"80後"世代の代弁者 中国売れっ子写真家の「未来系アート」

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「Red Peach Blossom.2」(c)Chen Man
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第24回 フォトグラファー チェン・マン(陳漫/Chen Man)  中国で、今最もホットな写真家は?  と聞けば、100人中100人がチェン・マン(陳漫)の名前を挙げるだろう。Weibo (ユーザー数3億人超の中国のTwitter+Facebook的SNS)のフォロワー、なんと50万人。コン・リーやフェイ・ウォン、あのベッカムまでもが彼女にポートレートを撮ってほしいと熱望する、スーパーアイドル・カリスマ・フォトグラファーだ。  
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『DRAGON BALL 1』
(集英社)
「子どものころは、いわゆる中国人にとっての昔話の定番『西遊記』よりは、アニメの『天書奇談』や『哪吒鬧海(ナーザの大暴れ:中国の神話小説『封神演義』の一挿話を題材とした中国を代表する長篇アニメーション)』、それに『ドラゴンボール』に夢中になっていましたし、ミッキーマウスやドナルドダックは常に身近な友だちでした。そしてマイケル・ジャクソンの音楽を聞きながら、家族とはテレビの『春節聯歓晩会(年越しに放映される中国版大紅白歌合戦)』を見るという、さまざまなカルチャーがミックスした環境で育ったんです」  彼女は「80後(バーリンホウ)」と呼ばれる世代の代弁者でもある。中国の一人っ子政策の下で1980年代以降に生まれ、蝶よ花よと育てられ、高等教育を受けた、今や中国の産業構造を変えるほどの影響力を持つとされる「80後」は、中国がこの数十年で駆け抜けた超高速近代化の申し子だ。
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「Five Element-Water [Beauty]」(c)Chen Man
「私たちは、空想が実際の物に取って代わられることを目撃した、極めて現実的な世代と言われています。"富める条件のあるものから裕福になれ"という、80年代以降の改革開放政策後の中国の、怒涛のような発展と変化の波を浴びながら育った世代でもあります。インターネットに囲まれ、世界中のさまざまな情報が混沌と渦巻くグローバルな状態で、自分たちのアイデンティティを作り上げてきました」  彼女の作品には、そうした時間や東西の距離を越えた、混沌としたパワーが充満する中国の状態が、過剰なまでに見事に現れている。
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「Vision Golden Fish Goblin」(c)Chen Man
「現代の西洋的な技術革新と中国的な伝統的価値観の共存、というテーマは、私がアート作品を創る原動力でもあり、一貫したコンセプトでもあります」  もともとは絵を描くのが好きだったというチェン・マン。学生時代に写真とフォトショップという「絵画の拡張機能」に出会い、自分のイマジネーションを100%表現できる手法を「発見」したという。一見、どこまでが写真でどこまでがポスト・プロダクションか分からない彼女の作品には、さまざまな「絵解き」が隠されている。一つの要素が物語を語り出すと、カラフルな全体像が別の色を帯びて見え始め、まるで一遍の絵物語を鑑賞しているようだ。  また、チェン・マンは、中国古代からの哲学概念である「天人合一」を常に意識している。これは、自然界を大宇宙とするなら、人(人体)は小宇宙であり、構造は同じものだという考え方で、自然界と人間はお互いに影響し合うものだという。この思想は、現代の中国社会にも脈々と生き続けているが、しかし、急速な経済発展によって、中国の生態環境は憂うべき状態に陥っている。それを改善するためには、人々の意識の改革が求められている、とチェン・マンは言う。
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「Four Seasons-Spring [Beauty]」(c)Chen Man
「難しいことではないんです。私は、内面的な平安や清らかさが、自分を取り巻く外部の環境に影響すると考えています。だから、まずは自分たちを愛し、意識することが大事だと思うんです」  プライベートでは2児の母で、子どもの話になると途端にメロメロになってしまうチェン・マン。彼女がこうした思想を持つに至ったのは、アーティストである以上に、自分が母という存在になったことも大きいのかもしれない。  昨年11月に、上海のMOCA(上海現代美術館)で、チェン・マンの一大回顧展が開催された。オープニング・レセプションでは、31歳にしてチャイナ・ドリームを掴んだ彼女と一緒に写真の収まろうと、中国のセレブやトップモデルが列をなす光景に驚かされた。  そんなスーパースター、チェン・マンの日本での初個展(http://www.diesel.co.jp/art/exhibition.html)が東京で開かれている。
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「Super Woman」(c)Chen Man
「本当にわくわくしています。日本にはまだ行ったことがないのですが、私にとっての日本は『ドラえもん』であり『ドラゴンボール』です。小さいときに日本の漫画に夢中になりましたが、日本の作品は真面目で、すべてをきちんと仕上げる姿勢に影響を受けました」  彼女はまた、環境に対する日本の合理的な思想やアプローチを評価しており、もっと世界に広めるべきだと言う。なぜならそれは、「愛と美のスタイルが見事に調和したものだと思うからです」。  世界中から仕事のオファーが引きも切らないチェン・マン。現在、個人的なアート・プロジェクトも目白押しだという。 「中国と西洋の素晴らしさ共存させ、自分独自の視覚言語としての表現をさらに拡げた新作を考えているところです」  自分の作品から「愛」を感じとってもらえるとうれしい、というチェン・マンの、「未来系アート」を堪能できる機会は、今後も増えていくに違いない。 (取材・文=中西多香[ASHU]) portrait-of-chen-man.jpg ●チェン・マン フォトグラファー。1980年、中国・モンゴル自治区に生まれ、北京で育つ。中国中央美術学院でグラフィック・デザインと写真を専攻する。在学中に開始した中国のファッション誌「VISION」の表紙の連作が中国雑誌史上最もユニークなカバーイメージと評価され、セレブリティから撮影オファーが殺到。「80後(バーリンホウ)」=「一人っ子政策」世代を代表するチェン・マンは、チャイナ・ドリームを象徴する存在でもある。「VOGUE」「ELLE」「Esquire」(いずれも中国版)を始め、世界中のファッション誌でも活躍。作品は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)や今日美術館(北京)などに収蔵されている。<http://www.chenmaner.com> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
DRAGON BALL 1 つっかも~ぜ~♪ amazon_associate_logo.jpg
■バックナンバー 【vol.23】「ヤクルトとカップヌードルに洗礼?」MOJOKOのユーモラスな世界 【vol.22】「狂気とポップカルチャーが融合!? 香港のアーティストが追求する"不完全な美" 【vol.21】「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学" 【vol.20】「故郷・ボルネオ島での原体験が創造力の源」世界で活躍するマレーシアの"ケンヂ" 【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト 【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト 【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能 【vol.16】怖かわいい魑魅魍魎が暴れ回る! ヤン・ウェイの妖魔的異界 【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター 【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界 【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界 【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」 【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター 【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン 【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー 【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海 【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能 【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界 【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト 【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点 【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん 【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶 【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢

"80後"世代の代弁者 中国売れっ子写真家の「未来系アート」

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「Red Peach Blossom.2」(c)Chen Man
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第24回 フォトグラファー チェン・マン(陳漫/Chen Man)  中国で、今最もホットな写真家は?  と聞けば、100人中100人がチェン・マン(陳漫)の名前を挙げるだろう。Weibo (ユーザー数3億人超の中国のTwitter+Facebook的SNS)のフォロワー、なんと50万人。コン・リーやフェイ・ウォン、あのベッカムまでもが彼女にポートレートを撮ってほしいと熱望する、スーパーアイドル・カリスマ・フォトグラファーだ。  
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「子どものころは、いわゆる中国人にとっての昔話の定番『西遊記』よりは、アニメの『天書奇談』や『哪吒鬧海(ナーザの大暴れ:中国の神話小説『封神演義』の一挿話を題材とした中国を代表する長篇アニメーション)』、それに『ドラゴンボール』に夢中になっていましたし、ミッキーマウスやドナルドダックは常に身近な友だちでした。そしてマイケル・ジャクソンの音楽を聞きながら、家族とはテレビの『春節聯歓晩会(年越しに放映される中国版大紅白歌合戦)』を見るという、さまざまなカルチャーがミックスした環境で育ったんです」  彼女は「80後(バーリンホウ)」と呼ばれる世代の代弁者でもある。中国の一人っ子政策の下で1980年代以降に生まれ、蝶よ花よと育てられ、高等教育を受けた、今や中国の産業構造を変えるほどの影響力を持つとされる「80後」は、中国がこの数十年で駆け抜けた超高速近代化の申し子だ。
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「Five Element-Water [Beauty]」(c)Chen Man
「私たちは、空想が実際の物に取って代わられることを目撃した、極めて現実的な世代と言われています。"富める条件のあるものから裕福になれ"という、80年代以降の改革開放政策後の中国の、怒涛のような発展と変化の波を浴びながら育った世代でもあります。インターネットに囲まれ、世界中のさまざまな情報が混沌と渦巻くグローバルな状態で、自分たちのアイデンティティを作り上げてきました」  彼女の作品には、そうした時間や東西の距離を越えた、混沌としたパワーが充満する中国の状態が、過剰なまでに見事に現れている。
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「Vision Golden Fish Goblin」(c)Chen Man
「現代の西洋的な技術革新と中国的な伝統的価値観の共存、というテーマは、私がアート作品を創る原動力でもあり、一貫したコンセプトでもあります」  もともとは絵を描くのが好きだったというチェン・マン。学生時代に写真とフォトショップという「絵画の拡張機能」に出会い、自分のイマジネーションを100%表現できる手法を「発見」したという。一見、どこまでが写真でどこまでがポスト・プロダクションか分からない彼女の作品には、さまざまな「絵解き」が隠されている。一つの要素が物語を語り出すと、カラフルな全体像が別の色を帯びて見え始め、まるで一遍の絵物語を鑑賞しているようだ。  また、チェン・マンは、中国古代からの哲学概念である「天人合一」を常に意識している。これは、自然界を大宇宙とするなら、人(人体)は小宇宙であり、構造は同じものだという考え方で、自然界と人間はお互いに影響し合うものだという。この思想は、現代の中国社会にも脈々と生き続けているが、しかし、急速な経済発展によって、中国の生態環境は憂うべき状態に陥っている。それを改善するためには、人々の意識の改革が求められている、とチェン・マンは言う。
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「難しいことではないんです。私は、内面的な平安や清らかさが、自分を取り巻く外部の環境に影響すると考えています。だから、まずは自分たちを愛し、意識することが大事だと思うんです」  プライベートでは2児の母で、子どもの話になると途端にメロメロになってしまうチェン・マン。彼女がこうした思想を持つに至ったのは、アーティストである以上に、自分が母という存在になったことも大きいのかもしれない。  昨年11月に、上海のMOCA(上海現代美術館)で、チェン・マンの一大回顧展が開催された。オープニング・レセプションでは、31歳にしてチャイナ・ドリームを掴んだ彼女と一緒に写真の収まろうと、中国のセレブやトップモデルが列をなす光景に驚かされた。  そんなスーパースター、チェン・マンの日本での初個展(http://www.diesel.co.jp/art/exhibition.html)が東京で開かれている。
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「Super Woman」(c)Chen Man
「本当にわくわくしています。日本にはまだ行ったことがないのですが、私にとっての日本は『ドラえもん』であり『ドラゴンボール』です。小さいときに日本の漫画に夢中になりましたが、日本の作品は真面目で、すべてをきちんと仕上げる姿勢に影響を受けました」  彼女はまた、環境に対する日本の合理的な思想やアプローチを評価しており、もっと世界に広めるべきだと言う。なぜならそれは、「愛と美のスタイルが見事に調和したものだと思うからです」。  世界中から仕事のオファーが引きも切らないチェン・マン。現在、個人的なアート・プロジェクトも目白押しだという。 「中国と西洋の素晴らしさ共存させ、自分独自の視覚言語としての表現をさらに拡げた新作を考えているところです」  自分の作品から「愛」を感じとってもらえるとうれしい、というチェン・マンの、「未来系アート」を堪能できる機会は、今後も増えていくに違いない。 (取材・文=中西多香[ASHU]) portrait-of-chen-man.jpg ●チェン・マン フォトグラファー。1980年、中国・モンゴル自治区に生まれ、北京で育つ。中国中央美術学院でグラフィック・デザインと写真を専攻する。在学中に開始した中国のファッション誌「VISION」の表紙の連作が中国雑誌史上最もユニークなカバーイメージと評価され、セレブリティから撮影オファーが殺到。「80後(バーリンホウ)」=「一人っ子政策」世代を代表するチェン・マンは、チャイナ・ドリームを象徴する存在でもある。「VOGUE」「ELLE」「Esquire」(いずれも中国版)を始め、世界中のファッション誌でも活躍。作品は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)や今日美術館(北京)などに収蔵されている。<http://www.chenmaner.com> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
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主演声優はなんと中学3年生! フレッシュなキャストで臨む『エウレカセブンAO』


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 2月16日、東京都内で新作テレビアニメシリーズ『エウレカセブンAO』の製作発表会が行われた。  『エウレカセブンAO』は2005年にテレビで放映された『交響詩篇エウレカセブン』、09年の劇場版『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』に続くシリーズ最新作。製作発表会には南雅彦ボンズ・プロデューサー、竹田靑滋毎日放送・プロデューサー、フカイ・アオ役の本城雄太郎、アラタ・ナル役の宮本佳那子、フレア・ブラン役の大橋彩香が登壇し、作品について語った。  南プロデューサーのあいさつで述べられた企画の動機は以下のようなものだった。 「放送から7年という時間が経過し、『エウレカセブンAO』という新作を発表する運びになりました。前作は1年間という長いタイトルでありましたし、京田(知己)監督はじめ30代の若いスタッフが力を入れ、大団円を迎えた作品になりましたので、そのときは続編を考えていませんでした。  (しかし)『ポケットが虹でいっぱい』を制作していく中で次の新しいものが作れるのではないかという気持ちが生まれ、準備を進めてきました。『エウレカセブン』がロボットアニメーションとして"持ち合わせてしまった"魅力を、その時代その時代に表現していくものにつなげられるのではないかという思いがあったからです」  今の時代で描くロボットアニメーションを目指していると南プロデューサーは言う。『交響詩篇エウレカセブン』がファンタジーであったのに対し、『エウレカセブンAO』が沖縄を舞台とした"地続き"であるのも、その時代性に関係している。  沖縄の離島、磐戸島で老医師トシオとともに島で暮らしていた少年「アオ」は、中学校の入学式を目前に控えていた。そこへ突如現れた謎の存在「シークレット」は島に出現した「スカブコーラル」を狙い、容赦のない攻撃をしかけてくる。巨大なモンスターを前になす術もない島民たちは混乱に陥り逃げ惑うことしかできなかった。  アオは島を守りたい一心で、偶然手にした鍵を使い日本軍の輸送艦に積まれていた軍用FPを起動させる。それはかつて「ニルヴァーシュ」と呼ばれた人型のIFOだった──。
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アオ
 現実ににじり寄った作品の空気を表すように、この日発表されたキャストは新鮮な顔ぶれ。あらかじめスタッフが思い描いたキャラクターそのものの役者を探すべく、全員をオーディションで決めた。もし、これといった声に出会えなければ、再度オーディションを行う覚悟だったという。  主人公フカイ・アオ役の本城雄太郎は若干15歳の中学3年生。ステージ上で深呼吸するほど緊張する初々しさに、会場に集まった関係者、記者も驚きを隠せない。 「受験生だったので久しぶりのオーディションに緊張しました。2階で勉強をしていたときに、お母さんに"『エウレカセブン』受かったよ"と言われ、ハイタッチをしました。お祝いはファミレスでしたが」  少年役には女性声優が配されることが多い。リアルな中高生を表現できる同年代の男性声優はそうはいないことが理由だが、その期待が込められている。 「もう、めちゃめちゃ緊張しています。どうせ緊張するから、練習するしかない」(本城)  ともに登壇したふたりの女性キャストもハツラツとしている。アラタ・ナル役の宮本佳那子は22歳。事務所の忘年会中にマネジャーから合格を伝えられ、その場で同僚に祝福してもらった。フレア・ブラン役の大橋彩香は17歳。学校帰り、マネジャーから駅前に呼び出されてうれしさのあまりその場で号泣してしまったという。  またビデオメッセージで登場した小見川千明がエレナ・ピープルズ、井上和彦がトゥルースなる謎の人物を演じることも併せて発表された。
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ナル(左)とフレア(右)
「今から緊張していておなかが痛いんですが、アフレコまでにできることをやってフレアに向き合っていきたい」と大橋彩香が抱負を語るその姿から、既に『エウレカセブンAO』が始まっているかのようだった。 「そのキャラクターを演じられる人を探していたのと、役者として可能性の広がりを期待でき、キャラクターがこれから進んでいく運命に立ち向かっていける役者を選ばせてもらった」と南プロデューサーは言う。 「この2年間ストーリーや画を作ってきましたが、来週からアフレコが始まり、(制作工程の)最後に命を吹き込んでもらえることですごく楽しみにしていますし、興奮しています」  最後のあいさつには竹田プロデューサーが立った。 「冒頭に前作のダイジェストが流れましたが、見直すとまったく古くなっていないと感じます。京田監督のこだわり、吉田(健一)さんの絵の強さ、そういったものをあらためて認識させられました。色褪せない何かがあった。誰かの真似ではないオリジナルだと思い込んで作っていったパワー、そのときのロボットアニメーションでトップランナーであるとの自負が画面に乗り移っていったと感じました。 eurekamain.jpg  今回、新シリーズを毎日放送発で放送させてもらうことになったのはうれしいかぎりです。シナリオもリアリティーがある、面白いものに仕上がってきています。リアルな若者をキャスティングしてリアルなアフレコができる。面白い作品になれる。僕の感覚で言うと、4月スタートの新番組の中では群を抜いてクオリティーの高いものになるだろうという確信があります。  僕が好きな作品には3つの要素があります。まずミステリアスであること。謎の多さ。それから勇猛果敢に、いろいろなことにチャレンジすること。もうひとつは、シナリオにしてもキャラクターにしても、作品自体が見ている側に噛みついてくるフューリアス(猛烈、激怒)な獰猛さ。その3つがあったら大概は面白いことになると思う。ニルヴァーシュに生命のプリミティブな造型も加わって相当力強い作品になると期待しています」  『エウレカセブンAO』は4月12日のMBSを皮切りにテレビ放送を開始、4月1日からサービスが始まるスマートフォン向け放送局「NOTテレビ(ノッティーヴィー)」でも高画質配信される。  並々ならぬ覚悟が横溢した会見からは、送り手自らが課したハードルを乗り越えて何かを起こしそうな予感が漂っていた。 ◆京田知己監督コメント全文(原文ママ) 何かが起こって目覚めるほど社会に疎いわけではないし、それにコミットしてこなかった訳でもない。何かが起こる前から物事は動いていたし、作り上げてもきた訳で、残念ながら何かが起こって劇的に心境が変化したわけではない。 ただ言えるのは何かが起こったことで、それが加速した可能性を否定出来ないことであって、それを単純な心境の変化としてしか読み取ってもらえなくても構わないのだけれども、何かやろうと思っていたことに対して「より真剣に」なったのは確かである。より真剣に「伝えたい」と思うようになったのは確かである。 いったい何を? それはフィルムを見てもらった上で判断してもらう他にないのだけれども、今、この段階で言うとするなら、それはこれから僕らは「アニメ」を作ろうとしているのだ、ということである。 様々な世代、様々な階層、様々な人々の手によって作り出されるアニメ。 それが示唆するものが、僕らが作ろうとしているものの根源であると、僕は確信する。 それが示唆するものが、僕らが作りつづけてきたものの根源であると、僕は確信する。 何かが起こって変わったのかもしれない、しかし変わるつもりはない。 僕らは今、そんなものを作っている。 エウレカセブンAO 監督:京田知己 (取材・文=後藤勝)
交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい いっぱい。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・4年ぶりの完全新作『亡国のアキト』から『反逆のルルーシュ』劇場版まで!!桜庭ななみ、着物姿で松山洋監督と『ドットハック セカイの向こうに』ヒット祈願!計7時間!!『境界線上のホライゾン』にXmasイブイブの夜が燃えた!

過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』

amagami.jpg 「恋愛」--。その響きだけで胸が甘酸っぱい思いでいっぱいになってしまいそうな、青春の1ページをテーマにしたのがラブコメアニメだ。普遍的なテーマを扱うジャンルだけに、毎クール、コンスタントに作品が制作されている。  今回は、今冬放送がスタートした定番ジャンル・ラブコメアニメの中で、特に注目の作品を紹介してみよう。  毎回、過剰なお色気シーンでアニメファンの度肝を抜いているのが、現在大好評放送中のテレビアニメ『アマガミSS+ plus』(TBS系)だ。  本作は男子高校生・橘純一と同じ高校に通う女子生徒との、甘酸っぱい恋模様を描くオムニバス形式のアニメである。女の子との出会い、そして付き合うまでを描いた2010年放送の『アマガミSS』の続編にあたる本作は、恋人同士となってからの2人を描く内容となっており、もっとも恋愛が楽しい時期のカップルの姿を視聴者は見続けることになる。  そこでどんな甘~い睦言が囁かれるのかと思いきや、健全な男子の下半身を思い切り直撃するピンク描写がビシバシと画面に登場するのだ。  生徒会長がスクール水着でお風呂に入ってきて、背中におっぱいを押し付けたり体を洗ってくれる。ぽっちゃり巨乳な幼なじみの胸囲をメジャーで測る。M字開脚した後輩の股間を枕にして子守唄を歌ってもらう......。  というように、まるで酔っぱらった中年親父のような香ばしいスメルほとばしる、趣向を凝らした「エロス」に満ちている本作のお色気シーンだが、それを実行するのがごく普通の男子高校生というギャップが「こんな高校生いるのかよ!」と突っ込みたくなるような絶妙な笑いを生み出し、同時に「こんな高校生いるのかよぉ......」という、言いようのない嫉妬心に思わず壁をパンチしたくなること必至である。    10代のアニメファンには、現在進行形の学生生活に夢と希望を抱かせつつも、いい歳をしたロートルアニメファンは心の奥底に封印していた学生時代のトラウマを叩き起こされ、胸を掻き毟られるような思いを抱くことだろう。世代によって受ける印象がまったく変わる、リトマス試験紙のようなアニメが『アマガミSS+ plus』である。  もうひとつ、話題のラブコメ作品『あの夏で待ってる』(TOKYO MXほか)を挙げておこう。  2000年代前半に放送され、アニメの舞台となった場所を実際に訪問するという「聖地巡礼」ブームの火付け役となった作品のひとつ『おねがいティーチャー』スタッフと、『とらドラ!』『あの日見た花の名前をまだ知らない。』など思春期の瑞々しい感性をフィルムに描き出した長井龍雪監督ががっつりタッグを組んだ本作は、宇宙人(らしき)の美少女とごく普通の男子高校生を中心とした6名の男女が経験するひと夏のドラマを描く青春ラブコメである。  多数の三角関係が螺旋階段のように連なる複雑な人間関係から生み出されるもどかしい恋模様と、SF要素を交えたハイブリッドな構造を持つ『あの夏で待ってる』で、長井監督は昨年の『あの花』に続いて『あの夏』ブームを起こすことはできるのだろか。注目していたい。  人肌寂しいこの季節。さまざまな「恋愛ドラマ」を鑑賞しながら、恋する美少女たちの表情に萌えたり、妄想力全開の主人公達の姿に感情移入しながら胸を熱くしてみてはいかがだろうか。 (文=龍崎珠樹)
ANOHANA FES.MEMORIAL BOX【完全生産限定版】 レジェンド。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』

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(上)『男子高校生の日常』
(下)『Another』公式サイトより
 アニメの定番ジャンルといえば「学園モノ」。  やはり義務教育制度が行き届いている現代日本において、学生生活を描く「学園モノ」はもっとも視聴者に受け入れられやすいジャンルなのだろう。今クールも、学生生活というこれ以上ない共有体験をベースにした、さまざまな「学園モノ」アニメがテレビをにぎわせている。  中でも大きな話題を呼んでいるのが、『男子高校生の日常』(テレビ東京系)である。男子校を舞台に繰り広げられる日常アニメ......というと、いかにも女性ファン向けのボーイズ・ラブ的な作品という先入観を持つ読者も少なからずいるだろうが、本作の監督を務めるのは、『銀魂'』も手掛け、そのパンキッシュな作風がしばしばアニメファンの間に物議を醸しだす高松信司だ。  その鋭い切れ味は本作でも一切鈍ることはない。  放送開始直前にもともとEDテーマを担当する予定だったビジュアルバンド・人格ラジヲのメンバーの不祥事によって、急きょ楽曲が差し替えられるというトラブルに見舞われた本作だが、第1話のEDテーマには、代わりに本編のセリフをそのまま歌詞にした、ある意味適当だがセンスを感じさせる楽曲を用意。さらにその後、字幕スーパーで「放送に間に合いませんでした!」と一連の事件を堂々とネタにしてアニメファンの度肝を抜いた。  本編に関しても、体は大人で頭脳は子ども、という思春期の(非モテ)男子ならではのどうしようもない日常をあっけらかんと描いており、その作風は女性よりもむしろ男性のほうが共感を持って受け入れられるはずだ。  一見、平穏な学園生活。そのすぐ隣に潜む暗部を描くサスペンスホラー『Another』(TOKYO MXほか)も注目だ。  本作を手がけるのは水島努監督。  『おおきく振りかぶって』『侵略!?イカ娘』など、朗らかな作品で高い支持を受けている水島監督だが、彼の本領が発揮されるのはやはりスプラッタ描写を盛り込んだ作品だろう。  古くは『撲殺天使ドクロちゃん』、近作では『よんでますよアザゼルさん』『BLOOD-C』など、血と肉が乱れ飛ぶスプラッタ描写をギャグやアクションなどさまざまな作風で料理してきた彼が今回挑むのは、サスペンス&ホラーである。  物語の語り口は、どこまでもクール。淡々と描かれる平穏な学園生活は、ただクラスメイトと主人公・榊原恒一の日常風景を静かに描き出すばかりだ。  だが、そこに切れ目を入れるように登場する隻眼の少女・見崎鳴の存在と、時折見せる友人たちの「何かに怯える」不自然な言動がドラマに言いようのない緊張感と不安感をもたらす。そしてその緊張感と不安感が限界に達した時、唐突に不条理でグロテスクな死の描写が投げ込まれるのだ。  初の犠牲者となったクラス委員長・桜木ゆかりの死に様はこうだ。  階段から足を滑らせ転がり落ちる最中に、自分が持っていた傘の先端を喉に突き立て、悶絶死。  その描写も、実にエグい。  じわじわと広がる血だまりと、もがくように宙をさまよう手。そして痙攣する四肢が執拗に描かれるも、次第に身体は動きを失っていき、再び静寂が画面に戻ってくるのだ。抑え目な演出と、限界まで張りつめた緊張感を一気に解放するかのようなスプラッタ描写。そこから再びいつもの「日常」へと収斂していく演出は圧巻である。ここに水島監督の、「やっと描けたぜ!」という無言の喜びを感じてしまうのは気のせいだろうか。  ハイテンションな作風が多かった水島作品に新風を吹き込むような、静と動の対比の果てに描かれるスプラッタシーンは一見の価値がある。  一口に「学園モノ」といっても、これだけ差がある辺りに日本のアニメ文化の懐の深さを感じずにはいられない。今回紹介した作品を見て、かつて自分たちが体験した日常的な学生時代と、もしかしたら体験していたかもしれない非日常的な学生生活に思いをはせてみてはいかがだろうか。 (文=龍崎珠樹)
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歴史・人物・雰囲気……同人誌即売会の原点が一挙に集結!『MGM』が5年ぶりに開催

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歴史を刻んできた会場での開催。
今回初めて同人誌を製作し、初サークル参加がMGMという人もいた
 1月22日、創作系同人誌即売会MGM(まんが ギャラリー&マーケット)が、5年ぶりに開催された。MGMは、コミックマーケットの創設母体ともなった同人サークル「迷宮」が主催するコミックマーケットに次ぐ歴史を持つ即売会だ。いったい、どんな顔ぶれが集まるのか、ワクワクしながら会場へと向かった。  98回目の開催となった今回のMGMは、創作漫画オンリーの即売会だ。1980年以来、年2回ペースでの開催は続いていたが、2007年に長らく会場としていた川崎市中小企業婦人会館が閉館されたことで開催が中断。11年には、主催者代表の亜庭じゅん氏が死去し、このまま消滅してしまうのではないかと、危惧されていた。  しかし、昨年8月のコミックマーケットにて、MGM98の開催告知のチラシが配布されたことで心配は期待へと変わった。そして、開催当日を迎えたのである。
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ずらっと並んだ見本誌。
これなら、全部見て回ることもできるから安心だ。
 MGMにおいて注目すべきは、初期の同人誌即売会の雰囲気があちこちに残っていることだろう。参加申込みの必要事項を見ると、特に申込書などは付属しておらず「B5サイズの紙に以下の項目をご記入の上」とあったり、「参加確認書の発送は,開催の10日位前」と、よい意味で妙な緩さが感じられる。  さて、今回の会場は板橋区にある板橋産業連合会館。コミックマーケットの2回目から4回目までが行われた、歴史のある施設である。最寄り駅である地下鉄三田線の板橋区役所前を降りて地上に出ると、早くも「あ、お仲間だな」というにおいをさせている人々の姿が、ちらほらと。ただ、年齢層は高めである。
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伝説の「漫画新批評体系」各号。非売品なのも当たり前だ。残念。
 会場に到着したのは9時50分。サークル参加者は10時集合だったので、早めに到着してよかったなと思っていたら、既に、みんなで机を並べ始めている最中であった......。とりあえず、早めに到着した人は、荷物をそこいらに置いて、みんなで机を並べることに。やっぱり、このイベントには「お客様」は存在しないのだ。なお、準備の時点で筆者が「若手」に属しそうな年齢構成。周囲は、長い歴史を知る人々でいっぱいだ! ■「オタク」以前からの歴史の証人がゴロゴロ  今回の参加サークル数は、約70サークル。中央に見本誌を読めるコーナーを配置しても、ちょっと広々とした雰囲気。ちなみに、第2回のコミックマーケットでは参加サークル数39で、入場者が550人。サークル数が半分とはいえ、この部屋に550人も入ることができたのだろうかと、原田央男氏(コミックマーケット初代代表)に聞いてみると、「人で溢れかえって大変だった」とのこと。第4回目には参加サークル数が80、入場者が700人と収容できなくなり翌年から大田区産業会館へと移転することになった。  とにかく、75年の第1回コミックマーケット以来、いわゆる「オタク」がいかにして巨大な文化として成長していったか、その原点を教えてくれる雰囲気や人物に溢れるイベントであることは間違いない。そんな中で袈裟を着たお坊さんが同人誌を売っていたので「コスプレでもなさそうだし、本職かな? 変わった人だな」と思っていたら、知人が「あの人ご存じですか? 蛭児神建さんですよ」と言われてびっくり。先日、筆者が連載記事で紹介した『ヘイ!バディー』最終号(※記事参照)のロリコン座談会以来だという漫画評論家の永山薫氏は「27年ぶりですね......」と、しみじみと語るのであった(失礼だけど、同誌での写真と比べると2人とも完全に別人である)。  そして、今回の開催にあたって注目を集めていたのは、故・亜庭じゅん氏の執筆した文章を網羅した「迷宮」の30年ぶりの新刊『亜庭じゅん大全 漫画新批評体系vol.16』が発売されたことだ。昨年、冬のコミックマーケットで初売りされたが「重すぎて」少部数しか搬入できなかったので、今回が初売りの本番。亜庭じゅん氏の評論活動を網羅したというだけあって、ハードカバー832ページ。カバーイラストは樹村みのり氏、中表紙には、いしいひさいち氏がイラストを添える同人誌の枠を超えた豪華本である。にもかかわらず、頒価は2,000円だから、かなりの赤字販売だという。ゆえに発行部数は250部程度とかなり少なめ。今後、漫画の歴史を研究する上で欠かせない史料になることは間違いないが、同時にかなり入手困難な史料にもなることだろう。そのためか、購入時に任意ではあるものの、購入者の名前を控えていた。
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このボリュームで頒価2,000円。
1冊あたり製作単価は5,000円を超えているとか。
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別室には故・亜庭じゅん氏を追悼する間が儲けられて故人を偲んだ。
 午後になると、多くの参加者が詰めかけたので「30分ほど延長します」と、ほかの即売会ではありえない展開も見られたMGM。終了後はみんなで机を片付けて反省会と、きわめてアットホームな雰囲気の中で一日を終えた。「あれを買わなきゃ、これも買わなきゃ」と焦る必要もなく、趣味を同じくする人と交流したり、新たな趣味との出会いも見られるこのイベント。小さいながらも、同人誌即売会の本質を凝縮したイベントであることは、間違いない。 (取材・文=昼間たかし) <次回開催案内> ・開催日時:2012年6月10(日) 11時~15時30分 ・場所:板橋区立グリーンホール1階ホール 詳細はMGM99の公式サイトで <http://mgm99.anijun.info/news/y5tbwh>
同人誌・サイト・イベント開催同人活動ノウハウの全て ふむふむ。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・巨大資本・文教堂の参入で激化する同人誌書店のシェア争いの行方"恋人たちの祭典?"「ラブプラス」同人誌即売会潜入レポ「コミケ発禁即売会」を掲げたイベントの実態は自主制作エロ画像販売会だった!!

歴史・人物・雰囲気……同人誌即売会の原点が一挙に集結!『MGM』が5年ぶりに開催

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歴史を刻んできた会場での開催。
今回初めて同人誌を製作し、初サークル参加がMGMという人もいた
 1月22日、創作系同人誌即売会MGM(まんが ギャラリー&マーケット)が、5年ぶりに開催された。MGMは、コミックマーケットの創設母体ともなった同人サークル「迷宮」が主催するコミックマーケットに次ぐ歴史を持つ即売会だ。いったい、どんな顔ぶれが集まるのか、ワクワクしながら会場へと向かった。  98回目の開催となった今回のMGMは、創作漫画オンリーの即売会だ。1980年以来、年2回ペースでの開催は続いていたが、2007年に長らく会場としていた川崎市中小企業婦人会館が閉館されたことで開催が中断。11年には、主催者代表の亜庭じゅん氏が死去し、このまま消滅してしまうのではないかと、危惧されていた。  しかし、昨年8月のコミックマーケットにて、MGM98の開催告知のチラシが配布されたことで心配は期待へと変わった。そして、開催当日を迎えたのである。
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ずらっと並んだ見本誌。
これなら、全部見て回ることもできるから安心だ。
 MGMにおいて注目すべきは、初期の同人誌即売会の雰囲気があちこちに残っていることだろう。参加申込みの必要事項を見ると、特に申込書などは付属しておらず「B5サイズの紙に以下の項目をご記入の上」とあったり、「参加確認書の発送は,開催の10日位前」と、よい意味で妙な緩さが感じられる。  さて、今回の会場は板橋区にある板橋産業連合会館。コミックマーケットの2回目から4回目までが行われた、歴史のある施設である。最寄り駅である地下鉄三田線の板橋区役所前を降りて地上に出ると、早くも「あ、お仲間だな」というにおいをさせている人々の姿が、ちらほらと。ただ、年齢層は高めである。
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伝説の「漫画新批評体系」各号。非売品なのも当たり前だ。残念。
 会場に到着したのは9時50分。サークル参加者は10時集合だったので、早めに到着してよかったなと思っていたら、既に、みんなで机を並べ始めている最中であった......。とりあえず、早めに到着した人は、荷物をそこいらに置いて、みんなで机を並べることに。やっぱり、このイベントには「お客様」は存在しないのだ。なお、準備の時点で筆者が「若手」に属しそうな年齢構成。周囲は、長い歴史を知る人々でいっぱいだ! ■「オタク」以前からの歴史の証人がゴロゴロ  今回の参加サークル数は、約70サークル。中央に見本誌を読めるコーナーを配置しても、ちょっと広々とした雰囲気。ちなみに、第2回のコミックマーケットでは参加サークル数39で、入場者が550人。サークル数が半分とはいえ、この部屋に550人も入ることができたのだろうかと、原田央男氏(コミックマーケット初代代表)に聞いてみると、「人で溢れかえって大変だった」とのこと。第4回目には参加サークル数が80、入場者が700人と収容できなくなり翌年から大田区産業会館へと移転することになった。  とにかく、75年の第1回コミックマーケット以来、いわゆる「オタク」がいかにして巨大な文化として成長していったか、その原点を教えてくれる雰囲気や人物に溢れるイベントであることは間違いない。そんな中で袈裟を着たお坊さんが同人誌を売っていたので「コスプレでもなさそうだし、本職かな? 変わった人だな」と思っていたら、知人が「あの人ご存じですか? 蛭児神建さんですよ」と言われてびっくり。先日、筆者が連載記事で紹介した『ヘイ!バディー』最終号(※記事参照)のロリコン座談会以来だという漫画評論家の永山薫氏は「27年ぶりですね......」と、しみじみと語るのであった(失礼だけど、同誌での写真と比べると2人とも完全に別人である)。  そして、今回の開催にあたって注目を集めていたのは、故・亜庭じゅん氏の執筆した文章を網羅した「迷宮」の30年ぶりの新刊『亜庭じゅん大全 漫画新批評体系vol.16』が発売されたことだ。昨年、冬のコミックマーケットで初売りされたが「重すぎて」少部数しか搬入できなかったので、今回が初売りの本番。亜庭じゅん氏の評論活動を網羅したというだけあって、ハードカバー832ページ。カバーイラストは樹村みのり氏、中表紙には、いしいひさいち氏がイラストを添える同人誌の枠を超えた豪華本である。にもかかわらず、頒価は2,000円だから、かなりの赤字販売だという。ゆえに発行部数は250部程度とかなり少なめ。今後、漫画の歴史を研究する上で欠かせない史料になることは間違いないが、同時にかなり入手困難な史料にもなることだろう。そのためか、購入時に任意ではあるものの、購入者の名前を控えていた。
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このボリュームで頒価2,000円。
1冊あたり製作単価は5,000円を超えているとか。
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別室には故・亜庭じゅん氏を追悼する間が儲けられて故人を偲んだ。
 午後になると、多くの参加者が詰めかけたので「30分ほど延長します」と、ほかの即売会ではありえない展開も見られたMGM。終了後はみんなで机を片付けて反省会と、きわめてアットホームな雰囲気の中で一日を終えた。「あれを買わなきゃ、これも買わなきゃ」と焦る必要もなく、趣味を同じくする人と交流したり、新たな趣味との出会いも見られるこのイベント。小さいながらも、同人誌即売会の本質を凝縮したイベントであることは、間違いない。 (取材・文=昼間たかし) <次回開催案内> ・開催日時:2012年6月10(日) 11時~15時30分 ・場所:板橋区立グリーンホール1階ホール 詳細はMGM99の公式サイトで <http://mgm99.anijun.info/news/y5tbwh>
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どう見てもギャグ!? 豪華スタッフなのにC級テイスト漂う『戦姫絶唱シンフォギア』

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『戦姫絶唱シンフォギア』公式サイトより
 ミュージカル嫌いで有名な芸能人といえばタモリ。彼いわく「なんでわざわざセリフを歌にするのかわからない。不自然じゃないか」と。この気持ち、わからないでもない。和歌の伝統がある我が国だけれども、近代的なドラマを歌とセットで見せられる文化はもともと存在していないのだもの。  はてさて、そんなミュージカル文化の根付いていないこの国で、歌とドラマの融合という無謀な挑戦に果敢に挑んでいるアニメがある。1月から放送中の『戦姫絶唱シンフォギア』(TOKYO MXほか)だ。  企画の中心になっているのは、声優にして紅白出場も果たした人気歌手でもある水樹奈々のプロデュースで知られる音楽制作集団「Elements Garden」と、ヒットゲーム『ワイルドアームズ』シリーズなどで知られるゲームクリエイター・金子彰史。異業種クリエイターの豪華コラボレーションだけでも不穏な気配に胸がざわめくが、さらに製作委員会には、『新世紀エヴァンゲリオン』のキングレコード、『魔法少女まどか☆マギカ』のアニプレックス、ニコニコ動画の運営元であるドワンゴ、そしてカードゲーム「ヴァイスシュヴァルツ」で我が世の春を謳歌するブシロードといった国内コンテンツ関連企業の有力株がこぞって参加しているのである。"覇権"の品格漂いまくりである。  実際のところ作品の内容も、『マクロスF』や『けいおん!』などのヒットを受けて、「歌とアニメの合わせ技こそがアニメーション企画の勝利の方程式だ!」と考えた人たちが生み出した、まるで戦艦大和のような大艦巨砲主義精神に満ち満ちている。  水樹はもちろん、『魔法少女まどか☆マギカ』の鹿目まどか役などで知られ、ソロアーティストデビューも決定している悠木碧、ユニット「TWO-MIX」としての活動で「声優にしてヒット歌手」の先駆者として知られる高山みなみ、ユニット「RO-KYU-BU」としてのアーティスト活動も記憶に新しい井口裕香ら、演技も歌もともに高い実力を備えたキャストを配した豪華な声優陣。彼女たちが演じる美少女たちが、サイバー感覚溢れるスーツを身に纏い、人々を苦しめる「ノイズ」と呼称されるモンスターたちと戦う。こう書けばなんだか楽しいオトナ向けプリキュアという雰囲気だが、問題なことに、彼女たちは戦闘シーンで歌いっぱなしなのである。おかげで、吉本新喜劇もかくやの衝撃コント時空が画面に発生してしまう。  もちろん作中では、彼女たちの歌の力がモンスターを倒すためにはどうしても必要なのだ......と理由付けがされてはいる。しかし、迫り来る攻撃を必死で潜りぬけ、鋭いパンチやキックを放ちながら、BPM高めのテンションアゲアゲなユーロビート調楽曲を歌い狂う姿は、どう見てもギャグ。笑ってはいけないアニメ選手権である。  考えてみれば『マクロスF』は歌う人と戦う人が別だったし、『けいおん!』だってライブはライブで、日常生活の中でいきなり歌い始めたりしない。発想の逆転、意外な新機軸を打ち出したつもりが、シリアスな笑い(by『バクマン。』)に繋がり、破天荒な面白さが生まれてしまったというオチか。  またさらに、必殺技を撃つたびに画面に現れる謎の書き文字が、珍奇な魅力をブーストしてくれる。まるでインチキ外人の描いた勘違い和風アートのような決めカットが、見る側の笑いのツボをグリグリと容赦なく刺激してくるのだ。  あまりにカオティックな魅力に、巷には作品名をもじった「シンフォギアン」を名乗るファンが急増中だそう。たまには、合成着色料バリバリの怪しいお菓子を食べるような感覚で、ジャンキーにアニメを見てみるのもよいのでは!? ラララ~♪ (文=御船藤四郎)
戦姫絶唱シンフォギア 1(初回限定版) ある意味、伝説。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・ポスト『まどマギ』!? "アニメ界の小室哲哉"が放った力作『輪るピングドラム』を再考ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』なんと! PTAも真っ青 "騎乗位"も"近親相姦"も描く地上波エロアニメ過激化の真相

ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』

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『輪廻のラグランジェ』公式サイトより
 2012年冬クールは、話題のロボットアニメが多数スタートしており、ロボ好き男子(女子も可!)にはうれしい限りだろう。  個人的に久々の大ヒットが、日産自動車グローバルデザイン本部が登場ロボのデザインを担当した『輪廻のラグランジェ』(読売テレビほか)である。  スタイリッシュなデザインの飛行形態から、流線形の未来的なシルエットのロボットに変形する主役ロボ「ウォクス・アウラ」のカッコよさは、従来のロボットアニメにはない新鮮な衝撃を視聴者に与えてくれるだろう。  また作品全体を彩るサウンドにも注目したい。  美メロ・ハウスシーンの立役者ラスマス・フェイバーが作曲を手掛け、『マクロスF』で超時空シンデレラ・ランカを演じた中島愛が歌うOPテーマ「TRY UNITE!」をはじめ、1980年代にニューウェーブ・テクノシーンを牽引した鈴木さえ子と北野武作品をはじめとする映像作品に多くの楽曲を提供するユニット・TOMISIROがサウンドトラックを手掛けていると聞いて、「おおっ!」と反応する音楽ファンもいるのではないだろうか。  クラフトワークを思わせるフューチャー・テイスト満載のレトロ風味なテクノと、まるでコンセプトカーを思わせる洗練されたメカたちの活躍がシンクロするクールなビジュアルは、一見の価値ありだ。  そんな本作の総監督を務めるのは、『機動戦艦ナデシコ』や『宇宙のステルヴィア』などで、ハードSF要素と魅力的な人間模様を融合させた骨太なドラマを作り上げた佐藤竜雄。今後のストーリーにも期待が集まる。  そして、相変わらずのはっちゃけぶりを見せてくれるのが『アクエリオンEVOL』(テレビ東京ほか)だ。こちらは2005年に放送され、インパクト大な主題歌が社会現象となった『創聖のアクエリオン』の続編。  1万2,000年後の地球を舞台に、新たな主役ロボ「アクエリオンEVOL」が、人類を襲う異世界からの侵略兵器「アブダクター」と激しいバトルを繰り広げるというストーリーだ。  「あなたと合体したい」という刺激的なフレーズが話題となった前作だが、厳格な学園が舞台の今作では「男女の合体禁止」というルールが設定されている。異性が気になる年頃の主人公たちは、あの手この手で異性との(アクエリオンによる)合体を目指す、というのが本作の見どころ。  ウブな主人公たちが「恋愛」と「ロボットの合体」、そして「人類の勝利」を目指すという、ドタバタでラブコメ、かつ熱血な展開は、総監督の河森正治作品の真骨頂だ。ネタ要素も満載の本作は、早くもアニメファンの間で話題を呼んでいる。  最後に『ダンボール戦機W』(テレビ東京系)を推しておこう。  2年目に突入した人気アニメである本作は、プラモデル、ゲームなどのホビー展開も好調な、昔ながらの男児向けロボットアニメである。  手のひらサイズの小型ホビーロボット・LBXを操縦する主人公・山野バンが、愛機・エルシオンとともに謎のテロ組織と戦うというストーリーの本作。新たなキャラクターの登場も相まって、前作以上に「友情」「チームワーク」といった要素が重視されており、新シリーズスタート直後より早くも重厚な物語が展開している。  本作最大の見どころは、フルCGで描かれるバトルシーンだろう。ロボットアニメのケレン味と、CGならではのグリグリ動き回るド派手なアクションが高いレベルで融合した本作のバトルシーンは、一言で言って「ガチ」である。  本作を見れば、セル至上主義なロボットアニメフリークの御仁も、CGの可能性を感じることができるだろう。  『ガンダム』『エヴァンゲリオン』に代表されるミドルティーン以上向けのハードなロボットアニメが幅を利かせ、ジャンルそのもののファンの平均年齢が上がる一方、本作のような子ども向けのホビー系作品の存在は、ロボットアニメというジャンル自体を存続させるうえで見逃すことはできないはずだ。  強くてかっこいいロボットの活躍を見ながら、童心に返っておもちゃやプラモで遊んでみたくなる。そんなロボット大国・日本が誇るロボットアニメたちに触れてみてはいかがだろうか。 (文=龍崎珠樹)
TRY UNITE!/Hello! 聞くべし!! amazon_associate_logo.jpg
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ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』

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『輪廻のラグランジェ』公式サイトより
 2012年冬クールは、話題のロボットアニメが多数スタートしており、ロボ好き男子(女子も可!)にはうれしい限りだろう。  個人的に久々の大ヒットが、日産自動車グローバルデザイン本部が登場ロボのデザインを担当した『輪廻のラグランジェ』(読売テレビほか)である。  スタイリッシュなデザインの飛行形態から、流線形の未来的なシルエットのロボットに変形する主役ロボ「ウォクス・アウラ」のカッコよさは、従来のロボットアニメにはない新鮮な衝撃を視聴者に与えてくれるだろう。  また作品全体を彩るサウンドにも注目したい。  美メロ・ハウスシーンの立役者ラスマス・フェイバーが作曲を手掛け、『マクロスF』で超時空シンデレラ・ランカを演じた中島愛が歌うOPテーマ「TRY UNITE!」をはじめ、1980年代にニューウェーブ・テクノシーンを牽引した鈴木さえ子と北野武作品をはじめとする映像作品に多くの楽曲を提供するユニット・TOMISIROがサウンドトラックを手掛けていると聞いて、「おおっ!」と反応する音楽ファンもいるのではないだろうか。  クラフトワークを思わせるフューチャー・テイスト満載のレトロ風味なテクノと、まるでコンセプトカーを思わせる洗練されたメカたちの活躍がシンクロするクールなビジュアルは、一見の価値ありだ。  そんな本作の総監督を務めるのは、『機動戦艦ナデシコ』や『宇宙のステルヴィア』などで、ハードSF要素と魅力的な人間模様を融合させた骨太なドラマを作り上げた佐藤竜雄。今後のストーリーにも期待が集まる。  そして、相変わらずのはっちゃけぶりを見せてくれるのが『アクエリオンEVOL』(テレビ東京ほか)だ。こちらは2005年に放送され、インパクト大な主題歌が社会現象となった『創聖のアクエリオン』の続編。  1万2,000年後の地球を舞台に、新たな主役ロボ「アクエリオンEVOL」が、人類を襲う異世界からの侵略兵器「アブダクター」と激しいバトルを繰り広げるというストーリーだ。  「あなたと合体したい」という刺激的なフレーズが話題となった前作だが、厳格な学園が舞台の今作では「男女の合体禁止」というルールが設定されている。異性が気になる年頃の主人公たちは、あの手この手で異性との(アクエリオンによる)合体を目指す、というのが本作の見どころ。  ウブな主人公たちが「恋愛」と「ロボットの合体」、そして「人類の勝利」を目指すという、ドタバタでラブコメ、かつ熱血な展開は、総監督の河森正治作品の真骨頂だ。ネタ要素も満載の本作は、早くもアニメファンの間で話題を呼んでいる。  最後に『ダンボール戦機W』(テレビ東京系)を推しておこう。  2年目に突入した人気アニメである本作は、プラモデル、ゲームなどのホビー展開も好調な、昔ながらの男児向けロボットアニメである。  手のひらサイズの小型ホビーロボット・LBXを操縦する主人公・山野バンが、愛機・エルシオンとともに謎のテロ組織と戦うというストーリーの本作。新たなキャラクターの登場も相まって、前作以上に「友情」「チームワーク」といった要素が重視されており、新シリーズスタート直後より早くも重厚な物語が展開している。  本作最大の見どころは、フルCGで描かれるバトルシーンだろう。ロボットアニメのケレン味と、CGならではのグリグリ動き回るド派手なアクションが高いレベルで融合した本作のバトルシーンは、一言で言って「ガチ」である。  本作を見れば、セル至上主義なロボットアニメフリークの御仁も、CGの可能性を感じることができるだろう。  『ガンダム』『エヴァンゲリオン』に代表されるミドルティーン以上向けのハードなロボットアニメが幅を利かせ、ジャンルそのもののファンの平均年齢が上がる一方、本作のような子ども向けのホビー系作品の存在は、ロボットアニメというジャンル自体を存続させるうえで見逃すことはできないはずだ。  強くてかっこいいロボットの活躍を見ながら、童心に返っておもちゃやプラモで遊んでみたくなる。そんなロボット大国・日本が誇るロボットアニメたちに触れてみてはいかがだろうか。 (文=龍崎珠樹)
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