなったかと言えば、テレビの中の女芸人がいつのまにか道化であることを脱却して、単なる一般人女性の代表になったからだ。彼女たちは、自らの身体的欠陥や女性的な性格を誇張することをやめて、普通の女性にとって身近な存在となることで、存在意義を獲得した。  そんな時代の転換点を生き抜いてきたのが、オアシズの光浦靖子と大久保佳代子だ。彼女たちは、一種の「ブスキャラ」として頭角を現して、それ以降はブスキャラにつきまとうキワモノ感を少しずつ脱臭させていくことで、テレビの中で一定の居場所を確保することができるようになった。ただ、彼女たちが現在の地位を築くためにやってきたことの内容は、光浦と大久保で180度異なっている。  光浦は、ブスであるという自覚と、自分がお笑いを貫くことも「いい女」を気取ることもできない、という大いなる断念を胸に抱きながら、鋭い分析力と観察眼を生かして、皮肉と批評と自己嫌悪を己の芸にまで昇華させた。いわば、光浦は、事実をまっすぐ見つめるリアリスト。前述の『アメトーーク』の中でも、光浦が語った将来の夢は、「お嫁さん」や「司会者」などではなく、自身の趣味を生かした「手芸の先生」だった。地に足を付けて、一歩一歩進んできた彼女の現実主義がそこにある。  一方、大久保は、光浦とは対照的に、恐るべき夢想家で、型に囚われない自然体の持ち主。一時はOLと芸人の二足のわらじを履いていた彼女は、OLとしての感覚をそのままに、手ぶらでテレビの舞台に上がっているようなところがある。あまり声を張らず、積極的にしゃべらず、淡々と「そこら辺にいるオバサン」のように思ったことをそのまま口にする。そのマイペースぶりは、芸人同士が必死で前に出ようとするテレビバラエティの世界では、ひときわ異様なものに映る。  『アメトーーク』では、コンビ結成当初、光浦が大久保に彼氏を奪われたという衝撃のエピソードを涙ながらに告白していた。光浦はいまだにそのときのショックを引きずっているのに、隣に座る大久保は一切動揺するそぶりを見せず、「そのときは性欲が異常にあったから」と、ケロッとしていた。徹底して無感情で、ポジティブでもネガティブでもない大久保の言動は、見る者を「笑うしかない」という思考の崖っぷちに追い詰める。これは、彼女にしかできない反則すれすれの名人芸だ。  オアシズの2人が特別だったのは、「女芸人はナメられる」「たとえ笑いを取っても、それでモテるようにはならない」という事実を冷静に把握した上で、そのことを「めんどくさい」と思う気持ちをそれぞれのやり方で素直に表現していたということだ。だから、光浦や大久保は、芸人という立場でありながら、テレビに出てもあまりガツガツすることもなく、自分たちがいわゆる「芸人」のカテゴリーに属することを全面的に受け入れてはいないようなところがある。  地を見つめる光浦と、天を仰ぐ大久保。現実主義者と空想主義者の奇妙な腐れ縁。お笑い界という不思議の国に迷い込んだ2人のアリスの冒険は、まだまだ終わらない。 (文=お笑い評論家・ラリー遠田)
不細工な友情
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●連載「この芸人を見よ!」INDEX 【第101回】スリムクラブ 最後のM-1を駆け抜けた「超スローテンポという革命」 【第100回】レイザーラモンRG  "吉本団体芸"が生んだ「強心臓のニューヒーロー」 【第99回】麒麟 5度の決勝進出が「M-1グランプリの申し子」をどう変えたか 【第98回】ピース 噛み合わない2つの破片が力ずくで組み上げた「笑いのパズル」 【第97回】次長課長 変幻自在のオールラウンダー河本を生かす、井上の「受け止めるツッコミ」 【第96回】 オセロ松嶋尚美 大先輩・鶴瓶に見初められ「褒められて咲いた大輪の花」 【第95回】 ダイノジ 雌伏16年──ついに訪れる「二頭の虎が目覚めるとき」 【第94回】 キングオブコメディ 極限の不運と"顔芸人"のレッテルを払拭して掴んだ「コント日本一」 【第93回】 山田邦子 史上初の「天下を取った女芸人」その栄光と転落のタレント人生 【第92回】エレキコミック 一度ハマるとクセになる!?「一点突破の納豆コント」 【第91回】野性爆弾 「遅れてきた吉本最終兵器」がブレイクを果たした秘密とは 【第90回】野沢直子 今振り返るカリスマ女芸人の「先駆者としての比類なき存在感」 【第89回】サバンナ 野生の勘で芸能界を疾走する「発展途上のロジカルモンスター」 【第88回】東京ダイナマイト 破壊なくして創造なし! ハチミツ流「笑いのセメントマッチ」 【第87回】トータルテンボス 進化を止めない本格派コンビを育てた「M-1急転直下の挫折劇」 【第86回】ロッチ  シンプルな構図でコントに魂を吹き込む「関係性のスペシャリティ」 【第85回】山崎邦正 ダウンタウンによって強制開花した「ヘタレの天才」が巻き起こす奇跡 【第84回】フルーツポンチ 確かな演技力でポストバブル世代に現出した「キザ男のリアリズム」 【第83回】よゐこ 爆発力と切れ味で支持層を拡大する「自然体のシュール」 【第82回】バッファロー吾郎 マニアック芸人の権化が極めた「もうひとつの天下」 【第81回】ドランクドラゴン 完璧な構築物に風穴を開けて回る「鈴木拓のガッカリ力」 【第80回】高田純次 還暦過ぎても華衰えぬ「日本一の適当男」が歩み続けた孤高の道程 【第79回】森三中  メンバーの結婚で進化する「ブスとブスとブスの関係性」 【第78回】Wコロン・ねづっち  「整いました!」なぞかけ芸が時代にハマった深い理由 【第77回】所ジョージ  突出した安定感を生み出すボーダレスな「私の世界」 【第76回】土田晃之  元ヤン、家電、ガンダム......でも嫌われない「ひな壇の神」の冴えたやりかた 【第75回】タカアンドトシ  非関西系漫才のツッコミ新境地「欧米か!」が生まれた理由 【第74回】キングコング西野亮廣  嫌われるには理由がある!? 天才を悩ませる「出た杭の憂鬱」 【第73回】椿鬼奴  虚栄心から自由になった女芸人の「自然体が放散する魅力」とは 【第72回】萩本欽一  テレビを作り、テレビに呑み込まれた「巨人の功罪」 【第71回】アンガールズ  キモカワ芸人が精緻に切り出した「人生のNGシーン」に宿る笑い 【第70回】エハラマサヒロ   「究極の器用貧乏芸人」が無限の笑いをコラージュする 【第69回】なだぎ武 R-1二連覇を成した演技派芸人の「本当の運命の出会い」とは 【第68回】いとうあさこ 悲観なき自虐を操る「アラフォー女性のしたたかなリアル」 【第67回】チュートリアル M-1完全優勝を勝ち取った「ひとつもボケない」漫才進化論 【第66回】松村邦洋 己を棄てて己を活かす「笑われる天才」が生きる道 【第65回】キャイ~ン・ウド鈴木 20年目の変わらぬ想い──「満面の笑顔で愛を叫ぶ」 【第64回】しずる 緻密なマーケティングと確かな演技力で突っ走る「腐女子枠のプリンス」 【第63回】青木さやか 仕事も家庭も......不器用に体現する「現代女性の映し鏡」 【第62回】 今田耕司 好きな司会者第3位にランクされる「代弁者としての3つの極意」 【第61回】我が家 「変幻自在のローテーション」が3人のキャラ薄をメリットに転化する 【第60回】ハライチ "ツッコミ"を棄てた関東M-1新世代が生み出す「面の笑い」とは? 【第59回】出川哲朗 稀代のリアクション芸人が「計算を超えた奇跡」を起こし続ける理由 【第58回】中川家 すべてはここから始まった!? 兄弟が奏でる「舞台芸と楽屋芸のハイブリッド」 【第57回】板尾創路 笑いの神に愛された男が泰然と歩む「天然と計算の境界線」 【第56回】清水ミチコ 対象者の心を浮き彫りにする「ものまねを超えた賢人の不真面目芸」 【第55回】とんねるず 暴れ放題で天下を取った「学生ノリと楽屋オチの帝王学」 【第54回】友近 孤高の女芸人が体現する「女としての業と生き様」 【第53回】ウンナン内村光良 受け継がれゆく遺伝子「終わらないコント愛」 【第52回】モンスターエンジン 結成2年でシーンを席巻する「高次元のバランス」 【第51回】関根勤 再評価される「妄想力」ひとり遊びが共感を呼ぶ2つの理由 【第50回】南海キャンディーズ しずちゃんを化けさせた山里亮太の「コンビ愛という魔法」 【第49回】フットボールアワー 無限の可能性を秘めた「ブサイクという隠れみの」 【第48回】ますだおかだ 「陽気なスベリ芸」という無敵のキャラクターが司る進化 【第47回】ナインティナイン あえて引き受ける「テレビ芸人としてのヒーロー像」 【第46回】インパルス タフなツッコミで狂気を切り崩す「極上のスリルを笑う世界」 【第45回】アンタッチャブル 「過剰なる気迫」がテレビサイズを突き抜ける 【第44回】おぎやはぎ 「場の空気を引き込む力」が放散し続ける規格外の違和感 【第43回】志村けん 「進化する全年齢型の笑い」が観る者を童心に帰らせる 【第42回】はるな愛 「すべてをさらして明るく美しく」新時代のオネエキャラ 【第41回】明石家さんま テレビが生んだ「史上最大お笑い怪獣」の行く末 【第40回】ブラックマヨネーズ コンプレックスを笑いに転化する「受け止める側の覚悟」 【第39回】笑い飯 Wボケ強行突破に見る「笑わせる者」としての誇りと闘争心 【第38回】笑福亭鶴瓶 愛されアナーキストが極めた「玄人による素人話芸」とは 【第37回】島田紳助 "永遠の二番手"を時代のトップに押し上げた「笑いと泣きの黄金率」 【第36回】東野幸治 氷の心を持つ芸人・東野幸治が生み出す「笑いの共犯関係」とは 【第35回】ハリセンボン 徹底した自己分析で見せる「ブス芸人の向こう側」 【第34回】FUJIWARA くすぶり続けたオールマイティ芸人の「二段構えの臨界点」 【第33回】ロンブー淳 の「不気味なる奔放」テレ朝『ロンドンハーツ』が嫌われる理由 【第32回】柳原可奈子 が切り拓くお笑い男女平等社会「女は笑いに向いているか?」 【第31回】松本人志 結婚発表で突如訪れたカリスマの「幼年期の終わり」 【第30回】はんにゃ アイドル人気を裏打ちする「喜劇人としての身体能力」 【第29回】ビートたけし が放った『FAMOSO』は新世紀版「たけしの挑戦状」か 【第28回】NON STYLE M-1王者が手にした「もうひとつの称号」とは 【第27回】ダチョウ倶楽部・上島竜兵 が"竜兵会"で体現する「新たなリーダー像」 【第26回】品川祐 人気者なのに愛されない芸人の「がむしゃらなリアル」 【第25回】タモリ アコムCM出演で失望? 既存イメージと「タモリ的なるもの」 【第24回】ケンドーコバヤシ 「時代が追いついてきた」彼がすべらない3つの理由 【第23回】カンニング竹山 「理由なき怒りの刃」を収めた先に見る未来 【第22回】ナイツ 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 【第21回】立川談志 孤高の家元が歩み続ける「死にぞこないの夢」の中 【第20回】バカリズム 業界内も絶賛する「フォーマット」としての革新性 【第19回】劇団ひとり 結婚会見に垣間見た芸人の「フェイクとリアル」 【第18回】オードリー 挫折の末に磨き上げた「春日」その比類なき存在 【第17回】千原兄弟 東京進出13年目 「真のブレイク」とは 【第16回】狩野英孝 「レッドカーペットの申し子」の進化するスベリキャラ 【第15回】サンドウィッチマン 「ドラマとしてのM-1」を体現した前王者 【第14回】小島よしお 「キング・オブ・一発屋」のキャラクター戦略 【第13回】U字工事 M-1決勝出場「北関東の星」が急成長を遂げた理由 【第12回】江頭2:50 空気を読んで無茶をやる「笑いの求道者」 【第11回】バナナマン 実力派を変革に導いた「ブサイク顔面芸」の衝撃 【第10回】山本高広 「偶像は死んだ」ものまね芸人の破壊力 【第09回】東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」 【第08回】ジャルジャル 「コント冬の時代」に生れ落ちた寵児 【第07回】爆笑問題・太田光 誤解を恐れない「なんちゃってインテリ」 【第06回】世界のナベアツ 「アホを突き詰める」究極のオリジナリティ 【第05回】伊集院光 ラジオキングが磨き上げた「空気を形にする力」 【第04回】鳥居みゆき 強靭な妄想キャラを支える「比類なき覚悟」 【第03回】くりぃむしちゅー有田哲平 が見せる「引き芸の境地」 【第02回】オリエンタルラジオ 「華やかな挫折の先に」 【第01回】有吉弘行 が手にした「毒舌の免罪符」