「いじめっ子って本当は優等生なんですよ!」"ブレてもいいこと"を伝えたいファンクバンドの使命

 明日10月3日に、在日ファンクのミニアルバム『連絡』がリリースされる。それを記念して、リーダーのハマケンこと浜野謙太と、ギターの仰木亮彦両名にインタビューを決行! 昨年9月に発売された2ndアルバム『爆弾こわい』からおよそ1年、「大きく変わった」という彼らの変化について聞いてきました!
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──今回のミニアルバムはリード曲となっている「嘘」をはじめ、「ホームシック」「ダチ」「肝心なもんか」「不思議なもんでさ」……といった8曲構成になっていますが、タイトルの『連絡』には何か意味があるんですか? 浜野 最初から全体のパッケージを考えて作っていったわけではなく、全部の曲がそろってから、「これをひとつのパッケージにするとしたら?」って考えてつけたんです。 仰木 はじめはけっこういろいろ悩んだんですけど、どれもしっくりこなくて。でも最終的に僕が『連絡網』って思いついて、そこから「網」を消して『連絡』に落ち着いたっていう。 浜野 『連絡』にしようって言ったのは俺だよな? 仰木 でも、最初に『連絡網』って思いついたのは俺だったよね? ──……。今回、これまでのアルバムに比べると全体的にしっとりした、大人めな曲が多かったように思います。 仰木 ほら、いい「連絡」を取れる人は大人ですからね(笑)。 浜野 ただ、実際はそれぞれの曲のテーマを見ると子どもっていうか……むしろ「大人になりたい!」みたいな感じですよね。あ、"大人になりたい"っていいね。やっぱり、これタイトルにしようよ(笑)。 仰木 え!? ──前作のアルバムからおよそ1年ぶりのリリースとなりましたが、何か変化はありましたか? 浜野 やっぱり、「メンバーに曲を作ってもらおう」っていう"寛容な判断"をリーダーがしたっていうことですかねえ。 仰木 ……。 浜野 まあ正直なところ、書いてもらわなきゃいけない状況だったというか……。2ndアルバムを作った時に、実は俺がけっこうテンパってしまって、スタッフからも「メンバーにも曲を書いてもらったらどうですか?」って言われてたんですよ。そんな中、個人の仕事も増えてきて、リアルにメンバーの助けが必要になってきた。お客さんの耳も慣れてきて、1〜2時間のライブをやるのにも、メンバーの意見を取り入れて広がりを出さないと厳しくなっていたし。勢いだけではお客さんを満足させられなくなってたんですよね。 ──いろんな要素がないとおもしろくないと。 浜野 そうですね。最近はももいろクローバーZとのライブしかり、イベント的なステージに呼ばれてちょっとやる、という機会が多くて。おかげで話題はそこそこあったんですけど、いざワンマンになると「もうちょっとできるんじゃないのか?」っていう不完全燃焼感があった。(注目される機会が増えたことで)僕たちの音楽を聴こうとしてくれる人たちは増えたのに、それにイマイチ応えられていないのかなと。 仰木 そういう状況を打開するためにも、今回は僕たちも曲を作ろうってことになったんです。
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──しかも、今回のミニアルバムは、仰木さんの作った「嘘」がリード曲ですもんね。 仰木 そうなんですよ! いやぁ、ハマケンはすごく寛容になった。 ──と、言いますと? 仰木 今までは、"ハマケン以外は曲を作っちゃいけない"っていう空気がありまして。もちろん、最初から自分たちがいろいろやりすぎてたら「在日ファンクとはこうだ」っていうものが明確に作れなかったと思うんですけど、最近少しずつ、いろんなことを振ってくれるようになったんですよ。 「京都」っていう曲で、ライブの時は歌い出しだけ僕がやったりしてるんですけど、スタッフが「次のアルバムは、仰木さんが歌う曲を1曲くらい入れちゃってもいいんじゃないですかね?」なんてボソっと言ったら、ハマケンが「いや、それはダメだ」って頑に拒否したりして(笑)。それが今、俺が作詞も作曲もした曲がリード曲になって、すごく感慨深いんですよ。単純に嬉しかったし。 浜野 俺も大人になったんだな(笑)。 ──ちなみに、今回一番思い入れのある曲は? 浜野 在日ファンク全体に影響を与えた曲になったので、やはり「嘘」ですね。悔しいですけど。まず、「嘘」ができてから仰木の顔付きが変わったんですよ。「俺だって、いつまでもいじめられっ子のままじゃないんだぞ!」みたいな。それに、ほかの曲のアレンジにも影響を与えたし、ライブの時にゆったり演奏できるようになりましたから。やっぱり、自分だけが曲を作ってると、内心「これでいいのかな?」って思うんですよ。だけど、メンバーが作った曲をやる時って、「こいつが作った曲なんで、良くなかったらこいつのせいです」って気構えになれる(笑)。 仰木 そういうこと!? まあ、今まではそうやって気の抜けるところがなさすぎたんですよね。「嘘」のほかに、「肝心なもんか」もリズム隊で作ったんですけど、自分の曲以外の曲が入ってきたことで、ハマケンも力が抜けたかなと。 浜野 音楽はリラックスしないとできないですよね。 仰木 前はお客さんにキレてる時とかもあったもんね。 浜野 そ、そうですね……。「なめられちゃいけない!」みたいな気負いがありましたからね。だから、メンバーが作った曲を受け入れることで、「あれもしていいんだ、これもしていいんだ」って思えるようになって、気持ちに余裕が持てるようになったんですよ。この寛容な姿勢は、みんなにも学んでほしいよね。 仰木 ん? 浜野 ほら、国とか大阪市とかにだよ! ──いきなり話が大きくなりましたね。仰木さんも、思い入れの強い曲ナンバー1は「嘘」ですか? 仰木 もちろん「嘘」もですけど、僕は「不思議なもんでさ」にも思い入れがありまして。今回のミニアルバムは3rdにつながるものに……という思いがあって、この曲を最後にするという配置で曲順を考えたのも、実は僕なんですよ。 浜野 いや、俺が仰木に話を振って決まったんだから、俺だ。 仰木 いや、俺が考えたんだよ(笑)。 ──(笑)。ところで、冒頭でも触れていましたが、去年から今年にかけて、岡村靖幸さんリミックスの「爆弾こわい」を発表したり、ももいろクローバーZに関しては対バンライブのほかに、メンバーの有安杏果ちゃんにソロ曲「教育」を提供したり……こうしたコラボを経て、影響を受けた部分もあったのでしょうか?  浜野 うーん、岡村さんに関しては、実は対談した後にちょっとヘコんでしまって。「僕らは岡村さんとは違うことをやらなきゃ!」とは思いましたね。岡村さんて、音楽に対してすごく渇望感があるんですよ。あそこまでしないとあのリズムは作れないんだろうなって思うんですけど……同時に、「僕はリア充なんで、岡村さんと同じ事は思ってません!」って気持ちになってしまって。その時、「これができる」っていうより、「僕にはこれはできない」って感じたんです。でも、「自分はこれが絶対できない」っていう感覚のほうが、本当の意味での個性じゃないですか? そこに気がつかされましたね。 仰木 そういう感覚のほうが、僕ら確信を持ってるもんね。 ──「いやいやそういうんじゃないし」っていう引いた感じが、なんだか在日ファンクっぽいですね。ももクロのほうはどうでしたか? 浜野 「教育」は、実は仕上がった後に「本当にあげたくない!」と思って(笑)。それくらい、しっくりきた曲になったんです。あのタイミングじゃなかったらももクロに楽曲提供なんてできなかったと思うし、すごくいいコラボレーションだったと思いますね。ただ、やっぱり終わったあとはまたヘコんで……「ああ、ももクロちゃんてこんなすげえんだ!」って。 仰木 大人だったんですよね。リハーサルの後、廊下で会った時に「あそこのくだりのところ、もう一度やらせてもらえませんか?」って言われて。それで、楽屋にわざわざ来てハマケンとの台詞のやり取りを練習したりしてね。 浜野 それに、ももクロを取り巻くスタッフさんたちもやりたいことをやっていて、それに対してファンが「それを待ってたんだよね!」って応えてた。アイドルとコラボなんかしたら、「でも、どうせ裏で会社がいっぱい動いてるんでしょ〜怖いよね〜」みたいな言い訳を自分がするんじゃないかって思ってたんですけど、それができないくらいももクロはパワフルだったんですよ。率直に、「人気があるってこういうことなんだ」って感じました。
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──もうひとつ、これは超勝手に感じたことなんですが、今回のミニアルバムは、いじめ問題に揺れる現代社会の子どもたちの気持ちにもシンクロするのかなと。寂しさだったり、他人とのコミュニケーション不足だったり……これは意図したことではないのかもしれませんが、今後、社会に対して発信していきたいことってありますか? 浜野 前から、何事にも「ブレろ!」って思ってるんですよ。ブレたくない自分に挑戦していかないといけないんです。例えば僕は、今回のアルバムでメンバーに曲を書いてもらったり、メンバーの意見もちゃんと聞いたりしたことで、自分の世界を崩すことを味わった。  大津のいじめ事件で、いじめられた子が死んだ後に、いじめた子が「アイツ死によったで」なんて言ってた、という話がありましたよね? それを聞いて、大人は「極悪非道だ!」って言うじゃないですか。いくらなんでも、自分が加害者で、いじめていた子が死んだらショックを受けてくれるだろうと思ってるから。でも、そこでその子がケロっと見せていたのは、ブレたくなかったからじゃないかなって思うんです。その子は、「ブレたら負けだ」っていう、大人の世界から習ったことをまっとうしている、いわゆる"優等生"なんだと思うんですよ。だから、いい社会とか美しいものを作るためだったら、「ブレてもいいんじゃない」ってことを伝えたいんです。「あ、そうなの? そっちのほうがいいね!」って言う勇気を持ってほしい。これは、むしろ僕たち大人に重要なことかも。 仰木 在日ファンクって、コミカルなバンドだと捉えられがちだと思うんです。実際、笑ってもらえるっていうことは重要な要素だとも思っているし。でも、"笑い"としてしか捉えてないお客さんも多い気がしていて、もう一歩、自分たちの音楽に踏み込んで来て欲しいという時もあります。『爆弾こわい』のリリースツアーで、広島にも行ったんですが、「爆弾こわい」を演奏した時、お客さんのテンションがすごく高くて、鳥肌が立ちました。お客さんの中に共通の問題意識があれば、在日ファンクの曲って、決してコミカルなだけじゃないと思うんですよね。 ──原爆の問題とシンクロした、ということですか? 仰木 そうですね。「嘘」を作った時は、"嘘をつくことは罪である"ということは念頭に置きつつも、「嘘も方便」という言葉もありますし、全ての嘘に対して、その人が責任を取るべき"絶対悪"だと言い切れるのかな? って感じていた部分があって。なるべく嘘はつきたくないけど、多かれ少なかれ、社会生活の中で気付かずにそう仕向けられているかもしれない。だから、嘘って「いい」「悪い」じゃなくて、そういう世の中をまわす"カラクリ"みたいなものだと思ったんですよね。 ──仰木さん……けっこういろいろ考えてるんですね(笑)。なんだかでは、やっと幅が広がり始めたということで(!?)、今後の展開も、楽しみにしてます! (構成=編集部/撮影=後藤秀二) ●在日ファンク SAKEROCKの浜野謙太を中心とし、「日本に在りながらファンクを再認識する」ことを目指した7人組ファンクバンド。2010年1月にファーストアルバム『在日ファンク』でデビュー。11年にリリースした『爆弾がこわい』で注目を集め、さまざまなアーティストとのコラボレーションも展開している。 ■RELEASE 『連絡』 10月3日にリリースされる、ミニアルバム。メンバーの仰木亮彦(Gt.)の「嘘」や村上基(Tp.)の「ダチ」など、浜野以外が手がけた楽曲が初めて起用されている。「あれは今回限りのデトックスなんですけど……よかったのかな」(浜野)という、ジェントル久保田(Tb.)の“不思議な語りが聴ける”ボーナストラックにも注目してほしい。 発売日/10月3日(水)、価格/1980円(税込)、発売元/P-VINE RECORDS

「いじめっ子って本当は優等生なんですよ!」"ブレてもいいこと"を伝えたいファンクバンドの使命

 明日10月3日に、在日ファンクのミニアルバム『連絡』がリリースされる。それを記念して、リーダーのハマケンこと浜野謙太と、ギターの仰木亮彦両名にインタビューを決行! 昨年9月に発売された2ndアルバム『爆弾こわい』からおよそ1年、「大きく変わった」という彼らの変化について聞いてきました!
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──今回のミニアルバムはリード曲となっている「嘘」をはじめ、「ホームシック」「ダチ」「肝心なもんか」「不思議なもんでさ」……といった8曲構成になっていますが、タイトルの『連絡』には何か意味があるんですか? 浜野 最初から全体のパッケージを考えて作っていったわけではなく、全部の曲がそろってから、「これをひとつのパッケージにするとしたら?」って考えてつけたんです。 仰木 はじめはけっこういろいろ悩んだんですけど、どれもしっくりこなくて。でも最終的に僕が『連絡網』って思いついて、そこから「網」を消して『連絡』に落ち着いたっていう。 浜野 『連絡』にしようって言ったのは俺だよな? 仰木 でも、最初に『連絡網』って思いついたのは俺だったよね? ──……。今回、これまでのアルバムに比べると全体的にしっとりした、大人めな曲が多かったように思います。 仰木 ほら、いい「連絡」を取れる人は大人ですからね(笑)。 浜野 ただ、実際はそれぞれの曲のテーマを見ると子どもっていうか……むしろ「大人になりたい!」みたいな感じですよね。あ、"大人になりたい"っていいね。やっぱり、これタイトルにしようよ(笑)。 仰木 え!? ──前作のアルバムからおよそ1年ぶりのリリースとなりましたが、何か変化はありましたか? 浜野 やっぱり、「メンバーに曲を作ってもらおう」っていう"寛容な判断"をリーダーがしたっていうことですかねえ。 仰木 ……。 浜野 まあ正直なところ、書いてもらわなきゃいけない状況だったというか……。2ndアルバムを作った時に、実は俺がけっこうテンパってしまって、スタッフからも「メンバーにも曲を書いてもらったらどうですか?」って言われてたんですよ。そんな中、個人の仕事も増えてきて、リアルにメンバーの助けが必要になってきた。お客さんの耳も慣れてきて、1〜2時間のライブをやるのにも、メンバーの意見を取り入れて広がりを出さないと厳しくなっていたし。勢いだけではお客さんを満足させられなくなってたんですよね。 ──いろんな要素がないとおもしろくないと。 浜野 そうですね。最近はももいろクローバーZとのライブしかり、イベント的なステージに呼ばれてちょっとやる、という機会が多くて。おかげで話題はそこそこあったんですけど、いざワンマンになると「もうちょっとできるんじゃないのか?」っていう不完全燃焼感があった。(注目される機会が増えたことで)僕たちの音楽を聴こうとしてくれる人たちは増えたのに、それにイマイチ応えられていないのかなと。 仰木 そういう状況を打開するためにも、今回は僕たちも曲を作ろうってことになったんです。
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──しかも、今回のミニアルバムは、仰木さんの作った「嘘」がリード曲ですもんね。 仰木 そうなんですよ! いやぁ、ハマケンはすごく寛容になった。 ──と、言いますと? 仰木 今までは、"ハマケン以外は曲を作っちゃいけない"っていう空気がありまして。もちろん、最初から自分たちがいろいろやりすぎてたら「在日ファンクとはこうだ」っていうものが明確に作れなかったと思うんですけど、最近少しずつ、いろんなことを振ってくれるようになったんですよ。 「京都」っていう曲で、ライブの時は歌い出しだけ僕がやったりしてるんですけど、スタッフが「次のアルバムは、仰木さんが歌う曲を1曲くらい入れちゃってもいいんじゃないですかね?」なんてボソっと言ったら、ハマケンが「いや、それはダメだ」って頑に拒否したりして(笑)。それが今、俺が作詞も作曲もした曲がリード曲になって、すごく感慨深いんですよ。単純に嬉しかったし。 浜野 俺も大人になったんだな(笑)。 ──ちなみに、今回一番思い入れのある曲は? 浜野 在日ファンク全体に影響を与えた曲になったので、やはり「嘘」ですね。悔しいですけど。まず、「嘘」ができてから仰木の顔付きが変わったんですよ。「俺だって、いつまでもいじめられっ子のままじゃないんだぞ!」みたいな。それに、ほかの曲のアレンジにも影響を与えたし、ライブの時にゆったり演奏できるようになりましたから。やっぱり、自分だけが曲を作ってると、内心「これでいいのかな?」って思うんですよ。だけど、メンバーが作った曲をやる時って、「こいつが作った曲なんで、良くなかったらこいつのせいです」って気構えになれる(笑)。 仰木 そういうこと!? まあ、今まではそうやって気の抜けるところがなさすぎたんですよね。「嘘」のほかに、「肝心なもんか」もリズム隊で作ったんですけど、自分の曲以外の曲が入ってきたことで、ハマケンも力が抜けたかなと。 浜野 音楽はリラックスしないとできないですよね。 仰木 前はお客さんにキレてる時とかもあったもんね。 浜野 そ、そうですね……。「なめられちゃいけない!」みたいな気負いがありましたからね。だから、メンバーが作った曲を受け入れることで、「あれもしていいんだ、これもしていいんだ」って思えるようになって、気持ちに余裕が持てるようになったんですよ。この寛容な姿勢は、みんなにも学んでほしいよね。 仰木 ん? 浜野 ほら、国とか大阪市とかにだよ! ──いきなり話が大きくなりましたね。仰木さんも、思い入れの強い曲ナンバー1は「嘘」ですか? 仰木 もちろん「嘘」もですけど、僕は「不思議なもんでさ」にも思い入れがありまして。今回のミニアルバムは3rdにつながるものに……という思いがあって、この曲を最後にするという配置で曲順を考えたのも、実は僕なんですよ。 浜野 いや、俺が仰木に話を振って決まったんだから、俺だ。 仰木 いや、俺が考えたんだよ(笑)。 ──(笑)。ところで、冒頭でも触れていましたが、去年から今年にかけて、岡村靖幸さんリミックスの「爆弾こわい」を発表したり、ももいろクローバーZに関しては対バンライブのほかに、メンバーの有安杏果ちゃんにソロ曲「教育」を提供したり……こうしたコラボを経て、影響を受けた部分もあったのでしょうか?  浜野 うーん、岡村さんに関しては、実は対談した後にちょっとヘコんでしまって。「僕らは岡村さんとは違うことをやらなきゃ!」とは思いましたね。岡村さんて、音楽に対してすごく渇望感があるんですよ。あそこまでしないとあのリズムは作れないんだろうなって思うんですけど……同時に、「僕はリア充なんで、岡村さんと同じ事は思ってません!」って気持ちになってしまって。その時、「これができる」っていうより、「僕にはこれはできない」って感じたんです。でも、「自分はこれが絶対できない」っていう感覚のほうが、本当の意味での個性じゃないですか? そこに気がつかされましたね。 仰木 そういう感覚のほうが、僕ら確信を持ってるもんね。 ──「いやいやそういうんじゃないし」っていう引いた感じが、なんだか在日ファンクっぽいですね。ももクロのほうはどうでしたか? 浜野 「教育」は、実は仕上がった後に「本当にあげたくない!」と思って(笑)。それくらい、しっくりきた曲になったんです。あのタイミングじゃなかったらももクロに楽曲提供なんてできなかったと思うし、すごくいいコラボレーションだったと思いますね。ただ、やっぱり終わったあとはまたヘコんで……「ああ、ももクロちゃんてこんなすげえんだ!」って。 仰木 大人だったんですよね。リハーサルの後、廊下で会った時に「あそこのくだりのところ、もう一度やらせてもらえませんか?」って言われて。それで、楽屋にわざわざ来てハマケンとの台詞のやり取りを練習したりしてね。 浜野 それに、ももクロを取り巻くスタッフさんたちもやりたいことをやっていて、それに対してファンが「それを待ってたんだよね!」って応えてた。アイドルとコラボなんかしたら、「でも、どうせ裏で会社がいっぱい動いてるんでしょ〜怖いよね〜」みたいな言い訳を自分がするんじゃないかって思ってたんですけど、それができないくらいももクロはパワフルだったんですよ。率直に、「人気があるってこういうことなんだ」って感じました。
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──もうひとつ、これは超勝手に感じたことなんですが、今回のミニアルバムは、いじめ問題に揺れる現代社会の子どもたちの気持ちにもシンクロするのかなと。寂しさだったり、他人とのコミュニケーション不足だったり……これは意図したことではないのかもしれませんが、今後、社会に対して発信していきたいことってありますか? 浜野 前から、何事にも「ブレろ!」って思ってるんですよ。ブレたくない自分に挑戦していかないといけないんです。例えば僕は、今回のアルバムでメンバーに曲を書いてもらったり、メンバーの意見もちゃんと聞いたりしたことで、自分の世界を崩すことを味わった。  大津のいじめ事件で、いじめられた子が死んだ後に、いじめた子が「アイツ死によったで」なんて言ってた、という話がありましたよね? それを聞いて、大人は「極悪非道だ!」って言うじゃないですか。いくらなんでも、自分が加害者で、いじめていた子が死んだらショックを受けてくれるだろうと思ってるから。でも、そこでその子がケロっと見せていたのは、ブレたくなかったからじゃないかなって思うんです。その子は、「ブレたら負けだ」っていう、大人の世界から習ったことをまっとうしている、いわゆる"優等生"なんだと思うんですよ。だから、いい社会とか美しいものを作るためだったら、「ブレてもいいんじゃない」ってことを伝えたいんです。「あ、そうなの? そっちのほうがいいね!」って言う勇気を持ってほしい。これは、むしろ僕たち大人に重要なことかも。 仰木 在日ファンクって、コミカルなバンドだと捉えられがちだと思うんです。実際、笑ってもらえるっていうことは重要な要素だとも思っているし。でも、"笑い"としてしか捉えてないお客さんも多い気がしていて、もう一歩、自分たちの音楽に踏み込んで来て欲しいという時もあります。『爆弾こわい』のリリースツアーで、広島にも行ったんですが、「爆弾こわい」を演奏した時、お客さんのテンションがすごく高くて、鳥肌が立ちました。お客さんの中に共通の問題意識があれば、在日ファンクの曲って、決してコミカルなだけじゃないと思うんですよね。 ──原爆の問題とシンクロした、ということですか? 仰木 そうですね。「嘘」を作った時は、"嘘をつくことは罪である"ということは念頭に置きつつも、「嘘も方便」という言葉もありますし、全ての嘘に対して、その人が責任を取るべき"絶対悪"だと言い切れるのかな? って感じていた部分があって。なるべく嘘はつきたくないけど、多かれ少なかれ、社会生活の中で気付かずにそう仕向けられているかもしれない。だから、嘘って「いい」「悪い」じゃなくて、そういう世の中をまわす"カラクリ"みたいなものだと思ったんですよね。 ──仰木さん……けっこういろいろ考えてるんですね(笑)。なんだかでは、やっと幅が広がり始めたということで(!?)、今後の展開も、楽しみにしてます! (構成=編集部/撮影=後藤秀二) ●在日ファンク SAKEROCKの浜野謙太を中心とし、「日本に在りながらファンクを再認識する」ことを目指した7人組ファンクバンド。2010年1月にファーストアルバム『在日ファンク』でデビュー。11年にリリースした『爆弾がこわい』で注目を集め、さまざまなアーティストとのコラボレーションも展開している。 ■RELEASE 『連絡』 10月3日にリリースされる、ミニアルバム。メンバーの仰木亮彦(Gt.)の「嘘」や村上基(Tp.)の「ダチ」など、浜野以外が手がけた楽曲が初めて起用されている。「あれは今回限りのデトックスなんですけど……よかったのかな」(浜野)という、ジェントル久保田(Tb.)の“不思議な語りが聴ける”ボーナストラックにも注目してほしい。 発売日/10月3日(水)、価格/1980円(税込)、発売元/P-VINE RECORDS

CDのための音楽は表面的! "テーマありき"の楽曲は、音楽業界をぶった斬れるのか?


_MG_3709_s.jpg前編はこちらから  TOKYO FMで放送中のラジオ番組『SMJ全日本スキマ音楽』。その番組内で制作された楽曲の配信を記念してお届けしている、東京03の角田晃広とSAKEROCK、在日ファンクの浜野謙太のインタビュー・前編では、番組開始からの彼らの変化について語ってもらった。ここからは、2人が今気になっている"スキマな人物"と、今後の番組の野望について盛り上がる――。 ――番組の進行は、どんな雰囲気でやってるんですか? 浜野謙太(以下、浜野)  ラジオに関しては、僕はやっぱりミュージシャンで(笑)。角田さんを頼りにせざるを得ないというか、言葉が何も湧いてこない時とかありますし......。 角田晃広(以下、角田)  いやいや、こっちも言葉が浮かばないことなんてあるから(笑)。慣れない同士がやってますからね。 浜野 そうですよね。角田さんもコントではいじられるほうですもんね。 角田 そうそう。進行なんて、普段、東京03ではしないことですからね。そんな2人が番組始めてもうすぐ1年ですよ。

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浜野 この1年、角田さんと出会えたってことは、僕にとってすごく大きかったですね。 角田 この番組を飛び越えて、東京03のライブにも出てもらったりしましたし、ハマケンのほうからもライブのステージに誘ってもらったりとか......は、ないんですけど。 浜野 いや、これからね、やります、やります。すみません......。 角田 すみませんって(笑)。でも、僕もいい出会いをさせてもらったなと。それでね、今年の目標としては、番組でイベントをやりたいと思っているんですよ。生放送じゃないので、聴いている方と直のやり取りができないじゃないですか。ちゃんと聴いてくれる人がいるんだ、っていうことを確認したい(笑)。 ――では、スペイン坂スタジオに行きますか。 浜野 いやー、やったら人来るんですかね!? 角田 万が一やっちゃった(人が来なかった)場合、ダメージ大きいよね。 ――そこは弱気なんですね(笑)。ハマケンさんは、何か今年の目標はありますか? 浜野 そうですね、この番組、収録にけっこう時間がかかるんですよ。角田さんは曲を収録前に作って持ってきてくれるんですけど、アレンジするのに時間がかかっちゃって。長く時間をかければいい曲になるっていうわけでもないし、どっかにコツがあるんだろうなって思ってるんですけど、それがもう少しで見つかりそうなんです。だから今年は、もうちょっと作業を早くできればと。 角田 助かるね(笑)。 浜野 角田さんもスタッフも、僕がアレンジをしている間ずっと待ってるんですよ。 角田 でも面白いですよ。音がどんどん出来上がっていく過程が見られて。 浜野 大人がみんなでこっちを見ながら待ってるから、僕はプレッシャーですけどね。 角田 確かにハマケンはやりづらいだろうね(笑)。 浜野 普段はトロンボーン奏者なんで、鍵盤がうまく弾けるわけでもないし、ギターを弾けるわけでもないので、それをどう効率的にするかを考えていて。 角田 でも、うまくなってきたよね。 浜野 あ、ありがとうございます(笑)。角田さんも、必要以上にギターがうまくなってきてますよね。 角田 こんなに毎週毎週ギター弾くことなんてなかったですからね。曲を作るために家でも弾いてますし、そりゃうまくもなるでしょ! ――回を重ねるごとに、クオリティーの高い曲ができてますよね。 角田 基本はそのはずです。その中に、ときどき「あれ?」っていうのが聴いてる人にはあるかもしれませんが(笑)。 浜野 あと、こんなに続くとは思わなかったんですよね。番組ではなく、アレンジが。 角田 ハマケンは毎週よくやってるよね。 浜野 そこがデカイとこなんですよ!  こういう曲を作りたいとか、こういうことをやらなきゃいけないっていう"文脈"が僕らにはあるじゃないですか。コンセプトっていうとちゃっちい感じがするから、文脈って言ってみましたけど......。 角田 文脈のほうがいいね。 浜野 (笑)。文脈があると、表面的な意味ではない、新しい表情の曲ができるのが面白いんです。文脈があるだけ新しい曲があるっていうのは、大きな発見だったと思います。普段、CDのために曲を作る時とか、表面的に差別化された作品揃いになってしまうことがあると思うんですけど、ある1曲を作り上げる時には、なぜその目的地に向かいたいのか、っていう文脈が大事なんだなって気づきました。 角田 いいね、音楽業界軽く斬ったね(笑)。いいと思うよ、オレは。 浜野 この番組は、けっこう斬ってますよ。
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角田 でも、斬られてるほうはまったくそんな気はしてないだろうけどね(笑)。 ――ところで、お2人が注目しているお笑い界のスキマな人、音楽界のスキマな人っていますか? 角田 うーん......あ、後輩芸人で「のんたなか」っていう、最近ピンになった女芸人がいるんですけど、SMJを好きで聴いてくれているんで名前挙げておこうかと。って言っても、ピンでのネタはまだ見てないんですけど(笑)。天真爛漫で人から愛される子なので、いずれスキマじゃなくなるんじゃないかと思ってます。 浜野 僕はけっこう、王道が好きだからなぁ......。 角田 あれ? スキマな音楽番組やってるのに!? 浜野 はい(笑)。自分が関係しているバンドなんですけど、SMJにも来てくれてる"ジェントル"久保田(在日ファンクのトロンボーン奏者)が「ジェントル・フォレスト・ジャズ・バンド」っていうビッグバンドをやっているんですよ。今の時代にビッグバンドっていうのは、なかなかないじゃないですか。ビッグバンドだけど懐古主義ではなく、痛快なことをやっているんです。僕が歌ってるんで手前味噌ですけど(笑)、これはおすすめ。今はもう、機械を使って少ない人数でやってる音楽が多い中、そこをあえて無駄に大人数(22人)でやるっていうのがいいと思ってます。 角田 あれはかっこいいよね。 浜野 この時代に、スキマ的なことだと思うんですよね。 ――最後に、番組の人気コーナー「後悔サヨナラマンボ」で、失敗や反省を笑い飛ばすという企画をやっていますが、最近、笑い飛ばしたい失敗や後悔はありましたか? 浜野 僕は、やっぱりちゃんと角田さんに年賀状出しておくべきだったなって(笑)。自分の中では去年を代表する重要な仕事だったのに、相方に年賀状を送らなかったのは痛恨ですね。 角田 僕は、在日ファンクのライブは見に行ったんですけど、SAKEROCKのライブはまだ見れてないので、今年は行きたいと思ってます。まぁ、去年も行こうと思えば行けた日もあったと思いますが(笑)。 浜野 去年、SAKEROCKはベースが抜けたんですけど、それも分からないですもんね。 角田 へぇ。そうなんだ。 浜野 ほら。けっこう大きな出来事だったんですけどね。 角田 いや、そこはほんと申し訳ない(笑)。 (文=高橋ダイスケ/写真=後藤秀二) ●かくた・あきひろ 1973年、東京都生まれ。お笑いトリオ・東京03のメンバーで、ボケ担当。プロ級のギターテクニックと歌唱力を誇り、作詞作曲もこなし自作曲も多数。ネタ中でもその腕前を披露することは多く、大竹マネジャーと組み、『ゴッドタン』(テレビ東京系)の「マジ歌選手権」等で歌ってきた「若者たちへ」で09年にメジャーデビューも果たしている。 ●はまの・けんた 1981年、神奈川県生まれ。インストゥルメンタルバンド・SAKEROCKのメンバーとして、トロンボーン、スキャット、MCを担当し、07年に結成されたファンクバンド・在日ファンクではリーダー兼ヴォーカルを務めている。05年に出演した映画『ハチミツとクローバー』を皮切りに俳優としても活躍し、現在放送中の『ハングリー!』(フジテレビ系)では向井理とも共演を果たした。 ●『SMJ 全日本スキマ音楽』 2011年4月1日よりTOKYO FMでスタートしたラジオ番組。世の中の"スキマ"をテーマに、"芸人"東京03の角田晃広が作曲、"ミュージシャン"SAKEROCK、在日ファンクの浜野謙太がアレンジする。エブリスタやポッドキャストなどでも展開され、昨年10月にはスペースシャワーTVで「全日本スキマミュージックTV~SMJTV~」として映像化も実現! 大小合わせて3ケタにものぼるSMJが作った楽曲は、現在iTunesやレコチョクなどで配信中。ハマケンによってアレンジされた完成バージョンだけではなく、角田の原曲バージョン、さらには納得のいかなかったアレンジをリベンジした曲も入手可能。 ・『SMJ全日本スキマ音楽』 TOKYO FM 毎週金曜21:00~21:30 ・『全日本スキマミュージックTV~SMJTV~』  スペースシャワーTV 毎週金曜19:45~20:00 ・楽曲ダウンロードはコチラ(http://itunes.apple.com/jp/album//id486704725)から。 ※角田さんオススメの「青春の過ち」「告白しなければフラれない」、ハマケンさんオススメの「今日は一日寝て過ごしている」なども配信中! ・ダウンロード、番組の詳細は番組公式サイト(http://televider.com/smj/)へ 【SMJとは?】 TOKYO FMと音楽専門チャンネル スペースシャワーTV、No1電子書籍サイト「E★エブリスタ」テレバイダーが手を組みお届けするメディアミックスプロジェクトです。 提供ソニー・ミュージック・エンタテインメント ケータイでE★エブリスタのサイトにアクセス smjqrcode.gif
若者たちへ 角ちゃん最高! amazon_associate_logo.jpg
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芸人風情が音楽なんか作りやがって!? スキマな音楽を作る"冒険活劇"ラジオの実態とは?


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 TOKYO FMで放送中の『SMJ全日本スキマ音楽』という番組をご存じだろうか。パーソナリティを務めるのは、お笑いトリオ・東京03の角田晃広と、SAKEROCKや在日ファンクで活躍するミュージシャン・浜野謙太。一見、まったくもって共通点の見えない2人が、世の中の"スキマ"を埋めるべく、ラジオ界の"スキマ"で、"スキマ"をテーマに、音楽を毎週作っているという。既存の曲を流すのではなく、その場で作った2人の曲を流すというこの番組、お笑い芸人の角田氏が作曲担当って......と思う人もいるだろうが、『ゴッドタン』(テレビ東京系)ファンであれば納得の、本格的なものに仕上がっている。今回はそんな2人に、番組のこと、それぞれのスキマなことを聞いた――。 ――早速ですが、2011年4月1日にスタートした『SMJ 全日本スキマ音楽』とは、改めてどんな番組なんですか? 角田晃広(以下、角田) 普通は音楽業界で取り上げられないようなスキマなテーマを探して、僕がギターで曲を作り、ハマケン(浜野)がアレンジするというコンセプトの番組です。それで、完成した曲を残していこうという......言ってしまえば、"冒険活劇"ですね(笑)。 浜野謙太(以下、浜野) 冒険活劇......ですね(笑)。 ――パーソナリティが自らその場で曲を作ってしまうというのも、ラジオ業界的にスキマな内容ですよね。 角田 そうですよね、なかなかないと思いますよ。 ――この番組のオファーが来た時は、どんな心境でした? 浜野 僕はレギュラーでラジオ番組をやったことがなくて、どんなことになるのか見当もつかなかったんですけど、プロデューサーに「あまり心配しないで飛び込んで来てください!」的なことを言われて。胸を借りるつもりで乗り込んで、その状態が今も続いている感じです。 角田 僕は普段、聴いている音楽のジャンルがけっこう狭いんですよ。だからハマケンがやってるSAKEROCKも在日ファンクも知らなかったし、プロのミュージシャンに対して素人の僕が曲を提出する形だって聞いた時に、「芸人風情が音楽なんか作りやがって!」って思われたらどうしよう、とか思ってましたね。よく考えたら、引き受けている以上、そんなことは思わないんでしょうけど(笑)。でもやっぱり、最初に提出する時はかなりドキドキしましたよ。
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浜野謙太
浜野 いや、さすがに「芸人風情が!」とはならなかったですよ(笑)。僕のほうが緊張してましたから。お笑い的に、面白いことをやらなきゃいけないんじゃないかと思って......。でも、実際始まってみるとそんな心配はなくて、むしろ曲作りに対する視点とか、学ぶことのほうが多かったですね。それが今の音楽の制作活動にも役に立っているというか。 角田 あー、ハマケンは現場で得たものを吸収してると思いますよ(笑)。僕はギターしかできないから、自分の作った曲にドラムやピアノの音がつくことだけで感動するんですよ。それをさらにアレンジしてくれるので、すごく楽しいですね。緊張しましたけど、1曲目を作り終わった時には「もう大丈夫だ」って確信しました。「これは、ただ楽しいだけのやつ(番組)だ」と(笑)。 ――逆にハマケンさんは、アレンジで角田さんに気を遣ったりします? 浜野 いや、僕は最初から、その辺はなんとなく大丈夫だろうなとは思ってたので。それに、やっていく中で、角田さんの作ってきてくれた曲に対してどんどんダメ出しも湧き上がって、一切気は遣ってないですね(笑)。 角田 どうアレンジしてもらうかによって、原曲は同じでも、まったく違う曲になるんですよ。それが楽しみのひとつではあるんですけど、原曲とはだいぶかけ離れた曲になってたりもするんで、一切気は遣ってないでしょうね(笑)。 ――昨年の7月に放送された「青春の過ち」は、コーラスやエレキギターまで入れて過去最高人数で収録したそうですが、スケールのでかいアレンジでしたよね。自分で作った曲があそこまで壮大になったら、気持ちいいんじゃないですか? 角田 そりゃあ、気持ちいいですよ! まして、それが音源として残るわけですから。これまで作ったスキマ音楽は全部iPodに入れて、ガンガン聴いてますし。 ――ちなみに、お2人それぞれが、思い入れのある曲は? 角田 僕はやっぱり「青春の過ち」ですね。アレンジされた完成版もすごいですけど、僕がギター1本であの曲を作って持って来たってことも忘れないでください(笑)。あの曲は、原曲ができた時点ですでに気持ちよかったんですけど、それにハマケンのアレンジが加わって、壮大な"QUEEN的な曲"になってね。QUEENに追いついちゃったよね。 浜野 こう思ってくれるのが、僕からしたら"しめしめ"なんですよ(笑)。まずは、角田さんを喜ばせるためにやってるようなもんですから。 角田 まんまとだよね(笑)。あと、原曲のイメージがガラッと変わったなと思ったのは、初期の「告白しなければフラれない」(11年5月)ですね。あれは、曲をブチ壊されたって感じだった。 浜野 「告白~」は、ハードコアみたいなアレンジにしたんですよ。 角田 衝撃でしたけど、面白いなって思いましたね。あの曲も気に入っています。 浜野 僕は、「今日は一日寝て過ごしている」(11年4月)が好きなんですよね。僕の場合、いつも音楽をやってるから、曲作りもアレンジも、表面的な作業になりがちなんです。でも、「ボブ・ディランみたいな感じで歌って!」とか指示させてもらったりして、角田さんにも頑張ってもらったんです。音をどうアレンジしたか、というよりは、"どう頑張ったか"が伝わるようにしたいと思って作った曲ですね。 角田 もともとジャンル的には、ヒップホップ......いや、Dragon Ashみたいな感じの曲だったんですけど、ボブ・ディランの揺れるような歌い方も合うだろうとか、試行錯誤しながら作ったんですよ。 浜野 元の曲に打ち込みで楽器の音を入れて、ボブ・ディランのバンドっぽいアプローチにしてね。歌ってる角田さんも、完全にボブ・ディランになってましたもんね。
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角田晃広
角田 完全になってたね。歌ってる時の記憶があんまりないもん(笑)。 浜野 あと僕、実は音楽に暗いので......アレンジも新しいものになりがちなんですよ。 角田 意外と音楽を知らないよね。それで一気に親近感が湧いたんだけど(笑)。 ――音楽トークは、けっこう対等に喋ってるんですか? 浜野 いえ、角田さんのほうが詳しいから......。 角田 オレのほうが詳しいって、ミュージシャンとしてよっぽどだぞ、それ! 浜野 すいません......。でも本当に、クラッシュとか全然知らなかったですもん。 角田 あぁ、確かに。意外とメジャーどころを知らなかったりするもんね。 ――クラッシュを知ってる、知らないは年齢差(8歳)もあるんですかね。番組をやっていて年齢差を感じることってありますか? 角田 8歳も下か。そういえば完全に忘れてました。多分、ハマケンも忘れてると思うんですけど(笑)。 浜野 でも、その感覚の違いでというか、新年早々怒られましたよ。 角田 そうだ。"明けましておめでとうメール"が来るだろうな、って思って待ってたんですけどあまりにも来なくて。こっちから「待ってたんだぞ!」とメールしちゃったんですよ。 浜野 メールが来て、確かに去年ものすごくお世話になった人だよな、と思って。なんで出さなかったのか......(笑)。 角田 ま、とはいえ、スタジオ入ったら「ハマケン様!」ですけどね。 (後編に続く/文=高橋ダイスケ/写真=後藤秀二) ●かくた・あきひろ 1973年、東京都生まれ。お笑いトリオ・東京03のメンバーで、ボケ担当。プロ級のギターテクニックと歌唱力を誇り、作詞作曲もこなし自作曲も多数。ネタ中でもその腕前を披露することは多く、大竹マネジャーと組み、『ゴッドタン』(テレビ東京系)の「マジ歌選手権」等で歌ってきた「若者たちへ」で09年にメジャーデビューも果たしている。 ●はまの・けんた 1981年、神奈川県生まれ。インストゥルメンタルバンド・SAKEROCKのメンバーとして、トロンボーン、スキャット、MCを担当し、07年に結成されたファンクバンド・在日ファンクではリーダー兼ヴォーカルを務めている。05年に出演した映画『ハチミツとクローバー』を皮切りに俳優としても活躍し、現在放送中の『ハングリー!』(フジテレビ系)では向井理とも共演を果たした。 ●『SMJ 全日本スキマ音楽』 2011年4月1日よりTOKYO FMでスタートしたラジオ番組。世の中の"スキマ"をテーマに、"芸人"東京03の角田晃広が作曲、"ミュージシャン"SAKEROCK、在日ファンクの浜野謙太がアレンジする。エブリスタやポッドキャストなどでも展開され、昨年10月にはスペースシャワーTVで「全日本スキマミュージックTV~SMJTV~」として映像化も実現! 大小合わせて3ケタにものぼるSMJが作った楽曲は、現在iTunesやレコチョクなどで配信中。ハマケンによってアレンジされた完成バージョンだけではなく、角田の原曲バージョン、さらには納得のいかなかったアレンジをリベンジした曲も入手可能。 ・『SMJ全日本スキマ音楽』 TOKYO FM 毎週金曜21:00~21:30 ・『全日本スキマミュージックTV~SMJTV~』  スペースシャワーTV 毎週金曜19:45~20:00 ・楽曲ダウンロードはコチラ(http://itunes.apple.com/jp/album//id486704725)から。 ※角田さんオススメの「青春の過ち」「告白しなければフラれない」、ハマケンさんオススメの「今日は一日寝て過ごしている」なども配信中! ・ダウンロード、番組の詳細は番組公式サイト(http://televider.com/smj/)へ 【SMJとは?】 TOKYO FMと音楽専門チャンネル スペースシャワーTV、No1電子書籍サイト「E★エブリスタ」テレバイダーが手を組みお届けするメディアミックスプロジェクトです。 提供ソニー・ミュージック・エンタテインメント ケータイでE★エブリスタのサイトにアクセス smjqrcode.gif
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【関連記事】 ・在日ファンクが目指すのは女の子に「キャー」と言われる"アイドル的"ファンク!?東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」「ラジオは都落ちだと思ってた」"ラジオの女王"小島慶子、今だから語れるホンネ

芸人風情が音楽なんか作りやがって!? スキマな音楽を作る"冒険活劇"ラジオの実態とは?


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 TOKYO FMで放送中の『SMJ全日本スキマ音楽』という番組をご存じだろうか。パーソナリティを務めるのは、お笑いトリオ・東京03の角田晃広と、SAKEROCKや在日ファンクで活躍するミュージシャン・浜野謙太。一見、まったくもって共通点の見えない2人が、世の中の"スキマ"を埋めるべく、ラジオ界の"スキマ"で、"スキマ"をテーマに、音楽を毎週作っているという。既存の曲を流すのではなく、その場で作った2人の曲を流すというこの番組、お笑い芸人の角田氏が作曲担当って......と思う人もいるだろうが、『ゴッドタン』(テレビ東京系)ファンであれば納得の、本格的なものに仕上がっている。今回はそんな2人に、番組のこと、それぞれのスキマなことを聞いた――。 ――早速ですが、2011年4月1日にスタートした『SMJ 全日本スキマ音楽』とは、改めてどんな番組なんですか? 角田晃広(以下、角田) 普通は音楽業界で取り上げられないようなスキマなテーマを探して、僕がギターで曲を作り、ハマケン(浜野)がアレンジするというコンセプトの番組です。それで、完成した曲を残していこうという......言ってしまえば、"冒険活劇"ですね(笑)。 浜野謙太(以下、浜野) 冒険活劇......ですね(笑)。 ――パーソナリティが自らその場で曲を作ってしまうというのも、ラジオ業界的にスキマな内容ですよね。 角田 そうですよね、なかなかないと思いますよ。 ――この番組のオファーが来た時は、どんな心境でした? 浜野 僕はレギュラーでラジオ番組をやったことがなくて、どんなことになるのか見当もつかなかったんですけど、プロデューサーに「あまり心配しないで飛び込んで来てください!」的なことを言われて。胸を借りるつもりで乗り込んで、その状態が今も続いている感じです。 角田 僕は普段、聴いている音楽のジャンルがけっこう狭いんですよ。だからハマケンがやってるSAKEROCKも在日ファンクも知らなかったし、プロのミュージシャンに対して素人の僕が曲を提出する形だって聞いた時に、「芸人風情が音楽なんか作りやがって!」って思われたらどうしよう、とか思ってましたね。よく考えたら、引き受けている以上、そんなことは思わないんでしょうけど(笑)。でもやっぱり、最初に提出する時はかなりドキドキしましたよ。
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浜野謙太
浜野 いや、さすがに「芸人風情が!」とはならなかったですよ(笑)。僕のほうが緊張してましたから。お笑い的に、面白いことをやらなきゃいけないんじゃないかと思って......。でも、実際始まってみるとそんな心配はなくて、むしろ曲作りに対する視点とか、学ぶことのほうが多かったですね。それが今の音楽の制作活動にも役に立っているというか。 角田 あー、ハマケンは現場で得たものを吸収してると思いますよ(笑)。僕はギターしかできないから、自分の作った曲にドラムやピアノの音がつくことだけで感動するんですよ。それをさらにアレンジしてくれるので、すごく楽しいですね。緊張しましたけど、1曲目を作り終わった時には「もう大丈夫だ」って確信しました。「これは、ただ楽しいだけのやつ(番組)だ」と(笑)。 ――逆にハマケンさんは、アレンジで角田さんに気を遣ったりします? 浜野 いや、僕は最初から、その辺はなんとなく大丈夫だろうなとは思ってたので。それに、やっていく中で、角田さんの作ってきてくれた曲に対してどんどんダメ出しも湧き上がって、一切気は遣ってないですね(笑)。 角田 どうアレンジしてもらうかによって、原曲は同じでも、まったく違う曲になるんですよ。それが楽しみのひとつではあるんですけど、原曲とはだいぶかけ離れた曲になってたりもするんで、一切気は遣ってないでしょうね(笑)。 ――昨年の7月に放送された「青春の過ち」は、コーラスやエレキギターまで入れて過去最高人数で収録したそうですが、スケールのでかいアレンジでしたよね。自分で作った曲があそこまで壮大になったら、気持ちいいんじゃないですか? 角田 そりゃあ、気持ちいいですよ! まして、それが音源として残るわけですから。これまで作ったスキマ音楽は全部iPodに入れて、ガンガン聴いてますし。 ――ちなみに、お2人それぞれが、思い入れのある曲は? 角田 僕はやっぱり「青春の過ち」ですね。アレンジされた完成版もすごいですけど、僕がギター1本であの曲を作って持って来たってことも忘れないでください(笑)。あの曲は、原曲ができた時点ですでに気持ちよかったんですけど、それにハマケンのアレンジが加わって、壮大な"QUEEN的な曲"になってね。QUEENに追いついちゃったよね。 浜野 こう思ってくれるのが、僕からしたら"しめしめ"なんですよ(笑)。まずは、角田さんを喜ばせるためにやってるようなもんですから。 角田 まんまとだよね(笑)。あと、原曲のイメージがガラッと変わったなと思ったのは、初期の「告白しなければフラれない」(11年5月)ですね。あれは、曲をブチ壊されたって感じだった。 浜野 「告白~」は、ハードコアみたいなアレンジにしたんですよ。 角田 衝撃でしたけど、面白いなって思いましたね。あの曲も気に入っています。 浜野 僕は、「今日は一日寝て過ごしている」(11年4月)が好きなんですよね。僕の場合、いつも音楽をやってるから、曲作りもアレンジも、表面的な作業になりがちなんです。でも、「ボブ・ディランみたいな感じで歌って!」とか指示させてもらったりして、角田さんにも頑張ってもらったんです。音をどうアレンジしたか、というよりは、"どう頑張ったか"が伝わるようにしたいと思って作った曲ですね。 角田 もともとジャンル的には、ヒップホップ......いや、Dragon Ashみたいな感じの曲だったんですけど、ボブ・ディランの揺れるような歌い方も合うだろうとか、試行錯誤しながら作ったんですよ。 浜野 元の曲に打ち込みで楽器の音を入れて、ボブ・ディランのバンドっぽいアプローチにしてね。歌ってる角田さんも、完全にボブ・ディランになってましたもんね。
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角田晃広
角田 完全になってたね。歌ってる時の記憶があんまりないもん(笑)。 浜野 あと僕、実は音楽に暗いので......アレンジも新しいものになりがちなんですよ。 角田 意外と音楽を知らないよね。それで一気に親近感が湧いたんだけど(笑)。 ――音楽トークは、けっこう対等に喋ってるんですか? 浜野 いえ、角田さんのほうが詳しいから......。 角田 オレのほうが詳しいって、ミュージシャンとしてよっぽどだぞ、それ! 浜野 すいません......。でも本当に、クラッシュとか全然知らなかったですもん。 角田 あぁ、確かに。意外とメジャーどころを知らなかったりするもんね。 ――クラッシュを知ってる、知らないは年齢差(8歳)もあるんですかね。番組をやっていて年齢差を感じることってありますか? 角田 8歳も下か。そういえば完全に忘れてました。多分、ハマケンも忘れてると思うんですけど(笑)。 浜野 でも、その感覚の違いでというか、新年早々怒られましたよ。 角田 そうだ。"明けましておめでとうメール"が来るだろうな、って思って待ってたんですけどあまりにも来なくて。こっちから「待ってたんだぞ!」とメールしちゃったんですよ。 浜野 メールが来て、確かに去年ものすごくお世話になった人だよな、と思って。なんで出さなかったのか......(笑)。 角田 ま、とはいえ、スタジオ入ったら「ハマケン様!」ですけどね。 (後編に続く/文=高橋ダイスケ/写真=後藤秀二) ●かくた・あきひろ 1973年、東京都生まれ。お笑いトリオ・東京03のメンバーで、ボケ担当。プロ級のギターテクニックと歌唱力を誇り、作詞作曲もこなし自作曲も多数。ネタ中でもその腕前を披露することは多く、大竹マネジャーと組み、『ゴッドタン』(テレビ東京系)の「マジ歌選手権」等で歌ってきた「若者たちへ」で09年にメジャーデビューも果たしている。 ●はまの・けんた 1981年、神奈川県生まれ。インストゥルメンタルバンド・SAKEROCKのメンバーとして、トロンボーン、スキャット、MCを担当し、07年に結成されたファンクバンド・在日ファンクではリーダー兼ヴォーカルを務めている。05年に出演した映画『ハチミツとクローバー』を皮切りに俳優としても活躍し、現在放送中の『ハングリー!』(フジテレビ系)では向井理とも共演を果たした。 ●『SMJ 全日本スキマ音楽』 2011年4月1日よりTOKYO FMでスタートしたラジオ番組。世の中の"スキマ"をテーマに、"芸人"東京03の角田晃広が作曲、"ミュージシャン"SAKEROCK、在日ファンクの浜野謙太がアレンジする。エブリスタやポッドキャストなどでも展開され、昨年10月にはスペースシャワーTVで「全日本スキマミュージックTV~SMJTV~」として映像化も実現! 大小合わせて3ケタにものぼるSMJが作った楽曲は、現在iTunesやレコチョクなどで配信中。ハマケンによってアレンジされた完成バージョンだけではなく、角田の原曲バージョン、さらには納得のいかなかったアレンジをリベンジした曲も入手可能。 ・『SMJ全日本スキマ音楽』 TOKYO FM 毎週金曜21:00~21:30 ・『全日本スキマミュージックTV~SMJTV~』  スペースシャワーTV 毎週金曜19:45~20:00 ・楽曲ダウンロードはコチラ(http://itunes.apple.com/jp/album//id486704725)から。 ※角田さんオススメの「青春の過ち」「告白しなければフラれない」、ハマケンさんオススメの「今日は一日寝て過ごしている」なども配信中! ・ダウンロード、番組の詳細は番組公式サイト(http://televider.com/smj/)へ 【SMJとは?】 TOKYO FMと音楽専門チャンネル スペースシャワーTV、No1電子書籍サイト「E★エブリスタ」テレバイダーが手を組みお届けするメディアミックスプロジェクトです。 提供ソニー・ミュージック・エンタテインメント ケータイでE★エブリスタのサイトにアクセス smjqrcode.gif
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【関連記事】 ・在日ファンクが目指すのは女の子に「キャー」と言われる"アイドル的"ファンク!?東京03 三者三様のキャラクターが描き出す「日常のリアル」「ラジオは都落ちだと思ってた」"ラジオの女王"小島慶子、今だから語れるホンネ

在日ファンクが目指すのは女の子に「キャー」と言われる"アイドル的"ファンク!?

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ミュージシャンとしても俳優としても今大注目されているハマケン。
 SAKEROCKのフロントマン・ハマケンこと浜野謙太が、トロンボーンをマイクに持ち替えジェームス・ブラウンばりのシャウトを響かせるバンド、在日ファンク。今年の1月には初のフルアルバム『在日ファンク』(P-VINE Records)を発表し、夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010」をはじめとする音楽フェスやライブイベントに出演し、大きな話題をさらった。  そんな彼らが満を持して発表する新作は、本日10月20日より3カ月連続でリリースされるコラボレーションシングル。アルバムリリース時のインタビューでは、「SAKEROCKとの距離感に悩んでいて、アイデンティティ確立のため在日ファンクが必要だった」とバンド始動の経緯について自信なさげに語ったハマケン。およそ1年が経過して、その心境はどう変わったのか。また、ドラマ『モテキ』(テレビ東京系)への出演など、役者としても注目を集め始めた現状について話を聞いた。 ──アルバム『在日ファンク』のリリースから1年近く経ちました。以前はまだまだ不安要素も多かったようですが、今はずいぶん状況も変わったのでは? 浜野謙太(以下、浜野) そうですね。BOSE(スチャダラパー)さんと以前話した時に、「いろいろやってみないと分かんないよ」ってアドバイスをもらったことがあって。確かに、実際やってみると、SAKEROCKの活動もリラックスした気持ちでできるようになったんですよ。 ──SAKEROCKでも在日ファンクでも同じ「フロントマン」という立場ですが、やはり歌を歌う在日ファンクとインストバンドのSAKEROCKでは感覚が違う? 浜野 最初、在日ファンクでは面白い部分を出しちゃいけないと思ってたんです。でも「面白いところがない」とか「ツッコミどころがないから見ない」とかネットで批判されて(笑)。そうなると、SAKEROCKとの区別が必要だと思ってたけど、やっぱりどこかに面白い部分は自然と出ちゃうもので。最近は、だんだん在日ファンクなりの面白味の出し方も掴めてきたし、無理に縛らないことで、逆にSAKEROCKでも奇跡的なプレーというか、踊りというか......あ、立ち居振る舞い?(笑)ができることもあったりして。相乗効果がありましたね。
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──10月、11月、12月と3カ月連続でコラボレーションシングルがリリースされますが、これはどういう経緯で決まったんですか? 浜野 以前ライブで(サイトウ"JxJx")ジュンさん(YOUR SONG IS GOOD)とかサイプレス上野君(サイプレス上野とロベルト吉野)とコラボレーションをやって、それがすごく楽しかったんですよ。そういう楽しいことが続いて、1回のライブのために新曲作っちゃえるぐらいドンドン曲ができてた時期に、レーベルの担当さんが「3枚連続シングルとかどう?」ってポロッと言ったんで、即答で「それいいッスね!」みたいな。採算的には危ない気もするんですけど(笑)、「言ったからにはやりましょうよ」って。 ──ゲストの3人はすぐに決まったんですか? 浜野 何度も話し合いをして、加護亜依さんとか野村沙知代さんっていうアイデアも出たんですけど(笑)、顔なじみのジュンさん、上野君ときて、最後にROY君(THE BAWDIES)が出てきたら、すごくカッコいい3連チャンでビシっとまとまるんじゃないかと。確固たるイメージを持ってる先輩方だから......ROY君は年下ですけど、アーティストの格としてはたぶん先輩なんで(笑)、そういう先輩方に在日ファンクの型作りを手伝ってもらったような、おすそわけしてもらったような感じがありますね。だからズルいんですよ(笑)。卑怯な3連チャンなんです。 ──アーティストとして"格上"だとおっしゃるTHE BAWDIESを、どのようにに見てきましたか? 浜野 なんでこんな渋い音楽を今やってんだろうなって(笑)。そこは俺も共通するところなので、一緒にファンクをやっても全然大丈夫だと思ったし、気持ちもわかってもらえるだろうなと。「あいつによろしく(在日ファンクとサイトウ"JxJx"ジュン)」と「BAY DREAM ~FROM課外授業~(在日ファンクとサイプレス上野)」はもともとあった曲ですけど、「Escape(在日ファンクとROY)」は、さっき話したドンドン曲を作ってた時期にできた新曲で。かたちにするのは結構難しかったけど、在日ファンクの曲を作る上で何か新しい扉を開けたような、大きな手応えがありました。 ──ちなみに、「Escape」のカップリング「京都」は以前からSAKEROCKのライブで披露されていた曲ですよね? SAKEROCKでやると、あまりに爽やかなソウル風味の歌モノで「異質過ぎて笑っちゃう曲」みたいな扱いでしたけど、在日ファンクがやるとちょっと意味合いが変わって聴こえてしまう。なんか、すごく真面目なんですよね。世間が持つ「ハマケン=面白おかしい人」みたいなイメージが揺らいで、どっちが本当のハマケン像なのかわからなくなるというか。 浜野 あー、うれしいッスね。1stアルバムの取材の時、よく「ZAZEN BOYSがカッコいい」っていう、俺が言わなくてもみんなが知ってるようなことを言いまくってたんですけど(笑)、ZAZEN BOYSの音楽って、まさにカッコいいのか笑っていいのか分かんない世界観だと思うんですよ。それが理想なんです。だから「ハマケン=面白おかしい人」ってイメージは在日ファンクではなくしたい。「京都」はマジメにくだらない曲にしたかったから、わざわざストリングスまで入れましたし(笑)。 ──でも「面白ハマケン」が好きだった人は、これで離れてしまうかもしれないですよね。 浜野 それはもう、1stアルバムを出した段階で十分離れたと思います(笑)。瞬発力で面白いことをするっていうのもいいんですけど、考え抜いて構築して、結局くだらないみたいな......。そういうのを在日ファンクでは目指しているので。 ──この3連チャンシングルが発表されることで新しいファンも増えると思いますが、それによって今までより忙しくなると思うんですが。バンドだけでもたくさん抱えてるのに、さらにタレント仕事、役者仕事と......。忙しくなることへのプレッシャーはないですか?
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浜野 いやー、ありますね。 ──"業界視聴率"が非常に高いと言われた『モテキ』(オム先生役を怪演)への出演は、役者業の部分で大きな転換期になり得るのではないかと思います。さらに来年には、映画『婚前特急』に準主役で出演するんですよね? 浜野 実は『婚前特急』は『モテキ』より前に撮ったんですけどね。前からSAKEROCKのライブを見てくれていた前田弘二監督がオーディションに呼んでくれて。 ──おぉ! ちゃんとオーディションを勝ち抜いて(笑)。 浜野 そうなんスよ。吉高由里子さんの事務所もよくOK出しましたよね(笑)。 ──じゃあ今回は「呼ばれたからにぎやかしで出てまーす」的なものではなく、結構マジメに"俳優"をやってるんですね? 浜野 偶然舞い込んだ話ではあったんですけど、たまたまハマリ役で......。まあ、役者業と言っても、たまたま続いただけなんですけどね。この後なんの仕事も来てないですから(笑)。 ──とはいえ、今をときめく吉高由里子の相手役ですから! 浜野 (急にどや顔で)いやー、吉高はなかなか良かったですよ。 ──うわっ、すごい上から目線(笑)。でも本当に「音楽どころじゃない」ぐらいのことになる可能性も、なくはないですよね。最終的に、浜野謙太はどこへ行こうとしているのでしょうか? 浜野 それがどんどん分かんなくなってて......。 ──ははははは。悩みがさらに深まってるじゃないですか。 浜野 『婚前特急』の試写会に行って「俺......役者で売れちゃうかも」とか思いながら、帰ってきて在日ファンクのシングル作ってると「俺は何をやってんだろう」って気持ちになるし。 ──いろんなことをやりながらも「でも俺はミュージシャンだから」みたいな気持ちはないんですか? 浜野 うーん......。でもミュージシャンってちょっと貧乏臭いような気がしてて(笑)。役者とかをやるやらないにかかわらず、専業ミュージシャン的なノリはあまりよくないんじゃないかと。だからそんなに......あ、アイドルにはなりたいですけどね。3連チャンシングルも関ジャニ∞みたいでしょ? ──アイドル!? え? ちやほやされたいの?(笑) 浜野 まぁ、ぶっちゃけそうですね。 ──あえてライバルを挙げるなら誰? 星野源君とか? 浜野 いや、星野君はライバルではないですねー。ライバル......ライバルかぁ......。あ、戦うってことだったら、もう「敵」だと思っているものはいっぱいあります!(笑)誰にも伝わらないと思うんですけど、「Escape」はサムライブルーに対抗した曲なんですよ。「サムライになんかなれないぞ。侍になりたいけどなれないのが、むしろジャパンなんじゃないか!」と思ってるから、そこは戦っていきたい。 ──結構巨大なものを敵認定しますね(笑)。 浜野 メンバーすらそんな曲だと気付いてないですけど(笑)。でもとにかく、貧乏くさくない生き方をしたいですね。1970年代、最盛期を迎えた頃のJBのどこに憧れるかっていうと、突き詰めるとたぶん音だけじゃないんですよ。 ──あの貧乏くささのない、リッチな感じ。 浜野 そうです。リッチな、余裕の塊みたいな。オーサカ=モノレールの中田亮さんが言ってたんですけど、JBは今でこそ「通が聴く音楽」になってるけど、当時は中学生くらいの女の子が「キャー」って言うような大衆音楽だったんだよって。俺はむしろその、大衆音楽のほうに行きたいんですよ。たぶん。 (構成=臼杵成晃/撮影=後藤秀二 ) ●在日ファンク 新しい時代のディープファンクバンド。高祖ジェイムズ・ブラウンから流れを汲むファンクを日本に在りながら(在日)再認識しようと、音、思想、外観あらゆる面から試みるその様は目を覆うものがある。しかし、それこそがまさにファンクなバンドなのだ。公式HP<http://www.zainichifunk.com/【ライブ】 10/24 NESTフェスティバル@渋谷O-EAST 10/31 多摩美術大学芸術祭@多摩美術大学 八王子キャンパス(入場無料) 10/31 自主法政祭@法政大学市ヶ谷キャンパス(入場無料) 11/21 ZAZENBOYS vs. ZAINICHIFUNK@新宿 ロフト
あいつによろしく 10日20日に発売されたがかりのハマケンが番組MCとしてタッグを組んだ盟友サイトウ"JxJx"ジュンをゲストに迎えたコラボシングル第1弾。カップリングには2人の番組から生まれた「スペシャボーイズ・ザ・ワールドのテーマ」も収録。また、11月17日発売のコラボ第2弾「BAY DREAM~FROM課外授業~」にはサイプレス上野、12月22日発売の第3弾「Escape」にはROY(THE BAWDIES)が参加している。 amazon_associate_logo.jpg
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